説明

化粧紙

【課題】植物由来材料からなる材料を使った化粧原紙に化粧を施した化粧紙を提供すること。
【解決手段】パルプスラリーと紙間強化樹脂からなる紙間強化紙において、前記紙間強化樹脂が植物由来樹脂からなる樹脂を内添したパルプスラリーを抄造してなる化粧紙用原紙に化粧を施したこと、前記植物由来樹脂からなる樹脂が電離放射線硬化型樹脂であることを特徴とする。パルプスリラーに内添することで紙間が強化される。特に電子線硬化型接着剤を使用して基材に接着する場合に顕著。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅や店舗用の内装建材、床材、家具、住宅機器等に使用される紙間が強化された化粧紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記目的に用いる化粧紙の紙間強化紙の紙間を強化する方法としてはポリアクリルアミド樹脂等をパルプスラリーに内添してから抄造する方法が知られている。しかし、充分な紙間強度を得るために樹脂量を増やすと、板貼り時の接着性が阻害されるという問題点があった。この現象は特に電子線硬化型接着剤を使用して基材に接着する場合に顕著であった。これは、接着剤とポリアクリルアミド樹脂の親和性が弱いためである。また、折角植物由来材料であるパルプに石油由来材料であるポリアクリルアミド樹脂等を使う場合が多かった。
【特許文献1】特開平7−89030号公報
【特許文献2】特開2006−225453号公報
【特許文献3】特開2008−188812号公報
【特許文献4】特開2005−186534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、植物由来材料からなる材料を使った化粧原紙に化粧を施した化粧紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その請求項1記載の発明は、
パルプスラリーと紙間強化樹脂からなる紙間強化紙において、前記紙間強化樹脂が植物由来樹脂からなる樹脂を内添したパルプスラリーを抄造してなる化粧紙用原紙に化粧を施したことを特徴とする化粧紙である。
【0005】
またその請求項2記載の発明は、前記植物由来樹脂からなる樹脂が電離放射線硬化型樹脂であることを特徴とする請求項1記載の化粧紙である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明により、植物由来からなる材料を使ってパルプスリラーに内添することで紙間が強化された植物由来からなる化粧紙を提供することが可能となった。
【0007】
請求項2記載の発明により、植物由来からなる樹脂を電離放射線硬化型樹脂とすることで、さらに紙間が強化された化粧紙を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に係る紙間強化紙を得るためのパルプとしては、ブナ、シナ、カバ、ナラ等の広葉樹晒硫酸塩パルプが使用可能である。
【0009】
本発明の特徴として、前記パルプを抄造する際に、紙間を強化する樹脂を含有させる。前記樹脂としては、例えばポリブチレンサクシネートのPoly−buthylene−succinate、Poly−buthylene−succinate−co−buthylene−adipate、ポリ乳酸エマルジョン等が使用可能である。含有量としては1〜10%が好適である。前記樹脂の他、公知のサイズ剤、バンド剤(硫酸アルミニウム水溶液)等1〜5%程度添加してもよい。
【0010】
さらに電離放射線硬化型樹脂とするために、植物由来であって電離放射線の照射により効果硬化する樹脂を用いる。例えば1価、2価、3価のアクリレートと水に分散させたエマルジョンや不飽和ポリエステル等のうち植物由来の材料を選択する。電離放射線とはα線、β線(電子線)、γ線、電離作用のある紫外線、電離作用のない紫外線とする。
【0011】
これらを攪拌してパルプスラリーとし、70〜150Meshの長網の上に流し込む。これを3〜10kgf/cm2の圧力でプレスし、さらに100〜200℃の温度で乾燥して、紙間強化紙とする。
【0012】
前記紙間強化紙に公知の油性、水性グラビアインキ等で任意の絵柄を施した後、油性、水性、電離放射線硬化型トップコートを施してもよい。また、表面にはエンボスロールにて表面凹凸模様を設けても良い。
【0013】
さらに前記紙間強化紙に、透明酸化物膜及び/又は透明無機物薄膜を蒸着などにより設けた透明又は半透明のポリオレフィン系又はポリ乳酸系樹脂シートを積層することで化粧シートの水蒸気透過率を10.0g/m2・24h以下に抑えることで、防湿シートとしての用途に用いることも可能である。
【実施例1】
【0014】
5%濃度の広葉樹パルプを、充分に叩解しカナディアン・スタンダード・フリーネステスター300mlにした。この中にサイズ剤を1%、バンド剤(硫酸アルミニウム水溶液、固形分50%)を3%内添し攪拌し、さらにこれにPoly−buthylene−succinate(昭和高分子(株)製「ビオノーレ」)水性エマルジョンを5%内添して攪拌し、パルプスラリーとした。これを100Meshの金網の上に流し込み、3kgf/cm2の圧力で5分常温プレスし、120℃の温度で乾燥して紙間強化紙を得、これに絵柄模様層を印刷して化粧紙を作製した。
【実施例2】
【0015】
前記5分常音プレスの後、電子線を紙間強化紙側から0.05Gy(5Mrad rad=10−2Gy)で照射した以外は実施例1と同様にして化粧紙を作製した。
【0016】
<比較例1>
前記Poly−buthylene−succinate(昭和高分子(株)製「ビオノーレ」)水性エマルジョンを添加しない以外は実施例1と同様にして化粧紙を作製した。
【0017】
<性能比較>
以上のように作製した実施例1および比較例1の化粧紙について、ワックスピック試験をしたところ、実施例1は20以上だったが、比較例は12程度であった。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の化粧紙は、住宅や店舗用の内装建材、床材、家具、住宅機器等に使用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプスラリーと紙間強化樹脂からなる紙間強化紙において、前記紙間強化樹脂が植物由来樹脂からなる樹脂を内添したパルプスラリーを抄造してなる化粧紙用原紙に化粧を施したことを特徴とする化粧紙。
【請求項2】
前記植物由来樹脂からなる樹脂が電離放射線硬化型樹脂であることを特徴とする請求項1記載の化粧紙。

【公開番号】特開2010−65341(P2010−65341A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232114(P2008−232114)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(593173840)株式会社トッパン・コスモ (243)
【Fターム(参考)】