説明

化粧金属板

【課題】簡易に製作でき、用途・嗜好に応じて模様を付すことが容易な化粧金属板を提供する。
【解決手段】表層フィルム5と下層フィルム3を着色接着剤層6により接合してなる化粧フィルムを貼付した化粧金属板10であって、表層フィルム5は透明であるとともに屈曲凹凸が形成されており、着色接着剤層6が着色されている。表層フィルム5の凹凸は屈曲により等肉厚で形成されており、下層フィルム3はフラット状である。着色接着剤層6の厚みがエンボスの屈曲による凹凸の深さにより変化し、着色接着剤層6にも濃淡が生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧金属板に関するものである。本発明に適した化粧金属板としては、例えば浴室の壁パネルに用いられる化粧鋼板が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
図2に、従来の化粧金属板20の一般的な断面形状を模式的に示す。その断面形状は、裏面側から、バックコート層1、金属板(例えば鋼板)2、下層フィルム3、透明接着剤層4、表層フィルム5である。下層フィルム3には印刷が施され、表層フィルム5は透明である。これは、透明接着剤4により2枚のフィルム3,5を貼り合せてなる化粧フィルム7を金属板2に貼付し、表層下の印刷により化粧表現するものである。
【0003】
表層フィルム5は、エンボス加工されているものも、フラット状のものもあるが、いずれにしても、表層フィルム5と下層フィルム3とを接合している接着剤層4は、透明であり、下層フィルム3への印刷により、化粧フィルム7の模様が形成されている。なお、本願において、「模様」という語は、絵、柄、文字等も含むものとする。
【0004】
また、特許文献1及び特許文献2に、従来の化粧金属板の具体的構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−225186号公報
【特許文献2】特開2000−326443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる従来の化粧金属板では、下層フィルムに印刷を施す工程が必要であり、製作が煩雑であった。また、下層フィルムに印刷された模様によって化粧金属板の模様が決定されるので、化粧金属板へのフィルム貼付後に用途・嗜好に応じて模様を付すことができなかった。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、簡易に製作でき、用途・嗜好に応じて模様を付すことが容易な化粧金属板を提供することである。なお、化粧金属板に関し、清掃性が良いことや、後工程での曲げ加工を行ってもフィルム剥離を生じないことも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、表層フィルムと下層フィルムを接着剤層により接合してなる化粧フィルムを貼付した化粧金属板であって、表層フィルムは透明であるとともに屈曲凹凸が形成されており、接着剤層が着色されていることを特徴とする化粧金属板である。
【0009】
表層フィルムに形成された屈曲凹凸は、表層フィルムの肉厚の差により形成されるものでなく、表層フィルムの屈曲により形成されるもので、表層フィルムは肉厚が等肉厚でなるものである。
【0010】
接着剤層の厚みは、特に限定するものではないが、20±10μmであることが好ましい。接着剤層への着色方法は、これも限定するものではないが、例えば接着剤に顔料を混合することにより行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の化粧金属板は、着色接着剤層の厚みが場所によって異なる。したがって、接着剤層の厚みの大小により下層の隠蔽性を変化させることができるので、予め模様の印刷をしないでも模様を付することが可能となる。また、同一構成の化粧金属板に、異なった型によりエンボス加工をすることによって、表層フィルムの屈曲により等肉厚で凹凸を形成し、着色接着剤層の厚みを場所によって異なったものとし、その結果模様を付与することができるものである。すなわち、簡易に製作でき、用途・嗜好に応じて模様を付すことが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の化粧金属板の断面図である。
【図2】従来技術の化粧金属板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について説明する。図1に本発明の一実施形態である化粧金属板(化粧鋼板)10の断面形状を示す。その断面形状は、裏面側から、バックコート層1、金属板(鋼板)2、下層フィルム3、着色接着剤層6、表層フィルム5である。下層フィルム3は着色接着剤層6によって表層フィルム5と接合され、化粧フィルム7を形成している。表層フィルム5は透明であって例えばエンボス加工により凹凸が形成されている。この表層フィルム5の凹凸は屈曲により等肉厚で形成されており、下層フィルム3はフラット状である。
【0014】
したがって、着色接着剤層6の厚みがエンボスの屈曲による凹凸の深さにより変化し、着色接着剤層6にも濃淡が生じる。下層フィルム3としては、金属板2の生地の色ムラを隠蔽することを目的とし、着色フィルムが使用されている。なお、バックコート層1は、用途によっては略してもよい。表層フィルム5の着色接着剤層6による貼着は、減圧下において行うことにより、気泡の混入を防ぐことができる。
【0015】
着色接着剤層6の厚みは、例えば、厚い所では30μm、薄い所では10μm程度とする。着色接着剤層6が厚い所では下層の色が隠蔽され着色接着剤層6の色が視認され、薄い所では下層の色が視認できるので、接着剤層の厚みによって色あいが異なって見える。したがって、模様の印刷をしないで表面に凹凸を形成することのみで、模様表現が可能となる。
【0016】
なお、表層フィルム5を鏡面仕上げ、もしくは深さ30μm以下の微細エンボス仕上げにすることにより、清掃性に優れた化粧金属板を製作することができる。
【0017】
表層フィルム5の材質は、特に限定するものではないが、PETフィルム又はポリエステル系フィルムを使用すれば、化粧金属板10が耐薬品性に優れたものとなる。また表層フィルム5は、無色透明には限定されず、着色接着剤層6が隠蔽されない程度の着色が表層フィルム5に施されていてもかまわない。
【0018】
なお、化粧フィルム7の総膜厚を200μm以下にすることにより、後工程での曲げ加工を行ってもフィルム剥離を生じない化粧金属板10を製作することができる。
【0019】
また、図1記載の実施形態におけるエンボス形状は、二等辺三角形形状、すなわち、一辺の斜度が他辺の斜度とほぼ等しい三角形状であるが、これを、一辺の斜度が大きく、他辺の斜度が小さい三角形状に替えてもよい。或いは、エンボス形状を、サインカーブ形状の波状としてもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 バックコート層
2 金属板
3 下層フィルム
4 透明接着剤層
5 表層フィルム
6 着色接着剤層
7 化粧フィルム
10 化粧金属板(化粧鋼板)
20 化粧金属板(化粧鋼板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表層フィルムと下層フィルムを接着剤層により接合してなる化粧フィルムを貼付した化粧金属板であって、表層フィルムは透明であるとともに屈曲凹凸が形成されており、接着剤層が着色されていることを特徴とする化粧金属板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−66475(P2012−66475A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212966(P2010−212966)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】