説明

医学的溶液、該医学的溶液の調製方法、及びその使用

【課題】医学的溶液、該医学的溶液を調製する方法、該医学的溶液を含む多区画容器の提供。
【解決手段】重炭酸塩と炭酸塩とを、二酸化炭素COの分圧が、大気の二酸化炭素COの分圧の大きさと同じになる割合において含有する第一の単独溶液を含み、該医学的溶液は更に、酸を含む第二の単独溶液を含み、前記第一及び第二の単独溶液は最終滅菌後であり且つ使用直前に混合され最終溶液を形成するものであり、前記第二の単独溶液のpHは1.0〜1.5であり、最終溶液のpHは7.0〜7.6である医学的溶液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学的溶液、該医学的溶液の調製方法、該医学的溶液を含む多区画容器、並びにその使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
血液透析、血液濾過、ヘモダイアフィルトレーション(hemodiafiltration)、腹膜透析、腎臓集中治療透析、及び置換又は輸液用液体のための透析溶液のような医学的溶液は、通常、緩衝剤を含有する。用いられる緩衝剤は、多くの場合がアセテート及びラクテート緩衝剤であり、これらは人間の身体内で重炭酸塩に代謝される。従って、医学的溶液中の大抵の生理緩衝剤は重炭酸塩であり得る。
【0003】
しかしながら、緩衝剤としての重炭酸塩の使用は、以下の二つの理由のためアセテート及びラクテートの使用に比しより複雑化している。すなわち、第一に、重炭酸塩は透析流体中の本質的成分の一つ、すなわちカルシウムと容易に沈殿し、炭酸カルシウムを形成すること、第二に、重炭酸塩溶液は二酸化炭素放出し、そのため不安定であることである。
【0004】
かかる沈殿問題を克服する一つの方法は、重炭酸塩とカルシウムを二つの異なる容器に分離し、それらを使用する直前に混合することであるが、二酸化炭素の放出問題は残ったままである。
【0005】
二酸化炭素が重炭酸塩溶液から放出される結果、pHが9〜10.5まで増加(重炭酸塩の当初濃度に依存する)すると仮定する。先行技術では、この問題を二酸化炭素用のガスバリアの使用、又は重炭酸塩を徐々に大気と平衡させることにより解決している。
【0006】
ガスバリアが使用される場合、複雑且つ高価なポリマーがガスバリアとして必要であり、そうでなければ容器内の残りの内容と混合された後に、pH(溶液の経時間に依存する)が限定できなくなることがある。これらタイプのガスバリアに用いられるポリマーは、極めて不安定であることが多く、ガスバリアを処理し、漏れを生じさせることになるクラックを形成しないよう容器に詰める際に注意を要する。
【0007】
重炭酸塩を徐々に大気と平衡にさせる考えは、例えば、特許文献1に開示されている。しかしながら、この方法による前記問題点の解決によると、pH及び、最終すなわち既成溶液の重炭酸濃度の不明確性という新たな問題が生じる。
【0008】
特許文献2では、重炭酸塩と炭酸塩とが予め混合されたものを緩衝系に使用した溶液が開示されている。この文献には、重炭酸塩と炭酸塩の特定混合物が開示されており、人間の身体内における分圧の生理値に等しい二酸化炭素の分圧が提供されている。緩衝溶液は更に酸溶液と化合し、該酸は代謝させ得る有機酸である。この文献では、アシドーシス療法のため、有機酸が使用されるべきであることが強調されている。
【特許文献1】US6,309,673
【特許文献2】US5,296,242
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、優れた安定性を確実に有しつつ、優れた生体適合性を確実に有する医学的溶液を提供することである。
【0010】
本発明は、最終滅菌後であって使用直前に混合され医学的溶液として使用され得る少なくとも2つの単独溶液を含む医学的溶液を提供する。第一の単独溶液は、重炭酸塩と炭酸塩とを、第一の単独溶液中における二酸化炭素COの分圧が、大気の二酸化炭素COの分圧の大きさと同じになる割合において含有する。第二の単独溶液は酸を含有し、pHが1.0〜1.5である。前記第一及び第二の単独溶液が、滅菌後であって使用直前に混合される時に、最終溶液、すなわち使用の準備の整った溶液が形成され、そのpHは7.0〜7.6の範囲内である。
【0011】
第一の単独溶液中における二酸化炭素COの分圧を、大気の二酸化炭素COの分圧の大きさと確実に同じにすることにより、溶液が収容されている容器から二酸化炭素を外へ出そうとする駆動力がなくなる。従って、炭酸塩及び重炭酸塩濃度は安定化することになり、先行技術における溶液の問題点は解決される。
【0012】
本発明の好ましい態様において、前記第一の単独溶液はpHが10.1〜10.5であり、好ましくは10.3である。
【0013】
前記第二の単独溶液は、好ましくはpHが1.3である。好ましくは、前記第二の単独溶液は塩酸HClにより酸性化される。
【0014】
本発明の他の好ましい形態において、医学的溶液は更に1又は2以上の浸透圧剤を含有する。好ましい1又は2以上の浸透圧剤は、グルコース、グルコースポリマー、グリセロール、キシリトール、フルクトース、アミノ酸、ペプチド、蛋白、アミノ糖、N−アセチルグルコースアミン(NAG)、またはこれらの組合せから選択される。
【0015】
本発明の好ましい一形態において、前記1又は2以上の浸透圧剤は、最終溶液中に混合される前に、前記第二の単独溶液中で調製される。他の好ましい形態において、前記1又は2以上の浸透圧剤は、最終溶液中に混合される前に、第三の単独溶液中で調製される。更なる他の好ましい形態において、前記1又は2以上の浸透圧剤はまた最終溶液中に混合される前に、第四の単独溶液中で調製される。
【0016】
好ましい形態において、前記第三及び第四の単独溶液中の前記1又は2以上の浸透圧剤は、グルコース及び/又はグルコースポリマーであり、最終滅菌及び/又は貯蔵の間にグルコース分解生成物(GDPs)を生じさせ得る。かかる場合においては、前記第三及び第四の単独溶液は酸を含有し、pHは少なくとも1.8であり、好ましくは少なくとも2.0であり、且つ、pHは多くても2.6であり、好ましくは多くても2.5であり、特に好ましくは多くても2.3である。
【0017】
本発明の他の好ましい形態において、最終溶液は更に、1又は2以上の電解質を含有する。本発明の好ましい一形態によると、1又は2以上の電解質は、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及び/又は塩化物イオンの1又は2以上を含む。本発明の好ましい異なる形態において、これら1又は2以上の電解質は、最終溶液中に混合される前に、前記第一の単独溶液、前記第二の単独溶液、及び/又は、前記任意の第三及び/又は第四の単独溶液中に含まれる。しかしながら、マグネシウム及び/又はカルシウムは、炭酸塩及び重炭酸塩と共に第一の単独溶液中に含まれると、各々炭酸マグネシウムおい日炭酸カルシウムとして沈殿するし得るため、前記第一の単独溶液中には含まれ得ない。
【0018】
本発明の他の好ましい形態において、異なる単独溶液は、最終溶液に混合される前に多区画容器中で異なる区画に提供される。
【0019】
本発明は、更に、前記医学的溶液を調製するための方法を提供する。本発明において、該方法は、前記単独溶液を分離された区画に提供し、その後最終的に前記単独溶液を滅菌することを含む。
【0020】
本発明に係る方法の好ましい形態において、前記最終滅菌は、熱滅菌及び/又は放射滅菌である。本発明に係る方法の更に好ましい形態において、前記最終滅菌が100℃以上の温度での熱滅菌であり、好ましくは121℃以上である。
【0021】
本発明の好ましい形態において、前記第一及び第二の単独溶液は、滅菌後であって使用直前に混合され、最終溶液を形成する。他の好ましい形態において、前記第一、第二及び第三の単独溶液は、滅菌後であって使用直前に混合され、最終溶液を形成する。本発明の他の好ましい形態において、前記第一、第二及び第四の単独溶液は、滅菌後であって使用直前に混合され、最終溶液を形成する。本発明の更に好ましい他の形態において、前記第一、第二、第三及び第四の単独溶液は、滅菌後であって使用直前に混合され、最終溶液を形成する。
【0022】
本発明は、更に、上述した医学的溶液を含む多区画容器、上述した医学的溶液の使用を提供する。
【0023】
本発明の他の目的、特徴、利点及び好ましい形態は、添付の特許請求の範囲と共に以下の詳細な説明を考慮することにより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
定義
「医学的溶液」なる用語は、血液透析、ヘモダイアフィルトレーション(hemodiafiltration)、血液濾過および腹膜透析のための透析溶液、腎臓集中治療透析、通常緩衝剤を含有する置換又は輸液用溶液、および栄養摂取目的の溶液を意味する。
【0025】
「単独溶液」なる用語は、使用されるまで他の溶液とは隔離して保管されている溶液を意味する。
【0026】
「重炭酸塩および炭酸塩」なる用語は、アルカリ重炭酸塩およびアルカリ炭酸塩を意味し、特に重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを意味する。
【0027】
「最終溶液」なる用語は、要求される異なる単独溶液を含み且つ使用の準備が整っている溶液を意味する。
【0028】
「多区画容器」なる用語は、2以上の区画に分割された容器を意味し、異なる区画中の内容物は使用前にまとめられ混合される。
【0029】
「最終滅菌」なる用語は、生成物がその最終的な包装中で滅菌されることを意味する。該最終滅菌には、熱滅菌および放射滅菌が含まれ得るが、温度100℃以上、好ましくは121℃以上でオートクレーブで実施される熱滅菌が好ましい。
【0030】
「使用直前」("up on use")なる用語は、医学的溶液がその特定目的のために使用される時の可能な限り直前であることを意味する。
【0031】
発明の詳細な説明
本発明に係る医学的溶液は第一単独溶液と第二単独溶液とを含有し、前記第一及び第二単独溶液は最終滅菌後であって使用直前に、混合され最終溶液を形成することが予定されている。
【0032】
前記第一単独溶液は、重炭酸塩と炭酸塩を、該第一単独溶液中における二酸化炭素COの分圧が、雰囲気中の二酸化炭素COの分圧と同じ大きさとなる割合において含有する。好ましくは、重炭酸塩と炭酸塩は、重炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムとして混合される。好ましくは、前記第一単独溶液のpHは10.1〜10.5の範囲内であり、特に好ましくは、前記第一単独溶液のpHは10.3である。
【0033】
最終溶液中に少なくとも前記第一及び第二単独溶液を混合した後において、前記最終溶液のpHは7.0〜7.6の範囲内である。また、前記第一単独溶液は、好ましくは重炭酸塩濃度が少なくとも25mMであり、好ましくは少なくとも30mMであり、且つ多くて45mMであり、好ましくは多くて40mMである。
【0034】
前記第二単独溶液は、好ましくはpHが1.0〜1.5の範囲内であり、特に好ましくはpHが1.3である。本発明の好ましい態様において、前記第二単独溶液はHClを含有する。
【0035】
本発明に係る医学的溶液は、好ましくは、1又は2以上の、好ましくはグルコース、グルコースポリマー、グリセロール、キシリトール、フルクトース、アミノ酸、ペプチド、蛋白、アミノ糖、N−アセチルグルコースアミン(NAG)、又はこれらの組合せから選択される浸透圧剤を含有する。好ましい一態様において、1又は2以上の浸透圧剤は、最終溶液中に混合される前に、前記第二単独溶液中で調製される。しかしながら、他の好ましい態様においては、1又は2以上の新東西は第三の単独溶液中で調製される。更なる本発明の他の好ましい態様においては、1又は2以上の浸透圧剤は、最終溶液中に混合される前に、第三の単独溶液中で調製される以外にも第四の単独溶液中で調製される。
【0036】
1又は2以上の浸透圧剤を使用する場合には、グルコース分解生成物を生じさせることができ、前記第三及び第四の単独溶液は更に酸を含有し、そのpHが少なくとも1.8であり、好ましくは少なくとも2.0であることが好ましく、且つ、pHが多くて2.6であり、好ましくは多くて2.5であり、特に好ましくは多くて2.3であることが好ましい。これらpHの範囲内において、特に毒性の強いグルコース分解生成物(GDPs)、特に3,4−ジデオキシグルコースオン−3−エン(3,4−DGE)の量は可能な限り低い。ここで、3,4−ジデオキシグルコースオン−3−エン(3,4−DGE)は全GDPsの中で最も毒性であるものの一つである。GDPsは、例えば腹膜透析の間にいくつかの問題を生ずることが知られており、勿論毒性物質の量を低減することは常に目標とされている。しかしながら、前記第三及び第四の単独溶液のpHを最適化すること以外に、1又は2以上の浸透圧剤の濃度を保つこともまた重要である。これにより、前記第三及び第四の単独溶液の全質量に対して、各々少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも20質量%、特に好ましくは少なくとも40質量%のGDPsを生じさせることができる。
【0037】
本発明の好ましい態様において、前記第三及び第四の単独溶液は、異なる合計量の1又は2以上の浸透圧剤を含有し得る。異なる合計量は、前記第三及び第四単独溶液内において同一濃度を異なる容積において提供することにより達成することができる。異なる合計量はまた、前記第三及び第四単独溶液の同じ容積を、前記第四の単独溶液と比較し前記第三の単独溶液の異なる濃度において提供することによっても達成することができる。このような、前記第一、第二、第三及び第四の単独溶液を含む好ましい医学的溶液を有することにより、そのユーザーは、特定の治療のために自分が有したい浸透圧剤の濃度を選択することができた。前記第一、第二及び第三の単独溶液を最終溶液に混合することにより、ユーザーは浸透圧剤の第一の特定濃度を得、前記第一、第二及び第四の単独溶液を最終溶液に混合することにより、ユーザーは浸透圧剤の第二の特定濃度を得、前記第一、第二、第三及び第四の単独溶液を最終溶液に混合することにより、ユーザーは浸透圧剤の第三の特定濃度を得る。従って、前記第三及び第四単独溶液は、使用直前に、前記第一及び第二溶液と個々に混合され、すなわち、第一、第二及び第三、または第一、第二及び第四、のいずれかとなり得、もしくは共同的に混合され、すなわち、第一、第二、第三及び第四単独溶液を一緒に混合され得る。但し、前記最終溶液は、上記単独溶液の如何なる組合せが使用されたとしても常にpHが7.0〜7.6の範囲となる。前記第一の単独溶液中の緩衝溶液は、前記第二の単独溶液との組合せにおいて、pH7.0〜7.6の最終溶液に対する前記第三および/または第四の単独溶液のバッファーとして作用する。
【0038】
本発明の好ましい態様において、医学的溶液は更に1又は2以上の電解質を含有する。好ましくは、該電解質は1又は2以上のナトリウムイオン、カルシウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及び塩化物イオンである。
【0039】
異なる区画中の電解質の配合は、単独溶液中に存在する他の物質との異電解質相互作用に依存する。すなわち、ある種の反応が1又は2以上の電解質と特定の単独溶液中に存在する他の物質との間で生ずるか否かに依存する。通常、電解質は前記第二単独溶液中に含まれる。例えば、カルシウム及びマグネシウムイオンは、好ましくは前記第一単独溶液以外の他の単独溶液のいずれかに提供される。その理由は以下の通りである。カルシウム及びマグネシウムは重炭酸塩及び/又は炭酸塩と共に、各々炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムの沈殿を生じ得るが、カルシウムイオンは特定の環境下(例えば特定範囲のpH等)において重炭酸塩と状態を保つことができ、このことは例えば、参照によりその内容が本明細書に含まれるEP0437274に開示されている。
【0040】
上述した医学的溶液を調製するための方法において、前記単独溶液は別々の区画に提供される。その後は、前記単独溶液は最終的に滅菌される。好ましくは、最終滅菌は熱滅菌及び/又は放射線滅菌であり(異なる滅菌技術の復習のため、例えば、更にヨーロピアン・ファーマコポエピア (European Pharmacopoepia)1977、も参照のこと。)。本発明に係る方法の好ましい態様において、最終滅菌は温度が少なくとも100℃、好ましくは少なくとも121℃での熱滅菌である。
【0041】
滅菌時間は、滅菌温度、容器のタイプ、及びその中の滅菌される内容物に依存し変化する。
放射線滅菌は、電離放射線または非電離放射線のいずれであってもよい。電離放射線の例としては、ガンマ及びベータ放射線が挙げられる。非電離放射線の例としては、UV放射線が挙げられる。
【0042】
本発明に係る医学的溶液は、有利なことに、優れた安定性及び優れた生体適合性を確実に備える。
【0043】
前記単独溶液は多区画容器において異なる区画に提供され得、壊れ易いピンにより密閉してつながれた異なる区画を有することにより、異なるピンが多区画容器内の任意の区画中で内容物を混合するために破壊され、混合が提供される。混合は更に、異なる区画の中間にピールシールを有し、該ピールシールを異なる区画内の内容物を混合するために剥がすことにより提供され得る。
【0044】
本発明に係る溶液の異なる例を以下に示す。
【実施例】
【0045】
例証として(本発明を限定するものではない)、以下の例は、本発明の実施態様によりなされた溶液の多様性を確認する。
【0046】
例1−4
二つの区画容器
【表1】

【表2】

【表3】

【0047】
例5−8
二つの区画容器
【表4】

【表5】

【表6】

【0048】
例9−12
三つの区画容器:
【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【0049】
*区画1および2が混合されるときは15g/lであり、三つの区画すべてが混合される場合には25g/lである。
【0050】
例13−16
四つの区画容器:
【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【0051】
例17−20
二つの区画容器
【表19】

【表20】

【表21】

【0052】
例21−24
二つの区画容器
【表22】

【表23】

【表24】

【0053】
例25−28
二つの区画容器
【表25】

【表26】

【表27】

【0054】
例29−32
二つの区画容器
【表28】

【表29】

【表30】

【0055】
例33−36
四つの区画容器
【表31】

【表32】

【表33】

【表34】

【表35】

【表36】

【表37】

【表38】

【0056】
例37−40
四つの区画容器
【表39】

【表40】

【表41】

【表42】

【表43】

【表44】

【表45】

【表46】

【0057】
上記結果に基づき要約すると、本発明者等は、安定であり且つ生体適合性のある重炭酸塩ベース溶液は、重炭酸塩と炭酸塩とを、二酸化炭素COの分圧を、雰囲気の二酸化炭素COの分圧の大きさと同じとなる割合で含有する場合に提供することができると結論付けた。
【0058】
本明細書に記載の現在における好ましい形態に対する種々の変化及び修飾は、当業者に明らかであることが理解されるであろう。かかる変化および修飾は、本発明の意図及び範囲を離れることなく、またその付随する利益を減少させることなくなされ得る。従って、そのような変化及び修飾は、添付の特許請求の範囲により担保されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の単独溶液中の二酸化炭素COの分圧が大気の二酸化炭素COの分圧と同じ大きさとなる割合で重炭酸塩と炭酸塩とを含有する第一の単独溶液と、酸を含有する第二の単独溶液とを具備し、前記第一及び第二の単独溶液が、最終的な滅菌後であり且つ使用直前に混合されて最終的な溶液を形成する医学的溶液であって、前記第二の単独溶液のpHが1.0〜1.5であり、前記最終溶液のpHが7.0〜7.6である医学的溶液。
【請求項2】
前記第一の単独溶液のpHが10.1〜10.5、好ましくは10.3である、請求項1に記載の医学的溶液。
【請求項3】
前記第二の単独溶液のpHが1.3である、請求項1又は2に記載の医学的溶液。
【請求項4】
前記第二の単独溶液がHClを含有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の医学的溶液。
【請求項5】
更に1又は2以上の浸透圧剤を含有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の医学的溶液。
【請求項6】
前記1又は2以上の浸透圧剤が、グルコース、グルコースポリマー、グリセロール、キシリトール、フルクトース、アミノ酸、ペプチド、蛋白、アミノ糖、N−アセチルグルコースアミン(NAG)、またはこれらの組合せから選択される、請求項5に記載の医学的溶液。
【請求項7】
前記1又は2以上の浸透圧剤が、最終溶液に混合される前に、前記第二の単独溶液に調合される、請求項5に記載の医学的溶液。
【請求項8】
前記1又は2以上の浸透圧剤が、最終溶液に混合される前に、第三の単独溶液に調合される、請求項5に記載の医学的溶液。
【請求項9】
前記1又は2以上の浸透圧剤が、第四の単独溶液にも調合される、請求項8に記載の医学的溶液。
【請求項10】
前記第三及び/又は第四単独溶液中の前記1又は2以上の浸透圧剤が、最終滅菌及び/又は貯蔵の間に、グルコース分解生成物を生じるグルコース及び/又はグルコースポリマーである医学的溶液であって、前記第三及び/又は第四の単独溶液が酸を含有し、pHが1.8以上、好ましくは2.0以上であり、且つpHが2.6以下、好ましくは2.5以下、特に好ましくは2.3以下である、請求項8又は9に記載の医学的溶液。
【請求項11】
更に1又は2以上の電解質を含有する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の医学的溶液。
【請求項12】
前記1又は2以上の電解質が、1又は2以上のナトリウムイオン、カルシウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、及び/又は塩化物イオンを含有する、請求項11に記載の医学的溶液。
【請求項13】
1又は2以上の電解質が、最終溶液中に混合される前に、前記第一の単独溶液中に調合される、請求項11又は12に記載の医学的溶液。
【請求項14】
1又は2以上の電解質が、最終溶液中に混合される前に、前記第二の単独溶液中に調合される、請求項11乃至13のいずれか1項に記載の医学的溶液。
【請求項15】
1又は2以上の電解質が、最終溶液中に混合される前に、前記第三の単独溶液及び/又は第四の単独溶液中に調合される、請求項11乃至14のいずれか1項に記載の医学的溶液。
【請求項16】
異なる単独溶液が、最終溶液に混合される前に、多区画容器の異なる区画に提供される、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の医学的溶液。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の医学的溶液を調製する方法であって、前記単独溶液を異なる区画に提供すること、その後、前記単独溶液を最終滅菌すること、を含む調製方法。
【請求項18】
最終滅菌が熱滅菌及び/又は放射線滅菌である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
最終滅菌が100℃以上、好ましくは121℃以上の温度での熱滅菌である、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記第一及び第二の単独溶液を、最終滅菌後であり且つ使用直前に混合し最終溶液を形成する、請求項17乃至19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記第一、第二及び第三の単独溶液を、最終滅菌後であり且つ使用直前に混合し最終溶液を形成する、請求項17乃至19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記第一、第二及び第四の単独溶液を、最終滅菌後であり且つ使用直前に混合し最終溶液を形成する、請求項17乃至19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記第一、第二、第三及び第四の単独溶液を、最終滅菌後であり且つ使用直前に混合し最終溶液を形成する、請求項17乃至19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
異なる単独溶液を、混合して最終溶液を形成する前に、多区画容器の異なる区画に提供する、請求項17乃至23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の医学的溶液を含む多区画容器。
【請求項26】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の医学的溶液の使用。

【公開番号】特開2012−232986(P2012−232986A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−145325(P2012−145325)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【分割の表示】特願2007−501746(P2007−501746)の分割
【原出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(501473877)ガンブロ・ルンディア・エービー (49)
【氏名又は名称原語表記】GAMBRO LUNDIA AB
【Fターム(参考)】