説明

医用システム

【課題】医用システムにおけるメンテナンス装置やメンテナンスプログラムに関する面倒な事前の準備を必要とせずに、医用装置のメンテナンスを実行する。
【解決手段】制御プログラムにより所定の機能を発揮する医用装置と、前記医用装置と接続された状態で前記メンテナンスプログラムにより前記機能に関するメンテナンスを実行するメンテナンス装置と、を有する医用システムであって、前記医用装置は、前記制御プログラムを前記記憶部に記憶すると共に、前記制御プログラムに対応する前記メンテナンスプログラムを前記メンテナンス装置が取得可能な状態で前記記憶部に記憶しておき、前記メンテナンス装置は、前記医用装置をメンテナンスするために前記医用装置と接続された際に、必要に応じて前記医用装置から前記メンテナンスプログラムを取得してメンテナンスを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医用システムに関し、さらに詳しくは、制御プログラムにより所定の機能を発揮する医用装置と、前記制御プログラムに対応したメンテナンスプログラムにより医用装置のメンテナンスを実行するメンテナンス装置とを有する医用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザイメージャやCR読取装置等の医用装置は、病院などの設置されている場所での稼動状態(濃度・階調特性や、フィルムやプレート等の搬送性)を維持する必要がある。
【0003】
この場合、医用装置に設置されている表示パネルは最低限の小さなものであるため、複雑な表示ができず、階調特性の調整や搬送系の制御定数の調整等を行うことはできないものであった。
【0004】
このため、当該医用装置のメンテナンス担当者が、メンテナンス用のコンピュータ(以下、メンテナンスPC)を医用装置に接続して、ユーザの好みの階調特性への調整や搬送系の制御定数の調整等を行うことが広く行われている。
【0005】
なお、本願明細書において、各種医用装置と、この医用装置に対してメンテナンスを実行するメンテナンスPC(あるいはメンテナンス装置)とをあわせて、医用システムと呼ぶことにする。
【0006】
このようなメンテナンスPCを使用する医用システムにおいては、医用装置本体に内蔵された制御プログラムと、当該制御プログラムに対応するバージョンのメンテナンス用PCのプログラム(メンテナンスプログラム)を準備することが必要である。
【0007】
なお、以下の特許文献に類似する技術に関する記載がなされている。
【特許文献1】特開昭63―27160号公報、(第1頁、図1)
【特許文献2】特開平6―214929号公報、(第1頁、図1)
【特許文献3】特開平11―306000号公報、(第1頁、図1)
【特許文献4】特許第3642221号公報、(第1頁、図1)
【特許文献5】特開昭62―115473号公報、(第1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1記載のものは、センター〜リモート装置で、センター側から自己診断用(メンテナンス用)プログラムをダウンロードするシステムである。したがって、上述した医用システムにそのまま適用することはできない。
【0009】
上記特許文献2記載のものは、ネットワーク上のマスターからスレーブへプログラムをダウンロードする方式である。したがって、上述した医用システムにそのまま適用することはできない。
【0010】
上記特許文献3記載のものは、アプリケーションサーバ方式である。したがって、上述した医用システムにそのまま適用することはできない。
上記特許文献4記載のものは、入力装置からIF装置にダウンロードするものであり、端末プリンター交換時の作業容易性を目指したもので、ネットワークからダウンロードしなくても良く、各拠点のサービス担当のPCにダウンロードするものである。したがって、上述した医用システムにそのまま適用することはできない。
【0011】
上記特許文献5記載のものは、IF装置(メンテナンスPC)を介して情報吸上げ、センター側へ送信するものである。したがって、上述した医用システムにそのまま適用することはできない。
【0012】
ところで、以上の背景技術で説明したようなメンテナンスPCを使用する医用システムにおいては、メンテナンス用PCのプログラム(メンテナンスプログラム)を準備する際には、医用装置本体に内蔵された制御プログラムと当該制御プログラムとで、互いにバージョンをそろえておく必要がある。
【0013】
この場合、医用装置の製造メーカーあるいは医用装置の制御プログラムの担当企業は、新機種発売や医用装置本体側のソフト変更(バージョンアップ)を行う毎に、メンテナンスプログラムのバージョンアップの為、全国あるいは全世界のサービス拠点に、当該メンテナンスプログラムコピー用にCD−Rを配布したり、WWW上のメンテナンスPC用サーバを設け、メンテナンスプログラム最新版をアップロードするシステムを立上げる必要があり、時間・費用のかかる事前準備が必要であった。
【0014】
また、メンテナンス担当者が、メンテナンスPCへの事前アップロードを忘れると、現地到着してもメンテナンス実行できなかったり、或いは、WWW経由のダウンロードはかなりの時間を要し、メンテナンス開始時間が遅れるという場合もあった。
【0015】
近年の医療用機器に於いて、装置本体側はフラシュROM等でネットワーク経由で最新版のソフトウエアをダウンロード可能に構成されているケースが多く、バージョン不一致が発生し易く、しかも現地で気づくケースが増える傾向にある。
【0016】
本発明は、上記不具合を解消するためになされたものであって、医用システムにおけるメンテナンス装置やメンテナンスプログラムに関する面倒な事前の準備を必要とせずに、医用装置のメンテナンスを実行することが可能な医用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
すなわち、前記した課題を解決は、以下に列記する発明により解決される。
(1)請求項1記載の発明は、制御プログラムを記憶部に記憶し、この制御プログラムにより所定の機能を発揮する医用装置と、前記制御プログラムに対応したメンテナンスプログラムを記憶部に記憶し、前記医用装置と接続可能に構成され、前記医用装置と接続された状態で前記メンテナンスプログラムにより前記機能に関するメンテナンスを実行するメンテナンス装置と、を有する医用システムであって、前記医用装置は、前記制御プログラムを前記記憶部に記憶すると共に、前記制御プログラムに対応する前記メンテナンスプログラムを前記メンテナンス装置が取得可能な状態で前記記憶部に記憶しておき、前記メンテナンス装置は、前記医用装置をメンテナンスするために前記医用装置と接続された際に、必要に応じて前記医用装置から前記メンテナンスプログラムを取得してメンテナンスを実行する、ことを特徴とする医用システムである。
【0018】
(2)請求項2記載の発明は、前記医用装置は、不揮発性であって書き換え可能な記憶部を備える、ことを特徴とする請求項1記載の医用システムである。
(3)請求項3記載の発明は、前記医用装置は、ネットワークにアクセスする機能を有すると共にネットワークに接続されており、ネットワーク経由で前記制御プログラムと前記メンテナンスプログラムとを得て前記記憶部に記憶しておく、ことを特徴とする請求項2記載の医用システムである。
【0019】
(4)請求項4記載の発明は、前記医用装置は、通常の動作のためおよび前記制御プログラムと前記メンテナンスプログラムとを得るためにネットワークと接続される第1接続ポートと、前記メンテナンス装置と接続されるための第2接続ポートと、を有する、ことを特徴とする請求項3記載の医用システムである。
【発明の効果】
【0020】
以上、説明したように、本発明によれば、以下のような効果が得られる。
(1)請求項1記載の発明において、医用装置側では、該医用装置用の制御プログラムを記憶部に記憶すると共に、制御プログラムに対応するバージョンのメンテナンス装置用のメンテナンスプログラムを、メンテナンス装置が取得可能な状態で記憶部に記憶しておく。
【0021】
そして、メンテナンス装置は、医用装置をメンテナンスするために医用装置と接続された際に、必要に応じて医用装置からメンテナンスプログラムをダウンロードするなどして取得したうえで、メンテナンスを実行する。
【0022】
この結果、医用システムにおけるメンテナンス装置やメンテナンスプログラムに関する面倒な事前の準備を必要とせずに、医用装置のメンテナンスを確実にかつ簡易な手順で短時間に実行することが可能になる。
【0023】
(2)請求項2記載の発明では、医用装置は、不揮発性であって書き換え可能な記憶部に、該医用装置用の制御プログラムを記憶部に記憶すると共に、制御プログラムに対応するバージョンのメンテナンス装置用のメンテナンスプログラムを、メンテナンス装置が取得可能な状態で記憶部に記憶しておく。
【0024】
このため、制御プログラムに対応するバージョンのメンテナンスプログラムを、メンテナンス装置が取得するときまで確実に蓄積しておくことが可能になり、医用システムにおけるメンテナンス装置やメンテナンスプログラムに関する面倒な事前の準備を必要とせずに、医用装置のメンテナンスを確実にかつ簡易な手順で短時間に実行することが可能になる。
【0025】
(3)請求項3記載の発明で、医用装置は、ネットワーク経由で制御プログラムとメンテナンスプログラムとを得て、記憶部に記憶しておく。
このため、最新の制御プログラムに対応するバージョンの最新のメンテナンスプログラムを、メンテナンス装置が取得するときまで蓄積しておくことが可能になり、医用システムにおけるメンテナンス装置やメンテナンスプログラムに関する面倒な事前の準備を必要とせずに、医用装置のメンテナンスを確実にかつ簡易な手順で短時間に実行することが可能になる。
【0026】
(4)請求項4記載の発明では、医用装置は、通常の動作のためおよび制御プログラムとメンテナンスプログラムとを得るためにネットワークと接続される第1接続ポートと、メンテナンス装置と接続されるための第2接続ポートと、別に有する。
【0027】
ここで、医用装置は、第2接続ポートを介してメンテナンス装置と接続されてメンテナンスを実行中であっても、可能な限り、第1接続ポートを介してネットワーク経由で通常の処理を続行可能な状態になっている。
【0028】
そして、医用装置をメンテナンスするために第2接続ポートを介してメンテナンス装置が医用装置に接続された際に、医用装置の第2接続ポート経由でメンテナンスプログラムがメンテナンス装置に伝送される。このため、医用装置は、第1接続ポートを介したネットワークとの通信に何ら支障を生じないため、他の装置からの医用画像データや各種コマンドの受信などを続行することが可能な状態を保つことができる。
【0029】
また、医用装置が第1接続ポートを介してネットワークと接続されたままであるため、他の装置から画像データやコマンドを医用装置に対して送信する際にも何ら悪影響を与えることがない。また、ネットワークに対する切断や再接続も生じないため、ネットワークに対しても何ら影響を与えることがない。
【0030】
この結果、医用システムにおけるメンテナンス装置やメンテナンスプログラムに関する面倒な事前の準備を必要とせずに、また、他の装置に悪影響を与えることなく、医用装置のメンテナンスを確実にかつ簡易な手順で短時間に実行することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施をするための最良の形態を詳細に説明する。
本発明の実施をするための最良の形態の医用システムの好適な実施の形態について説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0032】
〈第1の実施形態〉
全体構成:
10は病院内ネットワークであり、ホストコンピュータ20と、医用撮影装置30、医用撮影装置40、医用装置としてのレーザイメージャ100が接続されている。なお、更に多くの撮影装置や、読み取り装置などが接続されていてもよい。なお、ホストコンピュータ20を介して、インターネットなどの外部のネットワークに接続可能に構成されている。
【0033】
また、レーザイメージャ100は請求項における医用装置を構成している。また、レーザイメージャ100に対して、コンピュータなどのメンテナンス装置200が接続可能に構成されている。
【0034】
ここで、レーザイメージャ100は、各部を制御する制御部101と、病院内ネットワーク10を介して通信するための第1接続ポートとしてのI/F102と、メンテナンス装置200と通信するための第2接続ポートとしてのI/F104と、各種操作の入力がなされる操作部110と、各種表示を行う表示部120と、各種データの記憶を行う記憶部130と、レーザイメージャとしての各種機能を実行する医用機能部140と、を備えて構成されている。
【0035】
なお、記憶部130は、画像データの記憶領域、レーザイメージャとして所定の機能を発揮するための制御プログラムの記憶領域、制御プログラムに対応するメンテナンスプログラムの記憶領域、を有して、それぞれ適した領域に記憶する。また、医用装置100は、記憶部130内のメンテナンスプログラムに関して、メンテナンス装置200が取得可能な状態で記憶部130に記憶しておく。
【0036】
なお、医用装置100は、不揮発性であって書き換え可能な記憶部130に、該医用装置用の制御プログラムを記憶部に記憶すると共に、制御プログラムに対応するバージョンのメンテナンス装置用のメンテナンスプログラムを、メンテナンス装置200が取得可能な状態で記憶部に記憶しておく。
【0037】
ここで、レーザイメージャ100は、レーザイメージャとして所定の機能を発揮するための制御プログラムを記憶部130に記憶し、この制御プログラムにより医用機能部140が所定の機能を発揮する。
【0038】
また、メンテナンス装置200は、各部を制御する制御部201と、医用装置100と通信するためのI/F202と、各種操作の入力がなされる操作部210と、各種表示を行う表示部220と、各種データの記憶を行う記憶部230と、を備えて構成されている。
【0039】
なお、このメンテナンス装置200は、ノートPCなどのコンピュータであり、制御プログラムに対応したバージョンのメンテナンスプログラムを記憶部230に記憶し、医用装置100と接続可能に構成され、医用装置100とされた状態でメンテナンスプログラムにより医用装置100のメンテナンスを実行する。
【0040】
以下、本実施形態の医用システム100とメンテナンス装置200とからなる医用システムについての動作(処理)状態について、図2のフローチャートも参照しつつ説明を行う。
【0041】
まず、医用装置100にてメインの制御プログラムを起動する(図2S101)。医用装置100は、この制御プログラムにより、医用機能部140が所定の機能を発揮する。
なお、この制御プログラムにより、医用装置100は所定の時期あるいは所定の通知を受けた場合に、医用装置100の最新版制御プログラムと、メンテナンス装置200のメンテナンスプログラムとを図示されていないサーバなどからダウンロードしておく。なお、図示されないROM(Read Only Memory)を交換することによって医用装置100にこれらプログラムをインストールする型式であっても、本実施形態を適用可能であることは言うまでも無い。
【0042】
すなわち、実行中の制御プログラムに対応したメンテナンスプログラムをも、メンテナンス装置200が取得可能な状態で記憶部120に記憶しておく。また、この制御プログラムにより、メンテナンス装置200からの何らかのアクセスがあった場合には、後述するような所定の反応をする。
【0043】
また、メンテナンス実行時に、メンテナンス装置200を医用装置100と接続ケーブルにより接続したうえで、メンテナンス装置200の接続プログラムを起動する(図2S201)。この接続プログラムはメンテナンスプログラムの初期実行モジュールであってもよいし、メンテナンスプログラムとは独立した接続機能のみの接続プログラムであってもよい。
【0044】
すなわち、メンテナンス装置200には、メンテナンスプログラムの初期実行モジュールあるいは独立したプログラムである接続プログラムと、その後に実行されてメンテナンス作業を実行するためのメンテナンスプログラムとが、記憶部220に記憶されている。なお、この実施形態では、最低でも、接続プログラムが記憶部220に記憶されていればよい。
【0045】
なお、メンテナンス装置200の表示部220には図3(a)に示すアイコンが表示されており、メンテナンス装置200を操作するサービスマンなどがアイコンをクリックすることで接続プログラムが起動する。
【0046】
また、接続プログラムが起動すると、メンテナンス装置200の表示部220には、図3(b)のIPアドレス入力画面が表示される。そこで、メンテナンス装置200を操作するサービスマンが医用装置100のIPアドレスを入力する。
【0047】
ここで、メンテナンス装置200は、指定されたIPアドレスの医用装置100に対して所定のプロトコルに従って接続要求を送出する(図2S202)。なお、ここで示したIPアドレスなどは一例であり、メンテナンス装置200から医用装置100を特定できる機種名やID番号などであってもよい。
【0048】
接続要求を受けた医用装置100は、メンテナンス装置200からの接続要求が正当なものであると認識できれば、メンテナンス装置200に対して接続許可を発行する(図2S102)。これにより、医用装置100とメンテナンス装置200との間にハンドシェークが成立し、通信が確立する(図2S203)。
【0049】
ここで、メンテナンス装置200は接続プログラムの判定ルーチンにより、メンテナンスプログラムが存在しているかを判定する(図2S204)。メンテナンスプログラムが存在していれば(図2S204でY)、メンテナンス装置200に記憶されているメンテナンスプログラムと、医用装置100に記憶されている制御プログラムとのバージョンが対応関係にあるか、医用装置100に問い合わせる(図2S205、S103)。この場合、バージョン番号が完全に一致しているか否かではなく、両方のバージョンが動作可能な対応関係にあるかで判断を行う。
【0050】
医用装置100の制御プログラムとメンテナンス装置200のメンテナンスプログラムとのバージョンが対応関係に無い場合(図2S205でY)、あるいは、メンテナンスプログラムが存在していなければ(図2S204でN)、メンテナンス装置200は医用装置100に対して、メンテナンスプログラムの取得要求を送出する(図2S206)。
【0051】
一方、メンテナンスプログラムの取得要求を受信した医用装置100は(図2S104でY)、記憶部120に記憶して保存してあるメンテナンスプログラムを、メンテナンス装置200に対して送信する(図2S105)。
【0052】
そして、このように医用装置100から送信されるメンテナンスプログラムをメンテナンス装置200が受信し(図2S207)、記憶部220の所定の領域にに記憶し、格納する。
【0053】
ここで、メンテナンス装置200は、メンテナンスプログラムの受信が完了した時点でメンテナンスプログラムを自動実行し、メンテナンスプログラムのインストールを開始する(図2S208)。
【0054】
メンテナンスプログラムのインストールが完了した時点で、メンテナンス装置200は、インストールされたメンテナンスプログラムにより医用装置100と通信を開始する(図2S209)。この場合も、上述したと同様な接続要求・接続許可、バージョン確認などを実行してもよい。このメンテナンス装置200からのメンテナンスプログラムによる通信に応じて、医用装置100側はメンテナンスモードで通信を開始する(図2S106)。この医用装置100からのメンテナンスモードによる通信に応じて、メンテナンス装置200もメンテナンスモードの通信を開始する(図2S210)。
【0055】
そして、このようにメンテナンスモードの通信が確率した後、メンテナンス装置200は、医用装置100に対してメンテナンスを実行するメンテナンス作業を開始する(図2S211、S107)。
【0056】
このメンテナンス装置200からの医用装置100に対するメンテナンス作業としては、たとえば、ユーザの好みの階調特性への調整や搬送系の制御定数の調整等が含まれる。メンテナンス装置200からの医用装置100に対するメンテナンス作業が階調特性の調整である場合には、たとえば、図4のようなメンテナンスプログラムによる作業画面がメンテナンス装置200の表示部220に表示され、画面のチャート(下半分左右)を見比べながら、マウスなどのポインティングデバイスの操作によって、画面の特性曲線(上部中央)を直接操作する。あるいは、特性の数値(上部右)を入力することで、同様にして特性曲線を変更する。この場合、変更前後のテストチャートを表示画面上で比較しつつ、所望の状態の階調特性への調整が可能になる。
【0057】
このように、メンテナンス装置200の大きな表示画面を参照しつつ、特性曲線などを細かく調整することが可能になる。また、搬送系の制御定数などの場合も、同様に、メンテナンス装置200の大きな表示画面を参照しつつ、各種定数を細かく調整することが可能になる。
【0058】
以上詳細に説明したように、本実施形態により得られる効果を列記すると以下のようになる。
(1)医用装置100側では、該医用装置100用の制御プログラムを記憶部120に記憶すると共に、制御プログラムに対応するバージョンのメンテナンス装置200用のメンテナンスプログラムを、メンテナンス装置200が取得可能な状態で記憶部120に記憶しておいて、メンテナンス装置200は、医用装置100をメンテナンスするために医用装置100と接続された際に、必要に応じて医用装置100からメンテナンスプログラムをダウンロードするなどして取得したうえで、メンテナンスを実行する。この結果、医用システムにおけるメンテナンス装置200やメンテナンスプログラムに関する面倒な事前の準備を必要とせずに、医用装置100のメンテナンスを確実にかつ簡易な手順で短時間に実行することが可能になる。
【0059】
(2)医用装置100は、不揮発性であって書き換え可能な記憶部120に、該医用装置100用の制御プログラムを記憶部に記憶すると共に、制御プログラムに対応するバージョンのメンテナンス装置200用のメンテナンスプログラムを、メンテナンス装置200が取得可能な状態で記憶部に記憶しておくことで、制御プログラムに対応するバージョンのメンテナンスプログラムを、メンテナンス装置200が取得するときまで確実に蓄積しておくことが可能になり、医用システムにおけるメンテナンス装置200やメンテナンスプログラムに関する面倒な事前の準備を必要とせずに、医用装置100のメンテナンスを確実にかつ簡易な手順で短時間に実行することが可能になる。
【0060】
(3)医用装置100は、ネットワーク経由で制御プログラムとメンテナンスプログラムとを得て、記憶部120に記憶しておくため、最新の制御プログラムに対応するバージョンの最新のメンテナンスプログラムを、メンテナンス装置200が取得するときまで蓄積しておくことが可能になり、医用システムにおけるメンテナンス装置200やメンテナンスプログラムに関する面倒な事前の準備を必要とせずに、医用装置100のメンテナンスを確実にかつ簡易な手順で短時間に実行することが可能になる。
【0061】
(4)医用装置100は、通常の動作のためおよび制御プログラムとメンテナンスプログラムとを得るためにネットワークと接続される第1接続ポート102と、メンテナンス装置200と接続されるための第2接続ポート104とを別に有するため、医用装置100は、第2接続ポート104を介してメンテナンス装置200と接続されてメンテナンスを実行中であっても、可能な限り、第1接続ポート102を介してネットワーク経由で通常の処理を続行可能な状態になっている。そして、医用装置100をメンテナンスするために第2接続ポート104を介してメンテナンス装置200が医用装置100に接続された際に、医用装置100の第2接続ポート104経由でメンテナンスプログラムがメンテナンス装置200に伝送される。このため、医用装置100は、第1接続ポート102を介したネットワークとの通信に何ら支障を生じないため、他の装置からの医用画像データや各種コマンドの受信などを続行することが可能な状態を保つことができる。
【0062】
(5)また、医用装置100が第1接続ポート102を介してネットワークと接続されたままであるため、他の装置から画像データやコマンドを医用装置100に対して送信する際にも何ら悪影響を与えることがない。また、ネットワークに対する切断や再接続も生じないため、ネットワークに対しても何ら影響を与えることがない。この結果、医用システムにおけるメンテナンス装置200やメンテナンスプログラムに関する面倒な事前の準備を必要とせずに、また、他の装置に悪影響を与えることなく、医用装置100のメンテナンスを確実にかつ簡易な手順で短時間に実行することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態の全体構成あるいは全体処理の流れを示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における処理例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態におけるメンテナンス装置での表示画面の様子を説明する説明図である。
【図4】本発明の実施形態におけるメンテナンス装置での表示画面の様子を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0064】
100 医用装置
101 制御部
102 I/F
104 I/F
110 操作部
120 表示部
130 記憶部
140 医用機能部
200 メンテナンス装置
201 制御部
202 I/F
210 操作部
220 表示部
230 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御プログラムを記憶部に記憶し、この制御プログラムにより所定の機能を発揮する医用装置と、
前記制御プログラムに対応したメンテナンスプログラムを記憶部に記憶し、前記医用装置と接続可能に構成され、前記医用装置と接続された状態で前記メンテナンスプログラムにより前記機能に関するメンテナンスを実行するメンテナンス装置と、
を有する医用システムであって、
前記医用装置は、前記制御プログラムを前記記憶部に記憶すると共に、前記制御プログラムに対応する前記メンテナンスプログラムを前記メンテナンス装置が取得可能な状態で前記記憶部に記憶しておき、
前記メンテナンス装置は、前記医用装置をメンテナンスするために前記医用装置と接続された際に、必要に応じて前記医用装置から前記メンテナンスプログラムを取得してメンテナンスを実行する、
ことを特徴とする医用システム。
【請求項2】
前記医用装置は、不揮発性であって書き換え可能な記憶部を備える、
ことを特徴とする請求項1記載の医用システム。
【請求項3】
前記医用装置は、ネットワークにアクセスする機能を有すると共にネットワークに接続されており、ネットワーク経由で前記制御プログラムと前記メンテナンスプログラムとを得て前記記憶部に記憶しておく、
ことを特徴とする請求項2記載の医用システム。
【請求項4】
前記医用装置は、通常の動作のためおよび前記制御プログラムと前記メンテナンスプログラムとを得るためにネットワークと接続される第1接続ポートと、前記メンテナンス装置と接続されるための第2接続ポートと、を有する、
ことを特徴とする請求項3記載の医用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−117330(P2007−117330A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312265(P2005−312265)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】