説明

医用寝台装置およびそれを備えた放射線断層撮影装置

【課題】視野範囲の外で生じた放射線が検出器リングに入射することを確実に抑制して、診断に好適な断層画像を取得することができる放射線断層撮影装置を提供する。
【解決手段】本発明によれば、いったん天板10を透過して検出器リング12に向かう外部発生放射線は、第1吸収体13に吸収されるので、検出器リング12に外部発生放射線を入射させることを抑制できる。これにより、診断に好適な断層画像が生成できる。また、検出器リング12の撮影視野に第1吸収体13が入り込むことがないので、撮影視野で生じる消滅放射線が第1吸収体13に吸収されることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検体から照射される放射線をイメージングする放射線撮影装置およびそれに備えられる医用寝台装置に関し、特に被検体から放射される余分な放射線を遮蔽する吸収体を備えた放射線断層撮影装置およびそれに備えられる医用寝台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関には、放射性薬剤の分布をイメージングすることができる放射線断層撮影装置が設けられている。このような放射線断層撮影装置は、被検体Mに投与されて関心部位に局在した放射性薬剤から放出された消滅放射線(例えばγ線)を検出し、被検体Mの関心部位における放射線薬剤分布の断層画像を得る構成となっている。
【0003】
この様な放射線断層撮影装置の構成について説明する。従来構成による放射線断層撮影装置51は、図9に示すように、被検体を載置する天板52と、天板52が挿入される検出器リング62とを備えている。被検体Mのうち、検出器リング62によって覆われる部分が放射線断層撮影装置によって断層画像を得ることができる視野範囲となっている。天板52を移動させながら断層画像の撮影を行えば、被検体M全身の放射線薬剤分布を知ることもできる。この様な放射線断層撮影装置は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0004】
検出器リング62は、被検体の体内で生じた互いに180°反対方向に進む消滅放射線対の両方を検出することで放射性薬剤の分布を知る構成となっている。すなわち、検出器リング62の位置が異なる2箇所で同時に放射線を検出した場合、両者はペアリングされて消滅放射線対であるものとされる。図9における点Pから生じた放射線対は、検出器リング62が検出可能な消滅放射線対である。
【0005】
しかしながら、放射性薬剤は、被検体の全身に亘って分布しているので、消滅放射線対は放射線断層撮影装置51の視野範囲の外でも生じている。例えば、図9における点Qから生じた消滅放射線対のようなものである。この様な消滅放射線対は、検出器リング62によって検出できないのみならず、断層画像の取得にも悪影響を及ぼす。すなわち、点Qから生じた消滅放射線対のうちの一方が検出器リング62に向かうことがあるのである。検出器リング62は、視野範囲の外で生じた消滅放射線対の一方を検出してしまう。この視野範囲の外で生じた放射線を便宜上、外部発生放射線と呼ぶ。
【0006】
このような外部発生放射線は、視野範囲内で生じた放射線をペアリングするのに邪魔である。ペアリングの演算が複雑になるのに加えて、誤って外部発生放射線をペアリングに用いてしまったりするからである。
【0007】
そこで、従来構成の放射線断層撮影装置においては、図10に示すように検出器リング62の天板52を導入方向の両端部に放射線を吸収するリング状の遮蔽板63を有する構成となっている。遮蔽板63の内穴の径は、検出器リング62の内径よりも10cm程度小さくなっている。このように、遮蔽板63は、検出器リング62の内側に張り出している。これにより、外部発生放射線が検出器リング62に入射するのを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−194133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来構成による放射線断層撮影装置は、次の様な問題点がある。
すなわち、従来構成による放射線断層撮影装置は外部発生放射線を完全に遮蔽することができない。従来構成によれば、外部発生放射線をより検出器リング62に入射させないようにするには、遮蔽板63の内穴を更に小さくするしかない。検出器リング62は、コストを抑える目的などで、内径をできるだけ小さくする構成とされている。その上で遮蔽板63の内穴を小さくしなければならないことになると、被検体が遮蔽板に干渉してしまうことにもなりかねない。
【0010】
外部発生放射線を抑制する目的があるとはいえ、遮蔽板63の内穴の径を小さくすることには限界がある。結局、外部発生放射線は、遮蔽板63によって吸収されることなく検出器リング62に入射する事態となる。
【0011】
本発明はこの様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、視野範囲の外で生じた放射線が検出器リングに入射することを確実に抑制して、診断に好適な断層画像を取得することができる放射線断層撮影装置、およびそれに備えられる医用寝台装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上述の課題を解決するために、次の様な構成をとる。
すなわち、請求項1に係る医用寝台装置は、消滅放射線対を検出する放射線断層撮影装置に配備される医用寝台装置であって、(A)被検体を載置する天板と、(B)天板を天板の長手方向である天板長手方向に沿って移動させる天板移動手段と、(C)天板を透過した放射線を吸収する第1吸収体と、(D)第1吸収体を天板長手方向に沿って移動させる吸収体移動手段とを備えることを特徴とするものである。
【0013】
[作用・効果]上述の構成によれば、放射線断層撮影装置の視野範囲外で発生した外部発生放射線を確実に吸収することができる。すなわち、上述の構成によれば、天板長手方向に移動可能な放射線を吸収する第1吸収体が備えられている。この第1吸収体は、天板を透過した放射線を吸収するのである。いったん天板を透過して放射線断層撮影装置に向かう外部発生放射線は、第1吸収体に吸収されるので、検出器リングに外部発生放射線を入射させることを抑制できる。検出器リングの撮影視野外で発生した放射線が検出器リングに入射することは、断層画像を生成する上で邪魔となる。しかし、本発明によれば外部発生放射線が第1吸収体によって吸収される構成となっているので、放射線断層撮影装置は、診断に好適な断層画像が生成できる。
【0014】
また、第1吸収体は天板長手方向に沿って移動可能となっている。これにより、天板の位置に応じて第1吸収体の位置を変更することができるので、被検体が天板を乗降するときに第1吸収体が邪魔とならない。さらに、第1吸収体が常に検出器リングに隣接した状態となっていると、術者が検出器リングに近づくことができない。上述の構成によれば、第1吸収体の位置が天板長手方向に沿って変更可能となっているので、放射線断層撮影装置をより安全で、メンテナンスが容易に運転できる医用寝台装置が提供できる。
【0015】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の医用寝台装置において、(E)第1吸収体は、天板における被検体を載置する載置面と反対側の下面を覆うように設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
[作用・効果]上述の構成は、第1吸収体と天板との関係をより具体的に示すものである。第1吸収体は、天板を透過した放射線を吸収するものであり、かつ、天板と独立に移動する構成となっている。この様な構成を実現するには、第1吸収体が天板における被検体を載置する載置面と反対側の下面を覆うように設けられていればばよい。天板を透過して検出器リングに向かう放射線は放射線断層撮影装置に向かう前に第1吸収体に入射してそこで吸収される。この様に上述の構成によれば、確実に外部発生放射線を放射線断層撮影装置に入射させない構成とすることができる。
【0017】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の医用寝台装置において、(F)天板移動手段と第1吸収体移動手段とを同期させる同期手段を備え、(G)天板と第1吸収体とは、天板長手方向における同一方向に同期的に移動することを特徴とするものである。
【0018】
[作用・効果]上述の構成によれば、天板の移動と第1吸収体との移動を同期させることができる。したがって、天板の状態に合わせて第1吸収体の位置を決定することができるので、より被検体を天板に乗降させる際に第1吸収体が邪魔とならない医用寝台装置が提供できる。すなわち、天板と第1吸収体とは天板長手方向における同一方向に同期的に移動される。この様にすることで、天板と第1吸収体は、同一方向にせり出すことになる。一般に天板がせり出す方向に放射線断層撮影装置が位置するので、第1吸収体は天板のせり出しに合わせて、確実に放射線断層撮影装置に近づき、それに入射する外部発生放射線を吸収することができる。
【0019】
また、請求項4に係る放射線断層撮影装置は、(A)被検体を載置する天板と、(B)天板を天板の長手方向である天板長手方向に沿って移動させる天板移動手段と、(C)天板を透過した放射線を吸収する第1吸収体と、(D)第1吸収体を天板長手方向に沿って移動させる吸収体移動手段とを備えた医用寝台装置と、天板を導入する天板長手方向に貫通した開口を有するとともに放射線を検出する放射線検出器がリング状に配列されて構成される検出器リングとを備え、第1吸収体は、仮にこれを天板長手方向に延伸させたとすると、検出器リングの開口を貫通するように設けられているとともに、吸収体移動手段は、第1吸収体における検出器リング側の先端である第1先端を検出器リングが有する撮影視野における第1吸収体側の限界の位置である第1限界位置まで移動させることを特徴とするものである。
【0020】
[作用・効果]上述の構成によれば、検出器リングの視野範囲外で発生した外部発生放射線が検出器リングに入射することを防止することができる。すなわち、上述の構成によれば、天板長手方向に移動可能な放射線を吸収する第1吸収体が備えられている。この第1吸収体は、天板を透過した放射線を吸収するのである。いったん天板を透過して検出器リングに向かう外部発生放射線は、第1吸収体に吸収されるので、検出器リングに外部発生放射線を入射させることを抑制できる。検出器リングの撮影視野外で発生した放射線が検出器リングに入射することは、断層画像を生成する上で邪魔となる。しかし、本発明によれば外部発生放射線が第1吸収体によって吸収される構成となっているので、診断に好適な断層画像が生成できる。
【0021】
また、第1吸収体における検出器リング側の先端は、ある位置以上は、検出器リングに近づかない構成となっている。その位置とは、検出器リングが有する撮影視野における第1吸収体側の限界の位置である第1限界位置である。これにより、検出器リングの撮影視野に第1吸収体が入り込むことがないので、撮影視野で生じる消滅放射線が第1吸収体に吸収されることがない。
【0022】
また、第1吸収体は天板長手方向に沿って移動可能となっている。これにより、天板の位置に応じて第1吸収体の位置を変更することができるので、被検体が天板を乗降するときに第1吸収体が邪魔とならない。さらに、第1吸収体が常に検出器リングに隣接した状態となっていると、検出器リングに術者が近づくことができない。上述の構成によれば、第1吸収体の位置が天板長手方向に沿って変更可能となっているので、より安全で、メンテナンスが容易な放射線断層撮影装置が提供できる。
【0023】
また、請求項5に係る発明は、請求項4に記載の放射線断層撮影装置において、(E)第1吸収体は、天板における被検体を載置する載置面と反対側の下面を覆うように設けられていることを特徴とするものである。
【0024】
[作用・効果]上述の構成は、第1吸収体と天板との関係をより具体的に示すものである。第1吸収体は、天板を透過した放射線を吸収するものであり、かつ、天板と独立に移動する構成となっている。この様な構成を実現するには、第1吸収体が天板における被検体を載置する載置面と反対側の下面を覆うように設けられていればよい。第1吸収体は、検出器リングの開口の中心から見て、検出器リングの内壁よりも近い位置に設けられているので、(第1吸収体は、仮にこれを天板長手方向に延伸させたとすると、検出器リングの開口を貫通するように設けられているので)、天板を透過して検出器リングに向かう放射線は必ず第1吸収体に向かうことになる。この様に上述の構成によれば、確実に外部発生放射線を検出器リングに入射させない構成とすることができる。
【0025】
また、請求項6に係る発明は、請求項4または請求項5に記載の放射線断層撮影装置において、(F)天板移動手段と吸収体移動手段とを同期させる同期手段を備え、(G)天板と第1吸収体とは、天板長手方向における同一方向に同期的に移動し、吸収体移動手段は、天板の移動に係らず第1吸収体の第1先端を第1限界位置で停止させることを特徴とするものである。
【0026】
[作用・効果]上述の構成によれば、天板の移動と第1吸収体との移動を同期させることができる。したがって、天板の状態に合わせて第1吸収体の位置を決定することができるので、より被検体を天板に乗降させる際に第1吸収体が邪魔とならない放射線断層撮影装置が提供できる。すなわち、天板と第1吸収体とは天板長手方向における同一方向に同期的に移動される。この様にすることで、天板と第1吸収体は、同一方向にせり出すことになる。一般に天板がせり出す方向に検出器リングが位置するので、第1吸収体は天板のせり出しに合わせて、確実に検出器リングに近づき、それに入射する外部発生放射線を吸収することができる。
【0027】
また、請求項7に係る発明は、請求項6に記載の放射線断層撮影装置において、天板における下面を覆うように配置され、天板を透過した放射線を吸収する第2吸収体を更に備え、第2吸収体は、仮にこれを天板長手方向に延伸させたとすると、検出器リングの開口を貫通するように設けられているとともに、検出器リングは、第1吸収体および第2吸収体に挟まれる位置に配置されており、第2吸収体における検出器リング側の先端である第2先端の位置は、検出器リングが有する撮影視野における第2吸収体側の限界の位置である第2限界位置に一致していることを特徴とするものである。
【0028】
[作用・効果]上述の構成によれば、検出器リングから見て、第1吸収体の反対側に第2吸収体を備えている。すなわち、天板長手方向に沿って、第1吸収体、検出器リング、第2吸収体がこの順に配列されている。この第2吸収体も天板を透過した放射線を吸収するものであり、その構成は第1吸収体に準じている。しかし、第2吸収体は、移動する構成とする必要はない。すなわち、第2吸収体は、被検体と十分に離れており、被検体の乗降に障害とならないからである。この様に構成すれば、吸収体に吸収される外部発生放射線の線量は増加するので、一段と診断に好適な断層画像が取得できる放射線断層撮影装置が提供できる。
【0029】
また、請求項8に係る発明は、請求項4ないし請求項7のいずれかに記載の放射線断層撮影装置において、(α)天板に対し天板長手方向に伸びた中心軸周りに回転可能な放射線源と、(β)天板に対し中心軸周りに回転可能な放射線検出手段と、(γ)放射線源と放射線検出手段とを支持する支持手段と、(δ)支持手段を回転させる回転手段と、(ε)回転手段を制御する回転制御手段を備えた画像生成装置が検出器リングに天板長手方向から隣接して設けられることを特徴とするものである。
【0030】
[作用・効果]上述の構成によれば、被検体の内部構造と、薬剤分布との両方を取得できる放射線断層撮影装置が提供できる。PET装置は、一般的に薬剤分布に係る情報を得ることができる。しかしながら、被検体の臓器や組織を写しこんだ断層画像を参照しながら診断を行う必要がある場合がある。上述の構成によれば、被検体の内部構造と、薬剤分布との両方を取得できるので、例えば両画像を重ね合わせることで、診断に好適な合成画像を生成させることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の構成によれば、検出器リングの視野範囲外で発生した外部発生放射線が検出器リングに入射することを防止することができる。いったん天板を透過して検出器リングに向かう外部発生放射線は、第1吸収体に吸収されるので、検出器リングに外部発生放射線を入射させることを抑制できる。これにより、診断に好適な断層画像が生成できる。また、検出器リングの撮影視野に第1吸収体が入り込むことがないので、撮影視野で生じる消滅放射線が第1吸収体に吸収されることがない。
【0032】
また、第1吸収体は天板長手方向に沿って移動可能となっている。これにより、天板の位置に応じて第1吸収体の位置を変更することができるので、被検体が天板を乗降するときに第1吸収体が邪魔とならない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例1に係る放射線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】実施例1に係る放射線検出器を説明する斜視図である。
【図3】実施例1に係る吸収体の構成を説明する斜視図である。
【図4】実施例1に係る吸収体の移動を説明する断面図である。
【図5】実施例1に係る吸収体の移動を説明する断面図である。
【図6】実施例1に係る吸収体の効果を説明する断面図である。
【図7】実施例2に係る放射線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図8】本発明の1変形例に係る吸収体の断面図である。
【図9】従来構成の放射線断層撮影装置を説明する断面図である。
【図10】従来構成の放射線断層撮影装置を説明する断面図である。
【実施例1】
【0034】
以下、本発明に係る放射線断層撮影装置の各実施例を図面を参照しながら説明する。実施例1におけるγ線は、本発明の放射線の一例である。図1は、実施例1に係る放射線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。実施例1に係る放射線断層撮影装置9は、被検体Mを載置する天板10と、天板10をその長手方向(天板長手方向:z方向)から導入させる開口を有するガントリ11と、ガントリ11の内部に設けられた天板10をz方向から導入させるリング状の検出器リング12とを備えている。検出器リング12に設けられた開口は、z方向に伸びた円筒形となっている。検出器リング12もz方向に伸びている。
【0035】
天板10は、ガントリ11(検出器リング12)の開口をz方向から貫通するように設けられているとともに、z方向に沿って進退自在となっている。この様な天板10の摺動は、天板移動機構15によって実現される。天板移動機構15は、天板移動制御部16によって制御される。天板移動機構15は、本発明の天板移動手段に相当する。天板移動制御部16は、天板移動機構15を制御する天板移動制御手段である。天板10は、その全域が検出器リング12の外側に位置している位置から摺動して、検出器リング12の開口にその一方側から導入されるとともに、検出器リング12の内部を貫通して、検出器リング12の開口のもう一方側から突き出ることができる。なお、z方向は、本発明の天板長手方向に相当する。なお、天板10の被検体を載置する面を載置面と呼ぶことにする。天板10の載置面は、仰臥される被検体の体軸方向、および体側方向に伸びた板状である。
【0036】
ガントリ11の内部には、被検体Mから放射される消滅γ線対を検出する検出器リング12が備えられている。この検出器リング12は、被検体Mの体軸方向に伸びた筒状であり、そのz方向の長さは、30cm程度である。クロック19は、検出器リング12にシリアルナンバーとなっている時刻情報を送出する。検出器リング12から出力される検出データは、γ線をどの時点で取得されたかという時刻情報が付与され、後述のフィルタ部20に入力されることになる。
【0037】
検出器リング12の構成について説明する。実施例1によれば、100個前後の放射線検出器1がz方向に垂直な平面上の仮想円に配列することで1つの単位リングが形成される。この単位リングがz方向に配列されて検出器リング12が構成される。
【0038】
放射線検出器1の構成について簡単に説明する。図2は、実施例1に係る放射線検出器の構成を説明する斜視図である。放射線検出器1は、図2に示すように放射線を蛍光に変換するシンチレータ2と、蛍光を検出する光検出器3とを備えている。そして、シンチレータ2と光検出器3との介在する位置には、蛍光を授受するライトガイド4が備えられている。
【0039】
シンチレータ2は、シンチレータ結晶が2次元的に配列されて構成されている。シンチレータ結晶は、Ceが拡散したLu2(1−X)2XSiO(以下、LYSOとよぶ)によって構成されている。そして、光検出器3は、どのシンチレータ結晶が蛍光を発したかという蛍光発生位置を特定することができるようになっているとともに、蛍光の強度や、蛍光の発生した時刻をも特定することができる。また、実施例1の構成のシンチレータ2は、採用しうる態様の例示にすぎない。したがって、本発明の構成は、これに限られるものではない。
【0040】
同時計数部21(図1参照)には、フィルタ部20を経由して検出器リング12から出力された検出データが送られてきている。同時に検出器リング12に入射した2つのγ線は、被検体内の放射性薬剤に起因する消滅放射線対である。同時計数部21は、検出器リング12を構成するシンチレータ結晶のうちの2つの組み合わせ毎に消滅放射線対が検出された回数をカウントし、この結果を位置情報補正部22に記憶する。同時計数におけるシンチレータ結晶の位置関係は、消滅放射線対が検出器リング12に入射した位置と入射した方向を示すものであり、放射性薬剤のマッピングに必要な情報である。シンチレータ結晶の組合せ毎に記憶される消滅放射線対検出の回数および消滅放射線のエネルギー強度は、被検体内における消滅放射線対の発生のバラツキを示すものであり、放射性薬剤のマッピングに必要な情報である。なお、同時計数部21による検出データの同時性の判断は、クロック19によって検出データに付与された時刻情報が用いられる。
【0041】
フィルタ部20は、検出器リング12における無用なデータを同時計数部21に送出させない目的で設けられている。同時計数部21は、膨大なデータを扱わなければならないので、負荷がかかりやすい。フィルタ部20は、同時計数部21の負荷を軽減するように検出データを間引くことができる。例えば、被検体Mが検出器リング12の内部に挿入されていないときの検出データは、全てフィルタ部20が破棄して、同時計数部21に入力されない。
【0042】
ところで、天板10は、検出器リング12に対してz方向に移動するので、被検体Mと検出器リング12との位置関係がズレてしまう。このズレを補正するのが位置情報補正部22である。位置情報補正部22は、天板移動制御部16から天板10の移動状況を示す信号が送られてきている。位置情報補正部22は、この信号を基に、同時計数部21から送出された同時計数データの位置情報成分を補正する。具体的には、位置情報補正部22は、天板10のz方向の移動に追従するように同時計数データの位置情報成分をz方向にシフトさせる。補正された同時計数データは、データ記憶部23に記憶される。
【0043】
同時計数データは、断層画像取得部24に送出される。そこで、同時計数データは、3次元的にマッピングされ、被検体Mのアキシャル画像(z方向に垂直な平面におけるスライス画像)が複数枚取得される。このとき生成される断層画像は、被検体内の放射性薬剤の分布が写りこんでいる。
【0044】
同期部26は、天板移動制御部16と吸収体移動制御部18とが同期的に天板移動機構15,後述の吸収体移動機構17とのそれぞれを制御する目的で設けられている。これについては、後述のものとする。同期部26は、本発明の同期手段に相当し、吸収体移動機構17は、本発明の吸収体移動手段に相当する。
【0045】
なお、放射線断層撮影装置9は、各部を統括的に制御する主制御部41と、放射線断層画像を表示する表示部36とを備えている。この主制御部41は、CPUによって構成され、各種のプログラムを実行することにより、各部16,18,20,21,22,23,24,26を実現している。なお、上述の各部はそれらを担当する制御装置に分割されて実現されてもよい。
【0046】
設定値記憶部37は、天板10,第1吸収体13の移動速度に関する各種パラメータを記憶するものである。また、操作卓35は、術者の各種指示を入力させる入力部となっている。
【0047】
なお、本発明における医用寝台装置は、天板10と、これを支持する天板支台10pと、天板移動機構15と、天板移動制御部16と、第1吸収体13と、吸収体移動機構17と、吸収体移動制御部18とを備えている。天板支台10pは、第1吸収体13をも支持する。このように、放射線断層撮影装置9は、本発明における医用寝台装置を取り込んだ態様となっている。
【0048】
本発明において、最も特徴的な第1吸収体13,第2吸収体14について説明する。第1吸収体13は、天板10に設けられるとともにz方向に伸びた板状であり、γ線を遮蔽する鉛などから構成される。この第1吸収体13は、検出器リング12から見て天板10側(天板10を支持する天板支台10p側)に設けられている。また、第1吸収体13は、z方向に進退自在となっており、この様な第1吸収体13の摺動は、吸収体移動機構17によって実現される。吸収体移動機構17は、吸収体移動制御部18によって制御される。なお、第1吸収体13,および天板10は、床面に接地された天板支台10pによって支持される。吸収体移動制御部18は、第1吸収体13の移動を制御する吸収体移動制御手段である。しかも、第1吸収体13は、天板10の下側に設けられている。具体的には、第1吸収体13は、天板10における載置面と反対側の下面を覆うように設けられている。
【0049】
第2吸収体14は、検出器リング12から見て天板10側(天板10を支持する天板支台10p側)とは反対側に設けられている。すなわち、検出器リング12は、第1吸収体13,および第2吸収体14にz方向から挟まれるように配置されている。第2吸収体14もz方向に伸びた板状であり、γ線を遮蔽する鉛などから構成される。第2吸収体14は、床面に接地された第2吸収体支台14pによって固定支持される。しかも、第2吸収体14は、天板10の下側に設けられている。具体的には、第2吸収体14は、天板10における載置面と反対側の下面を覆うように設けられている。とはいえ、天板10はz方向に摺動するので、第2吸収体14と天板10の一部とがz方向に同一位置となるときに、天板10の下面が第2吸収体14に覆われることになる。
【0050】
第1吸収体13,第2吸収体14は、検出器リング12の開口の中心から見て検出器リング12の内壁よりも内側に設けられている。同様に、第1吸収体13,第2吸収体14は、ガントリ11の開口の中心から見てガントリ11の内壁よりも内側に設けられている。つまり、検出器リング12をz方向の前後に延伸させたとすると、第1吸収体13,第2吸収体14は、仮想的な検出器リング12の開口の内部に存する構成となっている。これにより、第1吸収体13,第2吸収体14は、z方向からガントリ11の開口の内側に向けてせり出しすように位置することができる。
【0051】
第1吸収体13,第2吸収体14の形状について説明する。吸収体13,14は、図3に示すように、ガントリ11(検出器リング12)の開口の形状に沿って下側に撓んだ樋状となっている。吸収体13,14は、この様な形状となっているので、ガントリ11に干渉することなく、ガントリ11の内部まで導入されることができるのである。
【0052】
図4は、検出器リング12と第1吸収体13,第2吸収体14の位置関係について説明する図である。第1吸収体13は、図4に示すように、仮にz方向に延伸させたとすると、検出器リング12の開口を貫通するように設けられている。言い換えれば、検出器リング12の内部から天板支台10pに向けて伸びた樋状の板のうち検出器リング12の開口の内部に位置する部分が切り取られたような形状となっている。第1吸収体13は、この検出器リング12に最も接近した位置からz方向に摺動して、検出器リング12から離れることができる。第2吸収体14も同様に、図4に示すように、仮にz方向に延伸させたとすると、検出器リング12の開口を貫通するように設けられている。言い換えれば、検出器リング12の内部から天板支台10pと反対側に向けて伸びた樋状の板のうち検出器リング12の開口の内部に位置する部分が切り取られたような形状となっている。
【0053】
なお、天板10の短手方向である方向A(被検体の体側方向)についての幅を体側方向幅とすると、吸収体13,14の方向Aについての幅は、天板10の体側方向と同一となっている。
【0054】
第1吸収体13,第2吸収体14の位置関係について更に詳細に説明する。第1吸収体13における検出器リング12側の先端である第1先端13sは、検出器リング12に最も接近した位置にあるとき、検出器リング12が有する撮影視野における第1吸収体13側の限界の位置である第1限界位置P1に位置している(図4参照)。第1吸収体13は、これ以上検出器リング12に入り込むことがない。
【0055】
検出器リング12は、リングの内部における消滅放射線を検出することができる。つまり検出器リング12は、消滅放射線を検出できる撮影視野を有しているのであり、そのz方向の幅は、検出器リング12の幅以下となっている。第1吸収体13の位置は、この撮影視野を基準に決定される。第1吸収体13は、図4に示す検出器リング12に最も接近した位置から吸収体移動機構17により検出器リング12から遠ざかるようにz方向に沿って摺動する(図5参照)。言い換えれば、吸収体移動機構17は、第1吸収体13の第1先端13sを検出器リング12からz方向に離れた起点から第1限界位置P1の終点まで移動させる。
【0056】
第2吸収体14の位置も同様に、上述の撮影視野を基準に決定される。すなわち、第2吸収体14における検出器リング12側の先端である第2先端14sは、検出器リング12が有する撮影視野における第2吸収体14側の限界の位置である第2限界位置P2に位置している。
【0057】
<放射線断層撮影装置の動作>
次に、放射線断層撮影装置9の動作について説明する。放射線断層撮影装置9で被検体Mにおける放射性薬剤の分布を知るには、まず、被検体Mに放射性薬剤が注射される。この時点から所定の時間が経過した時点で、被検体Mが天板10に載置される。この時点の天板10は、図5に示すように、その全域が検出器リング12の外部に位置している。このとき、第1吸収体13は、被検体Mが天板10に位置するのに邪魔とならないように、天板10から突き出していない。言い換えれば、天板10における検出器リング12側の先端よりも第1吸収体13の第1先端13sの方が検出器リング12よりも遠い位置に位置している。
【0058】
術者が操作卓35を通じて、検査開始を放射線断層撮影装置9に指示すると、天板10は、被検体Mを載置した状態で天板移動制御部16に制御されz方向に摺動する。すなわち、天板10と第1吸収体13とは、zにおける同一方向に同期的に移動する。このような同期的な移動は、同期部26が天板移動制御部16,および吸収体移動制御部18に対して移動開始のトリガー信号を同時に送出することで実現される。かくして被検体Mは、その関心部位が検出器リング12の撮影視野に収まる位置まで移動される。この間も第1吸収体13の第1先端13sは、天板10における検出器リング12側の先端を追い越すことがなく、第1吸収体13の第1先端13sは、上述の終点の位置まで移動してそこで停止する。天板10は、第1吸収体13の停止に構わず、z方向の移動を続けて被検体Mの関心部位を検出器リング12の撮影視野に収める。
【0059】
この時点で、検出器リング12が被検体Mの関心部位における消滅放射線対の検出を行う。こうして被検体Mの関心部位の断層画像が取得される。取得された断層画像は、表示部36に表示されて検査は終了となる。
【0060】
次に、本発明における第1吸収体13,第2吸収体14によって同時計数の邪魔となる放射線が除去される様子を説明する。図6は、被検体Mの胴体部について放射性薬剤のイメージングを行っている状態を示している。検出器リング12の撮影視野内である部位gで発生した消滅放射線対は、矢印に示すように検出器リング12の二箇所に入射する。検出器リング12によって、検出された消滅放射線対は、同時計数部21でカウントの対象となり、断層画像の取得に利用される。一方、検出器リング12の撮影視野外である部位hで発生した消滅放射線対(外部発生放射線)は、検出器リング12に向かわないほうが望ましい。しかし、図6に示すように、撮影視野外で発生した消滅放射線対の一方が検出器リング12に向かうことがある。この様な放射線は、検出器リング12に向かう前に撮影視野外に設けられた第1吸収体13,第2吸収体14に吸収される。例えば、図6の場合においては、部位hで発生した放射線は第1吸収体13に吸収され、結局、検出器リング12に入射することがない。
【0061】
しかも、第1吸収体13,第2吸収体14は、検出器リング12の撮影視野を避けて設けられているので、断層画像の取得に利用されるべき撮影視野内で生じた消滅放射線対は、確実に第1吸収体13,第2吸収体14に吸収されてしまうことがない。第1吸収体13,第2吸収体14は、部位gで発生する消滅放射線対の検出の邪魔とはならない。
【0062】
以上のように、実施例1の構成によれば、検出器リング12の視野範囲外で発生した外部発生放射線が検出器リング12に入射することを防止することができる。すなわち、実施例1の構成によれば、z方向に移動可能な放射線を吸収する第1吸収体13が医用寝台装置に備えられている。この第1吸収体13は、天板10を透過した放射線を吸収するのである。いったん天板10を透過して検出器リング12に向かう外部発生放射線は、第1吸収体13に吸収されるので、検出器リング12に外部発生放射線を入射させることを抑制できる。検出器リング12の撮影視野外で発生した放射線が検出器リング12に入射することは、断層画像を生成する上で邪魔となる。しかし、本発明によればこのような外部発生放射線が第1吸収体13によって吸収される構成となっているので、診断に好適な断層画像が生成できる。
【0063】
また、第1吸収体13における検出器リング12側の先端である第1先端13sは、撮影視野における第1限界位置P1以上は検出器リング12に近づかない構成となっている。これにより、検出器リング12の撮影視野に第1吸収体13が入り込むことがないので、撮影視野で生じる消滅放射線が第1吸収体13に吸収されることがない。
【0064】
また、第1吸収体13はz方向に沿って移動可能となっている。これにより、天板10の位置に応じて第1吸収体13の位置を変更することができるので、被検体Mが天板10を乗降するときに第1吸収体13が邪魔とならない。さらに、第1吸収体13が常に検出器リング12に隣接した状態となっていると、術者が検出器リング12に近づくことができない。実施例1の構成によれば、第1吸収体13の位置がz方向に沿って変更可能となっているので、より安全で、メンテナンスが容易な放射線断層撮影装置9が提供できる。
【0065】
また、第1吸収体13は、天板10を透過した放射線を吸収するものであり、かつ、天板10と独立に移動する構成となっている。この様な構成を実現するには、第1吸収体13が天板10における被検体Mを載置する載置面と反対側の下面を覆うように設けられていればよい。第1吸収体13は、検出器リング12の開口の中心から見て、検出器リング12の内壁よりも近い位置に設けられているので、(第1吸収体13は、仮にこれをz方向に延伸させたとすると、検出器リング12の開口を貫通するように設けられているので)、天板10を透過して検出器リング12に向かう放射線は必ず第1吸収体13に向かうことになる。この様に実施例1の構成によれば、確実に外部発生放射線を検出器リング12に入射させない構成とすることができる。
【0066】
また、実施例1の構成によれば、天板10の移動と第1吸収体13との移動を同期させることができるようになっている。したがって、天板10の状態に合わせて第1吸収体13の位置を決定することができるので、より被検体Mを天板10に乗降させる際に第1吸収体13が邪魔とならない放射線断層撮影装置9が提供できる。すなわち、天板10と第1吸収体13とはz方向における同一方向に同期的に移動される。この様にすることで、天板10と第1吸収体13は、同一方向にせり出すことになる。一般に天板10がせり出す方向に検出器リング12が位置するので、第1吸収体13は天板10のせり出しに合わせて、確実に検出器リング12に近づき、それに入射する外部発生放射線を吸収することができる。
【0067】
また、実施例1の構成によれば、検出器リング12から見て、第1吸収体13の反対側に第2吸収体14を備えている。すなわち、検出器リング12は、第1吸収体13,および第2吸収体14にz方向から挟まれるように配置されている。この第2吸収体14も天板10を透過した放射線を吸収するものであり、その構成は第1吸収体13に準じている。しかし、第2吸収体14は、移動する構成とする必要はない。第2吸収体14は、被検体Mと十分に離れており、被検体Mの乗降に障害とならないからである。この様に構成すれば、吸収体13,14に吸収される外部発生放射線の線量は増加するので、一段と診断に好適な断層画像が取得できる放射線断層撮影装置9が提供できる。
【実施例2】
【0068】
次に、実施例2に係るPET/CT装置について説明する。PET/CT装置とは、実施例1で説明した放射線断層撮影装置(PET装置)9と、X線を用いた断層画像を生成するCT装置8とを有する構成で、両者で得られた断層画像を重ね合わせた合成画像を生成することができる医用装置である。
【0069】
実施例2に係るPET/CT装置の構成について説明する。実施例2に係るPET/CT装置におけるPET装置においては、実施例1で説明した放射線断層撮影装置(PET装置)9を用いることができる。したがって、実施例2における特徴的な部分であるCT装置について説明する。図7に示すように、CT装置8は、ガントリ45を有している。ガントリ45には、z方向に伸びた開口が設けられており、この開口に天板10,および第1吸収体13が挿入されている。なお、CT装置8は、放射線断層撮影装置9にz方向側から隣接する。
【0070】
ガントリ45の内部には、X線を被検体に向けて照射するX線管43と、被検体を透過してきたFPD(フラット・パネル・ディテクタ)44と、X線管43とFPD44とを支持する支持体47とが備えられている。支持体47は、リング形状となっており、z方向に伸びた中心軸周りに回転自在となっている。この支持体47の回転は、例えばモータのような動力発生手段と、例えば歯車のような動力伝達手段とから構成される回転機構39が実行する。また、回転制御部40は、この回転機構39を制御するものである。X線管43は、本発明の放射線源に相当する。FPD44は、本発明の放射線検出手段に相当し、支持体47は、本発明の支持手段に相当する。回転機構39は、本発明の回転手段に相当し、回転制御部40は、本発明の回転制御手段に相当する。
【0071】
CT画像生成部48は、FPD44から出力されたX線検出データを基に、被検体MのX線断層画像を生成するものである。また、重ね合わせ部49は、放射線断層撮影装置(PET装置)9から出力された被検体内の薬剤分布を示すPET画像と、上述のX線断層画像とを重ね合わせることで重合画像を生成する構成となっている。
【0072】
第1吸収体13は、支持体47の開口の中心から見て支持体47の内壁よりも内側に設けられている。同様に、第1吸収体13は、CT装置8のガントリ45の開口の中心から見てガントリ45の内壁よりも内側に設けられている。これにより、第1吸収体13ガントリ45の開口の内側にせり出す位置に設けられることができる。
【0073】
主制御部41は、各種のプログラムを実行することにより、実施例1に係る各部の他、回転制御部40,CT画像生成部48,重ね合わせ部49,およびX線管制御部46とを実現している。なお、上述の各部はそれらを担当する制御装置に分割されて実現されてもよい。
【0074】
X線透視画像の取得方法について説明する。X線管43とFPD44とは、互いの相対位置を保った状態でz方向に伸びた中心軸周りに回転する。このときX線管43は間歇的にX線を被検体Mに向けて照射し、その度ごとに、CT画像生成部48は、X線透視画像を生成する。この複数枚のX線透視画像は、CT画像生成部48において例えば、既存のバック・プロジェクション法を用いて単一の断層画像に組み立てられる。
【0075】
次に、合成画像の生成方法について説明する。PET/CT装置にて合成画像を取得するには、被検体Mの関心部位をCT装置に導入して、被検体Mとガントリ45との位置を変更しながらX線断層画像を取得する。このとき、第1吸収体13は、ガントリ45に進入していない。これによりX線管43から照射されるX線は、第1吸収体13に吸収されてしまうことがない。そして、被検体Mの関心部位を放射線断層撮影装置(PET装置)9に導入してPET画像を取得する。このとき、第1吸収体13は、ガントリ45の開口の内部に進入し、図7に示すように検出器リング12に隣接している。重ね合わせ部49によって両画像が重ね合わせられ、完成した合成画像は、表示部36にて表示される。これにより、薬剤分布と被検体の内部構造とを同時に認識することができるので診断に好適な断層画像が提供できる。
【0076】
実施例2の構成によれば、被検体Mの内部構造と、薬剤分布との両方を取得できる放射線断層撮影装置9が提供できる。PET装置は、一般的に薬剤分布に係る情報を得ることができる。しかしながら、被検体Mの臓器や組織を写しこんだ断層画像を参照しながら診断を行う必要がある場合がある。上述の構成によれば、被検体Mの内部構造と、薬剤分布との両方を取得できるので、例えば両画像を重ね合わせることで、診断に好適な合成画像を生成させることができる。
【0077】
本発明は、上述の構成に限られることなく、下記のように変形実施をすることができる。
【0078】
(1)上述の各実施例によれば、第1吸収体13は、天板10の下面を覆うように設けられていたが、本発明はこの構成に限られない。本発明は、図8に示すように、第1吸収体13を天板10の内部に設けた構成として実施することもできる。
【0079】
(2)上述した各実施例のいうシンチレータ結晶は、LYSOで構成されていたが、本発明においては、その代わりに、GSO(GdSiO)などのほかの材料でシンチレータ結晶を構成してもよい。本変形例によれば、より安価な放射線検出器が提供できる放射線検出器の製造方法が提供できる。
【0080】
(3)上述した各実施例において、光検出器は、光電子増倍管で構成されていたが、本発明はこれに限らない。光電子増倍管に代わって、フォトダイオードやアバランシェフォトダイオードや半導体検出器などを用いていもよい。
【0081】
(4)天板10の形状は、ガントリの開口に沿って撓んだ樋状としてもよいし、平面状としてもよい。天板10の形状に合わせて第1吸収体13,第2吸収体14の形状を自由に変更することもできる。
【符号の説明】
【0082】
P1 第1限界位置
P2 第2限界位置
1 放射線検出器
9 放射線断層撮影装置
10 天板
12 検出器リング
15 天板移動機構(天板移動手段)
13 第1吸収体
13a 第1先端
14 第2吸収体
14a 第2先端
17 吸収体移動機構(吸収体移動手段)
26 同期部(同期手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消滅放射線対を検出する放射線断層撮影装置に配備される医用寝台装置であって、
(A)被検体を載置する天板と、
(B)前記天板を前記天板の長手方向である天板長手方向に沿って移動させる天板移動手段と、
(C)前記天板を透過した放射線を吸収する第1吸収体と、
(D)前記第1吸収体を前記天板長手方向に沿って移動させる吸収体移動手段とを備えることを特徴とする医用寝台装置。
【請求項2】
請求項1に記載の医用寝台装置において、
(E)前記第1吸収体は、前記天板における被検体を載置する載置面と反対側の下面を覆うように設けられていることを特徴とする医用寝台装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の医用寝台装置において、
(F)前記天板移動手段と前記第1吸収体移動手段とを同期させる同期手段を備え、
(G)前記天板と前記第1吸収体とは、前記天板長手方向における同一方向に同期的に移動することを特徴とする医用寝台装置。
【請求項4】
(A)被検体を載置する天板と、
(B)前記天板を前記天板の長手方向である天板長手方向に沿って移動させる天板移動手段と、
(C)前記天板を透過した放射線を吸収する第1吸収体と、
(D)前記第1吸収体を前記天板長手方向に沿って移動させる吸収体移動手段とを備えた医用寝台装置と、
前記天板を導入する前記天板長手方向に貫通した開口を有するとともに放射線を検出する放射線検出器がリング状に配列されて構成される検出器リングとを備え、
前記第1吸収体は、仮にこれを前記天板長手方向に延伸させたとすると、前記検出器リングの開口を貫通するように設けられているとともに、
前記吸収体移動手段は、前記第1吸収体における前記検出器リング側の先端である第1先端を前記検出器リングが有する撮影視野における前記第1吸収体側の限界の位置である第1限界位置まで移動させることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項5】
請求項4に記載の放射線断層撮影装置において、
(E)前記第1吸収体は、前記天板における被検体を載置する載置面と反対側の下面を覆うように設けられていることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の放射線断層撮影装置において、
(F)前記天板移動手段と前記吸収体移動手段とを同期させる同期手段を備え、
(G)前記天板と前記第1吸収体とは、前記天板長手方向における同一方向に同期的に移動し、
前記吸収体移動手段は、前記天板の移動に係らず前記第1吸収体の前記第1先端を前記第1限界位置で停止させることを特徴とすることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項7】
請求項6に記載の放射線断層撮影装置において、
前記天板における前記下面を覆うように配置され、前記天板を透過した放射線を吸収する第2吸収体を更に備え、
前記第2吸収体は、仮にこれを前記天板長手方向に延伸させたとすると、前記検出器リングの開口を貫通するように設けられているとともに、
前記検出器リングは、前記第1吸収体および前記第2吸収体に挟まれる位置に配置されており、前記第2吸収体における前記検出器リング側の先端である第2先端の位置は、前記検出器リングが有する撮影視野における前記第2吸収体側の限界の位置である第2限界位置に一致していることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項8】
請求項4ないし請求項7のいずれかに記載の放射線断層撮影装置において、
(α)前記天板に対し前記天板長手方向に伸びた中心軸周りに回転可能な放射線源と、
(β)前記天板に対し前記中心軸周りに回転可能な放射線検出手段と、
(γ)前記放射線源と前記放射線検出手段とを支持する支持手段と、
(δ)前記支持手段を回転させる回転手段と、
(ε)前記回転手段を制御する回転制御手段を備えた画像生成装置が
前記検出器リングに前記天板長手方向から隣接して設けられることを特徴とする放射線断層撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−249723(P2010−249723A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100832(P2009−100832)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】