医用情報表示装置
【課題】患者の使用言語や年齢等といった属性によらず、患者が医用情報を容易に理解できる医用情報表示装置を提供する。
【解決手段】ユーザは、画像診断装置100で患者の氏名や患者IDを入力する。患者情報取得部14Aは、患者IDに基づき画像サーバ2の患者情報テーブル22から患者の年齢、国籍等といった個人情報を取得する。画像情報取得部13Aは、ユーザが患者の診察および撮影を行って得た画像データを取得し表示させる。ユーザは、画像を参照して日本語の文字や記号を入力し画像と共に所望の位置に表示される。入力情報変換部17Aは、取得した患者の国籍に基づいて変換テーブルデータベース3の言語辞書テーブル31を参照する。次に入力情報変換部17Aは、文字認識部18Aが認識した日本語の文字を当該患者の国で使用する言語に変換(翻訳)する。制御部10Aは翻訳した文字を入力した翻訳前の文字の位置のすぐ下に表示させる。
【解決手段】ユーザは、画像診断装置100で患者の氏名や患者IDを入力する。患者情報取得部14Aは、患者IDに基づき画像サーバ2の患者情報テーブル22から患者の年齢、国籍等といった個人情報を取得する。画像情報取得部13Aは、ユーザが患者の診察および撮影を行って得た画像データを取得し表示させる。ユーザは、画像を参照して日本語の文字や記号を入力し画像と共に所望の位置に表示される。入力情報変換部17Aは、取得した患者の国籍に基づいて変換テーブルデータベース3の言語辞書テーブル31を参照する。次に入力情報変換部17Aは、文字認識部18Aが認識した日本語の文字を当該患者の国で使用する言語に変換(翻訳)する。制御部10Aは翻訳した文字を入力した翻訳前の文字の位置のすぐ下に表示させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者固有の情報を取得して各種の表示に反映させる医用情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像診断装置の診断結果を説明する場合、医師が撮影画像を患者に提示しながら説明を行う。しかし、説明には部位や症状等で難解な医療用語を伴う場合もあり、特に外国籍の患者が説明を理解することは大変困難となるおそれがある。そのため、医師の説明にも時間を要してしまう。また、病院内に掲示している注意書きや案内についても、外国籍の患者にとっては記載されていることが理解しにくい場合がある。そこで、どんな国籍の患者であっても、なるべく簡単で即時に理解できる手段が必要とされる。
【0003】
従来、使用言語以外の他言語による付帯情報を含む画像ファイルを受信した場合、付帯情報を抽出して使用言語に翻訳し、付帯情報とともに画像ファイルを出力する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この場合、あらかじめ翻訳語を準備した後に、患者に画像データと翻訳語を提示するので、過去の画像診断装置で撮影した画像データに対して有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−355481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来では、画像診断装置で診断中に表示した医療用語をリアルタイムで外国籍患者の理解する言語に翻訳し表示することができず、医師が説明する診断結果を、外国籍患者がその場で即座に理解することが難しかった。また、病院内に掲示している注意書きや案内についても、一部では1カ国語表記しか為されていない等、外国籍の患者にとっては理解しにくく、誤って危険区域に立ち入ってしまう等の可能性があった。
【0006】
本発明はこのような点を考慮してなされたもので、患者の使用言語や年齢等といった属性によらず、患者が医用情報を容易に理解することができる医用情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る医用情報表示装置は、患者の診断画像データを表示する画像表示部と、前記画像表示部で表示した前記診断画像データとともに、表示させるために入力された第1の表示データを認識する認識部と、前記患者の患者情報を取得する患者情報取得部と、前記患者情報取得部で取得した前記患者情報に基づいて、前記認識部で認識した前記第1の表示データを、第1の表示データと異なる、前記患者情報に応じた第2の表示データに変換する変換部と、を有し、前記画像表示部は、前記診断画像データとともに、前記変第2の表示データを表示するように構成される、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる医用情報表示装置は、無線通信を行う端末を検出する検出部と、前記検出部によって検出された前記端末から、前記端末に関連づけられた患者情報を取得する患者情報取得部と、第1の表示態様の案内情報を表示する情報表示部と、前記患者情報取得部で取得した前記患者情報に基づいて、前記情報表示部に表示された前記第1の表示態様の案内情報を、前記第1の表示態様とは異なる第2の表示態様の案内情報に変換する変換部と、を有し、前記情報表示部は、前記変換部で変換した前記第2の表示態様の案内情報を表示するように構成される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る医用情報表示装置によれば、患者の使用言語や年齢等といった属性によらず、患者が医用情報を容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施例に係る医用情報表示装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】同上の第1の実施例における、表示されている診断画像上に文字列を入力した際の翻訳動作を示すフローチャート。
【図3】同上の第1の実施例における、文字が入力された画像データの例を示す図。
【図4】本発明の第2の実施例に係る医用情報表示装置の概略構成を示すブロック図。
【図5】同上の第2の実施例における案内表示装置の概略構成を示すブロック図。
【図6】同上の第2の実施例における受付装置の概略構成を示すブロック図。
【図7】同上の第2の実施例における端末の概略構成を示すブロック図。
【図8】同上の第2の実施例における、端末への患者情報の読み込み動作を示すフローチャート。
【図9】同上の第2の実施例における、案内表示装置に表示された文字を翻訳する動作を示すフローチャート。
【図10】同上の第2の実施例における、案内表示装置に表示された文字を翻訳する具体例を示す図。
【図11】本発明の第3の実施例における、案内表示装置の表示を切り替える動作を示すフローチャート。
【図12】同上の第3の実施例における、案内表示装置の表示を切り替える具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
<第1の実施例>
第1の実施例として、外国籍の患者に対し、画像診断装置で撮影した画像上に入力した文字を変換(翻訳)する動作について示す。図1は、本発明の第1の実施例に係る医用情報表示装置1A、画像サーバ2、変換テーブルデータベース3の概略構成を示すブロック図である。医用情報表示装置1Aは、例えば超音波診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(磁気共鳴イメージング:Magnetic Resonance Imaging)装置、陽電子放出コンピュータ断層(PET: positron emission computed tomography)装置や単光子放出コンピュータ断層(SPECT: single photon emission computed tomography)装置等の核医学診断装置、X線診断装置等といった画像診断装置100に含まれる。
【0013】
画像診断装置100、画像サーバ2、変換テーブルデータベース3は、病院内のLAN(ローカルエリアネットワーク)を介して相互に通信可能に接続される。
【0014】
画像診断装置100は、医用情報表示装置1A、センサ51、データ処理部52、画像データ記憶部53を含む。センサ51は、患者である被検体からデータを取得する。データ処理部52は、センサ51で取得したデータに対し所定の信号処理を行うことにより、画像データを生成する。画像データ記憶部53は、データ処理部52で生成した画像データを記憶する。
【0015】
医用情報表示装置1Aは、制御部10A、操作部11A、表示部12A、画像情報取得部13A、患者情報取得部14A、通信部15A、記憶部16A、入力情報変換部17A、文字認識部18Aを含む。制御部10Aは、全体の制御を司り、例えばOS(Operating System)等の基本プログラム及び所定のプログラムに従って処理を実行する演算装置である。操作部11Aはキーボードやマウス等の入力装置であり、データの入力を行う。表示部12Aはモニタ等であり、後述する変換した言語や撮影画像等を表示する。なお、表示部12Aがタッチパネルを備え、画面に表示されたキーやボタン等を押下することでデータの入力を行っても良い。通信部15Aは、病院内LANに接続し、画像サーバ2および変換テーブルデータベース3との通信を行う。記憶部16Aは、プログラム及びデータを記憶するメモリである。
【0016】
画像情報取得部13Aは、画像データ記憶部53および画像サーバ2の画像データテーブル21に格納された画像データを取得する。患者情報取得部14Aは、後述する画像サーバ2内の患者情報テーブル22から、患者の年齢、国籍等といった個人情報を取得する。
【0017】
文字認識部18Aは、操作部11Aでユーザが入力した文字や記号のうち、文字部分を認識する。入力情報変換部17Aは、患者情報取得部14Aが取得した患者の個人情報のうち、患者の国籍に基づき、変換テーブルデータベース3の後述するいずれかのテーブルを参照する。また入力情報変換部17Aは、参照した変換テーブルデータベース3内のテーブルに基づき、文字認識部18Aで認識した、第1の国籍に対応した使用言語を、別の国籍に対応した言語に変換する。また入力情報変換部17Aは、文字認識部18Aで認識した、第1の国籍に対応した単位系の数値を、別の国籍に対応した単位系の数値に変換する。なお、本実施例では、例えば第1の国籍を日本とし、第1の国籍に対応した使用言語を日本語とする。
【0018】
画像サーバ2は、画像データテーブル21および患者情報テーブル22を含む。画像データテーブル21は、画像診断装置100の他、各種の画像診断装置で撮影した撮影画像を装置毎に格納する。患者情報テーブル22は、患者の氏名、年齢、国籍等といった個人情報を格納する。
【0019】
変換テーブルデータベース3は、言語辞書テーブル31、単位系換算テーブル32を格納している。言語辞書テーブル31は、診察によく使用される部位や症状等、第1の国籍に対応した言語による各種医療用語を、国毎に使用される各種言語に翻訳したテーブルである。単位系換算テーブル32は、各国で慣用的に使用される各種単位の換算テーブルであり、例えばセンチメートル表記である長さを、インチ表記に換算する際に参照するテーブルである。
【0020】
次に上記構成における動作について、図2を参照して説明する。医師や検査技師等といったユーザは、画像診断装置100の操作部11Aを用いて、診察する患者の氏名や患者IDを入力する(ステップS101)。患者情報取得部14Aは、入力された患者IDに基づき、画像サーバ2の患者情報テーブル22から患者の年齢、国籍等といった個人情報を取得する(ステップS103)。
【0021】
次にセンサ51を用いた患者の撮影が行われる(ステップS105)。撮影したデータは、データ処理部52で画像データを生成し、画像データ記憶部53に格納される(ステップS107)。画像情報取得部13Aはこの画像データを取得し、画像を表示部12Aに表示させる(ステップS109)。
【0022】
次にユーザは、表示部12Aに表示されている画像を参照して、操作部11Aで日本語の文字や記号を入力する(ステップS111)。入力された文字や記号は、画像と共に表示部12Aの所望の位置に表示される。次に文字認識部18Aは、ステップS111で入力された文字を認識する(ステップS113)。次に入力情報変換部17Aは、ステップS103で患者情報取得部14Aが取得した個人情報のうち、当該患者の国籍に基づいて、変換テーブルデータベース3の言語辞書テーブル31を参照する(ステップS115)。次に入力情報変換部17Aは、ステップS113で文字認識部18Aが認識した日本語の文字を、当該患者の国で使用する言語に変換(翻訳)する(ステップS117)。制御部10Aは表示部12Aに、ステップS117で翻訳した文字を、ステップS111で入力した文字の位置のすぐ下に表示させる(ステップS119)。
【0023】
文字が入力された画像データの例を図3に示す。この患者はアメリカ国籍とする。医師が操作部11Aを用いて表示部12Aに表示された画像データの腫瘍部分に丸印と、丸印の近傍に文字「腫瘍」を入力すると、文字認識部18Aは文字「腫瘍」を認識する。入力情報変換部17Aは、患者がアメリカ国籍ということに基づき、言語辞書テーブル31を参照し、認識した「腫瘍」の文字を、英語「malignancy」に変換する。制御部10Aは表示部12Aに、文字「malignancy」を文字「腫瘍」のすぐ下に表示させる。
【0024】
また、ユーザが入力した数値の単位を、当該患者が母国で慣用的に使用する単位系に変換して表示しても良い。例えば、ユーザが腫瘍の大きさとして操作部11Aで「2cm」と入力し、文字認識部18Aはこの文字を認識する。次に入力情報変換部17Aは、患者情報取得部14Aが取得した患者の国籍に基づき、単位系換算テーブル32を参照して、認識した文字「2cm」を、例えばインチ表記に変換し、制御部10Aは表示部12Aに「0.79inch」と表示させる。
【0025】
<第2の実施例>
第2の実施例として、外国籍の患者に対して、案内表示装置等に表示された文字を変換(翻訳)する動作について示す。図4は、本発明の第2の実施例にかかる医用情報表示装置1B、変換テーブルデータベース3、複数の案内表示装置4、端末6、受付装置7および患者情報サーバ8の概略構成を示すブロック図である。なお、第1の実施例と同様の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0026】
医用情報表示装置1Bは、例えばHIS(Hospital Information System:病院情報システム)の一部として設けられ、変換テーブルデータベース3、複数の案内表示装置4、受付装置7、患者情報サーバ8等と病院内のLAN(ローカルエリアネットワーク)を介して相互に通信可能に接続される。医用情報表示装置1Bは、案内表示装置4及び/または受付装置7に組み込まれても良い。案内表示装置4、受付装置7、端末6は、無線装置を備えており、院内での無線通信を行うことができる。なお、案内表示装置4、端末6、受付装置7は、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を行う構成にしてもよい。
【0027】
患者情報サーバ8は、患者情報テーブル82を含む。患者情報テーブル82は、患者の氏名、年齢、国籍等といった個人情報を格納する。
【0028】
医用情報表示装置1Bは、制御部10B、操作部11B、患者情報取得部14B、通信部15B、記憶部16B、入力情報変換部17Bを含む。制御部10B、操作部11B、記憶部16Bは、第1の実施例と同様であるので説明を省略する。
【0029】
患者情報取得部14Bは、患者情報サーバ8内の患者情報テーブル82から、患者の年齢、国籍等といった個人情報を取得する。通信部15Bは、病院内LANに接続し、変換テーブルデータベース3、複数の案内表示装置4、受付装置7及び患者情報サーバ8との通信を行う。入力情報変換部17Bは、患者情報取得部14Bで取得した個人情報のうち、患者の国籍に基づき、変換テーブルデータベース3のいずれかのテーブルを参照する。また入力情報変換部17Bは、参照した変換テーブルデータベース3内のテーブルに基づき、案内表示装置4に表示された、第1の国籍に対応した使用言語を、別の国籍に対応した言語に変換する。また入力情報変換部17Bは、案内表示装置4に表示された、第1の国籍に対応した単位系の数値を、別の国籍に対応した単位系の数値に変換する。なお、本実施例では、例えば第1の国籍を日本とし、第1の国籍に対応した使用言語を日本語とする。
【0030】
案内表示装置4は、放射線注意や立ち入り制限等の注意書きが記載された電子案内板等を示し、MRI装置やX線診断装置等が載置されている部屋の前等に掲示される。また、画像診断装置に組み込まれたり、受付に載置されている端末に組み込まれたりしてもよく、患者への説明文や案内を表示する。詳細なブロック図を図5に示す。案内表示装置4は、制御部40、無線通信部41、表示部42、通信部45、記憶部46を含む。制御部40は、案内表示装置4全体の制御を司る。無線通信部41は、アンテナ41aを介して端末6との無線通信を行う。表示部42は、電子ペーパーや液晶パネル等で構成され、医用情報表示装置1Bからの情報に基づき、表示を動的に変更することが可能である。通信部45は、病院内LANに接続し、各種装置との通信を行う。記憶部46はプログラム及びデータを記憶するメモリである。
【0031】
受付装置7は、病院の受付に備えられ、患者の来院時に端末6へ患者の個人情報の登録を行う装置である。詳細なブロック図を図6に示す。受付装置7は、制御部70、無線通信部71、表示部72、操作部73、患者情報取得部74、通信部75、記憶部76を含む。制御部70は、受付装置7全体の制御を司る。無線通信部71は、アンテナ71aを介して端末6との無線通信を行う。表示部72はモニタ等の表示装置である。操作部73はキーボードやマウス等の入力装置であり、データの入力を行う。患者情報取得部74は、患者情報サーバ8内の患者情報テーブル82から、患者の年齢、国籍等といった個人情報を取得する。通信部75は、病院内LANに接続し、各種装置との通信を行う。記憶部76は、プログラム及びデータを記憶するメモリである。
【0032】
端末6は、患者が来院時に受付等で渡される院内専用端末である。詳細なブロック図を図7に示す。端末6は、制御部60、表示部62、無線通信部61、記憶部66を含む。制御部60は、端末6全体の制御を司る。表示部62は端末6のモニタ等であり、無線通信部61で受信した情報の表示を行う。記憶部66は、受付装置7の記憶部76から取得した、端末6を所持している患者の氏名、年齢、国籍といった個人情報を格納している。また記憶部66は、プログラム及びデータを記憶するメモリである。無線通信部61は、アンテナ61aを介して案内表示装置4および受付装置7と無線通信を行う。
【0033】
上記構成における動作について、図8、図9を参照して説明する。まず端末6への患者情報の登録の動作について、図8を参照して説明する。患者が病院に来院し、診察券等を提示して受付を行うと、受付担当は受付装置7の操作部73を用い、当該患者が来院したことを入力する(ステップS201)。患者情報取得部74は、患者情報サーバ7内の患者情報テーブル22から、患者の年齢、国籍等といった個人情報を取得し記憶部76に格納する(ステップS202)。次に受付担当は、受付装置7に院内専用の端末6を近接させる(ステップS203)。受付装置7の無線通信部71は、アンテナ71aを介して、記憶部76に格納された、当該患者の氏名、年齢、国籍等といった個人情報を端末6に送信する(ステップS205)。端末6の制御部60は、ステップS205で無線通信部61が受信した個人情報を記憶部66に格納させる(ステップS207)。上記処理が終了すると、受付担当は、当該患者の個人情報を読み込ませた端末6を当該患者に配布する。
【0034】
次に図9において、患者が端末6を持って院内を回り、案内表示装置4に近づくと、案内表示装置4のアンテナ41aは端末6を検知する(ステップS301)。次に案内表示装置4の制御部40は、端末6の記憶部66から当該患者の個人情報(国籍等)を取得し(ステップS303)、医用情報表示装置1Bに送る。医用情報表示装置1Bの患者情報取得部14Bは、この当該患者の個人情報を取得する。
【0035】
次に医用情報表示装置1Bの入力情報変換部17Bは、ステップS303で取得した個人情報のうち、当該患者の国籍に基づいて、案内表示装置4の表示部42に表示された文字を、変換デーブルデータベース3の言語辞書テーブル31を参照して、当該患者の国で使用する言語に変換し(ステップS307)、案内表示装置4に送る。案内表示装置4の表示部42は、ステップS307で入力情報変換部17Bが変換した文字を表示する(ステップS309)。
【0036】
図10に具体例を示す。患者Xがアメリカ国籍だとして、端末6を持ち院内を回っている。端末6の通信範囲内に、MRI装置を備える部屋の前扉にある、「強磁場発生区域」と日本語表示された液晶画面(案内表示装置4)があると、案内表示装置4のアンテナ41aが端末6を検知し、制御部40が患者Xの国籍を端末6から取得して医用情報表示装置1Bに送る。医用情報表示装置1Bの入力情報変換部17Bは、取得した患者の国籍に基づき、かつ言語辞書テーブル31を参照して、案内表示装置4の日本語の文字を英語に翻訳する。そして翻訳した英語の案内表示をもとの液晶画面(表示部42)に表示させる。
【0037】
また、ユーザが入力した数値の単位を、患者が母国で慣用的に使用する単位系に変換して表示してもよい。例えば、患者が端末6を持って医師の診察を受ける際、診察室内に案内表示装置4が載置され、表示部42が患者側に向けられている。この案内表示装置4には、例えば医者が別の装置を用いて入力した語句の訳語や、数値の単位系変換値等が表示されている。この案内表示装置4は、患者が持つ端末6を検出する。医用情報表示装置1Bの入力情報変換部17Bは、患者情報取得部14Bが取得した当該患者の国籍に基づき、変換テーブルデータベース3の単位系換算テーブル32を参照して、数値を例えばセンチメートル表記からインチ表記に変換する。なお、変換した数値は、変換テーブルデータベース3には保存しなくてよい。
【0038】
また、変換テーブルデータベース3に規制量情報テーブルを設け、各国の、1度に当てる放射線被曝許容量を格納してもよい。端末6が有する国籍の情報から、対応する国の放射線被曝許容量を案内表示装置4に読み出して表示し、医師に対しX線照射する際の参考にするようにしてもよい。
【0039】
<第3の実施例>
第2の実施例では、1人の患者に対して案内表示装置4の文字を変換したが、次に第3の実施例として、端末6を持った2人以上の患者が同じ案内表示装置4に同時に接近した場合の動作について、図11および図12に示す。なお、構成は第2の実施例と同じである。
【0040】
アメリカ国籍の患者Xと中国国籍の患者Yが、それぞれ端末6X、6Yを持って病院内を回っている。ある男子トイレの案内表示装置4に、端末6X、6Yの両方が同時に接近した場合、案内表示装置4のアンテナ41aは端末6X、6Yを検知する(ステップS501)。次に案内表示装置4の制御部40は、端末6X、6Yの記憶部66X、66Yから、当該患者X、Yの個人情報(国籍等)を取得し(ステップS503)、医用情報表示装置1Bに送る。医用情報表示装置1Bの患者情報取得部14Bは、患者X、Y両方の個人情報を取得する。次に、医用情報表示装置1Bの入力情報変換部17Bは、患者情報取得部14Bで取得した個人情報のうち、当該患者の国籍に基づいて、案内表示装置4の表示部42に表示された、例えば日本語の文字を、変換テーブルデータベース3の言語辞書テーブル31を参照して英語と中国語の両方に翻訳し(ステップS507)、案内表示装置4に送る。案内表示装置4の表示部42は、ステップS507で入力情報変換部17Bが翻訳した英語および中国語の文字を、所定時間毎に交互に表示する(ステップS509)。
【0041】
なお、案内表示装置4に端末6を持つ患者が3人以上接近した場合、各人の使用言語にすべて翻訳し、各人の使用言語がすべて異なる場合、表示部42に翻訳した複数の言語を順番に表示してもよい。また、同じ使用言語の人が複数人存在する場合、同じ使用言語の人数により表示時間を時分割してもよい。例えば、英語を使用する人が3人、中国語を使用する人が1人存在する場合は、英語表示を中国語表示より3倍長くする仕様にしてもよい。
【0042】
以上本発明は、画像診断装置で診断中または診断後に、画像データ上にユーザが入力した医療用語をリアルタイムで翻訳し、患者の国籍に合わせた言語に変換して表示するため、外国籍の患者が表示内容を正確に理解することができる。
【0043】
また本発明は、国籍の情報を入れた端末を患者自身が持ち、患者が病院内に掲示している注意書きや案内板に近づくと、患者の国籍に合わせた言語に変換して注意書きや案内板が表示するため、外国籍の患者が記載内容を正確に理解することができる。
【0044】
なお、上記第1の実施例において、医用情報表示装置1Aを、少なくとも1つの画像診断装置100と接続された画像処理装置に内蔵しても良い。
【0045】
なお、上記第1の実施例では、外国籍の患者向けに、文字を他の言語に翻訳表示または単位系を変換表示させたが、患者情報取得部14Aで取得した患者情報により、高齢者の患者の場合は、画像データ上に入力された文字を、高齢者の患者が見える大きさに拡大変換するようにしてもよい。また、小学生の患者の場合は、画像データ上に入力された文字にふりがなを振る変換をするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
100…画像診断装置、1A・1B…医用情報表示装置、2…画像サーバ、3…変換テーブルデータベース、51…センサ、52…データ処理部、53…画像データ記憶部、10A・10B…制御部、11A・11B…操作部、12A…表示部、13A…画像情報取得部、14A・14B…患者情報取得部、15A・15B…通信部、16A・16B…記憶部、17A・17B…入力情報変換部、18A…文字認識部、4…案内表示装置、6…端末、7…受付装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者固有の情報を取得して各種の表示に反映させる医用情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像診断装置の診断結果を説明する場合、医師が撮影画像を患者に提示しながら説明を行う。しかし、説明には部位や症状等で難解な医療用語を伴う場合もあり、特に外国籍の患者が説明を理解することは大変困難となるおそれがある。そのため、医師の説明にも時間を要してしまう。また、病院内に掲示している注意書きや案内についても、外国籍の患者にとっては記載されていることが理解しにくい場合がある。そこで、どんな国籍の患者であっても、なるべく簡単で即時に理解できる手段が必要とされる。
【0003】
従来、使用言語以外の他言語による付帯情報を含む画像ファイルを受信した場合、付帯情報を抽出して使用言語に翻訳し、付帯情報とともに画像ファイルを出力する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この場合、あらかじめ翻訳語を準備した後に、患者に画像データと翻訳語を提示するので、過去の画像診断装置で撮影した画像データに対して有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−355481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来では、画像診断装置で診断中に表示した医療用語をリアルタイムで外国籍患者の理解する言語に翻訳し表示することができず、医師が説明する診断結果を、外国籍患者がその場で即座に理解することが難しかった。また、病院内に掲示している注意書きや案内についても、一部では1カ国語表記しか為されていない等、外国籍の患者にとっては理解しにくく、誤って危険区域に立ち入ってしまう等の可能性があった。
【0006】
本発明はこのような点を考慮してなされたもので、患者の使用言語や年齢等といった属性によらず、患者が医用情報を容易に理解することができる医用情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る医用情報表示装置は、患者の診断画像データを表示する画像表示部と、前記画像表示部で表示した前記診断画像データとともに、表示させるために入力された第1の表示データを認識する認識部と、前記患者の患者情報を取得する患者情報取得部と、前記患者情報取得部で取得した前記患者情報に基づいて、前記認識部で認識した前記第1の表示データを、第1の表示データと異なる、前記患者情報に応じた第2の表示データに変換する変換部と、を有し、前記画像表示部は、前記診断画像データとともに、前記変第2の表示データを表示するように構成される、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる医用情報表示装置は、無線通信を行う端末を検出する検出部と、前記検出部によって検出された前記端末から、前記端末に関連づけられた患者情報を取得する患者情報取得部と、第1の表示態様の案内情報を表示する情報表示部と、前記患者情報取得部で取得した前記患者情報に基づいて、前記情報表示部に表示された前記第1の表示態様の案内情報を、前記第1の表示態様とは異なる第2の表示態様の案内情報に変換する変換部と、を有し、前記情報表示部は、前記変換部で変換した前記第2の表示態様の案内情報を表示するように構成される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る医用情報表示装置によれば、患者の使用言語や年齢等といった属性によらず、患者が医用情報を容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施例に係る医用情報表示装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】同上の第1の実施例における、表示されている診断画像上に文字列を入力した際の翻訳動作を示すフローチャート。
【図3】同上の第1の実施例における、文字が入力された画像データの例を示す図。
【図4】本発明の第2の実施例に係る医用情報表示装置の概略構成を示すブロック図。
【図5】同上の第2の実施例における案内表示装置の概略構成を示すブロック図。
【図6】同上の第2の実施例における受付装置の概略構成を示すブロック図。
【図7】同上の第2の実施例における端末の概略構成を示すブロック図。
【図8】同上の第2の実施例における、端末への患者情報の読み込み動作を示すフローチャート。
【図9】同上の第2の実施例における、案内表示装置に表示された文字を翻訳する動作を示すフローチャート。
【図10】同上の第2の実施例における、案内表示装置に表示された文字を翻訳する具体例を示す図。
【図11】本発明の第3の実施例における、案内表示装置の表示を切り替える動作を示すフローチャート。
【図12】同上の第3の実施例における、案内表示装置の表示を切り替える具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
<第1の実施例>
第1の実施例として、外国籍の患者に対し、画像診断装置で撮影した画像上に入力した文字を変換(翻訳)する動作について示す。図1は、本発明の第1の実施例に係る医用情報表示装置1A、画像サーバ2、変換テーブルデータベース3の概略構成を示すブロック図である。医用情報表示装置1Aは、例えば超音波診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(磁気共鳴イメージング:Magnetic Resonance Imaging)装置、陽電子放出コンピュータ断層(PET: positron emission computed tomography)装置や単光子放出コンピュータ断層(SPECT: single photon emission computed tomography)装置等の核医学診断装置、X線診断装置等といった画像診断装置100に含まれる。
【0013】
画像診断装置100、画像サーバ2、変換テーブルデータベース3は、病院内のLAN(ローカルエリアネットワーク)を介して相互に通信可能に接続される。
【0014】
画像診断装置100は、医用情報表示装置1A、センサ51、データ処理部52、画像データ記憶部53を含む。センサ51は、患者である被検体からデータを取得する。データ処理部52は、センサ51で取得したデータに対し所定の信号処理を行うことにより、画像データを生成する。画像データ記憶部53は、データ処理部52で生成した画像データを記憶する。
【0015】
医用情報表示装置1Aは、制御部10A、操作部11A、表示部12A、画像情報取得部13A、患者情報取得部14A、通信部15A、記憶部16A、入力情報変換部17A、文字認識部18Aを含む。制御部10Aは、全体の制御を司り、例えばOS(Operating System)等の基本プログラム及び所定のプログラムに従って処理を実行する演算装置である。操作部11Aはキーボードやマウス等の入力装置であり、データの入力を行う。表示部12Aはモニタ等であり、後述する変換した言語や撮影画像等を表示する。なお、表示部12Aがタッチパネルを備え、画面に表示されたキーやボタン等を押下することでデータの入力を行っても良い。通信部15Aは、病院内LANに接続し、画像サーバ2および変換テーブルデータベース3との通信を行う。記憶部16Aは、プログラム及びデータを記憶するメモリである。
【0016】
画像情報取得部13Aは、画像データ記憶部53および画像サーバ2の画像データテーブル21に格納された画像データを取得する。患者情報取得部14Aは、後述する画像サーバ2内の患者情報テーブル22から、患者の年齢、国籍等といった個人情報を取得する。
【0017】
文字認識部18Aは、操作部11Aでユーザが入力した文字や記号のうち、文字部分を認識する。入力情報変換部17Aは、患者情報取得部14Aが取得した患者の個人情報のうち、患者の国籍に基づき、変換テーブルデータベース3の後述するいずれかのテーブルを参照する。また入力情報変換部17Aは、参照した変換テーブルデータベース3内のテーブルに基づき、文字認識部18Aで認識した、第1の国籍に対応した使用言語を、別の国籍に対応した言語に変換する。また入力情報変換部17Aは、文字認識部18Aで認識した、第1の国籍に対応した単位系の数値を、別の国籍に対応した単位系の数値に変換する。なお、本実施例では、例えば第1の国籍を日本とし、第1の国籍に対応した使用言語を日本語とする。
【0018】
画像サーバ2は、画像データテーブル21および患者情報テーブル22を含む。画像データテーブル21は、画像診断装置100の他、各種の画像診断装置で撮影した撮影画像を装置毎に格納する。患者情報テーブル22は、患者の氏名、年齢、国籍等といった個人情報を格納する。
【0019】
変換テーブルデータベース3は、言語辞書テーブル31、単位系換算テーブル32を格納している。言語辞書テーブル31は、診察によく使用される部位や症状等、第1の国籍に対応した言語による各種医療用語を、国毎に使用される各種言語に翻訳したテーブルである。単位系換算テーブル32は、各国で慣用的に使用される各種単位の換算テーブルであり、例えばセンチメートル表記である長さを、インチ表記に換算する際に参照するテーブルである。
【0020】
次に上記構成における動作について、図2を参照して説明する。医師や検査技師等といったユーザは、画像診断装置100の操作部11Aを用いて、診察する患者の氏名や患者IDを入力する(ステップS101)。患者情報取得部14Aは、入力された患者IDに基づき、画像サーバ2の患者情報テーブル22から患者の年齢、国籍等といった個人情報を取得する(ステップS103)。
【0021】
次にセンサ51を用いた患者の撮影が行われる(ステップS105)。撮影したデータは、データ処理部52で画像データを生成し、画像データ記憶部53に格納される(ステップS107)。画像情報取得部13Aはこの画像データを取得し、画像を表示部12Aに表示させる(ステップS109)。
【0022】
次にユーザは、表示部12Aに表示されている画像を参照して、操作部11Aで日本語の文字や記号を入力する(ステップS111)。入力された文字や記号は、画像と共に表示部12Aの所望の位置に表示される。次に文字認識部18Aは、ステップS111で入力された文字を認識する(ステップS113)。次に入力情報変換部17Aは、ステップS103で患者情報取得部14Aが取得した個人情報のうち、当該患者の国籍に基づいて、変換テーブルデータベース3の言語辞書テーブル31を参照する(ステップS115)。次に入力情報変換部17Aは、ステップS113で文字認識部18Aが認識した日本語の文字を、当該患者の国で使用する言語に変換(翻訳)する(ステップS117)。制御部10Aは表示部12Aに、ステップS117で翻訳した文字を、ステップS111で入力した文字の位置のすぐ下に表示させる(ステップS119)。
【0023】
文字が入力された画像データの例を図3に示す。この患者はアメリカ国籍とする。医師が操作部11Aを用いて表示部12Aに表示された画像データの腫瘍部分に丸印と、丸印の近傍に文字「腫瘍」を入力すると、文字認識部18Aは文字「腫瘍」を認識する。入力情報変換部17Aは、患者がアメリカ国籍ということに基づき、言語辞書テーブル31を参照し、認識した「腫瘍」の文字を、英語「malignancy」に変換する。制御部10Aは表示部12Aに、文字「malignancy」を文字「腫瘍」のすぐ下に表示させる。
【0024】
また、ユーザが入力した数値の単位を、当該患者が母国で慣用的に使用する単位系に変換して表示しても良い。例えば、ユーザが腫瘍の大きさとして操作部11Aで「2cm」と入力し、文字認識部18Aはこの文字を認識する。次に入力情報変換部17Aは、患者情報取得部14Aが取得した患者の国籍に基づき、単位系換算テーブル32を参照して、認識した文字「2cm」を、例えばインチ表記に変換し、制御部10Aは表示部12Aに「0.79inch」と表示させる。
【0025】
<第2の実施例>
第2の実施例として、外国籍の患者に対して、案内表示装置等に表示された文字を変換(翻訳)する動作について示す。図4は、本発明の第2の実施例にかかる医用情報表示装置1B、変換テーブルデータベース3、複数の案内表示装置4、端末6、受付装置7および患者情報サーバ8の概略構成を示すブロック図である。なお、第1の実施例と同様の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0026】
医用情報表示装置1Bは、例えばHIS(Hospital Information System:病院情報システム)の一部として設けられ、変換テーブルデータベース3、複数の案内表示装置4、受付装置7、患者情報サーバ8等と病院内のLAN(ローカルエリアネットワーク)を介して相互に通信可能に接続される。医用情報表示装置1Bは、案内表示装置4及び/または受付装置7に組み込まれても良い。案内表示装置4、受付装置7、端末6は、無線装置を備えており、院内での無線通信を行うことができる。なお、案内表示装置4、端末6、受付装置7は、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を行う構成にしてもよい。
【0027】
患者情報サーバ8は、患者情報テーブル82を含む。患者情報テーブル82は、患者の氏名、年齢、国籍等といった個人情報を格納する。
【0028】
医用情報表示装置1Bは、制御部10B、操作部11B、患者情報取得部14B、通信部15B、記憶部16B、入力情報変換部17Bを含む。制御部10B、操作部11B、記憶部16Bは、第1の実施例と同様であるので説明を省略する。
【0029】
患者情報取得部14Bは、患者情報サーバ8内の患者情報テーブル82から、患者の年齢、国籍等といった個人情報を取得する。通信部15Bは、病院内LANに接続し、変換テーブルデータベース3、複数の案内表示装置4、受付装置7及び患者情報サーバ8との通信を行う。入力情報変換部17Bは、患者情報取得部14Bで取得した個人情報のうち、患者の国籍に基づき、変換テーブルデータベース3のいずれかのテーブルを参照する。また入力情報変換部17Bは、参照した変換テーブルデータベース3内のテーブルに基づき、案内表示装置4に表示された、第1の国籍に対応した使用言語を、別の国籍に対応した言語に変換する。また入力情報変換部17Bは、案内表示装置4に表示された、第1の国籍に対応した単位系の数値を、別の国籍に対応した単位系の数値に変換する。なお、本実施例では、例えば第1の国籍を日本とし、第1の国籍に対応した使用言語を日本語とする。
【0030】
案内表示装置4は、放射線注意や立ち入り制限等の注意書きが記載された電子案内板等を示し、MRI装置やX線診断装置等が載置されている部屋の前等に掲示される。また、画像診断装置に組み込まれたり、受付に載置されている端末に組み込まれたりしてもよく、患者への説明文や案内を表示する。詳細なブロック図を図5に示す。案内表示装置4は、制御部40、無線通信部41、表示部42、通信部45、記憶部46を含む。制御部40は、案内表示装置4全体の制御を司る。無線通信部41は、アンテナ41aを介して端末6との無線通信を行う。表示部42は、電子ペーパーや液晶パネル等で構成され、医用情報表示装置1Bからの情報に基づき、表示を動的に変更することが可能である。通信部45は、病院内LANに接続し、各種装置との通信を行う。記憶部46はプログラム及びデータを記憶するメモリである。
【0031】
受付装置7は、病院の受付に備えられ、患者の来院時に端末6へ患者の個人情報の登録を行う装置である。詳細なブロック図を図6に示す。受付装置7は、制御部70、無線通信部71、表示部72、操作部73、患者情報取得部74、通信部75、記憶部76を含む。制御部70は、受付装置7全体の制御を司る。無線通信部71は、アンテナ71aを介して端末6との無線通信を行う。表示部72はモニタ等の表示装置である。操作部73はキーボードやマウス等の入力装置であり、データの入力を行う。患者情報取得部74は、患者情報サーバ8内の患者情報テーブル82から、患者の年齢、国籍等といった個人情報を取得する。通信部75は、病院内LANに接続し、各種装置との通信を行う。記憶部76は、プログラム及びデータを記憶するメモリである。
【0032】
端末6は、患者が来院時に受付等で渡される院内専用端末である。詳細なブロック図を図7に示す。端末6は、制御部60、表示部62、無線通信部61、記憶部66を含む。制御部60は、端末6全体の制御を司る。表示部62は端末6のモニタ等であり、無線通信部61で受信した情報の表示を行う。記憶部66は、受付装置7の記憶部76から取得した、端末6を所持している患者の氏名、年齢、国籍といった個人情報を格納している。また記憶部66は、プログラム及びデータを記憶するメモリである。無線通信部61は、アンテナ61aを介して案内表示装置4および受付装置7と無線通信を行う。
【0033】
上記構成における動作について、図8、図9を参照して説明する。まず端末6への患者情報の登録の動作について、図8を参照して説明する。患者が病院に来院し、診察券等を提示して受付を行うと、受付担当は受付装置7の操作部73を用い、当該患者が来院したことを入力する(ステップS201)。患者情報取得部74は、患者情報サーバ7内の患者情報テーブル22から、患者の年齢、国籍等といった個人情報を取得し記憶部76に格納する(ステップS202)。次に受付担当は、受付装置7に院内専用の端末6を近接させる(ステップS203)。受付装置7の無線通信部71は、アンテナ71aを介して、記憶部76に格納された、当該患者の氏名、年齢、国籍等といった個人情報を端末6に送信する(ステップS205)。端末6の制御部60は、ステップS205で無線通信部61が受信した個人情報を記憶部66に格納させる(ステップS207)。上記処理が終了すると、受付担当は、当該患者の個人情報を読み込ませた端末6を当該患者に配布する。
【0034】
次に図9において、患者が端末6を持って院内を回り、案内表示装置4に近づくと、案内表示装置4のアンテナ41aは端末6を検知する(ステップS301)。次に案内表示装置4の制御部40は、端末6の記憶部66から当該患者の個人情報(国籍等)を取得し(ステップS303)、医用情報表示装置1Bに送る。医用情報表示装置1Bの患者情報取得部14Bは、この当該患者の個人情報を取得する。
【0035】
次に医用情報表示装置1Bの入力情報変換部17Bは、ステップS303で取得した個人情報のうち、当該患者の国籍に基づいて、案内表示装置4の表示部42に表示された文字を、変換デーブルデータベース3の言語辞書テーブル31を参照して、当該患者の国で使用する言語に変換し(ステップS307)、案内表示装置4に送る。案内表示装置4の表示部42は、ステップS307で入力情報変換部17Bが変換した文字を表示する(ステップS309)。
【0036】
図10に具体例を示す。患者Xがアメリカ国籍だとして、端末6を持ち院内を回っている。端末6の通信範囲内に、MRI装置を備える部屋の前扉にある、「強磁場発生区域」と日本語表示された液晶画面(案内表示装置4)があると、案内表示装置4のアンテナ41aが端末6を検知し、制御部40が患者Xの国籍を端末6から取得して医用情報表示装置1Bに送る。医用情報表示装置1Bの入力情報変換部17Bは、取得した患者の国籍に基づき、かつ言語辞書テーブル31を参照して、案内表示装置4の日本語の文字を英語に翻訳する。そして翻訳した英語の案内表示をもとの液晶画面(表示部42)に表示させる。
【0037】
また、ユーザが入力した数値の単位を、患者が母国で慣用的に使用する単位系に変換して表示してもよい。例えば、患者が端末6を持って医師の診察を受ける際、診察室内に案内表示装置4が載置され、表示部42が患者側に向けられている。この案内表示装置4には、例えば医者が別の装置を用いて入力した語句の訳語や、数値の単位系変換値等が表示されている。この案内表示装置4は、患者が持つ端末6を検出する。医用情報表示装置1Bの入力情報変換部17Bは、患者情報取得部14Bが取得した当該患者の国籍に基づき、変換テーブルデータベース3の単位系換算テーブル32を参照して、数値を例えばセンチメートル表記からインチ表記に変換する。なお、変換した数値は、変換テーブルデータベース3には保存しなくてよい。
【0038】
また、変換テーブルデータベース3に規制量情報テーブルを設け、各国の、1度に当てる放射線被曝許容量を格納してもよい。端末6が有する国籍の情報から、対応する国の放射線被曝許容量を案内表示装置4に読み出して表示し、医師に対しX線照射する際の参考にするようにしてもよい。
【0039】
<第3の実施例>
第2の実施例では、1人の患者に対して案内表示装置4の文字を変換したが、次に第3の実施例として、端末6を持った2人以上の患者が同じ案内表示装置4に同時に接近した場合の動作について、図11および図12に示す。なお、構成は第2の実施例と同じである。
【0040】
アメリカ国籍の患者Xと中国国籍の患者Yが、それぞれ端末6X、6Yを持って病院内を回っている。ある男子トイレの案内表示装置4に、端末6X、6Yの両方が同時に接近した場合、案内表示装置4のアンテナ41aは端末6X、6Yを検知する(ステップS501)。次に案内表示装置4の制御部40は、端末6X、6Yの記憶部66X、66Yから、当該患者X、Yの個人情報(国籍等)を取得し(ステップS503)、医用情報表示装置1Bに送る。医用情報表示装置1Bの患者情報取得部14Bは、患者X、Y両方の個人情報を取得する。次に、医用情報表示装置1Bの入力情報変換部17Bは、患者情報取得部14Bで取得した個人情報のうち、当該患者の国籍に基づいて、案内表示装置4の表示部42に表示された、例えば日本語の文字を、変換テーブルデータベース3の言語辞書テーブル31を参照して英語と中国語の両方に翻訳し(ステップS507)、案内表示装置4に送る。案内表示装置4の表示部42は、ステップS507で入力情報変換部17Bが翻訳した英語および中国語の文字を、所定時間毎に交互に表示する(ステップS509)。
【0041】
なお、案内表示装置4に端末6を持つ患者が3人以上接近した場合、各人の使用言語にすべて翻訳し、各人の使用言語がすべて異なる場合、表示部42に翻訳した複数の言語を順番に表示してもよい。また、同じ使用言語の人が複数人存在する場合、同じ使用言語の人数により表示時間を時分割してもよい。例えば、英語を使用する人が3人、中国語を使用する人が1人存在する場合は、英語表示を中国語表示より3倍長くする仕様にしてもよい。
【0042】
以上本発明は、画像診断装置で診断中または診断後に、画像データ上にユーザが入力した医療用語をリアルタイムで翻訳し、患者の国籍に合わせた言語に変換して表示するため、外国籍の患者が表示内容を正確に理解することができる。
【0043】
また本発明は、国籍の情報を入れた端末を患者自身が持ち、患者が病院内に掲示している注意書きや案内板に近づくと、患者の国籍に合わせた言語に変換して注意書きや案内板が表示するため、外国籍の患者が記載内容を正確に理解することができる。
【0044】
なお、上記第1の実施例において、医用情報表示装置1Aを、少なくとも1つの画像診断装置100と接続された画像処理装置に内蔵しても良い。
【0045】
なお、上記第1の実施例では、外国籍の患者向けに、文字を他の言語に翻訳表示または単位系を変換表示させたが、患者情報取得部14Aで取得した患者情報により、高齢者の患者の場合は、画像データ上に入力された文字を、高齢者の患者が見える大きさに拡大変換するようにしてもよい。また、小学生の患者の場合は、画像データ上に入力された文字にふりがなを振る変換をするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
100…画像診断装置、1A・1B…医用情報表示装置、2…画像サーバ、3…変換テーブルデータベース、51…センサ、52…データ処理部、53…画像データ記憶部、10A・10B…制御部、11A・11B…操作部、12A…表示部、13A…画像情報取得部、14A・14B…患者情報取得部、15A・15B…通信部、16A・16B…記憶部、17A・17B…入力情報変換部、18A…文字認識部、4…案内表示装置、6…端末、7…受付装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の診断画像データを表示する画像表示部と、
前記画像表示部で表示した前記診断画像データとともに、表示させるために入力された第1の表示データを認識する認識部と、
前記患者の患者情報を取得する患者情報取得部と、
前記患者情報取得部で取得した前記患者情報に基づいて、前記認識部で認識した前記第1の表示データを、第1の表示データと異なる前記患者情報に応じた第2の表示データに変換する変換部と、
を有し、
前記画像表示部は、前記診断画像データとともに、前記第2の表示データを表示するように構成される、
ことを特徴とする医用情報表示装置。
【請求項2】
前記患者情報は前記患者の国籍情報であり、
前記変換部は、前記認識部で認識した第1の言語データを、前記第1の言語データと異なる、前記患者の国籍情報に応じた第2の言語データに変換するように構成される、
ことを特徴とする請求項1記載の医用情報表示装置。
【請求項3】
前記患者情報は前記患者の国籍情報であり、
前記変換部は、前記認識部で認識した第1の単位系の数値データを、前記第1の単位系の数値データと異なる、前記患者の国籍情報に応じた第2の単位系の数値データに変換するように構成される、
ことを特徴とする請求項1記載の医用情報表示装置。
【請求項4】
前記変換部は、国籍に基づいた言語または単位系のテーブルを参照して、前記第1の表示データを対応する前記第2の表示データに変換する
ことを特徴とする請求項1記載の医用情報表示装置。
【請求項5】
無線通信を行う端末を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記端末から、前記端末に関連づけられた患者情報を取得する患者情報取得部と、
第1の表示態様の案内情報を表示する情報表示部と、
前記患者情報取得部で取得した前記患者情報に基づいて、前記情報表示部に表示された前記第1の表示態様の案内情報を、前記第1の表示態様とは異なる第2の表示態様の案内情報に変換する変換部と、
を有し、
前記情報表示部は、前記変換部で変換した前記第2の表示態様の案内情報を表示するように構成される、
ことを特徴とする医用情報表示装置。
【請求項6】
前記変換部は、国籍に基づいた言語または単位系のテーブルを参照して、前記第1の表示態様の案内情報を対応する前記第2の表示態様の案内情報に変換する
ことを特徴とする請求項5記載の医用情報表示装置。
【請求項7】
前記変換部は、前記第1の表示態様の案内情報を、第1の表示態様とは異なる複数の表示態様の案内情報に変換し、
前記情報表示部は、前記変換部で変換した前記複数の表示態様の案内情報を、交互に表示するように構成される
ことを特徴とする請求項5記載の医用情報表示装置。
【請求項1】
患者の診断画像データを表示する画像表示部と、
前記画像表示部で表示した前記診断画像データとともに、表示させるために入力された第1の表示データを認識する認識部と、
前記患者の患者情報を取得する患者情報取得部と、
前記患者情報取得部で取得した前記患者情報に基づいて、前記認識部で認識した前記第1の表示データを、第1の表示データと異なる前記患者情報に応じた第2の表示データに変換する変換部と、
を有し、
前記画像表示部は、前記診断画像データとともに、前記第2の表示データを表示するように構成される、
ことを特徴とする医用情報表示装置。
【請求項2】
前記患者情報は前記患者の国籍情報であり、
前記変換部は、前記認識部で認識した第1の言語データを、前記第1の言語データと異なる、前記患者の国籍情報に応じた第2の言語データに変換するように構成される、
ことを特徴とする請求項1記載の医用情報表示装置。
【請求項3】
前記患者情報は前記患者の国籍情報であり、
前記変換部は、前記認識部で認識した第1の単位系の数値データを、前記第1の単位系の数値データと異なる、前記患者の国籍情報に応じた第2の単位系の数値データに変換するように構成される、
ことを特徴とする請求項1記載の医用情報表示装置。
【請求項4】
前記変換部は、国籍に基づいた言語または単位系のテーブルを参照して、前記第1の表示データを対応する前記第2の表示データに変換する
ことを特徴とする請求項1記載の医用情報表示装置。
【請求項5】
無線通信を行う端末を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記端末から、前記端末に関連づけられた患者情報を取得する患者情報取得部と、
第1の表示態様の案内情報を表示する情報表示部と、
前記患者情報取得部で取得した前記患者情報に基づいて、前記情報表示部に表示された前記第1の表示態様の案内情報を、前記第1の表示態様とは異なる第2の表示態様の案内情報に変換する変換部と、
を有し、
前記情報表示部は、前記変換部で変換した前記第2の表示態様の案内情報を表示するように構成される、
ことを特徴とする医用情報表示装置。
【請求項6】
前記変換部は、国籍に基づいた言語または単位系のテーブルを参照して、前記第1の表示態様の案内情報を対応する前記第2の表示態様の案内情報に変換する
ことを特徴とする請求項5記載の医用情報表示装置。
【請求項7】
前記変換部は、前記第1の表示態様の案内情報を、第1の表示態様とは異なる複数の表示態様の案内情報に変換し、
前記情報表示部は、前記変換部で変換した前記複数の表示態様の案内情報を、交互に表示するように構成される
ことを特徴とする請求項5記載の医用情報表示装置。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【公開番号】特開2011−43898(P2011−43898A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190200(P2009−190200)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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