説明

医用撮像システム及び移動可能な搬送ベルトを含む患者位置決めシステム

【課題】患者スキャンの様々な軸方向位置間での患者の移動が可能な撮像システムを提供する。
【解決手段】患者内の関心領域(ROI)を撮像するための医用撮像システムは、視野域(FOV)を有する撮像モダリティユニットと検査プラットフォームとを含む。この検査プラットフォームは、1対の相対する端部とこれらの間を検査軸に沿って延びるプラットフォーム表面とを有する。プラットフォーム表面はFOV内まで延びる。本撮像システムはさらに、検査プラットフォームにより支持されると共に該検査プラットフォームの端部の間をプラットフォーム表面に沿って延びる患者搬送ベルトを含む。本撮像システムはさらに、プラットフォーム表面に沿って検査軸の方向に搬送ベルトを動かすように動作可能に結合されかつ構成されたモータを含む。このモータは、搬送ベルトのうちの所定の部分がFOV内部に来るように搬送ベルトを動かす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する主題は全般的には患者位置決め及び撮像システムに関し、またさらに詳細には、患者をスキャンする軸方向位置間での患者移動が可能な撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチモダリティ撮像システムでは、様々な撮像モダリティを用いた患者の関心領域(ROI)のスキャンが可能である。例えばマルチモダリティ撮像システムには、コンピュータ断層(CT)、磁気共鳴撮像(MRI)、陽電子放出断層(PET)、放射線撮像及び/または単一光子放出コンピュータ断層(SPECT)撮像システムを含むことがある。これらのマルチモダリティ撮像システムでは、異なるモダリティユニットがそれぞれの視野域(FOV)を異なる軸方向箇所において有する。動作時において患者は、ROIの画像を取得する第1のFOVに移動させ、次いでROIの別の画像を取得する第2のFOVに移動させる。次いで、医師または医療技師(あるいは、システム)が同じまたは異なるモダリティからの複数の画像に関するデータを合成することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第20070055145号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のマルチモダリティ撮像システムではある種の問題が生じることがある。例えば従来のマルチモダリティ撮像システムは1つまたは複数のFOVまで患者を搬送するために移動可能な撮像パレットを使用している。この撮像パレットはその全体が片持ち梁方式で支持されて撮像システムのボア内まで移動され(すなわち、延ばされ)ている。しかし撮像パレットをボア内まで延ばすと、患者の重量のために撮像パレットが撓むことがある。こうした撓みは、ROIの画像に悪影響を与えることがあり、また異なる画像の合成のためのデータ処理に対しても悪影響を与えることがある。
【0005】
この撓みの問題に対処するために、従来の撮像パレットは体重の重い患者の重量を支えることが可能となるようにより厚くさせることがある。しかしこの厚い撮像パレットは、ROIの画像を取得するときに撮像システムからのエネルギーをより多く吸収することがある。この減衰によって画像が歪められたり、画質が低下することがある。さらに、撮像パレットのサイズを大きくするとスキャン検出器が患者の周りを移動する能力が制限されることがある。
【0006】
さらに使用している撮像モダリティによっては、撮像パレットのある種の幾何学形状が画像にアーチファクトを生じさせることがある。したがって撮像モダリティのそれぞれでアーチファクトを低減させるような異なるパレット幾何学形状が必要となる。しかし、患者を異なるFOVの間で移動させるときに撮像パレットが患者と共に移動するため、患者のROIを支持する撮像パレットの幾何学形状を変更することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、患者内の関心領域(ROI)を撮像するための医用撮像システムを提供する。本撮像システムは、視野域(FOV)を有する撮像モダリティユニットと検査プラットフォームとを含む。検査プラットフォームは、1対の相対する端部とこれらの間を検査軸に沿って延びるプラットフォーム表面とを有する。プラットフォーム表面はFOV内まで延びている。本撮像システムはさらに、検査プラットフォームにより支持されると共に検査プラットフォームの端部の間をプラットフォーム表面に沿って延びる患者搬送ベルトを含む。本撮像システムはさらに、搬送ベルトと動作可能に結合されて該搬送ベルトをプラットフォーム表面に沿って検査軸の方向に動かすように構成されたモータを含む。このモータは、搬送ベルトのうちの所定の部分がFOVの範囲内に来るように搬送ベルトを動かす。
【0008】
別の実施形態では、撮像システムの検査プラットフォーム上に横たえた患者を移動させるように構成された患者位置決めシステムを提供する。本位置決めシステムは、検査プラットフォームにより支持されて検査プラットフォームのプラットフォーム表面に沿って延びるように構成された患者搬送ベルトを含む。本位置決めシステムはさらに、搬送ベルトと動作可能に結合されて該搬送ベルトをプラットフォーム表面に沿って軸方向に動かすように構成されたモータを含む。このモータは、搬送ベルトのうちの所定の部分が撮像システムの視野域(FOV)の範囲内に来るように搬送ベルトを動かす。
【0009】
さらに別の実施形態では、撮像システムを用いて患者内の関心領域(ROI)を撮像するための方法を提供する。この撮像システムは、プラットフォーム表面と該プラットフォーム表面に沿って軸方向に移動するように構成された患者搬送ベルトとを含む。本方法は、撮像モダリティユニットに関連付けされたFOVまで患者を移動するために搬送ベルトをプラットフォーム表面に沿って摺動させるステップと、第1のFOVにおいて患者のROIをスキャンするステップと、を含む。任意選択では本方法は、異なる撮像モダリティユニットに関連付けされた別のFOVまで患者を移動させるステップを含むことがある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】様々な実施形態に従って形成した例示的なマルチモダリティ撮像システムの側面斜視図である。
【図2】図1の撮像システムと一緒に使用できる様々な実施形態に従って形成した位置決めシステムの側面概略図である。
【図3】図2に示した位置決めシステムと一緒に使用できる搬送ベルト上で患者を第1の軸方向位置に配置させた平面図である。
【図4】搬送ベルト上で患者を第2の軸方向位置に配置させた平面図である。
【図5】搬送ベルト上で患者を第3の軸方向位置に配置させた平面図である。
【図6】図1に示した位置決めシステムと一緒に使用できる代替的な駆動機構を表した図である。
【図7】図2に示した位置決めシステムの部分分解図である。
【図8】検査プラットフォームを図7に示した線8−8に沿って切って見た断面図である。
【図9】検査プラットフォームを図7に示した線9−9に沿って切って見た別の断面図である。
【図10】検査プラットフォームを図7に示した線10−10に沿って切って見た別の断面図である。
【図11】様々な実施形態に従って形成した撮像システムのブロック概要図である。
【図12】様々な実施形態に従って患者の関心領域(ROI)を撮像するための方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述した要約、並びに本発明のある種の実施形態に関する以下の詳細な説明は、添付の図面と共に読むことによってさらに十分な理解が得られよう。本明細書で使用する場合、単数形で「a」や「an」の語を前に付けて記載した要素やステップは、これに関する複数の要素またはステップも排除していない(こうした排除を明示的に記載している場合を除く)と理解すべきである。さらに、本発明の「ある1つの実施形態」や「一実施形態」に関する言及は、記載した特徴を組み込んでいる追加的な実施形態の存在を排除すると理解されるように意図したものではない。さらに特に否定の記載を明示的にしていない限り、ある具体的な特性を有するある1つの構成要素または複数の構成要素を「備えた(comprising)」または「有する(having)」実施形態は、当該の特性を有しない追加的なこうした構成要素を含むことがある。
【0012】
本発明の様々な実施形態により図1に示すような撮像システム100が提供される。撮像システム100はマルチモダリティ撮像システムを含む任意のタイプの撮像システムとすることができる。例えば撮像システム100は、陽電子放出断層(PET)モダリティユニット、単一光子放出コンピュータ断層(SPECT)モダリティユニット、コンピュータ断層(CT)モダリティユニット、超音波モダリティユニット、磁気共鳴撮像(MRI)モダリティユニット、X線放射撮像または蛍光透視モダリティユニット及び/または関心領域(ROI)の画像が作成可能な別の任意のモダリティユニットを含む様々なタイプの撮像モダリティユニットを含むことができる。具体的な実施形態では、撮像システム100は医用撮像システムである。本明細書に記載した様々な実施形態はマルチモダリティ医用撮像システムに限定されるものではなく、スタンドアロンPET撮像システムやスタンドアロンSPECT撮像システムなどの単一モダリティ撮像システムも含み得る。さらにこれらの様々な実施形態は人間を撮像対象とした医用撮像システムに限定されるものではなく、獣医学システムも含み得る。本明細書で使用する場合に「患者」という語は人間の患者や別の任意の動物を意味することがある。
【0013】
図1を参照すると撮像システム100は、第1のモダリティユニット102及び第2のモダリティユニット104を含むマルチモダリティ医用撮像システムである。第1及び第2のモダリティユニット102及び104によって撮像システム100は、第1のモダリティユニット102を用いた第1のモダリティにおける患者(図示せず)のスキャンと、さらには第2のモダリティユニット104を用いた第2のモダリティにおける患者のスキャンと、が可能となる。撮像システム100は、単一モダリティシステムと比べた診断能力の向上を容易にするための異なるモダリティでの複数のスキャンを可能にする。一実施形態では、その医用撮像システム100はコンピュータ断層/核医学(CT/NM)撮像システムである。例えばその第1のモダリティユニット102をNM撮像システムとすることがあり、またその第2のモダリティユニット104をCT撮像システムとすることが
ある。
【0014】
撮像システム100はさらに、NM撮像システムに関連付けされたガントリ108とCT撮像システムに関連付けされたガントリ120とを含むように図示している。ガントリ108はNMカメラ119を支持するロータ114を含む。NMカメラ119は例えば、ガンマカメラ、SPECT検出器及び/またはPET検出器とすることがある。ロータ114は、撮像システム100のボア123の中心を通過して延び得る検査軸190の周りでNMカメラ119を回転させるように構成されている。ボア123は検査軸190に沿ってガントリ108及び120内を貫通することがある。ボア123は、患者のボア123内への移動及びそこからの引き出しを可能とさせるようなサイズ及び形状としている。
【0015】
撮像システム100はさらに、患者のROIを所定または所望の軸方向箇所まで検査軸190に沿って移動させるための患者位置決めシステム124を含む。撮像システム100の動作時において位置決めシステム124は、ボア123の中央開口部122を通過して軸方向(すなわち、検査軸190に沿った方向)で患者を移動させることがある。
【0016】
図1に示すように位置決めシステム124は、検査パレットまたはプラットフォーム130、アクチュエータシステム132、患者搬送ベルト134、及び駆動機構136(図2参照)を含むことがある。検査プラットフォーム130はその上にある搬送ベルト134を支持することがあり、また搬送ベルト134は一方、概して水平の位置(例えば、伏臥位や仰臥位)に患者を横たえた際に患者を支持することがある。図示したように検査プラットフォーム130は、1対の相対する端部140及び142と、これら端部140及び142の間を検査軸190に沿って延びるプラットフォーム表面144(図2参照)と、を有する。プラットフォーム表面144は、少なくとも1つの撮像モダリティユニットの視野域(FOV)内まで延びることがある。
【0017】
搬送ベルト134は、検査プラットフォーム130により支持されると共に、端部140と142の間をプラットフォーム表面144に沿って延びている。搬送ベルト134は、検査軸190に沿って所定の軸方向箇所まで患者を移動させるように動かされることがある。アクチュエータシステム132は検査プラットフォーム130を垂直軸192に沿って動かし、これにより患者を所定の高さまで移動させることがある。このため位置決めシステム124は、患者をスキャンするための所望の空間的箇所まで患者を検査軸190に沿いまた垂直軸192に沿って選択的に移動させることがある。
【0018】
プラットフォーム表面144及び検査プラットフォーム130は相対する端部140と142の間でトラッキング長L(ストローク距離とも呼ぶ)だけ延びることがある。撮像システム100の動作時に患者はトラッキング長L全体にわたって移動を受けることがある。例示的な実施形態ではそのトラッキング長Lは撮像システム100の動作時に変化していない。より具体的には検査プラットフォーム130がトラッキング長Lを変えるように検査軸190に沿って移動するような延長可能部分を含んでいない。しかし代替的な実施形態ではその検査プラットフォーム130は、トラッキング長Lを増減するように延長及び後退するような延長可能部分を含むことがある。
【0019】
撮像システム100はさらに、患者のトラッキングやモダリティユニット102及び104を基準とした患者の位置の決定を容易にするトラッキングデバイス150を含むことがある。トラッキングデバイス150は、それぞれのモダリティユニットを基準としたROIの軸方向箇所の決定を容易にすることがある。幾つかの実施形態ではそのトラッキングデバイス150は、搬送ベルト134の動きと患者の動きのうちの少なくとも一方を決定することができる。
【0020】
一例としてトラッキングデバイス150は、関心対象点に向けられた発光ダイオード(LED)センサ及び/または相補形金属酸化膜半導体(CMOS)センサなどの運動センサを含むことがある。より具体的には、搬送ベルト134上の関心対象点にLEDを向け搬送ベルト134で光を跳ね返らせてCMOSセンサ上に導くことがある。CMOSセンサは各画像をディジタル信号プロセッサ(DSP)に送り、これにより各画像内のパターンを検出することがある。DSPは、直前の画像からどのようにパターンが移動したのかを検査する。DSPは、画像のシーケンス全体にわたるパターン変化に基づいて、搬送ベルト134をどれだけ遠くまで移動させたのかを決定し、この情報を制御器(図示せず)に送ることがある。
【0021】
こうした実施形態では、搬送ベルト134が軸方向に移動するときに、運動センサは撮像システム100の制御器と連絡し、搬送ベルトの動きを指示することにより患者の動きを指示している。別法としてあるいは追加として、トラッキングデバイス150は、患者または搬送ベルト134の所定の部分に取り付けられた送信器(図示せず)を含むことがある。(a)患者や搬送ベルト134の所定の部分のトラッキング及び(b)搬送ベルト134の運動の検出のうちの少なくとも一方を行う別のトラッキングデバイスが使用されることもある。
【0022】
図2は位置決めシステム124の側面概略図である。搬送ベルト134は、患者のROIをスキャンできるようにプラットフォーム表面144に沿って動くように構成されることがある。例えば搬送ベルト134は所定の軸方向箇所にあるROIまで動いてこれを保持することがある。搬送ベルト134はさらに、ROIをスキャンしながらあるFOVにわたって所定の速度でROIを移動させることがある。別の例では、搬送ベルト134が所定の軸方向箇所にあるROIまで動いてこれを保持した後で隣り合う所定の軸方向箇所にあるROIまで動いてこれを保持するように、搬送ベルト134がコンパクトカメラ型(point−and−shoot)の撮像システムと一緒に使用されることがある。
【0023】
幾つかの実施形態ではその搬送ベルト134は、プラットフォーム表面144に沿って移動して搬送ベルト134のうちの所定の部分を所定の軸方向箇所に位置決めできるように構成されている。この所定の部分は例えば、搬送ベルト134のうちの患者ROIの箇所に関連付けされた部分とする(すなわち、そのROIを搬送ベルト134の直ぐ上側に位置させる)ことがある。このため、撮像システムのFOV内部で搬送ベルト134のこの所定部分を動かすと、ROIも該FOV範囲内で動かすことができる。
【0024】
異なる軸方向箇所間で患者を移動させているときに、搬送ベルト134はプラットフォーム表面144に沿って並進することがある。例えば搬送ベルト134は、異なる軸方向箇所の間をプラットフォーム表面144の上で摺動することがある。この例示的実施形態では、プラットフォーム表面144及び搬送ベルト134は第1の軸方向箇所Xにあるモダリティユニット102(図1)のFOVの近傍に延びることがある。プラットフォーム表面144及び搬送ベルト134はさらに、第2の軸方向箇所Xにあるモダリティユニット104(図1)のFOVの近傍に延びることもある。第1と第2の軸方向箇所XとXは、軸方向距離DXだけ互いから軸方向に離間させることがある。
【0025】
さらに幾つかの実施形態ではその検査プラットフォーム130は、プラットフォーム部分151、153及び155とブリッジ部分152及び154とを含んだ複数の相互接続部分151〜155を含むことがある。これらの相互接続部分151〜155は端部同士を繋げて配列させると共に、軸方向で互いに整列させることがある。各相互接続部分151〜155は、プラットフォーム表面144の一部分を形成する対応する表面171〜175を含んでいる。表面171〜175は、プラットフォーム表面144が実質的に水平となるように方向付けて互いに対して配列させることがある(すなわち、プラットフォーム表面144が検査軸190(図1)と平行に延びることがある)。プラットフォーム表面144はさらに、患者を様々な軸方向箇所まで移動させる際に搬送ベルト134がプラットフォーム表面144の上を摺動できるように実質的に平滑とさせることがある。
【0026】
しかし代替的な実施形態ではその検査プラットフォーム130は一体として形成させる(例えば、鋳造する)ことがある。例えば検査プラットフォームは複合材料、アルミニウムまたは強化プラスチックから形成させることがある。
【0027】
搬送ベルト134は、力を加えて軸方向にこれを引っ張ったり押したりしたときにプラットフォーム表面144に沿って動かすことが可能な長い可撓性の体部を備えることがある。具体的な実施形態ではその搬送ベルト134は、搬送ベルト134の断面形状がプラットフォーム表面144の輪郭と実質的に同じになるようにプラットフォーム表面144に対して共形性をすることが可能である。搬送ベルト134は実質的に摩耗抵抗性の高強度材料を含むことがある。例えば搬送ベルト134は、Cordura(登録商標)(ナイロン)、Kevlar(登録商標)(ポリアラミドポリパラフェニレンテレフタラミド)、Mylar(登録商標)(二軸延伸ポリエチレンテレフタラート(boPET)ポリエステル薄膜)その他などの素材構造を含むことがある。搬送ベルト134は複数の層または素材構造を含むことがある。別の実施形態ではその搬送ベルト134はさらに、幾つかの要素からなる複合材とすることもある。例えば搬送ベルトは、非常に多くの節や細区画を相互接続させた1つの鎖構造を成すことがある。こうした実施形態では、軸方向箇所の間で移動させる際に患者をこれらの節または細区画上に置くことがある。
【0028】
さらに、搬送ベルト134は、例えば高強度の材料または鎖構造に対して取り付けられてそれを動かしている相対する端部を有する摺動部を含むことがある。こうした実施形態では、軸方向箇所の間で移動させる際に患者が摺動部上に置かれることがある。搬送ベルト134はさらに、コンベアベルトを形成し得る任意の材料及び/または要素を含むことがある。さらに幾つかの実施形態ではその搬送ベルト134は、1つまたは複数のモダリティユニットからの撮像信号に対して透明な体部を含むことがある。
【0029】
プラットフォーム部分151、153及び155は垂直ポスト161、163及び165のそれぞれによって支持されることがある。ブリッジ部分152はプラットフォーム部分151と153を結合することがあり、またブリッジ部分154はプラットフォーム部分153と155を結合することがある。幾つかの実施形態ではそのブリッジ部分152及び154は、対応するブリッジ部分に対して着脱可能に取り付けられる、すなわち着脱可能に装着される。こうした着脱可能ブリッジ部分によって、位置決めシステム124の組み上げや構成を容易にすることができる。図示したように、ブリッジ部分152はプラットフォーム部分151及び153の突起部によって支持されることがあり、またブリッジ部分154はプラットフォーム部分153及び155の突起部によって支持されることがある。プラットフォーム部分151、153及び155は、患者に対する確実な支持を提供するようなサイズ、形状及び材料形成とさせることがある。
【0030】
具体的な実施形態では、ブリッジ部分152及び154は撮像システム100のFOVとFOVのそれぞれの範囲内に配置されている。ブリッジ部分152及び154は、患者のROIをスキャンする際のエネルギー減衰が低減されるようなサイズ、形状及び材料形成とすることがある。ブリッジ部分152及び154はプラットフォーム部分151、153及び155と異なる材料を含むことがある(これについては以下で説明することにする)。さらに幾つかの実施形態ではそのブリッジ部分152及び154は、プラットフォーム部分151、153及び155の断面形状と異なる断面形状を有することがある。
【0031】
図2に示すように、駆動機構136は、少なくとも1つのモータ202と、搬送ベルト134と動作可能に結合された少なくとも1つのローラ204と、を含むことがある。この例示的実施形態ではその駆動機構136は、端部140及び142のそれぞれの近傍に位置決めされた1対のモータ202A及び202Bを含む。モータ202A及び202Bは、ローラ204A及び204Bと動作可能に結合させることがある。例えばモータ202A及び202Bは、その内部においてローラ204A及び204Bがそのドラムシェルとなったドラムモータとすることがある。ローラ204A及び204Bは対応する回転軸の周りで回転することがある。
【0032】
モータ202A及び202Bは、検査プラットフォーム130に直接結合させることがある。具体的には、モータ202Aが検査プラットフォーム130に対して固定の関係を有するようにモータ202Aを検査プラットフォーム130に直接接続させることがある。ローラ204Aもまた、検査プラットフォーム130に直接接続させることがある。同様にモータ202Bは、モータ202Bが検査プラットフォーム130に対して固定の関係を有するように検査プラットフォーム130に直接接続させることがある。ローラ204Bもまた、検査プラットフォーム130に直接接続させることがある。こうした実施形態ではそのモータ202A及び202Bは検査プラットフォーム130と一緒に動くことがある。具体的な実施形態ではそのモータ202Aがプラットフォーム部分151に直接結合され、またモータ202Bがプラットフォーム部分155に直接結合されている。
【0033】
幾つかの実施形態では、搬送ベルト134の少なくとも1つの区画がプラットフォーム表面144に沿って軸方向に移動し次いで方向転換されることがある。例えば搬送ベルト144は搬送ベルト134が軸方向と異なる方向に動くように搬送ベルト134を曲げることによって方向転換させることがある。図2に示すように搬送ベルト134は、ローラ204A及び204Bの回転軸の周りで搬送ベルト134をカーブさせることによって方向転換させることがある。より具体的には搬送ベルト134は、ローラ204A及び204Bの周りに少なくとも1度巻き付けられることがある。一例として、搬送ベルト134が矢印Aにより示した第1の軸方向に動いているときに、搬送ベルト134をローラ204Bの周りに巻き付けることによってローラ204Bが搬送ベルト134を回収することがある。ローラ204Aはこのときに搬送ベルト134の巻きつきをローラ204Aから解き放つことがある。同様に搬送ベルト134が矢印Aに示すような反対の第2の軸方向に動いているときに、ローラ204Aの周りに巻き付けることによってローラ204Aが搬送ベルト134を回収することがある。ローラ204Bはこのときに搬送ベルト134の巻きつきをローラ204Bから解き放つことがある。したがってローラ204A及び204Bは、搬送ベルト134が検査プラットフォーム130に沿って移動するときに搬送ベルト134を方向転換させることができる。
【0034】
幾つかの実施形態ではその搬送ベルト134、ローラ204、モータ202及び検査プラットフォーム130は、撮像システム100の構成要素の修理や交換のための医用撮像システム100へのアクセスの目的で互いから分離することができる。
【0035】
図3〜5は、撮像セッション中の異なる軸方向位置にある患者を表している。搬送ベルト134は、複数のベルト区画211〜213を含むことがある。幾つかの実施形態ではその位置決めシステム124(図2)は、最大で患者をトラッキング長L(図1)の方向に最大軸方向距離DX(図5)だけ移動させることができる。このため、ベルト区画のうちの幾つかは方向転換される一方、他のベルト区画だけはプラットフォーム表面144(図2)に沿って直線的に移動することがある。例えば図示した実施形態では、搬送ベルト134は、1対の端部区画211及び213と、該端部区画211と213の間を延びる体部区画212と、を備える。体部区画212は端部区画211と213を結合させることがある。
【0036】
体部区画212だけがプラットフォーム表面144に沿って移動することがある。換言すると、体部区画212はローラ204(図2)のいずれの周りにも巻きつけられないことがある。さらに端部区画211及び213は、図3〜5に示したようにプラットフォーム表面144に対して出入りするように移動し、ローラ204のうちの一方によって方向転換される(例えば、曲げられるか屈曲される)ように構成されることがある。例えばその端部区画211及び213は、ローラ204A及び204Bのそれぞれの周りに巻きつくように構成されることがある。同様に、対応するローラに対して直接取り付けられると共に該対応するローラから解き放たれることがないようなロール動作区画(参照番号は付与せず)を存在させることがある。
【0037】
体部区画212だけがプラットフォーム表面144に沿って移動するような実施形態では、体部区画212はプラットフォーム表面144に沿って移動するように構成された剛性のすなわち非可撓性の材料を含むことがあり、また端部区画211及び213は可撓性材料を含むことがある。さらに体部区画212は、搬送ベルト134に対する患者支持付属品(図示せず)の結合を容易にする1つまたは複数の留め具216を含むことがある。この支持付属品は搬送ベルト134に着脱可能に取り付けられることがある。支持付属品の例には、マットレス、頭部支持器、頭部拘束デバイス、膝部支持器、腕部支持器、脚部支持器、小児用クレードル、ストラップ、ECGコネクタ、その他が含まれる。
【0038】
代替的な実施形態ではその搬送ベルト134は検査プラットフォーム130の周囲に完全に延びたコンベアベルトと同様とすることがある。より具体的には搬送ベルト134は、プラットフォーム表面144に沿って端部140から端部142まで軸方向に延び、次いで検査プラットフォーム130の下に来るようにカーブし、次いで端部140まで戻るように検査プラットフォーム130に沿って軸方向に延びる1つのループを備えることがある。さらに、別の実施形態ではその搬送ベルト134は、方向指定用のローラその他を用いて検査プラットフォーム130の側面に沿うように、あるいはガントリの傍らまたはその周りで方向転換させることがある。
【0039】
代替的な実施形態ではその位置決めシステム124は、その各々が単独の検査プラットフォーム上に置かれた1つの搬送ベルトを有するような複数のより小型の個別位置決めシステムを備えることがある。この複数の位置決めシステムは互いに端部と端部を合わせて配列させることがある。単独の搬送ベルトの各々は対応する駆動機構と動作可能に結合させることがある。患者が軸方向に動かされるに連れて、第1の検査プラットフォーム上の第1の搬送ベルトから第2の検査プラットフォーム上の単独の第2の搬送ベルトまで患者が移動することがある。こうした実施形態では、オペレータが撮像システムの様々な部分にアクセスできるように、その単独の位置決めシステムを移動可能とさせることがある。
【0040】
図2に戻ると、アクチュエータシステム132は、高さを選択するために検査プラットフォーム130を動かすように構成された複数の垂直アクチュエータ221〜223を含むことがある。より具体的には垂直アクチュエータ221〜223は、垂直軸192(図1)に沿って検査軸190と実質的に直交する方向に検査プラットフォーム130を動かすことがある。垂直アクチュエータ221〜223は、ポスト161、163及び165のそれぞれを含むことがある。ポスト161、163及び165はプラットフォーム部分151、153及び155のそれぞれを支持することがある。図示していないが、垂直アクチュエータ221〜223は、ポスト161、163及び165を選択式に動かしてプラットフォーム部分151、153及び155を移動させるためのモータあるいは別の幾つかの電気式、油圧式または空気圧式の機構を含むことがある。
【0041】
したがって位置決めシステム124は、検査軸190に沿ってボア123(図1)を通過するように患者を所望の軸方向箇所まで選択に移動させ、さらにボア123内部で患者を所望の高さに選択に位置決めすることがある。
【0042】
さらに幾つかの実施形態ではその垂直アクチュエータ221〜223は、中心軸の周りに検査プラットフォームが回転できるように個々に動作させることがある。より具体的には位置決めシステム124は、患者が検査軸190に対してある角度の向きとなるように検査プラットフォーム130を傾斜させるように動作させることがある。
【0043】
さらに図2に示したように垂直アクチュエータ221〜223(または、ポスト161、163及び165)は検査軸190に沿って互いから離間させることがある。より具体的には垂直アクチュエータ221及び222(または、ポスト161及び163)はこれらの間に間隔Sを有することがある。間隔Sは、その間にモダリティユニット104(図1)をはめ込めるようなサイズ及び形状とすることがある。垂直アクチュエータ222及び223(または、ポスト163及び165)はこれらの間に間隔Sを有することがある。間隔Sは、その間にモダリティユニット102(図1)をはめ込めるようなサイズ及び形状とすることがある。
【0044】
したがって撮像システム100は、検査プラットフォーム130の重量と患者の重量を複数の軸方向箇所で支持することがある。幾つかの実施形態ではその撮像システム100は、互いに軸方向に離間させた少なくとも2つの垂直アクチュエータ(または、ポスト)を含む。このため撮像システム100は、撓みや患者を検査プラットフォーム130に沿って移動させたときの患者の不用な任意の垂直方向の動きを低減させることができる。
【0045】
さらに、代替的な駆動機構を位置決めシステム100と一緒に使用することがある。例えば図6は駆動機構536を図示しており、検査プラットフォーム530及び搬送ベルト534の一部分を示している。搬送ベルト534は検査プラットフォーム530の下でローラ504と動作可能に結合させることがある。使用時において搬送ベルト534は検査プラットフォーム530の端部に配置させた端部ローラ506によって方向転換される。端部ローラ506は、搬送ベルト534を検査プラットフォーム530の下に接して延びるように方向変換させている。搬送ベルト534は駆動ベルト508を通過してモータ502と動作可能に結合されたローラ504の周りに巻きついてまたはスプール状になっている。端部ローラ506とローラ504は、モータ502により駆動ベルト508を駆動させたときに回転する。
【0046】
図7は、位置決めシステム124の部分分解図である。この例示的実施形態ではその検査プラットフォーム130のプラットフォーム表面144は凹の曲線状の輪郭を有する(例えば、プラットフォーム表面144はクレードル形状とすることがある)。搬送ベルト134(図1)は、プラットフォーム表面144の形状と共形的となるような形状とするまたは共形的となるように構成されることがある。プラットフォーム表面144のこの曲線状の輪郭によって患者を軸方向に移動させる際に患者を有効に保持するまたはクレードル支持することができる。このためプラットフォーム表面144によって所望の向きでの患者の保持を容易にすること、あるいは誤って患者がプラットフォーム表面144から転げ落ちることを防止することができる。幾つかの実施形態ではその相互接続部分151〜155(図2)の表面171〜175(図2)は、プラットフォーム表面144を覆うように搬送ベルト134を平滑に摺動できるようにプラットフォーム表面144と搬送ベルト134の間の摩擦を低減するように鏡面研磨されている。
【0047】
さらに図示したように位置決めシステム124は、少なくとも1つの垂直アクチュエータを収容するシステム基部210を含むことがある。システム基部210は、検査プラットフォーム130上の搬送ベルト134への患者の昇降を可能とさせるようなサイズとすることがある。システム基部210は少なくとも検査プラットフォーム130の端部142まで延びることがある。搬送ベルト134はシステム基部210内まで方向転換されることがある。
【0048】
代替的な実施形態ではそのシステム基部210は、患者の検査プラットフォーム130への昇降を容易にするために上述のような個々の位置決めシステムを含むことがある。
【0049】
図8〜10は、図7に示すような検査プラットフォーム130の様々な断面を表している。図8は、線8−8に沿って切って見たプラットフォーム部分153の断面を表している。図9は線9−9に沿って切って見たブリッジ部分154の断面を表しており、また図10は線10−10に沿って切って見たブリッジ部分152の断面を表している。ブリッジ部分152及び154は、プラットフォーム部分151、153及び155に対して異なる断面形状(例えば、厚さ、幾何学形状、輪郭)を有することがある。ブリッジ部分152及び154はさらに、プラットフォーム部分151、153及び155異なる材料を含むことがある。
【0050】
患者テーブルのある種の幾何学形状では画像に形成(formation)やアーチファクトを生じさせることがある。ある幾何学形状は第1のモダリティユニットではアーチファクトを生じさせるが、第2のモダリティユニットではアーチファクトを生じさせないことがある。このためブリッジ部分152及び154はさらに互いに対して異なる断面形状を有することがある。一例としてブリッジ部分152と154がNMモダリティユニットとCTモダリティユニットのそれぞれで使用されることがある。
【0051】
より具体的には、ブリッジ部分152及び154の表面172及び174はプラットフォーム部分153の表面173の輪郭と実質的に同様の輪郭を有することがある。さらに図示したように、プラットフォーム部分153は厚さT3を有することがあり、またブリッジ部分152及び154はそれぞれ厚さT2及びT4を有することがある。厚さT2及びT4は、異なる撮像モダリティに対応できるように互いに異ならせることがある。厚さT3は、検査プラットフォーム130に構造上の完全性を提供すると共に患者をその上に配置したときに患者を支持するように構成されることがある。幾つかの実施形態では、厚さT4のように厚さを検査プラットフォーム130の幅W全体にわたって実質的に均一とさせることがあり、あるいは厚さT2及びT3のように厚さを幅W全体にわたって変化させることがある。
【0052】
代替的な実施形態ではそのブリッジ部分152及び154は検査プラットフォームの幅Wに沿ってその全体が延びていない。換言するとブリッジ部分152及び154は、開口部または穴を含むことがある。例えば代替的な実施形態は、検査プラットフォーム130の幅Wに沿って分離された1対のレールを有することがある。この1対のレールは検査軸190に沿って延びて隣り合うプラットフォーム部分を結合させることがある。こうした実施形態ではその搬送ベルト134(図1)はレールに沿って摺動し患者を支持するのに十分な堅牢性とすることがある。しかしこの例示的実施形態ではそのプラットフォーム表面144の曲率は、検査プラットフォーム130全体にわたって実質的に均一である。
【0053】
図11は、図1に示した撮像システム100と同様とし得る撮像システム300のブロック概要図である。撮像システム300は、異なるモダリティユニット302及び304、位置決めシステム324、並びにトラッキングデバイス350と1つまたは複数の通信リンク(破線で示す)を介して通信可能に結合させたワークステーション334を含むことがある。この通信リンクは有線式及び/またはワイヤレス式の通信リンクとすることがある。ワークステーション334は例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、またはハンドヘルド型デバイスとすることがある。この例示的実施形態ではそのワークステーション334は、撮像システム300の構成要素に対するリアルタイム動作を制御する。ワークステーション334はさらに、医用画像の診断収集及び再構成処理を実行するようにプログラムされることがある。
【0054】
ワークステーション334は、中央演算処理装置(CPU)または制御器340、ディスプレイ342及び入力デバイス344を含む。本明細書で使用する場合に「制御器」という用語は、マイクロコントローラを用いたシステム、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、書き換え可能ゲートアレイ(FPGA)、論理回路、本明細書に記載した機能の実行が可能な別の任意の回路やプロセッサを含むプロセッサベースまたはマイクロプロセッサベースのシステムを含むことがある。この例示的実施形態ではその制御器340は、入力データの処理のために1つまたは複数の記憶素子またはメモリ内に記憶させた1組の命令を実行する。さらにこの記憶素子は、所望によりまたは必要に応じてデータやその他の情報を記憶することがある。この記憶素子は制御器340内部において情報源または物理的メモリ素子の形態をとることがある。
【0055】
この命令の組は、本明細書に記載した様々な実施形態の方法や処理などの指定の動作を実行するように処理装置としての制御器340に指令するための様々なコマンドを含むことがある。この命令の組はソフトウェアプログラムの形態とすることがある。本明細書で使用する場合、「ソフトウェア」と「ファームウェア」という用語は置き換え可能であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含めコンピュータによって実行するためにメモリ内に記憶された任意のコンピュータプログラムを含む。上述のメモリタイプは単に例示であり、またしたがってコンピュータプログラムの記憶に使用可能なメモリのタイプを限定するものではない。
【0056】
このソフトウェアは、システムソフトウェアやアプリケーションソフトウェアなど様々な形態をとることがある。さらにこのソフトウェアは、単独のプログラムからなる集合体、より大型のプログラム内部にあるプログラムモジュール、あるいはプログラムモジュールの一部分の形態をとることがある。このソフトウェアはまた、オブジェクト指向プログラミングの形態をしたモジュール型プログラミングを含むことがある。処理マシンによる入力データの処理は、ユーザコマンドに応答すること、以前の処理結果に応答すること、あるいは別の処理マシンが出した要求に応答することがある。
【0057】
制御器340は入力デバイス344からユーザ入力(例えば、ユーザコマンド)を受け取る。入力デバイス344は例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、音声認識システム、その他とすることができる。オペレータは入力デバイス344を介して撮像システム300の動作を制御することがある。より具体的にはオペレータは、患者のROIに対して1回または複数回のスキャンを実行するように位置決めシステム324とモダリティユニット302及び304を制御することがある。さらにオペレータは、事前計画した撮像シーケンスやプロトコルを開始させるユーザ入力を提供することがある。同様にオペレータは、得られた画像のディスプレイ342上への表示を制御することがあり、また制御器340が実行するプログラムを用いて画像強調機能を実行することが可能である。
【0058】
図12は、様々な実施形態に従って関心領域(ROI)を撮像する方法400のブロック図である。方法400は、上に記載した撮像システム100などのマルチモダリティ撮像システムと一緒に使用されることがある。この撮像システムは、撮像システムのボアを通過するように検査軸に沿って延びる検査プラットフォームを含むことがある。この撮像システムはさらに、第1及び第2の撮像モダリティユニットを含むことがある。第1の撮像モダリティユニットは第1の軸方向箇所において1つのFOVを有することがあり、また第2の撮像モダリティユニットは第2の軸方向箇所において1つのFOVを有することがある。検査プラットフォームは、第1と第2のFOVの両者の近傍を延びることがある。
【0059】
402において、検査プラットフォーム上に患者が位置決めされることがある。より具体的には、検査プラットフォームのプラットフォーム表面に沿って軸方向に延びる移動可能な患者搬送ベルト上に患者を位置決めすることがある。患者のトラッキングを容易にするために周知のまたは所望の箇所に患者を位置決めすることがある。患者はホーム位置または軸方向箇所に置かれることがある。404において、搬送ベルト(または、患者)のうちの所定の部分が撮像モダリティユニットのうちの1つに関連付けされたFOV内部に来るように搬送ベルトをプラットフォーム表面に沿って軸方向に動かすことがある。より具体的には、搬送ベルトの所定の部分を第1のモダリティユニットの第1のFOV内部まで移動させることがある。
【0060】
406では、そのモダリティユニットを基準とした患者の位置を決定するために患者と搬送ベルトのうちの少なくとも一方がトラッキングされることがある。408では、第1のFOVにおいて患者のROIがスキャンされることがある。このROIの画像データは撮像システムの制御器に伝送されることがある。410では、搬送ベルト(または、患者)の所定の部分が第2のFOV内部に来るように、搬送ベルトをプラットフォーム表面に沿って同じ軸方向に動かすことがある。412では、第2のモダリティユニットによって患者のROIがスキャンされることがあり、またその画像データが制御器に伝送されることがある。414では、第1及び第2のスキャンからのデータを、単独の画像を提供するように処理すること、あるいは第1と第2のスキャンの両方のデータを含んだ合成画像を提供するように処理することがある。患者スキャンセッションの終了時点で、患者を検査軸に沿ってホーム位置まで移動させることがある。
【0061】
代替的な実施形態では、撮像システムの一方の側にあるホーム位置から撮像システムのボアを通過させて撮像システムの反対側にある退出位置まで患者を移動させることがある。例えば、患者を軸方向にホーム位置からボア内部の第1のFOVまで移動させることがある。第1のFOVにおいて患者をスキャンした後、同じ軸方向で患者を第2のFOVまで移動させることがある。第2のFOVにおいて患者をスキャンした後、患者が検査プラットフォームから降りる位置である退出位置まで同じ軸方向で患者を移動させることがある。
【0062】
上の記述は例示であって限定でないことを理解されたい。例えば上述の実施形態(及び/または、その態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。さらに、具体的な状況や材料を本発明の教示に適応させるように本趣旨を逸脱することなく多くの修正を実施することができる。例えば、方法において記載したステップの順序は明示的に述べるか黙示的に要求されない場合(例えば、あるステップが以前のステップの結果または生成物が利用可能であることを要する場合)を除き、ある特定の順序で実行することを要しない。本明細書内に記載した材料の寸法及びタイプが本発明のパラメータを規定するように意図していても、これらは決して限定ではなく実施形態の例示にすぎない。上の記述を検討し理解することにより当業者には別の多くの実施形態が明らかとなろう。本発明の範囲はしたがって、添付の特許請求の範囲、並びに本請求範囲が規定する等価物の全範囲を参照しながら決定されるべきである。添付の特許請求の範囲では、「を含む(including)」や「ようになった(in which)」という表現を「を備える(comprising)」や「であるところの(wherein)」という対応する表現に対する平易な英語表現として使用している。さらに添付の特許請求の範囲では、「第1の」、「第2の」及び「第3の」その他の表現を単にラベル付けのために使用しており、その対象に対して数値的な要件を課すことを意図したものではない。さらに、添付の特許請求の範囲の限定は手段プラス機能形式で記載しておらず、また35 U.S.C.§112、第6パラグラフに基づいて解釈されるように意図したものでもない(ただし、本特許請求の範囲の限定によって「のための手段(means for)」の表現に続いて追加的な構造に関する機能排除の記述を明示的に用いる場合を除く)。
【0063】
この記載では、本発明(最適の形態を含む)を開示するため、並びに当業者による任意のデバイスやシステムの製作と使用及び組み込んだ任意の方法の実行を含む本発明の実施を可能にするために例を使用している。本発明の特許性のある範囲は本特許請求の範囲によって規定していると共に、当業者により行われる別の例を含むことができる。こうした別の例は、本特許請求の範囲の文字表記と異ならない構造要素を有する場合や、本特許請求の範囲の文字表記と実質的に差がない等価的な構造要素を有する場合があるが、本特許請求の範囲の域内にあるように意図したものである。
【符号の説明】
【0064】
100 医用撮像システム
102 第1のモダリティユニット
104 第2のモダリティユニット
108 ガントリ
114 ロータ
119 NMカメラ
120 ガントリ
122 中央開口部
123 ボア
124 位置決めシステム
130 検査プラットフォーム
132 アクチュエータシステム
134 患者搬送ベルト
136 駆動機構
140 端部
142 端部
144 プラットフォーム表面
150 トラッキングデバイス
151 プラットフォーム部分
152 ブリッジ部分
153 プラットフォーム部分
154 ブリッジ部分
155 プラットフォーム部分
161 ポスト
163 ポスト
165 ポスト
171 表面
172 表面
173 表面
174 表面
175 表面
190 検査軸
192 垂直軸
202A モータ
202B モータ
204A ローラ
204B ローラ
210 システム基部
211 端部区画
212 体部区画
213 端部区画
216 留め具
221 垂直アクチュエータ
222 垂直アクチュエータ
223 垂直アクチュエータ
300 撮像システム
302 モダリティユニット
304 モダリティユニット
324 位置決めシステム
334 ワークステーション
340 制御器
342 ディスプレイ
344 入力デバイス
350 トラッキングデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の関心領域(ROI)を撮像するための医用撮像システム(100)であって、
視野域(FOV)を有する撮像モダリティユニット(102)と、
1対の相対する端部とこれらの間を検査軸(190)に沿って延び前記FOV内まで延びているプラットフォーム表面(144)とを有する検査プラットフォーム(130)と、
検査プラットフォーム(130)により支持されると共にプラットフォーム表面(144)に沿って検査プラットフォーム(130)の端部の間を延びる患者搬送ベルト(134)であって、該搬送ベルト(134)の所定の部分をFOVの範囲内まで移動させるようにプラットフォーム表面(144)に沿って移動可能な搬送ベルト(134)と、
を備える撮像システム(100)。
【請求項2】
前記プラットフォーム表面(144)は実質的に平滑であり、前記搬送ベルト(134)はプラットフォーム表面(144)に沿って移動させたときにこれの上を摺動している、請求項1に記載の撮像システム(100)。
【請求項3】
前記搬送ベルト(134)は、搬送ベルト(134)の断面形状がプラットフォーム表面(144)の輪郭と実質的に同様となるようにプラットフォーム表面(144)に合わせた共形性である、請求項1に記載の撮像システム(100)。
【請求項4】
搬送ベルト(134)と動作可能に結合されており、プラットフォーム表面(144)に沿って検査軸(190)の方向に搬送ベルト(134)を移動させるモータ(202)をさらに備える請求項1に記載の撮像システム(100)。
【請求項5】
前記モダリティユニットは第1のモダリティユニット(102)でありかつ前記FOVはプラットフォーム表面(144)に沿った第1の軸方向箇所を有すると共に、プラットフォーム表面(144)に沿った異なる第2の軸方向箇所にあるFOVを有する第2の撮像モダリティユニット(104)をさらに備えて、搬送ベルト(134)が第1と第2の軸方向箇所の間で前記所定の部分を動かすように構成されている、請求項1に記載の撮像システム(100)。
【請求項6】
搬送ベルト(134)を方向転換するように構成させたローラ(204)をさらに備えており、前記搬送ベルト(134)は該ローラ(204)を一方向に回転させたときにローラ(204)の回転軸の周りでカーブしている、請求項1に記載の撮像システム(100)。
【請求項7】
前記検査プラットフォーム(130)は、その間を延びるブリッジ部分(152)によって互いに結合された第1及び第2のプラットフォーム部分(151及び153)を備えており、該ブリッジ部分(152)はモダリティユニット(102)のFOVの範囲内に配置されている、請求項1に記載の撮像システム(100)。
【請求項8】
前記搬送ベルト(134)は、1対の端部区画(211及び213)と該端部区画(211及び213)の間を延びる体部区画(212)とを備えており、該体部区画(212)だけがプラットフォーム表面(144)に沿って移動し、該端部区画(211及び213)は該体部区画(212)をプラットフォーム表面(144)に沿って動かしたときにプラットフォーム表面(144)に対して出入りするように動く、請求項1に記載の撮像システム(100)。
【請求項9】
プラットフォーム表面(144)と該プラットフォーム表面(144)に沿って軸方向に移動するように構成された患者搬送ベルト(134)とを備える撮像システム(100)を用いて患者内の関心領域(ROI)を撮像するための方法であって、
搬送ベルト(134)のうちの所定の部分が撮像モダリティユニット(102)に関連付けされたFOV内部に来るようにプラットフォーム表面(144)に沿って搬送ベルト(134)を摺動させるステップと、
第1のFOVにおいて患者のROIをスキャンするステップと、
を含む方法。
【請求項10】
前記FOVが第1のFOVでありかつ前記モダリティユニットが第1のモダリティユニット(102)であると共に、
搬送ベルト(134)の前記所定部分が第2の撮像モダリティユニット(104)に関連付けされた第2のFOV内部に来るように搬送ベルト(134)をプラットフォーム表面(144)に沿って摺動させるステップと、
第2のFOVにおいて患者のROIをスキャンするステップと、
をさらに含む請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−87930(P2011−87930A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233177(P2010−233177)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】