説明

医用材料取扱システム

第1のボディ部分を有する第1のシリンジを含むシステム。第1の試料移送部分第1のシリンジ入口と第1のシリンジ出口とを有する。血液試料処理チャンバはチャンバ入口を有し、第1のシリンジ出口は該チャンバ入口と共に第1の専用の流体継手を構築する働きが可能である。血液試料処理チャンバは処理後に処理済みの血液試料を分与するチャンバ出口を有する。第2のシリンジは第2のボディ部分と第2の試料移送部分とを有し、該第2の試料移送部分がチャンバ出口と共に第2の専用の流体継手を形成する働きが可能な第1のアクセス位置を備えた通路を有する。第2のボディ部分は第2のシリンジ出口を有し、該通路が第2のシリンジ出口との流体連通する第2のアクセス位置を有し、第2のボディ部分はロックされた第3の流体継手を第2のアクセス位置と第2のシリンジ出口との間に形成する解放可能なロック手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療処置の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年、患者を処置する方法が非常に大きく変化してきた。ほとんどの社会医療保障システムは、生産性を改善するように変更されてきた。しかし、これらの変更は、問題なく行われたわけではなかった。最近の心肺移植手術は、比較的小さな見落とし、すなわち、ドナー患者とレシピエント患者との血液型の不適合が原因で、酷い失敗に終わった。この事件には、誤った医薬品を与えられている患者の記事によって暗雲が投げかけられている。各患者の特有の、場合によっては独特の需要を考えると、このことは、患者が適正な医薬品および/または医療処置を与えられていることを確認するために、患者およびその処置のモニタリングを改善する必要を示唆している。
【特許文献1】PCT国際特許出願第PCT/CA00/01078号
【特許文献2】米国特許仮出願第60/482725号
【特許文献3】米国特許仮出願第60/421781号
【特許文献4】PCT国際特許出願第PCT/CA03/01645号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、新規の医用材料取扱システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、本発明は、自己血液試料の収集(collection)、処理(treatment)、および供給(delivery)のためのシステムであって、第1のボディ部分と第1の試料移送部分とを有する第1のシリンジを含んでおり、該第1の試料移送部分が、患者から未処理の血液試料を抜き出す第1のシリンジ入口と、未処理の血液試料を分与する第1のシリンジ出口とを有しており、該システムがさらに、チャンバ入口を有する血液試料処理チャンバを含んでおり、該第1のシリンジ出口が、未処理の血液試料を血液試料処理チャンバに分与するために、チャンバ入口とともに第1の専用の流体継手を構築する働きをすることが可能であり、該血液試料処理チャンバが、処理後に処理済みの血液試料を分与するチャンバ出口を有しており、該システムがさらに、第2のボディ部分と第2の試料移送部分とを有する第2のシリンジを含んでおり、該第2の試料移送部分が、チャンバ出口とともに第2の専用の流体継手を形成する働きをすることが可能な第1のアクセス位置を備えた通路を有しており、該第2のボディ部分が第2のシリンジ出口を有しており、該通路が第2のシリンジ出口との流体連通のための第2のアクセス位置を有しており、該第2のボディ部分がさらに、ロックされた第3の流体継手を第2のアクセス位置と第2のシリンジ出口との間に形成する、解放可能なロック手段を有しており、該ロック手段が、解放信号に応答して第3の流体継手を解放する働きをすることが可能であり、該第2のシリンジ出口が、第3の流体継手から解放されたときに、血液試料供給ユニットとともに第4の流体継手を形成する働きをすることが可能なシステムを提供する。
【0005】
一実施形態では、未処理の血液試料について由来患者を識別する識別手段と、由来患者と処理済みの血液試料との間のマッチングを検証する検証手段と、該検証手段による肯定の検証に応答して解放信号を生成する解放信号生成手段とが提供される。
【0006】
識別手段および/もしくは解放信号生成手段は、第2のシリンジボディ上、第2の試料移送部分上、または外部物品上に配置することができる。外部物品は、ピン留め式もしくは自己接着ラベルや被コーティング物など、患者によって着用され、携持され、取り付けられ、または摂取されるものにすることができる。外部物品が、患者および/または処理済み血液試料に関する監査データを含んだ取外し可能部分を含むことが好ましい。外部物品は、好都合には、由来患者によって着用されることになるリストバンドとして提供することができる。
【0007】
一実施形態では、検証手段には、由来患者アイデンティティデータと処理済み血液試料アイデンティティデータとを比較する比較手段と、由来患者アイデンティティデータおよび/または血液試料アイデンティティデータに関連付けられた、場合によっては該アイデンティティデータを含む、1つもしくは複数の信号を受け取るための信号受信手段と、患者アイデンティティデータおよび処理済み血液試料アイデンティティデータを格納するメモリ手段とが含まれる。メモリ手段は、未処理血液試料収集イベントと処理済み血液試料供給イベントとを含めた、またはそれらのイベント間の、所定のイベントに関する少なくとも1つの時刻値を決定するために、時刻値データを格納する。
【0008】
また、時刻値には、望むなら、未処理血液試料収集イベントと処理済み血液試料供給イベントとを含めた、またはそれらのイベント間の、2つの所定のイベントの間の少なくとも1つの経過時間値を含めることもできる。この場合、検証手段を、経過時間値が所定の最大経過時間値を超過したときに、ロックされた第3の流体継手の解放を阻止する働きができるようにすることができる。検証手段は、また、血液処理ユニットと相まって、血液試料処理チャンバ内で血液試料を処理する働きをすることができる。この場合、検証手段を、経過時間値が所定の最大経過時間値を超過したときに血液試料の処理を阻止する働きができるようにすることができる。
【0009】
一実施形態では、検証手段は、第1のシリンジ内の未処理の血液試料と由来患者との間のマッチングを検証する働きをすることが可能である。第1のシリンジは、その中の未処理の血液試料を表す第1のシリンジアイデンティティコードを割り当てられており、由来患者は、該由来患者を表す由来患者アイデンティティコードを割り当てられており、該第1のシリンジアイデンティティコードおよび該由来患者アイデンティティコードには関連データまたは共通データが含まれる。第1のシリンジアイデンティティコードには、また、由来患者からの未処理試料の収集および/またはその検証の時刻を表す第1の時刻値も含めることができる。また、第2のシリンジも、その中の処理済み血液試料を表す第2のシリンジアイデンティティコードを割り当てられる。第2のシリンジアイデンティティコードには、また、血液試料処理チャンバから該第2のシリンジへの処理済み試料の供給および/またはその検証の時刻を表す第2の時刻値も含めることができる。
【0010】
一実施形態では、識別手段には、未処理血液試料アイデンティティデータを運ぶ第1の信号を発信する第1の信号発信手段と、該第1の信号を受け取るための第1の信号受信手段とが含まれる。第1の信号発信手段は、好都合には、第1のシリンジ上に配置することができる。識別手段には、また、処理済み血液試料アイデンティティデータを運ぶ第2の信号を発信する第2の信号発信手段と、該第2の信号を受け取るための第2の信号受信手段とが含まれており、第2の信号発信手段は、好都合には、第2のシリンジ上に配置することができる。
【0011】
一実施形態では、第1のシリンジの第1のボディ部分には、未処理血液試料受取チャンバが含まれており、第1の試料移送部分には、未処理血液試料受取チャンバと第1のシリンジ入口および第1のシリンジ出口とを接合する通路と、第1のシリンジ入口を通る血液の流れを制御する第1のシリンジ入口弁手段とが含まれる。この場合、第1のシリンジ入口弁手段には、隔壁が含まれており、外部の血液収集物品上または該物品との中間に配置され、かつそれと係合した位置にある相補的な貫通部材をさらに含む。
【0012】
望むなら、第2の血液試料移送部分には、また、通路内に、処理済み血液試料中の1つもしくは複数のガス構成要素を追い出すフィルタ付き通気出口を含めることもできる。
【0013】
一実施形態では、第1および第2の専用の継手の一方もしくは両方が、第1のシリンジの第1の試料移送部分および第2のシリンジの第2の試料移送部分と血液試料処理チャンバとを、それぞれの開放流体移送条件で解放可能にロックする働きをすることが可能である。この場合、第1および第2の継手は、第1および第2の専用の継手が、血液試料処理チャンバと対応する第1および第2の試料移送部分との間で相対回転変位が起こると、ロックされた開放流体移送条件を確立するように構成される。
【0014】
一実施形態では、第2のシリンジ出口には、そこを通る血液試料の流れを制御し、かつそれを2段階で実施する、第2のシリンジ出口弁手段が含まれる。第1段階では、第2のシリンジ出口弁手段には、弁要素部分および弁座部分と、弁要素部分を弁座部分に対して動かす作動手段とが含まれており、該作動手段が、第2のボディ部分が第2の試料移送部分に係合したときに弁要素を弁座部分から変位させる働きをすることが可能である。第2の試料移送部分には、第2のシリンジ出口をその中で受けるためのハウジングが含まれており、該ハウジングが、第2のアクセス位置と流体連通する雌型部材を有しており、第2のシリンジ出口には、雌型部分に係合するための雄型部分が含まれており、作動手段には、雌型部分と雄型部分とが係合すると該雌型部分によって変位することになる、雄型部分に隣接した作動部分が含まれる。外側のシース部分は、環状の雌型部分受取通路をそこに形成するように、雄型部分から離隔されており、作動部分には、該環状通路内に位置決めされた少なくとも1つの第1の作動要素が含まれる。
【0015】
第2段階では、作動手段は、第2の試料移送部分から第2のボディ部分が引き離されたときに弁要素を弁座部分と係合させる働きをすることが可能であり、第2のシリンジ出口端部分が第2のボディ部分から外側に延びる。この場合、作動部分には、第2のシリンジ出口端部分を越えて横方向外側に延びる、少なくとも1つの第2の弁作動要素が含まれる。第2の出口端部分は、斜角遠位端を有しており、第2の弁作動要素は、第2の出口端部分の斜角遠位端に係合するように構成された遠位端領域を有する。第2の弁作動要素の遠位端領域は、弁要素部分が弁座部分と係合したときに第2の出口端部分の斜角遠位端と入れ子状に配置されるように傾斜している。ゆえに、第2の弁作動要素は、弁部分が弁座部分に対して変位するにつれて第2の出口端部分の外側表面に沿って移動するように配設される。ハウジング内にはカラー部材が配置されており、該カラー部材には、第3の流体継手を形成するように第2の出口端部分を受けるためのチャンバが含まれる。第2の弁作動要素には、そこから外側に延びる当接フランジが含まれており、該当接フランジが、チャンバから第2のシリンジ出口が取り外されたときにチャンバ内の指定位置に当接する働きをすることが可能である。
【0016】
一実施形態では、解放可能なロック手段には、第2のアクセス位置に隣接して位置決めされたバリア部材が含まれており、該バリア部材は、第2の出口端部分に該バリア部材が係合するロック位置と、第2の出口端部分から該バリア部材が後退した解放位置との間で移動可能である。バリア部材は、解放位置に偏倚しており、ブレース手段がバリアをロック位置で支えており、該ブレース手段は、所定の電流の存在下で解放可能である。
【0017】
他の態様では、本発明は、材料収容部分と材料移送部分とを含む材料分与デバイスであって、該材料移送部分には、材料収容部分との間で材料を移送し合うための通路が含まれており、該通路が、材料収容部分と流体連通する第1のアクセス位置と、第2のアクセス位置と、第2のアクセス位置を通る材料の流れを制御する第2のアクセス位置制御手段とを有しており、該第2のアクセス位置制御手段には、通路が閉じた非貫通状態と、通路が開いた貫通状態とで動作可能な、貫通可能な隔壁が含まれており、該通路がさらに第3のアクセス位置を含んでおり、該第3のアクセス位置に、医用材料分与装置とともに専用の流体継手を形成する手段が含まれるデバイスを提供する。
【0018】
材料収容部分は、材料移送部分と一体に形成することができ、または材料移送部分から分離可能にすることができる。
【0019】
一実施形態では、隔壁には、直径および深さを有し、深さが直径に近い、弾性材料のブロックが含まれる。隔壁ハウジング部分が隔壁を収めており、隔壁を貫通する貫通部材が設けられる。貫通部材は、隔壁ハウジング部分に係合可能な、好ましくは該隔壁ハウジング部分の外表面と相補的な形態で係合可能なフランジに結合されている。貫通部材は、中空もしくは溝付きスパイク部材を含め、いくつかの形態で提供することができる。
【0020】
一実施形態では、隔壁への接近を制御するために、ロッキング配置が設けられる。この場合、隔壁は、エンドフランジに隣接して配置されており、該エンドフランジが、スパイク部材の断面に合致するように所定の断面を備えた開口部を有する。隔壁は、エンドフランジに隣接した内側の隔壁通路を有しており、少なくとも1つのロック、好ましくは1対のロック部材が、内側の隔壁通路を塞ぐための動作可能位置と動作不能位置との間で移動可能であり、ロック部材には、内側の隔壁通路に最小限の横寸法のスパイク部材が存在することによって該ロッキング部材を動作不能位置に変位させる変位手段がさらに含まれる。各ロック部材は、外側のロックフランジを有しており、動作可能位置で該ロックフランジが互いに重なり合う。変位手段には、外側のロックフランジに隣接して各ロック部材上に配置されたシャンク部分が含まれており、該シャンク部分が、動作可能位置で内側の隔壁通路内の互いに隣接した位置にくるように配設されており、最小限の横寸法のスパイク部材がシャンク部分間に挿入されたときに、シャンク部分が動作不能位置へと移動可能である。
【0021】
本発明の他の態様では、チャンバおよび出口と、出口を制御する弁手段とを含む材料分与デバイスであって、該弁手段には、チャンバが閉じた非貫通状態と、チャンバが開いた貫通状態とで動作可能な、貫通可能な隔壁が含まれており、該隔壁には、直径および深さを有し、深さが直径に近い、弾性材料のブロックが含まれており、該デバイスがさらにエンドフランジを含んでおり、該エンドフランジが、所定の断面をもつ開口部を有しており、該デバイスがさらに、隔壁を貫通してチャンバを開放する貫通部材を含んでおり、該貫通部材が、密嵌関係で開口部の断面と合致する合致断面を有しており、該開口部が、合致断面をもたない貫通部材が隔壁に接近するのを阻止するデバイスが提供される。
【0022】
本発明の他の態様では、チャンバおよび出口と、出口を制御する弁手段とを含む材料分与デバイスであって、該弁手段には、チャンバが閉じた非貫通状態と、チャンバが開いた貫通状態とで動作可能な、貫通可能な隔壁が含まれており、該隔壁には、直径および深さを有し、深さが直径に近い、弾性材料のブロックが含まれており、該隔壁が内側の隔壁通路を有しており、前記デバイスがさらに、内側の隔壁通路を塞ぐための動作可能位置と動作不能位置との間で移動可能な少なくとも1つのロック部材を含んでおり、該ロック部材に、内側の隔壁通路に最小限の横寸法の貫通部材が存在することによって該ロッキング部材を動作不能位置に変位させる変位手段がさらに含まれるデバイスが提供される。
【0023】
本発明の他の態様では、医用材料分与装置を制御するデバイスであって、制御部分を含んでおり、該制御部分が、中に通路を備えたハウジングを有しており、該通路が、医用材料分与装置上の供給出口部分とともに第1の流体継手を形成し、医用材料レセプタクルとともに第2の流体継手を形成しており、該デバイスがさらに、第1の流体継手をロックする解放可能なロッキング手段を含んでおり、該ロック手段が、外部デバイスによって生成される作動信号に応答してロック状態とアンロック状態との間で動作可能であるデバイスが提供される。
【0024】
一実施形態では、通路には、医用材料分与装置からそれを通じてガスを排出させるためのガス排気口が含まれる。解放可能なロック手段には、バリア部材が含まれており、該バリア部材は、供給出口部分に該バリア部材が係合するロック位置と、供給出口部分から該バリア部材が後退した解放位置との間で移動可能である。望ましくは、バリア部材が解放位置に偏倚している。さらに、バリアをロック位置で支えるブレース手段が設けられており、該ブレース手段は、所定の電流の存在下で解放可能である。
【0025】
本発明の他の態様では、シリンジボディを含むシリンジデバイスであって、該シリンジボディが、キャビティがその中に形成された第1のボディ部分を有しており、該デバイスがさらに、流体受取チャンバを形成するようにキャビティとシール係合したプランジャを含んでおり、該シリンジボディが第2のボディ部分を有しており、該第2のボディ部分が、その中に形成された通路を有しており、該通路が、チャンバと流体連通する第1のアクセス位置と、第2のアクセス位置のところで終端する第2の端部とを有しており、該通路がさらに第3のアクセス位置を有しており、第2および第3のアクセス位置の少なくとも一方に、通路が閉じた非貫通状態と、通路が開いた貫通状態とで動作可能な、貫通可能な隔壁が含まれるデバイスが提供される。
【0026】
他の態様として、本発明は、患者からの材料試料をモニタする方法であって、
試料を第1の収集デバイスに入れるステップと、
患者と、試料を表すデータを運ぶ第1の信号とを関連付けるステップと、
第1の収集デバイスと、試料を表すデータを運ぶ第2の信号とを関連付けるステップと、
試料を試料処理チャンバに供給するステップと、
試料をプロセス処理してプロセス処理済み試料を形成するステップと、
試料を第2の収集デバイス内に収集するステップと、
第2の収集デバイスと、プロセス処理済み試料を表すデータを運ぶ第3の信号とを関連付けるステップと、
第1の信号内のデータと第3の信号内のデータとを比較して、プロセス処理済み試料と患者とをリンクさせるステップと、その後、
データの正の関連付け(positive association)の後で、プロセス処理済み試料の解放を許可するステップとを含む方法を提供する。
【0027】
前述した実施形態の他の態様として、本発明は、さらに、第2の収集デバイスが、アンロック信号が存在しないときにプロセス処理済み試料を解放しないようにロックされており、プロセス処理済み試料と患者との間で正の関連付けがなされた後でアンロック信号が送信されたときに、第2の収集デバイスがアンロックされてプロセス処理済み試料の解放を許可すると規定する。
【0028】
他の態様として、本発明は、患者からの材料試料をモニタする方法であって、
試料を第1の収集デバイスに入れるステップと、
患者と、試料を表すデータを運ぶ第1の信号とを関連付けるステップと、
第1の収集デバイスと、試料を表すデータを運ぶ第2の信号とを関連付けるステップと、
試料を試料処理チャンバに供給するステップと、
試料をプロセス処理してプロセス処理済み試料を形成するステップと、
プロセス処理済み試料と、プロセス処理済み試料を表すデータを運ぶ第3の信号とを関連付けるステップと、
第1の信号内のデータと第3の信号内のデータとを比較して、プロセス処理された試料と患者とをリンクさせるステップと、その後、
第1の信号、第2の信号、および第3の信号の1つもしくは複数の中のデータを含めた患者レコードをアセンブルするステップとを含む方法を提供する。
【0029】
以下、本明細書で使用する用語「処理デバイス」は、処理の過程で直接的または間接的に使用されるデバイスを意味するものとする。それには、患者または患者由来の試料に実際に処理を実施するデバイスを含めることができ、あるいは、試料を運んで、または他の何らかの方法で試料を移送して、処理との間で試料をやりとりするなど、処理に関係した機能を果たす物品にすることもできる。そのような処理デバイスの他のいくつかの例を本明細書に記載する。
【0030】
ここで、本発明のいくつかの好ましい諸実施形態について、単に一例として添付図面に即して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
諸図、特に図1を参照すると、自己血液試料の収集、処理、および供給のためのシステム10が提供される。システム10は、血液試料の取扱時の様々な段階で使用されるいくつかのコンポーネントを有する。該システムは、由来患者から未処理の血液試料を収集するために使用される第1の血液試料収集シリンジS1を利用しており、これについては後述する。血液試料収集後、第1のシリンジS1は、血液処理チャンバ12に連結され、次いでそれが14に概略的に示した血液処理ユニットに運ばれ、該ユニットにおいて、血液試料が1つもしくは複数のストレッサ、例えば、2000年9月15日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/CA00/01078号、名称APPARATUS AND PROCESS FOR CONDITIONING MAMMALIAN BLOODに記載のストレッサに曝される(該特許出願の内容全体を参照により本願に援用する)。
【0032】
処理後、処理済みの血液試料は、第2のシリンジS2に運ばれ、次いでそれが、処理済みの試料を由来患者に供給するために使用される。正しい血液試料が確実に正しい由来患者に戻されるようにするために、システム10は、1つもしくは複数の重要な段階で、エラーの可能性の低減を目的として検証チェックを提供する。これは、由来患者アイデンティティデータと試料アイデンティティデータとを比較することによって、処理済みもしくは未処理の形態またはその両方の血液試料を由来患者とマッチングさせることによって実施される。その目的を達成するために、システム10には、この検証に役立つようにS1シリンジおよび/もしくはS2シリンジ内の制御または通信機能と通信可能な患者リストバンド16が設けられる。
【0033】
以下の説明は、主に自己血液試料の処理におけるシステム10の使用に焦点を合わせているが、システム、その諸コンポーネント、およびそれらの代替形態を、骨髄、リンパ液、精液、卵子流体混合物(ova-fluid mixtures)、他の体液など、血液試料以外の自己試料、または、「自己」であるかどうかに関わらず、他の医用流体、例えば、臓器、体細胞および細胞組織、皮膚細胞および皮膚試料、脊髄など、患者の所望の固体試料を恐らく含有する流体混合物に使用できることが理解されよう。また、該システムを、特定の試験の試験結果を確実に由来患者へと運べるようにすることが重要な、医療検査にも使用することができる。
【0034】
図1および図2を参照すると、第1のシリンジS1は、シリンジプランジャと協働して試料受取チャンバ21を形成する円筒状キャビティをもたらす、第1のボディ部分20を有する。第1のシリンジには、また、試料受取チャンバ21と、患者から未処理の血液試料を抜き出す第1のシリンジ入口24、および未処理の血液試料をそこから血液試料処理チャンバ12に分与する第1のシリンジ出口26とを接合させるチャネル22aをもたらす、チャネル部分22が設けられている。
【0035】
図2および図3を参照すると、第1のシリンジS1の第1のシリンジ入口24には、第1のシリンジ入口24を通る血液の流れを制御する第1のシリンジ入口弁手段28が設けられている。この場合、第1の入口弁手段28には、外部デバイス34上または該デバイス34との中間に配置された32で示した相補的な貫通部材によって開放されるように配設された、隔壁30を含んだハウジング29が含まれる。外部デバイスは、図6の血液収集ユニット34(「バタフライ」と呼ばれる形態)、または図7に示したバイアル38などに接合するためのアダプタ36にすることができる。この場合、アダプタ36は、その両側に、一方がシリンジS1上の隔壁を貫通するため、他方がバイアル38上の隔壁を貫通するための、1対のスパイク32、40を有する。
【0036】
図3を参照すると、血液収集デバイス34には、貫通部材32を支持する基部42と、ハウジング部分29の外表面29aに相補的かつ係合可能なフランジ44とが含まれる。この場合、貫通部材32は、中空スパイクの形態であり、該スパイクの反対側に、該スパイクと流体連通する導管46が位置決めされる。スパイクは、また、外部の溝もしくはチャネルを備えたスパイクなど、他の多くの形態にすることもできる。また、ハウジング部分29には、図3に破線断面で示した、血液収集ユニット34上のフランジ44を受けるための周囲キャビティ50を形成するように外表面29aから離隔された、外側のウェブ48も設けることができる。
【0037】
図3を参照すると、隔壁30は、弾性材料のブロック52の形態で設けられ、直径Diおよび深さDeを有しており、深さDeが直径Diに近い。スパイク32が隔壁30に係合した(もしくは貫通している)位置にあるときには、血液試料(または他の流体材料)がスパイク32内を流れることができることがわかる。この場合、スパイク32の深さは、隔壁の深さ以上の大きさである。ただし、スパイク32とチャネル22aとの間に満足な流体連通が確立されるのであれば、また、スパイク32の長さが隔壁の深さよりも小さい場合があってもよい。
【0038】
図4a〜4cおよび図5は、チャネル22aと流体連通する内側の隔壁通路64を備えた隔壁62を形成する弾性ブランク部材を有する、代替的なシリンジS1上の別の第1のシリンジ入口60を示す。隔壁62内には、必要な断面および横寸法を有するスパイク部材にだけ隔壁チャネル62への接近を制御するロッキングアセンブリ66が配置される。図5を参照すると、ロッキングアセンブリ66は、スパイク32の断面に合致するように所定の断面をもつ開口部70を備えたエンドフランジ68を有する。したがって、エンドフランジ68を、鍵および錠とほぼ同じ方式で、1つもしくは複数のスパイク32とともにユニークに構成できることになる。この配置は、非承認断面をもつ不正なスパイクが隔壁62とともに使用されるのを防ぎ、したがって第1レベルのセキュリティを提供する。
【0039】
内側の隔壁通路64は、エンドフランジ68の開口部70と位置合わせされる。第2レベルのセキュリティとして、ロッキングアセンブリ66には、内側の隔壁通路64を塞ぐための動作可能位置と動作不能位置との間で移動可能な、1対の重なり合うロック部材72が設けられる。ロッキングアセンブリ66には、さらに、内側の隔壁通路64に最小限の横寸法のスパイクが存在することによって該ロッキングアセンブリを動作不能位置に変位させる変位手段が含まれており、これについては後述する。
【0040】
各ロック部材72には、動作可能位置で互いに重なり合う外側のロックフランジ74が含まれる。変位手段は、外側のロックフランジ74に隣接して各ロック部材72上に配置されたシャンク部分76を含み、エンドフランジ68と一体に形成される。シャンク部分76は、動作可能位置で内側の隔壁通路64内で互いに隣接した位置にあり、最小限の横寸法のスパイクがシャンク部分76の間に挿入されたときに動作不能位置へと移動可能である。
【0041】
ゆえに、本来ならば開口部70に嵌通する針など、不正な小さい物体で隔壁通路64に接近しようとした場合、その不正な小さい物体の幅が不十分であるので、シャンク部分76に係合して横方向外側に変位させることができない。その結果、重なり合うロック部材74は、隔壁通路64の上流に該隔壁通路のバリアとして残る。他方、適切にサイズ設定されたスパイクは、シャンク部分76に係合し、ロック部材72の重なり合いをなくすのに十分な距離だけ該シャンク部分を変位させ、それによって隔壁通路64を開放する。
【0042】
図1および図8〜12を参照すると、血液試料処理チャンバ12は、未処理の血液試料を血液試料処理チャンバ12に分与できるように、第1のシリンジ出口26とともに第1の専用の流体継手を形成するためのチャンバ入口80を有する。血液試料処理チャンバ12は、カバー部分84と、底部分86と、88に示したそれらの間の可撓性の壁で囲まれた部分とによって形成される、膨張可能な処理キャビティ82を有する。チャンバ12は、また、血液試料を処理するためのオゾンもしくは他のストレッサ供給用のガス入口ポート90と、オゾン排出用のガス出口ポート92と、処理の前(もしくは後)でチャンバを膨張させるための圧力源(または引込めるための真空源)をもたらす膨張ガス交換ポート94とを有する。処理チャンバの他の特徴は、2003年6月27日に出願された同時係属中の米国特許仮出願第60/482725号、名称MEDICAL TREATMENT CONTROL SYSTEMに見ることができる。
【0043】
可撓性の壁で囲まれた部分は、少量(約5%)のエチレン酢酸ビニルを含有する低密度ポリエチレン(LDPE)から作製され、UVA、B、およびC、ならびに赤外領域の放射線を透過可能である。また、処理チャンバ12の他の諸コンポーネント、特に、処理の間に血液試料を受け取ることになるボウル178も、同様にこれらの波長の放射線を透過するものにすべきである。
【0044】
チャンバ入口80は、第1のシリンジ出口26から外側に延びる対応する1つもしくは複数のピン104に係合するように、螺旋状に配向した1対の通路もしくは溝102がその壁内またはその壁を貫通して延びる、雌型のカラー部分100を有する。
【0045】
弁要素106は、シリンジSIのチャネル22a内に配置され、第1のシリンジ出口26の外端を形成するエンドキャップ109上の弁座108に接した閉位置に偏倚している。弁要素106は、チャンバ入口80内に位置決めされた弁作動要素110に当接するように位置合わせされる。弁作動要素110は、弁要素106を弁座108に接した閉位置から変位させて、流体継手を開放する働きをすることが可能である。
【0046】
したがって、シリンジS1は、ピン104が螺旋状の通路102に係合するように第1のシリンジ出口26と雌型のカラー部分100とを位置合わせすることによって、チャンバ入口80に相互連結される。シリンジS1は、次いで、図13に示したような形で回転させられ、したがって、弁要素106が弁作動要素110に当接することによって該弁要素106が開放されるまで、ピン104を運んで、螺旋状の通路102に沿って雌型のカラー部分へと下方に進ませる。また、処理チャンバ12には、シリンジS1をチャンバ入口20と完全に係合した位置で支持するサドル部材112も設けられる。
【0047】
血液試料処理チャンバ12は、第2のシリンジ52とともに第2の専用の流体継手を形成するためのチャンバ出口120を有する。図1、図14、および図15を参照すると、シリンジS2は、第2のシリンジボディ部分122と、血液試料移送部分124とを有する。処理後の血液試料を、後で由来患者に供給するために第2のシリンジS2へと分与できるように、血液試料移送部分124は、チャンバ出口120だけとの第2の専用の流体継手を形成する働きをすることが可能な第1のアクセス位置128を備えた通路126を有する。
【0048】
もう一度、図1、図8、図11、および図12を参照すると、チャンバ出口120は、第2のシリンジ出口128から外側に延びる対応する1つもしくは複数のピン144に係合するように、螺旋状に配向した1対の通路もしくは溝142がその壁内またはその壁を貫通して延びる、雌型のカラー部分140を有する。同様に、弁要素146は、チャネル126内に配置され、第2のシリンジ出口128の外端を形成するエンドキャップ149上の弁座148に接した閉位置に偏倚している。弁要素146は、また、チャンバ出口120内に位置決めされた弁作動要素150に当接するように位置合わせされる。したがって、弁作動要素150は、弁要素146を弁座148に接した閉位置から変位させて、第2の流体継手を開放する働きをすることが可能である。また、処理チャンバ12には、シリンジS2をチャンバ入口120と完全に係合した位置で支持するサドル部材152も設けられる。
【0049】
図8、図9、および図9aを参照すると、カバー部分84は、キャップ部材160と、交差部分164のところで該キャップ部材に結合、溶接、または他の何らかの方法で固定された、ボディ部材162とを有する。図8に見られるように、ボディ部材162は、そこから外側に延びる、ロッキングスカート172上の上方を向いたつまみ170をそれぞれ受けるためのいくつかのロッキング通路168を備えたフランジ166を有する。スカート172は、それぞれが該スカート内の強度の小さい局所的な線174によって形成された、いくつかのロッキングフランジ173と、その1つが176で示されている、隣接する1対の垂直スロットとを有する。各ロッキングフランジ173の下端は、底部分86の上縁部に掛合する。
【0050】
底部分86は、血液試料を受け取るためのボウル178と、そこから外側に延びる外壁178aとを有する。リング180は、外壁178aの直立部分に係合し、ロッキングフランジ173の下端のための台座を形成するように寸法設定された周辺ビード180a(図9)を有する。
【0051】
図9aに見られるように、ロッキングフランジ173は、フランジ166に対して外側に移動可能である。各ロッキングフランジ173は、試料処理ユニット14内で血液試料処理チャンバ12がその中に設置される、チャネル壁184の一部分に当接するように外側に延びるキャッチ182を有する。ゆえに、処理チャンバが処理ユニット14へと降ろされるときに、ロッキングフランジ173とチャネル壁部分184との間の接触が、底部分86をロッキングスカート172から解放させる。
【0052】
チャンバ入口80およびチャンバ出口120は、それぞれ、弁作動要素110、150の下方をそれぞれ延びる導管190、192を通じて、内側の処理キャビティ82と流体連通している。導管190は、底部分86の内表面上に形成された直立支柱194にアンカー固定される。導管190は、その側壁に、上端から比較的短い距離のところに開口部190aを有しており、それが、導管190内の血液試料に開口部190aを通過させて、内側の処理キャビティ82の底部へと移動させる。これが、処理後に血液試料が導管190内で捕捉されるのを最小限に抑える。ガス出口ポート92および膨張ガス交換ポート94との流体連通のために、第3の導管196が設けられている。
【0053】
図9を参照すると、可撓性の壁で囲まれた部分88は、円筒形であり、ボディ部材162に結合された上縁部88aと、外壁178aとリング180との間で底部分86に結合された下縁部88bとを有する。可撓性の壁で囲まれた部分は、次いで、図9に示したような非膨張処理チャンバに折り畳まれる。
【0054】
図9および図10を参照すると、キャップ部材160には、また、内壁197aおよび外壁197bによって囲まれた流出物回収チャンバ197も設けられている。キャップ160上の流出物回収チャンバの上方には、外壁198aによって外側を囲まれた流出物回収チャネル198が配置されている。流出物回収チャネル198および流出物回収チャンバ197は、規則的に離隔された、いくつかの通路199によって接合される。ゆえに、第1または第2のシリンジとチャンバ入口および出口との結合の結果として血液がこぼれた場合、その血液は、流出物回収チャンバ内に集まることになる。
【0055】
図14〜17を参照すると、第2のシリンジボディ部分122は、プランジャと協働して試料受取チャンバ200をもたらす円筒状キャビティを有する。第2のシリンジボディ部分122は、内側の雄型部分206を取り囲む外側のスリーブ部分204を有する第2のシリンジ出口202を有する。血液試料移送部分124の通路126は、第2のシリンジ出口202と流体連通するための第2のアクセス位置210を有する。
【0056】
第2のシリンジ出口202および血液移送部分124には、さらに、ロックされた第3の流体継手を第2のアクセス位置210と第2のシリンジ出口202との間に形成する、全体的に220で示した解放可能なロック手段が設けられている。解放可能なロック手段220は、解放信号に応答して第3の流体継手を解放する働きをすることが可能であり、これについては後述する。そのように解放されると、第2のシリンジ出口202は、図17に示した針222など、相補的なLUERまたは類似のフィッティングによって、共通の血液試料供給ユニット上の流体フィッティングとともに第4の流体継手を形成する働きをすることが可能である。
【0057】
図18を参照すると、第2のシリンジ出口202には、そこを通る血液試料の流れを制御する、全体的に230で示した第2のシリンジ出口弁手段が含まれる。図21、図22を参照すると、第2のシリンジ出口弁手段230には、弁要素部分232および弁座部分234と、弁要素部分232を弁座部分234に対して動かす、全体的に236で示した作動手段とが含まれる。作動手段236は、第2のシリンジボディ部分122が血液試料移送部分124に係合したときまたは係合が外れたときに、弁要素部分232を様々な方向に変位させる働きをすることが可能であり、これについては後述する。
【0058】
図16および図21を参照すると、血液試料移送部分124は、第2のシリンジ出口202を受けるハウジング240を提供する。ハウジング240は、チャネル126を露出させる内壁242を有しており、該内壁自体は、弾性シール244のところで終端する。ハウジング240内には、雌型部材250によって境された中央の通路248を有するカラー部材246が、シール244に接して位置決めされる。カラー部材246は、また、外側のスリーブ部分204を受けるための中央のチャンバ252を有する。
【0059】
図21を参照すると、作動手段236には、雄型部分206に隣接した、第2のシリンジ出口202がカラー部材246内に動作可能に位置決めされたときに雌型部材250によって変位される、第1の作動部分260が含まれる。針222と結合するLUERフィッティングのためのねじ山を提供するために、第2のシリンジ出口202のところに、ねじ付きの外側シース262が設けられている。シース262は、環状の雌型部分受取通路264をそこに形成するように、雄型部分206から離隔されている。第1の作動部分260は、中央のウェブ268から外側に延びる、環状通路264内に位置決めされた複数の第1の作動要素266の形態をとる。図16で最もよくわかるように、中央のウェブ268は、シリンジS2のボディ部分122で通路271内に滑動可能に位置決めされたブロック270に固定される。ブロック270は、弁要素部分232を支持する一端と、Oリングなどのシール要素を備えた周縁領域を有する弁ステムヘッド276を支持する他端とを有する管状の弁ステム274を支持する、中央のボア272を有する。弁ステムは、弁部材部分232のすぐ横に277で示した1対の流体移送穴を有しており、それによって、チャンバ200と流体連通する、278に破線で示した内側の弁通路を形成する。
【0060】
したがって、通路264に進入すると、雌型部材250は、第1の作動要素266と接触してそれを変位させ、次にはそれが弁ステム272および弁要素部分232を変位させ、したがって、弁ステム272内の内側の弁通路278を第2のチャネル126へと開放させる。
【0061】
図21および図22で最もよくわかるように、作動手段236には、シース262の周縁部を越えて横方向外側に延びる複数の第2の弁作動要素284を有する、第2の作動部分282が含まれる。第2の出口弁手段230を「開放する」ための第1の弁作動要素266の機能とは対照的に、第2の弁作動要素284は、血液試料移送部分124から第2のシリンジS2が引き離されたときに第2の出口弁手段230の「閉止」を制御しており、これについては後述する。
【0062】
シース262は、斜角遠位端領域262aを有しており、第2の弁作動要素284は、それぞれ、弁要素部分232が弁座部分234と係合したときに遠位端領域262aと入れ子状に配置される内側に傾斜した自由遠位端領域284aを有しており、また、シリンジS2がハウジング240から取り外されたときに弁要素部分232を弁座部分234に接した位置で保持する、堅固であるが解放可能な手段を提供する。ゆえに、使用時には、弁要素部分232が弁座部分234に対して変位するにつれて、第2の弁作動要素284がシース262の外側表面に沿って移動する。
【0063】
第2の弁作動要素284には、そこから外側に延びる、カラー部分246上の環状リッジ290に接して載る働きをすることが可能な当接フランジ284bが含まれる。図22を参照すると、環状リッジ290を、中央のチャンバ252の周囲に沿った、角張ったまたは螺旋状の経路をとるものと見なすことができる。図17、図21、および図22で見られるように、当接フランジが第2のシリンジ出口202内で長手方向スロット292に沿って延びる様子を見ることができる。当接フランジ284bは、また、弁部材部分232が弁座部分から離隔されているときにはスロット292を越えて外側に突き出すが(図21で見られる)、弁部材部分が弁座部分234に係合したときにはスロット292の外側の立面よりも下方にくる(図22で見られる)ように寸法設定される。これは、例えばシリンジS2が針222から引き離されたときに、第2のシリンジ出口弁手段230を閉止する、追加のユーザ起動型機能を可能にする。この場合、針222が取り除かれたら、ユーザは、現れる当接フランジ284を把持し、該フランジをスロット292に沿って抜き出して、第2のシリンジ出口弁手段230を閉止することができる。
【0064】
図23を参照すると、第2のシリンジ出口202には、外側のスリーブ部分204に沿っていくらか螺旋状に延びる、1つもしくは複数の溝294が設けられている。溝294は、カラー部材246の中央のチャンバ252へと延びるピン296と位置合わせされており、したがって、シリンジS2をハウジング240から引き抜くには、シリンジS2を捻りながら引く(図23でリボン矢印によって示したように)必要がある。外側のスリーブ部分204には、また、シリンジがハウジング240内に動作可能に位置決めされたときにカラー部材246内のボア302と位置合わせされる、ボア300も設けられている。位置合わせされたボア300および302は、図16で見ることができ、ロッキング手段220の一部として、すなわち、中にロッキングピン304を受けることによって、該ロッキング手段220の一部として設けられている。ロッキングピン304は、ピン304のヘッド部分310を滑動し合う関係で支持するスリーブ308を有する、ロックハウジング306内に据え付けられる。
【0065】
解放可能なロッキング手段220のさらなる詳細を、図24a、図24b、および図25に見ることができる。ばね311が、ヘッド部分310をスリーブ308内に偏倚させ、それによって、ロッキングピン304がボア300から取り外された解放位置に向かって偏倚させる。ロッキングピン304は、電流の存在を感知して、電流の存在下では第1の直径(図25に実線で示す)から図25に破線で示した第2の小さい直径へと縮小することになるリング314を支持する溝312を有する。その第1の直径では、リング314は、ボア300、302内でロッキングピンを完全に拡張した位置で保持するためのブレースの役割を果たす。リング314が所定の電流を受け、したがってその直径が縮小したら、該リング314は、もはやロッキングピン304をスリーブ308に当てて支えるのに十分な幅ではなくなる。その結果、ばね311は、ロッキングピン304をスリーブ内のより深い位置に偏倚させ、したがってロッキングピン304をボア300から解放し、したがってシリンジS2をハウジング240から引き抜くことができるようになる。
【0066】
解放信号を用いて類似の解放可能なロッキング機能を提供できる、他の配置がある。例えば、リング314を、例えばNITINOLとして知られる電気ヒューズ材料を用いて実施できるように、所定の電流の存在下で気化またはコンシステンシー変化するヒューズ材料製のリングもしくはループによって置き換えることができる。別法として、リング314を、ロッキングピン304のヘッド部分310とスリーブ308の後壁との間に配置された、同じヒューズ材料の支柱(316に破線で示す)によって置き換えることもできる。ゆえに、支柱316は、ロッキングピン304を完全に拡張した位置で一時的に支える働きをすることが可能である。この場合、支柱316に所定の電流を供給して、該支柱を気化させ、ピンを解放することができる。
【0067】
図25a〜25dに代替的な配置が示されており、ロッキングピン304がプレート317内で保持されており、ばね式ラッチ機構318が、プレート317上に据え付けられ、また、ピボット部材318b上で枢動し、かつ一動作位置ではばね要素318cのばねバイアスに逆らって溝312内に掛合する、ラッチ部材318aを有する。この場合、ヒューズ材料は、所定の電流または熱の存在下で収縮し、ラッチを解放して、ばね311の作用でピン304を解放する、トリガ要素31S1の形態で提供される。
【0068】
図11を参照すると、第2のシリンジS2の血液試料移送部分124には、通路126内に、処理済み血液試料中の1つもしくは複数のガス構成要素を追い出すフィルタ付き通気出口320が含まれる。この場合、通気出口320には、その中に処理済みの試料を保持しながら、血液試料中のガス構成要素をシリンジS2から搾り出させるバリア層322が含まれる。フィルタ付き通気出口320のさらなる詳細は、2002年10月29日に出願された米国特許仮出願第60/421781号、名称DEVICE AND METHOD FOR CONTROLLED EXPRESSION OF GASES FROM MEDICAL FLUIDS DELIVERY SYSTEMS、および2003年10月28日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/CA03/01645号、名称DEVICE AND METHOD FOR CONTROLLED EXPRESSION OF GASES FROM MEDICAL FLUIDS DELIVERY SYSTEMSに見ることができる。
【0069】
システム10は、シリンジ51およびS2を利用するが、単独で、または組合せで、1つもしくは複数のシリンジ、点滴瓶(IV bottles)、粉末および/もしくは霧化流体および/もしくはガス吸入剤分与器、インプラントデリバリーディスペンサ、ベンチレータ、シリンジポンプ、挿管チューブ、胃腸栄養チューブ、またはこれらの複数および/もしくは組合せなど、他のデバイスを使用できることが理解されよう。処理デバイスの1つは、また、2000年9月15日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/CA00/01078号、名称APPARATUS AND PROCESS FOR CONDITIONING MAMMALIAN BLOOD(その内容全体を参照により本願に援用する)に開示されているような血液処理デバイスも含むことができる。別法として、外科手術、癌などの疾患の処置、ならびに、X線、CATスキャン、MRIなどの予備的または診断的調査など、一連の侵襲的および非侵襲的処置を実施するために、1つの処理デバイスを設けることもできる。
【0070】
システムは、適正な処理済み血液試料が適正な由来患者に供給されることを確かめるために、いくつかの検証チェックを伴う検証プロトコルを提供しており、これについては後述する。その目的を達成するために、図26に示したように、システムは、シリンジS1内の未処理の血液試料について由来患者「P」を識別する識別手段350と、由来患者「P」とシリンジS2内の処理済み血液試料との間のマッチングを検証する検証手段352と、該検証手段による肯定の検証に応答して解放信号を生成する解放信号生成手段354とを有する。解放信号が解放可能なロック手段220に伝えられて、リング314に所定の電流を供給し、それによって、シリンジS2が処理済み血液試料を由来患者に供給する働きをすることができるようになる。
【0071】
識別手段350および解放信号生成手段354は、リストバンド16上に配置されており、これについては後述する。解放可能なロック手段は、解放信号を受け取る信号受信手段358を有する。また、検証手段352の少なくとも一部の機能もリストバンド16に含まれており、これについては後述する。
【0072】
図27を参照すると、検証手段352には、ともにメモリ手段362に格納された患者アイデンティティデータと処理済み血液試料アイデンティティデータとを比較する比較手段360と、由来患者アイデンティティデータおよび/または血液試料アイデンティティデータ(未処理もしくは処理済み、またはその両方)に関連付けられた1つもしくは複数の信号を受け取るための信号受信手段364とが含まれる。この場合、1つもしくは複数の信号は、由来患者アイデンティティデータおよび/または血液試料アイデンティティデータを含む。ただし、代替例として、1つもしくは複数の信号が、患者もしくは血液試料アイデンティティデータに関連付けられた、または関係したデータを含むこともできる。例えば、信号内のデータには、メモリ手段362または他の何らかの場所のデータ構造から、例えば参照テーブルなどの形態で、患者アイデンティティデータまたは血液試料アイデンティティデータを得られるようにする、1つもしくは複数のコードを含めることができる。
【0073】
未処理血液試料収集イベントと処理済み血液試料供給イベントとを含めた、かつ/またはそれらのイベント間の、所定のイベントに関する少なくとも1つの時間値を決定するために、メモリ手段362に時刻値データを含めることができる。時刻値には、また、未処理血液試料収集イベントと処理済み血液試料供給イベントとを含めた、またはそれらのイベント間の、2つの所定のイベントの間の少なくとも1つの経過時間値を含めることもできる。この場合、検証手段を、経過時間値が所定の最大経過時間値を超過したときに、ロックされた第3の流体継手の解放を阻止する働きができるようにすることができる。
【0074】
未処理の血液試料の処理前には、検証手段352は、また、経過時間値が所定の最大経過時間値を超過したときに血液試料の処理を阻止する働きをすることも可能である。同様に、処理後には、検証手段352は、第1のシリンジ内の未処理の血液試料と由来患者との間のマッチングを検証する働きをすることが可能である。
【0075】
検証プロトコルは、いくつかの形態で実装できるが、現時点で最も好ましいのは、チップまたはチップレス形態の、一般的にはRFIDチップもしくはタグと呼ばれる、1つもしくは複数の無線周波数信号送受信機を用いることによる。この場合、図28に示したように、リストバンド16には「アクティブ」WB RFIDチップ370が設けられ、シリンジS1およびS2には、ともに「パッシブ」51 RFIDチップ372(図3も参照)およびS2 RFIDチップ374(図16も参照)がそれぞれ設けられる。用語「アクティブ」は、WB RFIDチップ370がS1 RFIDチップ372およびS2 RFIDチップ374に照会信号を送信できることを指しており、該チップ両方が照会信号に応答して、信号を発信する、またはデータを受信して記録する働きをすることが可能である。WB RFIDチップ370は、S1 RFIDチップ372に照会信号を発行して該チップ上に未処理血液試料アイデンティティ/検証データを書き込む点で、アクティブである。
【0076】
現在、商品名(TEXAS INSTRUMENTS)、ISO 15693 RE Tagインレー;MELEXIS、MLX90127トランスポンダ;PHILIPS、HT1DC20S30トランスポンダ;およびMicrochip、MCRF45Sチップのチップ形態のもの、ならびに、商品名SENSORMATIC、Ultra. Strip(登録商標)III;およびCHECKPOINTのEASタグおよびラベルのチップレス形態のものを含め、「アクティブ」および「パッシブ」のチップ形態ならびにチップレス形態で、いくつかのRFIDチップが入手可能である。現在、いくつかの市販のチップタグは、医療用コンポーネントの滅菌に使用されるγ線照射に耐えることができない。チップレスタグは、通常、γ線照射に持ちこたえる点で、チップタグよりも優れている。しかし、チップタグは、そのデータ伝送能力が比較的高いことを考えると、より魅力的であることが多い。γ線照射に対する感度には、チップタグに比較的硬質のコーティングを用いることによって、すなわち、チップタグがγ線照射に耐えられるように該タグをγ線硬化法で包装することによって、対処できることが企図される。あるいは、チップレスタグの進歩が、該タグが伝送できるデータ量ならびに該タグにデータを書き込む能力を改善する可能性もある。また、EtO(エチレンオキシド)など、代替的な滅菌雰囲気を使用する他の滅菌方法が適している可能性もある。
【0077】
血液処理ユニット14には、また、S1 RFIDチップ372から処理前アイデンティティデータを受け取り、かつ52 RFIDチップ374に処理後データを書き込むために、アクティブRFIDチップ376としてRE通信を設けることもできる。同様に、血液処理チャンバ12には、後述する理由から、識別コードを提供するためにRFIDチップ378が設けられる。
【0078】
図28を参照すると、リストバンド16は、WB RFIDチップ370と、それに書き込まれた患者および/または処理済み血液試料に関する監査データとを含む、取外し可能部分380を含む。
【0079】
別法として、リストバンドに起動つまみを設けることもできる。例えば、患者にリストバンドを結合させるためには、取り外し、分断し、または何らかの方法で無効にしなければならない起動つまみを、該リストバンド上に含めることができる。
【0080】
他の代替例が、図30〜32に示されており、リストバンド381には、ベース部分384とカバー部分386とを有するバックルアセンブリ382が含まれる。ベース部分384は、いくつかの打抜き孔がバックルアセンブリ382を受けるための通路390を形成している、弾性材料のバンド388と一体に形成される。ベース部分384は、通路390に嵌通するように寸法設定された1対のピン392、394を有する。カバー部分386は、396に示したリビングヒンジによってベース部分384にヒンジ連結される。カバー部分386は、また、それぞれピン392の一方を受けるための、1対のキャビティ398を有する。ピン392と394との間には、ベースの上方にある拡張位置から、上にストラップが配置されたときにベースと同一平面にくる起動位置へと移動可能な、起動ボタン400が配置される。起動位置にあるときには、起動ボタン400は、RFIDチップ370の電源を入れて、S1を対象とした照会信号のブロードキャストを開始させる働きをすることが可能である。カバー部分には、また、そのうちの1つもしくは複数の様々な組合せで操作される、いくつかの、この場合は3つの、LED表示灯402、404、406も設けられている。2つのLED402、404を緑色にすることができ、LED402がシリンジS1用、LED404がシリンジ52用である。ある局面では、各LEDが明滅して、検証プロトコルがS1またはS2処理ステップにあることを示す働きをすることができる。アラーム状態のために、第3のLED406を設けることができる。リストバンド381は、また、RFIDチップを含み、処理後には該チップ内にさらに監査データも含む、取外し可能部分408を有する。
【0081】
検証プロトコルは、以下のようないくつかの識別コードを伴う。第1のシリンジS1は、その中の未処理の血液試料を表す第1のシリンジアイデンティティコードを割り当てられ、リストバンド16は、由来患者を表すリストバンドアイデンティティコードを割り当てられる。データ転送を単純化するために、第1のシリンジおよびリストバンドのアイデンティティコードには共通のデータを含めることができるが、それらの間のデータを、場合によっては異なるデータまたは関連データにすることもできる。第1のシリンジアイデンティティコードには、望むなら、由来患者からの未処理試料の収集(または試料収集ステップの前もしくは後の指定イベント)の時刻、および/あるいはその検証の時刻を表す、第1の時刻値を含めることもできる。
【0082】
ゆえに、S1 RFIDチップ372は、由来患者アイデンティティデータを運ぶ第1の信号を発信する第1の信号発信器として機能し、一方、リストバンド16上のWB RFIDチップ370は、第1の信号を受け取るための第1の信号受信器として機能する。第2のシリンジ52は、その中の処理済み血液試料を表す第2のシリンジアイデンティティコードを割り当てられる。第2のシリンジアイデンティティコードには、血液試料処理チャンバ12から該シリンジへの処理済み試料の供給(または処理済み試料供給ステップの前もしくは後の指定イベント)の時刻、および/あるいはその検証の時刻を表す、第2の時刻値が含まれる。
【0083】
ゆえに、S2 RFIDチップ374は、処理済み血液試料アイデンティティデータを運ぶ第2の信号を発信する第2の信号発信器として機能し、WB RFIDチップ370は、第2の信号を受け取るための第2の信号受信手段として機能し、検証手段が、第1の信号データと処理済み血液試料を表すデータとを比較する働きをすることが可能である。
【0084】
ここで、図29を参照して、検証プロトコルについて典型的な血液処理手順と併せて議論する。
【0085】
初めに、数ある中でも、1つのリストバンド16と、1つのSIシリンジと、1つのS2シリンジと、1つの試料処理チャンバ12と、患者識別表示が上に印刷された、いくつかの調製ラベル(図1に410で示す)とを含む、パッケージが組み立てられる。次いで、WB RFIDチップ370が使用のために起動される。この特定の実施例では、S1 RFIDチップ370およびWB RFID372は、それぞれ、ID1としてコード化された共通の患者アイデンティティデータを含む。図7に示したように、初めにクエン酸ナトリウムなどの溶液をシリンジに注入することによって、試料のためにシリンジS1が準備される。
【0086】
次いで、シリンジS1を使用して血液試料を抜き出す。満たされたら、S1シリンジをリストバンドのRE範囲内に持ち込み、そのWB RFIDチップ370が、51 RFIDチップ370から読み取られたまたは発信されたデータが患者アイデンティティデータID1に対応することを検証する。正の相関が得られたら、WB RFIDチップ370は、S1 RFIDチップ372上に「時刻データスタンプ」TS1スタンプを書き込み、その結果、該チップはこの時点でDi+TS1の両方を運ぶことになる。この場合、TS1データは、その瞬間の時刻カウントである。
【0087】
WB RFIDチップ370は、シリンジS1に定期的な照会信号を発行することによって機能する。S1は、いずれは照会信号に肯定応答し、リストバンドID1データと比較されるS1 ID1データを含んだ信号を戻す。次いで、正の相関が得られたら、WB RFIDチップ370は、ID1データをその「ヘッダ」として含み、時刻スタンプTS1をその「ペイロード」内に含む、書込み信号を発行する(「ヘッダ」および「ペイロード」は、このタイプのTS1信号の公知のコンポーネントである)。TS1データは、遅延の増大とともに変化するので、TS1信号は、満たされたS1シリンジが血液試料収集後にいつリストバンドに戻るかに応じて異なることになる。次いで、リストバンドは、プロシージャの開始(すなわち、TS0、この場合これは、WBが起動される瞬間)およびS1 RFIDチップが照会信号に肯定応答する時点からの経過時間を測定する。この場合、WB RFIDチップ370は、望むなら、TS0とTS1との間の経過時間が所定の最長期間を超過した場合にプロセスを停止させることができる。
【0088】
例えば、現時点でのS1 RFIDチップ372内のコードが、S1 ID1 12/31/03 14:00として表されるかもしれないが、これは、S1内の試料が患者ID1からのものであり、かつ試料収集が12/31/03に14:00に記録されたことを意味する。
【0089】
時刻データTS1は、任意の時間尺度にすることができるが、好都合には、「インターネット時間」、またはグリニッジ標準時(GMT: Greenwich Mean time)などの時間基準に基づいており、あるいは経過時間カウントにすることもできる。
【0090】
S1 RFIDチップ372がTS1データを受け取った後、S1シリンジは、チャンバ(S2シリンジS2もその上に位置決めされている)上に設置され、次いで該チャンバが血液処理ユニット(もしくはBTU: Blood Treatment Unit)14に運ばれる。ここで、S1 RFIDチップ372は、BTU RFIDチップ376から照会信号を受け取り、それに応答して、データID1+TS1を発信する。次いで、BTU14は、TS1と到着時刻S1との間の時間遅延を計算する。さらに、BTUは、血液処理チャンバ12上のRFIDチップ378に照会信号を発行し、それに応答して、RFIDチップ378は、その識別コードを含んだ信号をBTUに発行する。この識別コードには、この場合、処理チャンバ12がそれまで血液処理に使用されていないことを示す「イネーブル」コードが含まれており、それによって現在の未処理の血液試料SIの汚染の危険を低減している。別法として、RFIDチップ378がイネーブルコードを発行する必要はなく、むしろ、ただ単に在庫番号などのアイデンティティデータを含んだ信号だけを発信する。
【0091】
時間遅延を計算したら、BTUは、該時間遅延が所定の最大値を超過しているかどうかを判定し、超過している場合、BTU14は、プロシージャをシャットダウンする。超過していない場合、シリンジS1からのID1およびTS1データがBTUに記録され、プロシージャは、引き続き、シリンジS1i上のプランジャを押し下げるBTU内の作動装置によって、S1シリンジ内の未処理の血液試料を処理キャビティ82に供給し続ける。BTU14は、次いで、S1 RFIDチップ374にディセーブルコードを書き込むことによって、該チップをディセーブルにする。さらに、血液処理チャンバ12上のRFIDチップ378は、識別コードを含み、血液試料がそれに供給されたときまたはその後でBTU14からディセーブルコードを受け取り、それによって処理チャンバ12が再び使用されるのを防ぐ。別法として、RFIDチップ378を、それにディセーブルコードを書き込むことなく他の方法でディセーブルにすることもできる。例えば、RFIDチップ378にその中のヒューズを飛ばす信号を発行するなど、他の技術を使用して、RFIDチップ378を動作不能にすることができる。
【0092】
次いで、BTU14は、血液試料の処理を進め、次いで該血液試料がS2に供給される。次いで、BTUは、D1データを、血液試料処理の終わりを示す新しい時刻スタンプ「TS3」とともに52 RFIDチップ374に書き込む。望むなら、BTU14には、また、151スタンプも含めることができ、これは、S2 RFIDチップ374に書き込まれたデータにID1+TS1+TS2+TS3が含まれることを意味する。この場合、152には、処理開始時刻が含まれ、TS3には、処理終了時刻が含まれる。代替的に、または追加的に、1S2もしくはTS3には、処理の継続時間、もしくは、以前の検証ステップすべてがうまく実施されたことを示す他の何らかのコードを含めることもできる。
【0093】
例えば、BTUは、次のデータを記録することができる:
S1 D1 12/31/03 14:00
患者ID
処理開始12/31/03 14:02
処理終了12/31/03 14:20
S2 ID 1 12/31/03 14:20。
【0094】
この場合、患者IDコードには、BTUに手動もしくは自動で入力される他の患者調整情報、あるいは、中央データストレージセンター、サーバコンピュータ、メモリバンクなどからBTUに転送されるデータを含めることができる。
【0095】
この場合、BT´LTは、次いで、S2 RFIDチップ374に次のように記録することができる:
S2 IDI 12/31/03 14:20。
【0096】
次いで、シリンジS2は、リストバンドを着用している由来患者へと運び戻され、WB RFIDチップ370は、52 RFIDチップ374にポーリングし続け、ついには該52 RFIDチップ374がレンジ内に入ってD1データを発信し、続いてそれがWB RFIDチップ370によって153データとともに読み取られる。次いで、リストバンドは、153データと、リストバンドに戻ってくる52の到着時刻との間の時間遅延を計算する。予想される時間遅延を超過した場合、リストバンドは、S2シリンジの機能を許可しない。
【0097】
リストバンドは、ID1と、検証およびID1確認を示す時刻スタンプ「TS4」とを記録する。さらに、望むなら、リストバンドは、また、患者IDデータに加えてID1+TS1+TS2+TS3を記録することもできる。この段階で、WB REDチップ370は、S2 RFIDチップ374に解放信号を発行し、該S2 RFIDチップは、該解放信号を受け取ると、リング314上に所定の電流を発してロッキングピン304を解放させ、それによってS2を注射に使用できるようにする。
【0098】
したがって、例えばWB RFIDチップ370は、次を記録することができる:
S1 ID1 12/31/03 14:00
S2 ID1 12/31/03 14:20
試料マッチング12/31/03 14:30
S2アンロック12/31/03 14:30。
【0099】
次いで、WB RFIDチップ370がS2 RFIDチップ374およびWB RFIDチップ370上のID1データ間の試料マッチングを実施した後、TS4がWB RFIDチップ370に記録されたときに、検証プロトコルが完了する。次いで、WB RFIDチップ370は、ID1データにTS4データ(また望むなら、患者IDデータ、ならびにTS0、TS1、TS2、およびTS3データのいずれか1つ)を加える。次いで、リストバンドの取外し可能部分がリストバンドから引き離され、由来患者のレコードとマッチングされ、患者のレコードが、WB RFIDチップ370とBTU14との間のデータ交換のためにBTUに戻される。
【0100】
あるいは、患者に、または医療施設内の患者レコード領域にローカルとなる、RF読取監査レコードキャプチャステーションを設け、それによって患者レコードをBTUに戻す必要をなくすこともできる。この場合、監査レコードキャプチャステーションは、患者レコードをダウンロードして監査証跡を完了することが可能である。RF読取監査レコードキャプチャステーションは、有線もしくは無線のデータポートを通じて医療施設の内部ネットワークの一部にすることができ、または、医療施設内の一システムもしくはBTUシステムに限局したネットワークの一部にすることもできる。それは、データを収集して、コンパクトディスクや他のメモリもしくはストレージデバイスなどの媒体に後でバッチ記録できるようにすることができる。それは、ノートブックコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話などに取り付けることができ、またはそれらと一体に形成することができる。また、その上のRF読取アタッチメントとともに、コンピュータ上で実行されるように構成されたソフトウェアで具現化することもできる。
【0101】
他方で、元のWB IDデータとS2データとの間でマッチングが実施された場合にしかTS4が存在しないので、ID1データがマッチするはずであることをTS4が示すという事実に頼ることにより、単に、TS3データをID1データとマッチングさせるBTUに該TS3データを提供することによって、データ量を削減することができる。
【0102】
これで、監査証跡は、ID1によって完了し、TS4がBTUまたは他のシステムに届けられる。
【0103】
時刻スタンプには、また、「イベント」コードも含めることができ、これは、次の5つのメジャーイベントを含むことができる:
1)WB開始時刻
2)WBとの51肯定応答
3)処理の開始
4)処理の終了
5)処理済み試料と由来患者との間のマッチング。
【0104】
また、時刻スタンプには、いくつかのエラーイベントのいずれか1つもしくは複数を含めることもできる:
1)マッチングなし
2)収集前/収集後にS1がWBとマッチしない
3)処理後に戻されたときにS2がWBとマッチしない
4)時間遅延−血液収集時間を超過
5)時間遅延−試料をBTUに供給する時間を超過
6)時間遅延−患者に戻す時間を超過。
【0105】
153時刻スタンプには、また、次のような「マッチング」コードも含めることができる:
01 マッチング
02 マッチングなし
【0106】
識別手段、検証手段、および/または解放信号生成手段は、いくつかの可能な場所に配置することができる。例えば、検証手段および/または解放信号生成手段は、第2のシリンジS2上、例えばロックハウジング306内に配置することができる。この場合、S2 RFIDチップ374は、アクティブであり、リストバンド16に照会信号を発行して、該リストバンドからWB ID信号を含む信号を受け取り、その後、WB IDデータとID1データとの間の比較を行うことができる。
【0107】
別法として、検証手段、識別手段、および/もしくは解放信号生成手段を、血液試料移送部分または血液処理ユニット上に配置することもできる。
【0108】
リストバンド16は、ピン留め式もしくは自己接着ラベルなど、患者によって着用され、携持され、取り付けられ、または摂取されることになる他の何らかの物品に置き換えることもできる。
【0109】
本発明について、現時点で好ましいと考えられる諸実施形態に関して記載したが、本発明は、それだけに制限されない。それとは反対に、本発明は、冒頭の特許請求の範囲の精神および範囲内に包含される様々な修正形態および等価の配置に及ぶものとする。冒頭の特許請求の範囲は、そのようなすべての修正ならびに等価の構造および機能を包含するような最も広い解釈に一致することになる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】血液処理システムの斜視図である。
【図2】図1に示した第1のシリンジの断面図である。
【図3】図2の第1のシリンジの端部領域の拡大部分断面図である。
【図4a】図3に示した端部領域の代替例の部分断面図である。
【図4b】図3に示した端部領域の代替例の部分断面図である。
【図4c】図3に示した端部領域の代替例の部分断面図である。
【図5】図4a、4b、および4cの端部領域におけるロッキング配置の一部分の部分斜視図である。
【図6】図2の第1のシリンジと併せて使用されるコンポーネントの斜視図である。
【図7】図2の第1のシリンジを使用する操作の連続図である。
【図8】図1のシステムの試料処理チャンバの部分斜視図である。
【図9】図8の試料処理チャンバの部分断面図である。
【図9a】図8の試料処理チャンバの部分断面図である。
【図10】図1の第1のシリンジと、やはり図1の第2のシリンジとともに示される、動作位置にある図8の試料処理チャンバの部分断面図である。
【図11】図1の第1のシリンジと、やはり図1の第2のシリンジとともに示される、動作位置にある図8の試料処理チャンバの部分断面図である。
【図12】図8の試料処理チャンバの一部分とともに示される、図1の第1および第2のシリンジの部分分解組立図である。
【図13】図8の処理チャンバへの第1および第2のシリンジの設置を示す連続斜視図である。
【図14】それぞれ、図1の第2のシリンジの斜視図および部分断面斜視図である。
【図15】それぞれ、図1の第2のシリンジの斜視図および部分断面斜視図である。
【図16】それぞれ、図1の第2のシリンジの斜視図および部分断面斜視図である。
【図17】第2のシリンジについての代替的なアセンブリを示す斜視図である。
【図18】第2のシリンジまたはその一部分の部分斜視図である。
【図19】第2のシリンジまたはその一部分の部分斜視図である。
【図20】第2のシリンジまたはその一部分の部分斜視図である。
【図21】第2のシリンジまたはその一部分の部分斜視図である。
【図22】第2のシリンジまたはその一部分の部分斜視図である。
【図23】第2のシリンジまたはその一部分の部分斜視図である。
【図24a】それぞれ、第2のシリンジの一部分の部分断面図および斜視図である。
【図24b】それぞれ、第2のシリンジの一部分の部分断面図および斜視図である。
【図25】それぞれ、第2のシリンジの一部分の部分断面図および斜視図である。
【図25a】図25に示した第2のシリンジの1つのコンポーネントの代替例を示す図である。
【図25b】図25に示した第2のシリンジの1つのコンポーネントの代替例を示す図である。
【図25c】図25に示した第2のシリンジの1つのコンポーネントの代替例を示す図である。
【図25d】図25に示した第2のシリンジの1つのコンポーネントの代替例を示す図である。
【図26】図1のシステムの検証部分の略図である。
【図27】図1のシステムの検証部分の略図である。
【図28】検証プロトコルの略図である。
【図29】検証プロトコルの略図である。
【図30】様々な動作状態にある、図1に示したリストバンドの斜視図である。
【図31】様々な動作状態にある、図1に示したリストバンドの斜視図である。
【図32】様々な動作状態にある、図1に示したリストバンドの斜視図である。
【符号の説明】
【0111】
S1、S2 シリンジ
10 システム
12 血液処理チャンバ
14 血液処理ユニット
16 リストバンド
20 ボディ部分
21 試料受取チャンバ
22 チャネル部分
22a チャネル
24 シリンジ入口
26 シリンジ出口
28 シリンジ入口弁手段
29 ハウジング部分
30 隔壁
32 貫通部材、スパイク
34 外部デバイス
42 基部
44 フランジ
46 導管
52 弾性材料ブロック
62 隔壁
64 隔壁通路
66 ロッキングアセンブリ
68 エンドフランジ
70 開口部
72 ロック部材
74 ロックフランジ
76 シャンク部分
80 チャンバ入口
82 処理キャビティ
84 カバー部分
86 底部分
90 ガス入口ポート
92 ガス出口ポート
94 膨張ガス交換ポート
100 雌型カラー部分
102 通路、溝
104 ピン
106 弁要素
108 弁座
109 エンドキャップ
110 弁作動要素
112 サドル部材
120 チャンバ出口
122 シリンジボディ部分
124 血液試料移送部分
126 通路、チャネル
128 アクセス位置、シリンジ出口
140 雌型カラー部分
142 通路、溝
144 ピン
146 弁要素
148 弁座
149 エンドキャップ
150 弁作動要素
152 サドル部材
160 キャップ部材
162 ボディ部材
166 フランジ
168 ロッキング通路
172 ロッキングスカート
173 ロッキングフランジ
176 垂直スロット
178 ボウル
182 キャッチ
190、192、196 導管
190a 開口部
197 流出物回収チャンバ
198 流出物回収チャネル
200 試料受取チャンバ
202 シリンジ出口
210 アクセス位置
220 ロック手段
222 針
230 シリンジ出口弁手段
232 弁要素部分
234 弁座部分
236 作動手段
240 ハウジング
244 弾性シール
246 カラー部材
260 作動部分
262 シース
262a 斜角遠位端領域
270 ブロック
284 弁作動要素
290 環状リッジ
294 溝
296 ピン
300、302 ボア
304 ピン、ロッキングピン
306 ロックハウジング
308 スリーブ
370 WB RFIDチップ
380 取外し可能部分
381 リストバンド
382 バックルアセンブリ
384 ベース部分
386 カバー部分
390 通路
392、394 ピン
400 起動ボタン
402、404、406 LED表示灯
408 取外し可能部分
410 ラベル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己血液試料の処理のためのシステムであって、
第1のボディ部分と第1の試料移送部分とを有する第1のシリンジを含んでおり、前記第1の試料移送部分が、患者から未処理の血液試料を抜き出す第1のシリンジ入口と、前記未処理の血液試料を分与する第1のシリンジ出口とを有しており、前記システムがさらに、
チャンバ入口を有する血液試料処理チャンバを含んでおり、前記第1のシリンジ出口が、前記未処理の血液試料を前記血液試料処理チャンバに分与するために、前記チャンバ入口とともに第1の専用の流体継手を構築する働きをすることが可能であり、
前記血液試料処理チャンバが、処理後に処理済みの血液試料を分与するチャンバ出口を有しており、前記システムがさらに、
第2のボディ部分と第2の試料移送部分とを有する第2のシリンジを含んでおり、前記第2の移送部分が、前記血液試料処理チャンバから処理済みの血液試料を受け取るために、前記チャンバ出口とともに第2の専用の流体継手を形成する働きをすることが可能な第1のアクセス位置を備えた通路を有しており、
前記第2のボディ部分が第2のシリンジ出口を有しており、前記システムがさらに、
前記第2のシリンジに結合された、解放信号が存在しないときに前記第2のシリンジから処理済みの血液が分与されるのを阻止するためのロッキング手段と、
前記未処理の血液試料について由来患者を識別する識別手段と、
前記由来患者と前記処理済みの血液試料との間のマッチングを検証する検証手段と、
前記検証手段による肯定の検証に応答して前記解放信号を生成する解放信号生成手段とを含むシステム。
【請求項2】
前記第2の移送部分内の前記通路が、前記第2のシリンジ出口との流体連通のための第2のアクセス位置を有しており、
前記ロッキング手段が、前記第2のアクセス位置との間に、ロックされた第3の流体継手を形成しており、
前記ロッキング手段が、前記解放信号に応答して前記第3の流体継手を解放する働きをすることが可能であり、
前記第2のシリンジ出口が、前記第3の流体継手から解放されたときに、血液試料供給ユニットとともに第4の流体継手を形成する働きをすることが可能であることをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記識別手段および/もしくは前記解放信号生成手段が、前記第2のシリンジボディ上に配置される、請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記識別手段および/もしくは前記解放信号生成手段が、前記第2の試料移送部分上に配置されており、前記ロッキング手段が、前記解放信号を受け取る信号受信手段をさらに含む、請求項1、請求項2、または請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記識別手段および/もしくは前記解放信号生成手段が、外部物品上に配置されており、前記ロッキング手段が、前記解放信号を受け取る信号受信手段をさらに含む、請求項1、請求項2、または請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記外部物品が前記由来患者によって携持または着用される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記外部物品にリストバンドが含まれる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記外部物品が、前記患者および/もしくは前記処理済み血液試料に関する監査データを含んだ取外し可能部分を含む、請求項5、請求項6、または請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記検証手段に、由来患者アイデンティティデータと処理済み血液試料アイデンティティデータとを比較する比較手段と、前記由来患者アイデンティティデータおよび/または前記血液試料アイデンティティデータに関連付けられた1つもしくは複数の信号を受け取るための信号受信手段と、前記患者アイデンティティデータおよび前記処理済み血液試料アイデンティティデータを格納するメモリ手段とが含まれる、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つもしくは複数の信号が、前記由来患者アイデンティティデータおよび/または前記血液試料アイデンティティデータを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記メモリ手段が、未処理血液試料収集イベントと処理済み血液試料供給イベントとを含めた、またはそれらのイベント間の、所定のイベントに関する少なくとも1つの時刻値を決定するために、時刻値データを格納する、請求項9または請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記時刻値に、未処理血液試料収集イベントと処理済み血液試料供給イベントとを含めた、またはそれらのイベント間の、2つの所定のイベントの間の少なくとも1つの経過時間値が含まれる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記検証手段が、前記経過時間値が所定の最大経過時間値を超過したときに、ロックされた前記第3の流体継手の解放を阻止する働きをすることが可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記血液試料処理チャンバ内で前記血液試料を処理するための血液処理ユニットをさらに含んでおり、前記検証手段が、前記経過時間値が所定の最大経過時間値を超過したときに前記血液試料の処理を阻止する働きをすることが可能である、請求項1から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記検証手段が、前記第1のシリンジ内の未処理の血液試料と前記由来患者との間のマッチングを検証する働きをすることが可能である、請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1のシリンジが、その中の未処理の血液試料を表す第1のシリンジアイデンティティコードを割り当てられており、前記由来患者が、前記由来患者を表す由来患者アイデンティティコードを割り当てられており、前記第1のシリンジアイデンティティコードおよび前記由来患者アイデンティティコードには関連データまたは共通データが含まれる、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1のシリンジアイデンティティコードに、前記由来患者からの未処理試料の収集および/またはその検証の時刻を表す第1の時刻値が含まれる、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第2のシリンジが、その中の処理済み血液試料を表す第2のシリンジアイデンティティコードを割り当てられている、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記第2のシリンジアイデンティティコードに、前記血液試料処理チャンバから前記第2のシリンジへの処理済み試料の供給および/またはその検証の時刻を表す第2の時刻値が含まれる、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記識別手段に、未処理血液試料アイデンティティデータを運ぶ第1の信号を発信する第1の信号発信手段と、前記第1の信号を受け取るための第1の信号受信手段とが含まれる、請求項1から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1の信号発信手段が前記第1のシリンジ上に配置される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記識別手段に、前記処理済み血液試料アイデンティティデータを運ぶ第2の信号を発信する第2の信号発信手段と、前記第2の信号を受け取るための第2の信号受信手段とが含まれる、請求項1から21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記第2の信号発信手段が前記第2のシリンジ上に配置される、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記第1のシリンジの前記第1のボディ部分に、未処理血液試料受取チャンバが含まれており、前記第1の試料移送部分に、前記未処理血液試料受取チャンバと前記第1のシリンジ入口および前記第1のシリンジ出口とを接合する通路と、前記第1のシリンジ入口を通る血液の流れを制御する第1のシリンジ入口弁手段とが含まれる、請求項1から23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記第1のシリンジ入口弁手段に隔壁が含まれており、前記外部の血液収集物品上または前記物品との中間に配置され、かつそれと係合した位置にある相補的な貫通部材をさらに含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記第2の血液試料移送部分には、前記通路内に、前記処理済み血液試料中の1つもしくは複数のガス構成要素を追い出すフィルタ付き通気出口が含まれる、請求項1から25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1および第2の専用の継手の一方もしくは両方が、前記第1のシリンジの前記第1の試料移送部分および前記第2のシリンジの前記第2の試料移送部分と前記血液試料処理チャンバとを、それぞれの開放流体移送条件で解放可能にロックする働きをすることが可能である、請求項1から26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記第1および第2の専用の継手の一方もしくは両方が、前記血液試料処理チャンバと対応する前記第1および第2の試料移送部分との間で相対回転変位が起こると、ロックされた開放流体移送条件を確立する働きをすることが可能である、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記第2のシリンジ出口に、そこを通る前記血液試料の流れを制御する第2のシリンジ出口弁手段が含まれる、請求項1から28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記第2のシリンジ出口弁手段に、弁要素部分および弁座部分と、前記弁要素部分を前記弁座部分に対して動かす作動手段とが含まれており、前記作動手段が、前記第2のボディ部分が前記第2の試料移送部分に係合したときに前記弁要素を前記弁座部分から変位させる働きをすることが可能である、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記第2の試料移送部分に、前記第2のシリンジ出口をその中で受けるためのハウジングが含まれており、前記ハウジングが、前記第2のアクセス位置と流体連通する雌型部材を有しており、前記第2のシリンジ出口に、前記雌型部分に係合するための雄型部分が含まれており、前記作動手段に、前記雌型部分と前記雄型部分とが係合すると前記雌型部分によって変位することになる、前記雄型部分に隣接した作動部分が含まれる、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
環状の雌型部分受取通路をそこに形成するように前記雄型部分から離隔された外側のシース部分をさらに含んでおり、前記作動部分に、前記環状通路内に位置決めされた少なくとも1つの第1の作動要素が含まれる、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記第2のシリンジ出口弁手段に、弁要素部分および弁座部分と、前記弁要素部分を前記弁座部分に対して動かす作動手段とが含まれており、前記作動手段が、前記第2の試料移送部分から前記第2のボディ部分が引き離されたときに前記弁要素を前記弁座部分と係合させる働きをすることが可能であり、前記第2のシリンジ出口弁手段に、前記第2のボディ部分から外側に延びる第2のシリンジ出口端部分がさらに含まれる、請求項29に記載のシステム。
【請求項34】
前記作動部分に、前記第2のシリンジ出口端部分を越えて横方向外側に延びる、少なくとも1つの第2の弁作動要素が含まれる、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記第2の出口端部分が斜角遠位端を有しており、前記第2の弁作動要素が、前記第2の出口端部分の前記斜角遠位端に係合するように構成された遠位端領域を有する、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記第2の弁作動要素の前記遠位端領域が、前記弁要素部分が前記弁座部分と係合したときに前記第2の出口端部分の前記斜角遠位端と入れ子状に配置されるように傾斜している、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記第2の弁作動要素が、前記弁部分が前記弁座部分に対して変位するにつれて前記第2の出口端部分の外側表面に沿って移動するように配設される、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記ハウジング内に配置されたカラー部材をさらに含んでおり、前記カラー部材に、前記第3の流体継手を形成するように前記第2の出口端部分を受けるためのチャンバが含まれる、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記第2の弁作動要素に、そこから外側に延びる当接フランジが含まれており、前記当接フランジが、前記チャンバから前記第2のシリンジ出口が取り外されたときに前記チャンバ内の指定位置に当接する働きをすることが可能である、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記解放可能なロック手段に、前記第2のアクセス位置に隣接して位置決めされたバリア部材が含まれており、前記バリア部材が、前記第2の出口端部分に前記バリア部材が係合するロック位置と、前記第2の出口端部分から前記バリア部材が後退した解放位置との間で移動可能である、請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
前記バリア部材が前記解放位置に偏倚している、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記バリアを前記ロック位置で支えるブレース手段をさらに含んでおり、前記ブレース手段が所定の電流の存在下で解放可能である、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
材料収容部分と材料移送部分とを含む材料分与デバイスであって、前記材料移送部分に、前記材料収容部分との間で材料を移送し合うための通路が含まれており、前記通路が、前記材料収容部分と流体連通する第1のアクセス位置と、第2のアクセス位置と、前記第2のアクセス位置を通る材料の流れを制御する第2のアクセス位置制御手段とを有しており、前記第2のアクセス位置制御手段に、前記通路が閉じた非貫通状態と、前記通路が開いた貫通状態とで動作可能な、貫通可能な隔壁が含まれており、前記通路がさらに第3のアクセス位置を有しており、前記第3のアクセス位置に、医用材料分与装置とともに専用の流体継手を形成する手段が含まれるデバイス。
【請求項44】
前記材料収容部分が前記材料移送部分と一体に形成される、請求項43に記載のデバイス。
【請求項45】
医用流体の分与に適合された、請求項44に記載のデバイス。
【請求項46】
前記隔壁に弾性材料のブロックが含まれる、請求項43に記載のデバイス。
【請求項47】
前記ブロックが直径および深さを有しており、前記深さが前記直径に近い、請求項46に記載のデバイス。
【請求項48】
前記隔壁を収める隔壁ハウジング部分をさらに含んでおり、前記デバイスが、前記隔壁を貫通する貫通部材をさらに含んでおり、前記貫通部材が、前記隔壁ハウジング部分に係合可能なフランジに結合している、請求項43から47のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項49】
前記フランジが前記ハウジング部分上の外表面と相補的である、請求項48に記載のデバイス。
【請求項50】
前記隔壁ハウジング部分に、前記材料移送部分上の前記フランジを受けるための周囲キャビティを形成するように前記ハウジング部分から離隔された外側のウェブが含まれる、請求項48または請求項49に記載のデバイス。
【請求項51】
係合位置で、前記貫通部材によって流体連通が可能になる、請求項43に記載のデバイス。
【請求項52】
前記貫通部材が中空または溝付きスパイク部材である、請求項51に記載のデバイス。
【請求項53】
前記隔壁がエンドフランジに隣接して配置されており、前記エンドフランジが、前記スパイク部材の断面に合致するように所定の断面を備えた開口部を有する、請求項52に記載のデバイス。
【請求項54】
前記エンドフランジに隣接した内側の隔壁通路と、前記内側の隔壁通路を塞ぐための動作可能位置と動作不能位置との間で移動可能な少なくとも1つのロック部材とをさらに含んでおり、前記ロック部材に、前記内側の隔壁通路に最小限の横寸法の前記スパイク部材が存在することによって前記ロッキング部材を前記動作不能位置に変位させる変位手段がさらに含まれる、請求項53に記載のデバイス。
【請求項55】
1対のロック部材をさらに含んでおり、前記ロック部材それぞれに外側のロックフランジが含まれており、前記動作可能位置で前記ロックフランジが互いに重なり合う、請求項54に記載のデバイス。
【請求項56】
前記変位手段に、前記外側のロックフランジに隣接して各ロック部材上に配置されたシャンク部分が含まれており、前記シャンク部分が、前記動作可能位置で前記内側の隔壁通路内の互いに隣接した位置にくるように配設されており、最小限の横寸法の前記スパイク部材が前記シャンク部分間に挿入されたときに、前記シャンク部分が前記動作不能位置へと移動可能である、請求項55に記載のデバイス。
【請求項57】
前記貫通部材がその上に設けられた材料供給部分をさらに含む、請求項48から56のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項58】
前記材料供給部分が、前記貫通部材および前記フランジをその片側で支持する基部をさらに含む、請求項57に記載のデバイス。
【請求項59】
前記貫通部材が、中空または溝付きスパイク部材であり、前記基部が、前記スパイクの反対側に位置決めされた、前記スパイクと流体連通する導管をさらに含む、請求項58に記載のデバイス。
【請求項60】
前記材料供給部分に、前記導管と流体連通する針および/または針カテーテルが含まれる、請求項59に記載のデバイス。
【請求項61】
前記材料収容部分に、1つもしくは複数のシリンジ、点滴瓶、粉末および/もしくは霧化流体および/もしくはガス吸入剤分与器、インプラントデリバリーディスペンサ、ベンチレータ、シリンジポンプ、挿管チューブ、胃腸栄養チューブ、またはこれらの複数および/もしくは組合せが含まれる、請求項43から60のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項62】
チャンバおよび出口と、前記出口を制御する弁手段とを含む材料分与デバイスであって、前記弁手段に、前記チャンバが閉じた非貫通状態と、前記チャンバが開いた貫通状態とで動作可能な、貫通可能な隔壁が含まれており、前記隔壁に、直径および深さを有し、前記深さが前記直径に近い、弾性材料のブロックが含まれており、前記デバイスがさらにエンドフランジを含んでおり、前記エンドフランジが、所定の断面をもつ開口部を有しており、前記デバイスがさらに、前記隔壁を貫通して前記チャンバを開放する貫通部材を含んでおり、前記貫通部材が、密嵌関係で前記開口部の断面と合致する合致断面を有しており、前記開口部が、前記合致断面をもたない貫通部材が前記隔壁に接近するのを阻止するデバイス。
【請求項63】
チャンバおよび出口と、前記出口を制御する弁手段とを含む材料分与デバイスであって、前記弁手段に、前記チャンバが閉じた非貫通状態と、前記チャンバが開いた貫通状態とで動作可能な、貫通可能な隔壁が含まれており、前記隔壁に、直径および深さを有し、前記深さが前記直径に近い、弾性材料のブロックが含まれており、前記隔壁が内側の隔壁通路を有しており、前記デバイスがさらに、前記内側の隔壁通路を塞ぐための動作可能位置と動作不能位置との間で移動可能な少なくとも1つのロック部材を含んでおり、前記ロック部材に、前記内側の隔壁通路に最小限の横寸法の貫通部材が存在することによって前記ロッキング部材を前記動作不能位置に変位させる変位手段がさらに含まれるデバイス。
【請求項64】
医用材料分与装置を制御するデバイスであって、制御部分を含んでおり、前記制御部分が、中に通路を備えたハウジングを有しており、前記通路が、前記医用材料分与装置上の供給出口部分とともに第1の流体継手を形成し、医用材料レセプタクルとともに第2の流体継手を形成しており、前記デバイスがさらに、前記第1の流体継手をロックする解放可能なロッキング手段を含んでおり、前記ロック手段が、外部デバイスによって生成される作動信号に応答してロック状態とアンロック状態との間で動作可能であるデバイス。
【請求項65】
前記医用材料分与装置に、1つもしくは複数のシリンジ、点滴瓶、粉末および/もしくは霧化流体および/もしくはガス吸入剤分与器、インプラントデリバリーディスペンサ、ベンチレータ、シリンジポンプ、挿管チューブ、胃腸栄養チューブ、またはこれらの複数および/もしくは組合せが含まれる、請求項64に記載のデバイス。
【請求項66】
前記通路に、前記医用材料分与装置からそれを通じてガスを排出させるためのガス排気口が含まれる、請求項64または請求項65に記載のデバイス。
【請求項67】
前記解放可能なロック手段にバリア部材が含まれており、前記バリア部材が、前記供給出口部分に前記バリア部材が係合するロック位置と、前記供給出口部分から前記バリア部材が後退した解放位置との間で移動可能である、請求項64、請求項65、または請求項66に記載のシステム。
【請求項68】
前記バリア部材が前記解放位置に偏倚している、請求項67に記載のシステム。
【請求項69】
前記バリア部材を前記ロック位置で支えるブレース手段をさらに含んでおり、前記ブレース手段が所定の電流の存在下で解放可能である、請求項68に記載のシステム。
【請求項70】
シリンジボディを含むシリンジデバイスであって、前記シリンジボディが、キャビティがその中に形成された第1のボディ部分を有しており、前記デバイスがさらに、流体受取チャンバを形成するように前記キャビティとシール係合したプランジャを含んでおり、前記シリンジボディが第2のボディ部分を有しており、前記第2のボディ部分が、その中に形成された通路を有しており、前記通路が、前記チャンバと流体連通する第1のアクセス位置と、第2のアクセス位置のところで終端する第2の端部とを有しており、前記通路がさらに第3のアクセス位置を有しており、前記第2および第3のアクセス位置の少なくとも一方に、前記通路が閉じた非貫通状態と、前記通路が開いた貫通状態とで動作可能な、貫通可能な隔壁が含まれるデバイス。
【請求項71】
前記第1のシリンジボディが前記第2のシリンジボディと一体に形成される、請求項70に記載のデバイス。
【請求項72】
前記隔壁に、直径および深さを有し、前記深さが前記直径に近い、弾性材料のブロックが含まれる、請求項70または請求項71に記載のデバイス。
【請求項73】
前記第2のシリンジボディ部分に、前記隔壁を収める隔壁ハウジング部分が含まれており、前記デバイスが、前記隔壁を貫通する貫通部材をさらに含んでおり、前記貫通部材が、前記隔壁ハウジング部分に係合可能なフランジに結合している、請求項70、請求項71、または請求項72に記載のデバイス。
【請求項74】
前記フランジが前記ハウジング部分上の外表面と相補的である、請求項73に記載のデバイス。
【請求項75】
係合位置で、前記第1の貫通部材によって流体連通がもたらされる、請求項74に記載のデバイス。
【請求項76】
患者からの材料試料をモニタする方法であって、
前記試料を第1の収集デバイスに入れるステップと、
前記患者と、前記試料を表すデータを運ぶ第1の信号とを関連付けるステップと、
前記第1の収集デバイスと、前記試料を表すデータを運ぶ第2の信号とを関連付けるステップと、
前記試料を試料処理チャンバに供給するステップと、
前記試料をプロセス処理してプロセス処理済み試料を形成するステップと、
前記試料を第2の収集デバイス内に収集するステップと、
前記第2の収集デバイスと、前記プロセス処理済み試料を表すデータを運ぶ第3の信号とを関連付けるステップと、
前記第1の信号内のデータと前記第3の信号内のデータとを比較して、前記プロセス処理済み試料と前記患者とをリンクさせるステップと、その後、
前記データの正の関連付けの後で、前記プロセス処理済み試料の解放を許可するステップとを含む方法。
【請求項77】
前記第2の収集デバイスが、アンロック信号が存在しないときに前記プロセス処理済み試料を解放しないようにロックされており、前記プロセス処理済み試料と前記患者との間で正の関連付けがなされた後でアンロック信号が送信されたときに、前記第2の収集デバイスがアンロックされて前記プロセス処理済み試料の解放を許可する、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
患者からの材料試料をモニタする方法であって、
前記試料を第1の収集デバイスに入れるステップと、
前記患者と、前記試料を表すデータを運ぶ第1の信号とを関連付けるステップと、
前記第1の収集デバイスと、前記試料を表すデータを運ぶ第2の信号とを関連付けるステップと、
前記試料を試料処理チャンバに供給するステップと、
前記試料をプロセス処理してプロセス処理済み試料を形成するステップと、
前記プロセス処理済み試料と、前記プロセス処理済み試料を表すデータを運ぶ第3の信号とを関連付けるステップと、
前記第1の信号内のデータと前記第3の信号内のデータとを比較して、プロセス処理された試料と前記患者とをリンクさせるステップと、その後、
前記第1の信号、前記第2の信号、および前記第3の信号の1つもしくは複数の中のデータを含めた患者レコードをアセンブルするステップとを含む方法。
【請求項79】
材料試料の処理のためのシステムであって、
第1のボディ部分と第1の試料移送部分とを有する第1のシリンジを含んでおり、前記第1の試料移送部分が、未処理の材料試料を受け取る第1のシリンジ入口と、前記未処理の材料試料を分与する第1のシリンジ出口とを有しており、前記システムがさらに、
チャンバ入口を有する材料試料処理チャンバを含んでおり、前記第1のシリンジ出口が、前記未処理の材料試料を前記材料試料処理チャンバに分与するために、前記チャンバ入口とともに第1の専用の流体継手を構築する働きをすることが可能であり、
前記材料試料処理チャンバが、処理後に処理済みの材料試料を分与するチャンバ出口を有しており、前記システムがさらに、
第2のボディ部分と第2の試料移送部分とを有する第2のシリンジを含んでおり、前記第2の移送部分が、前記材料試料処理チャンバから処理済みの材料試料を受け取るために、前記チャンバ出口とともに第2の専用の流体継手を形成する働きをすることが可能な第1のアクセス位置を備えた通路を有しており、
前記第2のボディ部分が第2のシリンジ出口を有しており、前記システムがさらに、
前記第2のシリンジに結合された、解放信号が存在しないときに前記第2のシリンジから処理済みの材料試料が分与されるのを阻止するためのロッキング手段と、
患者を識別する識別手段とを含んでおり、前記識別手段が前記未処理の材料試料に関連付けられており、前記システムがさらに、
前記患者と前記処理済みの材料試料との間のマッチングを検証する検証手段と、
前記検証手段による肯定の検証に応答して前記解放信号を生成する解放信号生成手段とを含むシステム。
【請求項80】
前記第2の移送部分内の前記通路が、前記第2のシリンジ出口との流体連通のための第2のアクセス位置を有しており、
前記ロッキング手段が、前記第2のアクセス位置と前記第2のシリンジ出口との間に、ロックされた第3の流体継手を形成しており、
前記ロッキング手段が、前記解放信号に応答して前記第3の流体継手を解放する働きをすることが可能であり、
前記第2のシリンジ出口が、前記第3の流体継手から解放されたときに、材料試料供給ユニットとともに第4の流体継手を形成する働きをすることが可能であることをさらに含む、請求項79に記載のシステム。
【請求項81】
前記識別手段および/もしくは前記解放信号生成手段が、前記第2のシリンジボディ上に配置されており、前記ロッキング手段が、前記解放信号を受け取る信号受信手段をさらに含む、請求項79または請求項80に記載のシステム。
【請求項82】
前記識別手段および/もしくは前記解放信号生成手段が、外部物品上に配置されており、前記ロッキング手段が、前記解放信号を受け取る信号受信手段をさらに含む、請求項79、請求項80、または請求項81に記載のシステム。
【請求項83】
前記外部物品が前記患者によって携持または着用される、請求項82に記載のシステム。
【請求項84】
前記外部物品が、前記患者および/もしくは前記処理済み材料試料に関する監査データを含んだ取外し可能部分を含む、請求項82または請求項83に記載のシステム。
【請求項85】
前記検証手段に、患者アイデンティティデータと処理済み材料試料アイデンティティデータとを比較する比較手段と、前記患者アイデンティティデータおよび/または前記材料試料アイデンティティデータに関連付けられた1つもしくは複数の信号を受け取るための信号受信手段と、前記患者アイデンティティデータおよび前記処理済み材料試料アイデンティティデータを格納するメモリ手段とが含まれる、請求項79から84のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項86】
前記1つもしくは複数の信号が、前記患者アイデンティティデータおよび/または前記材料試料アイデンティティデータを含む、請求項85に記載のシステム。
【請求項87】
前記メモリ手段が、所定のイベントに関係した、または未処理材料試料収集イベントと処理済み材料試料供給イベントとの間の、少なくとも1つの時刻値を決定するために、時刻値データを格納する、請求項85または請求項86に記載のシステム。
【請求項88】
前記時刻値に、2つの所定のイベント間、または前記未処理材料試料収集イベントと前記処理済み材料試料供給イベントとの間の、少なくとも1つの経過時間値が含まれる、請求項87に記載のシステム。
【請求項89】
前記検証手段が、前記経過時間値が所定の最大経過時間値を超過したときに、ロックされた前記第3の流体継手の解放を阻止する働きをすることが可能である、請求項88に記載のシステム。
【請求項90】
前記材料試料処理チャンバ内の材料試料を処理するための材料処理ユニットをさらに含んでおり、前記検証手段が、前記経過時間値が所定の最大経過時間値を超過したときに前記材料試料の処理を阻止する働きをすることが可能である、請求項79から89のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項91】
前記検証手段が、前記第1のシリンジ内の未処理の材料試料と前記患者との間のマッチングを検証する働きをすることが可能である、請求項79から90のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項92】
前記第1のシリンジが、その中の未処理の材料試料を表す第1のシリンジアイデンティティコードを割り当てられており、前記患者が、前記患者を表す患者アイデンティティコードを割り当てられており、前記第1のシリンジアイデンティティコードおよび前記患者アイデンティティコードには関連データまたは共通データが含まれる、請求項91に記載のシステム。
【請求項93】
前記第1のシリンジアイデンティティコードに、前記患者からの未処理材料試料の収集および/またはその検証の時刻を表す第1の時刻値が含まれる、請求項92に記載のシステム。
【請求項94】
前記第2のシリンジが、その中の処理済み材料試料を表す第2のシリンジアイデンティティコードを割り当てられている、請求項92に記載のシステム。
【請求項95】
前記第2のシリンジアイデンティティコードに、前記材料試料処理チャンバから前記第2のシリンジへの処理済み試料の供給および/またはその検証の時刻を表す第2の時刻値が含まれる、請求項94に記載のシステム。
【請求項96】
前記識別手段に、未処理材料試料アイデンティティデータを運ぶ第1の信号を発信する第1の信号発信手段と、前記第1の信号を受け取るための第1の信号受信手段とが含まれる、請求項79から95のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項97】
前記第1の信号発信手段が前記第1のシリンジ上に配置される、請求項96に記載のシステム。
【請求項98】
前記識別手段に、前記処理済み材料試料アイデンティティデータを運ぶ第2の信号を発信する第2の信号発信手段と、前記第2の信号を受け取るための第2の信号受信手段とが含まれる、請求項79から97のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項99】
前記第2の信号発信手段が前記第2のシリンジ上に配置される、請求項98に記載のデバイス。
【請求項100】
前記第1のシリンジの前記第1のボディ部分に、未処理材料試料受取チャンバが含まれており、前記第1の試料移送部分に、前記未処理材料試料受取チャンバと前記第1のシリンジ入口および前記第1のシリンジ出口とを接合する通路と、前記第1のシリンジ入口を通る材料の流れを制御する第1のシリンジ入口弁手段とが含まれる、請求項79から99のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項101】
前記第1のシリンジ入口弁手段に隔壁が含まれており、前記外部の材料収集物品上または前記物品との中間に配置され、かつそれと係合した位置にある相補的な貫通部材をさらに含む、請求項100に記載のシステム。
【請求項102】
前記第2の試料移送部分には、前記通路内に、前記処理済み材料試料中の1つもしくは複数のガス構成要素を追い出すフィルタ付き通気出口が含まれる、請求項79から101のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項103】
前記第1および第2の専用の継手の一方もしくは両方が、前記第1のシリンジの前記第1の試料移送部分および前記第2のシリンジの前記第2の試料移送部分と前記材料試料処理チャンバとを、それぞれの開放流体移送条件で解放可能にロックする働きをすることが可能である、請求項79から102のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項104】
前記第1および第2の専用の継手の一方もしくは両方が、前記材料試料処理チャンバと対応する前記第1および第2の試料移送部分との間で相対回転変位が起こると、ロックされた開放流体移送条件を確立する働きをすることが可能である、請求項103に記載のシステム。
【請求項105】
前記第2のシリンジ出口に、そこを通る前記材料試料の流れを制御する第2のシリンジ出口弁手段が含まれる、請求項79から104のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項106】
前記第2のシリンジ出口弁手段に、弁要素部分および弁座部分と、前記弁要素部分を前記弁座部分に対して動かす作動手段とが含まれており、前記作動手段が、前記第2のボディ部分が前記第2の試料移送部分に係合したときに前記弁要素を前記弁座部分から変位させる働きをすることが可能である、請求項105に記載のシステム。
【請求項107】
前記第2の試料移送部分に、前記第2のシリンジ出口をその中で受けるためのハウジングが含まれており、前記ハウジングが、前記第2のアクセス位置と流体連通する雌型部材を有しており、前記第2のシリンジ出口に、前記雌型部分に係合するための雄型部分が含まれており、前記作動手段に、前記雌型部分と前記雄型部分とが係合すると前記雌型部分によって変位することになる、前記雄型部分に隣接した作動部分が含まれる、請求項106に記載のシステム。
【請求項108】
環状の雌型部分受取通路をそこに形成するように前記雄型部分から離隔された外側のシース部分をさらに含んでおり、前記作動部分に、前記環状通路内に位置決めされた少なくとも1つの第1の作動要素が含まれる、請求項107に記載のシステム。
【請求項109】
前記第2のシリンジ出口弁手段に、弁要素部分および弁座部分と、前記弁要素部分を前記弁座部分に対して動かす作動手段とが含まれており、前記作動手段が、前記第2の試料移送部分から前記第2のボディ部分が引き離されたときに前記弁要素を前記弁座部分と係合させる働きをすることが可能であり、前記第2のシリンジ出口弁手段に、前記第2のボディ部分から外側に延びる第2のシリンジ出口端部分がさらに含まれる、請求項108に記載のシステム。
【請求項110】
前記作動部分に、前記第2のシリンジ出口端部分を越えて横方向外側に延びる、少なくとも1つの第2の弁作動要素が含まれる、請求項109に記載のシステム。
【請求項111】
前記第2の出口端部分が斜角遠位端を有しており、前記第2の弁作動要素が、前記第2の出口端部分の前記斜角遠位端に係合するように構成された遠位端領域を有する、請求項110に記載のシステム。
【請求項112】
前記第2の弁作動要素の前記遠位端領域が、前記弁要素部分が前記弁座部分と係合したときに前記第2の出口端部分の前記斜角遠位端と入れ子状に配置されるように傾斜している、請求項111に記載のシステム。
【請求項113】
前記第2の弁作動要素が、前記弁部分が前記弁座部分に対して変位するにつれて前記第2の出口端部分の外側表面に沿って移動するように配設される、請求項112に記載のシステム。
【請求項114】
前記ハウジング内に配置されたカラー部材をさらに含んでおり、前記カラー部材に、前記第3の流体継手を形成するように前記第2の出口端部分を受けるためのチャンバが含まれる、請求項113に記載のシステム。
【請求項115】
前記第2の弁作動要素に、そこから外側に延びる当接フランジが含まれており、前記当接フランジが、前記チャンバから前記第2のシリンジ出口が取り外されたときに前記チャンバ内の指定位置に当接する働きをすることが可能である、請求項114に記載のシステム。
【請求項116】
前記解放可能なロック手段に、前記第2のアクセス位置に隣接して位置決めされたバリア部材が含まれており、前記バリア部材が、前記第2の出口端部分に前記バリア部材が係合するロック位置と、前記第2の出口端部分から前記バリア部材が後退した解放位置との間で移動可能である、請求項115に記載のシステム。
【請求項117】
前記バリア部材が前記解放位置に偏倚している、請求項116に記載のシステム。
【請求項118】
前記バリアを前記ロック位置で支えるブレース手段をさらに含んでおり、前記ブレース手段が所定の電流の存在下で解放可能である、請求項117に記載のシステム。
【請求項119】
前記材料試料が生物学的試料である、請求項1から118のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項120】
前記材料試料が、自己試料または非自己試料であり、血液、骨髄組織、リンパ液、乳、精液、卵子流体混合物、体液、医用流体、または、臓器、脊髄、体細胞、細胞組織、皮膚細胞由来の試料を含む、請求項119に記載のシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図9a】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24a】
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【図24b】
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【図25】
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【図25a】
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【図25b】
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【図25c】
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【図25d】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公表番号】特表2007−512096(P2007−512096A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541420(P2006−541420)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/038879
【国際公開番号】WO2005/062751
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(500117576)ヴァソゲン アイルランド リミテッド (3)
【Fターム(参考)】