説明

医用画像撮像装置及び位置決め支援装置

【課題】磁場に対する被検体の位置決めを熟練に頼ることなく常に正確に行えるようにし、これにより検査効率の向上と患者の負担軽減を図る。
【解決手段】医用画像撮像装置或いは当該医用画像撮像装置に付属して使用される位置決め支援装置は、撮像ユニットによる撮像領域を表す情報を記憶する記憶手段と、描画データ生成手段と、投光手段を具備する。描画データ生成手段は、前記記憶手段に記憶された撮像領域を表す情報をもとに、前記撮像領域の少なくとも外郭を表す描画データを生成する。投光手段は、被検体の撮像対象部位を位置決めする際に、前記描画データ生成手段により生成された描画データに基づいて、前記被検体上に前記撮像領域の少なくとも外郭を表す投光パターンを照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、被検体の体内画像を撮像する医用画像撮像装置と、この医用画像撮像装置に付加して使用される位置決め支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療診断分野においては磁気共鳴イメージング(MRI)装置が普及している。MRI装置は、静磁場発生器により形成された静磁場領域に被検体(通常は患者)を送り込み、この静磁場と直交する方向に高周波磁場を加えて磁気共鳴現象を生じさせると共に、静磁場に重畳するように傾斜磁場を加えて被検体の撮像目的部位から得られるMR信号をプローブで検出し、この検出されたMR信号をもとに上記撮像目的部位の断層画像を構成するものである。
【0003】
ところで、MRI装置においては、被検体を静磁場領域に送り込む前に被検体の位置決めを行う必要がある。そのために従来では、例えば被検体に対し投光部により十文字型の投光パターンを照射し、検査者がこの投光パターンの照射位置をもとに、MRI装置の磁場中心に対する被検体の撮像対象部位の位置決めを行うようにしている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−49735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来の装置によれば、検査者は被検体上に照射される十文字型の投光パターンにより磁場中心となる位置は把握できる。しかしながら、被検体の撮像対象部位がMRI装置の撮像可能領域に含まれているか否かについては、経験等に基づいて推測するしかなく、常に正確な位置決めを行えるとは限らない。このため、高周波受信コイルのセッティングミスや撮像領域の設定ミス等のヒューマンエラーが発生することがある。このような場合、受信コイルの再セッティングや再撮像を行わなければならず、検査効率の低下や患者の負担増を招く。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、撮像可能領域に対する被検体の位置決めを検査者の熟練に頼ることなく常に正確に行えるようにし、これにより検査効率の向上と患者の負担軽減を図った医用画像撮像装置及び位置決め支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、医用画像撮像装置或いは当該医用画像撮像装置に付属して使用される位置決め支援装置は、撮像ユニットによる撮像領域を表す情報を記憶する記憶手段と、描画データ生成手段と、投光手段を具備する。描画データ生成手段は、前記記憶手段に記憶された撮像領域を表す情報をもとに、前記撮像領域の少なくとも外郭を表す描画データを生成する。投光手段は、被検体の撮像対象部位を位置決めする際に、前記描画データ生成手段により生成された描画データに基づいて、前記被検体上に前記撮像領域の少なくとも外郭を表す投光パターンを照射する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係る医用画像撮像装置の構成を示す図。
【図2】図1に示した医用画像撮像装置の制御装置の機能構成を示すブロック図。
【図3】図1に示した医用画像撮像装置の投光器の構成を示す図。
【図4】図2に示した制御装置による制御手順と制御内容を示すフローチャート。
【図5】被検体に対する投光パターンの第1の例を示す図。
【図6】被検体に対する投光パターンの第2の例を示す図。
【図7】被検体に対する投光パターンの第3の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
[一実施形態]
(構成)
図1は、一実施形態に係る医用画像撮像装置の構成を示す図である。
本実施形態の医用画像撮像装置は、磁気共鳴イメージング(MRI)装置からなる。この装置は、撮像ユニット1と、制御装置3と、入力部4と、表示部5とを具備する。このうち制御装置3、入力部4、表示部5、及び後述する投光器15は、位置決め支援装置としての機能を備える。
【0010】
撮像ユニット1は、静磁場磁石11と、シムコイル(図示せず)と、傾斜磁場コイル12と、高周波送信コイル13と、高周波受信コイル(図示せず)と、被検体2を乗せるための寝台14と、投光器15を備えている。
【0011】
静磁場磁石11は、例えば永久磁石又は超電導磁石を円筒形に形成したもので、筒内に一様な静磁場を発生する。
シムコイルは、上記静磁場コイル11の円筒内に配置され、図示しないシムコイル電源により駆動されることで能動的に上記静磁場の均一性を高める機能を果たす。
傾斜磁場コイル12は、上記静磁場磁石11と同様に円筒形をなし、静磁場磁石11の円筒内において図示しない支持機構により真空中に配置される。そして、図示しない傾斜磁場コイル用電源から供給されるパルス電流により駆動されることで、互いに直交する三方向に線形磁場分布を持つ傾斜磁場を発生する。
【0012】
高周波送信コイル13は、図示しない送信装置から印加されるラーモア周波数に対応する高周波パルスに応じて高周波磁場を発生し、この高周波磁場を被検体2の撮像対象部位に与えることで当該撮像対象部位から磁気共鳴信号を発生させる。
高周波受信コイルは、被検体2の近傍、好ましくは被検体2に密着させた状態で当該被検体2を上下から挟むように配置される。そして、被検体2の撮像対象部位から発生される上記磁気共鳴信号を受信し、この受信した磁気共鳴信号を図示しない受信装置へ出力する。
【0013】
受信装置は、上記磁気共鳴信号を位相検波し、その検波信号をディジタル信号に変換して図示しない画像処理コンピュータに入力する。画像処理コンピュータは、上記磁気共鳴信号の検波信号をもとに撮像画像を再構成する処理を行う。
なお、上記高周波送信コイル13と高周波受信コイルは、これらを別体として配置してもよいし、1つのコイルで兼用するようにしてもよい。前者はクロスコイル型、後者はシングルコイル型と呼称される。
【0014】
寝台14は、図示しない駆動機構により、上記静磁場磁石11の円筒内に対し進退自在に移動するように構成される。そして、制御装置3の制御の下で、位置決めモードが指定された状態では静磁場磁石11の円筒外に移動して、寝台14上における被検体2の位置決め作業を可能とする。一方、位置決めが終了して撮像モードが設定された状態では、静磁場磁石11の円筒内に移動して被検体2を撮像可能領域に配置する。
【0015】
制御装置3は、例えばパーソナル・コンピュータからなり、以下のように構成される。図2はその機能構成を示すブロック図である。すなわち、制御装置3はインタフェースユニット31と、制御ユニット32と、記憶ユニット33とを備えている。
インタフェースユニット31は、入力インタフェース部311と、出力インタフェース部312を有する。入力インタフェース部311は、入力部4において操作入力された入力データを受信して制御ユニット32に供給する。出力インタフェース部312は、制御ユニット32から出力された表示データ、描画データ及び撮像制御データをそれぞれ表示部5、投光器15及び撮像ユニット1へ出力する。
【0016】
記憶ユニット33は、記憶媒体としてハードディスクやEEPROM等の書込み及び読み出しが可能な不揮発性メモリを使用したもので、この実施形態を実施するために必要な記憶部として、指定情報記憶部331と、デフォルト情報記憶部332を有している。指定情報記憶部331は、検査者が任意に入力指定した撮像領域のサイズを表す撮像領域指定情報を保存するために用いられる。デフォルト情報記憶部332には、撮像ユニット1の構造により定まる最大撮像可能領域のサイズを表すデフォルト情報が予め記憶されている。
【0017】
制御ユニット32は、プロセッサと、プログラムメモリ及びデータメモリを備え、この実施形態を実施する上で必要な制御機能として、撮像領域指定情報受信制御部321と、描画データ生成部322と、描画データ出力部323を有している。なお、これらの撮像領域指定情報受信制御部321、描画データ生成部322及び描画データ出力部323は、何れもプログラムメモリに格納されたプログラムを上記プロセッサに実行させることによりその機能が実現される。
【0018】
撮像領域指定情報受信制御部321は、位置決めモードが設定された状態で、検査者が入力部4においてスキャンプランを指定する過程で撮像領域のサイズを指定する操作を行った場合に、その入力データを入力インタフェース部311から読込み、この読込んだ入力データを撮像領域指定情報として上記記憶ユニット33内の指定情報記憶部331に記憶させる処理を行う。
【0019】
描画データ生成部322は、位置決めモードが設定された状態で以下の処理を行う。
(1) 指定情報記憶部331に、検査者が任意に指定した撮像領域のサイズを表す撮像領域指定情報が記憶されているか否かを判定する処理。
(2) 指定情報記憶部331に撮像領域指定情報が保存されていると判定された場合に、上記指定情報記憶部331から当該撮像領域指定情報を読み出し、この読み出された撮像領域指定情報に基づいて、投光器15にレーザ光による投光パターンの照射動作を行わせるための描画データを生成する処理。
(3) 指定情報記憶部331に撮像領域指定情報が保存されていないと判定された場合に、上記デフォルト情報記憶部332から最大撮像可能領域のサイズを表すデフォルト情報を読み出し、この読み出されたデフォルト情報に基づいて、投光器15にレーザ光による投光パターンの照射動作を行わせるための描画データを生成する処理。
【0020】
描画データ出力部32は、上記描画データ生成部322により生成された描画データを、投光器15が受信可能な信号形態に変換したのち、出力インタフェース部312から投光器15へ送信させる処理を行う。
【0021】
投光器15は、寝台14上に寝かされた被検体2の撮像対象部位上にレーザ光による投光パターンを照射するもので、上記静磁場コイル11における寝台14の出入り口上部に設置される。図3はこの投光器15の構成を示す図である。
【0022】
投光器15は、レーザ発振器151を備え、このレーザ発振器151から出力されたレーザ光をミラー152で反射して先ず音響光学的モジュレータ(AOM)153に導いている。AOM153は、上記制御装置3から出力された描画データに従い上記レーザ光を成形する。そして、この成形されたレーザ光をレンズ154及びミラー155により音響光学的ディフレクタ(AOD)156に導く。AOD156は、上記制御装置3から出力された描画データに従い上記レーザ光を高速スキャンする。そして、このAOD156によりスキャンされたレーザ光を、ミラー157及びレンズ158により被検体2の撮像対象部位に照射する。
【0023】
(動作)
次に、以上のように構成された医用画像撮像装置による位置決め支援動作を説明する。図4は、制御装置3による制御手順及び制御内容を示すフローチャートである。
被検体2の撮像に先立ち、検査者は入力部4において位置決めモードを設定するための操作を行う。この位置決めモードが設定された状態で、制御ユニット32はステップS11において撮像のためのスキャンプランを指定する操作が行われたか否かを監視する。
【0024】
この状態で、検査者が入力部4によりスキャンプランを指定する情報の1つとして、被検体2の撮像対象領域のサイズを任意に指定する操作を行ったとする。そうすると制御ユニット32は、ステップS12により撮像領域指定情報受信制御部321を起動する。そして、この撮像領域指定情報受信制御部321の制御の下で、上記撮像対象領域のサイズを指定する入力データを入力インタフェース部311から取り込み、この取り込んだ入力データを撮像領域指定情報として記憶ユニット33内の指定情報記憶部331に記憶させる。上記撮像領域指定情報は、例えば撮像対象領域を長方形としたときその縦と横の長さで表わされる。
【0025】
なお、撮像領域指定情報には、上記撮像対象領域のサイズを表すデータに加えて、当該撮像対象領域の中心又は重心を表すデータを含めてもよい。また、撮像対象領域の縦と横の長さを表す数値データを検査者が直接入力する代わりに、撮像対象部位の種類、例えば頭部、胸部、腹部、要部に対応してデフォルト情報記憶部332に複数のデフォルト情報を予め記憶しておき、この中から所望の情報を選択した後その縦と横のサイズを拡大縮小することにより所望サイズの撮像対象領域を指定するようにしてもよい。
【0026】
上記撮像領域指定情報の設定が終了し、被検体2を寝台14上に寝かせた状態で、検査者が入力部4において位置決め開始操作を行うと、制御ユニット32はこの操作をステップS13で検出し、描画データ生成部322を起動する。そして、この描画データ生成部322の制御の下で、先ずステップS14において指定情報記憶部331に検査者が任意に指定した撮像領域指定情報が記憶されているか否かを判定する。この判定の結果、撮像領域指定情報が記憶されていた場合には、ステップS15により上記指定情報記憶部331から撮像領域指定情報を読込む。そしてステップS17において、上記読込んだ撮像領域指定情報に基づいて、投光器15にレーザ光による投光パターンの照射動作を行わせるための描画データを生成する。この描画データは、例えば撮像領域の外郭を表す枠型のパターンと、撮像領域の中心を表す十字型のパターンを描画するように構成される。
【0027】
一方、上記指定情報記憶部331に撮像領域指定情報が保存されていなかったとする。この場合制御ユニット32は、ステップS16によりデフォルト情報記憶部332から最大撮像可能領域のサイズを表すデフォルト情報を読み出し、この読み出されたデフォルト情報に基づいて、ステップS17により描画データを生成する。この場合の描画データも、撮像領域の外郭を表す枠型のパターンと、撮像領域の中心を表す十字型のパターンを描画するように構成される。
【0028】
上記描画データが生成されると、制御ユニット32は続いてステップS18により描画データ出力部323を起動し、この描画データ出力部323の制御の下で、上記生成された描画データを投光器15が受信可能な信号に変換したのち、出力インタフェース部312から投光器15へ出力させる。
【0029】
投光器15では、上記描画データが供給されると、この描画データに従い先ずAOM153によりレーザ光のビームが成形された後、AOD156によりレーザビームがスキャンされる。この結果、寝台14上に寝かされた被検体2上に、上記レーザ光による投光パターンが照射される。
【0030】
例えば、事前に被検体2の頭部を撮像対象部位として指定する撮像領域指定情報を指定情報記憶部331に登録しておけば、図5に示すように被検体2上に上記指定した頭部位置決め用の投光パターンが照射される。この場合の投光パターンは、図5に示すように撮像領域の外郭を表す枠型のパターンP1と、撮像領域の中心を表す十字型のパターンP0とから構成される。
【0031】
検査者は、この照射された投光パターンの枠型パターンP1内に被検体2の頭部が入るように被検体2の頭部を位置決めする。また、必要に応じて、被検体2の頭部の撮像対象部位の中で患部が存在すると想定される位置と、十字パターンP0の交点とが一致するように、被検体2の頭部の位置を調整する。
【0032】
上記位置決めが終了すると、検査者は被検体2の頭部に高周波受信コイルを装着し、入力部4において撮像開始操作を行う。そうすると、制御装置3の制御の下で駆動機構が動作して寝台14が静磁場磁石11の円筒体内に移動し、上記位置決めにおいて被検体2の頭部に照射された十字パターンP0の交点の位置が、上記静磁場磁石11の円筒体内における磁場中心Oと一致する位置で静止する。
【0033】
この寝台14の移動制御は、図1に示すように静磁場磁石11の円筒体内における磁場中心Oと静磁場磁石11の円筒体端部との間の距離Sと、当該円筒体端部位置と上記レーザ光の十字パターンP0の交点照射位置Qとの間の距離Mを予め制御装置3にデフォルトデータとして登録しておき、制御装置3の制御の下でこれらの距離S,Mの合計長に相当する距離だけ寝台14を移動させることにより行われる。
【0034】
以後、装置では制御装置3の制御の下でMRI撮像動作が行われ、これにより被検体2の頭部内の磁気共鳴信号が収集されてこの信号をもとに頭部内の画像データが再構成される。
【0035】
以上詳述したようにこの実施形態では、投光器15としてレーザビームをスキャンすることにより投光パターンを描画可能な装置を設ける。そして、制御装置3の制御の下で、予め入力した撮像対象領域のサイズを指定する情報に基づいて描画データを生成し、この生成された描画データに応じて上記投光器15を制御することで、寝台14上の被検体2上に枠型パターンP1と十字パターンP0とからなるレーザ光による投光パターンを照射するようにしている。
【0036】
したがって、検査者は被検体2の撮像対象部位を、経験や勘に頼ることなく常に正確に配置することが可能となる。このため、高周波受信コイルのセッティングミスや撮像領域の設定ミス等のヒューマンエラーの発生を大幅に減らすことができ、これにより高周波受信コイルの再セッティングや再撮像を低減して、検査効率の向上と患者の負担を軽減することが可能となる。
【0037】
しかも、この実施形態では枠型パターンP1に加え十字パターンP0を併せて照射するようにしているので、枠型パターンP1を用いて被検体2の撮像対象部位を撮像領域内に確実に配置した上で、さらに十字パターンP0をもとに撮像対象部位中の患部が磁場中心Oと一致するように調整することが可能となる。したがって、患部についてより高精度の体内画像を得ることが可能となる。
【0038】
さらに、撮像対象部位を指定する情報を事前に登録していない場合でも、撮像ユニット1の撮像可能領域の最大サイズを規定したデフォルト情報をもとに投光パターンが照射される。このため、検査者は経験や勘に頼ることなく、被検体2の撮像対象部位の位置決めを行うことが可能となる。
【0039】
[その他の実施形態]
例えば図6に示すように、寝台14上の被検体2に対し、それぞれ枠型パターン及び十字パターンからなる頭部用の投光パターンP11,P01と、胸部用の投光パターンP12,P02と、腹部用の投光パターンP13,P03をそれぞれ照射するようにしてもよい。このようにすると、上記各投光パターンを選択的に参照して被検体2の撮像対象領域を位置決めすることが可能となる。これは、被検体2に複数の撮像対象部位が存在する場合に、それぞれの撮像対象部位ごとに撮像領域指定情報を入力設定し直す必要がなくなるので、検査能率を高める上で有効である。
【0040】
また、撮像領域中心を表す投光パターンは、十字パターンに限ることなく、例えば図7に示すようにポイントを示すパターンP31,P32,P33であってもよい。ポイントを示すパターンP31,P32,P33を用いると、撮像領域の外郭を示す枠型パターンとの違いを明確にすることができる。
【0041】
なお、図6及び図7に示した実施形態は例えば以下のように実現される。すなわち、撮像対象部位ごとに設定された各投光パターンの照射位置と、静磁場磁石11の円筒体内における磁場中心Oとの間の距離を表す情報を、制御装置3に予め記憶させておく。そして、検査者がスキャンプランの入力過程において撮像対象部位を選択指定することで、この選択指定された撮像対象部位に対応する投光パターンの距離情報を選択的に読み出し、この読み出された距離情報に従い寝台14の移動量を制御する。
【0042】
また、図6及び図7に示したように異なる撮像対象部位に対応して複数の投光パターンを同時に照射する場合に、これらの投光パターンの色や濃度を相互に異ならせるように制御してもよい。このようにすると、撮像対象部位別の投光パターンをより明確に識別することが可能となる。色を異ならせる場合には、発光色の異なるレーザを切り換えて使用することにより実現できる。
【0043】
さらに、前記実施形態では医用画像撮像装置の制御装置3に、本実施形態を実施する上で必要な制御機能や記憶機能を設けた場合を例にとって説明した。しかしこれに限らず、前記実施形態で述べた各制御機能、記憶機能及び投光器を有する位置決め支援専用の装置を別途構成し、この専用装置を既存の医用撮像装置に追加することにより、前記実施形態と同様の機能を実現するようにしてもよい。
【0044】
さらに、前記実施形態では投光器の光源としてレーザ発振器151を用いた場合を例にとって説明したが、レーザ発振器の代わりに発光ダイオード(LED)や電球を使用してもよい。
【0045】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1…撮像ユニット、2…被検体、3…制御装置、4…入力部、5…表示部、11…静磁場磁石、12…傾斜磁場コイル、13…高周波送信コイル、14…寝台、15…投光器、31…インタフェースユニット、32…制御ユニット、33…記憶ユニット、151…レーザ発振器、153…音響光学的モジュレータ(AOM)、156…音響光学的ディフレクタ(AOD)、311…入力インタフェース部、312…出力インタフェース部、321…撮像領域指定情報受信制御部、322…描画データ生成部、323…描画データ出力部、331…指定情報記憶部、332…デフォルト情報記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の撮像対象部位を位置決めした後、当該被検体を撮像ユニット内に送り込んで前記被検体の体内画像を撮像する医用画像撮像装置であって、
前記撮像ユニットによる撮像領域を表す情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶された撮像領域を表す情報をもとに、前記撮像領域の少なくとも外郭を表す描画データを生成する描画データ生成手段と、
前記被検体の撮像対象部位を位置決めする際に、前記生成された描画データに基づいて、前記被検体上に前記撮像領域の少なくとも外郭を表す投光パターンを照射する投光手段と
を具備する医用画像撮像装置。
【請求項2】
前記被検体の撮像対象部位に応じて任意に指定した撮像領域を表す撮像領域指定情報の入力を受付ける入力手段をさらに具備し、
前記記憶手段は、前記入力手段により入力された撮像領域指定情報と、前記撮像ユニットによる基本的な撮像可能領域を表す撮像領域基本情報をそれぞれ記憶し、
前記描画データ生成手段は、
前記記憶手段に撮像領域指定情報が記憶されているか否かを判定する手段と、
前記撮像領域指定情報が記憶されていると判定された場合に、当該撮像領域指定情報をもとに前記指定された撮像領域の少なくとも外郭を表す描画データを生成する手段と、
前記撮像領域指定情報が記憶されていないと判定された場合には、前記撮像領域基本情報をもとに前記基本的な撮像領域の少なくとも外郭を表す描画データを生成する手段と
を備える請求項1記載の医用画像撮像装置。
【請求項3】
前記描画データ生成手段は、前記記憶された撮像領域を表す情報をもとに、前記撮像領域の外郭と撮像領域の中心を表す描画データを生成する請求項1又は2記載の医用画像撮像装置。
【請求項4】
被検体の撮像対象部位を位置決めした後、当該被検体を撮像ユニット内に送り込んで前記被検体の体内画像を撮像する医用画像撮像装置に付属して使用される位置決め支援装置であって、
前記撮像ユニットによる撮像領域を表す情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶された撮像領域を表す情報をもとに、前記撮像領域の少なくとも外郭を表す描画データを生成する描画データ生成手段と、
前記被検体の撮像対象部位を位置決めする際に、前記生成された描画データに基づいて、前記被検体上に前記撮像領域の少なくとも外郭を表す投光パターンを照射する投光手段と
を具備する位置決め支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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