説明

医用画像診断管理装置、方法およびシステム

【課題】 医用画像診断業務のための特別な管理者や専用端末を必要とすることなく診断用画像データによる画像の効率的な読影を支援すること。
【解決手段】 医用画像診断管理装置210は、DICOMウェブサーバ211、オーダサーバ212、およびレポートサーバ213を備え、DICOMウェブサーバ211は送られてきたDICOMデータを受信し画像データベース214に格納し管理する。オーダサーバ212はオーダ管理の中心となるオーダリスト215を作成・管理し、およびレポートサーバ213はレポート作成画面を各診断用端末220に提示してレポートデータベース216の作成・管理を行い、レポート完了後はプリンタ240等に読影報告を出力させる。DICOMウェブサーバ211は、診断用端末220でDICOMの画像データを表示するためのビューア221を格納しており、予めビューアのダウンロードを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像診断管理装置、方法およびシステムに関し、より詳細には、遠隔の診断用端末において行われる医用画像診断を支援する医用画像診断管理装置、方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野においてはX線CT装置やMRI装置などの医用画像診断機器の技術革新により、多くの医療機関でこのような医用画像診断機器(モダリティ)の導入が盛んに行われ、より多くの画像診断が行われるようになってきた。ところが、従来、全ての医療機関が出力された画像データを読影してレポートを作成する画像診断医を十分確保することができないことから、医療機関とは別に診断用画像データを集中的に読影する医用画像診断機関が設置され、専門の画像診断医を確保できない医療機関は画像データをこのような医用画像診断機関に送ってレポートを入手し治療に用いている。
【0003】
このような医用画像診断機関は一般的に、診断用画像データをディスプレイに表示して画像診断医が読影を行うのを支援する専用端末を複数設置しており、契約した画像診断医が決められたスケジュールにあわせ専用端末を用いてレポートを作成している。このため、各医療機関と連絡を取ってスケジューリングを行う管理者およびその他の事務作業を行う事務員が常駐していて、画像診断のオーダを整理したり画像診断医の手配を行ったりといった各種作業を行い、画像診断医のいない医療機関に代わって画像診断レポートを作成する。こうして、従来の医療システムでは上述のような医用画像診断機関を設置することにより画像診断医の不足に対処している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−24772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術の医用画像診断機関では、オーダ管理やスケジュール管理を管理者の手により行うことから、迅速な対応ができず、このような管理だけに費用がかかるという問題がある。
【0006】
また、画像診断医は、欧米に比べ1/4と少ないにもかかわらず、日本ではモダリティ設置台数世界一であることから読影業務は多忙を極めることとなる。従来のシステムでは前もってスケジュールを管理者に通知し、その日必ず読影を行わなければならず、突然の急患などに対応しなければ医師にとっては利用し難いものである。
【0007】
さらに、医用画像診断機関を別途設置することから設置費用がかかることに加え、読影用の端末は専用端末を使用していることからシステムコストがかさむ上、画像診断医は専用端末の設置してある限られた場所まで出向いて読影しなければならないため、従来のシステムは場所的な制限という問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、多くの画像診断医による効率的な読影を支援する医用画像診断処理装置、方法およびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明の医用画像診断管理装置は、医用画像診断装置から出力される診断用画像データをネットワークを介し受信して画像記憶手段に格納する画像格納手段と、ネットワークを介し、診断用画像データの読影についてのオーダ情報を複数の診断用端末に送信して、送信されたオーダ情報に対する読影要求を受信すると、複数の診断用端末のうち読影要求を送信した診断用端末が画像データの画像診断を行うものと決定するオーダ処理手段と、画像記憶手段から診断用画像データを読み出して、ネットワークを介し、決定された診断用端末に送信する画像送信手段と、診断用画像データを読影して作成された診断結果レポートを受信するレポート処理手段と、受信した診断結果レポートを編集して出力する出力処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の医用画像診断管理方法は、画像格納手段により、医用画像診断装置から出力される診断用画像データをネットワークを介し受信して画像記憶手段に格納するステップと、オーダ処理手段により、ネットワークを介し、診断用画像データの読影についてのオーダ情報を複数の診断用端末に送信して、送信されたオーダ情報に対する読影要求を受信すると、複数の診断用端末のうち読影要求を送信した診断用端末が画像データの画像診断を行うものと決定するステップと、画像送信手段により、画像記憶手段から診断用画像データを読み出してネットワークを介し、決定された診断用端末に送信するステップと、レポート処理手段により、診断用画像データを読影して作成された診断結果レポートを受信するステップと、出力処理手段により、受信した診断結果レポートを編集して出力するステップとを備えたことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明のプログラムは、コンピュータに、画像格納手段により、医用画像診断装置から出力される診断用画像データをネットワークを介し受信して画像記憶手段に格納するステップと、オーダ処理手段により、ネットワークを介し、診断用画像データの読影についてのオーダ情報を複数の診断用端末に送信して、送信されたオーダ情報に対する読影要求を受信すると、複数の診断用端末のうち読影要求を送信した診断用端末が画像データの画像診断を行うものと決定するステップと、画像送信手段により、画像記憶手段から診断用画像データを読み出してネットワークを介し、決定された診断用端末に送信するステップと、レポート処理手段により、診断用画像データを読影して作成された診断結果レポートを受信するステップと、出力処理手段により、受信した診断結果レポートを編集して出力するステップとを実行させることができる。
【0012】
また、本発明の医用画像診断管理システムは、医用画像診断装置から出力される診断用画像データをネットワークを介し送信する送信装置と、ネットワークを介し、診断用画像データを受信して診断用画像を表示するビューアと、診断用画像を読影した結果が入力されると診断結果レポートを作成し、ネットワークを介して送信するレポート作成手段とを含む複数の診断用端末と、医用画像診断装置から出力される診断用画像データをネットワークを介し受信して画像記憶手段に格納し、複数の診断用端末に診断用画像データを送信する画像格納装置と、ネットワークを介し、診断用画像データの読影についてのオーダ情報を複数の診断用端末に送信して、送信されたオーダ情報に対する読影要求を受信すると、複数の診断用端末のうち読影要求を送信した診断用端末が画像データの画像診断を行うものと決定するオーダ処理手段と、診断用画像データを読影して作成された診断結果レポートを受信するレポート処理手段とを含む診断管理装置と、受信した診断結果レポートを編集して出力する出力処理装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、医用画像診断装置から出力される診断用画像データをネットワークを介し受信して画像記憶手段に格納する画像格納手段と、ネットワークを介し、診断用画像データの読影についてのオーダ情報を複数の診断用端末に送信して、送信されたオーダ情報に対する読影要求を受信すると、複数の診断用端末のうち読影要求を送信した診断用端末が画像データの画像診断を行うものと決定するオーダ処理手段と、画像記憶手段から診断用画像データを読み出して、ネットワークを介し、決定された診断用端末に送信する画像送信手段と、診断用画像データを読影して作成された診断結果レポートを受信するレポート処理手段と、受信した診断結果レポートを編集して出力する出力処理手段とを備えているので、医用画像診断業務のための特別な管理者や専用端末を必要とすることなく診断用画像データによる画像の効率的な読影を支援することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる医用画像診断管理システムの概要を示す図である。本発明は、図1に示すようにCT、MRIなどの診断装置を備えた遠隔地の医療機関101から読影のオーダを受信した医用画像診断管理装置を設置している画像診断管理センター102が、コンピュータにより自動的にオーダ管理を行い効率的に読影レポートのオーダ処理を行うものである。すなわち、医療機関101からオーダを受けた画像診断管理センター102は、予め登録された遠隔地の読影(画像診断)医師103にオーダを提示し、そのオーダを読影可能な医師が読影要求を行って、読影レポートの作成を行う。端末は従来の専用端末ではなく、汎用のパーソナルコンピュータとすることができる。画像データおよびデータを表示するソフトウェアであるビューアはネットワークを介して受信され、レポートの作成もオンラインで行われることから読影医師103は、場所や時間の制限を受けずにレポートの作成が可能である。
【0015】
作成されたレポートは、画像診断管理センター102内で報告書として出力されて依頼もとの医療機関101に送られるほか、医療機関101内の端末からオンラインで閲覧し、出力することもできる。なお、医療機関101内の端末も汎用のパーソナルコンピュータが用いられ、システムのコストダウンに寄与する。
【0016】
[第1実施形態]
(システム構成)
図2は、本実施形態の医用画像診断管理システムのシステム構成の概略を示すブロック図である。医用画像診断管理装置210は、CTやMRIなどの医療用画像診断装置から送られる画像データを送信する医療用画像送信装置201、読影用の診断用端末220および依頼もとの医療機関の医師231の閲覧等のための端末230とネットワークを介し接続される。これらの接続は、本実施形態においてはセキュリティの確保のためVPN(仮想私設通信網)202、203を使用している。また、医療用画像送信装置201から送られる画像データは現在の医用画像の標準フォーマットであるDICOMフォーマットであり、本実施形態ではこのフォーマットを変換することなく診断用端末220および端末230上に直接表示させることができるソフトウェアであるビューアを用いる。
【0017】
医用画像診断管理装置210は、DICOMウェブサーバ211、オーダサーバ212、およびレポートサーバ213を備え、DICOMウェブサーバ211は送られてきたDICOMデータを受信し画像格納手段である画像データベース214に格納し管理する。ここで、DICOMデータには通常、その画像に関する情報、例えば撮影された日付、患者の名前、性別、撮影条件、モダリティおよび部位などの情報がタグ情報として添付されているため、画像データベース214にはタグ情報も同様に格納される。なお、ここでは説明の便宜上、医用画像診断管理装置210を3つのサーバに分けて説明しているが、これに限定する必要はなく、より少ないサーバまたはより多いサーバを用いて本装置の機能を達成すること、すなわち少ないサーバを用いることによりシステムのコストダウンが可能であり、多くのサーバを用いて各データベースを別々に管理することによりセキュリティの向上が期待できることは当業者であれば容易に理解することができる。
【0018】
オーダ処理手段であるオーダサーバ212はオーダ管理の中心となるオーダ記憶手段であるオーダリスト215を作成・管理し、オーダが指定された期間内に的確に処理されるようスケジュール情報もオーダリストにより管理される。レポート処理手段であるレポートサーバ213はレポート作成画面を各診断用端末220に提示してレポートデータベース216の作成・管理を行い、レポート完了後は出力処理手段であるプリンタ240等に読影報告を出力させる。また、画像送信手段であるDICOMウェブサーバ211は、診断用端末220でDICOMの画像データを表示するためのビューア221を格納しており、初めて使用する端末に対し予めビューアのダウロードを行う。一度、ビューアをダウンロードすると、次回以降画像データを表示するときはダウンロードする必要はない。
【0019】
診断用端末220には、上述のビューア221とウェブブラウザ222がインストールされており、汎用OSを搭載したパーソナルコンピュータが主に使用される。読影医師223は、ウェブブラウザ222を介してオーダの確認および受諾を行い、並びにレポートの作成を行う。また、DICOMデータは、ネットワークを介しDICOMウェブサーバ211から受信して、ビューア221により診断用端末220に表示される。
【0020】
院内医師231は、レポートが完了するとFAXまたは郵送で読影報告書が送られる以前に、端末230を用いて閲覧することができる。端末230も、汎用OSを搭載したパーソナルコンピュータとすることができる。
【0021】
(システムの動作)
本実施形態の医用画像診断管理装置210は、依頼元医療機関から診断用画像データが送られてくると、いくつかのテーブルまたはデータベースを用いて、読影オーダの提示処理、読影医師223の決定処理、およびレポート作成支援処理を行って、医用画像診断の管理を行う。
【0022】
図3は、依頼元医療機関から診断用画像データが送られてきた後、読影オーダを各診断用端末220に提示する処理を示すフローチャートである。オーダサーバ212は、定期的にDICOMウェブサーバ211を介して画像データベース214にQ/R(Query Retreive)を発行して、新たに格納された画像データがないかどうかをチェックする(S301、S302)。新たなデータの格納がない場合は待機する。新たなデータが格納されていた場合は、その新たに格納された画像データに添付しているタグ情報を読み取る(S303)。一方、この画像データに対応する依頼情報が別途届いていないかどうかをチェックし、届いている場合はその内容を読み込んでおく(S304、S305)。依頼情報は、依頼元医療機関からオンラインでテキスト入力できるほか、電子メールやFAXにより送ってシステムに反映させることもできる。
【0023】
ここで、依頼情報とは、依頼もとの医療機関から送られ、タグ情報に含まれる情報以外の患者に関する情報であり、例えば患者の病状や病歴などが含まれる。このような依頼情報は正確な読影のための一助となり有用である。
【0024】
また、実施形態によっては、緊急度に応じて読影医師に対する報酬を階層的に設定することもできる。ここで、依頼元医療機関、基本的に院内医師231は、読影依頼の際にレポート返却期限までの期間(5日間、3日間、翌日、1時間以内等)を決定して医用画像送信装置201を介してオーダサーバ212送信し、この情報が後述するオーダリストに表示される(図示せず)。この送信されたレポート返却期限までの期間により定められるのが緊急度である。一般に緊急度が高い(返却までの期間が短い)オーダの価格設定は高くなるから、これが画像診断医の報酬へも反映される。緊急度を用いることにより、通常は報酬の高いから読影要求が行われるから、より緊急性の高いオーダが優先的に処理されるため、より効率的なシステムとすることができる。また、ここで指定された返却期間に基づいて、スケジュール処理手段でもあるオーダサーバ212は、まず画像診断が決定されたオーダとされていないオーダとを判別し、画像診断が決定されているオーダについては、オーダが期限どおりに的確に処理されているか否かを管理者に報告し、あるいは読影医師に督促を行なう。未決定のオーダについては、期限内にレポートがなされるように管理者に状況が報告されるが、この際、期限までに残された期間と読影画像の難易、対応する分野の読影医師の数等を考慮して的確な時期と情報が提供されるようにすることもできる。管理者は図10に示すような画面を用いてスケジュール管理を行うことができる。
【0025】
タグ情報に含まれる撮影日付、患者名、部位およびモダリティなど、並びに緊急度などを用いて新たな読影オーダを設定し、オーダリスト215に追加する。オーダリスト215は、ネットワークを介して診断用端末220からアクセスすることができ、読影医師223はビューアを用いた読影が可能である。以上により、読影医師223は自身の専門分野のより詳細な診断が可能となる。
【0026】
図4は、提示されたオーダに対し、いずれの読影医師が対応するかを決定する処理を示すフローチャートである。上述のオーダリスト提示処理により各読影医師は、オーダリスト上の各オーダを閲覧して、自身の専門分野など対応可能なオーダがある場合、読影要求をオーダサーバ212に通知する。
【0027】
図5は、実際に診断用端末220に表示されたオーダリストの画面である。図5を参照すれば理解できるように、オーダリストにはステータス、検査日、モダリティ、部位およびオーダ日(期限)などが表示されており、読影医師はこれらの情報に基づいて、レポートの作成が可能なオーダを選択することができる。依頼情報は、本画面にその情報がリンクされており、読影医師は依頼情報を参照しながら読影を行ってレポートを作成する。一般に、読影医師も一定の専門分野があるため、モダリティや部位によりオーダを選択することは質の高いレポートを作成する上で重要である。
【0028】
また、オーダリスト画面上のステータスは、現時点における各オーダの対応状況が示されており、通常の画面では基本的に「未読影」のステータスにあるオーダのみが表示され、読影医師がオーダを選択するのに供している。ステータスとしては、この他に、例えば「読影中」、「一時保存」、「読影済み」および「承認待ち」などといったものが設定されており、必要に応じて一定の読影医師がそれらのステータスにあるオーダを閲覧することができる。通常は未読影のみ制限なしに閲覧することができるが、「読影済み」のオーダは過去同じ患者を撮影した画像データを閲覧したい場合等に用いられるので、オーダリスト上で読影済みのオーダを表示するメニューを設定することが有効である。また、「承認待ち」のオーダは、組織的に複数人で読影を行い、管理者がチェックするシステムを採用している場合などに使用できる。さらに、オーダリスト画面は、その他の画面やアプリケーションにリンクが張られており、この画面で指定することにより別の処理が可能となる。すなわち、この画面から各オーダに対応する画像データやレポート作成画面を呼び出すことができる。
【0029】
以上のようにして、各読影医師はオーダリストを閲覧し、対応可能なオーダがある場合は、この画面で直接指定することによりオーダサーバ212に読影要求が通知され、通知されたオーダサーバ212は、そのオーダについて未だ他の診断用端末から受諾が来ていなければ、この時点で受諾を通知してきた診断用端末を使用する読影医師の担当であることを決定しステータスを「読影中」に変更し、他の診断用端末からのアクセスを禁止する(S401〜S403)。
【0030】
図6は、本実施形態の読影レポート作成支援の処理を示すフローチャートである。読影医師の診断用端末220の操作により、読影が開始されたことを判定してレポート作成画面を表示する(S601、S602)。本実施形態では、通常オーダリスト画面において、「レポート作成」(図示せず)を選択すると、読影が開始されたものと判定してレポート作成画面を自動的に表示する。図7は、本実施形態のレポート作成画面を示す図である。本実施形態では、レポート作成画面はJAVA(登録商標)アプレットにより作成され、項目が入力されるとリアルタイムでレポートデータベース216に反映するようになっているが、これに限定されることなく診断用端末で作成されたデータを別途レポートサーバ213に送るようにすることもできる。
【0031】
次に、読影のために上述でインストール済みのビューア221が自動的に起動され、DICOMウェブサーバ210に要求してレポート作成を開始したオーダの画像データがネットワークを介して受信されて(S603)読影医師のモニタに表示される。本実施形態では、オーダリストの各オーダにはその画像データへのリンクを有しているので、オーダリストの画面でオーダを指定して呼び出すことにより、自動的にビューア221が起動され、必要な画像データが読み込まれて表示される。図8に本実施形態のビューア221に表示された診断用画像の例を示す。この画像は、DICOMフォーマットであるため、病変の実測値などの診断に必要な様々なデータを得ることができる。
【0032】
レポートの作成が終了すると、対応するオーダのステータスを「読影済み」に変更し、データベースに書き込まれたレポート内容を確定する(S604〜S606)。本実施形態では、読影医師がレポート作成画面で「認証登録」ボタンをクリックすると、レポートサーバ213にレポート作成が通知され、レポート完了処理が行われる。
【0033】
仮登録や読影登録などで一時的にレポート内容を保存しておくこともできる。認証登録後は、レポート内容の変更ができないため、改ざんを防ぐことができる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態では医療機関から送られた診断用画像データの読影をオーダリストを用いて管理するため、管理者等を必要としないのでコストダウンが可能となる。さらに、読影医師が自身のパーソナルコンピュータを用い任意の時間、場所において読影が可能となるので、画像診断医を効率的に活用して医用画像診断を大量に処理することができる。
【0035】
(第2実施形態)
図9は、本発明の一実施形態にかかる医用画像診断管理システムのシステム構成の概略を示すブロック図である。本実施形態のシステム構成は第1実施形態とほぼ同様であるが、読影オーダの設定処理が異なる。すなわち、第1実施形態では、オーダサーバ212が画像データベースに新たにデータが追加されると、それに対応する読影オーダを設定したが、本実施形態では医用画像送信装置201において読影オーダが設定され、その画像データとともにサーバに送られる。図9では、読影オーダと画像データとはともにDICOMウェブサーバ211が受信して、その後読影オーダはオーダサーバ212に送信されるが、直接オーダサーバ212が受信するシステムとすることもできる。
【0036】
ここで、読影オーダには、患者の名前、ID番号、検査日等の対応する画像データを紐付ける情報が含まれる。
【0037】
DICOMウェブサーバ211により受信された読影オーダは、その後オーダサーバ212においてオーダリストに追加される。その後の処理は第1実施形態と同様である。
【0038】
(第3実施形態)
本実施形態では、上述の医用画像診断管理処理に加え、診断用端末間におけるカンファレンス機能を備える。ここで、カンファレンス機能は、一般に使用されているカンファレンスソフトを用いることもできる。
【0039】
本実施形態により、読影医師同士、あるいは専門の相談者との間でカンファレンスを行うことができるため、より多くの読影医師が本システムに登録することを促進し、複数での質の高いレポート作成が可能となり、本発明の効果がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明にかかる医用画像診断管理システムの概要を示す図である。
【図2】本実施形態の医用画像診断管理システムのシステム構成の概略を示すブロック図である。
【図3】本実施形態にかかる依頼元医療機関から診断用画像データが送られてきた後、読影オーダを格診断用端末220に提示する処理を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態の提示されたオーダに対しいずれの読影医師が対応するかを決定する処理を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態の実際に診断用端末に表示されたオーダリストの画面である。
【図6】本実施形態の読影レポート作成支援の処理を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態にかかるレポート作成画面を示す図である。
【図8】本実施形態のビューア221に表示された診断用画像の例を示す図である。
【図9】本実施形態の医用画像診断管理システムのシステム構成の概略を示すブロック図である。
【図10】本実施形態のスケジュール管理の画面を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
101 画像検査側病院
102 遠隔画像診断管理センター
103 読影医師(画像診断医)
201 医療用画像送信装置
202、203 VPN
210 医用画像診断管理装置
211 DICOMウェブサーバ
212 オーダサーバ
213 レポートサーバ
214 画像データベース
215 オーダリスト
216 レポートデータベース
220 診断用端末
221 ビューア
222 ブラウザ
223 読影医師
230 端末
231 院内医師
240 出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像診断装置から出力される診断用画像データをネットワークを介し受信して画像記憶手段に格納する画像格納手段と、
前記ネットワークを介し、前記診断用画像データの読影についてのオーダ情報を複数の診断用端末に送信して、当該送信されたオーダ情報に対する読影要求を受信すると、前記複数の診断用端末のうち該読影要求を送信した診断用端末が前記画像データの画像診断を行うものと決定するオーダ処理手段と、
前記画像記憶手段から前記診断用画像データを読み出して、前記ネットワークを介し、前記決定された診断用端末に送信する画像送信手段と、
前記診断用画像データを読影して作成された診断結果レポートを受信するレポート処理手段と、
前記受信した診断結果レポートを編集して出力する出力処理手段と
を備えたことを特徴とする医用画像診断管理装置。
【請求項2】
前記オーダ処理手段は、前記オーダ情報を複数の診断用端末に送信した後、最初に読影要求を受信した診断用端末を前記画像データの画像診断を行う診断用端末と決定し、該決定の後に当該決定されたオーダ情報への当該決定された診断用端末以外の診断用端末からのアクセスを停止することを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断管理装置。
【請求項3】
前記オーダ情報を蓄積し、前記オーダ処理手段により画像診断が決定されたオーダと未だ決定されていないオーダとを判別し、スケジュール情報としてオーダ記憶手段に格納し、当該読み出されたスケジュール情報に基づいてスケジュール管理を行うスケジュール処理手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の医用画像診断管理装置。
【請求項4】
前記画像診断の際に、前記複数の診断用端末の各々の間でメッセージを交換するカンファレンス処理手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1、2または3に記載の医用画像診断管理装置。
【請求項5】
前記オーダ情報は、モダリティ情報、部位情報およびレポート期限情報を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の医用画像診断管理装置。
【請求項6】
前記オーダ情報のレポート期限情報によりレポート作成緊急度の格付を設定し、予め該格付に基づいて読影レポート作成報酬を決定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の医用画像診断管理装置。
【請求項7】
前記診断用画像データの読影を依頼する依頼元から、該診断用画像データに関する依頼情報を受け取る依頼情報手段をさらに備え、
前記オーダ処理手段は、前記オーダ情報とともに前記依頼情報を前記複数の診断用端末に送信することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の医用画像診断管理装置。
【請求項8】
前記タグ情報を格納するタグ情報記憶手段と、前記依頼情報を格納する依頼情報記憶手段とをさらに備え、
前記タグ情報、前記依頼情報、および前記診断用画像データは別途各々管理されることを特徴とする請求項7に記載の医用画像診断管理装置。
【請求項9】
前記複数の診断用端末の各々において前記診断用画像データを表示するビューアをネットワークを介して予め送信するビューア送信手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の医用画像診断管理装置。
【請求項10】
前記ネットワークは仮想プライベートネットワークであり、前記診断用画像データはDICOMフォーマットであることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の医用画像診断管理装置。
【請求項11】
前記オーダ処理手段は、前記画像記憶手段から前記診断用画像データを読み出して該診断用画像データのタグ情報を抽出し、当該抽出されたタグ情報から前記オーダ情報を生成してオーダ情報データベースに格納するオーダ情報生成手段を含むことを特徴とする請求項10に記載の医用画像診断管理装置。
【請求項12】
前記オーダ情報生成手段は、所定の一定期間ごとに前記画像記憶手段を検索して、新たに格納された診断用画像データがあるか否かを判定し、新たな診断用画像データが格納されていたときは当該格納された新たな診断用画像データから前記タグ情報を抽出し、
前記オーダ処理手段は、前記格納された新たな診断用画像データから抽出されたタグ情報から生成されたオーダ情報を前記オーダ情報データベースから読み出して、該オーダ情報を前記複数の診断用端末に送信することを特徴とする請求項11に記載の医用画像診断管理装置。
【請求項13】
画像格納手段により、医用画像診断装置から出力される診断用画像データをネットワークを介し受信して画像記憶手段に格納するステップと、
オーダ処理手段により、前記ネットワークを介し、前記診断用画像データの読影についてのオーダ情報を複数の診断用端末に送信して、当該送信されたオーダ情報に対する読影要求を受信すると、前記複数の診断用端末のうち該読影要求を送信した診断用端末が前記画像データの画像診断を行うものと決定するステップと、
画像送信手段により、前記画像記憶手段から前記診断用画像データを読み出して前記ネットワークを介し、前記決定された診断用端末に送信するステップと、
レポート処理手段により、該診断用画像データを読影して作成された診断結果レポートを受信するステップと、
出力処理手段により、前記受信した診断結果レポートを編集して出力するステップと
を備えたことを特徴とする医用画像診断管理方法。
【請求項14】
医用画像診断装置から出力される診断用画像データおよびオーダ情報をネットワークを介し送信する送信装置と、
前記ネットワークを介し、前記診断用画像データを受信して診断用画像を表示するビューアと、該診断用画像を読影した結果が入力されると診断結果レポートを作成し、前記ネットワークを介して送信するレポート作成手段とを含む複数の診断用端末と、
前記医用画像診断装置から出力される診断用画像データおよびオーダ情報をネットワークを介し受信して画像記憶手段に格納し、前記複数の診断用端末に前記診断用画像データおよびオーダ情報を送信する画像格納装置と、
前記ネットワークを介して前記送信されたオーダ情報に対する読影要求を受信すると、前記複数の診断用端末のうち該読影要求を送信した診断用端末が前記画像データの画像診断を行うものと決定するオーダ処理手段と、前記診断用画像データを読影して作成された診断結果レポートを受信するレポート処理手段とを含む診断管理装置と、
前記受信した診断結果レポートを編集して出力する出力処理装置と
を備えたことを特徴とする医用画像診断管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−172131(P2006−172131A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−363618(P2004−363618)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(304044999)
【Fターム(参考)】