説明

医療処置に使用されるアンカー/縫合糸

縫合糸ロック装置を含むアンカーを使用する医療処置の際に、縫合糸を結合するためのものである。縫合糸ロック装置は、ロック装置に形成された軸方向サイドスロットによって案内され、縫合糸を押し付けるスライドピンを含む。縫合糸の2つの端部が、縫合糸ロック機構の内部に挿入され、その縫合糸をピンの上端が陥凹部の上側の内側表面に押し付けて拘束するように、縫合糸ロック機構が、捕捉された縫合糸およびピンを押し進めてそれらを縫合糸ロック機構の上端にある陥凹部内に嵌める。陥凹部は、ロック能力を高めるために鋸歯状であってもよく、ピンは、ピンの側面部分が縫合糸を破損させ、弱めないようにするために、多角形の形をとって、陥凹部の壁と平行に延びる側部表面を形成する。ピンをロック位置まで動かす縫合糸のロックは、アンカーが展開されたとき自動的に行われ、したがって、手で縫合糸の結び目を作る必要がなくなり、組織の骨への締め込みが改善される。この縫合糸ロック機構は、組織を骨に付着させる、組織を組織に結合させるなどに使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療処置で利用されるアンカーおよび縫合糸に関し、詳細には、患者の腱、筋肉または組織を骨に付着させるように適合された、縫合糸ロックとアンカーの組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
医療技術の当業者には周知のように、縫合結節は、例えば骨に組織を結合させるときなどの、医療処置で行われる場合、外科医が行う処置における最も弱い連結の1つであると考えられている。処置が、関節鏡視下のものであれ、修復される領域の部分的または完全な開口であれ、これが実情である。この技術では、外科医が関節鏡視下で作った縫合糸の結び目に同じものが2つとないことが知られており、また、外科医が組織を骨に最適に固定するように結び目を結ぶことができないことが周知の問題であることも知られている。すなわち、組織は、結合されたとき、可能な限り骨から離れなくなる、または密着するわけではない。
【0003】
本発明は、上記の項で言及した結び目問題を解決する縫合糸を得るという目的で、回旋腱板断裂を扱う際に考案されたが、本発明の器具を他の外科手術で利用できることが、次の本発明の説明で明らかになるであろう。回旋腱板断裂は極めて一般的であり、このことは、骨への組織の結合が困難なため、外科医にとっての問題をますます増大させている。回旋腱板は、上腕の骨(上腕骨)の上端に腱を介して付着する筋肉の一種である。これらの組織の断裂にはしばしば、その断裂を修復する外科手術が必要になる。外科医に残された選択肢は、断裂の重篤度に応じて、関節鏡視下での修復か、関節鏡と小切開を組み合わせた小切開修復か、切開手術である。処置が何であれ、組織は、往々にして、骨の中に固定されるアンカーと、組織およびアンカーに結合されてから結ばれる縫合糸とを使用することによって、最終的に骨に結合される。本発明は、組織を骨に固定し、その組織をできるだけ骨に近接して締め込んで骨に結合するように慎重に調節が行われる独自の装置を対象とする。したがって、本発明は、組織を骨に結合するために使用する器具と、縫合糸を自動的に固定する器具と、本発明の器具を使用するときに、組織ができるだけ骨に近接して締め込まれるように外科医が縫合糸を操作することを可能にする方法とに関する。
【0004】
この肩修復の器具および方法は、Opus Medical社製の、SmartStitch Suturing DeviceおよびMagnum Knotless Fixation Implantを利用するAutoCuff Systemとは全く異なる。この縫合器具は、機械化されたマットレス縫合を使用することによって、結節をなくす。この器具は、縫合部を組織内に直接配置する。縫合部が腱板に配置された後で、外科医がMagnum Knotless Implantを装入し展開させる。この処置は、本発明と区別可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、医療処置で使用される縫合糸の両端を結合しロックする改良型の装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、中空円筒形の本体に挿入される、その本体の内部で壁に向かって軸方向に並進するピンを含み、さらに中空円筒形の本体に開口部を形成し、その開口部に、縫合糸の両側が通され、ピンが、壁に押し付けられるように上向きに移動され、その結果、縫合糸の両側をピンと壁の間で締め付ける、縫合糸ロック装置を提供することである。軸方向スロットが、本体の側壁内に形成され、ピンが本体内で軸方向に横移動するときそのピンを案内する働きをする。陥凹部が、本体内に形成され、ピンと相補的な輪郭を有する壁を画成する。陥凹部の上端表面は、突起を有する表面に輪郭形成されもしくは鋸歯状に形成され、ピンは、陥凹部の側壁と平行な向きの平坦な表面を含む多角形の形をなす。円柱の外径は、開口部が配置された対向する平坦部を有してもよく、この孔により、縫合糸の両側がピンと壁の間に位置するようにこの縫合糸を本体の中に通すことが可能になる。
【0007】
本発明の他の目的は、上記縫合糸ロック装置を従来技術のアンカーに取り付け、折り取り可能なアンカーのシャフトを、ピンを受け入れるための穿設孔を含むように変更することである。銃に似た従来周知のツールが、このアンカーを骨に留置するために使用される。この銃を作動させると、ピンが陥凹部内に移動して縫合糸の両側を締め付け、それらを定位置にロックする。
【0008】
本発明の目的は、外科医が縫合糸の両側を本発明の縫合糸ロック装置の開口部に通して引っ張る間にアンカーを骨に留置させ、同時に、組織を骨表面まで締め込むようにアンカーを展開させる、医療処置で使用される方法を提供することである。外科医は、縫合糸を組織に通したのちに、本体に形成された一方の開口部内に通し、さらに本体の中空を介して直径方向に反対側にある開口部に通し、縫合糸の両端のうちの一方がピンと鋸歯状の壁の間に位置するように配置し、次いで縫合糸のもう一方を、やはりピンと鋸歯状の壁の間に配置させるように、本体に形成された直径方向に対向する両開口部へと通す。
【0009】
本発明の前述および他の特徴は、以下の説明および添付の図面から、さらに明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
上述のように、本発明は、患者の回旋腱板を扱う医療処置において縫合糸を結合するために考案されたが、当業者には理解されるように、アンカーを身体部分に挿入するツールが縫合糸ロック装置を作動させる能力を有する限り、またはアンカーなしでも同様のツールが使用される限り、本発明は、骨に組織を結合することだけでなく組織を組織に結合することなどを含む他の医療処置にも、これに限定することなく適用することができる。
【0011】
図1および図2で最もよく示されるように、参照符号10で全般的に示される本発明の縫合糸ロック装置は、(本発明に対処するように修正され、遠位端で尖端部16に終端する(図9))折り取り可能なシャフト14と、可撓性部分14aと、を含むタイプの周知のアンカー12に取り付けられる。可撓性部分14aは、環状下端の環状部分18と、可撓性アームまたはウィング26と、縫合糸ロック装置10と対合する、またはそれと一体化される上端環状部分20とからなる。アンカー12のウィング26は、展開されたとき、図に示すように屈曲し、mollyボルトと同様に動作し、アンカーを定位置に固定するように骨構造体に押し込まれる。従来のアンカーでは、縫合糸24は、組織30の中に通され、アンカーに形成された開口部(図示せず)に通され、縫合糸24の両端が外科医によって周知の形で結ばれることになる。上記で詳細に説明したように、結び目は外科医が作るので、外科医が縫合糸を結ぶと同時に、組織を骨の表面に隣接して密着させるのが困難であることは自明である。下記でより詳細に説明するように、本発明の縫合糸ロック装置10は、本質的に、縫合糸を定位置で結合およびロックし、この問題を解決する。
【0012】
図1および図2に戻って参照すると(全ての図面において、同様の部分に同じ符号を付ける)、本発明は、キャビティ31を画成する中空の本体28からなり、その本体は、形が概ね円筒形であり、アンカー12に向かってフレア状に端部32で先細になるとともに、アンカー12に適切に取り付けられもしくは一体的に形成され、上端部分33を有する。側面部すなわち表面34,36は、図に示すように平坦でよい。本体28の両側にある対向する細長い溝40が、非平坦な表面に形成され、後でさらに十分に説明するように縫合糸を固定するためにピン42が軸方向に並進されたとき、それを案内する働きをする。本体28の側面における平坦面の両側に形成されるのが、対向する開口部44,46であり、縫合糸が本体28をピン42の上で通ることを可能にする。
【0013】
図3および図4は、折り取り可能なシャフト14と、アンカー部分12aに取り付けられた本発明と、を共に示す本質的な分解図である。従来の周知のアンカーシャフトとほとんど同一である、折り取り可能なシャフト14は、ピン42を受けるように適合された穿設孔52を含むように修正される。ピン42は穿設孔52内に嵌め込まれ、溝40と係合するようにシャフト14の直径を越えて突出する。アンカーシャフト14の遠位端すなわち先端16は、骨を貫通するように、鋭く尖った先端状に先細にされる。シャフト14に刻まれた環状溝58により、シャフトが折り取り可能になり、この弱くなった接合部でシャフトを折ると、外科医はその環状溝の先に延びているシャフトのその部分を切断することができる(この特徴は、従来技術のアンカーで一般的である)。本体28は、アンカーポート12に取り付けられて示される。
【0014】
図4は、本体28に形成された溝40を示すために90度回転させた、図3に示す装置の図である。同一の溝40が、本体28の正反対側の壁に形成され、ピン42が軸方向に並進するときにそれを案内するためのカム表面を画成する。アンカー12および縫合糸ロック機構10を組み立てるために、シャフト14が、本体28の中空の中心部分およびアンカー部分12aを通して挿入され、そこに適切に取り付けられる。穿設孔52が溝40と位置合わせされるように配置された後、ピン42が穿設孔52を通して挿入され、その結果、その両端の突出部が、対向する溝40内に延出することになる。
【0015】
外科手術を行う際に、患者の皮膚を切開し、腱または組織および骨を露出させた後、外科医は、アーバ、ドリルなどを使用して、アンカーの下穴を形成するために骨に溝をつける。次いで、時には「FASTENATOR」とも呼ばれる、機械式動力器具すなわちツール41(図13参照)を使用して、アンカーのシャフト14が周知の形で取り付けられる。この器具は、本発明の譲受人であるANSPACH EFFORT,INCより入手可能である。下記により詳細に説明するように、ツール41により、外科医は、図9および図11に示すようにアンカーを骨に打ち込み、縫合糸を定位置で自動的に結合させ、ロックすることができる。
【0016】
外科医が医療処置を完了し、縫合糸を適用する必要がある際、外科医は縫合糸を組織に通し、開口部44,46を介して縫合糸を挿入することによって、アンカーの本体10に通す。図1,2,5A,5B,5Cに示すように、縫合糸は、本体の結合される部分を囲む輪を形成し、縫合糸が縫合糸ロック機構内に進むと、その輪は締められ、時には閉じられるようになる。外科医は、縫合糸の両側をたぐり、輪を本体28の中心開口部の方に押し進めて、図5A,5B,5C,7,8に示すように、縫合糸および縫合糸ロック装置をできるだけ組織および骨に近づけて引き寄せる。外科医は、縫合糸を締めている間に、器具41のハンドルを引き絞り始める。骨にアンカーを打ち込むツール41を展開することにより、図5Bに示すように、シャフト14が上向き方向に押し進められる。ツール41の動作によって、ピンが陥凹部62に嵌合するまで本体28の上端側へ進むように溝40内で持ち上げられる。陥凹部62の上端表面61は、参照符号64で示すように鋸歯状とすることができ、その結果、ピンがその最も上方の位置まで移動したときに縫合糸の両側が鋸歯状表面61に押し付けられ、そこで、ピンの力により縫合糸の表面が鋸歯状の歯に接して拘束され、外科医が結節する必要なく縫合糸を定位置に結合およびロックするように、縫合糸がそこで締め付けられる。ピンは、ツール41の動作によってロック位置まで引き寄せられることを理解されたい。したがって、例えば組織を組織に接合させるとき、縫合糸ロック機構は、アンカーをそこに取り付けることなく利用することができる。
【0017】
図6に示すように、ピン42は、本明細書で説明するためにこの実施形態では、多角形、例えば六角形の輪郭を有する。この形状の目的は、ピンがロック位置にあるときにピン42a,42bの側縁部を、溝62を画成する壁と確実に平行にさせて、ピン/壁が縫合糸に引っかかりその糸を弱めないようにすることである。
【0018】
図5B,5Cに示すように、アンカーが展開されたとき、シャフトが、本体28の上端縁部66を越えて持ち上がり、環状溝58を露出させる。シャフトの大きい方の直径に形成された外側縁部59が、この動作のときに、本体28の内側面に形成されたショルダ部61に支承される。シャフト14を曲げることによって、シャフトはこの位置(環状の溝)で折れ、アンカーおよび本体28から切り離され、次いで廃棄されることになる。本発明により、縫合糸は、本発明の縫合糸ロックによって、また、縫合糸をロックする工程の際に、組織ができるだけ骨の近くに配置されるように骨に対して組織が締め付けられていることによって、定位置にロックされる。従来の慣例であった手で結び目を結ぶことが、本発明によりなくなるので、外科医は、縫合糸を引っ張って組織を骨に密着させ(締め付け)、次いでこれが最適な位置であると判断したときに、バックラッシュを被ることなく縫合糸を定位置にロックすることができる。すなわち、本発明は、縫合糸を手で結んだときに一般に生じるたるみをなくす。
【0019】
本発明をその詳細な実施形態に関して示し、説明したが、開示された本発明の精神および範囲から逸脱することなく、その形状および細部に様々な変更を加えることができることが、当業者には認識され理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】待機状態にあるときの本発明の詳細を示す部分斜視図である。
【図2】図1に示した装置の展開位置を示す部分斜視図である。
【図3】ロックピンが見えるように本発明の詳細を示す分解側面図である。
【図4】図3で示した装置と同一のものを90度回転させた分解側面図である。
【図5】縫合糸の挿入から、アンカーの骨への挿入、本発明の最終動作ステップにおいて作業用シャフトが折り取られるまでの、本発明の縫合糸/アンカーの動作を例示する部分側面図である。
【図6】図3〜5(C)に示した本発明のピンの端面図である。
【図7】本発明の装置の定位置にロックされている縫合糸を例示する部分拡大図である。
【図8】作業用シャフトの除去を例示する、図7に示した装置と同一の部分拡大図である。
【図9】組織の骨への結合を例示する、従来技術のアンカーおよび縫合糸の正面概略図である。
【図10】図9に示した例示の縫合糸を組織へ通す従来技術の方法を例示する斜視図である。
【図11】骨に組織を結合させるために縫合糸をアンカーへ通すところを例示する本発明の正面概略図である。
【図12】縫合糸を本発明の器具へ通すところを例示するための図11の要素を示す斜視図である。
【図13】アンカーを骨の中に挿入する従来技術の医療器具の平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸(24)の両端部を固定し、ロックする縫合糸ロック装置(10)であって、
キャビティ(31)を画成する壁体と、上端部分(33)と、側面部分(34,36)と、を有する円筒形の本体(28)と、
前記キャビティ内で横方向に配設されたピン(42)と、を有し、前記壁体が、前記本体(28)の前記上端部分に隣接して形成される、前記ピン(42)と軸方向で位置合わせされる陥凹部(62)を画成し、さらに、結合用の前記縫合糸(24)の両側を受けるために、前記縫合糸ロック装置(10)の前記側面部分の各々に開口部が形成され、その結果、結合用の前記縫合糸(24)を、前記ピン(42)と前記陥凹部(60)の壁(61)との間に位置するように前記キャビティ(31)内で横方向に挿通し、
前記縫合糸ロック装置(10)が展開されたとき、前記キャビティ内の前記縫合糸の両側が、前記陥凹部の壁(61)および前記ピン(42)に押し付けられ、それにより、前記縫合糸(24)が、前記陥凹部の壁(61)に接する前記ピン(42)によって前記縫合糸の両側に加えられる締付け力によって、定位置にロックされる縫合糸ロック装置。
【請求項2】
前記ピン(42)が、多角形の形状であることを特徴とする請求項1に記載の縫合糸ロック装置(10)。
【請求項3】
前記陥凹部の壁(61)が鋸歯状であることを特徴とする請求項2に記載の縫合糸ロック装置。
【請求項4】
前記多角形のピンの平坦部分が、前記鋸歯状の歯に対して垂直に延びる前記陥凹部(62)の壁部分に隣接するように位置付けられることを特徴とする請求項3に記載の縫合糸ロック装置。
【請求項5】
前記開口部から角度を付けて配設された側壁部分に形成された、直径方向に配設された軸方向スロット(40)を含み、前記ピン(42)の両端部が、前記直径方向に配設された軸方向スロット(40)内で延び、前記ピン(42)が前記陥凹部の壁(61)の方に横移動するときに、前記直径方向に配設された軸方向スロット(40)が、前記ピン(42)を案内することを特徴とする請求項1に記載の縫合糸ロック装置。
【請求項6】
縫合糸(24)の両端を固定しロックするアンカーと縫合糸ロック装置との組合せであって、前記縫合糸ロック装置(10)が、上端部分(33)と下端部分(32)と側面部分(34)とを有する円筒形の中空の本体(28)を有し、
前記側面部分(34)内に、直径方向に対向するスロット(40)が形成され、
両端を有するピン(42)が、前記本体(28)内に配設され、前記両端が、前記直径方向に配設されたスロット(40)内に延び、一対の直径方向に配設された開口部(44,46)が、前記本体(28)における前記直径方向に対向するスロット(40)に対して90度の位置に形成され、
前記上端部分が、前記本体に形成されるとともに前記ピン(42)と軸方向に位置合わせされた陥凹部を画成する内側壁(61)を有し、
縫合糸ロック装置(10)が、組織を結合させるようにこの組織の一部分から延びる縫合糸の一方の部分と、前記組織の別の部分から延びる縫合糸の他方の部分とを前記縫合糸ロック装置(10)に通すことによって、前記組織へ通した前記縫合糸(24)の両側を受け入れ、前記両部分が、前記ピン(42)に掛かるように前記直径方向に対向する開口部(44,46)の中に通され、
前記アンカー(12)を展開したとき、前記ピン(42)が前記直径方向に対向するスロット(40)内で並進されることにより、前記縫合糸(24)の両部分を、前記陥凹部(60)を形成する前記壁(61)と前記ピン(42)の間で拘束させるように、前記ピン(42)が前記陥凹部(60)内で並進し、
それにより、前記陥凹部の壁(61)と前記ピン(42)の間で前記縫合糸の両部分を締め付けることによって、前記縫合糸(24)が定位置にロックされることを特徴とする縫合糸の両端を固定しロックするアンカーと縫合糸ロック装置との組合せ。
【請求項7】
前記アンカー(12)が、環状下端部分および環状上端部分と、その間に取り付けられた外向きに屈曲するウィング(26)と、を含むタイプのものであり、
軸方向に折り取り可能なシャフト(14)が、前記縫合糸ロック装置(10)および前記アンカー(12)を貫通して延びるとともに、尖った先端部分(16)を有し、
前記ピン(42)が、前記軸方向に折り取り可能なシャフト(14)に形成された孔を貫通して延び、前記ピン(42)の両端部が、前記軸方向に折り取り可能なシャフト(14)を越えて突出して前記直径方向に対向するスロット(40)と係合し、
前記先端部分(16)および前記下端部分(18)が、前記アンカー(12)が展開されたときに前記上側部分(33)の方へと進み、前記シャフト(14)が、前記シャフト内に形成された環状溝(58)を露出させるように前記上端部分(33)の上に進み、それにより、前記シャフトの、前記上端部分より上の部分が、前記シャフトの、前記上端部分より下の部分から切断されることを特徴とする請求項6に記載の縫合糸の両端を固定しロックするアンカーと縫合糸ロック装置との組合せ。
【請求項8】
前記ピン(42)が、多角形の形状であることを特徴とする請求項6に記載の縫合糸の両端を固定しロックするアンカーと縫合糸ロック装置(10)との組合せ。
【請求項9】
前記陥凹部壁(61)が、鋸歯状であることを特徴とする請求項8に記載の縫合糸の両端を固定しロックするアンカーと縫合糸ロック装置との組合せ。
【請求項10】
組織を患者の骨に結合する縫合糸(24)の両端を固定しロックするアンカーと縫合糸ロック装置(10)との組合せであって、
前記縫合糸ロック装置(10)が、医療目的で前記骨に固定されるタイプのアンカー(12)に取り付けられるとともに、円筒形の中空の本体(28)を含み、前記円筒形の中空の本体(28)が、上端壁部分(33)と下端壁部分(32)と側面部分(34)とを有し、直径方向に対向するスロット(40)およびそこから周方向に隔置された一対の直径方向に配設された開口部(44,46)を備え、
多角形のピン(42)が、前記本体(28)内に配設されるとともに前記直径方向に配設されたスロット(40)内に延びる両端部分を有し、
前記一対の直径方向に配設された開口部が、前記本体の壁における前記直径方向に対向するスロット(40)に対して90度の位置に形成され、
前記本体に形成された陥凹部(60)が、前記ピン(42)と軸方向で位置合わせされた鋸歯状部分(61)を有し、ロックされることを意図する縫合糸(24)が、組織を患者の骨に結合する縫合部分を有し、
前記縫合糸(24)の一方の部分が前記組織の一方の側から延び、前記縫合糸の他方の部分が前記組織の別の側から延び、両部分とも、前記ピン(42)に掛かるように前記直径方向に対向する開口部(44,46)を通り、
前記アンカー(12)が展開されたとき、前記ピン(42)が、前記陥凹部(60)の前記鋸歯状部分(61)と前記ピン(42)の間で前記縫合糸を拘束させるように、前記陥凹部(60)内に並進され、
前記アンカー(12)が、環状下端部分(16)と、環状上端部分(18)と、それらの間に取り付けられた外向きに屈曲するウィング(26)と、を有し、
軸方向に折り取り可能なシャフト(14)が、前記縫合糸ロック装置(10)および前記アンカー(12)を貫通して延びるとともに前記下端部分を越えて突出する尖った先端部分(16)を有し、
前記ピン(42)が、前記軸方向に折り取り可能なシャフト(14)内に形成された孔(52)を貫通して延びるとともに前記ピン(42)の両端が、前記軸方向に折り取り可能なシャフト(14)を越えて突出して前記直径方向に対向するスロット(40)と係合し、
前記先端部分(16)および前記下端部分が、前記アンカー(12)が展開されたときに前記上側部分(33)の方に進み、前記軸方向に折り取り可能なシャフト(14)が、このシャフト(14)内に形成された環状溝(58)を露出させるように前記上端部分(33)の上に進み、これにより、前記シャフトの前記上端部分より上の部分が、前記シャフトの前記上端部分より下の部分から切断できることを特徴とする組織を患者の骨に結合する縫合糸の両端を固定しロックするアンカーと縫合糸ロック装置との組合せ。
【請求項11】
前記多角形ピン(42)の一つの側面が、この多角形の頂点が前記鋸歯状陥凹部(61)に面するように配向され、前記ピンのその他の側面が、前記縫合糸の片側の一部が前記側壁部分(34)と前記その他の側面との間に位置するように前記側壁部分と平行に配設されることを特徴とする請求項10に記載の組織を患者の骨に結合する縫合糸の両端を固定しロックするアンカーと縫合糸ロック装置(10)との組合せ。
【請求項12】
前記直径方向に配設された開口部(42,44)に隣接する前記円筒形の壁(28)の側面部分(34)が平坦であることを特徴とする請求項11に記載の組織を患者の骨に結合する縫合糸の両端を固定しロックするアンカーと縫合糸ロック装置との組合せ。
【請求項13】
縫合糸の両端を固定しロックする縫合糸ロック装置であって、
前記縫合糸ロック装置が、キャビティ(31)を画成する壁体と、上端部分と、側面部分と、を有する円筒形の本体(28)を有し、
六角形のピン(42)が、前記キャビティ(31)内で横方向に配設され、前記壁が、前記本体(28)の前記上端部分(33)に隣接して形成されるとともに前記六角形のピン(42)と軸方向で位置合わせされた鋸歯状の陥凹部壁(61)を画成し、
前記側壁部分に径方向に配設されたスロット(40)が、前記六角形のピン(42)を案内するためのものであり、
結合されることが意図された前記縫合糸を、前記ピン(42)と前記鋸歯状陥凹部の壁(61)との間に配置すべく前記キャビティ(31)内で横方向に延ばすように、この結合されることが意図された前記縫合糸(24)の両側を受ける前記縫合糸ロック装置(10)の前記側壁部分(34)に形成された開口部(44,46)が、前記直径方向に配設されたスロット(40)から周方向に隔置され、
前記縫合糸ロック装置(10)が展開されたとき、前記キャビティ(31)内の前記縫合糸の両側が、前記鋸歯状陥凹部の壁(61)と前記六角形のピン(42)とに押し付けられ、前記縫合糸が、前記鋸歯状陥凹部の壁(61)に接する前記ピン(42)によって前記縫合糸の両側に加えられる締付け力によって、定位置にロックされる縫合糸ロック装置。
【請求項14】
前記六角形のピン(42)の平坦部分が、前記鋸歯状の歯(61)に対して垂直に延びる前記陥凹部(31)の壁部分に隣接して配置されることを特徴とする請求項13に記載の縫合糸ロック装置。
【請求項15】
組織を患者の骨に結合する縫合糸の両端を固定しロックするアンカーと縫合糸ロック装置との組合せであって、
前記縫合糸ロック装置が、医療目的で前記骨に固定されるタイプのアンカー(12)に取り付けられ、前記縫合糸ロック装置(10)が、円筒形の中空の本体(28)を有し、前記円筒形の中空の本体(28)が、上端壁部分と下端壁部分(32)と側面部分(34)とを有し、かつ直径方向に対向するスロット(40)およびそこから周方向に隔置された直径方向に配設された開口部(44,46)を備え、
多角形のピン(42)が、前記本体(28)内に配設されるとともに前記直径方向に配設されたスロット(40)内に延びる両端部分を有し、
前記本体に形成された陥凹部が、前記ピンと軸方向で位置合わせされた鋸歯状壁部分を有し、
ロックされることが意図された縫合糸(24)が、組織を患者の骨に結合する縫合部分を有し、
前記縫合糸の一方の部分が前記組織の一方の側から延び、前記縫合糸の他方の部分が前記組織の別の側から延び、両部分とも、前記ピン(42)に掛かるように前記直径方向に対向する開口部(44,46)を通り、
前記アンカー(12)が展開されたとき、前記多角形のピン(42)が、前記陥凹部(60)の前記鋸歯状壁部分(61)と前記ピン(42)の間で前記縫合糸(24)を拘束させるように、前記陥凹部内に並進し、
前記アンカー(12)が、環状下端部分(16)と、環状上端部分(18)と、それらの間に取り付けられた外向きに屈曲するウィング(26)と、を有し、
軸方向に折り取り可能なシャフト(14)が、前記縫合糸ロック装置(10)および前記アンカー(12)を貫通して延びるとともに前記下端部分を越えて突出する尖った先端部分(16)を有し、この尖った先端部分(16)が、前記尖った先端を患者の骨内に挿入する配置ツールによって配置されるように適合され、
前記多角形のピン(42)が、前記軸方向に折り取り可能なシャフト(14)に形成された孔(52)を貫通して延びるとともに前記ピンの両端が、前記軸方向に折り取り可能なシャフト(14)を越えて突出して前記直径方向に対向するスロット(40)と係合し、
前記先端部分(16)および前記下端部分が、前記アンカー(12)が前記ツールの動作によって展開されたときに前記上側部分(33)の方に進み、前記軸方向に折り取り可能なシャフト(14)が、このシャフト(14)内に形成された環状溝(58)を露出させるように前記上端部分(33)の上に進み、これにより前記シャフトの前記上端部分より上の部分が、前記シャフトの前記上端部分より下の部分から切断できることを特徴とする組織を患者の骨に結合する縫合糸の両端を固定しロックするアンカーと縫合糸ロック装置との組合せ。
【請求項16】
前記多角形ピン(42)の一つの側面が、この多角形の頂点が前記鋸歯状陥凹部(61)に面するように配向され、前記ピンのその他の側面が、前記縫合糸の片側の一部が前記側壁部分と前記その他の側面との間に位置するように前記側壁部分(60)と平行に配設されることを特徴とする請求項15に記載の組織を患者の骨に結合する縫合糸の両端を固定しロックするアンカーと縫合糸ロック装置との組合せ。
【請求項17】
前記直径方向に配設された開口部に隣接する前記円筒形の壁の側面部分(34)が、平坦であることを特徴とする請求項15に記載の組織を患者の骨に結合する縫合糸の両端を固定しロックするアンカーと縫合糸ロック装置との組合せ。
【請求項18】
アンカーおよび縫合糸ロックが、縫合糸を定位置で結合およびロックするように組み合わされる、患者の回旋腱板にある組織を修復するための医療器具で使用される縫合糸の結束方法であって、
i)前記医療処置が行われる位置に近接して、前記患者の皮膚を切開するステップと、
ii)前記患者の前記回旋腱板にある骨に溝をつけるステップと、
iii)アンカーと縫合糸ロックとの組合せを提供するステップと、
iv)前記縫合糸を前記縫合糸ロックおよび前記組織に通すステップと、
v)前記縫合糸を引っ張ると同時に前記アンカーを前記骨に固定し、それにより、このアンカーを前記骨内に留置する運動によって前記縫合糸が前記縫合糸ロック内でロックされるステップと、
を含む縫合糸の結束方法。
【請求項19】
前記アンカーおよび縫合糸ロックが、縫合糸を定位置で結合およびロックするように組み合わされる、患者の回旋腱板にある組織を修復するための医療器具で使用される縫合糸の結束方法が、
v)前記アンカーを前記骨に挿入するツールを提供し、ステップiv)の引っ張りと留置を同時に行うステップ時に前記ツールを作動させるステップを含むことを特徴とする請求項18に記載の縫合糸の結束方法。
【請求項20】
骨の近傍に組織を締め込むように、アンカーが骨に固定され、縫合糸ロックが、前記縫合糸を定位置で結合およびロックするように組み合わされる、患者の回旋腱板にある組織を修復するための医療器具で使用される縫合糸の結束方法であって、
i)前記医療処置が行われる位置に近接して、前記患者の皮膚を切開するステップと、
ii)前記患者の前記回旋腱板にある前記骨に溝をつけるステップと、
iii)アンカーと縫合糸ロックとの組合せを提供するステップと、
iv)前記縫合糸を前記患者の組織に通し、一方を、前記縫合糸ロックのピンと前記鋸歯状壁の間で止まるように前記縫合糸ロックに通し、次いで他方を、前記縫合糸ロックのピンと前記鋸歯状の壁の間で止まるように前記縫合糸ロックに通すステップと、
iv)前記縫合糸を引っ張ると同時に前記アンカーを前記骨に留置し、それにより、前記アンカーを前記骨内に留置する運動によって前記縫合糸が前記縫合糸ロック内でロックされるステップと、
を含む縫合糸の結束方法。
【請求項21】
前記アンカーと縫合糸ロックが縫合糸を定位置で結合およびロックするように組み合わされる、患者の回旋腱板にある組織を修復するための医療器具で使用される縫合糸の結束方法が、
v)前記アンカーを前記骨に挿入するツールを提供し、ステップiv)の引っ張りと配置を同時に行うステップ時に前記ツールを作動させるステップを含むことを特徴とする請求項20に記載の縫合糸の結束方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公表番号】特表2008−520270(P2008−520270A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541170(P2007−541170)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/026091
【国際公開番号】WO2006/055057
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(507157300)ジ アンスパック エフォート,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】