説明

医療品中の非エンドトキシン性発熱物質夾雑物を検出することがより優れて可能となる改良された単球活性化試験

ポリプロピレンを含む少なくとも1つの表面を含む検定系において単球含有試薬とともに試料がインキュベートされる医療品中の非エンドトキシン性発熱物質を検出することがより優れて可能となる改良された単球活性化試験を記載する。本発明はまた、ポリプロピレンを含む少なくとも1つの内面を有し、かつ単球含有試薬がウェル内で濃縮されて細胞間接触をより大きくするような形状を有する、少なくとも1つのマイクロタイターウェルを含むこれらの試験用の検定系にも関する。本発明はまた、試料中の非エンドトキシン性発熱物質の存在についての試験に使用することができる診断キットにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は一般的に、ポリプロピレンを含む少なくとも1つの表面を含む検定系において単球含有試薬とともに試料がインキュベートされる医療品中の非エンドトキシン性発熱物質を検出することがより優れて可能となる改良された単球活性化試験に関する。本発明はまた、ポリプロピレンを含む少なくとも1つの内面を有し、かつ単球含有試薬がウェル内で濃縮されて細胞間接触をより大きくするような形状を有する、少なくとも1つのマイクロタイターウェルを含むこれらの試験用の検定系にも関する。本発明はまた、試料中の非エンドトキシン性発熱物質の存在についての試験に使用することができる診断キットにも関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
特定の化学物質または生体化合物は、ヒトまたは他の哺乳類の循環系と接触すると、炎症反応または炎症として知られる全身性反応を引き起こす。炎症反応は、感染および/または損傷から身体を保護する防衛機構であり;炎症は感染部位または損傷部位への血流を増大させ、それによって治癒プロセスで役立たせる上で必要となる液、タンパク質および白血球が運ばれる。例えば、炎症反応と関連した1つの症状としては体温の上昇または発熱があり、これは、過熱状態の原因となる病原体に対する防衛機構として機能する。炎症反応は、発熱、悪寒、倦怠、頭痛、食欲喪失および筋硬直を含めた種々の「インフルエンザ様」症状と関連している可能性がある。発熱を引き起こす化学物質または生体化合物は、このような化合物が原因となり得る発熱反応を指して、「発熱物質」または「発熱性」化合物とこれまで呼ばれてきた。しかし、幾つかの化学物質または生体化合物は、一般的に炎症誘発性であり、それらによって引き起こされる炎症反応の一部として発熱を引き起こす場合もあれば、引き起こさない場合もある。
【0003】
場合によっては、個体の感受性や、個体が曝露される発熱物質の種類および濃度によって、個体は、発熱物質への曝露後に、生命を脅かすショック様症状を発現する可能性がある。吸入、注射または注入が可能な医療品、ならびに膜または注入物質等の医療用具には、発熱原性の特定のリスクがある。栄養物質でさえ、発熱原性のリスクを示すことがある。医療品および栄養物質に含まれる発熱物質は、外因性発熱物質と呼ばれるが;一方で内因性発熱物質は、外因性発熱物質に対する個体の炎症反応を媒介する免疫系のメッセンジャー化合物である。産物自体またはその産物の副産物の発熱原性の性質に加えて、産物の汚染は、多くの場合、発熱原性の原因となり得る。産物の汚染による発熱原性は、細菌、ウイルス、菌類に由来する、あるいは宿主にさえも由来する発熱物質の多様な群の内のいずれか1種に起因し得る。産物が熱または化学的方法によって「滅菌」される場合であっても、この問題は続く可能性があり;一般的に見られる発熱性化合物、即ち細菌エンドトキシン(ほとんどグラム陰性菌の細胞壁由来のリポポリサッカライド(LPS)からなる)は、細菌の死滅後に残る可能性がある。従って、各種の医薬、栄養物質および非経口投与用医療品には、このような産物の安全性を確保するために発熱性物質試験が必要である。
【0004】
通常、発熱物質として作用する化合物は、組織、細胞または体液との接触後の単球におけるプロスタグランジンおよび炎症誘発性サイトカイン等の内因性発熱物質の産生を刺激することによって作用する。これらの内因的に産生した発熱物質が、罹患した生体の炎症反応を媒介するものである。これらの内因性発熱物質の内で最も重要かつ周知のものは、サイトカインであるインターロイキン1(IL−1)、インターロイキン6(IL−6)、インターロイキン8(IL−8)および腫瘍壊死因子(TNF)、ならびに低分子量脂質メディエーターであるプロスタグランジンE2(PGE)である。これらの化合物は、ELISAあるいは酵素結合免疫吸着検定法(IL−1、IL−6またはTNFについて)ならびにEIAあるいはエンザイム免疫学的検定(PGEについて)によってルーチンで検定される。
【0005】
発熱反応を回避し、かつ非経口的に投与される任意の薬物または医薬品の安全性を確保するために、発熱原性の汚染を調べて汚染菌によって汚染された個々のロットを同定する必要がある。大量生産の医薬品における発熱物質の汚染を調べるために、動物に基づく2種の薬局方収載の方法、即ちカブトガニアメーバ様細胞溶解物(LAL)試験(エンドトキシン試験法(BET)とも呼ばれる)およびウサギ発熱性物質試験が現在ルーチン的に使用されている。
【0006】
そのウサギ試験は、統計学的に有意の数のウサギに試料成分を注射することと、試験動物において誘発された体温の平均的上昇を調べることとからなるin−vivo試験である。ウサギ試験は、非エンドトキシン性発熱物質を含む幅広い発熱原性の剤に反応するが、ウサギ試験の反応性(ng/mLのエンドトキシン)は他の発熱性物質試験(LAL試験についてはpg/mLのエンドトキシン)よりも相対的に低い。更に、化合物に対する発熱反応の種間の相関性はせいぜい近似である。例えば、発熱反応を誘発する細菌エンドトキシンの投与量は、種間で10,000倍も異なることが記録されている。相対的な非感受性、不満足な定量的結果、ウサギの種間のばらつき、および動物試験に伴う倫理的問題によって、近年はウサギ試験が不都合なものになっている。
【0007】
広範囲にわたる発熱物質を検出するウサギ試験とは対照的に、LAL試験はエンドトキシンの発熱物質のみを検出する。細菌エンドトキシン、例えばグラム陰性菌の細胞壁由来のリポポリサッカライド(LPS)は、最もよく記載された発熱性化合物の内の1種である(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4)。それ故、費用および時間がかかるウサギ実験を、細菌エンドトキシンについての直接的なLAL試験に替えることが一般的に有用であると考えられた。この方法には明らかな限界がある。LAL試験は、非常に感受性が高いin−vitro試験であるが、グラム陰性菌からエンドトキシンを検出するだけで、単球を更に刺激して発熱サイトカインを形成し得る特定の産物について疑陰性の結果をもたらす。また、LAL試験は、例えば、試験物質の高タンパク質レベルによる、あるいはグルカンによる干渉の影響を受けやすい(非特許文献5;非特許文献6)。一方、カブトガニ試験は非常に感度が高いため、産物の質に関連しない不純物のために容易に偽陽性の結果となる傾向がある(非特許文献7)。
【0008】
従って、高感度、高特異性ならびに広範囲にわたる発熱物質を検出する能力を特徴とする、非動物系の試験系が必要とされていた。この目的と、ヒトの炎症反応についての知識の向上とに伴い、ヒト単球のin vitro活性化に基づく試験系が開発された。約20年前、研究者は末梢血単核細胞(PBMC)を使用して、発熱サイトカインの放出を調べることによってエンドトキシンを検出した(非特許文献8;非特許文献9)。それ以来、ヒトの末梢全血(WB)、PBMCまたは単球細胞株(例えば、MONOMAC−6(MM6)(非特許文献10)またはTHP−1(非特許文献11)等を含む、ヒト単球の種々の材料や、発熱サイトカインである腫瘍壊死因子α(TNF−α)、IL−6、IL−1βおよび非発熱性代謝物のネオプテリン(非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15)等を含む各種の指標を使用した幾つかの種々の試験系が開発されてきた。近年では、ヨーロッパの共同研究であるヒト研究、即ち最も著名な単球活性化試験の内の6つにおいて、上記細胞材料および指標の種々の各併用が、各種濃度の純粋なエンドトキシンをスパイクされた医療品におけるエンドトキシンを検出する能力について評価された。
【0009】
6つの試験の内の5つにおいて、細胞は、平底ウェルを有する96ウェルポリスチレンプレートで培養された(非特許文献16)。6番目の試験(非特許文献6;Fennrich et al., ALTEX, 1999;非特許文献12に基づく)において、ほとんどの評価に底が円錘形のポリスチレン製のエッペンドルフ(Eppendorf)遠心チューブ(1.2mL)が使用され、研究の一部には、その研究に使用されたEndosafe(登録商標)In vitro Pyrogen Test(IPT)キットの製造業者であるCharles River Laboratoriesによってポリエチレンチューブから丸底のポリプロピレンチューブ(1.5mL)に取り替えられた。この取り替えが試験に対して重大な影響を及ぼしたとは報告されなかったが、その後、Charles River Laboratoriesが容量低下用Endosafe(登録商標)IPTを改良した際にポリプロピレンチューブ自体が平底ポリスチレン96ウエルプレートに取り替えられた。この試験の単球の材料は全血であり、指標はIL−1βであった。全血は、種々の濃度のエンドトキシンによってスパイクされた各種薬物によってインキュベートされた。
【0010】
CartinおよびViitanenは、各種非エンドトキシン性発熱物質、即ちジフテリアトキソイド、百日咳トキソイドおよび破傷風トキソイド等を含むグラム陽性抗原およびグラム陰性抗原を含むワクチン、Infanrixの固有の発熱原性を評価するための単球活性化試験を開示し、その試験は単球の材料としての全血またはMONOMAC−6細胞ならびに指標としてのIL−6に基づくものである(非特許文献17)。細胞は、開示されない組成物の無エンドトキシンエッペンドルフBio−Pureグレードチューブ中で低細胞密度で培養された。ワクチンの発熱原性は、その製造または保存の間のワクチンの汚染の結果ではなかった。HartungおよびWendelは、純粋な形態におけるエンドトキシン性発熱物質および非エンドトキシン性発熱物質、即ちサルモネラ・アボルトス−エクイ(Salmonella abortus equi)に由来するLPS、ストレプトコッカス発熱物質に由来するストレプトリジンO(SLO)およびムラミルジペプチド(MDP)を検出するための単球活性化試験を開示し、その試験は単球の材料としての全血および好ましい指標としてのIL−1βに基づく(非特許文献18;特許文献1)。細胞はポリプロピレンチューブ中で培養された。
【0011】
Yamamoto等は、エンドトキシン性発熱物質を検出するための単球活性化試験を開示しており、その試験は単球/単球細胞の材料としての全血あるいは種々のヒト細胞株(好ましくは28SC細胞株)由来の細胞、ならびに好ましい指標としてのIL−6に基づく(非特許文献19)。エンドトキシン試験は、エンドトキシンと、非経口薬物、特にインターフェロンとの間の、その薬物がエンドトキシンの発熱原性の作用を増大させるというin vivoでの相乗作用の可能性を予測すると言われている。細胞は、純粋形態のエンドトキシン、または純粋形態のエンドトキシンとヒトインターフェロンとの混合物のいずれかとともに培養された。細胞株の細胞は、平底ウェルを有するポリスチレン96ウエルプレートで培養された。血液細胞は、材料の詳細が不明のチューブ中で培養された。
【0012】
Nakagawa等は、純粋形態のエンドトキシン性発熱物質および非エンドトキシン性発熱物質、即ち大腸菌O55:B5由来のLPSおよび黄色ブドウ球菌由来の不溶性ペプチドグリカン(PG)を検出するための単球活性化試験を説明しており、その試験は、単球の材料としての全血またはMM6−CA8細胞(MONOMAC−6のサブクローン)ならびに好ましい指標としてのIL−6に基づく(非特許文献20)。MM6−CA8細胞は、ポリスチレン96ウエルプレートで培養された。血液細胞はポリプロピレンチューブで培養され;使用量(血液が225μL、試験溶液が25μL、生理食塩水が750μL)によって、標準的96ウエルプレート(250μL/ウェル)の使用ができなかった。
【0013】
最近は、各種材料において、ポリプロピレンが発熱性物質試験で回避されるべきであることを示す。例えば、ポリプロピレンの表面が疎水性であるため、LPSのリピドA成分と関連した疎水性ドメインによってエンドトキシンがかかる表面上に吸着されるかもしれないことから、Charles River Laboratoriesはポリプロピレンの回避を推奨している(非特許文献21)。生物学的安全性試験の製造業者であるHarlan Sera−Labは、ポリプロピレンチューブによってLAL検定に支障を来す可能性があることを示している(非特許文献22)。そして、European Dialysis and Transplant Nurses AssociationならびにEuropean Renal Care Associationは、ポリスチレンが通常、エンドトキシンを吸着しないため、エンドトキシン試験にはポリプロピレンを回避してポリスチレンを使用することを推奨する(EDTNA/ERCA Guidelines)。
【特許文献1】米国特許第5,891,728号明細書
【非特許文献1】Moltz et al., Neurosci. Biobehav. Rev., 1993, 17, 237−269
【非特許文献2】Tikters et al., Psychoneuroendocrinoloqy, 1994, 19, 209−232
【非特許文献3】Rothwell, Crit. Rev. Neurobiol., 1994, 8, 1−10
【非特許文献4】Zeisberger and Roth,Neuropsychobiology, 1993, 28, 106−109
【非特許文献5】Roslansky and Novitsky, J. Clin. Microbiol., 1991, 29, 2477
【非特許文献6】Fennrich et al., Dev. Biol. Stand., 1999, 101, 131
【非特許文献7】Fujiwara et al., Yakugaku Zasshi, 1990, 110, 332−340
【非特許文献8】Dinarello et al., J. Clin. Microbiol., 1984, 20, 323
【非特許文献9】Duff and Atkins, J. Immunol. Methods, 1982, 52, 323
【非特許文献10】Ziegler−Heitbrock et al., Int. J. Cancer, 1988, 41, 456
【非特許文献11】Tsuchiya et al., Int. J. Cancer, 1980, 26, 171
【非特許文献12】Hartung et al., The Report and Recommendations of ECVAM Workshop 43, 2001, 29, 99
【非特許文献13】Poole and Gaines Das, Eur J Parenteral Sciences, 2001, 6, 63
【非特許文献14】Poole et al., J. Immunol. Methods, 2003, 274, 209
【非特許文献15】Gaines Das et al., J Immunol Methods, 2004, 288, 165
【非特許文献16】Hoffmann et al., J. Immunol. Methods, 2005, 298, 161
【非特許文献17】Cartin and Viitanen, Pharmeuropa, 2003, 15, 3, 418−423
【非特許文献18】Hartung and Wendel, In Vitro Toxicology, 1996, 9, 4, 353−359
【非特許文献19】Yamamoto et al., Jpn. J. Infect. Dis., 2003, 56, 93−100
【非特許文献20】Nakagawa et al., Clinical and Diagnostic Laboratory Immunol., 2002, 9, 3, 588−597
【非特許文献21】Charles River Laboratories, Endosafe Times, Sept. 2004
【非特許文献22】Harlan Sera−Lab, 2004 Catalogue
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、高感度、高特異性ならびに医療品における広範囲にわたる発熱性の汚染を検出する能力を特徴とする、非動物系の発熱性物質試験が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
出願人らは、感度があり、医療品内に存在する発熱性の汚染を検出するin−vitro発熱物質試験を開発する。一般的に、本発明は、ポリプロピレンを含む少なくとも1つの表面を含む第1検定系において、単球、即ち単球含有試薬の形態のものと、試験される試料とを、単球が前記表面に接触するように合わせることによって、試料中の非エンドトキシン性発熱物質を検出する方法に関する。単球および試料は、インキュベーション中に単球が炎症反応のサイトカインまたは内因性メディエーターを産生するようにインキュベートされる。第1検定系の内容物は、炎症反応のサイトカインまたは内因性メディエーターまたはマーカーに対する抗体で処理された少なくとも1つの表面を含む第2検定系へ移される。第2検定系は、前記表面上の抗体に結合したサイトカインまたは内因性メディエーターの存在について検定される。この方法で使用する単球がPBMCまたは単球細胞株の細胞である場合、単球は高い細胞密度で検定系に存在する。
【0016】
また、本発明は、ポリプロピレンを含む少なくとも1つの表面を含む第1検定系において、単球含有試薬としての全血と、試験される医療品とを、前記血液が前記表面と接触するように合わせることによって、非経口的投与医療品中の非エンドトキシン性発熱物質を検出する方法に関する。血液および医療品は、インキュベーション中に血液がサイトカインのIL−6を産生するようにインキュベートされる。第1検定系の内容物は、IL−6に対する抗体で処理した少なくとも1つの表面を含む第2検定系に移される。第2検定系は、前記表面上の抗体に結合したIL−6の存在について検定される。
【0017】
更に、本発明は、ポリプロピレンを含む少なくとも1つの表面を含む検定系において単球と試験される試料とを単球が前記表面に接触するように合わせることによる非エンドトキシン性発熱物質試験に使用するための単球、即ち単球含有試薬の形態のものを培養する方法に関する。
【0018】
また、本発明は、平底マイクロタイターのウェル、即ちポリプロピレンを含むウェルの表面より単球含有試薬が濃縮されるように成形された少なくとも1つのマイクロタイターウェルを含む検定系において、単球が前記表面と接触するように単球と試料とを合わせることによって、非エンドトキシン性発熱物質試験の一部として単球を培養する方法に関する。これらの培養方法に使用される単球が末梢血単核細胞(PBMC)または単球細胞株の細胞である場合、前記単球は、高い細胞密度で検定系に存在する。
【0019】
また、本発明は、ポリプロピレンを含む少なくとも1つの表面と、IL−6に対する抗体で処理した少なくとも1つの表面とを含む検定系において、単球含有試薬としての全血と試験される医療品とを、血液がポリプロピレンを含む表面と接触するように合わせることによって、非経口投与医療品中の非エンドトキシン性発熱物質を検出し、そして表面上の抗体に結合したIL−6の存在について検定系を検定する方法に関する。
【0020】
本発明は更に、培養培地が平底マイクロタイターウェル、即ちポリプロピレンを含む各ウェルの表面より濃縮されるように成形された複数のマイクロタイターウェルを含むマイクロタイタープレートと、低温保存された単球、即ち前記単球が前記ウェルの表面と接触するようにマイクロタイタープレートのウェルに含まれる低温保存された単球含有試薬の形態のものとを含む診断キットも提供する。前記キット中の単球が末梢血単核細胞(PBMC)または単球細胞株の細胞である場合、単球は、高い細胞密度で前記ウェルに存在する。
【0021】
本発明はまた、非経口投与医療品中の非エンドトキシン性発熱物質を検出するための検定系、即ち各ウェルに含まれる培養培地が平底マイクロタイターウェル、即ちポリプロピレンを含む各ウェルの表面より濃縮されるように成形された複数のマイクロタイターウェルを含むマイクロタイタープレートを含む検定系と、血液がウェルの表面と接触するようにマイクロタイタープレートのウェルに含まれる低温保存された単球含有試薬としての低温保存された全血と、IL−6に対する抗体とを含む診断キットも提供する。
【0022】
本発明の他の目的および特徴は、部分的には明らかであり、部分的には以下で示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(発明の詳細な説明)
発熱物質は、血液単球(ならびに他の白血球)およびマクロファージを刺激して、サイトカイン(例えばTNF−α、IL−1βおよびIL−6)等を含む、炎症反応の数多くの内因性発熱メディエーターを産生および放出する。これらの発熱メディエーターが血行中に放出されることによって、罹患者の炎症反応につながる事象のカスケードが誘発される。本発明の単球活性化試験は、炎症反応のマーカーとしてのこれらの内因性発熱物質の測定値に依拠する。本発明の好適な実施形態に従って、試料は、ポリプロピレンから成る表面を含む第1検定系における単球含有試薬、即ち細胞密度が高い検定系において存在する単球含有試薬と共にインキュベートされる。次いで、第1検定系の内容物は、抗サイトカイン抗体をコーティングした表面を含む第2検定系に移され、次いで第2の検定系は、抗体によって前記表面に結合したサイトカインの存在について検定される。
【0024】
本発明の発熱物質試験を使用して、エンドトキシンだけでなく、非エンドトキシン性発熱物質、即ちグラム陽性菌(例えば黄色ブドウ球菌)またはそれらの成分(例えば、ムロペプチド、リポテイコ酸、エンテロトキシン、ストレプトリシン)、免疫刺激因子(例えば、フィトヘマグルチニンまたはホルボールエステル)が検出される。前記試験は、グラム陰性の細菌エンドトキシンに特異的な反応ではなく、多様な発熱物質に対する単球のサイトカイン反応を利用するため、本発明の試験によって幅広い発熱性剤を検出することができる。
【0025】
本発明の発熱物質試験は、従来試験よりも、医療品の汚染されたロット中の非エンドトキシン性発熱物質の検出に効果的であることが示されている。本明細書の実施例によって、これらの従来試験が、Extraneal(登録商標)腹膜潅流液、ヘモグロビンまたはデキストランの陽性対照試料を、同じ非経口投与薬の陰性対照試料から識別ができないことが示される。前記Extraneal(登録商標)陽性対照試料は、非エンドトキシン性発熱物質に汚染された産物のロットから得られ;前記汚染されたロットはヒトにおける有害反応の原因となったが、エンドトキシン発熱物質についてのみ試験するLAL試験によって、発熱物質の存在については陰性を示した(Martis et al., Lancet, 365(9459), 588)。ヘモグロビン陽性対照試料もまた、非エンドトキシン性発熱物質で汚染された産物のロットから得られ;汚染されたロットはウサギにおける発熱反応の原因となったが、LAL試験によって、発熱物質の存在については陰性であった。デキストラン陽性対照は、ヒトにおける発熱の原因となることが明らかになったもののLAL試験によって発熱物質の存在については陰性を示したデキストランの調製物であった。医療品中の非エンドトキシン汚染菌を検出する前記試験の能力は、汚染された医療品のロットを、患者に使用するためにそのロットを放出する前に同定することが可能になるため、大きな価値がある。既知の試験は、上記で考察したように、Nakagawa et al.に開示される純粋な非エンドトキシンおよびエンドトキシン発熱物質、即ち黄色ブドウ球菌由来のペプチドグリカン(PG)および大腸菌由来のLPSを検出する状況、あるいは産物のエンドトキシンによるスパイク、即ち上記のようなヒト研究の6つの試験における各種の薬物が種々の濃度のエンドトキシンでスパイクされる状況ではよく機能する。医療品がエンドトキシンで汚染されるならば、LAL試験は効果的に機能する(Mascoli, C.C., Weary, M.E., J Parenter Drug Assoc. 2003, 33, 81;Mascoli, C.C., Weary, M.E., Prog Ciln Biol Res. 2003, 29, 387)。しかし、医療品が非エンドトキシン性発熱物質で汚染される場合、このような試験によって発熱物質を検出することはできない。特定の理論に束縛されることなく、発熱物質の「マスキング」をもたらし、非エンドトキシン汚染菌の検出を不可能にする医療品と、非エンドトキシン性発熱物質が相互作用すると考えられる。
【0026】
本発明の発熱物質試験は、このマスキング効果を解決するものであって、医療品中の非エンドトキシンの汚染を検出することができるものであり、例えば、PBMCが丸底ポリプロピレンウェル内で高い細胞密度で培養される好ましい実施形態において、本発明の発熱物質試験は、Extraneal(登録商標)溶液およびデキストランの陽性対照試料と陰性対照試料とを区別することができた(図9参照)。試験した入手可能なキットのいずれも、Extraneal(登録商標)またはヘモグロビンの陽性対照と陰性対照とを区別することができなかった(図1〜8参照)。また、特定の理論に束縛されずに、細胞密度を高くすることによって、細胞間接触が大きくなる細胞が更に多くなると考えられる。細胞間接触が増加することによって、細胞間のコミュニケーションが更に促進され、それ故に発熱性の汚染に対する炎症反応が高まる。細胞は、サイトカイン等の可溶性メディエーターを介して、およびサイトカインも作用し得る細胞間接触を介して互いにコミュニケーションを行う。丸底ウェル、あるいは細胞が濃縮されるように一般的に成形されたウェルにおいては、平底ウェルよりも細胞間接触が大きくなる。そして、ポリプロピレンによって非エンドトキシン性発熱物質の生物学的利用能が増大すると考えられる。また、特定の理論に束縛されることなく、細胞培養において従来使用されるようなポリスチレンプレートの表面処理によって、その表面の疎水性が低下し、細胞の結合が更に可能になるが、その表面によって非エンドトキシン性発熱物質も結合され、その効力が消されると考えられる。ポリプロピレンプレートは、ポリスチレンプレートよりも疎水性が高いままで、非エンドトキシン性発熱物質の効力が消される可能性が低くなるように、表面処理を行わない。
【0027】
1.発熱物質試験の成分
上記の3つの要素である高い細胞密度、丸底(あるいは種々の適切な形状)およびポリプロピレンの幾つかの併用、即ち丸底ポリスチレンウェル中に高い細胞密度で存在するPBMCを特徴とする発熱物質試験によって、医療品中の非エンドトキシン汚染の改良された検出が可能となる。本発明の発熱物質試験を使用して、非エンドトキシンの汚染の存在について、血液製剤、非経口投与用医療品、透析物、ワクチン、静脈注射用溶液ならびに身体または体液に接触する任意の液等を含む種々の医療品を試験することができる。
【0028】
A.炎症反応のサイトカインまたは内因性メディエーター
検出可能な単球含有試薬によって分泌される炎症反応のいずれの内因性メディエーターも、本発明の発熱物質試験の主成分として使用することができる。しかしながら、好ましくはサイトカインまたはエンドセリンマーカーが、本発明の方法による検出が容易であるため使用される。エンドトキシン性発熱物質または非エンドトキシン性発熱物質とともにインキュベートされた全血中の単球は、幾つかの種類のサイトカインを産生することが知られており、そのサイトカインとしては、炎症誘発性サイトカイン(TNF−α、IL−1、IL−6)、抗炎症性サイトカイン(IL−4、IL−10、IL−13、IL−1ra、TGF)、Th1(IL−2、IFN、IL−12)、Th2(IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−13)、IL−1β、IL−1ra、IL−8およびPGEが挙げられるが、これらに限定されない。本発明に使用される好ましいサイトカインマーカーとしては、TNF−α、IL−1β、IL−1ra、IL−6、IL−8およびPGEが挙げられる。IL−6が、本発明の検定に特に好ましいサイトカインマーカーである。IL−6は、比較的短いインキュベーション期間内で検出可能な量が産生されるものである。免疫反応性IL−1βおよびTNF−αと異なり、免疫反応性IL−6は細胞調整培地/血液中に完全に多量に分泌され、それによってその完全な評価が可能になる。一方で、免疫反応性TNFαおよびIL−1βは、ほとんど細胞内にとどまり、それによって、細胞透過性に影響を与える試験調製物が、試験において、IL−6ではなく、指標としての(免疫反応性)TNFαまたはIL−1βにより容易に干渉する可能性が高まる(図2および3参照)。しかし、TNF−αまたはIL−1βは、本発明におけるサイトカインマーカーとしても使用され得る。TNF−αは、単球発熱物質反応において、IL−6より早期に産生される。従って、TNF−αを検定する本発明の実施形態は、IL−6を検定する実施形態よりも短いインキュベーション時間(約1〜2時間)が使用されるものである。種々の発熱性の汚染は、細胞培養において種々のサイトカイン反応を誘発し得る。それ故、本発明は、それらのサイトカインの分泌の原因となる特定の発熱物質による汚染が医薬製品に起こる可能性が高い場合に、特定のサイトカインの形成を検出するように適合させることができる。
【0029】
B.サイトカインまたは内因性メディエーターに対する抗体
一旦検定すべきサイトカインが決定されると、そのサイトカインに対する抗体を本発明に使用するために作製する必要がある。本明細書に参照により完全に組み込まれる米国特許第6,696,261号の実施例1で説明されたような、厳密な条件下で精製されるポリクローナル抗体は、発熱物質試験においてよく機能する。ポリクローナル抗体が分離される動物の血液は、天然の発熱物質が含まれないものであるため(健康な動物から採取される場合)、発熱物質が含まれない産物を得るための精製の間、発熱物質による原材料の汚染を完全に防止する必要がある。米国特許第6,696,261号の実施例1で説明されたように、発熱物質が含まれない緩衝液および固相をアフィニティクロマトグラフィーカラムにおいて使用して、発熱物質が含まれないポリクローナル抗体を得る。あるいは、ハイブリドーマ培養物由来のモノクローナル抗体を使用することができる。しかし、モノクローナル抗体を使用する際には、注意して、ハイブリドーマ細胞の培養物中に存在し得る発熱物質を汚染する任意のものから抗体を分離する必要がある。
【0030】
本発明に使用するために、サイトカインに対する抗体は、検定系における表面に適用される。マイクロタイターウェル等の検定系における表面上に抗体を結合するためのコーティング等の方法は、生化学的技術においてよく知られている。多くの検定系は商業的に入手可能であり、製造業者は、通常、前記系の表面上に抗体をコーティングするための材料および説明書を提供する。読み取りが容易であり、かつ試料の必要量が小さいため、ウェルの内面の一部が抗体によってコーティングされたマイクロタイターウェルが本発明の好ましい実施形態において使用される。完全に本発明の利益を利用するために、前記マイクロタイターウェルは、ウェルのアレイが自動免疫学的検定プレート読取装置で読み取られ得るように位置された同様のウェルのプレーナーアレイであるマイクロタイタープレートの一部であることが好ましい(本明細書に参照により組み込まれる米国特許第5,281,540号参照)。ELISAプレートリーダー等の自動装置(例えば、Bio−Rad Laboratories inc.から入手可能なthe Ultramark Microplate Reader)によって、検定評価プロセスは自動化され、1試験当たりの費用が大きく低下する。所望により、マイクロタイターウェルプレートは、(もしそれ自体がまだ供給されていないならば)発熱物質が含まれない緩衝液で大量に洗浄することによって発熱物質が含まれないようにすることができる。本発明の特に好ましい実施形態において、抗IL−6ポリクローナル抗体は、ELISAプレートのウェル上にコーティングされる。しかし、他のイムノ診断試験のフォーマット(例えば、計量棒またはビーズに抗体がコーティングされるもの)は、本発明の使用に許容され得る。
「捕捉」抗体に加えて、サイトカインの検定に使用される他の抗体および試薬は、本発明用のマイクロタイタープレート系を作製する際に添加してよい。例えば、捕捉抗体がマイクロタイタープレートに添加された後、プレートの残留結合部位を別のタンパク質で「遮断」することができる。遮断後、保護グレージング化合物とともに標識検出抗体(例えばビオチン化抗体または酵素標識抗体)をマイクロタイタープレートに添加することができる。従って、下記のように試料をマイクロタイターウェルでインキュベートする際、放出されたサイトカインは、試料のインキュベーション期間の間に同時にウェルに結合して検出抗体によって標識された捕捉抗体によって捕捉される。
【0031】
C.単球含有試薬
第1段階として、本発明の発熱物質試験において、単球含有試薬中に含有される細胞は、検定系において単球含有試薬と試験される試料とを合わせることによって培養される。
本発明の単球含有試薬は、PBMC、単球細胞株の細胞、全血あるいは炎症誘発性剤および発熱性剤に対する反応の媒介に関与するトール様受容体(TLR)を発現するか若しくは発現を行わせることができる細胞株(その受容体が誘導またはクローン形成された細胞が包含される)からなる群から選択される。好ましくは、単球細胞株は、MONOMAC−6(MM6)、THP−1および28SCからなる群から選択される。単球含有試薬中の単球は、好ましくは、試験される産物が投与されるべき同じ種に由来する単球である(即ち、医薬品についてはヒト;獣医学的産物についてはネコ、イヌ、ウマ等)。しかし、所望の発熱物質反応度を有する他の種に由来する単球も使用することができる。ある種の好ましい実施形態において、単球含有試薬はPBMCを含む。
【0032】
本発明の一実施形態において、単球含有試薬は全血であって、検定系は、単球含有試薬が表面と接触するように、ポリプロピレンを含む少なくとも1つの表面を含む。
【0033】
別の一実施形態において、単球含有試薬は高い細胞密度で存在するPBMCであって、検定系は、PBMCと接触するポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンまたは別の同様の材料を含む少なくとも1つの表面を含む。
【0034】
単球含有試薬がPBMCまたは細胞株の細胞である場合、上記で詳細に説明したように、前記試薬は高い細胞密度で検定系に存在して、より大きな細胞間接触が促進される。ある実施形態において、単球含有試薬は、検定系に、1ウェル当たり少なくとも約12万5千個の細胞の細胞密度で、即ち1ウェル当たり少なくとも約25万、50万、60万、70万、80万、90万、100万、110万、120万、130万、140万、150万、160万、170万、180万、190万または200万個の細胞で存在する。当業者は、ウェル中の試薬量に存在する細胞栄養物質が細胞を適切に維持するのに不十分である場合、最大細胞密度を超過しているということを認識するであろう。
【0035】
単球含有試薬が全血である場合、前記試薬は、PBMCまたは細胞株の細胞より低い細胞密度で検定系に存在する。単球含有試薬が血液である、ある実施形態において、前記試薬は、検定系に、1ウェル当たり少なくとも約10万個の末梢血単核細胞の細胞密度で、即ち1ウェル当たり少なくとも約20万個、21万、22万、23万、24万、25万、26万、27万、28万、29万、30万、31万、32万、33万、34万、35万、36万、37万、38万、39万または40万個のPBMCで存在する。特定の理論に束縛されることなく、単球はその自然的な環境において存在し、かつ発熱物質に対するその反応に影響を及ぼし得る全ての血清成分が溶液に存在するため、PBMCまたは細胞株の細胞よりも低い細胞密度で全血を使用することができると考えられる。更に、単球含有試薬が全血を含む場合、発熱物質試験に使用される指標はIL−6である。
【0036】
好ましくは、血液が単球含有試薬として使用される場合、血液は新しいものであるか、24時間未満のもの、およびより好ましくは4時間未満のものである。また、全血が使用される場合、血液凝固を遅延または防止するために抗凝固剤を含むことができ;適切な抗凝固剤としては、クエン酸(例えば、終濃度が0.38%)、ヘパリン(ヘパリン酸ナトリウム)またはフラグミン(低分子量ヘパリン)が挙げられる。抗凝固性の添加剤は、試験試料中の発熱物質に対する単球の反応に影響を及ぼすことなく使用することができる。また、全血は、適切な緩衝液または他の希釈剤(例えば、RPMI細胞培地または生理的食塩水)で希釈することができる。全血は、好ましくはインキュベーションにおける最終量の少なくとも50%に、より好ましくは約5%〜約25%に、そしてより好ましくは約20%に希釈される(米国特許第6,696,261号の図1参照)。全血を希釈することによって、大部分のドナーのIL−6応答曲線を、より広範囲の発熱物質汚染濃度の定量化に使用され得る小さい範囲内とすることができる(米国特許第6,696,261号の図3参照)。
【0037】
2.2つの検定系
本発明のある実施形態において、単球含有試薬とともに行う試料のインキュベーションの工程と、単球含有試薬によって産生されたサイトカインの捕捉の工程とが2つの異なる検定容器系で行われるように、発熱性試験を2つの検定容器系で実施する。インキュベーション工程は、上記の培養工程の後に行い、単球含有試薬(例えばPBMC)とともに行う試験試料のインキュベーションは、培養工程と同じ検定系において実施される。本発明の発熱物質試験に使用される最適インキュベーション時間は、検定条件、即ち検定されるサイトカインによって変化する。例えば、全血がエンドトキシンとともにインキュベートされ、かつ指標がIL−6である場合、インキュベーション後6時間で単球含有試薬によってほんのわずかなサイトカインが更に産生するが;インキュベーションの4時間後には、十分な量のIL−6が試薬によって分泌されて発熱物質の汚染の定量化が可能になっていた。全血が非エンドトキシン性発熱物質とともにインキュベートされ、かつ任意の指標が使用される場合、インキュベーションの約16〜24時間後には十分な量のIL−6が試薬によって分泌されて発熱物質の汚染の定量化が可能になっていた。IL−6産生を検定する本発明の実施形態においては、約6〜約24時間、より好ましくは約12〜約24時間、最も好ましくは約16〜約24時間のインキュベーション時間が好ましい。別のサイトカインを検定する場合、インキュベーション期間は、その特定のサイトカインの産生について最適化されなければならない。このような最適化は当業者の能力の範囲内である。検定すべきサイトカインが単球によって放出されない場合は、凍結融解によって、あるいは抗体に対するリガンドの結合を阻害しない濃度でインキュベーション期間の終了後に洗浄剤を添加することによって、細胞を溶解することができる。
【0038】
一旦インキュベーション工程が完了すると、検定系(第1検定系)の内容物、即ち単球含有試薬および試験試料が、炎症反応のサイトカインまたは内因性メディエーターに対する抗体、例えばエンドセリンで処理した少なくとも1つの表面を含む第2検定系へ移される。第2検定系は、抗サイトカイン抗体または抗内因性メディエーター抗体をコーティングした表面上のサイトカインまたは内因性メディエーターの存在について検定される。好ましくは、抗体がコーティングされた表面が結合サイトカインについて検定される前の工程におけるあらゆる時点で、厳密な無菌条件が維持される。捕捉抗体でコーティングされたELISAプレートが本発明の実施形態として使用される場合、前記プレートを洗浄し、次いで酵素と結合した第2抗サイトカイン抗体をELISAプレートに添加する(ただし、第2の標識された「検出」抗体は、グレージング前または第1検定系の内容物とともに、最初に前記プレートに添加した)。ELISAプレートを再度洗浄し、次いでELISAプレートに基質を添加して着色する。短いインキュベーション時間の後、反応を終了させ、次いで溶液の光学濃度をELISAプレートリーダーで測定する。このプロセスは、米国特許第6,696,261号の実施例2に更に記載される。あるいは、酵素によらない免疫学的検定手法を使用することができる。例えば、「サンドイッチ」免疫学的検定の第2抗体を、蛍光部分または放射性同位体によって標識することができる。洗浄後、ウェル内に存在する蛍光または放射線の量を検出することによって、ウェル内に捕捉されたサイトカインの量を定量することができる。幾つかの酵素に基づく検定系および酵素に基づかない検定系は、商業的に入手可能であり、本発明に使用するために当業者によって容易に改良され得る。
【0039】
3.1つの検定系
本発明のある実施形態において、発熱性試験は、単球含有試薬とともに行う試料のインキュベーション工程と、単球含有試薬によって産生されたサイトカインの捕捉工程とが同一の容器系で行われるように、1つの検定容器系において実施される。検定系は、ポリプロピレンを含む少なくとも1つの表面と、炎症反応のサイトカインまたは内因性メディエーターに対する抗体で処理された少なくとも1つの表面とを含む。インキュベーション工程は、上記の培養工程の後で、培養工程と同じ検定系において実施される。上記の通り、2つの検定容器系の状況において、本発明の発熱物質試験に使用される最適インキュベーション時間は、検定条件、即ち検定されるサイトカインによって変化する。一般的に、2つの検定容器系に関して考察されるインキュベーション工程に関する教示は、同様に1つの検定容器系にもあてはまる。インキュベーション期間は、特定のサイトカインの産生について最適化されなければならず、このような最適化は当業者の能力の範囲内である。検定すべきサイトカインが単球によって放出されない場合は、凍結融解によって、あるいは抗体に対するリガンドの結合を阻害しない濃度でインキュベーション期間の終了後に洗浄剤を添加することによって、細胞を溶解することができる。
【0040】
一旦インキュベーション工程が完了すると、炎症反応のサイトカインまたは内因性メディエーターに対する抗体、例えばエンドセリンで処理した少なくとも1つの表面を含む検定系は、抗サイトカイン抗体または抗内因性メディエーター抗体をコーティングした表面上のサイトカインまたは内因性メディエーターの存在について検定される。好ましくは、抗体がコーティングされた表面が結合サイトカインについて検定される前の工程におけるあらゆる時点で、厳密な無菌条件が維持される。一般的に、2つの検定容器系の検定工程に関する考察、即ちELISAプレートおよび酵素によらない免疫学的検定手法の考察は、1つの検定容器系にもあてはまる。
【0041】
一般的に、1つの検定容器系および2つの検定容器系は、区別なく使用される。
【0042】
4.検定容器
本発明の検定系は、単球含有試薬に接触する少なくとも1つの表面を含む。本発明のある実施形態において、前記検定系は少なくとも1つのマイクロタイターウェルを含み、前記表面はマイクロタイターウェルの内側の少なくとも一部である。特定の一実施形態においては、マイクロタイターウェルの表面がポリプロピレンコーティングを含むか、若しくはマイクロタイターウェル全体がポリプロピレンから構成される。検定系が炎症反応のサイトカインまたは内因性メディエーターに対して抗体で処理された少なくとも1つの表面を含むある実施形態において、抗体が適用される表面は、マイクロタイターウェルの内側の少なくとも一部である。好ましくは、前記マイクロタイターウェルは、平底マイクロタイターウェルよりも単球含有試薬が濃縮されるように成形される。
【0043】
ある実施形態において、マイクロタイターウェルは、開口頂部、開口頂部から下方へ伸長する上方領域、および最も低い点の上方の場所から最も低い点に向かって直径が先細りになる底壁を含む。
【0044】
ある実施形態において、マイクロタイターウェルは、開口頂部、上端部および下端部を有する開口頂部から下方へ伸長する上方領域、ならびに上端部および最も低い点を有する底部領域を含み、該底部領域は、上方領域の下端部から伸長し、かつ底部の上端部から最も低い点に向かって、上方領域よりも急激に直径が先細りになる。
【0045】
ある実施形態において、前記マイクロタイターウェルの底壁は、非平面であり、好ましくは湾曲しており、場合によっては放物線状である。ある種の特定の実施形態において、前記底壁が下方へ伸長しているか、若しくはマイクロタイターウェルの側面が内側に傾斜している。
【0046】
5.診断キット
上記の実施形態のいずれか1つは、発熱物質試験を実施するための診断キットに組み込まれ得る。前記キットを使用して、グラム陽性菌(例えば黄色ブドウ球菌)またはそれらの成分(例えばムロペプチド、リポテイコ酸、エンテロトキシン、ストレプトリシン)等、またはそれらの構成要素(例えばムロペプチド、リポタイコ酸、エンテロトキシン、ストレプトリジン)等を含む、種々の非エンドトキシン性発熱物質、ならびに血液製剤または他の非経口投与薬(例えば透析物、ワクチンおよび静脈注射用溶液)等を含む、種々の医療品におけるエンドトキシン発熱物質を検出することができる。一般的に、このようなキットは、各ウェルに含まれる培養培地が平底マイクロタイターウェルよりも濃縮されるように成形された複数のマイクロタイターウェルを含むマイクロタイタープレートを含むものであって、前記ウェルはポリプロピレンを含む少なくとも1つの表面を含む。マイクロタイタープレートのウェルは、ウェルの表面と接触する低温保存された全血、低温保存された末梢血単核細胞または低温保存された単球細胞株細胞を含む低温保存された単球含有試薬を含む。ある実施形態において、マイクロタイタープレートのウェルはポリプロピレンを含む。低温保存された単球含有試薬が低温保存された末梢血単核細胞または低温保存された単球細胞株の細胞を含む場合、前記試薬は、高い細胞密度でウェルに存在する。また、単球含有試薬として低温保存された全血を含むキットは、IL−6が好ましい指標である場合にIL−6に対する抗体を含む。
【0047】
特定の実施形態において、前記ウェルは、単球に対して不透過性の障壁を含む。前記障壁は、発熱性物質を含まない材料で構成された少なくとも1つの表面を含み、典型的には膜、格子、篩またはシフターである。前記障壁は好ましくは無菌である。マイクロタイタープレート用の適切な障壁の物質は、本技術分野で知られている。液に対して透過性を有する障壁によって、ウェルから除去することなく低温保存された細胞を洗浄することが可能になり;低温保存された細胞を浸して保存剤として作用するジメチルスルホキシド(DMSO)を、それが試験を妨げないように除去することができる。試験試料は、障壁の上方で添加され、障壁を透過し、障壁の下で細胞と接触し、そして場合によってはこれらの細胞を刺激してサイトカインを産生するかもしれない。細胞によって放出されたサイトカインは、障壁の上方で培地中に拡散する。典型的には、障壁の上下の溶液は、その溶液を吸引することによって完全に混合される。その後、障壁の上方から得られたよく混合された培地の1つのアリコートが、炎症反応のサイトカインまたは内因性メディエーターの存在について検定される。
【0048】
6.サイトカイン産生データの解釈
A.標準曲線法
本発明の発熱物質試験において作製されたサイトカイン産生データを適切に解釈するために、USPエンドトキシン標準品とともに単球含有試薬をインキュベートすることによってエンドトキシン標準曲線が作製される。この目的は、既知の発熱物質において認められた反応に関して試験試料について測定されたサイトカイン産生反応を定量することである。標準曲線は、標準的最良適合データ解析ソフトウェアを利用することによって、エンドトキシン標準品の有意に変化する濃度とともに任意の統計学的に有意な数のデータ点から作製され得る。このような標準曲線を作製する方法は、一般的に本技術分野で知られている。出願人は、標準曲線を作製するために10、4、1、0.25、0.06、0.03および0EU/mLのエンドトキシンのデータ点が適切であるが、同様の範囲にわたる任意の統計学的に有意の数の濃度であれば適切であるということを見出している。一旦標準曲線が作製されると、標準曲線を使用して非エンドトキシン当量濃度(エンドトキシン単位−当量で定量される)をサイトカイン反応から内挿することができる。全血に基づく単球含有試薬の反応はドナーによって大きく異なるため、単球含有試薬の特定のロットによって実施される各セットの検定について標準曲線を作製することが重要である。しかしながら、本発明の好ましいELISAプレートの実施形態は非常に少量のヒト血液(約40μL/ウェル)を利用するため、数百ウェルに対して単一単位の提供血液が使用され得る。USPエンドトキシンを使用して作製される標準曲線は、エンドトキシン単位(EU:USP/FDAによって定義されるもので、WHOによって定義される国際単位であるIUと同じ)に関するデータの正規化に役立つものであり、それはエンドトキシン/発熱物質の汚染を表すための業界標準である。
【0049】
B.基準ロット法
あるいは、本発明の発熱物質試験において作製されるサイトカイン産生データは、産物の試験ロットによって誘発されるサイトカイン反応を、産物の基準ロット、即ち汚染された基準ロットおよび汚されていない基準ロットによって誘発されたサイトカイン反応と比較することによって解釈することができる。第1に、医療品の2つの基準ロットが同定される。基準ロットは試験した発熱物質であり、これらのロットによって誘発されるサイトカイン反応が測定される。次いで、試験ロットは試験した発熱物質であり、これらのロットから誘発される反応が基準ロットの反応と比較される。一般的に、試験ロットは、汚染された基準ロットよりも誘発する反応が低く、かつ誘発する反応が汚染されていない基準ロットと同様である場合、汚染されていないとみなされる。各試験ロットは、一回または数回試験され得る。例えば、ある基準ロット法によれば、産物が、4人のドナーの内の4人または8人のドナーの内の7人において、汚染されていない基準ロットよりせいぜい2倍のIL−6の放出を誘発した場合、それは汚染されていないとみなされた。その試験は、異なる4人のドナーの血液を使用して4回実施された。好ましい基準ロット法は、Gaines−Das et al., (2004)に記載されており、そこでは、試験試料には、基準よりも少ないIL−6の放出を刺激することが必要とされる。その論文において、試験調製物には、異なる4人のドナーからPBMNCによる試験にパスすることが必要とされる。試験調製物が4人のドナーの内の3人からのPBMNCによる試験にパスする場合、第1の試験でPBMNCを提供しなかった更なる4人のドナーからのPBMNCによって試験を継続し、そして試験調製物には、異なる8人のドナーの内の7人からのPBMNCによる試験にパスすることが必要とされる。
【0050】
好都合なことに、本発明の単球活性化試験は、医療品(例えば血液製剤、静脈注射用溶液およびワクチン)中の非エンドトキシン性発熱物質等を含む多種多様な発熱物質の存在を検出することがより優れて可能である。
【0051】
定義
本明細書で使用される場合、「純粋な」エンドトキシン性発熱物質または非エンドトキシン性発熱物質あるいは「純粋形態」の発熱物質という用語は、関連タンパク質を取り除いたエンドトキシンをいう。また、純粋なエンドトキシンは、リポポリサッカライド(LPS)としても知られている。
【0052】
「単球含有試薬」という用語は、免疫系の単核白血球細胞の任意の溶液を意味する。好ましくは、これらの細胞は、試験中の産物が投与されることになっている生体に由来する(即ち、医薬についてはヒト、獣医学的産物についてはネコ、イヌ、ウマ等)。単球含有試薬の例としては、ヒト全血がある。
【0053】
「検定系」という用語は、単球活性化試験に使用され得る任意の容器および表面を意味し、それには、細胞が試験試料とともに培養およびインキュベートされる容器、ならびに免疫学的検定に使用され得る結合抗体を有する容器および表面を包含する。好ましくは、免疫学的検定の実施に関して、このような容器は、ウェルにおける表面に結合した抗体を有するマイクロタイターウェルプレートであり、そこでは多数の比色酵素結合免疫学的検定を同時に実施することができ、そしてELISAプレート読取装置によってそれを自動的に評価することができる。しかし、他の免疫学的検定系、特にコーティング表面が必ずしも容器の壁の一部ではないものが構想されている。例えば、抗体によってコーティングされたポリスチレンビーズまたは計量棒を含むより大きな試験チューブを本発明において使用することができる。
【0054】
「単球細胞株」という用語には、内因性CD14および/またはトール様受容体(TLR)を有する任意の細胞株、あるいは炎症性/発熱性のメディエーターについてCD14および/またはTLRおよび/またはレポーター遺伝子がトランスフェクションされた任意の細胞株が包含される。細胞株は、単球に存在する「発熱物質受容体」の成分によってトランスフェクションしたまたはトランスフェクションされたものであるならば、単球である必要はなく;これらの成分としては、TLRおよびCD14が挙げられる。例えば、ヒト胚腎臓(HEK)細胞は、すでに大部分のTLRを有しており、そしてそれが有さないTLR(TLR2およびTLR4)およびCD14によって安定してそれをトランスフェクションして、十分に単球様にして本発明の方法において機能させる。
【実施例】
【0055】
(実施例1)
PBMCの調製。Ficoll Paque Plus (Pharmacia、番号17−1440−02)を使用する密度勾配遠心分離法によって、4時間齢以下のヒトのヘパリン化末梢血からPBMCを分離した。前記細胞を、カルシウムおよびマグネシウムを含まないダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(Gibco、番号14190)によって2回洗浄し、Minimum Essential Media(MEM)(Gibco、番号11090)、HEPES緩衝液(Gibco、番号15630)およびドナー自身の5μLの非働化血漿(即ち2%の終濃度)で再懸濁した。PBMCを必要な細胞密度(1mL当たり800万、400万、200万および100万個のPBMC)に希釈した。
【0056】
細胞培養。以下のマイクロタイタープレート:Corning Costar、番号3790、番号3359で細胞培養を4回実施した。各ウェルに100万、50万、25万または13万個の細胞を含む125μLの細胞懸濁液を添加し、その後125μLの試験試料またはエンドトキシン標準品(0.0064〜20EU/mL)を添加した。前記250μLの混合物をゆるやかに混合し、次いで37±1℃、5%COおよび加湿空気でインキュベートした。培養時間は16〜24時間であった。その後、アリコートを得て、1:2および1:50に希釈し、IL−6について検定した。
【0057】
IL−6についてのELISA。2〜8℃のインキュベーションを終夜行うことによって、96ウエルプレート(Immulon 4, Dynex、番号011−010−3855)を150μLの3μg/mLマウスモノクローナルIgG(R&D Systems、番号MAB206、重炭酸塩緩衝液中に溶解されたもの、pH9.5)でコーティングした。300μLの洗浄緩衝液(20mMのHEPES、150mMのNaCl、pH7.4)で前記プレートを3回洗浄した。200μLのブロッキング溶液(0.02 g/L Bovine Serum Albumin,Fraction V,プロテアーゼフリー)を添加することによってプレート上の非特異的結合部位を遮断した。300μLの同じ洗浄緩衝液で前記プレートを再度3回洗浄し、次いで100μLの試料(既に試料希釈剤中で1:2および1:50で希釈されたもの)または標準品(IL−6についての7.8〜1000pg/mLのWHO国際標準品(番号89/548)を各ウェルに添加した。100μLの試料希釈剤を各未使用ウェルに添加した。プレートをシーラー(Falcon、番号3073)でカバーし、次いで1時間±5分間振りまぜながら(約300rpm)インキュベートした。
【0058】
次いで前記プレートを吸引して、300μLの洗浄緩衝液で5回洗浄した。次いで、100μLの0.2μg/mLビオチン化ヤギ抗ヒトIL−6抗体(R&D Systems、番号BAF206)を各ウェルに添加し、前記プレートをシーラーで再度カバーして、1時間±5分間振りまぜながら(約300rpm)インキュベートした。
【0059】
次いで前記プレートを吸引して、300μLの洗浄緩衝液で5回洗浄した。次いで、100μLの0.02μg/mLアルカリホスファターゼ(Rockland、番号S000−05)を各ウェルに添加して、前記プレートをシーラーで再度カバーして、1時間±5分間振りまぜながら(約300rpm)インキュベートした。
【0060】
次いでプレートを吸引して、300μLの洗浄緩衝液で5回洗浄した。次いで、0.5mMのMgClを含むジエタノールアミン緩衝液中の200μLの1mg/mL pNPPを各ウェルに添加した。前記プレートをシーラーで再度カバーして、IL−6標準曲線(1000pg/mL)の最大濃度が、各ウェルに50μLの2MのNaOHを添加することによって反応が停止する405nmで約2.5から3.0の間の光学濃度を有するまで、室温で振りまぜながら(約300rpm)インキュベートした。405nmに設定されたマイクロプレートリーダーを使用して、反応が停止して30分以内に各ウェルの光学濃度を測定した。
【0061】
図1は、エンドトキシン標準品(1EU/mL)およびExtraneal(登録商標)陽性対照に対するIL−6反応に対する細胞密度の作用を示す。Extraneal(登録商標)陽性対照は、非エンドトキシン性発熱物質で汚染され、この薬物のこのロットのヒトのレシピエントにおける有害薬物反応の原因となったが、LAL試験(Martis et al., (2005))においては陰性反応であった。値は、4回繰り返されたウェルの平均の平均±標準誤差である。1ウェル当たり25万〜100万個のPBMCの細胞密度において、1EU/mLのエンドトキシン標準品に同様の反応が示された。陽性対照試料が最も検出されたのは1ウェル当たり100万個の細胞の使用であり、次いで50万個、25万個、更に13万個の細胞の使用であった。
【0062】
(実施例2−発熱物質試験の比較)
現在の最高水準の技術として本明細書に記載される方法を繰り返した。これらの方法のいずれにおいても、Extraneal(登録商標)透析溶液、ヘモグロビンおよび/またはデキストランについての陽性産物対照は、陰性産物対照と区別されなかった。
【0063】
平底ウェルおよびIL−6指標を含むポリスチレンマイクロタイタープレートを使用して、Hoffman et al., (2005)の検定をその中で記載された通りに繰り返した。単球含有試薬を低い細胞密度で使用したが、それはそれぞれ図2〜5における全血(1ウェル当たり75000個の細胞)、PBMC(1ウェル当たり10万個の細胞)、MONOMAC6(1ウェル当たり25万個の細胞)またはTHP−1(1ウェル当たり25万個の細胞)であった。なお、IL−6は内因性発熱物質(ネオプテリンとは対照的)であり、本発明の方法においてより頑健性のある指標であるため、図5ではネオプテリンの代わりにIL−6指標を使用した。図6においては、単球含有試薬として低い細胞密度(1ウェル当たり25万個の細胞)のTHP−12A9細胞を使用し、TNFが指標であった。
【0064】
単球含有試薬として1mL当たり100万個のMONOMAC−CA8クローン細胞、IL−6指標および平底ウェルを有するポリスチレンマイクロタイタープレートを使用して、Nakagawa等の検定をその中で記載される通りに繰り返した。図7を参照されたい。
【0065】
単球含有試薬として1mL当たり100万個の28C細胞、IL−6指標および平底ウェルを有するポリスチレンマイクロタイタープレートを使用して、Yamamoto等の検定をその中で記載される通りに繰り返した。図8を参照されたい。しかしながら、インターフェロンγによってはエンドトキシン標準品に対する用量反応曲線を得ることができなかったため、インターフェロンγの代わりにカルシトリオール(100ng/nL)で28C細胞の初回抗原刺激を行った。
【0066】
(実施例3−本発明の発熱物質試験)
96ウェル丸底ポリプロピレンプレート(Costar、番号3790、Corning Incorporated,USA)で、20%ヒト全血(40μL=約6万PBMC/ウェル=約30万PBMC/mL)の培養(200μL)を4回実施した。1ウェル当たりの添加物は以下の通りであった:MEM−HEPES(60μL)、単一ドナーからの血液(40μL)、MEM−HEPESと1:1で希釈したエンドトキシン標準品またはExtraneal(登録商標)試料(100μL、即ちExtraneal(登録商標)溶液がウェル内に1:4の最終希釈度であった)。ウェルの含有物を穏やかにかきまぜる(ウェルをクロス汚染することなく)ことによって混合し、大気中5%のCOの雰囲気中で16〜24時間、37℃で振動させずに(細胞の沈降を可能にするため)インキュベートした。組織培養インキュベーション終了後、ELISAによるIL−6の検定のために、各ウェルから透明な上澄液の100μLのアリコートを採取した。
【0067】
デキストラン試料に使用した手順は、実施例1で上記されたものと同様であった。細胞の分離および培養は、細胞密度が1ウェル当たり40万個の細胞であり、ELISAで使用された試料希釈度が1:10であったことを除いて同様であった。IL−6のELISAは、Clone16モノクローナル抗体(IL−6の捕捉用)と、検出抗体としての西洋ワサビペルオキシダーゼに結合するヒツジポリクローナル抗体とでコーティングされたプレートが使用されたという点で異なっていた。ELISAは、Hoffmann et al., (2005)に記載されるように、全血/IL−6試験(NIBSC)およびPBMC/IL−6試験(Novartis)において使用される。
【0068】
図9は、Extraneal(登録商標)陰性対照試料およびExtraneal(登録商標)陽性対照試料について、ならびにデキストラン陰性対照試料およびデキストラン陽性対照試料についての比較結果を示す。本発明の発熱物質試験においては、陽性対照と陰性対照との間が容易に区別されることがわかった。上記のプロトコルに従って、単一ドナーからの血液によって試験を4回実施した。値は、4回繰り返されたウェルの平均の平均±標準誤差である。
【0069】
図10は、Extraneal(登録商標)陰性対照試料およびExtraneal(登録商標)陽性対照試料についての比較結果を示す。本発明の発熱物質試験においては、陽性対照と陰性対照との間が容易に区別されることがわかった。上記のプロトコルに従って、単一ドナーからの血液によって試験を4回実施した。値は、4回繰り返されたウェルの平均の平均±標準誤差である。なお、全血が単球含有試薬であり、丸底ポリプロピレンウェルが使用された場合、陰性Extraneal対照から陽性対照を区別するのに低い細胞密度で十分であった。
【0070】
(実施例4−本発明の発熱物質試験:単一ドナーにおけるポリプロピレンプレート対ポリスチレンプレートおよびIL−6対IL−1βの比較結果)
1ウェル当たり100万個の細胞の細胞密度が使用され、幾つかの試料がIL−1β指標に供され、幾つかの試料が平底ウェルを有するポリスチレンマイクロタイタープレートに配置されたことを除いて、試験試料を実施例1の方法に従って調製した。図11Aは、ポリプロピレンプレート内で実施された試験において陽性対照に対するIL−6反応は陰性対照から明確に区別されたが、ポリスチレンプレートにおいては区別されなかったことを示す。値は、4回繰り返されたウェルの平均の平均±標準誤差である。図11Bは、ポリプロピレンプレート内で実施された試験において陽性対照に対するIL−1β反応は陰性対照から明確に区別されたが、ポリスチレンプレートにおいては区別されなかったことを示す。しかしながら、図11Bにおける反応の大きさは、図11Aよりもはるかに小さく、これによりIL−1βはIL−6よりも劣った指標であることが示された。値は、4回繰り返されたウェルの平均の平均±標準誤差である。
【0071】
(実施例5−本発明の発熱物質試験:複数のドナーにおけるポリプロピレンプレート対ポリスチレンプレートの比較結果)
Hoffmann et al., (2005)に記載されるように、1ウェル当たり88万および100万個の細胞の細胞密度が使用され、3人のドナーが使用され、幾つかの試料が平底ウェルを有するポリスチレンマイクロタイタープレートに配置され、IL−6ELISAが、Clone16モノクローナル抗体と、検出抗体としての西洋ワサビペルオキシダーゼに結合されたヒツジポリクローナル抗体とでコーティングされたプレートを使用したことを除いて、実施例1の方法に従って試験試料を調製した。図12Aおよび12Bは、ドナーAにおける1ウェル当たり88万個の細胞のPBMC細胞密度において、丸底ウェルを有するポリプロピレンマイクロタイタープレートと、平底ウェルを有するポリスチレンマイクロタイタープレートとについてのIL−6反応をそれぞれ示す。ドナーAにおいては、ポリスチレンプレートが使用された場合は発熱物質試験における陽性対照と陰性対照との間が区別されなかったが、ポリプロピレンプレートが使用された場合はこれらの対照の間で区別された。図13Aおよび13Bは、ドナーBにおける1ウェル当たり100万個の細胞のPBMC細胞密度において、丸底ウェルを有するポリプロピレンマイクロタイタープレートと、平底ウェルを有するポリスチレンマイクロタイタープレートとについてのIL−6反応をそれぞれ示す。ドナーBにおいては両方の発熱物質試験における陽性対照と陰性対照との間が区別されたものの、ポリプロピレンプレートを使用した場合は陽性対照に対するIL−6反応は陰性対照の約6倍であったが、ポリスチレンプレートを使用した場合は陰性対照の約2倍だけであった。図14Aおよび14Bは、ドナーCにおける1ウェル当たり88万個の細胞のPBMC細胞密度において、丸底ウェルを有するポリプロピレンマイクロタイタープレートと、平底ウェルを有するポリスチレンマイクロタイタープレートとについてのIL−6反応をそれぞれ示す。ドナーBにおいては両方の発熱物質試験における陽性対照と陰性対照との間が区別されたものの、ポリプロピレンプレートを使用した場合の陽性対照に対するIL−6反応は、ポリスチレンプレートの場合よりも約2倍大きかった。なお、ポリプロピレンにおけるExtraneal(登録商標)陽性対照に対する反応は、LPS標準品の最大投与量、即ち0.4EU/mLに対する反応を上回っているが、それに対してポリスチレンにおけるExtraneal(登録商標)陽性対照に対する反応は、LPS標準品の最小投与量、即ち0.1EU/mLに対する反応より小さい。
【0072】
(実施例6−発熱物質試験の比較:IPT(Charles River Laboratories))
この試験を実施する際に使用される手順は、IL−1βおよびポリスチレンマイクロタイタープレートを使用する全血刺激の検定手順を使用するEndosafe (登録商標)−IPT InVitro Pyrogen Test説明書シート(Charles River Laboratoriesから商業的に入手可能(PIIPT10002))に記載される。図15は、IPT試験においては、LPS標準品とグラム陽性菌由来のリポテイコ酸のキット陽性対照とに対するキット反応によってExtraneal(登録商標)およびヘモグロビンの陽性対照と陰性対照との間を区別することができなかったことを示す。
【0073】
(実施例7−低温保存された細胞を使用する本発明の発熱物質試験)
血漿およびジメチルスルホキシド中(あるいは全血およびジメチルスルホキシド中)の細胞懸濁液(例えば100万個のPBMCまたは単球細胞)を丸底250μLウェルを有する96ウェルポリプロピレンプレートの各ウェルに添加し、次いでそれを封止して低温保存する。
【0074】
試験日に、プレートを解凍し、室温に戻し、封止を取り除き、96ウェルインサートを適切な位置に確実に押し込む。前記インサートは、ポリプロピレンの壁と、液体ではなく細胞の通過に対する障壁である平底とを有する。
【0075】
新しい培地をインサートに充填し、培地を上下に吸引して溶液を細胞障壁の上下で混合し、その後細胞障壁の上方で溶液を吸引して廃棄することによって、DMSOを細胞から洗い流す。この洗浄工程を5回繰り返すことによって、DMSOがほとんどなくなるように細胞を洗浄し、次いで既知量の新しい培地中で保持する。
【0076】
試験試料または標準品ならびにより新しい培地をインサートに添加し、次いで上下にこの溶液を吸引して細胞障壁の上下で溶液を混合することによって、試料または(発熱物質)標準品の中の発熱物質が細胞に到達することが可能になる。
【0077】
加湿空気中の5%の二酸化炭素ガス中で、プレートを16〜24時間、37±1℃でインキュベートする。インキュベーションの間、細胞沈降によって細胞が互いに接触することが可能になり、それによって発熱物質刺激IL−6放出が促進される。インキュベーション期間の終了後、細胞障壁の上方の溶液を上下に吸引することによって細胞障壁の上下の溶液が完全に混合され、その後細胞調整培地の1つのアリコートをIL−6の検定用に採取する。
【0078】
低温保存されたPBMCは、ドライアイスで世界中に容易に出荷することができるので有利である。ポリスチレンとは異なり、ポリプロピレンは、割れることなく液体窒素に耐える。到着した際には、提供されたプレートインサートとともに、試験用に準備するためにPBMCを解凍してDMSOがなくなるように洗浄することのみが必要である。1ウェル当たりの最適な数で細胞を出荷し、プレートインサートとともに細胞を使用することによって、改良された試験キットが最終使用者に提供される。従来のキットでは、細胞はチューブ内で出荷され、そして一旦解凍されると遠心分離によって洗浄しなければならず、それによって細胞がペレット化し、細胞を清浄な培地に分散させることができる。通常は、このようにして細胞を2回または3回洗浄する。次いで、細胞を計数して必要な細胞密度で再懸濁する必要があり、その後細胞をウェル内に分注することができる。細胞消失、活性化および細胞死を招く従来試験と比較して、本発明の発熱物質試験は労働集約的でなく、時間がかからず、そしてはるかに細胞を傷つけにくいものである。
【0079】
本発明または好ましい実施形態の要素を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」および「前記」は、1つ以上の要素があることを意味することが意図される。「含む(comprising)」、「含む(including)」および「有する(having)」は、包括的であり、そして一覧を示された要素以外の更なる要素があり得ることを意味することが意図される。本発明の範囲を逸脱することなく各種の変更を上記の方法および組成物において行うことができるため、上記の明細書に含まれる全ての内容は例証を示すものとして解釈されるものとし、限定的な意味で解釈されるものではないとすることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】丸底ウェルを有するポリプロピレンプレート上で末梢血単核細胞、即ち指標としてのIL−6によって実施された単球活性化試験における、4つの異なる細胞密度(250μL当たり100万、50万、25万および13万個のPBMC)の試験試料に対するIL−6反応を表すグラフ。IL−6反応は、エンドトキシン標準(1mL当たり1エンドトキシン単位)およびExtraneal(登録商標)陽性対照(即ち、非エンドトキシン性発熱物質に汚染された1バッチのこの製品)に対するものである。
【図2】平底ウェルを有するポリスチレンプレート上で全血によって実施された単球活性化試験における、細胞密度が低い試験試料に対するIL−6反応を示すグラフ。IL−6反応は、LPS、Extraneal(登録商標)陰性対照(即ち、この製品の清浄なバッチ)、Extraneal(登録商標)陽性対照、ヘモグロビン(Hb)陰性対照(即ち、この製品の清浄なバッチ)およびヘモグロビン(Hb)陽性対照(即ち、非エンドトキシン性発熱物質に汚染された1バッチのこの製品)に対するものである。
【図3】平底ウェルを有するポリスチレンプレート上で末梢血単核細胞によって実施された単球活性化試験における、細胞密度が低い試験試料に対するIL−6反応を示すグラフ。IL−6反応は、LPS、Extraneal(登録商標)陽性および陰性対照ならびにHb陽性および陰性対照に対するものである。
【図4】平底ウェルを有するポリスチレンプレート上でMONOMAC6細胞によって実施された単球活性化試験における、細胞密度が低い試験試料に対するIL−6反応を示すグラフ。IL−6反応は、LPS、Extraneal(登録商標)陽性および陰性対照ならびにHb陽性および陰性対照に対するものである。
【図5】平底ウェルを有するポリスチレンプレート上でTHP−1細胞によって実施された単球活性化試験における、細胞密度が低い試験試料に対するIL−6反応を表すグラフ。IL−6反応は、LPS、Extraneal(登録商標)陽性および陰性対照ならびにHb陽性および陰性対照に対するものである。
【図6】平底ウェルを有するポリスチレンプレート上でTHP−12A9細胞によって実施された単球活性化試験における、細胞密度が低い試験試料に対するTNF−α反応を示すグラフ。TNF−α反応は、LPS、Extraneal(登録商標)陽性および陰性対照ならびにHb陽性および陰性対照に対するものである。
【図7】平底ウェルを有するポリスチレンプレート上でMONOMAC6−CA8クローン細胞によって実施された単球活性化試験における、細胞密度が低い試験試料に対するIL−6反応を示すグラフ。IL−6反応は、LPS並びExtraneal(登録商標)陽性および陰性対照に対するものである。
【図8】平底ウェルを有するポリスチレンプレート上で28SC細胞によって実施された単球活性化試験における、細胞密度が低い試験試料に対するIL−6反応を示すグラフ。IL−6反応は、LPSならびにデキストラン陽性および陰性対照に対するものである。
【図9】丸底ウェルを有するポリプロピレンプレート上で末梢血単核細胞によって実施された単球活性化試験における、細胞密度が高い試験試料に対するIL−6反応を示すグラフ。IL−6反応は、LPS、Extraneal(登録商標)陽性および陰性対照ならびにデキストラン陽性および陰性対照に対するものである。
【図10】丸底ウェルを有するポリプロピレンプレート上の全血によって実施された単球活性化試験における、細胞密度が低い試験試料に対するIL−6反応を表すグラフ。IL−6反応は、LPSならびにExtraneal(登録商標)陽性および陰性対照に対するものである。
【図11A】末梢血単核細胞(1ウェル当たり100万個の細胞)によって実施された単球活性化試験における、ポリプロピレンプレート(黒色カラム)およびポリスチレンプレート(灰色カラム)に対するIL−6反応を表すグラフ。IL−6反応は、LPS、Extraneal(登録商標)陽性および陰性対照ならびにHb陽性および陰性対照に対するものである。
【図11B】末梢血単核細胞(1ウェル当たり100万個の細胞)によって実施された単球活性化試験における、ポリプロピレンプレート(黒色カラム)およびポリスチレンプレート(灰色カラム)に対するIL−1β反応を表すグラフ。IL−1β反応は、LPS、Extraneal(登録商標)陽性および陰性対照ならびにHb陽性および陰性対照に対するものである。
【図12A】丸底ウェルを有するポリプロピレンプレート上で末梢血単核細胞によって実施された単球活性化試験における、細胞密度が高い試験試料に対するIL−6反応を示すグラフ。IL−6反応は、LPSならびにExtraneal(登録商標)陽性および陰性対照に対するものである。
【図12B】平底ウェルを有するポリスチレンプレート上で末梢血単核細胞によって実施された単球活性化試験における、細胞密度が低い試験試料に対するIL−6反応を示すグラフ。IL−6反応は、LPSならびにExtraneal(登録商標)陽性および陰性対照に対するものである。
【図13A】丸底ウェルを有するポリプロピレンプレート上で末梢血単核細胞によって実施された単球活性化試験における、細胞密度が高い試験試料に対するIL−6反応を示すグラフ。IL−6反応は、LPSならびにExtraneal(登録商標)陽性および陰性対照に対するものである。
【図13B】平底ウェルを有するポリスチレンプレート上で末梢血単核細胞によって実施された単球活性化試験における、細胞密度が高い試験試料に対するIL−6反応を示すグラフ。IL−6反応は、LPSならびにExtraneal(登録商標)陽性および陰性対照に対するものである。
【図14A】丸底ウェルを有するポリプロピレンプレート上で末梢血単核細胞によって実施された単球活性化試験における、細胞密度が高い試験試料に対するIL−6反応を示すグラフ。IL−6反応は、LPSならびにExtraneal(登録商標)陽性および陰性対照に対するものである。
【図14B】平底ウェルを有するポリスチレンプレート上で末梢血単核細胞によって実施された単球活性化試験における、細胞密度が高い試験試料に対するIL−6反応を示すグラフ。IL−6反応は、LPSならびにExtraneal(登録商標)陽性および陰性対照に対するものである。
【図15】平底ウェルを有するポリスチレンプレート上で全血によって実施された商業的に入手可能なIPT試験における、細胞密度が高い試験試料に対するIL−1β反応を示すグラフ。IL−1β反応は、LPS、Extraneal(登録商標)陽性および陰性対照、ヘモグロビン陽性および陰性対照、生理食塩水対照ならびにグラム陽性対照に対するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の非エンドトキシン性発熱物質を検出する方法であって、
ポリプロピレンを含む少なくとも1つの表面を含む第1検定系において単球含有試薬と試験される試料とを合わせる工程であって、該単球含有試薬が、末梢血単核細胞または単球細胞株細胞を含み、該表面に接触し、高い細胞密度で該検定系に存在する、工程;
該単球含有試薬および該試料をインキュベートする工程であって、該単球含有試薬が炎症反応のサイトカインまたは内因性メディエーターを産生する、工程;
該第1検定系の内容物を、炎症反応のサイトカインまたは内因性メディエーターに対する抗体で処理された少なくとも1つの表面を含む第2検定系へ移す工程;および
該表面上の抗体に結合したサイトカインまたは内因性メディエーターの存在について該第2検定系を検定し、それによって、該表面に結合したサイトカインまたは内因性メディエーターの上昇したレベルにより該試験試料中の発熱物質の存在が示される、工程
を含む、方法。
【請求項2】
非経口投与医療品中の非エンドトキシン性発熱物質を検出する方法であって、
ポリプロピレンを含む少なくとも1つの表面を含む第1検定系において単球含有試薬と試験される医療品とを合わせる工程であって、該単球含有試薬が全血を含み、かつ該表面と接触する、工程;
該単球含有試薬および該医療品をインキュベートする工程であって、該単球含有試薬がIL−6を産生する、工程;
該第1検定系の内容物を、IL−6に対する抗体で処理した少なくとも1つの表面を含む第2検定系へ移す工程;および
該表面上の抗体に結合したIL−6の存在について該第2検定系を検定する工程であって、それによって該表面に結合したIL−6の上昇したレベルにより該試験医療品の発熱物質の存在が示される、工程
を含む、方法。
【請求項3】
非経口投与医療品中の非エンドトキシン性発熱物質を検出する方法であって、
ポリプロピレンを含む少なくとも1つの表面と、IL−6に対する抗体で処理された少なくとも1つの表面とを含む検定系において、単球含有試薬と試験される医療品とを合わせる工程であって、該単球含有試薬が全血を含み、かつポリプロピレンを含む該表面と接触する、工程;および
該表面上の該抗体に結合したIL−6の存在について該検定系を検定する工程であって、それによって、該表面に結合したIL−6の上昇したレベルにより該試験医療品中の発熱物質の存在が示される、工程
を含む、方法。
【請求項4】
非エンドトキシン性発熱物質検定に使用するための単球含有試薬内に含まれる細胞を培養する方法であって、
ポリプロピレンを含む少なくとも1つの表面の含む検定系において単球含有試薬と試験される試料とを合わせる工程であって、該単球含有試薬が末梢血単核細胞または単球細胞株の細胞を含み、該表面と接触し、そして高い細胞密度で該検定系に存在する、工程
を含む、方法。
【請求項5】
平底マイクロタイターウェルと比較して前記単球含有試薬が濃縮されるように成形された少なくとも1つのマイクロタイターウェルを前記検定系が含み、該ウェルの少なくとも1つの表面がポリプロピレンを含み、そして該単球含有試薬が高い細胞密度でこのようなウェルに存在する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1および第2の検定系の内の少なくとも1つが、少なくとも1つのマイクロタイターウェルを含み、かつ前記表面が前記マイクロタイターウェルの内側の少なくとも一部である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記検定系が少なくとも1つのマイクロタイターウェルを含み、かつ前記表面が前記マイクロタイターウェルの内側の少なくとも一部である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項8】
平底マイクロタイターウェルと比較して前記単球含有試薬が濃縮されてより大きな細胞間接触がもたらされるように前記ウェルが成形される、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記マイクロタイターウェルが、開口頂部、該開口頂部から下方へ伸長する上方領域、および最も低い点の上方の位置から該最も低い点まで直径が先細りになる底壁を含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記マイクロタイターウェルが、開口頂部、上端部および下端部を有する該開口頂部から下方へ伸長する上方領域、ならびに上端部および最も低い点を有する底部領域を含み、該底部領域が、上方領域の下端部から伸長し、かつ底部の上端部から最も低い点に向かって、上方領域よりも急激に直径が先細りになる、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記マイクロタイターウェルの底壁が、非平面であるか、湾曲しているか、放物線状であるか、若しくは下方へ伸長している、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記マイクロタイターウェルの側面が内側に傾斜している、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記検定系が、サイトカインに対する抗体で処理された少なくとも1つの表面を含み、かつ該抗体が適用された該表面が、該マイクロタイターウェルの内側の少なくとも一部である、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記抗体が前記炎症反応の内因性メディエーターに対する抗体である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記内因性メディエーターがエンドセリンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記表面上の前記抗体に結合したサイトカインまたは内因性メディエーターの存在について前記検定系を検定する工程であって、それによって、該表面に結合したサイトカインまたは内因性メディエーターの上昇したレベルにより前記試験試料中の発熱物質の存在が示される、工程も更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項17】
前記サイトカインが、インターロイキン1(IL−1)、インターロイキン1ra(IL−1ra)、インターロイキン6(IL−6)、インターロイキン8(IL−8)および腫瘍壊死因子α(TNF−α)からなる群から選択される、請求項1、13または16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記サイトカインがIL−6である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記抗体がポリクローナル抗体である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記検定系が比色酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、放射標識免疫学的検定または蛍光標識免疫学的検定である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記単球細胞株がヒト単球細胞株を含む、請求項1または4〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記単球細胞株がMONOMAC−6、THP−1または28SCである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記単球細胞株が、内因性CD14およびトール様受容体を有する細胞株、あるいは炎症性または発熱性メディエーターのCD14および/またはトール様受容体および/またはレポーター遺伝子がトランスフェクトされた細胞株を含む、請求項1および4〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記試料が非経口投与医療品である、請求項1および4〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記非経口投与医療品が、血液製剤、透析溶液、ワクチンおよび血漿増量剤からなる群から選択される、請求項2、3および25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記単球含有試薬が、1ウェル当たり少なくとも約25万、50万、60万、70万、80万、90万、100万、110万、120万、130万、140万、150万、160万、170万、180万、190万または200万個の細胞の細胞密度で前記検定系に存在する、請求項1および4〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記末梢血単核細胞がヒト末梢血単核細胞を含む、請求項1および4〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記単球含有試薬が希釈剤も更に含む、請求項2、3、6〜12、19〜21および26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記希釈剤がRPMI培地である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記単球含有試薬が抗凝固剤も更に含む、請求項2、3、6〜12、19〜21、26、29および30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記全血がヒト全血を含む、請求項2、3、6〜12、19〜21、26、および29〜31のいずれか1項の方法。
【請求項33】
前記単球含有試薬が、1ウェル当たり約10万、20万、21万、22万、23万、24万、25万、26万、27万、28万、29万、30万、31万、32万、33万、34万、35万、36万、37万、38万、39万または40万個超の末梢血単核細胞の細胞密度で前記検定系に存在する、請求項2、3、6〜12、19〜21、26および29〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
診断キットであって、
各ウェルに含まれる細胞が、平底マイクロタイターウェルと比較して濃縮されるように成形された複数のマイクロタイターウェルを含むマイクロタイタープレートであって、該ウェルの表面がポリプロピレンを含む、マイクロタイタープレート;および
該プレートの該ウェルに含まれる低温保存単球含有試薬であって、該単球含有試薬が低温保存末梢血単核細胞または低温保存単球細胞株の細胞を含み、該ウェルの表面と接触し、かつ高い細胞密度で該ウェルに存在する、低温保存単球含有試薬、
を含む、診断キット。
【請求項35】
非経口投与医療品中の非エンドトキシン性発熱物質を検出するための検定系であって、各ウェルに含まれる細胞が平底マイクロタイターウェルと比較して濃縮されるように成形された複数のマイクロタイターウェルを含むマイクロタイタープレートを含み、該ウェルの表面が、ポリプロピレンを含む、検定系;
該プレートのウェルに含まれる低温保存単球含有試薬であって、該単球含有試薬が、低温保存全血を含み、かつ該ウェルの表面と接触する、低温保存単球含有試薬;および
IL−6に対する抗体、を含む、診断キット。
【請求項36】
前記ウェルが、単球不透過性である障壁も更に含む、請求項34または35に記載のキット。
【請求項37】
前記障壁が膜、格子、篩またはシフターを含む、請求項36に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【公表番号】特表2009−521690(P2009−521690A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547757(P2008−547757)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/062424
【国際公開番号】WO2007/076411
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【出願人】(508187953)ナショナル バイオロジカル スタンダーズ ボード (1)
【Fターム(参考)】