説明

医療用の包帯製品

【解決手段】医療用包帯製品は、湿気不浸透性の素材から作られた包装材と、ほぼ湿気無しの条件下で包装材内に配置され、且つ湿気の侵入に対してシールされている医用素材と、包装材およびその内部に配置された医用素材が含まれる供給用の箱とを備える。供給用の箱は、医用素材が包装材の開口を介して取り出されるときに通過する当該箱における開口部と、当該箱の開口部を越えて医用素材を持たない包装材を受領すべく、開口部に隣接して箱によって支持されたS字形状のシール部材とを具備する。タブが、医用素材を持たない包装材に押し付けられて、包装材内への湿気の侵入に抵抗するシールを形成する折り畳まれたシール部位を有する2倍厚の包装材を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して整形外科用医術の分野に関するものであり、より具体的には、改良型のロール形態医療用包帯、及び、そのようなロール形態の包帯を貯蔵し、排出し、湿気の侵入をシールするためのコンテナ(包装材)に関する。
【背景技術】
【0002】
四肢(体の一部)の固定を必要とする骨折のような傷害の治療に用いる医療用包帯は、一般に、包帯片が体の一部に巻き付けられた後で硬質構造に硬化する物質を含浸させてなる一片の布地やスクリム(scrim)生地からできている。この処置を実行するのに従来用いられてきた硬化物質は、焼き石膏(plaster of paris)である。
【0003】
従来の処置は、最初に怪我をした四肢の一つに綿生地等の保護カバーをあてがい、次にその保護カバーと四肢を、適用直前に水に浸すことで濡らされた焼き石膏を含浸させた織物布で覆うことにより、怪我をした四肢の上にギブス包帯またはスプリント(splint、添え木)を作り上げることであった。このような処置は、未だ広く行われているが、いくつかの重大な欠点がある。例えば、上述のような適用手順は、面倒で時間がかかる。また、いくらかのコンポーネント(資材)が必要であり、且つかなりの技術が必要である。
【0004】
焼き石膏のギブス包帯やスプリントに関する従来の適用手順の上記欠点を緩和するために、統合(一体型)スプリント材料が考案され、例えば米国特許第3,900,024号、米国特許第3,923,049号および米国特許第4,235,228号に開示されている。これらの特許の全てが、複数層の焼き石膏含浸布を具備した当て物材料について述べている。そのような統合(一体型)スプリント材料は、さほど面倒では無く、ずっと迅速に適用可能であるが、焼き石膏ギブス包帯材料に本来的に備わる多くの欠点を依然として有している。全ての焼き石膏スプリントは強度対重量比が相対的に低く、そのことで、仕上げ状態のスプリントが大変重くて嵩張ったものとなってしまう。焼き石膏スプリントは硬化するのが遅く、最大硬度に達するのに24〜72時間を要する。焼き石膏は水中で壊れるので、入浴やシャワーは困難である。たとえ、これらを原因とする濡れ(湿り)が回避され得るとしても、長時間にわたる発汗が焼き石膏を破壊し、匂いや痒みを伴う重大な問題を引き起こす。
【0005】
ギブスやスプリントの技術における大進歩が、米国特許第4,770,299号、米国特許第4,869,046号、米国特許第4,899,738号および米国特許第5,003,097号に開示されている。これらの特許に開示された医療用材料は、プラスチック又はホイルでラミネート加工された細長のスリーブ(鞘)又は袋のような、湿気が無く、湿気不浸透性のパッケージに包まれた湿気硬化型樹脂が含浸された柔軟な織物である。焼き石膏に比べて、これらの製品はかなり軽量であり、強度対重量比が非常に高く、しかも比較的多孔質に作ることができ、ギブス材料を通して通気可能である。
【0006】
米国特許第4,770,299号、米国特許第4,869,046号、米国特許第4,899,738号および米国特許第5,003,097号はまた、所望長の包帯材料が使用された後に、湿気の進入からパッケージを再シールする各種の方法を開示する。例えば299特許は、テープ、バネ付勢された圧縮ガスケット、バネ付勢されたローラーを使用することや、使用の合間に包装材を再加熱シールすることでパッケージを再シールすることを開示する(299特許、カラム4、第8〜24行参照)。097特許は、バネ付勢されたクランプやサンドイッチバッグ型のジッパーを用いて使用の合間にパッケージを再シールすることを開示する(097特許、カラム6、第29〜41行、図11及び12参照)。
【0007】
本件出願人にその後に付与された数多の特許もまた、再シール装置としての鋏型クリップの使用を開示する(例えば、米国特許第6,719,710号、図10参照)。
【0008】
本発明は、包帯材料が貯蔵されるカートン(箱)と関係する再シール手段を提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第3,900,024号
【特許文献2】米国特許第3,923,049号
【特許文献3】米国特許第4,235,228号
【特許文献4】米国特許第4,770,299号
【特許文献5】米国特許第4,869,046号
【特許文献6】米国特許第4,899,738号
【特許文献7】米国特許第5,003,097号
【特許文献8】米国特許第6,719,710号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、湿気に晒されたときに材料が硬化して、堅牢で自己支持的(自立的)な構造を形成する湿気硬化型樹脂を持ったロール形態の医療用包帯製品を提供することにある。ちなみに、前述の堅牢で自己支持的(自立的)な構造は、出荷や貯蔵のため並びに使用間隔(非利用時)において当該医療材料が包装される箱と関連した再シール手段によって、使用が所望されるまで、残った材料の硬化を防止しながら、いなかる所望長でも分配(排出)できるものである。
【0011】
本発明の別の目的は、使用間隔(非利用時)における湿気の侵入に対してシールを確実にするために、出荷や貯蔵のため並びに使用間隔(非利用時)において医療材料が包装される箱と協働するクリップを組み込んだロール形態の医療用包帯製品を提供することにある。
【0012】
本発明の別の目的は、使用間隔(非利用時)における湿気の侵入に対してシールを確実にするために、出荷や貯蔵のため並びに使用間隔(非利用時)において医療材料が包装される箱と協働するクリップであって、且つ、望むならば(必要ならば)それが取り付けられた箱から外して別の箱で使用することができるクリップを組み込んだロール形態の医療用包帯製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の又はその他の目的や利点は、次のような医療用包帯製品を提供することで達成される。即ち、本発明の医療用包帯製品は、湿気不浸透性の素材から作られた包装材と、ほぼ湿気無しの条件下で前記包装材内に配置され且つ湿気の侵入に対してシールされている医用素材と、前記包装材およびその内部に配置された医用素材が含まれる供給用の箱とを備える。前記供給用の箱は、前記医用素材が前記包装材の開口を介して取り出されるときに通過する当該箱における開口部と、当該箱の開口部を横切って(越えて)一定の長さの医用素材を持たない包装材を受けとるべく、開口部に隣接して設置され当該箱によって支持されたシール部材と、医用素材を持たない包装材に支持され、前記包装材内への湿気の侵入に抵抗するシールを形成する折り畳まれたシール部位を有する2倍厚の包装材を形成するタブと、を含んでなる。
【0014】
本発明の好ましい一態様によれば、前記シール部材は、前記タブおよび2倍厚の包装材を受け入れる第1の溝、並びに、前記開口部に隣接し箱上に当該シール部材を保持する第2の溝を区画形成する概してS字型の本体部を備えている。
【0015】
本発明の別の一態様によれば、前記タブは、箱の蓋片の端部に形成されており、その箱蓋片は、前記開口部を介しての前記箱内の包装材への接触(接近)を許容する開き位置と、前記箱の開口部がカバーされると共に前記包装材が箱蓋片の端部にある前記タブによって前記第1の溝のシール位置に維持される閉じ位置との間を移動可能である。
【0016】
本発明のまた別の一態様によれば、前記包装材は湿気不浸透性のスリーブを備える。
【0017】
本発明のまた別の一態様によれば、前記S字型の本体部は、スリーブを把持すべく前記第1の溝に配置された第1の把持部位と、前記箱を把持すべく前記第2の溝に配置された第2の把持部位とを含んでなる。
【0018】
本発明のまた別の一態様によれば、前記第1の溝は、前記タブをガイドする広げられた口を有する。
【0019】
本発明のまた別の一態様によれば、医療用包帯製品は、湿気不浸透性の素材で作られた外側スリーブと、ほぼ湿気無しの条件下で前記スリーブ内に配置され、且つ使用時まで湿気の侵入に対しシールされる医用素材とを備える。前記医用素材は、間に所定の厚みを形成する、互いに反対側にある第1側面および第2側面を有する基材と、前記基材に含浸されるか又は前記基材上にコートされる反応系(反応性物質)であって、ほぼ湿気無しの条件で維持されるときには安定を保ち、十分な湿気に晒されたときには硬化して硬くて自己保持的(自立的)な構造を形成する反応系(反応性物質)と、柔らかく、柔軟性があり、保護的で、水および空気の浸透自在なパッドであって、当該パッドに接触する前記基材の連接する第1及び第2側面の両方を覆い、当該医用素材の使用時に前記基材と患者の皮膚との間にクッション性のバリヤーを提供するパッドと、を備えてなる。
【0020】
本発明のまた別の一態様によれば、前記医療用包帯製品はコイル形状である。
【0021】
本発明のまた別の一態様によれば、前記医用素材は、細長く延びたスリーブ内に配置されて、医用素材およびスリーブと同様に延びる連続体を形成し、前記医用素材を中に内包した前記スリーブは、ロール状に巻かれてコイルをなしている。
【0022】
本発明のまた別の一態様によれば、前記包装材は、細長く延びたチューブ状の部材を備え、前記医用素材は、前記チューブ状の部材とほぼ同じ長さを持ち、前記チューブ状の部材内で延びる単一層の状態で配置されている。
【0023】
本発明のまた別の一態様によれば、前記包装材は、再シール可能な供給用開口を有するバッグを備え、前記医用素材は、前記供給用開口から医療的に適切な長さで供給されるべく、前記バッグの中にロール形態で配置されている。
【0024】
本発明のまた別の一態様によれば、医療用包帯製品は、湿気不浸透性の素材から作られた柔軟な包装材と、ほぼ湿気無しの条件下で前記包装材内に配置され、且つ湿気の侵入に対してシールされている医用素材と、前記包装材およびその内部に配置された医用素材が含まれる供給用の箱とを備える。
【0025】
前記供給用の箱は、前記医用素材が前記包装材の開口を介して取り出されるときに通過する当該箱における開口部と、当該箱の開口部を横切って(越えて)医用素材を持たない包装材を受けとるべく、開口部に隣接し当該箱によって支持された概してS字形状のシール部材と、前記箱の開口部を閉じる閉じ位置と、医用素材の移動(取り出し)を許容する開き位置との間で回動すべく当該箱と一体的に形成された蓋片とを備える。
【0026】
前記蓋片は、当該蓋片の自由端に形成されたほぼ直角なタブであって、医用素材を持たない包装材にもたれかかると共にその包装材を前記S字形状のシール部材内に押し込んで、前記包装材内への湿気の侵入に抵抗するシールを形成する折り畳まれたシール部位を有する2倍厚の柔軟な包装材を形成するタブを含んでなる。
【0027】
本発明の方法の態様によれば、湿気硬化性の医用素材を供給すると共に、該医用素材を湿気の侵入に対抗して再シールする方法が提供される。この方法は、湿気の侵入を防ぐべくシール可能な細長く延びたスリーブを備えた湿気不浸透性の製品包装材を提供する工程と、前記スリーブ内に配置される細長く延びた医用素材を提供する工程と、前記スリーブ内の医用素材を使用時まで湿気の侵入からシールする工程とを備える。ここで、前記医用素材は、基材と、前記基材に含浸されるか又は前記基材上にコートされる反応系(反応性物質)であって、ほぼ湿気無しの条件で維持されるときには安定を保ち、十分な湿気に晒されたときには硬化して硬くて自己保持的(自立的)な構造を形成する反応系(反応性物質)と、柔らかく、柔軟性があり、保護的なラッピングであって、前記基材をその長さに沿って包み込み、当該医用素材の使用時に前記基材と患者の皮膚との間にクッション性のバリヤーを提供するラッピングとを備えてなる。
【0028】
前記スリーブおよびそこに配置された医用素材が含まれることになる供給用の箱が提供される。ここで、前記供給用の箱は、前記医用素材が前記包装材の開口を介して取り出されるときに通過する当該箱における開口部と、横方向に展開する開口を有していると共に、医用素材を持たない包装材を当該箱の開口部を越えて受けとめるべく開口部に隣接し、当該箱によって支持されたシール部材とを含んでなる。
【0029】
医用素材を持たない包装材に押し付けられて、折り畳まれたシール部位を有する2倍厚の包装材を形成するタブが提供され、そして、医療上適切な長さの医用素材が供給される。前記タブは、医用素材を持たないスリーブに対して加圧されると共に、前記シール部材の横方向に展開する開口内に進入し、前記スリーブ内への湿気の侵入に抵抗するシールを形成する折り畳まれたシール部位を有する2倍厚のスリーブを形成する。
【0030】
本発明のまた別の一態様によれば、前記方法は、前記包帯製品をロール巻きしてコイルにし、供給のために当該包帯製品の端が前記スリーブ内に配置された状態で前記コイルを製品保管パッケージ内に置く工程を更に備える。
【0031】
本発明のまた別の一態様によれば、前記方法は、同一の広がりを持つ連続状態で前記スリーブ内に前記医用素材を挿入し、内部に包帯製品を持ったスリーブをロール巻きしてコイルにし、当該コイルを外箱に入れる工程を備える。
【0032】
本発明のまた別の一態様によれば、前記方法は、前記医用素材が取り出される前記外箱の開口に隣接して前記外箱の開口縁に押圧により取り付けられるよう配置された概してS字形状のクリップを提供する工程を備える。
【0033】
本発明の目的のいくつかは上述した通りである。本発明の他の目的や利点は、以下の図面と連動した発明についての説明が進むにつれて明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従う再シール手段を具備した医療用包帯製品の全体斜視図である。
【図2】図2は、医療用包帯製品の箱を閉じる領域の部分拡大図である。
【図3】図3は、医療用包帯製品の箱を閉じる領域の部分拡大図であり、開位置における箱の蓋片を示す。
【図4】図4は、箱を閉じる領域の連続的な部分拡大側面図であり、使用に先立つ出荷及び保管用の初期梱包時における箱の蓋片と箱クリップとの相互作用を示す。
【図5】図5は、発明の好ましい一実施形態に従う箱クリップの斜視図である。
【図6】図6は、発明の好ましい一実施形態に従う箱クリップの端面図である。
【図7】図7は、再シール手段を具備した医療用包帯製品の斜視図であり、箱から医用素材を供給する方法(形態)を示す。
【図8】図8は、医療用包帯製品の箱を閉じる領域の部分拡大図であり、医用素材が供給される様子を示す。
【図9】図8は、医療用包帯製品の箱を閉じる領域の部分拡大図であり、使用に際し医用素材が医用素材のロールから切断される様子を示す。
【図10】図10は、箱を閉じる領域の連続的な部分拡大側面図であり、使用時における箱の蓋片、箱クリップおよび湿気不浸透性包装間の相互作用を示す。
【図11】図11は、医療用包帯製品の斜視図であり、医用素材の取り出し後に箱から延び出ている(一定長の)湿気不浸透性包装を示す。
【図12】図12は、医療用包帯製品の全体斜視図であり、箱の開口から延び出るスリーブを介して供給されるべく、医用素材が湿気不浸透性バッグ内に位置決めされている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下では特に図面を利用して説明する。本発明に従う医療用包帯製品は主に図1及び図2に部材番号「10」で示されている。その医療用包帯製品10は医用素材11を含み、その医用素材11は、例えば24フィートといったような適度な長さで販売されており、スリーブ(鞘)12のような適切な湿気不浸透性コンテナ(包装材)内に収められてコイル状に巻かれ、供給箱(dispenser carton)13のような適当な供給器内に置かれている。供給箱13は、下方の一角部にて医用素材11及びスリーブ12が延び出る溝(slot)14を備える。
【0036】
医用素材11は、米国特許第4,770,299号、第4,869,046号、第4,899,738号、第5,003,097号もしくは第6,719,710号に上述されたようなものであってもよく、又は、湿気硬化可能であろうがなかろうが、包帯の構造に関して編物、織物、非織物あるいはこれらの組合せであるかには関係なく、その他のロール形態の包帯であってもよい。
【0037】
図3及び図4に最もよく示されているように、箱13は蓋片(flap)15を含み、その蓋片は好ましくは、蓋タブ16と、蓋片15が掴まれる握り部17であってスリーブ12に接触(接近)できるようにすべく箱13から離れる方向に引っぱられる握り部17とを含む。クリップ20は箱13の底縁部に配置され、溝14の底を区画形成している。クリップ20は好ましくは軽量プラスチック材料から形成され、箱13への適用時及び使用時において僅かに変形できる程度に十分な弾性を有している。適切な材料としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、または、これらと他のプラスチックのブレンド物があげられる。クリップ20は、射出成形もしくは押出成形のようなあらゆる適切なプラスチック形成プロセスによって作られても良く、又は、切断もしくは型押し成形に続く加熱およびマンドレルでのクリップ14の形成によって作られても良い。
【0038】
図5及び図6を説明すると、クリップ20は、二つ重ねの箱取付け部21を含む概してS字形状を有している。クリップ20は、図4に示すように、箱取付け部21に溝14の底縁部を挿入することで箱13に取り付けられる。箱取付け部21は任意には、クリップ20を箱13に保持するのを助ける歯部22を含んでもよい。低粘着接着片や機械的な取り付け具を含む他の手段が、歯部22に代えて又は歯部22と共に使用されてもよい。
【0039】
クリップ20はまた、溝14の背後の箱13内にある二つ重ねのシール部25を含む。図4に最もよく示されるように、蓋タブ16はクリップ20のシール部25に挿入されて蓋片15を閉じ位置に保持する。シール部25は任意には、蓋タブ16をクリップ20のシール部25に保持するのを助ける歯部26を含んでもよい。低粘着接着片や機械的な取り付け具を含む他の手段が、歯部26に代えて又は歯部26と共に使用されてもよい。
【0040】
注目すべきは、箱取付け部21及びシール部25双方の端部が開かれて、箱13の縁を箱取付け部21内に、蓋タブ16をシール部25にそれぞれ案内する開口が提供されることである。また、以下に述べるように、スリーブ12の材料を収容するために、シール部25によって区画形成された体積は箱取付け部21の体積よりも大きい。
【0041】
図7〜図11を参照して、スリーブ12の供給および再シールでのクリップ20の使用(方法)を説明する。図7及び図8に示すように、箱の蓋片15が開けられて、医用素材11を含むスリーブ12が箱13の溝14から引き出されている。医療的に適切な長さが引き出されたとき、図9に示すように、スリーブ12とスリーブ内の材料11とが、鋏または他の切断用具で、医用素材11及びスリーブ12の残りの部分から同時に切断される。溝14を介して箱から外に延びるスリーブ12の十分な量、例えば4〜6インチを確保すべく、切断がなされる。箱13の外のスリーブ12の医用素材11が空になるように、医用素材11はスリーブ12に押し戻されて箱13内にとどまる。スリーブ12の空の部分は、溝14から下に垂れさがったままとなる。
【0042】
図10に最もよく示されるように、蓋片15は閉じ位置に下げられ、蓋タブ16はスリーブ12の空の(長さ)部分に対して付勢され、当該スリーブ12の空の部分を溝14内およびクリップ20のシール部25内に押し込む。蓋タブ16が溝14から箱13内に更に押し込まれるにつれて、スリーブ12の空の長さ部分が(それ自体で)二つ重ねになり、蓋タブ16の最奥の自由端の周囲で急に折り曲げられる。シール部25は、蓋タブ16およびその蓋タブ16の上下面に陣取るスリーブ12の二つ重ねの厚みに押し付けられて、図11に示すように、空気及び湿気の侵入に対する確実なシールを形成する。
【0043】
このシール位置では、スリーブ12内の医用素材11は、使用時までソフトでしなやかな状態に維持される。連続する長さの医用素材を使用のために取り出すには、上述の手順が繰り返される。
【0044】
箱13の素材及び構造に応じて、反復使用での蓋タブ16の曲がりや軟化を防止又は低減するために、蓋タブ16に適切に接着するプラスチック、金属または強化紙のシートのような補強材で蓋タブ16を補強することは望ましいであろう。
【0045】
図12には、同じ参照番号が同じ構成要素に付与された改変例が示されている。特に、医療用包帯製品40は、医用素材11を含み、その医用素材11は、例えば24フィートといったような適度な長さで販売されており、コイル状に巻かれ、湿気不浸透性バッグ(袋)42のような適切なコンテナ(包装材)内に収められ、供給箱13のような適切な供給器内に置かれている。供給箱13は、下方の一角部にてスリーブ43が延び出る溝14を備える。スリーブ43はバッグからの延長物であり、バッグ42の内部と連通する。このように、溝14を介してのスリーブ12及びそれに含まれる医用素材11両方の連続供給に代えて、スリーブ43が箱13の外の供給位置に残されており、医用素材11が供給されるべきときには、医用素材11がロール巻き状態から展開され、スリーブ43を介して引き出される。ここで、バッグ42内の素材11のロールから医療的に適度な長さが切り離される。スリーブ43は、スリーブ12に関して上述したと同様の方法でシールされる。
【0046】
医療用包帯製品およびコンテナ(包装材)が上に述べられている。本発明の各種の細部は、発明の範囲から逸脱することなく変更され得る。更に、本発明の好ましい実施形態および本発明を実施するためのベストモードについての前記記載は、例示目的のためだけのものであって、特許請求の範囲で定義される発明を限定する目的で提供されたものではない。
【符号の説明】
【0047】
10 医療用包帯製品
11 医用素材
12 スリーブ(鞘)
13 供給箱
14 溝
15 蓋片
16 蓋タブ
17 握り部
20 クリップ
22 歯部
25 シール部
26 歯部
40 医療用包帯製品
42 湿気不浸透性バッグ(袋)
43 スリーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用包帯製品であって、
(a)湿気不浸透性の素材から作られた包装材と、
(b)ほぼ湿気無しの条件下で前記包装材内に配置され、且つ湿気の侵入に対してシールされている医用素材と、
(c)前記包装材およびその内部に配置された医用素材が含まれる供給用の箱と、
を備え、
前記供給用の箱は、
(i) 前記医用素材が前記包装材の開口を介して取り出されるときに通過する当該箱における開口部と、
(ii) 当該箱の開口部を越えて医用素材を持たない包装材を受領すべく、開口部に隣接して箱によって支持されたシール部材と、
(iii) 医用素材を持たない包装材に押し付けられ、前記包装材内への湿気の侵入に抵抗するシールを形成する折り畳まれたシール部位を有する2倍厚の包装材を形成するタブと、
を含んでなることを特徴とする医療用包帯製品。
【請求項2】
前記シール部材は、前記タブおよび2倍厚の包装材を受け入れる第1の溝、並びに、前記開口部に隣接し箱上で当該シール部材を保持する第2の溝を区画形成する概してS字型の本体部を備えてなる、請求項1に記載の医療用包帯製品。
【請求項3】
前記タブは、箱の蓋片の端部に形成されており、その箱蓋片は、前記開口部を介した前記箱内の包装材への接触を許容する開き位置と、前記箱の開口部がカバーされると共に前記包装材が箱蓋片の端部にある前記タブによって前記第1の溝のシール位置に維持される閉じ位置との間を移動可能である、請求項1に記載の医療用包帯製品。
【請求項4】
前記包装材は湿気不浸透性のスリーブを備える、請求項1に記載の医療用包帯製品。
【請求項5】
前記S字型の本体部は、スリーブを把持すべく前記第1の溝に配置された第1の把持部位と、前記箱を把持すべく前記第2の溝に配置された第2の把持部位とを含んでなる、請求項2に記載の医療用包帯製品。
【請求項6】
前記第1の溝は、前記タブをガイドする広げられた口を有する、請求項2に記載の医療用包帯製品。
【請求項7】
請求項1に記載の医療用包帯製品であって、当該医療用包帯製品は、
(a)湿気不浸透性の素材で作られた外側スリーブと、
(b)ほぼ湿気無しの条件下で前記スリーブ内に配置され、且つ使用時まで湿気の侵入に対しシールされる医用素材と、を備え、
前記医用素材は、
(i) 間に所定の厚みを形成する、互いに反対側にある第1側面および第2側面を有する基材と、
(ii) 前記基材に含浸されるか又は前記基材上にコートされる反応性物質であって、ほぼ湿気無しの条件で維持されるときには安定を保ち、十分な湿気に晒されたときには硬化して硬くて自己保持的な構造を形成する反応性物質と、
(iii) 柔らかく、柔軟性があり、保護的で、水および空気の浸透自在なパッドであって、当該パッドに接触する前記基材の第1及び第2側面の両方を連続的に覆い、当該医用素材の使用時に前記基材と患者の皮膚との間にクッション性のバリヤーを提供するパッドと、
を備えてなる、請求項1に記載の医療用包帯製品。
【請求項8】
前記医療用包帯製品はコイル形状である、請求項7に記載の医療用包帯製品。
【請求項9】
前記医用素材は、細長く延びたスリーブ内に配置されて、スリーブと同様に延びる連続体を形成し、前記医用素材を中に内包した前記スリーブは、ロール状に巻かれてコイルをなしている、請求項7に記載の医療用包帯製品。
【請求項10】
前記包装材は、細長く延びたチューブ状の部材を備え、
前記医用素材は、前記チューブ状の部材とほぼ同じ長さを持ち、前記チューブ状の部材内で延びる単一層の形態で配置されている、請求項1に記載の医療用包帯製品。
【請求項11】
前記包装材は、再シール可能な供給用開口を有するバッグを備え、
前記医用素材は、前記供給用開口から医療上適切な長さで供給されるべく、前記バッグの中にロール形態で配置されている、請求項1に記載の医療用包帯製品。
【請求項12】
医療用包帯製品であって、
(a)湿気不浸透性の素材から作られた柔軟な包装材と、
(b)ほぼ湿気無しの条件下で前記包装材内に配置され、且つ湿気の侵入に対してシールされている医用素材と、
(c)前記包装材およびその内部に配置された医用素材が含まれる供給用の箱と、
を備え、
前記供給用の箱は、
(i) 前記医用素材が前記包装材の開口を介して取り出されるときに通過する当該箱における開口部と、
(ii) 当該箱の開口部を越えて医用素材を持たない包装材を受領すべく、開口部に隣接して箱によって支持された概してS字形状のシール部材と、
(iii) 前記箱の開口部を閉じる閉じ位置と、医用素材の移動を許容する開き位置との間で回動するべく当該箱と一体的に形成された蓋片と、を備え、
前記蓋片は、当該蓋片の自由端に形成されたほぼ直角なタブであって、医用素材を持たない包装材に押し付けられると共にその包装材を前記S字形状のシール部材内に押し込んで、前記包装材内への湿気の侵入に抵抗するシールを形成する折り畳まれたシール部位を有する2倍厚の柔軟な包装材を形成するタブを含んでなる、
ことを特徴とする医療用包帯製品。
【請求項13】
湿気硬化性の医用素材を供給すると共に、該医用素材を湿気の侵入に対抗して再シールする方法であって、
(a)湿気の侵入を防ぐべくシール可能な細長く延びたスリーブを備えた湿気不浸透性の製品包装材を提供する工程と、
(b)前記スリーブ内に配置される細長く延びた医用素材を提供する工程と、
(c)前記スリーブ内の医用素材を使用時まで湿気の侵入からシールする工程と、
ここで、前記医用素材は、
(i) 基材と、
(ii) 前記基材に含浸されるか又は前記基材上にコートされる反応性物質であって、ほぼ湿気無しの条件下で維持されるときには安定を保ち、十分な湿気に晒されたときには硬化して硬くて自己保持的な構造を形成する反応性物質と、
(iii) 柔らかく、柔軟性があり、保護的なラッピングであって、前記基材をその長さに沿って包み込み、当該医用素材の使用時に前記基材と患者の皮膚との間にクッション性のバリヤーを提供するラッピングと、を備えてなることと、
(d)前記スリーブおよびその内部に配置された医用素材が含まれることになる供給用の箱を提供する工程と、
ここで、前記供給用の箱は、
(i) 前記医用素材が前記包装材の開口を介して取り出されるときに通過する当該箱における開口部と、
(ii) 横方向に展開する開口を有していると共に、医用素材を持たない包装材を当該箱の開口部を越えて受領すべく開口部に隣接して箱によって支持されたシール部材と、
(iii) 医用素材を持たない包装材に押し付けられて、折り畳まれたシール部位を有する2倍厚の包装材を形成するタブと、を含んでなることと、
(e)医療的に適切な長さの医用素材を供給する工程と、
(f)医用素材を持たないスリーブに対し前記タブを押し付けると共に、前記シール部材の横方向に展開する開口内に前記タブを進入させて、前記スリーブ内への湿気の侵入に抵抗するシールを形成する折り畳まれたシール部位を有する2倍厚のスリーブを形成する工程と、を備えてなる方法。
【請求項14】
前記包帯製品をロール巻きしてコイルにし、供給のために当該包帯製品の端が前記スリーブに配置された状態で前記コイルを製品保管パッケージ内に置く工程を更に備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
連続体として前記スリーブに前記医用素材を挿入し、内部に包帯製品を有したスリーブをロール巻きしてコイルにし、当該コイルを外箱に入れる工程を更に備える、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記シール部材は、前記医用素材が取り出される前記外箱の開口に隣接して前記外箱の開口縁に押圧にて取り付けられるよう配置された概してS字形状のクリップを備えてなる、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−540158(P2010−540158A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527927(P2010−527927)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/080570
【国際公開番号】WO2009/045220
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(501356226)ビーエスエヌ メディカル,インク. (17)
【Fターム(参考)】