説明

医療用の生分解性ドレイン

本発明は、一般に医療器具に関する。より特に、本発明は、人間、又は動物の身体の空洞又は他の部分から流体(液体、粘着性の物質及び/又はガス)を排液するためのドレインとして使用される、管の形状の装置に関する。本発明に従って、ドレインが提供され、人間又は動物の空洞を排液するのに適し、該ドレインは合成であり、生分解性の物質、好ましくは生分解性ポリマーを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に医療器具に関する。より特に、本発明は、人間、又は動物の身体の空洞又は他の部分から流体(液体、粘着性の物質及び/又はガス)を排液するためのドレインとして使用される、管の形状の装置に関する。
【0002】
人間および獣医学の両方で、炎症状態の結果生じ得る膿又は他の物質を放出するために空洞にアクセスすることが多くの場合望ましい。これは、例えば (慢性)副鼻腔炎又は中耳の炎症状態の場合、事実である。
【0003】
慢性の副鼻腔炎症は治療することが困難であり得る、なぜなら部分的には、疾病のすべての局面を扱うために、治療が、複数の専門家に統合された努力を要求し得るからである。慢性の副鼻腔炎は、バクテリア性慢性副鼻腔炎および非感染性慢性副鼻腔炎に分類することができる。両者は異なる医療オプションを有する。非感染の慢性の副鼻腔炎を持つ多くの人々は、局所的に又は経口的に投与されたステロイド又は鼻の洗浄処理に反応する。
【0004】
副鼻腔炎の厳しさによって、考慮するべきいくつかの処置、例えば抗生物質および副鼻腔手術がある。副鼻腔手術は一般に医師が副鼻腔炎状態を取り除くべき防御の最後のラインある。この種の手術では、鼻腔への自然な開口部が拡大される。その方法は、粘液の正常なフローを回復させる目的で、閉塞のエリアの除去を含む。
【0005】
不運にも、新しく造られた開口部又は副鼻腔(sinus)と鼻腔(nasal cavity)の結合部は、再び狭くなる(再発狭窄する(restenose))傾向を有し、再診療を必要とする。したがって、副鼻腔−鼻腔ステント、ドレイン又はカニューレが、排膿処置の結果をさらに改善するために開発されている。米国特許第4737141号は、上顎の空洞に人工的に作成された開口部にドレインを置くことにより、一時的な耐生物性のプラスチックドレインで上顎洞を排液する方法を開示するが、該方法は空洞の多重洗浄による古典的処置の改良である。
【0006】
しかしながら、現在利用可能なドレインの欠点は、やがてそれらは除去される必要があるということである。これらのドレインの除去は、新しい排液の経路を損傷し、再び閉塞を起こし得る。さらに、その処置は時間がかかり、そして患者にとって不快である。
【0007】
大部分の患者において、従来技術のドレインは、除去される前の短時間の間のみ、適所に置いておかれる。しかしながら、患者によっては、より長い期間の間、ドレインを残すことが望ましい場合がある。なぜなら空洞、周囲の組織又は解剖学的構造は、癒えるためにより多くの時間を必要とするからである。公知の鼻排液チューブは、空洞を排液するために、6月以上もの間適所に残されておかれる可能性がある。
【0008】
これらの公知のドレインを長期間の残しておくことは、合併症をもたらし得る。
公知のドレインに使用された材料(通常プラスチック)は、刺激を引き起こし得るが、炎症反応をもまた引き起こし得る。炎症反応は瘢痕組織の形成をもたらし得、特にこれが空洞の自然な排液経路において起きるとき、それ自身処置を必要とする。更に、これらの装置の除去は機械的強度のために、周囲の組織を損傷し、新しく形成された組織が装置に堅く付いてしまったために、組織が装置に付着して成長し、従ってそれを自由に引くことは組織を破損し得る可能性もある。
【0009】
空洞から流体またはガスを排出することにおける適用とは別に、ドレインは、器官又は組織から流体又は粘着性の物質を排出するためにもまた適用され得る。
外科的に手術された領域では、組織液を排出するために数日間、ドレインが残される。また、器官の排液が自然の経路を経て排出され得ないならば、その器官に直接ドレインが適用され得る。時々、ドレインは、遮断又は閉塞されるので、除去又は交換されなければならない。特にドレインがより長い期間適用されなければならないとき、身体の中で固定される可能性があり、患者の不快感及び危険なしでの除去を非常に困難、又は不可能にさえする。
【0010】
大腸および食道における病気、例えば炎症、癌腫、憩室炎、穿孔等は、しばしば腸区域の切除を必要とする。切除の後に、腸の中心に近くのセクション及び遠いセクションは再度接続され、その手術は吻合として公知である。吻合部劣開又は漏出は、中間かより低い直腸の中での結腸直腸吻合又は食道中の吻合に関連した重要な問題のうちの1つである。一時的な人工肛門は、腸の治療に時間を与えることにより漏出の危険を縮小するために置かれ得るが、それの構築および閉鎖は、高い罹患率(morbidity)及び死亡率(mortality)と関連する。一時的な人工肛門を置く代わりに、保護的なドレインが腸の内面として置かれ得、腸の内容物による汚染から傷および体腔の内部を保護し、かつ傷の治療を促進する。そうすれば腸又は食道の内容物(それぞれ糞便又は食物)は、自然な方法で排泄し得る。
【背景技術】
【0011】
米国特許出願公開第4719916号および米国特許出願公開第4905693号は、薄い壁のラテックス又はシラスチックのチューブの小腸内バイパス移植を開示する。それは、食物及び/又は糞便との接触から腸の粘膜を保護するための内張りとして置かれる。移植物は、粘膜にステープルで留められるか縫合され、一定の期間の後、自然に身体から排泄される。欠点は、移植物の消滅はX線によって証明されなければならないことである。ポリグリコール酸から作られた生分解性の環が、縫合がない吻合を作るために使用されてきた。この環の使用は様々な刊行物、中でもドイツ国特許出願公開第4042248号に記載され、「Valtrac(商標)」の名前で市販入手可能である。しかしながら、グリコール酸の速い分解は厳しい組織反応を引き起こし得る。更に、環は脆く堅く、内腔の再狭窄を引き起こす可能性があり、その結果自然な蠕動運動が中止される。
【0012】
米国特許出願公開第5129889号は、麻酔剤の繰り返された注入又は連続的な注入のために使用される、合成の生分解性ポリマーで作られていた硬膜外のカテーテルについて記載する。カテーテルは排出機能を有しない。
それは、カテーテルに適切な物質として、環状モノマー、例えばジオキサノン及びカプロラクトンのホモポリマー;ポリアクチド;ポリグリコリド;ポリグリコリド及びラクチドの共重合体;環状モノマー、例えばε−カプロラクトン及びグリコリド又はラクチドの共重合体を挙げている。しかし、米国特許出願公開第5129889号には、そのようなポリマーの適切な組成物についての情報はない。
【0013】
米国特許出願公開第5201724号は、非生分解性の従来の柔軟な材料、例えばNR、PVC、PU、PTFEおよびシリコーンゴムのチューブから成る、肉体の流体、特に尿用のカテーテルについて記載する。従来の材料のこの支持チューブに、生分解性の材料の層が施与され、該物質は尿の流動体において加水分解して、酸性分解生成物を与える。米国特許出願公開第5201724号において言及された生分解性の物質はポリラクチド、ポリグリコリド、及びポリブチレートである。この公知のカテーテルは、カテーテルの次の除去に関連する前述の問題を解決しない。
【0014】
米国特許出願公開第4650488号は、耳換気チューブとして、および中耳から中耳炎を排出するために有用な生分解性の物質から形成された人工器官を開示する。これらの公知の人工器官は少なくともある構造的完全性を保持することができる。
【0015】
装置は例えばポリ(DL−ラクチド)、ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)又はポリ(カプロラクトン)に基づく。ポリマーは、身体条件で堅い物質を与えるモノマー組成を有する。
【0016】
米国特許出願公開第2593980号(1952年)は、人間のシステムによって吸収可能であり、1つの末端に複数の打ち抜き穴を備えられた手術の排液チューブを開示する。それは、空洞の排液のために特異的に使用されるわけではないが、該ドレインは、例えば口から胃の中へ挿入され得ることが述べられている。該生分解性物質は、好ましくは天然物(コラーゲン)である腸線である。
【0017】
自然源から由来する生分解性の物質、例えばタイプIのコラーゲン、ヒアルロン酸誘導体、多糖類及びキトサンが様々な医療用途において使用されてきた。これらのバイオ材料はいくつかの欠点、例えば、天然ポリマーの性質は制御することが困難である;バッチごとに変種を有し得る;及び一般的に合成物質より高価である、を有する。また、自然源、特に動物起源の生分解性物質は、その使用に関連する生物学的な危険性のために使用することが好まれない。合成物質は通常これらの欠点を被らない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、予定された治療目的を遂行するために、処方された臨床に適する期間の間、身体、又は空洞開口部において可撓性があり機能を営むことができる、新しい、一時的ドレインに対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
これは、哺乳類の体温(人間の場合、一般的に37℃である)以下の相転移温度を有する生分解性の合成物質から作られたドレインを提供することにより、得られ得ることが見出された。即ち、本発明は、人間又は動物の空洞、器官、又は組織を排液するのに適切なドレインにおいて、生分解性の合成物質を含むことを特徴とするドレインに関する。生分解性物質は、好ましくは生分解性の合成ポリマーである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本明細書においてドレインはチューブとして定義され、場合により打ち抜き穴(特に孔)を有していてもよく、該ドレインは、自然な身体の開口部、又は空洞、又は器官、又は組織の壁に人工的に作成された開口部によって空洞、器官又は組織に入れられる。本明細書において「空洞」は、内腔でもまたあり得る、自然に発生する身体の空洞として定義される。ドレインの機能は流体(例えば、液体、粘着性の物質及び/又はガス)を運ぶことである。ドレインは、ステントが狭窄または閉塞の場合に内腔の壁(例えば血管又は尿管通路において)を機械的に支えるために使用される点においてステントとは異なる。ステントは放射状の応力に耐えることができるような様式で設計されている。ステントは、身体条件において非弾性的でなければならず、したがって特定の強さおよび硬さを備えた物質から構成されていなければならない。これらの機械的性質は、ドレイン(それらは好ましくは可撓性があり弾性がある)の性質とは異なる。また、ドレインは一般に内腔壁を支える必要がないので、弾力はステントより低くてもよい。ステントは通常、内腔に置かれ、身体中の正常な液体の輸送(例えば血液循環又は腎臓から膀胱までの尿輸送)を補助する。ドレインは、一般に空洞、器官、又は組織から身体の外の環境まで、又は身体の中の別の場所まで体液を運ぶ、身体中の自然のチャンネルを補助する。ドレインは、身体の中の人工チャンネルとしてもまた作動し得る。また、その分解挙動に関して、本発明のドレインは生分解性のステントとは異なる。生分解性ステントの分解は、通常内核から外部の層へ始まり継続する。ステントが血管に適用される場合特に、部分的に分解された物質の分解物が管の内側に放出されないことが非常に重要である、なぜならこれは、身体中にこれらの分解物の移動をもたらし得、そのことは危険だからである。しかし、本発明に従うドレインにおいては、分解は外側で、又は大部分において、場合により排液される流体の影響下で、始まり、伝播する。もし分解が起きると、これは一般的にいかなる問題も提供しない、なぜならこれらの分解物は、なんらの害を及ぼさない場所(例えば環境又は口の空洞)まで輸送されるからである。分解は利点ですらあり得る、なぜならバイオ材料の分解物は、ドレインがその機能を完了した後、身体によって必ずしも再吸収されずに、身体から出て行くことができるからである。
【0021】
本発明のドレインは本質的に円筒状であり得(すなわち一定の断面積を有する)、又は、その断面積は特定の用途に適合させるために、以下においてより詳細に記載されるように、例えばドレインにロート形状の末端を与えることにより変化し得る。本発明に従って、装置に1つの開いている末端を与え、続いて該末端がドレイン、即ち2つの開いている末端を有するチューブになるように加工されることにより、人間又は動物の身体においてインシチューで作られたドレインを提供することもまた可能である。
【0022】
合成の生分解性の物質、例えばポリマーは、身体の中での装置の一時的存在だけを要求する多くの医療用途のために使用されてきた。生分解性物質の装置は主として組織修復および薬物送達で使用される。これらの物質は、フィルム、シート、チューブ、プラグ、ピン、棒、ファイバー、靭帯、スキャフォールド、微小球、膜、などとして使用され得る。これらの製品は、中実(solid)、又は多孔性であり得、すべての種類の形を有することができる。生分解性の物質の装置は創縫合における移植組織として、創傷被覆材として、人工皮膚、又は薬物送達において使用され、そして、例えば外科的処置又は損傷後の組織の回復のために、身体の開口部を経ての挿入により粘膜組織に適用され得る。
【0023】
医療装置において使用されている、生体適合性があり、生分解性の合成物質の大部分は、環状ラクトン(の混合物)、例えばグリコリド、ラクチド、ε−カプロラクトン、パラ−ジオキサノン、トリメチレンカーボネートから合成された合成ポリエステル、及びジオール及び二塩基酸(di-acid)又はヒドロキシアルカン酸の縮合反応により合成されたポリエステルから作られた合成ポリエステルに基づく。これらのポリエステルは、そのまま、又はポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド、又は有機化合物又は無機化合物と組み合わせて使用されることができる。広い範囲の医療装置がこれまで、このタイプのバイオ材料から開発及び/又は製造されてきた。
【0024】
国際公開第03/66705号は、生分解性の神経ガイド(可撓性があり、中実のチューブである)の製造中において特定の組成を備えたDLラクチド及びε―カプロラクトンの共重合体の使用を開示する。特定のモノマー組成が、製品に最良の性能、例えば機械的強度、軟化点、及び圧縮弾性率を供給するために必要とされる。
【0025】
米国特許第6423092号は、異なるバイオ材料組成物の2つの層で作られ、内部又は外部層において異なる分解速度をもたらす身体内腔における移植のための生分解性のステントを開示する。このタイプのステントは、例えば泌尿器用途における内腔の狭窄を処置するための永久ステントに取って代わるために開発されている。
【0026】
米国特許出願公開第5085629号において、ラクチド、グリコリド及びカプロラクトンのターポリマーで作られた生分解性の尿管ステントが開示されている。
【0027】
本発明のドレインの物性(機械的、物理的、及び分解)は、以前に記載されたステント又は排液チューブの物性とは異なり、生分解性ドレインの適用にぴったりである。本発明によるドレインの特性は、好ましい実施態様の記載において、より詳細に議論される。
【0028】
合成の生分解性物質のドレインは、やがて分解され、その後、身体によって再吸収される、及び/又は排泄されるという利点を有する。これは、装置を除去するために追加的な診療が要求されないばかりでなく、除去処置に関連する有害事象及び合併症の発生率が減少されるという利点を有する。生分解性ドレインは、従来の生物学的に耐久性のある装置と設計において類似しているので、空洞の洗浄(臨床例によっては所望される場合がある)は可能なままである。
【0029】
そのような生分解性のドレインチューブの例は、肝臓からの胆汁の排液であり得る。これは、自然な胆汁分泌経路が、例えば腫瘍成長又は肝臓壊死のためにブロックされるようになった患者において要求される。
【0030】
ドレインは、ブロックされるようになるまで、使用されることができる。生分解性ドレインは生物学的に耐久性のあるドレインより長く使用することができる、なぜなら生物学的に耐久性のあるドレインは、閉塞され、身体に付着するようになる前に、除去されなければならないからである。従来の生物学的に耐久性のあるドレイン(除去されなければならず、その行為は患者にリスクと不快感を与える)とは対照的に、本発明の生分解性ドレインは、それが分解し、時間とともに吸収されるところに置かれる。もし所望されるならば、ある程度の時間の後に、前のものの機能を引き継ぐために、新しい本発明に従う生分解性のドレインが置かれ得る。
【0031】
一時的機能を有する医療機器の製造のために生分解性及び再吸収可能な物質を使用することは周知であり、一般的な方法である。短期間、及びより長期間の両方の期間、使用される時、一般に、生分解性装置の使用は、生物学的に耐久性のある装置に関連する潜在的な合併症を防ぎ得る。
【0032】
本発明は、合成の生分解性物質から構成され、特定の治療期間の後に身体か空洞開口部から容易に排泄される、空洞を排液するための装置を提供する。
【0033】
本発明の生分解性のドレインは、前頭洞炎及び上顎洞炎を処置するために使用されることができる。好ましくは、該ドレインは、それが副鼻腔穴で容易に保持されるような形状の、遠位の末端 (アンカー)を有する。ドレインは、自然な開口部を通って、又は外科的に作られた開口部を通って挿入されることができる。ドレインは例えばピンセット、ガイドワイヤー、トロカールの使用により、又は支持されずに導入されることができる。本発明の生分解性のドレインは、鼻涙管から涙液を排液するために使用され得る。
【0034】
更に、生分解性ドレインは消化管において適用され得る。そのようなドレインは自然な身体の開口部を通して、例えば外科的なホッチキスによって挿入され得、そして続いてステープルで留めることにより組織に固定され得る。
【0035】
本発明の生分解性のドレインは、鼻涙管から涙液を排液するために使用され得る。本発明は、生分解性の合成重合体状物質で作られたドレインを提供し、該ドレインは、周囲の組織に治癒する時間を与えるような速度で、空洞又は内腔の開口部を維持しながら、そして分解するときに周囲の組織を損傷することなく分解する。この生体適合性があり生分解性の排液装置の分解生成物は、消化チャンネル、身体又は空洞の開口部のいずれか経由で取り除かれるか、又は身体に吸収され、代謝され、及び/又は分泌される。
【0036】
本発明に従うドレインは、様々な空洞又は器官を排液するのに使用されるための適切なサイズ(外径:0.5〜50mm、3〜300mmの全長、0.05〜5.0mmの壁厚)の円筒状のチューブ(ドレイン)を含む。図1に示されるように、ドレインは、鼻涙管として適用される、十分な長さおよび直径の、中空チューブであり得、一時的に涙液を排液し、その後、チューブは分解し、元の鼻涙管がその機能を引き継ぐ。直線の管組織は、一般に、鼻涙管の場合のように、特別のチューブ設計による解剖学上の位置における固定がそれほど重要でないところで、空洞または器官を排液するのにふさわしい。腸管におけるドレインの適用では、組織にドレインが縫合されるか又はステープルで留められることが好ましい。
【0037】
図2は、チューブの片端に漏斗6が供給されている、本発明に従う、前頭洞ドレインとして使用され得るドレインを示す。該ドレインは、壁厚1、内径2、チューブ外径7、チューブ長さ3、漏斗長さ4および漏斗直径5によって特徴づけられる。漏斗は、空洞におけるチューブの固定を確実にする。この漏斗の形状はこの目的のために使用された従来の形、例えば米国特許出願公開第4737141号に記述された「スプリットエンド」タイプの錨泊に対して非常に好ましい。これらの従来の錨泊手段が、よどんだ流体が集まり、それが今度は微生物学的な活動の源を形成し、それはさらなる合併症に繋がり得る死角又は容積をもたらすことが見出されていた。本発明によれば、錨泊手段、例えば図2の中で描かれた漏斗の形状に、滑らかで連続的な表面を与えることが可能であり、そうすることによりこれらの問題が回避され得る。
【0038】
典型的には、図2のチューブは、前頭洞炎及び/又は上顎洞炎の排液のために使用され得る。装置は1の部分品から合成され得る。漏斗のサイズは内径において3〜30mm、長さにおいて2〜20mmで変動し得る。図1のチューブの場合のように、円筒状の部分の寸法は互いに関係する。
【0039】
本発明の別の実施態様が図3において見られる。2つのフランジ(各側に1つ)を備えた単一部品の円筒状のチューブである。可能な用途は中耳の排液であるが、これに制限されない。チューブは、中耳を排液することを意図され、鼓膜に置かれる。チューブは該膜に人工的に作られた穴に入れられる。
【0040】
ドレインの寸法、図1〜3のドレインの部分の相対的な寸法は、多くの要因、例えば患者の身体的構造および外科的処置のタイプに依存する。
【0041】
本発明に従って、ドレインは合成の生分解性物質から作られる。生分解性の物質は、身体によって完全に再吸収され得、又は物質の分解によって分解し得る。分解物は消化チャンネルを経て、又は空洞開口部を経て除去される。
【0042】
より好ましい実施態様においては、生分解性物質は合成ポリマーである。重合体状の物質は熱可塑性の線形のポリマー、又は(プレ)ポリマーの架橋によって得られ得る熱硬化性のポリマーであり得る。本発明のドレインの製造のために適用することができる、合成の生分解性ポリマーの例は、ポリエステル、ポリヒドロキシ酸、ポリラクトン、ポリエーテルエステル、ポリカーボネート、ポリジオキサノン、ポリ酸無水物、ポリウレタン、ポリエステル(エーテル)ウレタン、ポリウレタン尿素、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリアミノ酸、ポリリン酸エステルおよびポリホスファゼンに基づく。重合体状の物質は、共重合体又は架橋されたポリマーの異なるビルディングブロックとして、又は2つ以上の(共)重合体の混合物として、上記の成分の混合物から構成されていてもよい。これらのポリマーと有機、及び無機化合物(例えば放射線不透過のフィラー)との複合物もまた可能である。さらに、該ポリマーは、薬品成分、例えば抗生物質、抗炎症剤、麻酔薬、蛋白質およびさらに多くの薬品を与えられ得る。薬品成分をポリマー溶液と混合し、その後溶媒が気化、及び/又は凍結乾燥されることにより、ポリマーは該成分を与えられ得る。混合は好ましくはチュラックス(turrax)ホモジェナイザーで行われる。
【0043】
明らかに、可能性は上述されたポリマーに制限されないが、合成品であり、生分解性であり、生体適合性があり、所望される機械的特性、物理化学的な特性および分解特性を所有する限り、他の物質が使用され得る。ポリマーが好ましい物質である、なぜならポリマーに対して適正な合成条件を選択することにより、所望される性質(例えば分解挙動及び機械的特質)を有するドレインの設計を可能にするからである。
【0044】
本発明によるドレイン用に使用される好ましい生分解性のポリマーは、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ酸無水物ポリウレタン、及び/又はポリアミドに基づく、即ち好ましい生分解性のポリマーは、エステル(-C(O)―O―)、カーボネート(―OC(O)―O―)、酸無水物(-C(O)-OC(O)-)、ウレタン(―NHC(O)―O―)、及び/又はアミド(―NHC(O) ―)基を含む。これらのポリマーは、通常、エステル、カーボネート又は酸無水物結合の加水分解により分解する。酵素又は他の生化学的に活性な合成物はこの加水分解的分裂およびウレタンとアミド結合の分裂を促進し得る。ポリマーの分解速度は、モノマーの含有量および組合せを選ぶことにより調節され得る。
【0045】
ウレタン及びアミド基は、ポリエステル、ポリカーボネート又はポリ酸無水物基の1つ以上と組み合わせて通常存在する。ウレタンまたはアミド基の存在しないポリエステル、ポリカーボネート又はポリ酸無水物は、ホモポリマーまたは共重合体であり得る。共重合体はランダム共重合体又はブロック共重合体又はセグメント化された共重合体であり得る。
【0046】
生分解性のポリマーが相分離された形態(phase separated morphology)を有する場合、第1のブロックは、上に言及されたポリエステル、ポリカーボネート及び/又はポリ酸無水物に基づく。この第1のブロックは「ソフト」ブロックともまた呼ばれ、生理学の条件における哺乳類の体温より下のガラス転移温度を有するアモルファスである。他方(第2)のブロック又はセグメントはこれらの条件において、結晶性であるハードブロック、例えばウレタン、アミドを形成し、あるいは結晶性、又はアモルファスであり、37℃より高い相転移温度(融点又はTg)を有するポリエステル、又はポリ酸無水物を含む。
【0047】
生分解性のポリマーは、親水性ポリマー、例えばポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、又はポリ(ヒドロキシメチルメタクリレート)(ポリ(HEMA))と混合されることもまたできる。これは、上述された(共)重合体鎖がこれらの親水性のポリマーと、例えば得られる共重合体の主鎖又は側鎖に親水性ポリマーを取りこむことを可能にする合成条件を選択することにより、化学的に混合されることを意味する。親水性のポリマーは好ましくはポリエーテル、より好ましくはポリエチレングリコールである。他の適切なポリエーテルは、ポリテトラメチレンオキシド(PTMO)および例えばポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールの共重合体である。ポリエーテルの好ましい分子量及び量は、製品により要求される新水性に依存する。ポリエーテルは、生分解性の(プレ)ポリマーと混合することができるか、又は生分解性の(プレ)ポリマーと組み合わせたプレポリマーであることができる。
【0048】
成分の相対量は、所望される物理化学的性質、熱的性質、機械的性質、親水性、及び分解性を有する生成物が得られるような様式で選択されなければならない。
【0049】
上述の用途のためのドレインは可撓性があり、柔軟で、弾性がなければならない。これらの特性は適切な加工方法の使用により得られ得る。例えばポリマー状の繊維をコイル状のスプリング構造へと巻きつけることにより、又は繊維を編むこと又は織ること、場合により開口部を閉じるための浸漬コーティング作業が行われてもよい、によって、上述された性質を有する開いた構造のチューブが得られ得る。好ましくは、ドレインはマンドレル上でのポリマー溶液の浸漬コーティング又はスプレーコーティング、又はポリマーの押出により得られる。そうすると、固体のチューブが得られ、その後に穴あけまたは彫刻(carving)がなされ得る。
【0050】
本発明に従って哺乳類の体温(人間の場合、典型的には37℃であるが、これはより高い場合がある、例えば発熱の場合、41℃もの高さであり得る)と同じであるか又はより低い、少なくとも1つの軟化点(Tg)を有する物質を使用することによって、身体に置かれた時、適切な弾性体の特性を有するドレインが得られる。本明細書において使用される、用語軟化点(Tg)は、本明細書において、低温から上向きにスタートするDSC(示差熱走査熱量計)曲線における第1の変曲点として定義される。Tgは、生体内で適用された時;即ち水蒸気で飽和された、体温における大気と平衡状態にあるときのある物質のTgを指すことが理解されるべきである。すなわち、本発明の物質、及び該物質が哺乳類の体温以下の少なくとも1の軟化点(ガラス転移点)を有するという事実は、これらの身体条件において適用されるとき、これらの物質が可撓性があり、好ましくは弾性もあるという事実により反映される。あるいは、(生体外)DSC測定は、哺乳類体温において、該物質が、水で飽和されている大気と平衡状態に達する(典型的に、これには数分〜1時間以上、例えば5分又は30分〜2時間、又は1日さえ、かかる)ことを可能にした後に該物質上で実行され得る。乾燥した状態において、本発明において使用される物質が哺乳類の体温より多少高いTg値を有し得る場合、すなわち、乾燥した物質がDSCに付される場合、第1の変曲点はより高い温度、例えば42℃又は50℃以上で発生し得る。しかし、生体内での適用において、乾燥した物質のTgは水の吸収の結果下がり、この最終Tgは本発明に従う、およそ体温以下であるべきである。
【0051】
エラストマーの特性のために要求される物理的な架橋は、無定形で高い分子量の共重合体の中に存在する鎖のもつれにより、又は、相分離された共重合体の場合には、37 ℃より高い融点又はガラス転移温度を備えた結晶性、又は高いTgセグメントによって、形成され得る。化学的な架橋を有する物質に基づくドレインは、プレポリマー及び架橋剤が混合され、所定の形状において反応されるとき、例えば型の中で反応させる、又は反応成分の混合物を押し出すことにより製造され得る。浸漬コーティング又はスプレーコーティング法により熱可塑性弾性体ポリマーから1つの部品としてのドレインを製造することが好ましい。浸漬コーティング法において、得られるべきドレイン形状を有し、従ってドレインの鋳型として機能するマンドレルが、ポリマーの溶液(通常有機溶媒中)に沈められる。マンドレルが該溶液から出され、溶液の層がその外側表面に付着して残る。次に溶媒は蒸発される。場合により、該操作は繰り返されて、より高い壁厚を有するドレインを得る。スプレーコーティング法においては、ポリマー溶液が回転するマンドレル上で噴霧され、その後溶媒が蒸発される。複数の層がマンドレル上で噴霧されて、所望される厚さのドレインを得る。種々の寸法を有するドレインがこのようにしてマンドレルの寸法に依存して製造され得る。ドレインの厚さは、浸漬又は噴霧サイクルの数により制御され得る。またドレインは、押出によってもまた製造され得る。この場合、ポリマーは熱的に安定であり、化学架橋を含むべきではなく、高すぎる融点又は溶融粘度を有するべきではない。
【0052】
合成ポリマーから製造された生分解性ドレインは、好ましくは可撓性のある(打ち抜き穴あり又はなしの)固体のチューブであり、弾性率は1〜120MPaの範囲である。より好ましくは、そして特に前顎洞のドレインの場合、弾性率は2〜10MPaである。ドレインは、好ましくは500〜1300%の破断時伸びにおいて2MPaより大きい引裂き強度を有し、より好ましくはドレインは5MPaより大きい引裂き強度を有する。
【0053】
すべての基準を満たすポリマー状物質は、ラクチド及びε−カプロラクトンの共重合体である。ラクチドは、L,D、又はD、L−ラクチドであり得る。ラクチド含有量は、好ましくは51〜75%である、なぜならこの組成を有する物質の膨張はほとんど、又は全くないからである。大きすぎる膨張は、内腔の閉塞へ導き、その結果排液が妨げられる。より好ましくはラクチド含有量は62〜69%であり、85/15又は15/85のL/Dを有する。ラセミのラクチドが使用される場合、共重合体の分子量は所望される機械的性質を有するチューブを得るために十分高くなければならない。物質に弾性の性質を与える物理的架橋は、分子量が十分高いときのみ存在し得る鎖のもつれにより引き起こされる。少なくとも3dl/gの固有粘度(Mwの尺度)は、その場合非常に適切である。異性体のラクチド又は1から離れたL/D比を有するラクチドの場合、物理的架橋はポリラクチド配列により得られ得る。長いL−又はD−ラクチドリッチな配列の存在は物理的架橋の量を増加させる。最大の物理的架橋は、異性体のラクチド(L又はD)で得られる。より低い分子量がその場合受け入れられる。一般的に固有粘度は1〜6dl/gを変動し得る。ドレインがその機械的性質を失い始めるまでの時間は出発の分子量に依存する。ラクチドカプロラクトン共重合体物質のドレインは、その性能を、好ましくは少なくとも1週間、より好ましくは約2〜12週間維持する。
【0054】
別の好ましい実施態様は、ポリエステル、ポリエステルーカーボネート又はポリ酸無水物を含むセグメント化された共重合体、又はブロック共重合体の使用である。好ましくはこれらのポリマーは、1つの共重合体内で、少なくとも1のTg、及び1つの融点、又は2つの別のTgを有し、そのうち、少なくとも1の転移は37℃より下で起きる。また37℃より下の1のみのTgを有する、混合された相のセグメント化された共重合体又はブロック共重合体が可能である。プレポリマーを形成するアモルファスの柔軟な相の例は、環状及び/又は非環状モノマー例えばラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、1,5−ジオキセパン−2−オン、パラージオキサノン、及び/又はヒドロキシアルカン酸に基づくものである。第2の又は「ハード」な相は、ポリ‐カプロラクトン、ポリ‐バレロラクトン、ポリ‐ラクチド、ポリ(ラクチド‐グリコリド)、ポリ‐パラ‐ジオキサノン、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリセバシン酸、又はポリ(ドデカン二酸無水物)、及びそれらの組合せを含むプレポリマーにより形成され得る。これらのプレポリマーの組合せもまた、相が混合された形態を有するセグメント化共重合体又はブロック共重合体をもたらし得る。
【0055】
このタイプの適切な相分離された共重合体は、20〜40%のラクチド含有量を有するDL−ラクチド‐カプロラクトン共重合体である。この場合、ε‐カプロラクトン含有量は結晶化するのに十分高い。結晶化の量はε‐カプロラクトンの含有量及びモノマーの分布に依存する。モノマーはランダムに分布し得るが、好ましくはポリマーは、結晶性ポリカプロラクトンのハードセグメント及びアモルファスのポリ(ラクチド‐ε‐カプロラクトン)ソフトセグメントを有するセグメント化共重合体又はブロック共重合体である。これらの相分離された共重合体の一般的な構造は、[−A−B]又はABAである。nは、セグメントA及びBが交互である場合は、−A−B−の単位の数を表す。[−A−B−]は、マルチブロックのセグメント化された共重合体のための表記であり、該共重合体においてセグメントA及びBはランダムに分布され、比A/Bは、必ずしも1に等しくない。ABAは、セグメントA及びBのトリブロック共重合体である。A及びBは、両者ともハードな相及びソフトな相を構成するセグメントであり得るが、1つの共重合体中で同じであることはできない。プレポリマーセグメントは好ましくは脂肪族ジイソシアネート、より好ましくは1,4−ブタンジイソシアネートにより結合される。ポリ‐カプロラクトンセグメントの結晶化は相分離された形態を有する共重合体を生じ、それは熱可塑性の弾性的な性質をもたらす。構造ABAを有するブロック共重合体は、脂肪族多官能性分子で鎖延長されることもまた可能である。構造[−ABA−]を有するポリマーはこうして得られる。
【0056】
この合成ルートを用いることにより、共重合体の分子配列は特定の用途に所望されるように制御され得る。この物質から作られたドレインは、その性能を数ヶ月の間、その組成に依存して保持し得る。優勢なラクチド含有量、即ち50%超を有する、(50/50)DLラクチド及びε‐カプロラクトンのランダム共重合体又はラクチド‐カプロラクトン共重合体よりよい機械的性質及び熱的性質を有する物質が得られ得る。10MPaより大きい弾性率及び5MPaより大きい引裂き強度が得られることができる。
【0057】
少なくとも2つの異なるアモルファスのプレポリマーが鎖延長されるとき、セグメント化ポリエステルのアモルファスのドレインが得られることができる。好ましいのは、1,4−ブタンジイソシアネートで鎖延長されたポリ(DL−ラクチド)及びポリ(グリコリド‐ラクチド)の組合せである。プレポリマー組成物及び比は、1つ又は2つのTgの値のいずれかを有するポリマーを得るように選択されることができる。アモルファスプレポリマーの1つはポリエチレングリコール(PEG)で開始され得る。このようにして、親水性及び分解速度は影響され得る。
【0058】
別の好ましい実施態様は、ドレインのための生分解性ポリウレタンの使用である。該ポリマーは、交互に並ぶポリエステル、ポリエーテル及び/又はポリカーボネートを含有するソフトセグメント及びウレタンのハードセグメントから構築され、相分離された構造を与える。非常に良好な機械的性質を有するポリマーがこのようにして得られ得る。好ましくはウレタンハードセグメントは均一なブロック長を有し、それは種々の鎖延長法により得られることができる。最も高い度合いの相転移を有するポリマーは、ジイソシアネート鎖延長剤でプレポリマー(開始剤がジオールである場合、ヒドロキシル停止されている)を鎖延長することにより得られうる。均一なハードセグメントを有し、かつ十分な機械的性質を有するポリマーを得るために適切であるジイソシアネート鎖延長剤は、例えばジイソシアネート末端キャップされたジオール成分であり、ジオールと2当量のジイソシアネートとの反応生成物により得られる。ジイソシアネーは好ましくは1,4−ブタンジイソシアネートである;ジオールは好ましくは線形の脂肪族ジオール、即ちそれぞれ一般的な構造、HO−(CH−OH、ただしn=2〜8、又はHO−(CHCH−O)−H、ただしn=1〜8、を有する(ポリ)エチレングリコールである。さらにより好ましくは、ジオールは、2モルのこれらの線形脂肪族ジオール又は(ポリ)エチレングリコールとジイソシアネート、好ましくは1,4−ブタンジイソシアネートとの反応生成物である(ジイソシアネートを過剰のジオールと反応させることにより得られうる)。
【0059】
相分離されたセグメント化ポリウレタンもまたジヒドロキシ停止されたプレポリマーが過剰のジイソシアネートと反応され、イソシアネートで末端キャップされたプレポリマーを生じる方法により得られ得る。次にジオール化合物又は2当量のジオールとのジイソシアネートとの反応生成物で鎖延長することは、均一なブロック長を有する、相分離されたポリウレタンを与える。ジオール化合物として、上述された線形脂肪族ジオール又は(ポリ)エチレングリコール化合物が使用され得、好ましくは上述されたこれらのジオールとジイソシアネートとの反応生成物が使用される。相分離の度合いは、第1の与えられた鎖延長法で得られるより幾分低い場合もあり得る。これは不安定なエステル基のエステル交換反応の結果である。ポリエステルのソフトセグメントはモノマー、例えばラクチド(L,D,又はL/D)、グリコリド、ε‐カプロラクトン、δ‐バレロラクトン、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、1,5−ジオキセパン‐2−オン又はパラージオキサノン(の混合物)から構築されたプレポリマーである。場合によりポリエーテルが、開始剤として又は第2のプレポリマーのいずれかとしてポリエステル又はポリカーボネートプレポリマーに添加される。好まれるポリウレタンは、ポリ(エーテル)エステルプレポリマーのソフトセグメント、及び構造−BDI−BDO−BDI−BDO−BDI−(BDIは1,4−ブタジエンジイソシアネートでありBDOは1,4−ブタンジオールである)を有するポリウレタンのハードセグメントからなる。好ましいポリエーテルは、ポリエチレングリコールである。ポリウレタンの分解速度は、初期の分子量(固有粘度により測定された)及びプレポリマーの化学組成に依存する。
【0060】
本発明のドレインは、診療、例えば結腸直腸吻合又は食道吻合と組み合わせた消化チャンネルにおける用途に例外的に適切である。このタイプの適用に対して、必要な物理化学的及び機械的性質は、好ましくは約3日〜6週間保持される。必要とされる分解性は、ポリマーの化学組成を選択することにより、本発明に従って(適用される条件下)得られ得る。結腸直腸吻合における適用に対して、本発明において使用されるポリマーは、好ましくはポリ(エーテル)−エステルウレタンである。この適用に対するプレポリマーは、好ましくはDL−ラクチド及びε‐カプロラクトンに基づき、好ましくは1500〜2300、より好ましくは2000の分子量を有し、ポリエーテル化合物と組み合わせた1,4−ブタンジオールにより開始される開環重合化により得られ得る。好ましいモノマー比は、50/50〜70/30(モル/モル)である。ポリウレタンにおけるPEG含有量は、消化管における適用の場合好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。特に、結腸直腸吻合の場合、PEG含有量は好ましくは2〜10重量%である。PEGの分子量は、好ましくは600〜1500であり、最も好ましくは1000である。2000のプレポリマーの分子量を有する相分離されたポリウレタンは、30〜120MPaで変動する初期の弾性率及び10〜45MPaの引裂き強度を有し得る。破断時伸びは500〜1200%で変動する。
【0061】
ドレインの機械的性質及び分解性は、適するポリマーの物理的混合物を使用することにより容易に調節され得る。例えば、ポリウレタンは、成分の中間の性質を有する物質を与える共重合体とブレンドされ得る。好ましくはポリウレタンのソフトセグメントプレポリマーは、該共重合体と相溶性(混和性)である。DL‐ラクチド‐ε‐カプロラクトンをベースとするポリウレタンは、該共重合体及びプレポリマーソフトセグメントの混和性のために、ラクチド‐カプロラクトン共重合体と非常に良く混和する。必要な物理化学的及び機械的性質を失う前にずっと長い期間適所に保持される必要があるドレイン、例えば6〜9月の時間の間適所に置かれることを必要とする可能性のある中耳のためのドレインは、好ましくは遅い加水分解可能な基を有するポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ酸無水物、ポリアミド、又は他のポリマーから作られる。ポリエステル又はポリカーボネートのセグメントは、ゆっくり分解するモノマー、例えばε‐カプロラクトン、δ‐バレロラクトン、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、パラ‐ジオキサノンから構築されている必要がある。場合により、ポリエーテルが添加されることができる。
【実施例】
【0062】
共重合体の分析方法及び同定
他に示されない限り、以下の分析方法がすべての実施例において使用された。
【0063】
dl/gで表される固有粘度([η])は、Ubbelohde粘度計を用いて25℃においてクロロホルム中で測定された(ISO基準1628−1に従って)。
【0064】
モノマー転化率及び共重合体組成は、重水素化クロロホルム中の溶液で300MHzにおけるH−NMRを用いて測定された。
【0065】
ポリマーの熱的性質は、TAインストルメンツ社のQ1000MDSCを用いて測定された。5〜10mgの試料が毎分10℃の速度で加熱され、毎分20℃の速度で冷却され、再び毎分10℃の速度で加熱された。鎖延長剤(BDOBDIBDO)の純度及び融点は、ASTM E−928に従って測定された。計算は、TAインストルメンツ社のユニバーサル分析プログラム(3.4C)で行われる。
【0066】
モノマー及びガラス器具の精製及び/又は乾燥は、以前に公表された方法に従って行われ、所望される性質を有するポリマーを得るために十分であった。
【0067】
ドレインの機械的性質の測定
まっすぐな管状ドレインの応力歪挙動は、インストロンの4301引裂き試験機で決定された。チューブは、室温において10mm/分のクロスヘッド速度において測定された。最終的な引裂き強度、破断時伸び、及び初期弾性率がこれらの測定から決定された。
【0068】
実施例1:65:35(85:15)のL/Dのラクチド‐ε‐カプロラクトンの製造
DL−ラクチド及びL−ラクチド(比70:30)(Purac、オランダ)が、窒素雰囲気下、反応器に導入され、真空下、45℃において少なくとも8時間乾燥された。ε‐カプロラクトン(アクロス、ベルギー)がCaH上で乾燥され、窒素雰囲気下、減圧で蒸留された。
【0069】
ガラスアンプルが、テフロンシート(fluortec)で内側が覆われ、一晩オーブン中で乾燥された。ε‐カプロラクトンは62/38モル/モル(ラクチド/ε‐カプロラクトン)のモノマー比で容器中のラクチドに添加された。触媒がモノマー1モル当たり1×10-4モルの触媒量で添加された。120℃における20分の均一化の後、混合物は窒素気流下ガラスアンプルに注がれ、その後該アンプルは栓で閉じられた。該アンプルは110℃において312時間(13日)おかれた。固有粘度は6.2dl/gであった。モノマー転化率は95%であった。ポリマー中のラクチド含有量(NMRにより計算された)は、65%であった。ガラス転移点は14.6℃であった。
【0070】
実施例2:ポリ(DL−ラクチド‐ε‐カプロラクトン)プレポリマー(Mn=2000)
プレポリマーは、適切な量の、開始剤としての1,4−ブタンジオール及び触媒としてのオクタン酸スズ(stannous octoate)を用いて50/50(モル/モル)比における、ε‐カプロラクトン及び(50/50)DLラクチドの開環重合化により製造された。130℃において5日間の反応後、H−NMRは完璧なモノマー転化を示した。
【0071】
実施例3:ε‐カプロラクトンプレポリマー(Mn=2000,3000及び4000)
プレポリマーは、適切な量の、開始剤としての1,4−ブタンジオール及び触媒としてのオクタン酸スズを用いて、ε‐カプロラクトンの開環重合化により製造された。130℃において5日間の反応後、H−NMRは完璧なモノマー転化を示した。
【0072】
実施例4:13重量%のPEG1000を含むポリ(DL−ラクチド‐ε‐カプロラクトン)プレポリマー(Mn=2000)
プレポリマーは、適切な量の、開始剤としての1,4−ブタンジオール及びPEG1000、及び触媒としてのオクタン酸スズを用いて、65/35(モル/モル)比における(50/50)DLラクチド及びε‐カプロラクトンの開環重合化により合成された。130℃において8日間における反応後、H−NMRは完璧なモノマー転化を示した。
【0073】
実施例5:ランダムに分布されたセグメントを有する、セグメント化されたコポリエステルの合成:P(CL−DLLA):ポリ(カプロラクトン‐DL−ラクチド)
実施例3のMn=2000,3000、又は4000を有するポリカプロラクトンプレポリマー及び実施例2のDL−ラクチド‐ε‐カプロラクトン(50:50)プレポリマーが、窒素導入口及びメカニカルスターラーを供給されたガラスアンプルの中へ量りいれられた。1当量の1,4−ブタンジイソシアネート(バイエル、減圧で蒸留された)が添加された。アンプルの内容物は、素早く65℃に加熱され、それから機械的に15分間攪拌された。混合物が粘稠になるにつれ、温度は80℃に上げられた。混合物が粘稠になりすぎたとき、攪拌は止められ、加熱は最大24時間続けられた。
【0074】
アンプルは室温に冷却され、内容物はポリマーをクロロホルムに溶解させることにより単離された。溶液は濾過され、ペトリ皿に注がれた。溶媒は蒸発され、その後、ポリマーフィルムは40℃において真空オーブンにおいて乾燥された。もう1つの方法において、ポリマー溶液は、エタノール又は他の適切な有機溶媒中で沈殿され、その後、ポリマーは単離され乾燥された。
【0075】
ポリマーの組成はH−NMRにより決定される。固有粘度は1〜4dl/gで変化した。共重合体のガラス転移温度は−14℃〜−27℃で変化した;結晶相の融解温度は39℃〜60℃であった。一般的にεカプロラクトン含有量及びεカプロラクトンプレポリマーの長さが高いほど、融解温度及びエネルギーが高い。表1にいくつかのセグメント化されたポリエステルの熱的性質が示される。これらの特定の共重合体の固有粘度は1.2〜2dl/gであった。
【0076】
実施例6:BDI−BDO−BDI−BDO−BDIハードセグメント及びPEG1000及びBDOで開始された(65/35)(DL−ラクチド‐ε−カプロラクトン)プレポリマーソフトセグメントを有する、10重量%PEG含有ポリウレタンの製造
実施例4の方法に従ってプレポリマーが製造された。2分子のブタンジオール(BDO)と1,4−ブタンジイソシアネート(BDI)との反応生成物が、鎖延長剤(BDO−BDI−BDO)として使用された。製造は、国際出願PCT/NL99/00352に与えられる方法に従って行われた。鎖延長剤は次に精製され、少なくとも97%の純度が得られた。鎖延長剤の融点は98℃であった。
【0077】
ポリウレタン製造の最初の段階において、ヒドロキシル停止されたプレポリマーが機械的攪拌下、5〜6倍過剰の1,4−ブタンジイソシアネートでエンドキャップされた。60℃において4時間の反応後、過剰のBDIは減圧下、蒸留により除去された。
【0078】
重合化の次の工程で、マクロジイソシアネートは、1,4−ジオキサンを溶媒として用いて(40%重量/重量)、BDO−BDI−BDO鎖延長剤で65℃において鎖延長された。鎖延長剤は、少量ずつよく攪拌されたプレポリマー溶液に添加された。溶液がより粘稠になったとき、混合物は少量のジオキサンで希釈された。粘度がもう大きくならないとき、溶液は所望される濃度にジオキサンで希釈された。ポリマー溶液は凍結され、その後、凍結乾燥された。溶液は水中又は有機溶媒中で沈殿されることもまたでき、あるいは蒸留により濃縮されて真空で乾燥されることもまたできる。得られたポリウレタンは、1.1dl/gの固有粘度を有していた。得られたポリウレタンは実施例7及び10の方法に従ってドレインに加工され得る。
【0079】
実施例7:浸漬コーティング技術による図1,2に従うドレインの製造。
一般的な方法:
まっすぐな管の形状のマンドレル、又は一端にロート形を有するマンドレルをこの溶液で浸漬コーティングし、図1及び2のドレインの寸法及び形をドレインに与えることにより、クロロホルム又は他の有機溶媒中のポリマー溶液からドレインが製造された。浸漬後、マンドレルは水平に置かれ、溶媒は回転しながら5分間蒸発するに任された。所望される厚さが得られるまでこの手順が繰り返された。共重合体層を有するマンドレルがまずエタノール、その後蒸留水中に入れられた。チューブはマンドレルから外され、適切なサイズに切断された。それらはエタノールに入れられ、続いて40℃において真空乾燥され、すべてのモノマー及び低分子量残渣及び有機溶媒を除去した。
【0080】
実施例8:
65:35(85/15)のL/Dのラクチド‐ε‐カプロラクトン共重合体の製造
実施例1の共重合体のドレインが実施例7の一般的な方法に従って製造された。30mmの真っ直ぐな管(ロートなし)の部分の機械的性質が測定された:初期弾性率は2.9MPaであった。400%歪における応力は3.3MPaであった。破断時応力は20MPaであり、破断時歪みは750%であった。
【0081】
実施例9:セグメント化されたポリエステルからのドレインの製造
実施例5のマルチブロックセグメント化された共重合体ポリ‐カプロラクトン(種々のε‐カプロラクトン/ラクチドの比及び様々なプレポリマーの長さを有するポリーカプロラクトン及びポリ−(50/50)ラクチド‐ε‐カプロラクトンプレポリマーから構築されたポリエステル)のドレインが実施例7の一般的方法に従って製造された。種々の組成を有するチューブの熱的及び機械的性質が測定された。結果はそれぞれ表1及び2において示される:
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
実施例10:浸漬コーティングによるポリウレタンのドレインの製造
実施例6の方法に従って製造されたポリウレタン及び、PEGなしの(50/50)ポリ(DL−ラクチド‐ε‐カプロラクトン)プレポリマーを用いてドレインが、実施例7の一般的方法に従って製造された。30mmの真っ直ぐなチューブ(ロートなし)部分の機械的性質が測定された:初期弾性率は35MPaであり、400%歪における応力は16MPaであり、破断時応力は41MPaであり、破断時歪みは1000%であった。
【0085】
実施例11:スプレーコーティング技術によるポリウレタンドレインの製造
実施例6のポリウレタンのドレインがスプレーコーティング技術により製造された。ポリウレタンの4%クロロホルム溶液が、水平に回転する直径36mmのガラスマンドレルに噴霧された。ポリマー層は乾燥され、その後所望される厚さが得られるまで次の層が噴霧された。直径36mmのドレイン及び70〜150μmの壁厚が得られた。ドレインは浸漬コーティングされたドレインと似た方法によりマンドレルから外された。
【0086】
実施例12:
68:32(85:15)のL/Dのラクチド‐ε‐カプロラクトン共重合体及びDL−ラクチド‐ε‐カプロラクトンをベースとするポリウレタンのドレインの製造
実施例6の方法に従って製造された68:32(85/15)L/Dのラクチド‐カプロラクトン共重合体及び(50/50)ポリ(DL−ラクチド‐ε‐カプロラクトン)をベースとするポリウレタンのブレンドのドレインが実施例7の一般的方法に従って製造された。ポリマーの50:50(重量/重量)混合物がクロロホルムに溶解された。30mmの真っ直ぐな管(ロートなし)の部分の機械的性質が測定された:初期の弾性率は10MPaであり、400%歪における応力は6.7MPaであり、破断時応力は26MPaであり、破断時歪みは990%であった。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の直線状の生分解性ドレインを示す。
【図2−A】本発明の生分解性の前頭洞炎ドレインの例を示す。
【図2−B】本発明の生分解性の前頭洞炎ドレインの例を示す。
【図3】本発明の生分解性の耳通気孔の例を示す。
【符号の説明】
【0088】
1 壁厚
2 内径
3 チューブ長さ
4 漏斗長さ
5 漏斗直径
6 漏斗
7 チューブ外径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間又は動物の空洞、器官、又は組織を排液するのに適切なドレインにおいて、弾性があり、生体適合性があり、生分解性の合成ポリマーを含み、該ポリマーが哺乳類の体温以下の少なくとも1つの軟化点(ガラス転移温度)を有することを特徴とするドレイン。
【請求項2】
上記合成の生分解性ポリマーから基本的に全体的に構成されている、請求項1に記載のドレイン。
【請求項3】
ポリマーが37℃以下の少なくとも1の軟化点(ガラス転移温度)を有する、請求項1〜2のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項4】
生分解性ポリマーが、場合によりポリエーテル基と組み合わされていてもよいところのポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステル‐カーボネート、ポリ酸無水物、ポリウレタン及び/又はポリアミドを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項5】
ポリエステルが、ラクチドポリエステル、ε‐カプロラクトンポリエステル、グリコリドポリエステル、又はそれらの共重合体から選択され、及び/又は
ポリエーテルが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、それらの共重合体、及びポリテトラメチレンオキシド(PTMO)から選択される、請求項4に記載のドレイン。
【請求項6】
ポリエステルが、ランダムDL−ラクチド−ε−カプロラクトンコポリエステルであり、該コポリエステルが、好ましくは20〜75モル%、より好ましくは55〜70モル%、最も好ましくは62〜69%のラクチド含有量を有する、請求項5に記載のドレイン。
【請求項7】
ラクチドのL−鏡像体又はD−鏡像体の割合が、65〜95モル%、好ましくは70〜90モル%、より好ましくは約85モル%である、請求項6に記載のドレイン。
【請求項8】
ポリエステル、ポリエステル−カーボネート及び/又はポリ酸無水物が、セグメント化された共重合体又はブロック共重合体であり、該共重合体はランダムに又は交互に並ぶセグメント又はブロックを有し、異なる組成を有する少なくとも2つのブロックから構成されている、請求項4に記載のドレイン。
【請求項9】
セグメント又はブロックが相分離されたハード及びソフトセグメントであり、少なくとも2つの相転移を特徴とし、そのうちの1つが37℃より低いガラス転移温度であり、他方が37℃より高いガラス転移温度又は融解温度である、請求項8に記載のドレイン。
【請求項10】
低い温度の転移相を形成するセグメント又はブロックが、環状又は非環状のモノマーであるラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、1,5−ジオキセパン−2−オン、パラ−ジオキサノン、及び/又はヒドロキシアルカン酸(の混合物)のプレポリマーから構成されている、請求項8又は9のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項11】
共重合体又はプレポリマーが、ジオール又は二塩基酸化合物により開始される開環重合化により得られる、請求項8〜10のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項12】
セグメントを形成するプレポリマーが、二官能性脂肪族化合物、好ましくはジイソシアネート、より好ましくは1,4−ブタンジイソシアネートにより結合されている、請求項8〜11のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項13】
最も高温の相転移を有するセグメント又はブロック(ハードセグメント又はハードブロック)が、ポリ−カプロラクトン、ポリ−バレロラクトン、ポリ−ラクチド、ポリ(ラクチド−グリコリド)、ポリ−パラ−ジオキサノン、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリセバシン酸、ポリ(ドデカン二酸無水物)プレポリマー、及びそれらの混合物により形成されている、請求項9〜12のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項14】
生分解性ポリマーがポリウレタンを含み、該生分解性ポリマーは相分離された共重合体であり、該共重合体は、ポリエステル、ポリエステル−カーボネート、及び/又はポリカーボネートのソフトセグメント及び均一なブロック長を有するウレタンハードセグメントを有する、請求項4に記載のドレイン。
【請求項15】
ポリウレタンが、ジイソシアネート結合されたプレポリマー及びジオール成分により形成され、式[−A−B−C−B−]nを有し、ここでAはプレポリマー部分を表し、Bはジイソシアネート部分を表し、Cは均一なブロック長を有するジオール部分を表し、nは1より大きい整数を表すところの、請求項14に記載のドレイン。
【請求項16】
ジオール成分が、一般的な構造HO−(CH−OH、ただしn=2〜8、又はHO−(CHCH−O−CHCH−OH、ただしn=2〜8、を有する直線状の脂肪族ジオールXであるか、又はジオール(XYX)が2モルのジオール(X)と上記ジイソシアネートとの反応生成物である、請求項15に記載のドレイン。
【請求項17】
ジイソシアネートが1,4−ブタンジイソシアネートである、請求項15又は16のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項18】
プレポリマーが、環状モノマーであるラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、1,5−ジオキセパン−2−オン、及び/又はパラ−ジオキサノンのジオール又はポリエチレングリコール化合物により開始される開環重合化により形成される、請求項15〜17のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項19】
ポリエステルが、ポリ(DL−ラクチド‐ε‐カプロラクトン)であり、かつジオール化合物が2モルの1,4−ブタンジオール及び1モルの1,4−ブタンジイソシアネートの反応生成物である、請求項14〜18のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項20】
ポリエステルが、ポリ(DL−ラクチド‐ε‐カプロラクトン)であり、かつジオール化合物が2モルのジエチレングリコール及び1モルの1,4−ブタンジイソシアネートの反応生成物である、請求項14〜18のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項21】
ソフトセグメントが、プレポリマーとポリエーテルプレポリマー、好ましくはポリエチレングリコールとの組み合わせである、請求項14〜19のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項22】
ポリエチレングリコールが1500の分子量を有する、請求項21に記載のドレイン。
【請求項23】
ポリウレタンが、プレポリマー開始剤として存在するポリエチレングリコールを1〜25重量%、好ましくは5〜15%含み、ポリエステルが、ポリ(DL−ラクチド‐ε‐カプロラクトン)であり、かつジオール化合物が2モルの1,4−ブタンジオール及び1モルの1,4−ブタンジイソシアネートの反応生成物である、請求項14〜18のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項24】
ポリエチレングリコールが、1000の分子量を有する、請求項23に記載のドレイン。
【請求項25】
ポリマーが、溶液混合により得られ得るポリウレタン及びポリエステル、ポリエステルカーボネート、又はポリカーボネートを含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項26】
ポリウレタンが、DL−ラクチド‐ε‐カプロラクトンソフトセグメントプレポリマーに基づき、ポリエステルがポリ(DL−ラクチド‐ε‐カプロラクトン)共重合体である、請求項25に記載のドレイン。
【請求項27】
上記ポリマーが放射線不透過のフィラー及び/又は薬品成分、例えば抗生物質、抗炎症剤、ペプチド、たんぱく質、及びその他の薬品成分を与えられている、請求項1〜26のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項28】
打ち抜き穴を付与されている請求項1〜27のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれか1項に記載の鼻のドレイン。
【請求項30】
0.05〜5.0mmの壁厚を有する、請求項1〜29のいずれか1項に記載のドレイン、特に鼻のドレイン。
【請求項31】
3〜300mmの全長を有する、請求項1〜30のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項32】
0.5〜50mmの外径を有する、請求項1〜31のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項33】
少なくとも1の端にロート形状の構成要素を含む、請求項1〜32のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項34】
2〜20mmのロートの長さ、かつ好ましくは3〜30mmのロートの直径を有する、請求項33に記載のドレイン。
【請求項35】
マンドレル上でのポリマー溶液の浸漬コーティング又はスプレーコーティング、又はポリマーの押出により得られ得る、請求項1〜34のいずれか1項に記載のドレイン。
【請求項36】
結腸直腸吻合を行うために使用される、請求項21〜24のいずれか1項に記載のドレインを使用する方法。
【請求項37】
空洞、器官、又は組織からの体液の自然な排液の機能障害に関連する病気を治療するための方法において、請求項1〜36のいずれか1項に記載のドレインを上記空洞、器官、又は組織に導入し、上記空洞、器官、又は組織が環境、又は体内の他の場所と接続され、その後、上記ドレインは時間とともに分解し、上記ドレインの分解生成物は、消化チャンネル及び/又は上記空洞、器官、又は組織を通って除去、及び/又は吸収され、次に身体により代謝、及び/又は分泌されることを含む治療方法。
【請求項38】
上記病気が、(慢性)副鼻腔炎、中耳の炎症、肝臓疾患、消化管の疾患、涙管の疾患、外科創傷排液、及び胸部疾患から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
上記ドレインが、密封材、縫合、及びステープルの少なくとも1つを用いて上記空洞に導入される、請求項37又は38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
請求項1〜35のいずれか1項に記載のドレインを、請求項37又は38に記載された病気の治療のための医薬又はキットの製造において使用する方法。

【図1】
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【図2−A】
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【図2−B】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−504467(P2006−504467A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548171(P2004−548171)
【出願日】平成15年11月3日(2003.11.3)
【国際出願番号】PCT/NL2003/000761
【国際公開番号】WO2004/039424
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
テフロン
【出願人】(500558078)
【Fターム(参考)】