説明

医療用バルーンカテーテル

【課題】 高度に狭窄した所謂石灰化病変或いは慢性完全閉塞病変(CTO)を拡張する手技において、患部通過性能に優れ、かつ高圧拡張時におけるバルーンおよびカテーテルチューブの破裂がなく、ガイドワイヤ通過用チューブの潰れが発生することのない、安全かつ安心な医療用バルーンカテーテルを提供する事にある。
【解決手段】 非金属素線で補強されたバルーンと、先端側から基端側にかけて、第一の補強材層と、前記補強材層上の第一の樹脂外層とを備えるカテーテルチューブと、前記カテーテルチューブおよび前記バルーン内にガイドワイヤ通過用チューブが存在し、前記ガイドワイヤ通過用チューブの先端側は開口部を有し、基端側開口部にガイドワイヤポートを備え、さらに前記カテーテルチューブ基端側に前記バルーンに圧力流体を供給するポートを備えたハブを有する医療用バルーンカテーテルであって、前記ガイドワイヤ通過用チューブは、第二の補強材層と、第二の樹脂外層とを少なくとも有することを特徴とする医療用バルーンカテーテル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療用バルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
血管などの脈管において狭窄あるいは閉塞が生じた場合、脈管の狭窄部位あるいは閉塞部位を拡張して、血管抹消側への血流を改善するために行う脈管形成術(PTA:Percutaneous Transluminal Angioplasty、PTCA:Percutaneous Transluminal Coronary Angioplastyなど)は多くの医療機関において多数の述例があり、この種の症例における手技としては一般的となっている。
【0003】
バルーンカテーテルは、主に冠状動脈の狭窄部位を拡張するために、ガイドカテーテルとガイドワイヤとのセットで使用される。このバルーンカテーテルを用いた脈管形成術は、まずガイドカテーテルを大腿動脈、上腕動脈、橈骨動脈等の穿刺部位から挿入して大動脈を経て冠状動脈の入口にガイドカテーテルの先端を位置させた後、バルーンカテーテルを貫通させたガイドワイヤを冠状動脈の狭窄部位を超えて前進させ、その後バルーンカテーテルをガイドワイヤに沿って前進させ、バルーンカテーテルのバルーンを狭窄部位に位置させた状態で膨張させて狭窄部位を拡張する手順で行い、そしてバルーンを収縮させて体外に除去する。しかし、バルーンカテーテルは、動脈狭窄の治療だけに限定されず、血管の中への挿入、ならびに種々の体腔への挿入を含む多くの医療的用途に有用である。
【0004】
例えば、シャント領域のPTAでは、高度に狭窄した所謂石灰化病変或いは慢性完全閉塞病変(CTO)を拡張する場合、カテーテルチューブおよびカテーテルチューブの遠位部に設けられたバルーン、ガイドワイヤ通過用チューブは、高度狭窄部位の通過性、石灰化した狭窄部位の拡張性といった観点から、高強度かつバルーン押込み性に優れた性能が要求される。また、患部通過性能の観点から、そのバルーンプロファイル径を細径にする必要がある。特に、石灰化した非常に硬い狭窄部位を拡張するためには高い耐圧強度および患部通過性能が必要で、これまではバルーン材としてポリエチレンテレフタレート(PET)などの高強度、高弾性率材料を用いたり、バルーン膜厚を厚くしたりすることで非常に高い耐圧強度を確保してきた。同時に、カテーテルチューブは高い耐内圧強度を有し、かつガイドワイヤ通過用チューブは高圧時のチューブ潰れの対する耐外圧強度を有する必要があった。
【0005】
しかし、PETバルーンは石灰化病変との接触によりピンホール破壊を招き、血管内でバルーンが破壊した場合は血管壁に高い応力が局所的に加わり、血管壁の損傷を招く危険性が極めて高いため好ましくなく、また、バルーン膜厚を厚くすることは患部通過性能を犠牲にすることになり、その両立が難しい。さらには、バルーンを補強することで、高い耐圧強度を有するノンコンプライアントバルーンの開発なされたが、一方でバルーン高圧拡張時にカテーテルチューブの破裂、あるいはガイドワイヤ通過用チューブの潰れが発生し、ガイドワイヤが手技中にスタックすることで手技の遅延に繋がるなどの問題があった。
【0006】
特許文献1には、補強層構造がコイルで密着巻きされてなり、さらにそのコイルは順方向と逆方向に巻回してなる医療用チューブが開示されている。この開示の実施例においては、内側耐圧性能は効果があるものの、外側耐圧性能はやや物足りないため、ガイドワイヤが手技中にスタックしてしまう恐れがある。また肉厚であり、患部通過性能に劣る。バルーンの補強に対する概念がないため、高圧拡張時にバルーンが破裂する可能性も残る。
【0007】
特許文献2には、硬質プラスチック、特にポリイミドチューブを内側管状体として用いた大動脈内バルーンカテーテルが開示されている。しかしながら、この内側管状体はポリイミドチューブからなるため、細径化あるいは薄肉化することが難しく、バルーンとの接着性も良くない。
【0008】
特許文献3の構成は、内管シャフトあるいは先端シャフトに補強層がないため、バルーン高圧拡張時には先端シャフトの破裂、および内管シャフトルーメンの潰れによりガイドワイヤがスタックする可能性が高く、また、バルーンの補強に対する概念がないためバルーンが破裂する可能性が残り、さらには、先端部が比較的柔軟な構造をとるため、患部通過性能に劣る。
【0009】
特許文献4は患部通過性能に優れると考えられるが、シャフトが金属ゆえにその硬さを拭い去ることは出来ないため、血管を傷つける恐れがあり、またシャフトの一部にスリットを入れるにはコストがかかる。さらに、バルーンの補強に対する概念がないため高圧拡張時にバルーンが破裂する可能性が残り、特許文献5、特許文献6も同様の概念がなく、かかるに、いずれの文献も高圧拡張時におけるバルーン破裂、あるいはカテーテルチューブの破裂、ガイドワイヤ通過用チューブの潰れ発生の可能性が残り、かつバルーン部の剛性が比較的柔軟であるがゆえに、患部通過性能に劣る構造である。
【特許文献1】特開平7−323090号公報
【特許文献2】特開平4−132563号公報
【特許文献3】特開2001−353225号公報
【特許文献4】特開平6−114108号公報
【特許文献5】特表平6−506124公報
【特許文献6】特開平8−215312公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、高度に狭窄した所謂石灰化病変或いは慢性完全閉塞病変(CTO)を拡張する手技において、患部通過性能に優れ、かつ高圧拡張時におけるバルーンおよびカテーテルチューブの破裂がなく、ガイドワイヤ通過用チューブの潰れが発生することのない、安全かつ安心な医療用バルーンカテーテルを提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
即ち、本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)非金属素線で補強されたバルーンと、先端側から基端側にかけて、第一の補強材層と、前記補強材層上の第一の樹脂外層とを備えるカテーテルチューブと、前記カテーテルチューブおよび前記バルーン内にガイドワイヤ通過用チューブが存在し、前記ガイドワイヤ通過用チューブの先端側は開口部を有し、基端側開口部にガイドワイヤポートを備え、さらに前記カテーテルチューブ基端側に前記バルーンに圧力流体を供給するポートを備えたハブを有する医療用バルーンカテーテルであって、
前記ガイドワイヤ通過用チューブは、第二の補強材層と、第二の樹脂外層とを少なくとも有することを特徴とする医療用バルーンカテーテル。
(2)前記第一および第二の補強材層が、編組構造である前記(1)記載のバルーンカテーテル。
(3)前記カテーテルチューブが、第一の補強材層の内側に内層を有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の医療用バルーンカテーテル。
(4)前記ガイドワイヤ通過用チューブが、第二の補強材層の内側に内層を有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の医療用バルーンカテーテル。
(5)前記第一および第二の補強材素線の断面形状が、略円形および略長方形から選択され、略円形である場合は、その直径は0.008mm〜0.019mmであり、略長方形である場合は、その厚さが0.004mm〜0.020mm、幅が0.016mm〜0.080mmであり、かつ前記ガイドワイヤ通過用チューブ内腔表面積上を投影する、前記第一および第二の補強材層の割合が0.6以上であることを特徴とする前記(1)〜(4)記載の医療用バルーンカテーテル。
(6)前記第一および第二の補強材層が同じ材質の非金属線から構成される前記(1)〜(5)のいずれかに記載の医療用バルーンカテーテル。
(7)前記カテーテルチューブの内腔径に対して、前記カテーテルチューブの肉厚の割合が0.15〜0.25の間にあることを特徴とする前記(1)〜(6)記載の医療用バルーンカテーテル。
(8)前記ガイドワイヤ通過用チューブの内腔径に対する、前記ガイドワイヤー通過用チューブの肉厚の割合が0.15〜0.25の間にあることを特徴とする前記(1)〜(7)記載の医療用バルーンカテーテル。
(9)前記第一または第二の補強材層が、3500MPa以上の引張り強度を有する素線から構成される事を特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の医療用バルーンカテーテル。
(10)前記バルーンまたは、第一もしくは第二の補強材層が、13.2cN/dtex以上の引張り強度を有し、さらに溶融液晶ポリマーを内芯とし、屈曲性ポリマーを鞘とする構造の非金属線から構成されることを特徴とする、前記(1)〜(9)のいずれかに記載の医療用バルーンカテーテル。
(11)前記バルーン材および前記樹脂外層のショアD硬度は共に70D以上であることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかに記載の医療用バルーンカテーテル。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、患部通過性能に優れ、かつ高圧拡張時におけるバルーンおよびカテーテルチューブの破裂がなく、ガイドワイヤ通過用チューブの潰れが発生することのない、安全かつ安心な医療用バルーンカテーテルを提供する事が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の医療用バルーンカテーテルについて説明するが、本発明は、請求の範囲に記載された本発明の範囲を逸脱することなく、適宜変更を加える事が出来る。
【0014】
1.医療用バルーンカテーテル
本発明の医療用バルーンカテーテルは、非金属素線で補強されたバルーンと、先端側から基端側にかけて、第一の補強材層と、前記補強材層上の第一の樹脂外層とを備えるカテーテルチューブと、前記カテーテルチューブおよび前記バルーン内にガイドワイヤ通過用チューブが存在し、前記ガイドワイヤ通過用チューブの先端側は開口部を有し、基端側開口部にガイドワイヤポートを備え、さらに前記カテーテルチューブ基端側に前記バルーンに圧力流体を供給するポートを備えたハブを有する医療用バルーンカテーテルであって、
前記ガイドワイヤ通過用チューブは、第二の補強材層と、第二の樹脂外層とを少なくとも有することを特徴としている。
【0015】
この構造の為に、患部通過性能に優れ、かつ高圧拡張時におけるバルーンおよびカテーテルチューブの破裂がなく、ガイドワイヤ通過用チューブの潰れが発生することのない効果が奏される。
【0016】
2.バルーン
本発明の医療用バルーンカテーテルに用いられるバルーンは、非金属素線によって補強されたバルーンである。前記バルーンの構成材料としては、各種樹脂が使用可能であり、例えばポリアミド、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリスチレンエラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の各種エラストマー、またはこれらのうちの2種以上を組合せたもの等を好適に使用することができるが、バルーン薄膜化、柔軟性の観点から、バルーンの好適な材料として、ポリアミドエラストマーが挙げられる。
【0017】
尚、使用するバルーン材料樹脂のショアD硬度は、バルーン耐圧性および寸法安定性、患部通過性能を考慮すると少なくとも70以上であることが好ましい。
【0018】
また前記バルーンの補強材である非金属素線は、バルーン耐圧性の観点からポリアリレート繊維、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、PBO繊維、炭素繊維などの高強力、高弾性率繊維が好ましい。
【0019】
バルーンの補強構造としては、特に限定されないが、高強力、高弾性率繊維をバルーンの形状に沿うような形で編組あるいはコイル構造によって全体を覆い、さらには、バルーン高圧拡張時におけるバルーンの軸方向伸びを抑えることを目的に、バルーン軸方向に前記高強力、高弾性率繊維を沿わせる構造が好ましい。
【0020】
3.補強材層
本発明において、カテーテルチューブおよびガイドワイヤ通過用チューブは、金属素線あるいは非金属素線からなる補強材層が形成されている。この補強材層は押し込み性、耐圧性、耐キンク性、トルク伝達性を付与するなどの観点から編組構造で形成されていることが好ましい。
【0021】
編組構造の形態については、素線同士が交互に交差する1オーバー1アンダーの構造、または素線が2回おきに交差する2オーバー2アンダーの構造、素線が複数本1組として編み込まれた構造、最小8組から最大32組で編組する構造、さらにはこれらを組合せてなる構造など様々な形態があり、押し込み性、耐圧性、耐キンク性の観点からは、最良の形態として、1オーバー1アンダー、素線は1本〜6本1組の16組〜24組で構成する編組が好ましい。
【0022】
補強材層を構成する素線としては、伸び難く、引張り強度に優れる点から、金属素線、非金属素線が好適に使用できる。
【0023】
4.素線の構成
本発明に用いられる金属素線としては、ステンレス、タングステン、銅、ニッケル、チタン、ピアノ線、ゴムメタル、コバルト−クロム系合金、ニッケル−チタン系合金(超弾性合金)、銅−亜鉛系合金、アモルファス合金等の各種金属素線が用いられる。最良の形態として、加工性、毒性からの面、および高い圧力流体下における内外圧に耐え得る面から、引張り強度が3500MPa以上の高強力ステンレス、タングステン、コバルト−クロム系合金の使用が好ましい。
【0024】
また、本発明に用いられる非金属素線としては、特に限定されないが、例えば特開2005−34513号公報に開示されるような、溶融液晶ポリマーの芯に、溶融液晶ポリマーの島(鞘)と屈曲性ポリマーの海(鞘)が被覆されたもの、さらに、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレートのようなポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリオキシメチレン、高張力ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−酢酸ビニルケン化物、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド等の材料からなる繊維、ケブラーに代表される芳香族ポリアラミド繊維、これら材料のうちのいずれかを含むポリマーアロイから構成される繊維、PBO繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられ、最良の形態として、チューブが高い圧力流体下において内外圧に耐え得る面から、引張り強度が13.2cN/dtex以上の高強力、高弾性率繊維の使用が好ましい。
【0025】
金属素線、非金属素線の素線サイズとして、カテーテルチューブおよびガイドワイヤ通過用チューブにおいて、前記両チューブの内腔径を維持したまま薄肉化を実現するには、円形断面の素線の場合、直径0.008mm〜0.040mm、好ましくは0.008mm〜0.019mm、さらに好ましくは0.008mm〜0.014mmの素線が用いられる。平角素線の場合、厚さ0.004mm〜0.040mm、幅0.016mm〜0.160mm、好ましくは厚さ0.004mm〜0.020mm、幅0.016mm〜0.080mmの平角素線が用いられる。
【0026】
前記素線と前記両チューブ長さ方向の軸とがなす角度としては、チューブの単位長さあたりの編組の割合の観点から、40度〜80度の間、好ましくは、50度〜70度の間である。
【0027】
良好な耐圧性、トルク伝達性、耐キンク性の観点から、カテーテルチューブおよびガイドワイヤ通過用チューブ内腔表面積上を占有する、前記編組の割合の下限値は、耐圧性の観点から0.50、好ましくは0.60以上であり、生産性の観点から、前記上限値は1.00、好ましくは0.95である。
【0028】
なお、単糸の直径は、マイクロメータを用いるなどして測定することができる。
【0029】
5.樹脂外層
本発明において、カテーテルチューブおよびガイドワイヤ通過用チューブは、前記補強材層上に樹脂外層を有している。樹脂外層の構成材料としては、各種樹脂が使用可能であるが、例えばポリアミド、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリスチレンエラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の各種エラストマー、またはこれらのうちの2種以上を組合せたもの等を好適に使用することができる。
【0030】
ここで、ポリアミドエラストマーとは、例えば、ナイロン6、ナイロン64、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、N−アルコキシメチル変性ナイロン、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸縮重合体、メタキシロイルジアミン−アジピン酸縮重合体のような各種脂肪族または芳香族ポリアミドをハードセグメントとし、ポリエステル、ポリエーテル等のポリマーをソフトセグメントとするブロック共重合体が代表的であり、その他、前記ポリアミドと柔軟性に富む樹脂とのポリマーアロイ(ポリマーブレンド、グラフト重合、ランダム重合等)や、前記ポリアミドを可塑剤等で軟質化したもの、さらには、これらの混合物をも含む概念である。
【0031】
好適に用いられる材料としては、その加工性の観点から例えばARKEMA社製の「PEBAX」(商品名)、「RILSAN」(商品名)などがその代表として挙げられる。尚、樹脂がポリエーテルエステルアミドエラストマー、例えばPEBAX(登録商標)である場合、ポリエーテルエステルアミドエラストマー材料のショアD硬度は、通常、該ポリエーテルエステルアミドエラストマー材料のハードセグメントの重量比に比例する。従って、ポリエーテルエステルアミドエラストマーのハードセグメントの重量比を以下のように算出し、標準試料のそれと比較することによって、ショアD硬度の指標とすることも可能である。ポリエーテルエステルアミドエラストマーのハードセグメントの重量比は、H1−NMRによってポリアミド部分の重量と、エステル部分の重量と、ポリエーテル部分の重量を測定し、ポリアミド部分の重量/(ポリアミド部分の重量+エステル部分の重量+ポリエーテル部分の重量)として得られる。
【0032】
尚、使用する樹脂外層のショアD硬度は、患部通過性能を考慮すると70以上であることが好ましい。なお、本明細書にいうショアD硬度は、デュロメータタイプDでISO7619に則って測定された値である。
【0033】
6.樹脂内層
本発明において、カテーテルチューブおよびガイドワイヤ通過用チューブは樹脂内層を有していてもよい。前記樹脂内層は、管状構造を有していることが好ましく、かかる管状の断面形状や大きさとしては、その内腔にガイドワイヤあるいはガイドワイヤ通過用チューブが挿通できる程度であれば特に限定されない。
【0034】
樹脂内層の構成材料としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン等のエラストマー系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂が挙げられる。中でも、バルーン組立加工の容易さから、ポリアミド、ポリウレタン等のエラストマーで構成することが好ましい。ポリテトラフルオロエチレンを使用した際には、添加剤の乾燥等の処理を経てから、焼成を行うのが通常である。尚、ポリエチレン等の滑性の高い樹脂を用いて形成することも考えられる。
【0035】
7.製造方法
本発明の医療用バルーンカテーテルの製造方法は、特段限定されるものではないが、以下に、主たる例として図に基づいて説明する。
【0036】
まず、金属芯線を準備する。この金属芯線は、例えばリールなどに巻かれた形態で供給することができ、通常は、その外径は製造するカテーテルの内腔径とほぼ一致するものである。一方、金属芯線の材質としては特に限定されないが、金属メッキ銅線、あるいはステンレス鋼線が好ましい。
【0037】
続いて、金属芯線上に、例えば、押出機により内層用の樹脂組成物を押出被覆成形して樹脂内層を形成する。押出被覆成形の条件は、内層用の樹脂組成物の組成、金属芯線の種類に応じて適宜設定すればよい。
【0038】
続いて、樹脂内層を形成した金属芯線を編組機などにセットして、樹脂内層上に補強材層を形成する。編組機としては、公知の機械を採用することができる。
【0039】
続いて、補強材層上に樹脂外層を形成する。
【0040】
樹脂外層の形成方法は、特に限定されないが、例えば、押出し機等を用いて補強材層上に樹脂外層を押出被覆成形する方法、或いは、あらかじめ押出し成形により形成した樹脂外層用のチューブを補強材層上に被せた後に、加熱などにより樹脂外層用のチューブを収縮させて被覆する方法などが好適に使用できる。
【0041】
続いて、加熱することによりその径が縮小する性質を有する熱収縮チューブで全体を覆う。熱収縮チューブはポリテトラフルオロエチレンやパーフルオロエチレン−プロペンコポリマーなどを材質としていることが好ましい。
【0042】
ついでカテーテル全体を覆っていた熱収縮チューブを剥がし、さらには金属芯線を引き抜くことでカテーテルチューブ1あるいはガイドワイヤ通過用チューブ2とする。
【0043】
また、上記樹脂内層のない状態にて成形したチューブも同様にカテーテルチューブ1あるいはガイドワイヤ通過用チューブ2とする。かかる場合、ガイドワイヤ通過用チューブ2内面を、ガイドワイヤ摺動性向上を目的に、補強材層内面を親水性高分子物質によって親水性コーティングを施しても良い。親水性高分子物質としては、親水性であれば特に限定されないが、耐薬品性の観点からたとえば以下のような天然または合成の高分子物質、あるいはその誘導体が挙げられる。特に、セルロース系高分子物質(例えば、酢酸セルロース或いはヒドロキシプロピルセルロース)、ポリエチレンオキサイド系高分子物質(ポリエチレングリコール)、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド)、水溶性ナイロンは、低い摩擦係数が安定的に得られるので好ましい。
【0044】
続いて、補強バルーン3成形方法を示す。通常、バルーンは、押出成形によって押出された樹脂チューブを金型に配置し、二軸延伸ブロー成形することによって得られる。ここで得られるバルーンは、金型の形状によって自在に形状付けされる。一般的なバルーン形状としては、図1に示されるような、遠位テーパー部3Bと近位テーパー部3Cが円錐状で、略中間部3Aが円筒状である場合が多いが、この形状に限定されるものではない。また、バルーンは必ずしも樹脂チューブを二軸延伸ブロー成形する必要はなく、その他の製造方法によっても成形し得る。
【0045】
前記バルーンは、高強力、高弾性率繊維にてバルーンの形状に沿うような形で編組あるいはコイル構造によって全体が覆われる。その方法については特に限定されず、公知の編組機やコイリングマシンで成形され得る。好適には、耐圧性の観点から隙間が生じないほど精巧に形状付けされるのが望ましい。
【0046】
続いて、X線不透過性の金属からなるマーカ6をガイドワイヤ通過用チューブ2に配置し、前記補強バルーン3近位端を前記カテーテルチューブと共に熱溶着させ、加えて、基部端に適切な形状のハブ4を取り付けて目的とする医療用バルーンカテーテルが得られる。(図2、3、4、5)
また、本発明の医療用バルーンカテーテルは、親水性の観点から、カテーテルチューブの外側に親水性コーティングを有するのが好ましい。親水性コーティングに用いられる親水性高分子物質としては前述したものが使用可能である。
【0047】
本発明におけるカテーテルチューブおよびガイドワイヤ通過用チューブ各々において、チューブの内腔径に対する、補強材層、および樹脂外層を合わせた肉厚の割合は特に限定されないが、好ましくは0.15〜0.25の間、より好ましくは0.20〜0.25の間であることが、成形性、患部通過性能、耐キンク性、耐圧性の観点から好ましい。
【0048】
また、本発明におけるカテーテルチューブおよびガイドワイヤ通過用チューブ各々において、チューブ内腔表面積上を投影する補強材層編組の割合は0.50以上でなければならず、好適には0.60以上である。この割合が0.50より小さい場合、耐キンク性能および耐圧性能が低下する可能性がある。
【0049】
なお、前記割合を被覆率Cとした時、以下の通り計算する。編目の一つをピックと呼び、それは一本以上の素線で構成され、一つのピックに含まれる素線の数を持ち数と呼んでいる。また一周のピックの数を打ち数と呼び、これは編組機械の構造によって決まるものである。編組角θはガイドワイヤ通過用チューブの軸方向に対して形成された編組とがなす角度である。図6に編組角の概略図を示す。

C=F×(2−F)
F=(m×n×d)/(2×p×sinθ)
C:編組構造の被覆率
m:打ち数
n:持ち数
d:素線径(mm)
p:ピッチ(mm)
θ:編組角(ラジアン)
尚、本発明により成形された医療用バルーンカテーテルは、冠動脈、手足の血管、腎臓、肝臓の血管拡張に使用可能で、更に好ましくは高度に狭窄した所謂石灰化病変或いは慢性完全閉塞病変(CTO)の血管拡張に使用可能である。
【実施例】
【0050】
(実施例1)
バルーン部材として、予め二軸延伸ブロー成形されたバルーン表面上に、非金属素線としてKURARAY社製Vecry(登録商標)を用い、編組構造によって一様に補強することにより、バルーン部材を作製した。
【0051】
カテーテルチューブ部材として、金属メッキ銅線外径φ0.89mmを編組機にセットし、SUS304φ0.014mm素線を4本1組の束とし、16組の編組構造で編組による補強層を形成した。次いで、あらかじめ押出成形により成形したポリアミド材であるARKEMA社製 Rilsan(登録商標)からなるチューブショアD硬度72を編組チューブ上に被覆することにより、カテーテルチューブ部材を作製した。この時、内腔径に対するカテーテルチューブ肉厚の割合は0.20であった。
【0052】
ガイドワイヤ通過用チューブ部材として、金属メッキ銅線外径φ0.52mmを編組機にセットし、SUS304φ0.019mm素線を2本1組の束とし、16組の編組構造で編組による補強層を形成した。次いで、あらかじめ押出成形により成形したポリアミド材であるARKEMA社製 Rilsan(登録商標)からなるチューブショアD硬度72を編組チューブ上に被覆することにより、ガイドワイヤ通過用チューブ部材を作製した。この時、内腔径に対するガイドワイヤ通過用チューブ肉厚の割合は0.23であった。
【0053】
上記部材を組立て、所望の医療用バルーンカテーテルとした。
【0054】
(実施例2)
カテーテルチューブ部材として、金属メッキ銅線外径φ0.89mm上に厚さ0.015mmのPTFEを押出し被覆成形し、次いでPTFE被覆線を編組機にセットし、SUS304φ0.014mm素線を4本1組の束とし、16組の編組構造で編組による補強層を形成した。次いで、あらかじめ押出成形により成形したポリアミド材であるARKEMA社製 Rilsan(登録商標)からなるチューブショアD硬度72を編組チューブ上に被覆することにより、カテーテルチューブ部材を作製した。この時、内腔径に対するカテーテルチューブ肉厚の割合は0.16であった。
【0055】
バルーン部材とガイドワイヤ通過用チューブ部材は、実施例1と同様の部材を用いて組立て、所望の医療用バルーンカテーテルとした。
【0056】
(実施例3)
カテーテルチューブ部材として、金属メッキ銅線外径φ0.89mm上に厚さ0.015mmのPTFEを押出し被覆成形し、次いでPTFE被覆線を編組機にセットし、SUS304φ0.014mm素線を4本1組の束とし、16組の編組構造で編組による補強層を形成した。次いで、あらかじめ押出成形により成形したポリアミド材であるARKEMA社製 Rilsan(登録商標)からなるチューブショアD硬度72を編組チューブ上に被覆することにより、カテーテルチューブ部材を作製した。この時、内腔径に対するカテーテルチューブ肉厚の割合は0.16であった。
【0057】
ガイドワイヤ通過用チューブ部材として、金属メッキ銅線外径φ0.52mm上に厚さ0.015mmのPTFEを押出し被覆成形し、次いでPTFE被覆線を編組機にセットし、SUS304φ0.019mm素線を2本1組の束とし、16組の編組構造で編組による補強層を形成した。次いで、あらかじめ押出成形により成形したポリアミド材であるARKEMA社製 Rilsan(登録商標)からなるチューブショアD硬度72を編組チューブ上に被覆することにより、ガイドワイヤ通過用チューブ部材を作製した。この時、内腔径に対するガイドワイヤ通過用チューブ肉厚の割合は0.21であった。
【0058】
バルーン部材は、実施例1と同様の部材を用いて組立て、所望の医療用バルーンカテーテルとした。
【0059】
(比較例1)
カテーテルチューブ部材として、金属メッキ銅線外径φ0.89mmを編組機にセットし、SUS304φ0.014mm素線を4本1組の束とし、16組の編組構造で編組による補強層を形成した。次いで、あらかじめ押出成形により成形したポリアミド材であるARKEMA社製 Rilsan(登録商標)からなるチューブショアD硬度72を編組チューブ上に被覆することにより、カテーテルチューブ部材を作製した。この時、内腔径に対するカテーテルチューブ肉厚の割合は0.13であった。
【0060】
続いて、ガイドワイヤ通過用チューブ部材として、金属メッキ銅線外径φ0.52mmを編組機にセットし、SUS304φ0.019mm素線を2本1組の束とし、16組の編組構造で編組による補強層を形成した。次いで、あらかじめ押出成形により成形したポリアミド材であるARKEMA社製 Rilsan(登録商標)からなるチューブショアD硬度72を編組チューブ上に被覆することにより、ガイドワイヤ通過用チューブ部材を作製した。この時、内腔径に対するガイドワイヤ通過用チューブ肉厚の割合は0.23であった。
【0061】
バルーン部材は、実施例1と同様の部材を用いて組立て、所望の医療用バルーンカテーテルとした。
【0062】
(比較例2)
カテーテルチューブ部材として、金属メッキ銅線外径φ0.89mm上に厚さ0.015mmのPTFEを押出し被覆成形し、次いでPTFE被覆線を編組機にセットし、SUS304φ0.014mm素線を4本1組の束とし、16組の編組構造で編組による補強層を形成した。次いで、あらかじめ押出成形により成形したポリアミド材であるARKEMA社製 Rilsan(登録商標)からなるチューブショアD硬度68を編組チューブ上に被覆することにより、カテーテルチューブ部材を作製した。この時、内腔径に対するカテーテルチューブ肉厚の割合は0.16であった。
【0063】
バルーン部材とガイドワイヤ通過用チューブ部材は、実施例1と同様の部材を用いて組立て、所望の医療用バルーンカテーテルとした。
【0064】
(比較例3)
カテーテルチューブ部材として、金属メッキ銅線外径φ0.89mm上に厚さ0.015mmのPTFEを押出し被覆成形し、次いでPTFE被覆線を編組機にセットし、SUS304φ0.035mm素線を4本1組の束とし、16組の編組構造で編組による補強層を形成した。次いで、あらかじめ押出成形により成形したポリアミド材であるARKEMA社製 Rilsan(登録商標)からなるチューブショアD硬度72を編組チューブ上に被覆することにより、カテーテルチューブ部材を作製した。この時、内腔径に対するカテーテルチューブ肉厚の割合は0.27であった。
【0065】
続いて、ガイドワイヤ通過用チューブ部材として、金属メッキ銅線外径φ0.52mm上に厚さ0.015mmのPTFEを押出し被覆成形し、次いでPTFE被覆線を編組機にセットし、SUS304φ0.014mm素線を2本1組の束とし、16組の編組構造で編組による補強層を形成した。次いで、あらかじめ押出成形により成形したポリアミド材であるARKEMA社製 Rilsan(登録商標)からなるチューブショアD硬度72を編組チューブ上に被覆することにより、ガイドワイヤ通過用チューブ部材を作製した。この時、内腔径に対するガイドワイヤ通過用チューブ肉厚の割合は0.13であった。
【0066】
バルーン部材は、実施例1と同様の部材を用いて組立て、所望の医療用バルーンカテーテルとした。
【0067】
(評価)
上記実施例1〜3および上記比較例1〜3で成形した医療用バルーンカテーテルにつき、ガイドワイヤルーメンに所定のガイドワイヤを設置し、バルーンを徐々に加圧した。50atm加圧状態になった時点で30秒保持し、ガイドワイヤの動作を手動で確認することによりガイドワイヤ通過性試験を行った。また、同時にカテーテルチューブの破裂の有無を確認した。
【0068】
なお、上記試験は、リークテスターを用いて37℃生理食塩水中で測定を行った。サンプル数はN=3とした。
【0069】
表1に実施結果及び比較例を示す。
【0070】
【表1】

表1に示すように、本発明の実施例1〜3で得られた医療用バルーンカテーテルは、バルーン内加圧50atm下においてカテーテルチューブの破裂がなく、ガイドワイヤ通過用チューブの潰れのない、安全かつ安心な医療用バルーンカテーテルである事が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る医療用バルーンかテーテルの概略図
【図2】本発明に係る医療用バルーンかテーテルのガイドワイヤ通過用チューブの配置
【図3】本発明に係る医療用バルーンカテーテルのA−A’の断面図
【図4】本発明に係る医療用バルーンかテーテルのカテーテルチューブとガイドワイヤ通過用チューブの配置
【図5】一般的な医療用バルーンカテーテルのうち、オーバーザワイヤ型(OTW型)の概略図である。
【図6】補強材層である編組とガイドワイヤ通過用チューブとがなす角度θ
【符号の説明】
【0072】
1 カテーテルチューブ
1A 圧力流体供給ルーメン開口部
1B 圧力流体供給ルーメン
2 ガイドワイヤ通過用チューブ
2A ガイドワイヤ通過用チューブ遠位端開口部
2B ガイドワイヤ通過用チューブ近位端開口部
2C ガイドワイヤルーメン
3 補強バルーン
3A 中間部
3B 遠位テーパ部
3C 近位テーパ部
3D 先端側(ガイドワイヤ通過用チューブ)接合部
3E 手元側(カテーテルチューブ)接合部
3F 伸び防止補強線
3G バルーン補強材
4 ハブ
5 ストレインリリーフ
6 X腺不透過性マーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非金属素線で補強されたバルーンと、先端側から基端側にかけて、第一の補強材層と、前記補強材層上の第一の樹脂外層とを備えるカテーテルチューブと、前記カテーテルチューブおよび前記バルーン内にガイドワイヤ通過用チューブが存在し、前記ガイドワイヤ通過用チューブの先端側は開口部を有し、基端側開口部にガイドワイヤポートを備え、さらに前記カテーテルチューブ基端側に前記バルーンに圧力流体を供給するポートを備えたハブを有する医療用バルーンカテーテルであって、
前記ガイドワイヤ通過用チューブは、第二の補強材層と、第二の樹脂外層とを少なくとも有することを特徴とする医療用バルーンカテーテル。
【請求項2】
前記第一および第二の補強材層が、編組構造である請求項1記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
前記カテーテルチューブが、第一の補強材層の内側に内層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の医療用バルーンカテーテル。
【請求項4】
前記ガイドワイヤ通過用チューブが、第二の補強材層の内側に内層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の医療用バルーンカテーテル。
【請求項5】
前記第一および第二の補強材素線の断面形状が、略円形および略長方形から選択され、略円形である場合は、その直径は0.008mm〜0.019mmであり、略長方形である場合は、その厚さが0.004mm〜0.020mm、幅が0.016mm〜0.080mmであり、かつ前記ガイドワイヤ通過用チューブ内腔表面積上を投影する、前記第一および第二の補強材層の割合が0.6以上であることを特徴とする請求項1〜4記載の医療用バルーンカテーテル。
【請求項6】
前記第一および第二の補強材層が同じ材質の非金属線から構成される請求項1〜5のいずれかに記載の医療用バルーンカテーテル。
【請求項7】
前記カテーテルチューブの内腔径に対して、前記カテーテルチューブの肉厚の割合が0.15〜0.25の間にあることを特徴とする請求項1〜6記載の医療用バルーンカテーテル。
【請求項8】
前記ガイドワイヤ通過用チューブの内腔径に対する、前記ガイドワイヤー通過用チューブの肉厚の割合が0.15〜0.25の間にあることを特徴とする請求項1〜7記載の医療用バルーンカテーテル。
【請求項9】
前記第一または第二の補強材層が、3500MPa以上の引張り強度を有する素線から構成される事を特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の医療用バルーンカテーテル。
【請求項10】
前記バルーンまたは、第一もしくは第二の補強材層が、13.2cN/dtex以上の引張り強度を有し、さらに溶融液晶ポリマーを内芯とし、屈曲性ポリマーを鞘とする構造の非金属線から構成されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の医療用バルーンカテーテル。
【請求項11】
前記バルーン材および前記樹脂外層のショアD硬度は共に70D以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の医療用バルーンカテーテル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−115375(P2010−115375A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291555(P2008−291555)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】