説明

医療用把持装置

本発明は内視鏡キャップ(1)の拡張スリーブ(3)上に配置される組織クリップ(4)のための保持・引出装置を有する内視鏡キャップに関する。内視鏡キャップは、拡張スリーブ(3)の先端部から開放され、両側にキャップ壁を開放させるスリットを形成する前方溝(7)と、軸方向前方のキャップ部から前方溝(7)を半径方向に横断して前記内視鏡キャップ(1)の半径方向の内側で作動するように内視鏡チャネルに移動可能に導入される引出用細線又はウェブ(11)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用把持装置に関し、特に独立して操作可能な複数のブランチを有する医療用把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、柔軟性のある内視鏡は、胃腸管の診断及び治療に用いられている。柔軟性のある内視鏡は、口、肛門などの身体穴に挿入される。手術において、柔軟性のある内視鏡が使われることにより、組織に対して直接外科手術を行うことを避けることができる。また、把持機構は、例えば身体組織のサンプルを採取し又は組織を把持して巧みに扱うことができる。
【0003】
従来の把持装置は、前端部に2つのブランチが回転可能に装着される中空型で柔軟性のあるシャフトを有している。2つのブランチは、把持装置の前端部へ開放可能な一種の口腔状部を形成している。それぞれのブランチの後端部には、耐高張力及び耐圧縮性のあるロープがレバーアームを介在して装着されている。2つのロープは、中空型シャフトを介在して延長されるボーデンケーブルの一端に連結され、ボーデンケーブルの他端はハンドルに連結されている。ハンドルを作動させることで、把持装置の他端に設けられている口腔状部が開閉される。把持装置全体は、内視鏡の作業チャネルを介在して身体に挿入される。
【0004】
従来の把持装置の他の機構によれば、把持装置は、一端に剛性ウェブ(又は剛性口腔状部)を備える柔軟性のあるシャフトを有している。このような剛性ウェブでは、ブランチにはボーデンケーブルによって移動可能なヒンジが形成されている。ボーデンケーブルは柔軟性のあるシャフト内で延設されて、把持装置の他端においてグリップに連結される。グリップを作動させることで、ブランチが開閉される。把持装置は、内視鏡の作業チャネルを介在して挿入される。
【0005】
しかし、従来の把持装置は多くの問題点を有している。実作業においては、把持装置が組織部位に相互に連結し又は組織内で開口部を閉じることが必要となる。このために、それぞれの組織部位又は開口部の対向する周辺部を把持して固定することが求められる。さもないと、組織を繋ぐあるいは閉鎖することができなくなる。例えば、穿孔を閉鎖できない場合、細菌の浸透によって誘発される合併症を防止するために、外科的手術を頻繁に行わなければならなくなる。しかし、従来の把持装置は1つの口腔状部のみが備えられているので、このような把持装置を少なくとも2つ用いる必要がある。しかし、このような場合、内視鏡内に第2の(第2進入用)作業チャネルが要求され、あるいは別途の第2内視鏡が求められることから、食道、小腸及び大腸のような身体穴の制限により使用が困難な場合がある。最近、皮膚を切開せずに腹腔などの体腔に挿入して手術できる新しい技術、NOTES(Natural Orifice Transluminal Endoscopic Surgery)に対する研究が行われている。例えば、胃腸、大腸又は膣を通過する柔軟な機構により挿入される。このような挿入は、手術後効果的に閉鎖されなければならないが、これはそれぞれの周辺部を把持して固定できる場合に限られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、少なくとも2つの組織部位を独立して把持し固定できる医療用把持装置を提供することを目的とする。また、本発明は、医療用把持装置を保持して作動させることができる医療用把持装置のハンドルを提供することを目的とする。さらに、本発明は、医療用把持装置とハンドルとの間にそれぞれのブランチを独立して動作させることができる連結部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の目的は、請求項1に記載の医療用把持装置によって達成される。医療用把持装置の更なる有利な実施形態は、従属項に記述されている。
【0008】
本発明の第1実施形態によれば、医療用把持装置は、前端部及び後端部を有する柔軟性のあるシャフトと、シャフトの前端部に装着される少なくとも1つのウェブ部材から構成されるウェブと、ウェブにヒンジにより連結される少なくとも2つのブランチと、シャフト内に少なくとも部分的に配列される少なくとも2つの柔軟性のある制御機構を有する。また、医療用把持装置を保持して作動できるように、柔軟性のあるシャフトの後端部にハンドルが設けられている。
【0009】
柔軟性のある制御機構は、ボーデンケーブル自身の柔軟性のあるケーブルのジャケット内で移動可能に供給される柔軟性のあるケーブルをそれぞれ有するボーデンケーブルから構成される。そして、ボーデンケーブルの2つのケーブルジャケットは、シャフトの共通する通過用通路内に設けられ、柔軟性のあるケーブルは押力と引力の両方を伝達することができる。
【0010】
この医療用把持装置は、それぞれのブランチが独立した制御機構によってウェブに対して移動可能である。即ち、把持装置は相互に独立して開閉できるように構成される少なくとも2つの口腔状部を有する。従って、少なくとも2つの組織部位を独立して把持及び固定することができる。把持装置のシャフトは、初期形態から変形された場合、最小復元力を生成する柔軟性を有する。また、シャフトの前端部には、ウェブ及びブランチが装着される小さい突出部が設けられている。ブランチは鉤又は歯を有することができ、例えば、ブランチはプロファイル状に、平坦に、一直線状に、又は湾曲するように構成することができる。ウェブ部材はブランチとの相互作用時に、把持された組織がそれぞれの口腔状部から外れることを防止できるように形成される。ブランチ及びウェブ部材は、特に把持された組織に損傷を与えないように工夫されて形成されている。柔軟性のあるシャフトの後端部にはハンドルが設けられている。ハンドルは医療用把持装置を正確に把持し、かつブランチを正確に作動できるようにする。ハンドルは、柔軟性のあるシャフトの後端部に直接又は後述するハンドルと柔軟性のあるシャフトの後端部との間のアダプタを介在して装着される。
【0011】
医療用把持装置の他の実施形態によれば、柔軟性のあるシャフトの後端部とハンドルの前端部との間に連結部材が設けられ、連結部材は柔軟性のあるシャフトに向かう通過用通路を有し、通過用通路は、制御機構の全ての伝達部材を共同して案内することができる。そして、連結部材の通過用通路はブランチが形成され、それぞれの通過用通路にはハンドルに向かうそれぞれの伝達部材を設けることができる。
【0012】
上記連結部材によれば、引張剛性及びせん断剛性を持つ部材からなる伝達部材が、相互に強く影響し合い、独立した正確な操作を妨げずに独立して作動できる利点を有する。具体的には、連結部材を介在せずに伝達部材が柔軟性のあるシャフトの1つの貫通孔内に直接挿入される場合、伝達部材が相互に激しく摩擦しあうことで1つの伝達部材の動作が他の伝達部材の移動を誘発してしまう。このようなおそれは、特に伝達部材が結合又は挿入される領域で多く発生し、これは伝達部材が設計上少し湾曲されており、相互力を及ぼし合うことになる。また、柔軟性のあるシャフトに比べて、この領域では滑性が妨げられる。このような連結部材は、材質及び周辺壁の寸法を調整することによって周辺壁に対する伝達部材の摩擦を減らすことができる。
【0013】
医療用把持装置の一実施形態によれば、通過用通路に対する通過用通路の分岐部には、伝達部材の分岐又は結合を容易にするチャンバーを設けることができる。
【0014】
このようなチャンバーは、連結部材のうち伝達部材が最も大きい屈曲又は曲率を有する地点に配される。伝達部材は、連結部材の長手方向に対して略一直線状に延長される通過用通路内で連結部材の後端部に挿入されている。通過用通路は前端部に向かって径方向に延長され、最終的に連結部材の中心軸に沿って延びる1つの通過用通路を形成するように結合される。従って、それぞれの通過用通路は、連結部材の後端部から前端部に向かう特定の絡み目を有する。また、この地点で伝達部材が結合される。ブランチの動作中、前述した伝達部材の動きにより、この領域では特に伝達部材が相互に影響しあう可能性がある。チャンバーは、結合領域内で伝達部材の特定の回避動作を可能にすることで、ブランチ動作時の正確度を向上させることができる。
【0015】
医療用把持装置の他の実施形態によれば、ハンドルに向かう通過用通路の開口部は、連結部材の軸に対して垂直な平面の軌道上に設けることができる。
【0016】
これにより、全ての通過用通路は、前端部の通過用通路に対して連結部材の後端部の領域で同じ角度で傾斜することで、伝達部材は、通過用通路内で異なる方向の摩擦の生成を抑えることができる。
【0017】
医療用把持装置の他の実施形態によれば、ハンドルに向かう通過用通路の開口部は軌道上に等間隔で離隔することができる。
【0018】
これにより、通過用通路は連結部材の軸に対して回転対称に配され、柔軟性のあるシャフトの軸に対しても回転対称に配される。通過用通路の位置が係わる駆動部材の位置と対応するので、本実施形態は、把持装置の軸の周りに複数の作動部材又は操作装置の分布を最適化させることができる。
【0019】
医療用把持装置の他の実施形態によれば、通過用通路の開口部はハンドルに向かって広くすることができる。
【0020】
このようなハンドルに向かって開口部が広がっている通過用通路は、伝達部材が貫通孔により滑らかに挿入されるようにし、伝達部材の開口部の縁部における停滞を防止することができる。これは、特に伝達部材がせん断力及び張力に対する抵抗力を有する弾性的な螺旋形状である場合に顕著である。この場合、貫通孔のとがった開口縁部は、螺旋状の2つの隣接する巻線の間に引っ掛ることになる。その結果、貫通孔と作動部材間の微細な不正確な配置が補正される。
【0021】
医療用把持装置の他の実施形態によれば、ハンドルは柔軟性のあるシャフトの後端部から柔軟性のあるシャフトの軸に対して略平行に延長される2つのレールを有する。それぞれのレールにはレールに沿って移動可能なスライドが設けられている。それぞれのスライドは、せん断力及び張力に対する抵抗力の作用下で、それぞれの制御機構に連結され、それぞれのレールに沿うそれぞれのスライドの移動が、制御機構に係る伝達部材によってそれぞれのブランチに伝達される。
【0022】
これは特に作動部材の有利な実施形態を構成する。使用者は、手でスライドを同時に把持して、全てのブランチを正確かつ同時に操作することができる。また、レール上で移動するスライドは、使用者に非常に直観的である。ブランチは把持装置の軸に沿う押力の他に、例えばハンドルに装着されたボタン又はリングの回転によっても操作することができる。本実施形態によれば、使用者がブランチの開閉方向を混乱してしまうおそれを取り除くことができる。
【0023】
医療用把持装置の他の実施形態によれば、それぞれのスライドには把持部材を設けることができる。
【0024】
使用者が把持装置を同時に保持して正確に操作できるように、容易に把持できるスライドから把持部材が設けられる。
【0025】
医療用把持装置の他の実施形態によれば、本体から離れたレールの端部でレールを相互に連結させ、連結部に別の把持部材を設けることができる。
【0026】
これにより、使用者は、より容易に把持装置を安全に案内することができる。
【0027】
医療用把持装置の他の実施形態によれば、把持部材がレールの中心軸に対してオフセットされ、及び/又は、傾斜されることで、使用者の使い勝手を良くすることができる。
【0028】
把持部材の配列は最初から固定されるものではなく、使用者の使い勝手に合わせて調節できる。例えば、使用者が装置よりも後方又は上方にいるかなどが考慮される。よって、把持装置のハンドルで、手の位置を簡単に変えることができる。
【0029】
医療用把持装置の他の実施形態によれば、把持部材は、貫通孔の中心軸が相互に平行する目状部材によって形成することができる。
【0030】
このような目状部材は、把持部材の特に有利な実施形態を構成する。使用者は、それぞれの目状部材に指を容易に通すことができるので、把持装置を安全に把持することができ、良い把持感を受けることができる。目状部材は、特に手又は指が滑ることを効果的に防止することができるので、把持部材として適している。目状部材は円形に限定されない。できるだけハンドルを平坦にできるようにするために、この実施形態では、目状部材は、目状部材の中心軸が相互に平行するように配されている。使い勝手を良くするために、1つ又はそれ以上の目状部材を回転させることもできる。しかし、この場合は、ハンドルの全体の厚さを増加させる。空隙を少なくする方法として、例えば目状部材を少し楕円形状になるように構成し、目状部材の中心軸を平行に維持することもできる。
【0031】
医療用把持装置の他の実施形態によれば、それぞれのスライドは対応するレールを取り囲むことで、スライドのレールからの離脱を防止することができる。
【0032】
これにより、スライドは対応するレールからの離脱が防止される。また、スライドを、スナップフィット又はクリックフィットによりレールに装着する場合、スライドを装着するために、他の道具及び/又は部材は必要としない。
【0033】
医療用把持装置の他の実施形態によれば、それぞれの制御機構の伝達部材は、2つのレールの間のそれぞれのスライドに連結されることができる。
【0034】
これにより、伝達部材は、ハンドルの領域内で把持装置の中心軸に極力隣接して配され、連結部材内の通過用通路の曲率を小さくすることができる。
【0035】
医療用把持装置の他の実施形態によれば、レールはそれぞれのレールに対応するスライドの回転が防止されるように形成することができる。
【0036】
即ち、レールは断面非円形をなしている。これにより、使用者が把持部材を握る場合に、把持部材が後方に移動して把持装置の使用が妨げられることを防止できる。また、スライド及びレールは、レールの円周方向にロックされ、スライドとレールの間に特定の作用が働くとき、スライドはレールに沿って移動する。
【0037】
医療用把持装置の他の実施形態によれば、それぞれのスライドは対応するレールの上に固定され、対応するブランチの作動位置が固定される。
【0038】
これにより、レールとスライド間の摩擦を適切にすることで、例えば、材質又は表面設計を適切に選択することで、確実に固定できる。この変形形態として、固定手段として一種のロック用ブレーキを設けることもできる。この形態では、操作手段全体の摩擦が最小限に抑えられ、使用者がブランチから良い把持感を受けることができる利点がある。
【0039】
医療用把持装置の他の実施形態によれば、伝達部材はアンダーカットによりスライドに脱着可能に装着することができる。
【0040】
この実施形態では、別途の装着手段必要としない。この形態によれば、伝達部材を別途の装着手段を使わずにスライドに迅速かつ安全に装着することができる。
【0041】
つまり、ハンドルは別途の装着手段を必要とせず、単純なプラグイン及びクリックフィットにより組立てることができる。望ましくは、それぞれの部材は、例えばプラスチック材から射出成形される。
【0042】
医療用把持装置の他の実施形態によれば、ウェブはシャフトの前端部にヒンジにより連結される。これにより、ウェブはシャフトに対し旋回することができる。
【0043】
これは、空隙が殆どないところで組織が把持される場合や、把持される組織端によって形成される平面の垂線がシャフトの長手方向軸と一致しない場合に有利である。即ち、口腔状部はシャフトに対し口腔状部全体が傾斜されることで、さらに医療用把持装置の操作自由度が高まる。
【0044】
医療用把持装置の他の実施形態によれば、シャフトに対してウェブを旋回するための独立した制御機構を設けることができる。
【0045】
この制御機構は、ここで示される制御機構のいずれか1つからなることができ、ウェブの旋回のために追加の作動部材をハンドルに設けることができる。ウェブはシャフトに対して1方向又はそれ以上の方向に旋回することが可能である。より多くの方向に旋回するためには、複数の制御機構が必要となる。
【0046】
ここに示される全ての特徴及び特性は任意に組み合わせることができる。特に、ブランチ(尖った縁部の有/無、一直線状又は湾曲されたブランチ、…)、ウェブ(1つのウェブ部材、分割されたウェブ、ウェブ部材の間にばね/弾性部材が介在する、…)、及び制御機構(電気的/機械的制御機構、自動開閉機構、…)が異なる実施形態は、相互に異なるハンドル及び/又は伝達部材(電線、ボーデンケーブル、その組み合わせ)と組み合わせることができる。
【0047】
以下、把持装置の実際の構造について詳しく説明する。
医療用把持装置のウェブは、少なくとも2つのウェブ部材から構成され、1つのウェブ部材がシャフトにしっかりと装着され、他のウェブ部材はヒンジを介在してシャフトの先端部又は1つの堅固なウェブ部材に回転可能に連結される。即ち、ウェブ部材全部がヒンジを介在してシャフトの先端部に回転可能に連結され、又は1つのウェブ部材がシャフトの先端部にしっかりと連結され、他のウェブ部材がシャフトの前端部又は1つの堅固なウェブ部材にヒンジを介在して回転可能に連結される。ウェブ部材の間又はウェブ部材に少なくとも1つの部材が配され、移動可能なウェブ部材が前記部材によって少なくとも一方向に移動可能に構成される。また、把持装置のそれぞれのブランチはウェブ部材にヒンジを介在して回転可能に連結される。
【0048】
さらに、少なくとも1つの弾性部材がウェブ部材に配され、本体から離れた端部から離隔されるウェブ部材に力を作用する。離隔された全てのウェブ部材に力を加えるように弾性部材を設けることができる。若しくは、離隔された2つのウェブ部材に一度に力を加えるように複数の弾性部材を設けることができる。少なくとも1つの弾性部材がウェブ部材の間のそれぞれの口腔状部内に配され、離隔されたウェブ部材に力を加えることができる。これは、例えば圧縮ばね又はゴム材からなることができる。これに対して、少なくとも1つの弾性部材が口腔状部の外部に配され、離隔されたウェブ部材を引くこともできる。これは、例えば湾曲された延長ばねから構成することができる。弾性部材の代りに、磁性部材が同じ機能を果たすことができ、磁性部材はウェブ部材内に内蔵することができる。また、微細な空気圧ばねなどの他の部材を用いることもできる。これらの部材はウェブ部材と把持装置のシャフトの間に配することもできる。
【0049】
上記構造の変形形態として、例えば、将来的には小型電動モーターによりウェブ部材間の距離を調節することができる。本発明の技術分野において急速に発達しており、この形態は、近い将来採用することが見込まれる。
【0050】
ウェブ部材は他の形態により構成することもできる。独立して移動可能なウェブ部材は、例えば、ばね鋼などの弾性材から生成することができる。そして、ウェブ部材は、シャフト端部に連結され、連結端部に対向するウェブ部材の端部は、ウェブ部材本来の弾性によって互いに離隔するように移動する。
【0051】
この構成は、特に、本発明による医療用把持装置が内視鏡と共に使われる場合に好適である。この場合、本発明による把持装置は、内視鏡の作業チャネルを介在して挿入される。相互に離隔移動する前述した方法のいずれか1つにより作動する先端部を有するウェブ部材は、ブランチ及びウェブ部材から構成される本発明による把持装置のヘッド全体が、内視鏡の作業チャネルから突出するように動作する。しかし、把持装置のヘッドが内視鏡の端部に設けられるスリーブへ引っ張られる場合、ウェブ部材はスリーブに隣接するようになる。把持装置がさらにスリーブへ引っ張られる場合、ウェブ部材は把持装置の軸方向に変形される。また、スリーブ上に移動又は摺動して挿入される。ここで、スリーブに対する把持装置の動作が重要である。把持装置のヘッドが再びスリーブの外方に完全に押し出されると、ウェブ部材の先端部は再び離隔移動される。これにより、ウェブ部材の先端部間の距離及びそれによる口腔状部の内側縁部の間の距離が調節される。従って、ウェブ部材間の距離は、把持される組織部位間の距離に調節される。スリーブは内視鏡の一部を構成することもできる。
【0052】
医療用把持装置において、各制御機構は、張力耐性及び圧縮耐性を有する伝達部材を備える。少なくとも2つの伝達部材がシャフト内でともに延びて、各伝達部材はシャフトの先端部でブランチに連結される。また、各制御機構は、シャフトの後端部に設けられ、対応する伝達部材に連結される操作装置を有している。各伝達部材は、対応する操作装置によってそれぞれのブランチに移動出力を伝達する。また、移動の伝達は、例えば把持装置のヘッドにおける動きへ変換される伝達移動信号を有する。信号は、電線によって送電される電気信号からなることができる。他の形態として、ブランチは、磁石、弾性部材などによって自動的に開放され、張力耐性及び圧縮耐性を有する伝達部材の代りに、張力耐性のみを有する伝達部材を設けることもできる。そして、口腔状部の開放動作は自動的に行われ、閉鎖動作は伝達部材によって行われる。圧縮耐性を持たない伝達部材は、断面積をより小さくできる利点を有する。しかし、この場合、例えば、把持装置の各伝達部材が意に反して開放されたときに、口腔状部が再び開かなくなることに注意しなければならない。以下、把持部材及びその変形形態ついて詳しく説明する。
【0053】
医療用把持装置のブランチ及び/又は対応するウェブ部材は、分離可能に形成することができる。また、それぞれの操作装置は分離可能に構成され、それぞれのブランチに対応する操作装置と確実に結合させる。これにより、操作装置を駆動させる前に、どのブランチが駆動されるかが明確になる。誤ったブランチの作動は、すでに把持された組織部位を逃してしまうことになり、手術時間を遅延させる。その結果、例えば、頻繁な操作により周辺部が損傷して、開口部が安全に閉まらなくなる場合がある。この場合には、大きな損傷を招きかねない外科手術をしなければならなくなる。
【0054】
特に、ブランチ及び/又はウェブ部材は、色、形状及び/又は材質によって区別することができる。例えば、操作装置のブランチ及び/又はウェブ部材に記号又は溝を形成することができる。若しくは、彫り込みを形成することもできる。ブランチ及び/又はウェブ部材がカラーカメラによってのみ観察できる場合には、色による区別が適している。異なる表面性質、例えば、異なる粗さ、異なる反射度又は異なる色などにより、材質を区別することができる。
【0055】
医療用把持装置において、ブランチ及び/又はウェブ部材は尖った縁部を有することができる。尖った縁部によって、例えば、組織部位を分離させたり、縫い目を切開することができる。
【0056】
好ましくは、ブランチ及びウェブ部材は対称的に配され、ブランチは、把持装置の軸に対して径方向に回転可能に構成される。これは、ブランチ及びウェブ部材が把持装置の周方向に均一に離隔されていることを意味する。
【0057】
ウェブ部材は把持装置の軸に対して径方向に回転可能に構成することもできる。若しくは、ブランチは把持装置の軸に対して接線方向又は把持装置の他の方向に移動するように構成することもできる。
【0058】
ウェブ及びブランチは先端部に向かって同じ長さを有する。若しくは、例えば、ウェブがブランチより前方に突出するように構成することもできる。また、それぞれのウェブ部材とそれぞれのブランチは相互に異なる長さにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】2つの口腔状部が全て開かれている本発明の第1実施例による医療用把持装置のヘッドの側面図である。
【図2】1つの口腔状部が開かれている第1実施例による医療用把持装置のヘッドの側面図である。
【図3A】第5実施例による医療用把持装置のヘッドの概略図である。
【図3B】第5実施例による医療用把持装置のヘッドの概略図である。
【図3C】第5実施例による医療用把持装置のヘッドの概略図である。
【図4A】第6実施例による医療用把持装置のヘッドの概略図である。
【図4B】第6実施例による医療用把持装置のヘッドの概略図である。
【図4C】第6実施例による医療用把持装置のヘッドの概略図である。
【図5A】本発明の第2実施例による医療用把持装置の側面図であり、口腔状部が開かれ、ウェブ部材が相互に離隔されている状態を示している。
【図5B】本発明の第2実施例による医療用把持装置の側面図であり、口腔状部が閉じられ、ウェブ部材が収納されている状態を示している。
【図6】連結部材の一部がワイヤフレームにより図示される連結部材の斜視図である。
【図7】連結部材の後方領域及びハンドルの前方領域の側面図である。
【図8A】ハンドルの側面図である。
【図8B】ハンドルの側面図である。
【図9】把持部材を有するハンドルの後端部の斜視図である。
【図10】ハンドルの斜視図である。
【図11】図10の一部を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
(第1実施例)
以下、図1、図2、図6〜図11を参照しながら本発明の医療用把持装置の第1実施例を説明する。
【0061】
第1実施例の医療用把持装置1は、前端部3及び後端部4を有する柔軟性のあるシャフト2を備える。シャフト2は、圧縮耐性を有する弾性螺旋形になっている。また、シャフトはシャフト2の前端部3に装着される単一ウェブ部材から構成されるウェブ4を有する。2つのブランチ5、6はウェブ4に回転可能にヒンジにより連結される。2つの柔軟性のある制御機構7、151、155、8、152、156の一部がシャフト2内に配され、それぞれのブランチ5、6は独立した制御機構7、151、155、8、152、156によりウェブ4に対して移動可能に構成される。この場合、図1の左側に図示されたブランチ6は制御機構8、152、156により操作され、図1の右側に図示されたブランチ5は制御機構7、151、155により操作される。医療用把持装置の第1実施例において、制御機構7、151、155、8、152、156のそれぞれは、シャフト2内でともに延びて、張力耐性及び圧縮耐性を有する伝達部材7、8を備える。伝達部材7、8のそれぞれはシャフト2の前端部3でブランチ5、6に連結される。また、制御機構7、151、155、8、152、156のそれぞれは、連結部材160の後端部14に設けられ対応する伝達部材7、8に連結される操作装置151、155、152、156を有し、それぞれの伝達部材7、8はそれぞれの操作装置151、155、152、156によりそれぞれのブランチ5、6に移動出力を伝達する。
【0062】
本実施例において、伝達部材7、8はボーデンケーブルからなり、操作装置151、155、152、156は把持部材155G、156Gを有するスライド155、156及びレールから構成される。把持部材155G、156Gは、それぞれのブランチ5、6を開放するように一方向に駆動され、それぞれのブランチ5、6を閉鎖するように反対方向に駆動される。ブランチを開放させるために、スライドがシャフト2に向かって動かされる。把持部材155G、156Gは共通するハンドル150に設けられている。
【0063】
本実施例において、ブランチ5、6及び/又はそれぞれのウェブ部材4は、区別可能に構成される。本実施例による医療用把持装置1では、溝又は彫り込みがブランチ5、6及び/又はウェブ部材4及び把持部材155G、156G又はスライド155、156に設けられ、把持部材155G、156Gがブランチ5、6と関連付けられる。この実施例では、1つのウェブ部材4のみが設けられているので、区別のための彫り込み又は溝が、例えばウェブ部材4の両側表面に設けられ、例えば溝がウェブ部材4の両側表面に設けられ、ブランチ5及びブランチ5と対応する把持部材155Gに溝が同様に設けられる。
【0064】
ブランチ5、6及び1つのウェブ部材4は対称的に配される。即ち、1つのウェブ部材4の長手方向軸は、医療用把持装置1の長手方向軸と同一であり、2つのブランチ5、6はヒンジによりウェブ部材4に連結され、径方向に対向される。また、ブランチ5、6は把持装置1の軸に対して径方向に回転可能に構成される。
【0065】
図1及び図2に示すように、ボーデンケーブル7、8はブランチ5、6の延長部又はレバー5'、6'に装着される。この延長部又はレバー5'、6'は、ブランチ5、6が閉鎖されるときに、ウェブ部材4のリセス内に設けられる。従って、把持装置1のヘッド18の直径は、閉じられた状態で非常に小さくなる。把持装置1のヘッド18は、把持装置1の前端部3に設けられる部材を現わす。
【0066】
ボーデンケーブル7、8はヒンジ機構によってブランチ5、6の延長部5'、6'に装着される。ウェブ部材4の前端部は厚く形成され、ブランチ5、6の前端部はウェブ部材4を向かって少し湾曲して細くなっており、それぞれのリセスが設けられるウェブ部材4の前端部に締結されるようにする。2つのブランチ5、6は同一寸法を有し、ヒンジによりウェブ部材4の同一軸に連結される。
【0067】
本実施例では、図6及び図7に示すように、シャフト2の後端部14に連結部材160が形成され、連結部材には実質的にレール151、152、連結部材153、スライド155、156及び把持部材155G、156G、153Gから構成されるハンドル150が連結されている。ハンドル150は、図8及び図10に図示される。
【0068】
通過用通路170、171、172が連結部材内に設けられている。具体的には、通過用通路170は、チャンバー173内でV字状に構成され、その中でそれぞれの伝達部材7、8を案内する2つの通過用通路171、172に分割される。連結部材160はプラグイン連結によって連結される2つの部分に構成される。図7に示すように、貫通孔171、172はハンドル150に向かって広くなる。これにより、それぞれのブランチ5、6が駆動される場合に、伝達部材7、8がそれぞれの貫通孔171、172から滑らかに挿入される。
【0069】
図7に示すように、連結部材160では2つのレール151、152がその前端部151V、152Vと一緒に固定される。ここで、レール151、152は連結部材160内で前端部151V、152Vとともに止められる。
【0070】
それぞれのスライド155、156が対応するレール151、152を取り囲むようにスライド155、156がそれぞれのレール151、152に装着される。2つのレールは連結部153によりレールの後端部151H、152Hで相互に連結され、把持部材155G、156G、153Gはそれぞれのスライド155、156で略円形の目状に設けられる(把持部材153Gは少し楕円形をなす)。この実施例において、把持部材155G、156G、153Gはすべて同一平面内に設けられている。把持部材153Gは、同様にプラグイン連結によって連結部153で引き締められる。
【0071】
伝達部材7、8はレール151、152の間の領域でスライド155、156に連結される。図10において、リセスは伝達部材7、8がリセスに挿入されてから、アンダーカットによって引き締められる。図11では、伝達部材7、8は図示されていない。
【0072】
本実施例において、ハンドル全体はプラスチック材から射出成形によって製造される。また、全ての連結はプラグイン連結によってなされ、ハンドル150の組み立て及び伝達部材7、8をスライド155、156に引き締めるには、一切道具を必要としない。スライド155、156は連結部材160と同様な方式によりともにクリックされる2つのハーフシェルから構成され、スライドはそれぞれのレール151、152を取り囲む。レール151、152の形状及びスライド155、156内の対応するリセスの形状は、把持しているときに把持部材155G、156Gが横方向に離脱することを防止する。また、後方把持部材153Gのクリック連結は、把持部材153Gがねじ曲がらないようにされている。
また、貫通孔170の前方開放部は柔軟性のあるシャフト2と直接接続されている。
【0073】
本実施例は、2つの口腔状部を有する医療用把持装置に関連する。しかし、3つ又はそれ以上の口腔状部を有する医療用把持装置とすることもできる。このために、レール、スライド、連結部材内の貫通孔の個数を適切にして、伝達部材が把持装置の中心軸に対して対称的に配置することができる。
【0074】
(第2実施例)
図5A及び図5Bを参照して医療用把持装置の第2実施例を説明する。
【0075】
第2実施例の医療用把持装置1は、前端部3及び後端部14を有する柔軟性のあるシャフト2、シャフト2の前端部3に装着される2つのウェブ部材4A、4Bから構成されるウェブ4、ヒンジ支点51A、61Bでウェブ部材4A、4Bにヒンジにより連結される2つのブランチ5、6、シャフト2内で少なくとも部分的に配される2つの柔軟性のある制御機構7、151、155、8、152、156を備える。ブランチ5は制御機構7、151、155によりウェブ部材4Aに対して回転可能に構成され、ブランチ6は制御機構8、152、156によりウェブ部材4Bに対して回転可能に構成される。この実施例では、ウェブ4は2つのウェブ部材4A、4Bから構成され、ウェブ部材4A、4Bのいずれもがシャフトにしっかりと装着されていない。部材70はウェブ部材4A、4Bに配され、ウェブ部材4A、4Bが相互にヒンジ支点41A、41Bを基準として回転することができる。部材70は弾性部材、即ちこの場合では圧縮ばねである。圧縮ばね70は本体から離れているウェブ部材4A、4Bの端部42A、42Bに力を加える。しかし、図5Bに示すように、把持装置1が内視鏡の作業チャネル80に引っ張られる場合、ウェブ部材4A、4Bは移動及び作業チャネル80のエッジ81との接触によって相互に加圧され、圧縮ばね70も圧縮される。第1実施例の場合と同様に、制御機構7、151、155、8、152、156は、シャフト2内でともに延びて、張力耐性及び圧縮耐性を有するそれぞれの伝達部材7、8を備え、伝達部材7、8のそれぞれはシャフト2の前端部3でブランチ5、6に連結される。具体的には、伝達部材7はブランチ5のレバー5'で装着地点52にヒンジにより連結され、伝達部材8はブランチ6のレバー6'で装着地点62にヒンジにより連結される。それぞれの伝達部材7、8はそれぞれの操作装置7、151、155、8、152、156により対応するブランチ5、6に移動出力を伝達する。
【0076】
第2実施例では、伝達部材7、8はボーデンケーブルである。把持部材155Gが溝を有する点を除いて、把持部材155G、156Gは、第1実施例の把持部材155G、156Gの形状及び機能と同一である。また、第2実施例では、把持部材155G、156Gはハンドル150に設けられている。
【0077】
ブランチ5、6は区別可能に構成され、ブランチ5はその外部に把持部材155Gの溝と類似する溝を有する。その結果、使用者はいずれの把持部材155G、156Gにより、いずれのブランチ5、6を操作するかが明らかになる。
【0078】
図5A及び図5Bに示すように、ブランチ5、6及びウェブ部材4A、4Bは対称的に配され、ブランチ5、6は把持装置1の軸に対して径方向にヒンジ支点51A、61Bを基準として回転可能に構成される。ウェブ部材4A、4Bは把持装置1の軸に対して径方向にヒンジ支点41A、41Bを基準として回転可能に構成される。
【0079】
第2実施例の把持装置1は、第1実施例の把持装置1と同一の効果を奏する。また、2つのウェブ部材4A、4Bから構成されるウェブを形成することで、把持装置1が内視鏡と一緒に使われる場合に、把持装置1の2つの口腔状部間の距離を調節することができる。そして、第2実施例の把持装置1のヘッド18は、ウェブ部材4A、4Bが内視鏡の作業チャネル80の前端部81に隣接し、エッジ81により圧縮されるときまで内視鏡の作業チャネル80に引っ張られる。把持装置1のヘッド18を作業チャネルに引っ張ることは、作業チャネル80の他方の端部で把持装置1のシャフト2を引くことによって行われる。
【0080】
(第3実施例)
図4A〜図4Cに図示される把持装置1の第3実施例では、ブランチ205、206、207の形状が図3A〜図3Cのブランチの形状と異なる。さらに、この実施例では、ウェブ部材105、106、107はゴムストラップ208により一緒に引っ張られる。この実施例では、ウェブ部材105、106、107は、作動時にウェブ部材105、106、107に力を加える電磁手段を有する。磁力の強度は供給される電流により調節することができる。ゴムストラップ208は所定の弾性を有する。その結果、ウェブ部材105、106、107の磁力の設定により、ウェブ部材の間の距離を調節することができる。この実施例のブランチ205、206、207のための伝達部材は、既述の実施例と同様なボーデンケーブルである。この実施例では、電磁手段のための電線が把持装置1のシャフト2のシェル内に収容されている。この実施例の把持装置1のハンドル150は、電磁手段に対する電流を調節可能にする回転式部材をさらに有する。
【0081】
(他の実施例)
他の実施例によれば、第3実施例のブランチ205、206、207は小型モーターによって駆動させることができる。ハンドル150は、例えばブランチを開放操作する3つのスライド及びウェブ部材105、106、107の間の距離を操作する回転式部材を有する。そして、スライドは、例えば、線形電位差計の形態で構成される。
【0082】
他の実施例によれば、ウェブ部材間の距離はボーデンケーブルによって調節することができる。
【0083】
機械的な伝達部材の場合、スライド155、156は、ばねによって連結部材160の方向に偏向され、スライドが開放される場合(即ち、現在全く動作が行われておらず、固定手段も一切提供されない場合)、スライドは、ばねの復元力によって連結部材160に向かって移動し、対応するブランチ5、6を開放させる。スライドは反対方向にも偏向され、自動的に閉じられる。
【0084】
本明細書に開示される医療用把持装置1は、例えば、精密工学にも用いることができる。
【0085】
本発明は、前端部13及び後端部14を有する柔軟性のあるシャフト2を有する医療用把持装置1に関する。前記装置は、少なくとも1つのウェブ部材から構成されてシャフト2の前端部3に装着されるウェブ4、ウェブ4にヒンジにより連結される少なくとも2つのブランチ5、6、シャフト2内に少なくとも部分的に配される少なくとも2つの柔軟性のある制御機構7、151、155、8、152、156を有する。それぞれのブランチ5、6は独立した制御機構7、151、155、8、152、156によりウェブ4に対して独立して移動可能である。柔軟性のあるシャフト2の後端部14には、医療用把持装置1を保持して作動させるためのハンドル150が設けられている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端部(13)及び後端部(14)を有する柔軟性のあるシャフト(2)と、
少なくとも1つのウェブ部材から構成され、前記シャフト(2)の前端部(3)に装着されるウェブ(4)と、
前記ウェブ(4)にヒンジにより連結される少なくとも2つのブランチ(5、6)と、
前記シャフト(2)内に少なくとも部分的に配列され、少なくとも部分的に柔軟な少なくとも2つの制御機構(7、151、155;8、152、156)と、
を有し、
それぞれのブランチ(5、6)が、それぞれの制御機構(7、151、155、8、152、156)により前記ウェブ(4)に対して独立して移動可能な医療用把持装置(1)において、
柔軟性のある前記シャフト(2)の後端部(14)に、前記医療用把持装置(1)を保持して作動させるハンドル(150)が設けられていることを特徴とする医療用把持装置(1)。
【請求項2】
柔軟性のある前記シャフト(2)の後端部(14)と前記ハンドル(150)の前端部(151V、152V)との間に連結部材(160)が設けられ、
前記連結部材(160)は、柔軟性のある前記シャフト(2)に向かう通過用通路(170)を有し、前記制御機構(7、151、155、8、152、156)の全ての伝達部材(7、8)が通過用通路内に案内され、前記通過用通路(170)は、それぞれの伝達部材(7、8)のためのそれぞれの通過用通路(171、172)が前記ハンドル(150)に向けて設けられるように、前記連結部材(160)内で分岐されていることを特徴とする請求項1に記載の医療用把持装置(1)。
【請求項3】
前記通過用通路(171、172)に対する前記通過用通路(170)の分岐に際して、前記伝達部材(7、8)の分岐又は結合を容易にするチャンバー(172)が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の医療用把持装置(1)。
【請求項4】
前記ハンドル(150)に向かう前記通過用通路(171、172)の開口部は、前記連結部材(160)の軸に対して垂直な平面の軌道上に設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の医療用把持装置(1)。
【請求項5】
前記ハンドル(150)に向かう前記通過用通路(171、172)の開口部は、軌道上に等間隔に離隔されていることを特徴とする請求項3に記載の医療用把持装置(1)。
【請求項6】
前記通過用通路(171、172)の開口部(171A、172A)は、前記ハンドル(150)に向かって広がっていることを特徴とする請求項4又は5に記載の医療用把持装置(1)。
【請求項7】
前記ハンドル(150)は、柔軟性のある前記シャフト(2)の後端部(14)から柔軟性のある前記シャフト(2)の軸に対して略平行に延長される2つのレール(151、152)を有し、
それぞれのレール(151、152)に対応するレール(151、152)に沿って移動可能なスライド(155、156)が設けられ、それぞれのスライド(155、156)は、それぞれのレール(151、152)に沿うそれぞれのスライド(155、156)の移動が、前記制御機構(7、151、155、8、152、156)の対応する伝達部材(7、8)によって対応するブランチ(5、6)に伝達されるように、せん断力及び張力に対する抵抗力の作用下で、対応する制御機構(7、151、155、8、152、156)に連結されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の医療用把持装置(1)。
【請求項8】
それぞれのスライド(155、156)に把持部材(155G、156G)が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の医療用把持装置(1)。
【請求項9】
前記レール(151、152)は、本体から離れたレールの端部(151H、152H)で一体に連結され、把持部材(153G)が連結部(153)に設けられていることを特徴とする請求項7又は8に記載の医療用把持装置(1)。
【請求項10】
作業者の使い勝手を良くするために、把持部材(153G)は、レール(151、152)の中心軸に対してオフセットされ、及び/又は、傾斜されていることを特徴とする請求項4に記載の医療用把持装置(1)。
【請求項11】
把持部材(153G、155G、156G)は、貫通孔の中心軸が相互に平行する目状部材によって形成されていることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の医療用把持装置(1)。
【請求項12】
前記スライド(155、156)の前記レール(151、152)からの離脱を防止するように、それぞれのスライド(155、156)は、対応するレール(151、152)を取り囲んでいることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の医療用把持装置(1)。
【請求項13】
2つのレール(151、152)の間のそれぞれの制御機構(7、151、155、8、152、156)の伝達部材(7、8)は、それぞれのスライド(155、156)に連結されていることを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載の医療用把持装置(1)。
【請求項14】
前記レール(151、152)は、対応するスライド(155、156)がそれぞれのレール(151、152)に対して回転することを防止できるように形成されていることを特徴とする請求項7〜13のいずれか1項に記載の医療用把持装置(1)。
【請求項15】
対応するブランチ(5、6)の動作位置を固定するために、それぞれのスライド(155、156)は、対応するレール(151、152)上に固定されていることを特徴とする請求項7〜14のいずれか1項に記載の医療用把持装置(1)。
【請求項16】
前記伝達部材(7、8)は、アンダーカットによって前記スライド(155、156)に脱着可能に装着されていることを特徴とする請求項7〜15のいずれか1項に記載の医療用把持装置(1)。
【請求項17】
前記シャフト(2)に対して旋回できるように、前記ウェブ(4)は、前記シャフト(2)の前端部(3)にヒンジにより連結されていることを特徴とする請求項1に記載の医療用把持装置(1)。
【請求項18】
前記シャフト(2)に対して前記ウェブ(4)を旋回させるように、独立した制御機構が設けられていることを特徴とする請求項17に記載の医療用把持装置(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−523877(P2011−523877A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512979(P2011−512979)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057205
【国際公開番号】WO2009/150184
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(510285610)オヴェスコ エンドスコピー アーゲー (6)
【Fターム(参考)】