医療用流体システムのための、改善されたプライミング、一体性および水頭高さの方法および装置
【課題】新規な医療用流体の送達システムを提供する。
【解決手段】医療用流体の送達システムのための、改善された一体性試験、プライミング逐次制御およびバッグの高さの検出試験、装置および方法が、提供される。この一体性試験は、正圧および負圧を使用する、複数の空気圧減衰試験を包含する。このプライミング逐次制御は、流体を、プライミングされるべき患者ライン内の空気および他の潜在的な障害物に打ち勝つように、このラインの一部に通してポンプ送達する。水頭高さ試験は、膜ポンプのポンプチャンバ内での圧力の蓄積または低下を測定する。この測定される圧力は、流体供給部とポンプとの間、またはポンプと流体排出部との間の、水頭高さに対応する。この対応する水頭高さが認容可能であるか否かの決定がなされる。
【解決手段】医療用流体の送達システムのための、改善された一体性試験、プライミング逐次制御およびバッグの高さの検出試験、装置および方法が、提供される。この一体性試験は、正圧および負圧を使用する、複数の空気圧減衰試験を包含する。このプライミング逐次制御は、流体を、プライミングされるべき患者ライン内の空気および他の潜在的な障害物に打ち勝つように、このラインの一部に通してポンプ送達する。水頭高さ試験は、膜ポンプのポンプチャンバ内での圧力の蓄積または低下を測定する。この測定される圧力は、流体供給部とポンプとの間、またはポンプと流体排出部との間の、水頭高さに対応する。この対応する水頭高さが認容可能であるか否かの決定がなされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、2003年10月28日に出願された、発明の名称「Improved Priming,Integrity and Head Height Methods and Apparatuses for Medical Fluid Systems」の、米国仮特許出願番号60/515,815(その全内容は、本明細書中に参考として援用され、そして信頼される)の利益を主張する。
【0002】
(発明の背景)
本発明は、一般に、医療用流体システムに関し、そしてより具体的には、このようなシステムの試験およびプライミングに関する。
【背景技術】
【0003】
腹腔透析システムにおいて、使い捨てカセット内の多数の流体弁が漏出しないこと、このカセット内の複数のポンプチャンバの間で漏出が起こらないこと、流体通路にまたがる漏出が起こらないこと、および隔離閉塞具(これは、システムの不調の場合に、このカセットに接続された流体ライン内の液体の流れを止めることが意図される)がその手順を適切に実施していることを検証しようと試みる、一体性試験を実施することが、公知である。特許文献1に記載される、1つの公知の湿式漏出試験において、使い捨てカセットが、腹腔透析サイクラーにロードされ、そして溶液バッグが接続される。この試験は、以下の工程からなる:
(i)流体弁のダイアフラムの負圧の減衰試験が実施される;
(ii)この流体弁のダイアフラムの正圧の減衰試験が実施される;
(iii)負圧の減衰試験が第二のポンプチャンバに対して実施される間に、第一のポンプチャンバに対して、正圧の減衰試験が実施される;
(iv)正圧の減衰試験が第二のポンプに対して実施される間に、第一のポンプチャンバに対して、負圧の減衰試験が実施される;その後
(v)両方のポンプチャンバが、計量された体積の流体で満たされ、全ての流体弁が開かれ、そして閉塞具が閉じられ、正圧が、ある時間にわたって、両方のチャンバに付与され、その後、各ポンプチャンバ内の流体の体積が、再度測定されて、いくらかの流体がこの閉塞具を横切って漏出したか否かを決定する。
【0004】
示されるように、上記試験手順は、溶液バッグが腹腔透析システムに接続された後に実施される。カセットまたは配管の一体性が不合格である場合、これらの溶液バッグの滅菌性が、損なわれる。このような場合、使い捨てカセットと溶液バッグとの両方が、処分されなければならない。さらに、溶液バッグからの液体が、この機械の空気力システムに吸引され得、この機械の空気力システムの不調を引き起こす可能がある。
【0005】
湿式試験はまた、誤った誘発を受けやすい。具体的には、試験において使用される冷たい溶液は、毎年、多くの誤った使い捨て一体性試験警告を引き起こす。なぜなら、閉塞具(これは、全ての流体ラインを締めて閉じることが前提とされる)が配管ラインを適切に圧着または密封しない場合、この試験は失敗するからである。この溶液が冷たい場合、この溶液は、セットの配管を、この配管が室内の空気中に置かれる場合にのみ達する温度より低い温度まで冷却する。より冷たい配管は、閉塞することがより困難であり、いくつかの場合には、流体を、この閉塞具を超えて漏出させ、そして試験を失敗させる。一旦、透析治療が開始されると、この配管を通過する流体は、約37℃まで温められ、この閉塞具が満足に機能することを可能にする。
【0006】
従って、一体性試験が、溶液バッグが治療機械に取り付けられる前に実施されること、および誤った誘発を防止するために、冷たい溶液の使用を排除することが、望ましい。
【0007】
「乾式」試験が、特許文献2に、簡単に記載されている。この記載は、部分的には、1998年12月の、Baxter HomeChoice(登録商標)サイクラーにおいて実施される「乾式試験」に基づく。HomeChoice(登録商標)サイクラーにおいて実施される実際の試験は、4つの工程からなり、その第一の工程は、溶液バッグが接続される前に行われる。次の3つの工程は、溶液バッグが接続されることを必要とするが、流体が、これらのバッグからこの機械へと引き込まれることは必要としない。図1〜4は、公知の「乾式」試験の個々の工程によって試験される、流体カセットの領域を図示する。上記「乾式」試験は、流体が、機械の空気力装置内に潜在的に漏出する問題を排除するが、この試験は、漏出の際にこれらのバッグの滅菌性が潜在的に損なわれること、および従って、使い捨てカセットの一体性が損なわれた場合に処分されることを、防止しない。
【0008】
さらに、空気を用いる乾式試験は、透析流体を使用する湿式試験より感受性が高いと考えられる。従って、一体性試験が、感度の理由により、そして上記理由により、空気を使用することがまた、望ましい。
【0009】
一体性試験は、医療用流体機械の製造業者に対して、1つの問題を提示するが、別の共通の問題は、これらの機械内の流体システムのプライミングである。多くの例において、空気が、安全の目的で、1つ以上の管からパージされなければならない。例えば、透析の分野において、患者の腹腔または静脈および動脈が、空気を含まない透析流体を受容するように、このシステムから空気をパージすることが、不可欠である。その結果、自動化透析機械には、これまでに、プライミングシステムが提供されている。腹腔透析において、プライミングの目的は、流体を、そのラインの端部(この端部において、患者の輸送セットに接続する患者コネクタが位置する)まで完全に押し、一方で、プライミング流体は、このコネクタを通らず、流体を、このシステムから流し出すことである。
【0010】
代表的に、透析機械は、プライミングのために、重力を使用する。重力によってプライミングされる公知のシステムには、多くの欠点がある。第一に、いくつかのプライミングシステムは、特殊な大きさのバッグのために設計される。他の大きさのバッグが使用される場合、このプライミングシステムは、適切に働かない。第二に、プライミングの開始の際に、空気と流体との混合物が、患者ライン中に、その近位端の近くに存在して、使い捨てカートリッジまたはカセットを閉じ得るということが、多くのシステムにおいて起こる。流体は、カセットの設置および/または一体性試験に起因して、時々、このカセット内に集まる。このように流体が集まることにより、この流体と、入ってくるプライミング流体との間に、空気のギャップが生じ得る。この空気のギャップは、重力によるプライミングを妨害し得、そして時々、妨げ得る。実際に、多くの手順指針は、患者ラインが適切にプライミングしていないようである場合に、このラインの一部分を叩く工程を包含する。この叩く工程は、この流体ライン内に捕捉された任意の気泡を追い出すことを意味する。
【0011】
プライミングにおいて比較的頻繁に起こる第三の問題は、患者が、患者ラインをプライミングする前に、このライン上のクランプを取り外し忘れることである。この締められたラインは、このラインを適切にプライミングさせない。この患者が、治療の残りの部分に進む前に患者ラインからクランプを取り外すことが必要であることをこの患者に具体的に伝えるために、警告が必要とされる。第四に、排気された先端保護具が、患者ラインの端部に提供される場合、この排気された先端保護具は、適切に排気しないかもしれず、そしてプライミングを妨害し得る。ここでまた、このラインが適切にプライミングされていないことを患者に伝えるための、警告が必要とされる。第五に、費用が、常に、要因である。上記問題を克服するプライミング装置およびプライミング方法を提供することに加えて、プライミングを実施するために、可能であれば、既存の構成要素を使用して、さらなる構成要素およびさらなる費用を加える必要性を回避することもまた、望ましい。
【0012】
医療用流体システム、および特に、自動化腹腔透析(「APD」)システムについての別の問題は、溶液バッグが、この機械が所望のパラメータ内で作動するために適切な、この機械に対する高さに位置することを確実にすることである。溶液バッグ(例えば、透析液バッグ、乳酸塩バッグおよび/またはブドウ糖バッグ)の高さは、適切な量の流体が、治療の間に患者にポンプ送達されること、ならびに正しい量および割合の添加剤が注入されることを確実にするために、モニタリングされる必要がある。バッグの位置の決定を議論する2つの特許は、特許文献3および特許文献4である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,350,357号明細書
【特許文献2】米国特許第6,302,653号明細書
【特許文献3】米国特許第6,497,676号明細書
【特許文献4】米国特許第6,503,062号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要旨)
本発明は、1つの主要な実施形態において、使い捨てカセットの被覆用材料と、成型されたカセットフィーチャーとの両方に対して、一体性試験を実施する。本発明の方法は、カセットをベースとした多くのプライミングおよび液体分配システムに適用可能であり、そして具体的には、透析処置(例えば、自動化腹腔透析)のために適切である。この一体性試験の工程は、ほぼ専ら、溶液バッグ(例えば、腹腔透析溶液バッグ)が、透析治療機械(例えば、腹腔透析機械)に接続される前に実施される。このような試験は、一体性の問題が生じる場合に、患者は、使い捨てカセットおよび付随する配管を処分する必要があるのみであり、溶液を処分する必要がないので、有利である。また、流体は、試験を実施するために機械に接続されないので、漏出に起因して、溶液がこの機械の空気力装置に吸引される(潜在的に、不調を引き起こす)機会がない。
【0015】
本発明の乾式試験は、排出ライン以外の全ての流体ラインが、キャップされた状態で実施される。この排出ラインは、空気が逃れることを可能にするが、液体が逃れることを可能にしない、先端保護具および/または膜で覆われる。これらのラインは、キャップされたままであるので、これらのラインは、溶液バッグに接続されない。その結果、このカセットに漏出が起こる場合に、溶液バッグはいずれも、汚染されない。
【0016】
これらの試験工程は、多数の理由により、キャップされたラインを用いて実施されることが可能である。いくつかの工程において、排出ライン以外の全てのラインに接続された先端保護具(すなわち、キャップ)は、適切な位置に残される。なぜなら、カセットの被覆材料および流体通路は、弁が閉位置ではなく開位置にある状態で試験されるからである。これらの弁が開いている場合、このカセット内の流体チャネルの全ては、ポンプチャンバと排出ラインとの両方と直接連絡し、この排出ラインは、空気が通過することを可能にする、細菌を保持する先端保護具を有する。従って、失敗した試験からの空気は、カセットからこの排出ラインを通過し、このシステム内の圧力を変化させ、その結果、漏出が検出され得る。
【0017】
他の試験工程において、先端保護具は、適切な位置に残され得る。なぜなら、このシステムの一部分が加圧され、一方で、他の部分が排気されるからである。このカセットの正に加圧された部分から漏出する空気は、排気された部分へと漏出し、そして空気がこのカセットから逃れるにつれて、または空気がこのカセット内に漏出するにつれて、容易に検出可能である。さらに、空気は、漏出によって、水または溶液より容易に流れるので、空気試験は、流体ベースの試験より好都合であり、そして高感度であり、精度および再現性を高め、そして試験時間を短縮する。
【0018】
本発明は、別の主要な実施形態において、医療用流体送達システムをプライミングするための、装置および方法を提供する。このプライミング方法およびプライミング装置は、本明細書中で、自動化腹腔透析機械について記載されるが、この試験は、安全性または作動の理由により空気をパージすることを必要とする、任意の流体送達システムに適用可能である。これらの装置および方法は、流体容器または流体バッグ、少なくとも1つの流体ポンプ、および少なくとも1つの配管ライン(例えば、この流体ポンプから延びる患者ライン)を有するシステムを用いて、作動する。このプライミング方法の第一の工程において、流体ポンプを囲む弁は、流体が、重力によって、またはこのポンプによって、ポンプチャンバに流入し、そしてこのようなポンプチャンバを満たすが、このチャンバから出ないように、構成される。第二の工程において、これらの弁は、供給バッグ内の流体がもはやポンプチャンバを満たし得ないように、そしてこのポンプチャンバが加圧され得るように、切り替えられ、これによって、このポンプチャンバから流体を下流へと、そして特に、患者ライン内へとポンプ送達する。この機械プロセッサは、このポンプチャンバがそこから流体を排出する場合に、このポンプチャンバ内の圧力低下を予測するように、構成される。このような圧力低下が見られない場合、患者はおそらく、患者ラインのクランプを取り外すことを忘れているので、エラーメッセージが発せられる。最終工程において、このポンプを囲む弁が開かれ、その結果、容器またはバッグからの流体は、流体が患者ラインの端部に達するまで、患者ラインを流れ続け得、そしてプライミングし続け得る。この端部は、流体容器内の流体の頂部と同じ上昇高さに位置する。
【0019】
上に示されたように、患者ラインが、プライミングの間に不注意でクランプされる場合、押す工程の間のポンプチャンバ内の圧力は、予測されるレベルまで低下せず、適切な警告を促す。さらに、流体を患者ラインの近位部分(カセットに近い方)に通して最初に押すことは、多くの場合、このラインの近位部分に捕捉された空気によって引き起こされる、流体に対する抵抗に打ち勝ち、その後に適切な様式で、プライミングが起こることを可能にする。
【0020】
本発明のプライミングの別の局面は、1つ以上の溶液バッグと、1つの排出バッグとの、垂直位置、すなわち水頭高さを決定するための装置および方法である。これらの方法および装置は、大気圧を使用して、治療機械(例えば、APD機械)に対する0位置を確立する。このバッグ高さの決定は、溶液バッグが、所望のポンプ送達流量を達成するために適切な位置にあるか否か、この溶液バッグが、加熱器プレート上で適切に位置しているか否か、2つ以上のバッグの間の相対位置が適切であるか否か、排出バッグが適切な位置に位置しているか否か、またはバッグのうちの1つ以上が空であるか否か、などを決定し得る。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
プロセッサの制御下にある透析機械であって、上記機械は、以下:
使い捨ての医療用流体カセットを受容するように構成された起動ユニットであって、上記起動ユニットは、可撓性の膜を備え、上記カセットは、医療用流体を受容するように配置されている、起動ユニット、
を備え;
上記起動ユニットおよび上記プロセッサは:
第一の一体性試験において、上記カセットの上記膜の外側表面に正圧を提供し、そして上記外側表面に対する上記正圧の減衰を測定するように作動可能であり;そして
第二の一体性試験において、上記カセットの上記膜の内側表面に正圧を提供し、そして上記内側表面に対する上記正圧の減衰を測定するように作動可能である、
透析機械。
(項目2)
正圧が、上記第一の試験と第二の試験とのうちの少なくとも1つにおいて、空気力供給源または機械的デバイスを介して提供される、項目1に記載の透析機械。
(項目3)
上記空気力供給源に位置し、上記正圧の減衰を感知するためのセンサを備える、項目2に記載の透析機械。
(項目4)
上記第二の一体性試験における上記正圧が、上記カセットの少なくとも一部分に付与され、上記一部分が、ポンプ送達部分、弁部分、ポート部分および流露部分からなる群より選択される、項目1に記載の透析機械。
(項目5)
上記第一の一体性試験における上記正圧が、上記膜の上記外側表面の第一の部分に付与され、そして負圧が、上記膜の上記外側表面の第二の部分に付与される、項目1に記載の透析機械。
(項目6)
上記第一の一体性試験における上記正圧が、上記膜の上記外側表面の第一の部分に付与され、そして負圧が、上記膜の上記外側表面の第二の部分に付与される、項目1に記載の透析機械。
(項目7)
上記第二の一体性試験における正圧が、上記膜の上記内側表面の第一の部分に付与され、そして負圧が、上記膜の上記内側表面の第二の部分に付与される、項目1に記載の透析機械。
(項目8)
上記第二の一体性試験が、第一の試験であり、上記第一の試験において、圧力が、上記カセットの上記膜の内側表面に付与され、そして圧力の減衰が測定され、そして上記第二の一体性試験は、少なくとも1つのさらなる一体性試験を包含し、上記さらなる一体性試験において、正圧と負圧とのうちの少なくとも一方が、上記カセットの上記膜の内側表面に付与され、そして正圧の減衰と負圧の減衰とのうちの少なくとも一方が、測定される、項目1に記載の透析機械。
(項目9)
上記第二の試験が、上記第一の試験の後に行われる、項目1に記載の透析機械。
(項目10)
関連する圧力の減衰が、予め設定された範囲に従わない場合、上記第一の試験と第二の試験とのうちの少なくとも一方が、警告を誘発する、項目1に記載の透析機械。
(項目11)
上記膜の内側表面と外側表面とに対する正圧を発生させるために、同一の圧力源が使用される、項目1に記載の透析機械。
(項目12)
プロセッサの制御下にある透析機械であって、上記機械は、以下:
使い捨ての医療用流体カセットを受容するように構成された起動ユニットであって、上記カセットは、複数の流体ラインを有し、上記流体ラインの各々は、処置における使用の前に、上記ライン内の空気の滅菌性が維持されるように、収容されており、上記カセットは、医療用流体を受容するように配置されている、起動ユニット、
を備え;そして
上記起動ユニットおよび上記プロセッサは:
(iii)上記流体ラインが収容されている間であって、上記流体ラインのいずれかが流体供給源に接続される前に、
(i)上記カセットの膜の内側表面に空気圧を提供するように作動可能であり;そして
(ii)上記圧力の減衰を測定するように作動可能である、
透析機械。
(項目13)
上記流体ラインのうちの少なくとも1つが、先端保護具、ラインクランプ、および疎水性膜からなる群より選択される、少なくとも1つのデバイスによって収容されている、項目12に記載の透析機械。
(項目14)
上記起動ユニットおよび上記プロセッサが、さらに:
(iii)上記流体ラインのうちの少なくとも1つが、上記流体供給源に接続されている間に、
(i)上記内側表面に正圧を提供するように作動可能であり、そして
(ii)圧力の減衰を測定するように作動可能である、
項目12に記載の透析機械。
(項目15)
上記少なくとも1つの流体ラインが上記流体供給源に接続されている間に付与される圧力が、空気圧または液圧である、項目14に記載の透析機械。
(項目16)
上記内側表面に付与される圧力が、正の空気圧と負の空気圧とのうちの少なくとも一方である、項目12に記載の透析機械。
(項目17)
上記正圧および負圧が、同時に提供される、項目16に記載の透析機械。
(項目18)
上記膜の上記内側表面に付与される圧力が、上記膜の外側表面に圧力を付与すること、および少なくとも1つの弁を操作することによって発生する、項目12に記載の透析機械。
(項目19)
上記膜の上記外側表面に付与される圧力が、正圧と負圧とのうちの少なくとも一方である、項目12に記載の透析機械。
(項目20)
上記圧力が、上記カセットの選択された部分に付与される、項目12に記載の透析機械。
(項目21)
上記プロセッサが、上記測定された圧力の減衰が予め設定された範囲に従わない場合に警告信号を処理するように、さらに作動可能である、項目12に記載の透析機械。
(項目22)
使い捨てカセットと共に作動可能な起動ユニットを有する透析機械のための、改善された一体性試験方法であって、上記方法は、以下:
第一に、上記カセットの圧力保持容量を試験する工程;および
第二に、上記起動ユニットの作動を試験する工程、を包含し、その結果、使用者は、試験の不合格に関して、上記不合格が、上記カセットにおける不合格に起因するのか、上記起動ユニットにおける不合格に起因するのかを決定し得る、方法。
(項目23)
上記カセットの圧力保持容量を試験する工程が、複数の圧力減衰試験を実施する工程を包含する、項目22に記載の方法。
(項目24)
上記カセットの圧力保持容量を試験する工程が、上記カセットの選択された部分の圧力保持容量を試験する工程を包含する、項目22に記載の方法。
(項目25)
上記カセットの圧力保持容量を試験する工程が、正圧と負圧とのうちの少なくとも一方を使用して、圧力減衰試験を実施する工程を包含する、項目22に記載の方法。
(項目26)
上記カセットの保持容量を試験する工程が、上記カセットの外側および内側の少なくとも一方に付与される圧力に対して、圧力減衰試験を実施する工程を包含する、項目22に記載の方法。
(項目27)
上記起動ユニットの作動を試験する工程が、カセット弁の作動と配管閉鎖作動とのうちの少なくとも1つを試験する工程を包含する、項目22に記載の方法。
(項目28)
流体ポンプ、および上記ポンプより上流に位置する流体バッグと連絡する、流体ラインをプライミングする方法であって、上記方法は、以下:
(a)上記流体ラインの一部を通して、流体をポンプ送達する工程:および
(b)上記流体ラインの残りの部分が、重力によってプライミングされることを可能にする工程、
を包含する、方法。
(項目29)
上記バッグの流体レベルと、上記流体ラインの遠位端とを、実質的に同じ上昇高さに設定する工程をさらに包含する、項目28に記載の方法。
(項目30)
上記ポンプの上流の入口弁が開いている間、上記ポンプの下流の出口弁を閉じる工程、および上記ポンプを使用して、流体を、上記バッグから、上記ポンプのポンプチャンバ内へと引き込む工程を包含する、項目28に記載の方法。
(項目31)
上記入口弁を閉じる工程、上記出口弁を開く工程、および上記流体を、上記流体ラインの一部分に通してポンプ送達する工程を包含する、項目30に記載の方法。
(項目32)
上記入口弁および出口弁を開く工程、ならびに上記バッグからの流体が、重力によって供給されて、上記流体ラインの残りの部分をプライミングすることを可能にする工程を包含する、項目30に記載の方法。
(項目33)
流体ポンプ、および上記ポンプの上流に位置する流体バッグと連絡する、流体ラインをプライミングする方法であって、上記方法は、以下:
(a)上記流体ラインの一部分を通して、流体をポンプ送達する工程;および
(b)上記流体ラインの一部分を通る上記流体のポンプ送達の際に、予測される圧力低下の欠如を感知することによって、上記流体ラインから、患者クランプが適切に取り外されていないことを検出する工程、
を包含する、方法。
(項目34)
上記流体ラインの一部分を通しての流体のポンプ送達を介して、上記流体ライン中の空気に打ち勝つ工程を包含する、項目33に記載の方法。
(項目35)
流体供給源および流体ポンプを備える医療用流体システムのための、水頭高さを検証する方法であって、上記流体ポンプは、ポンプチャンバの内部に位置する可撓性の膜を備え、上記方法は、以下:
(a)上記供給源からの流体で、上記流体ポンプの少なくとも一部分を、重力によって満たす工程であって、上記流体は、上記チャンバ内の上記可撓性の膜を移動させる、工程;
(b)上記移動した膜の、上記流体とは反対側において、上記チャンバ内の空気圧を測定する工程であって、上記空気圧は、上記供給源の水頭高さを示す、工程;および
(c)上記水頭高さが認容可能であるか否かを決定する工程、
を包含する、方法。
(項目36)
上記ポンプが、第一のポンプであり、そして上記流体供給源が、第一の流体供給源であり、そして第二のポンプおよび第二の流体供給源を備え、上記第二のポンプおよび第二の流体供給源に対して手順(a)〜(c)を実施する工程を包含する、項目35に記載の方法。
(項目37)
上記水頭高さが認容可能でない場合に警告を提供する工程を包含する、項目35に記載の方法。
(項目38)
上記チャンバ内の空気圧を測定する工程が、上記膜の反対側の空気圧が0であると予測される場合に圧力センサを較正する工程を包含する、項目35に記載の方法。
(項目39)
流体排出部および流体ポンプを備える医療用流体システムのための、水頭高さを検証する方法であって、上記流体ポンプは、ポンプチャンバの内部に位置する可撓性の膜を備え、上記方法は、以下:
(a)流体を、上記流体ポンプから上記流体排出部へと、重力によって除去する工程であって、上記流体の除去が、上記チャンバ内の上記可撓性の膜を移動させる、工程;
(b)上記移動した膜の、上記流体とは反対側において、上記チャンバ内の空気圧を測定する工程であって、上記空気圧は、上記流体ポンプと上記流体排出部との間の水頭高さを示す、工程;および
(c)上記水頭高さが認容可能であるか否かを決定する工程、
を包含する、方法。
(項目40)
上記水頭高さが認容可能でない場合に警告を提供する工程を包含する、項目39に記載の方法。
(項目41)
上記チャンバ内の空気圧を測定する工程が、上記流体ポンプからの流体の除去の前に、上記膜の反対側の空気圧が0であると予測される場合に、圧力センサを較正する工程を包含する、項目39に記載の方法。
(項目42)
上記チャンバ内の空気圧を測定する工程が、負の空気圧を測定する工程を包含する、項目39に記載の方法。
【発明の効果】
【0021】
従って、本発明の利点は、以前の実施より短い時間を消費する、一体性試験を提供することである。
【0022】
本発明の別の利点は、漏出を検出する際に、以前の実施より効果的である、一体性試験を提供することである。
【0023】
本発明のさらなる利点は、漏出が検出される場合に、患者に対してより好都合である、一体性試験を提供することである。
【0024】
本発明の別の利点は、漏出が検出される場合に、処分されなければならない供給物を最小にする、一体性試験を提供することである。
【0025】
本発明のなお別の利点は、他の機械構成要素(例えば、流れライン閉塞具)の故障に影響されない、一体性試験を提供することである。
【0026】
本発明のさらに別の利点は、温かい溶液を必要としない、一体性試験を提供することである。
【0027】
本発明のなおさらなる利点は、使用者が、使い捨てのセットの故障と、機械またはサイクラーの空気力システムにおける漏出との間を区別することが可能である、一体性試験を提供することである。
【0028】
さらに、本発明の利点は、一体性試験において使用される冷たい溶液に起因して誘発される失敗を排除することである。
【0029】
なおさらに、本発明の利点は、プライミングライン内に最初に位置するエアポケットを自動的に追い出すように作動する、プライミングの方法および装置を提供することである。このエアポケットは、追い出されない場合、プライミングを遅くするか、または完全に停止させる傾向がある。
【0030】
本発明のなお別の利点は、患者または操作者が、クランプを患者ラインに不注意で残している場合を検出し、これによって、治療機械が適切な警告を発し得る、プライミングの装置および方法を提供することである。
【0031】
なおさらに、本発明の利点は、1つ以上の溶液バッグおよび排出バッグの上昇位置および水頭高さを決定し得ることである。
【0032】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の発明の詳細な説明および図面に記載されており、そしてこれらから明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、公知の一体性試験の間に一体性が試験されるカセットの様々な領域を示す、カセットの反対側の図である。
【図2】図2は、公知の一体性試験の間に一体性が試験されるカセットの様々な領域を示す、カセットの反対側の図である。
【図3】図3は、公知の一体性試験の間に一体性が試験されるカセットの様々な領域を示す、カセットの反対側の図である。
【図4】図4は、公知の一体性試験の間に一体性が試験されるカセットの様々な領域を示す、カセットの反対側の図である。
【図5】図5は、本発明の一体性試験とともに作動可能である、使い捨てセットの1つの実施形態の平面図である。
【図6】図6は、図5に示される使い捨てセットのカセットを受容し得る機械の1つの実施形態の斜視図である。
【図7】図7は、図5に示される使い捨てセットのカセットの斜視図であり、ここで、このカセットの可撓性の膜は、このカセットの種々の内側の構成要素を示すために、分解されている。
【図8】図8は、図7の線VIII−VIIIに沿って見た断面図の一部である。
【図9】図9は、図6に示される機械およびカセットのための、空気力作動システムの1つの実施形態の概略図である。
【図10】図10は、図5に示されるカセットの反対側の立面図であり、本発明の一体性試験の1つの実施形態の種々の工程において一体性が試験される、このカセットの様々な構成要素または領域を図示する。
【図11】図11は、図5に示されるカセットの反対側の立面図であり、本発明の一体性試験の1つの実施形態の種々の工程において一体性が試験される、このカセットの様々な構成要素または領域を図示する。
【図12】図12は、図5に示されるカセットの反対側の立面図であり、本発明の一体性試験の1つの実施形態の種々の工程において一体性が試験される、このカセットの様々な構成要素または領域を図示する。
【図13】図13は、図5に示されるカセットの反対側の立面図であり、本発明の一体性試験の1つの実施形態の種々の工程において一体性が試験される、このカセットの様々な構成要素または領域を図示する。
【図14】図14は、図5に示されるカセットの反対側の立面図であり、本発明の一体性試験の1つの実施形態の種々の工程において一体性が試験される、このカセットの様々な構成要素または領域を図示する。
【図15】図15は、図5に示されるカセットの反対側の立面図であり、本発明の一体性試験の1つの実施形態の種々の工程において一体性が試験される、このカセットの様々な構成要素または領域を図示する。
【図16】図16は、空気圧に対して機械的な正圧起動を使用する、代替の医療用流体機械の概略図である。
【図17】図17は、医療用流体システムをプライミングするための、本発明の1つの装置および方法を図示する概略図である。
【図18】図18は、医療用流体システムをプライミングするための、本発明の1つの装置および方法を図示する概略図である。
【図19】図19は、医療用流体システムをプライミングするための、本発明の1つの装置および方法を図示する概略図である。
【図20】図20は、医療用流体システムをプライミングするための、本発明の1つの装置および方法を図示する概略図である。
【図21】図21は、医療用流体システムをプライミングするための、本発明の1つの装置および方法を図示する概略図である。
【図22】図22は、医療用流体システムをプライミングするための、本発明の1つの装置および方法を図示する概略図である。
【図23】図23は、溶液バッグおよび排出バッグの水頭高さを評価する、本発明の方法および装置を図示する概略図である。
【図24】図24は、溶液バッグおよび排出バッグの水頭高さを評価する、本発明の方法および装置を図示する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(発明の詳細な説明)
本発明の1つの主要な局面は、使い捨て流体カセットに、機械的または空気力の、正圧または負圧を付与する、任意の型のカセットベースの医療用流体治療のための、改善された漏出検出システムである。本発明の別の主要な局面は、医療用流体治療機械(例えば、自動化腹腔透析(「APD」)システム)のための、改善されたプライミング技術である。APDは、本発明のために好ましい1つの用途であるが、任意のカセットベースの医療用流体システム、または滅菌された使い捨て流体カートリッジを使用するシステムが、本発明の装置および方法を使用し得る。本発明のさらなる主要な局面は、溶液の水頭重量を決定するための装置および方法を提供することである。
【0035】
(改善されたカセットベースの漏出試験)
以下の方法は、「乾式」方法であり、この方法は、流体に基づく一体性試験と比較すると、漏出および他の欠陥に対して、より感度が高い。この方法はまた、以前の試験に付随するいくつかの問題(例えば、漏出の際に、溶液バッグを処分しなければならないこと、またはこの機械の機械的構成要素を潜在的に損なわなければならないこと)を排除する。
【0036】
ここで、図面(特に、図5〜9)を参照すると、図5は、使い捨てセット50を図示し、このセットは、使い捨てカセット100および管のセットを備える。分解されたセグメント52において示されるように、配管セットは、加熱器ライン54、排出ライン56、第一の調整ライン58、日中/第一のバッグライン60、第二の調整ライン62、最終充填ライン64、および患者ライン66を備える。これらのラインの各々は、1つの実施形態において、HomeChoice(登録商標)機械と共に使用される。しかし、他の透析システムまたは医療用流体システムに付随する他のラインが、代替的に、本発明と共に使用され得ることが理解されるべきである。自動化腹腔透析(「APD」)機械、一般的な透析機械、または透析機械以外の医療用流体機械は、本明細書中でまとめて、医療用流体機械150と称され、これは、図6に示される。より多くのラインまたはより少ないラインがまた、本発明の範囲から逸脱することなく、使用され得る。
【0037】
ライン54〜66の各々は、第一の端部がカセット100にて終結し、そして第二の端部がオーガナイザ42にて終結する。作動の際に、機械150は、オーガナイザ42を、最初に、重力によるプライミングが、ライン54〜66のうちの少なくともいくつかを、流体で、少なくとも実質的に端部まで満たし、これらのラインの端部に位置する流体通過コネクタを満たさないことを可能にする高さで、保持する。プライミングは、以下でより詳細に議論される。
【0038】
図6は、カセット100、およびセット50の管54〜66が、1つの実施形態において、機械150内に垂直に装填され、そしてドアガスケット152とダイアフラム154との間で適所にしっかりと保持されることを図示する。ドアガスケット152は、ドア156に取り付けられ、このドアは、開閉するように揺動して、カセット100を適所に取り外し可能にロックする。ダイアフラム154は、弁と、機械150の内部でダイアフラム154の後方に位置するポンプアクチュエータとの間の界面、および弁と、カセット100の内部に位置するポンプ流体受容チャンバとの間の界面を提供する。
【0039】
図7は、カセット100の斜視図であり、ハウジング102を備えるカセット100を示し、このハウジングは、可撓性の膜104および106によって、両側をシールされている。このハウジングは、複数のポンプチャンバP1およびP2、弁V1〜V10(これらの弁は、ハウジング102の、図7に示される側とは反対側に位置する)、複数の流路F1〜F9、ならびに複数のポート108(これらのポートは、内部仕切り110を通って延び、この仕切りは、ハウジング102とカセット100とを、2つの別個の流体流れマニホルドに分割する)を規定する。
【0040】
図8は、図7の線VIII−VIIIを通って見た断面図を図示する。この断面図は、上記の膜106、仕切り110およびポート108を示す。さらに、外部弁チャンバ壁112および内部弁チャンバ壁114が図示されており、これらの壁は、協働して、カセット100の仕切り110の片側で、弁V1〜V10のうちの1つを作製する。さらに、内部チャンバ壁114は、背面116(これもまた、可撓性の膜であり得る)と協働して、カセット100の仕切り110の他の側の流路F1〜F11のうちの種々の流路を作製する。可撓性の膜106は、内部チャンバ壁114への力fの付与(流路F1〜F11のうちの第一の流路と、これらの流路のうちの第二の流路との間の流体接続を閉じるため)の際に、外部チャンバ壁112に密着する。力fの解放、または膜106への弁圧もしくは負の力の付与の際に、膜106は、内部壁114から引き離され、これらの流路の間の連絡を再度確立する。
【0041】
図9は、透析機械のための、空気力制御システム10の斜視図を図示する。例えば、自動化腹腔透析機械が図示されている。図9は、HomeChoice(登録商標)Automated Peritoneal Dialysisシステムにおいて使用される、空気力制御システムの概略図であり、そしてこれは、本発明の作動を記載するために有用である。しかし、本発明の教示は、HomeChoice(登録商標)機械にも、同じかまたは類似の構成要素を有する機械のみにも限定されないことが、理解されるべきである。実際に、本発明は、多くの異なる医療用流体システムに適用可能な、試験および方法論を記載する。
【0042】
本発明の一体性試験のセットアップ部分において、使い捨てカセット100が、透析機械150に装填される。これを行うためには、空気ポンプ(図示せず)が、オンにされる。この空気ポンプは、図9に図示される種々の空気力構成要素(緊急排気弁A5、閉塞具弁C6、ならびに流体弁のためのアクチュエータC0、C1、C2、C3、C4、D1、D2、D3、D4およびD5が挙げられる)と連絡し、これによって、閉塞具158(図6もまた参照のこと)を引き込み、使い捨てセット50およびカセット100が、機械150に装填されることを可能にする。一旦、セット50が装填されると、緊急排気弁A5が閉じられ、その結果、高正圧ブラダー128が膨張し、これによって、カセット100が、ドア156とダイアフラム154との間でシールされ、同時に、閉塞具158を開位置に維持する(図6)。この試験の残りの部分は、図10〜14によって図示される。
【0043】
ここで図10を参照すると、この試験の第一の工程は、ポンプチャンバP1およびP2を、正圧を使用して試験し、そして弁V1〜V10を、負圧を使用して試験する。具体的には、ポンプチャンバP1およびP2を覆うカセット100のカセット被覆材料が、図9に示される低正圧タンク220ならびに弁A3およびB1を使用して、+5psigまで加圧される。−5psigの減圧が、流体弁V1〜V10を覆う、カセット100のカセット被覆材料に対して、図1に示される負圧タンク214ならびに弁A0およびB4を使用して引かれる。
【0044】
次いで、同時の圧力遅延試験が、(i)低正圧タンク220ならびにポンプチャンバP1およびP2の中の空気体積;ならびに(ii)負圧タンク214ならびに流体弁V1〜V10の中の空気体積に対して行われる。正圧システム内の圧力遅延が、例えば、1psigを超える場合、警告が送信され、それに従って、ポンプチャンバの被覆材料が損傷したというエラーまたはコードを表示する。負圧ステムにおける圧力の差が、例えば、1psigを超える場合、警告が送信され、それに従って、流体弁の被覆材料が損傷したというエラーまたはコードを表示する。図10において、この第一の工程について、正圧が試験される領域は、二重斜線で示され、そして負圧が試験される領域は、一重斜線で示される。
【0045】
重要なことには、試験工程1は、カセット100を、外側から試験する。すなわち、圧力が、ポンプチャンバP1およびP2を覆う被覆材料の外側に付与され、そして負圧が、弁V1〜V10を覆う被覆材料の外側に付与される。以下に記載されるように、残りの試験工程は、正圧および負圧を、このカセットの内側からこの被覆材料に付与する。しかし、これらの図の指定は、同じである。すなわち、正圧が試験される領域(内部および外部)は、二重斜線を使用して示される。負圧が試験される領域(内部および外部)は、一重斜線を使用して示される。各工程において試験されるポート108は、黒色であり、そして「正圧が試験される」または「負圧が試験される」のいずれかで表示される。
【0046】
ここで図11を参照すると、本発明の試験の第二の工程は、ポンプチャンバP1およびP2、特定の流体通路、ならびに特定の弁を、正圧および負圧を使用して、試験する。この第二の工程は、負圧タンク214を−5psigに排気し、そして弁B4を開いて、カセット内のポンプチャンバP2を、開いた流体弁V7を通して空気で満たすことによって、開始する。次に、低正圧タンク220を+5psigまで加圧し、そして弁A3を開いて、ポンプチャンバP1を、開いた流体弁V10を通して空にする。次いで、流体弁V7およびV10が、閉じられる。閉塞具弁C6のエネルギーが除かれ、その結果、閉塞具158が閉じ、カセット100を出る全ての流体ライン54〜66を挟み/シールする。次いで、弁A3およびB4が、閉じられる。アクチュエータ弁B1が開かれ、流体弁V4、V6およびV7が開いて、カセットポンプチャンバP2内の空気を加圧し、そしてV4、V6およびV7の下流の流体通路を、閉塞具158を横切る漏出、および/またはカセット内の流体チャネルを横切る漏出について試験する。次いで、アクチュエータ弁A0が開かれ、流体弁V1、V2およびV9が開き、カセットポンプチャンバP1内に減圧を生じ、そしてV1、V2およびV9の下流の流体通路を、閉塞具158を横切る漏出および/またはカセット内の流体チャネルを横切る漏出について試験する。
【0047】
次に、第一のセットの同時の圧力遅延/上昇試験が、低正圧タンク222および負圧タンク214に対して行われる。正圧タンク220と負圧タンク214との両方における圧力差、ならびに正圧タンク220および負圧タンク214における最終圧力が、記録される。弁V3が開かれ、そして第二のセットの同時の圧力遅延/上昇試験が、低正圧タンク220および負圧タンク214に対して、ポンプチャンバP2の内容物が開いた弁V1およびV3を通ってポンプチャンバP1内に自由に流れるにつれて、実施される。第一のセットの圧力遅延試験からの圧力の差の合計が、例えば、2psigを超え、そして第二のセットの試験からの圧力の差が、1psig未満である場合、クロストーク漏出エラーについての警告が発せられる。図11において、第二の工程について、正圧が試験される領域は、二重斜線で示され、そしてポート108が、そのように記され、そして負圧が試験される領域は、一重斜線で示され、そしてポート108は、そのように表示される。
【0048】
ここで図12を参照すると、この試験の第三の工程は、ポンプチャンバP1およびP2、特定の流体通路、ならびに特定の弁を、正圧および負圧を使用して試験する。この第三の工程は、負圧タンク214を−5psigまで排気し、そして弁B4を開いて、このカセット内のポンプチャンバP2を、開いた流体弁V7を通して空気で満たすことによって、開始する。次いで、低正圧タンク220が、+5psigまで加圧され、そして弁A3が開かれて、開いた流体弁V10を通して、ポンプチャンバP1を空にする。次いで、弁V7およびV10が、閉じられる。閉塞具弁C6のエネルギーが除かれ、その結果、閉塞具158が閉じ、カセット100を出る全ての流体ラインを挟み/シールする。弁A3およびB4が閉じられる。ポンプアクチュエータ弁B1が開かれ、流体弁V3、V4およびV6が開いて、ポンプチャンバP2内の空気を加圧し、そしてV3、V4およびV6の下流の流体通路を、閉塞具158を横切る漏出、および/またはカセット100内の流体チャネルを横切る漏出について、試験する。次いで、ポンプアクチュエータ弁A0が開かれ、流体弁V2、V9およびV10が開き、ポンプチャンバP1内に減圧を生じさせて、V2、V9およびV10の下流の流体通路を、閉塞具158を横切る漏出および/またはカセット100内の流体チャネルを横切る漏出について、試験する。
【0049】
次に、第一のセットの同時の圧力遅延/上昇試験が、低正圧タンク222および負圧タンク214に対して実施される。正圧タンク220と負圧タンク214との両方における圧力差、ならびに正圧タンク220および負圧タンク214における最終圧力が、記録される。弁V1が開かれ、そして第二のセットの同時の圧力遅延/上昇試験が、低正圧タンク220および負圧タンク214に対して、ポンプチャンバP2の内容物が開いた弁V1およびV3を通ってポンプチャンバP1内に自由に流れるにつれて、実施される。第一のセットの圧力遅延試験からの圧力の差の合計が、例えば、2psigを超え、そして第二のセットの試験からの圧力の差の合計が1psig未満である場合、それに従って、クロストーク漏出エラーの警告またはコードが、送信される。図12において、第三の工程について正圧が試験される領域は、二重斜線で示され、そしてポート108は、そのように記され、そして負圧が試験される領域は、一重斜線で示され、そしてポート108は、そのように記される。
【0050】
ここで図13を参照すると、この試験の第四の工程は、ポンプチャンバP1およびP2、特定の流体通路、および特定の弁を、正圧および負圧を使用して試験する。この第四の工程は、負圧タンク214を−5psigまで排気し、そして弁B4を開いて、カセット100内のポンプチャンバP2を、開いた流体弁V7を通して空気で満たすことによって、開始する。低正圧タンク220が、+5psigまで加圧され、そして弁A3が開かれて、開いた流体弁V10を通して、ポンプチャンバP1を空にする。流体弁V7およびV10が、閉じられる。閉塞具弁C6のエネルギーが除かれ、その結果、閉塞具158が閉じ、カセット100を出る流体ライン54〜66を挟み/シールする。弁A3およびB4が閉じられる。ポンプアクチュエータ弁B1が開かれ、流体弁V5が開いて、ポンプチャンバP2内の空気を加圧し、そしてV5の下流の流体通路を、閉塞具158を横切る漏出、および/またはカセット100内の流体チャネルを横切る漏出について、試験する。ポンプアクチュエータ弁A0が開かれ、流体弁V1、V2、V9およびV10が開き、ポンプチャンバP1内に減圧を生じさせて、V1、V2、V9およびV10の下流の流体通路を、閉塞具158を横切る漏出および/またはこのカセット内の流体チャネルを横切る漏出について、試験する。
【0051】
次に、第一のセットの同時の圧力遅延/上昇試験が、低正圧タンク222および負圧タンク214に対して実施される。正圧タンク220と負圧タンク214との両方における圧力差、ならびに正圧タンク220および負圧タンク214における最終圧力が、記録される。弁V3が開かれ、そして第二のセットの同時の圧力遅延/上昇試験が、低正圧タンク220および負圧タンク214に対して、ポンプチャンバP2の内容物が開いた弁V1およびV3を通ってポンプチャンバP1内に自由に流れるにつれて、実施される。第一のセットの圧力遅延試験からの圧力の差の合計が、例えば、1.5psigを超え、そして第二のセットの試験からの圧力の差の合計が0.75psig未満である場合、クロストーク漏出エラーの警告またはコードが、送信され、そして表示される。図13において、第四の工程について正圧が試験される領域は、二重斜線で示され、そしてポート108は、そのように記され、そして負圧が試験される領域は、一重斜線で示され、そしてポート108は、そのように記される。
【0052】
ここで図14を参照すると、この試験の第五の工程は、ポンプチャンバP1およびP2、特定の流体通路、および特定の弁を、正圧および負圧を使用して試験する。この第五の工程は、負圧タンク214を−5psigまで排気し、そして弁B4を開いて、カセット100内のポンプチャンバP2を、開いた流体弁V7を通して空気で満たすことによって、開始する。低正圧タンク220が、+5psigまで加圧され、そして弁A3が開かれて、開いた流体弁V8を通して、ポンプチャンバP1を空にする。流体弁V7およびV10が、閉じられる。閉塞具弁C6のエネルギーが除かれ、その結果、閉塞具158が閉じ、カセット100を出る流体ライン54〜66を挟み/シールする。弁A3およびB4が閉じられる。ポンプアクチュエータ弁B1が開かれ、流体弁V3、V4、V6およびV7が開いて、ポンプチャンバP2内の空気を加圧し、そしてV3、V4、V6およびV7の下流の流体通路を、閉塞具158を横切る漏出、および/またはカセット100内の流体チャネルを横切る漏出について、試験する。ポンプアクチュエータ弁A0が開かれ、流体弁V8が開き、ポンプチャンバP1内に減圧を生じさせて、V8の下流の流体通路を、閉塞具158を横切る漏出および/またはこのカセット内の流体チャネルを横切る漏出について、試験する。
【0053】
次に、第一のセットの同時の圧力遅延/上昇試験が、低正圧タンク222および負圧タンク214に対して実施される。正圧タンク220と負圧タンク214との両方における圧力差、ならびに正圧タンク220および負圧タンク214における最終圧力が、記録される。弁V1が開かれ、そして第二のセットの同時の圧力遅延/上昇試験が、低正圧タンク220および負圧タンク214に対して、ポンプチャンバP2の内容物が開いた弁V1およびV3を通ってポンプチャンバP1内に自由に流れるにつれて、実施される。第一のセットの圧力遅延試験からの圧力の差の合計が、例えば、1.5psigを超え、そして第二のセットの試験からの圧力の差の合計が0.75psig未満である場合、例えば、クロストーク漏出エラーの警告またはコードが、送信され、そして表示される。図14において、第五の工程について正圧が試験される領域は、二重斜線で示され、そしてポート108は、そのように記され、そして負圧が試験される領域は、一重斜線で示され、そしてポート108は、そのように記される。
【0054】
上記図11〜14の、試験工程2〜5の各々において、圧力遅延/減圧上昇試験が実施される前に、ポンプチャンバP2は、空気で満たされ、そしてポンプチャンバP1は、排気される。これらの試験は、チャンバP2が、単に大気圧に維持されるのではなく、このチャンバが大気圧より高く加圧される場合に、改善される。1つの理由として、チャンバP2を正圧に維持することによって、試験工程が開始される場合に、このチャンバ内の空気のわずかな圧縮性が補償される。チャンバP2を加圧するために、閉塞具158が閉じた状態で、空気が、チャンバP1からチャンバP2へと押され得る。P2が加圧されると、閉塞具158が開かれ、ポンプチャンバP1が排気されることが可能になる。加圧されたチャンバP2は、試験される通路のうちの1つにおける漏出が検出されない限り、非常にわずかな圧力低下のみを示すべきである。
【0055】
ここで図15を参照すると、この試験の第六の工程は、ポンプチャンバP1およびP2、特定の流体通路、および特定の弁ポート108を、正圧を使用して試験する。この第六の工程を開始するために、−5psigの減圧が、2つのポンプチャンバP1およびP2を覆うカセットの被覆材料に対して引かれ、排出弁V7〜V10以外の全ての流体弁のエネルギーが除去され(閉じられ)、その結果、ポンプチャンバP1およびP2が、空気で満たされる。流体弁V7およびV10が閉じられ、そしてカセット100のポンプチャンバP1およびP2を覆う被覆材料が、低正圧タンク220ならびに弁A3およびB1を使用して、+5psigまで加圧される。次いで、第一の加圧遅延試験が、低正圧タンク220における圧力をモニタリングすることによって、カセット100内の、そのように記されるポンプチャンバP1およびP2、流体流路F6、F7、F8およびF9、ならびに黒色で示される流体ポート108に対して実施される。低正圧タンク220内の圧力差が、例えば、1psigを超える場合、警告が送信され、流体弁の漏出のエラーまたはコードが、それに従って表示される。
【0056】
閉塞具弁C6のエネルギーが除かれ、その結果、閉塞具158が閉じ、カセット100を出る流体ライン54〜66を挟み/シールする。弁A5およびV8を除く全ての弁V1〜V10が開かれ、そして第二の圧力遅延試験が、低正圧タンク220内の圧力をモニタリングすることによって、実施される。低正圧タンク220内の圧力差が、例えば、1psigを超える場合、第六の一連の試験が、繰り返されなければならない。低正圧タンク220内の圧力差が2回目に、例えば、1psigを超える場合、警告が送信され、閉塞具が故障したことを表示する。最後に、この閉塞具が開かれ、そして第三の圧力遅延試験が、低正圧タンク220内の圧力をモニタリングすることによって、実施される。試験工程6は、圧力差が、例えば、1psigを超えない場合、試験1および試験2が失敗していなかったことを検証する。図15において、第六の工程について、正圧が試験された領域は、二重斜線で示され、そしてポート108は、そのように記される。
【0057】
前述の6つの試験工程は、本発明の乾式一体性試験の1つの実施形態を完成させる。図1〜4における、従来技術の工程1〜4の結果を考慮すると、本発明の乾式使い捨て一体性試験の工程1(図10に示される)は、元の乾式一体性試験の4つ全ての工程の等価な構成要素を試験することが、理解されるはずである。
【0058】
重要なことには、試験工程2〜6は、このカセットを内側から試験する。すなわち、正圧が、このカセットの内側で、カセットの被覆材料の内部に付与され、そして負圧が、このカセットの内側で、カセットの被覆材料の内部に付与される。このカセットの内側で、カセット被覆材料の内部に付与される、これらの正圧および負圧は、最初に、圧力(正または負)を、このカセットの外側に付与し、そして弁を切り替えて、所望の圧力分布を、上記のように、このカセットの内部で生じさせることによって、発生させる。
【0059】
試験工程のうちの最初の5つ(図10〜14)は、先端保護具がライン54〜66上に配置され、そしてクランプが、排出ライン56以外の全てのラインに対して閉じている状態で、実施され得る。先端保護具(カセット100のそれぞれのポート上で、キャップ118として比喩的に示される)は、実際に、管54、58、60、62、64および66の端部にある。排出ライン56は、細菌保有性の先端保護具を有し、この保護具は、周囲の空気に対して通じており、この空気は、膜104および106(図7および図8)を通って、またはハウジング102から漏出し、このシステム内の圧力を低下させ、その結果、漏出が検出され得る。これらの先端保護具は、一連の6つの試験工程において、溶液バッグが試験工程6の前に管に接続される場合に、取り外される。図2〜4の、以前の工程2〜4に見られるように、全ての先端保護具は、これらの試験工程のために、取り外される必要がある。従って、先行技術においては、図2〜4に図示される試験のいずれかの間にカセットが故障すると、滅菌されていない空気が、溶液バッグに導入され、これらの溶液バッグおよびカセットを処分することになる。
【0060】
本発明の試験工程2〜5(それぞれ、図11〜14)は、カセット100内の空気を使用して、上記先行技術の湿式漏出試験が試験するのと同じカセットの領域を試験する。先行技術の湿式漏出試験の工程(i)〜(v)は、流体を必要とするので、溶液バッグは、このような流体を得るために、取り付けられなければならない。本発明は、この必要性を排除する。
【0061】
本発明の試験工程1は、先端保護具を、排出ライン以外の全てのラインに接続したままにすることが可能である。なぜなら、これらの弁は、閉位置ではなく開位置で試験されるからである。弁V1〜V10が開かれると、カセット100内の流体チャネルF1〜F11の全てが、ポンプチャンバP1およびP2と、排出ラインとの両方と直接連絡する。この排出ラインは、細菌保有性の先端保護具を有し、この保護具は、空気がこの保護具を通過することを可能にする。例えば、疎水性の膜を備え付けられる。従って、失敗した試験からの空気は、カセット100からこの排出ラインを通過し得、このシステム内の圧力を変化させ、その結果、漏出が検出され得る。
【0062】
本発明の使い捨て一体性試験の試験工程2〜5は、先端保護具を適所に残すことが可能である。なぜなら、このシステムの1つの部品は、加圧可能であり、一方で、他の部品は、排気可能であるからである。カセット100の正に加圧された部分から、排気された部分への空気の漏出は、カセット100から逃れるかまたはカセット100内に漏出する空気と同様に、容易に検出可能である。空気は、水または溶液が漏出を介して流れるよりも容易に流れるので、空気試験は、流体ベースの試験より好都合であり、そして感度が高く、精度および再現性を増し、そして試験時間を短縮する。
【0063】
本発明の試験工程2〜5は、冗長な圧力遅延試験を包含する。この試験は、第一の圧力遅延試験の結果を検証する。試験工程2〜5の4つ全ては、カセット100の加圧されたセクションから、カセット100の排気されたセクションへと漏出する流れを探す。漏出が、このカセットの2つのセクションの間で生じる場合、これらの2つのセクションの圧力は、空気が高圧セクションから排気されたセクションへと流れる場合に、平衡に向かう傾向があるはずである。この冗長試験は、第一の圧力遅延試験の完了の際に、正のセクションと負のセクションとの間の弁を開き、漏出が存在しない場合にはより大きい圧力変化が存在すること、または漏出が存在する場合には最小の圧力変化が存在することを、検証する。
【0064】
閉塞具158が、配管ライン54〜66を適切に圧着しないことは、試験工程2〜5の結果に重要な影響を与えない。なぜなら、先端保護具は、適所にあり、そして試験されているラインの全てが、その他の様式でシールされるからである。さらに、使用者/患者は、セット50を機械150に装填する場合に、排出ライン以外の全てに対するラインクランプを閉じると考えられる。試験工程6(これは、カセット弁V1〜V10、および閉塞具158を試験する)は、乾式または湿式のいずれかで実施され得る。なぜなら、溶液バッグが接続されているからである。乾式試験は、圧力ベースであるが、一方で、この流体試験は、圧力ベースであっても体積ベースであってもいずれでもよい。
【0065】
使用者は、本発明の方法を使用する場合に、一体性試験が失敗した後に、使い捨てセットの排出ラインをクランプするように指示される場合に、そのようにクランプし得、そしてこの使い捨て一体性試験を、再度実行し得る。これらの試験が、2回目には(失敗の様式の多くについて)失敗を示さない場合、この使い捨てセットは、漏出の原因であり得、そして機械150(例えば、この機械の空気力システム、および/またはカセット/機械界面)は、漏出の原因ではない。この特徴は、患者が問題解決の補助を求める場合に、有用である。機械150が適切に作動していること、およびカセット100が故障を引き起こしていることを決定することにより、カセット100と機械150とのいずれが試験の失敗の原因であるかに関する不確実性に起因する、一体性の失敗の後に、患者の機械を不必要に交換することをが、排除される。逆に、それらの試験が、2回目に失敗を示す場合、機械150および/またはカセット/機械界面が、その漏出の原因であり得る。
【0066】
カセット100は、ポンプチャンバP1およびP2、弁チャンバV1〜V10、付随するポート108、ならびに流体通路F1〜F11を備えて図示されるが、本発明は、示されるものとは異なるポンプおよび弁の形状、ならびにさらなる特徴(例えば、加熱気、圧力センサ、温度センサ、濃度センサ、血液検出器、フィルタ、空気分離器、気泡検出器など)を有する、カセットおよび起動システムに対して、等しく適用可能であることが、理解されるべきである。これらのカセットは、1つの面が被覆材料であり剛性であるか、2つの面が被覆材料であり剛性であるか、流体通路を形成する2つの被覆材料を有するか、可撓性部分に接続された剛性部分を有するかであり得る。これらのカセットは、多くの医療用流体送達用途(例えば、腹腔透析、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、連続腎置換療法、医薬送達、血漿フェレーシスなど、およびこれらの任意の組み合わせ)において、使用可能である。
【0067】
図16は、本発明の1つの代替の実施形態を、システム200によって示し、ここで、上で使用された正圧の空気力源は、可撓性膜フィルム203を押す機械的アクチュエータ202で置き換えられている。フィルム203は、その片側に被覆材料204がある状態で、カセット210に付着される。システム200は、ピストンヘッド206がカセット210から引き込まれる場合、またはカセット210の方へと移動する場合に、減圧を使用して、膜203に、強制的に、ピストンヘッド206に従わせる。正圧の外部源が提供されない場合、空気は、ポンピングチャンバ208内に引き込まれ得、一方で、流体弁212は閉じ、そしてアクチュエータ202およびヘッド206は、前方に移動して、内圧を発生させ、この内圧が、本明細書中に記載される使い捨て一体性試験を実施するために、使用される。圧力センサ214は、1つの実施形態において、圧力遅延試験を実施するために、提供される。アクチュエータ202およびヘッド206の位置もまた、一定の力を適用することによって、漏出試験を実施するために使用され得る。このアクチュエータおよびヘッドは、一定の力が付与される場合、漏出が存在しなければ、静止したままであるはずである。前方への移動は、試験されているシステムにおいて漏出が存在することを示す。
【0068】
付録Aは、本発明の一体性試験の工程1からのデータを示す。付録Bもまた、本発明の一体性試験の工程1からのデータを示す。付録Bにおいて、太字の大きいフォントサイズのデータは、欠陥が検出された場合を示す。試験され、そして欠陥があることが既知であった、50個の異なるカセットについて、50個全ての欠陥が検出されたことに、注目すべきである。ソフトウェアが操作者に指示した後に、排出ラインがクランプされると、これらの50の試験のうちの47は、もはや失敗せず、このことは、漏出が、カセット内に存在し、そして治療機械には存在しないことを示した。クランプした50の試験のうちの他の3つは、不十分であった。これらの3つを、太字の斜体で記される。1つのカセットは、2つの欠陥を有するようであることがまた注目すべきであり、これもまた、太字の斜体で強調される。
【0069】
この試験のために、ポンプチャンバの被覆材料に、10の欠陥を作製し、そして弁の被覆材料に、40の欠陥を作製した。全てのポンプチャンバ試験を、正圧を用いて実施し、そして全ての弁の被覆材料の試験を、負圧を用いて実施した。これらの欠陥は、0.035インチ(0.89mm)の外径熱針またはExactoナイフによって、0.125インチ(3.2mm)の一定のスリットを作製するように、止めを位置決めして作製した、穿孔およびスリットであった。
【0070】
付録Cが提出されており、これは、本発明の一体性試験工程2からのデータを示す。正圧は、正圧タンク220(図9)をモニタリングする圧力センサによって測定された、ポンプチャンバP2の内部の圧力を表す。負圧は、負圧タンク214(図9)をモニタリングする圧力センサによって測定された、ポンプチャンバP1の内部の圧力についてである。多数の欠損を予め配置したカセット、および機知の欠陥がない、いくつかのカセットを試験した。これらの欠陥のうちのいくつかは、試験工程2によって検出されなかった。しかし、試験工程3、試験工程4および試験工程5は、試験工程2が明らかにしなかった欠陥を、明らかにした。
【0071】
(改善されたプライミングの方法および装置)
本発明のプライミングの方法および装置を参照すると、この方法および装置は、多くの局面において有利である。第一に、この方法は、上記図6に示される医療用流体機械150のポンプを使用して、このプライミングの初期部分のためのプライミング流体をポンプ送達し、例えば、患者ライン66内で、カセット100の近くで代表的に捕捉されている、気泡を追い出す。第二に、この方法は、機械150の制御器内に含まれるソフトウェアを使用する。このソフトウェアは、医療用流体ポンプが初期のプライミング流体を押す場合の、特定の圧力低下を見出すと期待される。予測される圧力低下が見出されない場合、機械150は、プライミングラインまたは患者ライン上にクランプが存在すると想定し、それに従って応答し、そして適切なエラーメッセージまたはコードを送信する。
【0072】
ここで図17を参照すると、本発明のプライミング方法を実施するための、装置250の初期の概略図が示されている。この装置は、ある体積の流体254で満たされた供給バッグ252を備える。溶液バッグ252からポンプP1およびP2へのラインが、提供される。ほとんどの例において、このラインは、図5および図17に示される、加熱器バッグライン54であり、このラインは、ポンプチャンバP1およびP2を収容するカセット100に入る。弁256および258が、選択的に、流体254を、ライン54を介してポンプチャンバP1およびP2へとそれぞれポンプ送達する。プライミングラインが、ポンプチャンバP1〜P2からこのラインの遠位端へと提供され、このラインは、排気された遠位端コネクタ260を備える。通常、プライミングされるラインは、図5および図17においてライン66として示される、患者ラインである。しかし、このプライミングラインは、患者ラインとは異なるラインであることが、理解されるべきである。さらに、プライミング装置250および付随する方法は、複数のラインを、連続的にかまたは同時にプライミングするシステムに適用可能である。
【0073】
図示されるようなコネクタ260は、図5に関連して上で議論された、オーガナイザ42内に位置決めされる。コネクタ260の位置は、コネクタ260の開始部または内部における所望の地点でプライミングが停止するように、設定される。ライン262によって示されるようなレベルは、コネクタ252内の流体254の高さと同じレベルである。弁266〜268は、ポンプP1およびP2とコネクタ260との間に提供され、流体が、患者ラインまたはプライミングライン66に入ることを、選択的に可能にする。
【0074】
図17に示されるプライミング方法の第一の工程は、弁266および268(黒色)を
閉じ、そして弁256および258(白色)を開くことである。このような弁配置は、流
体254が、容器252から、重力によって供給されるか、またはポンプP1およびP2によって引き込まれ、ポンプチャンバP1およびP2を満たすことを可能にする(図17に示される−1.5psigは、流体がポンプチャンバに引き込まれる際に、可撓性のポンプフィルムに付与される吸引を表す)。弁266および268が閉じているので、流体は、プライミングライン66に入らない。
【0075】
図18は、本発明のプライミング方法の第二の工程を図示する。図18において、弁256および258は閉じられ(黒色)、その結果、さらなる流体は、加熱器バッグライン54を通って、容器252からポンプチャンバP1およびP2へと流れ得ない。次に、1.0psigの圧力が、可撓性のポンプフィルムに付与され、このフィルムを、ポンプチャンバP1およびP2内の流体に対して押し付ける。次いで、弁266および268が開かれ(白色)、その結果、流体連絡が、ポンプチャンバP1およびP2と、プライミングラインまたは患者ライン66と、コネクタ260との間に存在する。
【0076】
図19は、ポンプチャンバP1およびP2を加圧した後に、流体が、これらのチャンバから、患者ライン66またはプライミングライン66の初期部分を通って流れることを図示する。この流体がこれらのポンプチャンバから押し出され、そしてこのポンプフィルムを押し付けている空気の体積が膨張するにつれて、ポンプチャンバP1およびP2の内部の圧力は、それに従って、例えば、約0.1psigまで低下する。チャンバP1およびP2からポンプ送達される流体は、コネクタ260の全体に延びる必要はなく、むしろ、ポンプ送達された流体は、患者ライン66の近位端に捕捉された任意の空気を通って流れ、その結果、このような空気が、プライミングを妨害しないことが意図される。従って、ポンプチャンバP1およびP2に引き込まれる流体の体積は、カセット100からコネクタ260へと延びる患者ライン66の内部の体積より小さいべきである。
【0077】
しかし、患者ライン66を、チャンバP1およびP2のポンプ工程を介して満たす液体の体積は、実際に、いくらかの空気を、排気されたコネクタ260に通して押し、このラインを、部分的に溶液で、そして部分的に空気で満たされたままにする。ここで、この空気は、ライン66の遠位端に収集され、そしてこの溶液は、ライン66の近位端に存在する。この押出しの方法は、患者ライン66に対していかに多くの伸長部が加えられるかにかかわらず、働く。以前のプライミング逐次制御は、標準的な長さの患者ラインが使用されるか、標準的ではない長さの患者ラインが使用されるかに依存して、結果を変動させた。本発明の方法は、患者ラインの長さに無関係であり、そして表1に見られるように、1000ml程度に少ない溶液を含む加熱器バッグとともに使用され得る。
【0078】
【表1】
図20および図21は、装置250に関連するプライミング方法における、最終工程を図示する。ここで、入口弁256および258は、開いており、一方で、出口弁266および268は、開いたままである。
【0079】
図20において、ポンプチャンバP1およびP2内の、図19においてポンプ送達されなかった任意の流体が、重力によって、このようなポンプチャンバから、患者ライン66内へと流される。さらに、流体254は、容器252から重力によって流れ、患者ラインのプライミングを完了する。図20において、チャンバP1およびP2内の圧力は、ほぼ0psigまで低下し得る。なぜなら、図19におけるポンプ行程から残っているあらゆる圧力が、消散するからである。図21は、患者ラインまたはプライミングライン66が、完全にプライミングされ、流体254のレベルが、バッグ252内に残っている流体254の上昇高さ262に達していることを示す。ポンプチャンバP1およびP2内の流体のレベルもまた、ある平衡に達し、この平衡は、これらのチャンバ内のわずかに正圧においてであり得る。すなわち、このポンプチャンバ内の圧力は、患者ライン66の水頭圧力と等しくなり、そしてバッグ252を満たす。
【0080】
患者ライン66が、プライミングの間、不注意でクランプされている場合、図19によって図示される工程において、ポンプチャンバP1およびP2内の圧力は、予測されたレベルまで(例えば、図18に示される1psigから図19に示される0.1psigまで)低下しない。この圧力は、その代わりに、より高いレベル(例えば、0.5psig)に維持される。機械150の内部の制御装置は、この食い違いを感知し、そして患者に、視覚的メッセージ、聴覚的メッセージまたは視聴覚的メッセージによって、患者ラインまたはプライミングライン66のクランプを外すように促す。
【0081】
図22は、本発明のプライミング方法の別の利点を図示する。空気と流体との混合物は、例えば、プライミングの開始の際に、患者ライン66の近位部分(カセット100の近く)に時々出現し得る。この混合物は、通常、カセット100の近くにある。なぜなら、流体が、セットアップ手順の間の手順上のエラーに起因して、このラインに入り得るからである。例えば、患者は、溶液バッグを不適切に接続し得、そしてそのセットが装填される場合に、クランプを開き得る。空気と流体との混合物254は、適切なプライミングを、時々、遅くし得、そして時々、適切なプライミングを防止し得る。図18で開始して図19で終了する、患者ライン66の加圧された補助は、代表的に、空気/流体混合物によって生じる問題を排除するか、または克服して、適切なプライミングを可能にする。
【0082】
上で議論された図16は、本発明のプライミング方法の1つの代替的な実施形態を示し、ここで、システム200が、図17〜21における空気力ポンプP1およびP2の代わりに使用される。図19において使用される正圧の空気力源は、機械的アクチュエータ202で置き換えられ、このアクチュエータは、可撓性膜フィルム203を押し、このフィルムが次に、片側に被覆材料204を有するカセット210に取り付けられる。システム200は、ピストンヘッド206が引き込まれ、そしてカセット210の方へと移動される場合に、減圧を使用して、膜203を強制的に、ピストンヘッド206に沿わせ、流体弁212が開くと、流体を、ポンピングチャンバ208内に引き込む。アクチュエータ202およびヘッド206は、別の流体弁(図示せず)が開くと、前方に移動し、流体を、患者ラインに沿って押す。圧力センサ214は、患者ラインがクランプされている場合、圧力の上昇を検出する。アクチュエータ202およびヘッド206の位置は、弁212がいつ開いて、重力が、患者ラインのプライミングを完了し得るかを決定するために使用され得る。
【0083】
付録Dは、本発明のプライミング方法からのデータを示す。さらに、付録Eのデータは、ポンプチャンバP1およびP2内の圧力が0.2psig未満に低下した場合に弁256および258を開くソフトウェアプログラムから得られた。この圧力が、0.2psig未満に低下しなかった場合、その圧力が記録され、そして「PosPが0.20psigに達する前の休止時間(Timeout before PosP reached 0.20 psig)」というメッセージが記録された。多数の通常のプライミング、および患者ラインがこのラインの遠位端において患者コネクタの近くにクランプされている多数のプライミングを、実施した。
【0084】
(溶液バッグの水頭高さの決定)
透析(例えば、腹腔透析もしくは血液透析)、または他の腎臓治療(例えば、血液濾過もしくは血液透析濾過)は、多数の溶液バッグ(例えば、透析バッグ、乳酸塩バッグおよ
び/またはブドウ糖バッグ)を使用して、実施され得る。このような場合、必要とされる溶液バッグは、以下であることが決定されることが有利である:特定の治療(例えば、機械によって実施される、自動化腹腔透析)が実施されることを可能にするために適切な垂直位置に(i)存在し、そして(ii)位置する。このような決定は、治療の開始の際に、例えば、プライミングおよびカセットの一体性試験の間になされ、この機械が、処置の開始の前、および/または患者が眠る前に、あらゆる問題を患者に警戒させ得るべきである。
【0085】
ここで図23および図24を参照すると、溶液バッグの水頭高さを決定するための1つの実施形態を図示するシステム300が、図示されている。図23のシステム300は、溶液バッグ302および304を備え、これらのバッグは、それぞれ、流体ライン310および312を介して、ポンプチャンバ306および308に流体的に接続されている。ポンプチャンバ306および308は、それぞれ、可撓性のダイアフラム314および316を収容する。透析液または治療流体は、流体弁318および320が開くと、ポンプチャンバ306および308から、流体通路322を通り、そして排出バッグ324へと流れる。
【0086】
システム300は、チャンバ306に流体的に接続された弁326および328、ならびにチャンバ308に流体的に接続された弁330および332を備える。空気/減圧チャンバ338および340は、それぞれ、弁326と328との間、および弁330と332との間に配置される。差示圧力センサ334および336は、それぞれ、チャンバ338および340の内部の差示圧力を感知する。弁326、328、330および332が開いており、一方でポンプチャンバ306および308が空である場合、差示圧力センサ334(弁326と328との間に配置される)および差示圧力センサ336(弁330と弁332との間に配置される)は、0にされる。なぜなら、空気/減圧チャンバ338および340の内部の圧力は、大気圧と等しいからである。
【0087】
図24に見られるように、弁318、320、328および332が閉じており、そして流体弁326、330、342および344が開いている場合、溶液バッグ302および304からの流体は、それぞれ、流体通路310および312に沿って、ポンプチャンバ306および308に垂直に流れ込む。それぞれの可撓性ダイアフラム314および316は、流体がポンプチャンバ306および308に流入すると移動し、空気/減圧チャンバ338および340内に捕捉された空気の圧力上昇を引き起こす。流体は、それぞれの空気/減圧チャンバ338および340内の圧力が、圧力センサ334および336によって測定される場合に、垂直距離Y1およびY2と高さが等しいカラム内の溶液(密度上では、水に近い)によって付与される圧力に等しくなるまで、開いた弁342および344を通って、チャンバ306および308内へと流れる。
【0088】
高さY1およびY2の溶液のカラムによって付与される圧力に等しい圧力が、医療用流体治療システム300(例えば、APDシステム)について予め決定された作動パラメー
タ内である場合、この治療を続けることが許される。そうではない場合、患者または操作者に、溶液バッグ302または304のうちの一方または両方が、システム300の作動パラメータの外側にあることを伝える、適切な警告が通知される。
【0089】
溶液バッグ302と304との垂直位置(圧力水頭高さ)の差によって引き起こされる圧力差はまた、システム300が、1つの実施形態における仕様内で作動するために設定された制限内にあるべきである。負の水頭高さに供されるポンプの入口側は、正の水頭高さの圧力がポンプの入口側に見られる場合に行われる行程と比較して、チャンバ306および308の各行程に対してポンプ送達される流体が、より少ない。従って、等しい体積の異なる溶液が、チャンバ306および308によってポンプ送達され、そして所望の比(例えば、1:1)で混合される場合、これらの2つの溶液の垂直位置および対応する圧
力水頭高さは、同じかまたは実質的に同じであることが、有利である。
【0090】
図23および24における、システム300の先の記載は、センサ334および336がどのように0にされ得、次いで、充填逐次制御の観点において(すなわち、ポンプチャンバ306および308が、空から満杯まで動く)、溶液バッグの高さを試験するために使用され得るかを説明する。逆に、センサ334および336が0にされ得、次いで、排出逐次制御の観点で(すなわち、ポンプチャンバ306および308が、満杯または部分的に満杯から、空へと動く)、排出バッグの高さを試験するために使用され得ることが理解されるべきである。
【0091】
排出試験において、ポンプチャンバ306および308は、最初に、弁342および344を開くことによって、それぞれ、溶液バッグ302および304からの流体で満たされ、その結果、治療流体は、図24に示されるように、それぞれ、流体通路310および312を通って、ポンプチャンバ306および308内へと流れる。次いで、弁326、328、330および332が開かれ、空気/減圧チャンバ334および336の内部の圧力が、大気圧に対して0にされることを可能にし、そしてセンサ334および336の差示圧力センサの読みが、0に設定または再設定されることを可能にする。
【0092】
次いで、弁342、344、328および332が閉じられ、そして弁318、320、326および330が開かれる。次いで、流体は、ポンプチャンバ306および308から、流体通路322を通って、排出バッグ324へと流れる。ポンプチャンバ306および308内のポンプチャンバ内のダイアフラム314および316は、それに従って動き、それぞれ、空気/減圧チャンバ338および340の内側に、減圧を生じる。空気/減圧チャンバ338および340の内部の減圧が、それぞれ、圧力センサ334および336によって測定される場合に、図23に示される高さY3の溶液のカラム(負の圧力の水頭高さ)に等しい場合、流体の流れは停止する。
【0093】
排出試験は、排出バッグ/排出ラインの排液が、ポンプチャンバ306および308の下方に位置し、その結果、重力に起因する逆流が起こらないことを確実にする。この排出試験はまた、この排出が、ポンプおよび弁のかなり下方に位置しないことを確実にする。ここで、この位置は、これらの弁の作動に対して、不利な影響を引き起こす。高さY3の溶液のカラムに等しい圧力が、医療用流体治療システム300の予め決定された作動パラメータの範囲内である場合、この治療を続けることが許容される。そうではない場合、患者または操作者に、排出バッグ324が、システム300の作動パラメータの外側にあることを伝える、適切な警告が通知される。
【0094】
本明細書中に記載された現在好ましい実施形態に対する種々の変化および変更が、当業者に明らかであることが、理解されるべきである。このような変化および変更は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、そしてその意図される利点を減縮することなくなされ得る。このような変化および変更は、添付の特許請求の範囲によって網羅されることが、意図される。
【0095】
【表2】
【0096】
【表3】
【0097】
【表4】
【0098】
【表5】
【0099】
【表6】
【0100】
【表7】
【0101】
【表8】
【0102】
【表9】
【0103】
【表10】
【0104】
【表11】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、2003年10月28日に出願された、発明の名称「Improved Priming,Integrity and Head Height Methods and Apparatuses for Medical Fluid Systems」の、米国仮特許出願番号60/515,815(その全内容は、本明細書中に参考として援用され、そして信頼される)の利益を主張する。
【0002】
(発明の背景)
本発明は、一般に、医療用流体システムに関し、そしてより具体的には、このようなシステムの試験およびプライミングに関する。
【背景技術】
【0003】
腹腔透析システムにおいて、使い捨てカセット内の多数の流体弁が漏出しないこと、このカセット内の複数のポンプチャンバの間で漏出が起こらないこと、流体通路にまたがる漏出が起こらないこと、および隔離閉塞具(これは、システムの不調の場合に、このカセットに接続された流体ライン内の液体の流れを止めることが意図される)がその手順を適切に実施していることを検証しようと試みる、一体性試験を実施することが、公知である。特許文献1に記載される、1つの公知の湿式漏出試験において、使い捨てカセットが、腹腔透析サイクラーにロードされ、そして溶液バッグが接続される。この試験は、以下の工程からなる:
(i)流体弁のダイアフラムの負圧の減衰試験が実施される;
(ii)この流体弁のダイアフラムの正圧の減衰試験が実施される;
(iii)負圧の減衰試験が第二のポンプチャンバに対して実施される間に、第一のポンプチャンバに対して、正圧の減衰試験が実施される;
(iv)正圧の減衰試験が第二のポンプに対して実施される間に、第一のポンプチャンバに対して、負圧の減衰試験が実施される;その後
(v)両方のポンプチャンバが、計量された体積の流体で満たされ、全ての流体弁が開かれ、そして閉塞具が閉じられ、正圧が、ある時間にわたって、両方のチャンバに付与され、その後、各ポンプチャンバ内の流体の体積が、再度測定されて、いくらかの流体がこの閉塞具を横切って漏出したか否かを決定する。
【0004】
示されるように、上記試験手順は、溶液バッグが腹腔透析システムに接続された後に実施される。カセットまたは配管の一体性が不合格である場合、これらの溶液バッグの滅菌性が、損なわれる。このような場合、使い捨てカセットと溶液バッグとの両方が、処分されなければならない。さらに、溶液バッグからの液体が、この機械の空気力システムに吸引され得、この機械の空気力システムの不調を引き起こす可能がある。
【0005】
湿式試験はまた、誤った誘発を受けやすい。具体的には、試験において使用される冷たい溶液は、毎年、多くの誤った使い捨て一体性試験警告を引き起こす。なぜなら、閉塞具(これは、全ての流体ラインを締めて閉じることが前提とされる)が配管ラインを適切に圧着または密封しない場合、この試験は失敗するからである。この溶液が冷たい場合、この溶液は、セットの配管を、この配管が室内の空気中に置かれる場合にのみ達する温度より低い温度まで冷却する。より冷たい配管は、閉塞することがより困難であり、いくつかの場合には、流体を、この閉塞具を超えて漏出させ、そして試験を失敗させる。一旦、透析治療が開始されると、この配管を通過する流体は、約37℃まで温められ、この閉塞具が満足に機能することを可能にする。
【0006】
従って、一体性試験が、溶液バッグが治療機械に取り付けられる前に実施されること、および誤った誘発を防止するために、冷たい溶液の使用を排除することが、望ましい。
【0007】
「乾式」試験が、特許文献2に、簡単に記載されている。この記載は、部分的には、1998年12月の、Baxter HomeChoice(登録商標)サイクラーにおいて実施される「乾式試験」に基づく。HomeChoice(登録商標)サイクラーにおいて実施される実際の試験は、4つの工程からなり、その第一の工程は、溶液バッグが接続される前に行われる。次の3つの工程は、溶液バッグが接続されることを必要とするが、流体が、これらのバッグからこの機械へと引き込まれることは必要としない。図1〜4は、公知の「乾式」試験の個々の工程によって試験される、流体カセットの領域を図示する。上記「乾式」試験は、流体が、機械の空気力装置内に潜在的に漏出する問題を排除するが、この試験は、漏出の際にこれらのバッグの滅菌性が潜在的に損なわれること、および従って、使い捨てカセットの一体性が損なわれた場合に処分されることを、防止しない。
【0008】
さらに、空気を用いる乾式試験は、透析流体を使用する湿式試験より感受性が高いと考えられる。従って、一体性試験が、感度の理由により、そして上記理由により、空気を使用することがまた、望ましい。
【0009】
一体性試験は、医療用流体機械の製造業者に対して、1つの問題を提示するが、別の共通の問題は、これらの機械内の流体システムのプライミングである。多くの例において、空気が、安全の目的で、1つ以上の管からパージされなければならない。例えば、透析の分野において、患者の腹腔または静脈および動脈が、空気を含まない透析流体を受容するように、このシステムから空気をパージすることが、不可欠である。その結果、自動化透析機械には、これまでに、プライミングシステムが提供されている。腹腔透析において、プライミングの目的は、流体を、そのラインの端部(この端部において、患者の輸送セットに接続する患者コネクタが位置する)まで完全に押し、一方で、プライミング流体は、このコネクタを通らず、流体を、このシステムから流し出すことである。
【0010】
代表的に、透析機械は、プライミングのために、重力を使用する。重力によってプライミングされる公知のシステムには、多くの欠点がある。第一に、いくつかのプライミングシステムは、特殊な大きさのバッグのために設計される。他の大きさのバッグが使用される場合、このプライミングシステムは、適切に働かない。第二に、プライミングの開始の際に、空気と流体との混合物が、患者ライン中に、その近位端の近くに存在して、使い捨てカートリッジまたはカセットを閉じ得るということが、多くのシステムにおいて起こる。流体は、カセットの設置および/または一体性試験に起因して、時々、このカセット内に集まる。このように流体が集まることにより、この流体と、入ってくるプライミング流体との間に、空気のギャップが生じ得る。この空気のギャップは、重力によるプライミングを妨害し得、そして時々、妨げ得る。実際に、多くの手順指針は、患者ラインが適切にプライミングしていないようである場合に、このラインの一部分を叩く工程を包含する。この叩く工程は、この流体ライン内に捕捉された任意の気泡を追い出すことを意味する。
【0011】
プライミングにおいて比較的頻繁に起こる第三の問題は、患者が、患者ラインをプライミングする前に、このライン上のクランプを取り外し忘れることである。この締められたラインは、このラインを適切にプライミングさせない。この患者が、治療の残りの部分に進む前に患者ラインからクランプを取り外すことが必要であることをこの患者に具体的に伝えるために、警告が必要とされる。第四に、排気された先端保護具が、患者ラインの端部に提供される場合、この排気された先端保護具は、適切に排気しないかもしれず、そしてプライミングを妨害し得る。ここでまた、このラインが適切にプライミングされていないことを患者に伝えるための、警告が必要とされる。第五に、費用が、常に、要因である。上記問題を克服するプライミング装置およびプライミング方法を提供することに加えて、プライミングを実施するために、可能であれば、既存の構成要素を使用して、さらなる構成要素およびさらなる費用を加える必要性を回避することもまた、望ましい。
【0012】
医療用流体システム、および特に、自動化腹腔透析(「APD」)システムについての別の問題は、溶液バッグが、この機械が所望のパラメータ内で作動するために適切な、この機械に対する高さに位置することを確実にすることである。溶液バッグ(例えば、透析液バッグ、乳酸塩バッグおよび/またはブドウ糖バッグ)の高さは、適切な量の流体が、治療の間に患者にポンプ送達されること、ならびに正しい量および割合の添加剤が注入されることを確実にするために、モニタリングされる必要がある。バッグの位置の決定を議論する2つの特許は、特許文献3および特許文献4である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,350,357号明細書
【特許文献2】米国特許第6,302,653号明細書
【特許文献3】米国特許第6,497,676号明細書
【特許文献4】米国特許第6,503,062号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要旨)
本発明は、1つの主要な実施形態において、使い捨てカセットの被覆用材料と、成型されたカセットフィーチャーとの両方に対して、一体性試験を実施する。本発明の方法は、カセットをベースとした多くのプライミングおよび液体分配システムに適用可能であり、そして具体的には、透析処置(例えば、自動化腹腔透析)のために適切である。この一体性試験の工程は、ほぼ専ら、溶液バッグ(例えば、腹腔透析溶液バッグ)が、透析治療機械(例えば、腹腔透析機械)に接続される前に実施される。このような試験は、一体性の問題が生じる場合に、患者は、使い捨てカセットおよび付随する配管を処分する必要があるのみであり、溶液を処分する必要がないので、有利である。また、流体は、試験を実施するために機械に接続されないので、漏出に起因して、溶液がこの機械の空気力装置に吸引される(潜在的に、不調を引き起こす)機会がない。
【0015】
本発明の乾式試験は、排出ライン以外の全ての流体ラインが、キャップされた状態で実施される。この排出ラインは、空気が逃れることを可能にするが、液体が逃れることを可能にしない、先端保護具および/または膜で覆われる。これらのラインは、キャップされたままであるので、これらのラインは、溶液バッグに接続されない。その結果、このカセットに漏出が起こる場合に、溶液バッグはいずれも、汚染されない。
【0016】
これらの試験工程は、多数の理由により、キャップされたラインを用いて実施されることが可能である。いくつかの工程において、排出ライン以外の全てのラインに接続された先端保護具(すなわち、キャップ)は、適切な位置に残される。なぜなら、カセットの被覆材料および流体通路は、弁が閉位置ではなく開位置にある状態で試験されるからである。これらの弁が開いている場合、このカセット内の流体チャネルの全ては、ポンプチャンバと排出ラインとの両方と直接連絡し、この排出ラインは、空気が通過することを可能にする、細菌を保持する先端保護具を有する。従って、失敗した試験からの空気は、カセットからこの排出ラインを通過し、このシステム内の圧力を変化させ、その結果、漏出が検出され得る。
【0017】
他の試験工程において、先端保護具は、適切な位置に残され得る。なぜなら、このシステムの一部分が加圧され、一方で、他の部分が排気されるからである。このカセットの正に加圧された部分から漏出する空気は、排気された部分へと漏出し、そして空気がこのカセットから逃れるにつれて、または空気がこのカセット内に漏出するにつれて、容易に検出可能である。さらに、空気は、漏出によって、水または溶液より容易に流れるので、空気試験は、流体ベースの試験より好都合であり、そして高感度であり、精度および再現性を高め、そして試験時間を短縮する。
【0018】
本発明は、別の主要な実施形態において、医療用流体送達システムをプライミングするための、装置および方法を提供する。このプライミング方法およびプライミング装置は、本明細書中で、自動化腹腔透析機械について記載されるが、この試験は、安全性または作動の理由により空気をパージすることを必要とする、任意の流体送達システムに適用可能である。これらの装置および方法は、流体容器または流体バッグ、少なくとも1つの流体ポンプ、および少なくとも1つの配管ライン(例えば、この流体ポンプから延びる患者ライン)を有するシステムを用いて、作動する。このプライミング方法の第一の工程において、流体ポンプを囲む弁は、流体が、重力によって、またはこのポンプによって、ポンプチャンバに流入し、そしてこのようなポンプチャンバを満たすが、このチャンバから出ないように、構成される。第二の工程において、これらの弁は、供給バッグ内の流体がもはやポンプチャンバを満たし得ないように、そしてこのポンプチャンバが加圧され得るように、切り替えられ、これによって、このポンプチャンバから流体を下流へと、そして特に、患者ライン内へとポンプ送達する。この機械プロセッサは、このポンプチャンバがそこから流体を排出する場合に、このポンプチャンバ内の圧力低下を予測するように、構成される。このような圧力低下が見られない場合、患者はおそらく、患者ラインのクランプを取り外すことを忘れているので、エラーメッセージが発せられる。最終工程において、このポンプを囲む弁が開かれ、その結果、容器またはバッグからの流体は、流体が患者ラインの端部に達するまで、患者ラインを流れ続け得、そしてプライミングし続け得る。この端部は、流体容器内の流体の頂部と同じ上昇高さに位置する。
【0019】
上に示されたように、患者ラインが、プライミングの間に不注意でクランプされる場合、押す工程の間のポンプチャンバ内の圧力は、予測されるレベルまで低下せず、適切な警告を促す。さらに、流体を患者ラインの近位部分(カセットに近い方)に通して最初に押すことは、多くの場合、このラインの近位部分に捕捉された空気によって引き起こされる、流体に対する抵抗に打ち勝ち、その後に適切な様式で、プライミングが起こることを可能にする。
【0020】
本発明のプライミングの別の局面は、1つ以上の溶液バッグと、1つの排出バッグとの、垂直位置、すなわち水頭高さを決定するための装置および方法である。これらの方法および装置は、大気圧を使用して、治療機械(例えば、APD機械)に対する0位置を確立する。このバッグ高さの決定は、溶液バッグが、所望のポンプ送達流量を達成するために適切な位置にあるか否か、この溶液バッグが、加熱器プレート上で適切に位置しているか否か、2つ以上のバッグの間の相対位置が適切であるか否か、排出バッグが適切な位置に位置しているか否か、またはバッグのうちの1つ以上が空であるか否か、などを決定し得る。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
プロセッサの制御下にある透析機械であって、上記機械は、以下:
使い捨ての医療用流体カセットを受容するように構成された起動ユニットであって、上記起動ユニットは、可撓性の膜を備え、上記カセットは、医療用流体を受容するように配置されている、起動ユニット、
を備え;
上記起動ユニットおよび上記プロセッサは:
第一の一体性試験において、上記カセットの上記膜の外側表面に正圧を提供し、そして上記外側表面に対する上記正圧の減衰を測定するように作動可能であり;そして
第二の一体性試験において、上記カセットの上記膜の内側表面に正圧を提供し、そして上記内側表面に対する上記正圧の減衰を測定するように作動可能である、
透析機械。
(項目2)
正圧が、上記第一の試験と第二の試験とのうちの少なくとも1つにおいて、空気力供給源または機械的デバイスを介して提供される、項目1に記載の透析機械。
(項目3)
上記空気力供給源に位置し、上記正圧の減衰を感知するためのセンサを備える、項目2に記載の透析機械。
(項目4)
上記第二の一体性試験における上記正圧が、上記カセットの少なくとも一部分に付与され、上記一部分が、ポンプ送達部分、弁部分、ポート部分および流露部分からなる群より選択される、項目1に記載の透析機械。
(項目5)
上記第一の一体性試験における上記正圧が、上記膜の上記外側表面の第一の部分に付与され、そして負圧が、上記膜の上記外側表面の第二の部分に付与される、項目1に記載の透析機械。
(項目6)
上記第一の一体性試験における上記正圧が、上記膜の上記外側表面の第一の部分に付与され、そして負圧が、上記膜の上記外側表面の第二の部分に付与される、項目1に記載の透析機械。
(項目7)
上記第二の一体性試験における正圧が、上記膜の上記内側表面の第一の部分に付与され、そして負圧が、上記膜の上記内側表面の第二の部分に付与される、項目1に記載の透析機械。
(項目8)
上記第二の一体性試験が、第一の試験であり、上記第一の試験において、圧力が、上記カセットの上記膜の内側表面に付与され、そして圧力の減衰が測定され、そして上記第二の一体性試験は、少なくとも1つのさらなる一体性試験を包含し、上記さらなる一体性試験において、正圧と負圧とのうちの少なくとも一方が、上記カセットの上記膜の内側表面に付与され、そして正圧の減衰と負圧の減衰とのうちの少なくとも一方が、測定される、項目1に記載の透析機械。
(項目9)
上記第二の試験が、上記第一の試験の後に行われる、項目1に記載の透析機械。
(項目10)
関連する圧力の減衰が、予め設定された範囲に従わない場合、上記第一の試験と第二の試験とのうちの少なくとも一方が、警告を誘発する、項目1に記載の透析機械。
(項目11)
上記膜の内側表面と外側表面とに対する正圧を発生させるために、同一の圧力源が使用される、項目1に記載の透析機械。
(項目12)
プロセッサの制御下にある透析機械であって、上記機械は、以下:
使い捨ての医療用流体カセットを受容するように構成された起動ユニットであって、上記カセットは、複数の流体ラインを有し、上記流体ラインの各々は、処置における使用の前に、上記ライン内の空気の滅菌性が維持されるように、収容されており、上記カセットは、医療用流体を受容するように配置されている、起動ユニット、
を備え;そして
上記起動ユニットおよび上記プロセッサは:
(iii)上記流体ラインが収容されている間であって、上記流体ラインのいずれかが流体供給源に接続される前に、
(i)上記カセットの膜の内側表面に空気圧を提供するように作動可能であり;そして
(ii)上記圧力の減衰を測定するように作動可能である、
透析機械。
(項目13)
上記流体ラインのうちの少なくとも1つが、先端保護具、ラインクランプ、および疎水性膜からなる群より選択される、少なくとも1つのデバイスによって収容されている、項目12に記載の透析機械。
(項目14)
上記起動ユニットおよび上記プロセッサが、さらに:
(iii)上記流体ラインのうちの少なくとも1つが、上記流体供給源に接続されている間に、
(i)上記内側表面に正圧を提供するように作動可能であり、そして
(ii)圧力の減衰を測定するように作動可能である、
項目12に記載の透析機械。
(項目15)
上記少なくとも1つの流体ラインが上記流体供給源に接続されている間に付与される圧力が、空気圧または液圧である、項目14に記載の透析機械。
(項目16)
上記内側表面に付与される圧力が、正の空気圧と負の空気圧とのうちの少なくとも一方である、項目12に記載の透析機械。
(項目17)
上記正圧および負圧が、同時に提供される、項目16に記載の透析機械。
(項目18)
上記膜の上記内側表面に付与される圧力が、上記膜の外側表面に圧力を付与すること、および少なくとも1つの弁を操作することによって発生する、項目12に記載の透析機械。
(項目19)
上記膜の上記外側表面に付与される圧力が、正圧と負圧とのうちの少なくとも一方である、項目12に記載の透析機械。
(項目20)
上記圧力が、上記カセットの選択された部分に付与される、項目12に記載の透析機械。
(項目21)
上記プロセッサが、上記測定された圧力の減衰が予め設定された範囲に従わない場合に警告信号を処理するように、さらに作動可能である、項目12に記載の透析機械。
(項目22)
使い捨てカセットと共に作動可能な起動ユニットを有する透析機械のための、改善された一体性試験方法であって、上記方法は、以下:
第一に、上記カセットの圧力保持容量を試験する工程;および
第二に、上記起動ユニットの作動を試験する工程、を包含し、その結果、使用者は、試験の不合格に関して、上記不合格が、上記カセットにおける不合格に起因するのか、上記起動ユニットにおける不合格に起因するのかを決定し得る、方法。
(項目23)
上記カセットの圧力保持容量を試験する工程が、複数の圧力減衰試験を実施する工程を包含する、項目22に記載の方法。
(項目24)
上記カセットの圧力保持容量を試験する工程が、上記カセットの選択された部分の圧力保持容量を試験する工程を包含する、項目22に記載の方法。
(項目25)
上記カセットの圧力保持容量を試験する工程が、正圧と負圧とのうちの少なくとも一方を使用して、圧力減衰試験を実施する工程を包含する、項目22に記載の方法。
(項目26)
上記カセットの保持容量を試験する工程が、上記カセットの外側および内側の少なくとも一方に付与される圧力に対して、圧力減衰試験を実施する工程を包含する、項目22に記載の方法。
(項目27)
上記起動ユニットの作動を試験する工程が、カセット弁の作動と配管閉鎖作動とのうちの少なくとも1つを試験する工程を包含する、項目22に記載の方法。
(項目28)
流体ポンプ、および上記ポンプより上流に位置する流体バッグと連絡する、流体ラインをプライミングする方法であって、上記方法は、以下:
(a)上記流体ラインの一部を通して、流体をポンプ送達する工程:および
(b)上記流体ラインの残りの部分が、重力によってプライミングされることを可能にする工程、
を包含する、方法。
(項目29)
上記バッグの流体レベルと、上記流体ラインの遠位端とを、実質的に同じ上昇高さに設定する工程をさらに包含する、項目28に記載の方法。
(項目30)
上記ポンプの上流の入口弁が開いている間、上記ポンプの下流の出口弁を閉じる工程、および上記ポンプを使用して、流体を、上記バッグから、上記ポンプのポンプチャンバ内へと引き込む工程を包含する、項目28に記載の方法。
(項目31)
上記入口弁を閉じる工程、上記出口弁を開く工程、および上記流体を、上記流体ラインの一部分に通してポンプ送達する工程を包含する、項目30に記載の方法。
(項目32)
上記入口弁および出口弁を開く工程、ならびに上記バッグからの流体が、重力によって供給されて、上記流体ラインの残りの部分をプライミングすることを可能にする工程を包含する、項目30に記載の方法。
(項目33)
流体ポンプ、および上記ポンプの上流に位置する流体バッグと連絡する、流体ラインをプライミングする方法であって、上記方法は、以下:
(a)上記流体ラインの一部分を通して、流体をポンプ送達する工程;および
(b)上記流体ラインの一部分を通る上記流体のポンプ送達の際に、予測される圧力低下の欠如を感知することによって、上記流体ラインから、患者クランプが適切に取り外されていないことを検出する工程、
を包含する、方法。
(項目34)
上記流体ラインの一部分を通しての流体のポンプ送達を介して、上記流体ライン中の空気に打ち勝つ工程を包含する、項目33に記載の方法。
(項目35)
流体供給源および流体ポンプを備える医療用流体システムのための、水頭高さを検証する方法であって、上記流体ポンプは、ポンプチャンバの内部に位置する可撓性の膜を備え、上記方法は、以下:
(a)上記供給源からの流体で、上記流体ポンプの少なくとも一部分を、重力によって満たす工程であって、上記流体は、上記チャンバ内の上記可撓性の膜を移動させる、工程;
(b)上記移動した膜の、上記流体とは反対側において、上記チャンバ内の空気圧を測定する工程であって、上記空気圧は、上記供給源の水頭高さを示す、工程;および
(c)上記水頭高さが認容可能であるか否かを決定する工程、
を包含する、方法。
(項目36)
上記ポンプが、第一のポンプであり、そして上記流体供給源が、第一の流体供給源であり、そして第二のポンプおよび第二の流体供給源を備え、上記第二のポンプおよび第二の流体供給源に対して手順(a)〜(c)を実施する工程を包含する、項目35に記載の方法。
(項目37)
上記水頭高さが認容可能でない場合に警告を提供する工程を包含する、項目35に記載の方法。
(項目38)
上記チャンバ内の空気圧を測定する工程が、上記膜の反対側の空気圧が0であると予測される場合に圧力センサを較正する工程を包含する、項目35に記載の方法。
(項目39)
流体排出部および流体ポンプを備える医療用流体システムのための、水頭高さを検証する方法であって、上記流体ポンプは、ポンプチャンバの内部に位置する可撓性の膜を備え、上記方法は、以下:
(a)流体を、上記流体ポンプから上記流体排出部へと、重力によって除去する工程であって、上記流体の除去が、上記チャンバ内の上記可撓性の膜を移動させる、工程;
(b)上記移動した膜の、上記流体とは反対側において、上記チャンバ内の空気圧を測定する工程であって、上記空気圧は、上記流体ポンプと上記流体排出部との間の水頭高さを示す、工程;および
(c)上記水頭高さが認容可能であるか否かを決定する工程、
を包含する、方法。
(項目40)
上記水頭高さが認容可能でない場合に警告を提供する工程を包含する、項目39に記載の方法。
(項目41)
上記チャンバ内の空気圧を測定する工程が、上記流体ポンプからの流体の除去の前に、上記膜の反対側の空気圧が0であると予測される場合に、圧力センサを較正する工程を包含する、項目39に記載の方法。
(項目42)
上記チャンバ内の空気圧を測定する工程が、負の空気圧を測定する工程を包含する、項目39に記載の方法。
【発明の効果】
【0021】
従って、本発明の利点は、以前の実施より短い時間を消費する、一体性試験を提供することである。
【0022】
本発明の別の利点は、漏出を検出する際に、以前の実施より効果的である、一体性試験を提供することである。
【0023】
本発明のさらなる利点は、漏出が検出される場合に、患者に対してより好都合である、一体性試験を提供することである。
【0024】
本発明の別の利点は、漏出が検出される場合に、処分されなければならない供給物を最小にする、一体性試験を提供することである。
【0025】
本発明のなお別の利点は、他の機械構成要素(例えば、流れライン閉塞具)の故障に影響されない、一体性試験を提供することである。
【0026】
本発明のさらに別の利点は、温かい溶液を必要としない、一体性試験を提供することである。
【0027】
本発明のなおさらなる利点は、使用者が、使い捨てのセットの故障と、機械またはサイクラーの空気力システムにおける漏出との間を区別することが可能である、一体性試験を提供することである。
【0028】
さらに、本発明の利点は、一体性試験において使用される冷たい溶液に起因して誘発される失敗を排除することである。
【0029】
なおさらに、本発明の利点は、プライミングライン内に最初に位置するエアポケットを自動的に追い出すように作動する、プライミングの方法および装置を提供することである。このエアポケットは、追い出されない場合、プライミングを遅くするか、または完全に停止させる傾向がある。
【0030】
本発明のなお別の利点は、患者または操作者が、クランプを患者ラインに不注意で残している場合を検出し、これによって、治療機械が適切な警告を発し得る、プライミングの装置および方法を提供することである。
【0031】
なおさらに、本発明の利点は、1つ以上の溶液バッグおよび排出バッグの上昇位置および水頭高さを決定し得ることである。
【0032】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の発明の詳細な説明および図面に記載されており、そしてこれらから明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、公知の一体性試験の間に一体性が試験されるカセットの様々な領域を示す、カセットの反対側の図である。
【図2】図2は、公知の一体性試験の間に一体性が試験されるカセットの様々な領域を示す、カセットの反対側の図である。
【図3】図3は、公知の一体性試験の間に一体性が試験されるカセットの様々な領域を示す、カセットの反対側の図である。
【図4】図4は、公知の一体性試験の間に一体性が試験されるカセットの様々な領域を示す、カセットの反対側の図である。
【図5】図5は、本発明の一体性試験とともに作動可能である、使い捨てセットの1つの実施形態の平面図である。
【図6】図6は、図5に示される使い捨てセットのカセットを受容し得る機械の1つの実施形態の斜視図である。
【図7】図7は、図5に示される使い捨てセットのカセットの斜視図であり、ここで、このカセットの可撓性の膜は、このカセットの種々の内側の構成要素を示すために、分解されている。
【図8】図8は、図7の線VIII−VIIIに沿って見た断面図の一部である。
【図9】図9は、図6に示される機械およびカセットのための、空気力作動システムの1つの実施形態の概略図である。
【図10】図10は、図5に示されるカセットの反対側の立面図であり、本発明の一体性試験の1つの実施形態の種々の工程において一体性が試験される、このカセットの様々な構成要素または領域を図示する。
【図11】図11は、図5に示されるカセットの反対側の立面図であり、本発明の一体性試験の1つの実施形態の種々の工程において一体性が試験される、このカセットの様々な構成要素または領域を図示する。
【図12】図12は、図5に示されるカセットの反対側の立面図であり、本発明の一体性試験の1つの実施形態の種々の工程において一体性が試験される、このカセットの様々な構成要素または領域を図示する。
【図13】図13は、図5に示されるカセットの反対側の立面図であり、本発明の一体性試験の1つの実施形態の種々の工程において一体性が試験される、このカセットの様々な構成要素または領域を図示する。
【図14】図14は、図5に示されるカセットの反対側の立面図であり、本発明の一体性試験の1つの実施形態の種々の工程において一体性が試験される、このカセットの様々な構成要素または領域を図示する。
【図15】図15は、図5に示されるカセットの反対側の立面図であり、本発明の一体性試験の1つの実施形態の種々の工程において一体性が試験される、このカセットの様々な構成要素または領域を図示する。
【図16】図16は、空気圧に対して機械的な正圧起動を使用する、代替の医療用流体機械の概略図である。
【図17】図17は、医療用流体システムをプライミングするための、本発明の1つの装置および方法を図示する概略図である。
【図18】図18は、医療用流体システムをプライミングするための、本発明の1つの装置および方法を図示する概略図である。
【図19】図19は、医療用流体システムをプライミングするための、本発明の1つの装置および方法を図示する概略図である。
【図20】図20は、医療用流体システムをプライミングするための、本発明の1つの装置および方法を図示する概略図である。
【図21】図21は、医療用流体システムをプライミングするための、本発明の1つの装置および方法を図示する概略図である。
【図22】図22は、医療用流体システムをプライミングするための、本発明の1つの装置および方法を図示する概略図である。
【図23】図23は、溶液バッグおよび排出バッグの水頭高さを評価する、本発明の方法および装置を図示する概略図である。
【図24】図24は、溶液バッグおよび排出バッグの水頭高さを評価する、本発明の方法および装置を図示する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(発明の詳細な説明)
本発明の1つの主要な局面は、使い捨て流体カセットに、機械的または空気力の、正圧または負圧を付与する、任意の型のカセットベースの医療用流体治療のための、改善された漏出検出システムである。本発明の別の主要な局面は、医療用流体治療機械(例えば、自動化腹腔透析(「APD」)システム)のための、改善されたプライミング技術である。APDは、本発明のために好ましい1つの用途であるが、任意のカセットベースの医療用流体システム、または滅菌された使い捨て流体カートリッジを使用するシステムが、本発明の装置および方法を使用し得る。本発明のさらなる主要な局面は、溶液の水頭重量を決定するための装置および方法を提供することである。
【0035】
(改善されたカセットベースの漏出試験)
以下の方法は、「乾式」方法であり、この方法は、流体に基づく一体性試験と比較すると、漏出および他の欠陥に対して、より感度が高い。この方法はまた、以前の試験に付随するいくつかの問題(例えば、漏出の際に、溶液バッグを処分しなければならないこと、またはこの機械の機械的構成要素を潜在的に損なわなければならないこと)を排除する。
【0036】
ここで、図面(特に、図5〜9)を参照すると、図5は、使い捨てセット50を図示し、このセットは、使い捨てカセット100および管のセットを備える。分解されたセグメント52において示されるように、配管セットは、加熱器ライン54、排出ライン56、第一の調整ライン58、日中/第一のバッグライン60、第二の調整ライン62、最終充填ライン64、および患者ライン66を備える。これらのラインの各々は、1つの実施形態において、HomeChoice(登録商標)機械と共に使用される。しかし、他の透析システムまたは医療用流体システムに付随する他のラインが、代替的に、本発明と共に使用され得ることが理解されるべきである。自動化腹腔透析(「APD」)機械、一般的な透析機械、または透析機械以外の医療用流体機械は、本明細書中でまとめて、医療用流体機械150と称され、これは、図6に示される。より多くのラインまたはより少ないラインがまた、本発明の範囲から逸脱することなく、使用され得る。
【0037】
ライン54〜66の各々は、第一の端部がカセット100にて終結し、そして第二の端部がオーガナイザ42にて終結する。作動の際に、機械150は、オーガナイザ42を、最初に、重力によるプライミングが、ライン54〜66のうちの少なくともいくつかを、流体で、少なくとも実質的に端部まで満たし、これらのラインの端部に位置する流体通過コネクタを満たさないことを可能にする高さで、保持する。プライミングは、以下でより詳細に議論される。
【0038】
図6は、カセット100、およびセット50の管54〜66が、1つの実施形態において、機械150内に垂直に装填され、そしてドアガスケット152とダイアフラム154との間で適所にしっかりと保持されることを図示する。ドアガスケット152は、ドア156に取り付けられ、このドアは、開閉するように揺動して、カセット100を適所に取り外し可能にロックする。ダイアフラム154は、弁と、機械150の内部でダイアフラム154の後方に位置するポンプアクチュエータとの間の界面、および弁と、カセット100の内部に位置するポンプ流体受容チャンバとの間の界面を提供する。
【0039】
図7は、カセット100の斜視図であり、ハウジング102を備えるカセット100を示し、このハウジングは、可撓性の膜104および106によって、両側をシールされている。このハウジングは、複数のポンプチャンバP1およびP2、弁V1〜V10(これらの弁は、ハウジング102の、図7に示される側とは反対側に位置する)、複数の流路F1〜F9、ならびに複数のポート108(これらのポートは、内部仕切り110を通って延び、この仕切りは、ハウジング102とカセット100とを、2つの別個の流体流れマニホルドに分割する)を規定する。
【0040】
図8は、図7の線VIII−VIIIを通って見た断面図を図示する。この断面図は、上記の膜106、仕切り110およびポート108を示す。さらに、外部弁チャンバ壁112および内部弁チャンバ壁114が図示されており、これらの壁は、協働して、カセット100の仕切り110の片側で、弁V1〜V10のうちの1つを作製する。さらに、内部チャンバ壁114は、背面116(これもまた、可撓性の膜であり得る)と協働して、カセット100の仕切り110の他の側の流路F1〜F11のうちの種々の流路を作製する。可撓性の膜106は、内部チャンバ壁114への力fの付与(流路F1〜F11のうちの第一の流路と、これらの流路のうちの第二の流路との間の流体接続を閉じるため)の際に、外部チャンバ壁112に密着する。力fの解放、または膜106への弁圧もしくは負の力の付与の際に、膜106は、内部壁114から引き離され、これらの流路の間の連絡を再度確立する。
【0041】
図9は、透析機械のための、空気力制御システム10の斜視図を図示する。例えば、自動化腹腔透析機械が図示されている。図9は、HomeChoice(登録商標)Automated Peritoneal Dialysisシステムにおいて使用される、空気力制御システムの概略図であり、そしてこれは、本発明の作動を記載するために有用である。しかし、本発明の教示は、HomeChoice(登録商標)機械にも、同じかまたは類似の構成要素を有する機械のみにも限定されないことが、理解されるべきである。実際に、本発明は、多くの異なる医療用流体システムに適用可能な、試験および方法論を記載する。
【0042】
本発明の一体性試験のセットアップ部分において、使い捨てカセット100が、透析機械150に装填される。これを行うためには、空気ポンプ(図示せず)が、オンにされる。この空気ポンプは、図9に図示される種々の空気力構成要素(緊急排気弁A5、閉塞具弁C6、ならびに流体弁のためのアクチュエータC0、C1、C2、C3、C4、D1、D2、D3、D4およびD5が挙げられる)と連絡し、これによって、閉塞具158(図6もまた参照のこと)を引き込み、使い捨てセット50およびカセット100が、機械150に装填されることを可能にする。一旦、セット50が装填されると、緊急排気弁A5が閉じられ、その結果、高正圧ブラダー128が膨張し、これによって、カセット100が、ドア156とダイアフラム154との間でシールされ、同時に、閉塞具158を開位置に維持する(図6)。この試験の残りの部分は、図10〜14によって図示される。
【0043】
ここで図10を参照すると、この試験の第一の工程は、ポンプチャンバP1およびP2を、正圧を使用して試験し、そして弁V1〜V10を、負圧を使用して試験する。具体的には、ポンプチャンバP1およびP2を覆うカセット100のカセット被覆材料が、図9に示される低正圧タンク220ならびに弁A3およびB1を使用して、+5psigまで加圧される。−5psigの減圧が、流体弁V1〜V10を覆う、カセット100のカセット被覆材料に対して、図1に示される負圧タンク214ならびに弁A0およびB4を使用して引かれる。
【0044】
次いで、同時の圧力遅延試験が、(i)低正圧タンク220ならびにポンプチャンバP1およびP2の中の空気体積;ならびに(ii)負圧タンク214ならびに流体弁V1〜V10の中の空気体積に対して行われる。正圧システム内の圧力遅延が、例えば、1psigを超える場合、警告が送信され、それに従って、ポンプチャンバの被覆材料が損傷したというエラーまたはコードを表示する。負圧ステムにおける圧力の差が、例えば、1psigを超える場合、警告が送信され、それに従って、流体弁の被覆材料が損傷したというエラーまたはコードを表示する。図10において、この第一の工程について、正圧が試験される領域は、二重斜線で示され、そして負圧が試験される領域は、一重斜線で示される。
【0045】
重要なことには、試験工程1は、カセット100を、外側から試験する。すなわち、圧力が、ポンプチャンバP1およびP2を覆う被覆材料の外側に付与され、そして負圧が、弁V1〜V10を覆う被覆材料の外側に付与される。以下に記載されるように、残りの試験工程は、正圧および負圧を、このカセットの内側からこの被覆材料に付与する。しかし、これらの図の指定は、同じである。すなわち、正圧が試験される領域(内部および外部)は、二重斜線を使用して示される。負圧が試験される領域(内部および外部)は、一重斜線を使用して示される。各工程において試験されるポート108は、黒色であり、そして「正圧が試験される」または「負圧が試験される」のいずれかで表示される。
【0046】
ここで図11を参照すると、本発明の試験の第二の工程は、ポンプチャンバP1およびP2、特定の流体通路、ならびに特定の弁を、正圧および負圧を使用して、試験する。この第二の工程は、負圧タンク214を−5psigに排気し、そして弁B4を開いて、カセット内のポンプチャンバP2を、開いた流体弁V7を通して空気で満たすことによって、開始する。次に、低正圧タンク220を+5psigまで加圧し、そして弁A3を開いて、ポンプチャンバP1を、開いた流体弁V10を通して空にする。次いで、流体弁V7およびV10が、閉じられる。閉塞具弁C6のエネルギーが除かれ、その結果、閉塞具158が閉じ、カセット100を出る全ての流体ライン54〜66を挟み/シールする。次いで、弁A3およびB4が、閉じられる。アクチュエータ弁B1が開かれ、流体弁V4、V6およびV7が開いて、カセットポンプチャンバP2内の空気を加圧し、そしてV4、V6およびV7の下流の流体通路を、閉塞具158を横切る漏出、および/またはカセット内の流体チャネルを横切る漏出について試験する。次いで、アクチュエータ弁A0が開かれ、流体弁V1、V2およびV9が開き、カセットポンプチャンバP1内に減圧を生じ、そしてV1、V2およびV9の下流の流体通路を、閉塞具158を横切る漏出および/またはカセット内の流体チャネルを横切る漏出について試験する。
【0047】
次に、第一のセットの同時の圧力遅延/上昇試験が、低正圧タンク222および負圧タンク214に対して行われる。正圧タンク220と負圧タンク214との両方における圧力差、ならびに正圧タンク220および負圧タンク214における最終圧力が、記録される。弁V3が開かれ、そして第二のセットの同時の圧力遅延/上昇試験が、低正圧タンク220および負圧タンク214に対して、ポンプチャンバP2の内容物が開いた弁V1およびV3を通ってポンプチャンバP1内に自由に流れるにつれて、実施される。第一のセットの圧力遅延試験からの圧力の差の合計が、例えば、2psigを超え、そして第二のセットの試験からの圧力の差が、1psig未満である場合、クロストーク漏出エラーについての警告が発せられる。図11において、第二の工程について、正圧が試験される領域は、二重斜線で示され、そしてポート108が、そのように記され、そして負圧が試験される領域は、一重斜線で示され、そしてポート108は、そのように表示される。
【0048】
ここで図12を参照すると、この試験の第三の工程は、ポンプチャンバP1およびP2、特定の流体通路、ならびに特定の弁を、正圧および負圧を使用して試験する。この第三の工程は、負圧タンク214を−5psigまで排気し、そして弁B4を開いて、このカセット内のポンプチャンバP2を、開いた流体弁V7を通して空気で満たすことによって、開始する。次いで、低正圧タンク220が、+5psigまで加圧され、そして弁A3が開かれて、開いた流体弁V10を通して、ポンプチャンバP1を空にする。次いで、弁V7およびV10が、閉じられる。閉塞具弁C6のエネルギーが除かれ、その結果、閉塞具158が閉じ、カセット100を出る全ての流体ラインを挟み/シールする。弁A3およびB4が閉じられる。ポンプアクチュエータ弁B1が開かれ、流体弁V3、V4およびV6が開いて、ポンプチャンバP2内の空気を加圧し、そしてV3、V4およびV6の下流の流体通路を、閉塞具158を横切る漏出、および/またはカセット100内の流体チャネルを横切る漏出について、試験する。次いで、ポンプアクチュエータ弁A0が開かれ、流体弁V2、V9およびV10が開き、ポンプチャンバP1内に減圧を生じさせて、V2、V9およびV10の下流の流体通路を、閉塞具158を横切る漏出および/またはカセット100内の流体チャネルを横切る漏出について、試験する。
【0049】
次に、第一のセットの同時の圧力遅延/上昇試験が、低正圧タンク222および負圧タンク214に対して実施される。正圧タンク220と負圧タンク214との両方における圧力差、ならびに正圧タンク220および負圧タンク214における最終圧力が、記録される。弁V1が開かれ、そして第二のセットの同時の圧力遅延/上昇試験が、低正圧タンク220および負圧タンク214に対して、ポンプチャンバP2の内容物が開いた弁V1およびV3を通ってポンプチャンバP1内に自由に流れるにつれて、実施される。第一のセットの圧力遅延試験からの圧力の差の合計が、例えば、2psigを超え、そして第二のセットの試験からの圧力の差の合計が1psig未満である場合、それに従って、クロストーク漏出エラーの警告またはコードが、送信される。図12において、第三の工程について正圧が試験される領域は、二重斜線で示され、そしてポート108は、そのように記され、そして負圧が試験される領域は、一重斜線で示され、そしてポート108は、そのように記される。
【0050】
ここで図13を参照すると、この試験の第四の工程は、ポンプチャンバP1およびP2、特定の流体通路、および特定の弁を、正圧および負圧を使用して試験する。この第四の工程は、負圧タンク214を−5psigまで排気し、そして弁B4を開いて、カセット100内のポンプチャンバP2を、開いた流体弁V7を通して空気で満たすことによって、開始する。低正圧タンク220が、+5psigまで加圧され、そして弁A3が開かれて、開いた流体弁V10を通して、ポンプチャンバP1を空にする。流体弁V7およびV10が、閉じられる。閉塞具弁C6のエネルギーが除かれ、その結果、閉塞具158が閉じ、カセット100を出る流体ライン54〜66を挟み/シールする。弁A3およびB4が閉じられる。ポンプアクチュエータ弁B1が開かれ、流体弁V5が開いて、ポンプチャンバP2内の空気を加圧し、そしてV5の下流の流体通路を、閉塞具158を横切る漏出、および/またはカセット100内の流体チャネルを横切る漏出について、試験する。ポンプアクチュエータ弁A0が開かれ、流体弁V1、V2、V9およびV10が開き、ポンプチャンバP1内に減圧を生じさせて、V1、V2、V9およびV10の下流の流体通路を、閉塞具158を横切る漏出および/またはこのカセット内の流体チャネルを横切る漏出について、試験する。
【0051】
次に、第一のセットの同時の圧力遅延/上昇試験が、低正圧タンク222および負圧タンク214に対して実施される。正圧タンク220と負圧タンク214との両方における圧力差、ならびに正圧タンク220および負圧タンク214における最終圧力が、記録される。弁V3が開かれ、そして第二のセットの同時の圧力遅延/上昇試験が、低正圧タンク220および負圧タンク214に対して、ポンプチャンバP2の内容物が開いた弁V1およびV3を通ってポンプチャンバP1内に自由に流れるにつれて、実施される。第一のセットの圧力遅延試験からの圧力の差の合計が、例えば、1.5psigを超え、そして第二のセットの試験からの圧力の差の合計が0.75psig未満である場合、クロストーク漏出エラーの警告またはコードが、送信され、そして表示される。図13において、第四の工程について正圧が試験される領域は、二重斜線で示され、そしてポート108は、そのように記され、そして負圧が試験される領域は、一重斜線で示され、そしてポート108は、そのように記される。
【0052】
ここで図14を参照すると、この試験の第五の工程は、ポンプチャンバP1およびP2、特定の流体通路、および特定の弁を、正圧および負圧を使用して試験する。この第五の工程は、負圧タンク214を−5psigまで排気し、そして弁B4を開いて、カセット100内のポンプチャンバP2を、開いた流体弁V7を通して空気で満たすことによって、開始する。低正圧タンク220が、+5psigまで加圧され、そして弁A3が開かれて、開いた流体弁V8を通して、ポンプチャンバP1を空にする。流体弁V7およびV10が、閉じられる。閉塞具弁C6のエネルギーが除かれ、その結果、閉塞具158が閉じ、カセット100を出る流体ライン54〜66を挟み/シールする。弁A3およびB4が閉じられる。ポンプアクチュエータ弁B1が開かれ、流体弁V3、V4、V6およびV7が開いて、ポンプチャンバP2内の空気を加圧し、そしてV3、V4、V6およびV7の下流の流体通路を、閉塞具158を横切る漏出、および/またはカセット100内の流体チャネルを横切る漏出について、試験する。ポンプアクチュエータ弁A0が開かれ、流体弁V8が開き、ポンプチャンバP1内に減圧を生じさせて、V8の下流の流体通路を、閉塞具158を横切る漏出および/またはこのカセット内の流体チャネルを横切る漏出について、試験する。
【0053】
次に、第一のセットの同時の圧力遅延/上昇試験が、低正圧タンク222および負圧タンク214に対して実施される。正圧タンク220と負圧タンク214との両方における圧力差、ならびに正圧タンク220および負圧タンク214における最終圧力が、記録される。弁V1が開かれ、そして第二のセットの同時の圧力遅延/上昇試験が、低正圧タンク220および負圧タンク214に対して、ポンプチャンバP2の内容物が開いた弁V1およびV3を通ってポンプチャンバP1内に自由に流れるにつれて、実施される。第一のセットの圧力遅延試験からの圧力の差の合計が、例えば、1.5psigを超え、そして第二のセットの試験からの圧力の差の合計が0.75psig未満である場合、例えば、クロストーク漏出エラーの警告またはコードが、送信され、そして表示される。図14において、第五の工程について正圧が試験される領域は、二重斜線で示され、そしてポート108は、そのように記され、そして負圧が試験される領域は、一重斜線で示され、そしてポート108は、そのように記される。
【0054】
上記図11〜14の、試験工程2〜5の各々において、圧力遅延/減圧上昇試験が実施される前に、ポンプチャンバP2は、空気で満たされ、そしてポンプチャンバP1は、排気される。これらの試験は、チャンバP2が、単に大気圧に維持されるのではなく、このチャンバが大気圧より高く加圧される場合に、改善される。1つの理由として、チャンバP2を正圧に維持することによって、試験工程が開始される場合に、このチャンバ内の空気のわずかな圧縮性が補償される。チャンバP2を加圧するために、閉塞具158が閉じた状態で、空気が、チャンバP1からチャンバP2へと押され得る。P2が加圧されると、閉塞具158が開かれ、ポンプチャンバP1が排気されることが可能になる。加圧されたチャンバP2は、試験される通路のうちの1つにおける漏出が検出されない限り、非常にわずかな圧力低下のみを示すべきである。
【0055】
ここで図15を参照すると、この試験の第六の工程は、ポンプチャンバP1およびP2、特定の流体通路、および特定の弁ポート108を、正圧を使用して試験する。この第六の工程を開始するために、−5psigの減圧が、2つのポンプチャンバP1およびP2を覆うカセットの被覆材料に対して引かれ、排出弁V7〜V10以外の全ての流体弁のエネルギーが除去され(閉じられ)、その結果、ポンプチャンバP1およびP2が、空気で満たされる。流体弁V7およびV10が閉じられ、そしてカセット100のポンプチャンバP1およびP2を覆う被覆材料が、低正圧タンク220ならびに弁A3およびB1を使用して、+5psigまで加圧される。次いで、第一の加圧遅延試験が、低正圧タンク220における圧力をモニタリングすることによって、カセット100内の、そのように記されるポンプチャンバP1およびP2、流体流路F6、F7、F8およびF9、ならびに黒色で示される流体ポート108に対して実施される。低正圧タンク220内の圧力差が、例えば、1psigを超える場合、警告が送信され、流体弁の漏出のエラーまたはコードが、それに従って表示される。
【0056】
閉塞具弁C6のエネルギーが除かれ、その結果、閉塞具158が閉じ、カセット100を出る流体ライン54〜66を挟み/シールする。弁A5およびV8を除く全ての弁V1〜V10が開かれ、そして第二の圧力遅延試験が、低正圧タンク220内の圧力をモニタリングすることによって、実施される。低正圧タンク220内の圧力差が、例えば、1psigを超える場合、第六の一連の試験が、繰り返されなければならない。低正圧タンク220内の圧力差が2回目に、例えば、1psigを超える場合、警告が送信され、閉塞具が故障したことを表示する。最後に、この閉塞具が開かれ、そして第三の圧力遅延試験が、低正圧タンク220内の圧力をモニタリングすることによって、実施される。試験工程6は、圧力差が、例えば、1psigを超えない場合、試験1および試験2が失敗していなかったことを検証する。図15において、第六の工程について、正圧が試験された領域は、二重斜線で示され、そしてポート108は、そのように記される。
【0057】
前述の6つの試験工程は、本発明の乾式一体性試験の1つの実施形態を完成させる。図1〜4における、従来技術の工程1〜4の結果を考慮すると、本発明の乾式使い捨て一体性試験の工程1(図10に示される)は、元の乾式一体性試験の4つ全ての工程の等価な構成要素を試験することが、理解されるはずである。
【0058】
重要なことには、試験工程2〜6は、このカセットを内側から試験する。すなわち、正圧が、このカセットの内側で、カセットの被覆材料の内部に付与され、そして負圧が、このカセットの内側で、カセットの被覆材料の内部に付与される。このカセットの内側で、カセット被覆材料の内部に付与される、これらの正圧および負圧は、最初に、圧力(正または負)を、このカセットの外側に付与し、そして弁を切り替えて、所望の圧力分布を、上記のように、このカセットの内部で生じさせることによって、発生させる。
【0059】
試験工程のうちの最初の5つ(図10〜14)は、先端保護具がライン54〜66上に配置され、そしてクランプが、排出ライン56以外の全てのラインに対して閉じている状態で、実施され得る。先端保護具(カセット100のそれぞれのポート上で、キャップ118として比喩的に示される)は、実際に、管54、58、60、62、64および66の端部にある。排出ライン56は、細菌保有性の先端保護具を有し、この保護具は、周囲の空気に対して通じており、この空気は、膜104および106(図7および図8)を通って、またはハウジング102から漏出し、このシステム内の圧力を低下させ、その結果、漏出が検出され得る。これらの先端保護具は、一連の6つの試験工程において、溶液バッグが試験工程6の前に管に接続される場合に、取り外される。図2〜4の、以前の工程2〜4に見られるように、全ての先端保護具は、これらの試験工程のために、取り外される必要がある。従って、先行技術においては、図2〜4に図示される試験のいずれかの間にカセットが故障すると、滅菌されていない空気が、溶液バッグに導入され、これらの溶液バッグおよびカセットを処分することになる。
【0060】
本発明の試験工程2〜5(それぞれ、図11〜14)は、カセット100内の空気を使用して、上記先行技術の湿式漏出試験が試験するのと同じカセットの領域を試験する。先行技術の湿式漏出試験の工程(i)〜(v)は、流体を必要とするので、溶液バッグは、このような流体を得るために、取り付けられなければならない。本発明は、この必要性を排除する。
【0061】
本発明の試験工程1は、先端保護具を、排出ライン以外の全てのラインに接続したままにすることが可能である。なぜなら、これらの弁は、閉位置ではなく開位置で試験されるからである。弁V1〜V10が開かれると、カセット100内の流体チャネルF1〜F11の全てが、ポンプチャンバP1およびP2と、排出ラインとの両方と直接連絡する。この排出ラインは、細菌保有性の先端保護具を有し、この保護具は、空気がこの保護具を通過することを可能にする。例えば、疎水性の膜を備え付けられる。従って、失敗した試験からの空気は、カセット100からこの排出ラインを通過し得、このシステム内の圧力を変化させ、その結果、漏出が検出され得る。
【0062】
本発明の使い捨て一体性試験の試験工程2〜5は、先端保護具を適所に残すことが可能である。なぜなら、このシステムの1つの部品は、加圧可能であり、一方で、他の部品は、排気可能であるからである。カセット100の正に加圧された部分から、排気された部分への空気の漏出は、カセット100から逃れるかまたはカセット100内に漏出する空気と同様に、容易に検出可能である。空気は、水または溶液が漏出を介して流れるよりも容易に流れるので、空気試験は、流体ベースの試験より好都合であり、そして感度が高く、精度および再現性を増し、そして試験時間を短縮する。
【0063】
本発明の試験工程2〜5は、冗長な圧力遅延試験を包含する。この試験は、第一の圧力遅延試験の結果を検証する。試験工程2〜5の4つ全ては、カセット100の加圧されたセクションから、カセット100の排気されたセクションへと漏出する流れを探す。漏出が、このカセットの2つのセクションの間で生じる場合、これらの2つのセクションの圧力は、空気が高圧セクションから排気されたセクションへと流れる場合に、平衡に向かう傾向があるはずである。この冗長試験は、第一の圧力遅延試験の完了の際に、正のセクションと負のセクションとの間の弁を開き、漏出が存在しない場合にはより大きい圧力変化が存在すること、または漏出が存在する場合には最小の圧力変化が存在することを、検証する。
【0064】
閉塞具158が、配管ライン54〜66を適切に圧着しないことは、試験工程2〜5の結果に重要な影響を与えない。なぜなら、先端保護具は、適所にあり、そして試験されているラインの全てが、その他の様式でシールされるからである。さらに、使用者/患者は、セット50を機械150に装填する場合に、排出ライン以外の全てに対するラインクランプを閉じると考えられる。試験工程6(これは、カセット弁V1〜V10、および閉塞具158を試験する)は、乾式または湿式のいずれかで実施され得る。なぜなら、溶液バッグが接続されているからである。乾式試験は、圧力ベースであるが、一方で、この流体試験は、圧力ベースであっても体積ベースであってもいずれでもよい。
【0065】
使用者は、本発明の方法を使用する場合に、一体性試験が失敗した後に、使い捨てセットの排出ラインをクランプするように指示される場合に、そのようにクランプし得、そしてこの使い捨て一体性試験を、再度実行し得る。これらの試験が、2回目には(失敗の様式の多くについて)失敗を示さない場合、この使い捨てセットは、漏出の原因であり得、そして機械150(例えば、この機械の空気力システム、および/またはカセット/機械界面)は、漏出の原因ではない。この特徴は、患者が問題解決の補助を求める場合に、有用である。機械150が適切に作動していること、およびカセット100が故障を引き起こしていることを決定することにより、カセット100と機械150とのいずれが試験の失敗の原因であるかに関する不確実性に起因する、一体性の失敗の後に、患者の機械を不必要に交換することをが、排除される。逆に、それらの試験が、2回目に失敗を示す場合、機械150および/またはカセット/機械界面が、その漏出の原因であり得る。
【0066】
カセット100は、ポンプチャンバP1およびP2、弁チャンバV1〜V10、付随するポート108、ならびに流体通路F1〜F11を備えて図示されるが、本発明は、示されるものとは異なるポンプおよび弁の形状、ならびにさらなる特徴(例えば、加熱気、圧力センサ、温度センサ、濃度センサ、血液検出器、フィルタ、空気分離器、気泡検出器など)を有する、カセットおよび起動システムに対して、等しく適用可能であることが、理解されるべきである。これらのカセットは、1つの面が被覆材料であり剛性であるか、2つの面が被覆材料であり剛性であるか、流体通路を形成する2つの被覆材料を有するか、可撓性部分に接続された剛性部分を有するかであり得る。これらのカセットは、多くの医療用流体送達用途(例えば、腹腔透析、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、連続腎置換療法、医薬送達、血漿フェレーシスなど、およびこれらの任意の組み合わせ)において、使用可能である。
【0067】
図16は、本発明の1つの代替の実施形態を、システム200によって示し、ここで、上で使用された正圧の空気力源は、可撓性膜フィルム203を押す機械的アクチュエータ202で置き換えられている。フィルム203は、その片側に被覆材料204がある状態で、カセット210に付着される。システム200は、ピストンヘッド206がカセット210から引き込まれる場合、またはカセット210の方へと移動する場合に、減圧を使用して、膜203に、強制的に、ピストンヘッド206に従わせる。正圧の外部源が提供されない場合、空気は、ポンピングチャンバ208内に引き込まれ得、一方で、流体弁212は閉じ、そしてアクチュエータ202およびヘッド206は、前方に移動して、内圧を発生させ、この内圧が、本明細書中に記載される使い捨て一体性試験を実施するために、使用される。圧力センサ214は、1つの実施形態において、圧力遅延試験を実施するために、提供される。アクチュエータ202およびヘッド206の位置もまた、一定の力を適用することによって、漏出試験を実施するために使用され得る。このアクチュエータおよびヘッドは、一定の力が付与される場合、漏出が存在しなければ、静止したままであるはずである。前方への移動は、試験されているシステムにおいて漏出が存在することを示す。
【0068】
付録Aは、本発明の一体性試験の工程1からのデータを示す。付録Bもまた、本発明の一体性試験の工程1からのデータを示す。付録Bにおいて、太字の大きいフォントサイズのデータは、欠陥が検出された場合を示す。試験され、そして欠陥があることが既知であった、50個の異なるカセットについて、50個全ての欠陥が検出されたことに、注目すべきである。ソフトウェアが操作者に指示した後に、排出ラインがクランプされると、これらの50の試験のうちの47は、もはや失敗せず、このことは、漏出が、カセット内に存在し、そして治療機械には存在しないことを示した。クランプした50の試験のうちの他の3つは、不十分であった。これらの3つを、太字の斜体で記される。1つのカセットは、2つの欠陥を有するようであることがまた注目すべきであり、これもまた、太字の斜体で強調される。
【0069】
この試験のために、ポンプチャンバの被覆材料に、10の欠陥を作製し、そして弁の被覆材料に、40の欠陥を作製した。全てのポンプチャンバ試験を、正圧を用いて実施し、そして全ての弁の被覆材料の試験を、負圧を用いて実施した。これらの欠陥は、0.035インチ(0.89mm)の外径熱針またはExactoナイフによって、0.125インチ(3.2mm)の一定のスリットを作製するように、止めを位置決めして作製した、穿孔およびスリットであった。
【0070】
付録Cが提出されており、これは、本発明の一体性試験工程2からのデータを示す。正圧は、正圧タンク220(図9)をモニタリングする圧力センサによって測定された、ポンプチャンバP2の内部の圧力を表す。負圧は、負圧タンク214(図9)をモニタリングする圧力センサによって測定された、ポンプチャンバP1の内部の圧力についてである。多数の欠損を予め配置したカセット、および機知の欠陥がない、いくつかのカセットを試験した。これらの欠陥のうちのいくつかは、試験工程2によって検出されなかった。しかし、試験工程3、試験工程4および試験工程5は、試験工程2が明らかにしなかった欠陥を、明らかにした。
【0071】
(改善されたプライミングの方法および装置)
本発明のプライミングの方法および装置を参照すると、この方法および装置は、多くの局面において有利である。第一に、この方法は、上記図6に示される医療用流体機械150のポンプを使用して、このプライミングの初期部分のためのプライミング流体をポンプ送達し、例えば、患者ライン66内で、カセット100の近くで代表的に捕捉されている、気泡を追い出す。第二に、この方法は、機械150の制御器内に含まれるソフトウェアを使用する。このソフトウェアは、医療用流体ポンプが初期のプライミング流体を押す場合の、特定の圧力低下を見出すと期待される。予測される圧力低下が見出されない場合、機械150は、プライミングラインまたは患者ライン上にクランプが存在すると想定し、それに従って応答し、そして適切なエラーメッセージまたはコードを送信する。
【0072】
ここで図17を参照すると、本発明のプライミング方法を実施するための、装置250の初期の概略図が示されている。この装置は、ある体積の流体254で満たされた供給バッグ252を備える。溶液バッグ252からポンプP1およびP2へのラインが、提供される。ほとんどの例において、このラインは、図5および図17に示される、加熱器バッグライン54であり、このラインは、ポンプチャンバP1およびP2を収容するカセット100に入る。弁256および258が、選択的に、流体254を、ライン54を介してポンプチャンバP1およびP2へとそれぞれポンプ送達する。プライミングラインが、ポンプチャンバP1〜P2からこのラインの遠位端へと提供され、このラインは、排気された遠位端コネクタ260を備える。通常、プライミングされるラインは、図5および図17においてライン66として示される、患者ラインである。しかし、このプライミングラインは、患者ラインとは異なるラインであることが、理解されるべきである。さらに、プライミング装置250および付随する方法は、複数のラインを、連続的にかまたは同時にプライミングするシステムに適用可能である。
【0073】
図示されるようなコネクタ260は、図5に関連して上で議論された、オーガナイザ42内に位置決めされる。コネクタ260の位置は、コネクタ260の開始部または内部における所望の地点でプライミングが停止するように、設定される。ライン262によって示されるようなレベルは、コネクタ252内の流体254の高さと同じレベルである。弁266〜268は、ポンプP1およびP2とコネクタ260との間に提供され、流体が、患者ラインまたはプライミングライン66に入ることを、選択的に可能にする。
【0074】
図17に示されるプライミング方法の第一の工程は、弁266および268(黒色)を
閉じ、そして弁256および258(白色)を開くことである。このような弁配置は、流
体254が、容器252から、重力によって供給されるか、またはポンプP1およびP2によって引き込まれ、ポンプチャンバP1およびP2を満たすことを可能にする(図17に示される−1.5psigは、流体がポンプチャンバに引き込まれる際に、可撓性のポンプフィルムに付与される吸引を表す)。弁266および268が閉じているので、流体は、プライミングライン66に入らない。
【0075】
図18は、本発明のプライミング方法の第二の工程を図示する。図18において、弁256および258は閉じられ(黒色)、その結果、さらなる流体は、加熱器バッグライン54を通って、容器252からポンプチャンバP1およびP2へと流れ得ない。次に、1.0psigの圧力が、可撓性のポンプフィルムに付与され、このフィルムを、ポンプチャンバP1およびP2内の流体に対して押し付ける。次いで、弁266および268が開かれ(白色)、その結果、流体連絡が、ポンプチャンバP1およびP2と、プライミングラインまたは患者ライン66と、コネクタ260との間に存在する。
【0076】
図19は、ポンプチャンバP1およびP2を加圧した後に、流体が、これらのチャンバから、患者ライン66またはプライミングライン66の初期部分を通って流れることを図示する。この流体がこれらのポンプチャンバから押し出され、そしてこのポンプフィルムを押し付けている空気の体積が膨張するにつれて、ポンプチャンバP1およびP2の内部の圧力は、それに従って、例えば、約0.1psigまで低下する。チャンバP1およびP2からポンプ送達される流体は、コネクタ260の全体に延びる必要はなく、むしろ、ポンプ送達された流体は、患者ライン66の近位端に捕捉された任意の空気を通って流れ、その結果、このような空気が、プライミングを妨害しないことが意図される。従って、ポンプチャンバP1およびP2に引き込まれる流体の体積は、カセット100からコネクタ260へと延びる患者ライン66の内部の体積より小さいべきである。
【0077】
しかし、患者ライン66を、チャンバP1およびP2のポンプ工程を介して満たす液体の体積は、実際に、いくらかの空気を、排気されたコネクタ260に通して押し、このラインを、部分的に溶液で、そして部分的に空気で満たされたままにする。ここで、この空気は、ライン66の遠位端に収集され、そしてこの溶液は、ライン66の近位端に存在する。この押出しの方法は、患者ライン66に対していかに多くの伸長部が加えられるかにかかわらず、働く。以前のプライミング逐次制御は、標準的な長さの患者ラインが使用されるか、標準的ではない長さの患者ラインが使用されるかに依存して、結果を変動させた。本発明の方法は、患者ラインの長さに無関係であり、そして表1に見られるように、1000ml程度に少ない溶液を含む加熱器バッグとともに使用され得る。
【0078】
【表1】
図20および図21は、装置250に関連するプライミング方法における、最終工程を図示する。ここで、入口弁256および258は、開いており、一方で、出口弁266および268は、開いたままである。
【0079】
図20において、ポンプチャンバP1およびP2内の、図19においてポンプ送達されなかった任意の流体が、重力によって、このようなポンプチャンバから、患者ライン66内へと流される。さらに、流体254は、容器252から重力によって流れ、患者ラインのプライミングを完了する。図20において、チャンバP1およびP2内の圧力は、ほぼ0psigまで低下し得る。なぜなら、図19におけるポンプ行程から残っているあらゆる圧力が、消散するからである。図21は、患者ラインまたはプライミングライン66が、完全にプライミングされ、流体254のレベルが、バッグ252内に残っている流体254の上昇高さ262に達していることを示す。ポンプチャンバP1およびP2内の流体のレベルもまた、ある平衡に達し、この平衡は、これらのチャンバ内のわずかに正圧においてであり得る。すなわち、このポンプチャンバ内の圧力は、患者ライン66の水頭圧力と等しくなり、そしてバッグ252を満たす。
【0080】
患者ライン66が、プライミングの間、不注意でクランプされている場合、図19によって図示される工程において、ポンプチャンバP1およびP2内の圧力は、予測されたレベルまで(例えば、図18に示される1psigから図19に示される0.1psigまで)低下しない。この圧力は、その代わりに、より高いレベル(例えば、0.5psig)に維持される。機械150の内部の制御装置は、この食い違いを感知し、そして患者に、視覚的メッセージ、聴覚的メッセージまたは視聴覚的メッセージによって、患者ラインまたはプライミングライン66のクランプを外すように促す。
【0081】
図22は、本発明のプライミング方法の別の利点を図示する。空気と流体との混合物は、例えば、プライミングの開始の際に、患者ライン66の近位部分(カセット100の近く)に時々出現し得る。この混合物は、通常、カセット100の近くにある。なぜなら、流体が、セットアップ手順の間の手順上のエラーに起因して、このラインに入り得るからである。例えば、患者は、溶液バッグを不適切に接続し得、そしてそのセットが装填される場合に、クランプを開き得る。空気と流体との混合物254は、適切なプライミングを、時々、遅くし得、そして時々、適切なプライミングを防止し得る。図18で開始して図19で終了する、患者ライン66の加圧された補助は、代表的に、空気/流体混合物によって生じる問題を排除するか、または克服して、適切なプライミングを可能にする。
【0082】
上で議論された図16は、本発明のプライミング方法の1つの代替的な実施形態を示し、ここで、システム200が、図17〜21における空気力ポンプP1およびP2の代わりに使用される。図19において使用される正圧の空気力源は、機械的アクチュエータ202で置き換えられ、このアクチュエータは、可撓性膜フィルム203を押し、このフィルムが次に、片側に被覆材料204を有するカセット210に取り付けられる。システム200は、ピストンヘッド206が引き込まれ、そしてカセット210の方へと移動される場合に、減圧を使用して、膜203を強制的に、ピストンヘッド206に沿わせ、流体弁212が開くと、流体を、ポンピングチャンバ208内に引き込む。アクチュエータ202およびヘッド206は、別の流体弁(図示せず)が開くと、前方に移動し、流体を、患者ラインに沿って押す。圧力センサ214は、患者ラインがクランプされている場合、圧力の上昇を検出する。アクチュエータ202およびヘッド206の位置は、弁212がいつ開いて、重力が、患者ラインのプライミングを完了し得るかを決定するために使用され得る。
【0083】
付録Dは、本発明のプライミング方法からのデータを示す。さらに、付録Eのデータは、ポンプチャンバP1およびP2内の圧力が0.2psig未満に低下した場合に弁256および258を開くソフトウェアプログラムから得られた。この圧力が、0.2psig未満に低下しなかった場合、その圧力が記録され、そして「PosPが0.20psigに達する前の休止時間(Timeout before PosP reached 0.20 psig)」というメッセージが記録された。多数の通常のプライミング、および患者ラインがこのラインの遠位端において患者コネクタの近くにクランプされている多数のプライミングを、実施した。
【0084】
(溶液バッグの水頭高さの決定)
透析(例えば、腹腔透析もしくは血液透析)、または他の腎臓治療(例えば、血液濾過もしくは血液透析濾過)は、多数の溶液バッグ(例えば、透析バッグ、乳酸塩バッグおよ
び/またはブドウ糖バッグ)を使用して、実施され得る。このような場合、必要とされる溶液バッグは、以下であることが決定されることが有利である:特定の治療(例えば、機械によって実施される、自動化腹腔透析)が実施されることを可能にするために適切な垂直位置に(i)存在し、そして(ii)位置する。このような決定は、治療の開始の際に、例えば、プライミングおよびカセットの一体性試験の間になされ、この機械が、処置の開始の前、および/または患者が眠る前に、あらゆる問題を患者に警戒させ得るべきである。
【0085】
ここで図23および図24を参照すると、溶液バッグの水頭高さを決定するための1つの実施形態を図示するシステム300が、図示されている。図23のシステム300は、溶液バッグ302および304を備え、これらのバッグは、それぞれ、流体ライン310および312を介して、ポンプチャンバ306および308に流体的に接続されている。ポンプチャンバ306および308は、それぞれ、可撓性のダイアフラム314および316を収容する。透析液または治療流体は、流体弁318および320が開くと、ポンプチャンバ306および308から、流体通路322を通り、そして排出バッグ324へと流れる。
【0086】
システム300は、チャンバ306に流体的に接続された弁326および328、ならびにチャンバ308に流体的に接続された弁330および332を備える。空気/減圧チャンバ338および340は、それぞれ、弁326と328との間、および弁330と332との間に配置される。差示圧力センサ334および336は、それぞれ、チャンバ338および340の内部の差示圧力を感知する。弁326、328、330および332が開いており、一方でポンプチャンバ306および308が空である場合、差示圧力センサ334(弁326と328との間に配置される)および差示圧力センサ336(弁330と弁332との間に配置される)は、0にされる。なぜなら、空気/減圧チャンバ338および340の内部の圧力は、大気圧と等しいからである。
【0087】
図24に見られるように、弁318、320、328および332が閉じており、そして流体弁326、330、342および344が開いている場合、溶液バッグ302および304からの流体は、それぞれ、流体通路310および312に沿って、ポンプチャンバ306および308に垂直に流れ込む。それぞれの可撓性ダイアフラム314および316は、流体がポンプチャンバ306および308に流入すると移動し、空気/減圧チャンバ338および340内に捕捉された空気の圧力上昇を引き起こす。流体は、それぞれの空気/減圧チャンバ338および340内の圧力が、圧力センサ334および336によって測定される場合に、垂直距離Y1およびY2と高さが等しいカラム内の溶液(密度上では、水に近い)によって付与される圧力に等しくなるまで、開いた弁342および344を通って、チャンバ306および308内へと流れる。
【0088】
高さY1およびY2の溶液のカラムによって付与される圧力に等しい圧力が、医療用流体治療システム300(例えば、APDシステム)について予め決定された作動パラメー
タ内である場合、この治療を続けることが許される。そうではない場合、患者または操作者に、溶液バッグ302または304のうちの一方または両方が、システム300の作動パラメータの外側にあることを伝える、適切な警告が通知される。
【0089】
溶液バッグ302と304との垂直位置(圧力水頭高さ)の差によって引き起こされる圧力差はまた、システム300が、1つの実施形態における仕様内で作動するために設定された制限内にあるべきである。負の水頭高さに供されるポンプの入口側は、正の水頭高さの圧力がポンプの入口側に見られる場合に行われる行程と比較して、チャンバ306および308の各行程に対してポンプ送達される流体が、より少ない。従って、等しい体積の異なる溶液が、チャンバ306および308によってポンプ送達され、そして所望の比(例えば、1:1)で混合される場合、これらの2つの溶液の垂直位置および対応する圧
力水頭高さは、同じかまたは実質的に同じであることが、有利である。
【0090】
図23および24における、システム300の先の記載は、センサ334および336がどのように0にされ得、次いで、充填逐次制御の観点において(すなわち、ポンプチャンバ306および308が、空から満杯まで動く)、溶液バッグの高さを試験するために使用され得るかを説明する。逆に、センサ334および336が0にされ得、次いで、排出逐次制御の観点で(すなわち、ポンプチャンバ306および308が、満杯または部分的に満杯から、空へと動く)、排出バッグの高さを試験するために使用され得ることが理解されるべきである。
【0091】
排出試験において、ポンプチャンバ306および308は、最初に、弁342および344を開くことによって、それぞれ、溶液バッグ302および304からの流体で満たされ、その結果、治療流体は、図24に示されるように、それぞれ、流体通路310および312を通って、ポンプチャンバ306および308内へと流れる。次いで、弁326、328、330および332が開かれ、空気/減圧チャンバ334および336の内部の圧力が、大気圧に対して0にされることを可能にし、そしてセンサ334および336の差示圧力センサの読みが、0に設定または再設定されることを可能にする。
【0092】
次いで、弁342、344、328および332が閉じられ、そして弁318、320、326および330が開かれる。次いで、流体は、ポンプチャンバ306および308から、流体通路322を通って、排出バッグ324へと流れる。ポンプチャンバ306および308内のポンプチャンバ内のダイアフラム314および316は、それに従って動き、それぞれ、空気/減圧チャンバ338および340の内側に、減圧を生じる。空気/減圧チャンバ338および340の内部の減圧が、それぞれ、圧力センサ334および336によって測定される場合に、図23に示される高さY3の溶液のカラム(負の圧力の水頭高さ)に等しい場合、流体の流れは停止する。
【0093】
排出試験は、排出バッグ/排出ラインの排液が、ポンプチャンバ306および308の下方に位置し、その結果、重力に起因する逆流が起こらないことを確実にする。この排出試験はまた、この排出が、ポンプおよび弁のかなり下方に位置しないことを確実にする。ここで、この位置は、これらの弁の作動に対して、不利な影響を引き起こす。高さY3の溶液のカラムに等しい圧力が、医療用流体治療システム300の予め決定された作動パラメータの範囲内である場合、この治療を続けることが許容される。そうではない場合、患者または操作者に、排出バッグ324が、システム300の作動パラメータの外側にあることを伝える、適切な警告が通知される。
【0094】
本明細書中に記載された現在好ましい実施形態に対する種々の変化および変更が、当業者に明らかであることが、理解されるべきである。このような変化および変更は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、そしてその意図される利点を減縮することなくなされ得る。このような変化および変更は、添付の特許請求の範囲によって網羅されることが、意図される。
【0095】
【表2】
【0096】
【表3】
【0097】
【表4】
【0098】
【表5】
【0099】
【表6】
【0100】
【表7】
【0101】
【表8】
【0102】
【表9】
【0103】
【表10】
【0104】
【表11】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図10】
【公開番号】特開2010−207611(P2010−207611A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119922(P2010−119922)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【分割の表示】特願2006−538216(P2006−538216)の分割
【原出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(505309110)バクスター インターナショナル インコーポレイテッド (9)
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【分割の表示】特願2006−538216(P2006−538216)の分割
【原出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(505309110)バクスター インターナショナル インコーポレイテッド (9)
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
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