説明

医療装置および医療装置システム

【課題】 磁石を内蔵した医療装置において、磁気式の位置検出システムを有効に動作させることができる医療装置および医療装置システムを提供する。
【解決手段】 少なくとも1つの磁石45と、磁性材料から構成されたコア41Bを有する内蔵コイル42を含む回路と、を有し、被検者の体外に配置された磁気式の位置検出手段により、内蔵コイル42の位置が検出される医療装置20であって、コア41Bが、磁石45の形成する磁場により磁気飽和しない位置に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置および医療装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被検者等の被検体に飲み込ませて体腔管路内を通過させ、目的位置の体腔管路内における画像の取得が可能な飲み込み型のカプセル型内視鏡等に代表されるカプセル型医療装置が実用化に向けて研究開発されている。上記のカプセル型内視鏡は、上記医療行為が可能な例えば、画像取得が可能なCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を備えて構成され、体腔管路内の目的部位で画像取得を行うものである。
【0003】
しかしながら、上記カプセル型医療装置は、蠕動により消化管内を移動するだけであって、カプセル型医療装置の位置および向きを制御することはできなかった。また、カプセル型医療装置を用いた診断を容易にするために、カプセル型医療装置を誘導するためには、カプセル型医療装置が体腔管路内のどの位置にいるかを検出する必要があった。
そのため、目視にて位置を確認できない所(体腔管路内など)へ誘導されたカプセル型医療装置の位置を検出する技術が提案されている(例えば、特許文献1から4参照。)。さらには、体腔管路内のカプセル型医療装置を駆動させる技術も提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
【特許文献1】国際公開第2004/014225号パンフレット
【特許文献2】特許第3321235号公報
【特許文献3】特開2004−229922号公報
【特許文献4】特開2001−179700号公報
【特許文献5】特開2002−187100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、LC共振回路を備えたカプセル型医療装置から発せられる電磁気を、外部の複数の検出装置により検出することでカプセル型医療装置の位置を検出する技術が公開されている。
しかしながら、この特許文献1においては、カプセル型医療装置内に、例えば誘導駆動やスイッチング用の磁石を配置すると、磁石がLC共振回路に影響を与えることにより、LC共振回路の特性が変化して、または、磁石がLC共振回路から発せられる電磁場(誘導磁場)を遮蔽して、位置検出の精度が低下または位置検出ができなくなる恐れがあった。また、カプセル型医療装置の電力を位置検出のために消費してしまうという問題があった。
【0005】
特許文献2においては、磁気誘導コイルを搭載したカプセル型内視鏡と、磁気誘導コイルに誘導電流を発生させる駆動コイルと、誘導電流に基づいて磁気誘導コイルと駆動コイルとの相対位置を求める検出装置とによるカプセル型医療装置の位置検出技術が開示されている。
しかしながら、上述の位置検出技術においては、カプセル型医療装置内に、例えば誘導駆動やスイッチング用の磁石を配置すると、磁石が、磁気誘導コイルに影響を与えることにより、磁気誘導コイルの特性が変化して、または、磁気誘導コイルから発せられる誘導磁場を遮蔽して、位置検出の精度が低下または位置検出ができなくなる恐れがあった。また、カプセル型医療装置の電力を位置検出のために消費してしまうという問題があった。
【0006】
特許文献3においては、略円筒状のカプセル型医療装置の円筒面にらせん状の突起部を形成し、カプセル型医療装置をその長軸を軸として回転させることにより、カプセル型医療装置を駆動する技術が開示されている。カプセル型医療装置は、カプセル型医療装置内に配置された磁石と外部から加えられる回転磁場とにより回転駆動されている。
しかしながら、上述の特許文献5においては、カプセル型医療装置の位置を検出する手段が記載されておらず、カプセル型医療装置を所定の位置に駆動誘導することができないという問題があった。
【0007】
さらに、特許文献3に記載されたカプセル型医療装置の駆動技術と、上述の特許文献1または2に開示されている位置検出技術との組み合わせ、つまり、駆動用の磁石を内蔵したカプセル型医療装置に、磁気誘導コイルを用いた磁気式の位置検出システムを採用する方法も容易に提案することができる。
しかしながら、この方法では、駆動用の磁石が磁気式の位置検出システムに干渉し、位置検出システムの性能が悪くなったり、位置が検出できなくなったりするという不具合が生じる可能性があった。また、磁石は駆動以外の用途に用いられるものであっても、同様な不具合が生じる可能性があった。
【0008】
上述した特許文献4および5においては、回転磁場を発生する磁場発生部と、前記磁場発生部が発生した回転磁場を受け、回転して推力を得る磁石を有するロボット本体と、前記ロボット本体の位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段が検出した前記ロボット本体の位置に基づき、前記ロボット本体を目的地へ到達させる方向へ向けるべく前記磁場発生部による回転磁場の向きを変更する磁場変向手段とからなる移動可能なマイクロマシンの移動制御システムが開示されている。上述の技術においては、ロボット本体(カプセル型内視鏡)の方向を制御するとともにロボット本体を誘導していた。
【0009】
しかしながら、上述の位置検出技術においては、ロボット本体の回転軸に対して垂直に配置された磁石の分極方向を検出しているため、ロボット本体の回転軸方向などの姿勢を特定するには、磁石の分極方向を変えて複数回の位置検出を行わなければならなかった。また、ロボット本体の実際の方向が、ロボット本体の位置および方向を制御する磁場に追従しているとは限らないため、ロボット本体の誘導精度が低下する恐れがあった。
さらに、カプセル型医療装置内に、例えば外部の機器との間で磁場等による情報交換等を行うコイルを配置すると、磁石がコイルの特性を変化させるため、または、磁石がコイルから発せられる磁場を遮蔽するため、情報交換等が妨害されてしまう恐れがあった。
【0010】
本発明の目的は、上記の課題を解決するためになされたものであって、磁石を内蔵した医療装置において、磁気式の位置検出システムを有効に動作させることができる医療装置および医療装置システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明は、少なくとも1つの磁石と、磁性材料から構成されたコアを有する内蔵コイルを含む回路と、を有し、被検者の体外に配置された磁気式の位置検出手段により、前記内蔵コイルの位置が検出される医療装置であって、前記コアが、前記磁石の形成する磁場により磁気飽和しない位置に配置されている医療装置を提供する。
【0012】
本発明によれば、内蔵コイルに磁性材料から構成されたコアを用いることにより、内蔵コイル性能の向上を図ることができ、医療装置の位置検出の際の不具合発生を防止できる。
例えば、内蔵コイルに位置検出用の外部磁場(例えば交流磁場)を作用させた場合、磁性材料から構成されたコアを内蔵コイルに用いていない場合と比較して、内蔵コイルが形成する磁場の強度が強くなる。そのため、位置検出手段は内蔵コイルが形成する磁場を検出しやすくなり、医療装置の位置を検出する際の不具合の発生を防止できる。
【0013】
また、コアは、磁石が形成する磁場によるコア内部の磁束密度が磁気飽和しない位置に配置されているため、内蔵コイルの性能低下を防止することができる。
例えば、内蔵コイルに位置検出用の交流磁場と、位置制御用の静磁場と、を作用させた場合、内部の磁束密度が磁気飽和する位置にコアが配置されている場合と比較して、交流磁場の強度変化に対応して内蔵コイルが形成する磁場強度の変化幅が大きくなる。そのため、位置検出手段は上記磁場強度の変化幅を検出しやすくなり、医療装置の位置を検出する際の不具合の発生を防止できる。
【0014】
上記発明においては、前記コアの形状が、前記コアにおける前記内蔵コイルの中心軸線方向に係る反磁場係数が他の方向に係る反磁場係数と比べて小さくなる形状であり、前記コアの位置における前記磁石が形成する磁場方向が、前記中心軸線方向と交差する方向であることが望ましい。
【0015】
本発明によれば、コアの形状が、内蔵コイルの中心軸線方向に係る反磁場係数が他の方向に係る反磁場係数と比較して小さくなる形状であるとともに、コアの位置における磁石の磁場方向が中心軸線方向と交差するため、内蔵コイルの性能をより向上させることができる。
つまり、反磁場係数が最も小さくなる方向以外の方向から磁石の磁場がコアに入射されるため、コアが磁気飽和するのに要する磁場強度を大きくできる。そのため、内蔵コイルに外部磁場が作用しても、コアが磁気飽和することを防止できる。
【0016】
上記発明においては、前記磁石が前記内蔵コイルの位置に形成する磁場方向と、前記コアにおける反磁場係数が最も小さくなる方向とが異なることが望ましい。
【0017】
本発明によれば、内蔵コイルの位置における磁石の磁場方向と、コアにおける反磁場係数が最も小さくなる方向とが異なるため、反磁場係数が最も小さくなる方向以外の方向から磁石の磁場がコアに入射される。そのため、コアが磁気飽和するのに要する磁場強度を大きくできる。よって、内蔵コイルに外部磁場が作用しても、コアが磁気飽和することを防止できる。
【0018】
上記発明においては、前記磁石が前記内蔵コイルの位置に形成する磁場方向と、前記コアにおける反磁場係数が最も小さくなる方向とのなす角度が略90度であることが望ましい。
【0019】
本発明によれば、内蔵コイルの位置における磁石の磁場方向と、コアにおける反磁場係数が最も小さくなる方向とのなす角度が略90度であるため、反磁場係数が最も小さくなる方向以外の方向から磁石の磁場がコアに入射される。
例えば、コアの形状が板状や棒状の場合、反磁場係数が最も大きい方向から磁石の磁場がコアに入射されるため、コア内部に形成される反磁場を最も大きくすることができる。そのため、コア内部の有効磁場を最も小さくすることができ、コアが磁気飽和することを防止できる。
【0020】
上記発明においては、前記コアが、前記中心軸線方向に係る反磁場係数が他の方向に係る反磁場係数よりも小さくなるように配置され、前記磁石が前記内蔵コイルの位置に形成する磁場方向と、前記中心軸線方向とが略直交することが望ましい。
【0021】
本発明によれば、中心軸線方向に係る反磁場係数が他の方向に係る反磁場係数よりも小さくなるようにコアが配置されるとともに、磁石の磁場方向が中心軸線方向と略直交するため、反磁場係数が最も小さくなる方向以外の方向から磁石の磁場がコアに入射される。そのため、コア内部に形成される反磁場が最も小さくなること、および、コア内部の有効磁場が最も大きくなることを防止でき、コアが磁気飽和することを防止できる。
【0022】
上記発明においては、前記磁石は、重心が前記中心軸線上に位置するように配置され、前記磁石の磁化方向が前記中心軸線と略直交することが望ましい。
本発明によれば、磁石の重心が上記中心軸線上に配置されるとともに、磁石の磁化方向が中心軸線と略直交するため、コアの位置における磁石の磁場方向は中心軸線と略直交する方向となる。
【0023】
上記発明においては、前記磁石の磁場により形成される前記コア内の磁束密度が前記コアにおける飽和磁束密度の1/2以下となる位置に、前記内蔵コイルが配置されていることが望ましい。
【0024】
本発明によれば、内蔵コイルは、コア内に磁石の磁場により形成される磁束密度が、コアの飽和磁束密度の1/2以下になる位置に配置されているため、コアにおける可逆磁化率の低下を抑えることができる。そのため、磁石の磁場の他に、内蔵コイルの位置検出に用いる交流磁場がコアの位置に形成されても、コア内に形成される磁束密度が飽和磁束密度を越えることを防止でき、内蔵コイルの性能低下を防止できる。
【0025】
上記発明においては、前記回路が共振回路であることが望ましい。
本発明によれば、例えば、内蔵コイルの位置検出に共振回路の共振周波数と同じ周波数の交流磁場等を利用することにより、内蔵コイルから発生される磁場等の強度を強くすることができる。あるいは回路において消費される電力消費量の削減などができる。
【0026】
上記発明においては、前記内蔵コイルが中空構造を有し、前記コアが、前記中心軸線方向に対する垂直な断面において略C字状となるように形成され、前記コアが前記中空構造の内部に配置されていることが望ましい。
【0027】
本発明によれば、内蔵コイルの中空構造内にコアを配置することにより、内蔵コイルにおいて発生する磁場の強度を、磁場が配置されない場合と比較して強くすることができる。あるいは、より強度の弱い磁場を内蔵コイルにより受け取ることができる。
【0028】
また、コアの断面形状を略C字状の形状とすることにより、コアの断面において略円形に流れる遮蔽電流(渦電流)の発生を防止することができる。そのため、遮蔽電流による磁場の遮断を防止でき、内蔵コイルにおける磁場の発生、または磁場の受け取りの阻害を防止できる。
コアの断面形状が略C字状の形状なので、断面形状が中実なコアと比較して、用いる磁性材料の体積を少なくできる。
コアの内部に他の部品を配置することができ、医療装置の小型化を図ることができる。
【0029】
例えば、コアの略C字状断面における半径方向の厚みを薄くして薄膜状とすることで、膜の厚さ方向に流れる渦電流の発生を抑えることができる。あるいは、発生しても内蔵コイルの位置検出に影響を与えない程度に抑えることができる。
例えば、コアに入射する磁石の磁場方向が、コアの略C字状断面における厚さ方向の場合、コアの厚さ方向に係る反磁場係数は大きいため、コア内部に形成される反磁場が最も大きくなる。そのため、コア内部の有効磁場を最も小さくでき、コアが磁気飽和することを防止できる。
【0030】
上記発明においては、被検者の体内の情報を取得する生体情報取得手段を有し、前記磁石が中空構造を有し、該中空構造の内部に少なくとも前記生体情報取得手段の一部が配置されていることが望ましい。
本発明によれば、磁石の中空構造の内部に生体情報取得手段を配置するため医療装置の小型化を図ることができる。
【0031】
上記発明においては、前記磁石が、複数の磁石片の集合体から形成され、前記複数の磁石片の間には、絶縁材が配置されていることが望ましい。
本発明によれば、絶縁体が複数の磁石片の間に配置されているため、複数の磁石片の集合体である磁石に遮蔽電流が流れにくくすることができる。そのため、内蔵コイルが発生または受ける磁場が、磁石に流れる遮蔽電流により遮蔽されることを防止することができる。あるいは、内蔵コイルが受ける遮蔽電流の影響を小さくでき、内蔵コイルの性能低下を防止できる。
【0032】
上記発明においては、前記複数の磁石が、略板状に形成されていることが望ましい。
本発明によれば、複数の磁石片が板状に形成されているため、複数の磁石片を積層させることにより集合体を形成しやすくすることができる。また、板状に形成されているため、磁石片の間に絶縁材を挟みやすくすることができる。
【0033】
上記発明においては、前記複数の磁石片が、その厚さ方向に着磁されていることが望ましい。
本発明によれば、複数の磁石片がその厚さ方向に着磁されていることにより、磁石片同士が引き合うため複数の磁石片を積層しやすく、その集合体である磁石を製造しやすい。
【0034】
上記発明においては、前記複数の磁石片が、その面に沿う方向に着磁されていることが望ましい。
本発明によれば、複数の磁石片がその面に沿う方向に着磁されているため、厚さ方向に着磁した場合と比較して、複数の磁石片の磁力を強くすることができ、その集合体である磁石の磁力を強くすることができる。
【0035】
上記発明においては、前記複数の磁石片の集合体である磁石が略筒状に形成されていることが望ましい。
本発明によれば、例えば、上記略筒状の磁石の内部に医療装置の他の構成要素を配置することができ、医療装置の小型化を図ることができる。
【0036】
上記発明においては、前記内蔵コイルが2つ設けられ、該2つの内蔵コイルは、それぞれの中心軸線が一致するように配置されるとともに、前記中心軸線方向に離れて配置され、前記磁石が前記2つの内蔵コイルの間に配置されていることが望ましい。
本発明によれば、磁石を医療装置の中心近傍に配置することができるため、例えば磁石を医療装置の駆動制御に用いる場合には、磁石が医療装置の一方の端部寄りに配置されている場合と比較して、医療装置の駆動を容易にすることができる。
【0037】
上記発明においては、前記磁石が2つ設けられ、該2つの前記磁石は前記内蔵コイルの中心軸線方向に離れて配置され、前記内蔵コイルが前記2つの磁石の間に配置されていることが望ましい。
本発明によれば、内蔵コイルを医療装置の中心近傍に配置することができるため、内蔵コイルが医療装置の一方の端部寄りに配置さている場合と比較して、医療装置の正確な位置を検出することができる。
【0038】
上記発明においては、被検者の体内に投入されるとともに、該被検者の体内の情報を取得する生体情報取得手段を有するカプセル型医療装置であることが望ましい。
本発明によれば、生体情報取得手段を有するとともに、被検者の体内に投入されるため、医療装置は、被検者の体内の情報を取得することができる。
【0039】
上記発明においては、前記内蔵コイルが中空構造を有し、該中空構造の内部に少なくとも前記生体情報取得手段の一部が配置されていることが望ましい。
本発明によれば、内蔵コイルの中空構造内に少なくとも生体情報取得手段の一部を配置するため、医療装置を小型化することができ、被検者の体内に投入しやすくできる。
【0040】
上記発明においては、前記回路または/および前記生体試料取得手段を駆動する電源手段を備え、前記内蔵コイルが中空構造を有し、該中空構造の内部に前記電源手段が配置されていることが望ましい。
本発明によれば、内蔵コイルの中空構造内に電源手段を配置するため、医療装置を小型化することができる。
【0041】
上記発明においては、前記回路または/および前記生体情報取得手段を駆動する電源手段を備え、前記磁石が中空構造を有し、該中空構造の内部に前記電源手段が配置されていることが望ましい。
本発明によれば、磁石の中空構造内に電源手段を配置するため、医療装置を小型化することができる。
【0042】
本発明は、上記本発明の医療装置と、前記内蔵コイルに誘導磁場を発生させる駆動部と前記内蔵コイルにより発生された誘導磁場を検出する磁気検出部とを有する位置検出手段と、を備え、前記回路が、前記内蔵コイルから前記位置検出手段に向けて磁場を発生させる磁場発生手段である医療装置システムを提供する。
【0043】
本発明によれば、駆動部が磁場発生手段である回路の内蔵コイルに発生させた誘導磁場に基づいて、位置検出手段が内蔵コイルの位置を検出することができる。
具体的には、位置検出手段に備えられた磁気検出部により上記発生された磁場を検出し、検出された磁場の情報等に基づいて内蔵コイルの位置を推定することができる。
【0044】
上記発明においては、前記位置検出手段の前記駆動部が、前記内蔵コイルが配置されている領域に磁場を形成し、前記磁場発生手段が、前記位置検出手段が形成した磁場を前記内蔵コイルにより受け、前記内蔵コイルから誘導磁場を発生することが望ましい。
【0045】
本発明によれば、磁場発生手段の内蔵コイルから発生された誘導磁場に基づいて、位置検出手段が内蔵コイルの位置を検出することができる。
具体的には、内蔵コイルにおいて発生した誘導磁場を、位置検出手段の磁気検出部で検出することにより、内蔵コイルの位置を推定することができる。
【0046】
上記発明においては、前記位置検出手段が、複数の前記磁気検出部と、該複数の磁気検出部の出力に基づき前記内蔵コイルの少なくとも位置・方向のいずれか一方を計算する計算装置と、を有することが望ましい。
【0047】
本発明によれば、計算装置が複数の磁気検出部の出力に基づいて、内蔵コイルの少なくとも位置・方向のいずれか一方を計算するため、内蔵コイルの位置または方向の少なくとも一方を推定することができる。
磁気検出部が複数であるため、内蔵コイルの位置・方向の計算に用いる出力も複数となる。例えば、計算装置において計算に用いる出力を選択することで、内蔵コイルの位置・方向の計算結果の精度を高めることができる。
【0048】
本発明は、上記本発明の医療装置と、複数の方向から前記内蔵コイルの配置されている領域に磁場を形成する駆動部を有する位置検出手段と、を備え、前記回路が、前記位置検出手段が形成した複数の磁場を受信する内部磁場検出部と、受信された複数の磁場情報を前記位置検出手段に向けて送信する位置情報送信手段とを有する医療装置システムを提供する。
【0049】
本発明によれば、位置情報送信手段から送信された複数の磁場情報に基づいて、位置検出手段が内蔵コイルの位置を検出することができる。
具体的には、内部磁場検出部は、駆動部により複数の方向から形成された磁場を受信し、内部磁場検出部から出力された複数の磁場情報は、位置情報送信手段により位置検出手段に送信される。位置検出手段は、上記複数の磁場情報に基づいて内蔵コイルの位置を推定することができる。
【0050】
上記発明においては、前記位置検出手段が、前記内部磁場検出部で検出された複数の磁場情報に基づいて前記内蔵コイルの少なくとも位置・方向のいずれか一方を計算する計算装置を有することが望ましい。
【0051】
本発明によれば、計算装置が内部磁場検出部で検出された磁場情報に基づいて、内蔵コイルの少なくとも位置・方向のいずれか一方を計算するため、内蔵コイルの位置または方向の少なくとも一方を推定することができる。
磁場情報が複数であるため、例えば、計算装置において計算に用いる磁場情報を選択することで、内蔵コイルの位置・方向の計算結果の精度を高めることができる。
【0052】
上記発明においては、前記医療装置の作動範囲の外部に配置され、前記磁石に対して作用させる駆動用磁場を発生する駆動用磁場発生手段と、該駆動用磁場発生手段を制御することにより、前記駆動用磁場の方向を制御する磁場方向制御手段と、を備えることが望ましい。
【0053】
本発明によれば、駆動用磁場発生手段と磁場方向制御手段とを備えることにより、駆動用磁場を発生させるとともに、駆動用磁場の方向を制御することができる。そのため、駆動用磁場により制御される磁石を含む医療装置を所定の位置に誘導することができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明の医療装置および医療装置システムによれば、内蔵コイルに磁性材料から構成されたコアを用いることにより、内蔵コイル性能の向上を図ることができる。そのため、磁気式の位置検出システムを有効に動作させ、医療装置の位置検出の際の不具合発生を防止できるという効果を奏する。
また、コアは、磁石が形成する磁場によるコア内部の磁束密度が磁気飽和しない位置に配置されているため、磁気式の位置検出システムを有効に動作させ、内蔵コイルの性能低下を防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係るカプセル型内視鏡システムについて図1から図31を参照して説明する。
図1は、本実施形態におけるカプセル型内視鏡システムの概略を示す図である。図2は、カプセル型内視鏡システムの斜視図である。
カプセル型内視鏡システム(医療装置システム)10は、図1および図2に示すように、被検者1の口部または肛門から体腔内に投入され、体腔内管路の内壁面を光学的に撮像し画像信号を無線で送信するカプセル型内視鏡(医療装置、カプセル型医療装置)20と、カプセル型内視鏡20の位置を検出する位置検出装置(位置検出手段、計算装置)50と、検出されたカプセル型内視鏡20の位置および施術者の指示に基づきカプセル型内視鏡20を誘導する磁気誘導装置70と、カプセル型内視鏡20から送信された画像信号を表示する画像表示装置80と、から概略構成されている。
【0056】
磁気誘導装置70は、図1に示すように、カプセル型内視鏡20を駆動する平行磁場を発生させる3軸ヘルムホルツコイルユニット(駆動用磁場発生手段)71と、3軸ヘルムホルツコイルユニット71に供給する電流を増幅制御するヘルムホルツコイルドライバ72と、カプセル型内視鏡20を駆動する平行磁場の方向を制御する回転磁場制御回路(磁場方向制御手段)73と、施術者が入力したカプセル型内視鏡20の進行方向を回転磁場制御回路73に出力する入力装置74と、から概略構成されている。
【0057】
なお、本実施形態において、ヘルムホルツコイル71は対となるコイルを対向させ、平行磁場を発生させる電磁石を3軸方向に配置したコイルユニットに適用して説明する。このコイルの好適な例としては、ヘルムホルツコイルを3軸方向に3個配置したヘルムホルツコイルユニットが考えられる。
【0058】
本実施形態では、ヘルムホルツコイルユニットとして説明しているが、電磁石の構成としては、ヘルムホルツコイルユニットに限定されるものでなく、例えば、図1に示すように、略方形のコイルを対向させたものでもよい。また、対象空間内で所望の磁場が得られるのであれば、コイルの直径に対して、コイルの間隔を2分の1にせず、適宜変更してもよい。
また、対向したコイルだけでなく、所望の磁場を得られる構成であればどのような構成の磁石を用いても構わない。
【0059】
例えば、図49に示すように、対象領域の片側に電磁石701から705を配置し、電磁石701と電磁石702との間で磁場を生成することで、X軸方向の磁場を生成できる。同様に、電磁石703と電磁石704との間でY軸方向の磁場を生成でき、電磁石705でZ軸方向の磁場を生成できる。
このように構成された電磁石システムを用いることでも、同様の効果を得ることができる。
【0060】
3軸ヘルムホルツコイルユニット71は、図1および図2に示すように、略矩形形状に形成されている。また、3軸ヘルムホルツコイルユニット71は、互いに対向する3対のヘルムホルツコイル71X,71Y,71Zを備えるとともに、各対のヘルムホルツコイル71X,71Y,71Zが図1中のX,Y,Z軸に対して略垂直となるように配置されている。X,Y,Z軸に対して略垂直に配置されたヘルムホルツコイルを順にそれぞれヘルムホルツコイル71X,71Y,71Zと表記する。
また、ヘルムホルツコイル71X,71Y,71Zは、その内部に直方体状の空間を形成するように配置されている。直方体状の空間は、図1に示すように、カプセル型内視鏡20の作動空間になるとともに、図2に示すように、被検者1が配置される空間にもなっている。
【0061】
ヘルムホルツコイルドライバ72は、それぞれヘルムホルツコイル71X,71Y,71Zを制御するヘルムホルツコイルドライバ72X,72Y,72Zを備えている。
回転磁場制御回路73には、位置検出装置50からカプセル型内視鏡20の現在向いている方向(カプセル型内視鏡20の回転軸(中心軸線)Rの方向)(図5参照)データが入力されるとともに、施術者が入力装置74から入力したカプセル型内視鏡20の進行方向指示が入力されるようになっている。そして、回転磁場制御回路73からは、ヘルムホルツコイルドライバ72X,72Y,72Zを制御する信号が出力されるとともに、画像表示装置80にカプセル型内視鏡20の回転位相データが出力されるようになっている。
また、入力装置74としては、ジョイスティックを倒すことによりカプセル型内視鏡20の進行方向を指示する入力装置を用いている。
なお、入力装置74は、上述のようにジョイスティック方式のものを用いてもよいし、進行方向のボタンを押すことにより進行方向を指示する入力装置など、他の方式の入力装置を用いてもよい。
【0062】
位置検出装置50は、図1に示すように、カプセル型内視鏡20内の後述する磁気誘導コイルに誘導磁場を発生させるドライブコイル(駆動部)51と、磁気誘導コイルで発生した誘導磁場を検知するセンスコイル(磁気検出部)52と、センスコイル52が検知した誘導磁場に基づいてカプセル型内視鏡20の位置を演算するとともにドライブコイル51により形成される交流磁場を制御する位置検出装置50と、から概略構成されている。
【0063】
位置検出装置50からドライブコイル51までの間には、位置検出装置50からの出力に基づき交流電流を発生させる正弦波発生回路53と、位置検出装置50からの出力に基づき正弦波発生回路53から入力された交流電流を増幅するドライブコイルドライバ54と、位置検出装置50からの出力に基づき選択されたドライブコイル51に交流電流を供給するドライブコイルセレクタ55と、が配置されている。
センスコイル52から位置検出装置50までの間には、位置検出装置50からの出力に基づきセンスコイル52からのカプセル型内視鏡20の位置情報などを含んだ交流電流を選択するセンスコイルセレクタ(磁気センサ選択手段)56と、センスコイルセレクタ56を通過した上記交流電流から振幅値を抽出し位置検出装置50へ出力するセンスコイル受信回路57とが配置されている。
【0064】
図3は、カプセル型内視鏡システムの断面を示す概略図である。
ここで、ドライブコイル51は、図1および図3に示すように、ヘルムホルツコイル71X,71Y,71Zにより形成される略直方体形状の作動空間の上方(Z軸の正方向側)の四隅に斜めに配置されている。またドライブコイル51は、矩形形状のヘルムホルツコイル71X,71Y,71Zの角部を結ぶ略三角形状のコイルとして形成されている。このように、ドライブコイル51を上方に配置することにより、ドライブコイル51と被検者1との干渉を防止できる。
なお、ドライブコイル51は、上述のように略三角形状のコイルであってもよいし、円形状など、さまざまな形状のコイルを用いることができる。
【0065】
また、センスコイル52は空芯コイルとして形成されているとともに、ヘルムホルツコイル71X,71Y,71Zよりも内側であって、カプセル型内視鏡20の作動空間を介してドライブコイル51と対向する位置およびY軸方向に互いに対向しあう位置に配置された3つの平面形状のコイル支持部58により支持されている。1つのコイル支持部58には、9個のセンスコイル52がマトリクス状に配置されていて、位置検出装置50全体には27個のセンスコイル52が備えられている。
【0066】
図4は、センスコイル受信回路57の回路構成を示す概略図である。
センスコイル受信回路57は、図4に示すように、入力されたカプセル型内視鏡20の位置情報を含む交流電圧の低周波成分を取り除くハイパスフィルタ(HPF)59と、上記交流電圧を増幅するプリアンプ60と、増幅された上記交流電圧に含まれる高周波を取り除くバンドパスフィルタ(BPF)61と、高周波を取り除いた上記交流電圧を増幅するアンプ(AMP)62と、上記交流電圧の振幅を検出して振幅値を抽出して出力する実効値検出回路(True RMS コンバータ)63と、振幅値をデジタル信号に変換するA/D変換器64と、デジタル化された振幅値を一時的に格納するメモリ65とから構成されている。
【0067】
ハイパスフィルタ59は、センスコイル52から延びる一対の配線66Aにそれぞれ配置された抵抗67と、一対の配線66A間を接続するとともにその略中央で接地されている配線66Bと、配線66Bに接地点を介して対向して配置された一対のコンデンサ68とから構成されている。プリアンプ60は一対の配線66Aにそれぞれ配置され、プリアンプ60から出力された上記交流電圧は、一つのバンドパスフィルタ61に入力されるようになっている。メモリ65は、9つのセンスコイル52から得られた振幅値を一時的に格納し、格納した振幅値を位置検出装置50へ出力している。
なお、上述のように、上記交流電圧の振幅値を抽出するのに実効値検出回路63を用いてもよいし、整流回路を用いて磁気情報を平滑化して電圧を検出することで振幅値を検出してもよいし、上記交流電圧のピークを検出するピーク検出回路を用いて振幅値を検出してもよい。
また、検出される交流電圧の波形は、カプセル内視鏡20内の後述する磁気誘導コイル42の有無、位置により、ドライブコイル51に付加される波形に対する位相が変化する。この位相変化をロックインアンプなどで検出してもかまわない。
【0068】
画像表示装置80は、図1に示すように、カプセル型内視鏡20から送信された画像を受信する画像受信回路81と、受信された画像信号および回転磁場制御回路73からの信号に基づいて画像を表示する表示部82とから構成されている。
【0069】
図5は、カプセル型内視鏡20の構成を示す概略図である。
カプセル型内視鏡20は、図5に示すように、その内部に各種の機器を収納する外装21と、被検者の体腔内管路の内壁面を撮像する撮像部(生体情報取得手段)30と、撮像部30を駆動する電池(電源手段)39と、前述したドライブコイル51により誘導磁場を発生させる誘導磁場発生部(誘導磁場発生手段)40と、カプセル型内視鏡20を駆動する駆動用磁石(磁石)45と、から概略構成されている。
【0070】
外装21は、カプセル型内視鏡20の回転軸(中心軸線)Rを中心軸とする赤外線を透過する円筒形状のカプセル本体(以下、単に本体と略記)22と、本体22の前端を覆う透明で半球形状の先端部23と、本体の後端を覆う半球形状の後端部24とから形成され、水密構造で密閉されたカプセル容器を形成している。
また、外装21の本体の外周面には、回転軸Rを中心として断面円形の線材を螺旋状に巻いた螺旋部25が備えられている。
【0071】
撮像部30は、回転軸Rに対して略垂直に配置された基板36Aと、基板36Aの先端部23側の面に配置されたイメージセンサ31と、被検者の体腔内管路の内壁面の画像をイメージセンサ31に結像させるレンズ群32と、体腔内管路の内壁面を照明するLED(Light Emitting Diode)33と、基板36Aの後端部24側の面に配置された信号処理部34と、画像信号を画像表示装置80に発信する無線素子35とから概略構成されている。
【0072】
信号処理部34は、基板36A、36B、36Cおよびフレキシブル基板37Aを介して電池39に電気的に接続されているとともに、基板36Aを介してイメージセンサ31と電気的に接続され、基板36A、フレキシブル基板37Aおよび支持部材38を介してLED33と電気的に接続されている。また、信号処理部34は、イメージセンサ31が取得した画像信号を圧縮して一時的に格納(メモリ)し、圧縮した画像信号を無線素子35から外部に送信するとともに、後述するスイッチ部46からの信号に基づきイメージセンサ31およびLED33のオンオフを制御している。
【0073】
イメージセンサ31は、先端部23およびレンズ群32を介して結像された画像を電気信号(画像信号)に変換して信号処理部34へ出力している。このイメージセンサ31としては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCDを用いることができる。
また、LED33は基板36Aより先端部23側に配置された支持部材38に、回転軸Rを中心として周方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0074】
信号処理部34の後端部24側には、電池39が基板36B、36Cに挟まれて配置されている。
電池39の後端部24側には、基板36C上に配置されたスイッチ部46が備えられている。スイッチ部46は赤外線センサ47を有し、基板36A,36Cおよびフレキシブル基板37Aを介して信号処理部34と電気的に接続されているとともに、基板36B,36Cおよびフレキシブル基板37Aを介して電池39と電気的に接続されている。
また、スイッチ部46は回転軸Rを中心として周方向に等間隔に複数配置されるとともに、赤外線センサ47が直径方向外側に面するように配置されている。本実施形態においては、スイッチ部46が4つ配置されている例を説明するが、スイッチ部46の数は4つに限られることなく、その個数がいくつであってもよい。
【0075】
基板36Dの後端部24側の面には無線素子35が配置されている。無線素子35は、基板36A、36C、36Dおよびフレキシブル基板37A、37Bを介して信号処理部34と電気的に接続されている。
【0076】
図6は、カプセル型内視鏡20に備えられている駆動用磁石45の構成を説明する図である。図6(a)は、カプセル型内視鏡20の先端部23側から見た駆動用磁石45の図であり、図6(b)は、側面から見た駆動用磁石45の図である。
無線素子35の後端部24側には、図5に示すように、駆動用磁石45が配置されている。駆動用磁石45は、回転軸R上に重心が位置するように配置されるとともに、回転軸Rに対して直交方向(例えば図5中の上下方向)に磁化方向を有するように配置されている。
そのため、駆動用磁石45が後述するパーマロイ膜の位置に形成する磁場は、回転軸Rに対して略垂直となる。
駆動用磁石45は、図6(a),(b)に示すように、略板状に形成された、1つの大磁石片(磁石片)45a、2つの中磁石片(磁石片)45b、2つの小磁石片(磁石片)45cと、磁石片45a,45b,45cの間に挟まれた、例えばビニールシートなどの絶縁体(絶縁材)45dとからなり、その形状が略円柱となるように構成されている。また、各磁石片45a,45b、45cは、その板厚方向(図中上下方向)に着磁されており、図中の矢印の方向が着磁方向である。具体的には、矢印の指している側がN極であり、その反対側がS極である。
【0077】
駆動用磁石45の形状寸法としては、カプセル型内視鏡20の大きさにも左右されるが、例えば、円柱の直径が略6mmから略8mm、円柱の高さが略6mmから略8mmのものを例示することができ、より具体的には、直径8mm、高さ6mmの円柱、あるいは直径6mm高さ8mmの円柱を例示することができる。また、磁石片45aの材質としてはネオジウムコバルトを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
なお、上述のように駆動用磁石45は、磁石片45a,45b,45cと絶縁体45dとから構成されていてもよいし、磁石片45a,45b,45cのみから構成されていてもよい。さらには、駆動用磁石45は1個の円柱形の磁石から形成されていても構わない。
【0078】
また、誘導磁場発生部40は、図5に示すように、本体22と電池39等との間の円筒形領域に配置されている。
誘導磁場発生部40は、図5および図7に示すように、中心軸が回転軸Rと略一致する円筒形状に形成された芯部材41Aと、芯部材41Aの外周部に配置された磁気誘導コイル(内蔵コイル)42と、芯部材41Aおよび磁気誘導コイル42の間に配置されたパーマロイ膜(コア)41Bと、磁気誘導コイル42と電気的に接続され、LC共振回路(回路)43を形成するコンデンサ(図示せず)とから形成されている。
コイル42およびパーマロイ膜41Bは、駆動用磁石45の磁場により形成されるパーマロイ膜41B内の磁束密度がパーマロイ膜41Bにおける飽和磁束密度の1/2以下となる位置に配置されている。具体的には、コイル42およびパーマロイ膜41Bは、駆動用磁石45の間に少なくとも略5mm以上、望ましくは略10mm以上の間隔を設けるように配置されている。また、パーマロイ膜41Bは、図7に示すように、磁性体材料であるパーマロイをシート状の膜に形成したものである。また、パーマロイ膜41Bを芯部材41Aに巻いたときに、隙間tが形成されるようになっている。
パーマロイ膜41Bは、図7に示すように、回転軸Rを中心軸とする略円筒膜状に形成されているため、パーマロイ膜41Bにおける回転軸R方向に係る反磁場係数は、他の方向に係る反磁場係数よりも小さくなる。
【0079】
なお、パーマロイ膜41Bは、上述のようにパーマロイから形成されていてもよいし、同じく磁性材料である鉄やニッケルから形成されたものであってもよい。
なお、上述のように磁気誘導コイル42とコンデンサとによりLC共振回路43が形成されてもよいし、コンデンサを用いずに磁気誘導コイル42による自己共振を利用した共振回路であってもよい。
【0080】
次に、上記の構成からなるカプセル型内視鏡システム10の作用について説明する。
まず、カプセル型内視鏡システム10の作用の概要について説明する。
カプセル型内視鏡20は、図1および図2に示すように、位置検出装置50および磁気誘導装置70内に横臥した被検者1の口部または肛門から体腔に投入される。投入されたカプセル型内視鏡20は、位置検出装置50によりその位置が検出されるとともに、磁気誘導装置70により被検者1の体腔内管路内を患部近傍まで誘導される。カプセル型内視鏡20は、患部までの誘導中および患部近傍において体腔内管路の内壁面を撮像する。そして、撮像した体腔内管路の内壁面のデータおよび患部近傍のデータを画像表示装置80に送信する。画像表示装置80は送信されてきた画像を表示部82に表示する。
【0081】
次に位置検出装置50の作用について説明する。
位置検出装置50においては、図1に示すように、まず、正弦波発生回路53が位置検出装置50からの出力に基づき交流電流を発生し、交流電流はドライブコイルドライバ54へ出力される。発生される交流電流の周波数は数kHzから100kHzまでの範囲内の周波数であり、後述する共振周波数を含むように、時間に応じて周波数が上述の範囲内で変化(スイープ)している。なお、スイープする範囲は上述する範囲に限られることなく、より狭い範囲であってもよいし、より広い範囲であってもよく、特に限定されるものではない。
【0082】
また、常にスイープを行うのではなく、まずスイープを行い測定周波数を決定し、その後、周波数を測定周波数に固定して測定するようにしても構わない。これにより測定速度を向上させることができる。さらには、周期的にスイープを行い測定周波数を再度決定するようにしても構わない。これらにより、温度特性による共振周波数の変化にも対応することができる。
【0083】
交流電流は、ドライブコイルドライバ54において位置検出装置50の指示に基づき増幅され、ドライブコイルセレクタ55へ出力される。増幅された交流電流は、ドライブコイルセレクタ55において位置検出装置50により選択されたドライブコイル51へ供給される。そしてドライブコイル51に供給された交流電流は、カプセル型内視鏡20の作動空間に交流磁場を形成する。
【0084】
交流磁場内に位置するカプセル型内視鏡20の磁気誘導コイル42には、交流磁場により誘導起電力が発生して誘導電流が流れる。磁気誘導コイル42に誘導電流が流れると、誘導電流により誘導磁場が形成される。
また、磁気誘導コイル42はコンデンサとともに共振回路43を形成しているので、交流磁場の周期が共振回路43の共振周波数と一致すると、共振回路43(磁気誘導コイル42)に流れる誘導電流は大きくなり、形成される誘導磁場も強くなる。さらに、磁気誘導コイル42の内側には、パーマロイ膜41Bが配置されているので、磁気誘導コイル42により形成される誘導磁場はさらに強くなる。
【0085】
上記誘導磁場はセンスコイル52に誘導起電力を発生させ、カプセル型内視鏡20の位置情報などを含んだ交流電圧(磁気情報)がセンスコイル52に発生する。この交流電圧は、センスコイルセレクタ56を介してセンスコイル受信回路57に入力され、交流電圧の振幅値(振幅情報)が抽出される。
センスコイル受信回路57に入力された上記交流電圧は、図4に示すように、まずハイパスフィルタ59により、交流電圧に含まれる低周波成分が取り除かれ、プリアンプ60により増幅される。その後、バンドパスフィルタ61により高周波が取り除かれ、アンプ62により増幅される。このようにして不要な成分が取り除かれた交流電圧は、実効値検出回路63により交流電圧の振幅値が抽出される。抽出された振幅値はA/D変換器64によりデジタル信号化され、メモリ65に格納される。
メモリ65は、例えば正弦波発生回路53で発生される正弦波信号をLC共振回路43の共振周波数付近でスイープさせた1周期分に対応する振幅値を格納し、1周期分の振幅値をまとめて位置検出装置50へ出力している。
【0086】
上述した交流電圧の振幅値は、図8に示すように、ドライブコイル51が形成した交流磁場と共振回路43の共振周波数との関係により大きく変化する。図8は、横軸に交流磁場の周波数をとり、縦軸に共振回路43に流れる交流電圧のゲイン変化(dBm)および位相変化(degree)をとっている。ゲイン変化は実線で表されており、共振周波数よりも小さい周波数で極大値をとり、共振周波数においてゲイン変化がゼロとなり、共振周波数よりも大きい周波数で極小値をとることを示している。また、位相変化は破線で表されており、共振周波数において最も遅れることを示している。
なお、測定条件により共振周波数よりも低い周波数で極小値をとり、共振周波数よりも高い周波数で極大値をとり、共振周波数で位相が最も進む場合もある。
【0087】
抽出された振幅値は位置検出装置50に出力され、位置検出装置50は共振周波数の前後における振幅値の極大値および極小値の振幅差をセンスコイル52からの出力とみなす。そして、位置検出装置50は、複数のセンスコイル52から得られた振幅差に基づいて、カプセル型内視鏡20の位置、方向、磁場の強さに係る連立方程式を解くことによりカプセル型内視鏡20の位置などを求めることになる。
このように、上記振幅差をセンスコイル52の出力とすることにより、環境条件(例えば温度)などによる磁場強度の変化に起因する上記振幅の変化をキャンセルすることができ、環境条件に影響されることなく、安定した精度でカプセル型内視鏡20の位置を求めることができる。
【0088】
カプセル型内視鏡20の位置などの情報としては、例えば、X、Y、Zの位置座標と、カプセル型内視鏡20の中心軸線(回転軸)に対して直交するとともに、互いに直交する軸線回りの回転位相φ、θと、磁気誘導コイル42が形成した誘導磁場の強さと、の6つの情報が挙げられる。
これら6つの情報を演算により推定するためには、少なくとも6つのセンスコイル52からの出力が必要であるが、カプセル型内視鏡20の位置の推定には、少なくとも1つの面に配置された9つのセンスコイル52からの出力が用いられているので、上記6つの情報を演算により求めることができる。
【0089】
位置検出装置50は、演算により求めたカプセル型内視鏡20の位置に基づき、ドライブコイル51に供給する交流電流の増幅率をドライブコイルドライバ54に指示する。この増幅率は、磁気誘導コイル42が発生する誘導磁場をセンスコイル52により検出できるように設定されるものである。
また、位置検出装置50は、磁場を形成するドライブコイル51を選定し、ドライブコイルセレクタ55に対して選定したドライブコイル51に交流電流を供給するように指示を出力する。このドライブコイル51の選定方法は、図9に示すように、ドライブコイル51から磁気誘導コイル42を結ぶ直線(ドライブコイル51の向き)と磁気誘導コイル42の中心軸線(カプセル型内視鏡20の回転軸R)とが略直交するドライブコイル51を除外する方法で行われるとともに、磁気誘導コイル42において作用する磁場の方向が一次独立となるよう、図10に示すように、3つのドライブコイル51に交流電流を供給するように選定されている。
より好ましい方法としては、ドライブコイル51が形成する磁力線の方向と、磁気誘導コイル42の中心軸線とが略直交するドライブコイル51を除外する方法が有効である。
【0090】
なお、上述のように、ドライブコイルセレクタ55を用いて交流磁場を形成するドライブコイル51の数を制限してもよいし、ドライブコイルセレクタ55を用いないで、ドライブコイル51の配置数を最初から3つとしてもよい。
なお、上述のように、ドライブコイル51を3つ選択して交流磁場を形成してもよいし、図11に示すように、全てのドライブコイル51により交流磁場を発生させてもよい。
【0091】
さらに位置検出装置50は、カプセル型内視鏡20の位置を推定するのに、どのセンスコイル52により検出された振幅差を用いるのかを選定し、センスコイルセレクタ56に対して選定したセンスコイル52からの交流電流をセンスコイル受信回路57へ入力するように指示を出力する。
このセンスコイル52の選定方法は、特に限定されるものではなく、例えば、図9に示すように、ドライブコイル51とカプセル型内視鏡20を介して対向するセンスコイル52を選定してもよいし、図12に示すように、ドライブコイル51が配置されている面に隣接するとともに互いに対向する面に配置されているセンスコイル52を選定してもよい。
また、すでに求められているカプセル型内視鏡20の位置および方向に基づいて、誘導される交流電流が大きくなると予想されるセンスコイル20、例えば、カプセル型内視鏡20に近いセンスコイル20を選択してもよい。
【0092】
なお、上述のように、3つのコイル支持部58上に配置されたセンスコイル52に誘導される交流電流をセンスコイルセレクタ56により選択してもよいし、センスコイルセレクタ56を用いないで、図11および図12に示すように、コイル支持部58の配置数をあらかじめ1つ、または2つとしてもよい。
【0093】
次に、磁気誘導装置70の作用について説明する。
磁気誘導装置70においては、図1に示すように、まず、施術者が入力装置74を介して回転磁場制御回路73へカプセル型内視鏡20に誘導方向を入力する。回転磁場制御回路73では、入力された誘導方向および位置検出装置50から入力されるカプセル型内視鏡20の方向(回転軸方向)に基づいて、カプセル型内視鏡20にかける平行磁場の方向および回転方向を決定する。
そして、上記平行磁場の方向を形成するために必要な各ヘルムホルツコイル71X,71Y,71Zの発生磁場強さを算出し、これら磁場を発生させるのに必要な電流値を算出する。
【0094】
各ヘルムホルツコイル71X,71Y,71Zに供給する電流値のデータは、それぞれ対応するヘルムホルツコイルドライバ72X,72Y,72Zへ出力され、各ヘルムホルツコイルドライバ72X,72Y,72Zは、入力されたデータに基づき電流を増幅制御してそれぞれ対応するヘルムホルツコイル71X,71Y,71Zに電流を供給する。
電流が供給されたヘルムホルツコイル71X,71Y,71Zは、それぞれ電流値に応じた磁場を発生し、これら磁場が合成されることにより、回転磁場制御回路73が決定した磁場方向を有する平行磁場が形成される。
【0095】
カプセル型内視鏡20には、後述するように、駆動用磁石45が搭載されており、駆動用磁石45と上記平行磁場とに働く力により、カプセル型内視鏡20はその姿勢(回転軸方向)が制御される。また、上記平行磁場の回転周期は0Hzから数Hz程度に制御されるとともに、上記平行磁場の回転方向を制御することにより、カプセル型内視鏡20の回転軸回りの回転方向が制御され、カプセル型内視鏡20の進行方向および進行速度が制御される。
【0096】
次に、カプセル型内視鏡20の作用について説明する。
カプセル型内視鏡20は、図5に示すように、まず、スイッチ部46の赤外線センサ47に赤外線が照射され、スイッチ部46は信号処理部34に対して信号を出力する。信号処理部34は、スイッチ部46からの信号を受け取ると、カプセル型内視鏡20に搭載されているイメージセンサ31,LED33,無線素子35および信号処理部34自身に電池39から電流を供給し、オン状態とする。
【0097】
イメージセンサ31は、LED33により照明された被検者1の体腔内管路内の壁面を撮像し、この画像を電気信号に変換して信号処理部34へ出力する。信号処理部34は、入力された画像信号を圧縮して一時的に格納し、無線素子35へ出力する。無線素子35に入力された圧縮された画像信号は画像表示装置80へ電波として送信される。
【0098】
また、外装21の外周に配置された螺旋部25により、カプセル型内視鏡20は回転軸R回りに回転することで先端部23側または後端部24側へ移動することができる。移動する方向は、回転軸R回りの回転方向および螺旋部25の回転方向により決定される。
【0099】
次に、画像表示装置80の作用について説明する。
画像表示装置80においては、図1に示すように、まず、画像受信回路81がカプセル型内視鏡20から送信された圧縮画像信号を受信し、画像信号は表示部82へ出力されている。圧縮画像信号は、画像受信回路81または表示部82において復元され、表示部82により表示される。
また、表示部82は、回転磁場制御回路73から入力されるカプセル型内視鏡20の回転位相データに基づき、カプセル型内視鏡20の回転方向と逆方向に上記画像信号を回転処理してから表示している。
【0100】
次に、磁気誘導コイル内に配置される物による磁気誘導コイルの出力変化に係る実験について説明する。
図13は、本実験に用いられた実験装置の概要を説明する図である。
実験装置401は、図13に示すように、実験対象である磁気誘導コイル42と、磁気誘導コイルに磁場を加えるドライブコイル51と、磁気誘導コイル42において発生した誘導磁場を検出するセンスコイル52と、センスコイル52により検出した信号を解析するネットワークアナライザー402と、ネットワークアナライザー402の出力を増幅してドライブコイル51に出力するアンプ403とから構成されている。
【0101】
図14は、本実験における磁気誘導コイル42と磁気誘導コイル42内に配置される物とを説明する図である。図14(a)は、磁気誘導コイル42と電池39とを説明する図であり、図14(b)は、磁気誘導コイル42と電池39および駆動用磁石45とを説明する図である。
磁気誘導コイル42は、図14(a),(b)に示すように、内径略10mmの円筒形のパーマロイ膜41Bの外周に配置され、略30mmの長さに形成されている。
本実験で用いた電池39は、ボタン型電池を3つ直列に配置したものである。
本実験で用いた駆動用磁石45は、図14(b)に示すように、直径略8mm、長さ略6mmの略円柱形のものであり、ネオジウムコバルトから形成されている。
なお、実験における磁気誘導コイル42と電池39との位置関係、および、磁気誘導コイル42と電池39、駆動用磁石45との位置関係は、図14(a),(b)に示す通りである。
【0102】
図15および図16は、ドライブコイル51が形成した交流磁場の周波数と、ゲイン変化および位相変化の関係を表した図である。
図15および図16中のA1およびA2は、それぞれ磁気誘導コイル42のみで測定した際のゲイン変化および位相変化であり、B1およびB2は、それぞれ磁気誘導コイル42中に電池39を配置(図14(a)参照)した際のゲイン変化および位相変化であり、C1およびC2は、それぞれ磁気誘導コイル42中に電池39および駆動用磁石45を配置(図14(b)参照)した際のゲイン変化および位相変化である。
【0103】
図15および図16に示すように、磁気誘導コイル42のみの場合(A1,A2)と、磁気誘導コイル42中に電池39を配置した場合(B1,B2)とには差が認められなかった。逆に、磁気誘導コイル42に電池39および駆動用磁石45を配置した場合(C1,C2)は、ゲイン変化および位相変化が起きる周波数が他の場合より高周波数側に移動する結果となり、ゲイン変化の幅も小さくなった。
この結果より、磁気誘導コイル42中に電池39を配置しても磁気誘導コイル42の特性に影響を与えないことが判明し、駆動用磁石45を配置すると磁気誘導コイル42の出力が弱くなる傾向になることが判明した。
【0104】
次に、駆動用磁石との距離関係における磁気誘導コイルの出力変化に係る実験について説明する。
実験には、上述の実験と同様に、図13に示す実験装置401を使用する。
【0105】
図17は、本実験における磁気誘導コイル42と駆動用磁石45との位置関係を説明する図である。図18は、本実験に用いられた中実な駆動用磁石の構成を説明する図であり、図18(a)は駆動用磁石の正面図であり、図18(b)は駆動用磁石の側面図である。
磁気誘導コイル42は、図17に示すように、内径略10mmの円筒形のパーマロイ膜41Bの外周に配置され、略30mmの長さに形成されている。
中実な駆動用磁石45は、図18(a),(b)に示すように、略板状に形成された、1つの大磁石片45a、2つの中磁石片45b、2つの小磁石片45cから構成され、略円筒形に形成されている。各磁石片の幅は、大磁石片45aが略9mm、中磁石片45bが略7mm、小磁石片45cが略5mmである。厚さ及び長さは、各磁石変とも共通であり、厚さが略1.5mm、長さが略8mmである。また、各磁石片ともにネオジウムコバルトから形成されており、その厚さ方向に着磁されている。なお、図中の矢印が指している側がN極であり、その反対側がS極である。
【0106】
図19は、本実験に用いられた中空な駆動用磁石の構成を説明する図である。図19(a)は、中空な駆動用磁石の側面図であり、図19(b)は、大型の中空駆動用磁石の側面図である。
中空な駆動用磁石45は、図19(a)に示すように、外径が略13mm、内径が略11mm、長さが略18mmの円筒形に形成され、ネオジウムコバルトから形成されている。大型の駆動用磁石45は、図19(b)に示すように、外形が略16mm、内径が略11mm、長さが略18mmの円筒形に形成され、ネオジウムコバルトから形成されている。
【0107】
図20は、5つの磁石片45a,45b,45b,45c,45cからなる駆動用磁石45における、ドライブコイル51が形成した交流磁場の周波数と、センスコイル出力との関係を表した図である。
図中のD1は駆動用磁石45を取り除いたときのセンスコイル出力であり、D2は駆動用磁石45と磁気誘導コイル42との距離が10mmの場合、D3は上記距離が5mmの場合、D4は上記距離が0mmの場合、D5は上記距離が−5mm(駆動用磁石45が磁気誘導コイル42内に入っている)の場合、D6は上記距離が−10mmの場合、D7は上記距離が−15mmの場合、D8は上記距離が−18mmの場合を表すグラフである。
図20に示されているように、駆動用磁石45と磁気誘導コイル42との距離が短くなると、出力の変化幅が小さくなるとともに、出力が変化する周波数が高周波数側に変化する。
【0108】
図21は、5つの磁石片45a,45b,45b,45c,45cからなる駆動用磁石45であって、各磁石片45a,45b,45cの間に絶縁体であるビニールシートを挟んだ場合におけるドライブコイル51が形成した交流磁場の周波数と、センスコイル出力との関係を表した図である。
図中のE1は駆動用磁石45を取り除いたときのセンスコイル出力であり、E2は駆動用磁石45と磁気誘導コイル42との距離が10mmの場合、E3は上記距離が5mmの場合、E4は上記距離が0mmの場合、E5は上記距離が−5mm(駆動用磁石45が磁気誘導コイル42内に入っている)の場合、E6は上記距離が−10mmの場合、E7は上記距離が−15mmの場合、E8は上記距離が−18mmの場合を表すグラフである。
図21に示されているように、各磁石片45a,45b,45cの間に絶縁体が挟まれると、距離が10mmの場合(E2)の出力変化幅の減少が少なくなり、出力が変化する周波数の高周波数側への移動量が少なくなっている。
【0109】
図22は、1つの大磁石片45aおよび2つの中磁石片45b,45bからなる駆動用磁石45であって、各磁石片45a,45bの間に絶縁体であるビニールシートを挟んだ場合におけるドライブコイル51が形成した交流磁場の周波数と、センスコイル出力との関係を表した図である。
図中のF1は駆動用磁石45を取り除いたときのセンスコイル出力であり、F2は駆動用磁石45と磁気誘導コイル42との距離が10mmの場合、F3は上記距離が5mmの場合、F4は上記距離が0mmの場合、F5は上記距離が−5mm(駆動用磁石45が磁気誘導コイル42内に入っている)の場合、F6は上記距離が−10mmの場合、F7は上記距離が−15mmの場合、F8は上記距離が−18mmの場合を表すグラフである。
図22に示されているように、駆動用磁石45の体積が減少すると、距離が10mmの場合(F2)の出力変化幅の減少がより少なくなり、出力が変化する周波数の高周波数側への移動量がより少なくなっている。
【0110】
図23は、1つの大磁石片45aからなる駆動用磁石45の場合におけるドライブコイル51が形成した交流磁場の周波数と、センスコイル出力との関係を表した図である。
図中のG1は駆動用磁石45を取り除いたときのセンスコイル出力であり、G2は駆動用磁石45と磁気誘導コイル42との距離が10mmの場合、G3は上記距離が5mmの場合、G4は上記距離が0mmの場合、G5は上記距離が−5mm(駆動用磁石45が磁気誘導コイル42内に入っている)の場合、G6は上記距離が−10mmの場合、G7は上記距離が−15mmの場合、G8は上記距離が−18mmの場合を表すグラフである。
図23に示されているように、駆動用磁石45の体積がさらに減少すると、距離が10mmの場合(G2)のグラフが駆動用磁石45を取り除いた場合(G1)のグラフと略同一となり、他の場合(G3等)の出力変化幅の減少が少なくなり、出力が変化する周波数の高周波数側への移動量が少なくなっている。
【0111】
図24から図26は、上記結果を駆動用磁石45と磁気誘導コイル42との距離別にまとめた図である。
図24は、駆動用磁石45と磁気誘導コイル42との距離が0mmの場合の図である。図中のH1は駆動用磁石45が無い場合、H2は5つの磁石片45a,45b,45b,45c,45cからなる駆動用磁石45の場合、H3は5つの磁石片45a,45b,45b,45c,45cの間に絶縁体が挟まれた駆動用磁石45の場合、H4は3つの磁石片45a,45b,45bからなり絶縁体が挟まれた駆動用磁石45の場合、H5は1つの磁石片45aからなる駆動用磁石45の場合を表すグラフである。
図24に示されているように、駆動用磁石45が配置されると出力変化の幅が減少し、出力が変化する周波数が高周波数側に移動する。
【0112】
図25は、駆動用磁石45と磁気誘導コイル42との距離が5mmの場合の図である。図中のJ1は駆動用磁石45が無い場合、J2は5つの磁石片45a,45b,45b,45c,45cからなる駆動用磁石45の場合、J3は5つの磁石片45a,45b,45b,45c,45cの間に絶縁体が挟まれた駆動用磁石45の場合、J4は3つの磁石片45a,45b,45bからなり絶縁体が挟まれた駆動用磁石45の場合、J5は1つの磁石片45aからなる駆動用磁石45の場合を表すグラフである。
図25に示されているように、上記距離が離れると、出力変化幅の減少量が少なくなり、出力が変化する周波数の高周波数側への移動量が減少する。
【0113】
図26は、駆動用磁石45と磁気誘導コイル42との距離が10mmの場合の図である。図中のK1は駆動用磁石45が無い場合、K2は5つの磁石片45a,45b,45b,45c,45cからなる駆動用磁石45の場合、K3は5つの磁石片45a,45b,45b,45c,45cの間に絶縁体が挟まれた駆動用磁石45の場合、K4は3つの磁石片45a,45b,45bからなり絶縁体が挟まれた駆動用磁石45の場合、K5は1つの磁石片45aからなる駆動用磁石45の場合を表すグラフである。
図26に示されているように、上記距離が離れると、出力変化幅の減少量がさらに少なくなり、出力が変化する周波数の高周波数側への移動量がさらに減少する。
【0114】
図27は、中空な駆動用磁石45(図19(a)参照)における、ドライブコイル51が形成した交流磁場の周波数と、センスコイル出力との関係を表した図である。
図中のL1は駆動用磁石45を取り除いたときのセンスコイル出力であり、L2は中空な駆動用磁石45と磁気誘導コイル42との距離が15mmの場合、L3は上記距離が12mmの場合、L4は上記距離が10mmの場合、L5は上記距離が8mmの場合、L6は上記距離が5mmの場合、L7は上記距離が2mmの場合を表すグラフである。
図27に示されているように、中空な駆動用磁石45と磁気誘導コイル42との距離が広くなると、出力の変化幅が大きくなるとともに、出力が変化する周波数が低周波数側に変化する。
【0115】
図28は、大型の中空駆動用磁石45(図19(b)参照)における、ドライブコイル51が形成した交流磁場の周波数と、センスコイル出力との関係を表した図である。
図中のM1は駆動用磁石45を取り除いたときのセンスコイル出力であり、M2は大型な中空駆動用磁石45と磁気誘導コイル42との距離が15mmの場合、M3は上記距離が12mmの場合、M4は上記距離が10mmの場合、M5は上記距離が8mmの場合、M6は上記距離が5mmの場合、M7は上記距離が2mmの場合を表すグラフである。
図28に示されているように、大型な中空駆動用磁石45と磁気誘導コイル42との距離が広くなると、出力の変化幅が大きくなるとともに、出力が変化する周波数が低周波数側に変化する。
【0116】
図29は、上記結果を駆動用磁石45と磁気誘導コイル42との距離と、磁気誘導コイル42の出力振幅の大きさとの関係にまとめ直した図である。ここで、駆動用磁石45と磁気誘導コイル42との距離とは、駆動用磁石45の端面から磁気誘導コイル42の中心までの距離のことである。また、磁気誘導コイル42の出力振幅の大きさは、駆動用磁石45が無い場合の出力振幅を基準に相対化されている。
図中のN1は5つの磁石片45a,45b,45b,45c,45cからなる駆動用磁石45の場合、N2は5つの磁石片45a,45b,45b,45c,45cからなり、各磁石片の間に絶縁体が挟まれた駆動用磁石45の場合、N3は3つの磁石片45a,45b,45bからなり、各磁石片の間に絶縁体が挟まれた駆動用磁石45の場合、N4は1つの磁石片45aからなる駆動用磁石45の場合、N5は中空な駆動用磁石45の場合、N6は大型の中空駆動用磁石45の場合を表すグラフである。
【0117】
図29に示されているように、全ての場合において上記距離が大きくなると磁気誘導コイル42の出力振幅は大きくなる。また、駆動用磁石45の体積が小さくなるにしたがって、磁気誘導コイル42の出力振幅は大きくなる。
より詳しく見ると、カプセル型内視鏡20に内蔵する構成要素としては大きな部類に入る5つの磁石片45a,45b,45b,45c,45cからなる駆動用磁石45や、大型の中空駆動用磁石45の場合であっても、駆動用磁石45と磁気誘導コイル42との距離を10mmとすることにより、センスコイル52の出力低下を略50%に留めることができる。
また、円筒形状の駆動用磁石(中空な駆動用磁石、大型の中空駆動用磁石)のほうが、中実な駆動用磁石よりも磁気誘導コイル42における磁場の強度が弱くなるため、駆動用磁石45と磁気誘導コイル42との距離を短く設定できる。または、円筒形状の駆動用磁石の体積を大きくすることができる。
【0118】
そこで、駆動用磁石45が磁気誘導コイル42の中心に形成する磁場の強度を測定した結果を上記結果に織り込んで説明する。
図30は、駆動用磁石45が形成する磁場強度を計測する装置の概略を説明する図である。図30に示すように、駆動用磁石45の磁場強度を計測するガウスメータ411は、そのセンサ部412が駆動用磁石45の中心と略同じ位置になるように配置されている。そのため、ガウスメータ411のセンサ部412には駆動用磁石45の磁場が垂直に入る。
また、本測定における距離とは、駆動用磁石45の端面からセンサ部412の中央までの距離である。
【0119】
図31は、磁気誘導コイル42の中心に駆動用磁石が形成した磁場の強度と、磁気誘導コイル42の出力振幅の大きさとの関係を表した図である。なお、出力振幅の大きさは、駆動用磁石45を配置しない場合を基準とし相対的に表している。
図中の菱形(◇)は5つの磁石片45a,45b,45b,45c,45cからなる駆動用磁石45の場合、四角(□)は5つの磁石片45a,45b,45b,45c,45cからなり、各磁石片の間に絶縁体が挟まれた駆動用磁石45の場合、三角(△)は3つの磁石片45a,45b,45bからなり、各磁石片の間に絶縁体が挟まれた駆動用磁石45の場合、逆三角(▽)は1つの磁石片45aからなる駆動用磁石45の場合、丸(○)は中空な駆動用磁石45の場合、二重丸(◎)は大型の中空駆動用磁石45の場合の測定結果を表す点である。そして図中のPが上記の測定点を基にして求められた近似曲線である。
【0120】
図31に示されているように、駆動用磁石45の形、体積に関係なく、磁気誘導コイル42の出力振幅の大きさは、磁気誘導コイル42中心の磁場強度が増加するにしたがって減少している。より具体的には、磁気誘導コイル42の中心に作られる磁場の強さが5mT程度であれば、センスコイル52の出力低下を略50%に留めることができる。
したがって、磁気誘導コイル42の中心に形成される駆動用磁石45の磁場強度に応じて駆動用磁石45と磁気誘導コイル42との配置間隔を定めることにより、磁気誘導コイル42の出力振幅の減少を防止し、センスコイル52を用いた磁気誘導コイル42位置検出の際の不具合発生をより確実に防止できる。
【0121】
次に、磁気誘導コイル42の位置に駆動用磁石45の静磁場と、ドライブコイル51の交流磁場とが形成された場合の、パーマロイ膜41B内に形成される磁場等について説明する。
図32は、パーマロイ膜41Bにおけるヒステリシス曲線等を示す図である。
パーマロイ膜41Bの位置に駆動用磁石45の静磁場が形成された場合の特性を示す磁化曲線は、図32における実線で示された曲線P1,P2で示されている。
磁化曲線P1は初期磁化曲線P1であり、パーマロイ膜41Bに最初に駆動用磁石45を接近させた際の、静磁場とパーマロイ膜41B内の磁束密度との関係を示す曲線である。磁化曲線P2はヒステリシス曲線である。
なお、図32のヒステリシス曲線において、横軸はパーマロイ膜41Bの位置に形成された磁場の強度を示し、縦軸はパーマロイ膜41B内に形成される磁束密度を示している。
【0122】
また、パーマロイ膜41Bの位置にドライブコイル51の交流磁場が形成された場合の特性を示す磁化曲線は、図32における破線で示された直線Q1,Q2,Q3で示されている。
直線Q1は、パーマロイ膜41Bの位置に静磁場が形成されていない場合に、交流磁場が形成された場合の磁化曲線である。直線Q2は、パーマロイ膜41Bの位置に飽和磁界強度(Hc)の略半分の静磁場が形成された場合に、交流磁場が形成された場合の磁化曲線である。直線Q3は、パーマロイ膜41Bの位置に飽和磁界強度(Hc)の静磁場が形成された場合に、交流磁場が形成された場合の磁化曲線である。なお、各直線Q1,Q2,Q3の傾きは、可逆磁化率を示すものである。
【0123】
図33は、パーマロイ膜41Bにおける可逆磁化率を示すグラフである。図33において、横軸はパーマロイ膜41Bの位置に形成された磁場の強度であり、縦軸はパーマロイ膜41Bの位置に形成された磁場に対する可逆磁化率を示す。
可逆磁化率は、図33に示すように、パーマロイ膜41Bの位置に磁場が形成されていない状態において最大値Xαとなり、磁場強度が強くなるにつれて可逆磁化率は低下する。パーマロイ膜41Bの位置に飽和磁界強度(Hc)の磁場が形成されている状態では、可逆磁化率は0となる。
【0124】
したがって、直線Q1は、図32において、パーマロイ膜41Bの位置に静磁場が形成されていない場合を示すので、横軸に対して可逆磁化率Xαだけ傾いた直線となる。直線Q1における縦軸に対する投影長さt1は、交流磁場によりパーマロイ膜41B内に発生する磁束密度の変化幅を示している。
直線Q2,Q3は、図32および図33に示すように、パーマロイ膜41Bの位置に形成された磁場の強度が強くなるにともない、その傾きが小さくなる。すると、直線Q2,Q3における縦軸に対する投影長さt2,t3も短くなり、交流磁場によりパーマロイ膜41B内に発生する磁束密度の変化幅が小さくなることを示している。
【0125】
これら直線Q1,Q2,Q3の投影長さt1,t2,t3は、磁気誘導コイル42が形成する誘導磁場の強度と関係があるため、センスコイル出力とも関係がある。具体的には、図20に示すセンスコイル出力を例にとると、上記投影長さt1,t2,t3が短くなるにつれてセンスコイル出力はD1からD8へと変化し、センスコイル出力の極大値と極小値との差が小さくなる。
パーマロイ膜41Bの位置における磁場強度が飽和磁界強度の場合には、上記投影長さt3、センスコイル出力D8に示すように、パーマロイ膜41Bはほとんど作用しておらず、磁気誘導コイル42は空芯コイルと同様の性能を示す。
【0126】
図34は、パーマロイ膜41B内における有効磁場の強度を説明する模式図である。
図34に示すように、パーマロイ膜41Bの位置に外部から駆動用磁石45の静磁場(Hex)が形成されると、パーマロイ膜41Bは磁化(I)して、その表面にN(+)極、S(−)極が現れる。
同時に、表面に現れたN(+)極、S(−)極により、パーマロイ膜41B内部には下記の式で表される反磁場(Hd)が形成される。
Hd=N(I/μ) ・・・(1)
ここで、Nはパーマロイ膜41Bにおける静磁場(Hex)方向に係る反磁場係数であり、μは真空の透磁率である。
【0127】
パーマロイ膜41B内で有効に作用する有効磁場(Heff)は、下記の式で表されるように、駆動用磁石45の静磁場(Hex)から反磁場(Hd)を引いたものとなる。
Heff=Hex−N(I/μ) ・・・(2)
上述の有効磁場(Heff)が飽和磁界強度(Hc)を越えなければ、パーマロイ膜41Bは磁気飽和しない。
【0128】
図35は、パーマロイ膜41Bにおける反磁場係数を説明する模式図である。
反磁場係数(N)は、パーマロイ膜41Bなどの磁性材料からなる部材の形状に依存する係数である。具体的には、パーマロイ膜41Bなどの膜状の部材の厚さ方向に係る反磁場係数が最大となり、棒状部材の軸方向に係る反磁場係数が最小となる。
図35に示す構成の場合には、駆動用磁石45の静磁場(Hex)は、パーマロイ膜41Bに、その厚さ方向に向かって入射しているため、反磁場係数(N)は最大となる。そのため、パーマロイ膜41Bにおける反磁場(Hd)は最大となり、有効磁場(Heff)は最小となる。パーマロイ膜41Bにおける有効磁場(Heff)が小さくなるため、パーマロイ膜41Bは、図33における可逆磁化率が高い領域で用いられる。
【0129】
上記の構成によれば、磁気誘導コイル42に磁性材料から構成されたパーマロイ膜41Bを用いることにより、磁気誘導コイル42性能の向上を図ることができ、カプセル型内視鏡システム10の位置検出の際の不具合発生を防止できる。
具体的には、磁気誘導コイル42にドライブコイル51の交流磁場を作用させた場合、パーマロイ膜41Bを磁気誘導コイル42に用いていない場合と比較して、磁気誘導コイル42が形成する誘導磁場の強度が強くなる。そのため、位置検出装置50は上記誘導磁場を検出しやすくなり、カプセル型内視鏡システム10の位置を検出する際の不具合の発生を防止できる。
【0130】
また、パーマロイ膜41Bは、駆動用磁石45の静磁場によるパーマロイ膜41B内部の磁束密度が磁気飽和しない位置に配置されているため、磁気誘導コイル42の性能低下を防止することができる。
具体的には、磁気誘導コイル42にドライブコイル51の交流磁場と、駆動用磁石45の静磁場と、を作用させた場合、パーマロイ膜41B内部の磁束密度が磁気飽和する位置にパーマロイ膜41Bが配置されている場合と比較して、上記交流磁場の強度変化に対応して磁気誘導コイル42が形成する誘導磁場強度の変化幅が大きくなる。そのため、位置検出装置50は上記誘導磁場強度の変化幅を検出しやすくなり、カプセル型内視鏡システム10の位置を検出する際の不具合の発生を防止できる。
【0131】
磁気誘導コイル42の位置における駆動用磁石45の磁場方向と、パーマロイ膜41Bにおける反磁場係数が最も小さくなる方向とのなす角度が略90度であるため、反磁場係数が最も小さくなる方向以外の方向から駆動用磁石45の磁場がパーマロイ膜41Bに入射される。
具体的には、パーマロイ膜41Bの形状が略円筒膜状であるため、反磁場係数が最も大きい方向から駆動用磁石45の磁場がパーマロイ膜41Bに入射される。そのため、パーマロイ膜41B内部に形成される反磁場を最も大きくすることができ、パーマロイ膜41B内部の有効磁場を最も小さくすることができる。
【0132】
磁気誘導コイル42は、パーマロイ膜41B内に駆動用磁石45の磁場により形成される磁束密度が、パーマロイ膜41Bの飽和磁束密度の1/2以下になる位置に配置されているため、パーマロイ膜41Bにおける可逆磁化率の低下を抑えることができる。そのため、駆動用磁石45の磁場の他に、ドライブコイル51の交流磁場がパーマロイ膜41Bの位置に形成されても、パーマロイ膜41B内に形成される磁束密度が飽和磁束密度を越えることを防止でき、磁気誘導コイル42の性能低下を防止できる。
【0133】
駆動用磁石45と磁気誘導コイル42とが、磁気誘導コイル42の軸線方向に沿って離れて配置されているため、位置検出装置50による磁気誘導コイル42の位置検出、つまりカプセル型内視鏡20の位置検出の際の不具合発生を防止することができる。
具体的には、ドライブコイル51により形成された交流磁場により磁気誘導コイルに誘導起電力が誘起される際に、駆動用磁石45が上記交流磁場を遮蔽することにより、磁気誘導コイル42に誘起される誘導起電力が弱められることを防止できる。さらには、磁気誘導コイル42により誘起された誘導磁場が駆動用磁石45により遮蔽されることによる、センスコイル52による誘導磁場の検出強度低下や検出不能などの発生を防止できる。そのため、カプセル型医療装置20の検出位置の精度向上、検出不能などの不具合発生を防止できる。
【0134】
カプセル型内視鏡20内に撮像部30を備えているため、被検者1の体内の生体情報である画像を取得することができる。また、LED33を備えているため、被検者1の体内を照明することにより視認の容易な画像を取得することができる。
【0135】
磁気誘導コイル42の中空構造内に撮像部30や電池39等を配置しているため、撮像部30等を磁気誘導コイル42内に配置しない場合と比較して、カプセル型内視鏡20を小型化することができる。そのため、被検者1の体内にカプセル型内視鏡20を投入しやすくできる。
【0136】
芯部材41Aと磁気誘導コイル42との間に磁性材料であるパーマロイ膜41Bを配置することにより、誘導磁場発生部40において発生する誘導磁場の強度を向上させることができる。
また、パーマロイ膜41Bの形状を断面が略C字状の形状とすることにより、パーマロイ膜41Bの断面において略円形に流れる遮蔽電流の発生を防止することができる。そのため、遮蔽電流による磁場の遮断を防止でき、磁気誘導コイル42における磁場の発生、または磁場の受け取りの阻害を防止できる。
【0137】
複数の磁石片45a,45b,45cが板状に形成されているため、積層させて駆動用磁石45を構成しやすくすることができる。また、磁石片45a,45b,45cがその板圧方向に着磁されているため、より積層させやすくすることができ、駆動用磁石45を製造しやすくできる
さらには、磁石片の間に絶縁体45dを挟みやすくできる。また、絶縁体45dを挟むことにより、駆動用磁石45に遮蔽電流が流れにくくでき、磁気誘導コイル42が発生する磁場または受ける磁場が、駆動用磁石45に流れる遮蔽電流により遮蔽されることを防止することができる。
【0138】
ドライブコイル51により形成される交流磁場の周波数をLC共振回路43の共振周波数(LC共振周波数)とすることにより、他の周波数の場合と比較して、振幅の大きな誘導磁場を磁気誘導コイル42から発生させることができる。そのため、センスコイル52が誘導磁場を検知しやすくなり、カプセル型医療装置20の位置を検出しやすくなる。
また、交流磁場の周波数はLC共振周波数近傍の周波数帯域にわたって変動するため、例えば、環境条件(例えば温度条件)の変化によってLC共振回路43の共振周波数が変化したり、LC共振回路43の個体差による共振周波数のばらつきが存在したりしても、LC共振回路43に共振を起こさせることができる。
【0139】
カプセル型内視鏡20の磁気誘導コイル42に対して、一次独立であって異なる3方向以上の方向から交流磁場を作用させている。そのため、磁気誘導コイル42の方向にかかわらず、少なくとも1方向からの交流磁場により磁気誘導コイル42に誘導磁場を発生させることができる。
その結果、カプセル型内視鏡20の方向(回転軸Rの軸線方向)にかかわらず、常に磁気誘導コイル42に誘導磁場を発生させることができるため、センスコイル52により誘導磁場を常に検知することができ、常にその位置を正確に検出することができるという効果を奏する。
【0140】
また、センスコイル52がカプセル型内視鏡20に対して異なる3方向に配置されているため、カプセル型内視鏡20の配置位置にかかわらず、3方向に配置されたセンスコイル52の少なくとも1方向に配置されたセンスコイル52に、検知可能な強度の誘導磁場が働き、常にセンスコイル52が誘導磁場を検知することができる。
さらに、上記1方向に配置されたセンスコイル52の数が9つであるので、カプセル型内視鏡20のX、Y、Z座標およびカプセル型内視鏡20の回転軸Rに対して直交するとともに互いに直交する2つの軸回りの回転位相φ、θ、誘導磁場の強度の合計6つの情報を演算により求めるのに十分な入力を得ることができる。
【0141】
交流磁場の周波数をLC共振回路43が共振する周波数(共振周波数)とすることにより、他の周波数の場合と比較して、振幅の大きな誘導磁場を発生させることができる。誘導磁場の振幅が大きくなるため、センスコイル52が誘導磁場を検知しやすくなり、カプセル型内視鏡20の位置を検出しやすくなる。
また、交流磁気の周波数は共振周波数近傍の周波数帯域にわたってスイープされるため、例えば、環境条件(例えば温度条件)の変化によってLC共振回路43の共振周波数が変化したり、LC共振回路43の個体差による共振周波数のばらつきが存在したりしても、変化した共振周波数やばらついた共振周波数が上記周波数帯域内に含まれていれば、LC共振回路43に共振を起こさせることができる。
【0142】
位置検出装置50が、センスコイルセレクタ56により強度の強い誘導磁場を検出しているセンスコイル52の出力を選択しているため、位置検出装置50が演算処理する情報量を少なくすることができ、演算にかかる負荷を低減することができる。また、同時に演算処理量を減らすことができるため、演算に要する時間も短縮することができる。
【0143】
ドライブコイル51とセンスコイル52とがカプセル型内視鏡20の作動範囲を挟んで対向する位置に配置されているので、ドライブコイル51とセンスコイル52とが構造上干渉しないように配置することができる。
【0144】
カプセル型内視鏡20に搭載された駆動用磁石45に作用させる平行磁場の方向を制御することにより、駆動用磁石45に対して作用する力の方向を制御することができ、カプセル型内視鏡20の移動方向を制御することができる。それと同時に、カプセル型内視鏡20の位置を検出することができるので、カプセル型内視鏡20を所定の位置に誘導することができるため、検出されたカプセル型内視鏡20の位置に基づき、カプセル型内視鏡を正確に誘導することができるという効果を奏する。
【0145】
相互に直交する方向に対向配置される3対のヘルムホルツコイル71X、71Y、71Zから発生する磁場の強度をそれぞれ制御することにより、ヘルムホルツコイル71X、71Y、71Zの内側に発生する平行磁場の方向を所定の方向に制御することができる。そのため、カプセル型内視鏡20に対して所定方向の平行磁場を作用させることができ、カプセル型内視鏡20を所定方向に移動させることができる。
また、ヘルムホルツコイル71X、71Y、71Zの内側の空間は、被検者1を配置可能な空間であって、その空間の周囲に、ドライブコイル51およびセンスコイル52が配置されているので、カプセル型内視鏡20を被検者1の体内の所定位置に誘導することができる。
【0146】
カプセル型内視鏡20が回転軸R回りに回転することより、螺旋部25がカプセル型内視鏡20を回転軸の軸線方向に推進する力を発生させる。螺旋部25が推進力を発生させるので、カプセル型内視鏡20の回転軸R回りの回転方向を制御することにより、カプセル型内視鏡20に作用する推進力の方向を制御することができる。
【0147】
画像表示装置80は、カプセル型内視鏡20の回転軸R回りの回転位相情報に基づいて、表示される画像を、カプセル型内視鏡20の回転方向と逆方向に回転させる処理を行っているので、カプセル型内視鏡20の回転位相にかかわらず、常に所定の回転位相に静止した画像として、すなわち、あたかもカプセル型内視鏡20が回転軸R回りに回転することなく回転軸Rに沿う方向に進行しているような画像を表示部82に表示することができる。
そのため、表示部82に表示された画像を施術者が目視しながらカプセル型内視鏡20を誘導する場合、表示される画像がカプセル型内視鏡20の回転とともに回転する画像である場合と比較すると、上述のように表示される画像が所定の回転位相の画像として表示されているほうが、施術者に見易く、カプセル型内視鏡20を所定位置に誘導させやすい。
【0148】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図36および図37を参照して説明する。
本実施の形態のカプセル型内視鏡システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、カプセル型内視鏡の駆動用磁石の構成が異なっている。よって、本実施の形態においては、図36および図37を用いてカプセル型内視鏡の駆動用磁石周辺のみを説明し、磁気誘導装置等の説明を省略する。
図36は、本実施形態に係るカプセル型内視鏡の構成を説明する図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0149】
カプセル型内視鏡(カプセル型医療装置)20Aは、図36に示すように、その内部に各種の機器を収納する外装21と、被検者の体腔内管路の内壁面を撮像する撮像部30と、撮像部30を駆動する電池39と、前述したドライブコイル51により誘導磁場を発生させる誘導磁場発生部40と、カプセル型内視鏡20を駆動する駆動用磁石(磁石)145と、から概略構成されている。
【0150】
図37は、図36に示すカプセル型内視鏡20Aにおける駆動用磁石の構成を説明する図である。図37(a)は駆動用磁石145の正面図であり、図37(b)は駆動用磁石145の側面図である。
駆動用磁石145は、図37(a),(b)に示すように、略板状に形成された、1つの大磁石片(磁石片)145a、2つの中磁石片(磁石片)145b、2つの小磁石片(磁石片)145cと、各磁石片145a,145b,145cの間に挟まれた、例えばビニールシートなどの絶縁体(絶縁材)145dとからなり、その形状が略円柱となるように構成されている。また、各磁石片145a,145b,145cは、その面に沿う方向(図中上下方向)に着磁されている。具体的には、図中の矢印が指している側がN極であり、その反対側がS極である。
各磁石片145a,145b、145cは、それぞれが有する磁力により分離しないように、接着剤または形成剤などの固定部材146により固定されている。
【0151】
上記の構成からなるカプセル型内視鏡システムおよびカプセル型内視鏡の作用については、第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0152】
上記の構成によれば、各磁石片145a,145b,145cがその面に沿う方向に着磁されているため、厚さ方向に着磁された場合と比較して、各磁石片145a,145b,145cの磁力を強くすることができる。その結果、各磁石片145a,145b,145cの集合体である駆動用磁石145の磁力を強くできる。
【0153】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図38を参照して説明する。
本実施の形態のカプセル型内視鏡システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、カプセル型内視鏡の誘導磁場発生部の構成が異なっている。よって、本実施の形態においては、図38を用いてカプセル型内視鏡の誘導磁場発生部周辺のみを説明し、磁気誘導装置等の説明を省略する。
図38は、本実施形態に係るカプセル型内視鏡の構成を説明する図である。
本実施形態に係るカプセル型内視鏡(カプセル型医療装置)20Bは、誘導磁場発生部(誘導磁場発生手段)240の構成が異なるのと、その他の機器の配置が異なるため、この両者について説明し、その他の説明は省略する。
【0154】
カプセル型内視鏡20Bの外装21内部には、先端部23側から順に、レンズ群32、LED33、イメージセンサ31、信号処理部34、スイッチ部46、駆動用磁石45、電池39、無線素子35が配置されている。駆動用磁石45は、カプセル型内視鏡20Bの重心近傍に配置されている。
誘導磁場発生部240は、外装21と電池39などとの間に配置されるとともに、LED33の支持部材38から電池39までを覆うように配置されている。
誘導磁場発生部240は、図38に示すように、中心軸が回転軸Rと略一致する円筒形状に形成された芯部材241Aと、芯部材241Aの外周部に配置された磁気誘導コイル(内蔵コイル)242と、芯部材241Aおよび磁気誘導コイル242の間に配置されたパーマロイ膜(磁性体)241Bと、磁気誘導コイル242と電気的に接続され、LC共振回路(回路)243を形成するコンデンサ(図示せず)とから形成されている。
磁気誘導コイル242は、駆動用磁石45が配置されている領域は疎に巻かれているとともに、先端部23側および後端部24側は密に巻かれている。
【0155】
上記の構成からなるカプセル型内視鏡システムおよびカプセル型内視鏡の作用については、第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0156】
上記の構成によれば、駆動用磁石45をカプセル型医療装置20Bの重心近傍に配置することができるため、駆動用磁石45がカプセル型医療装置20Bの先端部23側あるいは後端部24側に偏って配置されている場合と比較して、カプセル型医療装置20Bの駆動を容易にすることができる。
【0157】
〔第4の実施の形態〕
次に、本発明の第4の実施形態について図39を参照して説明する。
本実施の形態のカプセル型内視鏡システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、カプセル型内視鏡の誘導磁場発生部の構成が異なっている。よって、本実施の形態においては、図39を用いてカプセル型内視鏡の誘導磁場発生部周辺のみを説明し、磁気誘導装置等の説明を省略する。
図39は、本実施形態に係るカプセル型内視鏡の構成を説明する図である。
本実施形態に係るカプセル型内視鏡(カプセル型医療装置)20Cは、誘導磁場発生部(誘導磁場発生手段)340の構成が異なるのと、その他の機器の配置が異なるため、この両者について説明し、その他の説明は省略する。
【0158】
カプセル型内視鏡20Cの外装21内部には、図39に示すように、先端部23側から順に、レンズ群32、LED33、イメージセンサ31、信号処理部34、駆動用磁石45、スイッチ部46、電池39、無線素子35、誘導磁場発生部340が配置されている。
誘導磁場発生部340は、中心軸が回転軸Rと略一致する円柱形状に形成されたフェライトからなる芯部材341と、芯部材341の外周部に配置された磁気誘導コイル(内蔵コイル)342と、磁気誘導コイル342と電気的に接続され、LC共振回路(回路)343を形成するコンデンサ(図示せず)とから形成されている。
なお、芯部材341は、上述したフェライトの他、鉄やパーマロイ、ニッケルなどの材質を用いてもよい。
【0159】
上記の構成からなるカプセル型内視鏡システムおよびカプセル型内視鏡の作用については、第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0160】
上記の構成によれば、磁気誘導コイル242の中心には、誘電性のフェライトからなる芯部材241が配置されているので、誘導磁場が芯部材241に集められ易く、形成される誘導磁場を強くすることができる。
【0161】
〔第5の実施の形態〕
次に、本発明の第5の実施形態について図40および図41を参照して説明する。
本実施の形態のカプセル型内視鏡システムの基本構成は、第4の実施形態と同様であるが、第4の実施形態とは、カプセル型内視鏡の駆動用磁石の構成が異なっている。よって、本実施の形態においては、図40および図41を用いてカプセル型内視鏡の駆動用磁石周辺のみを説明し、磁気誘導装置等の説明を省略する。
図40は、本実施形態に係るカプセル型内視鏡の構成を説明する図である。
本実施形態に係るカプセル型内視鏡(カプセル型医療装置)20Dは、駆動用磁石(磁石)445の構成が異なるのと、その他の機器の配置が異なるため、この両者について説明し、その他の説明は省略する。
【0162】
カプセル型内視鏡20Dの外装21内部には、図40に示すように、先端部23側から順に、レンズ群32、LED33、イメージセンサ31、信号処理部34、電池39、スイッチ部46、無線素子35、誘導磁場発生部340が配置されている。
駆動用磁石445は、外装21と電池39などとの間に配置されるとともに、LED33の支持部材38から電池39までを覆うように配置されている。
【0163】
図41は、図40に示すカプセル型内視鏡20Dにおける駆動用磁石445の構成を説明する図である。図41(a)は駆動用磁石445の正面図であり、図41(b)は駆動用磁石445の側面図である。
駆動用磁石445は、図41(a),(b)に示すように、上下に配置される磁石片445aと、左右に配置される磁石片445bと、斜めに配置される磁石片445cと、各磁石片445a,445b,445cの間に配置される絶縁体(絶縁材)445dとから構成され、円筒形になるように構成されている。
磁石片445aはその板厚方向に着磁され、磁石片445bはその面に沿う方向に着磁され、磁石片445cは斜め方向に着磁されている。なお、図中の矢印が指す側がN極であり、その反対側がS極である。
【0164】
上記の構成からなるカプセル型内視鏡システムおよびカプセル型内視鏡の作用については、第4の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0165】
上記の構成によれば、駆動用磁石445の中空構造内に撮像部30や電池39を配置しているため、カプセル型医療装置20Dを小型化することができる。
【0166】
〔第6の実施の形態〕
次に、本発明の第6の実施形態について図42を参照して説明する。
本実施の形態のカプセル型内視鏡システムの基本構成は、第5の実施形態と同様であるが、第5の実施形態とは、カプセル型内視鏡の駆動用磁石の構成が異なっている。よって、本実施の形態においては、図42を用いてカプセル型内視鏡の駆動用磁石周辺のみを説明し、磁気誘導装置等の説明を省略する。
図42は、本実施形態に係るカプセル型内視鏡の構成を説明する図である。
本実施形態に係るカプセル型内視鏡(カプセル型医療装置)20Eは、駆動用磁石(磁石)545の構成が異なるのと、その他の機器の配置が異なるため、この両者について説明し、その他の説明は省略する。
【0167】
カプセル型内視鏡20Eの外装21内部には、図42に示すように、先端部23側から順に、レンズ群32、LED33、イメージセンサ31、信号処理部34、スイッチ部46、電池39、誘導磁場発生部340、無線素子35が配置されている。誘導磁場発生部340はカプセル型内視鏡20Eの略中央部に配置されている。
駆動用磁石545は外装21と電池39などとの間の2箇所に配置され、具体的にはLED33の支持部材38から信号処理部34まで、および電池39を覆うように配置されている。
【0168】
上記の構成からなるカプセル型内視鏡システムおよびカプセル型内視鏡の作用については、第4の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0169】
上記の構成によれば、誘導磁場発生部340をカプセル型医療装置20Eの中心近傍に配置することができるため、誘導磁場発生部340がカプセル型医療装置20Eの先端部23あるいは後端部24に偏って配置さている場合と比較して、補正することなくカプセル型医療装置20Eの正確な位置を検出することができる。
【0170】
〔第7の実施の形態〕
次に、本発明の第7の実施形態について図43および図44を参照して説明する。
本実施の形態のカプセル型内視鏡誘導システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、位置検出装置の構成が異なっている。よって、本実施の形態においては、図43および図44を用いて位置検出装置周辺のみを説明し、磁気誘導装置等の説明を省略する。
図43は、位置検出装置のドライブコイルおよびセンスコイルの配置を示す概略図である。
なお、位置検出装置のドライブコイルおよびセンスコイル以外の構成要素は第1の実施の形態と同じであるため、その説明を省略する。
【0171】
位置検出装置(位置検出手段、計算装置)150のドライブコイル(駆動部)151およびセンスコイル52は、図43に示すように、ドライブコイル151が3つそれぞれX、Y、Z軸に対して垂直に配置され、センスコイル52がそれぞれY、Z軸に対して垂直な平面形状の2つのコイル支持部158上に配置されている。
ドライブコイル151としては、図に示すように、矩形形状のコイルを用いてもよいし、ヘルムホルツコイルや、対向したコイルを用いてもよい。
【0172】
上記の構成からなる位置検出装置150においては、図43に示すように、各ドライブコイル151が形成する交流磁場の方向がX、Y、Z軸線方向と平行となり、一次独立であって互いに直交する関係となる。
【0173】
上記の構成によれば、カプセル型内視鏡20の磁気誘導コイル42に対して、一次独立であって互いに直交する方向から交流磁場を作用させることができるため、第1の実施形態と比較して、磁気誘導コイル42の方向にかかわらず磁気誘導コイル42に誘導磁場を発生させやすい。
また、ドライブコイル151が互いに略直交して配置されることになるので、ドライブコイルセレクタ55によるドライブコイルの選択が容易になる。
【0174】
なお、センスコイル52は、上述のように、Y、Z軸に対して垂直なコイル支持部158上に配置されていてもよいし、図44に示すように、カプセル型内視鏡20の作動範囲の上方に配置された斜めのコイル支持部159上に備えられていてもよい。
このような配置とすることにより、被検者1と干渉することなくセンスコイル52を配置することができる。
【0175】
〔第8の実施の形態〕
次に、本発明の第8の実施形態について図45を参照して説明する。
本実施の形態のカプセル型内視鏡誘導システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、位置検出装置の構成が異なっている。よって、本実施の形態においては、図45を用いて位置検出装置周辺のみを説明し、磁気誘導装置等の説明を省略する。
図45は、位置検出装置のドライブコイルおよびセンスコイルの配置を示す概略図である。
なお、位置検出装置のドライブコイルおよびセンスコイル以外の構成要素は第1の実施の形態と同じであるため、その説明を省略する。
【0176】
位置検出装置(位置検出手段、計算装置)250のドライブコイル(駆動部)251およびセンスコイル52は、図45に示すように、4つのドライブコイル251が同一平面上に配置され、センスコイル52が、カプセル型内視鏡20の作動範囲を介してドライブコイル251の配置位置と対向する位置に配置された平面形状のコイル支持部258およびドライブコイル251の配置位置と同じ側に配置された平面形状のコイル支持部258上に配置されている。
ドライブコイル251は、形成する交流磁場の方向が図中の矢印で示すように、ドライブコイル251の任意の3つで互いに一次独立となるように配置されている。
【0177】
上記の構成によれば、カプセル型内視鏡20がドライブコイル251に対して近い領域または遠い領域に位置していても、2つのコイル支持部258のうち一方がカプセル型内視鏡20に対して近い位置となる。そのため、センスコイル52からカプセル型内視鏡20の位置を求めるのに十分な強度の信号を得ることができる。
【0178】
〔第8の実施形態の変形例〕
次に、本発明の第8の実施形態の変形例について図46を参照して説明する。
本変形例のカプセル型内視鏡誘導システムの基本構成は、第8の実施の形態と同様であるが、第8の実施の形態とは、位置検出装置の構成が異なっている。よって、本実施の形態においては、図46を用いて位置検出装置周辺のみを説明し、磁気誘導装置等の説明を省略する。
図46は、位置検出装置のドライブコイルおよびセンスコイルの配置を示す概略図である。
なお、位置検出装置のドライブコイルおよびセンスコイル以外の構成要素は第3の実施の形態と同じであるため、その説明を省略する。
【0179】
位置検出装置(位置検出手段、計算装置)350のドライブコイル251およびセンスコイル52は、図46に示すように、4つのドライブコイル251が同一平面上に配置され、センスコイル52が、カプセル型内視鏡20の作動範囲を介してドライブコイル251の配置位置と対向する位置に配置された曲面形状のコイル支持部358およびドライブコイル251の配置位置と同じ側に配置された曲面形状のコイル支持部358上に配置されている。
コイル支持部358は、カプセル型内視鏡20の作動範囲に対して外側へ凸なる曲面形状であり、センスコイル52は、上記曲面形状に沿うように配置されている。
なお、コイル支持部52の形状は、上述のように上記動範囲に対して外側へ凸なる曲面形状であってもよいし、その他の曲面形状であってもよく、特に限定するものではない。
【0180】
上記の構成によれば、センスコイル52の配置自由度が向上するので、センスコイル52が被検者1との干渉するのを防止することができる。
【0181】
〔第9の実施形態〕
次に、本発明の第9の実施形態の変形例について図47を参照して説明する。
本変形例のカプセル型内視鏡誘導システムの基本構成は、第1の実施の形態と同様であるが、第1の実施の形態とは、位置検出装置の構成が異なっている。よって、本実施の形態においては、図47を用いて位置検出装置周辺のみを説明し、磁気誘導装置等の説明を省略する。
図47は、本実施形態におけるカプセル型内視鏡システムの概略を示す図である。
なお、位置検出装置のドライブコイルおよびセンスコイル以外の構成要素は第1の実施の形態と同じであるため、その説明を省略する。
【0182】
カプセル型内視鏡システム(カプセル型医療装置システム)510は、図47に示すように、体腔内管路の内壁面を光学的に撮像し画像信号を無線で送信するカプセル型内視鏡(カプセル型医療装置)520と、カプセル型内視鏡520の位置を検出する位置検出装置(位置検出手段)550と、検出されたカプセル型内視鏡520の位置および施術者の指示に基づきカプセル型内視鏡520を誘導する磁気誘導装置70と、カプセル型内視鏡520から送信された画像信号を表示する画像表示装置80と、から概略構成されている。
【0183】
位置検出装置550は、図47に示すように、カプセル型内視鏡520の磁気誘導コイル(内部磁場検出手段)で発生した誘導磁場を検知するセンスコイル52を備えている。
センスコイル52から位置検出装置550までの間には、位置検出装置550からの出力に基づきセンスコイル52からのカプセル型内視鏡20の位置情報などを含んだ交流電流を選択するセンスコイルセレクタ56と、センスコイルセレクタ56を通過した上記交流電流から振幅値を抽出し位置検出装置550へ出力するセンスコイル受信回路57と、が配置されている。
【0184】
カプセル型内視鏡520の磁気誘導コイルには発振回路が接続されている。発振回路を磁気誘導コイルに接続することにより、ドライブコイル等を用いることなく磁気誘導コイルから磁場を発生させることができ、発生させた磁場をセンスコイル52で検出できる。
【0185】
〔第10の実施形態〕
次に、本発明の第10の実施形態について図48を参照して説明する。
本実施形態のカプセル型内視鏡誘導システムの基本構成は、第1の実施の形態と同様であるが、第1の実施の形態とは、位置検出装置の構成が異なっている。よって、本実施の形態においては、図48を用いて位置検出装置周辺のみを説明し、磁気誘導装置等の説明を省略する。
図48は、位置検出装置のドライブコイルおよびセンスコイルの配置を示す概略図である。
なお、位置検出装置のドライブコイルおよびセンスコイル以外の構成要素は第1の実施の形態と同じであるため、その説明を省略する。
【0186】
カプセル型内視鏡システム610は、図48に示すように、体腔内管路の内壁面を光学的に撮像し画像信号を無線で送信するカプセル型内視鏡(カプセル型医療装置)620と、カプセル型内視鏡620の位置を検出する位置検出装置(位置検出手段)650と、検出されたカプセル型内視鏡620の位置および施術者の指示に基づきカプセル型内視鏡620を誘導する磁気誘導装置70と、カプセル型内視鏡20から送信された画像信号を表示する画像表示装置80と、から概略構成されている。
【0187】
位置検出装置650は、図48に示すように、カプセル型内視鏡620内の後述する磁気誘導コイルに誘導磁場を発生させるドライブコイル(駆動部)651と、後述する誘導起電力情報に基づいてカプセル型内視鏡620の位置を演算するとともにドライブコイル651により形成される交流磁場を制御するドライブコイルセレクタ55と、から概略構成されている。
【0188】
また、ドライブコイル651は空芯コイルとして形成されているとともに、ヘルムホルツコイル71X,71Y,71Zよりも内側であって、図中に示す3つの平面形状のコイル支持部58により支持されている。1つのコイル支持部58には、9個のドライブコイル651がマトリクス状に配置されていて、位置検出装置650全体には27個のドライブコイル651が備えられている。
【0189】
画像表示装置80は、図48に示すように、カプセル型内視鏡620から送信された画像および後述する誘導起電力情報を受信する画像受信回路681と、受信された画像信号および回転磁場制御回路73からの信号に基づいて画像を表示する表示部82とから構成されている。
カプセル型内視鏡620の磁気誘導コイルには、誘導起電力を検出する起電力検出回路が接続されている。
【0190】
次に、上述のカプセル型内視鏡システム610における作用について説明する。
ドライブコイルセレクタ55は、位置検出装置650の信号に基づき、ドライブコイル651を時系列に切り換えて交流磁場を生成する。生成された交流磁場は、カプセル型内視鏡620の磁気誘導コイルに作用して誘導起電力を生じさせる。
磁気誘導コイルに接続された起電力検出回路は、上記誘導起電力に基づく誘導起電力情報を検出する。
【0191】
カプセル型内視鏡620は、取得した画像データを画像受信回路681に無線送信する際に、検出した誘導起電力情報を画像データに重ねて無線送信する。画像データおよび誘導起電力情報を受け取った画像受信回路681は、画像データを表示部80に送信し、誘導起電力情報を位置検出装置650に送信する。位置検出装置650は、誘導起電力情報に基づいてカプセル内視鏡の位置および向きを算出する。
このように構成することにより、位置検出装置650にセンスコイルを持たない構成においても、カプセル内視鏡の位置および方向を検出することができる。また、誘導起電力情報を画像データに重ねて送ることにより、カプセル型内視鏡に新たな送信装置を追加することなく、位置検出装置650を動作させることができる。
【0192】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述の実施形態において、生体情報取得手段として撮像部30を備えたカプセル型内視鏡(カプセル型医療装置)に適用して説明したが、生体情報取得手段として撮像部30のみでなく、血液センサを備えて出血部を確認できるカプセル型医療装置や、遺伝子センサを備えて遺伝子診断を行えるカプセル型医療装置や、薬剤放出手段を備えて薬剤を散布できるカプセル型医療装置や、マーキング手段を備えて体腔内にマーキングを残すカプセル型医療装置や、体液、組織採取手段を備えて体腔内の液体、組織を採取できるカプセル型医療装置など、さまざまなものに適用することができる。
また、上述の実施形態において、外部と独立したカプセル型内視鏡に適用して説明したが、外部と紐状の部材を介して接続された、紐付きのカプセル型内視鏡に適用して説明することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るカプセル型内視鏡システムの概略図である。
【図2】カプセル型内視鏡システムの斜視図である。
【図3】カプセル型内視鏡システムの断面を示す概略図である。
【図4】図1のセンスコイル受信回路の回路構成を示す概略図である。
【図5】図1のカプセル型内視鏡の構成を示す概略図である。
【図6】図5のカプセル型内視鏡における駆動用磁石を示す図である。
【図7】図5のカプセル型内視鏡における誘導磁場発生部を説明する図である。
【図8】図5のカプセル型内視鏡における誘導磁場発生部の周波数特性を示すグラフである。
【図9】ドライブコイルおよび磁気誘導コイルの配置関係を示す図である。
【図10】ドライブコイルおよびセンスコイルの配置関係を示す図である。
【図11】ドライブコイルおよびセンスコイルの他の配置関係を示す図である。
【図12】ドライブコイルおよびセンスコイルの他の配置関係を示す図である。
【図13】実験に用いられた実験装置の概要を説明する図である。
【図14】図13の実験装置における磁気誘導コイルと磁気誘導コイル内に配置される物とを説明する図である。
【図15】図13の実験装置におけるセンスコイルのゲイン変化および位相変化の関係を表した図である。
【図16】図13の実験装置におけるセンスコイルのゲイン変化および位相変化の関係を表した図である。
【図17】図13の実験装置における磁気誘導コイルと駆動用磁石との位置関係を示す図である。
【図18】図13の実験装置に用いられた中実な駆動用磁石の構成を説明する図である。
【図19】図13の実験装置に用いられた中空な駆動用磁石の構成を説明する図である。
【図20】5つの磁石片からなる駆動用磁石における、センスコイルの周波数特性を表した図である。
【図21】5つの磁石片からなる駆動用磁石であって、各磁石片の間に絶縁体を挟んだ場合におけるセンスコイルの周波数特性を表した図である。
【図22】3つの磁石片からなる駆動用磁石45であって、各磁石片の間に絶縁体を挟んだ場合におけるセンスコイルの周波数特性を表した図である。
【図23】1つの磁石片からなる駆動用磁石45の場合におけるセンスコイルの周波数特性を表した図である。
【図24】駆動用磁石と磁気誘導コイルとの距離が0mmの場合におけるセンスコイルの周波数特性を表した図である。
【図25】駆動用磁石と磁気誘導コイルとの距離が5mmの場合におけるセンスコイルの周波数特性を表した図である。
【図26】駆動用磁石と磁気誘導コイルとの距離が10mmの場合におけるセンスコイルの周波数特性を表した図である。
【図27】中空な駆動用磁石におけるセンスコイルの周波数特性を表した図である。
【図28】大型の中空駆動用磁石におけるセンスコイルの周波数特性を表した図である。
【図29】駆動用磁石と磁気誘導コイルとの距離と、磁気誘導コイルの出力振幅の大きさとの関係を表した図である。
【図30】駆動用磁石が形成する磁場強度を計測する装置の概略を示す図である。
【図31】磁気誘導コイルの中心に駆動用磁石が形成した磁場の強度と、磁気誘導コイルの出力振幅の大きさとの関係を表した図である。
【図32】図7のパーマロイ膜41Bにおけるヒステリシス曲線等を示す図である。
【図33】図7のパーマロイ膜41Bにおける可逆磁化率を示すグラフである。
【図34】パーマロイ膜41B内における有効磁場の強度を説明する模式図である。
【図35】パーマロイ膜41Bにおける反磁場係数を説明する模式図である。
【図36】本発明における第2の実施形態に係るカプセル型内視鏡の構成を示す図である。
【図37】図36に示すカプセル型内視鏡における駆動用磁石の構成を示す図である。
【図38】本発明における第3の実施形態に係るカプセル型内視鏡の構成を示す図である。
【図39】本発明における第4の実施形態に係るカプセル型内視鏡の構成を示す図である。
【図40】本発明における第5の実施形態に係るカプセル型内視鏡の構成を示す図である。
【図41】図40に示すカプセル型内視鏡における駆動用磁石の構成を示す図である。
【図42】本発明における第6の実施形態に係るカプセル型内視鏡の構成を示す図である。
【図43】本発明における第7の実施形態に係る位置検出装置のドライブコイルおよびセンスコイルの配置を示す概略図である。
【図44】カプセル型内視鏡システムの断面を示す概略図である。
【図45】本発明の第8の実施形態に係る位置検出装置のドライブコイルおよびセンスコイルの配置関係を示す図である。
【図46】本発明の第8の実施形態の変形例に係る位置検出装置のドライブコイルおよびセンスコイルの配置関係を示す図である。
【図47】本発明の第9の実施形態に係るカプセル型内視鏡システムの概略図である。
【図48】本発明の第10の実施形態に係るカプセル型内視鏡システムの概略図である。
【図49】磁場発生手段としての電磁石システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0194】
1 被検者
10,510,610 カプセル型内視鏡システム(医療装置システム)
20,20A,20B,20C,20D,20E,520,620 カプセル型内視鏡(医療装置)
30 撮像部(生体情報取得手段)
39 電池(電源手段)
40,240,340 誘導磁場発生部(誘導磁場発生手段)
41B,241B パーマロイ膜(コア)
42,242,342 磁気誘導コイル(内蔵コイル)
43,243,343 LC共振回路(回路)
45,145,445,545 駆動用磁石(磁石)
45a,145a 大磁石片(磁石片)
45b,145b 中磁石片(磁石片)
45c,145c 小磁石片(磁石片)
45d,145d,445d 絶縁体(絶縁材)
50,150,250,350,550,650 位置検出装置(位置検出手段,計算装置)
51,151,251,651 ドライブコイル(駆動部)
52 センスコイル(磁気検出部)
56 センスコイルセレクタ(磁気センサ選択手段)
71 3軸ヘルムホルツコイルユニット(駆動用磁場発生手段)
73 回転磁場制御回路(磁場方向制御手段)
445a,445b,445c 磁石片
R 回転軸(中心軸線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの磁石と、磁性材料から構成されたコアを有する内蔵コイルを含む回路と、を有し、
被検者の体外に配置された磁気式の位置検出手段により、前記内蔵コイルの位置が検出される医療装置であって、
前記コアが、前記磁石の形成する磁場により磁気飽和しない位置に配置されている医療装置。
【請求項2】
前記コアの形状が、前記コアにおける前記内蔵コイルの中心軸線方向に係る反磁場係数が他の方向に係る反磁場係数と比べて小さくなる形状であり、
前記コアの位置における前記磁石が形成する磁場方向が、前記中心軸線方向と交差する方向である請求項1記載の医療装置。
【請求項3】
前記磁石が前記内蔵コイルの位置に形成する磁場方向と、前記コアにおける反磁場係数が最も小さくなる方向とが異なる請求項1記載の医療装置。
【請求項4】
前記磁石が前記内蔵コイルの位置に形成する磁場方向と、前記コアにおける反磁場係数が最も小さくなる方向とのなす角度が略90度である請求項3記載の医療装置
【請求項5】
前記コアが、前記中心軸線方向に係る反磁場係数が他の方向に係る反磁場係数よりも小さくなるように配置され、
前記磁石が前記内蔵コイルの位置に形成する磁場方向と、前記中心軸線方向とが略直交する請求項1または2に記載の医療装置。
【請求項6】
前記磁石は、重心が前記中心軸線上に位置するように配置され、
前記磁石の磁化方向が前記中心軸線と略直交する請求項5記載の医療装置。
【請求項7】
前記磁石の磁場により形成される前記コア内の磁束密度が前記コアにおける飽和磁束密度の1/2以下となる位置に、前記内蔵コイルが配置されている請求項1記載の医療装置。
【請求項8】
前記回路が共振回路である請求項1から7のいずれかに記載の医療装置。
【請求項9】
前記内蔵コイルが中空構造を有し、
前記コアが、前記中心軸線方向に対する垂直な断面において略C字状となるように形成され、
前記コアが前記中空構造の内部に配置されている請求項1から8のいずれかに記載の医療装置。
【請求項10】
被検者の体内の情報を取得する生体情報取得手段を有し、
前記磁石が中空構造を有し、
該中空構造の内部に少なくとも前記生体情報取得手段の一部が配置されている請求項7または8に記載の医療装置。
【請求項11】
前記磁石が、複数の磁石片の集合体から形成され、
前記複数の磁石片の間には、絶縁材が配置されている請求項1に記載の医療装置。
【請求項12】
前記複数の磁石が、略板状に形成されている請求項11記載の医療装置。
【請求項13】
前記複数の磁石片が、その厚さ方向に着磁されている請求項12記載の医療措置。
【請求項14】
前記複数の磁石片が、その面に沿う方向に着磁されている請求項12記載の医療装置。
【請求項15】
前記複数の磁石片の集合体である磁石が略筒状に形成されている請求項11または12に記載の医療装置。
【請求項16】
前記内蔵コイルが2つ設けられ、
該2つの内蔵コイルは、それぞれの中心軸線が一致するように配置されるとともに、前記中心軸線方向に離れて配置され、
前記磁石が前記2つの内蔵コイルの間に配置されている請求項1から15のいずれかに記載の医療装置。
【請求項17】
前記磁石が2つ設けられ、
該2つの前記磁石は前記内蔵コイルの中心軸線方向に離れて配置され、
前記内蔵コイルが前記2つの磁石の間に配置されている請求項1から15のいずれかに記載の医療装置。
【請求項18】
被検者の体内に投入されるとともに、該被検者の体内の情報を取得する生体情報取得手段を有するカプセル型医療装置である請求項1から17に記載の医療装置。
【請求項19】
前記内蔵コイルが中空構造を有し、
該中空構造の内部に少なくとも前記生体情報取得手段の一部が配置されている請求項18記載の医療装置。
【請求項20】
前記回路または/および前記生体試料取得手段を駆動する電源手段を備え、
前記内蔵コイルが中空構造を有し、
該中空構造の内部に前記電源手段が配置されている請求項18に記載の医療装置。
【請求項21】
前記回路または/および前記生体情報取得手段を駆動する電源手段を備え、
前記磁石が中空構造を有し、
該中空構造の内部に前記電源手段が配置されている請求項18に記載の医療装置。
【請求項22】
請求項1から請求項21のいずれかに記載の医療装置と、
前記内蔵コイルに誘導磁場を発生させる駆動部と前記内蔵コイルにより発生された誘導磁場を検出する磁気検出部とを有する位置検出手段と、を備え、
前記回路が、前記内蔵コイルから前記位置検出手段に向けて磁場を発生させる磁場発生手段である医療装置システム。
【請求項23】
前記位置検出手段の前記駆動部が、前記内蔵コイルが配置されている領域に磁場を形成し、
前記磁場発生手段が、前記位置検出手段が形成した磁場を前記内蔵コイルにより受け、前記内蔵コイルから誘導磁場を発生する請求項22記載の医療装置システム。
【請求項24】
前記位置検出手段が、複数の前記磁気検出部と、該複数の磁気検出部の出力に基づき前記内蔵コイルの少なくとも位置・方向のいずれか一方を計算する計算装置と、を有する請求項22または23に記載の医療装置システム。
【請求項25】
請求項1から請求項21のいずれかに記載の医療装置と、
複数の方向から前記内蔵コイルの配置されている領域に磁場を形成する駆動部を有する位置検出手段と、を備え、
前記回路が、前記位置検出手段が形成した複数の磁場を受信する内部磁場検出部と、受信された複数の磁場情報を前記位置検出手段に向けて送信する位置情報送信手段とを有する医療装置システム。
【請求項26】
前記位置検出手段が、前記内部磁場検出部で検出された複数の磁場情報に基づいて前記内蔵コイルの少なくとも位置・方向のいずれか一方を計算する計算装置を有する請求項25に記載の医療装置システム。
【請求項27】
前記医療装置の作動範囲の外部に配置され、前記磁石に対して作用させる駆動用磁場を発生する駆動用磁場発生手段と、
該駆動用磁場発生手段を制御することにより、前記駆動用磁場の方向を制御する磁場方向制御手段と、を備える請求項24または26に医療装置システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate

【図47】
image rotate

【図48】
image rotate

【図49】
image rotate