説明

医療装置用挿入補助具

【課題】医療装置を体腔内管路の深部へ挿入していく際に、医療装置が挿入される体腔内管路の少なくとも一部の形状を保持することにより、体腔内管路の過変形を抑えて体腔内管路深部への医療装置の挿入性を向上した医療装置用挿入補助具を実現する。
【解決手段】医療装置用挿入補助具としての内視鏡挿入補助具7は、医療装置である内視鏡2を体腔内管路の深部へ案内するための可撓性を有する細長な補助具挿入部31と、この補助具挿入部の外周上に設けた螺旋状構造部33と、補助具挿入部を体腔内管路に係止して内視鏡2を挿入していく体腔内管路の少なくとも一部の形状を保持する複数の係止手段としての複数のバルーン32とを具備して構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡などの医療装置に対して被検体の体腔内管路への挿入を補助する医療装置用挿入補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内視鏡は、医療分野等において広く用いられている。この内視鏡は、挿入部を有して該挿入部を体腔内に挿入し体腔内の検査、観察、処置等が行えるようになっている。このような挿入部を有する内視鏡などの医療装置を使用する際に、挿入部を体腔内管路の屈曲部に円滑に挿入できるように対策した医療装置用挿入補助具が提案されている。
【0003】
その一例として例えば、特開平1−203704号公報には、前記医療装置用挿入補助具としてアクチュエータが開示されている。前記アクチュエータは、内視鏡挿入部の先端部に設けられた走行具が有する2つのバルーンを交互に膨張・収縮させることにより、これらバルーン間に配置している筒状部材を膨張・収縮させ、内視鏡挿入部を体腔内深部へと推進させている。
【0004】
また、例えば、特開2004−97391号公報には、前記医療装置用挿入補助具として固定保持手段を設けた内視鏡装置が開示されている。前記内視鏡装置に用いられる固定保持手段は、内視鏡挿入部の先端部に設けられた2つのバルーンを体腔内管路に応じて個別に膨張させることにより、体腔内管路において前記内視鏡挿入部の先端部を係止させている。そして、この固定保持手段により、内視鏡挿入部は、先端部を体腔内管路内に固定することができるとともに、上下・左右方向及び仰角・方位角の微動動作が可能にしている。
【0005】
さらに、例えば、USP5989230号公報には、前記医療装置用挿入補助具として螺旋状構造部を設けたカテーテルが開示されている。前記カテーテルに用いられる螺旋状構造部は、体腔内管路壁に接触した際、回転することにより雄ねじが雌ねじに作用するような推進力を発生して体腔内深部へと推進させている。
さらに、従来の医療装置を補助する医療装置用挿入補助具としては、例えばガイドワイヤが用いられている。このガイドワイヤは、例えば、内視鏡挿入部の処置具挿通用チャンネルを挿通してチャンネル開口から突出して体腔内管路の目的部位まで挿入し、目的部位で係止させている。
【特許文献1】特開平1−203704号公報
【特許文献2】特開2004−97391号公報
【特許文献3】USP5989230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記医療装置用挿入補助具としてのガイドワイヤは、このガイドワイヤに沿って前記内視鏡挿入部を目的部位まで挿入していく際、体腔内管路が変形自在であるので、この体腔内管路に応じて移動自在である。
このため、前記内視鏡挿入部は、前記ガイドワイヤに沿って体腔内深部へ挿入されていくと、先端部が例えば体腔内管路の屈曲部の壁面に当接してこの壁面を押圧してしまう場合があり、体腔内管路が過変形してしまう虞れが生じる。前記ガイドワイヤは、このように体腔内管路が過変形してしまうと、ガイドワイヤの長さ、形状が体腔内管路と合わなくなり、前記内視鏡挿入部を体腔内管路の目的部位まで案内していくことが困難となる。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、医療装置を体腔内管路の深部へ挿入していく際に、医療装置が挿入される体腔内管路の少なくとも一部の形状を保持することにより、体腔内管路の過変形を抑えて体腔内管路深部への医療装置の挿入性を向上した医療装置用挿入補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明の一態様による医療装置用挿入補助具は、医療装置を体腔内管路の深部へ案内するための可撓性を有する細長な挿入部と、前記挿入部の外周上に設けた螺旋状構造部と、前記挿入部を前記体腔内管路に係止して前記医療装置を挿入していく体腔内管路の少なくとも一部の形状を保持する複数の係止手段と、を具備している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の医療装置用挿入補助具は、医療装置を体腔内管路の深部へ挿入していく際に、医療装置が挿入される体腔内管路の少なくとも一部の形状を保持することにより、体腔内管路の過変形を抑えて体腔内管路深部への医療装置の挿入性を向上することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0011】
なお、本実施例では、医療装置として大腸内視鏡に本発明を適用している。
【実施例1】
【0012】
図1ないし図27は本発明の実施例1に係わり、図1は実施例1の内視鏡装置を示す全体構成図、図2は図1の内視鏡の挿入部先端側を示す斜視図、図3は図1の内視鏡挿入補助具及び回転駆動装置の回転駆動部を示す概略図、図4は補助具挿入部に取り付けられた流体供給部及び補助具挿入部を示す断面図、図5は図4のA−A断面図、図6は補助具挿入部のバルーン付近を示す断面図、図7は大腸内に内視鏡挿入補助具を内視鏡の処置具挿通用チャンネルに挿通した状態で肛門から大腸の深部側に挿入する様子を示す概略図、図8は図7の状態から内視鏡挿入補助具を盲腸部近傍まで挿入した際の様子を示す概略図、図9は図8の状態から内視鏡挿入補助具のバルーンを全数膨張させた際の様子を示す概略図、図10は通常のガイドワイヤを用いて内視鏡先端部を直腸からS字状結腸部へと通過させる場合を示す概略図、図11は図9の状態から内視鏡先端部を直腸からS字状結腸部へと通過させる場合を示す概略図、図12は共通配管を設けた補助具挿入部の変形例を示す断面図、図13はバルーン近傍にセンサを設けた補助具挿入部の変形例を示す概略図、図14は図13のセンサ近傍の要部拡大図、図15は図14の第1変形例を示すセンサ近傍の要部拡大図、図16は図14の第2変形例を示すセンサ近傍の要部拡大図、図17は図14の第3変形例を示すセンサ近傍の要部拡大図、図18はバルーンの代わりにほぼ同様な位置の螺旋状構造部をバルーンにより形成した螺旋バルーンを示す概略図、図19は図18の螺旋バルーンを膨張させた際の様子を示す概略図、図20は補助具挿入部の外周面に螺旋状構造部を設けた螺旋付きバルーンを示す概略図、図21は図20の螺旋付きバルーンを膨張させた際の様子を示す概略図、図22は螺旋状構造部の外周に設けたバルーンを示す概略図、図23は図22のバルーンを膨張させた際の様子を示す概略図、図24はコイルばねを挿入した螺旋状構造部を示す概略図、図25は図24のコイルばねを解放して膨張させた際の様子を示す概略図、図26はバルーンの代わりに吸引手段を設けた補助具挿入部の断面図、図27は図26に対して共通吸引配管を設けた補助具挿入部の変形例を示す断面図である。
【0013】
図1に示すように実施例1の内視鏡装置1は、医療装置として大腸内の検査、観察、処置等を行う大腸内視鏡(以下、単に内視鏡)2と、この内視鏡2の挿入を補助する内視鏡挿入補助装置3と、内視鏡2に照明光を供給する光源装置4と、内視鏡2に内蔵された撮像素子に対する信号処理を行うカメラコントロールユニット(CCUと略記)5と、このCCU5から出力される映像信号が入力されることにより、撮像素子で撮像した内視鏡画像を表示するモニタ6とを有する。
【0014】
前記内視鏡挿入補助装置3は、前記内視鏡2の後述する処置具挿通用チャンネル22を挿通して前記内視鏡2を体腔内管路の深部へ案内する医療装置用挿入補助具として内視鏡挿入補助具7と、この内視鏡挿入補助具7を回転させる回転駆動装置8と、前記内視鏡挿入補助具7に設けた後述のバルーン32に対して制御手段として空気、水等の流体を供給排出する流体制御装置9とを有する。前記流体制御装置9は図示しないポンプ、弁制御部及び制御回路を内蔵し、術者の操作にしたがってバルーン32の膨張・収縮を制御する。また、前記回転駆動装置8は、この筐体上面に操作ノブ10が設けてある。
【0015】
先ず、前記内視鏡2について説明する。
前記内視鏡2は、細長で可撓性を有する内視鏡挿入部11と、この内視鏡挿入部11の基端側に連設され、把持部12aを兼ねる操作部12とを有して構成されている。この内視鏡2は、前記操作部12側部からユニバーサルコード13が延出している。このユニバーサルコード13には、図示しないライトガイドや信号線が挿通配設されている。このユニバーサルコード13の端部に設けられているコネクタ部14aは前記光源装置4に、コネクタ部14bは前記CCU5に接続されている。
【0016】
前記内視鏡2の内視鏡挿入部11は、硬質の内視鏡先端部15と、湾曲自在な湾曲部16と、長尺で可撓性を有する可撓管部17とが連設されて構成されている。前記湾曲部16は、前記内視鏡先端部15の基端側に設けられている。前記可撓管部17は、前記湾曲部16の基端側に設けられている。
【0017】
前記内視鏡2の操作部12は、基端側に把持部12aを有している。前記把持部12aは、術者が握って把持する部位である。前記操作部12の上部側には、前記CCU5を遠隔操作するためのビデオスイッチ18aが配置されている。また、前記操作部12には、送気送水動作を操作するための送気送水スイッチ18bや吸引動作を操作するための吸引スイッチ18cが設けられている。また、前記操作部12には、湾曲操作ノブ19が設けられている。術者は、把持部12aを把持して湾曲操作ノブ19を操作することにより前記湾曲部16を湾曲操作することができる。
【0018】
また、前記操作部12には、把持部12aの前端付近に生検鉗子等の処置具を挿入する処置具挿入口21が設けられている。この処置具挿入口21は、その内部において処置具挿通用チャンネル22と連通している。
術者は、鉗子等の図示しない処置具を処置具挿入口21に挿入することにより、内部の処置具挿通用チャンネル22を介して内視鏡先端部15に形成されているチャンネル開口22aから処置具の先端側を突出させて生検などを行うことができる。
【0019】
本実施例では、術者が前記内視鏡挿入補助具7を前記処置具挿通用チャンネル22に挿通して、チャンネル開口22aから補助具先端部を所定距離突出させて体腔内に挿入することにより目的部位まで到達させ、この目的部位まで内視鏡2の内視鏡挿入部11を案内するようになっている。
【0020】
前記内視鏡2は、ユニバーサルコード13、内視鏡挿入部11、操作部12に図示しないライトガイドが挿通配設されており、このライトガイドによって光源装置4から供給される照明光が伝達される。ライトガイドから伝達された照明光は、内視鏡先端部15に配置された照明光学系23を介して患部などの被写体を照明する。
【0021】
前記照明された被写体の反射光は、前記照明光学系23に隣接して配置された撮像装置24を構成している対物光学系24aから被写体像として取り込まれる。取り込まれた被写体像は、図示しない撮像部により撮像されて光電変換され、撮像信号に変換される。この撮像信号は、撮像部から延出する信号ケーブルを伝達し、前記操作部12を経て前記ユニバーサルコード13のコネクタ部14bを介して前記CCU5へ出力される。
前記CCU5は、前記内視鏡2の撮像部からの撮像信号を信号処理して、標準的な映像信号を生成し、前記モニタ6に内視鏡画像を表示させる。
【0022】
次に、前記内視鏡挿入補助具7について説明する。
図3に示すように前記内視鏡挿入補助具7は、可撓性(軟性)の細長な補助具挿入部31を有している。この補助具挿入部31の所定位置には、体腔内管路に係止するための複数の係止手段として例えば弾性部材により形成されたバルーン32が複数設けてある(図9参照)。
【0023】
また、補助具挿入部31の外表面には、細径の中空或いは中実の紐状の樹脂を螺旋状に取り付けて、その部分を外表面から螺旋状に突出させた螺旋状構造部33が設けてある。この螺旋状構造部33は、右ねじ状に形成されている。前記補助具挿入部31は、時計回り方向に回転させることにより、推進させることができる。一方、前記補助具挿入部31は、反時計回り方向に回転させることにより、後方側に移動させることができる。これにより、内視鏡挿入補助具7は、体腔内管路へ前記補助具挿入部31の挿入を円滑に補助する機構を実現している。
【0024】
前記補助具挿入部31の後端側は、前記回転駆動装置8の回転駆動部34が設けてある。この回転駆動部34は、保持体41に取り付けられたモータ42と、このモータ42の回転軸に取り付けられたギヤ43と、前記補助具挿入部31の後端を保持する筒体44の先端に取り付けられたギヤ45とを有している。このギヤ45は、モータ42の回転軸に取り付けられたギヤ43と噛合している。これにより、前記回転駆動部34は、モータ42を回転することによりギヤ45を回転させて、筒体44及び補助具挿入部31を回転できるようになっている。
【0025】
また、このモータ42は、ケーブル46を介して図示しないモータ制御駆動部に接続されている。このモータ制御駆動部は、駆動用バッテリを内蔵するとともに、前記モータ42の回転数、回転方向を制御するための制御回路を内蔵している。また、モータ制御駆動部は、前記操作ノブ10(図1参照)の操作に応じて前記回転駆動部34のモータ42を制御駆動するようになっている。これにより、術者は、操作ノブ10を前方側に傾けると補助具挿入部31を前方側に移動させる、つまり推進させる方向にモータ42を回転させることができ、操作ノブ10を後方側に傾けると補助具挿入部31を後方側に移動させる、つまり後退させる方向にモータ42を回転させることができる。
【0026】
前記回転駆動部34の後方、すなわち、前記補助具挿入部31の基端部には、前記流体制御装置9が設けてある。この流体制御装置9は、図4及び図5に示すように空気、水等の流体を前記補助具挿入部31に供給する流体供給部51を設けている。
【0027】
前記流体供給部51は、前記補助具挿入部31の管路口52aに対してOリング53により気密に取り付けられている。前記流体供給部51は、図示しないポンプにより接続チューブ54を介して配管口55から空気、水等の流体を前記補助具挿入部31の管路口52aに供給するかまたはこの管路口52aから流体を排出できる。なお、前記補助具挿入部31の管路口52aは、周方向に切り欠いて形成されており、前記補助具挿入部31が回転しても常に前記流体供給部51の配管口55と連通可能となっている。
【0028】
図6に示すように前記補助具挿入部31には、前記管路口52aを介して前記バルーン32に流体を供給する流体管路52が配設されている。この流体管路52の先端側には、前記バルーン32に開口するバルーン側管路口52bが形成されている。本実施例では、前記流体管路52を前記バルーン32毎に個別に設けており、前記流体管路52に応じて前記流体供給部51もそれぞれ個別に設けている。
【0029】
これにより、前記補助具挿入部31は、前記流体制御装置9により空気、水等の流体を供給排出されて前記流体管路52を介して前記バルーン32が膨張・収縮できるようになっている。このバルーン32の膨張・収縮は、前記流体制御装置9の操作により制御回路がポンプ及び弁制御部を制御することにより行なわれ、膨張時の圧力が一定圧力となるように制御される。
【0030】
本実施例では、前記バルーン32を膨張することにより体腔内管路に前記補助具挿入部31を係止してこの体腔内管路の過変形を防止し、この補助具挿入部31に沿って前記内視鏡2の挿入を円滑に補助することができるようにしている。
【0031】
このような構成による本実施例の内視鏡挿入補助装置3を用いて体腔内に内視鏡2を挿入する作用を説明する。なお、この内視鏡挿入補助装置3を用いる際は、体腔内における前記内視鏡挿入補助具7の位置を確認するために、図示しないが超音波観測装置による超音波画像下、またはエックス線装置によるエックス線画像透視下により行われる。
【0032】
図7は、大腸内に本実施例の内視鏡挿入補助装置3を用いて、この内視鏡挿入補助装置3の前記内視鏡挿入補助具7を前記内視鏡2の処置具挿通用チャンネル22に挿通した状態で、肛門61から大腸の深部側に挿入する様子を示している。
術者は、大腸内に内視鏡2の内視鏡挿入部11を挿入する場合、内視鏡2の処置具挿通用チャンネル22に前記内視鏡挿入補助具7を挿通させる。先ず、術者は、内視鏡先端部15を肛門61内に挿入する。次に、術者は、内視鏡2の処置具挿入口21に前記内視鏡挿入補助具7の補助具挿入部31を挿入して処置具挿通用チャンネル22のチャンネル開口22aから前記補助具挿入部31の先端部を突出させ直腸62内に導く。
【0033】
直腸62内に挿入された内視鏡挿入補助具7は、前記補助具挿入部31に設けられている螺旋状構造部33が腸壁に接触する。このとき、螺旋状構造部33と腸壁との接触状態が、雄ねじと雌ねじとの関係になる。螺旋状構造部33と腸壁とが接触した状態において、術者は、前記回転駆動装置8の操作ノブ10を操作して前記回転駆動部34のモータ42を駆動させ、前記補助具挿入部31を回転させる。
【0034】
前記内視鏡挿入補助具7は、前記補助具挿入部31が回転すると、前記螺旋状構造部33と腸壁との接触部分に、雄ねじが雌ねじに対して移動するような、つまり、前記補助具挿入部31を推進させる推進力が発生する。この推進力により、前記内視鏡挿入補助具7は、前記補助具挿入部31が大腸内の深部に向かって進行する。
【0035】
前記内視鏡挿入補助具7は、前記補助具挿入部31が直腸62からS字状結腸部63を通過し、その後、S字状結腸部63と可動性に乏しい下行結腸部64との境界である屈曲部、下行結腸部64と可動性に富む横行結腸部65との境界である脾湾曲66、横行結腸65と上行結腸68との境界である肝湾曲67を通過して、図8に示すように目的部位である盲腸部69近傍に到達する。
【0036】
術者は、前記操作ノブ10の操作を止め、前記回転駆動部34のモータ42の駆動を停止させる。次に、術者は、前記流体制御装置9を操作して前記内視鏡挿入補助具7のバルーン32を全数膨張させる。前記流体制御装置9は、ポンプ及び弁制御部が駆動し、前記流体供給部51を介して前記補助具挿入部31の流体管路52に空気、水等の流体を供給する。前記流体管路52に供給された流体は、この流体管路52を伝達され、図9に示すように前記バルーン32(32a,32b)を全数膨張させる。これにより、前記内視鏡挿入補助具7は、体腔内管路に係止して前記医療装置を挿入していく体腔内管路の少なくとも一部の形状を保持できる。
【0037】
本実施例では、体腔内管路の屈曲部を挟持するように前記バルーン32a,32bが配置されている。なお、前記バルーン32としては、特に屈曲部の深部側に位置するバルーン32aのみ設けてもよい。これにより、前記内視鏡挿入補助具7は、前記バルーン32を膨張することにより、体腔内管路の屈曲部の変形を抑えて体腔内管路の過変形を防止することができる。
【0038】
このバルーン32が全数膨張している状態において、術者は、前記内視鏡2の内視鏡挿入部11に対して前記湾曲操作ノブ19による湾曲操作、押し込み操作または捻り操作を行い、前記補助具挿入部31に沿って内視鏡2の内視鏡挿入部11を体腔内深部の目的部位へと挿入していく。
【0039】
先ず、術者は、内視鏡先端部15を直腸62からS字状結腸部63へと通過させる。
図10は、通常のガイドワイヤを用いて内視鏡先端部を直腸からS字状結腸部へと通過させる場合を示している。
図10に示すように通常のガイドワイヤ70を用いて内視鏡2の内視鏡先端部15を直腸62からS字状結腸部63へと通過させる際、内視鏡先端部51は点線のようにS字状結腸部63の屈曲部分の壁面に当接してこの壁面を押圧してしまう場合がある。
【0040】
この場合、通常のガイドワイヤ70は、先端側が体腔内管路に係止されていないので、内視鏡先端部15と屈曲部分の壁面とに押圧されて体腔内管路の深部に到達している先端部が屈曲部分へと引き込まれてしまう。このため、内視鏡2は、通常のガイドワイヤ70を用いる場合、内視鏡先端部15を目的部位まで挿入することが困難である。
【0041】
しかしながら、本実施例では、図11に示すようにS字状結腸部63の屈曲部前後にバルーン32を配置している。このため、内視鏡先端部15は、前記バルーン32により体腔内管路に係止されている補助具挿入部31から進行方向への制限を受ける。また、体腔内管路は、バルーン32により屈曲部の変形を抑えられている。したがって、内視鏡先端部15は、屈曲部分の壁面に向かうことなく補助具挿入部31に沿ってS字状結腸部63を通過できる。
【0042】
内視鏡先端部15が前記バルーン32の直前まで到達したとき、術者は、流体制御装置9を操作して直前のバルーン32を収縮させる。前記流体制御装置9はポンプ及び弁制御部が駆動し、前記流体供給部51を介して前記補助具挿入部31の流体管路52から空気、水等の流体を排出する。これにより、前記内視鏡挿入補助具7は、内視鏡先端部15の直前のバルーン32を収縮することができ、内視鏡先端部15がS字状結腸部63の屈曲部を通過できる。
【0043】
さらに、術者は、次のバルーン32の直前まで内視鏡先端部15が達したときも同様に次のバルーン32を収縮させ、内視鏡先端部15を体腔内深部へと進ませる。このように内視鏡先端部15の到達位置に応じてその直前のバルーン32を収縮させることにより、そのバルーン32の直前まで体腔内管路の過変形が抑えられ、内視鏡先端部15は前記補助具挿入部31に沿ってこの補助具挿入部31の先端部が到達した目的部位まで案内される。これにより、内視鏡先端部15は、前記補助具挿入部31と同様に目的部位である盲腸部69近傍に到達できる。
【0044】
術者は内視鏡先端部15が目的部位に到達したら、大腸内の内視鏡検査を行うため、内視鏡挿入部11の引き戻しに移行して検査を行う。検査終了後、術者は、内視鏡2の処置具挿通用チャンネル22から前記内視鏡挿入補助具7を引き抜くとともに、内視鏡2の内視鏡挿入部11を体腔内管路から引き抜く。
【0045】
この結果、本実施例の内視鏡挿入補助装置3は、内視鏡2を挿入していく際に、内視鏡2が挿入されていく体腔内管路の少なくとも一部の形状を保持することにより、体腔内管路の過変形を抑えて内視鏡2の挿入性を向上することができる。
【0046】
前記実施例1は、前記補助具挿入部31に配設される管路をバルーン32毎に個別に設けて構成しているが、図12に示すように補助具挿入部に配設される管路を1本のみ設けて構成してもよい。
図12に示すように補助具挿入部31Bは、共通管路71を配設して構成されている。
【0047】
前記共通管路71は、前記バルーン32の直前から分岐した分岐路72を有している。この分岐路72は、途中に配置される制御弁73を介して前記バルーン32に開口するバルーン側管路口52bが形成されている。また、前記制御弁73には、前記補助具挿入部31Bの外周面に開口する排出路74が接続されている。
【0048】
前記制御弁73は、前記補助具挿入部31Bに信号線(不図示)が挿通配設されて前記流体制御装置9の弁制御部に電気的に接続され、この弁制御部の制御により開閉するようになっている。前記バルーン32を膨張させる場合、前記制御弁73は、前記弁制御部からの開閉信号に基づき、バルーン側分岐路72aと共通管路側分岐路72bとが連通するように開閉し、共通管路71からの流体を前記バルーン32に供給させる。
【0049】
一方、前記バルーン32を収縮させる場合、前記制御弁73は、前記弁制御部からの開閉信号に基づき、バルーン側分岐路72aと排出路74とが連通するように開閉し、前記バルーン32内の流体を排出路74へ排出させる。なお、前記制御弁73は内部に圧力センサを有し、前記バルーン32の膨張時の圧力が設定圧力を超えると、バルーン側分岐路72aと排出路74とが連通するように開閉し、前記バルーン32内の流体を排出路74へ排出させ膨張時の圧力が一定圧力となるように制御する。
これにより、前記補助具挿入部31Bは1本の共通管路71のみ配設しているので、バルーン個別に管路を設けることに比べ細径化でき、体腔内管路への挿入性が向上できる。
【0050】
なお、補助具挿入部は、図13に示すようにバルーン32近傍にセンサを設けて自動的にバルーン32が収縮するように構成してもよい。
図13に示すように補助具挿入部31Cは、外周面にセンサ75が設けられている。このセンサ75は例えば、高周波発振形等の近接スイッチ75A(図14参照)であり、制御弁73Bに電気的に接続している。前記センサ75は、内視鏡先端部15が案内されて近づくと、この内視鏡先端部15(を形成している金属物体)を検知(すなわち、医療装置である内視鏡の位置を検出)して検知信号を前記制御弁73に出力する。前記制御弁73Bは、センサ75からの検知信号に基づき、分岐路72と排出路74とが連通するように開閉し、前記バルーン32内の流体を排出路74へ排出させる。
【0051】
これにより、補助具挿入部31Cは、内視鏡2の内視鏡挿入部11を体腔内深部の目的部位へと挿入する際、内視鏡先端部15がバルーン32の直前まで到達したとき、術者が流体制御装置9を一々操作する必要がなく、自動的にバルーン32が収縮するので、より操作性が向上する。なお、図13に示す補助具挿入部31Cは前記実施例1で説明したのと同様にバルーン32毎に配設される個別管路を用いている構成しているが、図12で説明した共通管路71に適用しても構わない。
【0052】
また、センサ75としては、以下に記載する図15〜図17に示すような構成でもよい。図15に示すセンサ75Bは光学式センサであり、LED等の発光部76a及びフォトトランジスタ等の受光部76bを有する。センサ75Bは、発光部76aから発した光が内視鏡先端部15で反射し、この反射した光を受光部76bで検知して検知信号を出力する。
【0053】
前記図14及び図15で説明したセンサ75A,75Bは無接触式スイッチであるが、有接触式スイッチであってもよい。図16及び図17に示すセンサ75C,Dは押し釦式スイッチである。これらセンサ75C,75Dは処置具挿通用チャンネル22の内壁に当接することによりオンし、内視鏡先端部15を検知して検知信号を出力する。なお、有接触式スイッチとしては、この他にアクチュエータを用いたスナップアクションスイッチ(センシティブスイッチとも言う)等でもよい。
【0054】
なお、補助具挿入部は、螺旋状構造部をバルーンにより形成してもよい。
図18及び図19に示すように補助具挿入部31Dは、前記バルーン32の代わりにほぼ同様な位置の螺旋状構造部をバルーンにより形成した螺旋バルーン77を設けて構成している。
【0055】
前記螺旋バルーン77は、前記バルーン32と同様に管路52から流体を供給される。前記補助具挿入部31Dは体腔内の目的部位まで挿入される際には図18に示すように螺旋バルーン77が収縮した状態であり、目的部位まで達して体腔内管路に係止する際には図19に示すように螺旋バルーン77が膨張した状態となっている。
【0056】
これにより、前記補助具挿入部31Dは、前記実施例1の補助具挿入部31と比べてバルーン32を新たに設けることがないので、さらなる細径化が可能である。なお、補助具挿入部は、前記螺旋バルーン77とバルーン32とを組み合わせて構成しても構わない。
【0057】
また、補助具挿入部は、前記バルーンの外周面に螺旋状構造部を形成して構成してもよい。図20及び図21に示すように補助具挿入部31Eは、外周面に螺旋状構造部33Eを設けた螺旋付きバルーン32Eを設けて構成している。
【0058】
前記補助具挿入部31Eは体腔内の目的部位まで挿入される際には図20に示すように螺旋付きバルーン32Eが収縮した状態であり、目的部位まで達して体腔内管路に係止する際には図21に示すように螺旋付きバルーン32Eが膨張した状態となっている。
これにより、前記補助具挿入部31Eは、前記実施例1の補助具挿入部31と比べてバルーン部分に螺旋状構造部33Eを形成した分だけ体腔内管路への挿入性が向上する。
【0059】
また、補助具挿入部は、螺旋状構造部の外周にバルーンを設けて構成してもよい。
図22及び図23に示すように補助具挿入部31Fは、前記螺旋状構造部33を内包するようにこの螺旋状構造部33の外周にバルーン32Fを設けて構成している。
【0060】
前記補助具挿入部31Fは体腔内の目的部位まで挿入される際には図22に示すようにバルーン32Fが収縮した状態であり、目的部位まで達して体腔内管路に係止する際には図23に示すようにバルーン32Fが膨張した状態となっている。
これにより、前記補助具挿入部31Fは、前記補助具挿入部31Eと同様な効果を得ることに加え、バルーン部分に螺旋状構造部33Fを形成してない膨張時に凹凸がなく、体腔内管路での係止性がよい。
【0061】
また、補助具挿入部は、係止手段としてバルーンの代わりにコイルばねを設けて構成してもよい。図24及び図25に示すように補助具挿入部31Gは、螺旋状構造部33Gの中にコイルばね78を挿入し、前記バルーン32の代わりにほぼ同様な位置においてこのコイルばね78を露出して構成している。
【0062】
前記補助具挿入部31Gは体腔内の目的部位まで挿入される際には図24に示すようにコイルばね78の回転方向を同じにしてコイルばね78が収縮した状態であり、目的部位まで達して体腔内管路に係止する際には図25に示すようにコイルばね78のみを前記とは逆の方向に回転させてコイルばね78を解放して膨張した状態となっている。なお、前記コイルばね78の回転は、図示しない駆動機構により制御される。
【0063】
これにより、前記補助具挿入部31Gは、螺旋状構造部33Gの中にコイルばね78を挿入するのみにより構成しているので、前記実施例1の補助具挿入部31と比べて管路等を内蔵する必要がなく、簡単な構成でより一層の細径化が可能である。
【0064】
また、補助具挿入部は、係止手段としてバルーンの代わりに吸引手段を設けて構成してもよい。図26に示すように補助具挿入部31Hは、体腔内壁を吸引する吸引管路79が配設されている。この吸引管路79の先端側には体腔内壁を吸引する開口が形成された吸引部80を設けている。一方、この吸引管路79の後端側には前記実施例1で説明した流体供給部51と同様な構造の図示しない管路接続部が気密に取り付けられ、ポンプに接続されている。
【0065】
前記吸引管路79は、前記吸引部80毎を個別に設けており、前記吸引管路79に応じて前記管路接続部もそれぞれ個別に設けている。これにより、前記補助具挿入部31Hは、バルーン32を設けることなく吸引管路79のみ設けることにより、前記実施例1の補助具挿入部31と比べてより簡単に構成でき、細径化が可能である。
【0066】
図26は前記補助具挿入部31に配設される管路をバルーン32毎に個別に設けて構成しているが、図27に示すように補助具挿入部に配設される管路を1本のみ設けて構成してもよい。
図27に示すように補助具挿入部31Iは、共通吸引管路81を配設して構成されている。前記共通吸引管路81は、前記吸引部80の直前から分岐した分岐路82を有している。この分岐路82は、途中に配置される制御弁83を介して前記吸引部80に開口している。また、前記制御弁83は、前記補助具挿入部31Bの外周面に開口する開放路84が接続している。
【0067】
前記制御弁83は、前記補助具挿入部31Iに信号線(不図示)が挿通配設されて前記流体制御装置9の弁制御部に電気的に接続され、この弁制御部の制御により開閉するようになっている。
【0068】
前記吸引部80により体腔内壁を吸引させる場合、前記制御弁83は、前記弁制御部からの開閉信号に基づき、体腔側分岐路82aと共通管路側分岐路82bとが連通するように開閉し、共通吸引管路81から体腔内壁を吸引させる。一方、吸引部80による体腔内壁の吸引を止める場合、前記制御弁83は、前記弁制御部からの開閉信号に基づき、体腔側分岐路82aと開放路84とが連通するように開閉し、前記体腔側分岐路82aを開放させる。
【0069】
これにより、前記補助具挿入部31Iは1本の共通吸引管路81のみ配設しているので、吸引部80個別に吸引管路79を設けることに比べ細径化でき、体腔内管路への挿入性が向上できる。なお、前記制御弁83の開閉動作は、図13で説明したように内視鏡先端部15を検知するセンサ75からの検知信号により前記内視鏡先端部15が近づいた直前に吸引を止めるように構成しても構わない。
【0070】
また、図26及び図27では、前記吸引部80を一方向のみ記載しているが、本発明はこれに限定されず、吸引部80を両方向または補助具挿入部外周面の周方向の各所に設けてもよい。
さらに、補助具挿入部は、図示しないが係止手段としてのバルーンに吸引手段を組み合せ、バルーンと体腔内管路との接触部分(バルーン中心付近)に吸引管路を設けて構成してもよい。これにより、補助具挿入部は、バルーンの膨張による係止力だけでなく、吸引管路による吸引力が加わることによって、より確実に体腔内管路との係止ができるようになる。
【実施例2】
【0071】
図28ないし図39は本発明の実施例2に係わり、図28は実施例2の内視鏡装置の先端側の構成を示す斜視図、図29は第1変形例における推進用保持体を示す図、図30は図29の推進用保持体の構造を示す図、図31は第2変形例における推進用保持体の概略構成を示す斜視図、図32は図31の推進用保持体の内部構成を示す図、図33は第3変形例における内視鏡に取り付けた状態の推進用保持体付近を示す斜視図、図34は図33の推進用保持体の概略構成を示す斜視図、図35は図34の推進用保持体の内部構成を示す図、図36は専用の内視鏡のチャンネル内に挿通した第4変形例の先端側を示す斜視図、図37は図36の内視鏡の先端部付近を示す斜視図、図38は図37の内視鏡の正面図、図39は第4変形例の中空部内に処置具を挿通した状態を示す斜視図である。
【0072】
前記実施例1は内視鏡2の処置具挿通用チャンネル22を挿通して内視鏡2を案内するように内視鏡挿入補助具7を構成しているが、実施例2は内視鏡2に沿わせてこの内視鏡2を案内するように内視鏡挿入補助具7を構成する。それ以外の構成は前記実施例1と同様であるので説明を省略し、同一構成には同じ符号を付して説明する。
【0073】
図28に示すように実施例2の内視鏡挿入補助装置3Lは、内視鏡2の外周面に取り付けて挿入補助を行うように構成されている。この内視鏡挿入補助装置3Lは、内視鏡挿入補助具7の補助具挿入部31が移動自在に通過可能な推進用保持体としての筒体92を前記内視鏡先端部15にテープ93で固定している。
前記補助具挿入部31の後端は、前記実施例1で説明したのと同様に回転駆動装置8の回転駆動部34に接続され、補助具挿入部31の後端を回転することにより、補助具挿入部31を円滑に推進させることができるようにしている。
【0074】
さらに、前記回転駆動部34の後方、すなわち、前記補助具挿入部31の基端部には、前記実施例1で説明したのと同様に前記流体制御装置9が設けてあり、この流体制御装置9内で流体供給部51が取り付けられている。前記補助具挿入部31Iは、この流体供給部51を介して空気、水等の流体が供給排出されることにより、バルーン32が膨張・収縮されるようになっている。
【0075】
このような構成による実施例2の内視鏡挿入補助装置3Lを用いて体腔内に内視鏡2を挿入する作用を説明する。なお、この内視鏡挿入補助装置3Lを用いる際は、前記実施例1で説明したのと同様に超音波観測装置による超音波画像下、またはエックス線装置によるエックス線画像透視下により行われる。
【0076】
先ず、術者は、前記内視鏡挿入補助具7の補助具挿入部31を筒体92内に通し、この筒体92を前記内視鏡先端部15に固定する。次に、術者は、内視鏡先端部15よりも前方側に突出する内視鏡挿入補助具7の補助具挿入部31を大腸等に先に挿入する。次に、術者は、補助具挿入部31の後端を回転駆動機構により回転することにより、この補助具挿入部31を円滑に推進させて大腸等の体腔内の深部側に挿入することができる。以降、実施例1と同様な動作であるので説明を省略する。
本実施例によれば、処置具挿通用チャンネル22を有さない細径の内視鏡挿入部11を備えた内視鏡2の場合にも使用でき、その内視鏡2の挿入補助に利用できる。
【0077】
なお、前記推進用保持体は、図29ないし図32に示すように構成してもよい。
図29及び図30に示すように推進用保持体92Cには、前記補助具挿入部31を通す孔96aと前記補助具挿入部31の外周面に設けた螺旋状構造部33のピッチで形成し、この螺旋状構造部33を収納する螺旋状溝96bを有するナット状ガイド92Bを有する。
【0078】
図31に示すように推進用保持体92Cは、図32の切り欠き図に示すように内視鏡2の内視鏡挿入部11の例えば内視鏡先端部15付近を通す孔97aを形成すると共に、螺旋状構造部33を設けた補助具挿入部31を通すナット状ガイド92Bを回転自在に保持する孔97bを形成している。
また、この推進用保持体92Cの内部には、回転駆動用のモータ99が設けてある。このモータ99の回転軸に取り付けたギヤ100aは、ナット状ガイド92Bの外周面に取り付けたギヤ100bと噛合している。なお、ギヤ100a、100bの周囲の推進用保持体92C部分は、ギヤ100a、100bが回転できるように切り欠かれている。なお、モータ99は、信号線を介して図示しないモータ制御装置と接続され、このモータ制御装置に設けられた操作ノブの操作によりモータ99の回転及び回転停止を制御することができる。
このように、推進用保持体92Cは、補助具挿入部31を移動自在に回転制御するように構成されている。
【0079】
また、術者は、操作ノブを操作して前記モータ99を回転駆動することにより、ナット状ガイド92Bを回転駆動できるようにしている。なお、ナット状ガイド92Bの内周面には、図30で説明したように補助具挿入部31を通す孔と、螺旋状構造部33を嵌合して通す螺旋状溝とが設けてある。
この第1変形例によれば、上記の構成により、内視鏡挿入補助装置は、前記補助具挿入部31が大腸等の体腔内に挿入された後に、前記推進用保持体92Cに取り付けられた回転駆動用モータ99を回転させると、内視鏡先端部15が前記補助具挿入部31に沿って推進できる。この結果、内視鏡挿入補助装置は、体腔内管路の深部へ、医療装置を構成する内視鏡挿入部11をより効率よく、推進させることができる。
【0080】
なお、前記推進用保持体は、図33ないし図35に示すように構成してもよい。
図33に示すように内視鏡挿入補助装置3Lにおいては、前記補助具挿入部31が挿通されるシース102を有している。このシース102の先端には、推進用保持体92Dが設けられている。
【0081】
この推進用保持体92Dを図34に示す。また、図35は、推進用保持体92Dの内部構造を示す。この推進用保持体92Dは、図32に示した推進用保持体92Cとほぼ同様な構造を有している。つまり図35に示すように、この推進用保持体92Dの内部には、回転駆動用のモータ99と、このモータ99の回転軸に取り付けたギヤ100aと、このギヤ100aに噛合するギヤ100b及びこのギヤ100bを取り付けたナット状ガイド92Bが設けられている。
【0082】
術者は、前記補助具挿入部31を体腔内深部に挿入後、操作ノブを操作する。
推進用保持体92Dは前記モータ99が回転駆動することにより、進用保持体92D内部に回転自在に保持されたナット状ガイド92Bが回転駆動してシース102を補助具挿入部31の先端部にまで推進させる。
本変形例の場合、外周面に螺旋状構造部33が設けられた補助具挿入部31を、外周面が平坦なシース102により覆うようにしているので、内視鏡2の挿入作業を円滑にする効果を有する。
【0083】
なお、内視鏡装置は、図36ないし図39に示すように構成してもよい。
図36ないし図38に示すように内視鏡装置は、内視鏡挿入補助具7Pの補助具挿入部31が挿通される専用の内視鏡112を設けて構成される。
【0084】
本変形例は、例えば下方側から挿脱できる先端開口113(及びこの先端開口113と同じ断面形状のチャンネル)を有する専用の内視鏡112を用い、この先端開口113から前記内視鏡挿入補助具7Pの補助具挿入部31を前方に突出して挿入補助に用いることができる。なお、この内視鏡112は、内視鏡挿入部11及びその他の部分は、上述した内視鏡2と同様の構成である。
【0085】
本変形例の場合、この内視鏡挿入補助具7Pをガイドワイヤ70のように使用することができる。また、この内視鏡挿入補助具7Pの場合には、図39に示すように前記補助具挿入部31内に中空部を形成し、この中空部内に処置具114を挿通して処置を行うこともできる。さらに図示しないが内視鏡装置は、太径のチャンネルや複数のチャンネルを有する処置具用の内視鏡のチャンネルに内視鏡挿入補助装置を内視鏡先端から挿通し、利用することも可能である。
なお、上述した各実施例等を部分的等で組み合わせて構成される実施例等も本発明に属する。
【0086】
[付記]
1.請求項2または4において、
前記係止手段は、バルーンであることを特徴とする。
2.付記1において、
前記バルーンは少なくとも5個配置することを特徴とする。
3.請求項2または4において、
前記係止手段は、コイルばねであることを特徴とする。
【0087】
4.請求項5において、
前記係止手段がバルーンである場合、前記制御手段は、流体の供給排出を制御する弁を有することを特徴とする。
5.請求項5において、
前記係止手段がコイルばねである場合、前記制御手段は、前記コイルばねの回転を制御する駆動機構を有することを特徴とする。
6.請求項5において、
前記係止手段が生体を吸引する吸引手段である場合、前記制御手段は、吸引圧力を制御する弁を有することを特徴とする。
【0088】
7.請求項1〜5及び付記1〜6のいずれか一つにおいて、
前記挿入部に前記医療装置の位置を検出するためのセンサを設けたことを特徴とする。
8.付記7において、
前記センサの検出結果に応じて前記制御手段を動作させることを特徴とする。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の医療装置用挿入補助具は、医療装置を体腔内管路の深部へ挿入していく際に、医療装置が挿入される体腔内管路の少なくとも一部の形状を保持することにより、体腔内管路の過変形を抑えて体腔内管路深部への医療装置の挿入性を向上することができるので、被検体内の検査、観察、処置等に適している。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施例1の内視鏡装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の内視鏡の挿入部先端側を示す斜視図である。
【図3】図1の内視鏡挿入補助具及び回転駆動装置の回転駆動部を示す概略図である。
【図4】補助具挿入部に取り付けられた流体供給部及び補助具挿入部を示す断面図である。
【図5】図4のA−A断面図である。
【図6】補助具挿入部のバルーン付近を示す断面図である。
【図7】大腸内に内視鏡挿入補助具を内視鏡の処置具挿通用チャンネルに挿通した状態で肛門から大腸の深部側に挿入する様子を示す概略図である。
【図8】図7の状態から内視鏡挿入補助具を盲腸部近傍まで挿入した際の様子を示す概略図である。
【図9】図8の状態から内視鏡挿入補助具のバルーンを全数膨張させた際の様子を示す概略図である。
【図10】通常のガイドワイヤを用いて内視鏡先端部を直腸からS字状結腸部へと通過させる場合を示す概略図である。
【図11】図9の状態から内視鏡先端部を直腸からS字状結腸部へと通過させる場合を示す概略図である。
【図12】共通配管を設けた補助具挿入部の変形例を示す断面図である。
【図13】バルーン近傍にセンサを設けた補助具挿入部の変形例を示す概略図である。
【図14】図13のセンサ近傍の要部拡大図である。
【図15】図14の第1変形例を示すセンサ近傍の要部拡大図である。
【図16】図14の第2変形例を示すセンサ近傍の要部拡大図である。
【図17】図14の第3変形例を示すセンサ近傍の要部拡大図である。
【図18】バルーンの代わりにほぼ同様な位置の螺旋状構造部をバルーンにより形成した螺旋バルーンを示す概略図である。
【図19】図18の螺旋バルーンを膨張させた際の様子を示す概略図である。
【図20】補助具挿入部の外周面に螺旋状構造部を設けた螺旋付きバルーンを示す概略図である。
【図21】図20の螺旋付きバルーンを膨張させた際の様子を示す概略図である。
【図22】螺旋状構造部の外周に設けたバルーンを示す概略図である。
【図23】図22のバルーンを膨張させた際の様子を示す概略図である。
【図24】コイルばねを挿入した螺旋状構造部を示す概略図である。
【図25】図24のコイルばねを解放して膨張させた際の様子を示す概略図である。
【図26】バルーンの代わりに吸引手段を設けた補助具挿入部の断面図である。
【図27】図26に対して共通吸引配管を設けた補助具挿入部の変形例を示す断面図である。
【図28】実施例2の内視鏡装置の先端側の構成を示す斜視図である。
【図29】第1変形例における推進用保持体を示す図である。
【図30】図29の推進用保持体の構造を示す図である。
【図31】第2変形例における推進用保持体の概略構成を示す斜視図である。
【図32】図31の推進用保持体の内部構成を示す図である。
【図33】第3変形例における内視鏡に取り付けた状態の推進用保持体付近を示す斜視図である。
【図34】図33の推進用保持体の概略構成を示す斜視図である。
【図35】図34の推進用保持体の内部構成を示す図である。
【図36】専用の内視鏡のチャンネル内に挿通した第4変形例の先端側を示す斜視図である。
【図37】図36の内視鏡の先端部付近を示す斜視図である。
【図38】図37の内視鏡の正面図である。
【図39】第4変形例の中空部内に処置具を挿通した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0091】
1 内視鏡装置
2 内視鏡
3 内視鏡挿入補助装置
7 内視鏡挿入補助具
8 回転駆動装置
9 流体制御装置
10 操作ノブ
11 内視鏡挿入部
15 内視鏡先端部
21 処置具挿入口
22 処置具挿通用チャンネル
22a チャンネル開口
31 補助具挿入部
32 バルーン
33 螺旋状構造部
34 回転駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置を体腔内管路の深部へ案内するための可撓性を有する細長な挿入部と、
前記挿入部の外周上に設けた螺旋状構造部と、
前記挿入部を前記体腔内管路に係止して前記医療装置を挿入していく体腔内管路の少なくとも一部の形状を保持する複数の係止手段と、
を具備したことを特徴とする医療装置用挿入補助具。
【請求項2】
前記係止手段は、前記挿入部の径方向に膨張・収縮可能に構成され、前記挿入部の径方向に膨張させて前記体腔内管路の内壁を押圧することにより体腔内管路に前記挿入部を係止することを特徴とする請求項1に記載の医療装置用挿入補助具。
【請求項3】
前記係止手段は、前記体腔内管路の内壁を吸引可能な吸引部を有し、この吸引部により体腔内管路の内壁を吸引して体腔内管路に前記挿入部を係止することを特徴とする請求項1に記載の医療装置用挿入補助具。
【請求項4】
前記螺旋状構造部は、前記係止手段を兼ねていることを特徴とする請求項2に記載の医療装置用挿入補助具。
【請求項5】
前記係止手段を制御するための制御手段を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の医療装置用挿入補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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