医薬分析装置および方法
医薬品および医薬類似品からの(1つもしくは複数の)活性剤の放出を分析する装置および方法が提供される。該装置および方法は、胃腸管内の状態のより精確な模倣をもたらす。シンカーは、剤形の表面の実質的にすべてが溶解媒質によって等しく撹拌されるように剤形を保持するために用いられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品および医薬類似品の分析に関する。より詳細には、本発明は、医薬品および医薬類似品における活性剤の放出を分析かつ/または予測する、装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の溶解デバイスには、バスケットタイプ、パドルタイプ、往復シリンダタイプ、および層流貫流カラムタイプ(laminar flow−through column−type)が含まれる。例えば、従来のパドルタイプの溶解デバイスは、容器の内容物を混合するインペラを備えたガラスの丸底容器を有する。パドルタイプのデバイスは、また、選択された時間に容器内の水溶液からサンプルを収集するために該容器に挿入されたオートサンプラチューブを有することができる。分析されるべき剤形は、容器に入れられ、底部に降下し、溶解実行中はその底部にとどまることになる。バスケットおよび往復シリンダタイプの溶解デバイスは、同様に、錠剤がバスケット/シリンダ内にある間、デバイス内の溶液の混合をもたらす。貫流カラムタイプの溶解デバイスは、層状に流れる液体媒質を有しており、錠剤がその液体媒質中に導入され、その液体媒質中で時間とともに溶解する。カラムを出ていく液体は、溶解した活性剤について分析される。
【0003】
これらの従来の溶解デバイスには、溶解データの収集に明らかな欠点がある。回転しているバスケット内の撹拌の程度は、生体内(in vivo)で予想される程度をはるかに超える。ワイヤバスケットは、付着物質によって目詰まりすることがあり、それが低い再現性をまねくおそれがある。さらに、剤形の粒子が、回転しているバスケットから落下し、バスケット内側に存在するのと同程度の撹拌を受けることのないフラスコの底部へと沈むおそれがある。マトリックス錠剤、および高分子材料を含む錠剤は、特に、目の細かいバスケットを目詰まりさせる傾向にあり、より低速の溶解および誤った結果を引き起こす。
【0004】
パドルタイプのデバイスでは、マトリックス錠剤は、丸底容器の側壁にくっつく傾向にあり、溶解媒質にさらされる表面積の減少をまねく。容器底部での剤形の一貫性のない向きは、変動するデータを与えるおそれがある。これらのデバイスは、剤形の真の溶解速度を誤って伝えるおそれがある。カプセルや、例えば膨潤/異なる技術によって浮遊可能な剤形など、浮遊する剤形は、溶解媒質に部分的にさらされることに起因する、誤解をまねくデータを与えるおそれがある。
【0005】
図1は、胃腸管を、消化筋収縮、物質移動、圧縮、蠕動、および他の力とともに示す。これらの条件/力のすべてが、特に、制御放出または持続放出製品の場合に、薬物放出の速度に重要な役割を果たす可能性がある。これらの機械的破壊力は、明らかに存在し、剤形が胃腸管に沿って移動するときにその剤形に及ぼされる。
【0006】
図2および図3は、従来のシンカーデバイス(例えば、イタリアのSkyPharmaシンカーおよび日本薬局方(JP:Japanese Pharmacopoeia)シンカー)を示す。これらのシンカーデバイスには、やはり、溶解データの収集に明らかな欠点がある。イタリアSkyPharmaまたは日本薬局方シンカーが溶解容器に入れられるときには、剤形は、容器の底部に適正に位置決めされないことがあり、または容器の中央部でパドルに対して垂直に位置決めされることがある。イタリアSkyPharmaおよび日本薬局方シンカーの設計は、シンカー内の剤形をシンカーの長さ全体にわたって移動または浮遊させる。容器の中央部での直径1インチを超える剤形位置の変化は、溶解データの変動をまねくおそれがある。
【0007】
膨潤する剤形のためのイタリアSkyPharmaまたは日本薬局方シンカーの使用は、溶解データの変動をまねくおそれがある。イタリアSkyPharmaまたは日本薬局方シンカーは、剤形が上面からのみ膨潤するように剤形を位置決めする。剤形の底面への新鮮な溶解媒質の流れは、限られており、または存在しない。イタリアSkyPharmaまたは日本薬局方シンカーは、剤形が溶解または浸食されるときの容器の底部での浸食粒子の凝集によって引き起こされる、溶解データの変動をまねくことがある。凝集した粒子は、新鮮な溶解媒質にさらされる剤形の表面積を減少させる。より長いサイズのイタリアSkyPharmaシンカーは、パドルが回転するときにそれらのパドルと干渉して、パドルまたはシンカーに損傷を与え、さらに溶解データの変動をまねくおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、医薬品および医薬類似品からの活性剤の放出を分析かつ/または予測する、より精確な方法および装置を提供する。
【0009】
本開示は、また、胃腸管内に見られる状態をより適切に再現または模倣する方法および装置を提供する。
【0010】
本開示は、さらに、より効率的にそのような分析を実施し、かつ/または(1つもしくは複数の)活性剤の放出を予測する、方法および装置を提供する。
【0011】
さらに、胃腸管内の状態をより適切に再現または模倣するために、そのような装置および方法が必要である。
【0012】
さらに、従来の様々なシンカーによって得られる溶解データによく見られる変動を低減する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の前述および他の利点ならびに利益は、剤形からの活性剤の放出を分析するための溶解デバイス用のシンカーによって提供される。該シンカーは、アーチ形の第1の部分と、アーチ形の第2の部分と、第1の部分と第2の部分とを脱着可能に固定するコネクタとを有する。第1および第2の部分は、剤形のためのハウジングを画定する。第1および第2の部分は、それらの中に、溶解媒質がそれらを通り抜けて流れるための開口部を有する。
【0014】
他の態様では、開口端とその中の媒質とを有する容器と、分析用の媒質のサンプルを採取するサンプラと、シンカーとを含む、剤形からの活性剤の放出を分析するための溶解デバイスが提供される。シンカーは、半球形の第1および第2の部分と、第1の部分と第2の部分とを脱着可能に固定するコネクタと、第1および第2の部分から剤形を引き離すリテーナとを有する。第1および第2の部分は、剤形のためのハウジングを画定し、それらの中に、媒質がそれらを通り抜けて流れるための開口部を有する。
【0015】
さらに他の態様では、剤形をハウジング内に位置決めする工程と、中に媒質が入れられた容器内にハウジングを位置決めする工程と、ハウジング内に媒質を流し、剤形の実質的にすべてを流動媒質と接触させる工程と、剤形からの活性剤の放出を表すデータを収集する工程とを含む、剤形からの活性剤の放出を分析する方法が提供される。
【0016】
シンカーは、ハウジングの第1および第2の部分から剤形を引き離すリテーナを有することができる。リテーナは、ワイヤとすることができる。リテーナは、また、剤形を付勢保持(biasingly holds)する弾性ワイヤとすることができる。第1および第2の部分は、サイズが実質的に等しいものとすることができる。第1および第2の部分は、また、サイズおよび形状が実質的に等しいものとすることもできる。
【0017】
デバイスは、また、媒質を循環させるインペラを有することができる。デバイスは、また、選択的にサンプルを採取し、サンプルを処理し、サンプルを分析する、サンプラに動作可能に接続された制御装置を有することができる。制御装置は、サンプルにUV分析を実施することができる。
【0018】
方法は、媒質の流量を制御する工程をさらに含むことができる。方法は、また、ハウジング内で剤形を弾性的に保持する工程を含むことができる。方法は、また、容器の底部に沿ってハウジングを中心配置する工程を含むことができる。また、シンカーに収められた流動媒質中に錠剤またはカプセルが導入される層流貫流カラム溶解装置と併せてシンカーを使用し、それによって、適切な向き、ならびに、錠剤またはカプセルが有することのある表面への付着傾向からの保護を保証することができる。同様に、シンカーを往復シリンダタイプの装置と併せて使用して、やはり、装置に対する剤形の所望の向きをもたらし、表面への不適切な付着から保護することができる。
【0019】
本発明の他のさらなる目的、利点、および特徴は、以下を参照することによって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ヒトの上部胃腸管の一部分の概略図である。
【図2】従来のシンカーデバイスの斜視図である。
【図3】他の従来のシンカーデバイスの斜視図である。
【図4】上下のハウジングをしっかり固定するために押圧タイプのコネクタを有する、本開示のシンカーデバイスの斜視図である。
【図5】上下のハウジングをしっかり固定するためにねじれ結束ワイヤコネクタを有する、図4のシンカーデバイスの断面図である。
【図6】図4のシンカーデバイスの他の斜視図である。
【図7】図4のシンカーデバイスの分解斜視図である。
【図8】インペラを備えた溶解容器内の図4のシンカーデバイスの斜視図である。
【図9】シンカーを使用しない、従来の様々なシンカーを使用する、および本開示のシンカーを使用する溶解装置についての、経時的な腸溶性錠剤の溶解結果を表す図である。
【図10】シンカーを使用しない、従来の様々なシンカーを使用する、および本開示のシンカーを使用する溶解装置についての、経時的な腸溶性錠剤の溶解結果を表す図である。
【図11】シンカーを使用しない、従来の様々なシンカーを使用する、および本開示のシンカーを使用する溶解装置についての、経時的な%RSD(溶解速度)を示す、腸溶性錠剤の溶解結果を表す図である。
【図12】シンカーを使用しない、従来の様々なシンカーを使用する、および本開示のシンカーを使用する溶解装置についての、経時的な平均値(%溶解分)を示す、腸溶性錠剤の溶解結果を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示のシンカーは、他のシンカーデバイスと比較して、従来のパドル溶解試験時にいくつかの利点を与える。シンカーおよび付属容器は、様々なパドル速度を用いるのに適している。シンカーの設計は、シンカーが目詰まりするのを防ぎ、または、マトリックス錠剤の場合によく起こる、容器側壁に付着可能となるのを防ぐことになる。剤形の浸食された粒子は、常に容器の底部に集まり、同じレベルの撹拌を受ける。本発明のシンカーは、錠剤およびカプセルのための隆起したプラットフォームにより、マトリックス錠剤が容器の底部にくっつくのを防ぐ。剤形の表面全体は、一様に溶解媒質にさらされており、錠剤/カプセルの向きは、容器の底部の好ましくは直径2.5cmに制限することができる。剤形の離散性(discreteness)は、剤形がメッシュドームによって覆われるので、損なわれない。カプセルおよび低密度錠剤は、浮遊しない。シンカーを浮遊カプセルおよび膨潤/ガス発生技術によって浮遊可能な他の剤形とともに使用して生成されるデータは、開発段階および製造時の配合者にとって大きな価値のあるものとなる。シンカーは、取り扱いやすく、掃除しやすい。
【0022】
諸図面、特に図1を参照すると、ヒトの胃腸管に沿って移動する医薬品または剤形10は、胃腸管内に存在する食物および液体を含めた様々な源、消化筋収縮、物質移動、圧縮、蠕動、ならびに他の力に由来する力を受ける。これらの力は、剤形10に作用して、剤形の(1つもしくは複数の)活性剤の放出を起こさせる。以下の開示は、医薬品または医薬類似品を剤形10として記載するが、本開示が、錠剤、カプセル、カプレット、他の剤形など、放出される(1つもしくは複数の)活性剤を有する任意のタイプの医薬品または医薬類似品の分析を企図していることを理解すべきである。
【0023】
図4から図7までを参照すると、本開示の医薬分析装置またはデバイスの例示的な一実施形態が示されており、全体的に参照番号100によって参照される。デバイス100は、上側ハウジング150と、下側ハウジング160と、プラットフォームまたはリテーナ170と、コネクタ180とを有する。
【0024】
上下のハウジング150および160は、アーチ形、湾曲形、または半球形をしている。上下のハウジングは、サイズおよび形状が実質的に等しい。このアーチ形は、シンカー100を溶解デバイスの底部中央に移動させる(図8に示されている)。上下のハウジング150および160の両方を湾曲させることによって、シンカー100の向きは、該シンカーが溶解デバイスの底部中央に移動するのを妨げない。
【0025】
上下のハウジング150および160は、溶解媒質をその中に流れさせる開口部をその中に画定する、メッシュ状構造の形態をとり、その中で剤形を撹拌する。様々なメッシュサイズのワイヤメッシュをハウジング150および160に使用することができる。本開示は、従来のUSP3溶解装置で使用されるものを含め、ステンレス鋼やプラスチックなど、上下のハウジング150および160のための様々な材料の使用を企図している。メッシュまたは開口部サイズは、また、特定の剤形10に適切となるように変更することができる。
【0026】
プラットフォーム170は、上下のハウジング150および160内に位置決めされ、その中で剤形を保持または懸吊する。プラットフォーム170は、剤形に係合するリングまたはワイヤ状構造である。ただし、他の構造および形状をプラットフォーム170に使用することもできる。プラットフォーム170は、剤形の実質的にすべての表面が溶解媒質による撹拌を受けるように、剤形を上下のハウジング150および160から引き離す。プラットフォーム170としてワイヤを使用すると、剤形の遮られた表面積が最小限に抑えられる。さらに、ワイヤは、弾力性のあるものとすることができ、剤形が溶解時にサイズを縮小するときに該剤形を保持し続けるために直径を縮小する、リング状形態に形作ることができる。
【0027】
コネクタ180は、上下のハウジング150および160をしっかり固定するが、容易な分解は可能にする。コネクタ180は、それが上下のハウジング150および160をしっかり固定し、容易な解放をもたらす限り、様々な構成のうちのいずれの構成とすることもできる。図4を参照すると、コネクタ180は、ノブ(knob)または押圧タイプのコネクタの形態とすることができる。コネクタ180の他の設計には、図5に示されるように、ねじれ結束ワイヤコネクタを含めることができる。
【0028】
図8を参照すると、容器200は、ヒトの胃腸管内の媒質を模倣する溶解媒質、例えば、水溶液を保持する。容器は、好ましくは透明の丸底容器である。ただし、本開示は、シンカーデバイス100の使用および/または胃腸管の状態のより精確な模倣を促進する、容器200のための他の材料および他の形状の使用を企図している。
【0029】
インペラ300は、水溶液に動きを与えて活性剤を水溶液中に分散させ、さらに胃腸管の状態を模倣する。本開示は、インペラ300のための様々な形状およびサイズの使用、ならびに、溶液中での活性剤の分散を促進でき、かつ/または胃腸管内の状態をより精確に模倣できる、インペラについての様々な運動方向(例えば、回転方向および/または軸方向)を企図している。本開示は、また、活性剤を溶液中に分散させ、胃腸管内での媒質、溶液、および/または剤形10の動きを模倣する、例えば円筒状容器内の往復シリンダなど、他のデバイスの使用も企図している。
【0030】
サンプラ400は、水溶液のサンプルを採取して、剤形10によって放出された活性剤の量を決定する。好ましくは、サンプラ400は、選択的にサンプルを採取し、それを処理し、かつ/またはそれを分析することができる、例えば、演算処理装置(control processing unit)またはPLC(図示せず)などの制御装置に動作可能に接続される。好ましい分析は、UV分析である。ただし、本開示は、他の分析技術の使用も企図している。
【0031】
シンカーデバイス100は、好ましくは、医薬溶解分析で一般的に使用される様々な界面活性剤を用いて/用いずに酸性および塩基性pHへの長期曝露に耐えることが可能な材料から構築される。好ましい材料は、電解研磨されたステンレス鋼である。
【0032】
医薬品および医薬類似品中の活性剤の放出のこの分析からより多くの恩恵を受けることになる剤形の目標とされるタイプは、たいていの場合、制御放出または持続放出製品である。ただし、本開示は、即時放出剤形を含め、すべてのタイプの医薬品へのこの装置および方法の使用を企図している。
【0033】
本明細書に記載の装置および方法が、ヒトの胃腸管内の状態を模倣することに関して議論されたことを理解すべきである。ただし、本開示は、適用可能な場合、他の胃腸管のシミュレーションのための該装置および方法の使用を企図している。
【0034】
シンカー100(SeaShellシンカーと名付けられた)の利点を明示するために、イタリアSkyPharma、日本薬局方、および本開示のSeaShellシンカー100を使用して、pH7.4のトリスリン酸塩緩衝液中での腸溶性錠剤の溶解試験セット(初めに酸性条件に曝露した後)を実施した。半自動のSotax溶解試験装置(Sotax Dissolution Testing Apparatus)(モデル番号AT7、シリアル番号01.3.002)を使用して実験を行った。
【0035】
図9および図10は、錠剤の溶解を予測するための溶解デバイス内での、他の従来のシンカーデバイス、およびシンカーデバイスなしの対照と比較した、シンカーデバイス100の改善された精度を示している。シンカー100から得られた溶解データは、イタリアSkyPharmaおよび日本薬局方シンカーと比較して、少ない変動を示した。
【0036】
図11は、シンカーなしの、様々なシンカーを使用する、および本開示のシンカーを使用する溶解装置について経時的な%RSD(溶解速度)を示す、錠剤についての溶解結果を示す。図12は、シンカーなしの、従来の様々なシンカーを使用する、および本開示のシンカーを使用する溶解装置について経時的な平均値(%溶解分)を示す、錠剤についての溶解結果を示す。
【0037】
シンカー100の形状は、該シンカーが溶解容器の中央に位置決めされることを保証する。シンカー100内の変動する重量分布は(最下部でより重く、最上部でより軽い)、容器内での適正な向きを保証する。シンカー100の短い直径は、剤形の運動を制限する。シンカー100によって、浸食された粒子が剤形から離れられるようになり、また、剤形の膨潤がすべての方向で起こるようになる。シンカー100によって、溶解媒質が常に剤形の表面全体に到達できるようになる。シンカー100は、膨潤を妨げず、剤形を無傷のままにする。
【0038】
本開示について1つもしくは複数の例示的な実施形態に即して説明したが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができ、それらの実施形態の諸要素を均等物で置き換えることができることが、当業者には理解されよう。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく特定の状況または材料を本開示の教示に適合させるために、多くの修正を加えることができる。したがって、本開示は、企図される最良の方式として開示された特定の(1つもしくは複数の)実施形態だけに限定されず、本明細書および特許請求の範囲に記載のすべての実施形態を含むものとする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品および医薬類似品の分析に関する。より詳細には、本発明は、医薬品および医薬類似品における活性剤の放出を分析かつ/または予測する、装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の溶解デバイスには、バスケットタイプ、パドルタイプ、往復シリンダタイプ、および層流貫流カラムタイプ(laminar flow−through column−type)が含まれる。例えば、従来のパドルタイプの溶解デバイスは、容器の内容物を混合するインペラを備えたガラスの丸底容器を有する。パドルタイプのデバイスは、また、選択された時間に容器内の水溶液からサンプルを収集するために該容器に挿入されたオートサンプラチューブを有することができる。分析されるべき剤形は、容器に入れられ、底部に降下し、溶解実行中はその底部にとどまることになる。バスケットおよび往復シリンダタイプの溶解デバイスは、同様に、錠剤がバスケット/シリンダ内にある間、デバイス内の溶液の混合をもたらす。貫流カラムタイプの溶解デバイスは、層状に流れる液体媒質を有しており、錠剤がその液体媒質中に導入され、その液体媒質中で時間とともに溶解する。カラムを出ていく液体は、溶解した活性剤について分析される。
【0003】
これらの従来の溶解デバイスには、溶解データの収集に明らかな欠点がある。回転しているバスケット内の撹拌の程度は、生体内(in vivo)で予想される程度をはるかに超える。ワイヤバスケットは、付着物質によって目詰まりすることがあり、それが低い再現性をまねくおそれがある。さらに、剤形の粒子が、回転しているバスケットから落下し、バスケット内側に存在するのと同程度の撹拌を受けることのないフラスコの底部へと沈むおそれがある。マトリックス錠剤、および高分子材料を含む錠剤は、特に、目の細かいバスケットを目詰まりさせる傾向にあり、より低速の溶解および誤った結果を引き起こす。
【0004】
パドルタイプのデバイスでは、マトリックス錠剤は、丸底容器の側壁にくっつく傾向にあり、溶解媒質にさらされる表面積の減少をまねく。容器底部での剤形の一貫性のない向きは、変動するデータを与えるおそれがある。これらのデバイスは、剤形の真の溶解速度を誤って伝えるおそれがある。カプセルや、例えば膨潤/異なる技術によって浮遊可能な剤形など、浮遊する剤形は、溶解媒質に部分的にさらされることに起因する、誤解をまねくデータを与えるおそれがある。
【0005】
図1は、胃腸管を、消化筋収縮、物質移動、圧縮、蠕動、および他の力とともに示す。これらの条件/力のすべてが、特に、制御放出または持続放出製品の場合に、薬物放出の速度に重要な役割を果たす可能性がある。これらの機械的破壊力は、明らかに存在し、剤形が胃腸管に沿って移動するときにその剤形に及ぼされる。
【0006】
図2および図3は、従来のシンカーデバイス(例えば、イタリアのSkyPharmaシンカーおよび日本薬局方(JP:Japanese Pharmacopoeia)シンカー)を示す。これらのシンカーデバイスには、やはり、溶解データの収集に明らかな欠点がある。イタリアSkyPharmaまたは日本薬局方シンカーが溶解容器に入れられるときには、剤形は、容器の底部に適正に位置決めされないことがあり、または容器の中央部でパドルに対して垂直に位置決めされることがある。イタリアSkyPharmaおよび日本薬局方シンカーの設計は、シンカー内の剤形をシンカーの長さ全体にわたって移動または浮遊させる。容器の中央部での直径1インチを超える剤形位置の変化は、溶解データの変動をまねくおそれがある。
【0007】
膨潤する剤形のためのイタリアSkyPharmaまたは日本薬局方シンカーの使用は、溶解データの変動をまねくおそれがある。イタリアSkyPharmaまたは日本薬局方シンカーは、剤形が上面からのみ膨潤するように剤形を位置決めする。剤形の底面への新鮮な溶解媒質の流れは、限られており、または存在しない。イタリアSkyPharmaまたは日本薬局方シンカーは、剤形が溶解または浸食されるときの容器の底部での浸食粒子の凝集によって引き起こされる、溶解データの変動をまねくことがある。凝集した粒子は、新鮮な溶解媒質にさらされる剤形の表面積を減少させる。より長いサイズのイタリアSkyPharmaシンカーは、パドルが回転するときにそれらのパドルと干渉して、パドルまたはシンカーに損傷を与え、さらに溶解データの変動をまねくおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、医薬品および医薬類似品からの活性剤の放出を分析かつ/または予測する、より精確な方法および装置を提供する。
【0009】
本開示は、また、胃腸管内に見られる状態をより適切に再現または模倣する方法および装置を提供する。
【0010】
本開示は、さらに、より効率的にそのような分析を実施し、かつ/または(1つもしくは複数の)活性剤の放出を予測する、方法および装置を提供する。
【0011】
さらに、胃腸管内の状態をより適切に再現または模倣するために、そのような装置および方法が必要である。
【0012】
さらに、従来の様々なシンカーによって得られる溶解データによく見られる変動を低減する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の前述および他の利点ならびに利益は、剤形からの活性剤の放出を分析するための溶解デバイス用のシンカーによって提供される。該シンカーは、アーチ形の第1の部分と、アーチ形の第2の部分と、第1の部分と第2の部分とを脱着可能に固定するコネクタとを有する。第1および第2の部分は、剤形のためのハウジングを画定する。第1および第2の部分は、それらの中に、溶解媒質がそれらを通り抜けて流れるための開口部を有する。
【0014】
他の態様では、開口端とその中の媒質とを有する容器と、分析用の媒質のサンプルを採取するサンプラと、シンカーとを含む、剤形からの活性剤の放出を分析するための溶解デバイスが提供される。シンカーは、半球形の第1および第2の部分と、第1の部分と第2の部分とを脱着可能に固定するコネクタと、第1および第2の部分から剤形を引き離すリテーナとを有する。第1および第2の部分は、剤形のためのハウジングを画定し、それらの中に、媒質がそれらを通り抜けて流れるための開口部を有する。
【0015】
さらに他の態様では、剤形をハウジング内に位置決めする工程と、中に媒質が入れられた容器内にハウジングを位置決めする工程と、ハウジング内に媒質を流し、剤形の実質的にすべてを流動媒質と接触させる工程と、剤形からの活性剤の放出を表すデータを収集する工程とを含む、剤形からの活性剤の放出を分析する方法が提供される。
【0016】
シンカーは、ハウジングの第1および第2の部分から剤形を引き離すリテーナを有することができる。リテーナは、ワイヤとすることができる。リテーナは、また、剤形を付勢保持(biasingly holds)する弾性ワイヤとすることができる。第1および第2の部分は、サイズが実質的に等しいものとすることができる。第1および第2の部分は、また、サイズおよび形状が実質的に等しいものとすることもできる。
【0017】
デバイスは、また、媒質を循環させるインペラを有することができる。デバイスは、また、選択的にサンプルを採取し、サンプルを処理し、サンプルを分析する、サンプラに動作可能に接続された制御装置を有することができる。制御装置は、サンプルにUV分析を実施することができる。
【0018】
方法は、媒質の流量を制御する工程をさらに含むことができる。方法は、また、ハウジング内で剤形を弾性的に保持する工程を含むことができる。方法は、また、容器の底部に沿ってハウジングを中心配置する工程を含むことができる。また、シンカーに収められた流動媒質中に錠剤またはカプセルが導入される層流貫流カラム溶解装置と併せてシンカーを使用し、それによって、適切な向き、ならびに、錠剤またはカプセルが有することのある表面への付着傾向からの保護を保証することができる。同様に、シンカーを往復シリンダタイプの装置と併せて使用して、やはり、装置に対する剤形の所望の向きをもたらし、表面への不適切な付着から保護することができる。
【0019】
本発明の他のさらなる目的、利点、および特徴は、以下を参照することによって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ヒトの上部胃腸管の一部分の概略図である。
【図2】従来のシンカーデバイスの斜視図である。
【図3】他の従来のシンカーデバイスの斜視図である。
【図4】上下のハウジングをしっかり固定するために押圧タイプのコネクタを有する、本開示のシンカーデバイスの斜視図である。
【図5】上下のハウジングをしっかり固定するためにねじれ結束ワイヤコネクタを有する、図4のシンカーデバイスの断面図である。
【図6】図4のシンカーデバイスの他の斜視図である。
【図7】図4のシンカーデバイスの分解斜視図である。
【図8】インペラを備えた溶解容器内の図4のシンカーデバイスの斜視図である。
【図9】シンカーを使用しない、従来の様々なシンカーを使用する、および本開示のシンカーを使用する溶解装置についての、経時的な腸溶性錠剤の溶解結果を表す図である。
【図10】シンカーを使用しない、従来の様々なシンカーを使用する、および本開示のシンカーを使用する溶解装置についての、経時的な腸溶性錠剤の溶解結果を表す図である。
【図11】シンカーを使用しない、従来の様々なシンカーを使用する、および本開示のシンカーを使用する溶解装置についての、経時的な%RSD(溶解速度)を示す、腸溶性錠剤の溶解結果を表す図である。
【図12】シンカーを使用しない、従来の様々なシンカーを使用する、および本開示のシンカーを使用する溶解装置についての、経時的な平均値(%溶解分)を示す、腸溶性錠剤の溶解結果を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示のシンカーは、他のシンカーデバイスと比較して、従来のパドル溶解試験時にいくつかの利点を与える。シンカーおよび付属容器は、様々なパドル速度を用いるのに適している。シンカーの設計は、シンカーが目詰まりするのを防ぎ、または、マトリックス錠剤の場合によく起こる、容器側壁に付着可能となるのを防ぐことになる。剤形の浸食された粒子は、常に容器の底部に集まり、同じレベルの撹拌を受ける。本発明のシンカーは、錠剤およびカプセルのための隆起したプラットフォームにより、マトリックス錠剤が容器の底部にくっつくのを防ぐ。剤形の表面全体は、一様に溶解媒質にさらされており、錠剤/カプセルの向きは、容器の底部の好ましくは直径2.5cmに制限することができる。剤形の離散性(discreteness)は、剤形がメッシュドームによって覆われるので、損なわれない。カプセルおよび低密度錠剤は、浮遊しない。シンカーを浮遊カプセルおよび膨潤/ガス発生技術によって浮遊可能な他の剤形とともに使用して生成されるデータは、開発段階および製造時の配合者にとって大きな価値のあるものとなる。シンカーは、取り扱いやすく、掃除しやすい。
【0022】
諸図面、特に図1を参照すると、ヒトの胃腸管に沿って移動する医薬品または剤形10は、胃腸管内に存在する食物および液体を含めた様々な源、消化筋収縮、物質移動、圧縮、蠕動、ならびに他の力に由来する力を受ける。これらの力は、剤形10に作用して、剤形の(1つもしくは複数の)活性剤の放出を起こさせる。以下の開示は、医薬品または医薬類似品を剤形10として記載するが、本開示が、錠剤、カプセル、カプレット、他の剤形など、放出される(1つもしくは複数の)活性剤を有する任意のタイプの医薬品または医薬類似品の分析を企図していることを理解すべきである。
【0023】
図4から図7までを参照すると、本開示の医薬分析装置またはデバイスの例示的な一実施形態が示されており、全体的に参照番号100によって参照される。デバイス100は、上側ハウジング150と、下側ハウジング160と、プラットフォームまたはリテーナ170と、コネクタ180とを有する。
【0024】
上下のハウジング150および160は、アーチ形、湾曲形、または半球形をしている。上下のハウジングは、サイズおよび形状が実質的に等しい。このアーチ形は、シンカー100を溶解デバイスの底部中央に移動させる(図8に示されている)。上下のハウジング150および160の両方を湾曲させることによって、シンカー100の向きは、該シンカーが溶解デバイスの底部中央に移動するのを妨げない。
【0025】
上下のハウジング150および160は、溶解媒質をその中に流れさせる開口部をその中に画定する、メッシュ状構造の形態をとり、その中で剤形を撹拌する。様々なメッシュサイズのワイヤメッシュをハウジング150および160に使用することができる。本開示は、従来のUSP3溶解装置で使用されるものを含め、ステンレス鋼やプラスチックなど、上下のハウジング150および160のための様々な材料の使用を企図している。メッシュまたは開口部サイズは、また、特定の剤形10に適切となるように変更することができる。
【0026】
プラットフォーム170は、上下のハウジング150および160内に位置決めされ、その中で剤形を保持または懸吊する。プラットフォーム170は、剤形に係合するリングまたはワイヤ状構造である。ただし、他の構造および形状をプラットフォーム170に使用することもできる。プラットフォーム170は、剤形の実質的にすべての表面が溶解媒質による撹拌を受けるように、剤形を上下のハウジング150および160から引き離す。プラットフォーム170としてワイヤを使用すると、剤形の遮られた表面積が最小限に抑えられる。さらに、ワイヤは、弾力性のあるものとすることができ、剤形が溶解時にサイズを縮小するときに該剤形を保持し続けるために直径を縮小する、リング状形態に形作ることができる。
【0027】
コネクタ180は、上下のハウジング150および160をしっかり固定するが、容易な分解は可能にする。コネクタ180は、それが上下のハウジング150および160をしっかり固定し、容易な解放をもたらす限り、様々な構成のうちのいずれの構成とすることもできる。図4を参照すると、コネクタ180は、ノブ(knob)または押圧タイプのコネクタの形態とすることができる。コネクタ180の他の設計には、図5に示されるように、ねじれ結束ワイヤコネクタを含めることができる。
【0028】
図8を参照すると、容器200は、ヒトの胃腸管内の媒質を模倣する溶解媒質、例えば、水溶液を保持する。容器は、好ましくは透明の丸底容器である。ただし、本開示は、シンカーデバイス100の使用および/または胃腸管の状態のより精確な模倣を促進する、容器200のための他の材料および他の形状の使用を企図している。
【0029】
インペラ300は、水溶液に動きを与えて活性剤を水溶液中に分散させ、さらに胃腸管の状態を模倣する。本開示は、インペラ300のための様々な形状およびサイズの使用、ならびに、溶液中での活性剤の分散を促進でき、かつ/または胃腸管内の状態をより精確に模倣できる、インペラについての様々な運動方向(例えば、回転方向および/または軸方向)を企図している。本開示は、また、活性剤を溶液中に分散させ、胃腸管内での媒質、溶液、および/または剤形10の動きを模倣する、例えば円筒状容器内の往復シリンダなど、他のデバイスの使用も企図している。
【0030】
サンプラ400は、水溶液のサンプルを採取して、剤形10によって放出された活性剤の量を決定する。好ましくは、サンプラ400は、選択的にサンプルを採取し、それを処理し、かつ/またはそれを分析することができる、例えば、演算処理装置(control processing unit)またはPLC(図示せず)などの制御装置に動作可能に接続される。好ましい分析は、UV分析である。ただし、本開示は、他の分析技術の使用も企図している。
【0031】
シンカーデバイス100は、好ましくは、医薬溶解分析で一般的に使用される様々な界面活性剤を用いて/用いずに酸性および塩基性pHへの長期曝露に耐えることが可能な材料から構築される。好ましい材料は、電解研磨されたステンレス鋼である。
【0032】
医薬品および医薬類似品中の活性剤の放出のこの分析からより多くの恩恵を受けることになる剤形の目標とされるタイプは、たいていの場合、制御放出または持続放出製品である。ただし、本開示は、即時放出剤形を含め、すべてのタイプの医薬品へのこの装置および方法の使用を企図している。
【0033】
本明細書に記載の装置および方法が、ヒトの胃腸管内の状態を模倣することに関して議論されたことを理解すべきである。ただし、本開示は、適用可能な場合、他の胃腸管のシミュレーションのための該装置および方法の使用を企図している。
【0034】
シンカー100(SeaShellシンカーと名付けられた)の利点を明示するために、イタリアSkyPharma、日本薬局方、および本開示のSeaShellシンカー100を使用して、pH7.4のトリスリン酸塩緩衝液中での腸溶性錠剤の溶解試験セット(初めに酸性条件に曝露した後)を実施した。半自動のSotax溶解試験装置(Sotax Dissolution Testing Apparatus)(モデル番号AT7、シリアル番号01.3.002)を使用して実験を行った。
【0035】
図9および図10は、錠剤の溶解を予測するための溶解デバイス内での、他の従来のシンカーデバイス、およびシンカーデバイスなしの対照と比較した、シンカーデバイス100の改善された精度を示している。シンカー100から得られた溶解データは、イタリアSkyPharmaおよび日本薬局方シンカーと比較して、少ない変動を示した。
【0036】
図11は、シンカーなしの、様々なシンカーを使用する、および本開示のシンカーを使用する溶解装置について経時的な%RSD(溶解速度)を示す、錠剤についての溶解結果を示す。図12は、シンカーなしの、従来の様々なシンカーを使用する、および本開示のシンカーを使用する溶解装置について経時的な平均値(%溶解分)を示す、錠剤についての溶解結果を示す。
【0037】
シンカー100の形状は、該シンカーが溶解容器の中央に位置決めされることを保証する。シンカー100内の変動する重量分布は(最下部でより重く、最上部でより軽い)、容器内での適正な向きを保証する。シンカー100の短い直径は、剤形の運動を制限する。シンカー100によって、浸食された粒子が剤形から離れられるようになり、また、剤形の膨潤がすべての方向で起こるようになる。シンカー100によって、溶解媒質が常に剤形の表面全体に到達できるようになる。シンカー100は、膨潤を妨げず、剤形を無傷のままにする。
【0038】
本開示について1つもしくは複数の例示的な実施形態に即して説明したが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができ、それらの実施形態の諸要素を均等物で置き換えることができることが、当業者には理解されよう。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく特定の状況または材料を本開示の教示に適合させるために、多くの修正を加えることができる。したがって、本開示は、企図される最良の方式として開示された特定の(1つもしくは複数の)実施形態だけに限定されず、本明細書および特許請求の範囲に記載のすべての実施形態を含むものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剤形からの活性剤の放出を分析するために溶解デバイスにおいて使用するためのシンカーであって、
アーチ形の第1の部分と、
アーチ形の第2の部分と、
第1の部分と第2の部分とを脱着可能に固定するコネクタとを含んでおり、第1および第2の部分が、剤形のためのハウジングを画定しており、第1および第2の部分が、それらの中に、溶解媒質がそれらを通り抜けて流れるための開口部を有する、シンカー。
【請求項2】
ハウジングの第1および第2の部分から剤形を引き離すリテーナをさらに含む、請求項1に記載のシンカー。
【請求項3】
リテーナがワイヤである、請求項2に記載のシンカー。
【請求項4】
リテーナが、剤形を付勢保持する弾性ワイヤである、請求項2に記載のシンカー。
【請求項5】
第1および第2の部分のサイズが実質的に等しい、請求項1に記載のシンカー。
【請求項6】
第1および第2の部分のサイズおよび形状が実質的に等しい、請求項1に記載のシンカー。
【請求項7】
コネクタが、押圧タイプのコネクタおよびねじれ結束ワイヤコネクタからなる群より選択される、請求項1に記載のシンカー。
【請求項8】
往復シリンダタイプの溶解装置で使用可能である、請求項1に記載のシンカー。
【請求項9】
層流カラム溶解装置で使用可能である、請求項1に記載のシンカー。
【請求項10】
剤形からの活性剤の放出を分析するための溶解デバイスであって、
開口端を有する、媒質を含む容器と、
分析のために媒質のサンプルを採取するサンプラと、
半球形の第1および第2の部分と、第1の部分と第2の部分とを脱着可能に固定するコネクタと、第1および第2の部分から剤形を引き離すリテーナとを有する、シンカーとを含んでおり、第1および第2の部分が、剤形のためのハウジングを画定しており、第1および第2の部分が、それらの中に、媒質がそれらを通り抜けて流れるための開口部を有する、溶解デバイス。
【請求項11】
リテーナがワイヤである、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
リテーナが、剤形を付勢保持する弾性ワイヤである、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
第1および第2の部分のサイズが実質的に等しい、請求項10に記載のデバイス。
【請求項14】
媒質を循環させるインペラをさらに含む、請求項10に記載のデバイス。
【請求項15】
選択的にサンプルを採取し、サンプルを処理し、サンプルを分析する、サンプラに動作可能に接続された制御装置をさらに含む、請求項10に記載のデバイス。
【請求項16】
制御装置がサンプルにUV分析を実施する、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
溶解デバイスが往復シリンダタイプの溶解装置である、請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
溶解デバイスが層流カラム溶解装置である、請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
剤形からの活性剤の放出を分析する方法であって、
剤形をハウジング内に位置決めする工程と、
中に媒質が入れられた容器内にハウジングを位置決めする工程と、
ハウジング内に媒質を流し、剤形の実質的にすべてを流動媒質と接触させる工程と、
剤形からの活性剤の放出を表すデータを収集する工程とを含む、方法。
【請求項20】
媒質の流量を制御する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ハウジング内で剤形を弾性的に保持する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
容器の底部に沿ってハウジングを中心配置する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
流動媒質のサンプルにUV分析を実施する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項1】
剤形からの活性剤の放出を分析するために溶解デバイスにおいて使用するためのシンカーであって、
アーチ形の第1の部分と、
アーチ形の第2の部分と、
第1の部分と第2の部分とを脱着可能に固定するコネクタとを含んでおり、第1および第2の部分が、剤形のためのハウジングを画定しており、第1および第2の部分が、それらの中に、溶解媒質がそれらを通り抜けて流れるための開口部を有する、シンカー。
【請求項2】
ハウジングの第1および第2の部分から剤形を引き離すリテーナをさらに含む、請求項1に記載のシンカー。
【請求項3】
リテーナがワイヤである、請求項2に記載のシンカー。
【請求項4】
リテーナが、剤形を付勢保持する弾性ワイヤである、請求項2に記載のシンカー。
【請求項5】
第1および第2の部分のサイズが実質的に等しい、請求項1に記載のシンカー。
【請求項6】
第1および第2の部分のサイズおよび形状が実質的に等しい、請求項1に記載のシンカー。
【請求項7】
コネクタが、押圧タイプのコネクタおよびねじれ結束ワイヤコネクタからなる群より選択される、請求項1に記載のシンカー。
【請求項8】
往復シリンダタイプの溶解装置で使用可能である、請求項1に記載のシンカー。
【請求項9】
層流カラム溶解装置で使用可能である、請求項1に記載のシンカー。
【請求項10】
剤形からの活性剤の放出を分析するための溶解デバイスであって、
開口端を有する、媒質を含む容器と、
分析のために媒質のサンプルを採取するサンプラと、
半球形の第1および第2の部分と、第1の部分と第2の部分とを脱着可能に固定するコネクタと、第1および第2の部分から剤形を引き離すリテーナとを有する、シンカーとを含んでおり、第1および第2の部分が、剤形のためのハウジングを画定しており、第1および第2の部分が、それらの中に、媒質がそれらを通り抜けて流れるための開口部を有する、溶解デバイス。
【請求項11】
リテーナがワイヤである、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
リテーナが、剤形を付勢保持する弾性ワイヤである、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
第1および第2の部分のサイズが実質的に等しい、請求項10に記載のデバイス。
【請求項14】
媒質を循環させるインペラをさらに含む、請求項10に記載のデバイス。
【請求項15】
選択的にサンプルを採取し、サンプルを処理し、サンプルを分析する、サンプラに動作可能に接続された制御装置をさらに含む、請求項10に記載のデバイス。
【請求項16】
制御装置がサンプルにUV分析を実施する、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
溶解デバイスが往復シリンダタイプの溶解装置である、請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
溶解デバイスが層流カラム溶解装置である、請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
剤形からの活性剤の放出を分析する方法であって、
剤形をハウジング内に位置決めする工程と、
中に媒質が入れられた容器内にハウジングを位置決めする工程と、
ハウジング内に媒質を流し、剤形の実質的にすべてを流動媒質と接触させる工程と、
剤形からの活性剤の放出を表すデータを収集する工程とを含む、方法。
【請求項20】
媒質の流量を制御する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ハウジング内で剤形を弾性的に保持する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
容器の底部に沿ってハウジングを中心配置する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
流動媒質のサンプルにUV分析を実施する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−520995(P2010−520995A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552878(P2009−552878)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/055997
【国際公開番号】WO2008/109723
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/055997
【国際公開番号】WO2008/109723
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】
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