説明

医薬品の包装容器

【課題】 表面に付された情報コードの欠損を防止することができる医薬品の包装容器を提供する。
【解決手段】 機械読み取りが可能な情報コードの表示部2を表面に有する医薬品の包装容器1であって、表示部2よりも外側に隆起する隆起部4a,4bが、少なくとも表示部2を挟んで両側にそれぞれ設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品の包装容器に関し、より詳しくは、機械読み取りが可能な情報コードの表示部を表面に有する医薬品の包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品の取り違え事故の防止やトレーサビリティを確保するため、医薬品の包装容器に、商品コード、有効期限、製造番号などの情報を含むバーコード表示をすることが、従来から行われている。バーコードは、通常はサーマル印字やレーザ印字などにより形成されるが、印刷不良が生じると、読取率が低下して運用上支障が生じるおそれがあることから、ANSI規格などにより、印刷品質の管理が行われている。医薬品の包装体にバーコードが印刷された構成は、例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2003−63535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、バーコード印刷の品質管理を十分に行ったとしても、包装容器の流通過程でバーコードが損傷するおそれがあることから、このような損傷防止の対策が必要である。特に、個装箱や缶などの販売包装単位に付されたバーコードは、この販売包装単位がダンボール箱などに複数収容されて出荷されることから、搬送中に販売包装単位同士が擦れ合うなどしてバーコードの一部に剥離や損傷などが生じやすいという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、表面に付された情報コードの欠損を防止することができる医薬品の包装容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の前記目的は、機械読み取りが可能な情報コードの表示部を表面に有する医薬品の包装容器であって、前記表示部よりも外側に隆起する隆起部が、少なくとも前記表示部を挟んで両側にそれぞれ設けられている医薬品の包装容器により達成される。
【0006】
この医薬品の包装容器は、底面との対向位置に蓋片を有する筐体から構成することができる。この構成において、前記表示部は、前記筐体の側面に形成されていることが好ましく、前記隆起部は、前記筐体の底面に沿って延びるようにリブ状に形成されていることが好ましい。
【0007】
また、前記表示部の両側に配置された前記各隆起部の間に隆起する突部が設けられていることが好ましい。
【0008】
また、これらの医薬品の包装容器は、販売包装単位であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の医薬品の包装容器によれば、表面に付された情報コードの欠損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。各図面において、同じ構成要素については同一の符号を付している。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る医薬品の包装容器の斜視図である。図1に示す包装容器1は、特定生物由来製品、生物由来製品、注射薬、内用薬、外用薬などの医療用医薬品を包装する個装箱であり、従来のものと同様に、厚みのあるコート紙などをトムソン型により打ち抜いて折り曲げることにより、形成されている。
【0012】
この包装容器1は、底面1aを水平面に載置した状態で、平面視矩形状に形成された筐体であり、開閉可能な蓋片1bを備えている。この蓋片1bは、閉じた状態で底面1aと対向する位置に形成されている。また、包装容器1は、それぞれ対向する一対の短辺側側面1c,1c及び一対の長辺側側面1d,1dを備えており、一方の短辺側側面1cに、表示部2を備えている。
【0013】
表示部2は、収容した医薬品の商品コード、使用期限、製造番号などの情報を含む1次元コードや2次元コード(例えば、RSSコードやQRコード)のように、バーコードリーダ等による機械読み取りが可能な情報コードを表示する領域である。
【0014】
図2は、図1に示す包装容器1を矢示A方向からみた側面図である。図2に示すように、表示部2は、情報コードを表示する情報コード表示エリア2aと、情報コードに含まれる情報を理解し易いように数字や文字などで表示する記号表示エリア2bとを備えており、これら各エリア2a,2bは上下方向に隣接配置されている。短辺側側面1cにおける表示部2を挟んで上下両側には、底面1aに沿って延びるリブ状の隆起部4a,4bがそれぞれ設けられている。隆起部4a,4bは、トムソン型による打ち抜き加工を行う際に隆起形成することができる。
【0015】
図3は、図1に示す包装容器1を矢示B方向からみた要部側面図である。図3に示すように、各隆起部4a,4bは、表示部2を構成する各エリア2a,2bよりも外側に隆起している。このような隆起部4a,4bを設けることにより、包装容器1の搬送中に短辺側側面1cの近傍が障害物と接触しても、隆起部4a,4bが障害物に当接して表示部2が欠損するのを防止することができ、情報コードの良好な読み取り状態を維持することができる。
【0016】
また、本実施形態の包装容器1は、表示部2における情報コード表示エリア2aと記号表示エリア2bとの間に、表示部2よりも外側に隆起する突部6aが設けられている。突部6aは、隆起部4a,4bと同様に、底面1aに沿ってリブ状に延びるように隆起形成されている。このように、2つの隆起部4a,4bの間に突部6aが設けられることにより、障害物が表示部2に接触するおそれをより低減して、情報コードの欠損を確実に防止することができる。突部6aの隆起高さは、隆起部4a,4bの隆起高さと同じであってもよいが、図3に示すように、突部6aの隆起高さを高くして、突部6aが隆起部4a,4bよりも外側に隆起するように構成することで、突部6aが障害物に当接し易くなり、表示部2の保護をより確実にすることができる。但し、突部6aは必須のものではなく、隆起部4a,4bのみによって情報コードの欠損防止の効果を得ることは可能である。
【0017】
本実施形態においては、2つの隆起部4a,4b及び突部6aが底面1aに沿ってリブ状に形成されることにより、側面1cの強度を向上させる効果を奏する。この結果、表示部2を有する側面1cが外側に膨らむのを防止することができるので、この点からも表示部2が障害物に接触し難くなり、識別コードの欠損防止が可能である。
【0018】
図4は、図2に示す2つの隆起部4a,4bの各端部同士をそれぞれ結ぶように、底面1aに対して略垂直に延びるリブ状の隆起部4c,4dを備えた構成である。このような構成によれば、表示部2の周囲全体が隆起部4a,4b,4c,4dにより取り囲まれるため、各隆起部4a,4b,4c,4dが障害物と当接することにより表示部2の保護効果を高めることができると共に、側面1cの補強による表示部2の膨出防止の効果も高めることができる。
【0019】
隆起部は、表示部2の両側に配置されている限り、その形状や配置は特に限定されず、表示部2の形状や大きさに合わせて適宜決定可能である。例えば、図5に側面図で示すように、短辺側側面1cに設けられた表示部2に対して、ドット状に形成された複数の膨出部41からなる隆起部4e,4fを上下両側にそれぞれ配置し、矩形状の表示部2の各コーナー付近に膨出部41がそれぞれ位置するように構成することができる。また、突部6bについても、隆起部4e,4fと同様に、ドット状の膨出部から構成することができる。
【0020】
また、図6に側面図で示すように、矩形状の情報コード表示エリア2a及び記号表示エリア2bが短辺側側面1cにおいて長手方向に沿って隣接する表示部2に対して、底面1aに沿って延びるリブ状の隆起部4g,4h及び突部6cを設けることも可能である。リブ状に形成された隆起部は、底面1aに沿って延びる構成が好ましいが、底面1aに対して垂直な方向や、その他の方向に延びる構成にすることも可能である。
【0021】
上記各実施形態においては、表示部2が短辺側側面1cに設けられた場合を例に説明したが、表示部2が、長辺側側面1dに形成されていてもよく、底面1aに沿って隆起部をリブ状に形成することで、長辺側側面1dの補強効果が得られる。表示部2の位置は、これら側面以外に、底面1a、蓋片1bなど容器表面の任意の箇所であってよい。また、包装容器1の形態も、筐体状のもの以外に、樹脂製容器や缶など特に限定されない。
【0022】
包装容器1が、本実施形態の個装箱のように、医療機関等に販売される最小の包装単位である販売包装単位である場合には、段ボール等の元梱包装単位に複数梱包されて出荷されるのが一般的であるため、搬送中に販売包装単位の表面が他の販売包装単位の表面や元梱包装単位の内面と擦れ合い、表示部2の情報コードが欠損し易い。したがって、本発明は、このような特有の課題を有する販売包装単位に適用した場合に、特に効果的である。但し、本発明は、販売包装単位以外に、上述した元梱包装単位や、アンプル、バイアルなど最小の包装単位である調剤包装単位にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る医薬品の包装容器の斜視図である。
【図2】図1に示す包装容器1を矢示A方向からみた側面図である。
【図3】図1に示す包装容器1を矢示B方向からみた要部側面図である。
【図4】前記医薬品の包装容器の変形例を示す側面図である。
【図5】前記医薬品の包装容器の他の変形例を示す側面図である。
【図6】前記医薬品の包装容器の更に他の変形例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 包装容器
1a 底面
1b 蓋片
1c 短辺側側面
1d 長辺側側面
2 表示部
4a〜4h 隆起部
6a〜6c 突部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械読み取りが可能な情報コードの表示部を表面に有する医薬品の包装容器であって、
前記表示部よりも外側に隆起する隆起部が、少なくとも前記表示部を挟んで両側にそれぞれ設けられている医薬品の包装容器。
【請求項2】
底面との対向位置に蓋片を有する筐体からなり、
前記表示部は、前記筐体の側面に形成されており、
前記隆起部は、前記筐体の底面に沿って延びるようにリブ状に形成されている請求項1に記載の医薬品の包装容器。
【請求項3】
前記表示部の両側に配置された前記各隆起部の間に隆起する突部が設けられている請求項1または2に記載の医薬品の包装容器。
【請求項4】
販売包装単位からなる請求項1から3のいずれかに記載の医薬品の包装容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−149341(P2009−149341A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329019(P2007−329019)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)
【出願人】(390002370)大塚包装工業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】