説明

医薬製剤

本発明は、薬物物質を含有するポリマーの固体マトリックスを含んでなるカプセル区画および/または固体サブユニットであるサブユニットであって、組立てた投与形態において一緒に結合されるサブユニットを含有する、複数の薬物物質を含有する単一または多成分の医薬投与形態の溶融押出および射出成形に適する新規な医薬的に許容しうるポリマー組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な医薬的に許容しうるポリマーブレンドを用いる、射出成形した単一または多成分の投与形態の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
経口投与用の様々なタイプの医薬投与形態が知られている。医薬カプセルが周知であり、通常は経口投与に意図される。一般に、このようなカプセルは、医薬的に許容しうる、例えば経口的に摂取しうるポリマー材料(例えばゼラチン)の外皮壁を含んでなるが、カプセル壁のための他の材料、例えば、デンプンおよびセルロースに基づくポリマーも知られている。一般に、このようなカプセルは、カプセル形成機でフィルムを形成し、次いでこれを乾燥させることによって製造した柔らかい壁を有する。射出成形によって製造した硬い壁のカプセルも知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5および特許文献6を参照;これらの全てがWarner Lambertに対する)。これらは、ゼラチン、デンプンおよび他のポリマーからなるカプセルの具体的な構築、ならびに、これらを親水性ポリマーと水の混合物の射出成形によって製造する方法を開示している。特許文献1は、カプセルを閉じるキャップ(これは成形によって充填カプセルにおいてその場で成形される)が供されたカプセルを具体的に開示している。特許文献4は、広範囲の硬質カプセル形状物および部材を開示している。
【0003】
多区画カプセル(各区画が、異なる薬物放出特性を有するか、あるいは、例えば異なる薬物物質または製剤を含有するタイプのものを含む)も、例えば、特に、特許文献4(Warner-Lambert)、特許文献7(University of Kentucky)、特許文献8(Alza Corp.)、特許文献9(Cortecs Ltd.)、特許文献10(Helminthology Inst.)、特許文献11および特許文献12(Warner Lambert)、特許文献13および特許文献14(Tapanhony NV)、特許文献15(Pluripharm)、特許文献16(Glassman)、および特許文献17(Glassman)において知られている。特許文献5は、水で可塑化したゼラチンからなる特許文献16および特許文献17のものと同様の構造を有する多区画カプセルを開示している。特許文献5(Witterら)、特許文献6(Wittwerら)、および特許文献18(Wittwer, F.)の全ては、ゼラチンおよび他の賦形剤を用いて製造した射出成形カプセルを開示している。また、Wittwerらの特許文献5および特許文献6も、他の親水性ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ポリエチレングリコール、セルロースアセテートフタレート(CAP)およびポリビニルピロリドンを用いてカプセルを製造している。特許文献6および特許文献19の両方は、使用するのに適する腸特性を有する他のポリマー[通常はアクリレートおよびメタクリレート(Eudragit)を含む]を提案しているが、何も示されておらず、具体的な詳細は供されていない。
【0004】
また、薬物物質が分散、埋込または固溶体として溶解している固体ポリマーのマトリックスを含んでなる医薬投与形態も知られている。このようなマトリックスを、射出成形法によって形成することができる。この技術は、非特許文献1において議論されている。このような投与形態の具体的な配合の一部が、特に、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25、特許文献26、特許文献27、特許文献28、特許文献29、特許文献30、特許文献31、特許文献32、特許文献33、特許文献34、特許文献35、特許文献36、特許文献37、特許文献38、特許文献39、特許文献40、特許文献41、および特許文献42に開示されている。
【0005】
特許文献43は、薬物被覆およびカプセルの製造において熱可塑剤として使用するための、メタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸メチルのコポリマーの群に関する。射出成形法によって生じる反りまたは他の歪みに関して、カプセル形成の品質に対する情報は供されていない。また、それに供されているエマルジョンの粘度/温度図に対して煎断速度データも供されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4576284号明細書
【特許文献2】米国特許第4591475号明細書
【特許文献3】米国特許第4655840号明細書
【特許文献4】米国特許第4738724号明細書
【特許文献5】米国特許第4738817号明細書
【特許文献6】米国特許第4790881号明細書
【特許文献7】米国特許第5672359号明細書
【特許文献8】米国特許第5443461号明細書
【特許文献9】国際公開第95/16438号パンフレット
【特許文献10】国際公開第90/12567号パンフレット
【特許文献11】独国特許出願公開第3727894号明細書
【特許文献12】ベルギー国特許発明第900950号明細書
【特許文献13】仏国特許発明第2524311号明細書
【特許文献14】オランダ国特許発明第7610038号明細書
【特許文献15】仏国特許発明第1454013号明細書
【特許文献16】米国特許第3228789号明細書
【特許文献17】米国特許第3186910号明細書
【特許文献18】欧州特許第0092908号明細書
【特許文献19】欧州特許第0091908号明細書
【特許文献20】米国特許第4678516号明細書
【特許文献21】米国特許第4806337号明細書
【特許文献22】米国特許第4764378号明細書
【特許文献23】米国特許第5004601号明細書
【特許文献24】米国特許第5135752号明細書
【特許文献25】米国特許第5244668号明細書
【特許文献26】米国特許第5139790号明細書
【特許文献27】米国特許第5082655号明細書
【特許文献28】米国特許第5552159号明細書
【特許文献29】米国特許第5939099号明細書
【特許文献30】米国特許第5741519号明細書
【特許文献31】米国特許第4801460号明細書
【特許文献32】米国特許第6063821号明細書
【特許文献33】国際公開第99/27909号パンフレット
【特許文献34】カナダ国特許発明第2227272号明細書
【特許文献35】カナダ国特許発明第2188185号明細書
【特許文献36】カナダ国特許発明第2211671号明細書
【特許文献37】カナダ国特許発明第2311308号明細書
【特許文献38】カナダ国特許発明第2298659号明細書
【特許文献39】カナダ国特許発明第2264287号明細書
【特許文献40】カナダ国特許発明第2253695号明細書
【特許文献41】カナダ国特許発明第2253700号明細書
【特許文献42】カナダ国特許発明第2257547号明細書
【特許文献43】米国特許第5705189号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Cuff GおよびRaouf F、Pharmaceutical Technology、1998年6月、第96-106頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
医薬的に許容しうるポリマーブレンドを、ホットメルトにより適当な投与形態に押出するか、あるいは、例えばカプセルにおいて多区画でありうる適当な投与形態に射出成形して、医薬投与形態を製造するのが望ましいであろう。この医薬ポリマー組成物は、投与形態として、活性剤を含む各セグメントに対して異なる物理化学的特性を与えることができるので、好都合な投与形態(急速溶解、即時、遅延、脈動または修飾放出を含みうる)を得ることができ、各セクションに対して成形すべき適当なポリマーを単純に選択することによって製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、成形物品、例えば、カプセルシェル、固体サブユニット、クロージャーまたはリンカーサブユニットを製造するための新規な医薬組成物であって、
約20〜約70%(重量/重量)の量で存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMC-AS);約1%〜約20%(重量/重量)の量で存在する可塑剤;約2%〜約10%(重量/重量)の量で存在する潤滑剤;崩壊剤、膨潤性固体またはウィッキング(wicking)剤、あるいはこれらの組合せまたは混合物から選択される少なくとも1つの溶解修飾賦形剤;を含有し、
崩壊剤が存在する場合、それは約2%〜約20%(重量/重量)の量であり、膨潤性固体が存在する場合、それは約10〜約60%(重量/重量)の量であり、ウィッキング剤が存在する場合、それは約2.5〜約15%(重量/重量)の量である医薬組成物に関する。
【0010】
また本発明は、上記製剤から構成されるカプセルシェル、固体サブユニット、クロージャーまたはリンカーサブユニットの製造方法、ならびに、これらの組立てたサブユニットまたは該適する製剤の他のサブユニットから構成される多成分投与形態に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、60%HPMC-AS(LG)/20%Klucel EF/10%トリアセチン/10%ステアリルアルコールのシェル中のメトホルミンの溶解プロフィールを示す(10dpmでUSPIII装置を用いる;pH1.2のSGF中で2時間、およびpH6.8のSIF中で2時間)。
【図2】図2は、セルロースリンカーを含み、HPMC-AS(LG)/Klucel EF/ステアリルアルコール/グリセロールを62.75/24.5/6/5/6/25%(重量/重量)で含むシェルの溶解プロフィール、即ち、放出されたメトホルミン%(X軸)を示す(10dpmでUSPIII装置を用いる;pH1.2のSGF中で2時間)。
【図3】図3は、RL100リンカーを含むHPMC-AS/HPMC-P/HPC-SSL/プロピレングリコール/グリセロール/ステアリルアルコール(58.5/18.5/3/10/5/5重量/重量%)の7.7×9.0mmシェル中のパラセタモールの典型的なUSPII放出プロフィール(溶解プロフィール)を示す(100rpm、0.1N HCl中で2時間、次いでpH6.8で実施)。
【図4】図4は、RL100リンカーを含むHPMC-AS/HP-50/SSL/プロピレングリコール/グリセロール/ステアリルアルコールのシェルを用いるUSPIII溶解におけるメトホルミンの溶解プロフィールを示す(10dpm、0.1N HCl中で2時間、次いでpH6.8緩衝液で実施)。
【図5】図5は、RL100リンカーを含むHPMC-AS/HPMC-P(HP-50)/HPC-SSL/プロピレングリコール/グリセロール/ステアリルアルコールの0.4mm壁厚みの7.7×9.0mmシェルを用いるメトホルミンの長いUSPIII(6時間の酸)溶解を示す(10dpm、0.1N HCl中で6時間(pH1.6)、次いでpH6.8リン酸緩衝液で実施)。
【図6】図6は、HPC-SSL即時放出製剤(HPC-SSL/Opadry White/グリセロール/ステアリルアルコール/SDS=87/2/5/5/1重量/重量%)および腸シェル(HPMC-AS/HP-50/SSL/プロピレングリコール/グリセロール/ステアリルアルコール=58.5/18.5/3/10/5/5)の大きいユニット(9×11mm、0.4mm)のUSP2溶解におけるパラセタモール放出を示す(100rpm、酸中で2時間10分、次いでpH6.8において)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1つの態様において、本発明は、
(a)薬物物質を保持するように設計した内部空間を少なくとも部分的に規定する第1壁部分であって、胃腸環境中で溶解するように設計した第1壁部分を含むシェル;または
(b)実質的に円筒形の外側表面を有する第2壁部分であって、胃腸環境中で溶解するように設計した第2壁部分を含むリンカー;
の少なくとも1つを含んでなる投与形態であって、
第1または第2壁部分のそれぞれ1つが、約20〜約70%(重量/重量)の量で存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMC-AS);約1%〜約20%(重量/重量)の量で存在する少なくとも1つの可塑剤;約2%〜約10%(重量/重量)の量で存在する潤滑剤;ならびに、約2%〜約20%(重量/重量)の量で存在する崩壊剤、約10〜約60%(重量/重量)の量で存在する膨潤性固体、および約2.5〜約15%(重量/重量)の量で存在するウィッキング剤、およびこれらの組合せまたは混合物からなる群から選択される少なくとも1つの溶解修飾賦形剤;を含有する押出された医薬組成物から製造される投与形態に関する。
【0013】
別の態様において、本発明は、外側表面および対向する内側表面(この内側表面は薬物物質を保持するための限られた空間を少なくとも部分的に規定する)を有するシェル、または外側表面を有する通常は円筒形のリンカー体を含んでなるカプセルであって、
シェルまたはリンカーが、約20〜約70%(重量/重量)の量で存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMC-AS);約1%〜約15%(重量/重量)の量で存在する少なくとも1つの可塑剤;約2%〜約10%(重量/重量)の量で存在する潤滑剤;ならびに、約2%〜約20%(重量/重量)の量で存在する崩壊剤、約10〜約60%(重量/重量)の量で存在する膨潤性固体、および約2.5〜約15%(重量/重量)の量で存在するウィッキング剤、およびこれらの組合せまたは混合物からなる群から選択される少なくとも1つの溶解修飾賦形剤;を含有する医薬組成物を含んでなる押出された材料から構成されるカプセルに関する。
【0014】
本発明の別の態様は、中空カプセル、端部キャップ、またはリンカーとして設計した投与形態成分であって、
約20〜約70%(重量/重量)の量で存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMC-AS);約1%〜約20%(重量/重量)の量で存在する少なくとも1つの可塑剤;約2%〜約10%(重量/重量)の量で存在する潤滑剤;ならびに、約2%〜約20%(重量/重量)の量で存在する崩壊剤、約10〜約60%(重量/重量)の量で存在する膨潤性固体、および約2.5〜約15%(重量/重量)の量で存在するウィッキング剤、およびこれらの組合せまたは混合物からなる群から選択される少なくとも1つの溶解修飾賦形剤;を含有する押出または射出成形した医薬組成物から本質的になる投与形態成分である。
【0015】
本発明の別の態様は、
(a)薬物物質を保持するための内部空間を少なくとも部分的に規定し、胃腸環境中で溶解するように設計した壁を含むカプセルシェル;および
(b)実質的に円筒形の外側表面を有し、胃腸環境中で溶解するように設計した壁を含むリンカー;
を含んでなる投与形態であって、
カプセルシェルまたはリンカーの少なくとも1つが、約20〜約70%(重量/重量)の量で存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMC-AS);約1%〜約20%(重量/重量)の量で存在する少なくとも1つの可塑剤;約2%〜約10%(重量/重量)の量で存在する潤滑剤;ならびに、約2%〜約20%(重量/重量)の量で存在する崩壊剤、約10〜約60%(重量/重量)の量で存在する膨潤性固体、および約2.5〜約15%(重量/重量)の量で存在するウィッキング剤、およびこれらの組合せまたは混合物からなる群から選択される少なくとも1つの溶解修飾賦形剤;を含有する押出された材料から製造される投与形態である。
【0016】
即ち、本発明の1つの態様は、
(a)薬物物質を保持するように設計した内部空間を少なくとも部分的に規定する第1壁部分であって、胃腸環境中で溶解するように設計した第1壁部分を含むシェル;または
(b)実質的に円筒形の外側表面を有する第2壁部分であって、胃腸環境中で溶解するように設計した第2壁部分を含むリンカー;
の少なくとも1つを含んでなる投与形態であって、
第1または第2壁部分のそれぞれ1つが、約20〜約70%(重量/重量)の量で存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMC-AS);約1%〜約20%(重量/重量)の量で存在する少なくとも1つの可塑剤;約2%〜約10%(重量/重量)の量で存在する潤滑剤;ならびに、約2%〜約20%(重量/重量)の量で存在する崩壊剤、約10〜約60%(重量/重量)の量で存在する膨潤性固体、および約2.5〜約15%(重量/重量)の量で存在するウィッキング剤、およびこれらの組合せまたは混合物からなる群から選択される少なくとも1つの溶解修飾賦形剤;を含有する押出された材料から製造される投与形態である。
【0017】
本発明の別の態様は、胃腸環境中で溶解性であるように設計した壁部分を含んでなる投与形態器具であって、
壁部分が、約20〜約70%(重量/重量)の量で存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMC-AS);約1%〜約20%(重量/重量)の量で存在する少なくとも1つの可塑剤;約2%〜約10%(重量/重量)の量で存在する潤滑剤;ならびに、約2%〜約20%(重量/重量)の量で存在する崩壊剤、約10〜約60%(重量/重量)の量で存在する膨潤性固体、および約2.5〜約15%(重量/重量)の量で存在するウィッキング剤、およびこれらの組合せまたは混合物からなる群から選択される少なくとも1つの溶解修飾賦形剤;を含有する押出された材料から製造される投与形態器具である。
【0018】
本発明の別の態様は、約20〜約70%(重量/重量)の量で存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMC-AS);約1%〜約20%(重量/重量)の量で存在する少なくとも1つの可塑剤;約2%〜約10%(重量/重量)の量で存在する潤滑剤;ならびに、約2%〜約20%(重量/重量)の量で存在する崩壊剤、約10〜約60%(重量/重量)の量で存在する膨潤性固体、および約2.5〜約15%(重量/重量)の量で存在するウィッキング剤、およびこれらの組合せまたは混合物からなる群から選択される少なくとも1つの溶解修飾賦形剤;を含有する押出された材料から製造される壁部分を有する少なくとも1つのサブ成分を含んでなる投与形態である。
【0019】
本発明は、新規な医薬組成物、および溶融押出技術における、および射出成形物品、例えば、カプセルシェル、リンカー、スペーサーの製造における該組成物の使用、および多成分の射出成形カプセルシェル、リンカーまたはスペーサー、多成分の医薬投与形態、および本願の特許請求の範囲および明細書に規定される他の側面を提供する。
【0020】
本発明の別の態様は、別の改善された医薬投与形態であって、該投与形態において医薬的に許容しうるポリマーおよび適当な賦形剤の新規製剤を用いて、特に、患者の特定の投与要求に適合させた投与形態においてより大きな柔軟性を与える医薬投与形態を提供する。
【0021】
本発明の別の態様は、射出成形によって新規な医薬的に許容しうるポリマーブレンドを含有する多成分投与形態を製造する方法を提供する。これらの多成分投与形態は、1つの医薬的に許容しうる活性剤または複数の活性剤を含有するのに適しており、それにより放出させるのに適している。
【0022】
本発明によれば、溶融押出組成物ならびに射出成形カプセルシェルおよび/またはリンカーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMC-AS)および追加の賦形剤の組成物を用いて提供される。
【0023】
本発明の1つの態様において、カプセルまたはリンカーサブユニットは、約10〜約80%(重量/重量)の量で存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートを、初めに押出しうる、所望により射出成形しうる製剤を製造するための様々な他の賦形剤と組合せて含有する。この組成物は、2.5%(重量/重量)〜約60%(重量/重量)の量で存在する溶解修飾賦形剤(DME)(量はDMEの類別によって決定される);および約1〜約10%(重量/重量)の量、適切には約2〜約10%(重量/重量)の量で存在する潤滑剤;および所望により約1%〜約15%(重量/重量)の量で存在する可塑剤;および所望により約1%〜約10%(重量/重量)の量で存在する加工剤;をさらに含有する。
【0024】
別の態様において、HPMC-ASは、約20〜70%(重量/重量)の量、あるいは約40〜約70%(重量/重量)の量、あるいは約55〜約65%(重量/重量)の量、あるいは約60%(重量/重量)の量で存在する。
【0025】
本発明の1つの態様は、胃液に耐性であるが、より高いpHの腸液において変形および溶解し、従って、射出成形し、経口投与したカプセルの内容物を腸において放出させるための機序を与える、上記の射出成形した部材の使用である。
【0026】
別の態様において、医薬投与形態は、それぞれが薬物物質を含有するカプセル区画である複数のサブユニットを含んでなる。この場合、各区画は、好ましくは医薬的に許容しうるポリマー材料から製造した壁によって、少なくとも1つの隣接区画から物理的に分離している。少なくとも1つのサブユニットが薬物物質を含有するカプセル区画である場合、その壁厚みは約0.1〜0.8mmの範囲内である。別の態様において、壁厚みは、約0.3〜0.8mmの範囲内である。別の態様において、壁厚みは約0.3〜0.5mmの範囲内である。
【0027】
本発明の多成分投与形態は、高度の多様性を与え、異なる放出特性を有する異なる投与形態の様々な組合せからなることができる。例えば、これらサブユニットは、実質的即時放出サブユニット、持続放出サブユニット、またはパルス放出サブユニットであることができる。
【0028】
本発明の他の対象および利点は、以下の記載から明らかになるであろう。
本発明は、医薬的に許容しうるポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMC-AS)および医薬的に許容しうる賦形剤の新規組成物に関する。このポリマー組成物を1つまたはそれ以上の成分に射出成形することができ、これを所望により一緒に、例えば積み重ねたかまたは多成分の投与形態において利用することができる。ポリマーブレンドを、単一成分(成形した成分中に経口投与のための活性剤を含有することもできる)に射出成形することができるか、または成形した成分がその空腔中に活性剤を含有することができると認められる。
【0029】
また本発明は、本明細書中に記載した新規な医薬的に許容しうるポリマーブレンドを含有する成分上への、医薬的に許容しうるフィルム被覆の適用に関する。このフィルム被覆は、当分野で周知であるように、遅延放出被覆またはpH制御被覆であってよい。このような適する被覆には、HPMC被覆(例えばOpadry)およびEudragit被覆(例えばL30D-55)が含まれるが、これらに限定はされない。例えば、L30D-55の適用によって代表される腸被覆を、標準装置(例えばGMP Aerocoaterカラムコーター)を用いて適用することができる。成分重量の増加は、通常は約3%〜約5重量/重量%である。
【0030】
本発明における医薬的に許容しうるポリマーブレンドの望ましい属性は、インビトロで、最適にはインビボで安定した溶解プロフィールを提供することである。
適する多成分投与形態は、国際公開第01/08666号パンフレットに開示されており、上記した製剤の成分またはサブユニットと共に使用するための構造的特徴または関連のフィルム被覆などに関する他の関連出願は、国際公開第01/08666号パンフレット、国際公開第04/010978号パンフレット、PCT/EP08/63852(代理人整理番号:PU62554)、PCT/EP08/63853(代理人整理番号:PU62555)、PCT/EP08/63856(代理人整理番号:PU62556)、およびPCT/EP08/63857(代理人整理番号:PU62557)(これらの全てが2008年10月15日出願)に見ることができる。
【0031】
本発明の投与形態の部材、例えばカプセル区画壁、固体サブユニット、クロージャーまたはリンカーサブユニットと共に使用しうる投与形態の部材を導くために使用しうる適当な製剤は、国際公開第02/060385号パンフレット、国際公開第02/060384号パンフレット、国際公開第05/089726号パンフレット、国際公開第05/009380号パンフレット、および米国特許出願第61/061275号明細書(2008年6月13日出願)(代理人整理番号:PU62992P)に開示されている。
【0032】
本発明の投与形態の部材、例えばカプセル区画壁、固体サブユニット、クロージャーまたはリンカーサブユニットは、医薬的に許容しうるポリマーブレンド(および接着溶接点を形成させるときには接着性材料)を含有する。このポリマーブレンドは、例えば経口摂取に対して一般に安全と考えられ、上記のようなカプセル区画壁、固体サブユニット、クロージャーまたはリンカーの所望の形状に成形しうるものである。ポリマー材料を所望の形状に成形する好ましい方法は、射出成形であり、これはホットまたはコールドランナー射出成形法であってよい。このような方法に適する射出成形機は知られている。
【0033】
医薬投与形態は、複数のカプセル区画を含んでなることができ、そのそれぞれが、医薬的に許容しうるポリマー材料(例えば、本明細書に記載した材料)から製造した壁によって境界を持ち、少なくとも1つの隣接区画から物理的に分離しており、隣接区画は、組立てた投与形態において一緒に結合しており、少なくとも患者への投与前には結合によって一緒に保持されており、1つまたはそれ以上の区画が薬物物質を含有している。適切には、この第1の態様の組立てた投与形態において、少なくとも2つ、例えば3つのそのようなカプセル区画が存在する。3つまたはそれ以上のそのような区画は、組立てた投与形態において直線的に、例えば直線の両末端に2つの末端区画および1つまたはそれ以上の中間区画を含む配列で配置することができる。適切には、2つのそのようなカプセル区画が存在していてよい。適切には、そのような2つのカプセル区画の一方は、持続放出成分である材料から製造されていてよい。即ち、このためにカプセル区画壁は、遅延の後に、例えば該区画が腸に到達したときに、溶解するか、破裂するか、またはそれ以外に破れてその内容物を放出する。適切には、そのような2つのカプセル区画の他方は、即時放出成分である材料から製造されていてよい。即ち、このためにカプセル区画壁は、直ちにまたは事実上直ちに、例えば該区画が口または胃にあるときに、溶解するか、破裂するか、またはそれ以外に破れてその内容物を放出する。
【0034】
1つまたはそれ以上の、例えば全てのカプセル区画は、例えば、実質的に円筒形であってよい。この用語には、縦軸を横切る円形、卵形または偏円形の横断面を有する形状、ならびに、平行または先細を有する形状、例えば、側壁の広がりの少なくとも一部にわたって円錐状に先細る側壁を有する形状が含まれる。このような実質的に円筒形のカプセル区画に、その縦方向に配置される末端の一方または両方において、結合可能な部材を供して、組立てた投与形態が全体として実質的に円筒形の形状であるようにすることもできる。
【0035】
様々なポリマーブレンド、例えば、メタクリル酸コポリマー(即ち、Eudragit E、Eudragit E100、Eudragit Lおよび/またはEudragit S)、ポリ(メタ)アクリレートコポリマー(例えば、Eudragit 4135F、および4155F)およびアンモニウムメタクリレートコポリマー(例えば、Eudragit RLおよび/またはEudragit RS)が、ホットメルト押出および射出成形のために使用されている。
【0036】
腸液に可溶性かつカプセルに成形しうるアクリル酸および/またはメタクリル酸に基づくポリマーが、例えば、米国特許第5705189号明細書(Roehm GmbH)に開示されている(この特許は、参照することにより本明細書に含まれる)。これらのポリ(メタ)アクリレートコポリマーは押出可能であり、カプセルの半分に射出成形された。この際、アクリル酸および/またはメタクリル酸の比は、通常はコポリマーの20%(重量/重量)またはそれ以上であった(実施例1〜8)。これらの実施例において、グリセロールモノステアレートが、唯一の離型剤として、ポリマーを基準に16%(重量/重量)で加えられた。
【0037】
本発明の1つの態様において、HPMC-ASを用いて単一カプセルまたは多区画投与形態のどちらかに組立てるための、射出成形した歪みがなく反りがないカプセル/サブユニット成分を製造するために、少なくとも1つの潤滑剤および溶解修飾剤を製剤中に含有させる(射出モールドからの離型を得るのに有用である)。
【0038】
HPMC-ASは、本明細書中に記載した製剤におけるベースポリマーであり、射出成形した部材に腸様の機能を与える。HPMC-ASは、Shin-Etsu Chemical Co. LtdからAquoat AS-LG/LF、Aquoat AS-MG/MFおよびAquoat AS-HG/HFとして3種類のグレードで、顆粒形態および微細化形態で入手可能である。異なるグレードは、ポリマー骨格上のヒドロキシル基に導入されたアセチルおよびスクシノイル基の数によって規定される。Lグレードは、アセチル含量5.0%〜9.0%およびスクシノイル含量14.0%〜18.0%を有する。Mグレードは、アセチル含量7.0%〜11.0%およびスクシノイル含量10.0%〜14.0%を有する。Hグレードは、アセチル含量10.0%〜14.0%およびスクシノイル含量4.0%〜8.0%を有する。これらグレードの3種類全てを、本明細書中の実施例において示す。
【0039】
HPMC-ASを、他の医薬的に許容しうるポリマー、例えば、「医薬賦形剤のハンドブック(Handbook of Pharmaceutical excipients)」[米国薬学会(American Pharmaceutical association)とグレートブリテン薬学会(Pharmaceutical society of Britain)による共同出版]に詳しく記載されているポリマーとブレンドすることができると認められる。
【0040】
多数の異なる賦形剤を、好ましい溶解プロフィール、物理的安定性、化学的安定性、引張強度ならびに製造の容易性および再現性を有する腸シェルを創製するためにHPMC-ASと一緒に使用することについて評価した。
【0041】
HPMC-ASポリマーを、潤滑剤、例えばステアリルアルコール;膨潤剤、例えばヒドロキシプロピルセルロースなど;界面活性剤、例えばSDSまたはプルロニック(Pluronic)群の界面活性剤;孔形成剤/チャネリング剤、例えばラクトースまたはPEG;および微気候pH条件の調節のための追加の緩衝剤;を含むが、これらに限定はされない追加の賦形剤とブレンドする。
【0042】
溶解修飾剤または物質は、カプセルシェル/リンカー/成分の浸食および/または膨潤特性を変え、放出修飾を助ける物質である。多くの異なる群の物質を使用することができる。これらは、例えば、既知のスーパー崩壊剤、代表的にはデンプングリコール酸ナトリウムPh.Eur.またはカルボキシメチルデンプンナトリウムJPE(「Explotab」、JRS Productsにより製造)、クロスカルメロース(croscarmellose)ナトリウムNF(Aci-Di-Sol、FMCにより製造)、架橋したPVP(「Kollidon-CL」)およびコポビドン(copovidone)(「Kollidon VA 64」) (両方がBASFから市販されている)、Starch 1500、および膨潤剤、例えばポリビニルピロリドン(PVP、POVIDONEとしても知られる、USP) (ISP-Plasdoneにより製造)またはBASF-Kollidon、主に比較的低いK値を有するグレード(K-15、K-25、しかしK-30〜K-90も);およびクロスポビドン(crospovidone)(架橋したポリビニルピロリドン);およびこれらの組合せまたは混合物である。Kollidan VA 64またはコポビドンは、copolyvidone、copovidonum、copovidoneまたはcopovidonとしても知られ、2つのモノマー、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルの比である。
【0043】
適切には、この群の崩壊剤は、約2〜20%の範囲、あるいは約5〜10%(重量/重量)の範囲で存在する。
【0044】
本発明において使用する溶解修飾剤の別の群は、膨潤性固体であり、これには、ポリ(エチレン)オキシド;セルロース誘導体、例えばセルロースアセテートフタレート;ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、例えば比較的低分子量の例えばKLUCEL EFおよびLFグレード、および比較的低分子量グレードと比較的高分子量グレード(例えばJFまたはGF)の混合物またはグレードHPC-SSLを有するHPCの別の供給元(例えば、Nippon Soda CompanyまたはNisso HPC);ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、および他のヒドロキシアルキルセルロース誘導体が含まれるが、これらに限定はされない。ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートの少なくとも1つの市販供給源は、Shinetsu(日本)である。
【0045】
HPCの1つの供給源は、Aqualon(Hercules Incorporatedの1部門)によりKlucelとして市販されている。KlucelのHPCは、意図した用途によって決定される様々なグレードで製造されている。適するKlucelポリマーは、Klucel EF、Klucel JH、Klucel LF、およびKlucel GFである。Klucel Eは、150〜700の範囲内の粘度(EF pharm/EXF Pharmについては300〜600mPas)および分子量約80,000を有し;Jは、150〜400の粘度および分子量約140,000を有し;Lは、75〜150の範囲内の粘度および分子量約95,000を有し;そしてGは、75〜400の範囲内の粘度および分子量約370,000を有する。
【0046】
1つの市販品から入手可能なHPMCはPharmacoatTM 603である。PharmacoatTMは、Shines, Chemical Companyにより製造されているハイプロメロース(Hypromellose)USPである。また、ハイプロメロースはヒドロキシプロピルメチルセルロースとも称され、本発明の目的のためには交換可能に使用する。Pharmacoat 603は、2910 USP指定の置換タイプ、およびラベル粘度(cPまたはmPa's)2.4〜3.6、水分浸透性207、メトキシル含量28.0〜30.0%、およびヒドロキシプロポキシル含量7.0〜12.0%(USP)を有する。同様の粘度および置換を有する市販品から入手可能なハイプロメロースの別の供給源は、OpadryTM(Colorcon、New Jersey、米国)またはMethocels(Dow Chemical Company、Midland、Michigan)である。
【0047】
適切には、これらの膨潤性固体は、約10%〜約60%(重量/重量)の範囲内で存在する。別の態様において、膨潤剤は、約20〜約30%(重量/重量)の量、あるいは約10〜約50%(重量/重量)の量で存在する。本発明の製剤において、1つを超える膨潤性固体を組合せて使用することができると認められる。
【0048】
即ち、本発明の1つの態様は、HPMC-ASとポリマーヒドロキシプロピルセルロース(HPC)の共ブレンドである。本発明の1つの態様において、HPMC-ASの共ブレンドは、それぞれが異なる分子量を有する少なくとも2つのヒドロキシプロピルセルロース誘導体のブレンドである膨潤性固体とのものである。
【0049】
本発明の1つの態様は、HPMC-ASと150〜700の範囲内の粘度を有するポリマーHPC(例えばKlucel EF)との共ブレンドである。適切には、Klucel EFをDMEとして使用するときには、それは10〜47.5重量/重量%の範囲内である。
【0050】
ブレンドへのこれら熱可塑性ポリマーの添加は、HPMC-AS単独の前水和および後水和の両方にわたり改善された引張特性を与えるものと考えられ、pH1〜6におけるポリマーの膨潤を可能にする。
【0051】
HPCおよびHPMC-ASの共ブレンド化ポリマーは、胃条件下で非ブレンド化ポリマー組成物(HPMC-AS単独)よりも水和するシェルを与える。これは、溶解再現性の有意の改善;増強された水和プロフィール(これは、アルカリ性媒体中での溶解時に比較的少ない構造無欠性を与える);および得られるシェルの外観および引張特性を有する製剤を与える。
【0052】
本発明の別の態様は、HPMC-ASと、膨潤性固体ハイプロメロースフタレート(HPMC-PまたはHPMCP)、例えばShin EstuからHP-50、HP-55、HP-55Sとして市販されているものとの共ブレンドである。ハイプロメロースフタレートNFは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートJPとも称され、本明細書においては交換可能に使用する。HP-55の粘度は、40cStであり、名目フタリル含量31%、平均粒子サイズ(μm)1000を有し、pH≧5.5で溶解する。HP-55Sは同様であるが、粘度が170cSTである。HP-50は55cStであり、名目フタリル含量24%、平均粒子サイズ(μm)1000を有し、pH≧5.0で溶解する。
【0053】
適切には、HPMCPが存在するときには、それは、10〜約50%(重量/重量)の範囲、適切には15〜30%の範囲であり、別の態様において、それは約20〜25%(重量/重量)の量で存在する。1つの態様において、HPMCPはHP-50である。
【0054】
HP-50は、最も低い分子量を有し、従って最も低い粘度を有する。これは、加工をより容易にすることが示された。また、HP-50は、最も少ない量のフタル酸基を含み、おそらく比較的少ない長期化学的不安定性を与えるであろう。
【0055】
また、HP-55は比較的高いpH(HP-50の5.0に対して5.5)において溶解し、pH上昇が十分ではないときに、インビボで比較的長い放出時間を与えるであろう。HP-55Sは、HP-55の最も高い粘度グレードであり、従って、製造時のトルクおよび圧力の比較的大きな増加を引き起こし、これが、比較的高い劣化レベルを有するシェルを導くことがある。一般に、HP-50を含有するシェルは、HP-55または55Sよりも安定であるようであり、より速く溶解する。
【0056】
本発明の別の態様において、カプセルシェル壁の配合のための組合せは、適切にはHPMC-AS LGとHPMC-フタレート(HPMCP)の組合せである。別の態様において、HPMC-ASは、約50〜約65%(重量/重量)の量で存在し、HPMC-AS:HPMCPの最適比は、約3:1である。
【0057】
適切には、本発明の1つの配合は、HPMC-ASが約50〜約65%(重量/重量)の量で存在し、HPMCPが約15〜約30%(重量/重量)の量で存在する。別の態様において、HPMC-ASが約50〜約65%(重量/重量)の量で存在し、HPMCPが約15〜約30%(重量/重量)の量で存在し、ステアリルアルコールが約4〜約10%(重量/重量)の量で存在し、少なくとも1つの可塑剤が約10〜約20%(重量/重量)の量で存在する。1つの態様において、可塑剤は、グリセロールまたはプロピレングリコール、またはこれらの混合物から選択される。別の態様において、可塑剤は、TECまたはプロピレングリコール、またはこれらの混合物から選択される。
【0058】
本発明の別の態様は、HPMC-AS、HPCおよび第2の膨潤性固体(例えばHPMC)の共ブレンドである。適切には、HPMCは、この共ブレンド中に約2〜約10%(重量/重量)の量で存在する。
【0059】
本発明の別の態様において、HPMC-AS、HMPCP、および第2の膨潤性固体HPMCの共ブレンドが存在する。適切には、HPMCPは、この共ブレンド中に約15〜約30%(重量/重量)の量で存在する。適切には、HPMCは、この共ブレンド中に約2〜約10%(重量/重量)の量で存在する。
【0060】
本発明の別の態様において、HPMC-AS、およびHPC、適切にはHPC-SSLの共ブレンドが存在する。ブレンド中のHPC-SSLの量は、約3〜約25%(重量/重量)である。
【0061】
本発明の別の態様において、HPMC-AS、およびHPC-SSL、および第2の膨潤性固体HPMCPの共ブレンドが存在する。適切には、HPMCPは、この共ブレンド中に約15〜約30%(重量/重量)の量で存在し、ブレンド中のHPC-SSLの量は、約3〜約20%(重量/重量)である。
【0062】
本発明の別の態様において、HPMC-AS、およびHPC-SSL、第2の膨潤性固体HPMCP、および第3の膨潤性固体HPMC(例えばPharmacoat 603)の共ブレンドが存在する。このブレンドにおいて、HPMC-ASは約45〜約60%(重量/重量)の量で存在し;HPMCPはこの共ブレンド中に約15〜約20%(重量/重量)の量で存在し、ブレンド中に存在するHPC-SSLの量は、約1〜約20%(重量/重量)、適切には約3%(重量/重量)〜20%(重量/重量)未満、あるいは約1〜約5%(重量/重量)であり;HPMCはブレンド中に約3〜約5%(重量/重量)の量で存在する。
【0063】
適切には、ヒドロキシプロピルセルロースをブレンドに添加して、シェルの加工および射出成形を助け、より良好な引張特性を与え、シェルマトリックスの溶解をpH依存的に助ける。
【0064】
HPC(例えばKlucel EF)の添加は、Klucelの膨潤の性質および比較的低い溶解速度のゆえに高pH媒体において比較的長い溶解時間(例えば膨潤-対-浸食)を有する成形されたシェルを与えることが示された。
【0065】
比較的低い分子量のHPC(例えばHPC-SSL)の添加は、比較的高いpHにおいて溶解速度を増大させ、シェルの柔軟性を増大させて貯蔵後のクリッピングを可能にすることが示された。HPC-SSLのレベルを増加させすぎると、ポリマーマトリックスが酸性pHにおいて可溶性になりすぎ、シェルが腸試験において役に立たないことがある。従って、製剤中のHPC-SSLの含有量は、1%〜約25%の量、適切には20%未満の量である。
【0066】
さらに、少量のHPC-SSL(1〜5重量/重量%)の存在は、この添加がない製剤と比較して、好ましい製剤におけるHPMC-Pの安定化を助けることがわかった。
【0067】
HPMC(例えばPharmacoat 603)の添加は、製剤の押出の改善を助けるようである。しかし、Pharmacoat 603を含有するある種の成分は、時間とともに脆くなることが示された。製剤においてHPC-SSLの代わりにHPMCを使用すると、溶解速度が低下することがわかった。3重量/重量%のSSLを添加した試料は、高pHにおいて24〜36分間放出するが、これは、SSLを5%(重量/重量)HPMCに置換したときに36〜72分間に増加する。
【0068】
安定性の改善を助けるためにフタレートを完全に除去した腸ポリマーとして全HPMC-ASからなるシェルを、USP3条件下で試験した。溶解時間は、より変化しやすく、より長くなる傾向があることが示されたが、シェルは、USP2条件下で非常に類似して挙動した。従って、全HPMC-ASシェルを押出および成形することができるが、共ブレンドしたポリマーを、より良好な引張特性を有する腸シェルのために使用するのが好ましい。
【0069】
他の適する溶解修飾賦形剤には、約2.5〜約15%(重量/重量)の範囲で存在するウィッキング剤の群、例えば低分子量溶質、例えばデンプン、または非還元糖、例えばキシリトールまたはマンニトールが含まれるが、これらに限定はされない。また、本発明において含まれるのは、適切には約2.5〜約15%(重量/重量)の範囲、あるいは約5〜約10%(重量/重量)の範囲で存在する水溶性充填剤の群、例えばラクトース、ラクチトール、マルチトール、ソルビトール、あるいは有機酸、例えばリンゴ酸、クエン酸またはコハク酸である。本発明の別の態様において、水溶性充填剤は、約5〜約20%(重量/重量)の量で存在していてよい。
【0070】
ポリマー組成物が最初に溶融押出法において溶融され、該組成物は、溶融流れ、強度、脆さ、柔軟性、弾性、および他の成形特性を助けるために追加の添加剤または賦形剤を含有することもできると認められ、これらの追加の賦形剤には、可塑剤、吸収増強剤、界面活性剤、香味剤、染料、吸収増強剤、潤滑剤、追加の溶解修飾剤、加工助剤、着色剤、香味剤および甘味剤などが含まれるが、これらに限定はされない。
【0071】
製剤への界面活性剤の導入が、所望により、製剤の粘度および表面張力を低下させるために望ましいこともある。界面活性剤の選択は、HLB値によってガイドされうるが、それは必ずしも有用な基準ではない。比較的高いHLBの界面活性剤は、Tween 80(HLB=10)、Pluronic F68(HLB=28)、およびSDS(HLB>40)であるが、比較的低いHLB値の界面活性剤、例えばPluronic F92およびF127を使用することもできる。Pluronic(BASF、米国により製造)は、同義語POLOXAMERを有する。例えば、Pluronic F68は分子量8,400を有する。Pluronic F127は分子量12,600を有する。Pluronicは、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロックコポリマーである。
【0072】
また、界面活性剤はオリゴマー表面修飾剤と呼ばれることもあり、これには、次のものが含まれるが、これらに限定はされない:Pluronics(エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーであり、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロックコポリマーとも称される);レシチン、Aerosol OT(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、ラウリル硫酸ナトリウム、Polyoxyl 40水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、即ちポリソルベート、例えばTween、例えばTween 20、60および80、ソルビタン脂肪酸エステル、即ち、ソルビタンモノラウレート、モノオレエート、モノパルミテート、モノステアレートなど、例えばSpanまたはArlacel、Emsorb、Capmul、またはSorbester、Triton X-200、ポリエチレングリコール、グリセリルモノステアレート、Vitamin E-TPGS(d-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート)、スクロース脂肪酸エステル、例えば、スクロースステアレート、スクロースオレエート、スクロースパルミテート、スクロースラウレート、およびスクロースアセテートブチレートなど;ならびにこれらの組合せおよび混合物。また、本明細書において、ラウリル硫酸ナトリウムを、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)と称することもある。
【0073】
適切には、製剤は、所望により約1%〜約10%(重量/重量)の界面活性剤を含有することができる。別の態様において、製剤は約1〜約8%(重量/重量)の界面活性剤を含有する。SDSを添加する場合、それは適切には約1%(重量/重量)である。Tween 80を添加する場合、それは約2%(重量/重量)またはそれ未満、あるいは約0.5〜約2%(重量/重量)である。
【0074】
ポリマー担体またはオリゴマー表面修飾剤は、適切に選択したときに、それ自体が吸収増強剤として働くことができる。本発明において使用するのに適する吸収増強剤には、キトサン、レシチン、レクチンおよびVitamin E-TPGS、ならびにこれらの組合せまたは混合物が含まれるが、これらに限定はされない。適切には、これらの吸収増強剤は、それが存在するときには約1〜約20%(重量/重量)の範囲内である。
【0075】
組成物の溶融特性を助けるために可塑剤を使用することができる。可塑剤は、成形した部材の柔軟性を増加させることができ、溶融粘度を低下させ、次いでこれが押出および射出成形法を助ける。腸ポリマー(HPMC-ASおよびHPMC-P)を様々な程度に可塑化する様々な可塑剤が見いだされており、それぞれの可塑剤は、腸投与形態のための所望の重要な属性に対して利点および欠点を有している。
【0076】
本発明において使用することができる適する可塑剤は、トリエチルシトレート(TEC)、トリアセチン、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ジブチルフタレート、ジブチルセバケート(DBS)、ジエチルフタレート、グリセロール、ビニルピロリドングリコールトリアセテート、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、プロピレングリコール、分画したココナツ油またはヒマシ油;ならびにこれらの組合せまたは混合物である。
【0077】
トリエチルシトレートは、HPMC-ASおよびHPMC-Pの良好な可塑剤であり、良好な物理特性、ほとんど腸不全のない適当な溶解プロフィール、および通常は45分以内に起こる高pH放出を有するシェルを与える。
【0078】
HPMCPを含有する製剤に対して、可塑剤TECは、おそらくはTECの酸性の性質のゆえに、ある種の化学的不安定性を示すことがわかった。HPMC-フタレートが減成するにつれて、フタル酸官能基がセルロース骨格から除去され、これがポリマーの化学を変化させ、そのpH応答を変化させうるものと考えられる。適切には、製剤中のフタル酸の存在は、長期安定性のために、存在するHPMC-Pポリマーの1%未満に制限される。
【0079】
本発明の1つの態様において、可塑剤トリアセチンを、HPMC-ASコポリマーブレンドと組合せて使用する。
本発明の別の態様において、可塑剤トリエチルシトレートを、HPMC-ASコポリマーブレンドと組合せて使用する。
【0080】
本発明の別の態様において、可塑剤グリセロールを、HPMC-ASコポリマーブレンドと組合せて使用する。
本発明の別の態様において、可塑剤グリセロールを、HPMC-ASとのコポリマーブレンドとしてHPMC-P成分(HP-50)をさらに含有する製剤に使用する。
本発明の別の態様において、可塑剤プロピレングリコールを、HPMC-ASコポリマーブレンドと組合せて使用する。
【0081】
可塑剤は、適切には約1〜約20%(重量/重量)の量、さらに適切には約1〜約15%(重量/重量)の量で存在する。本発明の1つの態様において、可塑剤は、その混合物の組合せにおいて、約2.5〜約15%(重量/重量)の量で存在する。別の態様において、可塑剤は、約5〜約10%(重量/重量)の量で存在する。
【0082】
単一の可塑剤(例えばトリアセチン)を使用するときには、それは、適切には約2.5〜約15%(重量/重量)、さらには4〜10%および5〜8%の量であろう。
トリエチルシトレートを使用するときには、それは、適切には2.5〜約15%(重量/重量)、さらには4〜10%および5〜8%の範囲内である。
【0083】
可塑剤がグリセロールであるときには、それは、適切には約2.5〜約15%(重量/重量)、さらには5〜13%および5〜8%の量であろう。
可塑剤がプロピレングリコールであるときには、それは、適切には約4〜約15%(重量/重量)、さらには4〜10%(重量/重量)の量であろう。
【0084】
本発明の別の態様において、可塑剤の組合せ、例えばプロピレングリコールとTECまたはグリセロールとプロピレングリコールの組合せを使用する。組合せた可塑剤の量は、個々の成分よりもわずかに高く、適切には約1〜約20%(重量/重量)であってよい。別の態様において、それは、約10〜約20%(重量/重量)、より適切には一緒に約15%(重量/重量)である。
【0085】
プロピレングリコールおよびグリセロールのポリエチレングリコール(PEG)400による置換は、かなり再現性の高い溶解プロフィールおよび高レベルの腸保護を有するシェルを与える。しかし、一般に、成形したシェルは、比較的劣った引張特性およびリンカーへのクリッピングの困難を示した。このことは、単純に、PEG400が、共ブレンドした製剤中に存在する1つまたはそれ以上の腸ポリマーのための有効な可塑剤ではないことを意味するであろう。
【0086】
ポリマーHPMC-AS LGを可塑剤トリアセチンと組合せて使用したときに、HPMC:トリアセチンの最適比は約4:1〜約7:1、好ましくは7:1に近いことがわかった。このような場合、適切には潤滑剤(好ましくはステアリルアルコール)を、全製剤に対して約5〜7%(重量/重量)に維持する(製剤の残りは、溶解修飾賦形剤/溶解修飾剤、および必要に応じていずれかの他の添加剤である)。適切には、DMEが膨潤性固体であり、好ましくはHPCまたはHPCのブレンドである。1つの態様において、HPCポリマーはKlucel EFである。
【0087】
トリアセチンの使用は、良好な押出、成形および全体的に効果的な可塑化(本発明における腸セルロースポリマーを用いて)を示した。比較的高レベルのトリアセチンを含むシェルは、貯蔵時に比較的不安定であることを示すが、本発明において普通に使用するレベルにおいては問題ではない。
【0088】
一般に加工助剤と分類される追加の試薬には、強化剤、例えばタルクが含まれる。適切には、加工助剤は約0.5〜約10%(重量/重量)で存在する。別の態様において、加工助剤は約0.5〜約5%(重量/重量)で存在する。
【0089】
内部潤滑剤は、押出法におけるダイ壁および射出成形法におけるモールド壁において潤滑を与えることができるものである。本発明における使用に適するモールド加工潤滑剤または流動促進剤には、ステアリルアルコール、ステアリン酸、グリセロールモノステアレート(GMS)、タルク、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、無定形ケイ酸、およびヒュームドシリカ;ラウリン酸、レシチン、スクロース脂肪酸エステル、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、およびラウリン酸から誘導されるエステル;ならびにこれらの組合せまたは混合物が含まれるが、これらに限定はされない。潤滑剤は、主に組成物のための流れ促進剤として機能すると考えられる。本発明の1つの態様は、適する潤滑剤としてステアリルアルコールを使用することである。適切には、市販グレードのステアリルアルコール、例えば、Crodacol S95 (Croda Oleochemicals)を本発明において使用する。適切には、市販グレードのスクロース脂肪酸エステル、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、およびラウリン酸から誘導されるエステルを、Mitsubihi-Kasei FoodsからSurfHopeとして入手することができる。製剤中に存在する潤滑剤の量は、約2%〜約10%(重量/重量)である。別の態様において、潤滑剤は、約4%〜約8%(重量/重量)で存在する。
【0090】
ステアリルアルコールを使用するときには、それは、適切には約2.0〜10%(重量/重量)の量で存在する。別の態様において、ステアリルアルコールは、適切には約4〜約8%(重量/重量)である。別の態様において、ステアリルアルコールは、適切には約5〜約7%(重量/重量)である。別の態様において、ステアリルアルコールは、適切には約5〜約6.25%(重量/重量)である。
【0091】
適切には、潤滑剤は、モールド加工潤滑剤として作用し、モールド歪み、即ち、熱い軟質シェルをモールドから取出したときの多投与区画シェルのつぶれをわずかしか引き起こさないはずである。適切には、本発明において使用する潤滑剤は、どのような金属イオン汚染をも導入しない。
【0092】
本発明の1つの態様は、ポリマーHPMC-AS、ステアリルアルコール、少なくとも1つの膨潤性固体、および少なくとも1つの可塑剤の組合せである。膨潤性固体は、ポリマーヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロース誘導体のブレンドであってよく;あるいは膨潤性固体はHPMCPであってよく;あるいは膨潤性固体はHPC-SSLであってよく;あるいは膨潤性固体はHPMCPおよびHPCであってよく;あるいは膨潤性固体はHPMCPおよびHPC-SLLのブレンドであってよく;あるいは膨潤性固体はHPMCP、HPC-SLLおよびHPMCのブレンドであってよい。
【0093】
1つの態様において、HPMC-AS:HPCの最適比は、0.8:1の範囲内である。0.5:1のレベルは、短い放出時間および信頼できる腸性能を有する適する部材を製造することができる。
【0094】
本発明の別の態様は、ポリマーHPMC-AS、ステアリルアルコール、少なくとも1つの膨潤性固体、および少なくとも2つの可塑剤の組合せである。可塑剤の組合せは、適切には、プロピレングリコールとTEC、またはグリセロールとプロピレングリコールである。
【0095】
本発明における組成物を様々な壁厚みで成形することができるが、カプセルまたは成分は、約0.3〜約0.8mm、適切には0.4〜0.5mmの壁厚みを有するのが好ましい。しかし、溶解性能が、所望の放出プロフィールに依存して、壁厚みをより適切に適合させるであろう。壁厚みの増大が成分の反りを減少させるために必要になることがあり、あるいは、これに加えて追加の賦形剤の修飾が必要になることもある。
【0096】
本発明の最終生成物、即ち、カプセルシェルおよび/または他の成分およびサブユニットは、これらを製造するためのポリマーブレンド中に、これらを一緒に溶接することの容易性を高めるために、材料をさらに含有することができる。サブユニットは、これらを単純な機械的結合または溶接によって一緒に結合することの容易性を高めるために、これらに構造的特徴をさらに供することができ、そして/または、これらを製造するためのポリマー材料中に、材料をさらに含有することができる。このようなことを助けるのに適する材料は、不透明材料、例えば、ポリマーを助ける炭素(例えば0.2〜0.5%)、酸化鉄、酸化第二鉄(例えば0.2〜0.5%)、または二酸化チタン(例えば0.5〜1.0%)である。
【0097】
例えば複数のサブユニットのそれぞれ、例えばカプセル区画、リンカーサブユニット、またはこれらの組合せのそれぞれは、同一または異なるポリマーを含有することができる。例えば複数のサブユニットのそれぞれ、例えばカプセル区画、リンカーサブユニット、またはこれらの組合せのそれぞれは、同一または異なる薬物物質を含有することができる。例えばそれぞれのサブユニットは、同一の薬物物質を含有することができるが、その内容物を患者の胃腸管に、異なる速度で、患者への投与後の異なる時間に、または患者の胃腸系の異なる場所で放出する。また、それぞれのサブユニットは異なる薬物物質を含有することができ、そのそれぞれを、投与後に同一または異なる速度または時間に、または患者の胃腸系の場所で放出することができる。
【0098】
例えば2つまたはそれ以上のサブユニット、例えば2つのカプセル区画またはリンカーのそれぞれは、異なる薬物物質、および/または異なる薬物物質製剤、および/または異なる製剤において同一薬物を含有することができ、異なる放出速度プロフィールを有する2つまたはそれ以上の薬物物質の組合せまたはその製剤を、患者に投与することができる。
【0099】
本発明の投与形態は、薬物内容物および/または薬物内容物放出特性が異なるサブユニットを一緒に組立てて、特定の投与要求に適合させた投与形態を得ることを可能にする。
【0100】
サブユニットのそれぞれ、従って組立てた投与形態の全体の寸法および形状は、その中に含有させる材料の性質および量ならびに意図する投与様式および意図する受容者によって決定してよい。例えば、経口投与用に意図した投与形態は、経口投与用に意図した既知カプセルの形態と同様の形状およびサイズのものであってよい。
【0101】
投与形態は、経口投与に適する1つまたはそれ以上の薬物物質を含有する経口投与形態として提供するのが特に適しており、全てのタイプのそのような薬物物質に適するようである。
【0102】
任意のカプセル区画に含有される薬物物質は、任意の適する形態で、例えば、粉末、顆粒、圧縮体、ミクロカプセル、ゲル、シロップまたは液体(カプセル区画壁材料が、後者3種類の形態の液体内容物に対して十分に不活性である場合)として存在することができる。区画の内容物(例えば薬物物質)を、通常の方法、例えばカプセルの充填のために普通に使用されている方法、例えば投薬ピンまたはダイ充填によって区画に導入することができる。
【0103】
サブユニットは、その薬物内容物の放出特性において互いに異なっていてよく、これを様々な方法で達成することができる。例えば、1つまたはそれ以上の固体サブユニットおよび/またはカプセル区画が、実質的即時放出、即ち、その薬物内容物を、実質的に摂取の直後または胃に到達して直後に放出するものであってよい。これを、例えば、溶解するか、崩壊するか、またはそれ以外に破れて薬物内容物を実質的に直ちに放出するマトリックスポリマーまたはカプセル区画壁によって達成することができる。一般に、即時放出サブユニットは、カプセル区画であることによって供するのが好ましい。また、他のサブユニットは、サブユニット上の腸被覆を含む即時放出サブユニットであることもできる。
【0104】
例えば、1つまたはそれ以上の固体サブユニットおよび/またはカプセル区画は、持続放出サブユニットであることができる。これらは固体サブユニットであるのが好ましい。これは、ポリマーの嵩のあるマトリックスは、比較的遅く溶解または分散して、その薬物内容物を薄い壁のカプセルから放出する可能性が高いためである。
【0105】
例えば、1つまたはそれ以上の固体サブユニットおよび/またはカプセル区画は、例えば、その薬物内容物を患者の胃腸系中の特定の予め決めた箇所において放出するパルス放出サブユニットであることができる。これを、規定のpH環境においてのみ溶解または分散するポリマー材料、例えば上記したHPMC-ASまたはある種のEudragitポリマー、例えば酸不安定性であるEudragit E100の使用によって達成することができる。
【0106】
例えば、上記したカプセル区画-リンカー-カプセル区画投与形態において、一方のカプセル区画は有効な即時放出であることができ、他方は持続、遅延またはパルス放出であることができる。これを達成するために、例えば、1つのカプセル区画は、その薬物内容物を胃または消化管の上部において放出するポリマー材料から製造されていてよく、リンカー(第2区画のためのクロージャーとして働く)および第2区画それ自体は、腸環境でのみその薬物内容物を放出する材料(例えば上記した腸ポリマー)から製造されていてよい。
【0107】
サブユニットがその薬物物質内容物を放出する胃腸管内の位置または時間の決定は、例えば、サブユニット材料、例えば、固体サブユニットマトリックスポリマーまたはカプセル区画壁材料の性質によって、またはクロージャーによって閉じられる末端区画の場合にはクロージャー材料の性質によって達成することができる。例えば、異なる区画、例えば隣接区画の壁を、異なる薬物放出特性を有する異なる区画を与えるように、異なるポリマーから、またはそれ以外にその溶解または崩壊特性が異なるポリマーから製造することができる。同様に、例えば、異なる固体サブユニット、例えば隣接固体サブユニットのポリマーマトリックス材料を、異なる薬物放出特性を有する異なる固体サブユニットを与えるように、異なるポリマーから、またはそれ以外にその溶解または崩壊特性が異なるポリマーから製造することができる。
【0108】
例えば、マトリックス、壁またはクロージャー材料は、胃pHにおいて溶解または分散して胃において薬物物質を放出するポリマーであることができる。また、異なる区画の壁材料は、異なる区画が異なる放出特性を有するように異なることができる。
【0109】
例えば、リンカーまたはクロージャーサブユニットまたはカプセル区画のそれぞれは、小腸または大腸のpHにおいて溶解または分散して腸において薬物物質を放出する腸ポリマーを含有するマトリックスまたは壁またはクロージャーを有することができる。適するこのようなポリマーは、例えば、米国特許第5705189号明細書を参照して上記されている。
【0110】
追加で、または別法として、壁材料は、区画間の厚みが異なって、比較的厚い壁の区画が比較的薄い壁の区画よりも遅く崩壊するようにすることもできる。
【0111】
追加で、または別法として、区画壁またはクロージャーは、優先的に溶解し、それにより薬物物質内容物の放出の開始時間および/または速度を決定しうる弱い領域または箇所を有することができる。例えば、このような弱い箇所は、区画壁またはクロージャー中に穴、例えば小さい穴、例えばレーザーで穿った穴を含むことができ、これらの穴を、消化管中の予め決めた箇所で溶解するポリマー材料(例えば腸ポリマー材料)のフィルムで閉鎖および/または被覆する。例えば、このような弱い箇所は、カプセル区画を成形する成形操作中に形成されたカプセル区画壁中に薄くなった部分を含むことができる。
【0112】
追加で、または別法として、サブユニットは、その薬物放出特性を修飾する表面または他の構造的特徴を有することができる。例えば、固体サブユニットに内部空腔または溝を供して、大きい表面積を創製することができる。例えば、固体サブユニットは、中空シリンダー、ドーナツ、または環状体の形態にあることができ、これらの形状は、液体媒体中で一次溶解または浸食の傾向があり、それに対応して、その中に分散した薬物内容物の一次放出の傾向にあることが知られている。
【0113】
「医薬的に許容しうる物質」には、本明細書中に記載したような薬物、タンパク質、ペプチド、核酸、栄養剤が含まれるが、これらに限定はされない。この用語には、本明細書中に記載したような治療活性剤、生物活性剤、活性剤、治療剤、治療タンパク質、診断剤、または薬物が含まれ、「良い製造実施に対する欧州連合ガイド(European Union Guide to Good Manufacturing Practice)」の指針に従う。このような物質は、疾患の診断、治癒、軽減、治療、または予防において薬理学的活性または他の直接効果を与えること、あるいは、身体の組織および機能に影響を及ぼすことを意図している。また、この物質は、診断剤、例えば造影剤および/または放射活性ラベル化合物を含むこともできる。これらの使用は、哺乳動物において、またはヒトにおいてであってよい。薬理学的活性は、予防的、または疾患状態の治療のためであってよい。本発明における物質には、小分子治療物質、ならびにペプチドおよびタンパク質が含まれる。本明細書中に記載した医薬組成物は、所望により、その中に分布した1つまたはそれ以上の医薬的に許容しうる活性剤、生物活性剤、活性剤、治療剤、治療タンパク質、診断剤、または薬物または成分を含有することができる。
【0114】
本明細書において使用するときに、用語「活性剤」、「薬物部分」または「薬物」の全ては交換可能に使用する。
本明細書において、用語「金型」および「モールド」は交換可能に使用する。
【0115】
活性剤の水溶性は、United States Pharmacoepiaによって規定される。即ち、それに規定される非常に可溶性、自由に可溶性、可溶性および劣った可溶性の基準を満たす活性剤が本発明に包含される。
【0116】
適する薬物物質は、様々な既知群の薬物から選択することができ、これには、以下に挙げるものが含まれるが、これらに限定はされない:鎮痛薬、抗炎症剤、駆虫薬、抗不整脈剤、抗生物質(ペニシリンを含む)、抗凝固薬、抗うつ薬、抗糖尿病剤、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗高血圧剤、抗ムスカリン剤、抗抗酸菌剤、抗新生物剤、免疫抑制薬、抗甲状腺剤、抗ウイルス剤、抗不安鎮静薬(催眠薬および神経弛緩薬)、収斂薬、β-アドレナリン受容体ブロック剤、血液製剤および置換剤、心臓変力剤、コルチコステロイド、鎮咳薬(去淡薬および粘液溶解薬)、診断薬、利尿薬、ドーパミン作用薬(抗パーキンソン病剤)、止血薬、免疫学製剤、脂質調節剤、筋肉弛緩薬、副交感神経作用薬、副甲状腺カルシトニンおよびビホスホネート、プロスタグランジン、放射性医薬、性ホルモン(ステロイドを含む)、抗アレルギー剤、興奮剤および食欲減退剤、交感神経様作用薬、甲状腺剤、PDE IV阻害薬、NK3阻害薬、CSBP/RK/p38阻害薬、抗精神病薬、血管拡張薬およびキサンチン。
【0117】
好ましい薬物物質には、経口投与および静脈内投与に意図されるものが含まれる。これらの群の薬物の記述および各群内の種のリストは、Martindale、「The Extra Pharmacopoeia」、第21版、The Pharmaceutical Press、ロンドン、1989年に見ることができる(この開示は、その全体が参照することにより本明細書に含まれる)。薬物物質は、市販品から入手可能であり、そして/または当分野で既知の方法によって製造することができる。
【0118】
好ましくは、ポリマーブレンドを、既知の医薬ポリマーから選択することができる。これらポリマーの物理化学的特徴、ならびに、最終的な射出成形した成分の厚みが、投与形態の設計、例えば急速溶解、即時放出、遅延放出、修飾放出、例えば持続放出、制御放出、または脈動放出などを左右するであろう。
【0119】
ポリマーブレンドを、ホットメルト押出物を製造するための周知の方法によって製造する。その場合、選択した成分を押出機の供給ホッパーに供給する。本発明におけるブレンドのホットメルト押出物を製造するために、適する周知の装置が直ちに利用可能である。
【0120】
本発明は、適するカプセルシェルおよび/またはリンカーに成形したときに、酸性保護のためのフィルム被覆を必要としない製剤に関する。適切には、所望のサブユニット、例えばカプセルシェル、リンカー、端部キャップなどを、機械的はめ込みによって組立てることができ、別の腸シェルまたは別のシェル製剤と容易に組合せて単一ユニットにおいて広範な放出プロフィールを得ることができる。
【0121】
適する製剤は、以下に挙げるような多数の因子における許容しうる性能に基づいて選択される(以下の因子に限定はされない):
1.押出に適していること;
2.様々なサブユニットまたは成分に射出成形されうること;
3.物理的に安定であること(反り、収縮、亀裂などがないこと);
4.存在するポリマーに対して化学的に安定であること;
5.リンカーまたは固体マトリックスサブユニットに手で/自動で組立てうること(クリッピングしうること);
6.酸性媒体中で放出が起こらず、少なくとも2時間存続すること;および
7.6を超えるpHにおいて45分未満で溶解/放出すること。
【0122】
即ち、本発明の別の側面は、本明細書中に記載した配合に従って製造したカプセルシェル、および適するリンカー製剤を含有する多成分投与形態であって、例えば機械的な力、例えばクリッピングによって、または所望により溶接によって、容易に組立てることができ、腸放出プロフィールを供するために追加の操作、例えば外部被覆を全く必要としない多成分投与形態である。このような多成分投与形態を、所望のように即時放出または第2の脈動カプセルまたはリンカー成分を含むように、さらに拡張することもできる。
【0123】
即ち、本発明の1つの側面は、複数のサブユニットを含んでなる多成分投与形態であって、各サブユニットが、
(a)薬物物質を保持するように設計した内部空間を少なくとも部分的に規定する第1壁部分であって、胃腸環境中で溶解するように設計した第1壁部分を含む少なくとも1つのシェル;および
(b)実質的に円筒形の外側表面を有する第2壁部分であって、胃腸環境中で溶解するように設計した第2壁部分を含む少なくとも1つのリンカー;
から選択され、
薬物物質を含有するカプセルが、約10〜70%(重量/重量)の量で存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMC-AS)、約1%〜約20%(重量/重量)の量で存在する可塑剤、約2%〜約15%(重量/重量)の量で存在する潤滑剤、および約10〜約60%(重量/重量)の量で存在する膨潤性固体を含有するシェル壁を有し、かつ薬物物質を含有し;
少なくとも患者への投与前に、機械的に溶接または機械的に結合して、組立てた投与形態にした多成分投与形態である。
【0124】
多成分投与形態において使用するのに適するリンカーまたは結合サブユニットは、エチルセルロース、ステアリルアルコール、グリセロール、およびBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)から構成される。
多成分投与形態において使用するための別の適するリンカーまたは結合サブユニットは、Eudragit RL100、HPC、およびステアリルアルコールから構成される。
【0125】
適切には、多成分投与形態における少なくとも1つのカプセル成分は、実質的持続放出性であり、多成分投与形態中のいずれかの第2カプセルシェルは、本発明の製剤であってもなくてもよい。
【0126】
適切には、少なくとも1つの多成分投与形態は、実質的即時放出性である第2の薬物物質を含有するカプセル区画をさらに含んでなる。
【実施例】
【0127】
ここで、以下に挙げる実施例を参照して本発明を説明するが、これら実施例は、説明のためだけのものであり、本発明の範囲を限定するものと解するべきではない。全ての温度はセ氏温度で示し、全ての溶媒は、他に示すことがなければ利用可能な最高純度のものである。
【0128】
表1は、HPMC-ASを含有する製造および試験した製剤をまとめるものである。
【表1】


製剤#1、2、4および7は、操作不能であることがわかった。製剤#26も操作不能であることがわかり、これは望ましい8:1比の外側にある成分比の例である。
【0129】
表2は、ベースポリマーとして、HPMC AS-MGまたはHPMC AS-HGを用いて製造した製剤をまとめるものである。
【表2】


上記の表における製剤#29は、操作不能であることがわかった。
【0130】
ステアリルアルコールおよびHPMC-AS:トリアセチンの追加の製剤を配合し、40/75℃において物理的安定性を与えることが示された。HPMC-AS:トリアセチンの比=7:1を用いて、以下のHPMC-AS(LG)シェル製剤が、30/65℃および40/75℃において貯蔵して1ヶ月間を完了し、最小の色変化を伴って物理的に安定であることが示された。
【表3】


【0131】
本発明の他の態様には、押出および射出成形した表4の追加の製剤が含まれる。
【表4】

【0132】
以下に挙げる追加の表5〜表10は、本明細書中に記載した投与形態成分に適切に押出および成形することができる本発明の代表的な組成物を示す。配合は、全て%量(重量/重量)で示す。全ての製剤を、以下に記載する一般的なホットメルト押出法および射出成形法を用いて、カプセルシェルに押出および射出成形した。
【0133】
【表5】

【0134】
【表6】

【0135】
【表7】

【0136】
【表8】

【0137】
【表9】

【0138】
【表10】


【0139】
ホットメルト押出
ホットメルト押出の前に、上記した製剤の粉末賦形剤(HPMC-AS、ステアリルアルコールおよび溶解修飾ポリマー)を、容器ブレンダーでブレンドした。通常、Prismの16mm同時回転二軸スクリュー押出機において、ダイから供給口までの温度プロフィール範囲120-120-115-110-90-20℃およびスクリュー速度200rpmを用いて押出を行った。上記した例の温度範囲は、±10℃で変えることができる。重量粉末供給装置によって押出機に供給し、液体であるトリアセチンは、Gilston Minipuls 2 蠕動ポンプによって加え、合計の混合供給速度を、約1.0kg/時に設定した。製剤を、3mmダイを通って押出してストランドを生成させ、次いでこれを空冷し、次いでペレット化した。
【0140】
射出成形
上記のホットメルト押出法によって製造したペレットを、MCP 12/90 HSP ミニ成形機を用いて、試作品9.0mm直径×6.9mm高さのカプセルシェル(壁厚み0.5mmを有する)、または7.7mm直径×9mm高さのカプセルシェルに射出成形した。通常、スクリュー、プランジャーおよびバレル温度を120〜140℃に設定し、プローブ温度を170〜約190℃に設定した(上部温度として)。
【0141】
腸保護のためまたは放出単独のための溶解試験は、多くの場合における製剤容認の良好な予測因子ではないことがわかった。多くの製剤が同様の放出プロフィールを与え、安定性または引張強度への追加の研究が必要であろう。
【0142】
腸シェルを、少なくとも3種類の既知の溶解試験法を用いて試験することができる。これらは、腸投与形態に対して典型的に行われる試験と一致するようにpHスイッチ法を用いて標準USP腸保護試験を模擬するUSP IIパドル法;10回浸漬/分(DPM)という規定の撹拌速度を用いる比較的生物関連性が高いUSP III試験;ならびに、インビボ性能に対して比較的関連性が高い試験である2時間腸チャレンジ(重りを使用せず、投与形態が浮き沈みすることができるため);である。
【0143】
また、USP IIIを、製剤が放出前に酸性環境に耐えることができる時間の最大量を測定するためにも使用する。この試験は、全てのユニットが急速に胃から退出する訳ではなく、高pHの腸領域に達する前に、長時間にわたって保持されうる(胃において)という仮定を行う。従って、この試験は、ユニットを低pH相において少なくとも6時間保持し、放出をチェックすることによって行う。
【0144】
USP IIの方法
射出成形したシェルにマーカー薬物としてパラセタモールを導入し、8.35mm直径、3.80mm高さの射出成形したリンカーユニットにクリッピングすることによってシールする。溶解分析を、USP2パドル法により、100回転/分において、pH1.6の0.1N塩酸において2時間、次いで0.06%ドデシル硫酸ナトリウムを含むpH6.8のリン酸緩衝液において2時間を用いて行う。ユニットを、日本式かご重り中の容器に入れた。
【0145】
USP IIIの方法
射出成形したシェルにマーカー薬物としてメトホルミンを導入し、8.35mm直径、3.80mm高さの射出成形したリンカーユニットにクリッピングすることによってシールする。溶解分析を、USP3法により、10回浸漬/分において、pH1.2の模擬胃液において2時間、次いでpH6.8の模擬腸液において6時間を用いて行う。ユニットを、重りのないバスケットに入れる。
【0146】
上記した方法は、酸性相としてpH1.2のSGFまたはpH1.6の0.1N HClのいずれかを使用し、pH6.8のSIFまたはpH6.8のリン酸緩衝液のいずれかを使用する。これらの媒体は、pHが酸性相において低く保たれ(理想的には<2)、高pH相が、存在する腸ポリマーのpH溶解閾値(ほとんどの場合、pH5.5より上である)を超える限り、本質的に交換可能である
【0147】
最終IR/ER製剤のUSP II/III
異なる配合のシェルを有する完成ユニットが、単一投与形態から多様な放出プロフィールを与えうることを確認するために、同じ寸法の即時放出シェルを用いてシェルを試験した。図6は、IRおよび腸シェルを含んでなる完成ユニットの典型的なUSP IIプロットを示す。
【0148】
マーカー薬物として使用したメトホルミンを導入した射出成形シェルを、他に示すことがなければ、8.35mm直径、3.80mm高さの射出成形したリンカーユニットにクリッピングすることによってシールした。溶解分析を、USP3法により、10回浸漬/分において、pH1.2の模擬胃液において2時間、次いでpH6.8の模擬腸液において6時間を用いて行った。ユニットを、重りのないバスケットに入れた。
【0149】
以下のリンカー製剤を使用した:
【表11】

【0150】
このリンカー成分の押出を、16mm二軸スクリュー押出機を用いて120〜130℃の範囲の温度で行い、160〜180℃の温度において試料を成形してリンカー形状化成分を得た。
【表12】

【0151】
方法の条件
押出/射出成形:押出 - 1.2kg/時、ダイ温度110℃、200rpmスクリュー、トルク35%、ダイ圧力1バール;射出成形 - 満足な0.5mm壁区画シェル、プローブ温度180℃。
【0152】
別のリンカー製剤
より高い分子量グレードのHPMC-AS HG(6.5〜7.0で溶解)を、2レベルの可塑剤トリアセチンおよび潤滑剤ステアリルアルコールと組合せて用いて、2つの製剤を製造し、試験した。
製剤中の含量(重量/重量%):
【表13】

【0153】
また、HPMC-AS LG(pH5.5)およびMG(pH5〜5.6)を5%(重量/重量)レベルのトリアセチンと一緒に使用する同様の製剤をも製造した。
【0154】
また、2種類の別の可塑剤、グリセロールおよびトリエチルシトレートを用いて、HPMC-AS HGポリマーからリンカーを製造した。両方の場合において、これら別の可塑剤を5%(重量/重量)レベルで添加した。両方の場合に、ステアリルアルコールが5%(重量/重量)レベルで存在した。グリセロール製剤の最大押出機トルクは限界を越えており、トリアセチン可塑化製剤によって生じるトルクに合わせるために、グリセロールレベルを10%(重量/重量)まで増加させなければならないことがわかり、このことは、グリセロールがこの組成物にとってトリアセチンよりも有効性が低い可塑剤であることを示唆した。対照的に、トリエチルシトレート製剤は、比較のトリアセチン製剤と同様のトルクで加工された。
【0155】
リンカーブレンドの押出を、Prismの16mm同時回転二軸スクリュー押出機において、ダイから供給口までの温度プロフィール120-120-115-110-90-20℃およびスクリュー速度200rpmを用いて行った。重量粉末供給装置によって押出機に供給し、液体であるトリアセチンは、Gilston Minipuls 2 蠕動ポンプによって加え、合計の混合供給速度を、約1.0kg/時に設定した。製剤を、3mmダイを通って押出してストランドを生成させ、次いでこれを空冷し、次いでペレット化した。
【0156】
結果
全般に、製剤を押出し、ペレット化に適するストランドを得ることができた。製剤中の可塑剤レベルは、シェルの全体の柔軟性を決定するのを助ける。記載した製剤の一部は、成形可能ではあるが、市販には適さない特性を有する部材を与えることもあると認められる。例えば、製剤の一部は、クリッピングするには脆すぎ、頻繁に亀裂する傾向があり、そして/または過度の伸張を有する部材を与える。
【0157】
潤滑剤は、本発明の製剤に必要であると考えられる。これは、潤滑剤(例えばステアリルアルコール)の除去が、モールド空腔において粘着する部材を与えるためである。ステアリルアルコールを、表1の製剤5から完全に除去して、射出成形および押出の溶融粘度を低下させるためにトリアセチンを単独で使用しうるか否かを評価した。この製剤から完全な部材を成形することはできず、このことは、不適切な量の可塑剤を示唆した。表1の製剤11において、可塑剤レベルを増加させたが、これはモールド空腔において粘着するシェルを与えた。取出したシェルは、完全かつ非常に柔軟であったが、非弾性であるようであり、変形時にその形状に戻ることがなく、このことは、シェルが過剰に可塑化されていることを示唆した。
【0158】
例えばリンカーへの結合のために柔軟性を有し、安定な成分を与え、そして寸法的に正確である部材を製造するために、適切な可塑剤レベルが必要である。これを、本明細書において、表1の製剤3および4の観察により例示する。
【0159】
表1の製剤3および4からのユニットの溶解分析は、2時間の胃耐性および模擬腸液における放出を示した。製剤4は変動性の溶解プロフィールを与え、この変動性は製剤3において減少した。この製剤へのHPCの添加(表1の製剤6)は、これらユニットが、胃液において部分的に水和することを可能にした。これは、腸液における放出時間を減少させるが、なお胃耐性を与える。胃液における8時間の溶解分析は、長い胃滞留の後にユニットは水和しているが、胃耐性を維持し続けることを示した。この配合を、MGおよびHGの代わりにHPMC-ASグレードを用いて繰り返した。示した異なるグレートは、腸液における放出時間を長くする。図1は、模擬胃液における60%HPMC-AS(LG)/20%Klucel EF/10%トリアセチン/10%ステアリルアルコールのシェル(60:20:10:10製剤)の溶解プロフィールを示す。
【0160】
これらの製剤は、SGF液への暴露に約2時間耐え、次いでSIFへの暴露の1時間以内に放出する。ほとんどの場合、本発明のカプセルシェル成分と一緒に使用するリンカーは、胃条件下で不溶性であるのが望ましく、こうして小腸において脈動放出投与形態として放出する投与形態を供するのが望ましい。
【0161】
本発明の代表的製剤のさらなるUSP3放出時間を以下に示す。これらの放出時間は、各製剤にとって「典型的」な放出である。製剤の比較を供するために全ユニットに対して同一サイズ/壁区画シェルおよび同一リンカー(この場合RL100リンカー組成物)を用い、同一操作条件においてUSP3データのみを示す。
【0162】
本明細書中に記載した結果は、製造した全製剤について完全かつ最終的な一式を供するものではなく、比較目的のための代表的な放出時間のみである。以下に挙げる表は、1つのそのような代表例である。
【表14】


【0163】
多数の異なるリンカー変体(例えば、RL100、エチルセルロース、およびHPMC-AS)を、本発明の製剤を用いて試した。RL100リンカーは、比較的長い時間にわたって膨潤および水和する傾向を示した。これは、即時放出に適する製剤で問題にはならないかもしれないが、胃において長時間保持される腸ユニットで問題になる可能性がある。これは、シェル溶解によるよりもむしろリンカーを通して放出が起こりうるためである。
【0164】
前に成形したHPMC-ASリンカーは、通常はRL100リンカーよりも小さいことがわかり、また膨潤せず、完全に溶解する時間までにシェルからなくなるリンカーを与え、腸での不首尾の結果になることが多い。しかし、HPMC-ASおよびエチルセルロースリンカーは、HPCを含有する製剤、例えばKlucel EFを約20重量/重量%で含む製剤と一緒に使用することができる。これは、これらの製剤が酸性媒体中で水和および膨潤し、従ってリンカーをシェルに保持して早すぎる放出を防止することがわかったためである。これは、それまで長い放出遅延を有していた製剤を、より迅速かつより再現性の高い放出に変えることができる。
【0165】
膨潤することが知られているKlucel EFを含有する腸シェルの溶解プロフィールは、RL100リンカーと一緒に使用したときに、放出速度を低下させるであろう。対照的に、エチルセルロースリンカーを使用すると、放出が、より速くかつより安定したものになり、本明細書に添付した図2に見ることができるように、RL100リンカーを用いた60〜120分からエチルセルロースリンカーを用いた44〜68分になる。
【0166】
上記記載は、本発明を完全に開示し、その好ましい態様を含んでいる。本明細書中に具体的に開示した態様の修飾および改善は、添付の特許請求の範囲に含まれる。さらに苦労することなく、当業者なら、先行する記載を用いて、本発明をその最も完全な限度で利用することができると考えられる。従って、本明細書中の実施例は、単なる説明のためのものであり、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものではないと考えるべきである。独占的権利または特権を請求する本発明の態様を、以下の特許請求の範囲に規定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)薬物物質を保持するように設計した内部空間を少なくとも部分的に規定する第1壁部分であって、胃腸環境中で溶解するように設計した第1壁部分を含むシェル;または
(b)実質的に円筒形の外側表面を有する第2壁部分であって、胃腸環境中で溶解するように設計した第2壁部分を含むリンカー;
の少なくとも1つを含んでなる投与形態であって、
第1または第2壁部分のそれぞれ1つが、約20〜約70%(重量/重量)の量で存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMC-AS);約1%〜約20%(重量/重量)の量で存在する少なくとも1つの可塑剤;約2%〜約10%(重量/重量)の量で存在する潤滑剤;ならびに、約2%〜約20%(重量/重量)の量で存在する崩壊剤、約10〜約60%(重量/重量)の量で存在する膨潤性固体、および約2.5〜約15%(重量/重量)の量で存在するウィッキング剤、およびこれらの組合せまたは混合物からなる群から選択される少なくとも1つの溶解修飾賦形剤;を含有する押出された医薬組成物から製造される投与形態。
【請求項2】
HPMC-ASが約55〜約65%(重量/重量)の量で存在する請求項1に記載の投与形態。
【請求項3】
潤滑剤が、ステアリルアルコール、グリセロールモノステアレート(GMS)、タルク、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、無定形ケイ酸、またはヒュームドシリカ;およびこれらの組合せまたは混合物である請求項1または2に記載の投与形態。
【請求項4】
潤滑剤がステアリルアルコールである請求項3に記載の投与形態。
【請求項5】
ステアリルアルコールが約4〜約10%(重量/重量)の量で存在する請求項4に記載の投与形態。
【請求項6】
少なくとも1つの溶解修飾賦形剤が膨潤性固体である請求項1〜5のいずれかに記載の投与形態。
【請求項7】
膨潤性固体が、少なくとも1つのヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、あるいはこれらの組合せまたは混合物である請求項6に記載の投与形態。
【請求項8】
膨潤性固体が、ヒドロキシプロピルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースの組合せである請求項7に記載の投与形態。
【請求項9】
膨潤性固体が、ヒドロキシプロピルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートの組合せである請求項7に記載の投与形態。
【請求項10】
膨潤性固体が、それぞれ異なる分子量を有するヒドロキシプロピルセルロースポリマーのブレンドである請求項6に記載の投与形態。
【請求項11】
ヒドロキシプロピルセルロースポリマーのブレンドが、約20%〜約50%(重量/重量)の合計量で存在する請求項10に記載の投与形態。
【請求項12】
少なくとも1つの溶解修飾剤が、ウィッキング剤であり、それが低分子量溶質またはキシリトール、マンニトール、ラクトースから選択される糖、デンプン、または塩化ナトリウム、あるいはこれらの組合せまたは混合物である請求項1に記載の投与形態。
【請求項13】
少なくとも1つの溶解修飾賦形剤が崩壊剤である請求項1に記載の投与形態。
【請求項14】
崩壊剤が、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(架橋したポリビニルピロリドン)、コポビドン、ポリビニルピロリドン、あるいはこれらの組合せまたは混合物である請求項13に記載の投与形態。
【請求項15】
少なくとも1つの溶解修飾賦形剤が、約5〜約10%(重量/重量)の量で存在する崩壊剤である請求項1、13または14のいずれかに記載の投与形態。
【請求項16】
可塑剤が、トリアセチン、トリエチルシトレート(TEC)、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ジブチルフタレート、ジブチルセバケート(DBS)、ジエチルフタレート、ビニルピロリドングリコールトリアセテート、ポリエチレングリコール、グリセロール、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、プロピレングリコール、およびヒマシ油、あるいはこれらの組合せまたは混合物からなる群から選択される請求項1〜15のいずれかに記載の投与形態。
【請求項17】
可塑剤がトリアセチンである請求項1または16に記載の投与形態。
【請求項18】
トリアセチンが、HPMC-ASと約1:4〜1:7の比で存在する請求項17に記載の投与形態。
【請求項19】
可塑剤が、トリエチルシトレートまたはグリセロールである請求項1または16に記載の投与形態。
【請求項20】
可塑剤が、グリセロールとプロピレングリコールの混合物である請求項16に記載の投与形態。
【請求項21】
可塑剤が、トリエチルシトレートとプロピレングリコールの混合物である請求項16に記載の投与形態。
【請求項22】
可塑剤が、約10%(重量/重量)〜約20%(重量/重量)の量で存在する2つまたはそれ以上の可塑剤の混合物である請求項1、16、20または21のいずれかに記載の投与形態。
【請求項23】
1〜約10%の量で存在する界面活性剤および/または約1〜約10%(重量/重量)の量で存在する加工剤をさらに含有する請求項1〜22のいずれかに記載の投与形態。
【請求項24】
潤滑剤がステアリルアルコールであり、溶解修飾賦形剤がHPCまたは異なる分子量のHPCのブレンドであり、可塑剤がTECまたはトリアセチンである請求項1に記載の投与形態。
【請求項25】
HPMC-ASのグレードがHPMC-AS LGである請求項1〜24のいずれかに記載の投与形態。
【請求項26】
HPMC-ASが約50〜約65%(重量/重量)の量で存在し、溶解修飾賦形剤が約10〜約50%(重量/重量)の量で存在するHPMCフタレートであり、潤滑剤が約4〜約10%(重量/重量)の量で存在するステアリルアルコールであり、少なくとも1つの可塑剤が約10〜約20%(重量/重量)の量で存在する請求項1に記載の投与形態。
【請求項27】
可塑剤が、グリセロールまたはプロピレングリコール、あるいはこれらの組合せまたは混合物である請求項26に記載の投与形態。
【請求項28】
可塑剤が、TECまたはプロピレングリコール、あるいはこれらの組合せまたは混合物である請求項26に記載の投与形態。
【請求項29】
少なくとも1つの溶解修飾賦形剤が、膨潤性固体HPCおよび製剤中に約2〜約10%(重量/重量)の量で存在する第2の膨潤性固体HPMCである請求項1に記載の投与形態。
【請求項30】
医薬組成物が、HPMC-AS、ハイプロメロースフタレート、ヒドロキシプロピルセルロース、プロピレングリコール、グリセロール、およびステアリルアルコールを含有する請求項1に記載の投与形態。
【請求項31】
HPMC-ASがLGグレードである請求項1〜30のいずれかに記載の投与形態。
【請求項32】
ステアリルアルコールが約3.75〜約6.25%(重量/重量)の量で存在する請求項1〜31のいずれかに記載の投与形態。
【請求項33】
HPMC-AS、ハイプロメロースフタレート、ヒドロキシプロピルセルロース、プロピレングリコール、グリセロール、およびステアリルアルコールが、製剤中に58.5/18.5/3/10/5/5%(重量/重量)として存在する請求項30に記載の投与形態。
【請求項34】
医薬組成物が以下の成分を含有する請求項1に記載の投与形態:
HPMC-AS/ハイプロメロースフタレート/ステアリルアルコール/HPC-SSL/グリセロール/プロピレングリコール(58.5/18.5/5/3/5/10重量/重量%);または
HPMC-AS/ステアリルアルコール/ハイプロメロース/グリセロール/プロピレングリコール(74/6/5/5/10重量/重量%);または
HPMC-AS/ハイプロメロースフタレート/ステアリルアルコール/ハイプロメロース/グリセロール/プロピレングリコール(56/18/6/5/5/10重量/重量%);または
HPMC-AS/ハイプロメロースフタレート/PEG400/ステアリルアルコール(59/19.5/15/6.5重量/重量%);または
HPMC-AS/ハイプロメロースフタレート/ステアリルアルコール/トリエチルシトレート/プロピレングリコール/ハイプロメロース(56.2/18.5/6.2/9.5/4.8/4.8重量/重量%);または
HPMC-AS/ハイプロメロースフタレート/トリアセチン/ステアリルアルコール(59/19.5/15/6.5重量/重量%);または
HPMC-AS/ヒドロキシプロピルセルロース/ステアリルアルコール/SDS/グリセロール(62.75/20/6.25/1/10重量/重量%);または
HPMC-AS/ヒドロキシプロピルセルロース/ステアリルアルコール/グリセロール(62.75/24.5/6.5/6.25重量/重量%);または
HPMC-AS/ヒドロキシプロピルセルロース/ステアリルアルコール/TiO2/トリアセチン(62.75/21.75/6.5/1/8重量/重量%)。
【請求項35】
HPMC-ASが約50〜約65%(重量/重量)の量で存在する請求項1に記載の投与形態。
【請求項36】
HPMC-ASが約40〜約70%(重量/重量)の量で存在する請求項1に記載の投与形態。
【請求項37】
(a)薬物物質を保持するように設計した内部空間を少なくとも部分的に規定する第1壁部分であって、胃腸環境中で溶解するように設計した第1壁部分を含むシェル;または
(b)実質的に円筒形の外側表面を有する第2壁部分であって、胃腸環境中で溶解するように設計した第2壁部分を含むリンカー;
の少なくとも1つを含んでなる投与形態であって、
第1または第2壁部分のそれぞれ1つが、約40〜70%(重量/重量)の量で存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMC-AS);約5〜約10%(重量/重量)の量で存在するステアリルアルコール;約10〜約50%(重量/重量)の量で存在するヒドロキシプロピルセルロース誘導体;および約1〜約30%(重量/重量)の量で存在する少なくとも1つの可塑剤;を含有する押出された医薬組成物から製造される投与形態。
【請求項38】
ヒドロキシプロピルセルロースが分子量<130,000を有する請求項37に記載の投与形態。
【請求項39】
可塑剤がトリアセチンである請求項37または38に記載の投与形態。
【請求項40】
HPMC-ASがLGグレードである請求項37〜39のいずれかに記載の投与形態。
【請求項41】
以下に示す請求項37に記載の投与形態:
【表1】

【請求項42】
複数のサブユニットを含んでなる多成分投与形態であって、各サブユニットが、
(a)薬物物質を保持するように設計した内部空間を少なくとも部分的に規定する第1壁部分であって、胃腸環境中で溶解するように設計した第1壁部分を含む少なくとも1つのシェル;および
(b)実質的に円筒形の外側表面を有する第2壁部分であって、胃腸環境中で溶解するように設計した第2壁部分を含む少なくとも1つのリンカー;
から選択され、
薬物物質を含有するカプセルが、約20〜70%(重量/重量)の量で存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMC-AS)、約1%〜約20%(重量/重量)の量で存在する少なくとも1つの可塑剤、約2%〜約15%(重量/重量)の量で存在する潤滑剤、および約10〜約60%(重量/重量)の量で存在する膨潤性固体を含有するシェル壁を有し、かつ薬物物質を含有し;
少なくとも患者への投与前に、機械的に溶接または機械的に結合して、組立てた投与形態にした多成分投与形態。
【請求項43】
少なくとも1つのリンカーが、エチルセルロース、ステアリルアルコール、グリセロール、およびBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)から構成される請求項42に記載の多成分投与形態。
【請求項44】
少なくとも1つのリンカーが、Eudragit RL100、ヒドロキシプロピルセルロースおよびステアリルアルコールから構成される請求項42に記載の多成分投与形態。
【請求項45】
少なくとも1つの薬物物質を含有するカプセル区画が、約0.1〜0.8mmの範囲内の厚みの壁を有する請求項42に記載の多成分投与形態。
【請求項46】
少なくとも1つの薬物物質を含有するカプセル区画が実質的持続放出性である請求項42に記載の多成分投与形態。
【請求項47】
実質的即時放出性である第2の薬物物質を含有するカプセル区画をさらに含んでなる請求項42〜46のいずれかに記載の多成分投与形態。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−503048(P2011−503048A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532677(P2010−532677)
【出願日】平成20年11月1日(2008.11.1)
【国際出願番号】PCT/IB2008/003872
【国際公開番号】WO2009/087483
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】