説明

半導体に基づくラマンレーザ及び増幅器用半導体導波路における二光子吸収による生成キャリアのライフタイム短縮

二光子吸収による生成キャリアのライフタイムが短縮された、半導体に基づくラマンレーザ及び/又は増幅器が提供される。本発明の実施形態に従った装置は、半導体材料に配置された光導波路、及び光導波路に配置されたダイオード構造を有する。光導波路は、第1の波長及び第1のパワーレベルを有する第1の光ビームを受光して、該半導体導波路内に第2の波長の第2の光ビームの放出をもたらすようにポンプレーザに結合されている。ダイオード構造は、光導波路内で二光子吸収に応じて生成された自由キャリアを光導波路から掃き出すようにバイアスされる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は概して光デバイスに関し、他を排除するものではないが、より具体的には半導体に基づく光増幅及びレージングに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットのデータトラフィックの増加率が音声トラフィックを追い越し、光ファイバー通信の必要性を後押しするにつれて、高速で効率的な光学に基づく技術の必要性が増大している。高密度波長分割多重(DWDM)システムにおける同一ファイバー上の複数の光チャンネルでの伝送は、ファイバー光学によって提供される前例のない容量(信号帯域幅)を使用する単純な手法をもたらす。このシステムにて一般的に使用される光学部品は、レーザ、光増幅器、WDM送信機及び受信機、例えば回折格子等の光フィルタ、薄膜フィルタ、ファイバーブラッグ格子、アレイ導波路回折格子、及びアド/ドロップマルチプレクサを含んでいる。
【0003】
レーザは誘導放出によって光を放出する周知のデバイスであり、赤外線から紫外線までの範囲の周波数スペクトルを有し、広範囲の用途で使用され得るコヒーレント光ビームを生成する。光通信又は光ネットワークの用途においては、光又は光ビームを生成するために半導体レーザが使用されてもよく、この光又は光ビーム上でデータやその他の情報が符号化され、送信され得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、半導体導波路における二光子吸収による生成キャリアのライフタイムが短縮された、半導体に基づくラマンレーザ及び増幅器等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に従った装置は、半導体材料に配置された光導波路、及び前記光導波路に配置されたダイオード構造を有する。前記光導波路は、第1の波長及び第1のパワーレベルを有する第1の光ビームを受光して、該半導体導波路内に第2の波長の第2の光ビームの放出をもたらすようにポンプレーザに結合されている。前記ダイオード構造は前記光導波路内での二光子吸収に応じて生成された自由キャリアを前記光導波路から掃き出すようにバイアスされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図面を参照して本発明の非限定的、且つ非網羅的な実施形態について説明する。図面においては、特に断らない限り、様々な図面を通して似通った参照符号は似通った部品を参照するものとする。
【0007】
半導体に基づくラマンレーザ用の半導体導波路における二光子吸収生成キャリアライフタイムを低減する方法及び装置について開示する。以下の記載においては、本発明の完全な理解を提供するため、多数の具体的詳細事項について説明する。しかしながら、当業者に明らかになるように、これらの具体的詳細事項は本発明の実施のために必ずしも用いられる必要はない。また、本発明を不明瞭にすることを避けるため、周知の材料又は方法については詳細に説明しないこととする。
【0008】
この明細書全体を通して、“一実施形態”または“ある実施形態”への言及は、実施形態に関連して述べられた特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味するものである。故に、この明細書全体を通して様々な箇所で“一実施形態において”又は“ある実施形態において”という言いまわしが現れることは、必ずしも全てが同一の実施形態について言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、1つ又は複数の実施形態において好適な如何なる手法で結合されてもよい。加えて、認識されるように、ここで提示される図面は当業者への説明を目的とするものであり、必ずしも縮尺通りには描かれていない。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に従った、シリコンに基づく誘導ラマン散乱(SRS)レーザが配置された半導体材料103を含む光デバイス101を例示している。一実施形態において、光デバイス101は半導体材料103用のシリコン基板を用いて実装されている。一実施形態において、半導体材料103はシリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハの一部である。図示された実施形態にて示されるように、光デバイス101は第1の波長λpの第1の光ビーム117を発生するポンプレーザ105を含んでおり、この光ビームは第1のパワーレベルを有している。一実施形態において、ポンプレーザは連続波のレーザビームを発生する連続波レーザである。他の一実施形態においては、ポンプレーザはパルスのレーザビームを発生するパルスレーザである。光ビーム117はポンプレーザ105から半導体材料103内に定められた第1の光導波路107を通って導かれる。
【0010】
一実施形態において、波長選択光カップラ109が該光カップラ109の2つの入力の一方で光ビーム117を受け取るように結合されている。図1の実施形態に示されるように、光カップラ109は第1の光導波路107、及び半導体材料103内に配置された第2の光導波路111を含んでいる。光導波路107と111との間の半導体材料103に結合領域を設けるため、光導波路107と111との間に絶縁領域121が配置されている。この実施形態において、光導波路107及び111を含む光デバイス101の光導波路は各々、シリコンのコアを有するようにシリコン基板に実装されている。その他の実施形態においては、これらの導波路は異なる1つ又は複数の材料から形成されたコアを有してもよい。
【0011】
説明のため、図1に示されるように、光カップラ109の第1の入力及び第1の出力は、それぞれ、光カップラ109の第1の光導波路107部分の入力及び出力に対応している。同様に、光カップラ109の第2の入力及び第2の出力は、それぞれ、光カップラ109の第2の光導波路111部分の入力及び出力に対応している。
【0012】
図1に示された実施形態においては、光カップラ109の第2の出力は光カップラ109の第2の入力に戻るように光学的に結合されており、半導体材料103内に第1のリング共振器137を形作っている。動作時、第1の光ビーム117は第1の光導波路107を介して光カップラ109の第1の入力にて受け取られる。詳細に後述するように、光カップラ109は波長選択性であり、故に波長λpの第1の光ビーム117を第1の光導波路107から第2の光導波路111を介して光カップラ109の第2の出力へと移す。従って、第1の光ビーム117は第2の光導波路111を通ってリング共振器137の周りを伝播される。
【0013】
本発明の教示に従って、ポンプレーザ105は光ポンプ信号を供給し、この信号は自然ラマン散乱を発生すること、及び選択された周波数のラマン信号を誘導ラマン散乱(SRS)を介して増幅することに使用される。媒体内でSRSが起こると、ポンプ信号のエネルギーの一部が異なる周波数の光に変換される。この周波数の差すなわちシフトはラマン周波数シフトと呼ばれている。
【0014】
故に、例示された実施形態においては、ポンプレーザ105は第1の光導波路107を介して波長λpの第1の光ビーム117を伴うポンプ信号を出力する。第1の光ビーム117はリング共振器137の周りを伝播するように移し換えられる。詳細に後述するように、一実施形態において、第1の光ビーム117のパワーレベルはリング共振器137内に第2の波長λsの第2の光ビーム119を放出させるのに十分にされる。
【0015】
波長λpでポンプされる材料のSRS利得係数の値は等式1によって与えられ得る:
【0016】
【数1】


ただし、Sは自然ラマン散乱係数(ωs4に比例する)、hはプランク定数、nsは導波路のコア材料のストークス周波数での屈折率、ωsはストークス放出の角周波数、N0はボーズ因子、そしてΓはストークス線の半値全幅の1/2(角周波数の単位)である。等式1は(Sのωs4の因子により)利得係数がストークスの角周波数に線形依存することを示している。
【0017】
故に、一実施形態において、リング共振器137の周りを伝播する第2の光ビーム119の第2の波長λsは、第1の光ビーム117の一次のストークス周波数に実質的に等しい周波数に対応する。動作時、第2の光ビーム119は第2の光導波路111を通って光カップラ109の第2の入力で受け取られる。
【0018】
上述のように、光カップラ109は、一実施形態において、光カップラ109の第2の入力で受け取られる第2の光ビーム119の実質的な部分が、第2の光導波路111を通って光カップラ109の第2の出力から出力されるように設計される。結果として、第2の光ビーム119の実質的な部分はリング共振器137を再循環させられ、故に、第2の光導波路111を通ってリング共振器137の周りを伝播し続ける。第2の光ビーム119はリング共振器137を通ってポンプ信号、第1の光ビーム117とともに伝播するので、第2の光ビーム119はリング共振器137中でSRSを介して増幅される。さらに、第2の光ビーム119がリング共振器137の周りを再循環されるときに第2の光ビーム119の放出を誘導するレージング(lasing)媒体として機能するリング共振器137媒体を有するリング共振器137にてレージングが起こる。結果として、本発明の教示に従って、第2の光ビーム119は増幅され、第2の光ビーム119のリーク部分が光カップラ109の第1の出力から第1の光導波路107を通って出力される。
【0019】
故に、ポンプ光ビーム117は光デバイス101のラマン利得を誘導するポンプビームとしての役割を果たし、本発明の実施形態に従って例えばシリコン等の半導体材料内で光増幅及びレーザを生成する。光通信帯域の1.3−1.6μmの波長範囲において、シリコンは注目に値する二光子吸収(TPA)を示す。二光子吸収は三次の非線形光学効果である。一般的に、1つの光子のエネルギーはシリコンのエネルギーバンドギャップよりも小さいため、一次の吸収は無視できる。しかしながら、例えば連続波励起などの高い光ポンプ強度においては、TPAがシリコン内に自由キャリアを発生し、それによりポンプ及びラマン信号ビームの双方に対して更なる光吸収を引き起こす。これにより、さもなければポンプ強度の増大につれてラマン利得が増大すると期待される場合であるポンプ強度が高い場合であっても、シリコン導波路内の正味の光利得が低減又は打ち消される。
【0020】
TPA及びTPA誘起自由キャリア吸収の双方の存在下では、出力ポンプ強度の入力強度への非線形な依存性が期待される。例えば、モデル化及び実験による示唆によれば、例えば1.5μm2の実効コア面積を有する5cmの長さのSOI中のシリコン導波路ではキャリアライフタイムは約23nsである。光生成による自由キャリア密度はポンプ強度及び実効キャリアライフタイムの双方に依存するので、本発明の実施形態に従ってキャリアライフタイムを短縮することはTPA誘起自由キャリアによる損失を低減する。従って、本発明の教示に従って、より大きいラマン利得が得られ、結局はシリコンラマンレーザが作り出されることになる。
【0021】
一実施形態において、ラマンレージングを実現する助けとなるようにTPA誘起自由キャリア密度を低減するために、逆バイアスされたP-I-N型半導体導波路が用いられる。逆バイアスされたP-I-Nダイオード構造が、本発明の実施形態に従って、半導体導波路領域内のキャリアを加速するために用いられる。光モード領域を横断するキャリア走行時間又はライフタイムがTPA誘起によるキャリア密度を決定する。
【0022】
例示のため、図2Aは、本発明の教示に従った光導波路211の他の一実施形態の上面図を示している。図2Bは本発明の実施形態に従った光導波路211の一実施形態の断面図を示している。一実施形態において、導波路211は肋骨状のシリコンのリブ(rib)状導波路であり、図1の第2の光導波路111に対応してもよいが、図1の実施形態に例示されたリング共振器構造に必ずしも限定されるものではない。故に、一実施形態における導波路211はリング共振器であってもよく、他の実施形態においては、導波路211は本発明の教示に従って必ずしもリング共振器には限定されない。
【0023】
例えば、導波路211がリング共振器ではない他の一実施形態においては、導波路211は該導波路211内にブラッグ格子247及び249と、それらの間の逆バイアスされたP-I-Nダイオード構造とを含んでもよい。この一実施形態においては、ブラッグ格子247及び249は第2の光ビーム219の波長λsに実質的に等しいブラッグ波長を有し、第2の光ビーム219の実質的に高い反射率をもたらす。結果として、第2の光ビーム219はブラッグ格子247と249との間で行ったり来たり反射され、本発明の教示に従ってブラッグ格子247と249との間の導波路211内で第2の光ビーム219のレージング及び/又は増幅が生じる。他の一実施形態においては、導波路211の面にダイクロイックコーティングが施されてもよく、第2の光ビーム219の固有波長を反射することによって、ブラッグ格子247及び249と同様な結果がもたらされる。導波路211がリング共振器である他の一実施形態においては、ダイクロイックコーティング及び/又はブラッグ格子247、249は不要である。
【0024】
図2Bは、リブ状導波路の一実施形態における導波路211を示しており、リブ状領域239及び板状のスラブ(slab)領域241を含んでいる。一実施形態において、導波路211の半導体材料は、導波路211を通る光路又は光モード218の外側のスラブ領域の対向する側部に配置されたp+型ドープト領域243及びn+型ドープト領域245を有する真性シリコンを含んでいる。一実施形態において、本発明の教示に従って得られるP-I-Nダイオード構造が逆バイアスされるように適合させるため、p+型ドープト領域243はグランドに結合され、n+型ドープト領域245はVDに結合される。一実施形態において、VDは得られるP-I-Nダイオード構造の降伏電圧より低くされる。
【0025】
一実施形態において、導波路211のリブ状領域239は幅W=1.5μmを有し、導波路211は高さH=1.35μmとエッチング深さ0.6μmとを有する。図示された実施形態に示されるように、p+型ドープト領域243とn+型ドープト領域245との間には6μmの間隔がある。一実施形態において、6μmの間隔を有するp+型ドープト領域243及びn+型ドープト領域245は、本発明の教示に従って、更なる光損失を殆どもたらさない。
【0026】
p+型ドープト領域243とn+型ドープト領域245との間の高い逆バイアスにより、光生成による自由キャリアは本発明の教示に従って素早く導波路211外に掃き出され、導波路211内の自由キャリア数が減少される。例えば、キャリアの速度が正孔の飽和速度の約1/3の大きさの3×106cm/sである場合、本発明の実施形態に従った光導波路では、約0.2nsの走行時間が得られ得る。一実施形態において、この短縮された走行時間は逆バイアスがない場合より約2桁も短いものである。
【0027】
図3は、本発明の教示に従った、線形導波路損失(0.22dB/cm)を考慮に入れた、異なるキャリアライフタイムを有するシリコン導波路の一実施形態における、モデル化された正味のラマン利得と、TPA誘起自由キャリア吸収とを示す図である。逆バイアスなしでは、キャリアライフタイムは長く(〜23ns)、導波路の散乱損失が低い(〜0.22dB/cm)場合であっても実質的にラマン利得は存在しない。しかしながら、本発明の実施形態に従って逆バイアスによってキャリアライフタイムが短縮されると、より小さい光生成自由キャリア密度によって正味のラマン利得が得られる。例えば、図3に示されるように、本発明の教示に従って走行時間が0.23nsである場合、200mW/μm2の強度の一実施形態にて約0.5dB/cmのラマン利得が達成可能である。
【0028】
図4は、600mWの入力ポンプパワーを用いて測定された、5cm長の導波路のラマン利得スペクトルを示している。図示されるように、約2dBのラマン利得のピークが得られた。図5は、TPA誘起自由キャリア吸収によって観測されたラマン利得の飽和を示している。図示されるように、約2.3dBの利得が約900mWのポンプ入力を用いて達成された。図6は、測定されたラマン利得と導波路損失との比較をポンプ強度の関数として示している。図4、5及び6から認識されるように、TPA誘起自由キャリア吸収はシリコンにて正味のラマン利得を達成することの制限要因である。故に、キャリアライフタイムを短縮することは、本発明の教示に従ってこのような影響を除去する効果的な手法である。
【0029】
シリコンに欠陥及びドーパントを導入することもまたキャリアライフタイムを短縮し得る。しかしながら、そうすることは通常、導波路の更なる光損失をもたらすことになる。本発明の実施形態に従ったP-I-Nデバイスにおいては、線形の光損失はp+型ドープト領域243及びn+型ドープト領域245によって影響されない。なぜなら、これらのドープト領域は本発明の教示に従って光路又は光モード218の外側にあるからである。さらに、低ポンプパワーのラマンレーザの一実施形態にて使用され得る一層小型の導波路では、p+とn+との間隔は例として上述の実施形態でまとめられた6μmの間隔より遙かに小さくされ得る。故に、本発明の教示に従ったこのような実施形態においては、キャリア走行時間は更に短縮される。
【0030】
上述の例においては、連続波励起を用いるラマンレージングを実現する助けとなるようにTPA誘起自由キャリア密度を低減するために、逆バイアスされたP-I-N型半導体導波路が用いられていた。他の一実施形態においては、ラマンレージングを実現する助けとなるようにTPA誘起自由キャリア密度を低減するために、短パルスポンプが用いられてもよい。例えば、短パルスポンプのポンプ強度は短い期間しか存続しないので、ピークポンプ強度が同一の場合であっても、蓄積自由キャリア密度は連続波ポンプの場合より低くなる。故に、本発明の教示に従って、連続波レーザと比較して、パルスポンプレーザを用いるとTPA誘起光損失が低減される。
【0031】
図7は、例示のため、1.6cmの導波路長を有する4μmの導波路についての短パルスポンププローブ測定を示している。図示された実施形態に示されるように、短パルスポンプを用いると本発明の教示に従って約0.8dBの利得が実現されている。これは、観測されたラマン利得がTPA誘起自由キャリア吸収による損失を0.8dBだけ上回ったことを意味している。図8は他の一実施形態を示しており、4.8cmの導波路長を有する1.5μmの導波路についての短パルスポンププローブ測定が行われている。図示された実施形態に示されるように、本発明の教示に従って約2dBの利得が実現されている。図7及び8の双方が示唆しているのは、TPA誘起自由キャリア吸収を低減することによって実際に正味の光利得が得られることであり、このことは結局、図1に例示されたリング共振器のような低損失シリコン導波路キャビティのための、且つ/或いは2つのブラッグ格子及び/又は面上のダイクロイックコーティングの間に逆バイアスされたP-I-Nダイオード構造が配置されたシリコン導波路のための、ラマンレージングにつながるということである。
【0032】
図9は、本発明の教示に従った光導波路911の他の一実施形態を示している。一実施形態において、光導波路911はシリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハに配置されたシリコンのリブ状導波路である。一実施形態において、光導波路911は小さい断面積を有する低損失のシリコン導波路であり、本発明の教示に従って低減された光損失とともにSRSを介しての正味の光利得をもたらす。
【0033】
図9に示されるように、光導波路911の一実施形態はリブ状領域939及びスラブ領域941を含んでいる。一実施形態において、光導波路911は薄くp型にドーピングされたSOI基板の(100)面に、標準的なフォトリソグラフィによるパターン形成及び反応性イオンエッチング技術を用いて作成される。一実施形態において、SOI基板は埋込絶縁層951及びシリコン層953を有するSOIウェハに含まれている。一実施形態において、光導波路911が含まれる薄くp型にドーピングされたSOI基板は2×1015cm-3未満のドーピング濃度を有する。図示された実施形態に示されるように、リブ状領域939は約1.52μmの幅を有し、光導波路911の高さは約1.45μmであり、スラブ領域が約0.82μmの高さを有するように約0.63μmのエッチング深さを備えている。従って、光導波路911の一実施形態の実効的なコア面積は、光導波路911を導かれる波長1.55μmの光ビームのTEモードに対して約1.57μm2、TMモードに対して約1.41μm2である。
【0034】
本発明の教示に従って、比較的小さい断面積の光導波路911は、より大きいラマン利得を達成するために使用される光パワーを低減する。なぜなら、ラマン散乱強度を決定するのは光強度だからである。一実施形態において、ポンププローブビームの相互作用長を増大させ、ひいてはラマン利得の増大をもたらすように、約4.8cmの全長と約400μmの曲率半径とを有するS字状の光導波路がSOIウェハに作成される。光導波路911の直線部分はSOIウェハのシリコンの[011]方向に向けられる。
【0035】
一実施形態において、光導波路911の線形の光伝送損失は低い入力光パワーでのファブリーペロー(FP)共振技術を用いて特徴付けられてもよい。一実施形態において、光導波路911の面は研磨されるが、FPキャビティを形成するようにコーティングされない。約1.55μmの波長を有する可調レーザを用いて生成されるFP縞模様(fringe)の測定と、3次元有限差分時間領域(FDTD)法に基づいてモデル化された導波路/空気界面での反射係数とから、本発明の技術に従った曲げ損失を含む4.8cm長の光導波路911に対して約0.22dB/cmの線形損失が得られる。一実施形態において、TE及びTMモードは同様の伝送損失を有する。一実施形態において、ポンププローブ技術を用いたSRS利得測定に関するフレネル反射損失を低減するために、導波路の面は研磨され、反射防止膜が両面に塗布される。
【0036】
上述のように、連続波(CW)励起によりもたらされるシリコン中のTPAは、比較的長いキャリア再結合ライフタイムのために著しい量の自由キャリアを誘起することがある。これらの光生成自由キャリアは、自由キャリアのプラズマ分散効果によって更なる光損失を誘起する。従って、一実施形態において、本発明の教示に従ってこの効果を抑制するために、CWレーザに代えてパルスポンプレーザが使用される。こうして、本発明の教示に従ってポンプパルス幅が光導波路911内のキャリアライフタイムに対して小さいとき、TPAによって生成される自由キャリアのピーク密度は有意に低減される。
【0037】
例えば、光がz方向に伝播すると仮定して、強度プロファイルI(t,z)を有するレーザパルスによって光導波路911が励起されるとき、TPA誘起自由キャリア密度[N(t,z)]は等式2によって記述される:
【0038】
【数2】


等式2にて、βはTPA係数、hνは1つの光子のエネルギー、そしてτはキャリアの再結合ライフタイムである。一実施形態において、入力ポンプパルスの強度プロファイルはガウシアン形状によって記述される:
【0039】
【数3】


ただし、I0はピーク強度であり、T0はパルスの半値全幅である。TPAとTPA誘起の自由キャリア吸収(FCA)を考慮に入れると、導波路に沿ったポンプ強度の漸進的変化は次の等式によって記述され得る:
【0040】
【数4】


ただし、αは線形吸収係数であり、σは自由キャリア吸収断面積である。波長1.55μmでは、シリコンのσは1.45×10-17cm2である。一実施形態においては、ラマン変換効率は小さいので等式4のポンプ低減効果は無視し得る。さらに、導波路分散によるポンプパルスの拡がり効果も、使用されるパルス幅は比較的大きく(〜17ns)且つ導波路の長さは分散長より遙かに短いので、一実施形態においては無視し得る。SRS信号[Is(t,z)]は次式によって記述されてもよい:
【0041】
【数5】


ただし、grはラマン利得係数である。導波路の入力においてプローブビームはCW、すなわち、Is(t,0)は定数である。しかしながら、導波路内ではパルス状のポンプとポンプ誘起自由キャリア密度によってプローブ信号は時間に依存する。等式3で記述される入力パルス形状を用いて結合方程式2、4及び5を解くことにより、ポンプとプローブビームの伝播特性を、本発明の教示に従ってシリコン導波路911内でTPAによって生成される時間及び位置に依存する自由キャリア密度とともに得ることができる。
【0042】
図10は、本発明の教示に従った4.8cm長の導波路の一実施形態について計算されたポンプパルスの漸進的変化を示している。一実施形態において、ピークのポンプ強度I0=50MW/cm2、パルス幅T0=17ns、そしてキャリアライフタイムτ=25nsが用いられている。TPA係数はβ=0.5cm/GWである。図10に示された実施形態はポンプパルスが導波路を伝播するときのピーク強度とパルス形状変化との双方を示している。光の減衰は線形及び非線形の双方の光吸収に起因している。ポンプパルス形状の非対称性は光生成自由キャリア吸収効果に起因している。このことはモデル化された自由キャリア密度プロファイルから一層はっきりと見て取れる。なぜなら、FCAはキャリア密度に比例するからである。図11は、図10の実施形態と同一のポンプ条件での、導波路に沿った3つの異なる位置z=0、2.4、4.8cmでのキャリア密度プロファイルを示している。図11に示された実施形態にて示されるように、キャリア密度の時間依存性は非対称であり、ピーク密度はポンプビームが導波路を伝播するにつれて低下している。ピークキャリア密度はポンプ強度が最大値に到達した僅か後に生じる。これはキャリアの生成過程と減衰過程との間の競合の結果である。
【0043】
図12は、様々なパルス幅のパルスレーザによって励起されたシリコン導波路の、z=0での自由キャリア密度プロファイルの一例を示している。図示されるように、ピーク入力強度はI0=50MW/cm2、TPA係数はβ=0.5cm/GW、そしてキャリアライフタイムはτ=25nsである。図12は、同一のピークポンプ強度の場合、ピークキャリア密度はパルス幅に強く依存することを指し示している。光パルスが狭くなるほど、その結果のキャリア密度は小さくなる。故に、TPA誘起FCAは、CW励起と比較して狭いパルスほど小さくなることが期待される。このことは、本発明の教示に従ったシリコン導波路で正味のラマン利得を実現する助けとなるものである。
【0044】
一実施形態において、シリコン導波路のSRSはポンププローブ技術の使用によって測定されてもよい。この実施形態においては、パルスのポンプビームとCWのプローブビームとが波長マルチプレクサを用いて結合され、精密アライメントステージ上に搭載された一対の顕微鏡対物レンズから成る自由空間モード整合光学系によって検査対象の導波路に結合される。導波路の出力ビームは別の対物レンズによって平行にされ、光フィルタを用いてポンプビームとプローブビームとに分離される。プローブビームはフィルタを通過し、広帯域光検出器を用いて検出される。一方、ポンプビームはフィルタによって遮断される。ポンプビーム及びプローブビームの偏光状態を設定するためにファイバー偏光制御器が使用される。一実施形態において、導波路の入力パワー及び出力パワーを測定すること、及び導波路の損失を考慮することによって導波路への結合効率が評価される。
【0045】
一実施形態におけるラマン利得測定では、ポンプレーザは1545nmで動作するパルス幅T0=17nsのパルスレーザであり、プローブレーザは1MHz未満の線幅を有するCWの外部キャビティ型可調ダイオードレーザである。プローブレーザのパワーは2mWであり、その偏光は導波路のTEMモードに整合される。一実施形態において、ラマン波長とそれを外れた波長との双方で、所与の入力ポンプパワー及びパルス幅に対して、時間に依存するプローブ信号が測定される。
【0046】
例示のため、図13は、470mWのピークポンプパワーを伴うポンプパルスが存在する本発明の教示に従った4.8cmのシリコン導波路にて測定されたプローブ信号を示している。図13は、具体的には、4.8cm長のシリコン導波路のラマン波長及び非ラマン波長での測定プローブ信号を時間の関数として示している。例示された実施形態においては、導波路内のピークポンプパワーは470mWであり、ポンプ波長は1.545μmである。ポンプビームはTE偏光にされ、プローブビームはTM偏光にされている。図13に示されるように、プローブ波長が非ラマン波長であるとき(この場合、gr=0)、プローブビームはポンプパルス誘起自由キャリアを主因とする更なる光損失(オン−オフ損失はおよそ2.85dB)を被る。プローブ波長がラマン波長にある実施形態においては、プローブ信号は増大され、およそ3dBのオン−オフ利得が得られる。この実施形態においては、オン−オフ利得(損失)はプローブ信号のピーク(谷)にあるときのプローブ信号と、ないときのプローブ信号との比として定義されている。0.22dB/cmの線形導波路損失を考慮に入れると、正味の利得G=2dBが導波路で得られている。導波路の正味の利得Gは次式で定義される:
【0047】
【数6】


ただし、Iin、及びIoutはラマン波長での、入力プローブ強度、及び導波路内のピーク出力プローブ強度である。故に、ラマン利得の導波路長依存性は式6中に暗示的に含まれている。
【0048】
図14は、T0=17ns、I0=30MW/cm2、τ=25nsでの4.8cm長の導波路におけるプローブ信号の一例を示している。図13及び14に示された例を比較することにより、オン−オフ利得及び損失はプローブ信号プロファイルとともに、本発明の教示に従って一貫していることが見て取れる。
【0049】
図15は、本発明の教示に従った光導波路の一実施形態に対する、モデル化と測定とによる正味のラマン利得をポンプ強度の関数として示している。図15に示されるように、4.8cm長のシリコン導波路に関する正味のラマン利得がポンプ強度の関数として例示されている。例示された実施形態においては、使用されたラマン利得係数はgr=10.5cm/GWである。その他のパラメータはパルス幅T0=17ns、及びキャリアライフタイムτ=25nsである。
【0050】
図16は、本発明の教示に従った半導体導波路1611の一実施形態の断面図を例示しており、半導体導波路1611は半導体導波路内の二光子吸収生成キャリアのライフタイムを短縮するためのPN接合ダイオード構造を含んでいる。一実施形態において、導波路1611はシリコンのリブ状導波路であり、リブ状領域1639及びスラブ領域1641を含んでいる。一実施形態において、導波路1611は埋込酸化層1651及び別のシリコン層1653を含むSOIウェハ上に作成されている。一実施形態において、導波路1611は図16に例示されるように、濃くドーピングされたP+領域1643、薄くドーピングされたP−領域1655、薄くドーピングされたN−領域1657、及び濃くドーピングされたN+領域1645を含んでいる。一実施形態において、P+領域1643及びN+領域1645は、導波路1611を通る光路又は光モードの外側のスラブ領域1641の対向する側部に配置されている。一実施形態において、P+領域1643はグランドに結合されてもよく、N+型領域1645は電圧VDに結合される。その結果、P−領域1655とN−領域1657との界面のPN接合が逆バイアスされ、本発明の教示に従って光生成自由キャリアが導波路1611の外に素早く掃き出され、導波路1611内の自由キャリア数が減少されるような電界が作り出される。
【0051】
例示のため、図17は、例えば図16の導波路1611等のPN接合ダイオード構造を有する半導体導波路の一実施形態における、電子及び正孔のドリフト速度を示している。一実施形態において、導波路1611はP+領域1643とN+領域1645との間に6μmの間隔を有し、-5Vでバイアスされる。図示された例に示されるように、電子及び正孔のドリフト速度は本発明の教示に従って、導波路1611のP+領域1643とN+領域1645との間の光モードを通る導波路1611の部分で実質的に増大される。この実施形態は、例えば、導波路1611が真性ではなく、且つ/或いは例えば2×1015cm-3より大きいドーピング濃度を有する場合に、光生成自由キャリアを除去するのに効果的である。
【0052】
図18は、本発明の教示に従った半導体導波路1811の一実施形態の断面図を例示しており、半導体導波路1811は半導体導波路内の二光子吸収生成キャリアのライフタイムを短縮するための金属−半導体−金属(MSM)構造を有している。一実施形態において、導波路1811はシリコンのリブ状導波路であり、リブ状領域1839及びスラブ領域1841を含んでいる。一実施形態において、導波路1811は埋込酸化層1851及び別のシリコン層1853を含むSOIウェハ上に作成されている。一実施形態において、金属領域1843及び1845は、導波路1811を通る光路又は光モードの外側のスラブ領域1841の対向する側部に配置されている。一実施形態において、金属領域1843及び1845は、得られるMSM構造を用いてショットキーダイオード構造が形成されるように、例えば、これらに限定されないがチタン、タングステン及び金(TiW/Au)等の材料を含んでいる。一実施形態において、このショットキーダイオードは然るべくバイアスされ、本発明の教示に従って光生成自由キャリアが導波路1811の外に素早く掃き出され、導波路1811内の自由キャリア数が減少されるような電界が作り出される。
【0053】
図19は、本発明の実施形態に従った半導体に基づくラマンレーザをもたらす光デバイスとともに、ポンプレーザ及び受光器を含むシステムの一実施形態をおおまかに例示するブロック図である。具体的には、図19はポンプレーザ1903を含む光学システム1901を示しており、ポンプレーザ1903は第1のパワーレベルを有する波長λpのポンプ信号又は光ビーム1917を発生する。
【0054】
第1の光ビーム1917は、一実施形態において本発明の教示に従ったラマンレーザを含む光デバイス1905によって受光される。一実施形態において、光デバイス1905は例えば上述のラマンレーザの実施形態と同様である。例えば、光デバイス1905は図1の光導波路111、図2の光導波路211、図9の光導波路911、図16の導波路1611、又は図18の導波路1811等と同様の光導波路を含んでいてもよい。ポンプレーザ1903は、一実施形態において、光デバイス1905が配置された半導体材料1943の外側にある。ポンプレーザ1903は、他の一実施形態においては、光デバイス1905が配置されたのと同一の半導体材料1943に配置されてもよい。一実施形態において、ポンプレーザ1903は連続波レーザである。他の一実施形態においては、ポンプレーザ1903は短パルスレーザである。
【0055】
一実施形態において、光デバイス1905は第1の光ビーム1917を受光し、波長λsの第2の光ビーム1919の放出を誘導するように適応されている。一実施形態において、第1の光ビーム1917のパワーレベルは、本発明の教示に従って、光デバイス1905に含まれる光導波路内でSRSによって第2の光ビーム1919の放出とレージングとを引き起こすのに十分にされる。そして、一実施形態において、受光器1907は本発明の教示に従って、波長λsを有する第2の光ビーム1919を受光するように結合されている。
【0056】
一実施形態において、第1の光ビーム1917は光導路(optical conduit)1939を通って光デバイス1905に受光されるように結合されている。一実施形態において、第2の光ビーム1919は光導路1941を通って受光器1907に受光されるように結合されている。一実施形態において、光導路1939及び1941は、本発明の教示に従った例えば1つ又は複数の光ファイバー、光導波路、自由空間、又は他の好適な光導路を含んでいてもよい。
【0057】
システム1901は、一実施形態において、ポンプレーザ1903、光デバイス1905及び受光器1907がコンピュータシステムの内部部品に含まれた単一のコンピュータシステムに含まれていてもよい。例えば、一実施形態において、システム1901はパーソナルコンピュータ又はノート型コンピュータ等のコンピュータシステムであってもよく、このとき、光デバイス1905は当該コンピュータシステムの半導体材料1943に含まれるプロセッサ内に含まれており、受光器1907は当該コンピュータシステムの例えばビデオ制御カード、ネットワークインターフェースカード、メモリ等の内部カード1945に含まれている。この実施形態においては、光デバイス1905を含む半導体材料1943内に含まれたプロセッサと、受光器1907を含む内部カード1945との間で光通信が提供されてもよい。他の一実施形態においては、システム1901は単一のチップ又はチップセットに含まれていてもよく、このとき、ポンプレーザ1903及び受光器1907は当該チップ又はチップセットの内部部品である。更に他の一実施形態においては、システム1901は通信ネットワークに含まれていてもよく、このとき、レーザ1903及び受光器1907は当該通信ネットワークの別個の部品に含まれている。
【0058】
例示された本発明の実施形態についての上記記載は、要約書に記載されたものも含め、網羅的であること、又は本発明を開示された形態そのものに制限することを意図するものではない。ここでは例示目的のため、本発明に関する具体的な実施形態及び実施例を説明したが、当業者に認識されるように、様々な等価な変形が為され得る。実際に、具体的な波長、寸法、材料、時間、電圧、パワー範囲の値などは説明目的で提示されており、本発明の教示に従った他の実施形態においては、その他の値が使用されてもよいことは認識されるところである。
【0059】
これらの変形は上記の詳細な説明を踏まえて本発明に為され得るものである。請求項にて使用される用語は、本発明を明細書及び特許請求の範囲にて開示された特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではない。むしろ、本発明の範囲は、確立されたクレーム解釈に従って解釈されるべき請求項によって決定されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に従った半導体に基づく誘導ラマン散乱(SRS)レーザを例示するブロック図である。
【図2A】本発明の教示に従った、半導体導波路における二光子吸収生成キャリアライフタイムを短縮するためのP-I-Nダイオード構造を含む半導体導波路を例示する上面図である。
【図2B】本発明の教示に従った、半導体導波路における二光子吸収生成キャリアライフタイムを短縮するためのP-I-Nダイオード構造を含む半導体導波路を例示する断面図である。
【図3】本発明の教示に従った、線形導波路損失を考慮に入れた、異なるキャリアライフタイムを有するシリコン導波路の一実施形態における、モデル化された正味のラマン利得を示す図である。
【図4】入力ポンプレーザによって励起される導波路の一実施形態における測定されたラマン利得スペクトルを例示する図である。
【図5】本発明の教示に従った一実施形態において観測された、ポンプパワーに対するラマン利得の飽和を例示する図である。
【図6】本発明の教示に従った一実施形態において測定された、ポンプ強度の関数としてのラマン利得及び導波路損失の比較を例示する図である。
【図7】本発明の教示に従った導波路の一実施形態における短パルスポンププローブ測定を例示する図である。
【図8】本発明の教示に従った導波路の他の一実施形態における短パルスポンププローブ測定を例示する図である。
【図9】本発明の教示に従った、SOIウェハに配置された光導波路の他の一実施形態を示す図である。
【図10】本発明の教示に従った導波路の一実施形態における、パルスポンプレーザの強度の時間的プロファイルを例示する図である。
【図11】本発明の教示に従った導波路の一実施形態における、パルスポンプレーザによって生成されるキャリア密度プロファイルを例示する図である。
【図12】本発明の教示に従った一実施形態における、様々なパルス幅のパルスレーザによって励起されるキャリア密度プロファイルを例示する図である。
【図13】本発明の教示に従った導波路の一実施形態における、時間の関数としての測定されたプローブ信号プロファイルを例示する図である。
【図14】本発明の教示に従った導波路の一実施形態における、時間の関数としての誘導プローブ信号プロファイルを例示する図である。
【図15】本発明の教示に従った導波路の一実施形態における、ポンプ強度の関数としての正味のラマン利得を例示する図である。
【図16】本発明の教示に従った、半導体導波路における二光子吸収生成キャリアライフタイムを短縮するためのPN接合ダイオード構造を含む半導体導波路の一実施形態を例示する断面図である。
【図17】本発明の教示に従った、半導体導波路における二光子吸収生成キャリアライフタイムを短縮するためのPN接合ダイオード構造を含む半導体導波路の一実施形態における、電子及び正孔のドリフト速度を例示する図である。
【図18】本発明の教示に従った、半導体導波路における二光子吸収生成キャリアライフタイムを短縮するためのMSMショットキーダイオード構造を有する半導体導波路の一実施形態を例示する断面図である。
【図19】本発明の実施形態に従った半導体に基づくラマンレーザを用いた光デバイスを含むシステムを例示するブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料に配置された光導波路;及び
前記光導波路に配置されたダイオード構造であって、前記光導波路が第1の波長及び第1のパワーレベルを有する第1の光ビームを受光して、該半導体導波路内に第2の波長の第2の光ビームの放出をもたらすようにポンプレーザに結合されており、当該ダイオード構造が前記光導波路内で二光子吸収に応じて生成された自由キャリアを前記光導波路から掃き出すようにバイアスされるダイオード構造;
を有する装置。
【請求項2】
前記ダイオード構造が:
前記光導波路の側部に配置されたP+型ドープト領域;及び
前記光導波路の対向する側部に配置されたN+型ドープト領域;
を含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ダイオード構造が、前記P+型ドープト領域と前記N+型ドープト領域との間に配置された真性半導体材料を含んでいる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ダイオード構造が更に:
内部に前記P+型ドープト領域が配置されたP−型ドープト領域;及び
内部に前記N+型ドープト領域が配置されたN−型ドープト領域;
を含んでいる、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記ダイオード構造が金属−半導体−金属構造を含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記金属−半導体−金属構造がショットキーダイオード構造を含んでいる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記光導波路が前記半導体材料に配置されたリング共振器に含まれている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
第1及び第2の反射器を更に有し、前記ダイオード構造が前記第1及び第2の反射器間の前記光導波路に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の反射器が1つ又は複数のブラッグ格子又はダイクロイックコーティングを更に有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ダイオード構造が、前記光導波路内の二光子吸収誘起自由キャリア密度を低減するために逆バイアスされる、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記ポンプレーザがパルスレーザ又は連続波レーザの一方を含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
第1のパワーレベルを有する第1の波長の第1の光ビームを半導体材料に定められた光導波路に導くステップ;
前記光導波路内で第2の波長の第2の光ビームの放出を、該第2の光ビームの放出を生じさせるに十分な前記第1のパワーレベルを有する前記第1の光ビームを用いて生じさせるステップ;及び
前記光導波路内で二光子吸収に応じて生成された自由キャリアを前記光導波路から掃き出すステップ;
を有する方法。
【請求項13】
自由キャリアを前記光導波路から掃き出す前記ステップが、前記光導波路内で二光子吸収に応じて生成された前記自由キャリアを前記光導波路から掃き出すように、前記光導波路に含まれるダイオード構造を逆バイアスするステップを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
自由キャリアを前記光導波路から掃き出す前記ステップが、前記光導波路内で二光子吸収に応じて生成された前記自由キャリアを前記光導波路から掃き出すように、前記光導波路に含まれるPN接合構造をバイアスするステップを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
自由キャリアを前記光導波路から掃き出す前記ステップが、前記光導波路内で二光子吸収に応じて生成された前記自由キャリアを前記光導波路から掃き出すように、前記光導波路に含まれるP-I-N接合構造をバイアスするステップを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
自由キャリアを前記光導波路から掃き出す前記ステップが、前記光導波路内で二光子吸収に応じて生成された前記自由キャリアを前記光導波路から掃き出すように、前記光導波路に含まれる金属−半導体−金属構造をバイアスするステップを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記光導波路内で第2の波長の第2の光ビームの放出を生じさせる前記ステップが、前記光導波路内での前記第2の光ビームの放出を更に誘導するように、前記光導波路を含むリング共振器の周りで前記第2の光ビームを循環させるステップを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記光導波路内で第2の波長の第2の光ビームの放出を生じさせる前記ステップが、前記光導波路内での前記第2の光ビームの放出を更に誘導するように、前記光導波路に含まれる第1及び第2の反射器間で前記第2の光ビームを反射されるステップを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
第1のパワーレベルを有する第1の波長の第1の光ビームを光導波路に導く前記ステップが、パルスレーザビームを前記光導波路に導くステップを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
第1のパワーレベルを有する第1の波長の第1の光ビームを光導波路に導く前記ステップが、連続波レーザビームを前記光導波路に導くステップを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
第1の波長及び第1のパワーレベルを有する第1の光ビームを発生するポンプレーザ;
半導体材料に配置された光導波路と、前記光導波路に配置されたダイオード構造とを含む光デバイスであって、前記光導波路が前記第1の光ビームを受光するように光学的に結合されており、前記第1の光ビームの前記第1のパワーレベルが前記光導波路内に第2の波長の第2の光ビームの放出を生じさせるのに十分であり、前記ダイオード構造が前記光導波路内で二光子吸収に応じて生成された自由キャリアを前記光導波路から掃き出すようにバイアスされる、光デバイス;
前記光デバイスから前記第2の光ビームを受光するように光学的に結合された受光器;及び
前記光デバイスからの前記第2の光ビームを受光するように前記受光器を光学的に結合する、前記光デバイスと前記受光器との間に光学的に結合された光ファイバー;
を有するシステム。
【請求項22】
前記ダイオード構造が:
前記光導波路の側部に配置されたP+型ドープト領域;及び
前記光導波路の対向する側部に配置されたN+型ドープト領域;
を含んでいる、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記ダイオード構造が、前記P+型ドープト領域と前記N+型ドープト領域との間に配置された真性半導体材料を含んでいる、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記ダイオード構造が更に:
内部に前記P+型ドープト領域が配置されたP−型ドープト領域;及び
内部に前記N+型ドープト領域が配置されたN−型ドープト領域;
を含んでいる、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記ダイオード構造が金属−半導体−金属構造を含んでいる、請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
前記金属−半導体−金属構造がショットキーダイオード構造を含んでいる、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記光導波路が前記半導体材料に配置されたリング共振器に含まれている、請求項21に記載のシステム。
【請求項28】
第1及び第2の反射器を更に有し、前記ダイオード構造が前記第1及び第2の反射器間の前記光導波路に配置されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項29】
前記ダイオード構造が、前記光導波路内の二光子吸収誘起自由キャリア密度を低減するために逆バイアスされる、請求項21に記載のシステム。
【請求項30】
前記ポンプレーザがパルスレーザ又は連続波レーザの一方を含んでいる、請求項21に記載のシステム。
【請求項31】
半導体材料に配置された光導波路;及び
前記光導波路に配置されたダイオード構造であって、前記光導波路が第1の波長及び第1のパワーレベルを有する第1の光ビームを受光して、該半導体導波路内に第2の波長の第2の光ビームの誘導ラマン散乱をもたらすようにポンプレーザに結合されており、当該ダイオード構造が前記光導波路内での二光子吸収に応じて生成された前記光導波路内の自由キャリア数を減少させるようにバイアスされるダイオード構造;
を有する装置。
【請求項32】
前記ダイオード構造が:
前記光導波路の側部に配置されたP+型ドープト領域;及び
前記光導波路の対向する側部に配置されたN+型ドープト領域;
を含んでいる、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記ダイオード構造が、前記P+型ドープト領域と前記N+型ドープト領域との間に配置された真性半導体材料を含んでいる、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記ダイオード構造が更に:
内部に前記P+型ドープト領域が配置されたP−型ドープト領域;及び
内部に前記N+型ドープト領域が配置されたN−型ドープト領域;
を含んでいる、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記ダイオード構造が金属−半導体−金属構造を含んでいる、請求項31に記載の装置。
【請求項36】
前記金属−半導体−金属構造がショットキーダイオード構造を含んでいる、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記光導波路が前記半導体材料に配置されたリング共振器に含まれている、請求項31に記載の装置。
【請求項38】
第1及び第2の反射器を更に有し、前記ダイオード構造が前記第1及び第2の反射器間の前記光導波路に配置されている、請求項31に記載の装置。
【請求項39】
前記第1及び第2の反射器が1つ又は複数のブラッグ格子又はダイクロイックコーティングを更に有する、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記ポンプレーザがパルスレーザ又は連続波レーザの一方を含んでいる、請求項31に記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2008−511862(P2008−511862A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−529888(P2007−529888)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/027631
【国際公開番号】WO2006/028621
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(593096712)インテル コーポレイション (931)
【Fターム(参考)】