説明

半導体の規則配列構造

光吸収及び電荷担体分離を提供する寸法、配列、及び配向を有する半導体構造体アレイを具えるデバイス。半導体構造体は、比較的高いアスペクト比をもって形成されている。即ち、この構造体は、受光方向において長く、半径が比較的短く、電荷の半径方向における効率的回収を容易にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本出願は、審査継続中である、同一出願人による以下の米国特許出願、すなわち、2007年7月19日に出願された、米国特許出願第60/961,170号、「ワイヤアレイサンプル及びコントロールの製造」;2007年7月19日に出願された、米国特許出願第60/961,169号、「金及び銅触媒を用いた大領域(>1cm)に縦に整列したシリコンワイヤアレイの成長」;2007年7月19日に出願された、米国特許出願第60/961,172号、「高アスペクト比のシリコンワイヤアレイ光電気化学セル」;2007年8月28日に出願された、米国特許出願第60/966,432号、「ポリマ埋め込み型半導体ロッドアレイ」;及び2008年5月13日に出願された、米国特許出願第61/127,437号、「シリコンロッドアレイの再成長」;に関連しており、その利益を要求する。これらの出願の全内容はここに引用によって組み込まれている。
【0002】
本出願は、また、審査継続中である、同一出願人による以下の特許出願、すなわち、同日付で出願した、出願番号12/176,099(代理人整理番号P226−US)、「縦に整列したシリコンワイヤアレイの構造及びこれを形成する方法」;出願番号12/176,065(代理人整理番号P227−US)、「ポリマ埋め込み型半導体ロッドアレイ」;及び、出願番号12/176,100(代理人整理番号P260−US)、「縦に整列したワイヤアレイの成長用ウエハの再使用方法」にも関連する。これらの出願は、そのまま参照によりここに組み込まれている。
【0003】
連邦支援の研究又は開発に関する記載
米国政府はDOEによって与えられた、許可番号DE−FG02−03ER15483によって、本発明において所定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
1.分野
本開示は、光をエネルギィに変換する構造体に関する。特に、本開示は、半導体ワイヤの配列構造を用いて光を電力に変換するデバイスについて述べる。
【0005】
2.関連技術の記載
太陽エネルギィ変換用の光子吸収体におけるキーとなる制約は、その材料が、材料のバンドギャップ以上のエネルギィを伴う太陽光線のほとんどの光子を吸収するのに十分に厚くなければならないのにもかかわらず、光子で生成された電荷担体を効率よく回収するために、拡散長が長い少数担体を有するのに十分に純粋でなければならないことである。この制約は、最小限必要な吸収体相の純度に影響するため、吸収体材料上にコストのかかるフロアを強要することになる。このような事情は、1.12eVであるシリコンのバンドギャップを超えて、太陽光線中のエネルギィの90%を吸収するのに100μmの厚さを必要とするシリコンなど、間接的なバンドギャップ吸収体について特に厳しい。
【0006】
太陽電池アプリケーションに使用する高価でない候補材料は、一般的に不純物レベルが高い、あるいは欠陥密度が高いため、少数担体の拡散長が短い。このような拡散長が短い材料を、従来の平面p−n接合太陽電池ジオメトリの吸収ベースとして使用すると、ベース領域における少数担体の拡散によって担体回収が制限されたデバイスとなる。従って、このようなセルのベースの厚さを厚くすることによって、より多くの光が吸収されるが、デバイスの効率は上がらない。最新式の光トラッピングスキームが欠如している場合、拡散長が短く、吸収効率が低い材料は、エネルギィ変換効率が高い平面太陽電池構造に容易に組み入れることができない。
【0007】
太陽エネルギィ変換に関する別のアプローチが、Law,M;Greene,L.E.;Johnson,J.C.;Saykally,R.;Yang,P.D.Nat.Mater.2005,4,455−459に開示されている。Law,et al.では、酸化亜鉛ナノワイヤアレイが染料で被覆されて、電解質中に配置されている。このナノワイヤアレイは、太陽熱の放射にさらされる表面積を増やす働きをする。このナノワイヤは、一次吸収体がナノワイヤ自体でなく、ナノワイヤ表面に結合した染料になるように、染料の支持構造として作用する。その他のワイヤアレイ太陽エネルギィ変換デバイスは、ランダムに成長させたあるいはランダムに分散させたワイヤでできており、これらのワイヤは、また、互いに対して配向されている。このようなワイヤアレイは、フェルトに似ている、あるいはフェルト状の特徴を持つ外観を有するものでも良い。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、光エネルギィを電気エネルギィへ変換する、縦に整列させたワイヤアレイを用いた光セルについて述べるものである。このワイヤアレイのワイヤは、比較的高いアスペクト比で形成することが好ましい。このようなアスペクト比は、受光方向において長さを提供するが、半径が比較的小さく、担体の効率的な回収を容易にする。様々な材料を用いて、ワイヤアレイのワイヤを電気的に接触させることができる。好ましい実施例では、液状電解質を光電気化学セルに用いている。しかしながら、その他の実施例では、その他の材料又は手段を用いて、ワイヤアレイを接触させるようにしている。
【0009】
本発明の実施例は、ベース伝導層と;細長半導体構造体でできた配列アレイであって、当該細長半導体構造体が、前記ベース伝導層の少なくとも部分に電気的に接触する隣接する端部と、前記ベース伝導層に接触していない遠位端とによって規定される長さ寸法を有し、前記長さ寸法に対してほぼ直交する半径寸法を有し、前記半径寸法が前記長さ寸法より小さい、配列アレイと;電荷伝導層であって、当該電荷伝導層の少なくともいくつかの部分が前記複数の細長半導体構造体の一又はそれ以上と、当該一又はそれ以上の細長半導体構造体の前記長さ寸法の少なくとも部分に沿って電気的に接触している、電荷伝導層と;を具え、細長半導体構造が受光した光を吸収するデバイスである。
【0010】
本発明の別の実施例は、基板と;配向され配列された半導体ワイヤを具える一又はそれ以上のワイヤアレイであって、前記複数の半導体ワイヤが前記基板に連続する隣接端と、入射光を受光するよう配光された遠位端とを具え、前記隣接端と前記遠位端が各半導体ワイヤの長さ寸法を規定しており、前記半導体ワイヤが当該半導体ワイヤを構成する材料の少数担体拡散長より短いかあるいは同じである半径を有している、ワイヤアレイと;電荷伝導層であって、当該電荷伝導層の少なくともいくつかの部分が、一又はそれ以上の半導体ワイヤの長さ寸法の少なくとも部分に沿って一又はそれ以上の半導体ワイヤと電気的に接触している、電荷伝導層と;を具え、前記半導体ワイヤが受信光を吸収し、これによって各半導体ワイヤの半径に対する前記長寸法の比が、前記一又はそれ以上の半導体ワイヤを構成する材料の太陽エネルギィ変換に最適であるか、あるいはほぼ最適である、ことを特徴とする光セルである。
【0011】
更なる別の実施例は、基板と;複数の縦に整列させた半導体ワイヤを具え、各半導体ワイヤが基板に連続する隣接端と、入射光を受光するように配向され遠位端を有する、一又はそれ以上のワイヤアレイと;一又はそれ以上の半導体ワイヤと電気的に接触している液状電解質と;基板への一又はそれ以上の電気接点と;を具える、光電気化学セルである。この半導体ワイヤは、基板に蒸着させた触媒を用いた気体−液体−個体成長プロセス又はその他の製造方法によって形成することができる。
【0012】
更なる別の実施例は、複数の細長い光アノード半導体ワイヤを具える一又はそれ以上の配向ワイヤアレイであって、前記光アノード半導体ワイヤが入射光を受光するよう配向されている、配向ワイヤアレイを具える光アノードと;複数の細長光カソード半導体ワイヤを具える一又はそれ以上の配向ワイヤアレイであって、前記光カソード半導体ワイヤが入射光を受光するよう配向されている、配向ワイヤアレイを具える光カソードと;前記複数の光アノード半導体ワイヤを複数の光カソード半導体ワイヤに、電気的及びイオン的に相互接続しているフィルムと;を具える、水を水素に変換する光セルである。
【0013】
上に簡単に述べた例示的実施例の記載あるいは以下更に詳細に述べる記載によって、限定を意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1−1】図1は、光電気化学セルを示す概略図である。
【図1−2】図1は、光電気化学セルを示す概略図である。
【図2】図2A及び2Bは、成長させたシリコンワイヤでできたシリコンワイヤアレイを電子顕微鏡でスキャンした画像を示す図である。
【図3】図3は、液状電解質を用いたワイヤアレイサンプルからの、代表的な電流密度対電圧曲線を示す図である。
【図4】図4は、電流密度及び電圧データの回収に用いるテスト装置を示す図である。
【図5−1】図5A乃至5Eは、ワイヤアレイを製造する方法を示す図である。
【図5−2】図5F乃至5Iは、ワイヤアレイを製造する方法を示す図である。
【図6】図6は、銅で触媒したシリコンワイヤアレイを示す傾斜SEMを示す図である。
【図7】図7は、銅で触媒したシリコンワイヤアレイの各四隅近傍領域を示す傾斜SEMを示す図である。
【図8】図8は、4点プローブ技術を用いて個々に接触させたナノワイヤについてのI−V測定値を示す図である。
【図9】図9は、光電気化学セルの外観を示す図である。
【図10】図10A乃至10Fは、AAO膜をテンプレートとして用いたナノロッドの製造工程を示す図である。
【図11】図11は、Cd(Se,Te)ナノロッドアレイの断面SEM画像を示す図である。
【図12】図12は、ナノロッドアレイ電極の平面SEM画像を示す図である。
【図13】図13は、ナノロッドアレイ電極のJ−E挙動を示す図である。
【図14】図14は、光エッチングの前後におけるナノロッドアレイ電極セルのJ−E挙動を示す図である。
【図15】図15は、最も効率の高いナノロッド電極の、光エッチング前後における、スペクトル応答を示す図である。
【図16】図16は、典型的なナノロッドアレイ電極から得たスペクトル応答データを示す図である。
【図17】図17A−17Gは、エッチング工程を用いて作成したピラーのSEM画像を示す図である。
【図18】図18は、液体電解質を用いたピラーサンプルの代表的な電流密度対電圧カーブを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この説明において、「ワイヤ」、「ロッド」、「ひげ」、「柱」、及びその他の同様の用語は、特に表示がない限り同意語として使用されている。一般的に、これらの用語は、長さと幅を有する細長い構造体であって、長さは構造体の最も長い軸によって規定され、幅は構造体の最も長い軸にほぼ直交する軸によって規定される、構造体を意味する。用語「アスペクト比」は、構造体の長さ対幅の比を意味する。従って、細長い構造体のアスペクト比は、1より大きい。用語「ボール」、「回転楕円形」、「ブロブ」、及びその他の同様の用語は、特に表示がない限り同意語として使用されている。一般的に、これらの用語は、構造体の最も長い軸によって規定される幅と、この幅にほぼ直交する軸によって規定される長さを有する構造体を意味する。従って、これらの構造体のアスペクト比は、一般的に1であるか、あるいは、1より小さい。更に、ワイヤ、ロッド、ひげ、柱、その他を参照する用語「縦」は、一般的に、長さ方向が水平からなにがしか持ち上がっている構造体を意味する。用語「縦に整列」は、一般的に、構造体又は水平から上昇した構造体の整列又は配向を意味する。構造体の構造は、縦に整列していると考えられる、水平に対して完全に直交していなくとも良い。用語「アレイ」は、特に指摘されていない限り、ある領域内にスペースを空けて配分された複数の構造体を意味する。アレイ内の構造体は、すべてが同じ方向を向いていなくともよい。用語「縦に整列したアレイ」又は「縦に配向したアレイ」は、一般的に、構造体が、水平方向から上に上がっている方向から最大で水平方向に対して完全に直交する方向を有する構造体のアレイを意味するが、このアレイ中の構造体は、水平に対してすべて同じ方向を向いていても良いし、向いていなくともよい。用語「配列した」又は「明確に規定された」は、一般的に、互いに区別できる空間的関係を有する、特定の、あるいは予め決められた要素の配置を意味する。よって、用語「配列したアレイ」又は「明確に規定された」は、一般的に、お互いに区別できる、特定の、あるいは予め決められた空間的関係の範囲内で配置される構造体を意味する。例えば、規則配列は、構造体がほぼ等しい距離で互いにスペースが空いているものであっても良い。その他の規則配列は、変化するが、特定のあるいは予め決められたスペースを使用するものであってもよい。「配列した」又は「明確に規定された」アレイ内の構造体は、互いに対して同じ方向を向いていても良い。
【0016】
この記載において、用語「半導体」は、一般的に、特に指摘されない限り、半導体特性を有する材料を具える元素、構造体、あるいはデバイスを意味している。このような材料には、限定するものではないが、周期表のIV属からの元素;周期表のIV属からの元素を含む材料;周期表III属とV属からの元素を含む材料;周期表のII属とVI属からの元素を含む材料;周期表のI属とVII続からの元素を含む材料;周期表のIV属とVI属からの元素を含む材料;周期表のV属とVI属からの元素を含む材料;及び周期表のII属とV属からの元素を含む材料が含まれる。半導体特性を有するその他の材料には:層状半導体;金属合金、様々な酸化物;有機材料、及び磁性材料が含まれる。用語「半導体構造体」は、少なくとも部分的に半導体材料を具える構造体を意味する。半導体構造体は、ドーピングしたあるいはしていない材料を具えていても良い。
【0017】
本発明の実施例は、担体を半径方向に効率よく回収しつつ、光の吸収を良くする、アスペクト比、配列、密度、及び又は入射光エネルギィに対する配向を有する半導体構造体を具える。好ましくは、この半導体構造体は、光の吸収方向を電荷担体回収方向と直交させている。従って、半導体構造体は、ほぼ入射光の方向に長さ寸法を有し、この長さ寸法にほぼ直交する幅寸法を有する。本発明の実施例による光エネルギィ変換デバイスは、好ましくは、規則正しい配列を有する半導体構造体アレイを有しており、増加した密度の高い光エネルギィを受容する構造体を提供する。担体の拡散によって生じる半導体構造体からの電子を伝導する、半導体構造体と電荷の接触は、以下に述べるように、様々な方法で提供することができる。
【0018】
図1Aに示すように、ロッドアレイの縦に整列したロッド140が、基板110の上に配置されている。ロッド140は、電荷伝導材料130内に配置されている。好ましくは、ロッドアレイのロッド140は、比較的高いアスペクト比で形成されており、少数担体拡散長とほぼ等しい半径を有する。このように、ロッド140は、その全長に沿って太陽光線吸収を提供し(ロッドに用いる半導体材料に依存する)、従って、全長に沿って担体拡散を提供する。しかしながら、本発明の実施例は、同一ロッドを純粋に縦に配向したものに限定されるものではない。例えば、図1Bは、様々な形状であり、基板110と光の方向に対して配向された半導体構造体アレイ142を有する光エネルギィ変換デバイス示す。図1A及び1Bに示す実施例では、基板110が図に示す半導体構造体のベースを提供し、及び/又は、半導体構造体140、142への電気接点を提供するものであっても良い。
【0019】
本発明のその他の実施例では、基板を使用することなく、半導体構造体の配列と配向を維持する別のアプローチを用いることができる。例えば、ベース層112を含み、結合層230内に埋め込まれている半導体構造体144を示す、図1Cを参照されたい。結合層230は、光の受容に対して構造体が好ましい配向となるように半導体構造体144の配列と配向を維持している。ベース層112は、半導体構造体144への電気接点を提供している。結合層230は、半導体構造体144からの電荷伝導も提供できる。結合層230は、例えば、ポリマ材料を具えていても良い。図1Dは、半導体構造体144が結合層230に部分的に埋め込まれており、光の受容に対して好ましい配向を提供している実施例を示す。伝導層114は、半導体構造体144への電気接点を提供する。
【0020】
半導体構造体は好ましくは、効率良く太陽光エネルギィを吸収し、このエネルギィを電気へ変換する特性を有する半導体材料を具える。このような材料は、単結晶シリコンあるいは多結晶シリコン、及び、ドーピングしたあるいはしない結晶シリコンを具えていてもよい。半導体材料はまた、アモルファスシリコン、ミクロモルファスシリコン、プロト結晶性シリコン、又はナノ結晶性シリコンであってもよい。この半導体材料は、テルル化カドミウム;セレン化銅−インジウム、セレン化銅インジウムガリウムガリウムヒ素、ガリウムヒ素リン、セレン化カドミウム、リン化インジウム、あるいは、a−シリコン−H合金又は周期表のI族、III族、及びIV族からのその他の元素の組み合わせ;又は、例えば、金属酸化物材料など、その他の無機元素あるいはこの分野で知られている所望の太陽光エネルギィ変換特性を有する元素の組み合わせであってもよい。
【0021】
半導体構造体からの電荷伝導あるいは電気的伝導は、様々な材料で提供される。電荷伝導は、導電性液状電解質あるいはその他の液体によって提供することができる。この電解質は、水性あるいは非水性溶剤中に存在している。別の実施例では、電荷伝導を、ポリマを伝導させることによって提供している。更に別の実施例では、電荷伝導を、金属又は電荷担体を回収する方法で、半導体構造体と電気的に接触しているその他の半導体構造体によって提供することができる。基本的に、電子を伝導できるものであれば、本発明の実施例用の電荷伝導材料として用いることができる。
【0022】
図に示すように、本発明の実施例は、溶解電解質を含む非水性溶媒溶液を用いた光電気化学セルであって、この溶液に溶解したレドックス対を含む光電気化学セルを具えている。これは、外の光源にセルを露出させたときに、半導体構造体から電子を受け取る、又は、半導体構造体へ電子を提供するのに適している。この非水性溶液は、イオン伝導性の溶液分子へ自己分離するタイプであるか、又は、溶液に加えられた電解質が実質的に分離されてイオン伝導溶液を形成する溶液であってもよい。例示的溶液のクラスには、1乃至10の炭素原子を持つアルカノール、特にメタノールと;2乃至10の炭素原子を持つニトリル、特にアセトニトリルと;少量のアルコールを伴う炭酸プロピレンなどのアルキレン炭酸塩が、含まれる。このような混合物中のアルコールは、1乃至10の炭素原子を持つ直鎖、分岐、非置換あるいはハロゲン化アルコールであってもよい。例示的なアルコールには、n−オクタノール、n−ヘキサノール、n−ブタノール、トリフルオロエタノール、及びメタノールが含まれる。一般的に、溶剤はこの分野の当業者の、溶剤の粘性及び誘電率に関する一般的な表を用いた選択の問題である。使用するべき電解質は、様々な溶剤中のイオン伝導性に関する一般的な表から決定することができる。例えば、メタノールでは、その溶解度ゆえに、過塩素酸リチウムを含むものでも良い。アセトニトリルでは、第4級アンモニウム塩、特に、テトラエチルアンモニウム三フッ化ホウ素などの第4級アンモニウム3フッ化ホウ素塩を含んでいても良い。例示的なレドックス対は、フェロセン−フェロセニウム対であるが、その他のレドックス対も使用することができる。適当なレドックス電位を有するレドックス対が選択した溶剤に必要な溶解度を有していない場合、このレドックス対を化学的に修飾してこの溶剤の溶解度をより高いものにすることができる。例えば、フェロセン分子は、従来の方法でアルコール側鎖を導入することによって、アルコール溶液中にそれより多く溶解させることができる。一般的に、公知の技術によって適宜の置換基を導入して、溶解度の条件を満足させることができる。このような置換基には、アルキル基、カルボン酸、エステル、アミド、アルコール基、アミノ基、置換アミノ基、スルフォン基、ケトン、リン酸基、などが含まれる。好ましいフェロセン−フェロセニウム対は、テトラフルオロホウ酸塩などの適宜の陰イオンを伴うジメチルフェロセン[O]/ジメチルフェロセニウム[+](DMFc/DFMc.+)である。本発明の実施例によるその他の溶剤、電解質、及び/又はレドックス対の使用は、当業者には自明であろう。
【0023】
図に示すように、本発明の実施例は、電解質を伴う水性溶剤を用いた光電気化学セルを具えていても良い。例えば、この電解質は、アルゴン雰囲気下で維持された、1M NaOHの水性溶液中の1M NaS及び1M Sを含むものであっても良い。本発明の実施例によるその他の水性溶液及び対応する電解質の使用は、当業者には自明であろう。
【0024】
上記に簡単に説明したとおり、本発明の実施例による電荷伝導材料は液体材料に限定されない。電荷伝導材料は、有機伝導体、無機伝導体、あるいは無機/有機混合伝導体を具えていても良い。有機伝導材料には、(限定するものではないが)、伝導性ポリマ(ポリ(アニリン)、ポリ(チオフェン)、ポリ(ピロール)、ポリ(アセチレン)、その他);炭素質材料(カーボンブラック、グラファイト、コーク、C60、その他);電荷移動錯体(テトラメチルパラフェニレンジアミン−クロラニル、アルカリ金属テトラシアノキノジメタン錯体、テトラチアフルバレンハロゲン化合物錯体、その他);及びその他のこのような材料が含まれる。無機伝導材料には、(限定するものではないが):金属及び金属合金(Ag、Au、Cu、Pt、導体AuCu合金、その他);高濃度にドープされた半導体(シリコン、GaAs、InP、MoS、TiO、その他);伝導性金属酸化物(In、SnO、NaPt、その他);超伝導体(YBaCu、Tl2BaCaCu10、その他);及びその他のこのような材料が含まれる。無機/有機混合伝導体には、(限定するものではないが):テトラシアノ白金酸塩錯体;イリジウムハロカルボニル錯体;層状大環状錯体;及びその他のこのような材料が含まれる。上述したとおり、電子を伝導することができる材料であれば何でも、本発明の実施例にかかる半導体構造体からの電荷を伝導させるのに使用することができる。
【0025】
本発明の実施例を概かに述べたが、以下の例は、本発明のいくつかの実施例についての更なる詳細を提供するものである。最初の3つの例は、本発明の実施例で使用されている半導体構造体を製造する方法に分類することができる。第1の例は、基板から成長させた半導体構造体に関する。第2の例は、基板に蒸着させた半導体構造体である。第3の例は、基板をエッチングして形成した半導体構造体である。しかしながら、上述したとおり、本発明の実施例は基板を有していなくともよく、以下の例は、半導体構造体を形成することができる網羅的な方法として考えるべきではない。本発明の実施例は、電力の生成に限るものではない。以下の第4の例は、燃料、即ち水素を、ここに述べた半導体構造体のアレイから生成する構造について述べるものである。
【0026】
例1:成長した半導体構造体を含む光電気化学セル
更なる詳細を以下に述べるとおり、アレイのワイヤが一次光を吸収し、電荷担体分離する垂直配向ワイヤアレイを太陽エネルギィ変換に用いるようにしても良い。好ましくは、この垂直配向ワイヤアレイは、比較的高いアスペクト比で形成される、即ち、ワイヤアレイ中のワイヤは受光方向に長く、担体の半径方向の回収を効率よくするべく比較的半径が小さい。これらの半径は、比較的不純な吸収物質であることを考慮しても小さくても良い。本発明の実施例による太陽電池デバイスは、比較的面積の大きい垂直配向ワイヤアレイと、このようなワイヤアレイに対する電気的ジャンクションを作る手段と、これらのデバイスの後側に電気的接点を作る手段を有する。一の実施例では、太陽エネルギィは、一次光吸収及び液界電解質と接触する電荷担体分離材料としてワイヤを用いて、変換される。
【0027】
図9は、本発明の一実施例による光電気化学セルの概念図である。図9に示すように、ワイヤアレイのワイヤ940が基板910上に配置されている。ワイヤ940は電解質930中に配置されている。基板910は、好ましくは、縮退的にドープしたn型シリコン(111)ウエハを具える。好ましくは、このワイヤは、以下に更に詳細を述べるような方法で基板910から成長させて、高アスペクト比の結晶質シリコンワイヤを提供する。好ましくは、ワイヤアレイのワイヤ940は、比較的高いアスペクト比で形成される。一の実施例では、ワイヤ940は、長さ20−30μm、直径1.5−3μmに形成しても良い。光電気化学セルでは、ワイヤ940は入射光を受光する方向に配向されている。
【0028】
以下に述べるように、シリコンワイヤ940は、気体−液体−固体成長法で、成長触媒として金を用いて基板から成長させることができる。シリコンのトラップ準位は深いが、金は、以下に述べる方法でのワイヤの成長によって、それにもかかわらず、効率の良い担体回収が可能になることが期待できる。1050℃で、シリコン中の金の溶解限度は、〜1016cm−3であり、金のトラップ断面は、寿命が2nsの担体を生成することが期待される。このような短い寿命は、平面シリコン吸収対においては担体回収を著しく制限するが、それにもかかわらず、少なくとも1μmの距離での担体回収を提供するのに適している。各ワイヤの半径が少数担体の拡散長に匹敵する場合、最適な効率が期待できる。半径が小さいほど表面積が増え、従って、付随する担体回収のこれに伴う改善がほとんどない、表面とジャンクションの再結合が増える。このように、本発明の実施例では、ミクロンサイズの径のシリコンワイヤを使用することができる。
【0029】
図2A及び2Bは、本発明のいくつかの実施例で使用した成長させたシリコンワイヤのシリコンワイヤアレイの走査電子顕微鏡像である。図2Aは、スケールバーが15μである断面であり、図2Bは、スケールバーが85.7μmである、45度の角度から見た図である。図2A及び2Bに示すように、成長させたシリコンワイヤは、ほぼ完全に基板に対して垂直であり、直径とピッチの両方が、広い領域(〜2mm)において、非常に規則正しい。
【0030】
成長させたシリコンワイヤの電気的特性を特徴付けるために、アレイの個々のワイヤについて4点プローブ測定と電解測定を行った。これらのワイヤの担体移動度がバルク状シリコンの規格と同じであると仮定して、バックゲートの測定は成長させたままのワイヤがn型であり、抵抗値が0.32Ω・cmで、2.9×10cm−3のドーパント密度に対応していることを示した。図8は、4点プローブ技術を用いて個々に接触させたナノワイヤについてのI―V特性を示す図である。図8における挿入は、45°の方向からみたSEM画像である。スケールバーは、6μmである。
【0031】
図に示すように、本発明の実施例は、液状電解質を用いた光電気化学セルを具えている。従って、成長シリコンワイヤアレイのジャンクション特性は、液状電解質を用いて調べた。液状電解質は、シリコンワイヤに接触させる便利な等角法を提供し、アレイ中のシリコンワイヤへの拡散金属ジャンクションを必要とすることなく、ワイヤのパフォーマンスを測定することができる。しかしながら、本発明のその他の実施例でこのようなジャンクションを用いるようにしてもよい。
【0032】
一の実施例では、CHOH中の1,1’−ジメチルフェロセン(MeFe)+/0レドックスシステムを含む液状電解質を用いている。このような電解質は、n型シリコンとの良質なジャンクションをつくり、気団(AM)1.5の100mWcm−2条件下で、670mVを超えるバルク拡散−再結合−制限された光起電力を提供する。このようなジャンクションは、また、n型シリコンにインサイチュウの変換層を形成して、本質的にインサイチュウのp+エミッタ層を形成する一方で、非常に不動態化した表面を作る。このように、これらの液状ジャンクションは、n型シリコンワイヤアレイの太陽光デバイス変換特性の初期の測定を提供するシステムとして非常に適している。
【0033】
V−L−S成長シリコンワイヤアレイを用いたサンプルと、対照サンプルのパフォーマンスを比較する実験を行った。対照サンプルを作るために、酸化させた基板ウエハを、開口に触媒を蒸着させず、サンプル上はワイヤを成長させることなく、パターン処理を行ってホールを作った。成長シリコンワイヤと対照サンプルを用いて開回路電圧(VOC)と短絡密度(JSC)の測定を行った。成長シリコンワイヤアレイを用いたサンプルは、VOC(mV)=389±18、及びJSC(mA/cm)=1.43±0.14であったが、対照サンプルは、VOC(mV)=232±8、及びJSC(mA/cm)=0.28±0.01であった。ワイヤアレイサンプルのVOCは比較的大きく(350−400mV)、単位投影面積あたりの大きな面積が与えられている。このVOCの値は、シリコン/MeFc+/0−CHOHインターフェースの比較的低い表面再結合速度と、それなしではより低いVOC値が観察されたであろう、シリコンワイヤの良好なバルク特性を反映している。ワイヤアレイサンプルの短絡光電流密度は、比較的低く、1−2mAcm−2である。しかしながら、この実験では、ワイヤの長さが20μmでしかなく、従って、シリコンの1.12eVというバンドギャップを超えるエネルギィを持つ太陽光粒子を全て完全に吸収して回収することができる期待値である43mA/cm−2というJSCは、厚さ20μmのシリコン吸収対において、34mA/cm−2に低減される。更に、7μmピッチで直径2μmのワイヤのアレイは、投影表面平面の6.5%を満たすのみであり、これによって観察されたJSCと一致しており、期待される最大JSC2.2mA/cm−2を生成する。
【0034】
図3は、実験で得た代表的な電流密度対電圧曲線を示す。この実験では、開回路が約330mVであり、短絡電流密度が約6.8mA/cmであり、曲線因子が約3.1であり、効率が約0.7%であった。観察された光活性は、縮退的にドープした基板が低い光電圧を生成するのみで、光電流はほとんど産生しないため、基板によって左右されることはなかった。更に、ワイヤの広いベースは、残りの酸化していない基板と液状電解質との間に、あったとしても、比較的わずかな直接接点が形成されることを示唆している。このように、観察された光電流と光電圧はすべて基板というよりは、ワイヤによるものであるということができる。
【0035】
図4は、上述の実験に用いたテスト装置を示す図である。このテストに先立って、成長させたワイヤアレイを有するサンプルを、1MのHCl(水性)に漬けて、HOですすいだ。ついで、サンプルを10%のHF(水性)の中で10秒間エッチングして、天然の酸化物を除去し、HOですすいで、Nストリームの下で乾燥させた。直ちに、Ga/Inを各サンプルの背面にこすり付けて、銀ペイントを用いてサンプルをワイヤコイルに取り付けた。ついで、20−3004LVエポキシ(Epoxies, Etc)を用いて、前側表面領域を〜2mm残して、硝子チューブの中でサンプルをはがし、前側表面をコーティングして、サンプルの残りの部分をHysol 1C epoxy (Loctite)を用いてシーリングした。対照サンプルは酸化物中に開口をパターン形成した酸化ウエハからなるが、触媒が蒸着しておらず、成長ワイヤがない対照サンプルも、同様にして作成した。
【0036】
メタノール中の、200mMのジメチルフェロセン(MeFc)と、0.5mMのMeFcBFと、1MのLiClOからなる溶液で光電気化学測定を行った。処理を行って光電気化学測定を行う間に、ワイヤアレイ表面をぬらすメタノールがあきらかに観察された。図4に示すように、作用電極201は、ワイヤアレイサンプルか、対照サンプルのいずれかである。対電極203は、Ptメッシュであり、基準電極205は、主セルと同じ溶液を含むLuggin毛細管に封入されたプラチナワイヤであった。セル成分はすべて、不活性雰囲気中で組み立てられ、アルゴン正圧下に置かれる前に封印した。測定を行う間に、300wのELH型プロジェクタバルブ207を用いてセルに光を照射した。光の強度は、シリコン光ダイオードを用いて作業電極面でのAM1.5の100mWcm−2を照射して得たものと同様の光電流とするようにキャリブレートした。測定の間、溶液をしっかりかき回して、空気流を用いて照明下にあるセルの温度を一定に保った。
【0037】
光電気化学測定は、Solartron1287定電位電解装置とCoreWareソフトウエアを用いて行った。この光の中で開回路電圧を測定するために、開回路電位を、まず、暗いところで(常に10mVから0Vになる)平衡させた。ついで、光をスイッチオンして、光の中でサンプルを平衡させた。報告されたVOCは、暗所における電位と、光のあたるところにおける電位の差である。ついで、J−Vデータを、10mVs−1のスキャンレートで、明るいところで記録した。セルのネルンスト電位に対して0Vのバイアスで測定した電流密度として短絡光電流密度を記録した。電流密度を計算するのに用いた電極領域は、フラットベッドスキャナを用いて測定した。
【0038】
垂直配向シリコンワイヤアレイを形成する方法を以下に述べる。ワイヤアレイを成長させる材料としてシリコン<111>ウエハを使用することができる。硝子、又は、その他のこのようなシリコン基板に蒸着させた薄いシリコン層などを、ワイヤ成長を支持するのに用いることができる。このウエハ全体又は部分的にドーピングしても良い。例えば、縮退的にド−ピングしたn型シリコンウエハを用いることができる。図5Aに示すように、表面酸化物層20を、ウエハ10上に熱成長させる。一の実施例では、表面酸化物層は、厚さ285nmに成長させる。別の実施例では、表面酸化物層20を厚さ300nmに成長させる。その他の実施例は、その他の厚さの酸化物層を具えていても良い。更にその他の実施例では、化学蒸着(CVD)あるいはこの分野で知られているその他の方法で酸化物層20を蒸着させている。
【0039】
図5Bに示すように、ホトレジスト層30が設けられている。ホトレジスト層30は、以下に述べるように、パターン形成したテンプレートの成長を支持するように設けられている。例えば、ラテックス層、あるいはスタンピングあるいはソフトリソグラフィなどのパターン形成したテンプレートを作る材料と技術を用いることができる。ホトレジスト層は、MicroChem Corp.(米国、マサチューセッツ州、ニュートン)から入手したS1813ホトレジスト又はその他のホトレジスト材料を具えていても良い。ついで、ホトレジスト層30を所望のアレイパターンに露出させて、デベロッパを用いて露光して、図5Cに示すような所望のパターンのホール35をレジスト層30に形成する。デベロッパはMF−319、あるいはこの分野で知られているその他のデベロッパであってもよい。次いで、パターン形成したレジスト層30を用いて、シリコンウエハ10中の酸化物層20を、図5Dに示すようにエッチングする。この酸化物層のエッチングは、Transene Company,Inc. (米国、マサチューセッツ州、ダンバース)から入手した、緩衝HF(9%HF、32%NHF)などの、フッ酸組成物を用いて行う。この分野で知られているその他のエッチング技術を用いて、酸化物層20をエッチングするようにしても良い。エッチングの結果は、図5Dに示すような酸化物層中のホールパターン37である。好ましいホールパターンは、中心から中心が7μmの直径3μmのホールの矩形アレイである。
【0040】
次いで、成長触媒50をレジスト層30上へ、及び図5Eに示すように酸化物層20のホール37の中へ熱的に蒸発させる。触媒を蒸着させるのに、電着などのその他の方法を用いても良い。好ましい触媒は、金、銅、ニッケルなどであるが、ここに述べた成長を促進するためにこの分野で知られたその他の触媒を用いても良い。例えば、500nmの金を、レジスト層30上と酸化物層20のホール37中へ熱的に蒸発させるようにしてもよい。次いで、ホトレジスト層30をリフトオフして、図5Fに示すような酸化物層20の酸化物によって分離された触媒島57を残す。
【0041】
次いで、パターン化された酸化物層20を有するウエハ10と蒸着させた触媒を、アニーリングする。好ましくは、このアニーリングは、筒状の炉で、900℃乃至1000℃の間の温度で、あるいは、約1050℃で、20分間、1気圧の水素を1000sccm(ここで、SCCMは、STPでの分あたり立方センチメートルを意味する)の流速で流して行う。次いで、ウエハ10上にワイヤを成長させる。図5Gは、成長ガスを流して、ワイヤアレイのワイヤ40の成長を示す図である。好ましくは、ワイヤ40は、約1気圧で、H(1000sccm)とSiCl(20sccm)の混合物中で成長させる。このワイヤ40は、20分乃至30分間、950℃乃至1100℃の温度で成長させても良く、あるいは別の成長時間、圧力、及び/又は、流量で成長させるようにしても良い。しかしながら、最適な成長温度は1000℃と、1050℃である。これらの時間と、これらの温度で成長させて、長さ10μm乃至30μmのワイヤ、あるいはこれより長いワイヤを生成する。
【0042】
ワイヤ40の成長に続いて、図5Hに示すように、酸化物層20を除去する。酸化物層20は、ウエハ10を10%のHF(水性)中で10秒間エッチングするか、あるいは、酸化物層の除去に使用することができるこの分野で知られているその他の方法を用いて除去することができる。図5Hに示すように、触媒粒子51は、各成長したワイヤ40の表面に残って、結果物としてのワイヤアレイの機能に影響することがある。従って、この触媒粒子を除去することは有益である。例えば、触媒が金の場合、金の粒子は、Transene Company,Inc.社から入手したI/Iを含むTFA溶液にウエハ10を10分間つけることで除去することができる。この分野で知られているその他の方法を触媒粒子を用いて除去するようにしても良い。図5Iは、触媒粒子51を除去したワイヤ40を示す。
【0043】
上述したように、その他の触媒を用いて、ワイヤアレイ中でのシリコンワイヤの成長を容易にするようにしても良い。金に代えて銅をVLS触媒として用いて、名目上同一のワイヤアレイを得ることができる。図6は、上述の方法を用いて生成した銅触媒によるシリコンワイヤアレイの傾斜したSEM画像を示す図であり、このアレイは、1cmより大きい領域に、ほぼ100%の忠実度を有する。図6にはめ込んだスケールバーは、10μmである。図7は、銅触媒を用いて1000℃で成長させた0.5×1cmのサンプルの各四隅近傍領域を示す代表的な傾斜したSEM画像であり、大面積にわたって均一性を示している。図5のスケールバーは、全てのパネルに適用される。
【0044】
コストを動機に、V−L−S技術を用いたワイヤアレイを成長させる非金触媒が使用される。上述したように、銅はシリコンワイヤの成長用触媒として使用することができる。金と異なり、銅は、高価でなく、地球に豊富にある材料であるため、このような実施例に特に関心がある。銅は、金よりシリコンにより溶け込みやすく、トラップがより深いが、シリコン太陽電池は、金よりも銅のコンタミネーションにより耐性が強く、従って、銅触媒で成長させた場合でも少なくともミクロンの拡散長を期待することができる。
【0045】
垂直配向ワイヤアレイを成長させるその他の方法を使用してもよく、本発明の実施例は上述した方法による創作に限定されるものではない。例えば、上述した以外の触媒を使用することもできる。その他の方法は、表面の酸化物をパターニングするその他の技術を用いるようにしても良い。更なるその他の方法は、ワイヤの成長を支持するのに熱成長酸化物を使用しなくともよい。ワイヤの成長(又は、以下に述べるようなその他の半導体構造体の成長)は、まずその中にワイヤ又は構造体を成長させる開口ホール(例えば、ホールのアレイ)を用いてパターニングして行うことができる。テンプレート層は、蒸着した触媒に対する拡散バリアを具える。この拡散バリアは、パターニングした酸化物層、窒化シリコンを含む層などのパターニングした絶縁層、パターニングした金属層、あるいはこれらの材料又はその他の材料の組み合わせ、あるいは、半導体構造体成長用の触媒の蒸着を容易にするプロセスを具えていても良い。
【0046】
上述したように、高アスペクト比のシリコンワイヤの垂直配向アレイは、比較的大面積の上に作ることができる。その結果、ほぼ光不活性である基板を、拡張可能な、比較的低コストの、ワイヤアレイのVLS成長によって光活性にすることができる。上記に更に詳細に述べた実施例では、このようなワイヤアレイを液状電解質を用いた光電気化学セルに使用することができる。成長シリコンワイヤアレイに光活性特性を与えると、その他の実施例はワイヤアレイに接触するのに液状電解質を使用することなく、所望の光活性特性を提供することができる。例えば、ワイヤアレイへの接点は、液体、伝導ポリマ、PN接合、金属酸化物半導体インターフェース、あるいはこれらの組み合わせ、又はその他のものとの組み合わせであっても良い。更に、シリコンワイヤアレイについて上述したが、その他の半導体材料をワイヤアレイの形成に使用することもできる。特に、本発明の実施例は、個々のワイヤが、ワイヤアレイに用いた材料に基づいて、太陽電池変換に最適なあるいはほぼ最適な半径及び/又はアスペクト比を有するワイヤアレイを具えることが好ましい。
【0047】
本発明の実施例によれば、ワイヤアレイ以外の半導体構造体を基板上に成長させることができる。このその他の半導体構造体には、限定するものではないが、ピラミッド、ツリー、その他が含まれる。更に、本発明の実施例はV−L−S手順を用いて成長させた半導体構造体と上述した酸化物層に限られるものではなく、テンプレート又は自然成長を用いた成長といった、その他の成長技術も含む。
【0048】
例2:蒸着させた半導体構造体を具える光電気化学セル
本発明の別の実施例は、Cd(Se,Te)を電気蒸着させて作った放射状ロッドアレイジャンクション光電極を具えるものであり、これについて以下に説明する。II−VI半導体である、CdSeとCdTeは、双方とも、太陽光スペクトルによく合致したバンドギャップ(CdSeについては1.7eV、CaTeについては1.4eV)を有する、直接ギャップの吸収性がきわめて高い物質である。この物質は、両方とも、様々な技術で蒸着することができる。CdTe及びCdSeの電気蒸着は、よく確立されており、電気蒸着した形でのこれらの材料の、太陽電池あるいは光電気化学セルのパフォーマンスは、吸収体相における少数担体回収拡散長が短いことによって、しばしば制限されている。
【0049】
本発明の実施例は、いくつかの方法を使用して垂直配向半導体ナノロッドのアレイ全体を製造することができる。一方向の成長を誘発しない蒸着技術を用いる場合は、ナノロッドアレイの製造にテンプレートを使用する必要がある。陽極酸化アルミニウム(AAO)のテンプレートを用いて、II−VI半導体ナノロッドアレイの電気蒸着を容易にすることができる。AAOのポアは、密度が高く、寸法が比較的均一であり、きわめて垂直に配向している。これらのポアは、制御可能なポアアスペクト比で、ポア径5nm乃至200nmの範囲で、cm−2当り1011程度の高い密度で作ることができる。AAOテンプレートは、硫酸、リン酸、あるいはシュウ酸の酸性溶液中で、10−100Vのバイアス下で、アルミニウムを陽極酸化することで形成することができ、あるいは商業的に入手可能である。AAO膜は、アルミナの絶縁特性が、材料がテンプレートの上に直接蒸着することを防ぐので、特に電気蒸着法とコンパチブルである。ロッドを作成した後に、水酸化ナトリウムの水溶液中に選択的にテンプレートを取り除いて、独立した垂直配向ナノロッドアレイを残すことができる。
【0050】
図10A−10Fは、AAO膜をテンプレートとして使用したナノロッドの製造工程を示す図である。図10Aは、AAO膜501を示す。ナノロッドアレイ電極は、商業的に入手可能な、厚さ60μm、ポア径200nm、のAAO膜(Whatman Scientific)をテンプレートとして用いて製造することができる。図10Bは、テンプレート501の一方の側に設けたCdSe薄膜503のスパッタリングを示す図である。CdSe薄膜503は、AAOテンプレート501の一方の側に蒸着した、厚さ300nmのCdSe層503(Kurt J.Lesker社のRFマグネトロンスパッタ、純度99.995%のCdSeスパッタターゲットを用いて蒸着させた)を具え、ポアの底を覆う。図10Cは、CdSe層503の背面のTiオーミックバックコンタクト層505のスパッタリングを示す図である。Tiオーミックバックコンタクト層505は、1.5μmのTi(Kurt J.Lesker社の純度99.995%のTiスパッタターゲット)をCdSe層503の背面にスパッタリングすることで作ることができる。次いで、AAOテンプレート501の他方の側をワックスを盛った層(図示せず)で被覆して、続く工程においてポア底部に金属が蒸着しないようにした。次いで、Cuワイヤを取り付けて、膜のエッジ周辺に伝導性の銀塗料を塗布して、テンプレートを作業電極とした。ワイヤを硝子チューブに入れて、ワイヤ接触領域をエポキシでシールした。
【0051】
テンプレートを除去した後にナノロッドアレイに機械的強度と支持を提供するために、>10μmのNi金属をTiの背面に電気蒸着した。図10Dは、Ti層505上へのNi金属基板507の蒸着を示す図である。Ni基板507は、0.8Mニッケル(II)スルファミン酸(Ni(SONH)と0.6Mホウ酸(HBO)の水溶液をかき混ぜながら、室温で、定電流金属蒸着させた。この工程において、作用電極とPtゴーズ対電極との間に、25mAcm−2の電流密度を1時間維持した。次いで、アセトンで数回洗浄して、封入ワックスをすべて除去した。次いで、1MのHSO中に0.2MのCdSOと、20mMのSeOと、10mMのTeOを含む水性蒸着バスを用いてポアにCdSe0.65Te0.35を電気蒸着した。図10Eは、AAOテンプレート501のポアへのCdSeTe509の蒸着を示す図である。更に、Triton X−100を加えて(0.25%)表面張力を減らし、蒸着の質を改善した。Ptゴーズ対電極に加えて、飽和甘汞電極(SCE)基準を、AAO作用電極と共に用いた。電気蒸着は、室温で、攪拌することなく、5−30分間、−650mV対SCEで、低電圧制御を用いて行った。
【0052】
ナノロッドを成長させた後、電極アッセンブリを1MのNaOH(aq)に20分間漬けて、AAOテンプレート501を除去する。図10Fは、テンプレート501を除去した後に残ったナノロッド511を示す。次いで、このナノロッドアレイを、抵抗値が18MΩcmのHOで全体的にすすぎ、乾燥させて、銅ワイヤから取り外す。次いで、このアレイを〜90分間、600℃で、少量の酸素(〜0.2%)を含むアルゴン雰囲気中でアニーリングした。次いで、このナノロッドアレイをより小さいサンプル(0.1乃至0.3cm)に切断して、このサンプルを光電気化学セル測定に使用する電極にした。図11は、AAOテンプレートを除去した後のCd(Se,Te)ナノロッドアレイのSEM断面画像を示す図である。基板中のコントラストは、TiオーミックバックコンタクトからスパッタリングしたCdSeシャント防止層への移行部分を示す。電極を切断するときに、サンプルのエッジにおいてNiがTiから分離するので、ニッケルスパッタリング層はこの画像では見えない。EDSは数パーセント以内で、元素組成が、Cd:Se:Teが3:2:1の比率であることを示す。図12に、ナノロッドアレイ電極の平面SEM画像を示す。
【0053】
次いで、上述したようにして製造したナノロッドアッセンブリを、光電気化学アッセンブリに使用した。この光電気化学アッセンブリは、作業電極と、プラチナワイヤ基準電極と、液状電解質からなり、すべて硝子セルに入っている(図4も参照)。この電解質は、アルゴン雰囲気下に維持されている水性1M NaOH中の、1M NaSと1M Sである。プラチナ基準電極で決まるセルの電位は、−0.72V vs.SCEであり、これは溶液スピーシーズのレドックス電位に対応し、この電解質43のネルンスト電位の文献の値と一致している。この電解質は、作るときに脱酸素化されており、Schlenk ラインを使用するときは、アルゴン正圧下で維持した。この溶液が蒸発しないように、ガスをセルに導入する前に18MΩの抵抗の水を流れるガス流をバブリングさせることによって、アルゴンを水蒸気で飽和した。
【0054】
電流密度対電位(J−E)データをSolartronシリコン1287低電位電解装置を用いて測定した。Sylvania ELH型ハロゲンプロジェクタバルブからの光をすりガラス拡散器を通過させて、第2級標準にキャリブレートしたシリコン光ダイオード、すなわち、NIST追跡可能な、エアマス(AM)1.0照射の100mWcm−2でキャリブレートしたシリコン光セルを用いて測定した場合の100mWcm−2と等価にした。J−Eデータを回収する前に、各電極を開回路で平衡させた。次いで、光エッチングステップの前後に、各電極のJ−Eデータを測定した。電極を短絡させた状態で、10分間、100mWcm−2のELH型照射の下、90:9.7:0.3 HO:HCl:HNO(v/v)溶液に漬けて光エッチングを行った。
【0055】
Cd(Se,Te)を5分乃至30分間電気蒸着して、ナノロッドアレイ電極を製造した。光を照射したときに最良のパフォーマンスとなるように測定されたこれらのアレイの蒸着時間は20分であり、これは、2−2.5Ccm−2のテンプレート面積を通過した総電荷数に対応する。SEM画像(図11)を見ると、これらのアレイ中のナノロッドの長さが3.5−7.0μmで変化していることがわかる。しかしながら任意の特定のアレイにおいては、ロッドの長さは、互いに1μm以内の違いである。これらのナノロッド電極にも光エッチングプロセスの前後に試験を行った。
【0056】
図13は、ナノアレイ電極のパフォーマンスが良好なJ−E特性を示す。多くの場合、図13に示すように、光エッチングステップが、ナノロッドアレイ電極の効率を大きく改良している。ナノロッドアレイの光エッチングは、常にJSCを増やすが、VOCは時々改善するのみである。大多数のナノロッド電極では、実際、光エッチングステップがVOCを大幅に低減することがある。図14は、光エッチングの前後のこのような一つのセルのJ−E特性を示す。
【0057】
スパッタリングを行ったCdSe層の、ナノロッドアレイ電極のパフォーマンスに関する効果を評価するために対照実験を行った。これらの実験において、Cd(Se,Te)テンプレートのポアへの蒸着を除いて、ナノロッドアレイの製造プロセスにおける各ステップが行われた。従って、結果としてできた電極は、Ti/Ni基板上のアニーリングしたCdSe層からなる。この電極は、光エッチング前は0.11%と効率が非常に低かったが、その後0.03%となった。
【0058】
図15は、上述したように製造した最も効率の高いナノロッド電極の、光エッチングの前後のスペクトル応答を示す図である。ポリ硫化物液状電解質上で測定した吸光度スペクトルは、波長λが<500nmの時に非常に良く吸光していることを確認するものであり、短い波長における、Cd(Se,Te)光電子の外部量子吸量の傾きを説明している。この領域において吸光度が高いことは、また、溶液を通過する光の光路長の若干の違いが、λ<500nmについての外部量子吸量に強く影響していることを暗示しており、これは、ナノロッドについて観察されたスペクトル応答間のこの領域における差を説明している。図15に示すように、ナノロッドアレイ電極の外部量子吸量は、バンドギャップが開始するまで、比較的一定の値にとどまっている。図16は、典型的なナノロッドアレイ電極からのスペクトル応答データを示す。図16のデータは、各々最も高い量子吸量に正規化されており、従って、スペクトル応答データを容易に比較できる。ナノロッドアレイ電極は、バンドギャップ近傍の量子吸量の傾斜がより少なく、これは、このようなナノロッドアレイサンプルが、侵入度がより長い光子から生成された少数担体を効果的に回収することを示すものである。
【0059】
しかしながら、実験で製造したナノロッドアレイ電極は、典型的には、全体の短絡電流密度が、平面電極について見られる密度より低かった。これは、この作業に用いた特定のナノロッド電極アレイの入射光軸面の完全な充填率の欠落を反映しているものと思われる。従って、代替の実施例では別の方法を用いて、ロッド間のボイド面積がより狭い、より高密度のナノロッドアレイを作るようにしている。光散乱も、ナノロッドアレイの高い光学充填率の欠落を部分的に緩和することができ、光子配列スキームを用いることで、このようなシステムにおいて大きな利点が生じる。また、ナノロッドアレイ電極は、真っ黒であることに留意されたい。このように、このようなシステムではある程度光トラップがすでに生じているが、このようなシステムから可能な最大量子吸量を得るにはおそらく十分な大きさではない。
【0060】
上述したようにして製造したナノロッドアレイ電極は、一般的に、典型的な平面電極から得られる値より小さい、開回路電圧値、VOCを生成する。VOCの傾斜は、二つの要因に関連している。一つは、ナノロッドアレイ固有のジオメトリであり、他の一つは、原理的に最適化した材料プロセスとジャンクションの計算によって異なってくる。固有の効果は、ナノロッドアレイ電極が、平面電極ジオメトリ用に存在するジャンクション回収面積より大きなジャンクション回収面積の上に、光生成最小限担体束を分散させることである。特に、ナノロッドアレイ電極のジャンクション面積と、平面電極のジャンクション面積の比率は:
γ=ANR/A=(2πrhpNRLW)/(LW)=2πrhpNR
ここで、ANRは、ナノロッドアレイ電極ジャンクションの面積であり、Aは、平面電極ジャンクションの面積であり、rは、単一のナノロッドの半径であり、hは、ナノロッドの高さであり、pNRは、ナノロッドの密度(平面ベース領域の単位当たりのロッド数)であり、L及びWは、それぞれ、平面投影面積の長さと幅である。γのこの定義は、暗に、ナノロッドアレイジャンクション領域が、ロッドの側壁のみからなり、ロッドの上部や、ロッド間のベースにおける領域は無視していることに留意されたい。上述のように製造したアレイに関しては、rが〜100nmであり、pNRが〜10ナノロッドcm−2であり、hは3.5乃至7.0μmで変化する。ほぼ最適な吸収体では、厚さ、すなわち、h=n(1/α)であり、n〜2−3で、αは吸収係数であり、半径と密度が同じであるロッドについては、γが〜19である。ここで用いた特定のサンプルでは、γが〜22−44であった。このように、光生成電荷担体の製造比率が両サンプルについて同じである場合、ジャンクション境界に亘る少数担体束は、ナノロッドアレイ電極の各ナノロッドについて、平面ジャンクションシステムの同じ投影面積に存在するものより少ないであろう。
【0061】
開回路電圧は、以下の関係式によるジャンクション面積にわたる光電流密度に関係する:
OC=(kT/q)1n(JSC/γJ
ここで、kはボルツマン定数であり、Tは温度、qは素電荷、Jは実際のジャンクション領域の逆飽和電流密度、JSCは、投影したデバイス領域の単位当たりの短絡電流密度、VOCは、平面電極配置における類似吸収体及びジャンクションによって生成したVOCの値に比較して、γ>>1であるナノロッド電極アレイでは減少するであろう。γ>>1の場合に、この固有のジオメトリ効果は、このようなシステムで結果的にジャンクション面積が増えたことによって、最も小さいナノロッド径から離れるように最適デザインをバイアスする傾向にある。本発明の場合は、増えた単位当たりのジャンクション面積は、ファクタがほぼ30であり、これは、すべての他のパラメータが同じであれば、平面電極に対するナノロッドアレイ電極について、VOCが90mV減少する。しかしながら、ナノロッドアレイ電極のJSCが、平面電極のものより低いので、結果的に、上記の式では、ナノロッドアレイ電極がむしろVOCより低い値になるであろう。
【0062】
表面及び/又はジャンクションの再結合も、ナノロッドアレイ電極のVOCを低くする。Cd(Se,Te)電極とS2−/S2−電解質の間のジャンクションのVOCも、ショックレーダイオードの式による、AM1.0 100mWcm−2の条件下でほぼ1.0Vである、バルク再結合−核酸リミットより低い。この値は、ナノロッドアレイジャンクションシステムで観察されたVOCより有意に高く、ここに述べる制限プロセスが、固相、液相、ジャンクションに関連する再結合プロセスに関することを示す。このように、固相/液層接点のJを低くする改良されたジャンクション製造方法は、このようなシステムのVOCをショックレーダイオードから得られる理論上の限界値まで上げることが期待される。ここで、Jは、ジャンクション−面積−上述の式の補正された関係に組み込まれている。
【0063】
これらの特定のナノロッドアレイシステムにおけるVOCがジャンクション由来の再結合によって制限を受けるという実験的証拠は、光エッチングの効果を考えることによって得られる。光エッチングによる光電極パフォーマンスの改良は、表面の小ピットが光腐食することによる平面電極サンプルの反射率の減少からなされる。しかしながら、ナノロッドアレイ電極の外観は黒く、固有に、有意な内部光散乱と光トラップができる。にもかかわらず、光エッチングが平面レイ及びナノロッドアレイのサンプルのJSCと外部量子収量を改善した。更に、光エッチングは、いくつかのナノロッドアレイ電極のVOCを改良したが、大多数のナノロッドアレイ電極のVOCが低減した。光腐食によって光エッチングが生じ、表面にざらつきが生じると、ジャンクション表面積の値が大きくなるために表面再結合が増え、それによってVOCが下がる。これに対して、電荷担体はトラップ状態に残る傾向を有するため、光エッチングステップが選択的に表面欠陥をエッチングすることによって、VOCを上げる機構を提供する。これらの二つの競合する効果のトレードオフによって、いくつかの場合の光エッチングによるVOCの向上とその他の場合の低下を説明することができる。
【0064】
ナノロッドアレイは、平面システムで通常得られる曲線因子より良好な曲線因子を常に示した。この観察は、S2−/S2−電解質のゆっくりとした界面電子移動力学に一致する。これらのゆっくりとした電荷移動力学は、デバイスの曲線因子を決定するこれらのプロセスに潜在的に依存して、界面結合にわたる回収と表面再結合にわたる回収との間に、少数担体の競合を生み出している。従って、電子−移動触媒及び/又は、レドックス種としての迅速な一電子移動ドナーの使用が、n−GaAs/KOH(aq)−Se2−Se2−ジャンクションの曲線因子を改善するであろう。したがって、このようなシステムでは、電極の表面積の増大が、表面再結合に関する電荷移動を好む傾向にある。なぜなら、一定の光強度では、内部ジャンクション領域が増えるにつれて、ジャンクションに対する少数担体束が減るためである。このように、観察された曲線因子の増大は、このようなシステムにおけるナノロッドアレイ電極の使用に伴う、利益のある特徴である。
【0065】
ナノロッドアレイ電極と共に液体ジャンクション接続が使用されている場合、電解質がバックオーミック電子接点に直接接触していれば、有意なシャントコンダクタンスが生じる。この効果を和らげる一方法は、上述したとおり、電極製造プロセスの初期において、AAOのポア底部にCdSe薄膜をスパッタリングすることである。この方法では、Ti接点を液状電解質に露出させることができない。しかしながら、スパッタリングしたCdSe層がCd(Se,Te)ナノロッドアレイ光電極の観察された特性に有意に寄与しているかどうかについての問題がある。上記のとおり、このスパッタリングを行った層を単独で用いて対照実験を行ったところ、実験結果は、ナノロッドアレイについて測定したものに比較するときわめて低かった。ナノロッドが存在する場合、この領域の一部分のみが光にさらされ得ることを考慮すると、このスパッタリングしたCdSe層の全体のパフォーマンスに対する寄与は最少である。従って、このような方法は、ナノロッドアレイを形成するべく成長している材料の単結晶基板を使用することなく、有意なシャントが発生することなく、テンプレートにおいてナノロッドアレイ電極を成長させることが可能であることを示している。
【0066】
上述したとおり、本発明の実施例は、ポーラスアルミナテンプレートを用いて製造したCd(Se,Te)でできたナノロッドアレイを具え、光電気化学セルを提供している。上述したスペクトル応答は、ナノロッドアレイが、より長い波長の光で発生した電荷担体の回収を容易にすることによって、より長い拡散長を有しているかのように作用することを示した。赤で示すナノロッドアレイの比較的高い量子収量を維持する能力は、このジオメトリが拡散が制限されているシステムにおいて担体回収が改良されることを示す。更に、ナノロッドアレイは、平面システムの対応部分に比較して、曲線因子が改良されており、これは、内部ジャンクション面積が増えた結果、表面再結合に対するよりよい電荷転送に起因するものと思われる。ナノロッドベースの太陽電池のパフォーマンスにおける更なる改良は、ジャンクションにおける再結合を少なくすることによって得られる。アレイ中の単結晶を用いることは、これを実行する一つの方法である。
【0067】
上述した実施例は、ポーラスアルミナテンプレートとCd(Se,Te)の蒸着を使用している。しかしながら、上述したとおり、代替の実施例は、蒸着した半導体構造体用のテンプレートを提供するその他の方法を使用することができる。本発明の実施例によれば、蒸着した半導体構造体は、光吸収方向を電荷担体回収方向に直交させることが好ましい。即ち、蒸着した半導体構造体は、一般的に入射光の方向に長さ寸法を有し、この長さ寸法にほぼ直交するより小さい幅寸法を有する。このように、様々な形状、順序及び密度の半導体構造体アレイを用いることができる。
【0068】
例3:エッチングした半導体構造体を具える光電気化学セル
本発明の別の実施例は、平面基板をエッチングすることによって製造したシリコンピラーを有する光電気化学セルを具える。シリコンをエッチングしたピラーは、低温活性イオンエッチング(RIE)プロセスを用いて製造することができる。このようなプロセスは、ほぼ液体窒素の温度で行うことができ、非常に深くエッチングした構造体を作ることができる。平面基板は、マスク媒体として光レジストを用いてエッチングすることができる。図17A−17Gに、エッチングプロセスを用いて作ったピラーのSEM画像を示す。レジストをパターニングするのに使用した光マスクは、六角形の密封パックしたアレイに切込みを入れた、直径5、10、20及び50μmのスポットでできたアレイを含む領域を有しており、各ケースで同じピラーの総充填率となる。図17Aは、直径50μmのピラーを示す図であり、図17Bは、直径50μmのピラーを単独で示す図である。図17Cは、直径20μmのピラーを示す図である。図17Dは、直径10μmのピラーを示す図であり、図17Eは、直径10μmのピラーの側面図である。図17Fは、直径5μmのピラーを示す図であり、図17Gは、直径5μmのピラーのアレイの平面図である。
【0069】
基板をエッチングして図17A−17Gに記載のピラーを製造した後、基板を製造後のピラニアエッチングにかけ、次いで酸化させて約50−100nmの酸化物層を作る。緩衝HFを用いて酸化物層を除去した。これらのステップは、RIEエッチングプロセスにおいて導入されたあらゆる表面不順物を除去するために行った。次いで、基板をさいの目にきって、各々1種類のピラーのみを有するサンプルと、ピラーアイランド間に見られる平面シリコンのみを有するサンプルとを作成する。このサンプルは、電極に作られており、図4に示すものと同様の光電気化学セルにおいて試験された。図18は、上述の例1に示したものと同様に、液体電解質を用いたピラーサンプルの代表的な電流密度対電圧カーブを示す。このカーブは、約1のシミュレート直射日光照度の下で回収された。ライン601は、平面構造体についての結果を示す図であり、ライン603は50μmピラーについての結果を、ライン605は20μmについての結果を、ライン607は10μmについての結果を、ライン609は5μmについての結果を示す。
【0070】
直前に述べた例は、シリコン基板のRIEエッチングを使用して、本発明の実施例による半導体構造体を提供している。しかしながら、当業者に知られているその他の方法を用いて、基板あるいはベース層から材料を除去することによって、所望の構造体を作るようにしてもよい。即ち、例1及び2で説明したボトム−アップ方法以外にも、その他のトップ−ダウン方法を用いて、所望の構造体を製造することができる。
【0071】
例4:水素製造用の光電気化学セル
本発明の実施例は、入力として太陽光と水を用いて、出力として水素と酸素を製造する人工光合成システムを具える。このシステムは、光アノードと、光カソード、及び、製造物を分離し、イオンは通過させる膜、との3つの個別の主たるコンポーネントを具える。これらのコンポーネントは、完成した水分解系に組み込む前に個別に製造して、最適化することができる。このシステムは、HO(又はOH−)の酸化とH(又はHO)の還元の両方をサポートするのに必要な、開回路で絶対的に1.7乃至1.9Vを発生する、二つの分離した、感光性半導体/液体界面を組み入れている。
【0072】
光アノードと光カソードは、上述したとおり、半導体構造体アレイを具えていても良く、好ましくは、ロッド又はワイヤなどの高アスペクト比の構造体を具える。このアレイ中の半導体構造体は、取り付けた異種マルチ電子移動触媒を有していても良く、これを用いて低い過電圧で酸化又は還元反応を促進することができる。高アスペクト比の半導体ロッド電極によれば、低コストの、地球に埋蔵されている材料を、光吸収と電荷担体回収の直交化によって、エネルギィ変換効率を犠牲にすることなく使用することができる。更に、ロッドベースの半導体アレイ電極の高表面積設計が、固有に、光電極の投影した幾何学的面に対するロッドアレイ面に電荷担体束を下げて、個体/液体ジャンクションにおける光電流密度を低減し、これによって、電気触媒の活性の要求を緩和する。フレキシブルなコンポジットポリマフィルムを用いて、光アノードと光カソード間で電子及びイオンを伝導させ、同時に、気体が物質の混合を防止することができる。即ち、ロッドアレイは、フレキシブルで、ポリマ状メンブレイン材料に埋め込むようにして、ロールからロールへのシステムアッセブリを可能とするようにしても良い。別のポリマ材料を用いて、アノードとカソードの間を電気的に接触させて、構造的サポートを提供するようにしても良い。イオン伝導ポリマの散在したパッチを用いて、二つの半セル間の電荷バランスを維持することができる。
【0073】
特定の実施例では、光カソードが、13−15Ω・cmのマクロポーラスp−シリコン<100>でできた、縦に(あるいはほぼ縦に)整列したロッドアレイを具えていても良い。好ましくは、ロッドアレイは、3μmホール、7μmピッチのマスクを用いて基板をエッチングする(10%のKOH中で40分間エッチングし、次いで、1:2:3のHF:EtOH:HO中で2時間、50mAで電気エッチング)ことによって形成される。シルバープリントによってワイヤコンタクトに接続した、スパッタリング及びアニーリングしたA1バックコンタクトを用いて、ロッドアレイを用い電極を作成することができる。電気化学セルは、50%のアセトニトリル(ポアを湿らせるのに役立つ)中の1M HSOと、Ptメッシュ対電極と、Ag/AgCl基準電極を用いて、構成することができる。このセルを波長λ=828nm、パワーレベル0.002乃至100mW/cmで照明すると、ロッド中の光エネルギィが電荷へ変換され、水素が放出される、即ち、燃料ができる。
【0074】
別の実施例では、光アノードと光カソード成分が、フレキシブルコンポジットポリマフィルムを通って、電気的にかつイオン的に相互接続されているが、物理的にはこのフィルムから分離されている。更に、適当な水電解質システム用の所望の機械的柔軟性、電気的伝導性及びイオン透過特性を示す、ポリマ材料でできた多成分メンブレインを用いることができる。特に、ポリピロールは、アノードとカソード間の電気的接続に使用することができるが、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)は、半導体ロッドアレイ用の構造的サポートを提供する(上述した方法で)のに使用することができる。酸性条件下で操作されたセル中のプロトン伝導には、Nafionを使用することができるが、ポリ(エチレン−コ−テトラフルオロエチレン)(ETFE)の塩化ビニルベンジル修飾フィルムを、アルカリ条件下で操作されたセル中の水酸化物伝導に用いることができる。
【0075】
例1、2、3及び4は本発明の実施例によるデバイス及び構造体を網羅的に列挙したものではない。上述したとおり、この半導体構造体は、上述のワイヤアレイ、ロッドアレイ、又はピラー構造体以外の形状を有していても良い。しかしながら、このようなアレイは光吸収性半導体構造体の密度を上げる能力を提供するため、半導体構造体のアレイが好ましい。整列したアレイは、密度を上げる更に高い機会を提供する。伝導材料は、液体電解質以外の材料であってもよい。構造体は基板上に配置されていなくとも良いが、構造体の一端部あるいは別の端部へ電気的接触を提供するその他の材料を有していても良い。更に、例4に示すように、本発明の実施例は電気エネルギィの生成に限定されるものではなく、燃料の生成に使用することもできる。
【0076】
上述の例は、主に、太陽エネルギィ変換、即ち、太陽電池用の本発明の実施例の使用に関するものである。しかしながら、上述した構造体のアレイを有する本発明の更に別の実施例は、液体伝導ポリマ、あるいはこのような材料に接触するキャパシタ及びバッテリィとして、並びにスーパーキャパシティとして利用することができる。伝導材料と半径方向に接触している半導体構造体アレイを有する本発明の更に別の実施例は、センサとしても使用することができる。
【0077】
本発明の実施例は、光吸収及び電荷担体分離を提供する寸法、配列及び方向を有する半導体構造アレイを有するデバイスである。この半導体構造体は、比較的高いアスペクト比で形成されている、すなわち、この構造体は受光方向において長いが、直径が比較的小さく、半径方向の担体の回収を容易にしている。
【0078】
上述した例示的で好ましい実施例の詳細な説明は、法律の要求に基づいて図示及び開示の目的で記載されている。本発明を上述した詳細な形状に列挙するあるいは限定することを意図するものではなく、単に当業者が本発明の特定の使用あるいは実装に適用できるかを理解できるようにするためのものである。変更例や変形例の可能性については、当業者に自明である。許容誤差、特徴的寸法、特定の操作条件、工業規格、などを含み、実装間における変化、あるいはこの技術の状態による変化に伴う変更を含む、例示的実施例による限定を意図するものではなく、これらからなんら限定されるものではない。この開示は、この技術の現在の状態に対して成されたものであるが、進歩を考慮したものでもあり、将来における適応性はこれらの進歩を考慮することができる、即ち、この技術の現在の状態による。本発明の範囲は、記載されている請求項と適用可能な均等物によって規定される。単数で書かれた請求項の要素は、特に規定されていない限り、「1及び1のみ」を意味するものではない。さらに、この開示における要素、構成のみならず、方法又はプロセスステップは、この要素、成分あるいはステップが請求項において明確に記載されているかどうかにかかわらず、公にささげることを意図するものではない。ここに記載された請求項の要素は、その要素が「・・・する手段」というフレーズを使用して明確に記載されていない限り、米国特許法第35条セクション112、第6パラグラフの規定の下に解釈するべきであり、ここに記載の方法あるいはプロセスステップは、このステップが「・・・するステップを具える」というフレーズを用いて明確に記載されていない限り、上記規定の下に解釈するべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース伝導層と;
細長半導体構造体でできた配列アレイであって、当該細長半導体構造体が前記ベース伝導層の少なくとも部分に電気的に接触する隣接端によって規定される長さ寸法と、前記ベース伝導層に接触していない遠位端とを有し、前記長さ寸法に対してほぼ直交する半径寸法を有し、前記半径寸法が前記長さ寸法より小さい、配列アレイと;
電荷伝導層であって、当該電荷伝導層の少なくともいくつかの部分が前記複数の細長半導体構造体の一又はそれ以上と、当該一又はそれ以上の細長半導体構造体の前記長さ寸法の少なくとも部分に沿って電気的に接触している、電荷伝導層と;を具え、
前記細長半導体構造体が受光した光を吸収することを特徴とするデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記半径寸法が、前記細長半導体構造体を構成する材料の少数担体拡散長より小さいかあるいは同じであることを特徴とするデバイス。
【請求項3】
請求項2に記載のデバイスにおいて、前記長さ寸法に対する半径寸法の比が、太陽エネルギィを電気エネルギィに変換するのに最適であるか、あるいはほぼ最適であることを特徴とするデバイス。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載のデバイスにおいて、前記ベース伝導層が基板を具え、前記細長半導体構造体が当該基板から成長した構造体を具えることを特徴とするデバイス。
【請求項5】
請求項1、2又は3に記載のデバイスにおいて、前記ベース伝導層が基板を具え、前記細長半導体構造体が当該基板に蒸着させた構造体を具えることを特徴とするデバイス。
【請求項6】
請求項1、2又は3に記載のデバイスにおいて、前記ベース伝導層が基板を具え、前記細長半導体構造体が当該基板をエッチングしてできた構造体を具えることを特徴とするデバイス。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、前記電荷伝導層が液体電解質を具えることを特徴とするデバイス。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、前記電荷伝導層が、伝導ポリマ、金属酸化物半導体界面、及びPN接合のうちの少なくとも一又はそれ以上の要素を具えることを特徴とするデバイス。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、前記細長半導体構造体が、ロッド形状、ピラミッド形状、及びツリー形状のうちの少なくとも一又はそれ以上の形状を有する半導体構造体アレイを具えることを特徴とするデバイス。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、前記細長半導体構造体が、当該細長半導体構造体の長さ寸法の少なくとも一部に沿って、前記電荷伝導層に適合して埋め込まれていることを特徴とするデバイス。
【請求項11】
光セルにおいて:
基板と;
配光され配列された半導体ワイヤを具える一又はそれ以上のワイヤアレイであって、前記複数の半導体ワイヤが前記基板に連続する隣接端と、入射光を受光するよう配光された遠位端とを具え、前記隣接端と前記遠位端が各半導体ワイヤの長さ寸法を規定しており、前記各半導体ワイヤが当該半導体ワイヤを構成する材料の少数担体拡散長より短いかあるいは同じ半径を有している、ワイヤアレイと;
電荷伝導層であって、当該電荷伝導層の少なくともいくつかの部分が、一又はそれ以上の半導体ワイヤの長さ寸法の少なくとも部分に沿って一又はそれ以上の半導体ワイヤと電気的に接触している、電荷伝導層と;
を具え、
前記半導体ワイヤが受信光を吸収し、これによって各半導体ワイヤの半径に対する前記長寸法の比が、前記一又はそれ以上の半導体ワイヤを構成する材料の太陽エネルギィ変換に最適であるか、あるいはほぼ最適である、ことを特徴とする光セル。
【請求項12】
請求項11に記載の光セルにおいて、前記一又はそれ以上のワイヤアレイのうちの前記半導体アレイが、前記基板から成長した半導体ワイヤ、前記基板上に蒸着させた半導体ワイヤ、前記基板をエッチングして形成した半導体ワイヤのうちの少なくとも一つを具えることを特徴とする光セル。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の光セルにおいて、前記電荷伝導層が、電解質を伴う非水性溶液、電解質を伴う水性溶液、伝導ポリマ、半導体材料、及び金属のうちの少なくとも一つを具えることを特徴とする光セル。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれか1項に記載の光セルにおいて、前記半導体ワイヤが:結晶性シリコン、非結晶性シリコン、ミクロモルフォスシリコン、微結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、テルル化カドミウム、銅−インジウムセレン、銅−インジウムガリウムセレンガリウムヒ素、ガリウムヒ素リン、セレン化カドミウム、リン化インジウム、a−シリコン−H合金及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを具えることを特徴とする光セル。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれか1項に記載の光セルにおいて、前記一又はそれ以上のワイヤアレイが、均一にあるいはほぼ均一に間隔を空けて配置した半導体ワイヤを具え、当該半導体ワイヤ間のスペースが、前記光セルによる光エネルギィ変換が最大になるように選択されていることを特徴とする光セル。
【請求項16】
水を水素に変換する光セルにおいて:
複数の細長光アノード半導体ワイヤを具える一又はそれ以上の配向ワイヤアレイであって、前記光アノード半導体ワイヤが入射光を受光するよう配向されている、配向ワイヤアレイを具える光アノードと;
複数の細長光カソード半導体ワイヤを具える一又はそれ以上の配向ワイヤアレイであって、前記光カソード半導体ワイヤが入射光を受光するよう配向されている、配向ワイヤアレイを具える光カソードと;
前記複数の光アノード半導体ワイヤを複数の光カソード半導体ワイヤに、電気的及びイオン的に相互接続しているフィルムと;
を具えることを特徴とする光セル。
【請求項17】
請求項16に記載の光セルにおいて、前記フィルムがフレキシブルなコンポジットポリマフィルムであることを特徴とする光セル。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の光セルにおいて、前記フィルムがガス状生成物の混合を防止することを特徴とする光セル。
【請求項19】
請求項16乃至18のいずれか1項に記載の光セルにおいて、前記光アノード半導体ワイヤ及び/又は前記光カソード半導体ワイヤが、付属の異種多電子触媒を有することを特徴とする光セル。
【請求項20】
請求項16乃至19のいずれか1項に記載の光セルが、さらに、イオン伝導ポリマの散在パッチを具えることを特徴とする光セル。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2010−533985(P2010−533985A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517189(P2010−517189)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/070495
【国際公開番号】WO2009/012459
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(510016601)カリフォルニア インスティテュート オブ テクノロジー (4)
【Fターム(参考)】