説明

半導体パッケージ

【課題】小型化の可能な半導体パッケージを提供する。
【解決手段】半導体パッケージ1は、配線基板10と、その配線基板10に搭載された撮像素子20と、その撮像素子20上に設けられた枠状部材30と、その枠状部材30上に接着されたキャップ部材50とを有している。枠状部材30は、撮像素子20の外形に沿って枠状に形成された枠基体部31と、その枠基体部31の上面に設けられ該枠基体部31よりも幅広の接着部32とを有している。また、半導体パッケージ1は、接着部32の下面に接するように形成され、枠状部材30よりも外側の撮像素子20及び配線基板10を封止する封止樹脂60を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末機などのカメラ部を構成するためのカメラモジュールが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
図10は、従来のカメラモジュールに使用される半導体パッケージの断面構造を示している。
【0003】
図10に示すように、配線層71を備えた配線基板70の上に撮像素子80が実装されている。撮像素子80はその受光面が上側になって配線基板70上に固着されている。撮像素子80の接続パッド81がワイヤ82を介して配線基板70の配線層71に接続されている。
【0004】
配線基板70の上には撮像素子80を取り囲むように枠状部材90が固着されている。枠状部材90は、その内周面に内側に突出する枠状の接着部91を備えている。
そして、枠状部材90の接着部91の上に、接着剤92によってガラスキャップ100が接着されている。このようにして、配線基板70、枠状部材90及びガラスキャップ100によって囲まれた空間S10が気密封止され、その空間S10に撮像素子80が収容される。これにより、撮像素子80上にごみ等が付着することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−141123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述のように配線基板70、枠状部材90及びガラスキャップ100によって撮像素子80全体が気密封止されると、半導体パッケージ全体が大型化される。このため、近年益々小型化されるカメラモジュールへの上記半導体パッケージの適用が困難になってきており、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、配線基板と、前記配線基板に搭載された電子部品と、前記電子部品上に設けられ、前記電子部品の外形に沿って枠状に形成された枠基体部と、前記枠基体部の上面に設けられ前記枠基体部よりも幅広の接着部とを有する枠状部材と、前記接着部の上面に接着されたキャップ部材と、前記接着部の下面に接するように形成され、前記枠状部材よりも外側の前記電子部品及び前記配線基板を封止する封止樹脂と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一観点によれば、半導体パッケージの小型化ができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は本実施形態の半導体パッケージの概略断面図であり、(b)は本実施形態の半導体パッケージの概略平面図である。なお、(b)では、キャップ部材とそのキャップ部材を接着する接着剤とを省略している。
【図2】(a)〜(e)は、半導体パッケージの製造方法を示す概略断面図。
【図3】(a)〜(c)は、半導体パッケージの製造方法を示す概略断面図。
【図4】(a)、(b)は、半導体パッケージの製造方法を示す概略平面図。
【図5】(a)〜(d)は、変形例の半導体パッケージの製造方法を示す概略断面図。
【図6】変形例の半導体パッケージを示す概略断面図。
【図7】変形例の半導体パッケージを示す概略断面図。
【図8】変形例の半導体パッケージを示す概略断面図。
【図9】変形例の半導体パッケージを示す概略平面図。なお、本図では、キャップ部材とそのキャップ部材を接着する接着剤とを省略している。
【図10】従来の半導体パッケージを示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して各実施形態を説明する。なお、添付図面は、構造の概略を説明するためのものであり、実際の大きさを表していない。
以下、一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
【0011】
図1(a)に示すように、カメラモジュールに使用される半導体パッケージ1は、配線基板10と、その配線基板10上に実装された撮像素子20と、撮像素子20上に固着された枠状部材30と、枠状部材30に固着されたキャップ部材50とを有している。
【0012】
配線基板10は、基板本体11と、その基板本体11の厚み方向に貫通する貫通電極12と、配線パターン13,14とを有している。基板本体11としては、例えばガラスエポキシ基板を用いることができる。この基板本体11には、所要の箇所(図1(a)では2箇所)に貫通孔11Xが形成されている。この貫通孔11Xは、基板本体11の第1主面11Aから第2主面11Bまでを貫通するように形成されている。
【0013】
貫通電極12は貫通孔11Xに設けられている。貫通電極12は、その一方の端部が配線パターン13に接続されるとともに、他方の端部が配線パターン14に接続されている。
【0014】
配線パターン13は、基板本体11の第1主面11A(撮像素子20が実装される実装面)に形成されている。また、配線パターン14は、基板本体11の第2主面11B(実装面と反対側の面)に形成されている。これら配線パターン13,14は、上記貫通電極12を介して相互に電気的に接続されている。なお、貫通電極12及び配線パターン13,14の材料としては、例えば銅(Cu)などの金属を用いることができる。
【0015】
撮像素子20は、その受光面(上面20A)を上側に向けた状態で基板本体11の第1主面11A上に固着されている。撮像素子20としては、例えばCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサを用いることができる。この撮像素子20の接続パッド21は、ワイヤ22を介して配線基板10の配線パターン13に電気的に接続されている。
【0016】
撮像素子20の上には、枠状部材30が接着されている。具体的には、枠状部材30は、接着剤23によって撮像素子20の上面20A上に接着されている。より具体的には、枠状部材30は、撮像素子20の有効画素領域A1(図1(b)参照)よりも外側の領域(例えば、オプティカルブラック領域)上に接着されている。すなわち、枠状部材30は、撮像素子20の有効画素領域A1(受光部など撮像特性に影響を与える領域)を取り囲むように撮像素子20上に接着されている。なお、枠状部材30の材料としては、絶縁性を有し、所望の形状に加工可能で十分な強度を有する材料であれば、特に制限されない。また、当該半導体パッケージ1がマザーボードにはんだ実装される場合には、枠状部材30の材料としては、250℃〜270℃程度の耐熱性を有する材料であることが好ましい。例えば枠状部材30の材料としては、ポリカーボネート(PC)やポリフェニレンサルファイド(PPS)などの樹脂を用いることができる。また、接着剤23としては、熱硬化型の接着剤を用いることができる。熱硬化型の接着剤としては、エポキシ系接着剤やウレタン系接着剤などを用いることができる。
【0017】
上記枠状部材30は、底面が接着剤23を介して撮像素子20に接着された枠状(額縁状)の枠基体部31と、その枠基体部31よりも幅広の枠状の接着部32と、その接着部32の外周に形成され上方に向かって立設された立設部33とを有している。これら枠基体部31、接着部32及び立設部33は、一体に成型(形成)されている。
【0018】
枠基体部31は、例えば高さH1が300μm、幅W1が500μmに設定されている。接着部32は、枠基体部31の上面に形成されている。接着部32は、その内周面が枠基体部31の内周面よりも外側になるように形成されている。により、枠状部材30の内周面には、段差部30Dが形成されている。すなわち、枠状部材30の内周面には、底面側の部材(ここでは、枠基体部31)が接着部32の上面32Aの内周端よりも内側に突出されて段差部30Dが形成されている。また、接着部32は、その外周面が枠基体部31の外周面よりも外側に突出するように形成されている。この接着部32は、例えば高さH2が200μm、幅W2が600μmに設定されている。
【0019】
また、接着部32の上面32A(接着面)には、凹部32Xが形成されている。この凹部32Xは、接着部32の上面32Aから厚みの途中まで形成されている。また、凹部32Xは、図1(b)に示すように、平面視において環状且つ帯状に形成されている。この凹部32Xは、例えば幅W3が例えば100μm、深さH3(図1(a)参照)が100μmに設定されている。
【0020】
図1(a)に示すように、立設部33は、接着部32上に接着されるキャップ部材50を取り囲むように形成されている。この立設部33は、例えば高さH4が400μm、幅W4が100μmに設定されている。
【0021】
枠状部材30の接着部32の上面32Aには、接着剤40によってキャップ部材50が接着されている。この接着剤40は、接着部32の上面32Aに塗布されるとともに、凹部32Xに充填されている。さらに、接着剤40は、立設部33とキャップ部材50との間にも形成されている。この接着剤40としては、熱硬化型及び紫外線(UV)硬化型の接着剤を用いることができる。この熱硬化型及びUV硬化型の接着剤としては、エポキシ系接着剤やアクリル系接着剤などを用いることができる。
【0022】
キャップ部材50は、四角形の平板状のガラス板である。このキャップ部材50は、例えばサイズが8mm×6mmである。このキャップ部材50が枠状部材30上に固着されると、撮像素子20、枠状部材30及びキャップ部材50によって形成される空間S1が気密封止され、その空間S1が外気から隔絶される。これにより、撮像素子20上(特に、有効画素領域A1上)に、ごみが付着することが防止され、そのごみによって撮像素子20に入射する入射光が遮られる等の問題が発生することが防止される。また、上記キャップ部材50は、外光から可視光以外のIR(赤外線)領域の光を取り除くIRカットフィルタとしても機能する。
【0023】
枠状部材30よりも外側に配置された撮像素子20及び配線基板10上には、封止樹脂60が形成されている。この封止樹脂60は、枠状部材30の接着部32の下面及び立設部33の下面に接するように形成されている。より具体的には、封止樹脂60は、接着部32の下面と配線基板10及び撮像素子20との間の空間を充填するように形成されている。これにより、枠状部材30は、接着剤23によって撮像素子20上に接着されるとともに、封止樹脂60によって支持される。また、この封止樹脂60によって、配線パターン13、接続パッド21やワイヤ22等が封止される。この封止樹脂60の材料としては、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁樹脂を用いることができる。具体的には、封止樹脂60としては、ポッティング法によって形成されたポッティング樹脂を用いることができる。
【0024】
次に、このような構造を採用した半導体パッケージ1の作用を説明する。
半導体パッケージ1では、枠状部材30を撮像素子20上に設けるようにした。これにより、配線基板10上に枠状部材30を配置するスペースが不要となるため、その分だけ配線基板10のサイズを小さくすることができ、半導体パッケージ1を小型化することができる。また、接着部32と配線基板10及び撮像素子20との間の空間を充填し、接着部32の下面に接するように形成された封止樹脂60によって、枠状部材30を支持するようにした。これにより、接着剤23による枠基体部31と撮像素子20との接着と併せて、枠状部材30を強固に支持することができる。
【0025】
ここで、枠状部材30の支持を強固にする方法としては、例えば配線基板10の断面をコの字状に形成し、つまり配線基板10の両端に上方に向かって突出する突出部を設け、その突出部で枠状部材30(接着部32)を支持する方法も考えられる。しかし、この場合には、配線パターン13よりも外側領域に上記突出部を形成する必要があるため、配線基板10が大型化し、ひいては半導体パッケージが大型化するという問題がある。これに対し、本実施形態の半導体パッケージ1では、接着部32の下面と配線基板10及び撮像素子20との間の空間に封止樹脂60を形成することができるため、枠状部材30の支持を強固にするために、枠状部材30の外形を不要に大きくする必要がない。さらに、枠状部材30の支持を強固にするために、枠状部材30の外形よりも不要に大きな部材を設ける必要がない。これにより、半導体パッケージ1の大型化を好適に抑制することができる。
【0026】
また、成型品である枠状部材30によって、撮像素子20とキャップ部材50とを離間させるようにした。このため、枠状部材30の高さを適宜調節することにより、撮像素子20の上面20Aからキャップ部材50の下面までの距離(エアギャップ)を所望の距離に調整することができる。これにより、上記エアギャップを大きく確保することも可能となることから、キャップ部材50であるガラス板の傷、汚れや付着異物等の管理スペックを緩和することが可能となり、歩留まり向上にもつながる。
【0027】
また、枠状部材30では、枠基体部31の上面に、その枠基体部31よりも幅広の接着部32を設けるようにした。これにより、接着部32(の上面32Aに塗布された接着剤40)とキャップ部材50との接触面積を大きくすることができるため、接着部32とキャップ部材50を強固に接着させることができる。
【0028】
さらに、接着部32の上面32Aに環状の凹部32Xを形成するようにした。そして、その凹部32X内に接着剤40を充填するとともに、接着部32の上面32Aに接着剤40を塗布するようにした。このように凹部32X内に接着剤40が充填されることにより、接着剤40を厚く形成することができる。すなわち、枠状部材30やキャップ部材50よりも弾性率の低い接着剤40を厚く形成することができる。これにより、例えば半導体パッケージ1をマザーボード等にはんだ実装する際などに熱処理が実施されても、厚く形成された接着剤40によって枠状部材30とキャップ部材50との間における熱応力を緩和させることができる。具体的には、枠状部材30の熱膨張係数とキャップ部材50の熱膨張係数の差が接着剤40の弾性変形により吸収されるため、それら互いの熱膨張係数の相違により発生する熱応力を緩和させることができる。したがって、キャップ部材50の反り等の問題の発生を抑制することができる。
【0029】
次に、上記半導体パッケージ1の製造方法を説明する。
まず、図2(a)に示すような配線基板10を用意する。配線基板10には、公知の技術を用いて、貫通孔11X、貫通電極12及び配線パターン13,14が形成されている。
【0030】
次に、図2(b)に示すように、配線基板10の第1主面11Aに、受光面を上側にした状態で撮像素子20を実装する(ダイボンディング)。続いて、撮像素子20の接続パッド21と配線基板10の配線パターン13とをワイヤ22によって電気的に接続する(ワイヤボンディング)。
【0031】
ここで、図1に示す枠状部材30、つまり枠基体部31よりも幅広の接着部32の上面32Aに凹部32Xが形成された枠状部材30を用意する。この枠状部材30は、例えば金型にポリカーボネートやポリフェニレンサルファイドなどの樹脂を流し込み、急冷・固化させて取り出すことによって一括成型して得ることができる。なお、枠状部材30は、印刷などによって形成してもよく、任意の形状に枠状部材30を形成可能であれば、その製造方法は特に限定されない。
【0032】
次いで、図2(c)に示すように、撮像素子20の上面20Aに、撮像素子20の外周面(外形)に沿って枠状に熱硬化型の接着剤23を塗布する。この接着剤23は、撮像素子20の有効画素領域A1(図1(b)参照)に広がらないように塗布される。そして、接着剤23の上に枠状部材30を配置する。具体的には、枠状部材30の枠基体部31の底面が接着剤23に接するように、枠状部材30を撮像素子20上に配置する。
【0033】
次に、所定の温度(例えば85℃程度)で熱処理することによって上記接着剤23を硬化させる。これにより、枠状部材30が撮像素子20の上面20Aに接着される。
次いで、図2(d)に示すように、枠状部材30の接着部32の凹部32XにUV硬化型及び熱硬化型の接着剤40を充填するとともに、接着部32の上面32Aに接着剤40を塗布する。
【0034】
続いて、図2(e)に示すように、枠状部材30の接着部32の外形よりも一回り小さなサイズのキャップ部材50を用意し、接着部32の上面32Aにキャップ部材50を配置する。これにより、撮像素子20と、枠状部材30と、キャップ部材50とによって囲まれた空間S1が密閉され、その空間S1内の撮像素子20の有効画素領域A1が外気から隔絶される。なお、キャップ部材50が接着部32の上面32Aに配置されるとき、接着部32上の接着剤40が接着部32の幅方向に広がる。このとき、接着部32の外周端には立設部33が形成されているため、幅方向に広がった接着剤40は立設部33の内壁に沿って高さ方向に広がる。これにより、立設部33とキャップ部材50との間にも接着剤40が形成される。一方、接着部32の内周側には、その接着部32の内周面よりも内側に突出された枠基体部31によって段差部30Dが形成されているため、幅方向に広がった接着剤40が撮像素子20上に落下することが抑制される。
【0035】
次に、UV照射により接着剤40を半硬化させた後、所定の温度(例えば85℃程度)で熱処理することによって上記接着剤40を完全に硬化させる。これにより、空間S1内の空気膨張に起因してキャップ部材50が持ち上がる等の問題の発生が抑制され、キャップ部材50が接着部32の上面32Aに接着される。このとき、接着部32の上面32Aだけでなく、立設部33とキャップ部材50との間にも接着剤40が形成されているため、キャップ部材50を枠状部材30に強固に接着させることができる。
【0036】
続いて、図3(a)に示すように、配線パターン13よりも外側領域の基板本体11の第1主面11A上にダム61を形成する。ここで、図4(a)に示すように、半導体パッケージ1が多数形成される多数個取り基板10Aを使用する場合には、その基板10Aの外形に沿って枠状にダム61が形成される。このダム61の材料としては、粘度の高い材料が好ましく、例えばエポキシ樹脂を用いることができる。なお、ダム61は、額縁状の枠を貼り付ける方法や、ガラスエポキシ基板の製造方法(フォトリソグラフィ法や印刷法などの方法)などにより形成される。
【0037】
次に、図4(b)に示すように、ダム61で囲まれた領域に、封止樹脂60をポッティングにより注入し、その封止樹脂60を加熱により硬化する。この封止樹脂60は、図3(b)に示すように、枠状部材30の接着部32の下面及び立設部33の下面と撮像素子20及び配線基板10との空間が充填されるように注入される。これにより、図3(b)に示すように、枠状部材30が封止樹脂60によって支持され、配線パターン13、接続パッド21及びワイヤ22が封止樹脂60によって封止される。なお、この工程において、ダム61は、封止樹脂60をせき止める部材として機能する。
【0038】
続いて、図3(c)に示すように、図3(b)に示した構造体をダイシング位置Bに沿って切断して個片化することにより、多数の半導体パッケージ1が製造される。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0039】
(1)半導体パッケージ1では、枠状部材30を撮像素子20上に設けるようにした。これにより、配線基板10上に枠状部材30を配置するスペースが不要となるため、その分だけ配線基板10のサイズを小さくすることができ、半導体パッケージ1を小型化することができる。また、接着部32と配線基板10及び撮像素子20との間の空間を充填し、接着部32の下面に接するように形成された封止樹脂60によって、枠状部材30を支持するようにした。これにより、接着剤23による枠基体部31と撮像素子20との接着と併せて、枠状部材30を強固に支持することができる。
【0040】
(2)接着部32の上面32Aに凹部32Xを形成するようにした。そして、その凹部32X内に接着剤40を充填するとともに、接着部32の上面32Aに接着剤40を塗布するようにした。このように凹部32X内に接着剤40が充填されることにより、枠状部材30やキャップ部材50よりも弾性率の低い接着剤40を厚く形成することができる。これにより、半導体パッケージ1に熱処理を施す際に、枠状部材30の熱膨張係数とキャップ部材50の熱膨張係数の差が接着剤40の弾性変形により吸収されるため、それら互いの熱膨張係数の相違により発生する熱応力を緩和させることができる。したがって、キャップ部材50の反り等の問題の発生を抑制することができる。
【0041】
(3)凹部32Xを環状に形成するようにした。これにより、接着部32の上面32Aに凹部32Xが均等に形成されるため、接着部32の上面32A全面で熱応力を緩和させることができる。したがって、キャップ部材50の反り等の問題の発生を効果的に抑制することができる。
【0042】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記実施形態では、枠状部材30を撮像素子20上に接着した後に、その枠状部材30上にキャップ部材50を接着するようにした。これに限らず、例えば枠状部材30上にキャップ部材50を接着した後に、その枠状部材30を撮像素子20上に接着するようにしてもよい。この場合の半導体パッケージ1の製造方法を以下に説明する。
【0043】
図5(a)に示すように、枠状部材30を撮像素子20に接着する前に、枠状部材30の接着部32の凹部32Xに接着剤40Aを充填するとともに、接着部32の上面32Aに接着剤40Aを塗布する。この接着剤40Aとしては、熱硬化型の接着剤を用いることができる。熱硬化型の接着剤としては、エポキシ系接着剤やウレタン系接着剤などを用いることができる。
【0044】
次に、図5(b)に示すように、枠状部材30の接着部32の外形よりも一回り小さなサイズのキャップ部材50を接着部32の上面32Aに配置する。続いて、所定の温度(例えば85℃程度)で熱処理することによって上記接着剤40Aを硬化させる。これにより、キャップ部材50が枠状部材30の上面に接着される。
【0045】
一方、図5(c)に示すように、配線基板10上に実装された撮像素子20の上面20Aに、その撮像素子20の外周面に沿って枠状に接着剤23Aを塗布する。この接着剤23Aとしては、熱硬化型及びUV硬化型の接着剤を用いることができる。この熱硬化型及びUV硬化型の接着剤としては、エポキシ系接着剤やアクリル系接着剤などを用いることができる。
【0046】
次に、図5(d)に示すように、キャップ部材50が接着された枠状部材30を撮像素子20上に配置する。具体的には、枠状部材30の枠基体部31の底面が接着剤23Aに接するように、枠状部材30を撮像素子20上に配置する。続いて、UV照射により接着剤23Aを半硬化させた後、所定の温度(例えば85℃程度)で熱処理することによって上記接着剤23Aを完全に硬化させる。これにより、キャップ部材50が接着された枠状部材30が、撮像素子20の上面20Aに接着される。
【0047】
なお、その後の製造工程は、図3(a)〜図3(c)に示した工程と同様に実施することができるため、ここでは説明を省略する。
・図6に示されるように、枠状部材30から立設部33を省略した構造を採用することもできる。
【0048】
・上記実施形態の封止樹脂60としては、ポッティング法により形成されたポッティング樹脂を用いるようにした。これに限らず、図7に示すように、例えば封止樹脂60Aとして、トランスファーモールド法、コンプレッションモールド法やインジェクションモールド法などにより形成されたモールド樹脂を用いてもよい。なお、図7の例では、封止樹脂60Aの上面と枠状部材30の立設部33の上面とが面一になるように、封止樹脂60Aが形成されている。
【0049】
・図8に示されるように、枠状部材30(枠基体部31及び接着部32)の内周面30Aを、枠基体部31の底面から接着部32の上面32Aに向かって内径が小さくなるテーパ形状に形成するようにしてもよい。これによれば、撮像素子20の上面20Aに配置される枠基体部31の底面積が小さくなるため、撮像素子20と枠状部材30とを接着する接着剤23の塗布領域を小さくすることができる。したがって、接着剤23が撮像素子20の有効画素領域A1に広がることを好適に抑制することができる。
【0050】
・上記実施形態では、接着部32の凹部32Xの形状を環状に形成するようにしたが、この形状に限定されない。例えば図9に示すように、枠状部材30の接着部32の上面32Aにおける四辺に直線状の凹部32Xを形成するようにしてもよい。また、接着部32の上面32Aにおいて散在するように凹部32Xを形成するようにしてもよい。
【0051】
・上記実施形態では、枠基体部31と接着部32と立設部33とを一体に成型して枠状部材30を形成するようにしたが、例えば枠基体部31と接着部32と立設部33とを接着剤等で接着して枠状部材30を形成するようにしてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、撮像素子20を配線基板10上に搭載するようにしたが、撮像素子20以外の電子部品を配線基板10上に搭載するようにしてもよい。例えば光半導体素子を配線基板10上に搭載するようにしてもよい。光半導体素子としては、例えば面発光型の半導体レーザや受光素子(フォトダイオードなど)を用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 半導体パッケージ
10 配線基板
20 撮像素子
23,23A 接着剤
30 枠状部材
30D 段差部
31 枠基体部
32 接着部
32X 凹部
33 立設部
40,40A 接着剤
50 キャップ部材
60,60A 封止樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板に搭載された電子部品と、
前記電子部品上に設けられ、前記電子部品の外形に沿って枠状に形成された枠基体部と、前記枠基体部の上面に設けられ前記枠基体部よりも幅広の接着部とを有する枠状部材と、
前記接着部の上面に接着されたキャップ部材と、
前記接着部の下面に接するように形成され、前記枠状部材よりも外側の前記電子部品及び前記配線基板を封止する封止樹脂と、
を有することを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項2】
前記接着部の上面には、凹部が形成され、
前記凹部に充填され、且つ前記接着部の上面に塗布された接着剤を介して、前記キャップ部材が前記接着部の上面に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項3】
前記凹部は、前記接着部の外形に沿って環状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体パッケージ。
【請求項4】
前記枠状部材の内周面には、底面側の部材が内側に突出されて段差部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体パッケージ。
【請求項5】
前記枠状部材の内周面は、前記枠基体部の底面から前記接着部の上面に向かって内径が小さくなるテーパ形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体パッケージ。
【請求項6】
前記枠状部材は、前記キャップ部材を取り囲むように前記接着部の外周に立設された立設部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体パッケージ。
【請求項7】
前記接着部と前記キャップ部材とを接着する接着剤、及び前記電子部品と前記枠状部材とを接着する接着剤の少なくとも一方は、熱硬化型及び紫外線硬化型の接着剤であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の半導体パッケージ。
【請求項8】
前記電子部品は撮像素子であり、前記キャップ部材はガラスから形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の半導体パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−4534(P2013−4534A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130536(P2011−130536)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)