説明

半導体プラスチックパッケージ

【課題】 放熱性、吸湿後の耐熱性などに優れた半導体プラスチックパッケージの両面金属箔張積層板を得る。
【解決手段】 金属芯プリント配線板を用いるボールグリッドアレイの半導体プラスチックパッケージであって、表裏の回路およびスルーホールを熱硬化性樹脂で金属板と絶縁し、半導体チップを搭載する表面の導体及び反対面のハンダボールパッドとが複数個のブラインドビアホールで金属板と金属メッキで接続し、ブラインドホール部導体上に接着した半導体チップをワイヤボンディングで結線し、半導体チップ部が樹脂封止されてなる半導体プラスチックパッケージ。
【効果】 放熱性、吸湿後の耐熱性などに優れ、大量生産に適した新規な構造の半導体プラスチックパッケージ用の両面金属箔張積層板を得ることができた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体チップを複数個小型プリント配線板に搭載した形の、新規な半導体プラスチックパッケージに関する。特に、マイクロプロセッサー、マイクロコントローラー、ASIC、グラフィック等の比較的高ワットで、多端子高密度の半導体プラスチックパッケージに関する。本半導体プラスチックパッケージは、ソルダーボールを用いてマザーボードプリント配線板に実装して電子機器として使用される。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体プラスチックパッケージとして、プラスチックボールグリッドアレイ(P-BGA)やプラスチックランドグリッドアレイ(P-LGA)等、プラスチックプリント配線板の上面に半導体チップを固定し、このチップを、プリント配線板上面に形成された導体回路にワイヤボンディングで結合し、プリント配線板の下面にはソルダーボールを用いて、マザーボードプリント配線板と接続するための導体パッドを形成し、表裏回路導体がメッキされたスルーホールで接続されて、半導体チップが樹脂封止されている構造の半導体プラスチックパッケージが公知である。本公知構造において、半導体から発生する熱をマザーボードプリント配線板に拡散させるため、半導体チップを固定するための上面の金属箔から下面に接続するメッキされた熱拡散スルーホールが形成されている。該スルーホールを孔を通して、水分が半導体固定に使われている銀粉入り樹脂接着剤に吸湿され、マザーボードへの実装時の加熱により、また、半導体部品をマザーボードから取り外す際の加熱により、層間フクレを生じる危険性があり、これはポプコーン現象と呼ばれている。このポプコーン現象が発生した場合、パッケージは使用不能となることが多く、この現象を大幅に改善する必要がある。また、半導体の高機能化、高密度化は、ますます発熱量の増大を意味し、熱放散用のための半導体チップ直下のスルーホールのみでは熱の放散は不十分となってきている。
【0003】
【発明が解決しようする課題】本発明は、以上の問題点を改善した半導体プラスチックパッケージ用を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、プリント配線板の厚さ方向のほぼ中央部に、プリント配線板とほぼ同じ大きさの金属板を配置し、少なくとも、プリント配線板の表裏に形成された回路導体を該金属板と樹脂組成物で絶縁し、かつ、金属板に、少なくとも、1個以上のスルーホール導体径より大きいクリアランスホール又はスリット孔を形成し、スルーホール導体とクリアランスホール壁又はスリット孔壁とを樹脂組成物で絶縁し、プリント配線板上の信号伝播回路導体を、プリント配線板の反対面に形成された回路導体もしくは該パッケージの外部とハンダボールで接続するために形成された回路導体パッドとをメッキされたスルーホールで結線し、少なくとも、片表面の金属面に熱伝導性接着剤で固定された半導体チップと、該半導体チップとその周囲に形成されたプリント配線板上の回路導体とをワイヤボンディングで結線し、半導体チップ、ワイヤ及びボンディングパッドを樹脂封止している構造の半導体プラスチックパッケージであって、半導体チップを接着すべきプリント配線板の表面に形成された導体が複数個のブラインドビアホールで金属板と金属メッキで接続されており、且つ、半導体チップと反対側の金属板面とハンダボールパッドとが金属メッキされたブラインドビアホールで接続されていることを特徴とする半導体プラスチックパッケージを提供する。本発明は、上記半導体プラスチックパッケージの提供により、半導体チップの下面からの吸湿がなく、吸湿後の耐熱性、すなわちポップコーン現象が大幅に改善できるとともに、その他の信頼性にも優れ、熱放散性を大幅に改善でき、加えて大量生産にも適しており、経済性の改善された、新規な構造の半導体プラスチックパッケージが得られることを見いだし、完成されるに至った。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の半導体プラスチックパッケージは、プリント配線板の厚み方向のほぼ中央に熱放散性の良好な金属板を配置し、表裏の回路導体導通用のメッキされたスルーホールは、金属板にあけられた該クリアランスホール又は該スリット孔より小さめの径の孔とし、埋め込まれた樹脂のほぼ中央に形成することにより、金属板との絶縁性を保持する。
【0006】公知のスルーホールを有する金属芯プリント配線板の上面に半導体チップを固定する方法においては、従来のP-BGA パッケージと同様に半導体チップからの熱は直下の熱放散用スルーホールに落として熱放散せざるを得ず、ポップコーン現象は改善できない。本発明は、まず金属芯とする金属板を、スルーホールが形成可能なように、スルーホールを形成しようとする位置にスルーホール径より大きめのクリアランスホール、又はスリット孔を、公知のエッチング法、打ち抜き法、ドリル、レーザー等で金属芯に孔を形成しておく。
【0007】ブラインドホール、又はスリット孔が形成された金属板の表面に公知の方法で酸化処理、微細凹凸形成、皮膜形成等の接着性や電気絶縁性向上のための表面処理を必要に応じて施す。該表面処理され、クリアランスホール、又はスリット孔が形成された金属板は、すべて熱硬化性樹脂組成物で絶縁部を形成する。熱硬化性樹脂組成物による絶縁部の形成は、半硬化状態の熱硬化性樹脂組成物を含浸、乾燥したプリプレグ、樹脂シート、或いは樹脂付き銅箔等を金属板の両面に配置し、加熱、加圧下に積層形成する。プリプレグ、樹脂シート、或いは樹脂付き銅箔等の樹脂量、樹脂流れは、積層成形した場合、クリアランスホール、又はスリット孔を十分充填でき、ボイドの発生しないように設計する。加熱、加圧工程中に、熱により1度熔融した半硬化状態の熱硬化性樹脂を金属板のクリアランスホール又はスリット孔に流し込んで中を埋め込むと同時に、一体化する。また、あらかじめクリアランスホール、又はスリット部に熱硬化性樹脂組成物を充填、硬化あるいは半硬化しておくこともできる。
【0008】また、無溶剤或いは溶剤タイプの熱硬化性樹脂組成物を用い、スクリーン印刷等で該金属板の上下面に塗布、乾燥して半硬化させ、同時にクリアランスホール、又はスリット孔にも充填する。塗布前に、あらかじめ無溶剤の樹脂組成物を孔に充填させ、硬化、或いは半硬化させておくことも可能である。上下に金属箔を配置し、加熱、加圧下、真空下に積層成形して一体化すると同時に、半硬化の樹脂組成物を熔融させて金属板のクリアランスホール、又はスリット孔内に熱硬化性樹脂組成物を充填する。
【0009】金属板の側面については、熱硬化性樹脂組成物で埋め込まれている形、露出している形、いずれの形でも良い。
【0010】サブトラクティブ法によるスルーホールプリント配線板の形成のためには、積層成形時に、表裏の最外層に、プリント配線板よりやや大きめの金属箔、或いは片面銅張積層板を配置して、加熱、加圧下に積層成形することにより、外層回路形成用の金属箔で表裏が覆われた金属箔張多層板が形成される。
【0011】表裏層に金属箔を使用しないで積層成形する場合、公知のアディティブ法にて回路を形成し、プリント配線板を作る。
【0012】上記サブトラクティブ法、セミアディティブ法で作成した板の、半導体を固定する部分以外の箇所に表裏の回路を導通するスルーホール用孔をドリル、レーザー或いはプラズマ等、公知の方法にて小径の孔をあける。
【0013】表裏信号回路用のスルーホール用孔は、樹脂の埋め込まれた金属板のクリアランスホール、又はスリット孔のほぼ中央に、金属板と接触しないように形成する。次いで無電解メッキや電解メッキによりスルーホール内部の金属層を形成して、メッキされたスルーホールを形成するとともに、フルアディティブ法では、同時に表裏にワイヤボンディング用端子、信号回路、ソルダーボール用パッド、導体回路等を形成する。
【0014】セミアデティブ法では、スルーホールをメッキすると同時に、表裏も全面メッキされ、その後、公知の方法にて上下に回路を形成する。回路形成後、貴金属メッキを、少なくともワイヤボンディングパッド表面に形成してプリント配線板を完成させる。この場合、貴金属メッキの必要のない箇所は、事前にメッキレジストで被覆しておく。または、メッキ後に、必要により公知の熱硬化性樹脂組成物、或いは光選択熱硬化性樹脂組成物で、少なくともボンディングパッド、反対面のハンダボール接着用パッド以外の表面に皮膜を形成してもよい。
【0015】複数個のブラインドビアホールを半導体チップを搭載する箇所、及び裏面に作成し、半導体チップから発生した熱をこのブラインドビアホールの金属メッキを通して内層の金属板に伝導し、さらにその下のブラインドビアホールの金属メッキを通してハンダボールに伝達し、マザーボードプリント配線板に逃げる構造とする。ブラインドビアホールを作成する方法は、レーザー、プラズマ、ドリル等公知の方法が使用できる。孔の大きさは、特に限定はしないが、一般に50〜200μmである。炭酸ガスレーザーを使用した場合、加工後にデスミア処理を施してから、金属メッキを行なう。
【0016】該プリント配線板の半導体を接着するブラインドビアホールのある表層部に金属粉混合接着剤を用いて、半導体チップを接着固定し、さらに半導体チップとプリント配線板回路のボンディングパッドとをワイヤボンディング法で接続し、少なくとも、半導体チップ、ボンディングワイヤ、及びボンディングパッドを公知の封止樹脂で封止する。
【0017】半導体チップと反対面のソルダーボール接続用導体パッドに、ソルダーボールを接続してP-BGA を作り、マザーボードプリント配線板上の回路にソルダーボールを重ね、熱によってボールを熔融接続するか、またはパッケージにソルダーボールをつけずにP-LGA を作り、マザーボードプリント配線板に実装する時に、マザーボードプリント配線板面に形成されたソルダーボール接続用導体パッドとP-LGA 用のソルダーボール用導体パッドとを、ソルダーボールを加熱熔融することにより接続する。
【0018】本発明に用いる金属板は、特に限定しないが、高弾性率、高熱伝導性で、厚さ30〜300μmのものが好適である。具体的には、純銅、無酸素銅、その他、銅が95重量%以上のFe、Sn、P 、Cr、Zr、Zn等との合金、或いは合金の表面を銅メッキした金属板等が好適に使用される。
【0019】本発明で使用される熱硬化性樹脂組成物の樹脂としては、一般に公知の熱硬化性樹脂が使用される。具体的には、エポキシ樹脂、多官能性シアン酸エステル樹脂、多官能性マレイミド−シアン酸エステル樹脂、多官能性マレイミド樹脂、不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられ、1種或いは2種類以上が組み合わせて使用される。耐熱性、耐湿性、耐マイグレーション性、吸湿後の電気的特性等の点から多官能性シアン酸エステル樹脂組成物が好適である。
【0020】本発明の好適な熱硬化性樹脂分である多官能性シアン酸エステル化合物とは、分子内に2個以上のシアナト基を有する化合物である。具体的に例示すると、1,3-又は1,4-ジシアナトベンゼン、1,3,5-トリシアナトベンゼン、1,3-、1,4-、1,6-、1,8-、2,6-又は2,7-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、4,4-ジシアナトビフェニル、ビス( 4-ジシアナトフェニル) メタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、2,2-ビス( 3,5-ジブロモ-4- シアナトフェニル)プロパン、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、トリス(4-シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4-シアナトフェニル)ホスフェート、およびノボラックとハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類などである。
【0021】これらのほかに特公昭41-1928 、同43-18468、同44-4791 、同45-11712、同46-41112、同47-26853及び特開昭51-63149等に記載の多官能性シアン酸エステル化合物類も用いられ得る。また、これら多官能性シアン酸エステル化合物のシアナト基の三量化によって形成されるトリアジン環を有する分子量400〜6,000のプレポリマーが使用される。このプレポリマーは、上記の多官能性シアン酸エステルモノマーを、例えば鉱酸、ルイス酸等の酸類;ナトリウムアルコラート等、第三級アミン類等の塩基;炭酸ナトリウム等の塩類等を触媒として重合させることにより得られる。このプレポリマー中には一部未反応のモノマーも含まれており、モノマーとプレポリマーとの混合物の形態をしており、このような原料は本発明の用途に好適に使用される。一般にはプレポリマーが可溶な有機溶剤に溶解させて使用する。
【0022】エポキシ樹脂としては、一般に公知のものが使用できる。具体的には、液状或いは固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂;ブタジエン、ペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンチルエーテル等の二重結合をエポキシ化したポリエポキシ化合物類;ポリオール、水酸基含有シリコン樹脂類とエポハロヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジル化合物類等が挙げられる。これらは1種或いは2種類以上が組み合わせて使用され得る。
【0023】ポリイミド樹脂としては、一般に公知のものが使用され得る。具体的には、多官能性マレイミド類とポリアミン類との反応物、特公昭57-005406 に記載の末端三重結合のポリイミド類が挙げられる。
【0024】これらの熱硬化性樹脂は、単独でも使用されるが、特性のバランスを考え、適宜組み合わせて使用するのが良い。
【0025】本発明の熱硬化性樹脂組成物には、組成物本来の特性が損なわれない範囲で、所望に応じて種々の添加物を配合することができる。これらの添加物としては、不飽和ポリエステル等の重合性二重結合含有モノマー類及びそのプレポリマー類;ポリブタジエン、エポキシ化ブタジエン、マレイン化ブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブチルゴム、フッ素ゴム、天然ゴム等の低分子量液状〜高分子量のelastic なゴム類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ-4- メチルペンテン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS 樹脂、MBS 樹脂、スチレン−イソプレンゴム、ポリエチレン−プロピレン共重合体、4-フッ化エチレン-6- フッ化エチレン共重合体類;ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド等の高分子量プレポリマー若しくはオリゴマー;ポリウレタン等が例示され、適宜使用される。また、その他、公知の無機或いは有機の充填剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光増感剤、難燃剤、光沢剤、重合禁止剤、チキソ性付与剤等の各種添加剤が、所望に応じて適宜組み合わせて用いられる。必要により、反応基を有する化合物は硬化剤、触媒が適宜配合される。
【0026】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、それ自体は加熱により硬化するが硬化速度が遅く、作業性、経済性等に劣るため使用した熱硬化性樹脂に対して公知の熱硬化触媒を用い得る。使用量は、熱硬化性樹脂100 重量部に対して0.005〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。
【0027】プリプレグの補強基材としては、一般に公知の無機或いは有機の織布、不織布が使用される。具体的には、Eガラス、Sガラス、Dガラス等の公知のガラス繊維布、全芳香族ポリアミド繊維布、液晶ポリエステル繊維布等が挙げられる。これらは、混抄でも良い。また、ポリイミドフィルム等のフィルムの表裏に熱硬化性樹脂組成物を塗布、加熱して半硬化状態にしたものも使用できる。
【0028】最外層の金属箔は、一般に公知のものが使用できる。好適には厚さ3〜100μmの銅箔、銅合金箔、ニッケル箔等が使用される。
【0029】金属板に形成するクリアランスホール、又はスリット孔の大きさは、表裏導通用スルーホール径よりやや大きめに形成する。具体的には、該スルーホール壁と金属板壁とは50μm以上の距離が、熱硬化性樹脂組成物で絶縁されていることが好ましい。表裏導通用スルーホール径については、特に限定はしないが、50〜300μmが好適である。
【0030】本発明の多層プリント配線板用プリプレグを作成する場合、基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸、乾燥し、半硬化状態の積層材料とする。また基材を使用しない半硬化状態とした樹脂シート、樹脂付き銅箔が使用できる。或いは塗料も使用できる。この場合、半硬化状態の程度により、ハイフロー化、ローフロー化する。プリプレグを作成する温度は一般的には100〜180℃である。時間は5〜60分であり、目的とするフローの程度により、適宜選択する。
【0031】本発明の金属芯の入った半導体プラスチックパッケージを作成する方法は特に限定しないが、例えば以下(図1)の方法による。
(1) 内層となる金属板全面を液状エッチングレジストで被覆し、加熱して溶剤を除去した後、クリアランスホール部、又はスリット孔部のレジストが未露光となるように作成したネガフィルムを被せ、紫外線照射後、1%炭酸ナトリウム水溶液で未露光部分を溶解除去する。エッチングにて金属板にクリアランスホール、又はスリットを形成した後、レジストを除去し、この金属板表面全体に化学処理を施し、この上下にプリプレグ等の半硬化の積層材料を配置し、必要により、その両外側に金属箔を置き、(2) 加熱、加圧、真空下に積層成形して一体化する。
(3) 少なくとも半導体チップを固定する位置にドリル、或いはレーザー等でブラインドビアをあける。また、スルーホールを内層金属板に接触しないようにあけ、デスミア処理を施した後、金属メッキを行なう。公知の方法にて上下に回路を作成し、貴金属メッキを施す。
(4) 熱硬化性レジスト、或いは光選択熱硬化性レジストで、少なくとも、半導体チップ搭載部の全部、或いは一部、ワイヤボンディングパッド部、ハンダボールパッド部を除いた部分を被覆し、半導体チップを熱伝導性接着剤でブラインドビアホール部の上に接着固定し、ワイヤボンディングを行ない、その後、樹脂封止して、必要によりハンダボールを接着する。
【0032】
【実施例】以下に実施例、比較例で本発明を具体的に説明する。尚、特に断らない限り『部』は重量部を表す。
【0033】実施例12,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン900部、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン100部を150℃に熔融させ、攪拌しながら4時間反応させ、プレポリマーを得た。これをメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドの混合溶剤に溶解した。これにビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート1001、油化シェルエポキシ<株>製)400部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:ESCN- 220F、住友化学工業<株>製)600部を加え、均一に溶解混合した。更に触媒としてオクチル酸亜鉛0.4部を加え、溶解混合し、これに無機充填剤(商品名:焼成タルクBST-200、日本タルク<株>製)500部を加え、均一攪拌混合してワニスAを得た。このワニスを厚さ100μmのガラス織布に含浸し150℃で乾燥して、ゲル化時間(at170℃)120 秒、170℃、20kgf/cm2 、5分間での樹脂流れ12mm以上のハイフロープリプレグ(プリプレグB)を作成した。厚さ105μmであった。一方、内層金属板となる厚さ200μmの銅板を用意し、両面に液状エッチングレジストを25μm塗布し、乾燥してから、その上に、スルーホールをあける位置のレジストが未露光となるように作成したネガフィルムを置き、紫外線を照射してから1%炭酸ナトリウムで未露光部分のレジストを溶解除去し、両側からエッチングにて孔径0.6mm φのクリアランスホールを作成した。この上下にプリプレグBを配置し、その外側に12μmの電解銅箔を置き、200℃、20kgf/cm2 、30mmHg以下の真空下で積層形成して一体化した。大きさ50mm角のパッケージの中央13mm角の範囲に孔径100μmのブラインドホール用孔を20個、炭酸ガスレーザーで作成した。また、裏面の同じ位置にも同様に20個のブラインドホール用孔を作成した。さらにドリルにて、クリアランスホールのほぼ中央に、金属壁に接触しないように孔径0.25mmφのスルーホールをあけ、デスミア処理を施した後に銅メッキした。表裏にエッチングレジストを貼り付け、乾燥してからポジフィルムを重ねて露光、現像し、表裏回路を形成し、プリント配線板を得た。次いで、メッキレジストを塗布し、硬化した後、ニッケル、金メッキを施してプリント配線板を完成した。上面の13mm角のブラインドビアホール上に、半導体チップを銀ペーストで接着固定し、ワイヤボンディングを行ない、次いでシリカ入りエポキシ封止用コンパウンドを用い、半導体チップ部を樹脂封止して半導体パッケージを作成した(図1)。これをマザーボードプリント配線板に、ハンダボールを熔融させて付けた。この半導体プラスチックパッケージの評価結果を表1に示す。
【0034】実施例212μmの電解銅箔の化学処理面に実施例1のワニスAを塗布、乾燥し、ゲル化時間50秒の半硬化状態の、厚み55μm樹脂付き銅箔を作成した。内層となる、厚さ200μmのCu:99.86重量%、Fe:0.11 重量%、P:0.03重量%の合金板を実施例1と同様に加工して、クリアランスホールを作成した後、上記樹脂付き銅箔を上下に配置し、同様に積層成形し、金属芯入り両面銅張積層板を作成した。さらに実施例1と同様にブラインドビアホールを表裏面に、10mm角の中に15個作成し、同様にデスミア、銅メッキ、回路形成を行ない、メッキレジスト塗布、ニッケル、金メッキを行ない、プリント配線板を作成した。その後、同様に半導体チップ接着、ワイヤボンディング、樹脂封止、ハンダボール付けを行ない、マザーボードプリント配線板に接続した。評価結果を表1に示す。
【0035】比較例1実施例1のプリプレグBを2枚使用し、上下に12μmの電解銅箔を配置し、200℃、20kgf/cm2 、30mmHg以下の真空下に2時間積層成形し、両面銅張積層板を得た。所定の位置に孔径0.25mmφのスルーホールをドリルであけ、デスミア処理後に銅メッキを施した。この板の上下に公知の方法で回路を形成し、ニッケルメッキ、金メッキを施した。これは半導体チップを搭載する箇所に放熱用のスルーホールが形成されており、この上に銀ペーストで半導体チップを接着し、ワイヤボンディング後、エポキシ封止用コンパウンドで実施例1と同様に樹脂封止した(図2)。また、同様にマザーボードプリント配線板に接続した。評価結果を表1に示す。
【0036】比較例2エポキシ樹脂(商品名:エピコート1045)500部、及びエポキシ樹脂(商品名:ESCN220F)500部、ジシアンジアミド300部、2-エチルイミダゾール2部をメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドの混合溶剤に溶解し、これを厚さ100μmのガラス織布に含浸、乾燥して、ゲル化時間10秒、樹脂流れ98μmのノーフロープリプレグ(プリプレグC)、及びゲル化時間150 秒、樹脂流れ18mmのハイフロープリプレグ(プリプレグD)を作成した。プリプレグDを2枚使用し、両面に12μmの電解銅箔を置き、170℃、20kgf/cm2 、30mmHg以下の真空下で2時間積層成形して両面銅張積層板を作成した。後は比較例1と同様にプリント板を作成し、半導体チップ搭載部分をザグリマシーンにてくりぬき、裏面に厚さ200μmの銅板を、上記ノーフロープリプレグCを打ち抜いたものを配置して、加熱、加圧下に接着させ、放熱板付きプリント配線板を作成した。これはややソリが発生した。この放熱板に直接銀ペーストで半導体チップを接着させ、ワイヤボンディングで接続後、液状エポキシ樹脂で封止し、同様にマザーボードプリント配線板に接続した(図3)。この半導体プラスチックパッケージの評価結果を表1に示す。
【0037】<測定方法>1)吸湿後の耐熱性・JEDEC STANDARD TEST METHOD A113-A LEVEL3:30℃・60%RHで所定時間処理後、220℃リフローソルダー3サイクル後の基板の異常の有無について、断面観察及び電気的チェックによって確認した。
2)吸湿後の電気絶縁性・JEDEC STANDARD TEST METHOD A113-A LEVEL2:85℃・60%RHで所定時間(Max.168hrs.) 処理後、220℃リフローソルダー3サイクル後の基板の異常の有無を断面観察及び電気的チェックによって確認した。
3)ガラス転移温度DMA 法にて測定した。
4)プレッシャークッカー処理後の絶縁抵抗値端子間(ライン/スペース=70/70μm)の櫛形パターンを作成し、この上に、それぞれ使用したプリプレグを配置して同様に積層成形したものを、121℃・2気圧で所定時間処理した後、25℃・60%RHにて2時間後処理を行い、500VDC印加60秒後に、その端子間の絶縁抵抗値を測定した。
5)耐マイグレーション性上記4)の試験片を用い、85℃・85%RHにて、50VDC 印加して端子間の絶縁抵抗値を測定した。
6)放熱性パッケージを同一マザーボードプリント配線板にハンダボールで接着させ、1000時間連続使用してから、パッケージの温度を測定した。
【0038】
【表1】


【0039】
【発明の効果】本発明によれば、プリント配線板の厚さ方向のほぼ中央に、プリント配線板とほぼ同じ大きさの金属板が配置し、プリント配線板の表裏に形成された回路導体を該金属板と樹脂組成物で絶縁し、かつ、金属板に、1個以上のスルーホール導体径より大きいクリアランスホール又はスリット孔を形成し、クリアランスホール又はスリット孔の孔とスルーホール導体とを樹脂組成物で絶縁し、プリント配線板表面上の信号伝播回路導体とプリント配線板の反対面に形成された回路導体もしくは該ハンダボールでの接続用導体パッドとを、メッキされたスルーホール導体で結線し、少なくとも、片表面の金属面に熱伝導性接着剤で固定された半導体チップと、半導体チップとその周囲に形成されたプリント配線板上の回路導体とをワイヤボンディングで結線し、該半導体チップ部が樹脂封止されている構造の半導体プラスチックパッケージであって、半導体チップを接着すべきプリント配線板の表面に形成された導体が複数個のブラインドビアホールで金属板と金属メッキで接続され、かつ、半導体チップと反対側の金属板面とハンダボールパッドとが金属メッキされたブラインドビアホールで接続されていて、発生した熱はこのブラインドビアホールを通してマザボードプリント配線板に拡散するようにした半導体プラスチックパッケージが提供される。本発明は半導体プラスチックパッケージを上記構造とすることにより、半導体チップの下面からの吸湿がなく、吸湿後の耐熱性、すなわちポップコーン現象が大幅に改善できるとともに、熱放散性も改善でき、加えて大量生産に適しており、経済性の改善された、新規な構造の半導体プラスチックパッケージが得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の半導体プラスチックパッケージの製造工程を示す説明図である。
【図2】比較例1の半導体プラスチックパッケージの製造工程を示す説明図である。
【図3】比較例2の半導体プラスチックパッケージの製造工程を示す説明図である。
【符号の説明】
(a) 金属箔
(b) プリプレグB
(c) 金属板
(d) ブラインドビアホール
(e) 表裏回路導通スルーホール
(f) 封止樹脂
(g) 半導体チップ
(h) 金ワイヤ
(i) 銀ペースト
(j) ハンダボール
(k) メッキレジスト
(l) 放熱用スルーホール
(m) プリプレグC

【特許請求の範囲】
【請求項1】 プリント配線板の厚さ方向のほぼ中央部に、プリント配線板とほぼ同じ大きさの金属板を配置し、少なくとも、プリント配線板の表裏に形成された回路導体を該金属板と樹脂組成物で絶縁し、かつ、金属板に、少なくとも、1個以上のスルーホール導体径より大きいクリアランスホール又はスリット孔を形成し、クリアランスホール壁又はスリット孔壁を絶縁化し、プリント配線板上の信号伝播回路導体を、プリント配線板の反対面に形成された回路導体もしくは該パッケージの外部とハンダボールで接続するために形成された回路導体パッドとをメッキされたスルーホールで結線し、少なくとも、片表面の金属面に熱伝導性接着剤で固定された半導体チップと、その周囲に形成されたプリント配線板上の回路導体とをワイヤボンディングで結線し、半導体チップ部を樹脂封止している構造の半導体プラスチックパッケージであって、半導体チップを接着すべきプリント配線板の表面に形成された導体が複数個のブラインドビアホールで金属板と金属メッキで接続されており、かつ、半導体チップと反対側の金属板面とハンダボールパッドとが金属メッキされたブラインドビアホールで接続されていることを特徴とする半導体プラスチックパッケージ。
【請求項2】 該金属板が銅95重量%以上の銅合金、或いは純銅である請求項1に記載の半導体プラスチックパッケージ。
【請求項3】 該絶縁樹脂組成物が、多官能性シアン酸エステル、該シアン酸エステルプレポリマーを必須成分とする熱硬化性樹脂組成物である請求項1に記載の半導体プラスチックパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開平11−220067
【公開日】平成11年(1999)8月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−34237
【出願日】平成10年(1998)1月30日
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)