説明

半導体モジュール

【課題】シールド効果を有するとともに、低背化に対応することが可能であり、かつ、信頼性が高い半導体モジュールを提供する。
【解決手段】この半導体モジュール1は、上面上に電子部品20が実装されたモジュール基板10と、このモジュール基板10の上面側に配設され、電子部品20を覆う平板状の天板30と、天板30と電子部品20との間に配設された弾性機能を有する弾性部材40とを備えている。弾性部材40は、シート状の低弾性樹脂からなり、天板30の電子部品20と対向する面に予め固定されている。そして、この弾性部材40によって、天板30が電子部品20と固定されている。また、天板30は、ガラスエポキシ材からなる基材部31と、基材部31上に形成された導電性箔32と、導電性箔32を覆うように基材部31上に形成されたソルダーレジストからなる絶縁層33とを含む、複合構造を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールに関し、特に、電子部品が搭載された半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信機器などの電子機器の分野では、機器の小型化、高機能化の要求がますます強くなってきている。このため、機器の内部に搭載される電子部品の小型化、高機能化、高密度実装化が図られており、また、それら電子部品をモジュール化して更なる高機能化、高密度実装化が図られている。
【0003】
このような電子機器に搭載されるモジュールとして、従来、高周波ノイズなどを遮蔽(シールド)するための金属ケースが装着された半導体モジュールが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1には、電子部品が搭載された基板と、搭載された電子部品を覆うように基板に取り付けられた金属ケースとを備えた高周波モジュール(半導体モジュール)が記載されている。この高周波モジュールでは、金属ケースが、その4隅を含む一部に切り込みを設けてケースの内側に折り曲げ加工し、L字状に形成した半田付け端子を有している。また、基板の電子部品搭載面には、金属ケースの半田付け端子に対応したランド(半田付け用パッド)が設けられている。そして、このランドに金属ケースの半田付け端子が半田接合されることにより、基板に金属ケースが取り付けられている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来の高周波モジュールの構造では、金属ケースを基板に取り付けるために、基板の電子部品搭載面にランド(パッド)を設ける必要がある。このため、基板にランドを形成する領域を確保しなければならないため、モジュールの小型化を図ることが困難になるという問題点があった。
【0006】
そこで、従来、上記問題点を解消することが可能な半導体モジュールとして、金属ケースの代わりに天板を備えた半導体モジュール(たとえば、株式会社村田製作所製 SAYEVシリーズ)が知られている。
【0007】
図31および図32は、従来の一例による半導体モジュールの構造を示した断面図である。図31および図32を参照して、従来の一例による半導体モジュール1000では、複数の電子部品1020が実装されたモジュール基板1010と、これらの電子部品1020を覆うように設けられた平板状の天板1030とを備えている。この天板1030は、樹脂の圧縮成型により形成されており、単一構成部材に構成されている。また、複数の電子部品1020は、抵抗などの受動部品1021とともに、受動部品1021よりも背の高い高背部品1022(たとえば、WL−CSP(Wafer Level Chip Size Package))を含んでいる。そして、上記天板1030が、モジュール基板1010に実装されている最も背の高い高背部品1022にのみ熱硬化性の硬質接着剤で固定されている。具体的には、図31に示すように、モジュール基板1010に実装された最も背の高い高背部品1022の上面に接着剤1040が塗布された後、図32に示すように、この接着剤1040に押しつけるようにして天板1030が搭載される。そして、接着剤1040が熱硬化することにより、高背部品1022に天板1030が固定される。なお、上記半導体モジュール1000では、天板1030とモジュール基板1010とは同一の外形寸法(平面形状、平面積)に形成されている。
【0008】
上記のように構成された従来の半導体モジュール1000では、天板1030が高背部品1022に固定されるので、モジュール基板1010にランドを設ける必要がない。このため、ランドを形成する領域を確保する必要がないので、半導体モジュールの小型化を図ることが可能となる。
【0009】
【特許文献1】特許第3941634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図31および図32に示した従来の半導体モジュール1000では、天板1030が高背部品1022にのみ固定されているため、マウンター1050などでプリント基板などに実装するときに、高背部品1022(WL−CSPにおける部位ベース、Siチップ部、半田ボール部など)にマウンターヘッド1050による衝撃荷重が集中して加わるという不都合がある。このため、高背部品1022が損傷したり、高背部品1022とモジュール基板1010との電気的な接続が断絶されたりするので、信頼性が低下するという問題点がある。
【0011】
また、上記した従来の半導体モジュール1000では、天板1030が樹脂の圧縮成型によって形成されているので、欠け易いという不都合がある。このため、耐衝撃性を向上させようとする場合には、天板1030の厚みを大幅に大きくする必要がある。これにより、半導体モジュール1000の厚みが増大するので、モジュールを低背化することが困難になるという問題点がある。
【0012】
さらに、上記した従来の半導体モジュール1000では、天板1030が樹脂の単一構成部材で構成されているので、シールド効果(遮蔽効果)が得られないという問題点もある。
【0013】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、シールド効果を有するとともに、低背化に対応することが可能であり、かつ、信頼性が高い半導体モジュールを提供することである。
【0014】
この発明のもう1つの目的は、小型化および省スペース化を図ることが可能な半導体モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による半導体モジュールは、一主面上に電子部品が実装された基板と、基板の一主面側に配設され、電子部品を覆う平板状の天板と、天板と電子部品との間に配設された弾性機能を有する弾性部材とを備えている。そして、上記天板は、導電性部材を含むとともに、弾性部材によって電子部品と固定されている。
【0016】
この一の局面による半導体モジュールでは、上記のように、平板状の天板を、弾性機能を有する弾性部材を介して電子部品と固定することによって、プリント基板などに実装するときにマウンターより受ける衝撃を弾性部材で吸収することができる。このため、電子部品に加わる衝撃荷重を緩和することができるので、耐荷重性を向上させることができる。これにより、実装されている電子部品が損傷するのを抑制することができるとともに、電子部品と基板との電気的な接続が断絶されるのを抑制することができる。その結果、信頼性を向上させることができる。
【0017】
また、一の局面による半導体モジュールでは、上記のように、導電性部材を含むように天板を構成することによって、シールド効果を得ることができる。また、一の局面では、導電性部材を含むように天板を構成することによって、天板の機械的強度を向上させることができるので、天板の耐衝撃性を向上させることができる。これにより、天板の厚みが大きくなるのを抑制することができるので、モジュールの低背化に対応することができる。
【0018】
また、一の局面による半導体モジュールでは、天板が電子部品に固定されるので、基板にランドを設ける必要がない。このため、基板にランドを形成する領域を確保する必要がないので、小型化および省スペース化を図ることができる。
【0019】
上記一の局面による半導体モジュールにおいて、好ましくは、導電性部材は、導電性箔であり、天板は、絶縁性の基材部と、基材部上に形成された導電性箔とを含む複合構造を有している。このように構成すれば、容易に、シールド効果を有する天板を備えた半導体モジュールを得ることができる。
【0020】
上記複合構造を有する天板を備えた半導体モジュールにおいて、好ましくは、天板の基材部は、ガラスエポキシ材からなり、天板の導電性箔は、銅箔からなる。このように構成すれば、より容易に、シールド効果を有する半導体モジュールを得ることができる。また、このように構成すれば、容易に、柔軟性を有する天板を形成することができる。なお、このように構成することによって、金型を用いることなく天板を形成することができるので、設備コストおよび製造コストが増大するのを抑制することができる。すなわち、金属ケースが装着された従来の半導体モジュールでは、金属ケースを製造するために加工用の金型が必要となる。また、樹脂の圧縮成型により形成された天板を備えた従来の半導体モジュールでは、天板を圧縮成型するための金型が必要となる。このように、上述した従来の半導体モジュールでは、金属ケースや天板の製造に金型が必要となるので、金型の製作に要する初期費用が極めて高くなる。このため、設備コストおよび製造コストが増大するという不都合がある。その一方、天板の基材部をガラスエポキシ材から構成し、この基材部上に形成する導電性箔を銅箔から構成することによって、プリント基板などの製造プロセスを用いて天板を形成することができるので、金属ケースなどを製造するための金型が不要となる。これにより、設備コストが増大するのを抑制することができ、半導体モジュールの製造コストを低減することができる。
【0021】
上記複合構造を有する天板において、好ましくは、導電性箔は、基材部よりも小さい平面積を有しており、平面的に見た場合に、導電性箔の外縁が基材部の外縁よりも内側に位置するように、導電性箔が配されている。このように構成すれば、プリント基板などに実装された状態で天板が外れた場合でも、周辺部品などとの電気的な短絡やリークなどが生じるのを確実に抑制することができる。
【0022】
上記一の局面による半導体モジュールにおいて、弾性部材は、所定の厚みを有するシート状に形成されたものを用いることができる。また、このような弾性部材を、予め天板に固定しておくこともできる。
【0023】
上記一の局面による半導体モジュールにおいて、弾性部材は、エポキシ系の低弾性樹脂から構成されているのが好ましい。このような弾性部材を介して天板を固定することによって、弾性部材により、プリント基板などに実装するときにマウンターより受ける衝撃を容易に吸収することができる。これにより、電子部品に加わる衝撃荷重を容易に緩和することができる。
【0024】
上記一の局面による半導体モジュールにおいて、好ましくは、電子部品は、基板上に複数実装されており、弾性部材は、天板における電子部品と対向する面の全面に固定されており、天板は、複数の電子部品のうちの少なくとも一部の電子部品と固定されている。このように構成すれば、複数の電子部品のうち、最も背の高い高背部品のみならず、高背部品と高さが近い電子部品にも、天板を固定することができる。このため、高背部品と高さが近い電子部品にも天板を固定することにより、プリント基板などに実装するときにマウンターより受ける衝撃荷重を複数の電子部品に分散させることができるので、個々の電子部品に加わる衝撃荷重を効果的に緩和することができる。なお、この場合において、基板の設計段階で面積の大きな電子部品(高背部品)と高さの近い電子部品を選定しておき、電気的性能に影響しないと考えられる範囲内で、これらの電子部品を基板上に分散配置するのが好ましい。
【0025】
上記一の局面による半導体モジュールにおいて、好ましくは、天板における電子部品と対向する面には、表面粗化処理が施されている。このように構成すれば、弾性部材と天板との密着性を向上させることができるので、容易に、弾性部材を天板に固定することができる。これにより、弾性部材によって天板を容易に取り付けることができる。なお、上記表面粗化処理としては、たとえば、アルゴンプラズマ処理などが挙げられる。また、天板における電子部品と対向する面は、上記表面粗化処理によって、400nm程度の粗さに表面粗化されているのが好ましい。
【0026】
上記一の局面による半導体モジュールにおいて、好ましくは、天板は、柔軟性を有している。このように構成すれば、天板が撓むことによって、半導体モジュールに加わる衝撃荷重をより効果的に緩和することができるので、耐荷重性をより向上させることができる。
【0027】
上記一の局面による半導体モジュールにおいて、好ましくは、天板は、基板よりも小さい平面積を有しており、平面的に見た場合に、天板の外縁が基板の外縁よりも内側に位置するように、天板が配設されている。このように構成すれば、たとえば、モジュール組込工程での落下や、梱包トレイ収納状態における製品(半導体モジュール)輸送時の振動による揺すれ当たりなどにより、半導体モジュールの側方から強い衝撃が加わった場合でも、天板とモジュール基板とが同一の外形寸法に形成されている従来の半導体モジュールと異なり、そのような衝撃が直接天板に加わるのを抑制することができる。これにより、側方からの強い衝撃が天板に直接加わることに起因して、実装されている電子部品が損傷したり、電子部品と基板との電気的な接続が断絶されたりする不都合が生じるのを抑制することができるので、信頼性をより向上させることができる。
【0028】
上記一の局面による半導体モジュールにおいて、好ましくは、天板は、導電性部材を覆う絶縁性部材をさらに含んでいる。このように構成すれば、プリント基板などに実装された状態で天板が外れた場合でも、周辺部品などとの電気的な短絡やリークなどが生じるのを抑制することができる。
【0029】
上記絶縁性部材を含む天板を備えた半導体モジュールにおいて、絶縁性部材は、導電部材の一部を露出させる開口部を有していてもよい。このように構成すれば、開口部によって露出された導電性部材の一部と、たとえば、半導体モジュールが搭載される電子機器の接地部とを電気的に接続することによって、容易に、接地シールド効果を得ることができる。
【0030】
この場合において、電子部品とは反対側に開口部が位置するように、天板が配設されていてもよい。このように構成すれば、導電性部材の一部を、容易に、半導体モジュールが搭載される電子機器の接地部と電気的に接続することができる。
【0031】
また、この場合において、電子部品側に開口部が位置するように、天板が配設されていてもよい。
【0032】
上記電子部品側に開口部が位置するように天板が配設された構成において、開口部により露出された導電性部材の一部を、電子部品と電気的に接続することができる。このように構成すれば、導電性部材と電気的に接続される電子部品を半導体モジュール(基板)の接地ライン(GND)と電気的に接続させておくことによって、電子部品を介して、導電性部材を接地することができる。このため、これによっても、接地シールド効果を得ることができる。この場合、接地ライン(GND)と電気的に接続される電子部品の少なくとも1つを、低抵抗の抵抗素子とすれば、天板の導電性部材の電位をGND電位と略同電位とすることができる。
【0033】
上記導電性部材の一部が電子部品側に露出されている構成において、好ましくは、開口部は、絶縁性部材に複数形成されている。このように構成すれば、複数箇所で導電性部材と電子部品とを電気的に接続することにより、接地シールド効果を得ながら、導電性部材と電気的に接続されている電子部品で天板を支持することができる。また、導電性部材と電気的に接続される電子部品を、コンデンサとすることによって、バイパスコンデンサとして機能させることもできる。
【発明の効果】
【0034】
以上のように、本発明によれば、シールド効果を有するとともに、低背化に対応することが可能であり、かつ、信頼性が高い半導体モジュールを容易に得ることができる。
【0035】
また、本発明によれば、小型化および省スペース化を図ることが可能な半導体モジュールを容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0037】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による半導体モジュールの分解斜視図であり、図2は、本発明の第1実施形態による半導体モジュールの断面図である。図3は、本発明の第1実施形態による半導体モジュールの全体斜視図であり、図4は、本発明の第1実施形態による半導体モジュールの平面図である。図5〜図7は、本発明の第1実施形態による半導体モジュールを説明するための図である。なお、図2は、図4のA−A線に沿った断面を示している。まず、図1〜図7を参照して、本発明の第1実施形態による半導体モジュール1の構造について説明する。
【0038】
第1実施形態による半導体モジュール1は、図1〜図3に示すように、モジュール基板10と、モジュール基板10の上面(一主面)上に実装された複数の電子部品20と、これら電子部品20を覆う平板状の天板30とを備えている。なお、モジュール基板10は、本発明の「基板」の一例である。
【0039】
また、第1実施形態による半導体モジュール1は、図4に示すように、平面的に見て、正方形形状を有している。具体的には、半導体モジュール1は、X方向に約5.9mmの幅Wを有しており、Y方向に約5.9mmの長さLを有している。また、図2に示すように、半導体モジュール1は、約1.0mmの厚みtを有している。
【0040】
半導体モジュール1を構成するモジュール基板10は、所定の厚みを有するセラミックス多層基板から構成されている。このモジュール基板10は、図4に示すように、平面的に見て、4つの辺(外縁)11を有する正方形形状に形成されている。具体的には、モジュール基板10は、X方向の幅W1が約5.9mmに形成されているとともに、Y方向の長さL1も約5.9mmに形成されている。また、図2に示すように、モジュール基板10には、所定の配線パターンに形成され、電子部品20が電気的に接続される配線導体12が形成されている。一方、モジュール基板10の下面上には、ヴィアホール(図示せず)などを介して配線導体12と電気的に接続された電極端子13が形成されている。
【0041】
モジュール基板10上に実装される複数の電子部品20は、図1および図2に示すように、半導体素子21、および、抵抗、インダクタ、コンデンサなどの受動部品22等を含んでいる。これら複数の電子部品20は、目的とする機能を発揮するように適宜選択されて、モジュール基板10上に実装されている。たとえば、半導体モジュール1がテレビチューナモジュールとして用いられる場合には、半導体素子21として、RF−IC(Radio Frequency Integrated Circuit)などが用いられる。
【0042】
受動部品22は、チップ型電子部品(チップ部品)から構成されている。この受動部品22は、セラミックス焼結体を素体とし、その両端部に外部端子電極22aを有している。受動部品22の大きさは、たとえば、通称0603部品の場合、縦0.6mm×横0.3mm×高さ0.3mmであり、通称0402部品の場合、縦0.4mm×横0.4mm×高さ0.2mmである。
【0043】
上記した複数の電子部品20は、モジュール基板10上の所定領域に実装されることによって、モジュール基板10の配線導体12(図2参照)およびヴィアホール(図示せず)などを介して互いに電気的に接続され、これによって、一種の集積回路が構成されている。なお、第1実施形態では、モジュール基板10上に実装される半導体素子21は、WL−CSPに構成されている。この半導体素子21の大きさは、たとえば、縦3.6mm×横3.6mmであり、実装後の取付高さは、約0.4mm〜約0.6mmである。また、モジュール基板10上には、必要に応じて、LPF(Low Pass Filter)、水晶振動子などの部品が実装される場合もある。
【0044】
また、図1〜図3に示すように、上記天板30は、電子部品20を覆うように、モジュール基板10の一主面側に配設されている。
【0045】
ここで、第1実施形態では、図2および図6に示すように、天板30は、絶縁性を有する平板状の基材部31と、基材部31の一方主面上に貼り付けられた導電性箔32と、導電性箔32を覆うように基材部31の一方主面上に形成された絶縁性の絶縁層33とを含む、複合構造(積層構造)に構成されている。また、天板30を構成する基材部31は、約0.1mmの厚みを有するガラスエポキシ材(ガラス布基材エポキシ樹脂板)から構成されており、導電性箔32は、約18μmの厚みを有する銅箔から構成されている。さらに、絶縁層33は、ソルダーレジストから構成されており、導電性箔32上の厚みが約30μmとなるように基材部31の一方主面上に形成されている。なお、導電性箔32は、本発明の「導電性部材」の一例であり、絶縁層33は、本発明の「絶縁性部材」の一例である。
【0046】
また、第1実施形態では、図4および図5に示すように、上記天板30(基材部31)は、平面的に見て、4つの辺(外縁)34を有する正方形形状に形成されている。具体的には、天板30は、X方向の幅W2が約5.6mmに形成されているとともに、Y方向の長さL2も約5.6mmに形成されている。すなわち、第1実施形態では、図4に示すように、天板30は、モジュール基板10よりも小さい平面積に形成されている。
【0047】
また、第1実施形態では、導電性箔32の端部が基材部31の内側に位置するように天板30が構成されている。具体的には、導電性箔32は、平面的に見て、4つの辺(外縁)32aを有する正方形形状に形成されており、図5に示すように、X方向の幅W3が約5.6mmに形成されているとともに、Y方向の長さL3も約5.6mmに形成されている。そして、平面的に見た場合に、導電性箔32の各辺(外縁)32aが、基材部31(天板30)の各辺34よりも内側に位置するように、基材部31の中央部に導電性箔32が配されている。また、天板30は、上記のように構成されることによって、半導体モジュール1の使用環境下において、所定の柔軟性を有している。
【0048】
上記のように構成された天板30は、図2に示すように、モジュール基板10上に実装された複数の電子部品20の一部と、弾性機能および接着機能を有する弾性部材40によって固定されている。このため、天板30と電子部品20との間に弾性部材40が配設された状態となっている。この弾性部材40は、約25μm〜約100μm(たとえば、約50μm)の厚みを有するシート状のエポキシ系低弾性樹脂からなり、半導体モジュール1の使用環境下において、約1MPa〜約200MPaの弾性率を有する。また、図2および図6に示すように、シート状の弾性部材40は、天板30の他方主面(電子部品20と対向する面)の全面に、熱圧着によって予め固定されている。なお、弾性部材40が固定される天板30の他方主面には、弾性部材40と天板30との密着性を向上させるために、アルゴンプラズマ処理などの表面粗化処理が施されている。この表面粗化処理により、天板30の他方主面は、400nm程度の粗さ(Ra)に表面粗化されている。
【0049】
また、上記弾性部材40として、たとえば、半導体チップをダイボンドするときに使用するダイボンディングシート(ダイボンディングフィルム)などを用いることができる。なお、ダイボンディングシート(ダイボンディングフィルム)は、23℃の環境下でDMA(動的粘弾性測定法)によって測定した弾性率が100MPa程度のものを用いるのが好ましい。
【0050】
また、第1実施形態では、図2に示すように、上記した半導体素子21が、最も背の高い高背部品であり、この半導体素子21に天板30が固定されているとともに、半導体素子21と高さが近い電子部品20(受動部品22)にも天板30が固定されている。また、天板30が固定される電子部品20(受動部品22)は、モジュール基板10の部品実装領域において分散配置されている。
【0051】
また、上記天板30は、図4に示すように、平面的に見た場合に、天板30の各辺(外縁)34が、モジュール基板10の各辺(外縁)11の内側に位置するように、モジュール基板10の中央部に天板30が配設されている。具体的には、天板30の各辺(外縁)34がモジュール基板10の各辺(外縁)11よりも、約0.15mmの距離a(図2および図4参照)だけ内側に位置するように、天板30が配設されている。
【0052】
上記のように構成された第1実施形態による半導体モジュール1は、図7に示すように、マウンター50によって実装基板60(プリント基板)の実装位置に移動され、実装基板60上に実装される。
【0053】
第1実施形態では、上記のように、平板状の天板30を、弾性機能を有する弾性部材40を介して電子部品20と固定することによって、プリント基板などの実装基板60に半導体モジュール1を実装するときに、マウンター50より受ける衝撃を弾性部材40で吸収することができる。このため、電子部品20に加わる衝撃荷重を緩和することができるので、耐荷重性を向上させることができる。これにより、実装されている電子部品20が損傷するのを抑制することができるとともに、電子部品20とモジュール基板10との電気的な接続が断絶されるのを抑制することができる。その結果、信頼性を向上させることができる。
【0054】
また、第1実施形態では、導電性箔32を含むように天板30を構成することによって、シールド効果を得ることができる。なお、平板状の天板30を取り付けることによって、モジュール基板10と天板30との間に隙間が生じるものの、この隙間の間隔は、0.4mm〜0.6mm程度であるため、十分にシールド効果を得ることができる。
【0055】
また、第1実施形態では、天板30が電子部品20に固定されるので、モジュール基板10にランドを設ける必要がない。このため、モジュール基板10にランドを形成する領域を確保する必要がないので、小型化および省スペース化を図ることができる。
【0056】
また、第1実施形態では、天板30を、ガラスエポキシ材からなる平板状の基材部31と、基材部31の一方主面上に貼り付けられた導電性箔32と、導電性箔32を覆うように基材部31の一方主面上に形成された絶縁性の絶縁層33とを含む、複合構造(積層構造)に構成することによって、天板30の耐衝撃性を向上させることができる。これにより、天板30の厚みが大きくなるのを抑制することができるので、モジュールの低背化に対応することができる。
【0057】
また、第1実施形態では、天板30を、上記複合構造に構成することによって、プリント基板などの製造プロセスを用いて天板30を形成することができるので、容易に、シールド機能を有する天板30を得ることができる。なお、従来の半導体モジュールのように、樹脂の単一構成部材から天板を構成した場合には、シールド効果を得ようとする場合、天板成型完了品に別工程でメッキ施工や導電性材料のコーティングを施す必要があるため、製造工程が煩雑になるという不都合がある。この場合、樹脂との密着性が良好な導電性材料は、高価であるため、製造コストが上昇するという不都合もある。また、樹脂との密着性が良好なメッキ被膜を形成する場合には、特殊メッキ処理を行う必要があるため、この場合にも、製造コストが上昇するという不都合がある。
【0058】
また、第1実施形態では、ガラスエポキシ材からなる基材部31を有する複合構造に天板30を構成することによって、天板30に柔軟性を持たせることができる。このため、天板30が撓むことによって、半導体モジュール1に加わる衝撃荷重を効果的に緩和することができるので、これによっても、耐荷重性を向上させることができる。
【0059】
また、第1実施形態では、ガラスエポキシ材からなる基材部31を用いて天板30を形成することにより、金型を用いずに天板30を製造することができるので、金型の製作に要する初期費用が不要となる。このため、設備コストが増大するのを抑制することができるので、製品コスト(製造コスト)に加算される設備回収費用を低減することができる。これにより、製品コスト(製造コスト)を低減することができる。
【0060】
また、第1実施形態では、天板30の基材部31上に導電性箔32を覆う絶縁層33を形成することによって、実装基板60上に実装された状態で天板30が外れた場合でも、周辺部品などとの電気的な短絡やリークなどが生じるのを抑制することができる。
【0061】
また、第1実施形態では、導電性箔32を、基材部31よりも小さい平面積に形成するとともに、平面的に見た場合に、導電性箔32の各辺(外縁)32aが天板30(基材部31)の各辺(外縁)34よりも内側に位置するように、導電性箔32を配することによって、導電性箔32が絶縁層33で封止されるので、実装基板60上に実装された状態で天板30が外れた場合でも、周辺部品などとの電気的な短絡やリークなどが生じるのを確実に抑制することができる。
【0062】
また、第1実施形態では、シート状の弾性部材40を、天板30の他方主面の全面に予め固定しておくことによって、天板30を、最も背の高い高背部品である半導体素子21に固定することができるとともに、モジュール基板10上において分散配置されている半導体素子21と高さが近い電子部品20(受動部品22)にも天板30を固定することができる。このため、実装基板60に実装するときにマウンター50より受ける衝撃荷重を複数の電子部品20に分散させることができるので、個々の電子部品20に加わる衝撃荷重を効果的に緩和することができる。
【0063】
また、第1実施形態では、天板30を、モジュール基板10よりも小さい平面積に形成するとともに、平面的に見た場合に、天板30の各辺(外縁)34がモジュール基板10の各辺(外縁)11よりも内側に位置するように、天板30を配設することによって、たとえば、モジュール組込工程での落下や、梱包トレイ収納状態における製品輸送時の振動による揺すれ当たりなどにより、半導体モジュール1の側方から強い衝撃が加わった場合でも、そのような衝撃が直接天板30に加わるのを抑制することができる。これにより、側方からの強い衝撃が天板30に直接加わることに起因して、実装されている電子部品20が損傷したり、電子部品20とモジュール基板10との電気的な接続が断絶されたりする不都合が生じるのを抑制することができる。したがって、これによっても、半導体モジュール1の信頼性を向上させることができる。
【0064】
図8〜図19は、本発明の第1実施形態による半導体モジュールの製造方法を説明するための図である。次に、図1、図2、図4および図8〜図19を参照して、本発明の第1実施形態による半導体モジュール1の製造方法について説明する。
【0065】
まず、プリント基板などの製造に使用される、約0.1mmの厚みを有するガラスエポキシ材からなる平板状の基材部31を準備する。次に、この基材部31の一方主面上に、約18μmの厚みを有する接着剤付の銅箔を熱圧着し、この銅箔をエッチングなどによって正方形形状にパターニングする。これにより、図8および図9に示すように、基材部31上に、銅箔からなる複数の導電性箔32がマトリクス状に形成される。
【0066】
次に、図10に示すように、導電性箔32が形成された基材部31の一方主面上に、印刷法などを用いて、ペースト状のソルダーレジストを全面に印刷し、熱硬化させる。これにより、基材部31の一方主面上に、導電性箔32を覆うように絶縁層33が形成される。
【0067】
続いて、図11に示すように、基材部31の一方主面とは反対側の他方主面に、アルゴンプラズマ処理などの表面粗化処理を施すことにより、基材部31の他方主面を、400nm程度の粗さ(Ra)に表面粗化する。そして、図12および図13に示すように、表面粗化された基材部31の他方主面に、シート状の弾性部材40(たとえば、ダイボンディングシートなど)を熱圧着により固定する。このようにして、複数の天板30が連結された天板集合体30aが形成される。なお、天板集合体30aは、弾性部材40が予め固定された状態となっている。
【0068】
次に、図14に示すような、複数のモジュール基板10が連結された基板集合体10aを準備する。この基板集合体10aは、セラミックス多層基板からなり、基板集合体10aの上面には、電子部品20(図1参照)が実装される部品実装領域10bが設けられている。なお、基板集合体10aは、後の工程において、X方向に沿ったダイシングラインP(P1)、および、Y方向に沿ったダイシングラインP(P2)で切断されることにより、個々のモジュール基板10に分離される。また、上記部品実装領域10bは、モジュール基板10毎に設けられている。
【0069】
そして、図15に示すように、基板集合体10a(モジュール基板10)の部品実装領域10bに、電子部品20を実装する。その後、図16に示すように、弾性部材40付の天板集合体30aを、基板集合体10aの部品実装領域10bに実装された電子部品20(複数の電子部品20の一部)と固定する。これにより、図17に示すように、基板集合体10a(図16参照)に、天板集合体30aが取り付けられる。
【0070】
最後に、図17に示したダイシングラインP(P1,P2)で切断(ダイシング)することにより、個々の半導体モジュール1に個片化する。
【0071】
ここで、第1実施形態では、図18に示すように、基板集合体10aの裏面側にダイシングシート70を貼り付けた後、まず、第1のダイシングブレード80を用いて、ダイシングラインPで天板集合体30aのみを切断する。次に、図19に示すように、第2のダイシングブレード90を用いて、ダイシングラインPで基板集合体10aのみを切断する。このとき、天板集合体30aを切断する第1のダイシングブレード80に、基板集合体10aを切断する第2のダイシングブレード90よりもブレード厚さが大きいものを用いることによって、天板集合体30aの切断幅(ダイシング幅)の方が、基板集合体10aの切断幅(ダイシング幅)よりも大きくなるように切断する。これにより、図2および図4に示したように、天板30の外形寸法が、モジュール基板10の外形寸法よりも小さくなるように構成される。
【0072】
このようにして、本発明の第1実施形態による半導体モジュール1が製造される。
【0073】
第1実施形態による半導体モジュール1の製造方法では、上記のように構成することによって、天板30およびモジュール基板10をシート状態で工程流動させることができるので、個片化までの工程を一括処理することができる。このため、非常に高い製造効率で、半導体モジュール1を製造することができる。
【0074】
(第2実施形態)
図20は、本発明の第2実施形態による半導体モジュールの全体斜視図である。図21は、本発明の第2実施形態による半導体モジュールの断面図である。次に、図20および図21を参照して、この第2実施形態による半導体モジュール100では、上記第1実施形態の構成において、天板30の絶縁層33の所定部分に開口部33aが形成されている。そして、この開口部33aにより、導電性箔32の一部が、電子部品20とは反対側に露出されている。
【0075】
第2実施形態による半導体モジュール100では、上記のように、絶縁層33の所定部分に導電性箔32の一部を露出させる開口部33aを形成することによって、開口部33aによって露出された導電性箔32の一部と、たとえば、半導体モジュール100が搭載される電子機器(図示せず)の接地部とを電気的に接続することによって、容易に、接地シールド効果を得ることができる。
【0076】
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0077】
図22〜図24は、本発明の第2実施形態による半導体モジュールの実装例を示した断面図である。なお、図22は、第1の実装例を示しており、図23は、第2の実装例を示しており、図24は、第3の実装例を示している。次に、図22〜図24を参照して、本発明の第2実施形態による半導体モジュール100の実装例について説明する。
【0078】
第2実施形態による半導体モジュール100の第1の実装例では、図22に示すように、半導体モジュール100が実装基板60上に実装された状態で、導電性弾性部材101によって、電子機器の外装102に形成された接地用の導体層102aに、開口部33aによって露出された導電性箔32の一部が電気的に接続されている。これにより、天板30の導電性箔32の電位をGND電位と同電位にすることができるので、接地シールド効果を得ることができる。
【0079】
なお、導電性弾性部材101として、たとえば、導電性を有するダイボンディングシートや、Agフィラーや各種金属フィラーを含有したエポキシ材からなる導電性ペーストなどを用いることができる。
【0080】
第2実施形態による半導体モジュール100の第2の実装例では、図23に示すように、半導体モジュール100が実装基板60上に実装された状態で、バネ機能を有する導電性のバネ部材111によって、電子機器の外装102に形成された接地用の導体層102aに、開口部33aによって露出された導電性箔32の一部が電気的に接続されている。
【0081】
第2実施形態による半導体モジュール100の第3の実装例では、図24に示すように、半導体モジュール100が実装基板60上に実装された状態で、導電性リード線121によって、実装基板60上に形成された接地用の導体層60aに、開口部33aによって露出された導電性箔32の一部が電気的に接続されている。なお、導電性リード線121は、導電性材122(たとえば、導電性接着剤、半田など)により固定されている。
【0082】
(第3実施形態)
図25は、本発明の第3実施形態による半導体モジュールの全体斜視図である。図26は、本発明の第3実施形態による半導体モジュールの断面図である。図27は、本発明の第3実施形態による半導体モジュールの天板の断面図である。次に、図25〜図27を参照して、本発明の第3実施形態による半導体モジュール200について説明する。
【0083】
この第3実施形態による半導体モジュール200では、上記第2実施形態と同様、天板30の絶縁層33の所定部分に導電性箔32の一部を露出させる開口部33aが形成されている。また、第3実施形態では、図25および図26に示すように、天板30が上下逆に固定されている。すなわち、第3実施形態では、絶縁層33の開口部33aが、電子部品20側に位置するように、天板30が固定されている。
【0084】
また、図26および図27に示すように、弾性部材40は、天板30の一方主面に固定されている。なお、弾性部材40の所定部分にも、導電性箔32の一部を露出させる開口部40aが形成されている。また、第3実施形態では、天板30の一方主面(電子部品20と対向する面)に、表面粗化処理が施されている。
【0085】
また、第3実施形態では、3次元実装可能なSi貫通デバイス(WL−CSP)からなる半導体素子221(20)がモジュール基板10上に実装されている。この半導体素子221には、半導体チップ(Siチップ)を貫通する貫通ビア221aが形成されており、半導体素子221の上面側に形成された導体221bと下面側に設けられた半田ボール221cとが、貫通ビア221aを介して電気的に接続されている。また、半導体素子221の半田ボール221cの一部は、モジュール基板10の接地ライン12a(12)と電気的に接続されている。一方、半導体素子221の上面側に形成された導体221bは、天板30が固定された状態で、導電性の弾性部材240を介して、導電性箔32と電気的に接続されている。なお、導電性の弾性部材240として、たとえば、導電性を有するダイボンディングシートや、Agフィラーや各種金属フィラーを含有したエポキシ材からなる導電性ペーストなどを用いることができる。
【0086】
第3実施形態のその他の構成は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0087】
第3実施形態では、上記のように、絶縁層33の開口部33aが電子部品20側となるように天板30を配設するとともに、開口部33aによって露出された導電性箔32の一部を、Si貫通デバイスからなる半導体素子221と電気的に接続させることによって、半導体素子221の貫通ビア221aを介して、モジュール基板10の接地ライン12a(12)と電気的に接続することができる。これにより、天板30の導電性箔32の電位を、モジュール基板10の接地ライン12a(12)の電位(GND電位)と同電位にすることができる。したがって、このように構成することによっても、接地シールド効果を得ることができる。
【0088】
第3実施形態のその他の効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0089】
(第4実施形態)
図28は、本発明の第4実施形態による半導体モジュールの全体斜視図である。図29は、本発明の第4実施形態による半導体モジュールの平面図である。図30は、本発明の第4実施形態による半導体モジュールの断面図である。次に、図28〜図30を参照して、本発明の第4実施形態による半導体モジュール300について説明する。
【0090】
この第4実施形態による半導体モジュール300では、上記第3実施形態と同様、天板30が上下逆に固定されている。すなわち、第4実施形態では、図30に示すように、絶縁層33の開口部33bが、電子部品20側に位置するように、天板30が固定されている。
【0091】
また、第4実施形態では、絶縁層33に、上記開口部33bが複数形成されている。具体的には、図28および図29に示すように、天板30の四隅(周辺)に、導電性箔32の一部を露出させる開口部33bが形成されている。
【0092】
また、図30に示すように、モジュール基板10における開口部33bの下方に位置する領域には、それぞれ、チップ型の受動部品22(20)が縦置き状態で実装されている。また、縦置きされた複数の受動部品22の少なくとも1つは、モジュール基板10の接地ライン12a(12)上に実装されている。接地ライン12a(12)上に実装された上記受動部品22は、上下電極間が低抵抗(100mΩ以下)の抵抗素子から構成されている。また、縦置きされた複数の受動部品22(20)の残りの受動部品22は、モジュール基板10の電源ライン12b(12)上に実装されている。この受動部品22は、0.01μF〜0.1μF程度の容量を有するコンデンサから構成されている。
【0093】
そして、上記天板30が固定された状態で、天板30の導電性箔32と、縦置き状態で実装された受動部品22とが、導電性の弾性部材240を介して互いに電気的に接続されている。すなわち、縦置き状態で実装された受動部品22の一方の電極22aは、接地ライン12a(12)または電源ライン12b(12)と電気的に接続されており、縦置き状態で実装された受動部品22の他方の電極22aは、導電性の弾性部材240を介して、導電性箔32と電気的に接続されている。
【0094】
第4実施形態のその他の構成は、上記第1〜第3実施形態と同様である。
【0095】
第4実施形態では、上記のように、モジュール基板10の接地ライン12a(12)上に縦置き状態で実装された低抵抗の抵抗素子からなる受動部品22と、天板30の導電性箔32とを電気的に接続することによって、天板30の導電性箔32の電位を、モジュール基板10の接地ライン12a(12)の電位(GND電位)と略同電位にすることができる。したがって、これにより、接地シールド効果を得ることができる。
【0096】
また、第4実施形態では、モジュール基板10の電源ライン12b(12)上に縦置き状態で実装されたコンデンサからなる受動部品22と、天板30の導電性箔32とを電気的に接続することによって、バイパスコンデンサとして機能させることができる。
【0097】
なお、第4実施形態では、上記のように構成することによって、電子部品20(22)を三次元実装することができるので、モジュールの小型化・省スペース化を図ることができる。また、上記のように構成することによって、縦置き状態で実装された受動部品22で天板30を支持することができるので、部品点数を必要最小限とすることができ、さらに、小型化・低背下を図ることができる。
【0098】
第4実施形態のその他の効果は、上記第1〜第3実施形態と同様である。
【0099】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0100】
たとえば、上記第1〜第4実施形態では、セラミックス多層基板からなるモジュール基板を用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、セラミックス多層基板以外のモジュール基板を用いてもよい。たとえば、多層樹脂基板からなるモジュール基板を用いてもよい。
【0101】
また、上記第1〜第4実施形態では、弾性部材にダイボンディングシートを用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、所望の弾性機能を有する弾性部材であれば、ダイボンディングシート(ダイボンディングフィルム)以外の部材を弾性部材として用いてもよい。たとえば、エポキシ系ペーストなどを天板に全面印刷することによって、天板に、弾性部材を形成してもよい。
【0102】
また、上記第1〜第4実施形態では、ガラスエポキシ材を天板の基材部として用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、天板の基材部は、ガラスエポキシ材以外の材料から構成されていてもよい。ガラスエポキシ材以外の材料としては、たとえば、ポリイミド系フィルム材などが挙げられる。
【0103】
また、上記第1〜第4実施形態では、天板の基材部の厚みを、約0.1mmとした例を示したが、本発明はこれに限らず、所望の柔軟性を有する厚みであれば、基材部の厚みは0.1mm以外の厚みであってもよい。また、導電性箔の厚みや、絶縁層の厚みは、適宜変更することができる。
【0104】
また、上記第1〜第4実施形態では、天板の導電性箔に銅箔を用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、銅箔以外の金属箔を天板の導電性箔として用いることもできる。たとえば、アルミニウム箔などを天板の導電性箔として用いることもできる。
【0105】
また、上記第1〜第4実施形態では、WL−CSPからなる半導体素子をモジュール基板に実装した例を示したが、本発明はこれに限らず、WL−CSP以外の半導体素子をモジュール基板上に実装することもできる。
【0106】
また、上記第1〜第4実施形態では、アルゴンプラズマ処理によって天板を表面粗化した例を示したが、本発明はこれに限らず、アルゴンプラズマ処理以外の表面粗化処理法を用いて天板を表面粗化してもよい。たとえば、サンドブラスト法(アルミナ粉末吹き付け)などを用いて、天板の表面粗化を行ってもよい。また、表面粗化処理による天板の表面粗さは、天板と弾性部材とを良好に固定することが可能な粗さであればよく、400nm以外の粗さであってもよい。
【0107】
なお、上記第1〜第4実施形態において、半導体モジュールの形状および寸法、並びに、回路構成等は、適宜変更することができる。
【0108】
また、上記第2実施形態では、半導体モジュールの実装例として3つの実装例を示したが、本発明はこれに限らず、上記した3つの実装例以外の形態で半導体モジュールが実装されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の第1実施形態による半導体モジュールの分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による半導体モジュールの断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による半導体モジュールの全体斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態による半導体モジュールの平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による半導体モジュールの天板の平面図である。
【図6】図5のB−B線に沿った断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態による半導体モジュールを実装基板上に実装した状態を示した断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態による半導体モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態による半導体モジュールの製造方法を説明するための平面図である。
【図10】本発明の第1実施形態による半導体モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態による半導体モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【図12】本発明の第1実施形態による半導体モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【図13】本発明の第1実施形態による半導体モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【図14】本発明の第1実施形態による半導体モジュールの製造方法を説明するための平面図である。
【図15】本発明の第1実施形態による半導体モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【図16】本発明の第1実施形態による半導体モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【図17】本発明の第1実施形態による半導体モジュールの製造方法を説明するための平面図である。
【図18】本発明の第1実施形態による半導体モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【図19】本発明の第1実施形態による半導体モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【図20】本発明の第2実施形態による半導体モジュールの全体斜視図である。
【図21】本発明の第2実施形態による半導体モジュールの断面図である。
【図22】本発明の第2実施形態による半導体モジュールの第1の実装例を示した断面図である。
【図23】本発明の第2実施形態による半導体モジュールの第2の実装例を示した断面図である。
【図24】本発明の第2実施形態による半導体モジュールの第3の実装例を示した断面図である。
【図25】本発明の第3実施形態による半導体モジュールの全体斜視図である。
【図26】本発明の第3実施形態による半導体モジュールの断面図である。
【図27】本発明の第3実施形態による半導体モジュールの天板の断面図である。
【図28】本発明の第4実施形態による半導体モジュールの全体斜視図である。
【図29】本発明の第4実施形態による半導体モジュールの平面図である。
【図30】本発明の第4実施形態による半導体モジュールの断面図である。
【図31】従来の一例による半導体モジュールの構造を示した断面図である。
【図32】従来の一例による半導体モジュールの構造を示した断面図である。
【符号の説明】
【0110】
1、100、200、300 半導体モジュール
10 モジュール基板(基板)
11 モジュール基板の一辺(外縁)
12 配線導体
12a 接地ライン
12b 電源ライン
13 電極端子
20 電子部品
21、221 半導体素子
22 受動部品
30 天板
31 基材部
32 導電性箔(導電性部材)
30a 導電性箔の一辺(外縁)
33 絶縁層(絶縁性部材)
33a、33b 開口部
34 天板の一辺(外縁)
40 弾性部材
50 マウンター
80 第1のダイシングブレード
90 第2のダイシングブレード
101 導電性弾性部材
111 バネ部材
121 導電性リード線
240 導電性の弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一主面上に電子部品が実装された基板と、
前記基板の一主面側に配設され、前記電子部品を覆う平板状の天板と、
前記天板と前記電子部品との間に配設された弾性機能を有する弾性部材とを備え、
前記天板は、導電性部材を含むとともに、前記弾性部材によって前記電子部品と固定されていることを特徴とする、半導体モジュール。
【請求項2】
前記導電性部材は、導電性箔であり、
前記天板は、絶縁性の基材部と、前記基材部上に形成された前記導電性箔とを含む複合構造を有していることを特徴とする、請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記天板の基材部は、ガラスエポキシ材からなり、前記天板の導電性箔は、銅箔からなることを特徴とする、請求項2に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記天板において、
前記導電性箔は、前記基材部よりも小さい平面積を有しており、
平面的に見た場合に、前記導電性箔の外縁が前記基材部の外縁よりも内側に位置するように、前記導電性箔が配されていることを特徴とする、請求項2または3に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記弾性部材は、所定の厚みを有するシート状に形成されており、前記天板に予め固定されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記弾性部材は、エポキシ系の低弾性樹脂からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
前記電子部品は、前記基板上に複数実装されており、
前記弾性部材は、前記天板における前記電子部品と対向する面の全面に固定されており、
前記天板は、前記複数の電子部品のうちの少なくとも一部の前記電子部品と固定されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項8】
前記天板における前記電子部品と対向する面には、表面粗化処理が施されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項9】
前記天板は、柔軟性を有していることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項10】
前記天板は、前記基板よりも小さい平面積を有しており、
平面的に見た場合に、前記天板の外縁が前記基板の外縁よりも内側に位置するように、前記天板が配設されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項11】
前記天板は、前記導電性部材を覆う絶縁性部材をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項12】
前記絶縁性部材は、前記導電性部材の一部を露出させる開口部を有することを特徴とする、請求項11に記載の半導体モジュール。
【請求項13】
前記電子部品とは反対側に前記開口部が位置するように、前記天板が配設されていることを特徴とする、請求項12に記載の半導体モジュール。
【請求項14】
前記電子部品側に前記開口部が位置するように、前記天板が配設されていることを特徴とする、請求項12に記載の半導体モジュール。
【請求項15】
前記開口部により露出された前記導電性部材の一部は、前記電子部品と電気的に接続されていることを特徴とする、請求項14に記載の半導体モジュール。
【請求項16】
前記開口部は、前記絶縁性部材に複数形成されていることを特徴とする、請求項12〜15のいずれか1項に記載の半導体モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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