説明

半導体加工ツールにおける静電容量距離検出

ワイヤレスセンサ(10、100、200)は、半導体加工環境内で対象物体(14)に対する距離を検出するための少なくとも一つの静電容量板(10、12;102、104)を包含する。センサ(10、100、200)は、内部電力源(28、342)およびワイヤレス通信(362)を包含し、静電容量板(10、12;102、104)を使用してもたらされる距離および/または平行度測定をワイヤレスで外部装置に提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
【0002】
フラットパネルテレビ設定に使用されるような半導体ウェーハおよび/またはLCDパネルの製造中、基材は、電気的に発生するプラズマが形成されるガスに暴露される。ガスは、プラズマを形成する電極の一つとしても機能する基材の上方に位置する「シャワーヘッド」状の器具から進入する。歩留りを最大化するため、シャワーヘッドから基材までの距離が基材表面全体にわたって一貫していることが重要である。換言すると、基材表面の面とシャワーヘッドの面とが平行であることが重要である。それゆえに、処理が行われる半導体加工ツールのセットアップにおいて、シャワーヘッドおよび基材または基材を保持する「プラテン」の相対的な位置を調整して平行にすることが非常に重要である。これには、シャワーヘッドおよび基材の相対的な位置、特に、多くの点においてそれらの間の距離を測定し、二つの平行度の測定を与えることができる能力が要求される。
【0003】
これまでにそのような距離/平行度測定が実施されてきた一つの手法は、シャワーヘッド下のプラテン上に設置された測定装置を使用するものであった。そのような測定装置は、通常、圧縮可能な内部ばねを包含していた。測定装置は、プラテン上に載置されてシャワーヘッドに接触し、シャワーヘッドが下降するにつれて圧縮される。シャワーヘッドが下降した状態では、任意の点における測定装置の厚さは、プラテンとシャワーヘッドとの間の距離である。測定装置内側の測定器で装置の厚さを測定し、それにより、プラテンからシャワーヘッドまでの距離を測定する。したがって、プラテンとシャワーヘッドとの間のいくつもの点で測定を行うことにより、プラテンとシャワーヘッドとの平行度の全体的な測定を提供することができた。しかし、そのような装置は、その非圧縮状態では、一般的にプラテンとシャワーヘッドとの間の公称距離よりも大きいものであった。それゆえに、装置をプラテン上に設置する前に測定装置を圧縮する必要があり、さもなければ最初にシャワーヘッドを取り外すことを要した。また、これらの測定装置は、一般的に、半導体加工チャンバ扉から出て表示装置につながるケーブルを使用し、平行度に関する情報を提供するものであった。加工チャンバを閉じて測定を行い、調整を実施することが必要であるので、ケーブルは平坦であり、扉が閉じられても扉を通過することができた。ケーブルは、一般的に、扉を通過し、その封止において圧縮されるため、故障する傾向があった。
【0004】
それゆえに、ケーブルなしで測定およびデータ表示を実施することが要望されていた。より近年には、ワイヤレス通信を使用して基材加工システム内の条件を検出するための技術が開発されている。米国特許第6,468,816号は、基材加工システム内の条件を検出するための方法を報告している。その参考文献では、加工システム内の種々の条件を検出する能力を開示している。参考文献は、ウェーハ表面が処理チャンバの目標物またはシャワーヘッドに対して平行であり、かつ適度な距離にあることの両方を確保することができる距離プローブも提供している。距離プローブの開示として、プローブと目標物またはシャワーヘッドとの間の距離および傾斜角度を決定するため、プローブ台の表面上において多数の場所に配設される接触式センサまたは電気光学センサが包含される。そのような進歩が半導体加工ツールのセットアップおよび動作の一助となる一方、極薄型の距離センサの提供が欠如している。
【0005】
半導体加工ツールのシャワーヘッドに対するプラテンの平行度の調整に関するさらにもう一つの問題は、技術者が3〜8個の個別の距離測定を監視する一方、シャワーヘッドまたは目標物に対するプラテンの向きおよび高度を調整するという要求である。一般的に、完全に平坦なプラテンまたはシャワーヘッドもしくは目標物を提供することは実用的ではなく、一般的に、プラテンを調整してすべての距離測定が同じであるようにすることは可能でなかった。それゆえに、調整が「十分に良好である」との決定は、技術者の判断に委ねられていた。
【0006】
それゆえに、半導体加工ツールのプラテンとシャワーヘッドとの間の距離を自動的に測定および調整するためのより良い方法だけでなく、半導体加工ツール内における極薄型の距離/平行度検出が引き続き要望されている。
【0007】
発明の概要
【0008】
ワイヤレスセンサは、半導体加工環境内で対象物体に対する相対的な距離を検出するための少なくとも一つの静電容量板を包含する。センサは、内部電力源およびワイヤレス通信を包含し、静電容量板を使用してもたらされる距離および/または平行度測定をワイヤレスで外部装置に提供することができる。
【0009】
例証的な実施態様の詳細な説明
【0010】
本発明の多くの態様に従い、キャパシタンスを二つの物体間の距離の指標として検出する。より具体的には、本発明の実施態様に従った装置は、一般的に、もう一つの導電性物体と共にキャパシタを形成する少なくとも一つの静電容量板を包含し、そのキャパシタンスは、板と物体との間の距離の関数として変動する。キャパシタンスに基づく検出は、センサから物体の表面までの距離を決定するための公知の技術である。一般的に、物体の表面は導電性であり、物体と検出表面の「アース」との間に低インピーダンス信号経路が存在する。したがって、回路一式は、検出装置、物体と検出装置との間の低インピーダンス信号経路、物体および物体と検出装置との間に形成されるキャパシタを包含する。キャパシタンスは、物体とセンサとの間の間隔の関数であり、この事実により、測定されたキャパシタンスから間隔を決定することができる。ほとんどの場合、検出装置と物体との間の低インピーダンス信号経路は、物体と取り巻く環境との間および検出装置と取り巻く環境との間に存在するキャパシタンスからなることができる。このキャパシタンスが十分に大きいとき、または直接的な導電性接続があるとき、インピーダンスは、測定されたキャパシタンスに対して最小の作用を有する。アース経路インピーダンスが比較的大きい場合、測定されるキャパシタンスのインピーダンスにアース経路インピーダンスが追加され、キャパシタンスの厳密な測定が可能ではないため、この方法は有効ではない。
【0011】
本発明の一つの実施態様に従い、センサの静電容量板と対象物体との間のキャパシタンスを、物体とセンサのアースとの間における信号経路のインピーダンスにかかわらずに測定する。
【0012】
図1は、物体14に面する表面(図示せず)上に二つの板10、12を包含する、キャパシタンスに基づく距離センサの線図である。通常、物体14は、板10および12に面する表面16上で平坦である。キャパシタCおよびCは、それぞれ板10、12と物体14の表面16との間に存在する。物体14の表面16が導電性である場合、キャパシタCおよびCは、電気的に直列である。キャパシタCおよびCは、キャパシタンスを測定する検出電気回路18により、一つの等価キャパシタとして扱われる。測定したキャパシタンスは、キャパシタンス板10および12を有するセンサと物体14の表面16との間の間隔の関数である。すべての他の要因が説明されるとき、測定したキャパシタンスを間隔の測定に変換することができる。
【0013】
測定を行うため、センサの板10、12に電圧差を印加し、電圧の結果として板10、12間で伝導される電荷の量を測定する。これを行う一つの手法は、特別に改造されたシグマデルタ変調器回路(公知の種類のアナログ‐デジタル変換器)によるものであり、その一つの例は、AD7745の商品名で提供され、Analog Devices Inc.から入手可能である。この種類の回路は、板10、12に差分電圧を印加することによって稼動する。電圧によって電流が流れ、キャパシタ(または等価キャパシタ)が充電されると、この電荷が蓄積し、装置の回路によって測定される。しかし、物体14は、電荷が流れることができる第三の経路、換言すれば、等価キャパシタの板10、12間における電流の流れに追加して経路を呈する。それゆえに、電流は、センサ(図1に図示せず)の本体またはハウジングおよび回路アースを経由して、物体14から電気回路18に流れることもできる。この導電性経路を電流I3として図2に例示する。電流I1およびI2は、キャパシタまたは等価キャパシタを充電することによって起こる電流であり、I1は、第三の電流経路I3の非存在下でI2に等しくなる。電流I3は、物体と電気回路18のアースとの間を流れることができる電流である。電流I3は、経路のインピーダンスが未知であるために未知であり、第三の経路のインピーダンスに応じ、I1および/もしくはI2の測定の妥当性を低下させるか、または測定を不可能にするだろう。
【0014】
キャパシタンスの厳密な測定を提供するため、本発明の一つの実施態様では、事実上、この第三の経路における電荷の流れを除去する。これは、板10および12に印加する電圧の選択によって行う。センサの本体に対して相対的に、一つの板上では正となり、他の板上では負となるように、シグマデルタ変調器回路から差分電圧を印加する。二つの電圧の大きさの比は、二つのキャパシタのインピーダンスの比と同じであるか、または二つのキャパシタのキャパシタンスの比と逆になる。これは、キャパシタが間隔によって可変であっても、キャパシタの比が同じままであるため、可能である。比は、板10、12の表面面積によって決定される。電圧比がインピーダンス比に比例する結果として、各キャパシタ内で同じ量の電荷が移動し、そのため、第三の経路に電荷が流れない。これは、第三の経路、換言すれば、物体とセンサとの間における任意の接続または静電容量連結が測定に作用せず、物体14とセンサ18との間の接続または接続の欠如にかかわらず、測定を行うことができることを意味する。
【0015】
図3は、本発明の実施態様に従った、キャパシタンスに基づく距離センサの線図である。センサ20は、測定電気回路18を含有する外部ケースまたはハウジング22を包含する。測定電気回路18は、各キャパシタンス板10および12に連結する。より詳細には、電気回路18は、好ましくは、AD7745の商品名で販売され、Analog Device Inc.から入手可能なシグマデルタ変調器回路である。図3に表すように、電気回路18は、静電容量板10に電気的に連結されるCIN+ラインを包含する。また、電気回路18は、静電容量板12に電気的に連結されるEXCAラインを包含する。重要なこととして、図3がキャパシタンス板10と12との間に伸長するライン24を示すことに注意する。ライン24は、キャパシタンス板10と12との間の電気的な接続ではなく、外部ケース22の延長を表すことのみを意図したものである。電気回路18は、ラインEXCA上に励起電圧を提供し、励起電圧は、経時的に方形波として変動する振幅を有する。静電容量板10を検出入力CIN+に連結する。板10上の電圧は、回路アース26に対してゼロボルトのままである。励起電圧は、キャパシタのインピーダンス比に設定した電圧分配器によって分配され、緩衝し、静電容量板10、12を除いて回路全体を取り巻く外部ケース22を駆動する。装置20の電気回路は、例えば源28として線図的に例示するバッテリにより、内部的に電力供給する。結果として、外側センサ20から見てとれるように、ケース22は、参照電圧のための明らかな回路アースであり、一つの板がケース22に対して相対的に正になると、一方で他の板が負となる。これらの条件下では、センサ20と物体との間の間隔の厳密な測定が可能である。図1〜3に関して例示された本発明の実施態様は、一対の静電容量板を示すが、二つ以上の任意の数の板を使用することができる。
【0016】
本発明の一つの実施態様に従い、キャパシタンスに基づく検出をセンサに使用し、半導体加工チャンバ内のプラテンとシャワーヘッドとの間の距離および/または平行度を検出する。図4は、複数の静電容量板102、104を包含する静電容量ベースの検出装置100を例示する。装置100は、プラテン106に載置されていることが示され、センサ100の上部表面108とシャワーヘッド112の下部表面110との間の距離dを検出する。図4に例示するように、各板102および104は、シャワーヘッド112の表面110と、それぞれのキャパシタを形成する。センサ100は、任意の好適な形態をとることができ、好ましくは、システムによって加工される基材に似ている物理的なパッケージ内に具現化される。したがって、半導体加工システムでは、センサ100は、半導体ウェーハまたはLCDフラットパネルとなる。センサ100により、板102および104を使用して観察されるキャパシタンスの関数として距離dを測定する一方、測定した距離dにセンサ100の厚さを追加することのみにより、プラテン106とシャワーヘッド112の表面110との間の実際の距離を容易にセンサ100によって計算することができる。
【0017】
したがって、ここまでに挙げた本発明の実施態様は、一般的に、物体またはシャワーヘッドまでの距離を直接的に検出する一方、実施態様は、センサの表面を伸長してシャワーヘッドに接触させ、キャパシタンスを用いて伸長の距離を測定することを包含する。
【0018】
図5は、そのような拡張可能なセンサの線図である。センサ200は、図3に関して記載したセンサ20に類するものであり、同種の構成要素に類似の番号を付す。センサ200のハウジングは、センサ20のハウジング22と異なり、ハウジング202は、矢印208で表された方向に表面206が移動することができるように拡張可能な拡張可能部分204を具備する。センサ200および近接する表面206内に静電容量板210を取り付け、静電容量板12と共にキャパシタを形成する。そのように形成されたキャパシタを線図的にCとして例示する。センサ200の表面206は、ライン214で表されるように、表面206に動作可能に連結したアクチュエータ212によって移動可能である。アクチュエータ212は、通電または指令信号に基づき、表面206の好適な運動を発生させることができる任意の好適な装置であることができる。アクチュエータ212の好適な例では、磁気、電気、電磁、圧電、機械的および/または空圧技術の利用を用いる。例として、アクチュエータ212は、表面206を一つの方向または他の方向に駆動する機構と係合する小さい電気モータを単純に包含することができる。あるいは、アクチュエータ212は、電磁石、永久磁石またはその任意の組み合わせを包含し、シャワーヘッドの表面に向かって、または離れるように表面を選定的に駆動することができる。アクチュエータ212は、制御器(図5に例示せず)に連結され、制御器から受信する指令または信号に基づいて作動を提供する。アクチュエータ212が表面206を駆動し、シャワーヘッドに接触させると、電気回路18は、板12と210との間のキャパシタンスCを検出する。検出されたキャパシタンスは、板12と210との間の距離を表現する。その後、センサ200内に固定された板12の相対的な位置を把握し、ケース202の表面206から下部表面216までの総距離を提供することができる。さらに、いくつかの実施態様では、計算された距離と、アクチュエータ212に送信または他に提供された指令とを比較することにより、検出された距離を検証することができる。例として、アクチュエータ212が、表面206を上昇または下降させる機構と係合するステッピングモータである場合、ステッピングモータに送信されるカウントまたはパルスの数を検出された距離と比較することができる。検出された距離の精度は、アクチュエータ212から他に入手可能なものをはるかに上回っていることができる一方、二つの値の合致のみで重要な妥当性検査を提供することができる。
【0019】
あるいは、次の方式において、周囲圧力によって作動をもたらすことができる。この実施態様では、ケース202は、内側の空洞に大気圧力よりも低下した圧力の空気または適切なガスを充填した状態で密閉的に封止される。センサを大気条件下に設置すると、外部空気圧力が内部圧力を超え、センサが圧縮される。センサを低圧力下または真空下に設置すると、内部圧力が外部圧力を超え、ケース202が拡張してその最大高さになるか、またはシャワーヘッドに接触する。ある意味では、アクチュエータは、密閉封入体内に封止されたガスであり、作動を起こす信号は、低下した外部空気圧力である。
【0020】
図6は、本発明の実施態様に従った、静電容量に基づく検出システム内の電子電気回路の線図である。部分300は、好ましくは、多数の電気的な構成要素が取り付けられた回路ボード302を包含する。具体的には、バッテリ342を好ましくは回路ボード302に取り付け、電力管理モジュール346を経由して制御器344に連結する。好ましくは、電力管理モジュール346は、LTC3443の商品名でLinear Technology Corporationから入手可能な電力管理集積回路である。制御器344は、好ましくは、MSC1211Y5の商品名でTexas Instrumentsから入手可能なマイクロプロセッサである。制御器344は、制御器の外部のメモリだけでなく、制御器の内部のメモリも包含する、任意の種類のメモリの形態をとることができるメモリモジュール348に連結する。好ましい制御器は、内部SRAM、フラッシュRAMおよびブートROMを包含する。メモリモジュール348は、好ましくは、64K×8のサイズを有する外部フラッシュメモリも包含する。フラッシュメモリは、不揮発性データ、例えば、必要とされるプログラム、校正データおよび/または他の非変更データを保存するのに有効である。内部ランダムアクセスメモリは、プログラム動作に関連する揮発性データを保存するのに有効である。
【0021】
制御器344は、好ましくは、多数の好適な入力出力/ポート358、360も包含する。これらのポートは、好ましくは、制御器344と追加的な装置との間の通信を容易にするシリアルポートである。具体的には、シリアルポート358を無線周波数モジュール362に連結し、無線周波数モジュール362を経由して制御器344を外部装置と通信可能に連結する。一つの好ましい実施態様では、無線周波数モジュール362は、Bluetooth SIG(www.bluetooth.com)から入手可能な周知のBluetooth規格であるBluetooth core specification version 1.1(2001年2月22日)に従って動作する。モジュール362の一つの例は、WMLC40の商品名でMitsumiから入手可能である。また、モジュール362に追加して、または代わって、他の形態のワイヤレス通信を使用することができる。そのようなワイヤレス通信の好適な例は、任意の他の形態の無線周波数通信、音波通信、赤外線通信または磁気誘導を用いた通信も包含する。図6は、本発明の実施態様に従って測定電気回路18に連結されるブロック364において、一つ以上の静電容量板を図式的に示す。好ましくは、本発明の実施態様に従い、一つ以上のキャパシタンス板を動作可能に配置し、半導体加工システム内の対象物体に対する一つ以上の距離を検出する。また、本発明の実施態様では、望ましい他の好適なセンサを用いることができる。追加的なセンサの例は、温度計、加速度計、傾斜計、コンパス(磁気場方位検出器)、光検出器、圧力検出器、電気場強度検出器、磁気場強度検出器、音波検出器、湿度検出器、化学的部位活性検出器または適切な任意の他の種類の検出器を包含する。
【0022】
動作では、制御器344は、好ましくは公知のシグマデルタアナログ‐デジタル変換器を包含し、一つ以上のキャパシタンス値を決定する測定電気回路18と相互作用する。キャパシタンス値は、先に記載したように、半導体加工ツール内におけるセンサと対象物体との間の距離を表現する。さらに、またはあるいは、検出されたキャパシタンスは、センサが対象物体に接触するために要求される伸長の距離を表現することができる。本発明の実施態様に従い、多数のそのような静電容量板および/または伸長センサを使用し、同時または連続的に、対象物体上の多くの場所でセンサと対象物体との間の距離を得るか、またはさもなければ測定することができる。これに関して、距離測定を使用し、平行度の指標を提供することができる。それゆえに、センサがプラテンに載置されると、いくつもの距離測定は、シャワーヘッドに対して相対的なプラテン自体の平行度の指標を提供する。平行度自体が唯一の対象数量であった場合、多くのキャパシタンス測定そのものを相互に比較し、平行度の指標を直接的に提供することができる。しかし、プラテンからシャワーヘッドまでの距離の知識も望ましい場合、メモリ348内に保存される先験的な情報を制御器344で使用し、距離を算出する。例として、静電容量板をセンサの上部表面に配置する実施態様では、センサからシャワーヘッドまでの距離が制御器344によってセンサ自体の厚さに追加され、プラテンからシャワーヘッドまでの全体的な距離が提供される。
【0023】
距離および/または平行度の情報をセンサから遠隔の装置に電気的に伝達し、情報を技術者または他の関係者に効果的に提供することができる。距離および/または平行度の情報をユーザに呈する方式は、大幅に変わることができる。しかし、図7は、本発明の実施態様に従い、相対的な傾斜を図式的に描写するグラフィカルユーザインターフェイス400の好ましい実施態様を例示する。インターフェイス400は、表面の相対的な位置もしくは平行度または相対的な角度を図式的、数値的または両方で表示することができる。平行度の度合いは、数値的に表すか、または図7に例示するように、より大きい円404内に位置する小さい円402を示す気泡レベルの比喩を使用することによって表すことができる。円404内の円402の位置は、センサが暴露される表面の相対的な傾斜を二つの次元で例示する。表面が両方の次元で平行であれば、円402は、円404内で中心に置かれる。さもなければ、円402が中心の一つの側に示されるのは、表面がもっとも離間している側を表し、大きい円404の中心からの小さい円402の距離が表面の相対的な傾斜を表す。この場合、相対的な傾斜の選定可能なスケーリングがあることができる。例として、ウィンドウ408内のボックス406は、スケーリングの目的のためにウィンドウ410の相対的なサイズを示す。したがって、傾斜がより一層明確になるにつれ、円404の中心からの円402の距離は、ウィンドウ408で極端となることができるが、円412および414の相対的なサイズは同じままであり、それゆえにボックス406のサイズが変動する。
【0024】
相対的な傾斜を表示する代替方法では、円にわたって色階調を持つ円を提供する。階調の方向は、多重ラインによって表すこともできる最大傾斜の方向および相対的な傾斜を表す階調の度合いを表す。例として、重度の傾斜の場合、色は、(選択する色スペクトルに応じて)黄から青の領域にあることができる一方、軽度の傾斜は、オレンジから赤の階調として表示することができる。表面が平行であると、色は無階調で均一である。ここでもまた、スケーリングを選定することができる。
【0025】
インターフェイス400のユーザまたは技術者は、そこで提供される情報を利用し、半導体加工ツールのセットアップ中の機械調整に関し、情報に基づいて判断することができる。例として、技術者は、プラテン上の多くの機械的設定を調整し、特定の部分を上昇または下降させ、プラテンおよびシャワーヘッドの平行度だけでなく、プラテンからシャワーヘッドまでの距離を正確に設定することができる。さらに、またはあるいは、センサによって決定される傾斜情報を半導体加工ツールまたは他の好適な機器内の制御システムに直接的に提供し、プラテンの機械的なフィーチャを自動的に係合させ、それにより、特定の部分を上昇または下降させ、距離および/または平行度を自動的に設定することができる。この方式では、静電容量距離センサから伝達されるワイヤレス情報に基づき、少なくともいくつかの半導体加工調整を自動的に実施することができる。
【0026】
本発明は、好ましい実施態様を参照しつつ記載されているが、当業者は、本発明の趣旨および範囲を逸することなく、形態および詳細において変更を行うことができることを認識する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の実施態様に従ってキャパシタンスを使用した、対象物体までの距離の検出の線図である。
【図2】図2は、本発明の実施態様に従ってキャパシタンスを使用した、対象物体までの距離の検出の線図である。
【図3】図3は、本発明の実施態様に従ってキャパシタンスを使用した、対象物体までの距離を検出するためのセンサ系の線図である。
【図4】図4は、プラテン上に配置され、本発明の実施態様に従ってキャパシタンスを使用した、シャワーヘッドまでの距離を検出するセンサの線図である。
【図5】図5は、本発明の実施態様に従ってキャパシタンスを測定することにより、第一表面と第二表面との間の距離を検出するためのセンサの線図である。
【図6】図6は、本発明の実施態様に従い、半導体加工システムにおいて、静電容量に基づく、対象物体に対する相対的な距離測定を提供するための電気回路のブロック図である。
【図7】図7は、本発明の実施態様に従い、静電容量距離センサから得られた傾斜情報を表示する例示的なユーザインターフェイスである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体加工チャンバ内で対象物体までの距離を検出するためのセンサであって、:
ハウジングと;
ハウジング内に配置される電力源と;
電力源に連結されるワイヤレス通信電気回路と;
ワイヤレス通信電気回路および電力源に連結される制御器と;
距離によって変動するキャパシタンスを有するキャパシタを形成するように構成される少なくとも一つの静電容量板と;
制御器および少なくとも一つの静電容量板に連結され、キャパシタンスを測定し、その指標を制御器に提供するように構成される測定電気回路とを包含し、;および
制御器が、測定されたキャパシタンスに少なくとも部分的に基づき、物体に関する指標を提供するように構成されるセンサ。
【請求項2】
少なくとも一つの静電容量板が偶数の静電容量板を包含する、請求項1記載のセンサ。
【請求項3】
偶数の静電容量板のうち、第一の半分が正の励起電圧に駆動され、正の偶数の静電容量板のうち、他の半分が負の励起電圧に駆動される、請求項2記載のセンサ。
【請求項4】
第一の静電容量板が対象物体まで伸長可能な表面に連結され、第二の静電容量板がハウジング内に固定され、キャパシタが第一板と第二板との間に形成され、表面が伸長される度合いによって変動するキャパシタンスを有する、請求項2記載のセンサ。
【請求項5】
さらに、表面に連結されるアクチュエータを含み、アクチュエータが制御器に連結され、選定可能な度合いの伸長を提供する、請求項4記載のセンサ。
【請求項6】
センサが密閉的に封止され、拡張可能な表面がセンサの外部における大気圧力またはその欠如に対応して圧縮または拡張される、請求項4記載のセンサ。
【請求項7】
偶数が2である、請求項2記載のセンサ。
【請求項8】
測定電気回路がシグマデルタ変調器を包含する、請求項1記載のセンサ。
【請求項9】
指標が平行度である、請求項1記載のセンサ。
【請求項10】
気泡状の比喩を描写するユーザインターフェイスで指標が提供される、請求項9記載のセンサ。
【請求項11】
指標がプラテンからシャワーヘッドまでの距離である、請求項1記載のセンサ。
【請求項12】
対象物体が半導体加工チャンバ内のシャワーヘッドである、請求項1記載のセンサ。
【請求項13】
ワイヤレス通信電気回路が無線周波数通信電気回路である、請求項1記載のセンサ。
【請求項14】
制御器が、測定されるキャパシタンスおよび少なくとも一つの静電容量板とセンサが載置される表面との間の公知の固定オフセット距離に基づき、対象物体とセンサが載置される表面との間の距離を計算するように構成される、請求項1記載のセンサ。
【請求項15】
センサが、加工チャンバによって加工される基材に類似する物理的なパッケージ内に具現化される、請求項1記載のセンサ。
【請求項16】
半導体加工チャンバ内において対象物体までの距離を検出する方法であって、:
複数の静電容量板を対象物体に近接させる工程と;
複数の静電容量板に対して実質的に等しい大きさであるが、異極性である励起電圧を印加する工程と;
複数の静電容量板と対象物体との間の有効キャパシタンスを検出する工程と;および
測定されたキャパシタンスに少なくとも部分的に基づき、物体に関する指標を提供する工程と
を含む方法。
【請求項17】
指標が対象物体までの距離である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
指標が平行度である、請求項16記載の方法。
【請求項19】
平行度が気泡状の比喩として描写される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
指標がワイヤレスで提供される、請求項16記載の方法。
【請求項21】
対象物体が半導体加工チャンバ内のシャワーヘッドである、請求項16記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−527764(P2009−527764A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556384(P2008−556384)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/004350
【国際公開番号】WO2007/098149
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(504232136)サイバーオプティクス セミコンダクタ インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】