説明

半導体発光装置搭載回路基板、発光モジュール、及び照明装置

【課題】半導体発光装置同士の接続を直列接続と並列接続を自由かつ容易に接続可能とする技術を提供する。
【解決手段】各々が半導体発光素子を含み、少なくとも2つのスペクトルの光を出力する複数の発光部であって、異なるスペクトルの光を出力する発光部が互いに独立して制御される複数の発光部を有する半導体発光装置を搭載する半導体発光装置搭載回路基板であって、前記半導体発光装置を搭載する、熱伝導材料からなる板状の基材部と、前記基材部上に形成され、前記複数の発光部のうち少なくとも一の発光部と、当該一の発光部から出力される光のスペクトルと異なる光のスペクトルを出力する他の発光部を別系統として前記半導体発光素子の各々に電力を供給し、かつ、電気的に接続される他の半導体発光装置に対して該半導体発光素子を介さずに電力を供給自在である電力供給部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置搭載回路基板、発光モジュール、及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今においては、省エネルギー性やその他の様々な目的のために、従来の照明装置に代えて半導体発光素子である発光ダイオード(LED)を用いた照明装置が広く提案されてきている。LEDを用いた照明装置として主流となっているのは、紫外から緑色にかけての波長域に発光ピーク波長を有するLEDチップと、該LEDチップからの放射を所定の可視光に変換する蛍光体とから構成される、蛍光体変換型の白色光生成系を備えた白色LEDを、白色光の発生源に用いたものである。
【0003】
LED照明装置に望まれている機能のひとつに調色機能がある。調色可能な照明装置の光源への適用を目的として、生成する白色光の色温度が異なる2つの白色光生成系をひとつのパッケージに収めた白色LEDと、該白色LEDを用いた発光モジュールが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−231525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の調色可能なLED(Light-emitting Diode)照明装置では、複数の半導体発光装置同士を直列に接続することが一般的である。複数の半導体発光装置を直列に接続することで、発光の制御を容易に行うことができる。一方で、複数の半導体発光装置を並列に接続することができれば、発光の複雑な制御も可能となる。また、複数の半導体発光装置を直列に接続する構成の場合、複数の半導体発光装置のうちの一つが故障や寿命により発光不能となると、他の半導体発光装置も全て発光不能となり、照明装置として機能しなくなることが懸念される。これに対し、複数の半導体発光装置を並列に接続する構成であれば、複数の半導体発光装置のうちの1つが故障や寿命により発光不能となった場合でも、他の半導体発光装置は継続して発光することができ、照明装置としての機能を維持することができる。このように、複数の半導体発光装置を互いに接続する場合、直列接続と、並列接続は、夫々がメリットを有していることから、用途に応じて自由に接続態様を変更することができれば照明装置の設計の自由度が向上する。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、調色可能な半導体発光装置を用いる技術において、半導体発光装置同士の接続を直列接続と並列接続に自由かつ容易に接続可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上述した課題を解決するため、半導体発光素子を含む発光部を備える半導体発光装置を搭載するための半導体発光装置搭載回路基板の電力供給部の配置構成を工夫することとした。
【0008】
具体的には、本発明は、各々が半導体発光素子を含み、少なくとも2つのスペクトルの光を出力する複数の発光部であって、異なるスペクトルの光を出力する発光部が独立して制御される複数の発光部を有する半導体発光装置を搭載する半導体発光装置搭載回路基板
であって、前記半導体発光装置を搭載する、熱伝導材料からなる板状の基材部と、前記基材部上に形成され、前記複数の発光部のうち少なくとも一の発光部と、当該一の発光部から出力される光のスペクトルと異なる光のスペクトルを出力する他の発光部を別系統として前記半導体発光素子の各々に電力を供給し、かつ、電気的に接続される他の半導体発光装置に対して該半導体発光素子を介さずに電力を供給自在である電力供給部と、を備える。
【0009】
本発明に係る半導体発光装置搭載回路基板(以下、単に回路基板ともいう)では、電力供給部が、一の発光部と他の発光部を別系統として半導体発光素子の各々に電力を供給すると共に、電気的に接続される他の半導体発光装置に対して半導体発光素子を介さずに電力の供給が可能である。本発明に係る回路基板では、電力供給部によって供給される電力が、自身の半導体発光素子に供給されると共に、電気的に接続される他の半導体発光装置の半導体発光素子に対しても供給されるよう電力供給部が構成されている。従って、本発明に係る回路基板によれば、半導体発光装置同士を、直列接続だけでなく、並列接続とすることが可能である。すなわち、半導体発光装置同士の接続態様を自由に変更することができ、設計の自由度を従来よりも高めることができる。
【0010】
ここで、本発明に係る回路基板に搭載される半導体発光装置は、少なくとも2つのスペクトルの光を出力する。従って、例えば、発光部が3つ以上存在する場合には、発光部の全てが互いに異なるスペクトルの光を出力する必要はなく、複数の発光部からは少なくとも2種以上のスペクトルの光が出力されていればよい。すなわち、複数の発光部には、同じスペクトルの光を出力する発光部が含まれていてもよい。そして、複数の発光部のうち、少なくとも異なるスペクトルの光を出力する発光部は互いに独立して制御される。
【0011】
発光部は、夫々が半導体発光素子を有しており、半導体発光素子は、電力が供給されることにより、例えば近紫外領域(発光波長360nm〜430nmの領域)の光を出力する。発光部には、半導体発光素子から発せられる光の一部を吸収して異なる波長の光を発する蛍光体を含めるようにしてもよい。この場合、半導体発光素子は、蛍光体を励起する。なお、各発光部に設けられる半導体発光素子や蛍光体は複数であってもよい。また、発光部は、半導体発光素子、蛍光体に加えて、蛍光体を封止する透光性材料を含む構成としてもよい。また、蛍光体と透光性材料とを包括して蛍光部として特定し、発光部は、半導体発光素子と蛍光部とを含むものとして特定してもよい。
【0012】
電力供給部は、上記のように一の発光部と他の発光部を別系統として半導体発光素子の各々に電力を供給する。一の発光部とは、複数の発光部のうち一つであり、他の発光部とは、一の発光部から出力される光のスペクトルと異なるスペクトルの光を出力する発光部である。また、電力供給部は、更に、電気的に接続される他の半導体発光装置に対して該半導体発光素子を介さずに電力を供給自在である。半導体発光装置と他の半導体発光装置とは、同様の構成を有する。つまり、他の半導体発光装置も、基材部や電力供給部を有する。他の半導体発光装置に対して半導体発光素子を介さずに電力を供給自在とは、半導体発光素子に電力を供給することが可能であり、更に、他の半導体発光装置に対しても電力を供給可能であることを意味する。すなわち、本発明に係る電力供給部は、少なくとも2系統を備えるが、この2系統が互いに独立しており、その結果、半導体発光装置同士を直列接続だけでなく、並列接続とすることが可能である。
【0013】
本発明に係る回路基板に搭載される半導体発光装置外の照射面においては、少なくとも二種類のスペクトルを有する光の合成光を到達させることができ、この合成光の色温度を可変とすることができる。従って、本発明係る回路基板は、調色可能な半導体発光装置を用いた照明装置に特に好適に用いることができる。
【0014】
また、本発明に係る回路基板において、前記電力供給部は、前記基材部上に面状に形成されることが好ましい。電力供給部を面状に形成することで、半導体発光装置からより効率的に熱を奪うことができ、以って半導体発光装置における放熱性能を好適に高めることが可能となる。従って、調色可能とする半導体発光装置において顕在化し易い局所的な温度上昇に伴う発光効率の低下や、熱劣化などの発生を好適に抑止することができる。なお、電力供給部は、熱伝導材料によって構成することが好ましい。
【0015】
ここで、本発明に係る回路基板において、前記電力供給部は、前記一の発光部の半導体発光素子に電力を供給すると共に電気的に接続される他の半導体発光装置の一の発光部の半導体発光素子に電力を供給自在な第一系統部と、前記他の発光部の半導体発光素子に電力を供給すると共に電気的に接続される他の半導体発光装置の他の発光部の半導体発光素子に電力を供給自在な第二系統部と、を有し、前記第一系統部は、前記一の発光部の半導体発光素子の上流側に位置する第一系統上流部であって、電気的に接続される他の半導体発光装置の第一系統上流部と接続自在な第一系統上流部と、前記一の発光部の半導体発光素子の下流側に位置する第一系統下流部であって、電気的に接続される他の半導体発光装置の第一系統下流部と接続自在な第一系統下流部とを含み、前記第二系統部は、前記他の発光部の半導体発光素子の上流側に位置する第二系統上流部であって、電気的に接続される他の半導体発光装置の第二系統上流部と接続自在な第二系統上流部と、前記他の発光部の半導体発光素子の下流側に位置する第二系統下流部であって、電気的に接続される他の半導体発光装置の第二系統下流部と接続自在な第二系統下流部とを含み、前記半導体発光装置搭載回路基板は、前記第一系統上流部、前記第一系統下流部、前記第二系統上流部、及び前記第二系統下流部とを互いに絶縁して区画する絶縁部を更に備える構成としてもよい。
【0016】
第一系統上流部には、一の発光部の半導体発光素子を通過する前の電流が流れる。第一系統下流部には、一の発光部の半導体発光素子を通過した後の電流が流れる。また、第一系統上流部は、電気的に接続される他の半導体発光装置の第一系統上流部と接続自在であり、第一系統下流部は、電気的に接続される他の半導体発光装置の第一系統下流部と接続自在である。また、第二系統上流部には、他の発光部の半導体発光素子を通過する前の電流が流れ、第二系統下流部には、他の発光部の半導体発光素子を通過した後の電流が流れる。そして、第二系統上流部は、電気的に接続される他の半導体発光装置の第二系統上流部と接続自在であり、第二系統下流部は、電気的に接続される他の半導体発光装置の第二系統下流部と接続自在である。本発明では、このように電力供給部が4つの系統によって構成されることで、半導体発光装置同士を、直列接続だけでなく、並列接続とすることが可能となる。
【0017】
また、本発明に係る回路基板において、基材部には、半導体発光装置が搭載されていない方の非搭載面と熱的に接するように放熱用ハウジング部材が取り付けられ、電力供給部を介して基材部に伝えられる半導体発光装置からの熱が放熱用ハウジング部材から大気中に放熱されるようにしてもよい。これにより、回路基板が備える電力供給部及び基材部によって半導体発光装置から順次、伝導されてくる熱が、放熱用ハウジング部材から大気中に放出されるので、半導体発光装置から電力供給部への伝熱が一層促進されることになる。そのため、半導体発光装置における放熱性能をより好適に高めることができる。
【0018】
また、本発明は、上述した回路基板を備える発光モジュールとして特定することもできる。具体的には、本発明に係る発光モジュールは、各々が半導体発光素子を含み、少なくとも2つのスペクトルの光を出力する複数の発光部であって、異なるスペクトルの光を出力する発光部が互いに独立して制御される複数の発光部を有する半導体発光装置と、前記半導体発光装置を搭載する半導体発光装置搭載回路基板と、を備え、前記半導体発光装置搭載回路基板は、前記半導体発光装置を搭載する、熱伝導材料からなる板状の基材部と、
前記基材部上に形成され、前記複数の発光部のうち少なくとも一の発光部と当該一の発光部から出力されるスペクトルと異なる発光スペクトルを出力する他の発光部を別系統として前記半導体発光素子の各々に電力を供給し、かつ、電気的に接続される他の半導体発光装置に対して該半導体発光素子を介さずに電力を供給自在である電力供給部と、を備える。
【0019】
また、本発明に係る発光モジュールにおいて、前記電力供給部は、前記基材部上に電力供給回路として面状に形成され、前記半導体発光装置内の回路は、前記電力供給回路と異なる面に形成され、前記電力供給回路の配線と、前記半導体装置内の回路の配線は、立体的に交差している構成とすることができる。電力供給回路には、一の発光部と他の発光部を別系統として半導体発光素子の各々に電力を供給する電力供給系統と、電気的に接続される他の半導体発光装置に対して該半導体発光素子を介さずに電力を供給自在である電力供給系統が含まれる。半導体装置内の回路とは、半導体装置内に設けられた、半導体装置内の半導体発光装置に供給する電力が流れる回路である。本発明に係る発光モジュールでは、電力供給回路の配線と半導体装置内の回路の配線とを立体的に交差させることで、半導体発光装置搭載回路に互いに独立した複数の電力系統を形成することができる。その結果、発光モジュール同士を、直列接続だけでなく、並列接続とすることが可能である。
【0020】
なお、発光部には、蛍光体を含めるようにしてもよく、各発光部に設けられる半導体発光素子や蛍光体は複数であってもよい。また、発光部は、更に、透光性材料を含む構成としてもよい。
【0021】
また、本発明に係る発光モジュールにおいて、前記一の発光部と前記他の発光部との色温度が、2000K以上異なり、前記発光モジュールから出力される混合白色光の色温度が可変とすることができる。相関色温度の可変範囲を2000K以上とすることで、例えば部屋の雰囲気を変える際に十分な調色を行うことができる。
【0022】
ここで、本発明に係る回路基板において、前記半導体発光装置は、内部が2以上に分割された分割領域部を有するパッケージを更に備え、前記各発光部は、前記パッケージ内の各分割領域部に設けられている構成としてもよい。また、本発明に係る回路基板において、前記パッケージは、前記半導体発光装置の出射方向に開口する開口部と、該パッケージ内部を2以上に分割して画定され且つ該開口部の一部である分割開口部において開口する、少なくとも2以上の前記分割領域部を有する構成とすることができる。本発明に係る回路基板に搭載される半導体発光装置は、同装置からの出力光を出射するための開口部を2以上に分割するように、パッケージ内部に少なくとも一の分割領域部と他の分割領域部が画定される。これらの分割領域部における開口部分は上記分割開口部として定義され、この分割開口部は上記半導体発光装置本体の開口部の一部を占めることになる。各分割領域部には、半導体発光素子、蛍光部を含む発光部が備えられる。そして、例えば、各半導体発光素子からの出力光は蛍光体を励起し蛍光させた後、蛍光体による発光とともに透光性材料を経て、対応する分割領域部の分割開口部から外部へ至る。
【0023】
また、本発明は、上記発光モジュールを備える照明装置として特定することもできる。なお、照明装置に設けられるモジュールは、複数でもよい。また、本発明は、上述した発光モジュールを複数備えると共に、更に、この複数の発光モジュールを、直列接続と、並列接続と、直列接続と並列接続とを併用した接続とのうち何れか1つの接続態様で接続するケーブルと、上記複数の発光モジュールを搭載するベース板と、を備える照明装置として特定することもできる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば調色可能な半導体発光装置を用いる技術において、半導体発光装置同士
の接続を直列接続と並列接続に自由かつ容易に接続可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】第一実施形態に係る発光モジュールを構成する半導体発光装置内の、パッケージの概略構成の斜視図を示す。
【図1B】図1Aに示す半導体発光素子に電力を供給する配線の実装状態を示す。
【図2】図1A及び図1Bに示す半導体発光装置を、電気的記号を用いて模式化した図を示す。
【図3】図2に示す半導体発光装置の断面図を示す。
【図4】第一実施形態に係る回路基板の平面図を示す。
【図5】半導体発光装置が搭載された回路基板の平面図を示す。
【図6】図5のA−A断面図を示す。
【図7】第一実施形態に係る回路基板を並列接続した状態、及び電流が流れる様子を示す。
【図8】第一実施形態に係る回路基板を直列接続した状態、及び電流が流れる様子を示す。
【図9】発光モジュールの発光制御のために各発光装置に供給される電流の一例を示す。
【図10】発光モジュールを用いた照明装置の一例を示す。
【図11】変形例1に係る発光モジュールを示す。
【図12】変形例2に係る発光モジュールを示す。
【図13】変形例3に係る発光モジュールを示す。
【図14】変形例4に係る発光モジュールを示す。
【図15A】変形例5に係る半導体発光装置を示す。
【図15B】変形例6に係る半導体発光装置を示す。
【図16A】第二実施形態に係るコネクタ付き発光モジュールの概略構成を示す。
【図16B】第二実施形態に係るベース板を示す。
【図16C】第二実施形態に係るケーブルコネクタを示す。
【図16D】第二実施形態に係るレンズを示す。
【図16E】第二実施形態に係るコネクタ付き発光モジュールを示す。
【図17】第二実施形態に係るコネクタ付き発光モジュールを直線状に並列接続した様子を示す。
【図18】第二実施形態に係るコネクタ付き発光モジュールを面状に接続した様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。なお、本実施の形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0027】
<第一実施形態>
[半導体発光装置]
ここで、図1Aは、第一実施形態に係る発光モジュール30を構成する半導体発光装置(以下、単に発光装置ともいう。)8内の、パッケージ1の概略構成の斜視図であり、図1Bは、パッケージ1に設けられた近紫外半導体発光素子3A、3Bに電力を供給する配線20A、20Bの実装状態を示す。また、図2は、図1A及び図1Bに示す半導体発光装置8を電気的記号を用いて模式化した図である。更に、図3は、図1Aに示す半導体発光装置8において、上記配線20A、20Bを含む面で切断した場合の断面図である。なお、第一実施形態における発光モジュール30は、半導体発光装置8及びこれを搭載する
ための回路基板を含んで構成されている。
【0028】
図1Aに示すように、半導体発光装置8はパッケージ1を含んで構成され、該パッケージ1は、ベース2上に配置された環状且つ円錐台形状のリフレクタ10を有する。このリフレクタ10は後述する各分割領域部12からの出力光の一部を、半導体発光装置8の出射方向に導く機能を有するとともに、パッケージ1の本体としての機能も果たす。なお、リフレクタ10の円錐台形状の上面側は、半導体発光装置8による光の出射方向となり、開口部13を形成している。一方で、リフレクタ10の円錐台形状の下面側にはベース2が配置され、詳細は後述するが各半導体発光素子への電力供給のための配線が敷設等されている(当該配線は図1Aには図示せず)。
【0029】
そして、この環状のリフレクタ10の内部の空間を図1A、図3に示すように均等に二つの領域に分割する間仕切り11が、ベース2に対して垂直に設けられている。この間仕切り11によって、リフレクタ10内に2つの分割領域部12A、12Bが画定されるとともに、分割領域部12Aの開口部は、リフレクタ10の開口部13の右半分を占め、分割領域部12Bの開口部は、リフレクタ10の開口部13の左半分を占めることになる。本明細書においては、分割領域部12Aの開口部を、分割開口部13Aと称し、分割領域部12Bの開口部を、分割開口部13Bと称する。即ち、開口部13は、間仕切り11によって分割開口部13Aと13Bに分割されたことになる。
【0030】
この分割領域部12A、12Bには、それぞれ半導体発光素子であり近紫外光を出力光とする近紫外半導体発光素子3A、3Bがそれぞれ4個ずつ設けられている。なお、近紫外半導体発光素子3A、3B及び後述する蛍光部14によって本発明の発光部を構成する。近紫外半導体発光素子3A、3B(これらの近紫外半導体発光素子を包括的に参照する場合は近紫外半導体発光素子3と称する。)は、対となる配線20A、20B(包括的に配線20と称する場合もある。)にそれぞれ接続され、電力供給を受けることで発光を行う。なお、各分割領域部での配線20への近紫外半導体発光素子3の接続は、図1Bに示すように、配線20Aの上に4個の近紫外半導体発光素子3Aが実装され、配線20Bの上に4個の近紫外半導体発光素子3Bが実装される。そして、各分割領域部における4個の近紫外半導体発光素子3は、対応する配線に対して順方向に並列接続されている。なお、図1Bにおける符号21A1,21A2,21B1,21B2は、半導体発光装置8と回路基板とを電気的に接続する電極を表す。この電極21A1,21A2,21B1,21B2は、ベース2の下面(リフレクタ10が配置されていない側の面)に形成されており、配線20A,20Bにそれぞれ接続されている。具体的には、電極21A1は、配線20Aの一端の端子20A1に接続され、電極21A2は、配線20Aの他端の端子20A2に接続されている。また、電極21B1は、配線20Bの一端の端子20B1に接続され、電極21B2は、配線20Bの他端の端子20B2に接続されている。また、ここでの例では、分割領域部12A、12Bには、近紫外半導体発光素子3A、3Bがそれぞれ4個ずつ設けられているが、双方に設けられる半導体発光素子の数を相違させてもよく、また、分割領域部12A、12Bの各々には少なくとも1つの半導体発光素子が設けられていればよい。
【0031】
近紫外半導体発光素子3A、3Bの実装状態を模式化して示すと図2のようになる。即ち、分割領域部12Aに配置される4つの近紫外半導体発光素子3Aに対しては、電極21A1,21A2を介して配線20Aより電力供給が行われる。分割領域部12Bに配置される4つの近紫外半導体発光素子3Bに対しては、電極21B1,21B2を介して配線20Bより電力供給が行われる。電極21A1,21A2は、何れも平面視において四角形であり、四角形のベース2を形成する四辺のうちの一辺に沿って、かつ、この一辺の両端に存在する隅部に設けられている。一辺とは、配線20Aの直線部分と平行な分割領域12A側の辺である。また、電極21B1,21B2も、電極21A1,21A2と同
じく、何れも平面視において四角形である。そして、四角形のベース2を形成する四辺のうちの上記一辺と対向する他辺に沿って、かつ、この他辺の両端に存在する隅部に設けられている。他辺とは、配線20Bの直線部分と平行な分割領域12B側の辺である。また、電極21A1,21A2,21B1,21B2は、所定の高さを有することから、半導体発光装置8と回路基板との間に空隙を形成し、かつ、半導体発光装置8と回路基板とを電気的に接続する(図5参照)。すなわち、半導体発光装置8の配線20A,20Bと回路基板31上の配線(電力供給用導体層32)とが異なる平面上に形成され、半導体発光装置8の配線20A,20Bと回路基板31上の配線(電力供給用導体層32)との立体的な接続が実現されている。半導体発光装置8の配線20A,20Bと回路基板31上の配線(電力供給用導体層32)との立体的な接続の詳細については、後述する。なお、近紫外半導体発光素子3に印加される電圧は3.3V〜3.9Vの範囲で、供給電流は40mA〜200mAの範囲となる。この電力供給については、発光モジュール30全体の発光強度を考慮して行われてもよい。
【0032】
次に、蛍光部14について説明する。第一実施形態に係る半導体発光装置8は、例えば白色光を出力することを目的とし、例えば、赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体の3数種の蛍光体を採用する。また、これらの赤色、緑色、青色蛍光体は、所望の発光スペクトル、色温度、色度座標、演色性、発光効率などに応じて適宜組み合わせて用いても良い。尚、半導体発光装置8において合成光としての白色光を出力するために、近紫外LED3と赤色、緑色、青色蛍光体との組合せ以外のものを採用しても良い。例えば、青色半導体発光素子と赤色、緑色蛍光体との組合せや、青色半導体発光素子と黄色蛍光体との組合せ等を採用しても良い。なお、半導体発光装置8では、半導体発光素子3Aへの駆動電力と、半導体発光素子3Bへの駆動電力とをそれぞれ独立して制御することで、蛍光部14Aと、蛍光部14Bから異なるスペクトルの光を出力することができる。また、蛍光部14Aと、蛍光部14Bを互いに近接して配置することにより、蛍光部14Aから出力される出力光と、蛍光部14Bから出力される出力光が互いに混色することで、所望の色温度の合成光を得ることができる。
【0033】
波長変換層に混合して用いることができる蛍光体の具体例を以下に挙げる。
【0034】
赤色蛍光体としては、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSiN3:Eu、(Mg,Ca
,Sr,Ba)2 (Si,Al)58:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3 :Eu、Eu付活αサイアロン、SrAlSi47:Eu、(Sr,Ba,Ca)3SiO5:Eu、K2SiF6:Mn、K2TiF6:Mnなどが挙げられる。
【0035】
緑色蛍光体としては、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu、Eu付活βサイアロン、(Ba,Sr,Ca)3Si6122:Eu、Ca3(ScMg)512:Ce、C
aSc24:Ce、BaMgAl1017:Eu,Mnなどが挙げられる。
【0036】
青色蛍光体としては、BaMgAl1017:Eu、(Sr,Ba,Ca)5(PO43
Cl:Euなどが挙げられる。
【0037】
黄色蛍光体としては、例えばYAG:Ce、TAG:Ce、La3Si6N11:Ce、Cax(Si,Al)12(O,N)16:Eu等のSiAlON構造を有する酸窒化物系
蛍光体等のEuで付活した蛍光体などが挙げられる。
【0038】
半導体発光装置8において、近紫外半導体発光素子3および蛍光部14は、通常、近紫外半導体発光素子3の発光によって蛍光体が励起されて発光を生じ、この発光が、外部に取り出されるように配置される。このような構造を有する場合、上述の近紫外半導体発光素子3および蛍光体14は、通常は透光性材料(封止材料)で封止保護される。具体的に
は、この封止材料は、上記蛍光部14に含まれることで蛍光体を分散させて発光部分を構成したり、近紫外半導体発光素子3、蛍光体およびベース2間を接着する目的で採用される。
【0039】
使用される透光性材料としては、通常、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられるが、近紫外半導体発光素子3はその出力光の波長が360nm〜430nmの近紫外領域にあるため、その出力光に対して充分な透明性と耐久性のある樹脂が封止材料として好ましい。そこで、封止材料として、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。また、無機系材料、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液又はこれらの組み合わせを固化した無機系材料、例えばシロキサン結合を有する無機系材料やガラスを用いることもできる。
【0040】
このように構成される半導体発光装置8は、間仕切り11で分割された二つの分割領域部12A、12Bにそれぞれ、4個の近紫外半導体発光素子3を光源とする近紫外光によって励起される蛍光部14が設けられ、且つリフレクタ10の内部において二つの分割領域部12A、12Bが、その出力光の出射口、即ち分割開口部13A、13Bを並べて一体的に設けられている。そして、各蛍光部14A、14Bからの出力光である白色光は、それぞれ分割開口部13A、13Bから外部に出射される。ここで、この分割開口部から放出される各白色光は、蛍光体を含む蛍光部14を介して得られるため、近紫外半導体発光素子3A、3Bからの出力光が充分に散乱され、配光がランバーシアン的となり出射される。これにより、上記蛍光体からの一次光を合成して白色にすることができると共に、均一な白色が得られるため、半導体発光装置8が発する合成光においては均一な白色光と照度が得られることになる。なお、分割領域部12Aから出力される白色光(以下、「白色光A」と言う。)と分割領域部12Bから出力される白色光(以下、「白色光B」と言う。)のスペクトルは、互いに異なるように、蛍光部14Aに含まれる蛍光体と蛍光部14Bに含まれる蛍光体とが適宜選択される。
【0041】
[回路基板]
次に、上述した半導体発光装置8を搭載する半導体発光装置搭載回路基板(以下、単に回路基板ともいう)31について説明する。図4は、第一実施形態に係る回路基板31の平面図を示し、図5は、半導体発光装置8が搭載された回路基板31(発光モジュール30)の平面図を示す。また、図6は、図5のA−A断面図を示す。第一実施形態では、半導体発光装置8と回路基板31は、互いに隙間をあけて電極(21A1,21A2,21B1,21B2)を介して電気的に接続されている。換言すると、半導体発光装置8上の配線と、回路基板31上の配線(電力供給用導体層32)とが異なる平面上に形成され、電極(21A1,21A2,21B1,21B2)を介して電気的に接続されている。その結果、半導体発光装置8と回路基板31とが、立体的に配置されることになり、半導体発光装置8上の配線と、回路基板31上の配線(電力供給用導体層32)とが接触することなく、立体的に交差する(跨ぐ)ことができる。以下、詳細に説明する。
【0042】
回路基板31は、半導体発光装置8を搭載(実装)する。回路基板31は、半導体発光装置8に代えて後述する変形例5や6に係る半導体発光装置8を搭載してもよい。第一実施形態に係る回路基板31は、半導体発光装置8を取り付けるための土台となる基材部36を有する(図6参照)。この基材部36は、熱伝導性の優れた熱伝導材料を用いて形成され、第一実施形態では、平面視が四角形である。第一実施形態では、基材部36は、ア
ルミニウムを用いて構成されているが、これに限定されるものではない。基材部36の表面には絶縁層36Aが形成されている。この絶縁層36Aは、例えば、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物から構成することができる。ベース樹脂として、熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂が例示される。また、熱可塑性樹脂としては、後述する高耐熱性のものが好ましく、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、液晶ポリマー(LCP)が挙げられる。
【0043】
絶縁層36Aの上には、電力供給用導体層32が基材部36のほぼ全面を覆うように形成されている。第一実施形態における電力供給用導体層32は、たとえば電気伝導性の優れた銅箔を用いているが、その他の電気伝導性材料を用いることもできる。第一実施形態では、各分割領域部12に含まれる近紫外半導体発光素子3に供給するための電力制御系統は、第一系統と弟二系統の2系統に大別される。2系統のうち、分割領域部12Aにおける近紫外半導体発光素子3Aへの電力制御系統(第一系統)に対応した32Aを「第1系統電力供給用導体層」とし、分割領域部12Bにおける近紫外半導体発光素子3Bへの電力制御系統(弟二系統)に対応した32Bを「第2系統電力供給用導体層」とする。
【0044】
第1系統電力供給用導体層32Aは、分割領域部12Aにおける近紫外半導体発光素子3Aの上流側に位置する上流側第1系統電力供給用導体層32A1と、分割領域部12Aにおける近紫外半導体発光素子3Aの下流側に位置する下流側第1系統電力供給用導体層32A2とを有する。なお、上流、下流は、電気の流れに対するものである。上流側第1系統電力供給用導体層32A1は、本発明の第一系統上流部に相当し、上辺において他の半導体発光装置8又は電力供給源(図示せず。)と電気的に接続自在な接続端子39A1(以下、接続端子39A1と接続端子39A2を包括して接続端子39Aともいう。)と接続され、中央付近では電極21A1と接続され、上辺と対向する下辺において他の半導体発光装置と接続自在な接続端子39B1(以下、接続端子39B1と接続端子39B2を包括して接続端子39Bともいう。)と接続されている。また、下流側第1系統電力供給用導体層32A2は、本発明の第一系統下流部に相当し、上辺において他の半導体発光装置又は電力供給源と電気的に接続自在な接続端子39C1(以下、接続端子39C1と接続端子39C2を包括して接続端子39Cともいう。)と接続され、中央付近では電極21A2と接続され、更に下辺において他の半導体発光装置と接続自在な接続端子39D1(以下、接続端子39D1と接続端子39D2を包括して接続端子39Dともいう。)と接続されている。
【0045】
また、第2系統電力供給用導体層32Bは、分割領域部12Bにおける近紫外半導体発光素子3Bの上流側に位置する上流側第2系統電力供給用導体層32B1と、分割領域部12Bにおける近紫外半導体発光素子3Bの下流側に位置する下流側第2系統電力供給用導体層32B2とを有する。上流側第2系統電力供給用導体層32B1は、本発明の第二系統上流部に相当し、上辺において他の半導体発光装置と電気的に接続自在な接続端子39A2と接続され、中央付近では電極21B1と接続され、更に下辺において他の半導体発光装置と接続自在な接続端子39B2と接続されている。また、下流側第2系統電力供給用導体層32B2は、本発明の第二系統下流部に相当し、上辺において他の半導体発光装置又は電力供給源と電気的に接続自在な接続端子39C2と接続され、中央付近では電極21B2と接続され、更に下辺において他の半導体発光装置と接続自在な接続端子39D2と接続されている。
【0046】
第一実施形態では、回路基板31上(電力供給用導体層32上)に、電極(21A1,21A2,21B1,21B2)が設けられ、この電極、(21A1,21A2,21B
1,21B2)を介して半導体発光装置8の回路が電気的に接続されている。つまり、電力供給用導体層32と半導体発光装置8の回路は、異なる平面に形成されており、半導体発光装置8の回路の配線と、電力供給用導体層32とは接触することなく、立体的に交差する(跨ぐ)ことができる。その結果、例えば、第一系統電力供給用導体層32A1を流れる電流は、分割領域部12Aにおける近紫外半導体発光素子3Aと接続端子39B1を介して他の半導体発光装置8にも流れることが可能である。また、他の電力供給用導体層についても、2つの接続端子と、近紫外半導体発光素子の電極とが接続されている。従って、第一実施形態では、隣り合う半導体発光装置8の接続態様を適宜変更することで、半導体発光装置8同士を並列接続又は直列接続とすることができる。接続態様の詳細については、後述する。
【0047】
なお、別系統の電力供給用導体層32A1,32A2,32B1,32B2同士は、絶縁部材33によって、互いに絶縁されている。具体的には、中央絶縁部材33Aは、回路基板31の中央を縦断するように直線状に設けられ、上流側第1系統電力供給用導体層32A1と下流側第1系統電力供給用導体層32A2とを絶縁する。また、上流側絶縁部材33Bは、上流側第1系統電力供給用導体層32A1と上流側第2系統電力供給用導体層32B1とを絶縁する。なお、上流側絶縁部材33Bは、上流側第2系統電力供給用導体層32B1が、回路基板31の中央付近に設けられた電極21B1と接続できるよう、接続端子39Aから接続端子39Bに向けて伸びる直線が、中央付近において逆C字状に屈折している。また、下流側絶縁部材33Cは、下流側第1系統電力供給用導体層32A2と下流側第2系統電力供給用導体層32B2とを絶縁する。なお、下流側絶縁部材33Cは、下流側第2系統電力供給用導体層32B2が、回路基板31の中央付近に設けられた電極21B2と接続できるよう、接続端子39Cから接続端子39Dに向けて伸びる直線が、中央付近においてC字状に屈折している。このように電力供給用導体層32A1,32A2,32B1,32B2同士は、同一平面状では、絶縁部材33によって互いに絶縁されている。但し、電力供給用導体層32は、電極21A1,21A2,21B1,21B2を介して、電力供給用導体層32とは異なる平面に位置する半導体発光装置8の回路と接続されている。つまり、電力供給用導体層32A1と電力供給用導体層32A2とは、同一平面状では互いに絶縁されているが、電極21A1,2A2及び半導体発光装置8の回路によって電気的に接続されている。また、電力供給用導体層32B1と電力供給用導体層32B2とは、同一平面状では互いに絶縁されているが、電極21B1,21B2及び半導体発光装置8の回路によって電気的に接続されている。
【0048】
なお、図6に示すように、基材部36上に形成されている電力供給用導体層32上には、更に電気絶縁保護塗膜層37(一例として、ソルダーレジスト)が積層されている。電力供給用導体層32は、特定部位を除いてこの電気絶縁保護塗膜層37によって覆われている。特定部位には、各接続端子(例えば、接続端子39A1)や、各電極(例えば、電極21A1)が相当する。特定部位には、上記の他、例えば、電気の逆流防止用に設けられるツェナーダイオード等の電力制御用電子部品(図示省略)を配置する部分が相当する。但し、このような電力制御用電子部品は、必ずしも回路基板31上に設置する必要はなく、回路基板31の外部に設置してもよい。また、電力制御用電子部品を半導体発光装置8の内部に配置するようにしてもよい。
【0049】
[接続態様]
次に上述した発光モジュール30の接続態様について説明する。図7は、第一実施形態に係る発光モジュール30を並列接続した状態、及び電流が流れる様子を示し、図8は、第一実施形態に係る発光モジュール30を直列接続した状態、及び電流が流れる様子を示す。図7、図8における実線は第一系統(分割領域部12Aにおける近紫外半導体発光素子3Aへの電力制御系統)に係る電気の流れを示す(但し、第一系統のうち、半導体発光装置8によって覆われる電力供給用導体層32を流れる電流については点線で示す)。ま
た、図7、図8にける点線は、第二系統(分割領域部12Bにおける近紫外半導体発光素子3Bへの電力制御系統)に係る電気の流れを示す。なお、図7、図8では、電流の流れを線で示すが、実際には、電力供給用導体層32では面状に流れる。
【0050】
図7に示すように、並列接続では、隣接する半導体発光装置8の近紫外半導体発光素子3A,3B同士が並列接続となるよう、発光モジュール30同士がケーブルを介して接続される。具体的には、上流側第1系統電力供給用導体層32A1の下辺に設けられた接続端子39B1は、隣接する発光モジュール30(図7において下側に位置する発光モジュール)の上流側第1系統電力供給用導体層32A1の上辺に設けられた接続端子39A1に接続される。また、上流側第2系統電力供給用導体層32B1の下辺に設けられた接続端子39B2は、隣接する発光モジュール30の上流側第2系統電力供給用導体層32B1の上辺に設けられた接続端子39A2に接続される。また、下流側第1系統電力供給用導体層32A2の下辺に設けられた接続端子39D1は、隣接する発光モジュール30の下流側第1系統電力供給用導体層32A2の上辺に設けられた接続端子39C1に接続される。また、下流側第2系統電力供給用導体層32B2の下辺に設けられた接続端子39D2は、隣接する発光モジュール30の下流側第2系統電力供給用導体層32B2の上辺に設けられた接続端子39C2と接続される。上記のように発光モジュール30同士が接続されることで、並列接続が実現されている。
【0051】
図7に示す並列接続における電気の流れは以下の通りである。第一系統は、更に、近紫外半導体発光素子3Aを流れる系統と近紫外半導体発光素子3Aを流れずに下流側の半導体発光装置8へ流れる系統の二つの系統に分かれている。近紫外半導体発光素子3Aを流れる系統では、上流側の半導体発光装置8の接続端子39A1を通じて電気が入力され、入力された電気は、上流側第1系統電力供給用導体層32A1、電極21A1、配線20A(図7では図示せず)、近紫外半導体発光素子3A、電極21A2、下流側第1系統電力供給用導体層32A2を通り、接続端子39C1から出力される。すなわち、電極21A1から電極21A2の間においては、電流は、電力供給用導体層32とは異なる平面を流れる。また、近紫外半導体発光素子3Aを流れずに下流側の半導体発光装置8へ流れる系統では、上流側の半導体発光装置8の接続端子39A1を通じて入力された電気は、上流側第1系統電力供給用導体層32A1を通り、接続端子39B1から出力される。つまり、近紫外半導体発光素子3Aを流れる系統と、近紫外半導体発光素子3Aを流れずに下流側の半導体発光装置8へ流れる系統は、立体的に交差している。
【0052】
また、接続端子39B1から出力された電気は、ケーブルを介して、下流側の半導体発光装置8の接続端子39A1に入力され、下流側の半導体発光装置8の、上流側第1系統電力供給用導体層32A1、電極21A1、配線20A(図7では図示せず)、近紫外半導体発光素子3A、電極21A2、下流側第1系統電力供給用導体層32A2を通り、接続端子39C1から出力される。下流側の半導体発光装置8の接続端子39C2から出力された電気は、ケーブルを介して、上流側の半導体発光装置8の接続端子39D1に入力され、下流側第1系統電力供給用導体層32A2を通り、接続端子39C1から出力される。下流側第1系統電力供給用導体層32A2を流れる電流と、第一系統における近紫外半導体発光素子3Aを流れる電流は、互いに流れる平面が異なる。つまり、近紫外半導体発光素子3Aを流れる系統と、近紫外半導体発光素子3Aを流れずに下流側の半導体発光装置8へ流れる系統は、立体的に交差している。このように第一系統における二つの系統は、立体的な交差が可能となっている。
【0053】
第二系統も、更に、近紫外半導体発光素子3Bを流れる系統と近紫外半導体発光素子3Bを流れずに下流側の半導体発光装置8へ流れる系統の二つの系統に分かれている。近紫外半導体発光素子3Bを流れる系統では、上流側の半導体発光装置8の接続端子39A2を通じて電気が入力され、入力された電気は、上流側第2系統電力供給用導体層32B1
、電極21B1、配線20B(図7では図示せず)、近紫外半導体発光素子3B、電極21B2、下流側第2系統電力供給用導体層32B2を通り、接続端子39C1から出力される。すなわち、電極21B1から電極21B2の間においては、電流は、電力供給用導体層32とは異なる平面を流れる。また、近紫外半導体発光素子3Bを流れずに下流側の半導体発光装置8へ流れる系統では、上流側の半導体発光装置8の接続端子39A2を通じて入力された電気は、上流側第2系統電力供給用導体層32B1を通り、接続端子39B2から出力される。つまり、近紫外半導体発光素子3Bを流れる系統と、近紫外半導体発光素子3Aを流れずに下流側の半導体発光装置8へ流れる系統は、立体的に交差している。
【0054】
また、接続端子39B2から出力された電気は、ケーブルを介して、下流側の半導体発光装置8の接続端子39A2に入力され、下流側の半導体発光装置8の、上流側第2系統電力供給用導体層32B1、電極21B1、配線20B(図7では図示せず)、近紫外半導体発光素子3B、電極21B2、下流側第2系統電力供給用導体層32B2を通り、接続端子39C2から出力される。下流側の半導体発光装置8の接続端子39C2から出力された電気は、ケーブルを介して、上流側の半導体発光装置8の接続端子39D2に入力され、下流側第2系統電力供給用導体層32B2を通り、接続端子39C2から出力される。下流側第2系統電力供給用導体層32B2を流れる電流と、第二系統における近紫外半導体発光素子3Bを流れる電流は、互いに流れる平面が異なる。つまり、近紫外半導体発光素子3Bを流れる系統と、近紫外半導体発光素子3Bを流れずに下流側の半導体発光装置8へ流れる系統は、立体的に交差している。このように第二系統における二つの系統も、立体的な交差が可能となっている。
【0055】
また、直列接続では、図8に示すように、隣接する半導体発光装置8の近紫外半導体発光素子3A,3B同士が直列接続となるよう、発光モジュール30同士がケーブルを介して接続される。具体的には、以下の通りに接続される。下流側第1系統電力供給用導体層32A2の下辺に設けられた接続端子39D1は、隣接する発光モジュール30の上流側第1系統電力供給用導体層32A1の上辺に設けられた接続端子39A1に接続される。また、下流側第2系統電力供給用導体層32B2の下辺に設けられた接続端子39D2は、隣接する発光モジュール30の上流側第2系統電力供給用導体層32B1の上辺に設けられた接続端子39A2に接続される。なお、接続端子39B1,B2、及び、接続端子39C1,39C2は、使用されない。上記のように発光モジュール30同士が接続されることで、直列接続が実現される。
【0056】
図8に示す直列接続における電気の流れは以下の通りである。第一系統では、上流側の半導体発光装置8の接続端子39A1を通じて電気が入力され、入力された電気は、上流側第1系統電力供給用導体層32A1、電極21A1、配線20A(図8では図示せず)、近紫外半導体発光素子3A、電極21A2、下流側第1系統電力供給用導体層32A2を通り、接続端子39D1から出力される。接続端子39D1から出力された電気は、ケーブルを介して、下流側の半導体発光装置8の接続端子39A1に入力され、上流側の半導体発光装置8と同じく、入力された電気は、上流側第1系統電力供給用導体層32A1、電極21A1、配線20A(図8では図示せず)、近紫外半導体発光素子3A、電極21A2、下流側第1系統電力供給用導体層32A2を通り、接続端子39D1から出力される。
【0057】
また、第二系統では、上流側の半導体発光装置8の接続端子39A2を通じて電気が入力され、入力された電気は、上流側第2系統電力供給用導体層32B1、電極21B1、配線20B(図8では図示せず)、近紫外半導体発光素子3B、電極21B2、下流側第2系統電力供給用導体層32B2を通り、接続端子39D1から出力される。また、接続端子39D2から出力された電気は、ケーブルを介して、下流側の半導体発光装置8の接
続端子39A2に入力され、上流側の半導体発光装置8と同じく、入力された電気は、上流側第2系統電力供給用導体層32B1、電極21B1、配線20B(図8では図示せず)、近紫外半導体発光素子3B、電極21B2、下流側第2系統電力供給用導体層32B2を通り、接続端子39D1から出力される。
【0058】
ここで、図9は、発光モジュール30の発光制御のために各発光装置8に供給される電流の一例が示されており、特に図9(a)は電力供給用導体層32Aを介して各発光装置8の分割領域部12A内に配置される近紫外半導体発光素子3Aに供給される電流の推移を示しており、図9(b)は電力供給用導体層32Bを介して各発光装置8の分割領域部12B内に配置される近紫外半導体発光素子3Bに供給される電流の推移を示している。本実施形態では、各近紫外半導体発光素子3には、矩形状の電流が供給され、且つ近紫外半導体発光素子3A側に供給される電流量と、近紫外半導体発光素子3B側に供給される電流量の総和は一定になるように制御される。尚、図9に示す状態は、近紫外半導体発光素子3A側に供給される電流量は該総和の25%であり、近紫外半導体発光素子3B側に供給される電流量は該総和の75%であり、その結果、各発光装置8の分割領域部12Aからの発光強度と各発光装置8の分割領域部12Bからの発光強度との比は、1:3となる。
【0059】
このように近紫外半導体発光素子3A側に供給される電流量と、近紫外半導体発光素子3B側に供給される電流量の総和を一定にしながら、各半導体発光素子3側に供給される電流量の比を調整することで、発光モジュール30としての発光強度は一定としながら、分割領域部12Aと分割領域部12Bからの発光強度の比率を変化させることができる。その結果、発光モジュール30の出力光を、発光強度を一定のままで、その相関色温度を2600Kから6500Kの間の任意の値に調整できる。また、上述したように、その合成光の色度点は実質的に黒体輻射軌跡BBLに沿っているため、人間の視覚に対して極めて自然に近い白色光を提供し、且つ2600Kから6500Kにわたって色温度を自在に可変することが可能となる。
【0060】
[照明装置]
ここで、図10は、発光モジュール30を用いた照明装置70の一例を示す。図10に示す照明装置70は、4つの発光モジュール30、フレーム50、レンズ51、電源・制御部52を備える。照明装置70は、上述した第一実施形態に係る発光モジュール30が4つ並列接続され、板状のフレーム50に固定されている。フレーム50の材質は、発光モジュール30からの熱を効果的に放熱するべく、熱伝導性に優れたものであることが好ましい。フレーム50は、本発明の放熱用ハウジング部材に相当する。レンズ51の機能、仕様などは特に限定されるものではなく、例えば集光レンズ、拡散レンズ等を採用することができる。電源・制御部52は、外部から電力の供給を受け、各発光モジュール30に電力を供給すると共に電圧や電流の制御を行う。このような照明装置70は、室内の照明装置などとして好適に用いることができる。
【0061】
<第一実施形態の変形例>
次に、第一実施形態の発光モジュール30の変形例について説明する。図11は、変形例1に係る発光モジュール30を示す。変形例1の発光モジュール30は、4つの発光モジュール30が直線状に直列に接続され、フレーム50に固定されている。なお、発光モジュール30同士を接続するケーブルは、2端子ケーブルである。
【0062】
図12は、変形例2に係る発光モジュールを示す。変形例2に係る発光モジュール30は、4つの発光モジュール30が直線状に並列に接続され、フレーム50に固定されている。なお、発光モジュール30同士を接続するケーブルは、2端子ケーブルである。
【0063】
図13は、変形例3に係る発光モジュールを示す。変形例3に係る発光モジュール30は、4つの発光モジュール30が曲線状に配置され、直列接続と並列接続が併用され、フレーム50に固定されている。図13は、曲線状に配置される複数の発光モジュール30の一部を示す。すなわち、変形例3では、図13に示す上下の発光モジュール30は、並列接続されているが、上下間に存在する二つの発光モジュール30は、直列接続されている。なお、発光モジュール30同士を接続するケーブルは、2端子ケーブルである。また、変形例3に係る発光モジュール30は、各発光モジュール30を覆うように円形のレンズ51が設けられている。
【0064】
図14は、変形例4に係る発光モジュールを示す。変形例4に係る発光モジュール30は、5つの発光モジュール30が平面的に配置され、直列接続と並列接続が併用されている。すなわち、変形例4では、図14に示す左上及び右下の発光モジュール30は、並列接続されているが、他の発光モジュール30は、直列接続されている。なお、発光モジュール30同士を接続するケーブルは、2端子ケーブルである。また、変形例4に係る発光モジュール30の全てを覆うように、拡散カバー51aが設けられている。
【0065】
上述までの半導体発光装置8は、内部が近紫外半導体発光素子3の制御系統と等しい数に分割された分割領域部12を有するパッケージを利用する態様のものを例に挙げて説明してきたが、同一の光のスペクトルを出力する発光部に属する半導体発光素子が同一の制御系統により制御電力が供給され、互いに異なる光のスペクトルを出力する発光部に属する半導体発光素子が独立した制御系統によって制御されれば、このように内部が複数の分割領域部に分割される間仕切りを有するパッケージを具備しない半導体発光装置に本発明を適用しても良い。
【0066】
例えば、図15Aに示す変形例5に係る半導体発光装置8では、ベース2に複数(図示の例では、二つ)のパッケージ1A,1Bが設けられている。ここでは、1Aを「第一パ
ッケージ」と称し、1Bを「第二パッケージ」と称する。
【0067】
図15Aに示すように、第一パッケージ1A及び第二パッケージ1Bは共に、内部が間仕切りによって複数の領域に分割されていない。そして、第一パッケージ1Aには第一系統に係る近紫外半導体発光素子3Aが、第二パッケージ1Bには第二系統に係る近紫外半導体発光素子3Bがそれぞれ設けられている。また、各パッケージ1A,1Bには、その内部に配置される近紫外半導体発光素子3に対応する蛍光体(図示せず)及びこの蛍光体を封止する透光性材料を含有する蛍光部14(14A,14B)が、近紫外半導体発光素子3を覆うように形成されていることで本発明における発光部がそれぞれ構成されている。
【0068】
変形例5に係る半導体発光装置8では、第一パッケージ1Aに配置される近紫外半導体発光素子3Aへの駆動電力と、第二パッケージ1Bに配置される近紫外半導体発光素子3Bへの駆動電力とをそれぞれ独立して制御することで、第一パッケージ1Aに形成された蛍光部14Aと、第二パッケージ1Bに形成された蛍光部14Bから異なるスペクトルの光を出力することができる。そして、図15Aに示すように、第一パッケージ1A及び第二パッケージ1Bを互いに近接して配置することにより、第一パッケージ1Aから出力される出力光と、第二パッケージ1Bから出力される出力光が互いに混色することで、所望の色温度の合成光を得ることができる。
【0069】
また、図15Bに示す変形例6に係る半導体発光装置8では、ベース2に複数(図示の例では、二つ)の蛍光体含有領域11A,11Bが設けられている。ここでは、11Aを
「第一蛍光体含有領域」と称し、11Bを「第二蛍光体含有領域」と称する。
【0070】
図15Bに示すように、第一蛍光体含有領域11A及び第二蛍光体含有領域11Bは共に、パッケージによる領域の仕切りがされておらず、単一のベース2上に近紫外半導体発光素子3が実装されている。ここでは、第一蛍光体含有領域11Aには第一制御系統に係る近紫外半導体発光素子3Aが、第二蛍光体含有領域11Bには第二制御系統に係る近紫外半導体発光素子3Bがそれぞれ設けられている。また、各蛍光体含有領域11A,11Bには、それぞれに配置される近紫外半導体発光素子3に対応する蛍光体(図示せず)及びこの蛍光体を封止する透光性材料を含有する蛍光部14(14A,14B)が、近紫外半導体発光素子3を覆うように形成されている。以上のように、半導体発光装置8の変形例2においては、第一蛍光体含有領域11Aは半導体発光装置3A及び蛍光部14Aを含み、第二蛍光体含有領域11Bは半導体発光装置3B及び蛍光部14Bを含む。そして、このように構成される各蛍光体含有領域11A,11Bがそれぞれ本発明における発光部に対応する。
【0071】
図15Bに示す変形例6に係る半導体発光装置8では、第一蛍光体含有領域11Aに配置される半導体発光素子3Aへの駆動電力と、第二蛍光体含有領域11Bに配置される半導体発光装置3Bへの駆動電力とをそれぞれ独立して制御することで、第一蛍光体含有領域11Aに形成された蛍光部14Aと、第二蛍光体含有領域11Bに形成された蛍光部14Bから異なるスペクトルの光を出力することができる。そして、図15Bに示すように、第一蛍光体含有領域11A及び第二蛍光体含有領域11Bを互いに近接して配置することにより、第一蛍光体含有領域11Aから出力される出力光と、第二蛍光体含有領域11Bから出力される出力光が互いに混色することで、所望の色温度の合成光を得ることができる。
【0072】
本発明に係る発光モジュール、照明装置、及び電力供給搭載回路基板は、図15Aに示す変形例5に係る半導体発光装置8のようにパッケージ内部が複数の分割領域部に分割されていない半導体発光装置、あるいは、図15Bに示す変形例6に係る半導体発光装置8のようにパッケージ自体を具備しない半導体発光装置であっても好適に適用することができる。
【0073】
以上説明したように、第一実施形態及び変形例に係る発光モジュール30は、電力供給用導体層32が、上流側第1系統電力供給用導体層32A1、下流側第1系統電力供給用導体層32A2、上流側第2系統電力供給用導体層32B1、下流側第2系統電力供給用導体層32B2に分割され、上流側に接続される他の発光モジュール30若しくは電力供給源から供給される電力が、自身の近紫外半導体発光素子3に供給されると共に、電気的に接続される下流側の発光モジュール30の近紫外半導体発光素子3に対しても供給可能である。従って、第一実施形態に係る発光モジュール30によれば、半導体発光装置8同士を、直列接続だけでなく、並列接続とすることが可能である。すなわち、発光モジュール30同士の接続態様を自由に変更することができ、設計の自由度を従来よりも高めることができる。
【0074】
<第二実施形態>
次に第二実施形態について説明する。ここで、図16Aは、第二実施形態に係るコネクタ付き発光モジュールの構成を示す。図16Bは、第二実施形態に係るベース板を示す。図16Cは、第二実施形態に係るケーブルコネクタを示す。図16Dは、第二実施形態に係るレンズを示す。図16Eは、第二実施形態に係るコネクタ付き発光モジュールを示す。第二実施形態に係るコネクタ付き発光モジュール30aは、ベース板50a、ケーブルコネクタ53、レンズ51、コネクタ付き発光モジュール30aを有する。
【0075】
ベース板50aは、コネクタ付き発光モジュール30aを搭載する。第二実施形態に係るベース板50aは、分割自在とするため、境界に溝が形成されている。また、ベース板
50aには、コネクタ付き発光モジュール30aをねじなどの固定部材を用いて固定するための固定孔54が複数設けられている。ベース板50aの材質は、コネクタ付き発光モジュール30aからの熱を効果的に放熱するべく、熱伝導性に優れたものであることが好ましい。
【0076】
ケーブルコネクタ53は、コネクタ付き発光モジュール30aに設けられているコネクタ55と接続することで、コネクタ付き発光モジュール30a同士を電気的に接続する。ケーブルコネクタ53のケーブルの長さは、適宜設計すればよい。
【0077】
レンズ51の機能、仕様などは特に限定されるものではなく、例えば集光レンズ、拡散レンズ等を採用することができる。第二実施形態では、レンズ51が、近紫外半導体発光素子3を覆うよう円形に形成されている。
【0078】
コネクタ付き発光モジュール30の基本的な構成は、第一実施形態に係る発光モジュール30と同じである。第二実施形態に係るコネクタ付き発光モジュール30では、回路基板31の各接続端子にケーブルコネクタ53を接続自在なコネクタ55が8つ設けられている。これにより、コネクタ付き発光モジュール30a同士の接続をより容易に行うことが可能である。また、コネクタ付き発光モジュール30aの回路基板31には、切り欠き57が形成されている。切り欠き57は、ベース板50aとの固定に用いられる。切り欠き57と固定孔54の位置を合わせてねじなどの固定部材を用いて両者を固定することで、コネクタ付き発光モジュール30aをベース板50aに固定することができる。
【0079】
次に第二実施形態に係るコネクタ付き発光モジュール30aの接続態様について説明する。図17は、第二実施形態に係るコネクタ付き発光モジュール30aを直線状に並列接続した様子を示す。また、図18は、第二実施形態に係るコネクタ付き発光モジュールを面状に接続した様子を示す。
【0080】
図17に示す例では、3つのコネクタ付き発光モジュール30aが直線状に並列接続されている。コネクタ付き発光モジュール30a同士の接続は、各コネクタ55とケーブルコネクタ53によって実現されている。なお、図17では、ベース板50aを省略するが、切り欠き57とベース板50aの固定孔54の位置を合わせて固定部材によって固定することで、コネクタ付き発光モジュール30aを容易にベース板50aに固定することができる。
【0081】
図18に示す例では、6つのコネクタ付き発光モジュール30aが面状に設けられ、直列接続と並列接続が併用されている。すなわち、左右両側に位置する4つの各コネクタ付き発光モジュール30aは、並列接続され、中央に位置する2つのコネクタ付き発光モジュール30aは、直列接続されている。
【0082】
以上説明したように、第二実施形態に係るコネクタ付き発光モジュール30にaによっても、半導体発光装置8同士を、直列接続だけでなく、並列接続とすることが可能である。すなわち、発光モジュール30同士の接続態様を自由に変更することができ、設計の自由度を従来よりも高めることができる。また、発光モジュールにコネクタを形成しておくことで、発光モジュール同士の接続が更に容易となる。また、ベース板50aやレンズ51と共に用いることで設計の自由度及び利便性が更に向上する。
【0083】
以上述説明した実施形態は本発明を説明するための一例であって、本発明の本旨を逸脱しない範囲内において上記の実施形態には種々の変更を加え得る。また、本発明に係る半導体発光装置を搭載するための回路基板、発光モジュール、及び照明装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。
【符号の説明】
【0084】
1・・・・パッケージ
2・・・・ベース
3、3A、3B・・・・半導体発光素子
8・・・・半導体発光装置
10・・・・リフレクタ
11・・・・間仕切り
12、12A、12B・・・・分割領域部
13・・・・開口部
13A、13B・・・・分割開口部
20、20A、20B・・・・配線
20C、20D・・・・対配線
21A、21B・・・・電極
30・・・・発光モジュール
31・・・・回路基板
31a・・・コネクタ付き回路基板
32、32A、32B・・・・電力供給用導体層
32A1・・・上流側第1系統電力供給用導体層
32A2・・・下流側第1系統電力供給用導体層
32B1・・・上流側第2系統電力供給用導体層
32B2・・・下流側第2系統電力供給用導体層
33・・・・絶縁部材
33A・・・中央絶縁部材
33B・・・上流側絶縁部材
33C・・・下流側絶縁部材
36・・・・基材部
37・・・・電気絶縁保護塗膜層
50・・・フレーム
51・・・レンズ
52・・・電源・制御部
70・・・照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が半導体発光素子を含み、少なくとも2つのスペクトルの光を出力する複数の発光部であって、異なるスペクトルの光を出力する発光部が互いに独立して制御される複数の発光部を有する半導体発光装置を搭載する半導体発光装置搭載回路基板であって、
前記半導体発光装置を搭載する、熱伝導材料からなる板状の基材部と、
前記基材部上に形成され、前記複数の発光部のうち少なくとも一の発光部と、当該一の発光部から出力される光のスペクトルと異なる光のスペクトルを出力する他の発光部を別系統として前記半導体発光素子の各々に電力を供給し、かつ、電気的に接続される他の半導体発光装置に対して該半導体発光素子を介さずに電力を供給自在である電力供給部と、を備える半導体発光装置搭載回路基板。
【請求項2】
前記電力供給部は、前記基材部上に面状に形成される、請求項1に記載の半導体発光装置搭載回路基板。
【請求項3】
前記電力供給部は、
前記一の発光部の半導体発光素子に電力を供給すると共に電気的に接続される他の半導体発光装置の一の発光部の半導体発光素子に電力を供給自在な第一系統部と、
前記他の発光部の半導体発光素子に電力を供給すると共に電気的に接続される他の半導体発光装置の他の発光部の半導体発光素子に電力を供給自在な第二系統部と、を有し、
前記第一系統部は、前記一の発光部の半導体発光素子の上流側に位置する第一系統上流部であって、電気的に接続される他の半導体発光装置の第一系統上流部と接続自在な第一系統上流部と、前記一の発光部の半導体発光素子の下流側に位置する第一系統下流部であって、電気的に接続される他の半導体発光装置の第一系統下流部と接続自在な第一系統下流部とを含み、
前記第二系統部は、前記他の発光部の半導体発光素子の上流側に位置する第二系統上流部であって、電気的に接続される他の半導体発光装置の第二系統上流部と接続自在な第二系統上流部と、前記他の発光部の半導体発光素子の下流側に位置する第二系統下流部であって、電気的に接続される他の半導体発光装置の第二系統下流部と接続自在な第二系統下流部とを含み、
前記半導体発光装置搭載回路基板は、
前記第一系統上流部、前記第一系統下流部、前記第二系統上流部、及び前記第二系統下流部とを互いに絶縁して区画する絶縁部を更に備える請求項1又は2に記載の半導体発光装置搭載回路基板。
【請求項4】
各々が半導体発光素子を含み、少なくとも2つのスペクトルの光を出力する複数の発光部であって、異なるスペクトルの光を出力する発光部が互いに独立して制御される複数の発光部を有する半導体発光装置と、
前記半導体発光装置を搭載する半導体発光装置搭載回路基板と、を備え、
前記半導体発光装置搭載回路基板は、
前記半導体発光装置を搭載する、熱伝導材料からなる板状の基材部と、
前記基材部上に形成され、前記複数の発光部のうち少なくとも一の発光部と当該一の発光部から出力されるスペクトルと異なる発光スペクトルを出力する他の発光部を別系統として前記半導体発光素子の各々に電力を供給し、かつ、電気的に接続される他の半導体発光装置に対して該半導体発光素子を介さずに電力を供給自在である電力供給部と、
を備える発光モジュール。
【請求項5】
前記電力供給部は、前記基材部上に電力供給回路として面状に形成され、
前記半導体発光装置内の回路は、前記電力供給回路と異なる面に形成され、
前記電力供給回路の配線と、前記半導体装置内の回路の配線は、立体的に交差している
請求項4に記載の発光モジュール。
【請求項6】
前記発光部の各々が、半導体発光素子及び蛍光体を含む
請求項4又は5に記載の発光モジュール。
【請求項7】
前記一の発光部と前記他の発光部との色温度が、2000K以上異なり、前記発光モジュールから出力される混合白色光の色温度が可変である
請求項4〜6の何れか1項に記載の発光モジュール。
【請求項8】
前記半導体発光装置は、内部が2以上に分割された分割領域部を有するパッケージを備え、前記各発光部は、前記パッケージ内の各分割領域部に設けられている、請求項4〜7の何れか1項に記載の発光モジュール。
【請求項9】
請求項4〜8の何れか1項に記載の発光モジュールを1又は複数有する照明装置。
【請求項10】
請求項4から8の何れか1項に記載の複数の発光モジュールと、
前記複数の発光モジュールを、直列接続と、並列接続と、直列接続と並列接続とを併用した接続とのうち少なくとも何れか1つの接続態様で接続するケーブルと、
前記複数の発光モジュールを搭載するベース板と、
を備える照明装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−9533(P2012−9533A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142515(P2010−142515)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】