説明

半導体素子、半導体装置及び導電性粒子

【課題】導電性、放熱性に優れた導電性粒子およびその導電性粒子を端子の接続に用いた半導体素子、半導体装置を提供する。
【解決手段】樹脂からなる核部41と、核部の表面を覆う金属とからなり、核部は、表面に複数の凸起を有しており、核部の表面は、融点が500℃以上の高融点金属層42に覆われており、高融点金属層の表面は、融点が280℃以下の低融点金属層43に覆われており、低融点金属層の表面は球面である導電性粒子400とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子、半導体装置及び導電性粒子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子回路基板とIC、LSIチップを接続する場合に、ワイヤーボンディング工法により基板とチップをワイヤーにより接続をしていた。
【0003】
近年はアレイ状に並んだバンプと呼ばれる突起状の端子によって基板とIC、LSIを接続している。この接続工法をフリップチップ工法といって、従来のワイヤーボンディング工法と比較し実装面積を小さくすることができる。また,配線長が短いために電気的特性が優れているという特徴もある。小型、薄型に対する要求の強い携帯機器の回路や,電気的特性が重視される高周波回路などに向いている。また、チップの熱を基板に伝えやすいため,発熱が問題になる製品の実装にも使われている。入出力端子をチップ全面に持つために、チップ面積を小さくすることが可能となる。
【0004】
従来は一般的だったワイヤーボンディング工法の場合は入出力端子がチップ周辺部にあるために必要な入出力端子をそろえるためにチップ面積を大きくしなければならなかった。しかしフリップチップ工法では、ワイヤーによる配線スペースが不要になるので、パッケージ自体を小さくすることが可能となる。しかも、電源雑音や配線のインダクタンス、抵抗による損失も低減可能である。しかし、フリップチップ工法を実現した場合においても、さらに近年、高周波製品の性能向上による電気特性の向上を必要とし、LEDなどに見られる放熱特性の向上が課題とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−317270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記現状に鑑み、電気特性の向上、放熱性の向上をはかろうとするものである。
【0007】
従来はフリップチップ接続工法において、バンプの材料として、錫−鉛、錫−亜鉛、錫−銀の合金を主たる材料とした導電性粒子を用いてきた。しかし、近年、電気的特性向上、放熱性向上の要望のために導電性粒子の材料として銅を用いるようになってきている。銅は、前述した錫の合金(以下はんだ材料と記す)と比較し、導電性が数倍高く、また、放熱性にも優れているという物質的特性を持つ。反面、銅は酸化しやすいため、その特性が安定しない。また、銅は従来のはんだ材料と比較して、融点が高く、硬度も高く、接続がしにくいという側面も有する。よって実際には、酸化しやすい銅をはんだ材料で被覆することにより用いることが想定されている。これにより酸化の問題、接続性の問題を解決しようとするものである。
【0008】
よって現状は上記課題により、図1に示すように、はんだ材料部を外層部12、銅材料部を内層部11とした導電性粒子100とすることが考えられる。このような導電性粒子は、2つの金属の融点が異なることを利用して使用される。図2(c)に示すように、250℃前後の熱をかけた場合、外層部12のはんだ材料部のみが溶融し、内層部11の銅材料部は溶融せずに接続端子部として接続する。
【0009】
この時、導電性粒子内の内層にある銅部分の接続状態が安定しないという課題が発生する。理想的には、端子接続時に基板端子接続部の接続面が2点ともにバンプ内層部にある銅部分で接続されることが望ましい。しかし、実際には、図2(a)に示すように、2点とも最外層部にあるはんだ部で接続される場合、または図2(b)に示すように、片側ははんだ部、片側は銅部で接続される場合等がある。これらの状況で接続された場合、性能が安定しない。また、基板接続端子、チップ接続端子が銅材料で構成されていることが多く、性能向上のために基板接続端子、チップ接続端子の銅部分と導電性粒子の内層にあたる銅部分で、接続点が2点ともに銅材料同士の接続がされることにより導電性、放熱性における性能が高まるため、接続面2点ともに銅材料同士が接触し接続されることが望ましいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、導電性粒子の内部構造に突起または高融点金属の微粒子構造を持たせることにより、半導体基板との間に接続端子を形成するものである。以下に本発明を詳述する。
【0011】
上記目的を達成するために本願の第1の半導体素子は、樹脂からなる核部及び該核部の表面を覆う金属からなる導電性粒子と、該導電性粒子を電極部分に電気的に接続させて固定した半導体チップとを備え、前記核部は、表面に複数の凸起を有しており、前記核部の表面は、融点が500℃以上の高融点金属層に覆われており、前記高融点金属層の表面は、融点が280℃以下の低融点金属層に覆われており、前記低融点金属層の表面は球面である構成を備えている。
【0012】
本願の第1の半導体装置は、上記半導体素子と、該半導体素子を搭載する基板とを備え、基板の端子と、前記半導体チップの電極部分とは、前記導電性粒子によって電気的に接続されており、前記基板の端子と前記高融点金属層とが接触しており、前記半導体チップの電極部分と前記高融点金属層とが接触している構成を備えている。
【0013】
本願の第2の半導体素子は、樹脂からなる核部及び該核部の表面を覆う金属とからなる導電性粒子と、該導電性粒子を電極部分に電気的に接続させて固定した半導体チップとを備え、前記核部は球形であり、前記核部の表面は、融点が500℃以上の高融点金属層に覆われており、前記高融点金属層の表面は、融点が280℃以下の低融点金属層に覆われており、前記低融点金属層には、融点が500℃以上の高融点金属小片が埋設されており、前記低融点金属層の表面は球面である構成を備えている。
【0014】
本願の第2の半導体装置は、上記第2の半導体素子と、該半導体素子を搭載する基板とを備え、前記基板の端子と、前記半導体チップの電極部分とは、前記導電性粒子によって電気的に接続されており、前記基板の端子と、前記高融点金属層又は前記高融点金属小片とが接触しており、前記半導体チップの電極部分と前記高融点金属層又は前記高融点金属小片とが接触している構成を有している。
【0015】
本願の第3の半導体素子は、核部及び該核部の表面を覆う金属からなる導電性粒子と、該導電性粒子を電極部分に電気的に接続させて固定した半導体チップとを備え、前記核部は球形であり、融点が500℃以上の高融点金属からなっており、前記核部の表面は、融点が280℃以下の低融点金属層に覆われており、前記低融点金属層には、融点が500℃以上の高融点金属小片が埋設されており、前記低融点金属層の表面は球面である構成を備えている。
【0016】
本願の第3の半導体装置は、上記第3の半導体素子と、該半導体素子を搭載する基板とを備え、前記基板の端子と、前記半導体チップの電極部分とは、前記導電性粒子によって電気的に接続されており、前記基板の端子と、前記核部又は前記高融点金属小片とが接触しており、前記半導体チップの電極部分と前記核部又は前記高融点金属小片とが接触している構成を備えている。
【0017】
本願の第1の導電性粒子は、樹脂からなる核部と、該核部の表面を覆う金属とからなり、前記核部は、表面に複数の凸起を有しており、前記核部の表面は、融点が500℃以上の高融点金属層に覆われており、前記高融点金属層の表面は、融点が280℃以下の低融点金属層に覆われており、前記低融点金属層の表面は球面である構成を備えている。
【0018】
本願の第2の導電性粒子は、樹脂からなる核部と、該核部の表面を覆う金属とからなり、前記核部は球形であり、前記核部の表面は、融点が500℃以上の高融点金属層に覆われており、前記高融点金属層の表面は、融点が280℃以下の低融点金属層に覆われており、前記低融点金属層には、融点が500℃以上の高融点金属小片が埋設されており、前記低融点金属層の表面は球面である構成を備えている。
【0019】
本願の第3の導電性粒子は、核部と、該核部の表面を覆う金属とからなり、前記核部は球形であり、融点が500℃以上の高融点金属からなっており、前記核部の表面は、融点が280℃以下の低融点金属層に覆われており、前記低融点金属層には、融点が500℃以上の高融点金属小片が埋設されており、前記低融点金属層の表面は球面である構成を備えている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば簡単な製造方法により導電性粒子を作成することができ、常時、導電性粒子内層部にある導電性、放熱性に優れた高融点金属部を基板端子部、チップ端子部に確実に接続することができる。よって半導体製品全体の性能の向上、性能安定化をはかることが可能となる。また、従来の生産設備の変更を行うことなく、本発明による導電性粒子を使用した基板端子間、チップ端子間の接続することが可能であり、半導体生産効率の面から見ても本発明による導電性粒子は有効である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】は従来の導電性粒子断面図である。
【図2】(a)から(c)は図1(a)に示す従来の導電性粒子による基板接続の断面図である。
【図3】(a)は第1の実施形態に係る導電性粒子断面図、(b)は変形例に係る導電性粒子断面図である。
【図4】(a)は第2の実施形態に係る導電性粒子断面図、(b)は変形例に係る導電性粒子断面図である。
【図5】(a)は第1の実施形態に係る半導体チップの基板接続時の断面図、(b)は変形例に係る半導体チップの基板接続時の断面図である。
【図6】(a)は第2の実施形態に係る半導体チップの基板接続時の断面図、(b)は変形例に係る半導体チップの基板接続時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願発明において、球形の核部、あるいは低融点金属層の表面は球面、というように「球」という言葉が用いられるときは、数学的に厳密な意味での球を意味するのではなく、工業的に球を目指して生産する際に形状や大きさのばらつきを含めて実際に生産できて、半導体装置に問題なく使用できるレベルの形状のものを意味する。
【0023】
ある実施形態において、導電性粒子の核とする球体形の樹脂部に対し凹凸をつける。その外層に無電解メッキまたは電解メッキで高融点金属(主に銅が望ましい)をコーティングする。導電性粒子として使用することを想定し、導電性粒子としての直径を100とした場合、核となる樹脂については直径をその約半分とし、さらに核となる樹脂の直径に対し約25%前後の凹凸をつける。凹凸のつけ方については樹脂に高温によるプレス成型をし凹凸をつける。または球体状の樹脂表面に傷をつけることにより凹凸をつける。または、樹脂表面上に樹脂の小片を溶着するという実施方法でもかまわない。凹凸がついた核となる樹脂外層に高融点金属をコーティングまたはめっきをする。コーティングする厚みに関しては、5μm〜20μmで良い。さらにこの最外層に低融点金属(錫−鉛系合金、錫−銀系合金、錫−亜鉛系合金)をコーティングする。コーティング後、前述合金の持つ表面張力を利用し球形に成型する。外観、使用方法は従来から使用されてきた低融点金属のみの導電性粒子と同一である。この発明による導電性粒子を用いた場合、低融点金属部が先に溶融し内部にある高融点金属部の凹凸部が基板端子部またはチップ端子部と接触し接続され、電流が導通されることにより、導電性、放熱性の安定的な確保が可能となる。
【0024】
またある実施形態において、上記の導電性粒子に対し、内層部を高融点金属でコーティング処理後、その外層に高融点金属の小片を溶着させる。さらにこの外層に低融点金属(錫−鉛系合金、錫−銀系合金、錫−亜鉛系合金が望ましい)をコーティングする。コーティング後、表面張力を利用し球形に成型する。外観、使用方法は従来から使用されてきた低融点金属のみで構成された導電性粒子と同一である。この導電性粒子を用いた場合、低融点金属部が先に溶融し内部にある高融点金属部の凹凸部と高融点金属小片部が基板端子部またはチップ端子部と接触し接続され、電流が導通されることにより、導電性、放熱性の安定的な確保が可能となる。
【0025】
別の実施形態において、導電性粒子の核とする球体形の樹脂の外層に無電解メッキまたは電解メッキで高融点金属(主に銅が望ましい)をコーティングする。導電性粒子として使用することを想定し、導電性粒子の直径を100とした場合、核となる樹脂部については直径をその約半分とし、その高融点金属をコーティングした核部周辺に高融点金属小片を溶着させる。さらにこの外層に低融点金属(錫−鉛系合金、錫−銀系合金、錫−亜鉛系合金が望ましい)をコーティングする。コーティング後、表面張力を利用し球形に成型する。外観、使用方法は従来から使用されてきた低融点金属のみで構成された導電性粒子と同一である。この導電性粒子を用いた場合、低融点金属部が先に溶融し内部にある高融点金属部の凹凸部と高融点金属小片部が基板端子部またはチップ端子部と接触し接続され、電流が導通されることにより、導電性、放熱性の安定的な確保が可能となる。
【0026】
他の実施形態において、導電性粒子の核とする球体形を高融点金属で構成する。高融点金属で構成された核部周辺に高融点金属小片を溶着させる。さらにこの外層に低融点金属(錫−鉛系合金、錫−銀系合金、錫−亜鉛系合金が望ましい)をコーティングする。コーティング後、低融点金属の持つ表面張力により球形に成型する。本発明より外観、使用方法は従来の導電性粒子と同じである。本発明によるこの導電性粒子を用いた場合、低融点金属部が溶融し内部の高融点金属部小片が基板端子部またはチップ端子部に接触し接続され、電流が導通されることにより、導電性、放熱性の安定的な確保が可能となる。
【0027】
以下、発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0028】
(第1の実施形態)
図3(a)は、第1の実施形態による導電性粒子400の断面構造を模式的に示したものである。図3(a)に示した導電性粒子400は、表面を凹凸にした樹脂製核部41を持つ。即ち、表面に複数の(多数の)凸起を設けることにより樹脂製核部41は表面を凹凸にしている。さらに、樹脂製核部外層部には高融点金属42が被覆されている。導電性粒子の樹脂製核部41は導電性粒子の直径の約半分の直径とすることが好ましい。樹脂製核部の凹凸の高さは、樹脂製核部41の直径の10〜50%の高さとすることが好ましい。凹凸のつけ方として、樹脂製球体表面に傷をつけることにより凹凸をつける。または核部が樹脂のため、高圧プレスによる成型により凹凸をつけることも可能である。または樹脂球体表面に微細な突起を接着または溶着する方法でもよい。凹凸をつける手段は、上記に限定されるものではない。
【0029】
凹凸をつけた樹脂製核部41外層に対し、高融点金属層42(銅が望ましい)をコーティングまたはめっきにより形成する。ここで、高融点の金属は、融点が500℃以上の金属を意味し、基板接続端子またはチップ接続端子においても、樹脂製核部41外層のコーティングまたはめっきに使用する高融点金属層42と同一の材料で構成することが好ましい。通常は無電解めっきまたは化学めっきを用いて高融点金属層42をコーティングまたはめっきをするがその手段を問わない。また、コーティング、めっき手段に本発明は限定されない。このめっき厚については凹凸の高さを超えない厚みとし、高融点金属層42のコーティングまたはめっき後の形態においても凹凸の形態を保つものとする。
【0030】
その後、さらに高融点金属層42の表面に低融点金属層43(錫−鉛、錫−銀、錫−亜鉛の合金が望ましい)をコーティングをし、球体に成型する。ここで低融点金属とは、融点が280℃以下の金属のことである。低融点金属の表面張力を利用し球体に成形する。または金型に高融点金属でコーティングまたはめっき後のものを入れ、低融点金属を流し込み球体に成形する。低融点金属層43の外形を球形にする方法、手段において本発明は限定されない。
【0031】
通常、導電性粒子400の径は10μm〜200μmが想定されるが、上限は特には定められない。この径は、50μm〜150μmであることが好ましく、70μm〜100μmがより好ましい。
【0032】
本実施形態に係る導電性粒子400を半導体チップの半導体基板端子部(半導体チップの電極部分)に熱溶着させて固定し、半導体チップの接続端子とする。さらに図5(a)に示される基板端子(基板の電極端子)25と半導体基板端子部21との間に導電性粒子400が位置するようにする。図5(a)では基板端子25と半導体基板端子部21との間となっているが基板端子間またはチップ端子間の場合も含む。また、基板端子25の端子部材料は導電性粒子で使用した高融点金属(銅が望ましい)と同一の材料で構成される。なお、2は半導体チップの一部であり20は半導体基板である。4は半導体装置の一部であり、22は回路基板である。
【0033】
基板端子25及び半導体基板端子部21間に導電性粒子を挟み、接続をし、この状態で、溶着または圧着をする。その状態において熱(例えば250℃前後)を加える。または必要に応じて超音波をかける。その場合に導電性粒子400最外層にある低融点金属層43が溶融し、基板端子25及び半導体基板端子部21上に溶着する。この時、内層にある高融点金属層42は溶融せず、低融点金属層43が溶融したことにより高融点金属層42が基板端子25及び半導体基板端子部21に接触する。このことにより、導電性粒子400を通じて電流の導通が行われる。
【0034】
この時、高融点金属層42は溶融しないため、高融点金属層42の凸起が基板端子25及び半導体基板端子部21に接触し導通される。高融点金属層42は低融点金属層43より電気導電性、放熱性が高いためその材料特性の性能が確保される。加えて、高融点金属層42が基板端子25及び半導体基板端子部21と常時接触することが可能となるため性能が常に安定し、一定化した基板端子とチップ端子との間、基板接続端子間またはチップ接続端子間の接続を可能とする。
【0035】
図3(b)は第1の実施形態の変形例による導電性粒子410の断面構造を模式的に示したものである。図3(b)に示した導電性粒子410は、表面を凹凸にした樹脂製核部41を持ち、樹脂製核部41の外層に高融点金属層42を被覆する。導電性粒子の樹脂製核部41は導電性粒子直径の約半分の直径とする。樹脂製核部41に対し、凹凸の高さを樹脂製核部41の直径の10〜50%とすることが好ましい。凹凸のつけ方として、樹脂製球体表面に傷をつける方法がある。または核部が樹脂のため、プレスによる成型により凹凸をつけてもよい。または樹脂球体表面に微細な突起を接着または溶着する方法でもよい。凹凸をつける手段は、上記に限定されるものではない。
【0036】
凹凸をつけた樹脂製核部41の表面に対し、高融点金属層42(銅が望ましい)をコーティングまたはめっきをする。ここで、基板端子25または半導体基板端子部(チップ接続端子)21においても、樹脂製核部41外層のコーティングまたはめっきに使用する高融点金属と同一の材料で構成することが好ましい。通常は無電解めっきまたは化学めっきを用いて高融点金属層42をコーティングまたはめっきをするがその手段を問わない。また、コーティング、めっき手段に本発明は限定されない。このめっき厚については凹凸の高さを超えない厚みとし、高融点金属コーティングまたはめっき後の形態においても凹凸の形態を保つものとする。
【0037】
さらに高融点金属層42に対し、高融点金属小片44を溶着または付着させる。高融点金属小片44の大きさは、高融点金属層42に高融点金属小片44を付着させたときに、導電性粒子410と高融点金属層42の凹凸面外層部の間に収まれば問題ない。即ち高融点金属小片54は低融点金属層53の中に埋設されていればよい。また、高融点金属小片44が導電性粒子410の直径の大きさを超えないものであれば大きさは問わない。なお、図面では球形の高融点金属小片44を図示しているが必要に応じてその形状を問わない。また、その形状において本発明を限定しない。
【0038】
その後、さらにその外層に低融点金属層43(錫−鉛、錫−銀、錫−亜鉛系の合金が望ましい)を最外層にコーティングをし、球形に成型する。低融点金属の表面張力を利用し球体に成形する。または、高融点金属でコーティングまたはめっき後のものを金型に入れ、低融点金属を流し込み球体に成形する。低融点金属を球形にする方法、手段において本発明は限定されない。
【0039】
通常、導電性粒子410の径は10μm〜200μmが想定されるが、上限は特には定められない。この径は、50μm〜150μmであることが好ましく、70μm〜100μmがより好ましい。
【0040】
上記導電性粒子410を半導体チップの半導体基板端子部(半導体チップの電極部分)に熱溶着させて固定し、半導体チップの接続端子とする。さらに図5(b)に示される基板端子(基板の電極端子)25と半導体基板端子部21との間に導電性粒子410が位置するようにする。図5(b)では基板端子25と半導体基板端子部21との間となっているが基板端子間またはチップ端子間の場合も含む。また、基板端子25の材料は高融点金属(銅が望ましい)で構成される。
【0041】
この状態で、熱(例えば250℃前後)、また必要に応じて超音波をかけた場合に導電性粒子410最外層の低融点金属層43が溶融し、基板端子25及び半導体基板端子部21上に溶着する。この時、内層にある高融点金属層42は溶融せず、低融点金属層43が溶融したことにより高融点金属層42または高融点金属層42に付着した高融点金属小片43が基板端子25及び半導体基板端子部21に接触する。このことにより、導電性粒子410を通じて基板端子25及び半導体基板端子部21間、チップ入出力端子間、基板端子25間で電流の導通が行われる。
【0042】
この時、高融点金属層42は溶融しないため高融点金属層42の表面の凹凸部が基板端子21、またはチップ端子部に接触し導通される。高融点金属層42、高融点金属小片44は低融点金属層43より電気導電性、放熱性が高いためその材料特性の性能が確保されかつ高融点金属層42、高融点金属小片44が基板端子25及び半導体基板端子部21と常時接触することが可能となるため性能が常に安定し一定化した基板接続端子間またはチップ接続端子間の接続を可能とする。
【0043】
(第2の実施形態)
図4(a)は第2の実施形態による導電性粒子500の断面構造を模式的に示したものである。図4(a)に示した導電性粒子500は、高融点金属が導電性粒子500の核50となっている。その表面に高融点金属小片54を溶着または接着させる。さらに低融点金属層53で高融点金属層52の外側に付着した高融点金属小片54を含めてコーティングをし、球形に成形する。
【0044】
高融点金属小片54の大きさは、付着させたときに、導電性粒子500の最外層と核50の表面との間に収まるものであれば良い。即ち高融点金属小片54は低融点金属層53の中に埋設されていればよい。また、高融点金属小片54を付着させたときに導電性粒子500の直径より小さくなるものであれば構わない。また、小片の個数についても問わない。また、図面では球体形である高融点金属小片54を図示しているが必要に応じてその形状を変更しても良い。また、その形状において本発明を限定するものではない。結果、低融点金属層53を最外層にコーティングし、球体に成形する。低融点金属層53の表面を球形にする方法として材料の持つ表面張力を利用し球体に成形する。または高融点金属小片54が付着した状態で金型に入れ低融点金属を入れ球体に成形する方法がある。導電性粒子として球体に成形する手段において、本発明は限定されない。
【0045】
通常、導電性粒子500の径は10μm〜200μmが想定されるが、上限は特には定められない。この径は、50μm〜150μmであることが好ましく、70μm〜100μmがより好ましい。
【0046】
実際の接続時において、本実施形態に係る導電性粒子500を半導体チップの半導体基板端子部(半導体チップの電極部分)に熱溶着させて固定し、半導体チップの接続端子とする。さらに図6(a)に示される基板端子(基板の電極端子)25と半導体基板端子部21との間に導電性粒子500が位置するようにする。図6(a)では導電性粒子500の位置は基板端子25と半導体基板端子部21との間となっているが、基板端子間またはチップ端子間の場合も含む。また、基板接続端子25の材料は高融点金属(銅が望ましい)で構成される。
【0047】
この状態で、熱(例えば250℃前後)をかける。また必要に応じて超音波をかける。この場合に導電性粒子500の最外層である低融点金属層53が溶融し、基板端子25及び半導体基板端子部21上に溶着する。この時、内層にある核50は溶融せず、低融点金属層53が溶融する。結果として、核50または核50の外面に付着した高融点金属小片54が基板端子25及び半導体基板端子部21に接触し接続をする。このことにより、導電性粒子500を通じて基板端子25及び半導体基板端子部21で電流の導通が行われる。
【0048】
この時、核50は溶融しないため核50または高融点金属小片54が基板端子25及び半導体基板端子部21に接触し導通される。核50または高融点金属小片54は低融点金属層53より電気導電性、放熱性が高いためその電気特性の性能が確保される。また、核50または高融点金属小片54が基板端子25及び半導体基板端子部21と常時接触することが可能となるため、高融点金属同士の接続となり性能が引き出される。また常に高融点金属同士で接触をするため性能が安定化し一定化する。
【0049】
図4(b)は第2の実施形態の変形例による導電性粒子510の断面構造を模式的に示したものである。図4(b)に示した導電性粒子510は球体である樹脂製核部51を持ち、樹脂製核部51を導電性粒子510の核部とする。その外層部に高融点金属層52をコーティングまたはめっきにより形成する。さらにその外層部に高融点金属小片54を溶着または付着させる。さらに低融点金属層53で高融点金属層52の外面に付着した高融点金属小片54を含めてコーティングをし、球形に成形する。高融点金属小片54の大きさは高融点金属層52の外面に付着させたときに、導電性粒子510の最外層と高融点金属52外面の間に収まるものであることが好ましい。また、高融点金属小片54を付着させたときに導電性粒子510の直径の大きさから低融点金属の厚みを引いたものを超えないものであれば大きさは問わない。また、小片の個数についても本発明では限定しない。また、図面では球形である高融点金属小片54を図示しているが必要に応じてその形状を変更しても良い。また、その高融点金属小片54形状において本発明を限定しない。
【0050】
最後に、低融点金属層53を最外層にコーティングし球体に成形する。低融点金属層53の表面を球形にする方法については材料の特性である表面張力を利用して球形に成形する。または、高融点金属小片54を付着させた状態において、金型に入れ低融点金属を入れ成形する。導電性粒子として球体に成形する手段において本発明は限定されない。
【0051】
通常、導電性粒子510の径は10μm〜200μmが想定されるが、上限は特には定められない。この径は、50μm〜150μmであることが好ましく、70μm〜100μmがより好ましい。
【0052】
以下に本変形例に係る導電性粒子510を使用した実施例を記す。本変形例に係る導電性粒子510を半導体チップの半導体基板端子部(半導体チップの電極部分)に熱溶着させて固定し、半導体チップの接続端子とする。さらに図6(b)に示される基板端子(基板の電極端子)25と半導体基板端子部21との間に導電性粒子510が位置するようにする。図6(b)では導電性粒子510の位置は基板端子25と半導体基板端子部21との間となっているが、基板端子間またはチップ端子間の場合も含む。また、基板端子21の材料は高融点金属(銅が望ましい)で構成される。
【0053】
この状態で、熱(例えば250℃前後)、また必要に応じて超音波をかける。この場合に導電性粒子510最外層の低融点金属層53が溶融し、基板端子25及び半導体基板端子部21上に溶着する。この時、内層にある高融点金属層52は溶融せず、低融点金属層53が溶融する。結果として、高融点金属層52の外面または高融点金属52の外面に付着した高融点金属小片54が基板端子25及び半導体基板端子部21に接触する。このことにより、導電性粒子510を通じて基板端子25及び半導体基板端子部21で電流の導通が行われる。
【0054】
この時、高融点金属層52は溶融しないため高融点金属層52の外面または高融点金属小片54が基板端子25及び半導体基板端子部21に接触し導通される。高融点金属層52または高融点金属小片54は低融点金属53より電気導電性、放熱性が高いためその電気特性の性能が確保される。また、高融点金属層52または高融点金属小片54が基板接続端子25及び半導体基板端子部21と常時接触することが可能となるため、高融点金属同士の接続となり性能が引き出されまた常に同一の金属で接触するため性能が安定化し一定化する。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、フリップチップなどに使用される基板端子間、チップ端子間の接続端子などとして利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
2 半導体チップの一部
4 半導体装置の一部
10 樹脂材料で構成される核
11 高融点金属
12 低融点金属
20 基板
21 半導体基板端子部(半導体チップ端子部)
22 回路基板
25 基板端子
41 凹凸に整形された樹脂材料で構成される核(核部)
42 高融点金属層
43 低融点金属層
44 高融点金属小片
50 核
51 樹脂材料で構成される核
52 高融点金属層
53 低融点金属層
54 高融点金属小片
400 導電性粒子
410 導電性粒子
500 導電性粒子
510 導電性粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂からなる核部及び該核部の表面を覆う金属からなる導電性粒子と、該導電性粒子を電極部分に電気的に接続させて固定した半導体チップと を備えた半導体素子であって、
前記核部は、表面に複数の凸起を有しており、
前記核部の表面は、融点が500℃以上の高融点金属層に覆われており、
前記高融点金属層の表面は、融点が280℃以下の低融点金属層に覆われており、
前記低融点金属層の表面は球面である、半導体素子。
【請求項2】
前記高融点金属層は銅からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項3】
前記低融点金属層は、錫と鉛との合金、錫と銀との合金及び錫と亜鉛との合金の中から選ばれた1種からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体素子。
【請求項4】
前記低融点金属層は融点が250℃以下である金属からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の半導体素子。
【請求項5】
前記低融点金属層には、融点が500℃以上の高融点金属小片が埋設されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の半導体素子。
【請求項6】
前記高融点金属小片は銅からなることを特徴とする請求項5に記載の半導体素子。
【請求項7】
樹脂からなる核部及び該核部の表面を覆う金属とからなる導電性粒子と、該導電性粒子を電極部分に電気的に接続させて固定した半導体チップと を備えた半導体素子であって、
前記核部は球形であり、
前記核部の表面は、融点が500℃以上の高融点金属層に覆われており、
前記高融点金属層の表面は、融点が280℃以下の低融点金属層に覆われており、
前記低融点金属層には、融点が500℃以上の高融点金属小片が埋設されており、
前記低融点金属層の表面は球面である、半導体素子。
【請求項8】
前記高融点金属層は銅からなることを特徴とする請求項7に記載の半導体素子。
【請求項9】
前記高融点金属小片は銅からなることを特徴とする請求項7又は8に記載の半導体素子。
【請求項10】
前記低融点金属層は、錫と鉛との合金、錫と銀との合金及び錫と亜鉛との合金の中から選ばれた1種からなることを特徴とする請求項7から9のいずれか一つに記載の半導体素子。
【請求項11】
前記低融点金属層は融点が250℃以下である金属からなることを特徴とする請求項7から10のいずれか一つに記載の半導体素子。
【請求項12】
核部及び該核部の表面を覆う金属からなる導電性粒子と、該導電性粒子を電極部分に電気的に接続させて固定した半導体チップと を備えた半導体素子であって、
前記核部は球形であり、融点が500℃以上の高融点金属からなっており、
前記核部の表面は、融点が280℃以下の低融点金属層に覆われており、
前記低融点金属層には、融点が500℃以上の高融点金属小片が埋設されており、
前記低融点金属層の表面は球面である、半導体素子。
【請求項13】
前記核部は銅からなることを特徴とする請求項12に記載の半導体素子。
【請求項14】
前記低融点金属層は、錫と鉛との合金、錫と銀との合金及び錫と亜鉛との合金の中から選ばれた1種からなることを特徴とする請求項12又は13に記載の半導体素子。
【請求項15】
前記低融点金属層は融点が250℃以下である金属からなることを特徴とする請求項12から14のいずれか一つに記載の半導体素子。
【請求項16】
請求項1から4のいずれか一つに記載の半導体素子と、該半導体素子を搭載する基板と を備えた半導体装置であって、
前記基板の端子と、前記半導体チップの電極部分とは、前記導電性粒子によって電気的に接続されており、
前記基板の端子と前記高融点金属層とが接触しており、
前記半導体チップの電極部分と前記高融点金属層とが接触している、半導体装置。
【請求項17】
請求項5から11のいずれか一つに記載の半導体素子と、該半導体素子を搭載する基板と を備えた半導体装置であって、
前記基板の端子と、前記半導体チップの電極部分とは、前記導電性粒子によって電気的に接続されており、
前記基板の端子と、前記高融点金属層又は前記高融点金属小片とが接触しており、
前記半導体チップの電極部分と前記高融点金属層又は前記高融点金属小片とが接触している、半導体装置。
【請求項18】
請求項12から15のいずれか一つに記載の半導体素子と、該半導体素子を搭載する基板と を備えた半導体装置であって、
前記基板の端子と、前記半導体チップの電極部分とは、前記導電性粒子によって電気的に接続されており、
前記基板の端子と、前記核部又は前記高融点金属小片とが接触しており、
前記半導体チップの電極部分と前記核部又は前記高融点金属小片とが接触している、半導体装置。
【請求項19】
樹脂からなる核部と、該核部の表面を覆う金属とからなる導電性粒子であって、
前記核部は、表面に複数の凸起を有しており、
前記核部の表面は、融点が500℃以上の高融点金属層に覆われており、
前記高融点金属層の表面は、融点が280℃以下の低融点金属層に覆われており、
前記低融点金属層の表面は球面である、導電性粒子。
【請求項20】
前記高融点金属層は銅からなることを特徴とする請求項19に記載の導電性粒子。
【請求項21】
前記低融点金属層は、錫と鉛との合金、錫と銀との合金及び錫と亜鉛との合金の中から選ばれた1種からなることを特徴とする請求項19又は20に記載の導電性粒子。
【請求項22】
前記低融点金属層は融点が250℃以下である金属からなることを特徴とする請求項19から21のいずれか一つに記載の導電性粒子。
【請求項23】
前記低融点金属層には、融点が500℃以上の高融点金属小片が埋設されていることを特徴とする請求項19から22のいずれか一つに記載の導電性粒子。
【請求項24】
前記高融点金属小片は銅からなることを特徴とする請求項23に記載の導電性粒子。
【請求項25】
樹脂からなる核部と、該核部の表面を覆う金属とからなる導電性粒子であって、
前記核部は球形であり、
前記核部の表面は、融点が500℃以上の高融点金属層に覆われており、
前記高融点金属層の表面は、融点が280℃以下の低融点金属層に覆われており、
前記低融点金属層には、融点が500℃以上の高融点金属小片が埋設されており、
前記低融点金属層の表面は球面である、導電性粒子。
【請求項26】
前記高融点金属層は銅からなることを特徴とする請求項25に記載の導電性粒子。
【請求項27】
前記高融点金属小片は銅からなることを特徴とする請求項25又は26に記載の導電性粒子。
【請求項28】
前記低融点金属層は、錫と鉛との合金、錫と銀との合金及び錫と亜鉛との合金の中から選ばれた1種からなることを特徴とする請求項25から27のいずれか一つに記載の導電性粒子。
【請求項29】
前記低融点金属層は融点が250℃以下である金属からなることを特徴とする請求項25から28のいずれか一つに記載の導電性粒子。
【請求項30】
核部と、該核部の表面を覆う金属とからなる導電性粒子であって、
前記核部は球形であり、融点が500℃以上の高融点金属からなっており、
前記核部の表面は、融点が280℃以下の低融点金属層に覆われており、
前記低融点金属層には、融点が500℃以上の高融点金属小片が埋設されており、
前記低融点金属層の表面は球面である、導電性粒子。
【請求項31】
前記核部は銅からなることを特徴とする請求項30に記載の導電性粒子。
【請求項32】
前記低融点金属層は、錫と鉛との合金、錫と銀との合金及び錫と亜鉛との合金の中から選ばれた1種からなることを特徴とする請求項30又は31に記載の導電性粒子。
【請求項33】
前記低融点金属層は融点が250℃以下である金属からなることを特徴とする請求項30から32のいずれか一つに記載の導電性粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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