半導体装置の製造方法及び半導体製造装置
【課題】より少ない作業工数でウエハ面内の半導体装置の特性のばらつきを抑制できる半導体装置の製造方法及び半導体製造装置を提供する。
【解決手段】電子ビームを照射してパターンの露光を行う電子ビーム露光装置を用いた半導体装置の製造方法であって、ウエハ上に前記電子ビーム露光装置によるパターン形成を含む加工を行い(ステップS11〜S13)、それによって製造された半導体装置の電気特性を半導体試験装置で測定する(ステップS14)。そして、電気特性の測定結果に基づいて、ウエハ面内での半導体装置の特性のばらつきが減少するように、電子ビーム露光装置に用いる電子ビーム露光データを修正する(ステップS15)。
【解決手段】電子ビームを照射してパターンの露光を行う電子ビーム露光装置を用いた半導体装置の製造方法であって、ウエハ上に前記電子ビーム露光装置によるパターン形成を含む加工を行い(ステップS11〜S13)、それによって製造された半導体装置の電気特性を半導体試験装置で測定する(ステップS14)。そして、電気特性の測定結果に基づいて、ウエハ面内での半導体装置の特性のばらつきが減少するように、電子ビーム露光装置に用いる電子ビーム露光データを修正する(ステップS15)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び半導体製造装置に関し、特に電子ビームを用いた露光工程を含む半導体装置の製造方法及び半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、イオン注入、露光、アニール、成膜、研磨及びダイシング等のそれぞれの製造条件のばらつきが生じるため、製造された半導体装置の電気特性がウエハ面内でばらつく。
【0003】
そこで、半導体装置の製造ラインの立ち上げ時やメンテナンス後には、半導体装置の製造歩留まりを向上させるべく、イオン注入、露光、アニール、成膜、研磨及びダイシング等の各工程について製造条件の最適化が行われている。
【0004】
しかし、上記の各工程毎に製造条件の最適化を行うと多大な作業工数が必要となり、半導体装置の製造コストが増大するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−277540号公報
【特許文献2】特開2006−39227号公報
【特許文献3】特開2004−158820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、より少ない作業工数でウエハ面内の半導体装置の特性のばらつきを抑制できる半導体装置の製造方法及び半導体製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一観点によれば、電子ビームを照射してパターンの露光を行う電子ビーム露光装置を用いた半導体装置の製造方法であって、ウエハ上に前記電子ビーム露光装置によるパターン形成を含む加工を行なって半導体装置を形成するウエハ加工工程と、前記半導体装置の電気特性を測定する半導体試験工程と、前記半導体装置の電気特性の前記ウエハ面内のばらつきに基づいて前記電子ビーム露光装置に用いる電子ビーム露光データの修正を行う露光データ修正工程と、を有し、前記ウエハ加工工程と、前記半導体試験工程と、前記露光データ修正工程とを繰り返し行う半導体装置の製造方法が提供される。
【0008】
また、別の一観点によれば、ウエハに電子ビームを照射してパターンを露光する電子ビーム露光装置を含み、前記ウエハに加工を行なって半導体装置を形成するウエハ加工部と、前記半導体装置の電気特性を測定する半導体試験装置と、前記半導体装置の電気特性の前記ウエハ面内のばらつきに基づいて前記電子ビーム露光装置に用いる電子ビーム露光データの修正を行う制御部と、を有する半導体製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
上記観点によれば、半導体装置の特性の変化を検出し、その特性の変化に応じて電子ビーム露光データを修正することで、半導体装置の特性のばらつきを抑制する。
【0010】
そのため、半導体製造の各工程で個別に製造条件の修正を行わなくてもウエハ面内での半導体装置の特性のばらつきを抑制でき、より少ない作業工数で半導体装置の特性のばらつきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、第1実施形態に係る半導体製造装置のブロック図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法のフローチャートである。
【図3】図3は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法における電子ビーム露光を用いたトランジスタのゲート電極の形成方法を示す図である。
【図4】図4は、図2の電子ビーム露光データの修正方法を示すフローチャートである。
【図5】図5(a)、(b)は最小二乗法を利用した大域ばらつきの検出方法を示す図である。
【図6】図6(a)〜(d)は、逆フーリエ変換によるローパスフィルタを利用した大域ばらつきの抽出方法を示す図である。
【図7】図7(a)〜(c)は、複数のウエハのばらつきに基づいた大域ばらつきの抽出方法を示す図である。
【図8】図8(a)は、トランジスタのドレイン電流特性が目標特性よりも高い部分での電子ビーム露光データの修正方法を示す図であり、図8(b)はドレイン電流特性が目標特性よりも低い部分での電子ビーム露光データの修正方法の一例を示す図である。
【図9】図9は、図4の電子ビーム露光データの修正方法の変形例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、図2〜図9を参照しつつ説明した半導体装置の製造方法において、ウエハロットを変更した場合のトランジスタのドレイン電流特性の変動を示す図である。
【図11】図11は、第2実施形態に係る半導体製造装置のブロック図である。
【図12】図12は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法における電子ビーム露光データの修正方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について添付の図面を参照しつつ説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体製造装置のブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る半導体製造装置10は、ウエハ加工部1と、半導体試験装置2と、制御部3とを備える。
【0015】
ウエハ加工部1は、光学式露光装置11、イオン注入装置12、電子ビーム露光装置13、アニール装置14、成膜装置15、CMP装置16、及びウエハ(半導体基板)を切り分けてチップに加工するダイシング装置17を含み、これらの装置を用いて供給されたウエハに種々の加工を行って半導体チップを製造する。
【0016】
このうち、電子ビーム露光装置13は高い精度で露光を行えることから、寸法精度が要求されるトランジスタのゲート電極等の形成に用いられる。この電子ビーム露光装置13は、後述するように制御部3から送信された電子ビーム露光データに基づいてパターンの描画を行う。
【0017】
上記のウエハ加工部1で製造された半導体チップは、半導体試験装置2に送られ、半導体試験装置2によりトランジスタの電流特性、しきい値電圧、信号伝搬遅延特性、ノイズレベル、積分非直線性及び微分非直線性等の電気特性の測定が行われる。この半導体試験装置2には、例えばATE(Automatic Test Equipment;自動測定装置)等の測定装置を用いることができる。
【0018】
そして、半導体試験装置2の試験結果に基づいて、製造された半導体チップが良品であるか不良品であるかが判断される。また、半導体試験装置2の試験結果は、ウエハ上での半導体チップの位置情報と共に制御部3に送られる。
【0019】
制御部3は、大域ばらつき抽出部31と、目標特性記憶部32と、特性比較部33と、露光データ修正部34とを備え、ウエハ面内の半導体チップの電気特性のばらつきが減少するように電子ビーム露光データの修正を行う。
【0020】
ここで、半導体装置の特性のばらつきには、ウエハ上の位置に関係なく発生する局所ばらつきと、ウエハ上の位置に依存して発生する大域ばらつきとが含まれる。
【0021】
このうち、局所ばらつきは、ランダムばらつきとも呼ばれ、製造時のガウス雑音により発生する。この局所ばらつきは、ウエハ面内及びウエハ間で互いに無相関に発生するため補正は困難である。
【0022】
一方、大域ばらつきは、システマチックばらつきとも呼ばれ、半導体製造装置のプロセス条件のばらつきによって発生するため、ウエハが異なっても同じようなばらつきを示す。そこで、本実施形態では大域ばらつきに着目し、この大域ばらつきに対する補正を行う。
【0023】
すなわち、制御部3の大域ばらつき抽出部31は、半導体チップの電気特性のばらつきから大域ばらつきを抽出する。
【0024】
目標特性記憶部32は、ウエハ上の各位置における半導体装置の電気特性の目標値の分布を表す目標特性データを格納する。この目標特性データは通常、半導体装置の特性のばらつきを減少させる目的においては、ウエハの全域で同一の値に設定される。
【0025】
また、特性比較部33は、大域ばらつきと目標特性データとを比較し、ウエハ上の各位置における目標値と大域ばらつきとの差分を算出して露光データ修正部34に出力する。
【0026】
露光データ修正部34は、大域ばらつきと目標特性データとの差分が小さくなるように、ウエハ上の各位置における電子ビーム露光データを修正する。そして、修正された電子ビーム露光データを電子ビーム露光装置13に出力する。このようにして修正された電子ビーム露光データは次回のウエハの電子ビーム露光工程に反映される。
【0027】
以下、上記の半導体製造装置10を用いた半導体装置の製造方法について説明する。
図2は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。図3(a)、(b)は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法における電子ビーム露光を用いたトランジスタのゲート電極の形成方法を示す図である。
【0028】
先ず、図2のステップS11において、ウエハ加工部1(図1参照)は、電子ビーム露光までの工程を実施する。ここでは、図3(a)のレジスト膜47が形成されるまでの工程を行う。
【0029】
まず、ウエハ(半導体基板)41として、シリコン基板を用意する。そして、例えばSTI法により素子領域を分離する素子分離絶縁膜42を形成する。その後、素子分離絶縁膜42によって分離された素子領域に不純物をイオン注入してウェル43を形成する。
【0030】
次に、ウェル43の上部に浅く不純物をイオン注入してチャネル領域44を形成する。その後、チャネル領域44が形成されたウエハ41の表面を熱酸化してゲート絶縁膜45を形成する。
【0031】
次に、ゲート絶縁膜45の上に、導電膜46としてポリシリコン膜を形成する。そして、導電膜46の上にレジスト膜47を形成する。
【0032】
以上により、図2のステップS11における電子ビーム露光までの製造工程が終了する。
【0033】
次に、図2のステップS12において、電子ビーム露光を用いたパターンの形成を行う。
【0034】
まず、図3(a)に示すように、トランジスタのゲート電極を形成する部分のレジスト膜47に電子ビームEBを照射する。
【0035】
その後、図3(b)に示すように、レジスト膜47を現像処理して、ゲート電極形状のレジストパターン47aを形成する。そして、このレジストパターン47aをマスクとしてとして導電膜46をドライエッチングすることにより、幅がW0及び長さがL0のゲート電極46aを形成する。
【0036】
その後、レジストパターン47aは除去される。
【0037】
以上により、図2のステップS12の電子ビーム露光を用いたパターン(ゲート電極)の形成が完了する。
【0038】
次に、図2のステップS13において、ウエハ加工部1(図1参照)はウエハ11に対して電子ビーム露光工程後の加工を実施する。
【0039】
まず、ゲート電極46aをマスクとした不純物のイオン注入により、トランジスタのソース/ドレイン領域を形成してトランジスタを作製する。その後、トランジスタの上に層間絶縁膜、プラグ及び配線を形成して半導体装置を完成させる。
【0040】
その後、半導体装置が形成されたウエハ41を半導体チップに切り分ける。
【0041】
以上により、ステップS13の電子ビーム露光工程後の加工が完了する。
【0042】
次に、ステップS14において、半導体試験装置2により半導体チップの電気的特性の測定を行う。ここでは、トランジスタのソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極にそれぞれ所定の電圧を印加したときに流れるドレイン電流量(ドレイン電流特性)や、トランジスタのしきい値電圧、信号伝搬遅延特性、最大動作周波数、ノイズレベル、積分非直線性及び微分非直線性等の電気特性を測定する。ここで、電気的特性が所定の基準値に収まる半導体チップは良品として払い出され、それ以外の半導体チップは不良品として取り除かれる。また、半導体チップの電気特性の測定結果は、半導体チップのウエハ内での位置の情報とともに制御部3(図1参照)に入力される。
【0043】
次に、ステップS15に移行して、半導体製造装置10の制御部3は良品として払い出された半導体チップの数が予め設定された良品数に到達したか否か判断する。そして、制御部3が半導体チップの良品数が十分な数に到達したと判断した場合(YES)には、半導体装置の製造を終了する。一方、制御部3が半導体チップの良品数が十分ではない(NO)と判断した場合には、ステップS20に移行する。
【0044】
次のステップS20では、制御部3が半導体チップの電気特性の測定結果に基づいて、電子ビーム露光データの修正を行う。以下、ステップS20の電子ビーム露光データの修正方法について具体的に説明する。
【0045】
図4は、図2のステップS20における電子ビーム露光データの修正方法を示すフローチャートである。
【0046】
まず、ステップS21において、制御部3の大域ばらつき抽出部31が、ウエハ上の半導体チップの位置と電気特性の測定結果に基づいて、半導体上の位置に依存したばらつき成分である大域ばらつきを抽出する。
【0047】
ここでは、最小二乗法により近似曲面を求めることで大域ばらつきを抽出する。
【0048】
なお、より簡易的に、ウエハ面上で直交する2方向(X方向及びY方向)の直線に沿った電気特性のばらつきを抽出して、それぞれの近似曲線(又は近似直線)をX方向及びY方向の大域ばらつきとして求めてもよい。
【0049】
図5(a)はウエハの中心を通り、所定方向(X方向)に延在する直線に沿ったドレイン電流特性の分布を示すグラフであり、図5(b)は図5(a)の直線とウエハの中心で直交する直線(Y方向)に沿ったドレイン電流特性の分布の一例を示すグラフである。
【0050】
ここでは、図5(a)に示すドレイン電流特性の分布については、最小二乗法により近似直線を求め、これをX方向の大域ばらつきとして抽出する。
【0051】
また、図5(b)に示すドレイン電流特性の分布については、最小二乗法により近似曲線を求め、これをY方向の大域ばらつきとして抽出する。
【0052】
なお、本実施形態の大域ばらつきの抽出方法は上記の最小二乗法以外に、下記の方法で求めてもよい。
【0053】
図6(a)〜(d)は、逆フーリエ変換によるローパスフィルタを利用した大域ばらつきの抽出方法を示す図である。
【0054】
この方法では、図6(a)に示す電気的特性の分布に対して、まずフーリエ変換を行い、図6(b)に示すように周波数毎の振幅の分布を求める。
【0055】
次に、図6(c)に示すように、周波数毎の振幅の分布から、所定の周波数以下の成分を抽出する。
【0056】
その後、図6(d)に示すように、図6(c)の周波数成分を逆フーリエ変換する。これは、電気特性のばらつきに対してローパスフィルタをかけたことに相当し、図6(a)の電気特性のばらつきから局所ばらつきに由来する高周波成分が取り除かれて、大域ばらつきが得られる。
【0057】
図7(a)〜(c)は、複数のウエハのばらつきに基づいた大域ばらつきの抽出方法を示す図である。
【0058】
図7(a)に示すように、この方法では、まず過去のウエハの電気特性のばらつきのデータを抽出する。
【0059】
次に、図7(b)に示すような、一定範囲の過去のデータについて等しい重み付け係数を与える関数を図7(a)のデータに畳み込んで大域ばらつきを求める。
【0060】
ここでは、図示のように過去10回分のウエハのデータについて等しい重み付け係数1を与え、それ以外のデータについての重み付け係数が0の関数を図7(a)のデータに畳み込む。これは、過去10回分のウエハのデータについて移動平均を取ることに相当し、このような平均化によりランダムに発生する局所ばらつきが除去されて大域ばらつきが得られる。移動平均に用いる過去のデータ数は10に限らず、局所ばらつきを平均化するのに十分な数を適宜選択してよい。
【0061】
なお、図7(b)に示す関数に代えて、図7(c)に示すような関数を用いて大域ばらつきを求めてもよい。図7(c)の関数では、より近い過去のデータほど重み付け係数が大きくなっている。そのため、図7(c)の関数を図7(a)に畳み込む場合には、最近のウエハのデータを重視した大域ばらつきが求まる。
【0062】
以上により、図4のステップS21での大域ばらつきの抽出が完了する。
【0063】
次に、図4のステップS22に移行して、制御部3の特性比較部33(図1参照)が目標特性値記憶部32から目標特性データを読み出す。そして、ウエハ上の各位置における電気特性の目標値と大域ばらつきとの差分を求める。
【0064】
例えば、図5(a)に示すドレイン電流特性のばらつきの場合には、ウエハ上のX方向の各位置において、ドレイン電流の目標値Idsと大域ばらつきとの差分ΔId(X)を求める。また、図5(b)に示すドレイン電流のばらつきについては、ウエハ上のY方向の各位置でのドレイン電流の目標値Idsと大域ばらつきとの差分ΔId(Y)を求める。
【0065】
次に、図4のステップS23において、制御部3の露光データ修正部34(図1参照)は、ステップS22で求めた差分が少なくなるように、ウエハ上の各位置で電子ビーム露光データを修正する。
【0066】
ここで、トランジスタのドレイン電流Idは、ゲート電極の幅をW、長さをL、チャネルの移動度をμ0(cm2/V・s)、単位面積当たりのゲート絶縁膜の静電容量Cox(F/cm2)、トランジスタのしきい値電圧をVth(V)、ゲート電圧をVGS、ドレインの電圧をVDSとすると、下記の式で表される。
【0067】
【数1】
上記(1)式のように、ドレイン電流Idの値は、ゲート電極の幅Wと長さLの比W/Lによって変えることができる。
【0068】
そこで本実施形態では、ドレイン電流Idが目標値よりも大きい部分では、目標値との差分ΔId(X)、ΔId(Y)に応じた量だけゲート幅と長さの比W/Lを減少させる。すなわち、図8(a)に示すように、ゲート電極の幅Wを当初の幅W0より短い幅W1に修正し、ゲート電極の長さLを当初の長さL0よりも長いL1に修正する。
【0069】
また、ドレイン電流Idが目標値よりも小さい部分では、目標値との差分ΔId(X)、ΔId(Y)に応じた量だけゲート幅と長さの比W/Lを増加させる。すなわち、図8(b)に示すように、ゲート電極の幅Wを当初の幅W0よりも大きな幅W2に修正し、ゲート電極の長さLを当初の長さL0よりも短い長さL2に修正する。
【0070】
なお、ゲート電極の幅W及び長さLの何れか一方のみを修正してもよい。
【0071】
このようにして、電子ビーム露光データに対して、大域ばらつきと目標値との差分を減少させる修正が行われ、ステップS23が完了する。
【0072】
その後、図2のステップS11に移行して、次のウエハの加工を行う。
【0073】
以上のように、本実施形態によれば、電子ビーム露光データの修正を行うことでウエハ面内での半導体装置の電気特性のばらつきが抑制される。そのため、露光、イオン注入、アニール、成膜、CMP等の各々の工程で個別に製造条件を最適化する場合に比べて、ばらつきの抑制に要する作業工数及びコストを大幅に削減できる。
【0074】
また、ウエハの加工の毎に行われる半導体試験の結果を電子ビーム露光データの修正に用いるため、ウエハ面内のばらつきだけでなく、各工程に用いる装置の劣化などを含む経時的なプロセス条件の変動にも対応できる。
【0075】
なお、上記の説明ではウエハ面内のチップ間の特性のばらつきの修正を行う場合について説明したが、本実施形態の方法を、各チップ面内での電気特性のばらつきの抑制に適用してもよい。
【0076】
(電子ビーム露光データの修正方法の変形例)
図9は、図4の電子ビーム露光データの修正方法の変形例を示すフローチャートである。
【0077】
図9に示すように、本変形例では、まずステップS31において大域ばらつきを抽出し、続くステップS32において大域ばらつきと目標特性との差分を求める。ここまでの工程は、図4のステップS21及びステップS22と同様である。
【0078】
次のステップS33において、制御部3の電子ビーム露光データ修正部は、目標特性データの目標値と大域ばらつきとの差分がウエハ上の全域で許容範囲内に入るか否かを判断する。ここで、目標値と大域ばらつきとの差分がウエハ上の全ての部分で許容範囲内に入ると判断された場合(YES)には、電子ビーム露光データの修正を行わず、前回の露光に用いた電子ビーム露光データをそのまま利用する。
【0079】
一方、ステップS33において、目標値と大域ばらつきとの差分が許容範囲内に入らない半導体チップがあると判断された場合(NO)には、ステップS34に移行する。
【0080】
次のステップS34では、図6のステップS23と同様の方法で、電子ビーム露光データの修正を行う。
【0081】
以上のように、本変形例では、目標値と大域ばらつきとの差分が許容範囲内に入る場合に電子ビーム露光データの修正を省略する。そのため、電子ビーム露光データの修正に要する時間を節約でき、スループットが向上する。
【0082】
(第2実施形態)
図10は、図2〜図9を参照しつつ説明した半導体装置の製造方法において、ウエハロットを変更した場合のトランジスタのドレイン電流特性の変動を示す図である。
【0083】
図10に示すように、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法では、ウエハのロットを変えた直後に、半導体装置の電気特性(トランジスタのドレイン電流)の平均値が大きく変化する。これは、異なるロットのウエハ間で不純物濃度が相違し、その不純物濃度の差の分だけ、半導体装置のドレイン電流が変化するためである。
【0084】
なお、ロット変更後の2枚目以降のウエハについては、電子ビーム露光データに対する修正が行われるため、ウエハの処理数の増加に伴って電気特性の変動が収束する。
【0085】
しかし、ロット変更直後のウエハについては電子ビーム露光データの修正が間に合わず、半導体装置の製造歩留まりが低下してしまう。
【0086】
そこで、以下の第2実施形態ではウエハのロット変更を行った直後の半導体装置の電気的特性の変動を抑制できる半導体製造装置及び半導体装置の製造方法について説明する。
【0087】
図11は、第2実施形態に係る半導体製造装置のブロック図であり、図12は第2実施形態に係る半導体装置の製造方法における電子ビーム露光データの修正方法を示すフローチャートである。
【0088】
図11に示す半導体製造装置20は、制御部3において、大域ばらつき抽出部31と特性比較部33との間にロット間オフセット加算部35が設けられている点で、図1に示す半導体製造装置10と相違する。
【0089】
このロット間オフセット加算部35は、例えば、ロット変更前のウエハの不純物濃度と、ロット変更後のウエハの不純物濃度とに基づいて、ロット変更の前後で発生する電気特性の変化(ロット間オフセット)を算出する。そして、ロットの変更後の最初のウエハの加工に先立って、算出されたロット間オフセットを大域ばらつき抽出部31で検出した大域ばらつきに加算して特性比較部33に出力する。
【0090】
なお、半導体製造装置20のその他の構成は、図1の半導体製造装置10と同様であり、同一の構成には同一符号を付してその説明を省略する。また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法も、電子ビーム露光データの修正方法(ステップS20)を除いて図2を参照しつつ説明した半導体装置の製造方法と同様である。
【0091】
以下、本実施形態に係る電子ビーム露光データの修正方法について説明する。
【0092】
図12は、本実施形態における電子ビーム露光データの修正方法を示すフローチャートである。
【0093】
図12に示すように、まず、ステップS41において制御部3の大域ばらつき抽出部31が大域ばらつきを抽出する。なお、ステップS41の大域ばらつきの抽出方法は、図4のステップS21の大域ばらつきの抽出と同様の方法で行われる。
【0094】
次に、ステップS42において、制御部3のロット間オフセット加算部35が、ロット変更前のウエハの不純物濃度と、ロット変更後のウエハの不純物濃度とに基づいて、ロット変更の前後で発生する電気的特性の変化(ロット間オフセット)を算出する。なお、ロット間オフセットの値はウエハ面内の全域で均一であるものとする。次いで、このロット間オフセットを大域ばらつきに加算して特性比較部33に出力する。
【0095】
次に、ステップS43において、制御部3の特性比較部33が目標特性記憶部32から目標特性データを読み込み、大域ばらつき及びロット間オフセットの加算結果と電気特性の目標値との差分を求める。
【0096】
その後、ステップS44において、制御部3の露光データ修正部34が大域ばらつき及びロット間オフセットの加算結果と電気特性の目標値との差分が小さくなるように電子ビーム露光データの修正を行う。
【0097】
このように、本実施形態では、ロット変更後の最初のウエハの処理に先立って、ロット間の不純物濃度の差に応じた電子ビーム露光データの修正を行うため、ロット変更直後の最初のウエハの電気特性の変動が抑制される。そのため、ロット変更直後のウエハでの製造歩留まりの低下を防止できる。
【0098】
(その他の実施形態)
上記の説明ではトランジスタのドレイン電流のばらつきを抑制する場合を例に説明したが、本実施形態はドレイン電流以外の様々な電気特性のばらつきの抑制にも適用できる。
【0099】
論理回路等に含まれるトランジスタの遅延時間や動作速度は、トランジスタのドレイン電流の大きさに依存する。そのため、遅延時間や動作速度のばらつきは、ドレイン電流の抑制のときと同様に、電子ビーム露光データのゲート電極の幅Wと長さLの比W/Lの修正で抑制できる。
【0100】
また、AD変換器、DA変換器などのアナログ回路に用いられるトランジスタのノイズ、積分非直線性(Integral Non-Linearity; INL)及び微分非直線性(Differential Non-Linearity; DNL)は、トランジスタのゲート電極の面積が増大すると減少することが知られている。
【0101】
そこで、半導体試験装置2によるノイズ、積分非直線性及び微分非直線性の測定の結果、ノイズ特性等が所定の基準値を上回る部分について、電子ビーム露光データにおいて、トランジスタのゲート電極の面積を増加させる修正を行なってもよい。
【0102】
さらに、半導体装置内の電源配線及びグランド配線のインピーダンス特性は、コンタクトプラグの配置数や配線パターンの幅等によって変化することが知られている。
【0103】
そこで、半導体装置のコンタクトプラグや配線パターンを電子ビーム露光装置13を用いて形成し、その際に用いる電子ビーム露光データ中のコンタクトプラグの並列数や配線パターンの幅をインピーダンス特性のばらつきに応じて修正してもよい。
【0104】
この場合には、電源配線及びグランド配線のインピーダンス特性が目標値を下回る部分について、コンタクトプラグの配置数を減少させることで、電子ビーム露光工程での電子ビームのショット回数を減らして処理時間の短縮を図ってもよい。
【符号の説明】
【0105】
1…ウエハ処理部、2…半導体試験装置、3…制御部、10、20…半導体製造装置、11…光学式露光装置、12…イオン注入装置、13…電子ビーム露光装置、14…アニール装置、15…成膜装置、16…CMP装置、17…ダイシング装置、31…大域ばらつき抽出部、32…目標特性記憶部、33…特性比較部、34…露光データ修正部、35…ロット間オフセット加算部、41…ウエハ、42…素子分離絶縁膜、43…ウェル、44…チャネル領域、45…ゲート絶縁膜、46…導電膜、47…レジスト膜、46a…ゲート電極、47a…レジストパターン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び半導体製造装置に関し、特に電子ビームを用いた露光工程を含む半導体装置の製造方法及び半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、イオン注入、露光、アニール、成膜、研磨及びダイシング等のそれぞれの製造条件のばらつきが生じるため、製造された半導体装置の電気特性がウエハ面内でばらつく。
【0003】
そこで、半導体装置の製造ラインの立ち上げ時やメンテナンス後には、半導体装置の製造歩留まりを向上させるべく、イオン注入、露光、アニール、成膜、研磨及びダイシング等の各工程について製造条件の最適化が行われている。
【0004】
しかし、上記の各工程毎に製造条件の最適化を行うと多大な作業工数が必要となり、半導体装置の製造コストが増大するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−277540号公報
【特許文献2】特開2006−39227号公報
【特許文献3】特開2004−158820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、より少ない作業工数でウエハ面内の半導体装置の特性のばらつきを抑制できる半導体装置の製造方法及び半導体製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一観点によれば、電子ビームを照射してパターンの露光を行う電子ビーム露光装置を用いた半導体装置の製造方法であって、ウエハ上に前記電子ビーム露光装置によるパターン形成を含む加工を行なって半導体装置を形成するウエハ加工工程と、前記半導体装置の電気特性を測定する半導体試験工程と、前記半導体装置の電気特性の前記ウエハ面内のばらつきに基づいて前記電子ビーム露光装置に用いる電子ビーム露光データの修正を行う露光データ修正工程と、を有し、前記ウエハ加工工程と、前記半導体試験工程と、前記露光データ修正工程とを繰り返し行う半導体装置の製造方法が提供される。
【0008】
また、別の一観点によれば、ウエハに電子ビームを照射してパターンを露光する電子ビーム露光装置を含み、前記ウエハに加工を行なって半導体装置を形成するウエハ加工部と、前記半導体装置の電気特性を測定する半導体試験装置と、前記半導体装置の電気特性の前記ウエハ面内のばらつきに基づいて前記電子ビーム露光装置に用いる電子ビーム露光データの修正を行う制御部と、を有する半導体製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
上記観点によれば、半導体装置の特性の変化を検出し、その特性の変化に応じて電子ビーム露光データを修正することで、半導体装置の特性のばらつきを抑制する。
【0010】
そのため、半導体製造の各工程で個別に製造条件の修正を行わなくてもウエハ面内での半導体装置の特性のばらつきを抑制でき、より少ない作業工数で半導体装置の特性のばらつきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、第1実施形態に係る半導体製造装置のブロック図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法のフローチャートである。
【図3】図3は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法における電子ビーム露光を用いたトランジスタのゲート電極の形成方法を示す図である。
【図4】図4は、図2の電子ビーム露光データの修正方法を示すフローチャートである。
【図5】図5(a)、(b)は最小二乗法を利用した大域ばらつきの検出方法を示す図である。
【図6】図6(a)〜(d)は、逆フーリエ変換によるローパスフィルタを利用した大域ばらつきの抽出方法を示す図である。
【図7】図7(a)〜(c)は、複数のウエハのばらつきに基づいた大域ばらつきの抽出方法を示す図である。
【図8】図8(a)は、トランジスタのドレイン電流特性が目標特性よりも高い部分での電子ビーム露光データの修正方法を示す図であり、図8(b)はドレイン電流特性が目標特性よりも低い部分での電子ビーム露光データの修正方法の一例を示す図である。
【図9】図9は、図4の電子ビーム露光データの修正方法の変形例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、図2〜図9を参照しつつ説明した半導体装置の製造方法において、ウエハロットを変更した場合のトランジスタのドレイン電流特性の変動を示す図である。
【図11】図11は、第2実施形態に係る半導体製造装置のブロック図である。
【図12】図12は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法における電子ビーム露光データの修正方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について添付の図面を参照しつつ説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体製造装置のブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る半導体製造装置10は、ウエハ加工部1と、半導体試験装置2と、制御部3とを備える。
【0015】
ウエハ加工部1は、光学式露光装置11、イオン注入装置12、電子ビーム露光装置13、アニール装置14、成膜装置15、CMP装置16、及びウエハ(半導体基板)を切り分けてチップに加工するダイシング装置17を含み、これらの装置を用いて供給されたウエハに種々の加工を行って半導体チップを製造する。
【0016】
このうち、電子ビーム露光装置13は高い精度で露光を行えることから、寸法精度が要求されるトランジスタのゲート電極等の形成に用いられる。この電子ビーム露光装置13は、後述するように制御部3から送信された電子ビーム露光データに基づいてパターンの描画を行う。
【0017】
上記のウエハ加工部1で製造された半導体チップは、半導体試験装置2に送られ、半導体試験装置2によりトランジスタの電流特性、しきい値電圧、信号伝搬遅延特性、ノイズレベル、積分非直線性及び微分非直線性等の電気特性の測定が行われる。この半導体試験装置2には、例えばATE(Automatic Test Equipment;自動測定装置)等の測定装置を用いることができる。
【0018】
そして、半導体試験装置2の試験結果に基づいて、製造された半導体チップが良品であるか不良品であるかが判断される。また、半導体試験装置2の試験結果は、ウエハ上での半導体チップの位置情報と共に制御部3に送られる。
【0019】
制御部3は、大域ばらつき抽出部31と、目標特性記憶部32と、特性比較部33と、露光データ修正部34とを備え、ウエハ面内の半導体チップの電気特性のばらつきが減少するように電子ビーム露光データの修正を行う。
【0020】
ここで、半導体装置の特性のばらつきには、ウエハ上の位置に関係なく発生する局所ばらつきと、ウエハ上の位置に依存して発生する大域ばらつきとが含まれる。
【0021】
このうち、局所ばらつきは、ランダムばらつきとも呼ばれ、製造時のガウス雑音により発生する。この局所ばらつきは、ウエハ面内及びウエハ間で互いに無相関に発生するため補正は困難である。
【0022】
一方、大域ばらつきは、システマチックばらつきとも呼ばれ、半導体製造装置のプロセス条件のばらつきによって発生するため、ウエハが異なっても同じようなばらつきを示す。そこで、本実施形態では大域ばらつきに着目し、この大域ばらつきに対する補正を行う。
【0023】
すなわち、制御部3の大域ばらつき抽出部31は、半導体チップの電気特性のばらつきから大域ばらつきを抽出する。
【0024】
目標特性記憶部32は、ウエハ上の各位置における半導体装置の電気特性の目標値の分布を表す目標特性データを格納する。この目標特性データは通常、半導体装置の特性のばらつきを減少させる目的においては、ウエハの全域で同一の値に設定される。
【0025】
また、特性比較部33は、大域ばらつきと目標特性データとを比較し、ウエハ上の各位置における目標値と大域ばらつきとの差分を算出して露光データ修正部34に出力する。
【0026】
露光データ修正部34は、大域ばらつきと目標特性データとの差分が小さくなるように、ウエハ上の各位置における電子ビーム露光データを修正する。そして、修正された電子ビーム露光データを電子ビーム露光装置13に出力する。このようにして修正された電子ビーム露光データは次回のウエハの電子ビーム露光工程に反映される。
【0027】
以下、上記の半導体製造装置10を用いた半導体装置の製造方法について説明する。
図2は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。図3(a)、(b)は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法における電子ビーム露光を用いたトランジスタのゲート電極の形成方法を示す図である。
【0028】
先ず、図2のステップS11において、ウエハ加工部1(図1参照)は、電子ビーム露光までの工程を実施する。ここでは、図3(a)のレジスト膜47が形成されるまでの工程を行う。
【0029】
まず、ウエハ(半導体基板)41として、シリコン基板を用意する。そして、例えばSTI法により素子領域を分離する素子分離絶縁膜42を形成する。その後、素子分離絶縁膜42によって分離された素子領域に不純物をイオン注入してウェル43を形成する。
【0030】
次に、ウェル43の上部に浅く不純物をイオン注入してチャネル領域44を形成する。その後、チャネル領域44が形成されたウエハ41の表面を熱酸化してゲート絶縁膜45を形成する。
【0031】
次に、ゲート絶縁膜45の上に、導電膜46としてポリシリコン膜を形成する。そして、導電膜46の上にレジスト膜47を形成する。
【0032】
以上により、図2のステップS11における電子ビーム露光までの製造工程が終了する。
【0033】
次に、図2のステップS12において、電子ビーム露光を用いたパターンの形成を行う。
【0034】
まず、図3(a)に示すように、トランジスタのゲート電極を形成する部分のレジスト膜47に電子ビームEBを照射する。
【0035】
その後、図3(b)に示すように、レジスト膜47を現像処理して、ゲート電極形状のレジストパターン47aを形成する。そして、このレジストパターン47aをマスクとしてとして導電膜46をドライエッチングすることにより、幅がW0及び長さがL0のゲート電極46aを形成する。
【0036】
その後、レジストパターン47aは除去される。
【0037】
以上により、図2のステップS12の電子ビーム露光を用いたパターン(ゲート電極)の形成が完了する。
【0038】
次に、図2のステップS13において、ウエハ加工部1(図1参照)はウエハ11に対して電子ビーム露光工程後の加工を実施する。
【0039】
まず、ゲート電極46aをマスクとした不純物のイオン注入により、トランジスタのソース/ドレイン領域を形成してトランジスタを作製する。その後、トランジスタの上に層間絶縁膜、プラグ及び配線を形成して半導体装置を完成させる。
【0040】
その後、半導体装置が形成されたウエハ41を半導体チップに切り分ける。
【0041】
以上により、ステップS13の電子ビーム露光工程後の加工が完了する。
【0042】
次に、ステップS14において、半導体試験装置2により半導体チップの電気的特性の測定を行う。ここでは、トランジスタのソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極にそれぞれ所定の電圧を印加したときに流れるドレイン電流量(ドレイン電流特性)や、トランジスタのしきい値電圧、信号伝搬遅延特性、最大動作周波数、ノイズレベル、積分非直線性及び微分非直線性等の電気特性を測定する。ここで、電気的特性が所定の基準値に収まる半導体チップは良品として払い出され、それ以外の半導体チップは不良品として取り除かれる。また、半導体チップの電気特性の測定結果は、半導体チップのウエハ内での位置の情報とともに制御部3(図1参照)に入力される。
【0043】
次に、ステップS15に移行して、半導体製造装置10の制御部3は良品として払い出された半導体チップの数が予め設定された良品数に到達したか否か判断する。そして、制御部3が半導体チップの良品数が十分な数に到達したと判断した場合(YES)には、半導体装置の製造を終了する。一方、制御部3が半導体チップの良品数が十分ではない(NO)と判断した場合には、ステップS20に移行する。
【0044】
次のステップS20では、制御部3が半導体チップの電気特性の測定結果に基づいて、電子ビーム露光データの修正を行う。以下、ステップS20の電子ビーム露光データの修正方法について具体的に説明する。
【0045】
図4は、図2のステップS20における電子ビーム露光データの修正方法を示すフローチャートである。
【0046】
まず、ステップS21において、制御部3の大域ばらつき抽出部31が、ウエハ上の半導体チップの位置と電気特性の測定結果に基づいて、半導体上の位置に依存したばらつき成分である大域ばらつきを抽出する。
【0047】
ここでは、最小二乗法により近似曲面を求めることで大域ばらつきを抽出する。
【0048】
なお、より簡易的に、ウエハ面上で直交する2方向(X方向及びY方向)の直線に沿った電気特性のばらつきを抽出して、それぞれの近似曲線(又は近似直線)をX方向及びY方向の大域ばらつきとして求めてもよい。
【0049】
図5(a)はウエハの中心を通り、所定方向(X方向)に延在する直線に沿ったドレイン電流特性の分布を示すグラフであり、図5(b)は図5(a)の直線とウエハの中心で直交する直線(Y方向)に沿ったドレイン電流特性の分布の一例を示すグラフである。
【0050】
ここでは、図5(a)に示すドレイン電流特性の分布については、最小二乗法により近似直線を求め、これをX方向の大域ばらつきとして抽出する。
【0051】
また、図5(b)に示すドレイン電流特性の分布については、最小二乗法により近似曲線を求め、これをY方向の大域ばらつきとして抽出する。
【0052】
なお、本実施形態の大域ばらつきの抽出方法は上記の最小二乗法以外に、下記の方法で求めてもよい。
【0053】
図6(a)〜(d)は、逆フーリエ変換によるローパスフィルタを利用した大域ばらつきの抽出方法を示す図である。
【0054】
この方法では、図6(a)に示す電気的特性の分布に対して、まずフーリエ変換を行い、図6(b)に示すように周波数毎の振幅の分布を求める。
【0055】
次に、図6(c)に示すように、周波数毎の振幅の分布から、所定の周波数以下の成分を抽出する。
【0056】
その後、図6(d)に示すように、図6(c)の周波数成分を逆フーリエ変換する。これは、電気特性のばらつきに対してローパスフィルタをかけたことに相当し、図6(a)の電気特性のばらつきから局所ばらつきに由来する高周波成分が取り除かれて、大域ばらつきが得られる。
【0057】
図7(a)〜(c)は、複数のウエハのばらつきに基づいた大域ばらつきの抽出方法を示す図である。
【0058】
図7(a)に示すように、この方法では、まず過去のウエハの電気特性のばらつきのデータを抽出する。
【0059】
次に、図7(b)に示すような、一定範囲の過去のデータについて等しい重み付け係数を与える関数を図7(a)のデータに畳み込んで大域ばらつきを求める。
【0060】
ここでは、図示のように過去10回分のウエハのデータについて等しい重み付け係数1を与え、それ以外のデータについての重み付け係数が0の関数を図7(a)のデータに畳み込む。これは、過去10回分のウエハのデータについて移動平均を取ることに相当し、このような平均化によりランダムに発生する局所ばらつきが除去されて大域ばらつきが得られる。移動平均に用いる過去のデータ数は10に限らず、局所ばらつきを平均化するのに十分な数を適宜選択してよい。
【0061】
なお、図7(b)に示す関数に代えて、図7(c)に示すような関数を用いて大域ばらつきを求めてもよい。図7(c)の関数では、より近い過去のデータほど重み付け係数が大きくなっている。そのため、図7(c)の関数を図7(a)に畳み込む場合には、最近のウエハのデータを重視した大域ばらつきが求まる。
【0062】
以上により、図4のステップS21での大域ばらつきの抽出が完了する。
【0063】
次に、図4のステップS22に移行して、制御部3の特性比較部33(図1参照)が目標特性値記憶部32から目標特性データを読み出す。そして、ウエハ上の各位置における電気特性の目標値と大域ばらつきとの差分を求める。
【0064】
例えば、図5(a)に示すドレイン電流特性のばらつきの場合には、ウエハ上のX方向の各位置において、ドレイン電流の目標値Idsと大域ばらつきとの差分ΔId(X)を求める。また、図5(b)に示すドレイン電流のばらつきについては、ウエハ上のY方向の各位置でのドレイン電流の目標値Idsと大域ばらつきとの差分ΔId(Y)を求める。
【0065】
次に、図4のステップS23において、制御部3の露光データ修正部34(図1参照)は、ステップS22で求めた差分が少なくなるように、ウエハ上の各位置で電子ビーム露光データを修正する。
【0066】
ここで、トランジスタのドレイン電流Idは、ゲート電極の幅をW、長さをL、チャネルの移動度をμ0(cm2/V・s)、単位面積当たりのゲート絶縁膜の静電容量Cox(F/cm2)、トランジスタのしきい値電圧をVth(V)、ゲート電圧をVGS、ドレインの電圧をVDSとすると、下記の式で表される。
【0067】
【数1】
上記(1)式のように、ドレイン電流Idの値は、ゲート電極の幅Wと長さLの比W/Lによって変えることができる。
【0068】
そこで本実施形態では、ドレイン電流Idが目標値よりも大きい部分では、目標値との差分ΔId(X)、ΔId(Y)に応じた量だけゲート幅と長さの比W/Lを減少させる。すなわち、図8(a)に示すように、ゲート電極の幅Wを当初の幅W0より短い幅W1に修正し、ゲート電極の長さLを当初の長さL0よりも長いL1に修正する。
【0069】
また、ドレイン電流Idが目標値よりも小さい部分では、目標値との差分ΔId(X)、ΔId(Y)に応じた量だけゲート幅と長さの比W/Lを増加させる。すなわち、図8(b)に示すように、ゲート電極の幅Wを当初の幅W0よりも大きな幅W2に修正し、ゲート電極の長さLを当初の長さL0よりも短い長さL2に修正する。
【0070】
なお、ゲート電極の幅W及び長さLの何れか一方のみを修正してもよい。
【0071】
このようにして、電子ビーム露光データに対して、大域ばらつきと目標値との差分を減少させる修正が行われ、ステップS23が完了する。
【0072】
その後、図2のステップS11に移行して、次のウエハの加工を行う。
【0073】
以上のように、本実施形態によれば、電子ビーム露光データの修正を行うことでウエハ面内での半導体装置の電気特性のばらつきが抑制される。そのため、露光、イオン注入、アニール、成膜、CMP等の各々の工程で個別に製造条件を最適化する場合に比べて、ばらつきの抑制に要する作業工数及びコストを大幅に削減できる。
【0074】
また、ウエハの加工の毎に行われる半導体試験の結果を電子ビーム露光データの修正に用いるため、ウエハ面内のばらつきだけでなく、各工程に用いる装置の劣化などを含む経時的なプロセス条件の変動にも対応できる。
【0075】
なお、上記の説明ではウエハ面内のチップ間の特性のばらつきの修正を行う場合について説明したが、本実施形態の方法を、各チップ面内での電気特性のばらつきの抑制に適用してもよい。
【0076】
(電子ビーム露光データの修正方法の変形例)
図9は、図4の電子ビーム露光データの修正方法の変形例を示すフローチャートである。
【0077】
図9に示すように、本変形例では、まずステップS31において大域ばらつきを抽出し、続くステップS32において大域ばらつきと目標特性との差分を求める。ここまでの工程は、図4のステップS21及びステップS22と同様である。
【0078】
次のステップS33において、制御部3の電子ビーム露光データ修正部は、目標特性データの目標値と大域ばらつきとの差分がウエハ上の全域で許容範囲内に入るか否かを判断する。ここで、目標値と大域ばらつきとの差分がウエハ上の全ての部分で許容範囲内に入ると判断された場合(YES)には、電子ビーム露光データの修正を行わず、前回の露光に用いた電子ビーム露光データをそのまま利用する。
【0079】
一方、ステップS33において、目標値と大域ばらつきとの差分が許容範囲内に入らない半導体チップがあると判断された場合(NO)には、ステップS34に移行する。
【0080】
次のステップS34では、図6のステップS23と同様の方法で、電子ビーム露光データの修正を行う。
【0081】
以上のように、本変形例では、目標値と大域ばらつきとの差分が許容範囲内に入る場合に電子ビーム露光データの修正を省略する。そのため、電子ビーム露光データの修正に要する時間を節約でき、スループットが向上する。
【0082】
(第2実施形態)
図10は、図2〜図9を参照しつつ説明した半導体装置の製造方法において、ウエハロットを変更した場合のトランジスタのドレイン電流特性の変動を示す図である。
【0083】
図10に示すように、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法では、ウエハのロットを変えた直後に、半導体装置の電気特性(トランジスタのドレイン電流)の平均値が大きく変化する。これは、異なるロットのウエハ間で不純物濃度が相違し、その不純物濃度の差の分だけ、半導体装置のドレイン電流が変化するためである。
【0084】
なお、ロット変更後の2枚目以降のウエハについては、電子ビーム露光データに対する修正が行われるため、ウエハの処理数の増加に伴って電気特性の変動が収束する。
【0085】
しかし、ロット変更直後のウエハについては電子ビーム露光データの修正が間に合わず、半導体装置の製造歩留まりが低下してしまう。
【0086】
そこで、以下の第2実施形態ではウエハのロット変更を行った直後の半導体装置の電気的特性の変動を抑制できる半導体製造装置及び半導体装置の製造方法について説明する。
【0087】
図11は、第2実施形態に係る半導体製造装置のブロック図であり、図12は第2実施形態に係る半導体装置の製造方法における電子ビーム露光データの修正方法を示すフローチャートである。
【0088】
図11に示す半導体製造装置20は、制御部3において、大域ばらつき抽出部31と特性比較部33との間にロット間オフセット加算部35が設けられている点で、図1に示す半導体製造装置10と相違する。
【0089】
このロット間オフセット加算部35は、例えば、ロット変更前のウエハの不純物濃度と、ロット変更後のウエハの不純物濃度とに基づいて、ロット変更の前後で発生する電気特性の変化(ロット間オフセット)を算出する。そして、ロットの変更後の最初のウエハの加工に先立って、算出されたロット間オフセットを大域ばらつき抽出部31で検出した大域ばらつきに加算して特性比較部33に出力する。
【0090】
なお、半導体製造装置20のその他の構成は、図1の半導体製造装置10と同様であり、同一の構成には同一符号を付してその説明を省略する。また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法も、電子ビーム露光データの修正方法(ステップS20)を除いて図2を参照しつつ説明した半導体装置の製造方法と同様である。
【0091】
以下、本実施形態に係る電子ビーム露光データの修正方法について説明する。
【0092】
図12は、本実施形態における電子ビーム露光データの修正方法を示すフローチャートである。
【0093】
図12に示すように、まず、ステップS41において制御部3の大域ばらつき抽出部31が大域ばらつきを抽出する。なお、ステップS41の大域ばらつきの抽出方法は、図4のステップS21の大域ばらつきの抽出と同様の方法で行われる。
【0094】
次に、ステップS42において、制御部3のロット間オフセット加算部35が、ロット変更前のウエハの不純物濃度と、ロット変更後のウエハの不純物濃度とに基づいて、ロット変更の前後で発生する電気的特性の変化(ロット間オフセット)を算出する。なお、ロット間オフセットの値はウエハ面内の全域で均一であるものとする。次いで、このロット間オフセットを大域ばらつきに加算して特性比較部33に出力する。
【0095】
次に、ステップS43において、制御部3の特性比較部33が目標特性記憶部32から目標特性データを読み込み、大域ばらつき及びロット間オフセットの加算結果と電気特性の目標値との差分を求める。
【0096】
その後、ステップS44において、制御部3の露光データ修正部34が大域ばらつき及びロット間オフセットの加算結果と電気特性の目標値との差分が小さくなるように電子ビーム露光データの修正を行う。
【0097】
このように、本実施形態では、ロット変更後の最初のウエハの処理に先立って、ロット間の不純物濃度の差に応じた電子ビーム露光データの修正を行うため、ロット変更直後の最初のウエハの電気特性の変動が抑制される。そのため、ロット変更直後のウエハでの製造歩留まりの低下を防止できる。
【0098】
(その他の実施形態)
上記の説明ではトランジスタのドレイン電流のばらつきを抑制する場合を例に説明したが、本実施形態はドレイン電流以外の様々な電気特性のばらつきの抑制にも適用できる。
【0099】
論理回路等に含まれるトランジスタの遅延時間や動作速度は、トランジスタのドレイン電流の大きさに依存する。そのため、遅延時間や動作速度のばらつきは、ドレイン電流の抑制のときと同様に、電子ビーム露光データのゲート電極の幅Wと長さLの比W/Lの修正で抑制できる。
【0100】
また、AD変換器、DA変換器などのアナログ回路に用いられるトランジスタのノイズ、積分非直線性(Integral Non-Linearity; INL)及び微分非直線性(Differential Non-Linearity; DNL)は、トランジスタのゲート電極の面積が増大すると減少することが知られている。
【0101】
そこで、半導体試験装置2によるノイズ、積分非直線性及び微分非直線性の測定の結果、ノイズ特性等が所定の基準値を上回る部分について、電子ビーム露光データにおいて、トランジスタのゲート電極の面積を増加させる修正を行なってもよい。
【0102】
さらに、半導体装置内の電源配線及びグランド配線のインピーダンス特性は、コンタクトプラグの配置数や配線パターンの幅等によって変化することが知られている。
【0103】
そこで、半導体装置のコンタクトプラグや配線パターンを電子ビーム露光装置13を用いて形成し、その際に用いる電子ビーム露光データ中のコンタクトプラグの並列数や配線パターンの幅をインピーダンス特性のばらつきに応じて修正してもよい。
【0104】
この場合には、電源配線及びグランド配線のインピーダンス特性が目標値を下回る部分について、コンタクトプラグの配置数を減少させることで、電子ビーム露光工程での電子ビームのショット回数を減らして処理時間の短縮を図ってもよい。
【符号の説明】
【0105】
1…ウエハ処理部、2…半導体試験装置、3…制御部、10、20…半導体製造装置、11…光学式露光装置、12…イオン注入装置、13…電子ビーム露光装置、14…アニール装置、15…成膜装置、16…CMP装置、17…ダイシング装置、31…大域ばらつき抽出部、32…目標特性記憶部、33…特性比較部、34…露光データ修正部、35…ロット間オフセット加算部、41…ウエハ、42…素子分離絶縁膜、43…ウェル、44…チャネル領域、45…ゲート絶縁膜、46…導電膜、47…レジスト膜、46a…ゲート電極、47a…レジストパターン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームを照射してパターンの露光を行う電子ビーム露光装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
ウエハ上に前記電子ビーム露光装置によるパターン形成を含む加工を行なって半導体装置を形成するウエハ加工工程と、
前記半導体装置の電気特性を測定する半導体試験工程と、
前記半導体装置の電気特性の前記ウエハ面内のばらつきに基づいて前記電子ビーム露光装置に用いる電子ビーム露光データの修正を行う露光データ修正工程と、を有し、
前記ウエハ加工工程と、前記半導体試験工程と、前記露光データ修正工程とを繰り返し行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記露光データ修正工程は、
前記半導体装置の電気特性のばらつきから前記ウエハの位置に依存した成分である大域ばらつきを抽出する工程と、
前記ウエハ上の各部において、前記大域ばらつきと電気特性の目標値との差分を求める工程と、
前記大域ばらつきと電気特性の目標値との差分に基づいて前記電子ビーム露光データのパターンの形状を修正する工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記電子ビーム露光装置は前記半導体装置に含まれるトランジスタのゲート電極の形成に用いられることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記電気特性は前記トランジスタのゲート電極に所定のゲート電圧を印加したときに流れるドレイン電流量であり、
前記露光データ修正工程において、前記ドレイン電流量のばらつきが少なくなるように、前記ウエハ面内の各部における前記ゲート電極の幅Wと長さLとの比W/Lを修正することを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記電気特性は前記トランジスタのノイズ又は非直線性であり、
前記露光データ修正工程において、前記トランジスタのノイズ又は非直線性が所定の基準値を上回る部分について、前記ゲート電極の面積を増加させる修正を行うことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記露光データ修正工程は、ウエハロットの変更に伴う前記半導体装置の特性の変化量であるロット間オフセットを前記大域ばらつきに加算するロット間オフセット加算工程を有し、
前記ロット間オフセット及び前記大域ばらつきの加算値と、前記電気特性の目標値との差分に基づいて前記電子ビーム露光データのパターンの形状の修正を行うことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
ウエハに電子ビームを照射してパターンを露光する電子ビーム露光装置を含み、前記ウエハに加工を行なって半導体装置を形成するウエハ加工部と、
前記半導体装置の電気特性を測定する半導体試験装置と、
前記半導体装置の電気特性の前記ウエハ面内のばらつきに基づいて前記電子ビーム露光装置に用いる電子ビーム露光データの修正を行う制御部と、
を有することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記半導体装置の電気特性のばらつきから前記ウエハの位置に依存した成分である大域ばらつきを抽出する大域ばらつき抽出部と、
ウエハ上の各位置における前記半導体装置の電気特性の目標値を記憶する想定特性記憶部と、
前記ウエハ上の各部において、前記大域ばらつきと電気特性の目標値との差分を算出する特性比較部と、
前記大域ばらつきと電気特性の目標値との差分に基づいて前記電子ビーム露光データのパターンの形状を修正する露光データ修正部と、
を有することを特徴とする請求項7に記載の半導体製造装置。
【請求項9】
前記電子ビーム露光装置は前記半導体装置に含まれるトランジスタのゲート電極の形成に用いられることを特徴とする請求項8に記載の半導体製造装置。
【請求項10】
前記電気特性は前記トランジスタのゲート電極に所定のゲート電圧を印加したときに流れるドレイン電流量であり、
前記露光データ修正部は、前記ドレイン電流量のばらつきが少なくなるように、前記ウエハ面内の各部における前記ゲート電極の幅Wと長さLとの比W/Lを修正することを特徴とする請求項9に記載の半導体製造装置。
【請求項11】
前記電気特性は前記トランジスタのノイズ又は非直線性であり、
前記露光データ修正部は、前記トランジスタのノイズ又は非直線性が所定の基準値を上回る部分について、前記ゲート電極の面積を増加させる修正を行うことを特徴とする請求項9に記載の半導体製造装置。
【請求項12】
前記制御部は、ウエハロットの変更に伴う前記半導体装置の特性の変化量であるロット間オフセットを前記大域ばらつきに加算するロット間オフセット加算部を有し、
前記制御部の前記露光データ修正部は、ロット間オフセット及び前記大域ばらつきの加算値と、前記電気特性の目標値との差分に基づいて前記電子ビーム露光データのパターンの形状の修正を行うことを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【請求項1】
電子ビームを照射してパターンの露光を行う電子ビーム露光装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
ウエハ上に前記電子ビーム露光装置によるパターン形成を含む加工を行なって半導体装置を形成するウエハ加工工程と、
前記半導体装置の電気特性を測定する半導体試験工程と、
前記半導体装置の電気特性の前記ウエハ面内のばらつきに基づいて前記電子ビーム露光装置に用いる電子ビーム露光データの修正を行う露光データ修正工程と、を有し、
前記ウエハ加工工程と、前記半導体試験工程と、前記露光データ修正工程とを繰り返し行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記露光データ修正工程は、
前記半導体装置の電気特性のばらつきから前記ウエハの位置に依存した成分である大域ばらつきを抽出する工程と、
前記ウエハ上の各部において、前記大域ばらつきと電気特性の目標値との差分を求める工程と、
前記大域ばらつきと電気特性の目標値との差分に基づいて前記電子ビーム露光データのパターンの形状を修正する工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記電子ビーム露光装置は前記半導体装置に含まれるトランジスタのゲート電極の形成に用いられることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記電気特性は前記トランジスタのゲート電極に所定のゲート電圧を印加したときに流れるドレイン電流量であり、
前記露光データ修正工程において、前記ドレイン電流量のばらつきが少なくなるように、前記ウエハ面内の各部における前記ゲート電極の幅Wと長さLとの比W/Lを修正することを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記電気特性は前記トランジスタのノイズ又は非直線性であり、
前記露光データ修正工程において、前記トランジスタのノイズ又は非直線性が所定の基準値を上回る部分について、前記ゲート電極の面積を増加させる修正を行うことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記露光データ修正工程は、ウエハロットの変更に伴う前記半導体装置の特性の変化量であるロット間オフセットを前記大域ばらつきに加算するロット間オフセット加算工程を有し、
前記ロット間オフセット及び前記大域ばらつきの加算値と、前記電気特性の目標値との差分に基づいて前記電子ビーム露光データのパターンの形状の修正を行うことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
ウエハに電子ビームを照射してパターンを露光する電子ビーム露光装置を含み、前記ウエハに加工を行なって半導体装置を形成するウエハ加工部と、
前記半導体装置の電気特性を測定する半導体試験装置と、
前記半導体装置の電気特性の前記ウエハ面内のばらつきに基づいて前記電子ビーム露光装置に用いる電子ビーム露光データの修正を行う制御部と、
を有することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記半導体装置の電気特性のばらつきから前記ウエハの位置に依存した成分である大域ばらつきを抽出する大域ばらつき抽出部と、
ウエハ上の各位置における前記半導体装置の電気特性の目標値を記憶する想定特性記憶部と、
前記ウエハ上の各部において、前記大域ばらつきと電気特性の目標値との差分を算出する特性比較部と、
前記大域ばらつきと電気特性の目標値との差分に基づいて前記電子ビーム露光データのパターンの形状を修正する露光データ修正部と、
を有することを特徴とする請求項7に記載の半導体製造装置。
【請求項9】
前記電子ビーム露光装置は前記半導体装置に含まれるトランジスタのゲート電極の形成に用いられることを特徴とする請求項8に記載の半導体製造装置。
【請求項10】
前記電気特性は前記トランジスタのゲート電極に所定のゲート電圧を印加したときに流れるドレイン電流量であり、
前記露光データ修正部は、前記ドレイン電流量のばらつきが少なくなるように、前記ウエハ面内の各部における前記ゲート電極の幅Wと長さLとの比W/Lを修正することを特徴とする請求項9に記載の半導体製造装置。
【請求項11】
前記電気特性は前記トランジスタのノイズ又は非直線性であり、
前記露光データ修正部は、前記トランジスタのノイズ又は非直線性が所定の基準値を上回る部分について、前記ゲート電極の面積を増加させる修正を行うことを特徴とする請求項9に記載の半導体製造装置。
【請求項12】
前記制御部は、ウエハロットの変更に伴う前記半導体装置の特性の変化量であるロット間オフセットを前記大域ばらつきに加算するロット間オフセット加算部を有し、
前記制御部の前記露光データ修正部は、ロット間オフセット及び前記大域ばらつきの加算値と、前記電気特性の目標値との差分に基づいて前記電子ビーム露光データのパターンの形状の修正を行うことを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−102074(P2013−102074A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245406(P2011−245406)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】
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