説明

半導体装置

【課題】PAモジュールを構成するパッケージを実装基板に実装する際、パッケージと実装基板の接続信頼性を向上できる技術を提供する。
【解決手段】裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbの幅に比べて、裏面導体パターンCP2の幅が小さくなっている。詳細には、例えば、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとは、X方向に並ぶように配置されており、このX方向に並んで配置されている裏面端子TEPaと裏面端子TEPbが裏面導体パターンCP2で接続されている。このとき、裏面導体パターンCP2の接続方向(接続線方向)がX方向となっており、このX方向と直交する(交差する)Y方向に着目すると、裏面導体パターンCP2のY方向の幅は、裏面端子TEPaのY方向の幅や裏面端子TEPbのY方向の幅よりも小さくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、半導体チップを搭載した配線基板を実装基板(マザーボード)に実装する半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2006−66731号公報(特許文献1)には、高周波モジュールに用いられる配線基板の裏面電極パターンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−66731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、GSM(Global System for Mobile Communications)方式、PCS(Personal Communication Systems)方式、PDC(Personal Digital Cellular)方式、およびCDMA(Code Division Multiple Access)方式といった通信方式に代表される移動体通信機器(例えば、携帯電話機)が世界的に普及している。一般に、この種の移動体通信機器は、電波の放射と受信をするアンテナ、アンテナでの送受信を切り替えるアンテナスイッチ、電力変調された高周波信号を増幅してアンテナへ供給する高周波電力増幅器(PA(Power Amplifier)モジュール)、アンテナで受信した高周波信号を信号処理する受信部、これらの制御を行う制御部、そしてこれらに電源電圧を供給する電池(バッテリー)で構成される。
【0005】
移動体通信機器のPAモジュールの電力増幅回路に用いられる増幅素子としては、HBT、HEMTなどの化合物半導体デバイス、シリコンバイポーラトランジスタ、LDMOSFET(Laterally Diffused Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor、横方向拡散MOSFET)などが、目的や状況に応じて使用されている。
【0006】
例えば、PAモジュールとして、シリコンよりなる1つの半導体チップに電力を増幅する電力増幅部(電力増幅回路)と、この電力増幅部による増幅を制御する電力制御部とを形成するものがある。このとき、電力増幅部は多段増幅を行なうように構成され、例えば、多段のすべての増幅素子としてLDMOSFETを使用しているものがある。そして、電力制御部としては、通常のCMOSFET(Complementary Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を使用している。
【0007】
このように構成されている半導体チップを配線基板上に搭載することで、PAモジュールが形成される。すなわち、半導体チップを配線基板に搭載したパッケージ(半導体装置)がPAモジュールとなる。このPAモジュールを構成するパッケージは、例えば、移動体通信機器のマザーボード(実装基板)に搭載される。
【0008】
PAモジュールを構成するパッケージ形態としては、例えば、LGA(Land Grid Array)が採用されている。LGAは、まず、配線基板の表面(主面)に半導体チップを搭載し、この半導体チップに形成されているボンディングパッドと、配線基板の表面に形成される端子とをワイヤで接続している。そして、配線基板の表面に形成されている端子は、配線基板を貫通するビアと電気的に接続される。配線基板を貫通するビアは、配線基板の裏面に形成されている端子と接続される。この配線基板の裏面に形成されている端子が外部接続端子となる。具体的に、LGAでは配線基板の裏面に複数の端子が形成されているが、例えば、配線基板の裏面の中央部に第1基準電位用端子が形成され、この第1基準電位用端子を囲む配線基板の周辺部に沿って複数の端子が形成されている。この配線基板の周辺部に沿って配置されている複数の端子には、信号用端子や第2基準電位用端子が含まれている。つまり、LGAでは、基準電位(グラウンド電位)を供給する端子が複数(例えば、第1基準電位用端子や第2基準電位用端子)存在している。
【0009】
このとき、同じ基準電位を供給する第1基準電位用端子や第2基準電位用端子は、互いに電気的に独立して半導体チップ内の集積回路の各構成回路に供給されているが、この第1基準電位用端子や第2基準電位用端子を電気的に接続することにより、基準電位の安定性が強化される。つまり、基準電位の電位がゆれて不安定となると、集積回路に発振現象などが生じて正常に動作しなくなるおそれがある。したがって、基準電位は安定的に供給することが望ましい。本発明者の検討によると、基準電位を供給する複数の端子(例えば、第1基準電位用端子と第2基準電位用端子)を電気的に独立して構成するよりも、基準電位を供給する複数の端子(第1基準電位用端子と第2基準電位用端子)を電気的に接続することにより、基準電位の安定化を図ることができることがわかっている。
【0010】
そこで、PAモジュールを構成するLGAにおいて、基準電位の安定化を図る観点から、配線基板の裏面に形成されている第1基準電位用端子と第2基準電位用端子とを裏面に形成された導体パターンで電気的に接続する構成が考えられる。
【0011】
しかし、このように構成する場合、以下に示す問題点が発生する。すなわち、PAモジュールを構成するLGAは、実装基板(マザーボード)に実装される。このとき、LGAの裏面に形成されている端子と実装基板に形成されている電極とが半田を介して接続するように、LGAは実装基板に実装される。ここで、LGAの裏面に形成された端子には、第1基準電位用端子と第2基準電位用端子のように互いに導体パターンで接続されている端子と、信号端子のように独立して配置されている端子が存在することになる。この場合、互いに導体パターンで接続されている端子と、独立して配置されている端子との間に面積差が生じるため、これらの端子上に形成される半田の面積にも差が生じる結果、互いに導体パターンで接続されている端子上と、独立して配置されている端子上に形成される半田の厚さに差が生じる。すると、一部の端子で実装基板に形成されている電極との接触不良(実装不良)が生じるおそれが高くなる。
【0012】
本発明の目的は、PAモジュールを構成するパッケージを実装基板に実装する際、パッケージと実装基板の接続信頼性を向上できる技術を提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0015】
代表的な実施の形態による半導体装置は、(a)電力増幅器として機能する集積回路が形成された第1半導体チップと、(b)前記第1半導体チップを搭載するチップ搭載面と、前記チップ搭載面とは反対側の裏面とを有し、前記チップ搭載面に前記第1半導体チップを搭載した矩形形状の配線基板とを備える。ここで、前記配線基板の前記裏面には、(b1)前記裏面の中央部に形成され、グラウンド電位が印加される中央グラウンド端子と、(b2)前記中央グラウンド端子の周囲を囲むように前記配線基板の周辺部に沿って形成された複数の周辺端子とが形成されている。前記複数の周辺端子には、グラウンド電位が印加され、かつ、互いに隣り合う位置に配置される第1周辺グラウンド端子と第2周辺グラウンド端子が含まれ、
前記第1周辺グラウンド端子と前記第2周辺グラウンド端子とは、前記裏面に形成された導体パターンで電気的に接続されている。このとき、前記導体パターンの幅は、前記第1周辺グラウンド端子の幅および前記第2周辺グラウンド端子の幅よりも小さいことを特徴とするものである。
【0016】
また、代表的な実施の形態による半導体装置は、(a)電力増幅器として機能する集積回路が形成された第1半導体チップと、(b)前記第1半導体チップを搭載するチップ搭載面と、前記チップ搭載面とは反対側の裏面とを有し、前記チップ搭載面に前記第1半導体チップを搭載した矩形形状の配線基板とを備える。ここで、前記配線基板の前記裏面には、(b1)前記裏面の中央部に形成され、グラウンド電位が印加される中央グラウンド端子と、(b2)前記中央グラウンド端子の周囲を囲むように前記配線基板の周辺部に沿って形成された複数の周辺端子とが形成されている。前記複数の周辺端子には、グラウンド電位が印加される第1周辺グラウンド端子が含まれ、前記中央グラウンド端子と前記第1周辺グラウンド端子とは、前記裏面に形成された導体パターンで電気的に接続されている。このとき、前記導体パターンの幅は、前記第1周辺グラウンド端子の幅よりも小さいことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0018】
PAモジュールを構成するパッケージを実装基板に実装する際、パッケージと実装基板の接続信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】携帯電話機の送受信部の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるPAモジュールの回路ブロック構成を示す図である。
【図3】増幅回路の構成例を示す図である。
【図4】電力増幅器の増幅回路を構成する半導体増幅素子をLDMOSFETから形成した場合の半導体チップにおける断面図である。
【図5】アンテナスイッチを構成する半導体チップに形成されたHEMTの構成を示す断面図である。
【図6】実施の形態におけるPAモジュールの実装構成を示す平面図である。
【図7】実施の形態におけるPAモジュールの実装構成を示す断面図である。
【図8】一般的なPAモジュールの裏面におけるレイアウト構成を示す図である。
【図9】PAモジュールを実装基板に搭載した状態を示す模式的な平面図である。
【図10】実装基板に形成されている電極の一部を示す図である。
【図11】一般的なPAモジュールに形成されている裏面端子を示す図である。
【図12】実装基板上に一般的なPAモジュールを搭載した断面図である。
【図13】比較例であるPAモジュールの裏面におけるレイアウト構成を示す図である。
【図14】実装基板に形成されている電極の一部を示す図である。
【図15】比較例であるPAモジュールに形成されている裏面端子を示す図である。
【図16】実装基板上に比較例であるPAモジュールを搭載した断面図である。
【図17】他の比較例であるPAモジュールに形成されている端子を示す図である。
【図18】実装基板上に他の比較例であるPAモジュールを搭載した断面図である。
【図19】実装基板上に他の比較例であるPAモジュールを搭載した場合の問題点を説明する図である。
【図20】実施の形態であるPAモジュールの裏面におけるレイアウト構成を示す図である。
【図21】実装基板に形成されている電極の一部を示す図である。
【図22】実施の形態であるPAモジュールに形成されている端子を示す図である。
【図23】実施の形態であるPAモジュールに形成されている別構成の端子を示す図である。
【図24】実施の形態であるPAモジュールを実装基板に搭載した場合、PAモジュールに形成されている端子間に半田が広がる様子を示す図である。
【図25】比較例であるPAモジュールを実装基板に搭載した場合、PAモジュールに形成されている端子間に半田が広がる様子を示す図である。
【図26】実装基板上に実施の形態であるPAモジュールを搭載した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0021】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0022】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0023】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0024】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0025】
<<送受信部構成>>
図1は、携帯電話機の送受信部の構成を示すブロック図である。図1に示すように、携帯電話機1は、アプリケーションプロセッサ2、メモリ3、ベースバンド部4、RFIC5、電力増幅器6、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ7、アンテナスイッチ8およびアンテナ9を有している。
【0026】
アプリケーションプロセッサ2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)から構成され、携帯電話機1のアプリケーション機能を実現する機能を有している。具体的には、メモリ3から命令を読みだして解読し、解読した結果に基づいて各種の演算や制御することによりアプリケーション機能を実現している。メモリ3は、データを記憶する機能を有しており、例えば、アプリケーションプロセッサ2を動作させるプログラムや、アプリケーションプロセッサ2での処理データを記憶するように構成されている。また、メモリ3は、アプリケーションプロセッサ2だけでなく、ベースバンド部4ともアクセスできるようになっており、ベースバンド部4で処理されるデータの記憶にも使用できるようになっている。
【0027】
ベースバンド部4は、中央制御部であるCPUを内蔵し、送信時には、操作部を介したユーザ(通話者)からの音声信号(アナログ信号)をデジタル処理してベースバンド信号を生成できるように構成されている。一方、受信時には、デジタル信号であるベースバンド信号から音声信号を生成できるように構成されている。
【0028】
RFIC5は、送信時にはベースバンド信号を変調して無線周波数の信号を生成し、受信時には、受信信号を復調してベースバンド信号を生成することができるように構成されている。電力増幅器6は、微弱な入力信号と相似な大電力の信号を電源から供給される電力で新たに生成して出力する回路である。SAWフィルタ7は、受信信号から所定の周波数帯の信号だけを通過させるように構成されている。
【0029】
アンテナスイッチ8は、携帯電話機1に入力される受信信号と携帯電話機1から出力される送信信号とを分離するためのものであり、アンテナ9は、電波を送受信するためのものである。
【0030】
携帯電話機1は、上記のように構成されており、以下に、その動作について簡単に説明する。まず、信号を送信する場合について説明する。ベースバンド部4で音声信号などのアナログ信号をデジタル処理することにより生成されたベースバンド信号は、RFIC5に入力する。RFIC5では、入力したベースバンド信号を、変調信号源およびミキサによって、無線周波数(RF(Radio Frequency)周波数)の信号に変換する。無線周波数に変換された信号は、RFIC5から電力増幅器(PAモジュール)6に出力される。電力増幅器6に入力した無線周波数の信号は、電力増幅器6で増幅された後、アンテナスイッチ8を介してアンテナ9より送信される。
【0031】
次に、信号を受信する場合について説明する。アンテナ9により受信された無線周波数の信号(受信信号)は、SAWフィルタ7を通過した後、RFIC5に入力する。RFIC5では、入力した受信信号を増幅した後、変調信号源およびミキサによって、周波数変換を行なう。そして、周波数変換された信号の検波が行なわれ、ベースバンド信号が抽出される。その後、このベースバンド信号は、RFIC5からベースバンド部4に出力される。このベースバンド信号がベースバンド部4で処理され、音声信号が出力される。
【0032】
上述したように、デジタル携帯電話機から信号を送信する際、電力増幅器6によって信号は増幅された後、アンテナスイッチ8を介してアンテナ9から出力される。
【0033】
<<PAモジュールの構成>>
以下では、このPAモジュールPAの回路ブロック構成について説明する。図2は、本実施の形態におけるPAモジュールPAの回路ブロック構成を示す図である。図2において、本実施の形態におけるPAモジュールPAは、電力増幅器6、出力整合回路12a、12b、検波回路13a、13b、ローパスフィルタLPF1、LPF2、アンテナスイッチ8およびダイプレクサDiを有している。
【0034】
電力増幅器6は、整合回路10a、10b、増幅回路LB、HBおよび制御回路11から構成されている。整合回路10aは、PAモジュールPAの入力端子TX(LB)inに入力する入力信号(RF入力)の反射を抑制して効率良く増幅回路LBに出力できるようになっている。この整合回路10aは、例えば、インダクタ、容量素子および抵抗素子などの受動部品から形成されており、入力信号に対するインピーダンス整合をとることができるように組み合わされている。整合回路10aに入力される入力信号は、第1周波数帯の信号である。例えば、第1周波数帯の信号としては、GSM(Global System for Mobile Communication)方式を利用した信号が挙げられ、周波数帯としては、GSM低周波帯域の824MHz〜915MHz、GSM高周波帯域の1710MHz〜1910MHzを使用している信号である。
【0035】
増幅回路LBは、整合回路10aに接続されており、整合回路10aから出力された入力信号を増幅するように構成されている。すなわち、増幅回路LBは、GSM低周波帯域の入力信号を増幅するアンプであり、例えば、3つの増幅段から構成されている。増幅回路LBでは、整合回路10aから出力されたGSM低周波帯域の入力信号がまず、初段の増幅段で増幅される。そして、初段の増幅段で増幅された入力信号は、中段の増幅段で増幅され、その後、終段の増幅段で増幅されるようになっている。この増幅回路LBによって、微弱な入力信号と相似の大電力の増幅信号を得ることができる。そして、このような機能を有する増幅回路LBには電源電位Vdd1とグラウンド電位が供給されている。
【0036】
このように、電力増幅器6には、GSM低周波帯域の入力信号を増幅するための整合回路10aと増幅回路LBを有しているが、さらに、電力増幅器6には、GSM高周波帯域1710MHz〜1910MHzの入力信号も増幅できるようになっている。具体的には、電力増幅器6は、さらに、整合回路10bと増幅回路HBを有している。
【0037】
整合回路10bは、PAモジュールPAの入力端子TX(HB)inから入力する入力信号(RF入力)の反射を抑制して効率良く増幅回路HBに出力できるようになっている。この整合回路10bは、例えば、インダクタ、容量素子および抵抗素子などの受動部品から形成されており、入力信号に対するインピーダンス整合をとることができるように組み合わされている。整合回路10bに入力される入力信号は、第2周波数帯の信号である。例えば、第2周波数帯の信号としては、GSM(Global System for Mobile Communication)方式を利用した信号が挙げられ、周波数帯としては、GSM高周波帯域の1710MHz〜1910MHzを使用している信号である。この整合回路10bは、GSM高周波帯域の信号用の整合回路であり、上述したGSM低周波帯域の信号用の整合回路とは異なる数値の受動部品から構成されている。
【0038】
増幅回路HBは、整合回路10bに接続されており、整合回路10bから出力された入力信号を増幅するように構成されている。すなわち、増幅回路HBは、GSM高周波帯域の入力信号を増幅するアンプであり、例えば、3つの増幅段から構成されている。増幅回路HBでは、整合回路10bから出力されたGSM高周波帯域の入力信号がまず、初段の増幅段で増幅される。そして、初段の増幅段で増幅された入力信号は、中段の増幅段で増幅され、その後、終段の増幅段で増幅されるようになっている。この増幅回路HBによって、微弱な入力信号と相似の大電力の増幅信号を得ることができる。そして、このような機能を有する増幅回路HBには電源電位Vdd2とグラウンド電位が供給されている。このとき、増幅回路LBに供給される電源電位Vdd1と、増幅回路HBに供給される電源電位Vdd2とは同じ固定電位であり、ともに、グラウンド電位よりも高い電位となっている。
【0039】
以上のように本実施の形態における電力増幅器6は、GSM低周波帯域の信号とGSM高周波帯域の信号という異なる周波数帯域の信号を増幅できるように構成されている。そして、電力増幅器6は、GSM低周波帯域の信号を増幅する増幅回路LBと、GSM高周波帯域の信号を増幅する増幅回路HBとを制御する制御回路11を有している。制御回路11は、PAモジュールPAに入力される電源(電源電圧)と制御信号(パワー制御電圧)にしたがって、それぞれ、増幅回路LBと増幅回路HBにバイアス電圧を印加して増幅度を制御するように構成されている。
【0040】
このように、制御回路11は、増幅回路LBと増幅回路HBとの制御を行なうが、増幅回路LBの増幅度や増幅回路HBの増幅度が一定になるようにフィードバック制御を行なっている。このフィードバック制御の構成について説明する。
【0041】
フィードバック制御を実現するために、GSM低周波帯の信号を増幅する増幅回路LBの出力には、方向性結合器(カプラ)(図示せず)が設けられている。方向性結合器は、増幅回路LBで増幅された増幅信号の電力を検出できるように構成されている。具体的に方向性結合器は、主線路を構成する配線と副線路を構成する配線から形成されており、主線路を進行する増幅信号の電力を電磁界結合によって副線路で検出するものである。
【0042】
この方向性結合器には、検波回路13aが接続されている。検波回路13aは、方向性結合器により検出された電力を電圧あるいは電流に変換して制御回路11に検出信号を出力するように構成されている。このように、フィードバック制御は、方向性結合器と検波回路13aにより実現されている。制御回路11では、検波回路13aから入力した検出信号と制御信号(パワー制御電圧)の差分を算出し、算出した差分がなくなるように増幅回路LBに印加するバイアス電圧を調整するように構成されている。このようにして、制御回路11は、増幅回路LBの増幅度が一定になるように制御している。同様に、GSM高周波帯の信号を増幅する増幅回路HBの出力には、方向性結合器(カプラ)(図示せず)が設けられ、この方向性結合器に検波回路13bが接続されている。検波回路13bで検出された検出信号は、制御回路11に入力するようになっている。
【0043】
次に、出力整合回路12aは、電力増幅器6に含まれる増幅回路LBで増幅された増幅信号を入力し、この増幅信号のインピーダンス整合をとるように構成されている。すなわち、出力整合回路12aは、増幅回路LBで増幅された増幅信号を効率良く伝達する機能を有し、例えば、インダクタ、容量素子および抵抗素子などの受動部品から構成されている。この出力整合回路12aには、増幅回路LBで増幅された増幅信号が入力されるため、GSM低周波帯域の信号用の整合回路である。
【0044】
ローパスフィルタLPF1は、出力整合回路12aに接続されており、高調波ノイズを除去する機能を有している。例えば、増幅回路LBで入力信号を増幅する場合、GSM低周波帯域の信号が増幅されるが、このとき、GSM低周波帯域の整数倍の高調波も生成される。この高調波は、GSM低周波帯域の信号に含まれることになるが、GSM低周波帯域の増幅信号とは周波数の異なるノイズ成分となる。したがって、増幅されたGSM低周波帯域の増幅信号から高調波成分を除去する必要がある。この機能を有するのが、出力整合回路12aの後に接続されたローパスフィルタLPF1である。このローパスフィルタLPF1は、複数の周波数帯の信号から特定範囲の周波数帯の信号を通過させる選別回路として機能するものである。すなわち、ローパスフィルタLPF1は、GSM低周波帯域の増幅信号を通過させる一方、GSM低周波帯域の増幅信号よりも周波数の高い高調波を減衰させるように構成されている。このローパスフィルタLPF1により、GSM低周波帯域の増幅信号に含まれる高調波ノイズを低減することができる。
【0045】
続いて、GSM高周波帯域の増幅信号を生成する増幅回路HBの出力にも、出力整合回路12bとローパスフィルタLPF2が接続されている。具体的に、出力整合回路12bは、電力増幅器6に含まれる増幅回路HBで増幅された増幅信号を入力し、この増幅信号のインピーダンス整合をとるように構成されている。すなわち、出力整合回路12bは、増幅回路HBで増幅された増幅信号を効率良く伝達する機能を有し、例えば、インダクタ、容量素子および抵抗素子などの受動部品から構成されている。この出力整合回路12bには、増幅回路HBで増幅された増幅信号が入力されるため、GSM高周波帯域の信号用の整合回路である。
【0046】
ローパスフィルタLPF2は、出力整合回路12bに接続されており、高調波ノイズを除去する機能を有している。例えば、増幅回路HBで入力信号を増幅する場合、GSM高周波帯域の信号が増幅されるが、このとき、GSM高周波帯域の整数倍の高調波も生成される。この高調波は、GSM高周波帯域の信号に含まれることになるが、GSM高周波帯域の増幅信号とは周波数の異なるノイズ成分となる。したがって、増幅されたGSM高周波帯域の増幅信号から高調波成分を除去する必要がある。この機能を有するのが、出力整合回路12bの後に接続されたローパスフィルタLPF2である。このローパスフィルタLPF2は、複数の周波数帯の信号から特定範囲の周波数帯の信号を通過させる選別回路として機能するものである。すなわち、ローパスフィルタLPF2は、GSM高周波帯域の増幅信号を通過させる一方、GSM高周波帯域の増幅信号よりも周波数の高い高調波を減衰させるように構成されている。このローパスフィルタLPF2により、GSM高周波帯域の増幅信号に含まれる高調波ノイズを低減することができる。
【0047】
次に、アンテナスイッチ8は、アンテナANTに接続する回線を切り替えるように構成されており、この回線の切り替えは、切り替えスイッチによって行なわれる。具体的に、アンテナスイッチ8を構成する切り替えスイッチは、ローパスフィルタLPF1の出力とローパスフィルタLPF2の出力を切り替えて、アンテナANTに接続するように構成されている。つまり、ローパスフィルタLPF1から出力されるGSM低周波帯域の増幅信号をアンテナANTから出力する場合には、切り替えスイッチによって、ローパスフィルタLPF1の出力をアンテナANTに接続するように構成されている。一方、ローパスフィルタLPF2から出力されるGSM高周波帯域の増幅信号をアンテナANTから出力する場合には、切り替えスイッチによって、ローパスフィルタLPF2の出力をアンテナANTに接続するようになっている。このようにアンテナスイッチ8は、二系統の出力(送信状態)を切り替えるように構成されているとともに、さらに、受信状態にも切り替えることができるように構成されている。例えば、受信状態では、アンテナで受信した受信信号を受信回路へ出力するように切り替えスイッチを動作させるようになっている。この受信回路も複数存在するため、複数の受信回路へ切り替えることができるように切り替えスイッチが構成されている。例えば、複数の受信信号を出力する受信端子RX1〜RX4が設けられており、アンテナANTで受信された受信信号は、アンテナスイッチ8による切り替えにより対応する受信回路へ出力されるように構成されている。
【0048】
アンテナスイッチ8を構成する切り替えスイッチの制御は、ベースバンド部4からの制御信号に基づいて、アンテナスイッチ8内に形成されているデコーダ14によって行なわれる。このデコーダ14は、電力増幅器6のチップ内に内蔵されていても構わない。例えば、増幅された増幅信号(RF信号(低周波帯域))は、アンテナスイッチ8内に形成されている切り替えスイッチ(スイッチング素子)のオン/オフによってアンテナANTへの出力/非出力が制御されている。また、アンテナからの受信信号は、アンテナスイッチ8内に形成されている別の切り替えスイッチ(スイッチング素子)のオン/オフによって受信回路への出力/非出力が制御される。同様に、増幅された増幅信号(RF信号(高周波帯域))も図示していないが、アンテナスイッチ8内の切り替えスイッチ(スイッチング素子)のオン/オフによってアンテナANTへの出力/非出力が制御されている。
【0049】
続いて、ダイプレクサDiは、低周波帯域と高周波帯域の2つの異なる周波数帯域を分離する部品であり、アンテナ共有器、分波器とも呼ばれることもある。ダイプレクサDiを用いることで帯域の異なる信号を高価なアンテナスイッチを余分に使用しなくても1本のアンテナのみで信号分離を行うことができる。また、低周波帯域および高周波帯域(の送信モード(電力増幅器6から出力された大電力がスイッチを介してアンテナから送信される場合)時、電力増幅器6からの大電力がオフしている片方のスイッチはダイプレクサDiにより分離されている。そのため大電力に耐えられる回路的工夫が不要となるため、回路構成が簡素化できる利点もある。
【0050】
<<PAモジュールの動作>>
本実施の形態におけるPAモジュールPAは上記のように構成されており、以下に、その動作について説明する。図2に示すように、本実施の形態では、GSM低周波帯域の信号およびGSM高周波帯域の信号を増幅することができるように構成されているが、動作は同様なので、GSM低周波帯域の信号を増幅する動作について説明する。なお、通信方式は、GSM方式について説明しているが、その他の通信方式であってもよい。
【0051】
図2に示すように、PAモジュールPAに微弱な入力信号(RF入力)が入力されると、まず、微弱な入力信号は、整合回路10aに入力する。整合回路10aでは、微弱な入力信号に対して、インピーダンス整合をとっているので、反射することなく効率的に入力信号が増幅回路LBに向って出力される。続いて、増幅回路LBに入力した入力信号は、増幅回路LBを構成する3つの増幅段によって電力が増幅される。このとき、増幅回路LBによる電力の増幅は、制御回路11によって制御される。具体的には、制御回路11に入力する電源(電源電圧)と制御信号(パワー制御電圧)に基づいて、制御回路11は、増幅回路LBにバイアス電圧を印加する。すると、増幅回路LBは、制御回路11からのバイアス電圧に基づいて入力信号を増幅して増幅信号を出力する。このようにして、電力増幅器6で増幅された増幅信号が出力される。
【0052】
電力増幅器6から出力される増幅信号は、一定電力であることが望ましい。しかし、外部からの影響により実際に出力される増幅信号の電力が所望の電力になっているとは限らない。そこで、増幅回路LBを制御する制御回路11にフィードバックをかけている。このフィードバック回路の動作について説明する。
【0053】
増幅回路LBで増幅された増幅信号の電力は、方向性結合器(カプラ)(図示せず)によって検出される。方向性結合器で検出された電力は、方向性結合器に接続されている検波回路13aで電圧に変換される。検波回路13aで変換された電圧からなる検出信号は、制御回路11に入力する。一方、制御回路11には、PAモジュールPAの外部から入力した制御信号(パワー制御電圧)も入力している。そして、制御回路11は、検波回路13aで変換された検出信号と、PAモジュールPAの外部から入力した制御信号との差分を算出する。次に、制御回路11は、算出された差分がなくなるように制御回路11から増幅回路LBへ印加するバイアス電圧を制御する。このようにして、増幅回路LBで増幅された増幅信号の電力が一定となる。この動作がフィードバック回路の動作である。
【0054】
続いて、増幅回路LBで増幅された増幅信号は、出力整合回路12aに入力する。出力整合回路12aでは、増幅された増幅信号に対して、インピーダンス整合をとっているので、反射することなく効率的に増幅信号がローパスフィルタLPF1に向って出力される。続いて、ローパスフィルタLPF1に入力した増幅信号は、ローパスフィルタLPF1で増幅信号に含まれる高次高調波が除去される。その後、ローパスフィルタLPF1を通過した増幅信号は、アンテナスイッチ8に入力する。このとき、ベースバンド部からのスイッチ切り替え制御信号によってアンテナスイッチ8を構成する切り替えスイッチが制御される。いまの場合には、ローパスフィルタLPF1とアンテナANTが電気的に接続するように切り替えスイッチを制御する。これにより、ローパスフィルタLPF1から出力された増幅信号は、オン状態の切り替えスイッチを介してダイプレクサDiに出力され、このダイプレクサDiからアンテナANTへ送信される。以上のようにして、PAモジュールPAで増幅された増幅信号をアンテナANTから送信することができる。
【0055】
次に、アンテナANTで受信した受信信号を取り込む動作につい説明する。アンテナANTで受信された受信信号は、ダイプレクサDiを介してアンテナスイッチ8に入力する。アンテナスイッチ8に入力した受信信号は、ベースバンド部からのスイッチ切り替え制御信号により切り替えスイッチを切り替える。具体的には、アンテナANTとPAモジュールPAの外部に設けられている受信回路(図示せず)とを電気的に接続するように、アンテナスイッチ8に含まれる切り替えスイッチを切り替える。すると、アンテナANTで受信された受信信号は、アンテナスイッチ8を構成する切り替えスイッチを介して受信回路に入力する。そして、受信回路内で信号処理される。このようにして、受信信号を受信することができる。
【0056】
続いて、図2に示す増幅回路LBの構成例について説明する。図3は、増幅回路LBの構成例を示す図である。なお、図3には図示していないが、図2に示す増幅回路HBも増幅回路LBと同様の構成をしているため説明は省略する。
【0057】
図3に示すように、増幅回路LBは、MOSFETからなる増幅段Q1〜増幅段Q3と、段間整合回路15a、15bとを有している。増幅段Q1のゲート電極は、図2に示す整合回路10aに接続されており、増幅段Q1のドレイン電極は、段間整合回路15aの入力と接続されている。そして、段間整合回路15aの出力は、増幅段Q2のゲート電極に接続されており、増幅段Q2のドレイン電極は段間整合回路15bの入力に接続されている。さらに、段間整合回路15bの出力は、増幅段Q3のゲート電極に接続されており、増幅段Q3のドレイン電極は、図2に示す出力整合回路12aと接続されている。
【0058】
増幅段Q1〜増幅段Q3のドレイン電極は電源電位Vdd1に接続されており、増幅段Q1〜増幅段Q3のソース電極はグラウンド電位に接続されている。具体的に、増幅段Q1のソース電極はグラウンド電位GND1に接続され、増幅段Q2のソース電極はグラウンド電位GND2に接続されている。同様に、増幅段Q3のソース電極はグラウンド電位GND3に接続されている。一方、増幅段Q1〜増幅段Q3のゲート電極は、制御回路11と接続されている。
【0059】
このように構成されている増幅回路LBにおいては、図2に示す整合回路10aから出力された入力信号が増幅段Q1に入力する。そして、増幅段Q1では、制御回路11からのバイアス電圧に基づいて入力信号を増幅して増幅信号を出力する。その後、増幅段Q1で増幅された信号は、段間整合回路15aを通って、増幅段Q2に入力する。増幅段Q2では、制御回路11からのバイアス電圧に基づいて増幅段Q1から出力された信号を増幅して出力する。その後、増幅段Q2で増幅された信号は、段間整合回路15bを通って、増幅段Q3に入力する。増幅段Q3では、制御回路11からのバイアス電圧に基づいて増幅段Q2から出力された信号を増幅して出力する。以上のようにして、増幅段Q1〜増幅段Q3を有する増幅回路LBから入力信号を増幅した増幅信号を出力することができる。
【0060】
次に、上述したPAモジュールPAに含まれる電力増幅器6のデバイス構成について説明する。電力増幅器6は、例えば、1つの半導体チップに形成されている。半導体チップ内(または表層部分)には、増幅回路LB、HBを構成する半導体増幅素子(例えばMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor))、制御回路11を構成する半導体素子および整合回路(段間整合回路)10a、10bを構成する受動素子などが形成されている。このように、PAモジュール(電子装置)PAは、電力増幅器6を有し、半導体チップはその電力増幅器6を構成する半導体素子が形成されている。半導体チップは、例えば、単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)に半導体集積回路を形成した後、必要に応じて半導体基板の裏面研削を行ってから、ダイシングなどにより半導体基板を各半導体チップに分離したものである。
【0061】
<<LDMOSFETの構造>>
図4は、一例として、電力増幅器6の増幅回路LB、HBを構成する半導体増幅素子をLDMOSFET(Laterally Diffused Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor、横方向拡散MOSFET)から形成した場合の半導体チップCHP1における断面図である。
【0062】
図4に示すように、p型単結晶シリコンからなる半導体基板101の主面には、p型単結晶シリコンからなるエピタキシャル層102が形成され、エピタキシャル層102の主面の一部には、LDMOSFETのドレイン領域からソース領域への空乏層の延びを抑えるパンチスルーストッパとしてのp型ウェル106が形成されている。p型ウェル106の表面には、酸化シリコン膜などからなるゲート絶縁膜107を介してLDMOSFETのゲート電極108が形成されている。ゲート電極108は、例えばn型の多結晶シリコン膜あるいはn型の多結晶シリコン膜と金属シリサイド膜の積層膜などからなり、ゲート電極108の側壁には、酸化シリコン膜などからなるサイドウォール111が形成されている。
【0063】
エピタキシャル層102の内部のチャネル形成領域を挟んで互いに離間する領域には、LDMOSFETのソース領域とドレイン領域が形成されている。ドレイン領域は、チャネル形成領域に接するn型オフセットドレイン領域109と、n型オフセットドレイン領域109に接し、チャネル形成領域から離間して形成されたn型オフセットドレイン領域112と、n型オフセットドレイン領域112に接し、チャネル形成領域からさらに離間して形成されたn型ドレイン領域113とからなる。これらn型オフセットドレイン領域109、n型オフセットドレイン領域112およびn型ドレイン領域113のうち、ゲート電極108に最も近いn型オフセットドレイン領域109は不純物濃度が最も低く、ゲート電極108から最も離間したn型ドレイン領域113は不純物濃度が最も高くなっている。
【0064】
LDMOSFETのソース領域は、チャネル形成領域に接するn型ソース領域110と、n型ソース領域110に接し、チャネル形成領域から離間して形成され、n型ソース領域110よりも不純物濃度が高いn型ソース領域114とからなる。n型ソース領域110の下部には、p型ハロー領域(図示せず)を形成することもできる。
【0065】
型ソース領域114の端部(n型ソース領域110と接する側と反対側の端部)には、n型ソース領域114と接するp型打抜き層104が形成されている。p型打抜き層104の表面近傍には、p型半導体領域115が形成されている。p型打抜き層104は、LDMOSFETのソース領域と半導体基板101とを電気的に接続するための導電層であり、例えばエピタキシャル層102に形成した溝103の内部に埋め込んだp型多結晶シリコン膜によって形成される。
【0066】
LDMOSFETのp型打抜き層104(p型半導体領域115)、ソース領域(n型ソース領域114)およびドレイン領域(n型ドレイン領域113)のそれぞれの上部には、絶縁膜121(層間絶縁膜)に形成されたコンタクトホール122内のプラグ123が接続されている。p型打抜き層104(p型半導体領域115)およびソース領域(n型ソース領域114)には、プラグ123を介してソース電極124aが接続され、ドレイン領域(n型ドレイン領域113)には、プラグ123を介してドレイン電極124bが接続されている。
【0067】
ソース電極124aおよびドレイン電極124bのそれぞれには、ソース電極124aおよびドレイン電極124bを覆う絶縁膜(層間絶縁膜)125に形成されたスルーホール126内のプラグ127を介して配線128が接続されている。配線128の上部には、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜からなる表面保護膜(絶縁膜)129が形成されている。図示はしないが、表面保護膜129に形成された開口部から露出する配線128(およびその上に形成した金膜など)により、パッド電極(ボンディングパッド)が形成されている。また、半導体基板101の裏面には裏面電極(ソース裏面電極)130が形成されている。
【0068】
<<HEMTの構造>>
続いて、上述したPAモジュールPAに含まれるアンテナスイッチ8のデバイス構成について説明する。アンテナスイッチ8は、例えば、1つの半導体チップに形成されている。アンテナスイッチ8は、トランジスタから形成されており、例えば、電界効果トランジスタの一種であるHEMT(High Electron Mobility Transistor)から構成される。このHEMTのデバイス構造について説明する。
【0069】
図5は、本実施の形態における半導体チップ2に形成されたHEMTの構成を示す断面図である。図5において、半絶縁性基板200上にエピタキシャル層201が形成されている。半絶縁性基板200とは、化合物半導体であるGaAs基板から構成される以下に示すような基板である。つまり、禁制帯幅の大きい化合物半導体では、ある種の不純物を添加すると、禁制帯の内部に深い準位が形成される。そして、この深い準位の電子および正孔が固定され、伝導帯の電子密度あるいは価電子帯の正孔密度が非常に小さくなり絶縁体に近くなる。このような基板を半絶縁性基板と呼ぶ。GaAs基板では、Cr、In、酸素などを添加したり、過剰に砒素を導入することにより深い準位が形成され、半絶縁性基板となる。
【0070】
半絶縁性基板200上に形成されているエピタキシャル層201は、例えば、GaAs層から形成されている。そして、このエピタキシャル層201上にバッファ層202が形成され、このバッファ層202上にAlGaAs層203が形成される。このAlGaAs層203はメサ形状に加工され素子分離がなされている。そして、AlGaAs層203上にゲート電極206が形成されている。ゲート電極206は、例えば、Pt(白金)を最下層とする金属層から形成され、下層よりPt、Ti(チタン)、Pt、Au(金)を順次積層した積層膜が用いられる。これにより、AlGaAs層203とゲート電極206(最下層のPt)とは、ショットキー接合を形成することになる。さらに、ゲート電極206を離間して挟むように、n型GaAs層204が形成されており、このn型GaAs層204上にオーミック電極205a、205bが形成されている。このオーミック電極205aと205bは、n型GaAs層204とオーミック接触するように構成されている。
【0071】
上述した高電子移動度トランジスタ(HEMT)は、半絶縁性基板(化合物半導体基板)200上に、高抵抗なエピタキシャル層201(GaAs層)とAlGaAs層203を積層して形成し、GaAs層とAlGaAs層とのヘテロ結合界面にできる三角形の井戸型ポテンシャルを利用するものである。この高電子移動度トランジスタ(HEMT)は、AlGaAs層203の表面に金属膜を形成してショットキー障壁型のゲート電極206を有し、このゲート電極206を挟んで、ヘテロ接合面に電流を流すためのオーム性のソース電極(オーミック電極205a)とドレイン電極(オーミック電極205b)を設けた構造をしている。
【0072】
高電子移動度トランジスタ(HEMT)は、この井戸型ポテンシャルに形成される2次元電子ガスをキャリアとして利用する。ヘテロ接合界面に存在する井戸型ポテンシャルの幅が電子の波長と同程度の幅しかなく、電子は、ほぼ界面に沿った2次元的な運動しかできないため、大きな電子移動度が得られるという特性がある。したがって、2次元電子ガスの高移動度特性により、高周波特性および高速特性に優れ、雑音が非常に少ないことから、高速性を要求されるアンテナスイッチに使用されている。
【0073】
<<PAモジュールの実装構成>>
次に、本実施の形態におけるPAモジュールPAの実装構成について説明する。図6は、本実施の形態におけるPAモジュールPAの実装構成を示す平面図である。図6に示すように、本実施の形態におけるPAモジュールPAは、配線基板WB上に、半導体チップCHP1、半導体チップCHP2、受動部品PCおよび集積受動部品IPDが搭載されている。半導体チップCHP1は、図2に示す電力増幅器6を構成するLDMOSFET(図4参照)などが形成された半導体チップである。一方、半導体チップCHP2は、図2に示すアンテナスイッチ8を構成するHEMT(図5参照)などが形成された半導体チップである。受動部品PCは、抵抗素子(例えばチップ抵抗)、容量素子(例えばチップコンデンサ)またはインダクタ素子(例えばチップインダクタ)などの受動素子からなり、例えばチップ部品からなる。受動部品PCは、例えば図2に示す整合回路10a、10bや出力整合回路12a、12bなどを構成する受動部品である。さらに、集積受動部品IPDは、図2に示すローパスフィルタLPF1、LPF2を構成する集積受動素子(IPD:Integrated Passive Device)である。集積受動部品IPD内に、ローパスフィルタLPF1、LPF2を構成するインダクタ素子および容量素子が形成されている。
【0074】
配線基板WB上に搭載されている半導体チップCHP1は、配線基板WB上に形成されている端子TEとワイヤW1で接続されており、この端子TEは配線パターンWPと電気的に接続されている。この配線パターンWPで受動部品PCや集積受動部品IPDと接続されている。同様に、配線基板WB上に搭載されている半導体チップCHP2は、配線基板WB上に形成されている端子TEとワイヤW2で接続されており、この端子TEは配線パターンWPと電気的に接続されている。このようにして、半導体チップCHP1、半導体チップCHP2、受動部品PCおよび集積受動部品IPDが配線パターンWPを介して電気的に接続されていることになる。
【0075】
半導体チップCHP1は、例えば、シリコンから構成され、半導体チップCHP2は、例えば、GaAs基板などの化合物半導体基板から構成されている。受動部品PCは、多結晶シリコン膜を使用した抵抗素子、容量絶縁膜を導体膜で挟んだ容量素子、および配線からなるインダクタ素子などから構成され、集積受動部品IPDも、上述した容量素子やインダクタ素子から構成されている。さらに、端子TEおよび配線パターンWPは、例えば、銅膜から形成されている。
【0076】
続いて、PAモジュールPAの断面構造について説明する。図7は、本実施の形態におけるPAモジュールPAの実装構成を示す断面図である。この図7は、図6の所定位置で切断した断面とは完全に一致していない。
【0077】
図7において、配線基板WBは、例えば、複数の絶縁体層(誘電体層)と、複数の導体層または配線層(図示せず)とを積層して一体化した多層基板である。図7では、4つの絶縁体層が積層されて配線基板WBが図示されているが、積層される絶縁体層の数はこれに限定されるものではなく種々変更可能である。配線基板WBの絶縁体層を形成する材料としては、例えば、PCB材料や、アルミナ(酸化アルミニウム、Al)などのようなセラミック材料を用いることができる。この場合、配線基板WBは、PCB基板やセラミック多層基板となる。配線基板WBの絶縁体層の材料は、PCB材料やセラミック材料に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えばガラスエポキシ樹脂などを用いてもよい。
【0078】
配線基板WBの上面(表面、主面)上と下面(裏面)上と絶縁体層間とには、配線形成用の導体パターンが形成されている。配線基板WBの最上層の導体パターンによって、配線基板WBの上面に配線パターンWP(端子TEを含む)が形成され、配線基板WBの最下層の導体パターンによって、配線基板WBの下面に裏面端子TECおよび裏面端子TEPが形成されている。
【0079】
配線基板WBの上面に端子TEが、配線パターンWPの一部によって形成されている。端子TEは、配線基板WBの上面の配線パターンWPのうち、半導体チップCHP1、半導体チップCHP2のパッドPD1、PD2とワイヤW1、W2を介して電気的に接続される部分や、受動部品PCまたは集積受動部品IPDの電極と接続される部分である。配線基板WBの裏面には、裏面端子TECや裏面端子TEPが形成されており、この裏面端子TECや裏面端子TEPは外部接続端子に対応するものである。つまり、配線基板WBの裏面に形成されている裏面端子TECや裏面端子TEPによって、PAモジュールPAを構成する配線基板WBが実装基板(マザーボード)に実装される。さらに、配線基板WBの内部、すなわち、絶縁体層の間にも導体パターンが形成されているが、図7では簡略化のために図示を省略している。
【0080】
配線基板WBを構成する各導体パターン(配線層)は、必要に応じて絶縁体層に形成されたビアホール(スルーホール)V内の導体または導体膜を通じて電気的に接続されている。したがって、配線基板WBの上面に形成されている端子TEは、必要に応じて配線基板WBの上面に形成されている配線パターンWP、配線基板WBの内部に形成されている導体パターン(絶縁体層間の配線層)やビアホールV内の導体膜などを介して結線され、配線基板WBの下面に形成されている裏面端子TECや裏面端子TEPと電気的に接続されている。なお、ビアホールVのうち、半導体チップCHP1の下方に設けられたビアホールVは、半導体チップCHP1などで生じた熱を配線基板WBの裏面から放散させるためのサーマルビアとしても機能する。すなわち、半導体チップCHP1は、配線基板WBを貫通するビア(ビアホールVの内部に導体膜を形成したもの)で、配線基板WBの裏面の中央部に形成されている裏面端子TECと接続されている。したがって、半導体チップCHP1で発生した熱は、ビアを介して配線基板WBの裏面に形成されている裏面端子TECに伝導し、裏面端子TECから放散される。このことから、裏面端子TECは、半導体チップCHP1で発生した熱を放散させる機能も有しているといえる。
【0081】
配線基板WBの上面には、受動部品PC、半導体チップCHP1、集積受動部品IPDおよび半導体チップCHP2が搭載されている。受動部品PCは、配線基板WBの上面に形成されている端子TEと半田Sを介して電気的に接続されている。同様に、半導体チップCHP1は、半導体チップCHP1の裏面に形成された裏面電極BEと、配線基板WBの上面に形成された配線パターンWPと半田Sを介して電気的に接続されている。一方、半導体チップCHP1の表面に形成されているパッドPD1は、ワイヤW1を介して配線基板WBに形成されている端子TEと電気的に接続されている。さらに、集積受動部品IPDは、バンプ電極BPによって配線基板WBの上面に形成されている端子TEと電気的に接続されている。また、半導体チップCHP2は、配線基板WBの上面に形成された配線パターンWPと半田Sを介して電気的に接続されている。一方、半導体チップCHP2の表面に形成されているパッドPD2は、ワイヤW2を介して配線基板WBに形成されている端子TEと電気的に接続されている。
【0082】
そして、配線基板WB上に搭載された受動部品PC、半導体チップCHP1、集積受動部品IPDおよび半導体チップCHP2を覆うように樹脂体MRが形成されている。
【0083】
<<PAモジュールの裏面構造>>
本実施の形態におけるPAモジュールPAは上述したように実装構成されており、以下では、PAモジュールPAの裏面に形成されている裏面端子TEC、裏面端子TEPの配置について説明する。本実施の形態におけるPAモジュールPAの特徴は、PAモジュールPAを構成する配線基板WBの裏面(チップ搭載面とは反対側の面)に形成される裏面端子TECおよび裏面端子TEPのレイアウト構成に特徴がある。まず、この特徴点を説明する前に、通常のPAモジュールPAの裏面における裏面端子TECおよび裏面端子TEPのレイアウトパターンについて説明し、その問題点を説明した後、本実施の形態におけるPAモジュールPAの特徴であるレイアウト構成について説明する。
【0084】
図8は、一般的なPAモジュールPAの裏面におけるレイアウト構成を示す図である。図8に示すように、PAモジュールPAは、矩形形状をした配線基板WBを備えており、この配線基板WBの裏面に裏面端子TECおよび裏面端子TEPが形成されている。具体的に、配線基板WBの裏面の中央部に矩形形状の裏面端子TECが形成されており、この裏面端子TECを囲む配線基板WBの周辺部に沿って矩形形状をした複数の裏面端子TEPが形成されている。配線基板WBの中央部に形成されている裏面端子TECは、配線基板WBの周辺部に形成されている裏面端子TEPよりもサイズが大きく、かつ、裏面端子TECは基準電位(例えば、グラウンド(接地)電位)が印加される第1基準電位用端子として機能する。このグラウンド電位を供給する裏面端子TECは、配線基板WBの表面(主面)に搭載された半導体チップCHP1などとビアホールを介して接続されており、半導体チップCHP1で発生した熱を効率的に放散させる機能も有している。このため、配線基板WBの中央部に形成されている裏面端子TECは、放熱効率を向上させるため、面積が大きくなっている。
【0085】
配線基板WBの周辺部に形成されている複数の裏面端子TEPは、信号用端子と電源電位用端子と基準電位用端子(第2基準電位用端子)が含まれている。つまり、複数の裏面端子TEPには、異なる電位が印加される複数の端子が含まれている。
【0086】
例えば、図8において、配線基板WBの周辺部に配置されている複数の裏面端子TEPのうち、互いに隣り合う裏面端子TEPの一部として、裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdを取り上げる。この場合、例えば、裏面端子TEPa(第2基準電位用端子)と裏面端子TEPb(第3基準電位用端子)はグラウンド電位が印加される端子であり、裏面端子TEPcと裏面端子TEPdは、例えば、図2中の入力端子TX(LB)in、入力端子TX(HB)in、受信端子RX1〜RX4、アンテナANTなどのいずれかを流れる信号が印加される端子である。
【0087】
一般的なPAモジュールPAの裏面レイアウトは上記のように構成されており、配線基板WBの裏面に形成された裏面端子TECおよび裏面端子TEPを実装基板(マザーボード)に形成されている電極と接続するように、実装基板にPAモジュールPAが搭載される。図9は、PAモジュールPAを実装基板MBに搭載した状態を示す模式的な平面図である。
【0088】
以下に、PAモジュールPAを実装基板上に搭載する構造の詳細について、PAモジュールPAの裏面に形成されている裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdと、実装基板MBに形成されている電極とを接続する場合を例にとって説明する。図8に示すPAモジュールPAの裏面に形成された裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdに対応する実装基板MBの電極配置を図10に示す。図10には、実装基板MBに形成されている電極の一部である電極E1a〜電極E1dが示されている。この電極E1a〜電極E1dは所定間隔を置いて実装基板MB上に配置されている。そして、実装基板MB上に形成されている電極E1a〜電極E1dは、図8に示すPAモジュールPAの裏面に形成されている裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdにそれぞれ接続される。実際に実装基板MB上にPAモジュールPAを搭載する場合、図10に示すように、実装基板MBに形成されている電極E1a〜電極E1dのそれぞれ上に半田SOLが形成される。
【0089】
一方、図11はPAモジュールPAに形成されている裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdを示す図である。図10と図11を見るとわかるように、図10に示す電極E1a〜電極E1dが、それぞれ、図11に示す裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdに対応していることがわかる。
【0090】
続いて、図12は、実装基板MB上にPAモジュールPAを搭載した断面図である。図12に示すように、PAモジュールPAに形成された裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdは、それぞれ、実装基板MBに形成された電極E1a〜電極E1dと半田SOLを介して電気的に接続される。具体的には、実装基板MBに形成されている電極E1a〜電極E1d上に半田印刷法などより半田SOLを形成した後、電極E1a〜電極E1dにPAモジュールPAの裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdが相対するように、PAモジュールPAを実装基板MB上に配置する。そして、PAモジュールPAを搭載した実装基板MBに対してリフロー(熱処理)を施すことにより、半田SOLを溶融させて、裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdと電極E1a〜電極E1dとを半田SOLで接続する。このとき、裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdのそれぞれと、電極E1a〜電極E1dのそれぞれとは、同じ面積をしているので、裏面端子TEPaと電極E1aとの間、裏面端子TEPbと電極E1bとの間、裏面端子TEPcと電極E1cとの間および裏面端子TEPdと電極E1dとの間に形成される半田SOLの厚さはそれぞれ均一の厚さd1となる。このため、PAモジュールPAと実装基板MBとの接続信頼性を確保できる。すなわち、裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdと、電極E1a〜電極E1dとの間に形成される半田SOLの厚さを均一にすることができるので、PAモジュールPAの表面と実装基板MBの表面との平坦性を確保できる結果、PAモジュールPAと実装基板MBとの接続を確実に行なうことができる。このように、図8に示すような一般的なPAモジュールにおける裏面レイアウトにおいては、実装基板MBとPAモジュールPAとの接続信頼性を確保できるが、それとは別に以下に示す問題点が存在する。
【0091】
図8に示す一般的なPAモジュールPAにおいて、配線基板WBの裏面には、基準電位(グラウンド電位)を供給する端子が複数存在している。これは、図2に示すように、例えば、電力増幅器6内の増幅回路LBや増幅回路HBのそれぞれの増幅段(回路素子)にグラウンド電位を供給する必要があり、これらの回路素子に接続するように、それぞれ、例えば、基準電位(グラウンド電位)を供給する裏面端子TECおよび裏面端子TEPa、TEPbが形成されているのである。つまり、図8に示す一般的なPAモジュールPAにおいては、PAモジュールPAを構成する各回路素子に独立して基準電位(グラウンド電位)を供給していることになる。例えば、図3に示すグラウンド電位GND1を供給する端子が裏面端子TECに対応し、グラウンド電位GND2を供給する端子が裏面端子TEPaに対応し、グラウンド電位GND3を供給する端子が裏面端子TEPbに対応すると考えることができる。
【0092】
このように電気的に独立して基準電位(グラウンド電位)を供給する裏面端子TEC、TEPa、TEPbを形成する場合、各裏面端子TEC、TEPa、TEPbから供給されるグラウンド電位が不安定になりやすい。つまり、各裏面端子TEC、TEPa、TEPbに印加されるグラウンド電位がノイズなどによって変動しやすくなる現象が生じる。このように裏面端子TEC、TEPa、TEPbに印加されるグラウンド電位が変動して不安定になると、例えば、図2に示す増幅回路LB、HBにおいて、増幅回路LB、HBが正常に動作せずに発振してしまう問題が生じる。つまり、一般的なPAモジュールPAでは、基準電位(グラウンド電位)を供給する複数の裏面端子TEC、TEPa、TEPbが独立して配置されているが、このように裏面端子TEC、TEPa、TEPbを独立して配置すると、PAモジュールPAの電気的特性が劣化してしまう問題点が顕在化してきている。
【0093】
言い換えれば、グラウンド電位は、実装基板(マザーボード)からPAモジュールPAに供給され、さらに、PAモジュールPAの端子(裏面端子TEC、裏面端子TEPa、裏面端子TEPb)を介して半導体チップに形成されている増幅回路LBや増幅回路HB(図2参照)に供給される。したがって、実装基板から供給されるグラウンド電位がそのままの電位で増幅回路LBや増幅回路HBに安定して供給されればよいが、実装基板と半導体チップとの間に存在する配線基板WBで電気的に分離された別々の端子(例えば、TEC、TEPa、TEPb)からグラウンド電位が供給される場合、実装基板から配線基板WBを介して半導体チップ(増幅回路LB、増幅回路HB)へのグラウンド電位の不安定性が増加する。このようにグラウンド電位の不安定性が増加すると、半導体チップ(増幅回路LB、増幅回路HB)のそれぞれでのグラウンド電位が同電位とならなくなる(一部のグラウンド電位が浮いた状態)。この結果、半導体チップ(増幅回路LB、増幅回路HB)内の各グラウンド電位に電位差が生じて電流が流れることになり、増幅回路LB内や増幅回路HB内において発振現象が生じてしまうのである。ここでいう各グラウンド電位の不安定性が増加するとは、各グラウンド電位間を接続する抵抗が無視できなくなり、各グラウンド電位間が同電位とならなくなる状態(一部のグラウンド電位が浮いた状態)が起こりやすくなることを意味している。各グラウンド電位の安定性が低下する現象は、各グラウンド電位を電気的に分離した状態にするほど生じやすくなることを本発明者らは見出している。
【0094】
以上のように、実装基板から配線基板WBを介して半導体チップにグラウンド電位を供給する場合、グラウンド電位の不安定性に起因した増幅回路LBや増幅回路HBでの発振現象は、増幅回路LBや増幅回路HBのそれぞれの増幅段に半導体チップ内でグラウンド電位を分離して供給する構成をとり、かつ、配線基板WBでも電気的に分離された別々の端子から半導体チップ内へグラウンド電位を供給する場合に顕著となる。ただし、増幅回路LBや増幅回路HBのそれぞれの増幅段へ供給する各グラウンド電位を半導体チップ内で共通化する構成をとる場合であっても、配線基板WBでも電気的に分離された別々の端子から半導体チップ内へ各グラウンド電位を供給する場合は、各グラウンド電位の安定性が低下し、グラウンド電位の不安定性に起因した増幅回路LBや増幅回路HBでの発振現象が問題となる。つまり、半導体チップ内でのグラウンド電位の共通化の有無にかかわらず、配線基板WBにおいて、電気的に分離された別々の端子からグラウンド電位を半導体チップ内へ供給する場合はPAモジュールPAの電気的特性を劣化させてしまうのである。
【0095】
そこで、基準電位(グラウンド電位)を安定して供給するために、配線基板WBに独立のパターンとして形成されている裏面端子TEC、TEPa、TEPbを電気的に接続することが考えられる。すなわち、各裏面端子TEC、TEPa、TEPbを電気的に接続して共通化することにより、グラウンド電位の変動を抑制して安定したグラウンド電位を供給することができる。つまり、基準電位(グラウンド電位)を印加する裏面端子TEC、TEPa、TEPbを電気的に接続することにより、電圧変動の少ない安定したグラウンド電位を供給することができ、PAモジュールPAの電気的特性を向上することができることが本発明者の検討により明らかになっている。例えば、PAモジュールPAの電気的特性の向上の一例としては、裏面端子TEC、TEPa、TEPbを電気的に接続することにより、グラウンド電位の安定性が向上した結果、図2に示す増幅回路LB、HBに変動の少ない安定したグラウンド電位を供給することができ、増幅回路LB、HBでの発振現象を抑制できることが挙げられる。
【0096】
以上のことから、図8に示す一般的なPAモジュールPAの裏面レイアウトでは、PAモジュールPAの電気的特性の向上を図る観点から充分といえず、PAモジュールPAの電気的特性を向上するため、改良する余地があることがわかる。そこで、グラウンド電位を印加する端子を共通化する工夫を施して、PAモジュールPAの電気的特性を向上させることが考えられる。この場合、PAモジュールPAの裏面に形成されている複数の端子(グラウンド電位を供給する端子)を電気的に接続する技術的思想と、PAモジュールPAを搭載する実装基板MBに形成されている電極(グラウンド電位が印加される電極)を電気的に接続する技術的思想が考えられる。
【0097】
しかし、実装基板MBに形成されている電極パターンを変更せずにPAモジュールPAの電気的特性を向上させることが望まれる。
【0098】
以下では、PAモジュールPAの電気的特性を向上させる観点から、PAモジュールPAの裏面に形成されている複数の端子(グラウンド電位を供給する端子)を電気的に接続する技術的思想を実現することを考える。ここで、単純に、PAモジュールPAの裏面に形成されている複数の端子(グラウンド電位を供給する端子)を電気的に接続する構成をとると、実装基板MBに形成されている電極パターンを変更しないという条件がある関係から不都合が生じることについて比較例を使用して説明する。
【0099】
図13は比較例におけるPAモジュールPAの裏面レイアウトを示す平面図である。図13に示すように、PAモジュールPAを構成する配線基板WBの裏面には、大面積の裏面端子TECと、この裏面端子TECの周囲に形成された複数の裏面端子TEPが形成されている。裏面端子TECはグラウンド電位が印加される端子(第1基準電位用端子)であり、複数の裏面端子TEPには、信号が印加される信号端子、電源電圧が印加される電源電位用端子、および、基準電位(グラウンド電位)が印加される基準電位用端子が含まれている。具体的に、複数の裏面端子TEPに中には、例えば、図13に示すように、裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdが配置されている。このとき、裏面端子TEPa(第2基準電位用端子)および裏面端子TEPb(第3基準電位用端子)はグラウンド電位が印加される端子であり、裏面端子TEPcおよび裏面端子TEPdは信号が印加される信号用端子である。図13では、グラウンド電位を印加する裏面端子TEPa、TEPbは、配線基板WBの中央部に形成されている裏面端子TECと一体的に形成されている。つまり、裏面端子TECと裏面端子TEPa、裏面端子TEPbとは電気的に接続されている。図13では、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbが裏面端子TECと一体的に形成されるように図示されているが、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbの形状がわかるように点線で示している。ここで、点線で示している裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとは裏面導体パターンCP1で接続されていると見ることができる。
【0100】
このように比較例におけるPAモジュールPAでは、グラウンド電位を印加する裏面端子TEC、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbを電気的に接続していることから、グラウンド電位の変動を抑制して安定したグラウンド電位を供給することができると考えられる。つまり、基準電位(グラウンド電位)を印加する裏面端子TEC、TEPa、TEPbを電気的に接続することにより、電圧変動の少ない安定したグラウンド電位を供給することができ、PAモジュールPAの電気的特性を向上することができると考えられる。
【0101】
しかし、比較例においては、実装基板MBにPAモジュールPAを実装する際の接続信頼性が低下する問題点が発生する。この問題点について説明する。
【0102】
以下に、比較例におけるPAモジュールPAを実装基板上に搭載する構造の詳細について、PAモジュールPAの裏面に形成されている裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdと、実装基板MBに形成されている電極とを接続する場合を例にとって説明する。図13に示すPAモジュールPAの裏面に形成された裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdに対応する実装基板MBの電極配置を図14に示す。図14には、実装基板MBに形成されている電極の一部である電極E1a〜電極E1dが示されている。この電極E1a〜電極E1dは所定間隔を置いて実装基板MB上に配置されている。そして、実装基板MB上に形成されている電極E1a〜電極E1dは、図13に示すPAモジュールPAの裏面に形成されている裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdにそれぞれ接続される。実際に実装基板MB上にPAモジュールPAを搭載する場合、図14に示すように、実装基板MBに形成されている電極E1a〜電極E1dのそれぞれ上に半田SOLが形成される。ここで、実装基板MBに形成されている電極E1a〜電極E1dの電極パターンは変更されていない。
【0103】
一方、図15はPAモジュールPAに形成されている裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdを示す図である。図14と図15を見るとわかるように、図14に示す電極E1a〜電極E1dが、それぞれ、図15に示す裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdに対応していることがわかる。このとき、図15に示す裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとは裏面導体パターンCP1によって電気的に接続されている。
【0104】
続いて、図16は、実装基板MB上にPAモジュールPAを搭載した断面図である。図16に示すように、PAモジュールPAに形成された裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdは、それぞれ、実装基板MBに形成された電極E1a〜電極E1dと半田SOLを介して電気的に接続される。具体的には、実装基板MBに形成されている電極E1a〜電極E1d上に半田印刷法などより半田SOLを形成した後、電極E1a〜電極E1dにPAモジュールPAの裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdが相対するように、PAモジュールPAを実装基板MB上に配置する。そして、PAモジュールPAを搭載した実装基板MBに対してリフロー(熱処理)を施すことにより、半田SOLを溶融させて、裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdと電極E1a〜電極E1dとを半田SOLで接続する。
【0105】
ここで、図14に示すように、実装基板MBに形成されている電極E1a〜E1dの形状は変化していないことから、この電極E1a〜電極E1dのそれぞれ上に形成される半田SOLの量も一定である。電極E1a〜電極E1dのそれぞれの面積をAとし、それぞれの電極E1a〜電極E1d上に形成される半田SOLの量(体積)をBとする。
【0106】
これに対し、図15に示すPAモジュールPAにおいては、裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdのそれぞれの面積を電極E1a〜電極E1dと同じAとする。さらに、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbは電気的に接続されているが、この裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを接続する裏面導体パターンCP1の面積もAとする。
【0107】
このとき、図16に示すように、裏面端子TEPcや裏面端子TEPdは導体パターンによって接続されていない。このため、裏面端子TEPcや裏面端子TEPdの面積がAで、かつ、それぞれの裏面端子TEPcや裏面端子TEPd上に広がる半田SOLの量がBであることから、半田SOLの高さはd1(=B/A)となる。
【0108】
一方、電極E1aと裏面端子TEPaが接続され、電極E1bと裏面端子TEPbが接続されるが、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとは裏面導体パターンCP1によって接続されている。このため、電極E1aと電極E1bに形成されている半田SOLは、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbだけでなく、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbの間に形成されている裏面導体パターンCP1上にも広がる。つまり、電極E1a上と電極E1b上とに形成された半田SOL(半田SOLの量は2B)は、裏面端子TEPa上と裏面端子TEPbと裏面導体パターンCP1とを合わせた3Aの面積上に広がることになる。したがって、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbと裏面導体パターンCP1にわたって広がる半田SOLの高さはd2(=2B/3A)となる。
【0109】
以上の議論から、半田SOLの高さ(d2)は、半田SOLの高さ(d1)よりも小さくなり、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbは、電極E1aおよび電極E1bと電気的に接続されないおそれが高くなる。すなわち、裏面導体パターンCP1で接続されている裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPb上に広がる半田SOLの高さ(d2)が、裏面端子TEPcおよび裏面端子TEPd上に広がる半田SOLの高さ(d1)よりも小さくなる結果(不均一になる結果)、グラウンド電位を供給する裏面端子TEPaと裏面端子TEPbが、ともに、実装基板MBの電極E1aおよび電極E1bと接続されなくなる。
【0110】
このことは、PAモジュールPA側でグラウンド電位を印加する裏面端子TEPaと裏面端子TEPbを裏面導体パターンCP1で接続しても、実装基板MB側のグラウンド電位を供給する電極E1aおよび電極E1bに接続されないことを意味する。したがって、PAモジュールPAのグラウンド電位と、実装基板MBから供給されるグラウンド電位とが電気的に分離されることになり、グラウンド電位の共通化を図ることができなくなる不都合が生じる。このようにPAモジュールPAと実装基板MBとの間でグラウンド電位の共通化を図ることができなくなると、PAモジュールPAにおいて、個々のグラウンド電位の安定性が低下し、PAモジュールPAの電気的特性が劣化する。つまり、PAモジュールPA側でグラウンド電位を共通化するように裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを裏面導体パターンCP1により電気的に接続するように構成しても、PAモジュールPAと実装基板MBとの間の接続不良を引き起こし、結果的に、PAモジュールPAの電気的特性を向上することができなくなるのである。
【0111】
この比較例の問題点から見えてくることは、単純に、PAモジュールPAにおいて、グラウンド電位を印加する裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbを裏面導体パターンCP1で接続するように構成しても、実装基板MB側の電極E1aおよびE1bのレイアウト構成が変わらないという条件のもとでは、PAモジュールPAと実装基板MBとの接続信頼性が低下することである。この結果、グラウンド電位を印加する裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbを共通化して、PAモジュールPAの電気的特性を向上するという目的を実現することができなくなるのである。つまり、実装基板MB側の電極のレイアウトが変化しないという条件下では、グラウンド電位を印加する裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbを裏面導体パターンCP1で接続する構成にさらなる工夫を施す必要性があることがわかる。
【0112】
上述した状況に加えて、PAモジュールPAに反りが発生すると、さらに、PAモジュールPAと実装基板MBとの接続信頼性が低下することになる。PAモジュールPAを構成する配線基板WBとして、現状では、PCB材料を使用している。このPCB材料から構成されている配線基板WBでは、アルミナなどのセラミック材料から配線基板WBよりも平坦性が高く、PCB材料(ポリカーボネイド材料)から配線基板WBを構成する場合にはそれほど反りの問題は発生しない。しかし、例えば、パッケージを小型化するために、配線基板WB上に搭載される半導体チップCHP1と半導体チップCHP2とを1つの大きな半導体チップとする場合には、配線基板WB上に搭載される半導体チップの大きさが大きくなり、配線基板WBの線膨張率と半導体チップの線膨張率の相違が顕著となる結果、PCB材料を使用した配線基板WBでも反りの問題が顕在化する可能性がある。このような場合であっても、半田SOLの高さの均一性を確保できれば、充分にPAモジュールPAと実装基板MBとの接続信頼性を確保できると考えられる。したがって、PAモジュールPAの電気的特性を向上させるために、グラウンド電位を印加する裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbを共通化するという構造をとる場合であっても、半田SOLの高さの均一性を確保して、PAモジュールPAと実装基板MBの接続信頼性を向上することがいかに重要であるかがわかる。
【0113】
ここで、比較例の問題点を解決する一手段として、図17に示すように、PAモジュールPAの裏面に形成されている裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを導体パターン(図17ではソルダレジストSRで覆われているため図示されず)で接続する構成において、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを接続する導体パターン上にソルダレジストSRを形成することが考えられる。つまり、図18に示すように、配線基板WBの裏面に形成されている裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを裏面導体パターンCP1で電気的に接続するとともに、裏面導体パターンCP1上に絶縁材料であるソルダレジストSRを形成するのである。このように構成することにより、PAモジュールPAを実装基板MBに実装する場合、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを接続する裏面導体パターンCP1上に半田が広がることを防止できるのである。すなわち、図19に示すように、裏面端子TEPaと電極E1aが半田SOLを介して接続されるが、半田SOLのリフロー時に、電極E1a上に形成されている半田SOLは溶融しても、ソルダレジストSRが形成されているので、このソルダレジストSRが壁となって半田SOLは裏面端子TEPaから裏面導体パターンCP1側に広がらないのである。この結果、裏面端子TEPaと電極E1aとの間に介在する半田SOLの高さを確保することができる。同様の理由で、裏面端子TEPbと電極E1bとの間に介在する半田SOLの高さを確保することができる。
【0114】
しかし、図19に示すように、裏面導体パターンCP1上にソルダレジストSRを形成すると、ソルダレジストSRの膜厚だけ高さが他の領域(裏面端子TEPaの高さや裏面端子TEPbの高さ)よりも高くなるのである。すると、図19に示すように、裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdを電極E1a〜電極E1dと接続する場合、ソルダレジストSRを形成した領域では、ソルダレジストSRが裏面導体パターンCP1および配線基板WBに入り込み配線基板WBが歪んで配線基板WBに応力が発生する。この配線基板WBに発生した応力は、配線基板WBに搭載されている半導体チップCHP1や半導体チップCHP1を覆う樹脂体MRに伝達される。その結果、例えば、半導体チップCHP1自体や樹脂体MRにクラックCRKが発生する。樹脂体MRにクラックCRKが発生すると、パッケージの著しい信頼性低下を招くことになる。したがって、図19に示すように、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを裏面導体パターンCP1で電気的に接続するとともに、裏面導体パターンCP1上に絶縁材料であるソルダレジストSRを形成する構成は採用できないことになる。
【0115】
以上のように、現状では、実装基板MB側の電極のレイアウトが変化しないという条件のもと、PAモジュールPA側でグラウンド電位を印加する裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbを裏面導体パターンCP1で接続する構成を採るとともに、PAモジュールPAと実装基板MBとの接続信頼性を向上できる技術的思想が実現できていないのである。そこで、以下では、PAモジュールPAの電気的特性の向上を図り、かつ、PAモジュールPAと実装基板MBとの接続信頼性を向上することを実現する本実施の形態のPAモジュールPAについて説明する。
【0116】
図20は、本実施の形態におけるPAモジュールPAの裏面レイアウトを示す平面図である。図20に示すように、PAモジュールPAを構成する配線基板WBの裏面には、配線基板WBの中央部に形成された大面積の裏面端子TECと、この裏面端子TECの周囲に形成された複数の裏面端子TEPが形成されている。裏面端子TECはグラウンド電位が印加される端子(第1基準電位用端子)(中央グラウンド端子)であり、複数の裏面端子TEPには、信号が印加される信号端子、電源電圧が印加される電源電位用端子、および、基準電位(グラウンド電位)が印加される基準電位用端子が含まれている。具体的に、複数の裏面端子TEPの中には、例えば、図20に示すように、裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdが配置されている。このとき、裏面端子TEPa(第2基準電位用端子)(第1周辺グラウンド端子)および裏面端子TEPb(第3基準電位用端子)(第2周辺グラウンド端子)はグラウンド電位が印加される端子であり、裏面端子TEPcおよび裏面端子TEPdは信号が印加される信号用端子である。
【0117】
図20に示す本実施の形態のPAモジュールPAにおいて、配線基板WBの裏面には、基準電位(グラウンド電位)を供給する端子が複数存在している。これは、図2に示すように、例えば、電力増幅器6内の増幅回路LBや増幅回路HBのそれぞれの増幅段(回路素子)にグラウンド電位を供給する必要があり、これらの回路素子に接続するように、それぞれ、例えば、基準電位(グラウンド電位)を供給する裏面端子TECおよび裏面端子TEPa、TEPbが形成されているのである。例えば、図3に示すグラウンド電位GND1を供給する端子が裏面端子TECに対応し、グラウンド電位GND2を供給する端子が裏面端子TEPaに対応し、グラウンド電位GND3を供給する端子が裏面端子TEPbに対応すると考えることができる。
【0118】
本実施の形態でも比較例と同様に、基準電位(グラウンド電位)を安定して供給するために、独立のパターンとして形成されている裏面端子TEC、TEPa、TEPbを電気的に接続している。すなわち、各裏面端子TEC、TEPa、TEPbを電気的に接続して共通化することにより、グラウンド電位の変動を抑制して安定したグラウンド電位を供給することができる。つまり、基準電位(グラウンド電位)を印加する裏面端子TEC、TEPa、TEPbを電気的に接続することにより、電圧変動の少ない安定したグラウンド電位を供給することができ、PAモジュールPAの電気的特性を向上することができる。例えば、PAモジュールPAの電気的特性の向上の一例としては、裏面端子TEC、TEPa、TEPbを電気的に接続することにより、グラウンド電位の安定性が向上した結果、図2に示す増幅回路LB、HBに変動の少ない安定したグラウンド電位を供給することができ、増幅回路LB、HBでの発振現象を抑制できる。
【0119】
具体的に、本実施の形態では、グラウンド電位を供給する裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを裏面導体パターンCP2で電気的に接続している。同様に、グラウンド電位を供給する裏面端子TEPaと裏面端子TECとを裏面導体パターンCP3で電気的に接続し、裏面端子TEPbと裏面端子TECも裏面導体パターンCP3で電気的に接続されている。したがって、本実施の形態におけるPAモジュールPAでは、配線基板WBの裏面の中央部に形成されている裏面端子TECと裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbが、それぞれ、裏面導体パターンCP3で電気的に接続され、かつ、配線基板WBの周辺部に互いに隣り合うように配置されている裏面端子TEPaと裏面端子TEPbが裏面導体パターンCP2によって電気的に接続されている。
【0120】
本実施の形態における特徴の1つは、配線基板WBの周辺部に形成されている裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを接続している裏面導体パターンCP2のサイズに特徴がある。すなわち、図20に示すように、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbの幅に比べて、裏面導体パターンCP2の幅が小さくなっている。詳細には、例えば、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとは、X方向に並ぶように配置されており、このX方向に並んで配置されている裏面端子TEPaと裏面端子TEPbが裏面導体パターンCP2で接続されている。このとき、裏面導体パターンCP2の接続方向(接続線方向)がX方向となっており、このX方向と直交する(交差する)Y方向に着目すると、裏面導体パターンCP2のY方向の幅は、裏面端子TEPaのY方向の幅や裏面端子TEPbのY方向の幅よりも小さくなっている。特に、本実施の形態では、裏面導体パターンCP2の面積は、裏面端子TEPa(第2基準電位用端子)の面積および裏面端子TEPb(第3基準電位用端子)の面積よりも小さくなっている。
【0121】
このように、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbのY方向の幅に比べて、裏面導体パターンCP2のY方向の幅を小さくすることにより、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを裏面導体パターンCP2で電気的に接続しながら、PAモジュールPAと実装基板MBとの接続信頼性を向上することができるのである。以下では、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbのY方向の幅に比べて、裏面導体パターンCP2のY方向の幅を小さくすることにより、PAモジュールPAと実装基板MBとの接続信頼性が向上することについて説明する。
【0122】
まず、実施の形態におけるPAモジュールPAを実装基板MB上に搭載する構造の詳細について、PAモジュールPAの裏面に形成されている裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdと、実装基板MBに形成されている電極とを接続する場合を例にとって説明する。図20に示すPAモジュールPAの裏面に形成された裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdに対応する実装基板MBの電極配置を図21に示す。図21には、実装基板MBに形成されている電極の一部である電極E1a〜電極E1dが示されている。この電極E1a〜電極E1dは所定間隔を置いて実装基板MB上に配置されている。そして、実装基板MB上に形成されている電極E1a〜電極E1dは、図20に示すPAモジュールPAの裏面に形成されている裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdにそれぞれ接続される。実際に実装基板MB上にPAモジュールPAを搭載する場合、図21に示すように、実装基板MBに形成されている電極E1a〜電極E1dのそれぞれ上に半田SOLが形成される。ここで、実装基板MBに形成されている電極E1a〜電極E1dの電極パターンは変更されていない。
【0123】
続いて、図22は、本実施の形態におけるPAモジュールPAの裏面に形成されている裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdを示す図である。図22に示すように、本実施の形態では、矩形形状をした裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdが、X方向に並んで配置されている。そして、隣り合うように配置されている裏面端子TEPaと裏面端子TEPbは裏面導体パターンCP2で接続されている。この裏面端子TEPaと裏面端子TEPbはグラウンド電位が印加される端子であり、グラウンド電位の安定化のため、この裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを矩形形状の裏面導体パターンCP2で接続している。このとき、本実施の形態では、裏面端子TEPaや裏面端子TEPbの幅よりも裏面導体パターンCP2の幅を小さくしている点に特徴がある。つまり、図22に示すように、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbのY方向の幅をY1とし、裏面導体パターンCP2のY方向の幅をY2とした場合、Y2<Y1となるように裏面導体パターンCP2を形成している。このように本実施の形態では、裏面導体パターンCP2のY方向の幅Y2を裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbのY方向の幅Y1よりも小さくする点に特徴があるが、この特徴を実現する構成として図22の他に図23に示す構成も考えられる。
【0124】
図23でも、裏面導体パターンCP2のY方向の幅Y2は裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbのY方向の幅Y1よりも小さくなっている。図22では、裏面端子TEPa(裏面端子TEPb)のX方向の一辺と、裏面導体パターンCP2のX方向の一辺が一直線上に配置され、かつ、裏面端子TEPa(裏面端子TEPb)のX方向の他辺と、裏面導体パターンCP2のX方向の他辺とが一直線上に配置されないように構成されている。これに対し、図23では、裏面端子TEPa(裏面端子TEPb)のX方向の両辺と、裏面導体パターンCP2のX方向の両辺が一直線上に配置されないように構成されている。このように、図22と図23では、裏面導体パターンCP2のY方向の幅Y2を裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbのY方向の幅Y1よりも小さくする具体的な構成が異なっているが、どちらの構成でも、PAモジュールPAと実装基板MBとの接続信頼性を向上することができる。
【0125】
具体的に、本実施の形態によれば、PAモジュールPAと実装基板MBとの接続信頼性を向上できることについて説明する。
【0126】
図24は、PAモジュールPAを実装基板に搭載した場合、PAモジュールPAに形成されている裏面端子TEPaと裏面端子TEPbに半田SOLが密着する様子を示す図である。図24に示すように、実装基板に形成されている電極上に塗布されている半田は、実装基板がPAモジュールPAと密着することにより、例えば、PAモジュールPAの裏面端子TEPaと裏面端子TEPbに半田SOLが密着する。このとき、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbは裏面導体パターンCP2により接続されているので、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPb上に密着した半田SOLは、裏面導体パターンCP2上にも広がる。しかし、本実施の形態では、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbの幅よりも、裏面導体パターンCP2の幅を小さくしているので、裏面導体パターンCP2の面積が小さく、半田SOLの裏面導体パターンCP2への広がりを抑制できる。さらに、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbの幅よりも、裏面導体パターンCP2の幅を小さくしている結果、裏面端子TEPa(裏面端子TEPb)と裏面導体パターンCP2との境界にくびれが生じている。このくびれが形成されているため、裏面端子TEPaや裏面端子TEPbから裏面導体パターンCP2側に半田SOLが流入することを抑制することができる。
【0127】
つまり、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbの幅よりも、裏面導体パターンCP2の幅を小さく構成するという本実施の形態の特徴的構成により、裏面端子TEPaや裏面端子TEPbから裏面導体パターンCP2側へ半田SOLが広がることを抑制できるのである。このように、本実施の形態における特徴的構成によれば、グラウンド電位が印加される裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを裏面導体パターンCP2で電気的に接続することによりグラウンド電位の安定化を図ることができる。そして、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbの幅よりも、裏面導体パターンCP2の幅を小さく構成することから、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを裏面導体パターンCP2で接続した場合であっても、裏面端子TEPaや裏面端子TEPbから裏面導体パターンCP2へ半田SOLの広がりを抑制することができるのである。
【0128】
すなわち、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbの幅よりも、裏面導体パターンCP2の幅を小さくするという構成により、以下に示す2つの機能が実現される。第1の機能は、裏面導体パターンCP2の面積を小さくすることができるという機能であり、この機能により裏面導体パターンCP2へ広がる半田SOLの量を少なくすることができる。そして第2の機能は、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbの幅よりも、裏面導体パターンCP2の幅を小さくするという構成をとる結果、必然的に、裏面端子TEPa(裏面端子TEPb)と裏面導体パターンCP2との境界領域にくびれが生じるという機能であり、このくびれが半田SOLの広がりを抑制する壁として機能するのである。
【0129】
本実施の形態の特徴的構成によれば、第1の機能と第2の機能を実現することができるので、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbから裏面導体パターンCP2への半田SOLの広がりを充分に抑制できる。このことは、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを裏面導体パターンCP2で接続した場合であっても、半田SOLがほとんど裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPb上に局在する結果、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPb上における半田SOLの厚さを確保することができることを意味する。したがって、互いに裏面導体パターンCP2で接続した裏面端子TEPaおよびTEPb(PAモジュールPA側)と実装基板に形成されている電極との接続信頼性を向上することができる。
【0130】
図25は、比較例において、PAモジュールPAを実装基板に搭載した場合、PAモジュールPAに形成されている裏面端子TEPaと裏面端子TEPbに半田SOLが密着する様子を示す図である。図25に示すように、実装基板に形成されている電極上に塗布されている半田は、実装基板がPAモジュールPAと密着することにより、例えば、PAモジュールPAの裏面端子TEPaと裏面端子TEPbに半田SOLが密着する。このとき、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbは裏面導体パターンCP1により接続されているので、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPb上に密着した半田SOLは、裏面導体パターンCP1上にも広がる。裏面導体パターンCP1の幅は裏面端子TEPaや裏面端子TEPbの幅と同じ大きさであり、比較例では、本実施の形態よりも裏面端子TEPa(裏面端子TEPb)に密着した半田SOLが裏面導体パターンCP1内に広がりやすくなる。さらに、比較例では、裏面導体パターンCP1の幅は裏面端子TEPaや裏面端子TEPbの幅と同じ大きさであるため、裏面端子TEPaや裏面端子TEPbと裏面導体パターンCP1の境界領域にくびれが生じない。したがって、比較例では、裏面端子TEPaや裏面端子TEPbに密着した半田SOLが裏面導体パターンCP1へ広がってしまうことがわかる。
【0131】
図24と図25とを比較するとわかるように、比較例では、裏面導体パターンCP1の面積が大きくなり、かつ、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbの幅と、裏面導体パターンCP1の幅が同じという構成をとる結果、裏面端子TEPa(裏面端子TEPb)と裏面導体パターンCP1との境界領域にくびれが生じない。これに対し、本実施の形態では、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbの幅よりも、裏面導体パターンCP2の幅を小さくするという特徴的構成をとることにより、裏面導体パターンCP2の面積が小さくなり、かつ、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbの幅よりも、裏面導体パターンCP2の幅が小さいという構成をとる結果、裏面端子TEPa(裏面端子TEPb)と裏面導体パターンCP2との境界領域にくびれが生じる。このため、本実施の形態では、比較例と比べると、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbから裏面導体パターンCP2への半田SOLの広がりを充分に抑制できる顕著な効果を奏するのである。
【0132】
図26は本実施の形態におけるPAモジュールPAを実装基板MBに実装した状態を示す断面図である。図26に示すように、孤立したパターンである裏面端子TEPcおよび裏面端子TEPd上に密着する半田SOLの厚さはd1である。これに対し、互いに裏面導体パターンCP2で接続されている裏面端子TEPaと裏面端子TEPbに着目すると、裏面導体パターンCP2上にも多少半田SOLが広がるが、本実施の形態では、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbの幅よりも、裏面導体パターンCP2の幅を小さくするという特徴的構成をとることにより、裏面導体パターンCP2上に広がる半田SOLの量を少なくすることができる。このことから、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPb上に密着している半田SOLは、ほとんど裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPb上に局在し、裏面端子TEPaや裏面端子TEPb上に密着する半田SOLの厚さはほぼd1となる。したがって、互いに裏面導体パターンCP2で接続されている裏面端子TEPaや裏面端子TEPb上に密着する半田SOLの厚さと、導体パターンで接続されていない孤立した裏面端子TEPcや裏面端子TEPd上に密着する半田SOLの厚さをほぼ均一にすることができる。このことは、PAモジュールPAに形成されている裏面端子TEPa〜裏面端子TEPdと、実装基板MB上に形成されている電極E1a〜電極E1dとの接続信頼性を向上できることを意味している。以上より、本実施の形態によれば、PAモジュールPA側でグラウンド電位を供給する端子を導体パターンで接続する構成を前提として、PAモジュールPAと実装基板MBとの接続信頼性を充分に確保できる顕著な効果を奏する。これにより、PAモジュールPAの電気的特性を確実に向上することができる。
【0133】
なお、本実施の形態では、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbの幅よりも、裏面導体パターンCP2の幅を小さくすることに特徴があるが、どの程度、裏面導体パターンCP2の幅を小さくすればよいのかについて本発明者は検討している。例えば、裏面導体パターンCP2の幅を狭くすればするほど、裏面導体パターンCP2の面積を小さくすることができ、かつ、裏面端子TEPa(裏面端子TEPb)と裏面導体パターンCP2との間のくびれを大きくすることができる。このことから、裏面導体パターンCP2へ半田SOLがなるべく広がらないようにする観点からは、裏面導体パターンCP2の幅をなるべく小さくすることが望ましい。これに対し、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとの電気的接続を確実に実施する観点からは、裏面導体パターンCP2の幅を必要以上に小さくすることは望ましくない。したがって、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとの電気的接続を確実に実施し、かつ、裏面端子TEPa(裏面端子TEPb)から裏面導体パターンCP2への半田SOLの広がりを抑制することを両立するには、裏面導体パターンCP2の幅をある一定の範囲に設定することが望ましい。例えば、裏面端子TEPa(裏面端子TEPb)の幅に対して、裏面導体パターンCP2の幅を、裏面端子TEPa(裏面端子TEPb)の幅の60%〜70%程度に設定することができる。
【0134】
本実施の形態では、図21に示すように、実装基板MB側の電極E1a〜電極E1dのレイアウト配置が変化しないという条件のもとで、特に有効となる。例えば、実装基板MB側の電極E1aと電極E1bとを導体パターンで接続してもよいという条件ならば、実装基板MB側の電極E1aと電極E1bとを接続する導体パターンと、PAモジュールPA側の裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを接続する導体パターンとを同じ形状にすれば、半田の厚さの問題は回避される。なぜなら、実装基板MB側の導体パターン上にも半田を形成することができるからである。つまり、実装基板MB側の電極E1aと、電極E1bと、電極E1aと電極E1bとを接続する導体パターン上にも半田を形成することができる結果、PAモジュールPA側の裏面端子TEPaと、裏面端子TEPbと、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを接続する導体パターン上に均等に半田が形成されるのである。言い換えれば、実装基板MB側の電極E1aと、電極E1bと、電極E1aと電極E1bとを接続する導体パターンとを合わせた面積が、PAモジュールPA側の裏面端子TEPaと、裏面端子TEPbと、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを接続する導体パターンを合わせた面積と同じ面積となるので、実装基板MB側の電極E1a、電極E1b、電極E1aと電極E1bとを接続する導体パターン上にも半田を形成することができることを考慮すると、半田の厚さの不均一という問題は回避される。したがって、実装基板MB側の電極E1aと電極E1bとを導体パターンで接続してもよいという条件ならば、PAモジュールPA側の裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを接続する導体パターンを、比較例のように、裏面端子TEPaの幅と同じ幅の裏面導体パターンCP1で形成しても、実装基板MB側の導体パターンも同一形状にすれば問題はない。
【0135】
しかし、本実施の形態で対象としているのは、実装基板MB側の電極E1a〜電極E1dのレイアウト配置を変化させない場合である。この場合、電極E1aと電極E1bとを導体パターンで接続することは許容されない。これに対し、PAモジュールPA側の裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとは導体パターンで接続される。この結果、実装基板MB側の電極E1aと電極E1bとを合わせた面積は、PAモジュールPA側の裏面端子TEPa、裏面端子TEPbおよび導体パターンとを合わせた面積よりも小さくなる。このことは、実装基板MB側の電極E1aと電極E1b上に形成された半田が、PAモジュールPA側の裏面端子TEPa、裏面端子TEPbおよび導体パターンとを合わせた面積上に広がることになるので、半田の厚さが薄くなってしまうことを意味する。したがって、比較例のように、実装基板MB側の電極E1a〜電極E1dのレイアウト配置が変化しないという条件のもとで、PAモジュールPA側の裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを裏面導体パターンCP1で接続すると、実装基板MBとPAモジュールPAとの接続信頼性が問題となる。
【0136】
そこで、図22に示す本実施の形態のように、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbの幅よりも、裏面導体パターンCP2の幅を小さく構成することにより、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEPbから裏面導体パターンCP2への半田の広がりを充分に抑制できるのである。したがって、本実施の形態によれば、特に、実装基板MB側の電極E1a〜電極E1dのレイアウト配置が変化しないという条件のもとでも、PAモジュールPAと実装基板MBとの接続信頼性を向上できる顕著な効果を得ることができる。すなわち、PAモジュールPAに形成されている裏面端子TEPaと平面的に重なる実装基板MBの第1領域に電極E1aが形成され、かつ、PAモジュールPAに形成されている裏面端子TEPbと平面的に重なる実装基板MBの第2領域に電極E1bが形成され、かつ、PAモジュールPAに形成されている裏面導体パターンCP2と平面的に重なる実装基板MBの領域には電極(パターン)が形成されていない実装基板MBにPAモジュールPAを搭載する場合に、本実施の形態におけるPAモジュールPAは特に有効である。
【0137】
以上の説明は、図20において、裏面端子TEPaと裏面端子TEPbとを接続する裏面導体パターンCP2について説明したが、本実施の形態における技術的思想は、裏面端子TECと裏面端子TEPaや、裏面端子TECと裏面端子TEPbとを、裏面導体パターンCP3で接続する場合にも適用することができる。例えば、本実施の形態は、例えば、図20に示すように、裏面端子TEPaや裏面端子TECの幅よりも裏面導体パターンCP3の幅を小さくしている点に特徴がある。つまり、図20に示すように、裏面端子TEPaおよび裏面端子TECのX方向の幅よりも、裏面導体パターンCP3のX方向の幅が小さくなるように、裏面導体パターンCP3を形成している。特に、本実施の形態では、裏面導体パターンCP3の面積は、裏面端子TEPa(第2基準電位用端子)の面積や裏面端子TEPbの面積よりも小さくなっている。
【0138】
裏面端子TEPaおよび裏面端子TECの幅よりも、裏面導体パターンCP3の幅を小さく構成するという本実施の形態の特徴的構成により、例えば、裏面端子TEPaや裏面端子TECから裏面導体パターンCP3側へ半田が広がることを抑制できるのである。このように、本実施の形態における特徴的構成によれば、グラウンド電位が印加される裏面端子TEPaと裏面端子TECとを裏面導体パターンCP3で電気的に接続することによりグラウンド電位の安定化を図ることができる。そして、裏面端子TEPaおよび裏面端子TECの幅よりも、裏面導体パターンCP3の幅を小さく構成することから、裏面端子TEPaと裏面端子TECとを裏面導体パターンCP3で接続した場合であっても、裏面端子TEPaや裏面端子TECから裏面導体パターンCP3へ半田の広がりを抑制することができるのである。
【0139】
すなわち、裏面端子TEPaおよび裏面端子TECの幅よりも、裏面導体パターンCP3の幅を小さくするという構成により、以下に示す2つの機能が実現される。第1の機能は、裏面導体パターンCP3の面積を小さくすることができるという機能であり、この機能により裏面導体パターンCP3へ広がる半田の量を少なくすることができる。そして第2の機能は、裏面端子TEPaおよび裏面端子TECの幅よりも、裏面導体パターンCP3の幅を小さくするという構成をとる結果、必然的に、裏面端子TEPa(裏面端子TEC)と裏面導体パターンCP3との境界領域にくびれが生じるという機能であり、このくびれが半田の広がりを抑制する壁として機能するのである。
【0140】
本実施の形態の特徴的構成によれば、第1の機能と第2の機能を実現することができるので、裏面端子TEPaおよび裏面端子TECから裏面導体パターンCP3への半田SOLの広がりを充分に抑制できる。このことは、裏面端子TEPaと裏面端子TECとを裏面導体パターンCP3で接続した場合であっても、半田がほとんど裏面端子TEPaおよび裏面端子TEC上に局在する結果、裏面端子TEPaおよび裏面端子TEC上における半田の厚さを確保することができることを意味する。したがって、互いに裏面導体パターンCP3で接続した裏面端子TEPaおよびTEC(PAモジュールPA側)と実装基板に形成されている電極との接続信頼性を向上することができる。
【0141】
特に、実装基板MB側の電極E1a〜電極E1dのレイアウト配置が変化しないという条件のもとでも、PAモジュールPAと実装基板MBとの接続信頼性を向上できる顕著な効果を得ることができる。すなわち、PAモジュールPAに形成されている裏面端子TECと平面的に重なる実装基板MBの第1領域に電極が形成され、かつ、PAモジュールPAに形成されている裏面端子TEPaと平面的に重なる実装基板MBの第2領域に電極E1aが形成され、かつ、PAモジュールPAに形成されている裏面導体パターンCP3と平面的に重なる実装基板MBの領域には電極(パターン)が形成されていない実装基板MBにPAモジュールPAを搭載する場合に、本実施の形態におけるPAモジュールPAは特に有効である。
【0142】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0144】
1 携帯電話機
2 アプリケーションプロセッサ
3 メモリ
4 ベースバンド部
5 RFIC
6 電力増幅器
7 SAWフィルタ
8 アンテナスイッチ
9 アンテナ
10a 整合回路
10b 整合回路
11 制御回路
12a 出力整合回路
12b 出力整合回路
13a 検波回路
13b 検波回路
14 デコーダ
15a 段間整合回路
15b 段間整合回路
101 半導体基板
102 エピタキシャル層
103 溝
104 p型打抜き層
106 p型ウェル
107 ゲート絶縁膜
108 ゲート電極
109 n型オフセットドレイン領域
110 n型ソース領域
111 サイドウォール
112 n型オフセットドレイン領域
113 n型ドレイン領域
114 n型ソース領域
115 p型半導体領域
121 絶縁膜
122 コンタクトホール
123 プラグ
124a ソース電極
124b ドレイン電極
125 絶縁膜
126 スルーホール
127 プラグ
128 配線
129 表面保護膜
130 裏面電極
200 半絶縁性基板
201 エピタキシャル層
202 バッファ層
203 AlGaAs層
204 n型GaAs層
205a オーミック電極
205b オーミック電極
206 ゲート電極
ANT アンテナ
BE 裏面電極
BP バンプ電極
CHP1 半導体チップ
CHP2 半導体チップ
CP1 裏面導体パターン
CP2 裏面導体パターン
CP3 裏面導体パターン
CRK クラック
Di ダイプレクサ
E1a 電極
E1b 電極
E1c 電極
E1d 電極
GND1 グラウンド電位
GND2 グラウンド電位
GND3 グラウンド電位
HB 増幅回路
IPD 集積受動部品
LB 増幅回路
LPF1 ローパスフィルタ
LPF2 ローパスフィルタ
MB 実装基板
MR 樹脂体
PA PAモジュール
PC 受動部品
PD1 パッド
PD2 パッド
Q1 増幅段
Q2 増幅段
Q3 増幅段
RX1〜RX4 受信端子
S 半田
SOL 半田
SR ソルダレジスト
TE 端子
TEC 裏面端子
TEP 裏面端子
TEPa 裏面端子
TEPb 裏面端子
TEPc 裏面端子
TEPd 裏面端子
TX(LB)in 入力端子
TX(HB)in 入力端子
V ビアホール
Vdd1 電源電位
Vdd2 電源電位
W1 ワイヤ
W2 ワイヤ
WB 配線基板
WP 配線パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)電力増幅器として機能する集積回路が形成された第1半導体チップと、
(b)前記第1半導体チップを搭載するチップ搭載面と、前記チップ搭載面とは反対側の裏面とを有し、前記チップ搭載面に前記第1半導体チップを搭載した矩形形状の配線基板とを備え、
前記配線基板の前記裏面には、
(b1)前記裏面の中央部に形成され、グラウンド電位が印加される中央グラウンド端子と、
(b2)前記中央グラウンド端子の周囲を囲むように前記配線基板の周辺部に沿って形成された複数の周辺端子とが形成され、
前記複数の周辺端子には、グラウンド電位が印加され、かつ、互いに隣り合う位置に配置される第1周辺グラウンド端子と第2周辺グラウンド端子が含まれ、
前記第1周辺グラウンド端子と前記第2周辺グラウンド端子とは、前記裏面に形成された導体パターンで電気的に接続されている半導体装置であって、
前記導体パターンの幅は、前記第1周辺グラウンド端子の幅および前記第2周辺グラウンド端子の幅よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
(a)電力増幅器として機能する集積回路が形成された第1半導体チップと、
(b)前記第1半導体チップを搭載するチップ搭載面と、前記チップ搭載面とは反対側の裏面とを有し、前記チップ搭載面に前記第1半導体チップを搭載した矩形形状の配線基板とを備え、
前記配線基板の前記裏面には、
(b1)前記裏面の中央部に形成され、基準電位が印加される第1基準電位用端子と、
(b2)前記第1基準電位用端子の周囲を囲むように前記配線基板の周辺部に沿って形成された複数の端子とが形成され、
前記複数の端子には、基準電位が印加され、かつ、互いに隣り合う位置に配置される第2基準電位用端子と第3基準電位用端子が含まれ、
前記第2基準電位用端子と前記第3基準電位用端子とは、前記裏面に形成された導体パターンで電気的に接続されている半導体装置であって、
前記第2基準電位用端子と前記第3基準電位用端子を接続する前記導体パターンの接続方向を第1方向とし、かつ、前記第1方向と交差する方向を第2方向とする場合、
前記導体パターンの前記第2方向の幅は、前記第2基準電位用端子の前記第2方向の幅および前記第3基準電位用端子の前記第2方向の幅よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
(a)電力増幅器として機能する集積回路が形成された第1半導体チップと、
(b)前記第1半導体チップを搭載するチップ搭載面と、前記チップ搭載面とは反対側の面であって実装基板と密着するための裏面を有し、前記チップ搭載面に前記第1半導体チップを搭載した矩形形状の配線基板とを備え、
前記配線基板の前記裏面には、
(b1)前記裏面の中央部に形成され、基準電位が印加される第1基準電位用端子と、
(b2)前記第1基準電位用端子の周囲を囲むように前記配線基板の周辺部に沿って形成された複数の端子とが形成され、
前記複数の端子には、基準電位が印加され、かつ、互いに隣り合う位置に配置される第2基準電位用端子と第3基準電位用端子が含まれ、
前記第2基準電位用端子と前記第3基準電位用端子とは、前記裏面に形成された導体パターンで電気的に接続されており、
前記配線基板に形成されている前記第2基準電位用端子と平面的に重なる前記実装基板の第1領域に第2電極が形成され、かつ、前記配線基板に形成されている前記第3基準電位用端子と平面的に重なる前記実装基板の第2領域に第3電極が形成され、かつ、前記配線基板に形成されている前記導体パターンと平面的に重なる前記実装基板の領域には電極が形成されていない前記実装基板に搭載する半導体装置であって、
前記第2基準電位用端子と前記第3基準電位用端子を接続する前記導体パターンの接続方向を第1方向とし、かつ、前記第1方向と交差する方向を第2方向とする場合、
前記導体パターンの前記第2方向の幅は、前記第2基準電位用端子の前記第2方向の幅および前記第3基準電位用端子の前記第2方向の幅よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項2記載の半導体装置であって、
前記導体パターンの面積は、前記第2基準電位用端子の面積および前記第3基準電位用端子の面積よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項2記載の半導体装置であって、
前記配線基板の前記裏面の中央部に形成されている前記第1基準電位用端子の面積は、前記配線基板の前記裏面の周辺部に形成されている前記複数の端子のそれぞれの面積よりも大きいことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置であって、
前記第1基準電位用端子は、前記配線基板の前記チップ搭載面に搭載された前記第1半導体チップと、前記配線基板を貫通するビアを介して接続されており、
前記第1基準電位用端子は、前記第1半導体チップで発生した熱を外部へ放散させる機能も有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項2記載の半導体装置であって、
前記複数の端子には、前記第2基準電位用端子と前記第3基準電位用端子のほか、信号が印加される信号用端子と、電源電位が印加される電源電位用端子とが含まれていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項2記載の半導体装置であって、
前記電力増幅器は、第1周波数帯の入力信号を増幅する第1増幅回路と、前記第1周波数帯よりも高い第2周波数帯の入力信号を増幅する第2増幅回路とを含んでいることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項2記載の半導体装置であって、
前記電力増幅器は、携帯電話機の送信電力を増幅するものであることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項2記載の半導体装置であって、
前記第1半導体チップはシリコンを主成分とすることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置であって、
前記第1半導体チップには、LDMOSFETが形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置であって、
前記LDMOSFETのソース電極はグラウンド電位に接続され、前記LDMOSFETのドレイン電極は電源電位に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置であって、
前記LDMOSFETのソース電極は、前記配線基板に形成されている前記第2基準電位用端子および前記第3基準電位用端子と電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項2記載の半導体装置であって、
さらに、前記配線基板の前記チップ搭載面には、アンテナスイッチが形成された第2半導体チップが搭載されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項14記載の半導体装置であって、
前記第2半導体チップは化合物半導体を主成分とすることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置であって、
前記第2半導体チップには、高電子移動度トランジスタが形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
請求項2記載の半導体装置であって、
前記配線基板は、多層配線基板であり、ポリカーボネイド材料から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
(a)電力増幅器として機能する集積回路が形成された第1半導体チップと、
(b)前記第1半導体チップを搭載するチップ搭載面と、前記チップ搭載面とは反対側の裏面とを有し、前記チップ搭載面に前記第1半導体チップを搭載した矩形形状の配線基板とを備え、
前記配線基板の前記裏面には、
(b1)前記裏面の中央部に形成され、グラウンド電位が印加される中央グラウンド端子と、
(b2)前記中央グラウンド端子の周囲を囲むように前記配線基板の周辺部に沿って形成された複数の周辺端子とが形成され、
前記複数の周辺端子には、グラウンド電位が印加される第1周辺グラウンド端子が含まれ、
前記中央グラウンド端子と前記第1周辺グラウンド端子とは、前記裏面に形成された導体パターンで電気的に接続されている半導体装置であって、
前記導体パターンの幅は、前記第1周辺グラウンド端子の幅よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項19】
(a)電力増幅器として機能する集積回路が形成された第1半導体チップと、
(b)前記第1半導体チップを搭載するチップ搭載面と、前記チップ搭載面とは反対側の裏面とを有し、前記チップ搭載面に前記第1半導体チップを搭載した矩形形状の配線基板とを備え、
前記配線基板の前記裏面には、
(b1)前記裏面の中央部に形成され、基準電位が印加される第1基準電位用端子と、
(b2)前記第1基準電位用端子の周囲を囲むように前記配線基板の周辺部に沿って形成された複数の端子とが形成され、
前記複数の端子には、基準電位が印加される第2基準電位用端子が含まれ、
前記第1基準電位用端子と前記第2基準電位用端子とは、前記裏面に形成された導体パターンで電気的に接続されている半導体装置であって、
前記第2基準電位用端子と前記第1基準電位用端子を接続する前記導体パターンの接続方向を第1方向とし、かつ、前記第1方向と交差する方向を第2方向とする場合、
前記導体パターンの前記第2方向の幅は、前記第2基準電位用端子の前記第2方向の幅よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項20】
(a)電力増幅器として機能する集積回路が形成された第1半導体チップと、
(b)前記第1半導体チップを搭載するチップ搭載面と、前記チップ搭載面とは反対側の面であって実装基板と密着するための裏面を有し、前記チップ搭載面に前記第1半導体チップを搭載した矩形形状の配線基板とを備え、
前記配線基板の前記裏面には、
(b1)前記裏面の中央部に形成され、基準電位が印加される第1基準電位用端子と、
(b2)前記第1基準電位用端子の周囲を囲むように前記配線基板の周辺部に沿って形成された複数の端子とが形成され、
前記複数の端子には、基準電位が印加される第2基準電位用端子が含まれ、
前記第1基準電位用端子と前記第2基準電位用端子とは、前記裏面に形成された導体パターンで電気的に接続されており、
前記配線基板に形成されている前記第1基準電位用端子と平面的に重なる前記実装基板の第1領域に第1電極が形成され、かつ、前記配線基板に形成されている前記第2基準電位用端子と平面的に重なる前記実装基板の第2領域に第2電極が形成され、かつ、前記配線基板に形成されている前記導体パターンと平面的に重なる前記実装基板の領域には電極が形成されていない前記実装基板に搭載する半導体装置であって、
前記第2基準電位用端子と前記第1基準電位用端子を接続する前記導体パターンの接続方向を第1方向とし、かつ、前記第1方向と交差する方向を第2方向とする場合、
前記導体パターンの前記第2方向の幅は、前記第2基準電位用端子の前記第2方向の幅よりも小さいことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−171114(P2010−171114A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10757(P2009−10757)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)