説明

半導体装置

【課題】小型化や薄型化が図られても強度を確保しやすい半導体装置を提供すること。
【解決手段】導体層49と絶縁層50とが交互に積層された基板48と、基板48の一面側に搭載された半導体素子と、基板48の一面側の反対面である二面側に貼り付けられた補強板51と、を備える半導体装置250が提供される。絶縁層50は、第1絶縁層50aと第1絶縁層50aよりも比誘電率の低い第2絶縁層50bとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
NANDフラッシュメモリなどの不揮発性半導体記憶素子やDRAMなどの揮発性半導体記憶素子が基板上に搭載された半導体装置が用いられている。近年、半導体装置の小型化や薄型化が図られている。このような半導体装置には、さらなる小型化やさらなる薄型化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−79445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、小型化や薄型化が図られても強度を確保しやすい半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、導体層と絶縁層とが交互に積層された基板と、基板の一面側に搭載された半導体素子と、基板の一面側の反対面である二面側に貼り付けられた補強板と、を備える半導体装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、第1の実施の形態にかかる半導体装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、半導体装置の概略構成を示す平面図である。
【図3】図3は、図2に示すA−A線に沿った矢視断面図である。
【図4】図4は、第2の実施の形態にかかる半導体装置の概略構成を示す平面図である。
【図5】図5は、図4に示すB−B線に沿った矢視断面図である。
【図6】図6は、図4に示すB−B線に沿った矢視断面図であって、半導体装置に外力が加わった状態を示す図である。
【図7】図7は、第2の実施の形態の変形例1にかかる半導体装置の横断面図である。
【図8】図8は、図7に示すC部分の部分拡大図であって、半導体装置に外力が加わっていない状態を例示する図である。
【図9】図9は、図7に示すC部分の部分拡大図であって、半導体装置に外力が加わった状態を例示する図である。
【図10】図10は、第2の実施の形態の変形例2にかかる半導体装置の横断面図である。
【図11】図11は、第2の実施の形態の変形例3にかかる半導体装置の横断面図である。
【図12】図12は、第3の実施の形態にかかる半導体装置の外観斜視図である。
【図13】図13は、図12に示す半導体装置の外観斜視図であって、保護部を折り曲げた状態を示す図である。
【図14】図14は、図12に示す半導体装置の横断面図である。
【図15】図15は、図12に示す半導体装置の側面図である。
【図16】図16は、第3の実施の形態の変形例1にかかる半導体装置の分解斜視図である。
【図17】図17は、第3の実施の形態の変形例2にかかる半導体装置の外観斜視図である。
【図18】図18は、図17に示す半導体装置の外観斜視図であって、保護部を折り曲げた状態を示す図である。
【図19】図19は、第3の実施の形態の変形例3にかかる半導体装置の外観斜視図である。
【図20】図20は、第4の実施の形態にかかる半導体装置の外観斜視図である。
【図21】図21は、図20に示す半導体装置を二面側から見た斜視図である。
【図22】図22は、基板の層構成とその厚さの関係を説明するための図である。
【図23】図23は、チップ部品が搭載された部分を拡大した部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施の形態にかかる半導体装置を詳細に説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる半導体装置の構成例を示すブロック図である。半導体装置100は、SATAインタフェース(ATA I/F)2などのメモリ接続インタフェースを介してパーソナルコンピュータあるいはCPUコアなどのホスト装置(以下、ホストと略す)1と接続され、ホスト1の外部メモリとして機能する。ホスト1としては、パーソナルコンピュータのCPU、スチルカメラ、ビデオカメラなどの撮像装置のCPUなどがあげられる。また、半導体装置100は、RS232Cインタフェース(RS232C I/F)などの通信インタフェース3を介して、デバッグ用機器300との間でデータを送受信することができる。
【0009】
半導体装置100は、不揮発性半導体記憶素子としてのNAND型フラッシュメモリ(以下、NANDメモリと略す,半導体素子)10と、コントローラとしてのドライブ制御回路4(半導体素子)と、NANDメモリ10よりも高速記憶動作が可能な揮発性半導体記憶素子であるDRAM(半導体素子)20と、電源回路5とを備えている。
【0010】
電源回路5は、ホスト1側の電源回路から供給される外部直流電源から複数の異なる内部直流電源電圧を生成し、これら内部直流電源電圧を半導体装置100内の各回路に供給する。また、電源回路5は、外部電源の立ち上がりを検知し、パワーオンリセット信号を生成して、ドライブ制御回路4に供給する。
【0011】
図2は、半導体装置100の概略構成を示す平面図である。図3は、図2に示すA−A線に沿った矢視断面図である。電源回路5、DRAM20、ドライブ制御回路4、NANDメモリ10は、配線パターンが形成された基板8の一面側に搭載される。また、基板8は、ケース14内に収容される。ケース14は、下ケース14aと上ケース14bとを有して構成される。
【0012】
基板8は、平面視において略長方形形状を呈する。略長方形形状を呈する基板8の一方の短辺側には、ホスト1に接続されて、上述したSATAインタフェース2、通信インタフェース3として機能するコネクタ9が設けられている。コネクタ9は、ホスト1から入力された電源を電源回路5に供給する電源入力部として機能する。コネクタ9は、例えばLIFコネクタである。
【0013】
基板8は、合成樹脂を重ねて形成された多層構造になっており、例えば8層構造となっている。なお、基板8の層数は8層に限られない。基板8には、合成樹脂で構成された各層の表面あるいは内層に様々な形状で配線パターンが形成されている。基板8に形成された配線パターンを介して、基板8上に搭載された電源回路5、DRAM20、ドライブ制御回路4、NANDメモリ10同士が電気的に接続される。
【0014】
基板8の一面上には、柱状形状を呈する柱状補強部15aを格子状に組んで構成された格子部15が配置される。柱状補強部15aは、基板8の一面上に搭載されたNANDメモリ10等の搭載要素を避けるように配置される。すなわち、柱状補強部15aは、NANDメモリ10等の搭載要素同士の隙間を通るように配置される。
【0015】
このように、搭載要素同士の隙間を通るように柱状補強部15aを配置することで、図3に示すように、ケース内部の空間を有効利用することができ、格子部15を設けることで半導体装置100の高さが増してしまうのを抑えることができる。
【0016】
また、基板8の一面上に格子部15を配置することで、半導体装置100の機械的強度の向上を図ることができる。したがって、半導体装置100の小型化や薄型化が図られた場合であっても、外力などによって破損しにくい半導体装置100とすることができる。例えば、ケース14の平面形状を86mm×54mmとし、高さを2.2mm以下とする、いわゆるカード形状の半導体装置100とした場合であっても、格子部15によって機械強度の向上を図ることで、破損しにくい半導体装置100とすることができる。
【0017】
特に、基板8のうちNANDメモリ10等が配置されていない部分は、NANDメモリ10等が配置された部分よりも機械的強度が弱くなりやすいが、この機械的強度が弱くなりやすい部分を格子部15で効果的に補強することができる。また、基板8の一面上に格子部15を配置すればよいので、作業性の悪化も起きにくく、製造コストの増加を抑えることができる。なお、半導体装置100の外周に沿った部分は、ケース14の外周部分で強度を確保しやすいため、半導体装置100の外周に沿った部分に設けられる柱状補強部15aを省略して格子部15を構成してもよい。
【0018】
(第2の実施の形態)
図4は、第2の実施の形態にかかる半導体装置150の概略構成を示す平面図である。図5は、図4に示すB−B線に沿った矢視断面図である。なお、上記実施の形態と同様の構成ついては、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0019】
第2の実施の形態では、基板8が3個のブロック(基板8a〜c)に分割されて構成される。基板8aには、コネクタ9が設けられるとともにDRAM20およびNANDメモリ10が搭載されている。基板8bには、ドライブ制御回路4とNANDメモリ10が搭載されている。基板8cには、NANDメモリ10が搭載されている。なお、基板8a〜cと搭載される各要素の組合せは、例示したものに限られず、例えば基板8aにDRAM20とドライブ制御回路4を搭載しても構わない。
【0020】
基板8a〜c同士の間には、隙間が設けられている。また、基板8a〜c同士は、一面の反対面である二面側に貼り付けられたTABテープ16によって連結されている。また、基板8a〜cに形成された配線層同士も、TABテープ16によって電気的に接続される。
【0021】
図6は、図4に示すB−B線に沿った矢視断面図であって、半導体装置150に外力が加わった状態を示す図である。基板8が3つのブロックに分割され、分割された基板8a〜c同士がTABテープ16で連結されているので、図6に示すように、半導体装置150に外力が加わった際に基板8が連結部分で変形して、その外力を吸収しやすくすることができる。そのため、基板8が破損しにくくなり、半導体装置150の信頼性の向上を図ることができる。
【0022】
したがって、半導体装置150の小型化や薄型化が図られた場合であっても、外力などによって破損しにくい半導体装置150とすることができる。例えば、上ケース14bと基板8とを合わせた平面形状を86mm×54mmとし、高さを2.2mm以下とする、いわゆるカード形状の半導体装置150とした場合であっても、基板8を分割することで基板8の変形によって外力を吸収しやすくすることができ、破損しにくい半導体装置150とすることができる。
【0023】
なお、第2の実施の形態では、基板8が変形して外力を吸収しやすくすることができるので、上ケース14bと下ケース14aの両方を用いない場合であっても、機械的強度を確保できる場合がある。そこで、第2の実施の形態では、ケース14のうち下ケース14a(図2も参照)を用いずに、基板8の一面側のみを上ケース14bで覆う構成としている。
【0024】
図7は、第2の実施の形態の変形例1にかかる半導体装置150の横断面図である。図8は、図7に示すC部分の部分拡大図であって、半導体装置150に外力が加わっていない状態を例示する図である。図9は、図7に示すC部分の部分拡大図であって、半導体装置150に外力が加わった状態を例示する図である。
【0025】
図7に示すように、本変形例1では、分割された基板8a〜c同士がコネクタ接続されている。コネクタ9が設けられた基板8aには、コネクタ凹部18が形成されている。コネクタ凹部18には、凹部側コネクタ18aが設けられている。凹部側コネクタ18aは、基板8aの配線層を介してNANDメモリ10やDRAM20等の搭載要素やコネクタ9と電気的に接続されている。
【0026】
基板8bのうちコネクタ凹部18に対向する部分には、コネクタ凸部17が形成されている。コネクタ凸部17には、凸部側コネクタ17aが形成されている。凸部側コネクタ17aは、基板8bの配線層を介してNANDメモリ10やドライブ制御回路4等の搭載要素と電気的に接続されている。
【0027】
コネクタ凸部17は、コネクタ凹部18に挿入される。コネクタ凸部17がコネクタ凹部18に挿入された状態で、凹部側コネクタ18aと凸部側コネクタ17aとが接触する。すなわち、コネクタ凸部17がコネクタ凹部18に挿入されることで、基板8上の各搭載要素間や、各搭載要素とコネクタ9間が、凹部側コネクタ18aと凸部側コネクタ17aとを介して電気的に接続される。なお、基板8bと基板8cとの間でも同様のコネクタ接続がなされているが、基板8aと基板8bとの間と同様の構成であるので、詳細な図示は省略する。
【0028】
半導体装置150に外力が加わることで基板8が変形して、基板8aと基板8bとが図8に示す状態よりも離れてしまった場合でも、図9に示すように、凹部側コネクタ18aと凸部側コネクタ17aとの接触が確保されるために、半導体装置150を安定的に動作させることができる。また、凹部側コネクタ18aと凸部側コネクタ17aとの接触により、電気的接触を確保しているので、基板8aと基板8bとの距離が変化しても、断線などの不具合が生じにくい。
【0029】
なお、基板8を屈曲させるような外力が加えられた場合にも、基板8a〜c間の距離が変化する場合があるが、この場合にも、上記説明と同様に、凹部側コネクタ18aと凸部側コネクタ17aとの接触が確保されるために、半導体装置150を安定的に動作させることができる。また、基板8a〜cのうちいずれかの基板を、異なる容量のNANDメモリ10が搭載された基板に変更すれば、容易に半導体装置150全体の容量を変更することができる。すなわち、分割された基板の組合せによって、NANDメモリ10の世代や、容量を容易に変更することができるようになる。
【0030】
図10は、第2の実施の形態の変形例2にかかる半導体装置の横断面図である。図10に示すように、本変形例2では、複数の基板8a〜c同士が一部で重なるように設けられている。そして、図示を省略するが、基板8a〜c同士の重なる部分に、上記変形例1で説明したような、コネクタ18a,17a(図8,9も参照)を設けることで、基板8aと基板8bとの距離が変化しても、断線などの不具合が生じにくく、半導体装置150の信頼性の向上を図ることができる。
【0031】
図11は、第2の実施の形態の変形例3にかかる半導体装置の横断面図である。本変形例3では、図11に示すように、基板8(8a〜8c)を分割してTABテープ16で連結しつつ、NANDメモリ10等の搭載要素間に柱状補強部15aで構成された格子部15を配置している。
【0032】
このように構成することで、外力による半導体装置150の変形を柱状補強部15aによって抑制するとともに、半導体装置150が変形した場合であっても、基板8が連結部分で変形することで、断線や破損を抑えることができる。
【0033】
(第3の実施の形態)
図12は、第3の実施の形態にかかる半導体装置200の外観斜視図である。図13は、図12に示す半導体装置200の外観斜視図であって、保護部を折り曲げた状態を示す図である。図14は、図12に示す半導体装置200の横断面図である。図15は、図12に示す半導体装置200の側面図である。なお、上記実施の形態と同様の構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0034】
図14に示すように、第3の実施の形態にかかる半導体装置200は、基板8のうちNANDメモリ10等が搭載された第一面上を覆うように、合成樹脂で構成されたモールド部26を備える。モールド部26は、基板8の第一面上に合成樹脂を充填することで構成される。
【0035】
図12,13に示すように、モールド部26に覆われた基板8は、平面視において略方形形状を呈する方形部21とその1辺から外側に向かって突出形成された凸部22とを有する。凸部22の表面には、入出力端子23が形成されている。ホスト装置側の端子に接触させることで、入出力端子23を介してNANDメモリ10やDRAM20への情報の入出力が可能となる。
【0036】
方形部21に対して凸部22が形成された側には、保護部24が設けられる。保護部24には、凸部22が嵌まる凹部25が形成されている。保護部24は、方形部21に対して折り曲げ可能に連結される。具体的には、図14,15に示すように、方形部21と保護部24とを樹脂部材(ヒンジ部)27を用いて第二面側で連結することで、樹脂部材27がヒンジとして機能して、方形部21に対して保護部24が折り曲げ可能となる。保護部24を折り曲げて、凸部22を露出させることで、ホスト装置側のコネクタ等に凸部22を挿入して、半導体装置200を使用することができる。
【0037】
以上説明したように、基板8の第1面上に合成樹脂を充填してモールド部26を形成することで、半導体装置200の機械強度の向上を図ることができる。これにより、半導体装置200の小型化や薄型化が図られた場合であっても、外力などによって破損しにくい半導体装置200とすることができる。例えば、凸部22を凹部25に嵌めた状態の半導体装置200全体の平面形状を、86mm×54mmとし、高さを2.2mm以下とする、いわゆるカード形状の半導体装置200とした場合であっても、モールド部26によって機械強度の向上を図ることで、破損しにくい半導体装置200とすることができる。
【0038】
また、保護部24に形成された凹部25に凸部22が嵌まることで、方形部21から突出した凸部22の破損を抑えることができる。これにより、半導体装置200の信頼性の向上や、製品寿命の長寿命化を図ることができる。また、半導体装置200を使用する際に、保護部24を折り曲げればよいので、保護部24が方形部21から分離せず、保護部24の紛失を防ぐことができる。
【0039】
なお、第3の実施の形態では、入出力端子23は、ホスト装置側の端子に直接接触させてはNANDメモリ10等への入出力を可能とする端子として説明しているが、例えば、入出力端子23を無線接続用の端子として構成することで、ホスト装置と直接接触せずにNANDメモリ10等への入出力が可能となるように構成してもよい。
【0040】
図16は、第3の実施の形態の変形例1にかかる半導体装置の分解斜視図である。本変形例では、方形部21と保護部24とが分離可能とされる。そして、図16に示すように、方形部21のうち保護部24と接触する面に挿入穴21aが形成され、保護部24のうち方形部21と接触する面に、挿入穴21aに挿入される挿入凸部24aが形成されている。このような構成によれば、挿入凸部24aを挿入穴21aに挿入することで、保護部24を方形部21に取り付けて、凸部22を保護することができる。
【0041】
図17は、第3の実施の形態の変形例2にかかる半導体装置200の外観斜視図である。図18は、図17に示す半導体装置200の外観斜視図であって、保護部24を折り曲げた状態を示す図である。本変形例2では、凸部22が方形部21の端に寄せて形成されている。保護部24は、図14,15で示したのと同様に、樹脂部材27によって方形部21に連結されている。このように、凸部22が形成される位置は、半導体装置200の仕様や、使用目的に合わせて適宜変更しても構わない。
【0042】
図19は、第3の実施の形態の変形例3にかかる半導体装置200の外観斜視図である。図19に示すように、方形部21に凸部を形成せずに入出力端子23を形成してもよい。凸部が形成されていないので、方形部21が破損しにくくなるため、保護部を省略してコストの抑制を図ることができる。
【0043】
(第4の実施の形態)
図20は、第4の実施の形態にかかる半導体装置250の外観斜視図である。図21は、図20に示す半導体装置250を二面側から見た斜視図である。図22は、基板の層構成とその厚さの関係を説明するための図である。なお、上記実施の形態と同様の構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0044】
第4の実施の形態では、図22に示すように、導体層49と絶縁層50を積層させた多層構造で基板48が形成される。導体層49は、銅などの導体を用いて配線パターンが形成される層である。絶縁層50は、樹脂等の絶縁性の材料を用いて、導体層49間を絶縁させる層である。なお、NANDメモリ10が搭載される一面側には保護膜としてのソルダレジスト層(SR)53が形成されている。基板48では、絶縁層50を間に挟んで6層(L1層〜L6層)の導体層49が形成されている。導体層49は、配線パターンとして信号線(S)が形成される層、配線パターンとしてグランド(G)が形成される層、配線パターンとして電源線(V)が形成される層を有する。なお、層構成の順番などは、図22に示す例に限られない。
【0045】
絶縁層50は、第1絶縁層50aと第2絶縁層50bを含んでいる。第1絶縁層50aよりも第2絶縁層50bを薄くすることで、第1絶縁層50aのみで絶縁層50を構成した場合に比べて、基板48の薄型化を図っている。例えば、本実施の形態では、第1絶縁層50aの厚さが約50μmであり、第2絶縁層50bの厚さが約26μmである。
【0046】
ここで、導体層49に配線パターンが形成された多層構造の基板48では、半導体装置250を所望の通信品質で動作させるために、所定の電気特性が求められる。例えば、配線パターンが差動ペア配線である場合には、所定の電気特性としての目標インピーダンスが約100Ωとされる。また、配線パターンがSingle−End配線である場合には、目標インピーダンスが45〜50Ωとされる。
【0047】
第1絶縁層50aとして、液晶ポリマ(LCP:Liquid Crystal Polymer)を用いた場合、その比誘電率は約2.9となる。上述したように、第1絶縁層50aの厚さを50μmとすると、導体層49に形成される配線パターンがSingle−End配線である場合には、配線パターンの幅を50μmで形成すれば、目標インピーダンスである45〜50Ωとすることができる。
【0048】
一方、比誘電率が約2.9である第1絶縁層50aを26μmまで薄くして基板48の薄型化を図ろうとすると、導体層49に形成される配線パターンがSingle−End配線である場合には、配線パターンの幅を25μmとしなければ、目標インピーダンスである45〜50Ωを達成することが困難となる。配線パターンの幅を25μmとする場合には、加工精度の観点や、製造コストの観点から、量産化を図ることが難しい。
【0049】
そこで、本実施の形態では、第2絶縁層50bの厚さを第1絶縁層50aよりも薄い26μmとしている。そして、第1絶縁層50aよりも比誘電率の低い材料を用いて第2絶縁層50bを形成している。第2絶縁層50bには、比誘電率が約2.4である低誘電率接着フィルムが用いられる。
【0050】
このように、第1絶縁層50aよりも比誘電率の低い材料を用いて第2絶縁層50bを形成し、その厚さを26μmまで薄くして基板48の薄型化を図れば、導体層49に形成される配線パターンがSingle−End配線である場合に、配線パターンの幅を50μmとして、目標インピーダンスである45〜50Ωを達成することができる。配線パターンの幅が50μmであれば、量産化を図りやすくなる。すなわち、第1絶縁層50aよりも比誘電率の低い第2絶縁層50bの部分を薄くすることで、所望の電気特性を得つつ、基板の薄型化を図ることができる。なお、第2絶縁層30bを設ける位置や数は、図22に示す例に限られない。導体層49の順番を変更すること、すなわち信号線(S)、グランド(G)、電源線(V)が形成される層の順番を入れ替えたりすることで、第2絶縁層30bを設ける位置や数を変更してもよい。
【0051】
積層された導体層49同士は、絶縁層50を貫通するように設けられたバンプ54(図23も参照)によって電気的に接続されている。例えば、第1絶縁層50aの両面に導体層49が形成された二層基板を用意する。ここで、一方の二層基板の導体層49にはバンプ54を形成しておく。そして、バンプ54が形成された二層基板と、バンプ54の形成されていない二層基板との間に第2絶縁層50bを設けた状態で、両者を圧着することで、第2絶縁層50bにバンプ54を貫通させて、導体層49同士を電気的に接続させることができる。なお、絶縁層50にビアを形成して導体層49同士を電気的に接続しても構わない。
【0052】
上述したように、基板48の薄型化を図ると、基板48の強度が低下する。そこで、基板48の二面側には、補強板51が貼り付けられている。補強板51は、例えば金属や樹脂で構成される。金属や樹脂で構成された補強板51を基板48に貼り付けることで、基板48の強度の向上を図ることができる。
【0053】
補強板51は、例えば第2絶縁層50bに用いられた低誘電率接着フィルムで基板48の二面側に貼り付けられる。なお、補強板51は、両面テープや他の接着剤で貼り付けられても構わない。
【0054】
導体層50のうち最も基板48の二面側に設けられた導体層49と、補強板51とは、バンプ54によって電気的に接続されている。例えば、補強板51の一面側にバンプ54を形成する。そして、補強板51と基板48との間に絶縁層50を設けた状態で、両者を圧着することで、絶縁層50にバンプ54を貫通させて、導体層49同士を電気的に接続させることができる。なお、補強板51と導体層49との電気的接続は、バンプ54によるものに限られない。例えば、はんだを用いて補強板51と導体層49とを電気的に接続しても構わない。
【0055】
補強板51と導体層49とを電気的に接続することで、補強板51をグランド層として利用することが可能となる。また、基板48の一面側に搭載されたNANDメモリ10等で発生した熱を放熱させるヒートシンクとして、補強板51を利用することが可能となる。ここで、グランド層としての機能やヒートシンクとしての機能を考慮すると、補強板51の導電率が高いほうが好ましい。また、基板48の強度向上を図るためには、ある程度の強度も必要とされる。そこで、補強板51として金属を用いる場合には、例えばアルミニウムやマグネシウム用いることができる。また、樹脂を用いる場合には、導電率の高い樹脂や、カーボンフィラーを混入させた樹脂を用いることができる。
【0056】
基板48の二面側には、複数のチップ部品52が搭載される。チップ部品52は、例えばバイパスコンデンサである。バイパスコンデンサは、NANDメモリ10、ドライブ制御回路4といった半導体素子と、導体層49(配線パターン)を介して電気的に接続される。チップ部品52は、はんだによって導体層49と電気的に接続される。
【0057】
バイパスコンデンサは、半導体素子が搭載された領域の裏面側となる領域に搭載される。これにより、半導体素子とバイパスコンデンサとの間の配線長を短くすることができる。補強板51には、基板48の二面側に搭載されるバイパスコンデンサ等のチップ部品52と重なる部分に開口51aが形成されている。したがって、補強板51を貼り付け他後でもチップ部品52を搭載することができる。
【0058】
また、半導体素子が搭載された領域の裏面側となる領域にバイパスコンデンサを搭載することで、補強板51に対して開口51aを分散して形成することができる。まとめて大きな開口を補強板51に形成する場合に比べて、開口51aの形成による補強板51の強度低下を抑えることができる。これにより、基板48の強度の低下を抑えることができる。
【0059】
図23は、チップ部品52が搭載された部分を拡大した部分拡大断面図である。図23に示すように、補強板51よりも外側に飛び出さない高さのチップ部品52が用いられている。これは、補強板51に形成された開口51aの基板48までの深さXよりも、基板48からの高さYが小さいチップ部品52を用いていると換言することもできる。
【0060】
なお、本実施の形態では、基板48にDRAM20(図2も参照)が搭載されていない例を示しているが、もちろんDRAM20を搭載してもよい。この場合、DRAM20が搭載された領域の裏面側にチップ部品を搭載してもよい。この場合には、補強板51には、そのチップ部品が搭載される部分と重なる部分に開口51aを形成すればよい。
【0061】
また、基板48の線膨張係数と補強板51の線膨張係数とが略一致するようにすることで、熱変形時の膨張率の差による補強板51の剥がれ等によって、半導体装置250が破損するのを抑えることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 ホスト、 2 SATAインタフェース(ATA /IF)、 3 通信インタフェース、 4 ドライブ制御回路(コントローラ)、 5 電源回路、 8,8a,8b,8c 基板、 9 コネクタ、 10 NANDメモリ(不揮発性半導体記憶素子)、 14 ケース、 14a 下ケース、 14b 上ケース、 15 格子部、 15a 柱状補強部(補強部)、 16 TABテープ(連結部)、 17 コネクタ凸部、 17a 凸部側コネクタ、 18 コネクタ凹部、 18a 凹部側コネクタ、 21 方形部、 21a 挿入穴、 22 凸部、 23 入出力端子、 24 保護部、 24a 挿入凸部、 25 凹部、 26 モールド部、 27 樹脂部材(ヒンジ部)、48 基板、49 導体層、50 絶縁層、50a 第1絶縁層、50b 第2絶縁層、51 補強板、51a 開口、52 チップ部品、53 ソルダレジスト層、54 バンプ、 100,150,200,250 半導体装置、 300 デバッグ用機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体層と絶縁層とが交互に積層された基板と、
前記基板の一面側に搭載された半導体素子と、
前記基板の一面側の反対面である二面側に貼り付けられた補強板と、
前記基板の第二面に搭載されたチップ部品と、
前記半導体素子とホスト装置とを接続させるコネクタと、を備え、
前記絶縁層は、第1絶縁層と前記第1絶縁層よりも比誘電率の低い第2絶縁層とを含み、
前記導体層のうち最も前記二面側に設けられた導体層と前記補強板とが電気的に接続されており、
前記導体層のうち最も前記二面側に設けられた導体層と前記補強板とがバンプを介して電気的に接続されており、
前記補強板のうち前記チップ部品と重なる部分には開口が形成されており、
前記半導体素子は、不揮発性半導体記憶素子および前記不揮発性半導体記憶素子を制御するコントローラの少なくとも一方を含み、
前記チップ部品は、バイパスコンデンサを含んでおり、前記不揮発性半導体素子が搭載された領域の裏面側または前記コントローラが搭載された領域の裏面側に搭載され、
前記チップ部品の前記二面からの高さは、前記補強板に形成された開口の前記二面までの深さよりも小さく、
前記基板の線膨張係数と前記補強板の線膨張係数とが略一致し、
前記補強板は、金属製または樹脂製であり、
前記第2絶縁層は、低誘電率接着フィルムであり、
前記基板は、前記第1絶縁層の両面に前記導体層が設けられた2層基板同士を前記低誘電率接着フィルムで接着させて形成される半導体装置。
【請求項2】
導体層と絶縁層とが交互に積層された基板と、
前記基板の一面側に搭載された半導体素子と、
前記基板の一面側の反対面である二面側に貼り付けられた補強板と、を備える半導体装置。
【請求項3】
前記絶縁層は、第1絶縁層と前記第1絶縁層よりも比誘電率の低い第2絶縁層とを含む請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
配線層が形成されるとともに、複数に分割された基板と、
前記基板の一面側に搭載された揮発性半導体記憶素子と、
前記基板の一面側に搭載された不揮発性半導体記憶素子と、
前記基板の一面側に搭載されて前記揮発性半導体記憶素子と前記不揮発性半導体記憶素子を制御するコントローラと、
前記基板の一面側に設けられて前記基板を補強する補強部と、
前記基板の一面側を囲うケースと、
前記分割された基板同士を連結する連結部と、を備え、
前記不揮発性半導体記憶素子は、複数搭載され、
前記補強部は、複数搭載された前記不揮発性半導体記憶素子同士の間に設けられて柱状形状を呈し、
前記補強部は、前記基板の一面を覆うように充填された合成樹脂であり、
前記合成樹脂に覆われた前記基板は、平面視において略方形形状を呈する方形部と、前記方形部の1辺から外側に向かって突出形成された凸部とを有して構成され、
前記凸部には前記不揮発性半導体記憶素子への入出力端子が形成され、
前記凸部が嵌まる凹部が形成されて前記凸部を保護する保護部をさらに備え、
前記基板に対して前記保護部は折り曲げ可能に連結され、
前記分割された基板の配線層同士は、前記連結部を介して接続され、
前記連結部は、TABテープである半導体装置。
【請求項5】
基板と、
前記基板の一面側に搭載された揮発性半導体記憶素子と、
前記基板の一面側に搭載された不揮発性半導体記憶素子と、
前記基板の一面側に搭載されて前記揮発性半導体記憶素子と前記不揮発性半導体記憶素子を制御するコントローラと、
前記基板の一面側に設けられて前記基板を補強する補強部と、を備える半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−33914(P2013−33914A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−69503(P2012−69503)
【出願日】平成24年3月26日(2012.3.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)