説明

半導体試験装置

【課題】起動時間を短縮することにより試験効率を向上させることができる半導体試験装置を提供する。
【解決手段】半導体試験装置1は、半導体試験装置1を統括制御するテスタコントローラ10と、半導体デバイスの試験結果を用いてリダンダンシ演算を行うリダンダンシシステム20とを備える。リダンダンシシステム20は、オペレーティングシステム(OS)が起動されている状態でリダンダンシ演算を実行する複数のリダンダンシ演算装置40a〜40nと、これらを制御するリダンダンシ制御装置30とを備える。テスタコントローラ10は、半導体試験装置1の電源投入時に、リダンダンシ制御装置30及びリダンダンシ演算装置40a〜40nで用いられるOSを圧縮したOSである圧縮OS12を、バスBを介してリダンダンシ制御装置30及びリダンダンシ演算装置40a〜40nに直接転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの試験を行う半導体試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体試験装置は、半導体デバイスの試験に要する時間を短縮するために、積極的に並列化が行われている。例えば、多数の半導体デバイスを短時間で試験するために半導体デバイスの並列試験が可能とされており、或いは半導体デバイスの試験結果を短時間で処理するために複数の処理装置による並列処理が可能とされている。
【0003】
特に、半導体試験装置の一種であるメモリテスタでは、膨大な数の半導体デバイス(メモリ)を効率良く試験する必要があるため、数百を超えるメモリの並列試験が可能なものも開発されている。また、ウェハに形成されている状態のメモリを試験するメモリテスタでは、メモリセルに生じた不良の救済を行う上で必要なデータを作成するリダンダンシ演算をメモリ毎に行う必要がある。このリダンダンシ演算を効率良く行うため、複数のリダンダンシ演算装置により並列してリダンダンシ演算を行うメモリテスタも開発されている。
【0004】
図4は、従来の半導体試験装置の要部構成を示すブロック図である。図4に示す通り、従来の半導体試験装置100は、テスタコントローラ110とリダンダンシシステム120とを備えており、ウェハに形成されている状態のメモリ(図示省略)に対する試験を行うとともに、その試験により得られた試験結果を用いてリダンダンシ演算を行う。テスタコントローラ110は、半導体試験装置100を統括的に制御する。
【0005】
このテスタコントローラ110は、リダンダンシシステム120で用いられるオペレーティングシステム(OS)112を格納するハードディスク装置等のデータ格納装置111を備える。尚、図示は省略しているが、テスタコントローラ110は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバを備えており、リダンダンシ制御装置130等からの要求に応じてIP(nternet Protocol)アドレスの割り当てを行う。
【0006】
リダンダンシシステム120は、PCI(Peripheral Components Interconnect)バス等のバスB100によって相互に接続されたリダンダンシ制御装置130と複数のリダンダンシ演算装置140a〜140nとを備えており、テスタコントローラ110の制御の下でリダンダンシ演算を行う。このリダンダンシシステム120は、機能の追加、削除、変更等に容易に対応するために、テスタコントローラ110で一元管理されるOS112をダウンロードし、ダウンロードしたOS112をリダンダンシ制御装置130及びリダンダンシ演算装置140a〜140nの各々で起動する仕組みになっている。このため、リダンダンシ制御装置130及びリダンダンシ演算装置140a〜140nには、ハードディスク装置等のデータ格納装置は設けられておらず、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリ131,141a〜141nがそれぞれ設けられている。
【0007】
リダンダンシ制御装置130は、イーサネット(登録商標)等の通信ケーブルCを介してテスタコントローラ110に接続されており、テスタコントローラ110との間で通信を行いつつリダンダンシシステム120を制御する。例えば、半導体試験装置100の電源投入時において、リダンダンシシステム120で用いられるOS112のダウンロード制御及びダウンロードしたOS112の起動制御等を行う。
【0008】
尚、リダンダンシ制御装置130は、OS112が起動されていない状態でも、通信ケーブルCを介してテスタコントローラ110との間で簡単な通信を行うことができる。例えば、テスタコントローラ110が備える不図示のDHCPサーバによるIPアドレスの割り当て要求や、TFTP(Trivial File Transfer Protocol)等の通信プロトコルを用いてOS112のダウンロードを行うことができる。
【0009】
リダンダンシ制御装置130が備えるメモリ131は、テスタコントローラ110からダウンロードしたOS112や、リダンダンシ制御装置130で起動されたOS112によって用いられる各種変数を記憶する。このメモリ131には、リダンダンシ演算装置140a〜140nから参照可能な公開領域R101と、リダンダンシ演算装置140a〜140nから参照不可能であって、リダンダンシ制御装置130によってのみ用いられる非公開領域R102とが設けられている。
【0010】
リダンダンシ演算装置140a〜140nは、リダンダンシ制御装置130の制御の下で、試験対象である不図示のメモリの試験を行って得られた試験結果を用いてリダンダンシ演算を実行する。尚、リダンダンシ演算装置140a〜140nは、OS112が起動されていない状態でも、リダンダンシ制御装置130が備えるメモリ131の公開領域R101を参照することができる。リダンダンシ演算装置140a〜140nが備えるメモリ141a〜141nは、リダンダンシ制御装置130から参照されることなく、リダンダンシ演算装置140a〜140nの各々でのみ用いられる。
【0011】
次に、上記構成における半導体試験装置100の電源投入時の動作について説明する。半導体試験装置100の電源が投入されると、まずリダンダンシ制御装置130はテスタコントローラ110に対し、DHCPサーバによるIPアドレスの割り当て要求を送信してテスタコントローラ110からIPアドレスを取得する。次に、リダンダンシ制御装置130はテスタコントローラ110に対してOS112の送信要求を送信し、テスタコントローラ110からOS112をダウンロードする。尚、ダウンロードされたOS112はリダンダンシ制御装置130が備えるメモリ131の非公開領域R102に記憶される。次いで、リダンダンシ制御装置130は、メモリ131の非公開領域R102に記憶されたOS112を、メモリ131の公開領域R101にコピーする。
【0012】
以上の処理を終えると、リダンダンシ制御装置130は、リダンダンシ演算装置140a〜140nに対してOS112のコピー開始を指示する。かかる指示によって、リダンダンシ演算装置140a〜140nは、リダンダンシ制御装置130が備えるメモリ131の公開領域R101に記憶されたOS112を個別に読み出し、メモリ141a〜141nにそれぞれ記憶する。OS112の読み出しを終えたリダンダンシ演算装置140a〜140nは、リダンダンシ制御装置130に対して読み出し完了通知を個別に行った後にOS112を起動させる。また、リダンダンシ制御装置130は、全てのリダンダンシ演算装置140a〜140nから読み出し完了通知があったことを確認した後に、OS112を起動させる。以上の処理によって、リダンダンシシステム120が起動される。
【0013】
尚、従来の半導体試験装置の詳細については、例えば以下の特許文献1〜3を参照されたい。
【特許文献1】特開2000−314763号公報
【特許文献2】特開2007−66349号公報
【特許文献3】特開2008−4237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、近年においては、試験対象であるメモリの並列試験数が益々増大する傾向にあるとともに、試験対象であるメモリの容量も増大傾向にあることから、リダンダンシ演算の演算量が益々増大する状況にある。かかる状況に対応するため、より多くのリダンダンシ演算装置を半導体試験装置に搭載し、個々のリダンダンシ演算装置の負荷を分散することで、リダンダンシ演算に要する時間の短縮が図られている。
【0015】
しかしながら、前述した通り従来は、リダンダンシシステム120の起動時に、リダンダンシ制御装置130がテスタコントローラ110に対してIPアドレスの取得及びOS112のダウンロードを行った後に、ダウンロードしたOS112をメモリ131の公開領域R101にコピーしてからリダンダンシ演算装置140a〜140nの各々に対して読み出し指示を行っている。このため、リダンダンシ演算装置の増加に伴ってリダンダンシシステム120の起動時間が長くなり、これにより試験効率が悪化してしまうという問題がある。
【0016】
通常、半導体試験装置のメンテナンスは、「半導体試験装置の電源遮断、メンテナンス実施、半導体試験装置の電源投入、診断プログラムの実行」を1サイクルとした手順により行われる。ここで、上位の診断プログラムの実行により異常が診断された場合には、上記のサイクルが繰り返されることから、リダンダンシシステム120の起動時間が長いと、メンテナンスに長時間を要してしまい試験効率が悪化してしまう。
【0017】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、起動時間を短縮することにより試験効率を向上させることができる半導体試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の半導体試験装置は、半導体デバイスの試験を行う半導体試験装置(1)において、所定のオペレーティングシステムが起動されている状態で、所定の処理を行う複数の処理装置(30、40a〜40n)と、前記複数の処理装置の各々で起動される前記オペレーティングシステムを、電源投入時に前記複数の処理装置にそれぞれ転送する制御装置(10)とを備えることを特徴としている。
この発明によると、半導体試験装置の電源投入時に、複数の処理装置の各々で起動されるオペレーティングシステムが、制御装置から複数の処理装置の各々に対して直接転送される。
また、本発明の半導体試験装置は、前記制御装置が、前記複数の処理装置の各々と所定のバス(B)を介して接続されており、当該バスを介して前記オペレーティングシステムを前記複数の処理装置にそれぞれ転送することを特徴としている。
また、本発明の半導体試験装置は、前記複数の処理装置が、前記制御装置によって管理されるアドレス空間(AS)に一部の領域(R1、R11〜Rn1)が割り当てられたメモリ(31、41a〜41n)をそれぞれ備えており、前記制御装置は、前記複数の処理装置の各々が備えるメモリの前記アドレス空間に割り当てられた領域を指定することで、前記オペレーティングシステムを前記複数の処理装置の各々に転送することを特徴としている。
また、本発明の半導体試験装置は、前記制御装置によって転送される前記オペレーティングシステムは、所定の圧縮方式によって圧縮されており、前記複数の処理装置は、前記制御装置により転送された前記オペレーティングシステム(12)をそれぞれ伸長してから起動することを特徴としている。
また、本発明の半導体試験装置は、前記制御装置が、前記複数の処理装置のうちの前記オペレーティングシステムの転送を完了した処理装置に対して転送完了を示す転送完了通知を行い、前記複数の処理装置は、前記制御装置からの前記転送完了通知を受けてから前記制御装置により転送された前記オペレーティングシステムをそれぞれ伸長することを特徴としている。
また、本発明の半導体試験装置は、前記複数の処理装置が、前記半導体デバイスに生じた不良の救済を行う上で必要なデータを前記半導体デバイスの試験結果を用いて作成するリダンダンシ演算を、前記所定の処理としてそれぞれ行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、半導体試験装置の電源投入時に、複数の処理装置の各々で起動されるオペレーティングシステムを、制御装置から複数の処理装置の各々に対して直接転送しているため、処理装置の起動に要する時間を短縮することができという効果がある。この結果として、半導体試験装置の試験効率を向上させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による半導体試験装置について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による半導体試験装置の要部構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態の半導体試験装置1は、テスタコントローラ10(制御装置)とリダンダンシシステム20とを備えており、ウェハに形成されている状態のメモリ(図示省略)に対する試験を行うとともに、その試験により得られた試験結果を用いてリダンダンシ演算を行う。この半導体試験装置1は、半導体メモリの試験を行う所謂メモリテスタである。
【0021】
テスタコントローラ10は、半導体試験装置1を統括的に制御する。例えば、試験対象である不図示のメモリの試験時にはメモリの試験に用いる試験パターンや期待値パターンの発生制御、及び期待値パターンを用いたパス/フェイルの判定制御等を行い、リダンダンシ演算時にはリダンダンシシステム20にリダンダンシ演算を行わせるための制御信号を出力する。また、テスタコントローラ10は、リダンダンシシステム20で用いられるオペレーティングシステム(OS)であって、所定の圧縮形式によって圧縮されたOS(圧縮OS)12を格納するハードディスク装置等のデータ格納装置11を備える。OSの圧縮形式は、任意の圧縮形式を用いることができる。
【0022】
また、テスタコントローラ10は、半導体試験装置1の電源投入時に、データ格納装置11から圧縮OS12を読み出してリダンダンシシステム20への転送を行う。このように、リダンダンシシステム20で用いられる圧縮OS12をテスタコントローラ10が一元管理するのは、リダンダンシシステム20の機能の追加、削除、変更等に容易に対応するためである。テスタコントローラ10は、圧縮OS12の転送を終えた場合には、リダンダンシシステム20に対して転送を完了した旨を示す通知である転送完了通知を行う。
【0023】
リダンダンシシステム20は、リダンダンシ制御装置30と複数のリダンダンシ演算装置40a〜40n(処理装置)とを備えており、テスタコントローラ10の制御の下でリダンダンシ演算を行う。ここで、リダンダンシシステム20が備えるリダンダンシ制御装置30及び複数のリダンダンシ演算装置40a〜40n並びに上述したテスタコントローラ10は、PCIExpress(登録商標)バス等のバスB(所定のバス)によって相互に接続されている。
【0024】
リダンダンシシステム20は、前述した通り、機能の追加、削除、変更等に容易に対応するために、テスタコントローラ10で一元管理されて半導体試験装置1の電源投入時にバスBを介して転送される圧縮OS12をリダンダンシ制御装置30及びリダンダンシ演算装置40a〜40nの各々で伸長して起動する仕組みになっている。このため、リダンダンシ制御装置30及びリダンダンシ演算装置40a〜40nには、ハードディスク装置等のデータ格納装置は設けられておらず、RAM及びROM等のメモリ31,41a〜41nがそれぞれ設けられている。
【0025】
リダンダンシ制御装置30は、圧縮OS12を伸長して得られるOSが起動されている状態で、テスタコントローラ10からバスBを介して送信されてくる制御信号に基づいてリダンダンシシステム20を制御する。例えば、テスタコントローラ10からリダンダンシ演算を開始すべき旨を示す制御信号が送信された場合には、バスBを介してリダンダンシ演算装置40a〜40nに対してリダンダンシ演算で用いる試験結果を特定してリダンダンシ演算を実行させる制御を行う。
【0026】
尚、リダンダンシ制御装置30は、圧縮OS12を伸長して得られるOSが起動されていない状態でも、バスBを介したテスタコントローラ10との簡単な信号の送受信や、圧縮OS12の伸長処理等を行うことが可能である。また、リダンダンシ制御装置30は、圧縮OS12を伸長して得られるOSが起動されていない状態において、テスタコントローラ10から転送された圧縮OSを、テスタコントローラ10からの転送完了通知を受けてから伸長する。
【0027】
リダンダンシ制御装置30が備えるメモリ31は、テスタコントローラ10から転送される圧縮OS12や、リダンダンシ制御装置30で起動されたOS(圧縮OS12を伸長して得られるOS)によって用いられる各種変数を記憶する。このメモリ31には、テスタコントローラ10から参照可能な公開領域R1と、テスタコントローラ10及びリダンダンシ演算装置40a〜40nから参照不可能であって、リダンダンシ制御装置30によってのみ用いられる非公開領域R2とが設けられている。
【0028】
リダンダンシ演算装置40a〜40nは、圧縮OS12を伸長して得られるOSが起動されている状態において、リダンダンシ制御装置30の制御の下で、試験対象である不図示のメモリの試験を行って得られた試験結果を用いてリダンダンシ演算(所定の処理)を実行する。尚、リダンダンシ演算装置40a〜40nは、リダンダンシ制御装置30と同様に、圧縮OS12を伸長して得られるOSが起動されていない状態でも、バスBを介したテスタコントローラ10との簡単な信号の送受信や、圧縮OS12の伸長処理等を行うことが可能である。また、リダンダンシ演算装置40a〜40nは、圧縮OS12を伸長して得られるOSが起動されていない状態において、テスタコントローラ10から転送された圧縮OSを、テスタコントローラ10からの転送完了通知を受けてからそれぞれ伸長する。
【0029】
リダンダンシ演算装置40a〜40nが備えるメモリ41a〜41nは、テスタコントローラ10から転送される圧縮OS12や、リダンダンシ演算装置40a〜40nで起動されたOS(圧縮OS12を伸長して得られるOS)によって用いられる各種変数をそれぞれ記憶する。このメモリ41a〜41nにも、テスタコントローラ10から参照可能な公開領域R11〜Rn1と、テスタコントローラ10及びリダンダンシ制御装置30から参照不可能であって、リダンダンシ演算装置40a〜40nによってのみ用いられる非公開領域R12〜Rn2とがそれぞれ設けられている。
【0030】
図2は、テスタコントローラ10によって管理されるアドレス空間の一例を示す図である。図2に示す通り、テスタコントローラ10によって管理されるアドレス空間ASには、リダンダンシ制御装置30が備えるメモリ31の公開領域R1、リダンダンシ演算装置40a〜40nが備えるメモリ41a〜41nの公開領域R11〜Rn1がそれぞれ割り当てられている。尚、公開領域R1及び公開領域R11〜Rn1が割り当てられている部分以外の部分には、例えばテスタコントローラ10が備えるメモリ(図示省略)等のアドレスが割り当てられている。
【0031】
よって、テスタコントローラ10は、自身が備える不図示のメモリに対するアクセスを行う場合と同様に、メモリ空間ASに割り当てられた公開領域R1を指定することで圧縮OS12をリダンダンシ制御装置30に転送することができる。また、メモリ空間ASに割り当てられた公開領域R11〜Rn1を指定することで圧縮OS12をリダンダンシ演算装置40a〜40nに転送することができる。
【0032】
次に、上記構成における半導体試験装置1の電源投入時の動作について説明する。図3は、本発明の一実施形態による半導体試験装置1の動作例を示すフローチャートである。このフローチャートは、半導体試験装置1の電源が投入されると開始される。半導体試験装置1の電源が投入されると、テスタコントローラ10は、メモリ空間ASに割り当てられた公開領域R1及び公開領域R11〜Rn1を指定し、リダンダンシ制御装置30及びリダンダンシ演算装置40a〜40nの各々に対して圧縮OS12の転送を行う。
【0033】
ここで、テスタコントローラ10からの圧縮OS12は、バスBを介してリダンダンシ制御装置30及びリダンダンシ演算装置40a〜40nに順次転送される(ステップS11)。転送された圧縮OS12は、リダンダンシ制御装置31が備えるメモリ31の公開領域R1、及びリダンダンシ演算装置40a〜40nが備えるメモリ41a〜41nの公開領域R11〜Rn1にそれぞれ記憶される。
【0034】
次に、テスタコントローラ10は、圧縮OS12の転送を終えたリダンダンシ制御装置30又はリダンダンシ演算装置40a〜40nに対して、バスBを介した転送完了通知を行う。尚、リダンダンシ制御装置30及びリダンダンシ演算装置40a〜40nに対する圧縮OS12の転送は、テスタコントローラ10により順次行われているため、上記の転送完了通知も順次行われる(ステップS12)。
【0035】
転送完了通知がなされたリダンダンシ制御装置30及びリダンダンシ演算装置40a〜40nは、テスタコントローラ10から転送された圧縮OS12の伸長を行う(ステップS13)。リダンダンシ制御装置30はメモリ31の公開領域R1に記憶された圧縮OS12の伸長処理を行って得られたOSを非公開領域R2に記憶させ、リダンダンシ演算装置40a〜40nはメモリ41a〜41nの公開領域R11〜Rn1に記憶された圧縮OS12の伸長処理を行って得られたOSを非公開領域R12〜rn2にそれぞれ記憶させる。
【0036】
圧縮OS12の伸長処理を終えると、リダンダンシ制御装置30及びリダンダンシ演算装置40a〜40nは、メモリ31,41a〜41nの非公開領域R2,R12〜Rn2から伸長処理を行って得られたOSをそれぞれ読み出して起動させる(ステップS14)。以上の処理によって、リダンダンシシステム20が起動される。
【0037】
以上の通り、本実施形態では、半導体試験装置1の電源投入時に、テスタコントローラ10がリダンダンシ制御装置30及びリダンダンシ演算装置40a〜40nに対して圧縮OS12を直接転送している。このため、リダンダンシ制御装置30とリダンダンシ演算装置40a〜40nとにおいて並列してOS起動させることができ、従来のように全てのリダンダンシ演算装置140a〜140nにおけるOSの起動を終えてからリダンダンシ制御装置130でOSを起動させる必要がない。これにより、リダンダンシシステム20におけるOSの起動時間を短縮することができ、この結果として試験効率を向上させることができる。
【0038】
また、本実施形態では、テスタコントローラ10とリダンダンシ制御装置30及びリダンダンシ演算装置40a〜40nとは、PCIExpress(登録商標)バス等のバスBによって相互に接続されており、圧縮OS12の転送時間を短縮することができる。また、テスタコントローラ10からリダンダンシ制御装置30及びリダンダンシ演算装置40a〜40nに対しては、所定の圧縮形式で圧縮された圧縮OS12が転送されるため、OSの転送に要する時間を短縮することができる。更に、本実施形態では、従来のようにDHCPサーバからIPアドレスを取得する必要もない。これらによっても、半導体試験装置1の電源が投入されてからリダンダンシシステム20の起動が完了するまでに要する時間を短縮することができ、試験効率を向上させることができる。
【0039】
以上、本発明の一実施形態による半導体試験装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、OSが起動されている状態でリダンダンシ演算を行う複数のリダンダンシ演算装置40a〜40nを備えるリダンダンシシステム20の起動時間を短縮する例について説明した。しかしながら、OSが起動されている状態で所定の処理を行う複数の処理装置を備える任意のシステムに本発明を適用することができる。
【0040】
また、上記実施形態では、半導体試験装置1がメモリの試験を行うメモリテスタである場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明は、メモリテスタ以外に、半導体論理回路を試験するロジックテスタ、LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示ディスプレイ)の駆動ドライバを試験するトライバテスタ等の各種の半導体試験装置に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態による半導体試験装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】テスタコントローラ10によって管理されるアドレス空間の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による半導体試験装置1の動作例を示すフローチャートである。
【図4】従来の半導体試験装置の要部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0042】
1 半導体試験装置
10 テスタコントローラ
12 圧縮OS
30 リダンダンシ制御装置
31 メモリ
40a〜40n リダンダンシ演算装置
41a〜41n メモリ
AS アドレス空間
B バス
R1 公開領域
R11〜Rn1 公開領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスの試験を行う半導体試験装置において、
所定のオペレーティングシステムが起動されている状態で、所定の処理を行う複数の処理装置と、
前記複数の処理装置の各々で起動される前記オペレーティングシステムを、電源投入時に前記複数の処理装置にそれぞれ転送する制御装置と
を備えることを特徴とする半導体試験装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記複数の処理装置の各々と所定のバスを介して接続されており、当該バスを介して前記オペレーティングシステムを前記複数の処理装置にそれぞれ転送することを特徴とする請求項1記載の半導体試験装置。
【請求項3】
前記複数の処理装置は、前記制御装置によって管理されるアドレス空間に一部の領域が割り当てられたメモリをそれぞれ備えており、
前記制御装置は、前記複数の処理装置の各々が備えるメモリの前記アドレス空間に割り当てられた領域を指定することで、前記オペレーティングシステムを前記複数の処理装置の各々に転送する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の半導体試験装置。
【請求項4】
前記制御装置によって転送される前記オペレーティングシステムは、所定の圧縮方式によって圧縮されており、
前記複数の処理装置は、前記制御装置により転送された前記オペレーティングシステムをそれぞれ伸長してから起動する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の半導体試験装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記複数の処理装置のうちの前記オペレーティングシステムの転送を完了した処理装置に対して転送完了を示す転送完了通知を行い、
前記複数の処理装置は、前記制御装置からの前記転送完了通知を受けてから前記制御装置により転送された前記オペレーティングシステムをそれぞれ伸長する
ことを特徴とする請求項4記載の半導体試験装置。
【請求項6】
前記複数の処理装置は、前記半導体デバイスに生じた不良の救済を行う上で必要なデータを前記半導体デバイスの試験結果を用いて作成するリダンダンシ演算を、前記所定の処理としてそれぞれ行うことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の半導体試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−79541(P2010−79541A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246204(P2008−246204)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】