説明

半導体集積回路モジュール、無線通信モジュール及び無線通信デバイス

【課題】ベース基材のフレキシブル性を損なうことなく、基板の脱落及び半導体回路チップや無線ICチップの損傷を極力防止できる半導体集積回路モジュール、無線通信モジュール及び無線通信デバイスを得る。
【解決手段】フレキシブル基板15と、該フレキシブル基板15に設けられた半導体回路チップ(無線ICチップ10)と、フレキシブル基板15に形成されて半導体回路チップ(無線ICチップ10)に結合されているコイルパターン20と、フレキシブル基板15強度を補強するための補強部材(層間導体26)とを備えた半導体集積回路モジュール(無線通信モジュール)。層間導体26は、金属材料からなり、フレキシブル基板15の一部領域であって半導体回路チップ(無線ICチップ10)の底面に対向する領域及び/又は該領域の周囲領域に、コイルパターン20によって生じる磁束を通過させる隙間を有して設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路モジュール、無線通信モジュール及び無線通信デバイス、特に、RFID(Radio Frequency Identification)システムに用いられる無線通信モジュール及び無線通信デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物品の情報管理システムとして、誘導磁界を発生するリーダライタと、物品に付されたRFIDタグ(無線通信デバイスとも称する)とを電磁界を利用した非接触方式で通信し、所定の情報を伝達するRFIDシステムが実用化されている。RFIDタグは、所定の情報を記憶し、所定の無線信号を処理する無線ICと、高周波信号の送受信を行うアンテナとを備えている。
【0003】
特許文献1には、多層構造のアンテナコイルを備えた無線ICタグが記載されている。この無線ICタグは、複数の絶縁基板を積層した多層基板の表面及び内層に設けられた積層型コイルと、該多層基板の表面に搭載された無線ICチップとを備えている。多層基板に設けた積層型コイルを放射素子としているため、通信距離はそれほど期待できないものの、5mm角程度に無線ICタグの小型化を図ることができる。
【0004】
しかしながら、前記無線ICタグを構成する絶縁基板は、ガラスエポキシ系基板であって非常に硬質であるため、この絶縁基板をフレキシブルなベースフィルムに貼着すると、貼着した部分ではベースフィルムのフレキシブル性が損なわれてしまう。さらに、ベースフィルムが曲がったり撓んだりすると、絶縁基板自体がベースフィルムから脱落してしまう可能性がある。
【0005】
これに対して、フレキシブルな材料で多層基板を形成すれば、ベースフィルムのフレキシブル性を損なうことはなく、ベースフィルムが曲がったり撓んだりしても、多層基板がベースフィルムから脱落するおそれが小さくなる。しかし、ベースフィルムが曲がったり撓んだときに多層基板に発生する応力が多層基板に搭載されている無線ICチップに直接的に作用し、無線ICチップが損傷するおそれが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−102348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、ベース基材のフレキシブル性を損なうことなく、基板の脱落及び半導体回路チップや無線ICチップの損傷を極力防止できる半導体集積回路モジュール、無線通信モジュール及び無線通信デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の形態である半導体集積回路モジュールは、
フレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板に設けられた半導体回路チップと、
前記フレキシブル基板に形成されて前記半導体回路チップに結合されているコイルパターンと、
前記フレキシブル基板の強度を補強するための補強部材と、
を備え、
前記補強部材は、金属材料からなり、前記フレキシブル基板の一部領域であって前記半導体回路チップの底面に対向する領域及び/又は該領域の周囲領域に前記コイルパターンによって生じる磁束が通過する隙間を有して設けられていること、
を特徴とする。
【0009】
本発明の第2の形態である無線通信モジュールは、
フレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板に設けられた無線ICチップと、
前記フレキシブル基板に形成されて前記無線ICチップに結合されているコイルパターンと、
前記フレキシブル基板の強度を補強するための補強部材と、
を備え、
前記補強部材は、金属材料からなり、前記フレキシブル基板の一部領域であって前記半導体回路チップの底面に対向する領域及び/又は該領域の周囲領域に前記コイルパターンによって生じる磁束が通過する隙間を有して設けられていること、
を特徴とする。
【0010】
本発明の第3の形態である無線通信デバイスは、前記無線通信モジュールと、該無線通信モジュールを搭載したフレキシブルなベース基材とを備え、前記ベース基材にはアンテナパターンが形成されており、該アンテナパターンは前記コイルパターンと磁界、電界又は電磁界を介して結合していること、を特徴とする。
【0011】
前記半導体集積回路モジュールや前記無線通信モジュールにおいては、フレキシブル基板を備えているため、ベース基材に貼着された場合であってもベース基材のフレキシブル性を損なうことがなく、フレキシブル基板が脱落するおそれが小さくなる。また、フレキシブル基板の一部領域であって半導体回路チップや無線ICチップの底面に対向する領域及び/又は該領域の周囲領域に補強部材が設けられているため、フレキシブル基板が曲がったり撓んだりしても、フレキシブル基板に発生する応力が半導体回路チップや無線ICチップに直接的に作用することがなくなるので、半導体回路チップや無線ICチップの損傷を極力防止することができる。また、補強部材は、金属材料からなるが、コイルパターンによって生じる磁束が通過する隙間を有しているため、磁束を遮ることはない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ベース基材のフレキシブル性を損なうことなく、基板の脱落及び半導体回路チップや無線ICチップの損傷を極力防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施例である無線通信モジュールを示し、(A)は平面図、(B)はX−X断面図である。
【図2】第1実施例である無線通信モジュールを構成する積層基板の積層構造を示す斜視図である。
【図3】前記積層基板の最下層の基材層を示す平面図である。
【図4】第1実施例である無線通信モジュールを搭載した無線通信デバイスを示し、(A)は断面図、(B)は表面図、(C)は裏面図である。
【図5】図4に示す無線通信デバイスにおける無線通信モジュールの搭載形態を示す断面図である。
【図6】第2実施例である無線通信モジュールを示し、(A)は平面図、(B)はY−Y断面図である。
【図7】第3実施例である無線通信モジュールを示す断面図である。
【図8】第4実施例である無線通信モジュールを示し、(A)は平面図、(B)はZ−Z断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る半導体集積回路モジュール、無線通信モジュール及び無線通信デバイスの実施例について添付図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部品、部分は同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
(第1実施例、図1〜図3参照)
図1に示すように、第1実施例である無線通信モジュール5Aは13.56MHz帯に使用されるものであり、無線信号を処理する無線ICチップ10と、無線ICチップ10に結合(電気的に接続)され、導体パターン21a〜21d(図2参照)が巻回されてなるコイルパターン20を含む給電回路基板15と、を備えている。無線ICチップ10は、シリコンなどの半導体基板からなり、クロック回路、ロジック回路、メモリ回路などを含み、必要な情報がメモリされている。無線ICチップ10は、その裏面に設けた入力用端子電極及び出力用端子電極がコイルパターン20の両端に電気的に接続されている。
【0016】
給電回路基板15は、フレキシブルな基材層を積層してなるそれ自体がフレキシブルな多層基板であって、中央部にキャビティ16を有し、該キャビティ16には前記無線ICチップ10が収容され、封止材17が充填されている。給電回路基板15には複数の導体パターン21a〜21dを多層に積層したコイルパターン20が内蔵されている。具体的には、図2に示す複数の基材層18a〜18eを積層、圧着したものである。
【0017】
ここで、基材層18a〜18eは、フレキシブルな材料、例えば、液晶ポリマなどのような熱可塑性樹脂からなる。封止材17は、フレキシブル基材層18a〜18eよりも硬質な樹脂材、例えば、エポキシ系ポリマなどのような熱硬化性樹脂からなる。
【0018】
図2において、最上層の基材層18aには、中央に開口部25が形成されている。2〜4層目の基材層18b〜18dには、中央に開口部25が形成され、導体パターン21a〜21cが形成されている。最下層の基材層18eには、図3に示すように、一端にランド23bを有する導体パターン21d、一端にランド23aを有する導体パターン21e及びランド23c,23dが形成されている。さらに、基材層18eには、給電回路基板15の強度を補強するための補強部材として機能する多数の層間導体26(ビアホール)が無線ICチップ10の底面に対向する領域の周囲領域にマトリクス状に形成されている。これらの層間導体、導体パターン及びランドは、Ag,Cuなどを主成分とする金属材料で形成され、金属膜をフォトリソ法やエッチング法によってパターニングして形成してもよく、あるいは、導電性ペーストをスクリーン印刷して形成してもよい。
【0019】
以上の基材層18a〜18eを積層することにより、最下層の導体パターン21dは一端21d−1が層間導体24aを介して4層目の導体パターン21cの一端21c−1に接続され、該導体パターン21cの他端21c−2は層間導体24bを介して3層目の導体パターン21bの一端21b−1に接続される。該導体パターン21bの他端21b−2は層間導体24cを介して2層目の導体パターン21aの一端21a−1に接続される。該導体パターン21aの他端21a−2は層間導体24dを介して最下層に設けた導体パターン21eに接続される。補強部材26はそれぞれが互いに及び他の導体とも電気的に接続されていない。
【0020】
開口部25はキャビティ16を形成し、該キャビティ16に収容された無線ICチップ10は入力用端子電極がランド23bに、出力用端子電極がランド23aに、それぞれはんだバンプ30(図1参照)などの導電性接合材で接続される。また、無線ICチップ10の裏面に設けた実装用端子電極が最下層に設けたランド23c,23dに接続される。
【0021】
以上のごとく導体パターン21a〜21dが巻回されることにより、平面視で矩形状の積層型のコイルパターン20が形成される。ランド23aから電流が供給されると、該電流は各導体パターン21a〜21dを矢印xで示す第1の方向及び第1の方向とは反対方向の矢印yで示す第2の方向に流れる。即ち、各導体パターン21a〜21dは、積層方向に隣接する部分では、同方向に電流が流れるように巻回されている。
【0022】
前記無線ICチップ10は、シリコンなどの半導体基板からなり、曲げや撓みの応力で破損するおそれがある。無線通信モジュール5Aにおいては、フレキシブル基材層18a〜18eを積層してなるフレキシブル積層基板(給電回路基板15)に、無線ICチップ10の底面に対向する領域の周囲領域に多数の層間導体26を形成しているため、給電回路基板15に外力が作用して基板15が曲がったり撓んだりした場合であっても、基板15に発生する応力が無線ICチップ10に直接的に作用することがなくなり、無線ICチップ10の損傷が極力防止される。また、コイルパターン20からは、図1(B)に示すように、磁束φが発生する。層間導体26は導電性金属材料からなるが、個々の層間導体26の間には多数の隙間を有しているため、磁束φを遮ることなく通過させる。
【0023】
さらに、給電回路基板15に形成したキャビティ16に無線ICチップ10を配置し、封止材17を無線ICチップ10を覆うようにキャビティ16に充填したため、無線ICチップ10は封止材17にて保護される。
【0024】
また、無線ICチップ10は給電回路基板15のキャビティ16に収容されるために、無線通信モジュール5Aが低背化される。キャビティ16の深さは基板15の厚みの半分以上であることが好ましい。これにて、コイルパターン20の内周部は基板15よりも剛性の高い封止材17が大半を占めることになり、外力による応力をキャビティ16の側面にて確実に遮ることができ、キャビティ16の底面、即ち、無線ICチップ10のコイルパターン20との接合部には応力がほとんど加わらない。
【0025】
(無線通信デバイス、図4及び図5参照)
次に、前記無線通信モジュール5Aを搭載した無線通信デバイスについて説明する。
【0026】
図4に示すように、無線通信デバイス1は、前記無線通信モジュール5Aと、コイルパターン20と磁界結合(電界結合、電磁界結合であってもよい、以下同じ)されたアンテナパターン35と、からなる。アンテナパターン35は、PETなどからなるフレキシブルなベース基材36の表面及び裏面にコイル状に2ターン巻回され、かつ、両端が開放状態で形成されたもので、図4(B)は表面側のアンテナパターン35を示し、図4(C)は裏面側のアンテナパターン35を表面側から透視した状態で示している。表裏のアンテナパターン35は、平面視で重なってベース基材36を介して容量結合しており、電流は同じ方向に流れる。アンテナパターン35は、Ag,Cuなどを主成分とする金属材料で形成され、金属膜をフォトリソ法やエッチング法によってパターニングして形成してもよく、あるいは、導電性ペーストをスクリーン印刷して形成してもよい。
【0027】
無線通信モジュール5Aは、給電回路基板15が表面のアンテナパターン35の内側の一隅部に重ねた状態で配置され(図4(B)参照)、絶縁性の接着剤で貼着される。詳しくは、図5に示すように、給電回路基板15は、図1(B)の状態とは天地を逆にして、キャビティ部16の開口をベース基材36に向けて、絶縁性接着剤19にて貼着されている。キャビティ部16の底面(図5では上面に配置されている)や層間導体26によって無線ICチップ10が保護される。また、給電回路基板15の底面は平坦性が高いので、無線通信モジュール5Aをベース基材36上にマウンタで真空吸引して搭載する場合の吸引性能が良好である。
【0028】
以上の構成からなる無線通信デバイス1において、コイルパターン20がアンテナパターン35と磁界結合している。それゆえ、RFIDシステムのリーダライタから放射されてアンテナパターン35で受信された高周波信号がコイルパターン20を介して無線ICチップ10に供給され、無線ICチップ10が動作する。一方、無線ICチップ10からの応答信号がコイルパターン20を介してアンテナパターン35に伝達されてリーダライタに放射される。
【0029】
コイルパターン20は、それぞれの導体パターン21a〜21d(図2参照)によるインダクタンス成分と線間のキャパシタンス成分とで所定周波数の共振回路を形成し、かつ、無線ICチップ10とアンテナパターン35とのインピーダンスの整合回路としても機能する。コイルパターン20はその電気長やパターン幅などを調整することで、共振周波数やインピーダンスが調整される。
【0030】
また、前述のように、給電回路基板15はそれ自体フレキシブルであるため、給電回路基板15をフレキシブルなベース基材36に貼着した際も、ベース基材36に合わせて曲がったり撓むことになり、接着剤19に無理な応力が作用してベース基材36から脱落する可能性は小さい。ベース基材36に合わせて給電回路基板15が曲がったり撓んでも内蔵されている無線ICチップ10が保護されることは前述のとおりである。
【0031】
なお、無線通信モジュール5Aは、前記アンテナパターン35と組み合わせることなく、単独でもリーダライタと近距離ではあるが通信が可能である。この場合は、コイルパターン20が放射素子として機能する。
【0032】
(第2実施例、図6参照)
図6に示すように、第2実施例である無線通信モジュール5Bは、給電回路基板15の裏面側に金属材料からなる多数の導体膜27を、無線ICチップ10の底面に対向する領域及び該領域の周囲領域に、マトリクス状に形成したものである。他の構成は前記第1実施例と同様である。導体膜27は、前記導体パターン21a〜21eやそれを電気的に接続する層間導体24a〜24bと同じ材料で形成されており、給電回路基板15の補強部材として機能し、その作用効果は前記第1実施例で説明したとおりである。
【0033】
つまり、導体膜27は、それぞれが互いに及び他の導体とも電気的に接続されていない。また、導体膜27はそれぞれの間に多数の隙間を有しており、コイルパターン20によって生じる磁束は遮られることなく該隙間を通過することになる。
【0034】
(第3実施例、図7参照)
図7に示すように、第3実施例である無線通信モジュール5Cは、給電回路基板15のキャビティ部16の底面部に金属材料からなる多数の導体膜28を、無線ICチップ10の底面に対向する領域の周囲領域に、マトリクス状に形成したものである。他の構成は前記第1実施例と同様である。導体膜28は、前記導体パターン21a〜21eやそれを電気的に接続する層間導体24a〜24dと同じ材料で形成されており、給電回路基板15の補強部材として機能し、その作用効果は前記第1実施例で説明したとおりである。
【0035】
つまり、導体膜28は、それぞれが互いに及び他の導体とも電気的に接続されていない。また、導体膜28はそれぞれの間に多数の隙間を有しており、コイルパターン20によって生じる磁束は遮られることなく該隙間を通過することになる。
【0036】
(第4実施例、図8参照)
図8に示すように、第5実施例である無線通信モジュール5Dは、給電回路基板15にキャビティ部を設けることなく、無線ICチップ10を該基板15の表面に搭載し、基板15の表面を無線ICチップ10を含めて樹脂からなる封止材17を塗布したものである。また、給電回路基板15にはコイルパターン20やランド23a,23b以外に、多数の層間導体29が無線ICチップ10の底面に対向する領域及び該領域の周囲領域にマトリクス状に形成されている。
【0037】
層間導体29は給電回路基板15の補強部材として機能し、その作用効果は前記第1実施例で説明したとおりである。これらの層間導体29は最外周に配置されているものが基板15を厚み方向に貫通し、無線ICチップ10の底面に対向する領域に配置されているものは短く形成されている。短い層間導体29は無線ICチップ10に電気的あるいは磁気的に干渉させないためである。
【0038】
層間導体29は、それぞれが互いに及び他の導体とも電気的に接続されていない。また、層間導体29はそれぞれの間に多数の隙間を有しており、コイルパターン20によって生じる磁束は遮られることなく該隙間を通過することになる。
【0039】
(他の実施例)
なお、本発明に係る無線通信モジュール及び無線通信デバイスは前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0040】
特に、本発明は無線通信モジュール以外にも種々の半導体集積回路モジュール、例えば、DC−DCコンバータなどにも適用することができる。DC−DCコンバータなどでは、フレキシブル基板に対して無線ICチップに代えて半導体回路チップが同じ位置に搭載される。
【0041】
前記実施例において、コイルパターンは複数ターン巻回させたものを示したが、1ターン巻回させたものであってもよい。また、無線ICチップとコイルパターンとはDC接続(直結)以外に磁界、電界又は電磁界を介して結合していてもよい。即ち、何らかの手段で結合していればよい。
【0042】
また、アンテナパターンはアンテナとしての役割を果たすものであれば、種々の形状であってもよい。アンテナパターンに対する無線通信モジュールの配置関係は、図4に示した配置以外に種々の配置を採用することができる。また、13.56MHz帯のようなHF帯に限定されず、UHF帯やSHF帯の無線通信デバイスにも利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明は、無線通信モジュール及び無線通信デバイスに有用であり、特に、ベース基材のフレキシブル性を損なうことなく、基板の脱落及び半導体回路チップや無線ICチップの損傷を極力防止できる点で優れている。
【符号の説明】
【0044】
1…無線通信デバイス
5A〜5D…無線通信モジュール
10…無線ICチップ
15…給電回路基板
16…キャビティ
18a〜18e…フレキシブル基材層
20…コイルパターン
21a〜21d…コイルパターン
26,29…層間導体(補強部材)
27,28…導体膜
35…アンテナパターン
36…ベース基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板に設けられた半導体回路チップと、
前記フレキシブル基板に形成されて前記半導体回路チップに結合されているコイルパターンと、
前記フレキシブル基板の強度を補強するための補強部材と、
を備え、
前記補強部材は、金属材料からなり、前記フレキシブル基板の一部領域であって前記半導体回路チップの底面に対向する領域及び/又は該領域の周囲領域に前記コイルパターンによって生じる磁束が通過する隙間を有して設けられていること、
を特徴とする半導体集積回路モジュール。
【請求項2】
前記半導体回路チップは無線信号を処理する無線ICチップであること、を特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路モジュール。
【請求項3】
前記補強部材は、前記フレキシブル基板にその厚み方向に配置され、互いに電気的に独立した複数の層間導体によって構成されていること、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体集積回路モジュール。
【請求項4】
前記補強部材は、前記フレキシブル基板に設けられ、互いに電気的に独立した複数の導体膜によって構成されていること、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体集積回路モジュール。
【請求項5】
前記フレキシブル基板は複数のフレキシブルな基材層を積層してなる多層基板であり、
前記半導体回路チップは前記多層基板の表面又は内部に搭載されており、
前記コイルパターンは前記多層基板の表面又は内部に形成されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の半導体集積回路モジュール。
【請求項6】
前記多層基板はキャビティ部を有し、
前記半導体回路チップは前記キャビティ部に配置されており、
前記コイルパターンは前記キャビティ部の周囲に形成されており、
前記補強部材は前記キャビティ部の底面部に配置されていること、
を特徴とする請求項5に記載の半導体集積回路モジュール。
【請求項7】
前記フレキシブル基板は複数のフレキシブルな基材層を積層してなる多層基板であり、
前記コイルパターンは、前記基材層上に導体膜で形成された導体パターンと前記基材層に設けられた層間導体とで構成された積層型コイルパターンであり、
前記補強部材は前記層間導体と同じ材料にて形成されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の半導体集積回路モジュール。
【請求項8】
前記フレキシブル基板は熱可塑性樹脂からなること、を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の半導体集積回路モジュール。
【請求項9】
前記キャビティ部の深さは前記フレキシブル基板の厚みの半分以上であること、
を特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の半導体集積回路モジュール。
【請求項10】
フレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板に設けられた無線ICチップと、
前記フレキシブル基板に形成されて前記無線ICチップに結合されているコイルパターンと、
前記フレキシブル基板の強度を補強するための補強部材と、
を備え、
前記補強部材は、金属材料からなり、前記フレキシブル基板の一部領域であって前記半導体回路チップの底面に対向する領域及び/又は該領域の周囲領域に前記コイルパターンによって生じる磁束が通過する隙間を有して設けられていること、
を特徴とする無線通信モジュール。
【請求項11】
無線通信モジュールと、該無線通信モジュールを搭載したフレキシブルなベース基材と、を備えた無線通信デバイスであって、
前記無線通信モジュールは、
フレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板に設けられた無線ICチップと、
前記フレキシブル基板に形成されて前記無線ICチップに結合されているコイルパターンと、
前記フレキシブル基板の強度を補強するための補強部材と、
を備え、
前記補強部材は、金属材料からなり、前記フレキシブル基板の一部領域であって前記半導体回路チップの底面に対向する領域及び/又は該領域の周囲領域に前記コイルパターンによって生じる磁束が通過する隙間を有して設けられており、
を備え
前記ベース基材にはアンテナパターンが形成されており、該アンテナパターンは前記コイルパターンと磁界、電界又は電磁界を介して結合していること、
を特徴とする無線通信デバイス。
【請求項12】
前記無線ICチップは前記フレキシブル基板に設けたキャビティ部に配置されており、
前記フレキシブル基板は前記キャビティ部の開口を前記ベース基材に向けた状態で前記ベース基材上に搭載されていること、
を特徴とする請求項11に記載の無線通信デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−174071(P2012−174071A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36512(P2011−36512)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】