説明

半径流ターボ機械

【課題】多段に構成した半径流ターボ機械においてタービン効率の低下を抑止する。
【解決手段】回転軸20に軸方向に多段に設けられた複数のインペラ21を備えるロータ2と、複数のインペラ21を区画収容すると共に相互に隣接する二つのインペラ21の流路が形成されたステータ1とを備え、インペラ21は、回転軸20が貫通したディスク22及びディスク22から延出する複数のブレード23を具備し、半径方向外周側の主流流入部21aから流入する主流を軸方向一方側の主流排出部21bから排出する構成とされており、インペラ21のディスク22の軸方向他方側に延在するディスク背部と、ステータ1のうちディスク背部に対向するステータ対向部との隙間に設けられ、隙間においてインペラ21の主流流入部21aに向かう漏れ流れに対して周方向速度成分を付与する周方向速度成分付与手段30を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半径流ターボ機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ターボ機械の一種として、ディスクから複数のブレードが延出したインペラが回転軸に固定されてなるロータを備え、作動流体を半径方向外周側からインペラに流入させた後に軸方向一方側から排出させる半径流ターボ機械が知られている。この半径流ターボ機械は、インペラが有する複数のブレードが作動流体から圧力を受けることにより、ロータ全体が回転するようになっている。
【0003】
このような半径流ターボ機械は、単段で高い膨張比が得られるために、単段に構成されるのが一般的である(例えば、下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−176702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、高圧力比で大きな熱落差を持つ作動流体のエネルギーを有効に活用するために、また、インペラへの負荷を分散するために、上記半径流ターボ機械を多段に構成することが考えられる。より具体的には、回転軸に複数のインペラを多段に配置してなるロータを用いて、このロータを収容するステータに、相互に隣接する二つのインペラのうち上流側のインペラから排出された主流を下流側のインペラに流入させる戻り流路を形成することが考えられる。
ここで、インペラのディスク背部と、ステータのうちディスク背部に対向するステータ対向部との間には、両者の接触を防止するために隙間を形成する必要がある。
【0006】
しかしながら、半径流ターボ機械を多段に構成にすると、上記隙間を作動流体が流れて戻り流路の圧力の高い上流側から圧力の低い下流側に作動流体が漏れてしまう。この漏れ流れは、戻り流路の下流側で主流に合流する際に主流の流れを乱してしまうために、主流の角運動量を低下させタービン効率を低下させてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、多段に構成した半径流ターボ機械においてタービン効率の低下を抑止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る半径流ターボ機械は、回転軸と該回転軸に軸方向に多段に設けられた複数のインペラとを備えるロータと、前記複数のインペラを区画収容すると共に相互に隣接する二つのインペラのうち上流側から排出された主流を下流側に流入させる戻り流路が形成されたステータとを備え、前記インペラは、前記回転軸が貫通したディスク及び該ディスクから延出する複数のブレードを具備し、半径方向外周側の主流流入部から流入する主流を軸方向一方側の主流排出部から排出する構成とされており、前記インペラのディスクの軸方向他方側に延在するディスク背部と、前記ステータのうち前記ディスク背部に対向するステータ対向部との隙間に設けられ、該隙間において前記インペラの主流流入部に向かう漏れ流れに対して周方向速度成分を付与する周方向速度成分付与手段を備えることを特徴とする。
この構成によれば、漏れ流れに対して周方向速度成分を付与する周方向速度成分付与手段を備えるので、漏れ流れの周方向速度成分を変更することができる。これにより、漏れ流れと主流とをスムーズに合流させることが可能となり、混合損失を低減させることが可能となる。従って、タービン効率が低減することを抑止することが可能となる。
【0009】
また、前記周方向速度成分付与手段は、前記ディスク背部において凹状に形成されて前記漏れ流れに対して周方向速度成分を付与するディスク凹部を具備することを特徴とする。
この構成によれば、ディスク背部において凹状に形成されて漏れ流れに対して周方向速度成分を付与するディスク凹部を具備するので、ディスク凹部の壁面が漏れ流れを押圧する。これにより、単純な構成で漏れ流れに対して周方向速度成分を付与することができる。
また、比較的に加工が容易であるので、調整が容易となって漏れ流れに対して適切な周方向速度成分を付与することができる。
【0010】
また、前記ディスク凹部は、径方向外方側に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、ディスク凹部が径方向外方側に形成されているので、上記隙間の下流側において漏れ流れに周方向速度成分が付与される。これにより、漏れ流れが周方向速度成分を付与された後に速やかに主流に合流するので、漏れ流れに対して周方向速度成分を効果的に付与することができる。
また、ディスク背部のうち径方向外方側は、径方向内方側と比較して相対的に周速度が大きくなっているので、漏れ流れに対して大きい周方向速度成分を付与することができる。
【0011】
また、前記ディスク凹部は、ディスク背面から、前記ブレードが複数延出して前記主流を前記主流排出部に案内するディスク案内面まで貫通する貫通部を有し、前記貫通部の前記ディスク案内面側の案内面開放端が前記ブレードの外端よりも径方向外方側に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、ディスク背面からディスク案内面まで貫通する貫通部を有するので、漏れ流れが周方向速度成分を付与された後に直ちに主流に合流する。これにより、漏れ流れに対して周方向速度成分をより効果的に付与することができる。
また、貫通部のディスク案内面側の開放端が、ブレードの外周端よりも径方向外方側に形成されているので、ブレードの性能が変化することを防止することができる。
【0012】
また、前記貫通部は、前記ディスク背面側の背面開放端が前記ディスク案内面側の案内面開放端よりも開放端断面積が大きく形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、貫通部の背面開放端が案内面開放端よりも開放端断面積が大きく形成されているので、漏れ流れに周方向速度成分を付与する壁面を比較的に大きく確保することができる。これにより、漏れ流れに対して大きい周方向速度成分を付与することができるので、漏れ流れをよりスムーズに主流に合流させることができる。
【0013】
また、前記貫通部は、前記ディスク背面側の背面開放端と前記ディスク案内面側の案内面開放端との周方向の位置がずらされて形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、貫通部の背面開放端と案内面開放端との周方向の位置がずらされて形成されているので、漏れ流れを周方向に導くようにして周方向速度成分を付与することができる。これにより、貫通部の延在方向を調整することにより、周方向速度成分の強弱を調整することが容易となる。
【0014】
また、前記貫通部は、軸方向において、前記ディスク背面側の背面開放端から前記ディスク案内面側の案内面開放端が見えないように形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、軸方向において、貫通部の背面開放端から案内面開放端が見えないように形成されているので、漏れ流れが貫通部の壁面から周方向速度成分を付与されずに軸方向に通過してしまうことを防止することができる。
【0015】
また、前記ディスク凹部は、径方向内方側から径方向外方側まで延在して前記貫通部に連通するディスク側ガイド溝部を有し、該ディスク側ガイド溝部は、径方向内方側から前記貫通部に前記漏れ流れを導くことを特徴とする。
この構成によれば、ディスク側ガイド溝部が径方向内方側から貫通部に漏れ流れを導くので、貫通部へ漏れ流れをスムーズに導入することができる。
【0016】
また、前記周方向速度成分付与手段は、前記ステータ対向部において凹状に形成されて前記漏れ流れに対して周方向速度成分を付与するステータ凹部を具備することを特徴とする。
この構成によれば、ステータ対向部において凹状に形成されて漏れ流れに対して周方向速度成分を付与するステータ凹部を具備するので、ステータ凹部の周方向に交差する壁面が漏れ流れを押圧する。これにより、単純な構成で漏れ流れに対して周方向速度成分を付与することができる。
【0017】
また、前記ステータ凹部は、径方向外方側に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、前記ステータ凹部は、径方向外方側に形成されているので、上記隙間の下流側において漏れ流れに周方向速度成分が付与される。これにより、漏れ流れが周方向速度成分を付与された後に速やかに主流に合流するので、漏れ流れに対して周方向速度成分を効果的に付与することができる。
【0018】
また、前記ステータ凹部は、前記隙間に形成された始端から前記戻り流路に開放された戻り流路開放端まで延在して前記隙間と前記戻り流路とを連通させる連通部を有することを特徴とする。
この構成によれば、隙間に形成された始端から戻り流路に開放された戻り流路開放端まで延在する連通部を有するので、漏れ流れが周方向速度成分を付与された後に直ちに主流に合流する。これにより、漏れ流れに対して周方向速度成分をより効果的に付与することができる。
【0019】
また、前記連通部は、前記始端と前記戻り流路開放端との周方向の位置がずらされて形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、始端と戻り流路開放端との周方向の位置がずらされて形成されているので、漏れ流れを周方向に導くようにして周方向速度成分を付与することができる。これにより、連通部の延在方向を調整することにより、周方向速度成分の強弱を調整することが容易となる。
【0020】
また、前記連通部は、軸方向において、前記始端から前記戻り流路開放端が見えないように形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、軸方向において、連通部の始端から戻り流路開放端が見えないように形成されているので、漏れ流れが連通部の壁面から周方向速度成分を付与されずに軸方向に通過してしまうことを防止することができる。
【0021】
また、前記ステータ凹部は、径方向内方側から径方向外方側まで延在して前記連通部に連通するステータ側ガイド溝部を有し、該ステータ側ガイド溝部は、径方向内方側から前記連通部に前記漏れ流れを導くことを特徴とする。
この構成によれば、ステータ側ガイド溝部が径方向内方側から連通部に漏れ流れを導くので、連通部へ漏れ流れをスムーズに導入することができる。
【0022】
また、前記周方向速度成分付与手段は、定格運転時において前記主流の絶対速度の周方向速度成分と前記漏れ流れの絶対速度の周方向速度成分との差分が小さくなるように、前記漏れ流れに対して周方向速度成分を付与することを特徴とする。
この構成によれば、周方向速度成分付与手段は、定格運転時において主流の周方向速度成分と漏れ流れの周方向速度成分との差分が小さくなるように、漏れ流れに対して周方向速度成分を付与する。これにより、漏れ流れと主流とが合流する際の混合損失をより低減させることが可能となり、タービン効率が低減することをさらに抑止することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る半径流ターボ機械によれば、多段に構成した半径流ターボ機械においてタービン効率の低下を抑止するができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第一実施形態に係るエキスパンダ(半径流ターボ機械)E1の概略構成を説明する縦断面図であり、図中の吹き出しは一点鎖線で囲んだ部分の拡大図を示している。
【図2】本発明の第一実施形態に係るエキスパンダE1の要部断面図であって、図1におけるII−II線断面図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係るエキスパンダE1の要部断面図であって、図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係るエキスパンダE1の要部拡大断面図であって、図1における要部IVの拡大断面図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係るエキスパンダE1の要部拡大断面図であって、図2の要部Vの拡大図であり
【図6】本発明の第一実施形態に係るエキスパンダE1の要部拡大断面図であって、図3の要部VIの拡大図であり、
【図7】本発明の第一実施形態に係るエキスパンダE1の要部拡大図であって、図5におけるVII矢視図である。
【図8】本発明の第一実施形態に係るエキスパンダE1の第一の作用説明図である。なお、図8においては、理解容易のために、ブレード23の図示を省略している。
【図9】本発明の第一実施形態に係るエキスパンダE1の第二の作用説明図である。
【図10】本発明の第一実施形態に係るエキスパンダE1の第一の変形例を示す図であって、図4に相当する図である。
【図11】本発明の第一実施形態に係るエキスパンダE1の第二の変形例を示す図であって、図4に相当する図である。
【図12】本発明の第一実施形態に係るエキスパンダE1の第三の変形例を示す図であって、図4に相当する図である。
【図13】本発明の第一実施形態に係るエキスパンダE1の第四の変形例を示す図であって、図4に相当する図である。
【図14】本発明の第二実施形態に係るエキスパンダE2の要部拡大図であって、第一実施形態の図4に相当する図である。
【図15】本発明の第二実施形態に係るエキスパンダE2の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態に係るエキスパンダ(半径流ターボ機械)E1の概略構成を説明する縦断面図であり、図中の吹き出しは一点鎖線で囲んだ部分の拡大図を示している。
図1に示すように、エキスパンダE1は、多段に構成されたものであって、ケーシング10と複数のダイヤフラム13,14A〜14H,15A,15Bとを備えるステータ1、及び、回転軸20と複数のインペラ21A〜21Hとを備えるロータ2で概略構成されている。なお、以下の説明においては、インペラ21とは、インペラ21A〜21Hのうち任意のものをいうものとする。
【0026】
ケーシング10は、エキスパンダE1の外観形状をなす筒型のものである。
このケーシング10は、作動ガス(作動流体)が回転軸20の軸方向において反対方向に流れる二つのエキスパンダセクション11,12を備えており、エキスパンダセクション11のガス入口11aに連通する吸込ポート10aと、エキスパンダセクション11のガス出口11bに連通する排出ポート10bと、エキスパンダセクション11の排出ポート10bに連通すると共にエキスパンダセクション12のガス入口12aに連通する吸込ポート10cと、エキスパンダセクション12のガス出口12bに連通する排出ポート10dとを有している。
【0027】
ダイヤフラム13,14A〜14H,15A,15Bは、それぞれ円板環状の仕切部材であり、エキスパンダセクション11,12を構成している。
ダイヤフラム15A,15Bは、ケーシング10の長手方向双方の開放端をそれぞれ封止してケーシング10の内部と外部とを区画している。
ダイヤフラム13は、ケーシング10内部の長手方向中央に配設されており、ケーシング10の内部を長手方向に二つに区画している。
ダイヤフラム14A〜14Dは、ケーシング10内部におけるダイヤフラム15A側において長手方向に連接収容されており、ダイヤフラム14E〜14Hは、ケーシング10内部におけるダイヤフラム15B側において長手方向に連接収容されている。
これらダイヤフラム14A〜14Hは、各エキスパンダセクション11,12において、複数のインペラ21A〜21Hを区画すると共に相互に隣接する二つのインペラ21の間で流路(後述のリターンベンド11c,12c)を形成している。
【0028】
このような構成により、ダイヤフラム13,14A〜14D,15Aとでエキスパンダセクション11が、ダイヤフラム13,14E〜14H,15Bとでエキスパンダセクション12が構成されている。
これらダイヤフラム13,14A〜14H,15A,15Bは、回転軸20と複数のインペラ21A〜21Hとを備えるロータ2に挿通されている。
【0029】
回転軸20は、軸方向をケーシング10の長手方向に向けた状態で、その両端部をダイヤフラム15A,15Bに配設された軸受16A,16Bに回転可能に支持されている。なお、ダイヤフラム15A,15Bのそれぞれの内周部のうち、軸方向において軸受16A,16Bよりもケーシング10の内側には、ドライガスシール17A,17Bが配設されている。
【0030】
この回転軸20には、エキスパンダセクション11用の四段のインペラ21A〜21Dと、エキスパンダセクション12用の四段のインペラ21E〜21Hが、互いに向きを反対にして軸方向に間隔をあけて取り付けられてロータ2が構成されている。
【0031】
インペラ21は、所謂クローズドインペラと称されるものであって、それぞれディスク22と、複数のブレード23と、シュラウド24とを備えている。
【0032】
ディスク22は、筒状に形成された円盤部材であり、回転軸20が同軸状に貫通している。
このディスク22は、図1に示すように、軸方向の一方側において小径に形成された円環状のディスク先端部22aと、軸方向の他方側において大径に形成された円環状のディスク背部22bとの間にディスク外周面(ディスク案内面)22cが延在しており、ディスク先端部22aからディスク背部22bに向かうほど漸次変化の度合いを強めながら拡径している。
【0033】
図2は、図1におけるII−II線断面図であり、図3は、図1におけるIII−III線断面図である。
ブレード23は、三次元形状に湾曲した羽根状の部位であり、ディスク外周面22cから径方向外方側に向けて、ディスク外周面22cに沿うようにして延出している。
シュラウド24は、ディスク外周面22cに沿って、各ブレード23の径方向外周側を連結するようにして覆っている。
【0034】
このような構成のインペラ21は、図1及び図2に示すように、ディスク22とシュラウド24とブレード23との間に画成される空間Sが作動ガスの主流Gの流路となっており、ディスク背部22b側において径方向外方側に向けて開口する部分がガス流入部(主流流入部)21aとされ、ディスク先端部22a側において軸方向に向けて開口する部分がガス流出部(主流排出部)21bとされている。
すなわち、ガス流入部21aから空間Sに流入した主流Gがディスク外周面22cに案内されてガス流出部21bから流出するようになっている。
【0035】
各エキスパンダセクション11,12においては、以下のような作動ガスの流路が形成されている。
図1に示すように、まず上流域から説明すると、中央のダイヤフラム13とその両側に位置するダイヤフラム14A,14Eとの対向面間に、吸込ポート10a及びインペラ21Aに連通するガス入口11aと、吸込ポート10c及びインペラ21Eに連通するガス入口12aとが形成されている。
これらガス入口11a,12aには、図1に示すように、作動ガスの主流Gを設定された流速まで加速すると共に、設定された流入角度となるように整流する複数枚のノズルベーン18が設けられている(図2参照)。
【0036】
次に中流域における中間のダイヤフラム14A〜14D,14E〜14Hには、図1に示すように、相互に隣接する二つのインペラ21間を結ぶ断面U字状のリターンベンド(戻り流路)11c,12cが形成されている。
リターンベンド11c,12cには、図2に示すように、ノズルベーン18と、図1に示すように、次段入口へのガス流れの効率を向上させるための複数枚のリターンベーン19とがそれぞれ形成されている。
【0037】
そして、下流域においては、ダイヤフラム15A,15Bとそれらに隣接するダイヤフラム14D,14Hとの対向面間に、排出ポート10bに連通するガス出口11bと、排出ポート10dに連通するガス出口12bが形成されている。
【0038】
このような構成により、高温・高圧の作動ガスがケーシング10の吸込ポート10aに供給されると、作動ガスの主流Gがエキスパンダセクション11のガス入口11aに流入し、インペラ21A〜21D及びインペラ21A〜21Dの間に介在するリターンベンド11cを順に流れて、ガス出口11bから流出する。そして、流出した主流Gが排出ポート10b及び吸込ポート10cを介して、エキスパンダセクション12のガス入口12aに流入し、インペラ21E〜21H及びインペラ21E〜21Hの間に介在するリターンベンド12cを順に流れて、ガス出口12bから流出し、最終的に排出ポート10dから外部へと排出されるようになっている。
【0039】
図4は、図1における要部IVの拡大断面図である。
上記のように構成されたエキスパンダE1においては、図4に示すように、インペラ21のディスク背部22bと、このディスク背部22bに対向するステータ1(ダイヤフラム13,14A〜14C,14E〜14G)のステータ対向部1bとの間において、インペラ21とステータ1との接触干渉を避けるための隙間Cが形成されている。
エキスパンダE1の運転を開始すると、隙間Cに連通するステータ1とロータ2との間の径方向の隙間c1から高圧の作動ガスが侵入して漏れ流れgが生じる。この漏れ流れgは、図4に示すように、隙間Cにおいて径方向内方側から径方向外方側に向けて流れた後に、インペラ21のガス流入部21aを遮るようにして軸方向に噴出する。
なお、図4中の符号1cで示すものはシール部材である。
【0040】
このエキスパンダE1は、上記隙間Cにおいて、漏れ流れgに周方向の速度成分を付与する周方向速度成分付与手段30を有する。本実施形態においては、周方向速度成分付与手段30は、ディスク背部22bにおいて凹状に形成された複数のディスク凹部(貫通部)31からなっている。
【0041】
図2及び図3に示すように、複数のディスク凹部31は、ディスク背部22bの径方向外方側の外周端に間隔を空けて環状に形成されている。
【0042】
図5は、図2の要部Vの拡大図であり、図6は、図3の要部VIの拡大図であり、図7は、図5におけるVII矢視図である。
各ディスク凹部31は、図7に示すように、ディスク背面22dからディスク外周面22cまで貫通したものであり、例えば、機械加工等によって形成されている。
図4に示すように、各ディスク凹部31の背面開放端31a及び案内面開放端31bは、ディスク案内面22cにおけるブレード23の外端23aよりも径方向外方側に形成されている。
【0043】
ディスク凹部31は、図7に示すように、それぞれ回転軸20に沿った螺旋の一部のように延在しており、背面開放端31aと案内面開放端31bとの周方向の位置が寸法Lだけずらされて形成されている。このような構成により、図6又は図7に示すように、軸方向において、背面開放端31a及び案内面開放端31bのうち一方から他方が見えないように形成されている。
【0044】
このようなディスク凹部31は、図8に示すように、エキスパンダE1の定格運転時において主流Gの絶対速度Cの周方向速度成分Uと漏れ流れgの絶対速度Cの周方向速度成分Uとの差分が小さくなるように、漏れ流れgに対して周方向速度成分Uαを付与するように、その数や傾斜角度、大きさが設定されている。このような設定は、予めディスク凹部31の製作前に主流Gの流速及び流入角度を解析したデータに基づいて定めている。
ここで、漏れ流れgの周方向速度成分Uは、ディスク22との摩擦により、ディスク22の周方向速度成分Uの略半分程度(≒U/2)となるが、ディスク凹部31は、漏れ流れgに対して周方向速度成分Uαを付与することにより、漏れ流れgの平均的な周方向速度成分をU≒U/2+Uαとする。
なお、図8中の符号Wで示すベクトルは、インペラ21に対する主流Gの相対速度である。
【0045】
次に、上記構成からなる周方向速度成分付与手段30の作用について、主に図8及び図9を用いて説明する。
エキスパンダE1の運転を開始すると、エキスパンダセクション11,12に高圧高温の作動ガスが順に供給され、作動ガスの主流Gが各インペラ21A〜21Hに流れる。
各インペラ21の上流においては、図8に示すように、ノズルベーン18で所定の角度に整流されると共に加速された主流Gがガス流入部21aに向かう。
【0046】
一方、図4に示すように、隙間Cに侵入した作動ガスの漏れ流れgは、隙間Cを径方向内方から径方向外方に向けて流れる。この漏れ流れgの周方向速度成分Uは、ディスク背面22dとの摩擦によって、ディスク22の周方向速度成分Uの略半分程度(≒U/2)となる(図8参照)。
【0047】
隙間Cにおいてディスク背面22dの径方向外方まで流れた漏れ流れgは、図7に示すように、その一部が背面開放端31aからディスク凹部31に流入して案内面開放端31bに向かって流れる。
図9に示すように、ディスク凹部31に流入した漏れ流れgの一部は、ディスク凹部31の周方向に交差する壁面に押圧されると共に、この壁面に沿って径方向の外方側に流れる。
この際、軸方向において背面開放端31aから案内面開放端31bが見えないため、換言すれば、ディスク凹部31のうち軸方向において直線的に連通している部分がないため、軸方向に直線的に抜けてしまう漏れ流れgが生じるのを抑止する。
【0048】
このようにして、漏れ流れgの一部が、ディスク凹部31の周方向に交差する壁面に押圧されると共に、この壁面に沿って案内面開放端31bに向かって流れることで、漏れ流れgに周方向速度成分Uαが付与される。すなわち、図9に示すように、漏れ流れgの平均的な周方向速度成分Uが概ねU/2からU/2+Uαに増加する一方、軸方向成分Vgが減少し、漏れ流れgの絶対速度成分がCとなる。
【0049】
漏れ流れgは、ディスク凹部31によって周方向速度成分Uαが付与された直後に、インペラ21のガス流入部21aの手前において噴出して主流Gと直ちに合流する。この噴出した漏れ流れgは、主流Gの絶対速度Cの周方向速度成分Uとの差分が小さくなっているために、ノズルベーン18によって整流された主流Gの角度に対して、殆ど影響を与えることなく、スムーズに主流Gに合流する。
【0050】
ガス流入部21aから空間Sに流入した主流Gは、適切な角度でディスク外周面22cに沿って膨張しながら流れ、ガス流出部21bから流出する。この際、空間Sを適切な角度で流れていくためにインペラ21のブレード23の圧力面及び負圧面にほぼ設計通りの圧力差を生じさせ、インペラ21に適切な回転力を付与する。
このようにして、ロータ2が良好に回転することで、作動ガスの圧力エネルギー及び熱エネルギーが効率よく回転エネルギーに変換される。
【0051】
以上説明したように、エキスパンダE1によれば、漏れ流れgに対して周方向速度成分Uαを付与する周方向速度成分付与手段30を備えるので、漏れ流れgの周方向速度成分Uを変更することができる。これにより、漏れ流れgと主流Gとをスムーズに合流させることが可能となり、混合損失を低減させることが可能となる。従って、タービン効率が低減することを抑止することが可能となる。
ここで、周方向速度成分付与手段30を有しないインペラ21の場合には、図9に示すように、漏れ流れgの絶対速度CがC1となり、周方向速度成分U1(≒U/2)、軸方向速度成分V1となる。すなわち、周方向速度成分U1(≒U/2)の状態で漏れ流れgが主流Gに合流すると、漏れ流れgの周方向速度成分Uと主流Gの周方向速度成分Uとの差分が比較的に大きくなる。これにより、ノズルベーン18で整流・加速された主流Gの流れを乱し、混合損失が大きくなってタービン効率が低下してしまう。
しかしながら、エキスパンダE1によれば周方向速度成分付与手段30を備えるので、漏れ流れgに周方向速度成分Uαを付与して、漏れ流れgの周方向速度成分Uと主流Gの周方向速度成分Uとの差分を比較的に小さくすることができる。これにより、ノズルベーン18で整流・加速された主流Gの流れを乱すことなく、混合損失を比較的に小さくしてタービン効率の低下を抑止することができる。
【0052】
また、ディスク背部22bにおいて凹状に形成されて漏れ流れgに対して周方向速度成分Uαを付与するディスク凹部31を具備するので、ディスク凹部31の壁面が漏れ流れgを押圧する。これにより、単純な構成で漏れ流れgに対して周方向速度成分Uαを付与することができる。
また、比較的に加工が容易であるので、調整が容易となって漏れ流れgに対して適切な周方向速度成分Uαを付与することができる。
【0053】
また、ディスク凹部31が径方向外方側に形成されているので、隙間Cの下流側において漏れ流れgに周方向速度成分Uαが付与される。これにより、漏れ流れgが周方向速度成分Uαを付与された後に速やかに主流Gに合流するので、周方向速度成分Uαを付与した後にディスク22の回転による速度変化が生じ難くなり、漏れ流れgに対して周方向速度成分Uαを効果的に付与することができる。
また、ディスク背部22bのうち径方向外方側は、径方向内方側と比較して相対的に周速度が大きくなっているので、漏れ流れgに対して大きい周方向速度成分Uαを付与することができる。
【0054】
また、ディスク凹部31がディスク背面22dからディスク外周面22cまで貫通しているので、漏れ流れgが周方向速度成分Uαを付与された後に直ちに主流Gに合流する。これにより、周方向速度成分Uαを付与した後にディスク22の回転による影響を与えずに漏れ流れgに対して周方向速度成分Uαをより効果的に付与することができる。
また、ディスク外周面22c側の案内面開放端31bが、ブレード23の外端23aよりも径方向外方側に形成されているので、ブレード23の性能が変化することを防止することができる。
【0055】
また、ディスク凹部31の背面開放端31aと案内面開放端31bとの周方向の位置がずらされて形成されているので、漏れ流れgを周方向に導くようにして周方向速度成分Uαを付与することができる。これにより、ディスク凹部31の延在方向を調整することにより、周方向速度成分Uの強弱を調整することが容易となる。
【0056】
また、軸方向において、ディスク凹部31の背面開放端31aから案内面開放端31bが見えないように形成されているので、漏れ流れgがディスク凹部31の壁面から周方向速度成分Uαを付与されずに軸方向に通過してしまうことを防止することができる。
【0057】
また、周方向速度成分付与手段30は、定格運転時において主流Gの絶対速度Cの周方向速度成分Uと漏れ流れgの絶対速度Cの周方向速度成分Uとの差分が小さくなるように、漏れ流れgに対して周方向速度成分Uαを付与する。これにより、漏れ流れgと主流Gとが合流する際の混合損失をより低減させることが可能となり、タービン効率が低減することをさらに抑止することが可能となる。
【0058】
(第一実施形態の変形例)
以下、上述した第一実施形態の変形例について、図10〜図12を用いて説明する。なお、図10〜図12において、図1〜図9と同様の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0059】
上述した構成においては、ディスク凹部31をディスク背面22dからディスク外周面22cに貫通させる構成としたが、必ずしも貫通させる必要はない。例えば、図10に示すように、ディスク背面22dに有底状のディスク凹部32を形成してもよい。
【0060】
また、上述した構成においては、ディスク凹部31の背面開放端31aと案内面開放端31bとの大きさを略同大としたが、異なる大きさで形成してもよい。例えば、図11に示すように、案内面開放端33bよりも背面開放端33aの開放端面積(軸方向に交差する断面における面積)を大きくしたディスク凹部33を形成してもよい。このようにすることで、漏れ流れgに周方向速度成分Uαを与える壁面を比較的に大きく確保することができる。これにより、漏れ流れgに対して大きい周方向速度成分Uαを付与することができるので、漏れ流れgをよりスムーズに主流Gに合流させることができる。
なお、上述した案内面開放端31bと同様に、案内面開放端33bをブレード23の外端23aよりも径方向外方側に形成することで、ブレード23の羽根性能に影響を与えることを防止することができる。
なお、ディスク凹部33の底面33cは平面に限られることなく、曲面でもよい。
【0061】
また、上述した構成においては、ディスク背面22dからディスク外周面22cに貫通させたディスク凹部31を用いる構成としたが、例えば、図12に示すように、径方向内方側から径方向外方側まで延在して、貫通部を構成するディスク凹部31に連通するディスク側ガイド溝部34aを形成してもよい。すなわち、ディスク凹部31とディスク側ガイド溝部34aとの全体をディスク凹部34(周方向速度成分付与手段30)とすることで、ディスク側ガイド溝部34aが径方向内方側からディスク凹部31に漏れ流れgを導くので、ディスク凹部31へ漏れ流れgをスムーズに導入することができる。
また、ディスク凹部31に漏れ流れgを導く過程において、ディスク側ガイド溝部34aの壁面が漏れ流れgを押圧し、また、ディスク側ガイド溝部34aが漏れ流れgを沿わして流すことで周方向速度成分を付与することができるので、漏れ流れgに対して大きい周方向速度成分Uαを付与することができる。
【0062】
また、上述した構成においては、径方向外方側の外周端に形成したディスク凹部31を用いる構成としたが、例えば、図12に示すように、径方向の内方側に形成したディスク凹部35を単独、又は、上述したディスク凹部31〜34と重畳的に設けてもよい。
【0063】
また、上述した構成においては、図7に示すように、ディスク凹部31を軸方向に対して斜めの方向に直線状に延在させたが、図13に示すように、軸方向に対して斜めの方向に曲線状(円弧状)に延在させたディスク凹部36のように構成してもよい。
【0064】
また、上述した構成においては、ディスク凹部31を略螺旋状に形成して背面開放端31aと案内面開放端31bとを寸法L(L´)だけずらして形成したが、必ずしもずらして形成する必要はなく、軸方向に一部を重ねて形成してもよい。
【0065】
(第二実施形態)
図14は、本発明の第二実施形態に係るエキスパンダE2の要部拡大断面図である。なお、図14おいて、図1〜図13と同様の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0066】
図14に示すように、エキスパンダE2は、凹状に形成された複数のステータ凹部(連通部)41からなる周方向速度成分付与手段40を備えている。
複数のステータ凹部41は、ステータ対向部1bのうちインペラ21のディスク22の外周端に対向する内周壁1dに、環状に形成されている。
このステータ凹部41は、隙間Cとリターンベンド11c,12cとをそれぞれ連通させており、始端面(始端)41aから、リターンベンド11c,12cに開放された戻り流路開放端41bまで、回転軸20に沿った螺旋の一部のように延在している(図7参照)。
【0067】
このステータ凹部41は、上述したディスク凹部31と同様に、始端面41aと戻り流路開放端41bとの周方向の位置がずらされて形成されており、軸方向において始端面41aから戻り流路開放端41bが見えないように形成されている。
【0068】
この構成によれば、ステータ対向部1b(1d)において凹状に形成されて漏れ流れgに対して周方向速度成分Uαを付与するステータ凹部41を具備するので、漏れ流れgがステータ凹部41の壁面に沿って流れる。これにより、単純な構成で漏れ流れgに対して周方向速度成分Uαを付与することができる。
【0069】
また、ステータ凹部41が径方向外方側に形成されているので、隙間Cの下流側において漏れ流れgに周方向速度成分Uαが付与される。
これにより、漏れ流れgが周方向速度成分Uαを付与された後に速やかに主流Gに合流するので、漏れ流れgに対して周方向速度成分Uαを効果的に付与することができる。
【0070】
また、ステータ凹部41が隙間Cに形成された始端面41aからリターンベンド11c,12cに開放された戻り流路開放端41bまで延在するので、漏れ流れgが周方向速度成分Uαを付与された後に直ちに主流Gに合流する。これにより、漏れ流れgに対して周方向速度成分Uαをより効果的に付与することができる。
【0071】
また、始端面41aと戻り流路開放端41bとの周方向の位置がずらされて形成されているので、漏れ流れgを周方向に導くようにして周方向速度成分Uαを付与することができる。これにより、貫通部の延在方向を調整することにより、周方向速度成分Uαの強弱を調整することが容易となる。
【0072】
また、軸方向において、ステータ凹部41の始端面41aから戻り流路開放端41bが見えないように形成されているので、漏れ流れgが、ステータ凹部41の壁面から周方向速度成分Uαを付与されずに軸方向に通過してしまうことを防止することができる。
【0073】
(第二実施形態の変形例)
以下、上述した第二実施形態の変形例について、図15を用いて説明する。なお、図15において、図1〜図14と同様の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0074】
上述した構成においては、ステータ凹部41を始端面41aからリターンベンド11c,12cに連通させた構成としたが、例えば、図15に示すように、径方向内方側から径方向外方側まで延在して、ステータ凹部41に連通するステータ側ガイド溝部42aを形成してもよい。すなわち、ステータ凹部41及びステータ側ガイド溝部42aの全体をステータ凹部42とすることで、ステータ側ガイド溝部42aが径方向内方側からステータ凹部41に漏れ流れgを導くので、ステータ凹部41へ漏れ流れgをスムーズに導入することができる。
【0075】
また、上述した構成においては、径方向の内方側の内周壁1dにステータ凹部41を形成したが、例えば、図15に示すように、径方向の内方側に形成したステータ凹部43を単独、又は、ステータ凹部41,42と重畳的に用いる構成にしてもよい。
【0076】
また、上述した構成においては、ステータ凹部41〜43で周方向速度成分付与手段40を構成したが、ステータ凹部41〜43のうち少なくとも一つと、ディスク凹部31〜36のうち少なくとも一つとを重畳的に用いて周方向速度成分付与手段を構成してもよい。
【0077】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、漏れ流れgに対して周方向速度成分Uαをどの程度付与するかはロータ2(インペラ21)の回転速度や主流Gの絶対速度Cの周方向速度成分Uによって定まる相対的なものである。すなわち、漏れ流れgの周方向速度成分Uが主流Gの周方向速度成分Uよりも大きい場合には、負の周方向速度成分Uαを付与する構成としてもよい。
なお、漏れ流れgの絶対速度Cの周方向速度成分Uと主流Gの絶対速度Cの周方向速度成分Uとは必ずしも同一にする必要はなく、双方の差分を小さくすれば混合損失を低減させて、タービン効率の低下を抑止することが可能である。
【0078】
上述した実施の形態においては、エキスパンダE1,E2に本発明を適用する構成としたが、他の半径流ターボ機械(例えば、水車等)に本発明を適用してもよい。
【0079】
また、上述した実施の形態においては、二つのエキスパンダセクション11,12を有するエキスパンダE1,E2に本発明を適用する構成としたが、エキスパンダセクションが一つのみ構成されたエキスパンダ、あるいは、エキスパンダセクションが三つ以上構成されたエキスパンダに本発明を適用することも可能である。
また、上述した実施の形態においては、作動流体として作動ガス(気体)を用いて説明したが、液体でも構わない。
【0080】
また、上述した実施の形態では、所謂クローズドインペラと称されるシュラウド24を備えるインペラ21を用いたが、シュラウド24を省略した所謂オープンインペラを用いてもよい。
【0081】
また、上述した実施の形態では、インペラ21を総計八段に構成したが、複数段であれば本発明を適用することが可能である。
【0082】
また、上述した実施の形態では、ディスク凹部31とステータ凹部41とを、径方向に開放された溝状に形成したが、貫通孔状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…ステータ
1b…ステータ対向部
2…ロータ
10…ケーシング
11c,12c…リターンベンド(戻り流路)
13,14A〜14H,15A,15B…ダイヤフラム
20…回転軸
21(21A〜21H)…インペラ
21a…ガス流入部(主流流入部)
21b…ガス流出部(主流排出部)
22…ディスク
22a…ディスク先端部
22b…ディスク背部
22c…ディスク外周面(ディスク案内面)
22d…ディスク背面
23…ブレード
23a…外端
30,40…周方向速度成分付与手段
31〜36…ディスク凹部
31a,33a…背面開放端
31b、33b…案内面開放端
34a…ディスク側ガイド溝部
41〜43…ステータ凹部
41a…始端面(始端)
41b…流路開放端
42…ステータ凹部
42a…ステータ側ガイド溝部
…主流の絶対速度
…漏れ流れの絶対速度
E1,E2…エキスパンダ
…主流の絶対速度の周方向速度成分
…漏れ流れの絶対速度の周方向速度成分
C…隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と該回転軸に軸方向に多段に設けられた複数のインペラとを備えるロータと、
前記複数のインペラを区画収容すると共に相互に隣接する二つのインペラのうち上流側から排出された主流を下流側に流入させる戻り流路が形成されたステータとを備え、
前記インペラは、前記回転軸が貫通したディスク及び該ディスクから延出する複数のブレードを具備し、半径方向外周側の主流流入部から流入する主流を軸方向一方側の主流排出部から排出する構成とされており、
前記インペラのディスクの軸方向他方側に延在するディスク背部と、前記ステータのうち前記ディスク背部に対向するステータ対向部との隙間に設けられ、該隙間において前記インペラの主流流入部に向かう漏れ流れに対して周方向速度成分を付与する周方向速度成分付与手段を備えることを特徴とする半径流ターボ機械。
【請求項2】
前記周方向速度成分付与手段は、前記ディスク背部において凹状に形成されて前記漏れ流れに対して周方向速度成分を付与するディスク凹部を具備することを特徴とする請求項1に記載の半径流ターボ機械。
【請求項3】
前記ディスク凹部は、径方向外方側に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の半径流ターボ機械。
【請求項4】
前記ディスク凹部は、ディスク背面から、前記ブレードが複数延出して前記主流を前記主流排出部に案内するディスク案内面まで貫通する貫通部を有し、
前記貫通部の前記ディスク案内面側の案内面開放端が前記ブレードの外端よりも径方向外方側に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の半径流ターボ機械。
【請求項5】
前記貫通部は、前記ディスク背面側の背面開放端が前記ディスク案内面側の案内面開放端よりも開放端断面積が大きく形成されていることを特徴とする請求項4に記載の半径流ターボ機械。
【請求項6】
前記貫通部は、前記ディスク背面側の背面開放端と前記ディスク案内面側の案内面開放端との周方向の位置がずらされて形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の半径流ターボ機械。
【請求項7】
前記貫通部は、軸方向において、前記ディスク背面側の背面開放端から前記ディスク案内面側の案内面開放端が見えないように形成されていることを特徴とする請求項6に記載の半径流ターボ機械。
【請求項8】
前記ディスク凹部は、径方向内方側から径方向外方側まで延在して前記貫通部に連通するディスク側ガイド溝部を有し、
該ディスク側ガイド溝部は、径方向内方側から前記貫通部に前記漏れ流れを導くことを特徴とする請求項4から7のうちいずれか一項に記載の半径流ターボ機械。
【請求項9】
前記周方向速度成分付与手段は、前記ステータ対向部において凹状に形成されて前記漏れ流れに対して周方向速度成分を付与するステータ凹部を具備することを特徴とする請求項1から8のうちいずれか一項に記載の半径流ターボ機械。
【請求項10】
前記ステータ凹部は、径方向外方側に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の半径流ターボ機械。
【請求項11】
前記ステータ凹部は、前記隙間に形成された始端から前記戻り流路に開放された戻り流路開放端まで延在して前記隙間と前記戻り流路とを連通させる連通部を有することを特徴とする請求項10に記載の半径流ターボ機械。
【請求項12】
前記連通部は、前記始端と前記戻り流路開放端との周方向の位置がずらされて形成されていることを特徴とする請求項11に記載の半径流ターボ機械。
【請求項13】
前記連通部は、軸方向において、前記始端から前記戻り流路開放端が見えないように形成されていることを特徴とする請求項12に記載の半径流ターボ機械。
【請求項14】
前記ステータ凹部は、径方向内方側から径方向外方側まで延在して前記連通部に連通するステータ側ガイド溝部を有し、
該ステータ側ガイド溝部は、径方向内方側から前記連通部に前記漏れ流れを導くことを特徴とする請求項11から13のうちいずれか一項に記載の半径流ターボ機械。
【請求項15】
前記周方向速度成分付与手段は、定格運転時において前記主流の絶対速度の周方向速度成分と前記漏れ流れの絶対速度の周方向速度成分との差分が小さくなるように、前記漏れ流れに対して周方向速度成分を付与することを特徴とする請求項1から14のうちいずれか一項に記載の半径流ターボ機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−202623(P2011−202623A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72197(P2010−72197)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】