説明

半生麺類の製造方法

【課題】従来の半生麺に比し、保存性に優れた半生麺類の提供。
【解決手段】生地原料に食塩と水を加えて麺生地を作製した後、麺線を形成し、次いで得られた麺線に飽和水蒸気を接触させた後、麺の水分含量が20〜25%になるように乾燥することを特徴とする半生麺類の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半生麺類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半生麺は、一般的に、生麺を冷風乾燥や温風乾燥により、あるいはまた生麺を乾燥した後加湿して水分調整することにより、製造されていた。しかしながら、斯かる従来の方法により得られた半生麺は、保存性に問題があると共にそもそも乾燥処理に長時間を要すると云う問題があった。
【0003】
そこで、当該乾燥時間の短縮を目的として過熱蒸気を用いて生麺を乾燥、殺菌して半生麺とする半生麺類の製造方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この方法によれば、乾燥時間は短縮されるものの、麺の保存性については何ら改善されず、未だ満足のいく半生麺が得られなかったのが実状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−335895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の如き従来の問題と実状に鑑みてなされたものであり、従来の半生麺に比し、保存性に優れた半生麺類を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、生地原料に食塩と水を添加して麺生地を作製した後、麺線を形成し、次いで得られた麺線に飽和水蒸気を接触させた後、麺の水分含量が20〜25%になるように乾燥すれば、保存性が向上し、しかも喫食時の食感も良好な半生麺類が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、生地原料に食塩と水を加えて麺生地を作製した後、麺線を形成し、次いで得られた麺線に飽和蒸気を接触させた後、麺の水分含量が20〜25%になるように乾燥することを特徴とする半生麺類の製造方法により、上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法によれば、従来の半生麺に比し、保存性に優れた半生麺類が得られ、しかも従来の半生麺の喫食時の食感に勝るとも劣らない優れた食感の半生麺類を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、まず、生地原料に食塩と水を加えて麺生地を作製する。
【0010】
生地原料としては、主成分としての穀粉が挙げられるが、穀粉の種類は特に限定されず、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦粉;蕎麦粉;米粉等が挙げられる。麺の種類に応じて、これら小麦粉は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。例えば、パスタ類にはデュラム小麦、中華麺には準強力粉、うどん、そうめんには中力粉等を主として用いることができる。
【0011】
生地原料には、上記穀粉の他、任意成分として、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、乳酸カルシウム、ポリリン酸カリウム、カンスイ;大豆油、菜種油、バター、マーガリン等の動植物性油脂;グリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤;トウモロコシ澱粉、タピオカ澱粉等の生澱粉類やそれらのリン酸架橋等した化工澱粉;食物繊維;卵白等の卵製品;脱脂粉乳やその他の乳製品;小麦粉グルテン等の蛋白強化剤;グアガム、キサンタンガム、カラギーナン等の増粘剤;ショ糖等の糖質;クエン酸、酢酸等の酸味料;ビタミン、ミネラル、アミノ酸等の栄養強化剤;保存剤;酵素剤;pH調整剤;酵母エキス等を用いることができる。これら任意成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0012】
上記生地原料に添加される食塩の量は、通常添加される量より多量とするのが好ましい。通常食塩は、生地原料100質量部に対して、パスタ類(スパゲッティ、マカロニ等)の場合、0〜1質量部;うどん(ひやむぎ、そうめん)の場合、4〜5質量部;日本蕎麦の場合、0〜2質量部;中華麺の場合、0〜2質量部を添加するが、斯様な食塩の添加量では、十分な微生物の増殖抑制が得られにくい。
そのため、通常添加される食塩の量に、更に生地原料100質量部に対して、2〜11質量部、好ましくは2〜8質量部、より好ましくは3〜7質量部を追加するのが、有利である。追加する食塩の量が2質量部未満では、微生物の増殖を十分に抑えにくく、他方で8質量部を超えると喫食時の麺の塩味が強くなり易い。
また、上記生地原料に添加する食塩は、生地原料にそのまま添加してもよいが、食塩水として添加するのが、麺生地中の食塩濃度のばらつきを抑える点で、好ましい。
【0013】
麺生地の作製方法は特に限定されないが、例えば生地原料と添加された食塩(水)に適宜水を添加しながらミキシングによって麺生地を作製する方法等が挙げられる。ミキシングによって麺生地を作製する場合、3〜30分間、特に脱気しながら10〜20分間のミキシングを行うのが、喫食時に良好な食感の麺が得られる点で、好ましい。
【0014】
次いで、本発明は、作製された麺生地から麺線を形成する。作製された麺線の水分含量は、通常の生麺の水分含量であればよく、具体的には26〜35質量%程度である。
麺線形成法としては特に限定されないが、例えば、上記麺生地をロール圧延機や減圧押出し機等にて麺帯を形成した後、得られた麺帯を切刃を用いて切り出すことによって麺線を形成する方法、あるいは押出し機にて押出しすることによって麺線を形成する方法等が挙げられる。
因みに、上記減圧押出し機による麺帯の形成は、真空度の高い減圧下、具体的には−0.06MPa(ゲージ圧)以下で行なうのが、弾性力に富む麺類が得られる点から好ましい。
【0015】
更に、本発明は、上記作製された麺線に飽和水蒸気を接触させる。これによって、微生物の増殖を十分に抑えることができるので半生麺類の保存性が向上し、しかも喫食時の麺の食感が良好となるのに対し、麺線に飽和水蒸気を接触させない場合には、微生物の増殖を十分に抑えることができず、本発明の課題を解決し得ない。
このとき、飽和水蒸気の温度は、85〜110℃、好ましくは90〜105℃、特に好ましくは93〜103℃とし、その時の接触時間を1〜80分間、好ましくは3〜60分間、より好ましくは3〜40分間、更に好ましくは10〜40分間、より更に好ましくは10〜30分間、特に好ましくは10〜20分間とするのが、有利である。
具体的には、飽和水蒸気を接触させる処理時間は上記範囲において各種麺類に応じて調整するのが好ましく、例えば、パスタ類(スパゲッティ、マカロニ等)の場合、3〜65分間、特に10〜30分間とするのが、好ましい。また、うどんの場合、10〜80分間、特に10〜45分間とするのが好ましい。ひやむぎの場合、5〜50分間、特に10〜35分間とするのが好ましい。そうめんの場合、5〜40分間、特に10〜30分間とするのが好ましい。中華麺の場合、5〜60分間、特に10〜40分間とするのが好ましい。日本蕎麦の場合、5〜60分間、特に10〜40分間とするのが好ましい。
飽和水蒸気を接触させる際には、麺線を130〜155gの小分けにするのが、麺線全体に水蒸気が満遍なく接触し易くなるので半生麺類の保存性を向上せしめる上で、好ましい。
【0016】
尚、飽和水蒸気を接触させるときの圧力は、実質的に常圧(約1気圧)であればよく、具体的には0.95〜1.05気圧の範囲内とするのが好ましい。
【0017】
また、麺線に飽和水蒸気を接触させる手段としては、例えば、飽和水蒸気の雰囲気下に麺線を置く方法;飽和水蒸気を麺線に直接噴霧する方法等が挙げられる。
【0018】
更に、本発明は、飽和水蒸気に接触させた麺線を、麺線の水分含量が20〜25%、特に好ましくは23〜25%になるように乾燥する。麺線の水分含量が25%超では微生物の増殖を十分に抑えることができないので本発明の課題を解決し得ず、他方麺線の水分含量が20%未満の場合には、喫食時の麺の食感(特に麺のコシの強さ及び滑らかさ)が非常に悪い。これに対し、麺線の水分含量が20〜25%の範囲内であれば、半生麺類の保存性を向上せしめ、しかも喫食時の麺のコシ及び滑らかさも良好となる。
乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば冷風乾燥、熱風乾燥、過熱蒸気、マイクロウェーブ等が挙げられる。このうち、熱風乾燥及び過熱蒸気乾燥が、半生麺類の乾燥むらを防止できる点で、好ましい。
ここに、乾燥温度は、特に限定されないが、4〜190℃、特に50〜190℃とするのが好ましく、また乾燥時間は1〜120分間、特に1〜60分間とするのが好ましい。
例えば、熱風乾燥の場合、乾燥温度は、50〜100℃、特に60〜100℃とするのが、喫食時に良好な食感の麺が得られる点で、好ましい。また、送風される気体の流速は、0.1〜2.5m/秒、特に0.3〜1.5m/秒とするのが好ましく、この気体としては、空気、窒素ガス、炭酸ガス等が挙げられるが、空気が低コストであるので望ましい。このときの処理時間は、5〜60分間、好ましくは10〜60分間、より好ましくは10〜30分間とするのが、有利である。
また、過熱蒸気の場合、蒸気温度は、110〜190℃、特に115〜140℃とし、その時の処理時間は、1〜30分間、特に3〜20分間とするのが、喫食時に良好な食感の麺が得られる点で、好ましい。
【0019】
以上の手順により、作製された半生麺類は、従来の半生麺に比し、優れた保存性を保持する。しかも、これを電子レンジ、茹で、蒸し等によって加熱して喫食した場合には、良好な食感、特にコシや滑らかさの良好な麺が得られる。また、当該半生麺類は、加熱調理時のほぐれ性にも優れている。
半生麺類の種類としては、特に限定されず、例えば、パスタ類(スパゲッティ、マカロニ等)、うどん、ひやむぎ、そうめん、平めん、日本蕎麦、中華麺、ビーフン等が挙げられるが、食感が良好で保存性もよい点からパスタ類が好ましく、このパスタ類のなかでも特にスパゲッティが好ましい。
【0020】
得られた半生麺類を、保存性向上及び食感の保持の点から、無菌下で包装容器に充填することが好ましい。
包装容器の形状としては、袋状、カップ状、トレー状等が挙げられ、これらを適宜組み合わせて用いてもよいし、適宜押し蓋、かぶせ蓋、ピラード蓋等を用いてもよいが、生麺類の長期の保存性を維持するため密閉性の高いものが好ましい。
また、包装容器の素材としては、通常食品の包装容器に用いられる素材であればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、結晶化ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、アルミニウム等及びこれらの複合材料が挙げられる。これらの素材のうち、耐熱性や耐電子レンジ性の点から、ポリプロピレンが好ましい。
【実施例】
【0021】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例などによって何ら限定されるものではない。
【0022】
実施例1
〔麺線の製造〕
デュラム小麦セモリナ100質量部、澱粉10質量部、卵白粉2質量部の生地原料及び13.3質量%食塩水30質量部(生地原料100質量部に対し食塩7質量部)を混合し、混練して麺生地とした。これを馬蹄形ダイ(麺帯幅15cm)を装着したパスタ製造機を用いて、−650mmHgの減圧条件下で麺帯押出しし、次いで圧延、切り出し(麺線太さ1.8mm)して、生スパゲッティ(麺線)を得た。作製された生スパゲッティの水分含量は、29質量%であった。
上記麺線を140〜145gずつに小分けし、これらをメッシュかごに入れた。
次いで、スチーマー((株)荒畑製作所製スチーマーボックス、形式:K−10X)を用い、当該メッシュカゴに入れた生スパゲッティ(麺線)を100℃の飽和水蒸気を充満させた庫内(常圧:1気圧)に10分間置いて、飽和水蒸気に接触させた。
次いで、熱風乾燥装置を用い、当該麺線に、温度70℃の熱風(空気)を風速0.5m/秒で20分間吹き付けて、水分含量23質量%の半生スパゲッティを得た。
【0023】
尚、スパゲッティの水分含量は、以下の常圧加熱乾燥法(五訂 日本食品標準成分表分析マニュアル/麺類の水分含量測定条件:試料の麺3g、乾燥温度135℃、乾燥時間3時間)にて、測定した。
〔常圧加熱乾燥法〕
秤量缶を電気定温乾燥機(135℃)にて1時間乾燥した後、秤量缶をシリカゲル入りデシケーター中で室温まで放冷し、この秤量缶の質量を測定する。
この秤量缶(アルミニウム製)内にスパゲッティ3gを入れ、乾燥前のスパゲッティを入れた秤量缶の質量を測定し、蓋を開けたスパゲッティ入りの秤量缶を電気定温乾燥機(135℃)にて3時間乾燥する。乾燥後、蓋を閉めたスパゲッティ入の秤量缶をシリカゲル入りデシケーター中で室温まで放冷し、乾燥後のスパゲッティを入れた秤量缶の質量を測定する。
得られた結果から、以下の式にて、水分含量(g/100g:%)を算出する。
水分含量(%)=〔(W1−W2)/S〕×100
1:試料を入れた秤量缶の乾燥前の質量(g)
2:試料を入れた秤量缶の乾燥後の質量(g)
S:乾燥前の試料の質量(g)
【0024】
実施例2
「熱風乾燥」を「過熱蒸気乾燥」に代えた以外、すなわち、過熱蒸気乾燥装置を用い、当該麺線を、温度120℃の過熱蒸気に10分間曝した以外は、実施例1と同様にして水分含量23質量%の半生スパゲッティを得た。
【0025】
実施例3
麺線に飽和水蒸気を接触させる手段として「麺線を飽和水蒸気雰囲気下に置く方法」を「飽和水蒸気を麺線に直接噴霧する方法」に代えた以外、すなわち飽和水蒸気噴霧装置を用い、当該麺線に、100℃の飽和水蒸気を20分間直接噴霧した以外は実施例1と同様にして水分含量23質量%の半生スパゲッティを得た。
【0026】
実施例4
「熱風乾燥」を「過熱蒸気乾燥」に代えた以外、すなわち、過熱蒸気乾燥装置を用い、当該麺線を、温度120℃の過熱蒸気に10分間曝した以外は、実施例3と同様にして水分含量23質量%の半生スパゲッティを得た。
【0027】
比較例1
得られた生スパゲッティを飽和水蒸気に接触させることなく、20分間熱風乾燥した以外は、実施例1と同様にして、水分含量23%の半生スパゲッティを得た。
【0028】
比較例2
得られた生スパゲッティを飽和水蒸気に接触させることなく、10分間過熱蒸気乾燥した以外は、実施例2と同様にして、水分含量23%の半生スパゲッティを得た。
【0029】
比較例3
麺線に飽和水蒸気を10分間接触させた後、熱風乾燥をしなかった以外は、実施例1と同様にして、水分含量28%の生スパゲッティを得た。
【0030】
試験例1
実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた半生又は生スパゲッティを無菌条件下でポリプロピレン製包装容器(縦20cmx横12cm)に充填後、直ちに容器の蓋をシールして容器詰め半生又は生スパゲッティを得た。
各容器詰めスパゲッティを室温(20〜30℃)で2週間保管した後、開封し、各半生又は生スパゲッティから麺線(長さ1cm)を切り取り、切り取った麺線10個をシャーレに入れて37℃で14日間インキュベートし、当該麺線における微生物増殖の様子を観察した。
表1に示す評価基準により微生物増殖抑制試験を行い、その結果は、表2の評価項目〔微生物増殖抑制〕欄のとおりであった。
この結果から、実施例1〜4の方法を用いれば、スパゲッティの微生物の増殖を十分に抑制できたに対し、比較例1〜3の方法を用いれば、スパゲッティの微生物の増殖を十分に抑制できなかった。すなわち、本発明の製造方法で得られた半生スパゲッティは、優れた保存性を有することが明らかにされた。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
試験例2
試験例1で包装された各容器詰め半生又は生スパゲッティを室温(20〜30℃)で2週間保管した後、開封し、各半生スパゲッティを歩留まり220%まで茹で上げた後、20℃の水に40秒間浸して、各茹でスパゲッティを得た。
これら各スパゲッティを10名のパネラーにより表3に示す評価基準により官能評価を行い、その結果は、表4の評価項目〔コシの強さ〕〔滑らかさ〕〔ほぐれ性〕〔風味〕のとおりであった。
【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
試験例3
表5に示すように、生地原料100質量部に対する食塩添加量を変えた以外は、実施例1と同様にして、半生スパゲッティを得た。
得られた半生スパゲッティの各評価を試験例1及び2と同様にして行い、その結果は表4の評価項目の欄のとおりであった。
生地原料中に食塩が含まれない場合、半生スパゲッティの保存性が悪いのに対し、生地原料に対して食塩2質量部以上含まれている場合、半生スパゲッティの保存性が向上した。
生地原料に対する食塩の添加量を2〜8質量部、特に3〜7質量部とした場合に、得られたスパゲッティの喫食時の麺の食感(コシの強さ、滑らかさ)は優れていた。更に加熱調理時の麺のほぐれ性及び風味も優れていた。
【0037】
【表5】

【0038】
試験例4
表6に示すように、熱風乾燥の処理時間を調整して、各スパゲッティの水分含量を調整した以外は実施例1と同様にして、各スパゲッティを得た。尚、各スパゲッティは実質的にアルファ化されていなかった。
得られた各スパゲッティの各評価を試験例1及び2と同様にして行い、その結果は表5の評価項目欄のとおりであった。
水分含量26%のスパゲッティでは保存性が悪く、水分含量19%のスパゲッティでは保存性はよいものの、加熱調理時の食感、ほぐれ性及び風味の何れも悪かったのに対し、水分含量19〜25%の半生スパゲッティでは、保存性はもちろん、加熱調理時の食感、ほぐれ性及び風味の何れも優れていた。
【0039】
【表6】

【0040】
試験例5
表7に示すように飽和水蒸気の温度を変えた以外は、実施例1と同様にして、半生スパゲッティを得た。
得られた半生スパゲッティの各評価を試験例1及び2と同様にして行い、その結果は表6の評価項目の欄のとおりであった。
飽和水蒸気の温度を89〜106℃とした場合には、得られた半生スパゲッティの保存性が概ね良好であった。飽和水蒸気の温度を90〜105℃、特に93〜103℃とした場合には、得られた半生スパゲッティの食感が良好であった。このとき、麺のほぐれ性がよく、麺の風味も損なわれなかった。
【0041】
【表7】

【0042】
試験例6
表8に示すように、麺線の飽和水蒸気の接触時間を変更した以外は、実施例1と同様にして半生スパゲッティを得た。
得られた半生スパゲッティの各評価を試験例1及び2と同様にして行い、その結果は表7の評価項目欄のとおりであった。
飽和水蒸気の接触時間を1〜65分間とした場合には、得られた半生スパゲッティの保存性が概ね良好であり、3〜65分間とした場合には保存性が非常に良かった。しかも、飽和水蒸気の接触時間を3〜40分間、特に10〜20分間とした場合には、得られた半生スパゲッティの食感が良好であった。このとき、麺のほぐれ性がよく、麺の風味も損なわれなかった。
【0043】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地原料に食塩と水を加えて麺生地を作製した後、麺線を形成し、次いで得られた麺線に飽和水蒸気を接触させた後、麺の水分含量が20〜25%になるように乾燥することを特徴とする半生麺類の製造方法。
【請求項2】
飽和水蒸気の温度が、90〜105℃であることを特徴とする請求項1記載の半生麺類の製造方法。
【請求項3】
飽和水蒸気の接触時間が、3〜60分間であることを特徴とする請求項1又は2記載の半生麺類の製造方法。
【請求項4】
飽和水蒸気の接触方法が、麺線を飽和水蒸気の雰囲気下に置く方法又は飽和水蒸気を麺線に直接噴霧する方法であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の半生麺類の製造方法。
【請求項5】
乾燥が、熱風乾燥又は過熱蒸気乾燥であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の半生麺類の製造方法。