説明

半田供給装置

【課題】不純物の少ない半田を供給することができ、しかも長時間稼動させることができる半田供給装置を提供する。
【解決手段】インゴット半田Sが溶融槽1に供給されて、溶融槽内でインゴット半田Sが加熱して溶融されて、酸化防止雰囲気とされる溶融槽1から溶融半田Lを吐出する半田供給装置である。インゴット半田Sの1個乃至所定個ずつが供給されて、溶融槽内に、インゴット半田Sを送るための半田送り室2を備え、半田送り室2が、外気と遮断された酸化防止雰囲気となって、この雰囲気の状態で半田送り室2が溶融槽1と連通されて、半田送り室2からインゴット半田Sが溶融槽1に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造設備であるダイボンダなどには半田供給装置が使用される。リードフレームを使用して半導体装置を製造する設備のダイボンダは、リードフレームのアイランドに定量の半田を供給し、供給した半田上に半導体チップをマウントしている。このダイボンダにおけるリードフレームへの半田供給には、固体半田(インゴット半田)を溶融させて溶融半田として、この溶融半田をリードフレーム上に供給するものがある。
【0003】
溶融半田を直接にリードフレーム上に供給する半田供給装置は、図8(a)に示すように、半田ポット(ルツボ)201に投入したインゴット半田Sをヒータ202で加熱して溶融させるものである。ルツボ201の下端には小径の吐出口211が設けられて、この吐出口211にはノズル(図示省略)が形成され、ルツボ201の上端開口は蓋部材203で塞がれる。この蓋部材203は、上方に開口して、インゴット半田Sが供給される供給口204が設けられている。また、この蓋部材203の上部には、インゴット半田Sをルツボ201に供給するための供給機構206が設けられている。図8(a)(b)に示すように、供給機構206は、上下に開口してインゴット半田Sを収納するための送り室208を備えるとともに、蓋部材203の上部を往復動して供給口204を開閉する開閉ブロック207と、送り室208にインゴット半田Sを供給する前に、インゴット半田Sを待機させる待機路209と、ブロック体207を往復動させる駆動機構210とを備えている。
【0004】
この装置において、ルツボ内に酸素が存在すると、ルツボ内で溶融した溶融半田Lが酸化されて表面にSnO(酸化第一錫)等のドロス(酸化物等からなる不純物)が発生するおそれがある。このような酸化物が発生すると、高品質な半田を供給できない。このため、蓋部材203にはルツボ201内部を酸化防止状態とする酸化防止機構205を設けている。
【0005】
この装置を用いて半田を供給する方法について説明する。まず、酸化防止機構205にてルツボ内の酸素を真空により引きながら、窒素ガス又は不活性ガスを供給し、槽内部を酸化しない雰囲気とする。そして、図8(a)(b)に示すように、待機路209のインゴット半田Sを送り室208に供給し、その後開閉ブロック207を駆動機構側へスライドさせる。図8(c)に示すように、送り室208が供給口204の上方に位置すると、送り室208と供給口204とが連通して、送り室208のインゴット半田Sがルツボ201に落下する。これにより、インゴット半田Sがルツボ内に供給される。
【0006】
また、ルツボへの酸化物への供給を抑えるものとして、ルツボとは別に溶融槽を設けるものがある(特許文献1)。特許文献1のものは、溶融槽にインゴット半田を供給して、ヒータで溶融槽を加熱してインゴット半田を溶融させる。この場合、溶融槽で溶融された溶融半田は、インゴット半田を溶融槽に供給する場合等において外気に接触することになるので、溶融槽の溶融半田の上層にドロスが発生するおそれがある。しかしながら、溶融槽内の下層の溶融半田をさらにルツボに供給するため、溶融槽で生成されたドロスのルツボへの供給が抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−178892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図8に記載されたものでは、供給口204と送り室208とが連通するため、この間に送り室208を経て外気がルツボ内に進入する。これにより、溶融半田Lが酸化され、ドロスの発生を十分に抑えることができなかった。また、特許文献1のものは、溶融槽にドロスが発生するため、ドロスがルツボへ混入するおそれがあった。これにより、前記した従来のものでは、高品質な溶融半田を安定して供給することができない場合があった。さらには、ルツボや溶融槽にドロスが発生すると、ルツボや溶融槽の交換、及びメンテナンス回数が増えて、長時間の稼動が行いにくいという問題があった。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みて、不純物の少ない半田を供給することができ、しかも長時間稼動させることができる半田供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の半田供給装置は、酸化防止雰囲気とされる溶融槽にインゴット半田が供給され、この溶融槽内でインゴット半田を加熱して溶融し、前記溶融槽から溶融半田を吐出する半田供給装置において、インゴット半田が1個乃至所定個ずつ供給され、溶融槽内に、このインゴット半田を送るための半田送り室を備え、半田送り室は外気と遮断され、酸化防止手段により酸化防止雰囲気となって、この雰囲気の状態で半田送り室と溶融槽とが連通されて、この半田送り室からインゴット半田が溶融槽に供給されるものである。
【0011】
本発明の半田供給装置によれば、半田送り室を介してインゴット半田の周囲の酸素を除去し、このインゴット半田を溶融槽に供給するため、酸素が溶融槽に進入するのを防止することができる。これにより、溶融槽内の溶融半田が酸化するのを防止することができる。
【0012】
前記溶融槽の下方に配設されて、被実装部に溶融半田を吐出するルツボを備え、溶融槽の酸化防止雰囲気を維持したまま、溶融槽の溶融半田をルツボに供給することができる。これにより、溶融半田がルツボにさらに供給されることになり、溶融槽でドロスが生成されてもドロスを溶融槽に留まらせることができて、ルツボにドロスが供給されにくくなる。
【0013】
前記酸化防止手段は、半田送り室を真空状態とする真空機構及び非酸化性ガスを供給する非酸化性ガス供給機構から構成することができる。
【0014】
前記半田送り室を外気と遮断する開閉機構を設けることができる。これにより、半田送り室の開状態でインゴット半田を供給でき、閉状態で半田送り室内部に酸素が進入するのを防止できる。
【0015】
前記半田送り室が酸化防止雰囲気となったときに、前記半田送り室と溶融槽とが連通状態となるように、前記開閉機構を制御する制御手段を設けることができる。
【0016】
前記半田送り室にインゴット半田を供給するための送出口と、この送出口の下方に設けられて前記半田送り室から溶融槽へインゴット半田を供給するための供給口とを備えるとともに、前記開閉機構を、前記供給口を開閉するための第1シャッター機構と、前記送出口を開閉するための第2シャッター機構とで構成し、前記第1シャッター機構と第2シャッター機構との間に形成される空間を、前記半田送り室とすることができる。これにより、インゴット半田を落下させるのみで、送出口から半田送り室にインゴット半田を供給することができる。その後、シャッター機構を開閉し、インゴット半田を落下させ、半田送り室から溶融槽にインゴット半田を供給することができる。このため、半田送り室から溶融槽にインゴット半田を搬送するための機構を省略することができる。
【0017】
前記半田送り室にインゴット半田を供給するための送出口と、前記半田送り室から溶融槽へインゴット半田を供給するための供給口とを備えるとともに、前記開閉機構を構成するスライド体を、送出口と供給口との間に介在させ、かつ、このスライド体に前記半田送り室を設けて、前記半田送り室が、前記送出口の下方に対応するときは、送出口と半田送り室とを連通状態とするとともに、前記半田送り室と供給口とを非連通状態とし、前記半田送り室が、前記送出口と供給口との間に位置するときは、前記半田送り室と送出口、及び前記半田送り室と供給口とを非連通状態とするとともに、前記酸化防止手段にて半田送り室内を酸化防止雰囲気とし、前記半田送り室が、前記供給口の上方に対応するときは、前記半田送り室と供給口とを連通状態とするとともに、前記送出口と半田送り室とを非連通状態とすることができる。これにより、半田送り室を、送出口から供給口までスライドさせることができるため、半田送り室を、送出口及び供給口から離れた位置で酸化防止雰囲気とすることができる。
【0018】
前記半田送り室にインゴット半田を供給するための送出口と、前記半田送り室から溶融槽へインゴット半田を供給するための供給口とを備えるとともに、前記送出口と供給口と半田送り室とを酸化防止雰囲気とすることができる。これにより、インゴット半田が半田送り室に供給された後に、半田送り室を酸化防止雰囲気とする必要がなくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の半田供給装置では、酸素が溶融槽に進入するのを防止することができ、溶融槽内の溶融半田が酸化するのを防止することができるため、溶融槽内においてドロスの発生及び成長を抑えることができて、高品質な半田を供給することができる。また、溶融槽の交換や、メンテナンス回数を少なくできて、長時間の稼動が可能となる。
【0020】
前記溶融槽の下方に配設されるルツボを備えると、ルツボにはドロスが供給されにくいため、より一層高品質な半田を供給することができる。
【0021】
前記酸化防止手段を、真空機構及び非酸化性ガス供給機構とで構成すると、容易に半田送り室を酸化防止雰囲気とすることができる。
【0022】
開閉機構を設けると、半田送り室へのインゴット半田の供給と、半田送り室の外気の遮断との切換えができて、操作性の向上を図ることができる。
【0023】
前記制御手段を設けると、半田送り室が酸化防止雰囲気となったときに、正確に溶融槽と連通状態とすることができ、一層溶融半田の酸化を防止することができ、一層高品質な半田を供給することができる。
【0024】
前記開閉機構を、送出口を開閉する第2シャッター機構と、送出口の下方の供給口を開閉する第1シャッター機構とで構成すると、半田送り室から溶融槽にインゴット半田を搬送するための機構を省略することができ、装置のコンパクト化、及びコストの低減を図ることができる。
【0025】
半田送り室を送出口から供給口までスライドさせ、送出口及び供給口から離れた位置で半田送り室を酸化防止雰囲気とすると、酸素が溶融槽に進入するのを一層防止することができる。
【0026】
前記送出口及び供給口を酸化防止雰囲気とすると、インゴット半田が半田送り室に供給された後で、半田送り室を酸化防止雰囲気とする必要がなくなって、複雑な制御が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態の半田供給装置の要部拡大断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の半田供給装置の断面図である。
【図3】第1実施形態の半田供給装置を用いてインゴット半田を溶融槽内に供給する方法を示す工程図である。
【図4】本発明の第2実施形態の半田供給装置の要部拡大断面図である。
【図5】第2実施形態の半田供給装置を用いてインゴット半田を溶融槽内に供給する方法を示す工程図である。
【図6】本発明の第3実施形態の半田供給装置の要部拡大断面図である。
【図7】第3実施形態の半田供給装置を用いてインゴット半田を溶融槽内に供給する方法を示す工程図である。
【図8】従来の半田供給装置において、インゴット半田を溶融槽内に供給する方法を示す工程図であり、(a)は側面図、(b)及び(c)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下本発明の実施の形態を図1〜図7に基づいて説明する。
【0029】
この半田供給装置は、溶融槽1に供給されたインゴット半田を加熱して溶融し、溶融槽1から溶融半田Lを吐出してルツボ142に溶融半田Lを供給して、例えばリードフレーム等の被実装部(図示省略)に溶融半田Lを供給するものである。
【0030】
本発明の半田供給装置は、図2に示すように、半田を溶融する溶融槽1を有する溶融部100と、溶融半田Lを被実装部(図示省略)へ供給するルツボ142を有する供給部101と、溶融槽1からルツボ142に溶融半田Lを供給する供給路構造102とを備える。
【0031】
溶融部100は、図1に示すように、インゴット半田Sが供給されるとともに、溶融半田Lを吐出する溶融槽1と、溶融槽1内に、このインゴット半田Sを送る半田送り室2と、半田送り室2を外気と遮断する開閉機構3と、開閉機構3を制御する制御手段4と、インゴット半田Sを待機させる待機路5と、半田送り室を酸化防止雰囲気とする酸化防止手段31とを備えている。本実施形態では、開閉機構3は、下方の第1シャッター機構33と、上方の第2シャッター機構14とから構成される。
【0032】
溶融槽1は、溶融半田Lを貯蔵する円筒体乃至有底円筒体等からなる槽本体1aと、この槽本体1aの開口部を塞ぐ蓋部材1bとからなる。槽本体1aには、溶融半田Lを吐出する吐出口7を有している。吐出口7は、後述する供給路構造102の上下方向孔部170に連通する。また、蓋部材1bには、孔部29を有しており、この孔部29がインゴット半田Sが供給される供給口6となる。槽本体1aの外周側には加熱手段8としてのヒータ9が配置されている。
【0033】
吐出口7は、図2に示すように、溶融槽1内に配置される上下方向ロッド133を介して開閉することになる。上下方向ロッド133は往復動機構(図示省略)にて、上昇状態と下降状態とに変移することができる。この上下方向ロッド133の上昇により、溶融槽内の溶融半田Lを溶融槽1から押し出すことができる。
【0034】
蓋部材1bには、図1に示すように、さらに2つの孔部10a、10bが設けられており、孔部10aには、溶融槽1の内部を真空状態とする真空用継手11aが設けられ、孔部10bには、溶融槽1の内部に窒素、不活性ガス等の非酸化性ガスを供給する非酸化性ガス供給用継手11bが設けられている。
【0035】
この蓋部材1bの上方には、ケーシング12が設けられている。このケーシング12には、上下に開口して、溶融槽1に連通するとともに、待機路5に連通する上下方向孔部13が設けられている。この上下方向孔部13と、待機路5と、蓋部材1bの孔部29とで、インゴット半田Sの通路が形成される。ケーシング12の上下方向孔部13に対応する位置において、その下方には、水平方向孔部32が形成されている。この水平方向孔部32の下方の水平面には、溝部21と、この溝部21に装着されるシール材20とが設けられている。また、水平方向孔部32の上方には、さらに水平方向孔部26が形成されている。この水平方向孔部26の下方の水平面には、溝部27と、この溝部27に装着されるシール材28とが設けられている。
【0036】
ケーシング12の下方には、上下方向孔部13の下方側を開閉させることにより供給口6を開閉させる第1シャッター機構33が設けられるとともに、ケーシング12の上方には、上下方向孔部13の上方側を開閉させて、後述する待機路5の送出口38を開閉させる第2シャッター機構14が設けられている。
【0037】
第1シャッター機構33は、水平方向孔部32内に設けられ、往復手段17と、この往復手段17の先端部に連結される移動ブロック体16とから構成される。往復手段17は、ケーシング12の内部を水平方向に往復動する水平ロッド19と、水平ロッド19を往復動させる駆動源18とから構成される。往復手段17としては、シリンダ機構、ボールねじ機構等の種々の機構を用いることができる。移動ブロック体16が前進した閉状態においてシール材20が移動ブロック体16と溝部21とで押しつぶされ、溶融槽1の密封性を高めることができる。また、ケーシング12には、水平ロッド19との摺接箇所にシール機構22が設けられており、ケーシング内の密封性を高めている。
【0038】
第2シャッター機構14は、水平方向孔部26内に設けられ、前記第1シャッター機構33と同一の機構であり、前記第1シャッター機構33のさらに上方に設けられている。すなわち、往復手段23と、この往復手段23の先端部に連結される移動ブロック体25とから構成される。往復手段23は、ケーシング12の内部を水平方向に往復動する水平ロッド43と、水平ロッド43を往復動させる駆動源24とから構成される。また、ケーシング12の水平ロッド43との摺接箇所にシール機構22が設けられている。
【0039】
前記上下方向孔部13のうち、第1シャッター機構33の移動ブロック体16と、第2シャッター機構14の移動ブロック体25との間に形成される空間を半田送り室2としている。
【0040】
ケーシング12には、半田送り室2に連通する水平方向孔部30が設けられている。この水平方向孔部30には、半田送り室2を酸化防止雰囲気とする酸化防止手段31が設けられている。酸化防止手段31は、半田送り室2を真空状態とする真空機構及び非酸化性ガスを供給する非酸化性ガス供給機構とで構成している。
【0041】
制御手段4は、例えばマイクロコンピュータから構成されている。半田送り室2には、酸素濃度を検出する酸素濃度検出器(図示省略)が設けられており、この酸素濃度検出器の検出により、半田送り室2が酸化防止雰囲気となったときに水平ロッド19を駆動源18側へスライドさせて、移動ブロック体16を駆動源18側へ移動させるように制御するものである。また、インゴット半田Sを半田送り室2に送る際に、水平ロッド43を駆動源37側へスライドさせて、移動ブロック体25を駆動源24側へ移動させるように制御するものである。
【0042】
ケーシング12の上方には円筒体35が設けられており、円筒体35の内径側に形成される空間37が、ケーシング12の上下方向孔部13に連通している。そして、円筒体35の空間37と、第2シャッター機構14より上方の上下方向孔部13とで待機路5を構成している。また、円筒体35の下方開口部近傍のインゴット半田Sを、その位置で固定するストッパ機構36を設けている。
【0043】
ストッパ機構36は、円筒体35の下方を水平方向に往復動する往復手段にて構成している。このストッパ機構36は、水平ロッド40と、水平ロッド40を往復動させる駆動源41とから構成される。往復手段としては、シリンダ機構、ボールねじ機構等の種々の機構を用いることができる。
【0044】
供給部101は、図2に示すようにルツボ142を備えており、ルツボ142の外周側に加熱手段160としてのヒータ161が配置されている。また、ルツボ142の底壁164にはノズル162が付設されている。
【0045】
また、ルツボ142には、後述する供給路構造102の上下方向孔部170を介して接続される配管(図示省略)が配置されており、この配管には図示省略の圧力制御手段が接続されている。圧力制御手段は、ルツボ142の内圧を、ノズル162から溶融半田Lを吐出させる正圧と、ノズル162からの溶融半田Lの吐出を止める負圧との間で切換制御する。圧力制御手段は、ルツボ内に図示省略のコンプレッサーからの加圧ガス(非酸化性ガス)を供給して正圧にするガス供給系と、ルツボ内を図示省略の真空ポンプで適宜に真空吸引して負圧にするガス吸引系を備える。
【0046】
供給路構造102は、ルツボ142に連通する上下方向孔部170を有するとともに水平方向孔部171が形成された固定ブロック体173と、移動ブロック体174とを備える。移動ブロック体174は、往復機構175にて水平方向孔部171を水平方向に移動する。往復機構175は、その先端が移動ブロック体174に連結された水平方向ロッド181を備え、このロッド181が矢印a、b方向に往復動する。水平方向ロッド181を往復動させる機構としては、シリンダ機構、ボールねじ機構等の種々の機構を用いることができる。
【0047】
往復機構175のロッド181が矢印a方向に延びれば、固定ブロック体173の上下方向孔部170が移動ブロック体174にて塞がれる。往復機構175のロッド181が矢印b方向に縮まれば、固定ブロック体173の上下方向孔部170が開状態となる。
【0048】
水平方向孔部171の下方の水平面には凹周溝184が形成され、この凹周溝184にOリング等のシール材182が装着されている。これによって、図2に示すように、移動ブロック体174が前進した閉状態では、移動ブロック体174と凹周溝184とでシール材182が押しつぶされて、ルツボ142の密封性を高めることができる。
【0049】
次に、本発明の半田供給装置を用いた半田供給方法を図3を用いて説明する。図3は、本発明の半田供給装置のうち、溶融部100のみを示している。初期状態では、供給路構造102は、図2に示すように移動ブロック体174が前進した閉状態となっている。また、吐出口7は閉状態となっている。本実施形態では、待機路5に3個のインゴット半田S1〜S3が待機しており、半田送り室2に、インゴット半田Sを1個ずつ供給する場合について説明する。
【0050】
まず、初期状態では図3(a)に示すように、半田送り室2にインゴット半田Sが存在しない状態で、第1シャッター機構33の移動ブロック体16と、第2シャッター機構14の移動ブロック体25とが、上下方向孔部13を塞いだ閉状態となっている。これにより、移動ブロック体16にて、溶融槽1の供給口6を塞ぐとともに、待機路5の送出口38が塞がれた状態となっている。待機路5の最も下方に位置するインゴット半田S1は、移動ブロック体25の上面にて支持されて、待機路5の送出口38に待機している。また、インゴット半田S1の上方に位置するインゴット半田S2は、ストッパ機構36にて支持されて円筒体35の内部に固定されている。これにより、インゴット半田S2、S3は下方に落下することなく、その位置で固定される。なお、溶融槽内には、先に供給されたインゴット半田Sが加熱手段8にて溶融され、これが溶融半田Lとなって存在している。
【0051】
次に、第2シャッター機構14の往復手段23を作動させる。すなわち、駆動源24を作動させて、水平ロッド43と移動ブロック体25とを矢印Aの方向に後退させる。これにより、図3(b)に示すように、送出口38が開状態となって、送出口38と半田送り室2とが連通状態となる。そして、インゴット半田S1は、矢印Bに示すように落下して、第1シャッター機構33の移動ブロック体16の上面にて支持される。これにより、インゴット半田S1が、半田送り室2内に供給される。インゴット半田S2、S3は、ストッパ機構36にて支持されて、その位置を維持している。
【0052】
次に、第2シャッター機構14の往復手段23を作動させる。すなわち、駆動源24を作動させて、水平ロッド43と移動ブロック体25とを矢印Cの方向に前進させる。この場合、図3(c)に示すように、移動ブロック体25が上下方向孔部13を塞ぐ状態となるまで前進させる。これにより、送出口38が閉状態となり、送出口38と半田送り室2とが非連通状態となって、半田送り室2が外気と遮断された密閉状態となる。
【0053】
半田送り室2が密閉状態となった後、酸化防止手段31を作動させて、半田送り室2に非酸化性ガスを供給して酸化防止雰囲気とする。
【0054】
この状態で、第1シャッター機構33の往復手段17を作動させる。すなわち、駆動源18を作動させて、水平ロッド19と移動ブロック体16とを矢印Dの方向に後退させる。これにより、図3(d)に示すように、供給口6が開状態となって、半田送り室2と供給口6とが連通状態となる。そして、移動ブロック体16に支持されたインゴット半田S1は、矢印Eに示すように落下して溶融槽1に供給される。この場合、半田送り室2を介してインゴット半田S1の周囲の酸素を除去し、このインゴット半田S1を溶融槽1に供給するため、酸素が溶融槽1に進入するのを防止することができる。
【0055】
その後、第1シャッター機構33の往復手段17を作動させる。すなわち、駆動源18を作動させて、水平ロッド19と移動ブロック体16とを矢印Fの方向に前進させる。この場合、図3(e)に示すように、移動ブロック体16が上下方向孔部13を塞ぐ状態となるまで前進させる。これにより、供給口6が閉状態となって、半田送り室2と供給口6とが非連通状態となって、溶融槽1が外気と遮断された密閉状態となる。
【0056】
インゴット半田S2を供給する場合は、矢印Gのように、ストッパ機構36の支持状態を解除する。これにより、インゴット半田S2は落下して、第2シャッター機構14の移動ブロック体25の上面にて支持され、送出口38に位置することになる。その後、前記と同様の方法にてインゴット半田S2を溶融槽1に供給する。
【0057】
ルツボ142に溶融半田Lを供給するには、図2の矢印bに示すように、供給路構造102の移動ブロック体174を後退させて固定ブロック体173から離し、固定ブロック体173の上下方向孔部170を開状体とする。この状態で、上下方向ロッド133を上昇させて溶融半田Lを吐出口7から吐出する。この際、溶融半田Lが上下方向ロッド133の先端部を伝わってルツボ142に供給される。
【0058】
ルツボ142では、圧力制御手段による内圧制御にてノズル162から溶融半田Lを吐出し、リードフレーム等の被実装部に半田付けを行うことができる。
【0059】
本発明では、半田送り室2を介してインゴット半田Sの周囲の酸素を除去し、このインゴット半田Sを溶融槽1に供給するため、酸素が溶融槽1に進入するのを防止している。これにより、溶融槽内の溶融半田Lが酸化するのを防止することができるため、溶融槽内においてドロスの発生及び成長を抑えることができて、高品質な半田を供給することができる。また、溶融槽の交換や、メンテナンス回数を少なくできて、長時間の稼動が可能となる。
【0060】
溶融槽1の下方に配設されて、被実装部に溶融半田Lを吐出するルツボ142を備え、溶融槽1の酸化防止雰囲気を維持したまま、溶融槽1の溶融半田Lをルツボ142に供給する。これにより、溶融半田Lがルツボ142にさらに供給されることになり、溶融槽1でドロスが生成されてもドロスを溶融槽1に留まらせることができる。従って、ルツボ142にはドロスが供給されにくいため、より一層高品質な半田を供給することができる。
【0061】
酸化防止手段31を、半田送り室2を真空状態とする真空機構及び非酸化性ガスを供給する非酸化性ガス供給機構とから構成しているので、容易に半田送り室2を酸化防止雰囲気とすることができる。
【0062】
開閉機構3を設けているので、半田送り室2へのインゴット半田Sの供給と、半田送り室2の外気の遮断との切換えができて、操作性の向上を図ることができる。
【0063】
半田送り室2が酸化防止雰囲気となったときに、前記半田送り室2と溶融槽1とが連通状態となるように、開閉機構3を制御する制御手段4を設けているので、半田送り室2が酸化防止雰囲気となったときに正確に溶融槽1と連通状態とすることができる。これにより、一層溶融半田Lの酸化を防止することができ、一層高品質な半田を供給することができる。
【0064】
送出口38を開閉する第2シャッター機構14と、送出口38の下方の供給口6を開閉する第1シャッター機構33とを備え、この第1シャッター機構33と第2シャッター機構14との間に形成される空間を半田送り室2としているので、インゴット半田Sを落下させるのみで、送出口38から半田送り室2にインゴット半田Sを供給することができる。その後、インゴット半田Sを落下させるのみで、半田送り室2から溶融槽1にインゴット半田Sを供給することができる。これにより、半田送り室2から溶融槽1にインゴット半田Sを搬送するための機構を省略することができ、装置のコンパクト化、及びコストの低減を図ることができる。
【0065】
次に、図4は第2実施形態の半田供給装置の溶融部100のみを示す。本実施形態も、前記第1実施形態と同様に溶融部100と、供給部101と、供給路構造102とを備えている。第2実施形態の半田供給装置は、第1実施形態と同様の供給部101と供給路構造102とを備えており、溶融部100のみが第1実施形態と異なる。
【0066】
第2実施形態の溶融部100は、半田を溶融する溶融槽1と、溶融槽内に、このインゴット半田Sを送るための半田送り室50と、半田送り室50と溶融槽1との連通状態及び非連通状態の切換を行う開閉機構53と、開閉機構を53を制御する制御手段54と、インゴット半田Sを待機させる待機路55とを備えている。
【0067】
溶融槽1は、槽本体51aと、この槽本体51aの開口部を塞ぐ蓋部材51bとからなる。槽本体51aは、前記第1実施形態と同一のものを使用しており、図示省略するが、槽本体51aの内部を真空状態とする真空用継手と、窒素等の非酸化性ガスを供給する非酸化性ガス供給用継手を備えている。蓋部材51bは、後述するスライド体59が内嵌され、一端が閉口する略円形の水平方向穴部57を有している。この水平方向穴部57の開口側には、上下一対の溝部52aが形成されており、水平方向穴部57の閉口側には、下方に溝部52bが形成されている。そして、水平方向穴部57の開口側に、往復手段68の駆動源58が設けられ、この駆動源58に制御手段54が設けられている。蓋部材51bの上側には、水平方向穴部57に連通する上側孔部66が設けられており、この上側孔部66がインゴット半田Sを送出する送出口62となる。また、蓋部材51bの下側において、上側孔部66と水平方向に沿ってずれた位置には、水平方向穴部57に連通する下側孔部67が設けられており、この下側孔部67がインゴット半田Sを供給する供給口56となる。
【0068】
開閉機構53は、往復手段68と、この往復手段68の先端部に連結されるスライド体59とから構成される。スライド体59は、水平方向に延びる円柱状のブロック体であり、一部に上下に開口する孔部49を有している。この孔部49にて形成される空間を半田送り室50としている。この半田送り室50が供給口56に対応したとき、半田送り室50と溶融槽1とが連通する。スライド体59は、その駆動源側端部において上下に突出する一対の突起部61aを有するとともに、反駆動源側端部において下方に突出する突起部61bを有している。これら突起部61a、61bが溝部52a、52bに嵌合して、スライド体59の周方向のずれを規制している。また、スライド体59の半田送り室50近傍、及び駆動源側の端部にはOリングを備えたシール機構69が設けられている。
【0069】
往復手段68は、蓋部材51bの水平方向穴部57を水平方向に往復動する水平ロッド60と、水平ロッド60を往復動させる駆動源58とから構成される。往復手段68としては、シリンダ機構、ボールねじ機構等の種々の機構を用いることができる。
【0070】
蓋部材51bの上部において、供給口56と送出口62との間には、半田送り室50を真空状態とした後に、窒素ガスや不活性ガス等の非酸化性ガスを供給して酸化防止雰囲気とする酸化防止手段63が設けられている。
【0071】
制御手段54は、第1実施形態における制御手段と同様に、半田送り室50が酸化防止雰囲気となったときに、スライド体59を駆動源58側へ移動させて、半田送り室50と溶融槽1とが連通状態となるように駆動源58を制御するものである。
【0072】
蓋部材51bの上方には円筒体64が設けられており、円筒体64の内径側に形成される空間65が、蓋部材51bの上側孔部66と連通している。そして、円筒体64の内側に形成される空間65と、蓋部材51bの上側孔部66とで待機路55を構成している。
【0073】
次に、図4に示す溶融部100を有する半田供給装置を用いた半田供給方法を説明する。本実施形態では、待機路5に3個のインゴット半田S1〜S3が待機しており、半田送り室50に、インゴット半田Sを1個ずつ供給する場合について説明する。初期状態では図5(a)に示すように、半田送り室50にインゴット半田Sが存在しない状態で、開閉機構53のスライド体59は、半田送り室50が供給口56と送出口62との間に対応する位置となっている。これにより、スライド体59にて供給口56を塞ぐとともに、送出口62を塞いだ状態となっている。待機路55のインゴット半田Sのうち、最も下方に位置するインゴット半田S1は、スライド体59の上面にて支持されて、送出口62に待機している。また、インゴット半田S2、S3は、円筒体64の内部に待機している。
【0074】
まず、開閉機構53の往復手段68を作動させる。すなわち、駆動源58を作動させて、水平ロッド60とスライド体59とを矢印Hの方向に前進させる。これにより、図5(b)に示すように、半田送り室50が送出口62に対応して、送出口62が開状態となって、送出口62と半田送り室50とが連通状態となる。そして、送出口62に位置するインゴット半田S1は、矢印Iに示すように落下して半田送り室50内に供給される。インゴット半田S2、S3も下方にずれて、インゴット半田S2が送出口62に位置する。
【0075】
次に、開閉機構53の往復手段68を作動させる。すなわち、駆動源58を作動させて、半田送り室50が酸化防止手段63に対応する位置となるまで、水平ロッド60とスライド体59とを矢印Jの方向に後退させる。この場合、図5(c)に示すように、送出口62と半田送り室50とが非連通状態となって、半田送り室50が外気と遮断された密閉状態となる。
【0076】
半田送り室50が酸化防止手段63に対応する位置となり、半田送り室50が密閉状態となった後、酸化防止手段63を作動させて、半田送り室50に非酸化性ガスを供給して酸化防止雰囲気とする。
【0077】
その後、開閉機構53の往復手段68を作動させる。すなわち、駆動源58を作動させて、半田送り室50が、供給口56に対応する位置となるまで、水平ロッド60とスライド体59とを矢印Kの方向に後退させる。これにより、図5(d)に示すように、供給口56が開状態となって、半田送り室50と供給口56とが連通状態となる。そして、インゴット半田S1は、矢印Lに示すように落下して、溶融槽1に供給される。この場合、半田送り室50を介してインゴット半田S1の周囲の酸素を除去し、このインゴット半田S1を溶融槽1に供給するため、酸素が溶融槽1に進入するのを防止することができる。
【0078】
インゴット半田S2を供給する場合は、開閉機構53の往復手段68を作動させる。すなわち、駆動源58を作動させて、水平ロッド60とスライド体59とを矢印Mの方向に前進させる。その後、前記した方法と同様の方法にてインゴット半田S2を溶融槽1に供給することができる。
【0079】
その後、前記第1実施形態と同様の方法にてルツボ142に溶融半田Lを供給し、ノズル162から溶融半田Lを吐出して、リードフレーム等の被実装部に半田付けを行う。
【0080】
このように、本発明の第2実施形態の半田供給装置も、前記第1実施形態の半田供給装置と同様の効果を奏する。特に、半田送り室50を送出口62から供給口56までスライドさせているので、半田送り室50を、送出口62及び供給口56から離れた位置で酸化防止雰囲気とすることができ、酸素が溶融槽1に進入するのを一層防止することができる。なお、図4及び図5に示す半田供給装置において、図1〜図3と同様の構成については、図1〜図3と同一符号を付してその説明を省略する。
【0081】
次に、図6は第3実施形態の半田供給装置の溶融部100のみを示す。本実施形態も、前記第1及び第2実施形態と同様に溶融部100と、供給部101と、供給路構造102とを備えている。第3実施形態の半田供給装置は、第1及び第2実施形態と同様の供給部101と供給路構造102とを備えており、溶融部100のみが第1及び第2実施形態と異なる。
【0082】
第3実施形態の溶融部100は、半田を溶融する溶融槽1と、溶融槽内に、このインゴット半田を送るための半田送り室70と、半田送り室70と溶融槽1との連通状態及び非連通状態の切換を行う開閉機構73と、開閉機構を73制御する制御手段74と、インゴット半田Sを待機させる待機路75とを備えている。
【0083】
溶融槽1は、槽本体71aと、この槽本体71aの開口部を塞ぐ蓋部材71bとからなる。槽本体71aは、前記第1及び第2実施形態と同一のものを使用している。図示省略するが、槽本体71aの内部を真空状態とする真空用継手と、窒素等の非酸化性ガスを供給する非酸化性ガス供給用継手を備えている。蓋部材71bは、その内部に、後述するスライド体79が内嵌され、両端が閉口する矩形状の水平方向穴部77を有している。この水平方向穴部77には、径寸法が大である第1孔部90と、下面が往復手段側に向かって下傾するテーパ面を有する第2孔部91と、径寸法が小である第3孔部92とからなる。テーパ面には溝部95が形成され、この溝部95にシール材96が装着されている。
【0084】
水平方向穴部77の一端側に、往復手段88の駆動源78が設けられ、この駆動源78に制御手段74が設けられている。蓋部材71bの上部の一端側(反駆動源側)には、水平方向穴部77に連通する第1上側孔部86が設けられており、この第1上側孔部86がインゴット半田Sを送出する送出口82となる。蓋部材71bの上部の他端側(駆動源側)には、水平方向穴部77に連通する第2上側孔部93が設けられており、この第2上側孔部93には、水平方向穴部77及び後述する円筒体84の空間85に非酸化性ガスを供給する非酸化性ガス供給機構94が設けられている。また、蓋部材71bの下部において前記送出口82と水平方向に沿ってずれた位置には、水平方向穴部77に連通する下側孔部87が設けられており、この下側孔部87がインゴット半田Sを供給する供給口76となる。
【0085】
開閉機構73は、往復手段88と、この往復手段88の先端部に連結されるスライド体79とから構成される。スライド体79は、下面が往復手段側に向かって下傾するテーパ面を有するテーパ部98と、断面矩形状の角柱部99とで構成されるブロック体であり、角柱部99の一部に上下に開口する孔部97を有している。この孔部97にて形成される空間を半田送り室70としている。この半田送り室70が供給口76に対応したとき、半田送り室70と溶融槽1とが連通する。
【0086】
往復手段88は、蓋部材71bの水平方向穴部77を水平方向に往復動する水平ロッド80と、水平ロッド80を往復動させる駆動源78とから構成される。往復手段88としては、シリンダ機構、ボールねじ機構等の種々の機構を用いることができる。
【0087】
制御手段74は、供給口76、送出口82、及び半田送り室70が酸化防止雰囲気となったときに、スライド体79を駆動源78側へ移動させて、半田送り室70と溶融槽1とが連通状態となるように駆動源78を制御するものである。
【0088】
蓋部材71bの上方には、円筒体84が設けられており、円筒体84の内径側に形成される空間85が、蓋部材71bの第1上側孔部86と連通している。そして、円筒体84の内径側に形成される空間85と、蓋部材71bの上側孔部86とで待機路75を構成している。
【0089】
円筒体84の上方には、開口部81が設けられており、この開口部81を介して円筒体84の空間85及び水平方向穴部77を真空状態とする真空機構83が設けられている。そして、非酸化性ガス供給機構94と真空機構83とで酸化防止手段を構成している。
【0090】
次に、図6に示す溶融部100を有する半田供給装置を用いた半田供給方法を説明する。本実施形態では、待機路75に3個のインゴット半田S1〜S3が待機しており、半田送り室70に、インゴット半田Sを1個ずつ供給する場合について説明する。初期状態では図7(a)に示すように、半田送り室70にインゴット半田Sが存在しない状態で、開閉機構73のスライド体79は、半田送り室70が供給口76と送出口82との間に対応する位置となっている。待機路75のインゴット半田Sのうち、最も下方に位置するインゴット半田S1は、スライド体79の上面にて支持されて、送出口82に待機している。また、インゴット半田S2、S3は、円筒体64の内部に待機している。
【0091】
円筒体84の空間85及び水平方向穴部77を、真空機構83にて真空状態とするとともに、非酸化性ガス供給機構94にて酸化防止雰囲気とする。これにより、送出口82、供給口76、及び半田送り室70が酸化防止雰囲気となる。
【0092】
次に、開閉機構73の往復手段88を作動させる。すなわち、駆動源78を作動させて、水平ロッド80とスライド体79とを矢印Nの方向に前進させる。これにより、図7(b)に示すように、半田送り室70が送出口82に対応して、送出口82が開状態となって、送出口82と半田送り室70とが連通状態となる。そして、送出口82に位置するインゴット半田S1は、矢印Oに示すように落下して半田送り室70内に供給される。インゴット半田S2、S3は下方にずれて、インゴット半田S2が送出口82に位置する。
【0093】
その後、開閉機構73の往復手段88を作動させる。すなわち、駆動源78を作動させて、半田送り室70が、供給口76に対応する位置となるまで、水平ロッド80とスライド体79とを矢印Pの方向に後退させる。これにより、図7(c)に示すように、供給口76が開状態となって、半田送り室70と供給口76とが連通状態となる。そして、インゴット半田S1は、矢印Qに示すように落下して、溶融槽1に供給される。
【0094】
インゴット半田S2を供給する場合は、開閉機構73の往復手段88を作動させる。すなわち、駆動源78を作動させて、水平ロッド80とスライド体79とを矢印Rの方向に前進させる。その後、前記した方法と同様の方法にてインゴット半田S2を溶融槽1に供給することができる。
【0095】
その後、前記第1及び第2実施形態と同様の方法にてルツボ142に溶融半田Lを供給し、ノズル162から溶融半田Lを吐出して、リードフレーム等の被実装部に半田付けを行う。
【0096】
このように、本発明の第3実施形態の半田供給装置も、前記第1実施形態の半田供給装置と同様の効果を奏する。特に、送出口82と供給口76とを酸化防止雰囲気としているので、インゴット半田Sが半田送り室70に供給された後で、半田送り室70を酸化防止雰囲気とする必要がなくなって、複雑な制御が不要となる。なお、図6及び図7に示す半田供給装置において、図1〜図3と同様の構成については、図1〜図3と同一符号を付してその説明を省略する。
【0097】
この第3実施形態において、初期状態は図7(b)に示す状態であってもよい。すなわち、半田送り室70が送出口82に対応して、送出口82が開状態となって、送出口82と半田送り室70とが連通状態となる。インゴット半田S1は、半田送り室70内に供給されている。この状態で、円筒体84の空間85及び水平方向穴部77を、真空機構83にて真空状態とするとともに、非酸化性ガス供給機構94にて酸化防止雰囲気とする。その後、前記第3実施形態と同様の方法で、インゴット半田S1を溶融槽1に供給する。
【0098】
さらに第4、第5、第6実施形態として、前記第1、第2、及び第3実施形態における供給部101や供給路構造102を省略し、溶融部100のみの構成とする。この場合、吐出口7にノズル(図示省略)を付設し、このノズルから被実装部に溶融半田Lを供給する。
【0099】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、半田送り室2、50、70に供給されるインゴット半田Sの数は、1個ずつでなくても、2個以上であってもよい。酸化防止手段にて、半田送り室2、50、70の真空引きを行った後、非酸化性ガスを供給したが、これらの順序は逆であってもよい。移動ブロック体16、25やスライド体79は実施形態のものに限られず、円柱、角柱等種々の形状とすることができる。
【符号の説明】
【0100】
1 溶融槽
2、50、70 半田送り室
3、53、73 開閉機構
4、54、74 制御手段
5、55、75 待機路
6、56、76 供給口
14、33 シャッター機構
31、63、83、94 酸化防止手段
38、62、82 送出口
59 スライド体
142 ルツボ
L 溶融半田
S インゴット半田

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化防止雰囲気とされる溶融槽にインゴット半田が供給され、この溶融槽内でインゴット半田を加熱して溶融し、前記溶融槽から溶融半田を吐出する半田供給装置において、
インゴット半田が1個乃至所定個ずつ供給され、溶融槽内に、このインゴット半田を送るための半田送り室を備え、
半田送り室は外気と遮断され、酸化防止手段により酸化防止雰囲気となって、この雰囲気の状態で半田送り室と溶融槽とが連通されて、この半田送り室からインゴット半田が溶融槽に供給されることを特徴とする半田供給装置。
【請求項2】
前記溶融槽の下方に配設されて、被実装部に溶融半田を吐出するルツボを備え、溶融槽の酸化防止雰囲気を維持したまま、溶融槽の溶融半田をルツボに供給することを特徴とする請求項1の半田供給装置。
【請求項3】
前記酸化防止手段は、半田送り室を真空状態とする真空機構及び非酸化性ガスを供給する非酸化性ガス供給機構から構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2の半田供給装置。
【請求項4】
前記半田送り室を外気と遮断する開閉機構を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項の半田供給装置。
【請求項5】
前記半田送り室が酸化防止雰囲気となったときに、前記半田送り室と溶融槽とが連通状態となるように、前記開閉機構を制御する制御手段を設けたことを特徴とする請求項4の半田供給装置。
【請求項6】
前記半田送り室にインゴット半田を供給するための送出口と、
この送出口の下方に設けられて前記半田送り室から溶融槽へインゴット半田を供給するための供給口とを備えるとともに、
前記開閉機構を、前記供給口を開閉するための第1シャッター機構と、前記送出口を開閉するための第2シャッター機構とで構成し、
前記第1シャッター機構と第2シャッター機構との間に形成される空間を、前記半田送り室としたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項の半田供給装置。
【請求項7】
前記半田送り室にインゴット半田を供給するための送出口と、
前記半田送り室から溶融槽へインゴット半田を供給するための供給口とを備えるとともに、
前記開閉機構を構成するスライド体を、送出口と供給口との間に介在させ、かつ、このスライド体に前記半田送り室を設けて、
前記半田送り室が、前記送出口の下方に対応するときは、送出口と半田送り室とを連通状態とするとともに、前記半田送り室と供給口とを非連通状態とし、
前記半田送り室が、前記送出口と供給口との間に位置するときは、前記半田送り室と送出口、及び前記半田送り室と供給口とを非連通状態とするとともに、前記酸化防止手段にて半田送り室内を酸化防止雰囲気とし、
前記半田送り室が、前記供給口の上方に対応するときは、前記半田送り室と供給口とを連通状態とするとともに、前記送出口と半田送り室とを非連通状態とすることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項の半田供給装置。
【請求項8】
前記半田送り室にインゴット半田を供給するための送出口と、
前記半田送り室から溶融槽へインゴット半田を供給するための供給口とを備えるとともに、
前記送出口と供給口と半田送り室とを、外気と遮断された酸化防止雰囲気としたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項の半田供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate