説明

卓越した気体分離能を有する非対称気体分離膜

本発明は、1,3−ジオキソランおよびN,N’−メチルピロリジノン(NMP)等の第2の溶媒を含む二種複合(dual)溶媒混合物中でポリマーまたは混合ポリマードープを形成することによる、セルロースジアセテート/セルローストリアセテート混合膜、ポリイミド膜、およびポリイミド/ポリエーテルスルホン混合膜を含む平板型非対称膜の製造法に関する。ドープは、メタノール、アセトン、デカン等の適切な非溶媒添加物またはこれら非溶媒の混合物を用いてまたは用いないで、相分離点近傍になるよう調製される。平板型非対称膜は、凝固槽液およびアニール槽液として水を用いて転相工程でキャスティングされる。乾燥させた膜は、UV硬化可能なシリコンゴムでコーティングされる。得られた非対称膜は、緻密膜固有性能と比較して、優れた透過性および選択性を示す。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本発明は、非対称気体分離膜の製造法に関する。より詳細に、本発明は、向上した特性を有する非対称気体分離膜の製造を可能にする溶媒混合物の使用に関する。
【0002】
背景技術
ポリマー気体分離非対称膜は、周知であり、燃料および石油製品ブランケット用の酸素濃縮ガス、窒素濃縮ストリームの生成、天然ガス中のメタンから二酸化炭素の分離、アンモニア工場パージストリームからの水素の回収、ならびに空気または窒素からの有機蒸気の除去といった分野において、利用されている。
【0003】
当業者に周知の通り、理想的な気体分離膜は、高流束に高選択性を兼ね備えている。気体分離用膜の商業的な有効性を決める3つの重要なパラメータがある。第1は、分離する気体の組み合わせに対する膜の分離係数である。第2のパラメータは、膜面積要件を決定する膜透過流束である。透過流束が高いほど、必要な膜面積は小さい。第3のパラメータは、膜の耐用年数である。セルロースジアセテートおよびセルローストリアセテートを含有する市販の非対称平板型気体分離膜は、1,4−ジオキサンおよびN−メチルピロリドンの溶媒混合物含有するドープを、1つまたは2つの適切な非溶媒とともに、キャスティングすることより作製される。同様に、非対称膜はまた、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物および5(6)−アミノ−l−(4’−アミノフェニル)−l,3,3’−トリメチルインダン)の縮合生成物であるCiba−Giegy Corporation社製のMatrimid(登録商標)等のポリイミド、またはBASF Corporation社によって製造されるVictrex(登録商標)ポリエーテルスルホン6010、または、1,4−ジオキサン、NMP、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドまたはこれらの溶媒の混合物を含有する混合ポリマードープからも、作製されてきた。従来技術の製法では、1,4−ジオキサンが、得られる非対称膜の表面上に、全面を被覆する非常に薄い緻密な表膜を形成するために、キャスティングドープ中に必要であることが見出されていた。1,4−ジオキサンの使用なしでは、結果は、開孔(opened)膜(限外濾過膜)か非常に緻密な膜のいずれかがその製法の結果となる。いずれの場合も、膜は気体分離には不適切である。同じ理由で、HP Polymer GmbH社から商品名P84で販売されているポリイミドポリマーおよびGeneral Electric社から商品名Ultemで販売されているポリイミドポリマーは、1,4−ジオキサンに溶解しないので、非対称膜は、転相工程前にドープの温度を100℃に上昇させない限り、NMPキャスティングドープからのみ作製され得る。
【0004】
発明の概要
本発明において、我々は、ポリマーまたはポリマー混合ドープに1,3−ジオキソラン溶媒を使用することによって、全被覆非対称膜に卓越した透過流束および選択性を付与することを発見した。この溶媒は、沸点75℃で、セルロースジアセテート/セルローストリアセテート混合ポリマー、Matrimidポリイミド、Ultemポリエーテルイミド、P84およびP84HTポリイミドポリマーとそれぞれ非常に安定で均質な溶液を形成し、それは水と100%混和可能である。セルロースジアセテート/セルローストリアセテート混合非対称膜、Matrimidポリイミド非対称膜、Matrimid/ポリエーテルスルホン非対称混合膜およびP84/ポリエーテルスルホン非対称混合膜は、2:1の比で1,3−ジオキソランとNMP溶媒を含有するキャスティングドープおよび水を凝固槽液として用いて、成功裡に作製された。ポリマーは、膜中で連続ポリマーマトリクスになる。
【0005】
連続混合ポリマーマトリクスとして使用され得る、いくかの好適なポリマーは、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチラート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース系ポリマー、ポリスルホン、スルホン化ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)、スルホン化PES、ポリエーテル、GE Plastics社によって製造され、GE Polymerland社から入手可能なUltem(登録商標)の商標で販売されているUltem(またはUltem1000)等のポリエーテルイミド、およびポリアミド;Huntsman Advanced Materials社よりMatrimid(登録商標)の商標で販売されているMatrimid(Matrimid(登録商標)5218は、Matrimid(登録商標)の商標で販売されている特定のポリイミドポリマーを指す)ならびにHP Polymers GmbH社よりそれぞれ商品名P84および商品名P84HTで販売されているP84またはP84HT等のポリイミド;ポリアミド/イミド;ポリケトン、ポリエーテルケトン;ならびに微孔性ポリマーであるが、これらに限定されるわけではない。
【0006】
非溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、デカン、ドデカン、ノナンおよびオクタンを包含してよく、メタノールとアセトンの混合物、デカン、乳酸を好適とする。
【0007】
本発明の方法は、はじめに1,3−ジオキソラン/NMP溶媒中のポリマーに混和可能な少なくとも1つのポリマーを機械的に攪拌することで溶解し、均質なキャスティングドープを形成すること;次に、織布もしくは不織布、シリコンコート紙、またはMylar(登録商標)ポリエステルフィルム等のフィルム等の適切な支持体でサポートされた冷水ゲル化槽(典型的に0℃〜25℃、好ましくは0℃〜5℃の範囲の温度)で、キャスティングドープを急冷すること;第2の水槽で、25℃〜100℃(好ましくは80℃〜86℃)のより高温にて非対称膜の表膜を緻密にすること;次いで、20℃〜150℃(好ましくは65℃〜70℃)の範囲であり得る乾燥温度にて水分を膜から除去し、温度硬化可能または紫外線硬化可能なポリシロキサンまたは他の適切な被覆剤で非対称膜の表面をコーティングして仕上げること、を含む。
【0008】
発明の詳細な説明
本発明において、我々は、ポリマーまたはポリマー混合ドープに1,3−ジオキソラン溶媒を使用することによって、全被覆非対称膜に卓越した透過流束および選択性を付与すること発見した。この溶媒は、沸点75℃で、セルロースジアセテート/セルローストリアセテート混合ポリマー、Matrimidポリイミド、Ultemポリエーテルイミド、P84およびP84HTポリイミドポリマーとそれぞれ非常に安定で均質な溶液を形成し、それは水と100%混和可能である。セルロースジアセテート/セルローストリアセテート混合非対称膜、Matrimidポリイミド非対称膜、Matrimid/ポリエーテルスルホン非対称混合膜およびP84/ポリエーテルスルホン非対称混合膜は、2:1の割合で1,3−ジオキソランとNMP溶媒を含有するキャスティングドープおよび凝固槽として水を用いて、成功裡に作製された。ポリマーは、膜中で連続ポリマーマトリクスになる。
【0009】
連続ポリマーマトリクスとして膜調製に適切な典型的なポリマーは、以下に限定はされないが、ポリスルホン、スルホン化ポリスルホン;ポリエーテルスルホン(PES);スルホン化PES;ポリエーテル;GE Plastics社によって製造され、Ultem(登録商標)の商標で販売されている Ultem(またはUltem 1000)の等のポリエーテルイミド;アクリロニトリルスチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体およびスチレン−ビニルベンジルハライド共重合体等のスチレン含有共重合体を含むポリ(スチレン);ポリカーボネート;セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系ポリマー;ポリアミド;Huntsman Advanced Materials社よりMatrimid(登録商標)の商標で販売されているMatrimid(Matrimid(登録商標)5218は、Matrimid(登録商標)の商標で販売されている特定のポリイミドポリマーを指す)およびHP Polymers GmbH社よりそれぞれ商品名P84および商品名P84HTで販売されているP84またはP84HT等のポリイミド;ポリアミド/イミド;ポリケトン、ポリエーテルケトン;ポリ(フェニレンオキシド)およびポリ(キシレンオキシド)等のポリ(アリーレンオキシド);ポリ(エステルアミド−ジイソシアネート);ポリウレタン;ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アクリレート)、ポリ(フェニレンテレフタレート)等のポリエステル(ポリアリレートを含む);ポリスルフィド;上記以外のアルファ−オレフィン不飽和を有するモノマーからのポリマー、例えば、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(ブテン−1), ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリビニル(例えば、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)およびポリ(プロピオン酸ビニル)等のポリ(ビニルエステル)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルケトン)、ポリ(ビニルホルマール)およびポリ(ビニルブチラール)等のポリ(ビニルアルデヒド)、ポリ(ビニルアミド)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルウレタン)、ポリ(ビニル尿素)、ポリ(ビニルホスフェート)、およびポリ(ビニルスルフェート));ポリアリル;ポリ(ベンゾベンゾイミダゾール(benzobenzimidazole));ポリヒドラジド;ポリオキサジアゾール;ポリトリアゾール;ポリ(ベンゾイミダゾール);ポリカルボジイミド;ポリホスファゼン(polyphosphazines);微孔性ポリマー;ならびに、共重合ポリマー(interpolymers)(アクリロニトリル−臭化ビニル−パラスルホフェニルメタリルエーテルのナトリウム塩の三元重合体等の上記からの繰り返し単位を含有するブロック共重合ポリマーを含む)、ならびに上記のいずれかを含有するグラフトおよび混合物、から選択し得る。置換ポリマーを供給する典型的な置換基には、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、単環アリール基、低級アクリル基等が含まれる。
【0010】
連続混合ポリマーマトリクスとして好適ないくつかのポリマーには、これらに限定されないが、ポリスルホン、スルホン化ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)、スルホン化PES、ポリエーテル、Ultem(またはUltem1000)等のポリエーテルイミド、セルロースアセテートおよびセルローストリアセテート等のセルロース系ポリマー、ポリアミド;Matrimid、ポリ(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−ピロメリット酸二無水物−3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−メチレンジアニリン)(ポリ(BTDA−PMDA−TMMDA))、ポリ(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−ピロメリット酸二無水物−4,4’−オキシジフタル酸無水物−3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−メチレンジアニリン)(ポリ(BTDA−PMDA−ODPA−TMMDA))、ポリ(3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物−3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−メチレンジアニリン)(ポリ(DSDA−TMMDA))、ポリ(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−メチレンジアニリン)(ポリ(BTDA−TMMDA))、ポリ(3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物−ピロメリット酸二無水物−3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−メチレンジアニリン)(ポリ(DSDA−PMDA−TMMDA))、ポリ[2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物−1,3−フェニレンジアミン](ポリ(6FDA−m−PDA))、ポリ[2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物−1,3−フェニレンジアミン−3,5−ジアミノ安息香酸]](ポリ(6FDA−m−PDA−DABA))、P84またはP84HT等のポリイミド;ポリアミド/イミド、ポリケトン、およびポリエーテルケトン、が含まれる。
【0011】
連続混合ポリマーマトリクスとして使用され得る、より好適ないくつかのポリマーには、これらに限定はされないが、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチラート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース系ポリマー、ポリスルホン、スルホン化ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)、スルホン化PES、ポリエーテル、GE Plastics社によって製造され、GE Polymerland社により入手可能なUltem(登録商標)の商標で販売されているUltem(またはUltem1000)等のポリエーテルイミド、ポリアミド、Huntsman Advanced Materials社よりMatrimid(登録商標)の商標で販売されているMatrimid(Matrimid(登録商標)5218は、特にMatrimid(登録商標)の商標で販売されているポリイミドポリマーポリマーを指す)およびHP Polymers GmbHよりそれぞれ商品名P84および商品名P84HTで販売されているP84またはP84HT等のポリイミド、ポリアミド/イミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、および微孔性のポリマー、が含まれる。
【0012】
非溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、デカン、ドデカン、ノナンおよびオクタンを包含してよく、好ましくは、メタノールとアセトンの混合物、デカン、乳酸である。
【0013】
本発明の方法は、最初に1,3−ジオキソラン/NMP溶媒中ポリマーに混和可能なポリマー少なくとも1つを機械的に攪拌することで溶解し、均質なキャスティングドープを形成すること;次に、織布もしくは不織布、シリコンコート紙、またはMylar(登録商標)ポリエステルフィルム等のフィルム等の適切な支持体でサポートされた冷水ゲル化槽(典型的に0℃〜25℃、好ましくは0℃〜5℃の範囲の温度)で、キャスティングドープを急冷すること;25℃〜100℃(好ましくは80℃〜86℃)のより高温の第2の水槽で、非対称膜の表膜を緻密にすること;次いで、水分を20℃〜150℃(好ましくは65℃〜70℃)の範囲であり得る乾燥温度で膜から除去し、温度硬化または紫外線硬化可能なポリシロキサンもしくは適切なコーティングで非対称膜の表面をコーティングして仕上げること、を含む。
【0014】
以下の実施例は、本発明の1つまたは複数の好適な態様を例示するために提供されているが、本発明の態様を制限するものではない。数多くの変更が本発明の範囲内にある以下の実施例になされ得る。
【0015】
実施例1:セルロースジアセテート(CA)およびセルローストリアセテート(TCA)非対称膜
セルロースアセテート/セルローストリアセテート非対称膜を、概重量百分率で、8%のセルローストリアセテート、8%のセルロースジアセテート、32%の1,3−ジオキソラン、12%のNMP、24%のアセトン、12%のメタノール、2%のマレイン酸および3%のn−デカンを含むキャスティングドープより調製した。フィルムを、ナイロン繊維上にキャスティングし、次に、10分間、0℃の水槽に浸してゲル化し、次いで、10〜15分間86℃にて、高温水槽でアニールした。得られた湿った膜を、65〜70℃の温度で乾燥させ、水分を除去した。乾燥させた非対称セルロース系膜を、8重量%のエポキシシリコン溶液を含有するエポキシシリコン溶液でコーティングした。シリコン溶媒は、1:3の割合のヘキサン:へプタンを含有した。エポキシシリコンコーティングを常温で2〜4分間、紫外線源にさらし、シリコン溶媒を蒸発させながらコーティングを硬化し、本発明のエポキシシリコンコート膜を生成した。
【0016】
エポキシシリコンコート膜を、気体輸送特性に関して、10体積%の二酸化炭素および90体積%のメタンを含有する供給気体を用いて、6.89MPa(1000psig)の供給圧力および50℃にて評価した。表1は、緻密膜(固有特性)と非対称膜の二酸化炭素透過性と選択性(α)の性能比較を示す。
【0017】
【表1】

【0018】
実施例2:Matrimid/ポリエーテルスルホン混合非対称膜
Matrimidポリイミド/ポリエーテルスルホン混合非対称膜を、概重量百分率で、6.7%のポリエーテルスルホン、11.8%のMatrimid、46.7%の1,3−ジオキソラン、23.4%のNMP、5.8%のアセトン、および5.8%のメタノールを含むキャスティングドープより調製した。フィルムを、不織繊維上にキャスティングし、次に、10分間、0℃の水槽に浸してゲル化し、次いで、10〜15分間86℃にて、高温水槽でアニールした。得られた湿った膜を、65〜70℃の温度で乾燥させ、水分を除去した。乾燥させた非対称膜を、8重量%のエポキシシリコン溶液を含有するエポキシシリコン溶液でコーティングした。シリコン溶媒は、1:3の比のヘキサン:へプタンを含有した。エポキシシリコンコーティングを常温で2〜4分間、紫外線源にさらし、シリコン溶媒を蒸発させながらコーティングを硬化し、本発明のエポキシシリコンコート膜を生成した。
【0019】
エポキシシリコンコート膜を、気体輸送特性に関して、10体積%の二酸化炭素および90体積%のメタンを含有する供給気体を用い、6.89MPa(1000psig)の供給圧力で50℃において評価した。表2は、緻密膜(固有特性)と非対称膜の二酸化炭素透過性と選択性(α)の性能比較を示す。
【0020】
【表2】

【0021】
実施例3:P84ポリイミド/ポリエーテルスルホン混合非対称膜
P84ポリイミド/ポリエーテルスルホン混合非対称膜を、概重量百分率で、6.5%のポリエーテルスルホン、12.2%のP84ポリイミド、50.5%の1,3−ジオキソラン、24.3%のNMP、3.7%のアセトン、および2.8%のメタノールを含むキャスティングドープより調製した。フィルムを、不織繊維上にキャスティングし、次に、10分間、0℃の水槽に浸してゲル化し、次いで、10〜15分間86℃にて、高温水槽でアニールした。得られた湿った膜を、65〜70℃の温度で乾燥させ、水分を除去した。乾燥させた非対称膜を、8重量%のエポキシシリコン溶液を含有するエポキシシリコン溶液でコーティングした。シリコン溶媒は、1:3の比のヘキサン:へプタンを含有した。エポキシシリコンコーティングを常温で2〜4分間、紫外線源にさらし、シリコン溶媒を蒸発させながらコーティングを硬化し、本発明のエポキシシリコンコート膜を生成した。
【0022】
エポキシシリコンコート膜を、気体輸送特性に関して、10体積%の二酸化炭素および90体積%のメタンを含有する供給気体を用い、6.89MPa(1000psig)の供給圧力および50℃において評価した。表3は、緻密膜(固有特性)と非対称膜の二酸化炭素透過性と選択性(α)の性能比較を示す。
【0023】
【表3】

【0024】
実施例4:P84HTポリイミド/ポリエーテルスルホン混合非対称膜
P84HTポリイミド/ポリエーテルスルホン混合非対称膜を、概重量百分率で、6.4%のポリエーテルスルホン、11.8%のP84ポリイミド、49%の1,3−ジオキソラン、24%のNMP、6.4%のアセトン、および2.7%のメタノールを含むキャスティングドープより調製した。フィルムを、不織繊維上にキャスティングし、次に、10分間、0℃の水槽に浸してゲル化し、次いで、10〜15分間86℃にて、高温水槽でアニールした。得られた湿った膜を、65〜70℃の温度で乾燥させ、水分を除去した。乾燥させた非対称膜を、8重量%のエポキシシリコン溶液を含有するエポキシシリコン溶液でコーティングした。シリコン溶媒は、1:3の比のヘキサン:へプタンを含有した。エポキシシリコンコーティングを常温で2〜4分間、紫外線源にさらし、シリコン溶媒を蒸発させながらコーティングを硬化し、本発明のエポキシシリコンコート膜を生成した。
【0025】
エポキシシリコンコート膜を、気体輸送特性に関して、10体積%の二酸化炭素および90体積%のメタン含有する供給気体を用い、6.89MPa(1000psig)の供給圧力および50℃において評価した。表4は、緻密膜(固有特性)と非対称膜の二酸化炭素透過性と選択性(α)の性能比較を示す。
【0026】
【表4】

【0027】
実施例5:Ultem−1000ポリエーテルイミド非対称膜
Ultem−1000ポリエーテルイミド非対称膜を、概重量百分率で、21%のUltem−1000、55%の1,3−ジオキソラン、19%のNMP、3%のアセトン、および2%のメタノールを含むキャスティングドープより調製した。フィルムを、不織繊維上にキャスティングし、次に、10分間、0℃の水槽に浸してゲル化し、次いで、10〜15分間86℃にて、高温水槽でアニールした。得られた湿った膜を、65〜70℃の温度で乾燥させ、水分を除去した。乾燥させた非対称膜を、8重量%のエポキシシリコン溶液を含有するエポキシシリコン溶液でコーティングした。シリコン溶媒は、1:3の比のヘキサン:へプタンを含有した。エポキシシリコンコーティングを常温で2〜4分間、紫外線源にさらし、シリコン溶媒を蒸発させながらコーティングを硬化し、本発明のエポキシシリコンコート膜を生成した。
【0028】
エポキシシリコンコート膜を、気体輸送特性に関して、10体積%の二酸化炭素および90体積%のメタンを含有する供給気体を用い、6.89MPa(1000psig)の供給圧力および50℃において評価した。表5は、緻密膜(固有特性)と非対称膜の二酸化炭素透過性と選択性(α)の性能比較を示す。
【0029】
【表5】

【0030】
実施例6:Matrimidポリイミド非対称膜
Matrimid非対称膜を、概重量百分率で、17%のMatrimid、51%の1,3−ジオキソラン、20%のNMP、6%のアセトン、および6%のメタノールを含むキャスティングドープより従来の方法で調製した。フィルムを、不織繊維上にキャスティングし、次に、10分間、0℃の水槽に浸してゲル化し、次いで、10〜15分間86℃にて、高温水槽でアニールした。得られた湿った膜を、65〜70℃の温度で乾燥させ、水分を除去した。乾燥させた非対称膜を、8重量%のエポキシシリコン溶液を含有するエポキシシリコン溶液でコーティングした。シリコン溶媒は、1:3の比のヘキサン:へプタンを含有した。エポキシシリコンコーティングを常温で2〜4分間、紫外線源にさらし、シリコン溶媒を蒸発させながらコーティングを硬化し、本発明のエポキシシリコンコート膜を生成した。
【0031】
エポキシシリコンコート膜を、気体輸送特性に関して、10体積%の二酸化炭素および90体積%のメタン含有する供給気体を用い、6.89MPa(1000psig)の供給圧力および50℃において評価した。表6は、緻密膜(固有特性)と非対称膜の二酸化炭素透過性と選択性(α)の性能比較を示す。
【0032】
【表6】

【0033】
実施例7:P84ポリイミド非対称膜
P84非対称膜を、概重量百分率で、18.7%のP84、50.5%の1,3−ジオキソラン、24.3%のNMP、3.7%のアセトン、および2.8%のメタノールを含むキャスティングドープより従来の方法で調製した。フィルムを、不織繊維上にキャスティングし、次に、10分間、0℃の水槽に浸してゲル化し、次いで、10〜15分間86℃にて、高温水槽でアニールした。得られた湿った膜を、65〜70℃の温度で乾燥させ、水分を除去した。乾燥させた非対称膜を、8重量%のエポキシシリコン溶液を含有するエポキシシリコン溶液でコーティングした。シリコン溶媒は、1:3の比のヘキサン:へプタンを含有した。エポキシシリコンコーティングを常温で2〜4分間、紫外線源にさらし、シリコン溶媒を蒸発させながらコーティングを硬化し、本発明のエポキシシリコンコート膜を生成した。
【0034】
エポキシシリコンコート膜を、気体輸送特性に関して、10体積%の二酸化炭素および90体積%のメタン含有する供給気体を用い、6.89MPa(1000psig)の供給圧力および50℃において評価した。表7は、緻密膜(固有特性)と非対称膜の二酸化炭素透過性と選択性(α)の性能比較を示す。
【0035】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非対称気体分離膜の製造法であって:
1,3−ジオキソラン溶媒と第2の溶媒の溶媒混合物に前記ポリマーを溶解することによって、少なくとも1つのポリマーの溶液を形成すること(ここで前記キャスティング溶液は、1:1〜99:1の前記第2の溶媒に対する1,3−ジオキソラン溶媒の比を有する);
冷水ゲル化槽で、前記キャスティング溶液を、0℃〜25℃の温度で急冷すること;
25℃〜100℃の温水槽で、得られた非対称膜の表膜を緻密にすること;および、
前記溶液をキャスティングしている前記膜から水分を除去してフィルムを形成すること、を含む方法。
【請求項2】
前記第2の溶媒が、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドまたはそれらの混合物からなる群から選ばれる溶媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのポリマーが、ポリスルホン、スルホン化ポリスルホン;ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルイミド;ポリ(スチレン);アクリロニトリルスチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体およびスチレン−ビニルベンジルハライド共重合体からなる群から選ばれるスチレン含有共重合体;ポリカーボネート;セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロースからなる群から選ばれるセルロース系ポリマー;ポリアミド;ポリイミド;ポリアミド/イミド;ポリケトン、ポリエーテルケトン;ポリ(アリーレンオキシド);ポリ(フェニレンオキシド)およびポリ(キシレンオキシド);ポリ(エステルアミド−ジイソシアネート);ポリウレタン;ポリエステル;ポリスルフィド、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(ブテン−1),ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリビニル(例えば、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルエステル);ポリ(酢酸ビニル);ポリ(プロピオン酸ビニル)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルケトン)、ポリ(ビニルアルデヒド));ポリ(ビニルホルマール);ポリ(ビニルブチラール);ポリ(ビニルアミド)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルウレタン)、ポリ(ビニル尿素)、ポリ(ビニルホスフェート)およびポリ(ビニルスルフェート);ポリアリル;ポリ(ベンゾベンゾイミダゾール);ポリヒドラジド;ポリオキサジアゾール;ポリトリアゾール;ポリ(ベンゾイミダゾール);ポリカルボジイミド;ポリホスファゼン;微孔性ポリマー;共重合ポリマー、アクリロニトリル−臭化ビニル−パラスルホフェニルメタリルエーテルのナトリウム塩の三元重合体のような上述の前記ポリマーからの繰り返し単位を含有するブロック共重合ポリマー;前記ポリマーのグラフトおよび混合物、からなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのポリマーが、ポリスルホン、スルホン化ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)、スルホン化PES、ポリエーテル、ポリエーテルイミド、セルロースアセテートまたはセルローストリアセテートであるセルロース系ポリマー;ポリアミド;ポリイミド、ポリ(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−ピロメリット酸二無水物−3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−メチレンジアニリン)(ポリ(BTDA−PMDA−TMMDA))、ポリ(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−ピロメリット酸二無水物−4,4’−オキシジフタル酸無水物−3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−メチレンジアニリン)(ポリ(BTDA−PMDA−ODPA−TMMDA))、ポリ(3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物−3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−メチレンジアニリン)(ポリ(DSDA−TMMDA))、ポリ(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−メチレンジアニリン)(ポリ(BTDA−TMMDA))、ポリ(3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物−ピロメリット酸二無水物−3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−メチレンジアニリン)(ポリ(DSDA−PMDA−TMMDA))、ポリ[2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物−1,3−フェニレンジアミン](ポリ(6FDA−m−PDA))、ポリ[2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物−1,3−フェニレンジアミン−3,5−ジアミノ安息香酸]](ポリ(6FDA−m−PDA−DABA))、ポリアミド/イミド混合物;ポリケトン、ポリエーテルケトン、ならびに、微孔性ポリマー、からなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記溶液が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、デカン、ドデカン、ノナンおよびオクタンからなる群から選ばれる少なくとも1つの非溶媒をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記膜が、80℃〜86℃の温度で緻密化される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つのポリマー、1,3−ジオキソランと第2の溶媒とを含む溶媒混合物、及び少なくとも1つの非溶媒、の混合物を含有する、非対称膜の調製に有用なキャスティングドープ。
【請求項8】
前記第2の溶媒が、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドまたはそれらの混合物からなる群から選ばれる溶媒である、請求項7に記載のキャスティングドープ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのポリマーが、ポリスルホン、スルホン化ポリスルホン;ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルイミド;ポリ(スチレン);アクリロニトリルスチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体およびスチレン−ビニルベンジルハライド共重合体からなる群から選ばれるスチレン含有共重合体;ポリカーボネート;セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロースからなる群から選ばれるセルロース系ポリマー;ポリアミド;ポリイミド;ポリアミド/イミド;ポリケトン、ポリエーテルケトン;ポリ(アリーレンオキシド);ポリ(フェニレンオキシド)およびポリ(キシレンオキシド);ポリ(エステルアミド−ジイソシアネート);ポリウレタン;ポリエステル;ポリスルフィド;ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(ブテン−1),ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリビニル(例えば、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルエステル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(プロピオン酸ビニル)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルケトン)、ポリ(ビニルアルデヒド));ポリ(ビニルホルマール);ポリ(ビニルブチラール);ポリ(ビニルアミド)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルウレタン)、ポリ(ビニル尿素)、ポリ(ビニルホスフェート)およびポリ(ビニルスルフェート);ポリアリル;ポリ(ベンゾベンゾイミダゾール);ポリヒドラジド;ポリオキサジアゾール;ポリトリアゾール;ポリ(ベンゾイミダゾール);ポリカルボジイミド;ポリホスファゼン;微孔性ポリマー;共重合ポリマー、アクリロニトリル−臭化ビニル−パラスルホフェニルメタリルエーテルのナトリウム塩の三元重合体のような上述の前記ポリマーからの繰り返し単位を含有するブロック共重合ポリマー;前記ポリマーのグラフトおよび混合物、からなる群から選ばれる、請求項7に記載のキャスティングドープ。
【請求項10】
前記溶液が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、デカン、ドデカン、ノナンおよびオクタンからなる群から選ばれる少なくとも1つの非溶媒をさらに含む、請求項7に記載のキャスティングドープ。

【公表番号】特表2010−513021(P2010−513021A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543010(P2009−543010)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/085665
【国際公開番号】WO2008/076599
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(598055242)ユーオーピー エルエルシー (182)
【Fターム(参考)】