説明

単一の光検出器を用いた媒体認識

【課題】材料コスト及びプロセスコストが削減されシステムの複雑さが低減された媒体認識システムを提供すること
【解決手段】媒体タイプが検出される。光ビームが生成される。光ビームの鏡面反射成分の強度が検出される。鏡面反射成分は光ビームが媒体から反射される結果として生じる。検出された鏡面反射成分の強度の指示がマップと比較されて媒体タイプが判定される。マップは検出された鏡面反射成分の強度を媒体タイプへとマッピングする。マップは検出された鏡面反射成分の強度のみを使用し他の光の成分を使用せずに検出された鏡面反射成分の強度を媒体タイプへとマッピングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント装置における媒体認識システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタ等の特定のタイプのプリンタを用いてプリントを行う場合、媒体のタイプはプリント品質に影響を与え得るものである。例えば、写真用光沢紙上にプリントを行う場合には、最小限のインクの移動が生じ、普通紙上にプリントを行う場合には一層大きな度合いの移動が生じることになる。異なる色についてプリントを最適化させるために、媒体は様々なインクの混合を必要とする。このため、多くのプリンタは、媒体のタイプに基づいて、インク体積その他のプリント特性を制御する。
【0003】
様々な媒体認識機構が利用されてきた。例えば、多くのプリンタは、ユーザによる媒体タイプの指示を可能にするものである。ユーザにより提供される媒体タイプ情報に基づき、プリンタは、プリント特性を変更することができる。
【0004】
代替的に、自動媒体検出システムを使用することが可能である。例えば、媒体検出センサを使用して、媒体上にプリントされた肉眼では見えないインクコードを読みとることができる。
【0005】
他のタイプの自動媒体検出システムでは、1つの送信器と、媒体の表面に対して異なる角度で配置された2つの受信器とを使用する。該2つのセンサは、媒体の鏡面反射率及び拡散反射率をそれぞれ測定するために使用される。これら2つの反射率値の比が解析されて特定の媒体タイプが識別される。代替的には、該反射率のフーリエ変換を使用して、媒体の空間周波数シグネチャが生成される。例えば、Walker等に発行された「Advanced Media Determination System for Inkjet Printing」と題する米国特許第6,561,643 B1号を参照されたい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、媒体タイプが検出される。光ビームが生成される。該光ビームの鏡面反射率成分の強度が検出される。該鏡面反射率成分は光ビームが媒体により反射された結果として生じる。検出された鏡面反射率成分の強度の指示が、所定のマップと比較されて、媒体の媒体タイプが判定される。該マップは、検出された鏡面反射率成分の強度を媒体タイプへとマッピングするものである。該マップは、検出された鏡面反射率成分の強度のみを使用し、光の他の成分は全く使用せずに、検出された鏡面反射率成分の強度を媒体タイプへとマッピングする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、光源11及び単一の光検出器12を含む媒体認識システムを示している。例えば、該媒体認識システムは、スタンドアロンプリンタ、多機能装置、ファクシミリマシン、又は複写機といった、プリントを行うシステム内に設けられ、又は、該媒体認識システムは、媒体のタイプ及び/又は存在を検出することが所望される他のあらゆる装置内に設けられるものである。
【0008】
光源11は矢印13で表す光ビームを生成する。該光ビームは媒体10により反射される。該光ビームの鏡面反射成分14は鏡面反射光検出器12により検出される。鏡面反射成分14は、光ビームのうち、該光ビームが媒体10に入射した入射角と等しい角度で該媒体10から反射した部分である。鏡面反射成分14の生成に加えて、光ビームが媒体10に当たる際に、その光の一部が該媒体10に吸収され、更に該光の別の部分が前記入射角と等しくない角度で該媒体10の表面から散乱する。
【0009】
光源11は、例えば、発光ダイオード(LED)(例えば青色LED又は青紫色LED)である。代替的には、光源は、媒体から反射される鏡面反射光を生成することができる他のあらゆる発光装置である。鏡面反射光検出器12は、例えば、フォトダイオードその他の光強度を検出することができる装置である。
【0010】
図2は、図1に示す媒体認識システムの論理的な動作を示す説明図である。鏡面反射成分14を検出した後、鏡面反射光検出器12は、鏡面反射成分14内の光の強度の指示を比較要素22へ送る。鏡面反射成分14内の光の強度の前記指示は、媒体10の反射率に基づいて変化するものである。
【0011】
例えば、鏡面反射光検出器12はアナログ−ディジタル変換器を含み、鏡面反射成分14内の光の強度の前記指示は強度レベルのディジタル指示子となる。代替的に、鏡面反射光検出器12はアナログ−ディジタル変換器を含まず、鏡面反射成分14内の光の強度の前記指示は強度レベルのアナログ指示子となる。
【0012】
比較要素22は、該光の強度の指示子を受信し、該光の強度の指示子を、センサ出力から媒体タイプへのマップ22と比較して、媒体認識出力23を生成する。例えば、媒体認識出力23は、媒体のタイプを示し、又は、媒体が検出されなかったことを示す。
【0013】
例えば、鏡面反射成分14内の光の強度の指示が、強度のアナログ指示子である場合には、比較要素22は、アナログ−ディジタル変換器を実行した後に比較を行う。センサ出力から媒体タイプへのマップ22は、例えばシステム構成及び予想される媒体タイプに応じて変動し得るものである。
【0014】
次の表1は、マップの一例であり、この場合、予想される媒体タイプには、未記入の透明媒体、未記入の白紙、未記入の普通紙、シアン色の普通紙、マゼンタ色の普通紙、黄色の普通紙、及び黒色の普通紙が含まれる。
【0015】
[表1]
光強度 媒体タイプ
0-1 媒体検出されず
2 黒色の普通紙
3 黄色の普通紙
4 マゼンタ色の普通紙
5 シアン色の普通紙
6 未記入の普通紙
7 未記入の白紙
8 未記入の透明媒体
表1は、例えば、予想される媒体タイプの各々毎に光強度を測定し、その結果をセンサ出力から媒体タイプへのマップ22内に記録することにより実験的に、媒体認識システムのために求められたものである。
【0016】
本発明は、単一の光検出器を使用して媒体タイプ及び媒体タイプの存在を検出することを可能にするものである。1つの光検出器しか使用しない結果として、媒体認識システムを実施する際の材料コスト及びプロセスコストが削減され、及びシステムの複雑さが低減されることになる。
【0017】
上記解説は、本発明の単なる例示的な方法及び実施形態を開示し説明したものである。当業者には理解されるように、本発明は、その思想及び本質的な特徴から逸脱することなく、別の特定の形態で実施することが可能なものである。したがって、本発明の開示は、特許請求の範囲に記載する本発明の範囲の例示を意図したものであってその制限を意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による光源及び単一の光検出器を用いた媒体認識システムを単純化して示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による図1に示す媒体認識システムの動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0019】
10 媒体
11 光源
12 光検出器
13 光ビーム
14 鏡面反射成分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを生成する光源と、
該光ビームが媒体から反射された後に該光ビームの鏡面反射成分の強度を検出するよう構成された光検出器であって、該検出された鏡面反射成分の強度の指示を生成する、光検出器と、
前記検出された鏡面反射成分の強度を媒体タイプへとマッピングするマップであって、前記検出された鏡面反射成分の強度のみを使用して他の光の成分を使用せずに前記検出された鏡面反射成分の強度を媒体タイプへとマッピングする、マップと、
前記検出された鏡面反射成分の強度の指示を前記マップと比較して、前記媒体の媒体タイプを判定する、比較要素と
を含む、媒体認識システム。
【請求項2】
前記光源が発光ダイオードである、請求項1に記載の媒体認識システム。
【請求項3】
前記光源が、青色発光ダイオード及び青紫色発光ダイオードの何れか一方である、請求項1に記載の媒体認識システム。
【請求項4】
前記光検出器がフォトダイオードである、請求項1に記載の媒体認識システム。
【請求項5】
前記マップが、媒体が存在しないことを示す前記検出された鏡面反射成分の強度を含む、請求項1に記載の媒体認識システム。
【請求項6】
光ビームを生成し、
該光ビームが媒体から反射された後に該光ビームの鏡面反射成分の強度を検出し、
前記検出された鏡面反射成分の強度の指示を、前記検出された鏡面反射成分の強度を媒体タイプへとマッピングするマップと比較して、前記媒体の媒体タイプを判定する、
という各ステップを含む、媒体タイプの検出方法であって、
前記マップが、前記検出された鏡面反射成分の強度のみを使用し、他の光の成分を使用せずに、前記検出された鏡面反射成分の強度を媒体タイプへとマッピングするものである、媒体タイプの検出方法。
【請求項7】
前記光ビームが発光ダイオードを使用して生成される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記光ビームが青色発光ダイオード及び青紫色発光ダイオードの何れか一方を使用して生成される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記光ビームの鏡面反射成分の強度がフォトダイオードを使用して検出される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記マップが、媒体が存在しないことを示す前記検出された鏡面反射成分の強度を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
光ビームを生成する手段と、
該光ビームが媒体から反射された後に該光ビームの鏡面反射成分の強度を検出する手段と、
前記検出された鏡面反射成分の強度の指示を、前記検出された鏡面反射成分の強度を媒体タイプへとマッピングするマップと比較して、前記媒体の媒体タイプを判定する手段と
を含み、前記マップが、前記検出された鏡面反射成分の強度のみを使用し、他の光の成分を使用せずに、前記検出された鏡面反射成分の強度を媒体タイプへとマッピングするものである、
媒体タイプを検出する装置。
【請求項12】
前記光ビームが発光ダイオードを使用して生成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記光ビームが青色発光ダイオード及び青紫色発光ダイオードの何れか一方を使用して生成される、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記光ビームの鏡面反射成分の強度がフォトダイオードを使用して検出される、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記マップが、媒体が存在しないことを示す前記検出された鏡面反射成分の強度を含む、請求項11に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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