説明

単一チャンバを利用した細胞破壊及び核酸精製の方法ならびにその装置

【課題】単一チャンバを利用した細胞破壊及び核酸の精製方法及び装置を提供する。
【解決手段】固体支持体上に細胞溶解増進金属酸化物と、細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択される少なくとも一つと接着する結合金属酸化物を順次に形成されたチップにレーザを照射する段階を含む細胞またはウイルスの破壊及び核酸精製を単一チップで行う方法である。これにより、単一チャンバ内で細胞濃縮、細胞溶解、及び核酸精製が可能なチップを開発することによって、ラボオンチップの統合問題を解決し、3つの段階を一つのチップで具現するので、チップ製作コストを減少させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一チャンバを利用した細胞破壊及び核酸精製の方法ならびにその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞からDNAの分離方法は、DNAと結合する傾向を有する物質を利用して行われる。DNAの分離のための物質の例は、シリカ、ガラス繊維、陰イオン交換樹脂、及び磁性ビーズである(非特許文献1、2参照)。手作業段階を避け、作業者エラーを除去するために、幾つかの自動化機械が大量DNA抽出のために開発されている。
【0003】
高純度二本鎖プラスミドDNA、一本鎖ファージDNA、染色体DNA、及びアガロースゲル精製されたDNA断片の製造は、分子生物学で非常に重要である。理想的にDNAを精製する方法は、簡単で、かつ迅速であり、存在しても付加的な試料操作段階がほとんどないようにしなければならない。前記のような方法により得られたDNAは、直ちに形質転換、制限酵素分析、ライゲーションまたは配列決定が可能である。前記のような特徴を全て有する方法は、研究及び診断実験室の目的であるDNA試料製造の自動化に非常に魅力的である。
【0004】
従来、固相物質を利用した核酸の精製方法が知られていた。例えば、特許文献1には、核酸に結合する固相物質を利用した核酸の精製方法が開示されている。具体的に、前記の方法は、出発物質、カオトロピック物質、及び核酸結合固相物質を混合する段階、前記結合された核酸を有する前記固相物質を液体から分離する段階及び前記固相物質核酸複合体を洗浄する段階を含む。しかし、前記の方法は、時間が長くかかるために複雑であり、ラボオンチップ(Lab−On−a−Chip:LOC)に不適である。また、前記の方法は、必ずカオトロピック物質を使用しなければならないという問題点があった。
【0005】
また、特許文献2には、固相マトリックスを利用した核酸の保存(集積(archiving))方法が開示されている。この方法は、核酸が固相マトリックスに不可逆的に結合するので、前記核酸固相マトリックス複合体を保管した後に分析(delayed analysis)したり、繰り返し分析(repeated analysis)することが可能であるという長所がある。しかし、この方法によれば、アルミナのような表面に正電荷を帯びる物質を、NaOHなど塩基性物質の添加によって親水性化する必要があり、核酸は、このように親水性化されたアルミナには不可逆的に結合するため、アルミナから分離することが不可能になる。
【0006】
特許文献3には、試料と金属酸化物支持体及び結合緩衝液とを接触させて、核酸/金属酸化物支持体複合体を形成する段階と、前記試料から前記複合体を分離する段階と、前記金属酸化物支持体から核酸を溶出する段階とを含む、試料から核酸を分離する方法が記載されている。しかし、前記の特許は、本発明の金属酸化物と核酸との結合を利用した面では類似しているが、核酸の結合条件でカオトロピック塩及び洗剤を必要とする点で、これを必要としない本発明とは異なる。
【特許文献1】米国特許第5,234,809号明細書
【特許文献2】米国特許第6,291,166号明細書
【特許文献3】米国特許第6,936,414号明細書
【非特許文献1】Rudi,K.et al、Biotechniqures 22,506−511(1997)
【非特許文献2】Deggerdal,A.et al、Biotechniqures 22,554−557(1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の方法では、細胞濃縮から核酸精製まで多くの段階を必要とし、段階ごとにそれぞれのチャンバが必要であり、バルブ及びポンプの数が多く必要であったので、単一チャンバで具現することは不可能であった。
【0008】
そこで本発明は単一チャンバを利用した細胞破壊および核酸の精製の方法ならびにその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者らは、前記のような従来技術に基づいて細胞破壊及び核酸の精製方法を研究していた中で、ラボオンチップ技術に必要な細胞濃縮、細胞溶解、及び核酸精製過程を単一チャンバ内で具現する技術を開発することによって、ラボオンチップ統合問題を解決できるということを確認し、本発明を完成するに至った。
【0010】
しかし、本発明の方法によれば、単一チャンバ内で細胞濃縮、細胞溶解及び核酸精製を可能にする。また、本発明の方法は、細胞またはウイルスの破壊及び核酸精製を単一チップで行うようにする。これは、チップにレーザを照射する時、細胞溶解を増進させる細胞溶解増進金属酸化物をまず蒸着した後、細胞またはウイルス及び核酸の結合を可能とする金属酸化物を蒸着することで、単一チップで細胞またはウイルスを溶解し、次いで溶解された細胞またはウイルスから核酸を精製することを可能にする。
【0011】
そこで本発明の目的を達成するために、本発明は、固体支持体上に細胞溶解増進金属酸化物、ならびに細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物を順次に形成したチップにレーザを照射する段階を含む、細胞またはウイルスの破壊及び核酸精製を単一チップで行う方法、または
固体支持体上に細胞溶解増進金属酸化物と、細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物を順次に形成する段階と、前記二つの金属酸化物が順次に形成された固体支持体に細胞またはウイルス含有溶液を加えて、細胞またはウイルスを前記細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物に接着させる段階と、レーザを照射して前記細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物に接着された細胞またはウイルスを破壊し、前記細胞またはウイルス内の核酸を前記細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物に結合させる段階と、前記細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物に結合されていない物質を洗浄緩衝液で洗浄する段階と、核酸溶出緩衝液を添加して前記細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物に結合された核酸を溶出させる段階と、を含む単一チャンバを利用した細胞またはウイルス破壊及び核酸の精製方法およびそのチップならびにそのチップを有する装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、単一チャンバ内で細胞濃縮、細胞溶解、及び核酸精製が可能なチップを開発することによって、ラボオンチップの統合問題を解決し、3つの段階を一つのチップで具現するので、チップ製作コストを減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の第一は、固体支持体上に、細胞溶解増進金属酸化物と、細胞、ウイルスおよび核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物が順次に形成されたチップにレーザを照射する段階を含む、細胞またはウイルスの破壊及び核酸精製を単一チップで行う方法である。
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の方法を利用して単一チャンバで細胞を濃縮し、破壊して核酸を精製する一具現例を示す模式図である。図1に示すように、ピラー構造物に疎水性特性を有する金属酸化物で表面を処理して細胞を濃縮させる。次いで、レーザ波長の光を吸収して、細胞溶解を増進させる層をピラー構造物に導入して濃縮された細胞を溶解させる。溶解された細胞は、洗浄緩衝液及び溶出緩衝液を利用して精製過程を経る。前記の過程は、全て単一チャンバで行われる。
【0016】
本発明に係るチップの形状は、特に制限されず平坦な固体支持体であってもよいが、好ましくは固体支持体上に複数の凹部を有するチップであって、前記チップの表面に細胞溶解増進金属酸化物を含む層、ならびに細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物を含む層が順次に被覆されている構造が好ましい。その例示として図2、図3A、図4および図5は、本発明の一具現例による金属酸化物が蒸着された固体支持体であるピラー構造のチップを示す図である。また図2、図3A、図4および図5において凹部の形状は、直方体の形状をしているが、細胞、ウイルスおよび核酸からなる群から選択された少なくとも一つが収容できるものであればどのような形状であってもよく、多面体、円錐、多角錐、円柱、多角柱など特に制限されない。
【0017】
本発明に係る単一チャンバを利用した細胞またはウイルス破壊及び核酸の精製方法は、固体支持体上に細胞溶解増進金属酸化物と、細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物を順次に形成する段階(I)と、前記二つの金属酸化物が順次に形成された固体支持体に細胞またはウイルス含有溶液を加えて、細胞またはウイルスを前記細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物に接着させる段階(II)と、レーザを照射して前記細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物に接着された細胞またはウイルスを破壊し、前記細胞またはウイルス内の核酸を前記細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物に結合させる段階(III)と、前記細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物に結合されていない物質を洗浄緩衝液で洗浄する段階(IV)と、核酸溶出緩衝液を添加して、前記細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物に結合された核酸を溶出させる段階(V)と、を含むことが好ましい。
【0018】
固体支持体表面に細胞溶解増進金属酸化物を含む層、ならびに細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物を含む層を形成させた本発明に係るチップの製造方法は、固体支持体上に種々の金属酸化物を蒸着させることが好ましい。この固体支持体上に種々の金属酸化物を蒸着させたものに細胞またはウイルス含有溶液を添加すれば、細胞またはウイルスは、金属酸化物を介して前記固体支持体(またはチップ)に添着される。接着された細胞またはウイルスまたはチップにレーザを照射すれば、金属酸化物を介して前記固体支持体に結合された細胞またはウイルスは、破壊され、細胞またはウイルスが破壊されて溶出された核酸は、チップに結合される。次いで、チップに結合されていない細胞破片及び蛋白質などの不純物は、洗浄緩衝液を利用して洗浄した後、核酸溶出緩衝液を添加して前記固体支持体に結合された核酸を溶出させて、後続段階で溶出された核酸を利用する。
【0019】
本発明の方法において、前記固体支持体上に対する金属酸化物の蒸着は、細胞溶解増進金属酸化物をまず蒸着した後、細胞に接着が可能な金属酸化物を蒸着させることが好ましい。
【0020】
本発明の方法において、前記細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択される少なくとも一つと接着する金属酸化物、または細胞溶解増進金属酸化物は、Al、TiO、Ta、Fe、Fe、およびHfOからなる群から選択される少なくとも一つが好ましいが、必ずしもこれらに制限されるものではなく、前記両金属酸化物は同種のものでも異なるものでも、また2種以上の金属酸化物を混合してもよいが、望ましくは、細胞、ウイルスおよび核酸からなる群から選択される少なくとも一つと接着する金属酸化物は、Alがより好ましく、細胞溶解増進金属酸化物は、Feがより好ましい。
【0021】
また、本発明に係る細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択される少なくとも一つと接着する金属酸化物は、細胞と接着し、かつ核酸と結合する化合物が好ましい。
【0022】
細胞溶解増進金属酸化物は、レーザによる細胞溶解を増進させる層を有し、細胞溶解を増進させることができる物質であって、細胞溶解を行う磁性ビーズと類似した役割を果たし、Feのような金属酸化物を利用できる。細胞結合が可能な金属酸化物は、細胞を結合できる性質を有する金属酸化物であって、Alのような金属酸化物を利用できる。また、細胞結合が可能な金属酸化物は、レーザが通過して細胞溶解増進金属酸化物に到達できるように、透明である必要があり、レーザにより破壊された細胞またはウイルスの核酸を結合することが可能でなければならない。図2では、細胞溶解増進金属酸化物としてFeを利用し、細胞結合が可能な金属酸化物としてAlを利用した。Feは、808nmでレーザを吸収する特性を有し、レーザによる細胞溶解を増進させることができる。
【0023】
本発明の方法において、前記固体支持体は、スライドガラス、シリコンウェーハ、磁性ビーズ、ポリスチレン、膜、金属板などであるが、必ずしもこれらに制限されるものではない。固体支持体は、金属酸化物が蒸着できるものであれば、いずれも可能であるが、水に溶解されない特性を有しなければならない。水に溶解されれば、核酸精製後に核酸溶液と固体支持体とを分離し難いためである。また、前記固体支持体は、表面積が広いことが金属酸化物を多く蒸着できて望ましく、表面積を広くするために、ガラスやウェーハのような平坦な支持体の場合、上述したように本発明に係る固体支持体の表面に複数の凹部を有するよう、例えばピラー形態に表面をドライエッチングやウェットエッチングなどで加工することも可能である。これにより前記固体支持体表面に形成される細胞溶解増進金属酸化物を含む層と、細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物を含む層とを有するチップの形状を、ピラー、多面体、円錐、多角錐、円柱、多角柱などの所望の形状にすることができる。
【0024】
また、前記細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物に結合された核酸を溶出させる段階(V)の固体支持体から核酸の溶出後に、溶出された核酸を検出または増幅する段階をさらに含むことも好ましい。溶出された核酸は、電気泳動、塩基配列決定、制限酵素分析などにより検出できる。
【0025】
前記核酸を検出または増幅する段階は、核酸溶出緩衝液の除去なしに行われることが好ましい。
溶出された核酸が微量であるために直接検出が不可能な場合には、PCRなどを利用して溶出された核酸を増幅することによって容易に検出できる。
【0026】
本発明の方法において、前記核酸の増幅段階は、核酸溶出緩衝液の除去なしに行われうる。核酸溶出緩衝液は、核酸の増幅に利用された緩衝液とほとんど類似した組成を有するので、溶出緩衝液を除去する段階を必要とせず、溶出緩衝液に溶出された核酸は直ちに増幅が可能である。
【0027】
本発明に係る細胞は、特に限定されないが、例えば大腸菌(E.coli)Bl21(Stratagen Cat.200133)細胞、バクテリア、人間細胞、動物細胞などが挙げられる。
【0028】
本発明に係るウイルスは、HBV、HIN、HPVなどが挙げられる。
【0029】
本発明に係る核酸は、DNA、RNAなどが挙げられる。
【0030】
本発明の方法において、前記細胞またはウイルス含有溶液は、pH3〜10であることが好ましい。前記溶液のpHが前記範囲を外れれば、金属酸化物が蒸着された固体支持体に結合する細胞または核酸の結合効率が減少するだけでなく、DNAの物理的、化学的変性が生じて、次の段階の利用に影響を与える場合がある。
【0031】
本発明の方法において、前記洗浄緩衝液は、pH3〜10であることが好ましい。洗浄緩衝液のpHが前記範囲を外れれば、金属酸化物が蒸着された固体支持体に結合する核酸の結合効率が減少するだけでなく、DNAの物理的、化学的変性が生じて、次の段階の利用に影響を与える場合がある。
【0032】
本発明の方法において、前記細胞またはウイルス含有溶液、前記洗浄緩衝液及び前記核酸溶出緩衝液は、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、トリス、硫酸塩などであるが、これに制限されるものではない。
【0033】
本発明の方法において、前記細胞またはウイルス含有溶液の濃度は、10〜1000mMであることが好ましい。前記溶液の濃度が前記範囲より低い場合、金属酸化物が蒸着された固体支持体に結合する細胞またはウイルスの結合効率が減少する場合があり、前記溶液の濃度が前記範囲より高い場合、溶液の製造が困難である場合がある。
【0034】
本発明の方法において、前記洗浄緩衝液の濃度は、10〜1000mMであることが好ましい。前記洗浄緩衝液の濃度が前記範囲より低い場合、細胞破片または蛋白質などの不純物を洗浄する効率が減少する場合があり、前記洗浄緩衝液の濃度が前記範囲より高い場合、溶液の製造が困難である場合がある。
【0035】
本発明の方法において、前記核酸溶出緩衝液は、pH8〜10であることが望ましい。前記範囲より低い場合、核酸の溶出効率が減少する場合があり、前記範囲より高い場合は、後続工程に影響を与える場合がある。
【0036】
本発明の方法において、前記核酸溶出緩衝液の濃度は、10〜100mMであることが好ましい。溶出緩衝液の濃度が前記範囲を外れれば、金属酸化物が蒸着された固体支持体に結合された核酸の溶出効率が減少するだけでなく、後続工程に影響を与えうるためである。
【0037】
本発明の方法において、固体支持体上に金属酸化物を蒸着する方法は、PVD(Physical Vapor Deposition)、ALD(Atomic Layer Deposition)、ゾル−ゲル法などにより行われることが好ましい。固体支持体上に金属酸化物を蒸着する方法は、公知の技術であって特に制限されるものではなく、一般的にPVD、ALD、ゾル−ゲル法などにより行われる。
【0038】
上記PVD法は、薄膜形成に利用されてきた方法であって、他の方法では不可能な低温処理によって比較的に簡単に薄膜を得ることができるため、最近表面硬化の一つの手段として注目されている。PVD法は、イオンを利用しない真空蒸着、イオンを利用するスパッタリング、イオンプレーティング、イオン注入、イオンビーム混合などに大別されうる。最近、イオンが有するエネルギーを効果的に使用して低温領域で優秀な被膜を形成できる方法として、イオンプレーティング、イオン注入、イオンビーム混合などの方法が注目されている。金属は、真空中で加熱すれば、ガスとして蒸発するが、この原理を応用した方法が真空蒸着法である。この方法は、10−5Torr以下の高真空下で行われ、被覆物質としては、金属や各種化合物が使われている。応用例としては、レンズや鏡などの光学部品、各種電子部品及びプラスチック部品などがあるが、表面硬化を目的として使用する例はほとんどない。高いエネルギーを有する粒子が標的に衝突すれば、標的から原子または分子がはじき出される現象をスパッタリングという。この原理は、標的をアノード、基板をカソードとし、10−2Torr程度のAr雰囲気中で高電圧をかければ、アノード近傍のArガスは、Arにイオン化して、アノードに衝突する。このイオン衝撃によってはじき出された分子または原子が、カソードの基板について薄膜が形成される。スパッタリングの種類には、DCスパッタリング、RFスパッタリング、バイアススパッタリング、マグネトロンスパッタリングなどがあるが、特に、マグネトロンスパッタリングは、高速スパッタリング方法であり、さまざまな分野で注目されている。イオンプレーティング は、PVD法のうち密着性が最も優秀であり、数μm以上の硬質皮膜が得られるので、工具や金型等への応用範囲が急激に拡大しつつある。
【0039】
上記ALD法は、化学的に付着される現象を利用して、ウェーハ表面に分子を吸着させた後に置換させて、吸着と置換とを交互に行うため、超微細層間(layer−by−layer)蒸着が可能であり、酸化物と金属薄膜とを最大限に薄く積層できる特徴がある。また、CVD(Chemical Vapor Deposition)より低い温度(500℃以下)で優れた膜質を形成することが可能であって、システムオンチップ(SoC)製造に適しているという大きい長所がある。
【0040】
上記ゾル−ゲル法とは、金属ハロゲン化物またはアルコキシドの加水分解反応を通じてコロイド形態の金属酸化物を製造する方法であり、二酸化チタンのコーティング液を製造する代表的方法である。製造された二酸化チタンの粒子サイズ、結晶性などの物理的特性は、使われたアルコキシドの種類、反応条件(温度、pH、反応物間のモル比など)などに影響を受ける。
【0041】
本発明の前記固体支持体、またはチップに対する細胞またはウイルスの接着や結合、または核酸溶出段階は、静止または流動状態で行うことができる。細胞またはウイルスと前記固体支持体とを静止状態で接触させることも可能であるが、流動状態で接触させることも可能である。すなわち、細胞またはウイルスを含む溶液を流動制御システムで流動させながら固体支持体と細胞またはウイルスとを接触させることである。流動制御システムにおいて、固体支持体は、平面形態であってもよいが、細胞またはウイルスと固体支持体との接触機会を増加させて、さらに多くの細胞またはウイルスを結合するためにピラー構造を有してもよい。
【0042】
本発明の方法において、前記レーザは、パルスレーザまたは連続波動レーザを含むことが好ましい。レーザ出力は、パルスレーザの場合1mJ/パルス以上1J/パルス以下が好ましく、連続波動レーザー(CW)の場合10mW以上300W以下を伝達することが好ましい。より好ましくは、前記パルスレーザが32mJ/パルス以上1J/パルス以下であり、または連続波動レーザが100mW以上10W以下の出力を有する。これは、パルスレーザの場合1mJ/パルス未満であり、連続波動の場合10mW未満であれば、細胞を破壊する十分なエネルギーが伝達されない問題が発生するためである。また、パルスレーザ1J/パルスを超える場合、または連続波動レーザ(CW)300Wを超える場合はDNA損傷の問題が発生するからである。
【0043】
本発明の方法において、前記レーザは、400nm以上1300nm以下の波長帯で発生することが望ましく、さらに望ましくは、前記レーザは、750nm〜1300nmの波長帯で発生することが望ましい。これは、400nm未満の波長では、DNAの変性または損傷の問題が発生するためである。1300nmを超えると水溶液が直接にレーザを吸収することが多くて効果的なレーザ吸収差を縮め難い問題が発生するからである。
【0044】
また、前記レーザは、一つ以上の波長帯で発生できる。すなわち、レーザは、前記波長範囲内の一つの波長であってもよく、波長の異なる2以上の波長であってもよい。
【0045】
本発明のチップは、固体支持体上に、細胞溶解増進金属酸化物と、細胞、ウイルス及び核酸結合金属酸化物が順次に形成されるチップである。
【0046】
本発明のチップは、細胞またはウイルスの溶解及び核酸の精製を単一チップで行うためのものである。チップは、2層の金属酸化物で蒸着されているが、チップにレーザを照射する時、細胞溶解を増進させる細胞溶解増進金属酸化物をまず形成した後、細胞、ウイルス及び核酸の少なくとも一つと接着する金属酸化物を形成する。したがって、単一チップで細胞またはウイルスを溶解し、次いで溶解された細胞またはウイルスから核酸を精製することが可能になる。
【0047】
なお、本発明に係るチップは上記本発明の方法と同様の材料、形状などの条件で作製されるため、ここでの説明は省略する。
【0048】
本発明の装置は、固体支持体上に、細胞溶解増進金属酸化物、細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択される少なくとも一つと接着する金属酸化物が順次に形成されたチップと、レーザ発生部とを備える、単一チャンバを利用した細胞破壊及び核酸精製の装置である。
【0049】
本発明の細胞破壊及び核酸精製の装置は、細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択される少なくとも一つと接着し、溶出するチップと、チップに結合された細胞またはウイルスを破壊するためのレーザを供給するレーザ発生部とを備え、前記装置は、単一チャンバ内で細胞またはウイルス破壊及び核酸精製を行う。
【0050】
なお、本発明に係る装置は上記本発明の方法と同様の材料、形状などの条件で作製されるため、ここでの説明は省略する。
【実施例】
【0051】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。これら実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれら実施例によって限定されるものではない。
【0052】
実施例1:本発明の金属酸化物が蒸着されたチップの製作
本発明の金属酸化物が蒸着されたチップを製作するために、PVD法の一つであるPAD(Plasma Assisted Deposition)法及びALD法を利用した。まず、フォトリソグラフィ及び乾式エッチングによりピラーを製造した。ピラーを製造する工程について詳細に説明する。まず、4インチウェーハにポジティブフォトレジスト(製品名:AZ1512)をスピンコーティング法で4000RPMで40秒間コーティングした後、95℃で1分30秒間ベークした。ポジティブフォトレジストがコーティングされたウェーハをアライナ(製品名:EV620)でi線(I−line UV(波長帯:365nm))を4.5秒間照射した後、現像液(製品名:AZ MIF 300)でUVが照射されたポジティブフォトレジスト除去してピラーパターンを形成させた。ピラーパターンが形成されたウェーハを乾式エッチング装備(製品名:ICP−STS)により100μmの乾式エッチングを行って最終的に25μm×25μm×100μm(幅×長さ×高さ)の直方体のピラーを製作した。直方体ピラーの表面に細胞溶解増進層として使われるFeをPAD(装備名:APS1104)で300nm蒸着した。次いで、1mmの孔を有するガラス板をピラーが形成されているチップと陽極結合装備(装備名:TPS−1000)で370℃で電圧を700V印加して接合させた。次いで、細胞及び遺伝子と接着する層として使われる金属酸化物のAlをALD(製品名:MOOHAN)装備で400℃で100Aの厚さに前記チップ上に蒸着してチップを完成した。
【0053】
図3Aは、細胞溶解増進層として使われた金属酸化物が蒸着されたチップの上段、中段及び下段を示し、図3Bは、各位置でのFE−SEM(Field Emission Scanning Electron Microscope)写真を示す。図3Bから分かるように、100μm深さのピラー内側までFe蒸着膜が形成されたことから、金属酸化物がよく蒸着されたことが分かる。
【0054】
実施例2:本発明のチップを利用した細胞接着
流動制御システムで本発明のチップに細胞が接着されるか否かを確認した。まず、細胞を含む試料としては、フィルタペーパ(孔径サイズ6μm、Whatman)を利用して、ろ過された唾液に大腸菌(E.coli)Bl21(Stratagen Cat.200133)細胞を混合したものを利用した。注射器ポンプ(HARVARD、PHD2000)を利用して前記試料(細胞濃度:OD600=0.001)と結合緩衝液(100mMの燐酸緩衝液、pH4)とを1:1の割合(体積比)で、本発明のチップに400μm/分の流速で680μm注入して大腸菌細胞を本発明のチップに接着させた。
【0055】
図4は、チップの種類による大腸菌細胞の接着効率を示すFE−SEM写真である。図4において、Fe/Alチップは、細胞溶解増進金属酸化物としてFeを利用し、細胞接着が可能な金属酸化物としてAlを利用して製造したものであり、Alチップは、金属酸化物としてAlのみを利用してチップを製造し、対照群は、Fe/Alチップを利用し、細胞のない接着緩衝液のみチップを通過させた。本発明のチップにおける大腸菌細胞の接着効率分析は、塗抹(plating)方法を利用したが、すなわち、チップを通過する前後の溶液を大腸菌成長培地が含まれたペトリ皿に塗抹して接着効率を計算した。LIVE/DEAD (登録商標)BacLight(商標) Bacterial viability kit(Molecular probe社製)を利用して発明のチップと細胞との接着有無を検査した。 LIVE/DEAD(登録商標) BacLight(商標) Bacterial viability kit に含まれているCyto(登録商標)9 nucleic acid stain dyeは、生存細胞を緑色で染色し、PI(Propidium Iodide) dyeは、死滅細胞を赤色で染色する。
【0056】
図4から分かるように、Cyto9/PI染色でFe/Alチップ及びAlチップでは、予想通りに生存大腸菌細胞が多く接着して緑色イメージを示し、対照群チップは、細胞が存在しなくて緑色イメージを示す。また、Fe/Alチップ及びAlチップの大腸菌細胞接着の効率は、約80%であるので、本発明のチップは、大腸菌細胞を非常に効率的に接着するということが分かる。
【0057】
実施例3:本発明のチップを利用した細胞溶解
前記実施例2で本発明のチップに接着された細胞に対してレーザを照射して細胞を溶解する実験を行った。Fe/Alチップ、Alチップ及び対照群チップに2Wのレーザを40秒間照射して細胞を溶解した。細胞溶解後、LIVE/DEAD○(登録商標) BacLight(商標) Bacterial viability kitを利用して染色を実施した。図5は、チップの種類による大腸菌細胞の溶解を示すFE−SEM写真である。図5から分かるように、Fe/Alチップは、Alチップに比べて赤色強度がさらに高く、対照群チップは、細胞が存在しないため、赤色イメージを示す。したがって、本発明の細胞チップを利用すれば、チップに結合された細胞を効率的に溶解することが可能であり、また、細胞溶解増進金属酸化物(本実施例でFe)を利用した場合に、これを利用しない場合に比べて細胞溶解がさらに効率的に行われるということが分かる。
【0058】
実施例4:本発明のチップを利用した核酸精製
前記実施例3でレーザを照射して溶解された細胞から放出された核酸を精製する実験を行った。レーザ照射により溶解された細胞溶解物のうち大腸菌ゲノムDNAを除外した不純物を除去するために、注射器ポンプ(HARVARD、PHD2000)を利用して、本発明のチップに100μm/分の流速で洗浄緩衝液(10mM燐酸緩衝液、pH4)を注入した。次いで、洗浄された核酸を溶出するために、注射器ポンプ(HARVARD、PHD2000)を利用して本発明のチップに1000μm/分の流速で核酸溶出緩衝液(50mMの硫酸ナトリウム、pH10)を注入した。
【0059】
図6は、洗浄緩衝液及び核酸溶出緩衝液による大腸菌ゲノムDNA(gDNA)の溶出効率を示すグラフである。図6において、W1及びW2は、それぞれ洗浄緩衝液の25μm分画を示し、E1ないしE6は、それぞれ核酸溶出緩衝液の25μm分画を示す。また、溶出効率は、大腸菌ゲノムDNAの総溶出量に対する各分画における大腸菌ゲノムDNAの溶出量を示す。図6から分かるように、Fe/Alチップ及びAlチップのいずれも、洗浄緩衝液では大腸菌ゲノムDNAがほとんど溶出されない一方、核酸溶出緩衝液でほとんどの大腸菌ゲノムDNAが溶出される。したがって、本発明の方法を利用すれば、単一チャンバで細胞を溶解した後、核酸を効率的に精製できるということが分かる。
【0060】
実施例5:本発明のチップを利用した細胞濃縮
本発明のチップを利用して細胞濃縮効果を調べた。前記実施例4によって大腸菌細胞から大腸菌ゲノムDNAを精製する方法を利用して、投入大腸菌細胞濃度による精製された大腸菌ゲノムDNAを測定した。細胞濃縮測定方法は、Eppendorfチューブで大腸菌細胞濃度によってレーザ溶解した後、DNAをピコグリーン(picogreen)で定量した。これに基づいて、細胞濃度によって溶解の後に溶出されたDNA量の間の定量曲線を描いた後、本発明のチップから溶出されたDNA量を細胞濃度に転換して濃縮効率を計算した。
【0061】
図7は、投入大腸菌細胞濃度に対する溶出されたDNA量の検量線を示すグラフである。図7から分かるように、投入大腸菌細胞濃度と溶出された大腸菌ゲノムDNA量との間には、ほぼ比例関係が成立する。本発明のチップを利用して精製された大腸菌ゲノムDNAから、図7の検量線を利用して、細胞濃度に転換した結果を、下記表1を示す。
【0062】
【表1】

【0063】
前記表1で分かるように、本発明のチップを利用すれば、大腸菌細胞は、14倍ないし16倍濃縮される。したがって、細胞濃度が非常に低い試料から核酸を検出しようとする場合に、本発明の方法は、非常に有用に利用されうる。
【0064】
実施例6:本発明のチップを利用して精製された核酸のPCR増幅
本発明のチップを利用して精製された核酸を利用して、PCRを実施した。PCRは、当業界に公知の標準条件下で実施した。前記実施例4によって大腸菌細胞から大腸菌ゲノムDNAを精製する方法を利用して、投入大腸菌細胞濃度による精製された大腸菌ゲノムDNAのPCR増幅産物を測定した。細胞濃縮測定方法は、Eppendorfチューブで大腸菌細胞濃度によってレーザ溶解した後、大腸菌ゲノムDNAをPCR増幅してLabchipで定量した。これに基づいて、細胞濃度によって溶解後のPCR産物量間の検量線を描いた後、PCR産物量を細胞濃度に転換して濃縮効率を計算した。
【0065】
図8は、投入大腸菌細胞濃度に対するPCR産物量検量線を示すグラフである。図8から分かるように、投入大腸菌細胞濃度とPCR産物量との間には、ほぼ比例関係が成立する。本発明のチップを利用してPCR産物から、図8の検量線を利用して、細胞濃度に転換した結果を、下記表2に示す。
【0066】
【表2】

【0067】
前記表2で分かるように、本発明のチップを利用すれば、大腸菌細胞は、3倍ないし5倍濃縮される。前記結果は、表1の細胞濃縮結果と異なるが、これは、DNAを定量する方法による差であると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、細胞破壊及び核酸精製の関連の技術分野に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の方法を利用して単一チャンバで細胞を濃縮し、破壊して核酸を精製する一具現例を示す模式図である。
【図2】本発明の一具現例による金属酸化物が蒸着された固体支持体であるピラー構造のチップを示す模式図である。
【図3A】細胞溶解増進層として使われた金属酸化物が形成されたチップの模式図である。
【図3B】細胞溶解増進層として使われた金属酸化物が形成されたチップのFE−SEM写真である。
【図4】チップの種類による大腸菌細胞の接着効率を示すFE−SEM写真である。
【図5】チップの種類による大腸菌細胞の溶解を示すFE−SEM写真である。
【図6】洗浄緩衝液及び核酸溶出緩衝液に対する大腸菌ゲノムDNA(gDNA)の溶出効率を示すグラフである。
【図7】投入大腸菌細胞濃度に対する溶出されたDNA量の検量線を示すグラフである。
【図8】投入大腸菌細胞濃度に対するPCR産物量の検量線を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体支持体上に細胞溶解増進金属酸化物と、細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物と、を順次形成されたチップにレーザを照射する段階を含む、細胞またはウイルスの破壊及び核酸精製を単一チップで行う方法。
【請求項2】
固体支持体上に細胞溶解増進金属酸化物と、細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物を順次に形成する段階と、
前記二つの金属酸化物が順次に形成された固体支持体に細胞またはウイルス含有溶液を加えて、細胞またはウイルスを前記金属酸化物に接着させる段階と、
レーザを照射して前記細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物に接着された細胞またはウイルスを破壊し、前記細胞またはウイルス内の核酸を前記細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物に結合させる段階と、
前記細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物に結合されていない物質を洗浄緩衝液で洗浄する段階と、
核酸溶出緩衝液を添加して、前記細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物に結合された核酸を溶出させる段階と、を含む単一チャンバを利用した細胞またはウイルス破壊及び核酸の精製方法。
【請求項3】
前記細胞溶解増進金属酸化物またはウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物は、Al、TiO、Ta、Fe、Fe及びHfOからなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
細胞溶解増進金属酸化物は、Feであり、細胞、ウイルス及び核酸と接着する金属酸化物は、Alであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記固体支持体は、スライドガラス、シリコンウェーハ、磁性ビーズ、ポリスチレン、膜、及び金属板からなる群から選択されることを特徴とする請求項1または請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞またはウイルス含有溶液及び前記洗浄緩衝液は、pH3〜10であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記細胞またはウイルス含有溶液、前記洗浄緩衝液及び前記核酸溶出緩衝液は、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、及びトリスからなる群から選択されることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記細胞またはウイルス含有溶液及び前記洗浄緩衝液の濃度は、10〜1000mMであることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記核酸溶出緩衝液は、pH8〜10であることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記核酸溶出緩衝液の濃度は、10〜100mMであることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物に結合された核酸を溶出させる段階の後に、溶出された核酸を検出または増幅する段階をさらに含むことを特徴とする請求項2〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記核酸を検出または増幅する段階は、核酸溶出緩衝液の除去なしに行われることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記レーザがパルスレーザまたは連続波動レーザを含むことを特徴とする請求項1または請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記パルスレーザの出力が1mJ/パルス以上であり、または連続波動レーザが10mW以上の出力を有することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
固体支持体上に、細胞溶解増進金属酸化物、ならびに細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択される少なくとも一つと接着する金属酸化物が順次に形成されたチップ。
【請求項16】
前記固体支持体は、平面またはピラー構造を有することを特徴とする請求項15に記載のチップ。
【請求項17】
前記細胞溶解増進金属酸化物または細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物は、Al、TiO、Ta、Fe、Fe及びHfOからなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項15または16に記載のチップ。
【請求項18】
細胞溶解増進金属酸化物は、Feであり、細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択される少なくとも一つと接着する金属酸化物は、Alであることを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載のチップ。
【請求項19】
固体支持体上に、細胞溶解増進金属酸化物、並びに細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物が順次に形成されたチップと、
レーザ発生部と、
を備える単一チャンバを利用した細胞破壊及び核酸の精製の装置。
【請求項20】
前記固体支持体は、平面またはピラー構造を有することを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記細胞溶解増進金属酸化物またはウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物は、Al、TiO、Ta、Fe、Fe及びHfOからなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項19または20に記載の装置。
【請求項22】
前記細胞溶解増進金属酸化物は、Feであり、前記細胞、ウイルス及び核酸からなる群から選択された少なくとも一つと接着する金属酸化物は、Alであることを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記レーザが、パルスレーザまたは連続波動レーザを含むことを特徴とする請求項19〜22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
前記パルスレーザの出力が1mJ/パルス以上であり、または連続波動レーザが10mW以上の出力を有することを特徴とする請求項23に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−275064(P2007−275064A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−98820(P2007−98820)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】