単一フォトン放出コンピュータ断層撮影システム
コリメータ組立体(630)は、下部支持プレート(632)と上部支持プレート(634)との間に支持された鉛及びプラスチックの複数の交互層で構成される。ねじ調節部材(636)は、下部プレート(614)を通り下部支持部材(632)まで延び、上部プレート(612)を通り上部支持部材(634)まで延びる。調節部材(636)を調節することにより、コリメータ組立体(630)の位置は、円弧体の残部に対して調節することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にイメージングシステムに関し、更に詳細には単一フォトン放出コンピュータ断層撮影システムに関する。
【0002】
(関連出願の参照)
本出願は、1999年4月14日に出願された米国仮特許出願番号60/129,239号及び1999年8月30日に出願された米国特許第60/151,378号に対する優先権を主張する、2000年4月14日に出願された米国特許出願番号第09/549,435号(現在は米国特許第6,525,320号)の一部継続出願である2003年2月5日に出願された米国特許出願番号第10/358,961号の一部継続出願である。
また本出願は、2003年6月20日に出願された米国仮特許出願番号60/480,381号に対しても優先権を主張する。これらの全内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
医療用放射性核種イメージング(核医学)は、現代医療業務の主要な構成要素である。この技法には、通常はトレーサ量の放射性材料を注入により投与し、続いて、これを調査対象の器官系の生理学的機能に応じた方法で体内に局在化することが含まれている。殆どの場合ガンマフォトンである放射性トレーサの放出物は、体外の検出器で撮像され、体内の放射性トレーサ分布のマップを生成する。適切な訓練を受けた医師が判読すると、これらの画像から臨床診断及び疾病の治療に極めて価値のある情報が得られる。この技術の典型的な応用には、冠動脈疾患の検出(タリウムスキャン)及び骨の癌性関連の検出(骨スキャン)が含まれる。膨大な量の臨床放射性核種イメージングは、γ線放出放射性トレーサ及び「ガンマカメラ」として知られている検出器を用いて行われる。
【0004】
ガンマカメラは、通常、γフォトンが衝突すると発光する性質を有する大きなシンチレーション結晶(例えばヨウ化ナトリウム)からなる。この結晶の後部に固定されているのは複数の光電子増倍管であり、該光電子増倍管は、光フラッシュを検出し、シンチレーション結晶内の位置を特定するための付随する回路を備えている。結晶の前部には、通常複数の穴が貫通する数ミリメートルの鉛からなるコリメータがある。コリメータは、ほぼ適切な方向から結晶に接近するフォトンを除く全ての入射フォトンを吸収する働きをする。結晶、光電子増倍管、及び付随する回路は通常、大きな鉛のケース内に密閉され、該ケースは、望ましくない外部放射から検出器を遮断する働きをする。装置全体は、検出器を患者近傍に位置決めするためのモータ駆動式装置を備えたガントリ上に取り付けられる。
【0005】
ガンマカメラにより、放射性トレーサ分布の2次元画像が得られる。しかしながら、体内の放射性トレーサの分布は、通常は3次元である。単一フォトン放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)技術は、コンピュータ処理を用いて患者の周りで複数の角度から得られる一連の2次元ガンマカメラ画像から3次元トレーサ分布を「再構成」することにより「放射性核種CTスキャン」と同様の3次元断層撮影画像を生成するのに使用される。これは、1つ又はそれ以上のガンマカメラをモータ駆動ガントリに取り付け、これを患者の周りに周回させることによりほぼ例外なく達成される。次に、このようにして収集されたデータを処理して3次元画像を得る。
【0006】
3次元SPECT画像は、高度な画像コントラストをもたらし、身体構造の明らかな重なりを低減することが実証されている。SPECTイメージングは、現在、心臓の放射性核種イメージングの最新技術と考えられ、米国で行われている全ての心臓の放射性イメージングの半分を超える部分を占める。
【0007】
SPECTイメージングは、多くの利点があるにもかかわらず、未だこれから恩恵を受ける可能性がある全ての患者が利用可能という訳ではない。現行のSPECT機器には、その広範な実施を妨げる幾つかの欠点がある。
【0008】
現行のSPECTシステムは、嵩高で、通常はこれを収容するための大きな専用の部屋を必要とする。コリメートシステムは、比較的効率が悪く、放射される放射線のうちの大きな割合を遮断する。従って、殆どの新しい臨床システムでは、単一のガントリ上に装着された2つ又はそれ以上のガンマカメラ検出器を同時に用いる。各検出器は、典型的には数百ポンドの重さであるので、支持ガントリは大きく且つ重くする必要がある。殆どのSPECT機器は、フロア補強を追加した特別構成の部屋を必要とする。正確に画像を再構成するためには検出器を正確に配置することが必要であるので、SPECTシステムには、数百ポンドの機器を約ミリメートルの精度で移動させて位置決めすることができるモータ及び歯車装置からなる重い位置決めシステムを必要とする。これらのシステムは、必然的に大きく、重く、高価である。
【0009】
診療室、救急救命室、及び集中治療室を含む種々の環境で患者を撮像する医学的必要性は大きいが、サイズが非常に大きく嵩張る現行のSPECTシステムでは、固定位置、典型的には病院の放射線医学又は核医学部門に置く必要がある。主治の心臓内科医の直接立ち会いで心臓SPECTイメージングを行うと、医学的及び患者の相当な利便上の利点がある。多くの研究で、外来診療室環境で行われる治療の費用の方が、病院環境での費用よりも少ないことが示されている。これらの抑えがたい因子があるにもかかわらず、現行のシステムの大きさ及び費用の制約により、地域社会への浸透が大幅に制限され、特に、診療所での利用可能性が制限される。加えて、現行システムは大きなスペースを必要とするため、SPECTサービスを提供する病院に相当な費用がかかる。
【0010】
現行のSPECTシステムには別の制限がある。ガンマカメラが患者の周りを周回するときに、各検出器との間で電力及びデータを送受するために大きな多芯ケーブルを必要とする。これらのケーブルは、システムの作動中に繰り返し屈曲するので、装置の故障の原因となることが多い。
【0011】
既存のシステムは大きく重い性質を有するので、必然的に機械的ガントリの設計は安定性に優れ、更に費用効果にも優れたものにされる。このため、患者は、狭いプラットフォーム上で垂直配向のガントリに延びた仰臥位(仰向け)で横たわることが必要なシステムとなる。検出器を胸にできるだけ近接させ、移動する大きな検出器を患者の周りに安全に通過できるようにするために、現行のシステムでは、患者が片腕又は両腕を頭上の不自然な位置に保持する必要がある。これは、多くの患者にとって苦痛であり、これができない患者もいる。加えて、仰臥位は、多くの患者、特に背中に問題を抱えた患者には不快である。装置の内部では閉所恐怖感を感じる患者が多い。カメラが患者の周りを回転できるようにするためにプラットフォームを狭くすることが必要であるため、大柄な人には不快であり、スキャンを受ける人が不安又は危険を感じることが多い。また、患者がイメージング中に部分的に装置に閉じ込められることにより、重症の患者へ医師又は看護者がアクセスすることが制限される可能性がある。
【発明の開示】
【0012】
本発明は、複数のイメージングシステム及びその構成要素を提供する。1つの実施形態によれば、単一フォトン放出コンピュータ断層撮影システムは、患者の一部が視野内に位置するように患者を支持するための患者支持体を備えたベースを含む。視野を通して縦方向軸線が定められる。検出器組立体は、視野に隣接し、フォトンが衝突したかどうかを検出するよう動作可能なフォトン応答性検出器を含む。検出器組立体は、視野内に位置する患者の一部において放出されたフォトンを検出するよう動作可能である。視野と検出器との間にフォトン遮断部材が配置される。フォトン遮断部材は、位置が合ったフォトンを通過させるため貫通して形成されたアパーチャスロットを有する。検出器からアパーチャを通って応答ラインが定められる。コリメーション組立体は、フォトン減衰材料で作られた複数のコリメートベーンを含む。支持組立体は、コリメーション組立体を支持する。支持組立体は、第1の支持部材と第2の支持部材とを含む。第2の支持部材は、第1の支持部材から間隔を置いて配置されている。コリメーション組立体は、第1の距離が前記コリメーション組立体と前記第1の支持部材との間に定められ第2の距離が前記コリメーション組立体と前記第2の支持部材との間に定められるように支持部材の間に配置される。調節組立体は、第1の距離を調節するよう動作可能な第1の調節装置と、第2の距離を調節するよう動作可能な第2の調節装置とを含む。
【0013】
本発明の別の態様は、半径方向イメージングシステムからの断層撮影画像データが、視野の周りの複数の位置に配置されている間に読み取り値を得るタイプの従来のガンマ線カメラから得られるデータに対応するように該データをリビニング(rebinning)する方法を提供する。視野は、貫通して定められる縦方向軸線を有すると考えることができる。従来のガンマカメラは、縦方向軸線に平行な中心線を備えた感知面を有する。縦方向軸線と中心線との間に垂直に位置ラインが定められる。位置ラインを含み且つ前記縦方向軸線に垂直であるように感知平面が定められる。縦方向軸線に垂直であり且つ感知平面内に含まれるようにベースラインが定められる。従来のガンマ線カメラの角度位置がベースラインと位置ラインとの間の角度θとして定められる。従来のガンマ線カメラが、感知位相においてフォトン衝突を検出するよう動作可能であり、感知平面における各衝突が中心線から距離rの位置に位置付けられる。リビニング方法は、半径方向イメージングシステムを準備する段階を含む複数の段階を含む。イメージングシステムは、患者の一部が視野内に位置付けられるように該患者を支持するための患者支持体を備えたベースを含む。ほぼ弓形の検出器組立体は、視野に隣接し、フォトンが検出器に衝突するかどうかを検出するよう動作可能なフォトン応答検出器を含む。検出器組立体は更に、弓形の検出器組立体に沿って検出器への衝突位置を識別するよう動作可能である。フォトン遮断部材が、視野と検出器との間に配置される。フォトン遮断部材は、位置が合ったフォトンを通過させるため貫通して形成されたアパーチャスロットを有する。検出器からアパーチャを通って応答ラインが定められる。
【0014】
コリメーション組立体は、フォトン減衰材料で作られた複数のほぼ平行なコリメートベーンを含む。ベーンは、複数の間隙を定めるように間隔を置いて配置されている。変位アクチュエータは、検出器及びフォトン遮断部材の一方を検出器及び前記フォトン遮断部材の他方に対して相対的に移動させ、アパーチャが検出器に対して変位し且つ応答ラインが視野の少なくとも一部を掃引するように動作可能である。追加の段階は、全体的に感知平面に衝突する複数のフォトンに関連する複数の検出器読み取り値を得る段階を含む。読み取り値の各々は強度を含む。視野の中心線からの半径Rdet及びベースラインに対する角度位置Ψを含む、検出器組立体からの各読み取り値の位置が求められる。視野の中心線からの半径Rapp及びベースラインに対する角度位置θを含む、各読み取り値に対するアパーチャスロットの位置が求められる。従来のガンマ線カメラのr及びθの各組み合わせに対して、次式:
及び、
を用いて、対応する値であるΨ及びφが計算される。
r及びθの各組み合わせに対し、対応する位置φ、Ψ、Rapp及びRdetに関連する強度値が保存される。本発明はまた、単一フォトン放出コンピュータ断層撮影システム及びそのための装置を較正する種々の方法を提供する。
【0015】
本発明の別の態様によれば、医用イメージング装置は、視野をイメージングするための支持ベースとイメージングセクションとを備える。イメージングセクションは、ベースにより支持される固定端部とこれから間隔を置いて配置された自由端部との間に延びる。イメージングセクションは、第1の支持部材と第2の支持部材とを有する支持組立体を含む。支持組立体は、間隔を置いて配置され、各々がベースにより支持される固定端部とこれから間隔を置いて配置された自由端部とを有する。複数の引張り部材が、第1の支持部材と前記第2の支持部材との間に延び、支持部材の固定端部と自由端部との間に間隔を置いて配置される。幾つかの実施形態では、引張り部材には、これら端部の内の一方がイメージングセクションの固定端部により近接しているように角度が付けられた一部があり、残りは、引張り部材が互いに対して角度が付けられるように固定端部により近接した他端部を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本説明全体を通して、好ましい実施形態及び実施例は、本発明を限定するものではなく例証とみなすべきである。
1.総括
本発明の1つの態様は、単一フォトン放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)を実施するためのシステムを含む。本システムは、通常180°〜360°にわたる円弧体の周りに位置付けられるのが好ましい複数の放射線検出器モジュールから構成される放射線検出器組立体を含む。面内(軸方向)コリメーションは、放射線検出器組立体の角度範囲(典型的には180°〜360°)と同様の角度範囲にわたって延びる可動円弧体又はリングにより行われる。面交叉(縦方向)コリメーションは、静止位置に保持され横断面(縦方向軸線に垂直)に平行に配向されたフォトン減衰材料の複数のベーン又はシートによって行われる。任意選択的に、これらのベーンは、Styrofoam(登録商標)又は他のプラスチックのような放射線透過性スペーサ材料のシートにより分離することができる。また、本発明の幾つかの実施形態には、患者用椅子又は支持構造体も含まれる。
【0017】
II.椅子、円弧体構成、及び患者位置決めに関する考察
図1A及び図1Bは、心臓SPECTに最適化された本発明の好ましい実施形態の図であり、システム100の全体構成及び患者102の位置決めを示している。患者の出入り用開口部104が示されている。システムのイメージングセクション106は、患者の胸部の右側にわたって円弧体として延びる。イメージングセクションは、以下で説明するような内部構成要素を有する鉛遮断ハウジングからなる。イメージングセクションは、ベース110に固定されたスタンド108により支持される。同時に、イメージングセクションの後側部分及びスタンドは、患者支持体の「後部」を形成する。患者は、調整可能シート112に座る。このシートの垂直方向高さは、患者の心臓がイメージング装置の適切な部分内に位置付けられるように調整することができる。このような調整は、電動モータ、油圧装置又は他の手段により行うことができる。シートは、任意選択的に、水平方向に旋回するように調整可能であり、従って、患者の着座位置の出入りが容易になる。また、スタンド及びベースは、スキャン処理に必要な電子機器、並びに任意の必要な制御装置及び表示装置を含み、又は支持することができる。
【0018】
図示のように、先行技術のシステムとは異なり、患者は、胴体がほぼ垂直になるようにほぼ直立して着座している。本システムを軽量化し、設計を簡素化して、更に嵩を低減することと相まって、このような位置決めが可能になる。定義付けのために、イメージングセクション106により囲まれた領域を、視野と呼ぶことにする。また、定義付けのために、患者の胴体の縦方向軸線とほぼ一致する縦方向軸線は、視野を通って延びているといえる。縦方向軸線はほぼ垂直であり、患者に水平姿勢を強制する通常のシステムと本発明のシステムの位置決めを区別されるということができる。実際に、ほぼ垂直な縦方向軸線は、図示のように幾分傾いており、患者をより快適にすることもできる。
【0019】
当業者には明らかなように、特定の関心のある患者の一部に関するデータを収集するために患者の適切な部分を撮像することが極めて重要である。例えば、本発明の好ましい実施形態は、患者の心臓を撮像するように設計される。従って、撮像されている部分又はスライスが患者の心臓を含むことが重要である。しかしながら、患者の胸部内の心臓の正確な位置は、外部検査から常時容易に決定されるとは限らない。従来のシステムでは、オペレータが残像オシロスコープ(p−scope)として知られる低分解能の2次元ディスプレイで見ながら、患者を検出器の前に位置決めする。残像オシロスコープ画像は、患者を再位置決めする際に連続的に更新する必要があり、且つその画像の特性が2次元であることから必然的に低品質である。患者の位置決めの際のオペレータ誤差は珍しいことではなく、これが起こると無用なスキャンとなる。本発明の別の態様によれば、心臓スキャンでは、患者の胸部の「クイックスキャン」を先行させて、心臓を適切に位置決めするよう椅子の位置を調整し、心臓がイメージングセクション106で撮像するのに適切に位置決めされるようになる。
【0020】
幾つかの理由により本発明で「クイックスキャン」は可能であるが、これは、本明細書全体を評価すると明らかになるであろう。本発明の技術のシステムは、3次元イメージングを収集するために患者を部分的に周回させる必要がある。迅速な3次元位置決め画像を得ようとする場合には、大きく重い(典型的には450〜500ポンド)検出器の移動を数秒内に作動・停止する必要がある。これは、何れも機械的にも困難であり、大きく重い検出器を迅速に動かすので患者を害する可能性がある。本発明は、イメージングセクション106の視野内で患者の一部を撮像するためにアパーチャ円弧体を動かすことだけを必要とする。アパーチャ円弧体は、ハウジングの内部の患者から隠されていることが好ましく、従来技術のガンマカメラよりも遥かに急速且つ安全に移動することができる。また、長い距離を移動する必要があるガンマカメラとは異なり、完全スキャンは、円弧体が短い距離を移動することだけを必要とする。加えて、本発明は、先行技術の装置よりもより迅速に画像データを収集する。従って、ハウジング内でアパーチャ円弧体を迅速に移動させることによって、高速でカウントの少ない3次元画像を収集することができる。このカウント数の少ない画像は、最新のコンピュータを用いてほぼ瞬時に再構成し、スライスとして、又は好ましくは回転表面レンダリング或いは最大強度投影画像として直ちに表示することができる。このようなボリュームレンダリング画像は、下にいる患者の生体組織を明らかにし、これらを用いて、所定の高カウント数イメージングを開始する前に心臓の位置を確実に求めることができる。
【0021】
シート112が上下方向に調整可能な本発明の実施形態では、撮像しているスライスの位置を調整するように、2つの画像収集間に任意選択的に椅子の位置を調整可能である。幾つかの実施形態において、移動が極めて僅かであり、そのためコリメータの作用を補償することができるようにし、これは以下でより詳細に説明する。また、椅子の位置は、画像収集中に上方向き又は下方向きに調整することができる。
【0022】
当業者には周知のように、イメージング中の患者の移動は、殆どのイメージングシステムにとって重要な問題である。殆どのシステムでは、患者は、かなり不快な仰臥位又は腹臥位で狭い水平面に横たわる必要がある。この体位は、背中に問題を抱える患者又は横になると呼吸が困難になる多くの心臓病患者にとっては不快であることが多い。多くの場合、これによりスキャン中に患者が動くことになる。現行技術でのシステムの移動検出器に対応するために、患者は、イメージング手順中に頭上に腕を保持する必要がある。これは、多くの患者、特に肩関節炎の患者にとって極めて不快である。現行装置の大きな金属製検出器の下に横たわると、多くの患者は不安又は閉所恐怖を経験する。不快又は不安を感じている患者は、通常は快適になろうとして姿勢を調整する。このような移動は、画像収集中に起こると画像アーチファクトを生じさせ、これにより所見及び後続の治療が不正確になる可能性がある。この問題は、スキャン時間が長いと悪化する。図1A及び図1Bに示すように本発明により使用可能な患者の垂直方向の位置決めは、患者の快適さ及び安定性を有意に改善する。これは、背中及び心臓病の患者にはとりわけ快適である。腕は頭上に保持する必要はない。本発明のオープン設計によって閉所恐怖も排除される。この結果、患者の快適さ及び安心感が増大し、運動が低減される。また、本発明の幾つかの実施形態により、スキャン時間を有意に低減することができるため、患者の動きを低減することができる。
【0023】
III.1次元固体検出器モジュール(ストリップ)の全体考察
図2は、個々の検出器モジュール150の1つの実施形態を示す。複数(通常は64)の個々のモジュールは、患者の周りに円弧状で配列される。この円弧は、ほぼ180°〜360°の範囲にわたって延びることができる。心臓のSPECTでは、好ましい実施形態は、約180°である。図示の実施形態は、心臓イメージング用の大きさにされた固体検出器モジュールである。他の検出器モジュールの実施形態を以下で検討する。図示のように、検出器モジュール150は、細長いストリップである。検出器の表面上の矩形領域は、個々の固体検出器素子152のアレイを示し、各々がデータ収集用の1つのピクセルを含む。この実施形態では、検出器素子のアレイは、1次元、即ち1×Nであるが、2次元アレイを用いることもできる。多芯リボンケーブル154は、検出器素子から信号を処理する電子機器まで電気信号を伝送する。或いは、処理回路の一部は、検出器素子と一体化してもよく、又は検出器素子によりパッケージ化してもよい。
【0024】
各検出器素子152は、フォトンが衝突したかどうかを検出するように動作可能である。従って、検出器150全体が、フォトンが衝突したかどうかを検出するよう動作可能であると共に、長さに沿ってフォトンが衝突した位置を求めるようにも動作可能である。各検出器素子は、対向する表面に電極が付加されたテルル化カドミウム亜鉛のような特定の半導体材料を含む。電位は、電極間に印加される。当業者には明らかであるように、フォトンが前部電極を通過し、半導体材料と相互作用すると、電極間に小電流が流れる。この電流を測定して、フォトンの衝突を感知する。
【0025】
本発明は、最初に上述の検出器素子を用いるように説明されたが、本発明の他の実施形態では、本明細書の以下に詳細に説明するような他の検出器設計を利用する。
【0026】
IV.アパーチャ円弧体全体考察
図3は、心臓のSPECT用に最適化された本発明の実施形態のアパーチャ円弧体170を示す。単一の放射線検出器モジュール172が円弧体の後方に示され、相対的位置関係を実際に示している。図示のように、検出器モジュールは、縦方向軸線にほぼ平行である。円弧体170は、フォトン遮断部材として働き、鉛又は同様の高度減弱材料で作ることができる。円弧体170は、その後方に位置する放射線検出器モジュール172を覆うのに十分な高さがある。円弧体は、患者から放射されるフォトンを本質的に完全に吸収する十分な厚さ(通常約3mm)がある。円弧体には、一連の垂直方向のアパーチャスロット174が貫通しており、これによりアパーチャスロットと位置が合ったフォトン176が患者からスロットを通って検出器モジュールに到達することができる。スロットは、患者の縦方向軸線にほぼ平行であることが好ましい。
【0027】
図3では、円弧体170は、ほぼ矩形の形状のスロットが切り抜かれた連続部材として示されている。幾つかの実施形態において、スロットは、直線状に切り抜かれており、互いに平行な側部を有する。或いは、スロットは、図4〜図6に示すように側部に角度を付けて切り抜くこともできる。これらの図の各々は、スロットに対してほぼ垂直に見たスロットの断面を示している。図4は、円弧体170が先細の端部171を有する実施形態を示す。円弧体170は、一対の対向する表面を有するといえる。先細点171は、これらの対向する表面の各々から円弧体のほぼ中心平面にある点まで先細になる。簡単にするために、図4〜図6は、円弧体の一部をほぼ直線として示す。しかしながら、上記で検討したように、円弧体は実際には弓形である。
【0028】
好ましくは、円弧体170は、スロット174を貫通するものを除いて実質的にフォトンの全てを遮断する。これらのフォトンを適切に遮断するために、鉛のような特定の厚さのフォトン遮断材料が必要である。先細点171は、円弧体の残りの部分よりも厚さが薄い。従って、これらは、タングステン又は金のような更に高いフォトン遮断能力を有する材料で作ることが好ましいが、鉛であってもよい。これらの先細点171は、典型的には円弧体170の残りの部分を形成する材料に接合される。或いは、縁部を含む円弧体は、鉛などの全て1つの材料とすることができる。図5及び図6は、先細点173及び175の別の実施形態を示す。これらの実施形態では、スロットの縁部は、前部から後部へ、又は後部から前部への何れかで先細となる。図4の実施形態では、この先細点は、円弧体の残りの部分よりもフォトン遮断能力が高い材料で形成することが好ましい。スロットの縁部は、見る角度に関係なくスロットの縁部がより一貫性のある外観となる理由から先が尖っていることが好ましい。即ち、方形化縁部を有するスロットは、ある角度から見たときに実質的に狭く見える場合がある。スロットの縁を先細にすることにより、スロットは、より浅い角度又は深い角度で見たときに更に一貫して効果的な幅を有する。これは、放射線は大きな角度でアパーチャに入る可能性があるので、本発明の設計では特に重要である。或いは、「点」は、丸くすることもできる。
【0029】
本発明の幾つかの実施形態において、幅が調整可能なスロットを有することが好ましい。これにより、イメージングシステムの感度及び分解能を調整することができる。これはまた、較正を支援することもできる。図7及び図8は、幅が調整可能なスロットを設ける1つの方法を示す。図7は、円弧体に取り付けられた要素179を定める調整可能スロットを備えた円弧体177の一部の断面を示す。図8は、1つの調整可能な要素179を備えた円弧体177の一部の斜視図を示す。要素179の位置を円弧体177の残りの部分に対して調整することにより、スロット178の相対位置及び幅を調整することができる。図4〜図6の実施形態と同様に、端部要素179の薄い部分は、円弧体177の残りの部分よりも高いフォトン遮断能力を有する材料で形成するのが好ましい。端部要素179は、前後方向で先細であるように示されているが、図4〜図6に示す形状の何れであってもよく、或いは、スロットの縁部を更に方形又は円形にすることもできる。また、端部要素179は、対称である必要はない。更に、各スロットに単一の調整可能な要素を設け、スロットの他方の側部を可動でない縁部で形成することができる。当業者には明らかなように、端部要素179と円弧体177との間は、図示した方法以外の種々の方法で相互連結を形成することができる。また、当業者には明らかなように、スロット幅の調整も他の方法で達成することができる。
【0030】
V.視野
図9Aは、(上からの)患者の視野領域180、アパーチャ円弧体182及び検出器モジュール184の相対位置を図示している。検出器モジュールのセット及びアパーチャ円弧体が患者の周りに同心状に位置するのがわかる。心臓イメージングの1つの実施形態は、各々が個々の素子又はピクセルのアレイからなるほぼ64個の放射線検出器モジュール184を含む。この実施形態では、アパーチャ円弧体182は、ほぼ30cmの半径aで位置決めされ、検出器モジュール184は、ほぼ40cmの半径bで位置決めされている。ほぼ50cmの直径cを有する患者の視野領域は、円弧体182の内側に容易に適合する。アパーチャ円弧体182及び/又は検出器モジュール184のセットは、共通の円弧中心が縦方向軸線にある真の幾何学的円弧で配列することができる。或いは、片方又は両方を更に楕円形とするか、円弧中心を共有しない弓形とすることができる。例えば、円弧の中心は、円弧の半径が増大するように縦方向軸線から離れて位置付けることができる。また、円弧182及び/又はモジュールのセット184は、非弓形であってもよい。例えば、どちらかを一連の短い直線セグメントとして配列することもでき、或いは部分的に弓形で部分的に非弓形とすることもできる。別の実施例は、どちらかの弧の半径が異なる半径方向位置で異なり、曲率半径が「円弧」に沿って変化するようなる。
【0031】
アパーチャ円弧体182を検出器184と相対的に移動させる変位手段が設けられる。当業者には明らかなように、多くの異なる方法を用いて、アパーチャ円弧体を移動させることができる。例えば、アパーチャ円弧体182をウォームギア又は他の構成によりモータに連結し、患者の縦方向軸線を中心に限定された角度で回転させることができるようにする。当業者には明らかなように、円弧体を静止させたままで検出器だけが動くようにすることができる。しかしながら、この方法は、一般に更に複雑で費用がかかる。スキャンからの情報を処理するために、円弧体の位置を正確に求めるための手段も備える。当業者には明らかなように、この手段を設けるためには、光学的エンコーダ及び機械的センサを含む多くの方法が利用可能である。また、感知手段を用いて、変位手段のフィードバック制御を行うこともできる。アパーチャ円弧体を移動するための1つの方法のより詳細な検討を以下に記載する。
【0032】
VI.アパーチャ円弧体移動による掃引の考察
図10a〜図10cは、単一の検出器190及びアパーチャ円弧体の小セクション192を上から見た図を示す。この図は、アパーチャ円弧体192の3つの異なる回転位置での円弧体192と検出器190の相対位置を示している。各位置で、アパーチャスロット194の位置により、図示のように、検出器の応答ラインが特定の経路196に制約される。アパーチャスロット194が検出器190の前部で移動すると、検出器の見通し線は、患者にわたって扇形になり、複数の応答又は投影ラインが生成されるのがわかる。
【0033】
図9Aに示すような多数の検出器モジュール184、及び図3に示すような多数のアパーチャスロット174が存在するので、アパーチャ円弧体の各回転位置に多数の検出器応答ラインが形成される。図9Bは、アパーチャ円弧体204が回転するときに幾つかの検出器202から得られる少数のサブセットの応答ライン200を示す。簡単にするために、アパーチャスロット自体はこの図には示されていない。患者の胸部を通る概略的な「スライス」206が示されており、これは、断層撮影の再構成に十分なフルセットの心臓投影図がこのようにして得られることを示している。
【0034】
アパーチャ円弧体は、応答ラインが視野全体にわたって「掃引」するように連続的に移動するのが好ましい。或いは、アパーチャ円弧体は離散的段階で移動し、円弧体が各段階で停止するときイメージングを行うことができる。
【0035】
VII.単一アパーチャスロットだけで照射される各検出器
全ての検出器は、常に1つのスロットのみを「通して見る」ことが好ましい。スロット間隔は、各検出器が一度に1つのスロットだけで照射されるように決められる。フォトン全体の検出効率は、アパーチャ円弧体内のスロット数に比例する。許容可能なスロットの最大数nslotは、アパーチャスロットで利用可能な光線の入射の最大角度を表す角度φarc、検出器円弧の半径、及びアパーチャ円弧体上の円弧θAの所与の長さなどのアパーチャ円弧体上の円弧の最小長さの関数であり、所与の検出器が一度に1つのスロットを通る患者の視野(θA)だけを見るようにする。
【0036】
式中、ROは患者の半径、RAはアパーチャ円弧体の半径及び、RDは検出器弧の半径である。アパーチャ円弧体は、スロット間の間隔φarc/nslotで回転され、フルセットの角度投影を生じることが必要である。
【0037】
本発明の1つの実施形態では、患者の半径ROは、最大22cmと仮定され、アパーチャ円弧体の半径RAは30cm、検出器弧の半径RDは45cmである。検出器弧及びアパーチャ円弧体は、180度の角度φarcにわたり、弧の最小長さθAは36度である。これらの値に対して、この等式により、どの検出器も一度に2つ以上のスロットを通して見ないようにするためには、5つのスロットがスロットの最大数であることがわかる。従って、フルセットの角度投影を得るためには、アパーチャ円弧体は角度36度を通して回転することが必要なだけである。
【0038】
上の等式及び解では、このスロットが弧に沿って等間隔で配置され、角度36度で分離されていると仮定される。当業者には明らかなように、重大な問題は、実際にはスロット間の角度の分離であり、これによりスロット数が決まる。再び図3を参照すると、円弧体は5つのスロットを有するように示されているが、このうち1つは、図で見る角度によって屈曲部に隠れている。
【0039】
上の等式及び考察により、スロット間の分離が36度である5つのスロットが必要であるという結論に達するが、6番目のスロットを加えると有利である。図11Aは、円弧で配置された複数の検出器195、5つのアパーチャ197を有するアパーチャ円弧体196、及び視野198を備える本発明を概略的に示すものである。弧196は、時計回り位置の末端で示される。関心のあるフォトンが視野の何れかの場所から発生することができると仮定して、視野がどのように検出器の弧196上に「投影」されるかを示すように投影光線を引く。図示のように、幾つかのフォトンは、最後の検出器の時計回りの位置に投影され、従って、画像に寄与しない。同様に、反時計回り末端にある幾つかの検出器は、アパーチャ円弧体196の反時計回り末端ではアパーチャの「視界外」にあり、従って、この位置の弧には照射されない。検出器が照射されないことは、最適なシステム効率よりも劣ることを示す。
【0040】
図11Bは、その進行の中点でのアパーチャ円弧体を示す。図示のように、この位置では、全てのアパーチャ197を通る投影は検出器195の位置と一致するため、無駄になるフォトンはなく、照射されない検出器もない。
【0041】
図11Cは、反時計回り位置末端でのアパーチャ円弧体196を示す。この位置では、検出器組立体の時計回り末端での検出器は、照射されず、反時計回り末端でのアパーチャを通過するフォトンの幾つかは検出されない。
【0042】
この問題に対する1つの解決法は、より多数の検出器を設けることである。しかしながら、イメージングセクションの大きさが増大すると、装置コストが劇的に増大する。図11Dに好ましい解決法を示す。アパーチャ円弧体212は、ここでは、視野218から検出器216上にフォトンを投影する6つのスロット214を有する。しかしながら、これらのスロット間の間隔は上式から求めたものと変わらない(この例では36°)。図11Dは、時計回り位置の末端の弧212を示す。図示のように、6番目のスロットを加えたことにより、全ての検出器が示されている。図11Eは、進行範囲の中間においての弧212を示し、図11Fは、反時計回り位置末端での弧を示す。ここでもやはり、全ての検出器216が全ての位置で照射されるため、光収集効率が上がる。「付加的な」スロットを加えることにより、入射するフォトンが検出器の弧の長さに完全に適合するようになる。この構成では、全ての検出器がアパーチャスロットを介して常時照射され、これによりフォトン検出効率が最適化される。
【0043】
VIII.斜めアパーチャ
再び図3を参照すると、スロット174は、ほぼ垂直なスロットとして示される。即ち、該スロットは視野の縦方向軸線に平行である。本発明の別の態様によれば、スロットは、図12に示すように斜めとすることができる。図12は、貫通する斜めアパーチャ208を有するアパーチャ円弧体207を含む組立体を示す。斜めアパーチャは、調整可能な側部要素209により定められるように示されるが、代替的に弧207に切り込んだスロットにより形成することもできる。また、上記のスロットの実施形態と同様に、スロット縁部は、上記で開示された形状の何れかを含む種々の形態で先細とすることができる。当業者には明らかであるように、弧207に沿って間隔を置いて複数のアパーチャを配置することが好ましい。簡単にするために、図12には2つのアパーチャ208のみを示す。しかしながら、付加的なアパーチャがあることが好ましい。図12は、本発明の付加的な態様を示しており、これは、コリメータ設計に関して以下で検討する。角度付のスロット又はアパーチャ208を「垂直」から僅かに傾いた角度からほぼ水平までの範囲の種々の角度で備えることができる。更に別の方法として、スロットは、患者軸線に対して完全に「水平」にすることができる。また、アパーチャは、図12に示す角度に対して反対方向に角度を付けることもできる。
【0044】
アパーチャが「垂直」でありコリメータが水平、又はその逆である本発明の実施形態においては、分解能は、垂直及び水平方向で異なる。本発明の好ましい1つの実施形態によれば、アパーチャは1方向でほぼ45度の角度であり、コリメータは他の方向にほぼ45度の角度である。横断面のイメージング平面に対してアパーチャ及びコリメータに角度を付けることにより、イメージング平面を生じる全分解能は、本質的に等方性、即ち全ての方向で同じになる。これは、用途によっては、特に再構成されたデータを斜めの角度の平面に沿って再フォーマットする必要がある場合に望ましい。
【0045】
IX.コリメータ
再び図3及び図11A−Fを参照すると、アパーチャ円弧体及び検出器のセットにより、横断面平面内でコリメーションされるが、縦方向にはコリメーションされていない投影データが得られる。このため、本発明は、図13に示すように、縦方向又は断面平面コリメータのセットを備えることが好ましい。当業者には明らかなように、図13に示すコリメータ設計は、図3に示すような「垂直」アパーチャ円弧体に用いるように設計される。縦方向コリメータは、図示のように配列された一連のスタック様の円弧状ベーン220からなり、図示の検出器222の円弧配列と同心円状に配置される。アパーチャ円弧体は、この図では省略しているが、縦方向コリメータベーンと同心円状に配置される。ベーンは、相互に平行であり、患者の縦方向軸線にほぼ垂直であることが好ましい。ベーンは、鉛又は同様の減衰材料のシート又はパネルであり、放射線透過性プラスチック発泡体又は同様の材料(図示せず)からなるスペーサで分離することができる。ベーンの数、大きさ、及び厚さは、用途に応じて変えることができる。
【0046】
図14は、アパーチャ円弧体230が付加されていること以外は図13と同様である。各検出器232の各個々の検出器素子(ピクセル)は、アパーチャ円弧体スロット236のコリメート作用と縦方向コリメートベーン238とを組み合わせることにより患者の視野に配向された独自の応答ライン234を有することがわかる。
【0047】
当業者には理解されるように、ベーン220は、アパーチャ円弧体内のアパーチャにほぼ垂直な平面内に設けることが好ましい。図13及び図14の実施形態では、コリメータのベーンは、これらが患者軸線に「垂直」であるので、「水平」とみなすことができる。再び図12を参照すると、コリメータ210が、角度を付けたアパーチャにほぼ垂直になるように角度が付けられているのがわかる。図が煩雑になるのを避けるため、図12には5つのコリメートベーン210のみが示されている。しかしながら、ベーンは、矢印で示されるように組立体全体に沿って設けられることが理解されるであろう。アパーチャが他の角度で角度を付けられる場合には、ベーン210はまた、該アパーチャに対して垂直を保つように角度を付けることができる。もしくは、コリメータベーン210及びアパーチャ208は、互いに垂直以外の角度をなすようにしてもよい。
【0048】
X.分解能及び効率
本発明によるシステムの面内分解能は、検出器及びアパーチャ円弧体の半径RD及びRA、アパーチャ円弧体からの対象物の距離Dist、並びにスロット及び検出器素子の幅、それぞれWslot及びWdetによって決まる。
【0049】
【0050】
図15は、従来の平行穴コリメータに対し、本発明の異なる深さ(コリメータから患者の関心のある点までの距離)での分解能をプロットする。スロットを設けた円弧システムのスロット幅は2.4mm、検出器幅は4mmであり、他のパラメータは図4に関して検討したものと仮定する。データをプロットした平行穴コリメータの穴直径は2.2mm、コリメータ厚さは3cmである。
【0051】
スロット付きアパーチャシステムの検出効率は、視野の中心の点源に対する検出器立体角Ωに比例し、Rogers(IEEE TIMI 第MI−1巻63〜68頁、1982年)に基づいて、次式のように計算することができる。
ここで、robj及びrDは、それぞれ、半値全幅対象物及び検出器分解能、pdetは検出器の比質量偏差、fは縦方向コリメートベーンにより閉じられた前部領域の割合である。本発明の構成では、f=ベーン厚さ/ベーン分離である。
【0052】
アパーチャ円弧体が検出器に対して異なる位置に移動すると、アパーチャスロットの見かけ上の幅は、スロットと検出器との間の角度の正弦関数として変化することになる。また、スロットから見たときの検出器の見かけの幅も、同様の関数に従って変化するので、全体的な検出効率は、検出器−スロットの角度の正弦の二乗の関数として変化することになる。正確な関数は、検出器素子のフォトン断面(検出器厚さの関数)及びスロットアパーチャのフォトン断面に依存することになる。このスロット位置での検出器感度の変化は、所与の検出器に対して容易にマッピングされ、従来のガンマカメラで定常的に行われる検出器均質補正と同様にしてソフトウェアで補正することができる。
【0053】
本開示の方法に従って構成されたイメージングシステムは、検出器感度の不均質性が存在する場合には、回転ガンマカメラSPECTシステムに見られる構造化画像アーチファクトに対して比較的感度がない点に留意されたい。本明細書で説明されたシステムにおいて、特定の比較的感度のない検出器素子により引き起こされる低いカウント感度は、従来のシステムに見られる構成化「リング」又は「円弧」アーチファクトとして見えるのではなく、画像平面全体にわたって広がる。こうしたアーチファクトは、現在のアーチファクトシステムを乱す場合が多い。
【0054】
XI.コリメータ構成
当業者には明らかなように、鉛コリメータの構築は相当困難である。鉛は、極めて高密度であるが、あまり剛性がなく、強靭でもない。従って、鉛のベーンは重くて損傷を受けやすい。従来の平行穴コリメータでは、ベーンは極めて薄く作られ、複数の小さな平行穴が形成されている。コリメータの穴の深さは、鉛材料の強度及び剛性により幾分制限される。即ち、特定の深さより深いコリメータが構築されることになる場合には、時間の経過と共に薄い鉛のベーンは実際に撓み、コリメータの有用性が失われる可能性がある。同様の検討事項は本発明にも当てはまる。図13の220及び図12の210などのコリメートベーンは、大きくて重いため、個々のベーンを適切に支持する方法が課題となる。更に、個々のベーンが正確に位置決めされて位置合わせされることが重要である。
【0055】
本発明の別の発明の態様は、各鉛ベーンの間に放射線透過性材料のシートを配置したスタックで形成されることにより支持された平行な鉛ベーンを備えるコリメータを提供する設計である。図16は、本発明のこの態様に従って構築された平行なベーンコリメータの一部を示す。また、図16は、下部支持部材240及び上部支持部材242を含む支持構造体の一部を示す。
【0056】
図17は、本発明の1つの実施形態による下部支持部材240及び上部支持部材242の全体を示す。しかしながら、図17には、支持組立体内部のコリメーション組立体は示されていない。図17を参照すると、下部支持部材240及び上部支持部材242が、支持組立体244の一部を形成する。この支持組立体244は、図1A及び図1Bに示すようにイメージング円弧体106の一部を形成する。これは、図17に245で示す患者の視野の周りを覆う。組み立てられると、イメージング円弧体は、支持組立体244、その内部に支持された平行なベーンコリメータ組立体、単一又は複数の検出器、及びアパーチャ円弧体を含む。また、これは、内部作業を保護し、審美的に優れた外観にするようにハウジングで覆うことも好ましい。支持組立体244の1つの端部は、イメージング円弧体を支持するために椅子ベース108と相互連結される。これは、種々の方法で達成することができる。或いは、弧の中間に追加の支持体を設けてもよい。
【0057】
再び図16を参照すると、平行なベーンコリメーション組立体の一部が246で示されている。コリメーション組立体は、放射線透過性材料250のシート又はパネルが鉛シート248で分離された鉛248のシート又はパネルを含む。コリメータ組立体は、鉛シート、次に放射線透過性シートを積み重ね、その後図示するように十分に高いスタックが形成されるまでこの工程を繰り返すことにより形成することができる。放射線透過性材料は、鉛シートの相対的位置決めを維持し、鉛シートのどのような撓み又は移動も防ぐ。好ましくは、鉛シート及び放射線透過性材料のスタックの上部で、且つ上部支持部材242の下に圧縮パネル又は上部支持プレート252が設けられる。ねじ切り部材254のようなバイアス装置を次に設け、圧縮パネル252を下向きに押し付ける。これによりスタック246が圧縮されて安定化される。好ましくは、スタックの上面又は下面に厚い鉛シート、又は他のフォトン遮断材料253を設け、フォトンがコリメータ組立体の上面又は下面に入らないように遮断する。
【0058】
当業者には明らかなように、この組立手順の変更形態を用いて、図12に示すようなコリメータ組立体を構築することができる。本発明の別の態様によれば、関連する方法を用いて、平行穴コリメータを形成することができる。即ち、平行穴コリメータは、平行穴コリメータの穴を充填する放射線透過性材料を用いて形成し、これにより、コリメータベーンを支持することができる。平行穴コリメータは、穴間の鉛隔膜(septae)が脆弱であるので、使用時に損傷を受けることが多い。本発明によれば、コリメータの穴は、構築時に放射線透過性材料で充填することができる。これにより、平行穴コリメータが実質的に中実のブロックになり、これは、損傷に対する耐久性がより高くなる。また、これにより、これ以外の方法で実施されることになるものよりも更に深く及び/又は薄いベーンを形成及び支持することが可能になる。
【0059】
再び図17を参照すると、本発明による平行なベーンコリメータ組立体を形成する別の方法は、上部及び下部支持部材240及び242を引張り部材256などにより互いに対して伸長することにより提供することができる。即ち、鉛パネルと放射線透過性パネルとの交互スタックを下部支持部材240上に配置して、上部支持体パネル242で覆い、圧縮又は引張り部材256を用いて加圧することができる。本発明による平行ベーンコリメータは極めて重く、従って、片持ち円弧支持組立体がかなりの荷重を担うことは当業者には理解されるであろう。図18は、支持組立体が、図示のように左に角度を付けられ、又は右に角度を付けられ、或いは両方である複数の角度付引張り部材258を含むことができることを示す。引張り部材は、構造及び支持を提供する際に自転車のスポークのように作動する。また、これらにより、電子機器にアクセスし、且つ冷却するために円弧に対して実質的に後部開放とすることができる。
【0060】
図19は、本発明のイメージングセクションの一部の断面図を提供する。これは、下部支持部材240、上部支持部材242及びその間に位置付けられた鉛シート248を示す。放射線透過性材料は、この図には示していない。しかしながら、入射するフォトンを検出するための電子機器パッケージ又は検出器アレイは、全体的に260で示されている。この検出器アレイは、以下に更に詳細に論じることにする。
【0061】
本発明の設計により、これまでコリメータ設計に関して利用不可能であった利点が提供される。従来、コリメータの設計者は、コリメータ穴の深さ対幅比を制限してきた。即ち、コリメータにより定められる穴は、前後間の深さと側部間又は上下間の幅とを有するとみなすことができる。(平行穴コリメータでは、側部間及び上下間の幅は、通常同じである。本発明では、「側部間の幅」はアパーチャ円弧体のアパーチャの大きさの関数であり、上下間の幅は平行なベーン間の間隔の関数である。)先行技術では、深さ対幅比が10:1より小さいことが最適とみなされてきた。実際、文献では、10:1比は、無限大比とほぼ同等であると述べられている。言い換えると、深さ対幅比が10:1を超えることに対して除外理論が教示されている。更に、コリメータの先行技術設計では、深さ対幅比を極めて大きくすることが特別困難になった。深いコリメータには、構造的一体性の問題がある。先行技術設計において大きな深さ対幅比を得るためには、自己支持するには過度に薄く且つ大きなベーンが必要である。従って、大きな深さ対幅比は実現性が無いと教示されている。
【0062】
本発明は、先行技術の方法とは劇的にかけ離れている。本発明の1つの実施形態では、鉛シートの厚さは、図16にAで示されるようにほぼ2mmである。放射線透過性シートの厚さはほぼ4.5mmである。従って、隣接する鉛シート間の「間隙」は、ほぼ4.5mmである。この同じ実施形態では、図19でCで示される鉛ベーン248の前後間の深さは、ほぼ150mmである。この実施形態では、深さ対幅比は、33:1より大きい。本発明の更に好ましい実施形態では、鉛ベーンの厚さはほぼ1.25mmである。しかしながら、間隙は、ほぼ4.5mmで同じままである。従って、深さ対幅比は同じままである。本発明によれば、深さ対幅比は、先行技術の最大値である10:1より大きいことが好ましい。更に好ましくは、深さ対幅比は20:1より大きい。更に好ましくは、深さ対幅比は、30:1を超える。
【0063】
本発明によれば、鉛ベーンの厚さが0.5mmより大きいことも好ましい。更に好ましくは厚さが0.75mmより大きく、更に好ましくは厚さが1mm又はそれ以上であり、最も好ましくは厚さが少なくとも1.25mmである。これらの厚さもまた、先行技術とは劇的にかけ離れている。先行技術の高分解能の平行穴コリメータは通常、厚さが0.2mm以下の鉛ベーンを有し、鉛ベーンを更に薄くするために相当な労力が費やされている。
【0064】
先行技術よりも実質的に大きな深さ対幅比を用いること、並びに実質的に厚い鉛ベーンを用いることにより、先行技術では認められず評価もされなかった有意な利点が得られる。
【0065】
SPECTイメージングでは、フォトンが進む方向、フォトンのエネルギーレベル、及びその方向から来るフォトンの数を正確に求めることが重要である。これらのフォトンは、鉛が十分に厚くない場合には透過するのに十分なエネルギーを有する。先行技術の平行穴コリメータでは、薄い鉛ベーンは通常、フォトンの多くが貫通するのを止めるには薄すぎる。従って、特定の領域に衝突するフォトンは、その領域に隣接する穴から真っ直ぐ下に進むと仮定することはできない。代わりに、フォトンは、異なる穴で発生し、隣接する穴と検知される穴との間の鉛ベーンを透過する可能性がある。その結果、精度が犠牲になる。これにより、結果として得られる画像にぼけが生じる。また、コリメータの穴の深さ対幅比もイメージング装置の分解能に影響を及ぼす。コリメータ穴が短く幅広である場合には、フォトンは、穴の軸線から十分に離れた角度でこの穴に入ることができる。穴が深く幅狭である場合には、この穴の直ぐ下に進む入射フォトンの角度の範囲は遥かに狭くなる。
【0066】
本発明では、実質的に厚いベーンを用いると共に、極めて大きな深さ対幅比を有するコリメータを用いることにより、精度又は分解能が実質的に増大することになる。ベーンが厚く深さが極めて深いので、コリメータの後部でセンサに到達する任意のフォトンは、アパーチャ円弧体のアパーチャを透過し、且つ隣接する鉛ベーンの間を通過したと仮定することができる。言い換えると、各フォトン「カウント」が良好なカウントになる。
【0067】
また、先行技術では、本発明よりも遥かに小さい間隙を用いる傾向がある。本発明の実験では、4又は4.5mmのオーダーの大きな間隙を厚い鉛ベーンと共に用いると精度及び分解能が高くなることが示された。本発明の別の態様として、2mmより大きな間隙を用いることが好ましく、更に3mmより大きな間隙が好ましく、最も好ましくは4mm又はそれ以上の間隙である。
【0068】
再び図19を参照すると、センサアレイ260は、コリメーション組立体の後部に隣接して位置付けられる。幾つかの実施形態において、個々のセンサは、ベーンの最後部端の直ぐ隣りに位置付けられ、他の実施形態では、センサは、ベーンの後部から短い距離だけ間隔を置いて配置される。ベーン248の後部とセンサとの間の間隙が増大すると、フォトンがベーンで遮断されることにより引き起こされる有効な暗黒領域が幾分減少する。好ましい1つの実施形態では、センサは、ベーンの後部から2〜3mmだけ間隔を置いて配置される。
【0069】
XII.延長フラップ
図1及び図4に示すように、心臓イメージングに最適な実施形態では、円弧形状のイメージング機器を用いて、患者がイメージングシステムに容易に出入りできるようにする。しかしながら、アパーチャ円弧体が回転すると、円弧の開放領域内に僅かに延びることになる。従って、本発明には、図20A及び図20Bに示すように、任意選択的にアパーチャ円弧体の一方又は両方の端部に位置決めされることになる枢動延長フラップを設ける。この図は、その長さを延びる延長ベーン302を含むアパーチャ円弧体300の一方の端部を示している。図20Aは、円弧の移動の一方の末端位置のアパーチャ円弧体300及びベーン302を示しており、図20Bは、別の末端位置でのアパーチャ円弧体300及びベーン302を示している。延長ベーン302は、ヒンジ304によりアパーチャ円弧体に移動可能に取り付けられる。枢動ロッド306は、アパーチャ円弧体が移動することにより延長ベーンが該ロッドに押し付けられると、図20Bに示すように延長ベーンを枢動させて患者から離れるようにベーンの経路に配置される。これは、円弧又はベーンの開口への延長を最小にしながら、検出器を望ましくない外部放射から遮蔽する。
【0070】
ここで図21を参照すると、アパーチャ円弧体の1つの好ましい構造が示されている。アパーチャ円弧体は、310で示されており、イメージング円弧体の支持構造体の底部を形成する支持部材240上に支持されている。この実施形態では、アパーチャ円弧体310は、間にアパーチャ314を設けるように互いに隣接して位置付けられた個々の弓形パネル312で形成される。アパーチャ314の幅は、パネル312の相対位置により定めることができる。アパーチャ円弧体310は、支持部材240の軌道内で支持され、一連のベルト及びプーリーを駆動する駆動モータ316により移動する。
【0071】
XIII.検出器の変形形態
ここで検出器又はセンサ設計に移ると、本発明に種々の方法を用いることができる。図2及び図3は、1次元の直線状アレイとみなすことができるストリップ検出器を示している。また、本発明では2次元アレイも提供される。このようなアレイは、一体型ユニットとして設けることができ、或いは、2つ又はそれ以上の1次元アレイを極めて近い距離で配置することにより近似することもできる。イメージングシステムの全体感度は、利用可能な検出器表面積に直線的に比例する。
【0072】
図22〜図24を参照すると、本発明に用いるセンサ組立体の好ましい実施形態の3つの図が全体的に320で示されている。図23に最もよく示されるように、組立体320は、3つの2次元センサアレイ322、324、及び326を含む。各センサアレイは、図24の328のような一連のセンサモジュールから形成される。センサモジュールは、固体CZT(テルル化カドミウム亜鉛)であり、或いは代替としてテルル化カドミウムを用いてもよい。図25は、センサモジュール328のうちの1つの断面図を示す。モジュールは、前面に複数の小さな薄い正方形電極332を備えたCZTの中心本体330を有する。後部表面には大きな電極が設けられ、符号336の後部には、センサからのデータ信号を処理するためのチップが備えられている。フォトンは、センサモジュール328の前部表面に衝突し、モジュールにより感知される。図26は、チップ338が検知材料340により半分だけ覆われた別の実施形態を示す。また、図26は、モジュールの面上の電極342の構成を示している。
【0073】
図22及び図24は、感知組立体のための冷却マニホルド346を示す。
【0074】
当業者には公知のように、固体フォトンセンサは、内部傷を生じること無く作ることは困難である。図25を参照すると、CZT材料の本体330は、生成又は製造中に傷を生じる可能性がある結晶体である。本体330に傷がない場合には、前面を通過してCZT本体330に入るフォトンにより、このフォトンの存在を電極332及び334により検知することが可能となる。図26に示すように、電極342は2次元のグリッドを定める。その結果、フォトンが衝突する位置は、どの電極がフォトンの存在を検知するかを割り出すことにより求めることができる。CZTに傷がある場合には、フォトンが衝突する箇所が検知されないデッドスポットが存在する可能性がある。典型的には、CZT本体の前部上の電極は、1つの電極が情報の1つの「ピクセル」を感知する役割を負うような大きさ及び間隔にされる。典型的には、ピクセルの大きさは、感知システムの所望の分解能に等しくなるように選択される。心臓の感知では、分解能がほぼ4〜4.5mmであることが好ましい。従って、電極は、通常は中心が4〜5mmに配列され、1つの電極が各「ピクセル」に対処するようになる。CZTに傷がある場合には、この傷によりデッドピクセルが生じる場合があり、これが画像品質に重大な影響を及ぼす可能性がある。
【0075】
本発明の別の態様によれば、所望の分解能(この場合には4〜4.5mm)は、更に小さなセグメントに分割され、更に小さな電極が使用される。図26では、ボックス350は、ほぼ4〜5mm幅及び高さの領域を表す。しかしながら、この領域に単一電極を有するのではなく、この「マクロピクセル」は、各々が自己電極352を備えた4つのピクセルに分割される。マクロピクセル350の下のCZTに傷がある場合には、該傷により通常は電極352の1つに関連する1つのピクセルのみが不良となる。例えば、4つの電極の1つは、感度のない、又は感度が低い、或いは稀には感度の高いCZTの一部と関連付けることができる。次に、センサモジュールを較正し、4つの電極352からのデータを処理してマクロピクセル350から意味のあるデータを得ることができる。例えば、1つの電極が故障しているピクセルに関連する場合には、残りの3つのピクセルからの出力を組み合わせて、3/4を乗算し、マクロピクセル350に対する出力を得ることができる。このように、CZT本体を有するセンサモジュールに幾つかの傷があっても尚使用可能である。図26のモジュールでは、電極352は、側部間及び上下間の寸法はほぼ2.46mmであり、隣接する電極の間隔はほぼ.04mmである。特に心臓用途に最適化された別の好ましい実施形態では、電極間のピッチはほぼ2.25mmである。再び図19を参照すると、センサ組立体260は、鉛ベーン248の後部に隣接して示されている。図27は、ベーン362を通してみたセンサアレイ360の図を示す。幾つかの実施形態において、ベーン362間のピッチは、電極364間のピッチで均等には割り切れない。例えば、1つの実施形態では、ベーン362間のピッチはほぼ6.5mmであるが、電極364間のピッチはほぼ2.5mmである。ベーンとピクセルとの間の位置合わせによるモアレパターンを避けるために、ベーン間の各間隙のピクセルの数はほぼ同じであることが望ましい。この実施形態では、ベーンのピッチがピクセル又は電極の倍数ではないので、センサアレイ360は、中央のベーン366に中心を有するように配列される。図27に示すように、この配列により、電極、従ってピクセルがベーン362の1つの直ぐ後ろに位置することが防止される。
【0076】
本発明はまた、付随する光電子増倍管又は固体光ダイオードなどの他の光検出器を伴う、ヨウ化ナトリウム又はヨウ化セシウムのようなシンチレーション材料から構築される放射線検出器を提供する。図28は、シンチレーションベースの検出器モジュール400の1つの実施形態を示す。この実施形態は、アルミニウムなどの放射線透過性で光反射性の被覆物404で覆われたシンチレーション材料の円筒形結晶体402を含む。被覆物404は、円筒体の両端が開いている。各短端部に光カップリング材料を介して取り付けられているのは、光電子増倍管、光ダイオード、又は他の光検出器(図示せず)などといった光検出器である。シンチレーション材料内で生じるシンチレーション事象の位置は、2つの光検出器の出力比により求められ、従って、検出器内の縦方向位置が感知される。この実施形態は、製造が極めて安価であるが、円形断面にわたってシンチレーション厚さが変化することにより、水平方向寸法にわたりフォトン検出効率の変化が生じるという欠点がある。これにより、検出器の応答関数の偏差が正直角関数から偏移し、従って空間分解能が僅かに低下することになる。
【0077】
図29A−Cは、アルミニウムなどの放射線透過性で光反射性材料422で覆われたシンチレータ材料の矩形バー420からなるシンチレータベースの検出器の更に効率的な実施形態を示す。図29Bでは、被覆物は、光検出器424を配置することができるように上面及び下面が開放されている。図29Cに示す別の実施形態では、被覆物は、モジュールの後部で開放され、2つ又はそれ以上の光検出器426を固定できるようにする。何れの場合でも、光検出器は、シンチレーション材料の端部に隣接するとみなされるため、シンチレーション事象の位置を特定することができる。
【0078】
図30は、上記図と同様に、反射材料432で覆われた台形断面を有するシンチレータ材料430の要素を示す。図29A〜図29Cの実施形態と同様に、光検出器は、モジュールの上面及び下面又は後面の何れかに固定することができる。台形断面を有する実施形態では、入射放射線に対する断面が更に均等になるという利点があるが、製造コストが高くなる。即ち、前面に角度を成して入射する放射線は、依然としてシンチレータ材料の全深さに遭遇する。
【0079】
断層撮影システムの軸方向分解能は、上述のように検出器の幅に直接依存する。詳細には、検出器の幅が狭い程、システムの軸方向分解能が増大する。しかしながら検出器の幅が狭くなるにつれ、幅の狭い検出器の前面に衝突するフォトンは、その全てのエネルギーを蓄積させる前に検出器材料から散乱する可能性があるので、フォトン検出効率が低下する。本発明によれば、高分解能のシンチレーション材料の細長いストリップの効率は、その前面の一部をマスクすることにより改善することができる。図31Aは、シンチレーション材料の矩形要素に基づく検出器構成440を示す。図31Bは、シンチレーション材料の円筒形要素に基づく検出器構成442を示す。図31Cは、台形断面のシンチレーション材料要素に基づく検出器構成44を示す。これらの実施形態の各々においては、反射被覆物446に加えて、シンチレータは、鉛、タングステン又は同様の高減衰材料の付加的なマスク層448で覆われる。この外部マスク又は遮蔽層は、検出器断面に対して望ましい寸法の幅の狭い垂直開口450を有するように構成される。フォトンが開口を通過してシンチレーに衝突すると、シンチレータ材料の外側で散乱するのではなく、マスク448の開口450の後部に位置する大容量のシンチレータ内で更に散乱が生じる可能性が高い。所望であれば、低Z材料(図示せず)の付加的な層を被覆層と遮蔽層との間に介在させ、マスク448によって照射される二次鉛X線を吸収するようにすることができる。当業者には明らかなように、図31Dに示す検出器では、幅の狭い検出器の高分解能を有する幅広の検出器の効率が改善されている。図2に示すような固体検出器に対して同様のマスキングを適用することにより、同様の利点を得ることができる。
【0080】
図34を参照すると、同様のマスキング方法をシンチレーション材料の2次元要素に適用し、上述の利点を有する検出器452を形成することができる。詳細には、シンチレーション材料454の要素は、ストリップ456でその面に施した鉛マスクを有する。幅の狭い垂直方向開口458は、該開口と位置合わせしたフォトンが入ることができるようにされる。図14〜14cの実施形態のように、これにより精度が向上する。光検出器459は、シンチレーション材料454の後部に位置付けられ、「アンガー論理」のような手段により、どこで光のパルスが生じるかを検出することができる。面の一部がマスクされているので、電子機器は、フォトンがマスク領域内に衝突しなかったことを「認識」しており、従って、衝突位置を更に正確に特定することができる。検出器表面の特定の部分をマスクすることにより、実際には、光の所与のパルスの位置の不確実性が減少し、従って、その位置を更に正確で精密に求めることができる。
【0081】
図32は、上記の図で説明したが、光カップリング材料464を用いることにより光検出器462を後面に取り付けたバー形のマスク検出器モジュール460の構造を詳細に示す。固体検出器モジュールにも同様のマスキング構成を用いることができる。
【0082】
当業者には明らかなように、種々の形式の光検出器は幾分高価である。従って、必要な数を減らすことが望ましい。本発明の別の実施形態によれば、シンチレーションベースの検出器の各々には、1つのファイバーを検出器の各端部に連結して1ペア又はそれ以上の光ファイバーを取り付けることができる。ファイバーは、上面及び下面及び/又は上面及び下面に隣接する背面に連結することができる。次に、光ファイバーは、位置感度を有する形式の光電子倍増管まで通すことができる。これらの容易に入手可能な多重チャネル光電子倍増管は、個々の管の面にわたる複数の位置に対して識別可能な出力を生成することができる。このような光電子倍増管は、次いで、種々の検出器から走る多数の光ファイバーからの光パルスを感知することができる。このようにして、光検出器の総数が削減される。同様な方法を2次元のシンチレーションベースの検出器に適用することができる。材料の後部に装着された光検出器を用いるのではなく、複数の光ファイバーを用いて、光を多重チャネル検出器まで通すことができる。
【0083】
上記で検討したように、シンチレーションベースの検出器のコアを形成するシンチレーション材料の要素は、アルミニウムなどの放射線透過性で光反射性の材料で覆われる。これにより、光検出器で感知される光パルスの輝度が増大する。しかしながら状況によっては、この反射性は、フォトンがシンチレーション材料に衝突する縦方向位置を求める光検出器の能力を妨げる可能性がある。従って、シンチレーション材料の1つ又はそれ以上の表面の反射率を低減することが有利である可能性がある。この目的のため、被覆する前に表面を粗くすることができ、又は被覆物の特定の領域を粗くすることもでき、或いはシンチレーション材料又は被覆物の何れかに低反射率コーティングを塗布することもできる。或いは、反射体の長さに沿って反射率を変えることが望ましい場合もある。例えば、シンチレーション材料の片側の表面上の粗いストリップは、検出器の長さに沿って幅を変えることができる。ストリップは、中心の幅を狭くして、反射率を高いまま保持し、端部近傍では幅を広くして反射率が減少するようにすることができる。これにより、中心近傍の事象が端部で検出される可能性が高くなる。
【0084】
XIV.検出器及び円弧を両方移動させることができる
検出器モジュールの間隔が疎である場合には、本システムにより行われる角度サンプリングのパターンに間隙が見られる。このような間隙の重要性は、アパーチャ円弧体が移動するときに得られるデータの角度「ビン」の数に依存する。加えて、不完全な角度サンプリングにより引き起こされるアーチファクトの有意性は、臨床環境によって決まる。このようなアーチファクトが好ましくない場合には、本発明は、任意選択的に限定された角度範囲502を通して検出器モジュー500の円弧を回転させるための手段(図33)を提供し、このような移動は、連続的又は限定された数の不連続な段階の何れかで生じる。検出器の円弧の移動範囲は、検出器間の間隔に等しい。検出器移動の各段階で、アパーチャ円弧体504は移動506の範囲にわたって移動する。このように、検出器母集団が疎であっても角度投影の完全なセットを得ることができる。
【0085】
或いは、本発明による断層撮影システムは、システムのコストを低減するために少数の検出器を備えることができる。本システムは、分解能が低下することになるか、スキャン時間の増大を必要とすることになるかの何れかである。後で、既存の検出器間の位置に付加的な検出器を付加することによりシステムをアップグレードすることができる。
【0086】
XV.較正
当業者には公知のように、核医学イメージング装置には定期的な較正が必要である。典型的な平行穴のガンマカメラでは、較正を行うために片側に放射性材料を有する材料のシートをコリメータの面に接触させて位置付ける。本発明では様々な問題が生じる。管状放射線源は患者軸線に位置決めすることができる。しかしながら、幾つかの位置にわたって各円弧位置で長い照射時間を必要とするため、較正は極めて時間がかかることになる。また、このことにより、較正工程の間に室内が許容できない放射線レベルになる。図35は、好ましい較正方法を示す。アパーチャ円弧体の一部を510で示し、アパーチャを512で示す。較正部材514は、アパーチャ512に隣接して位置付けられる。これは円弧形状であり、図示したものよりも小さな半径及び曲率であってもよい。内側表面516は、その上に放射性材料を有し、該放射性材料によりフォトンがアパーチャ512を通って進むように位置決めされる。これによって、放射性材料が、アパーチャを「見る」ことができるセンサの全視野を覆うことになる。明らかに、複数の較正部材514が用いられ、1つがアパーチャの各々に配置される。これによって装置を迅速に較正することができ、較正装置をコンパクトに収納することができ、放射線への露出を最低限にすることができる。
【0087】
XVI.代替構成
上記で説明した本発明の実施形態は、検出器アレイ、コリメータ、及び遮断部材の各々の形状が弓形であるように仕様が定められている。当業者には明らかであるように、他の形状も可能である。例えば、検出器は、矩形又は正方形配列にレイアウトすることもできる。遮断部材及びコリメータも同様の形状にすることができる。別の実施例として、ストリップ又は2次元の検出器の何れかのセットは、視野の周りの種々の位置で直線状の列に配列することができる。この方法は、2次元の検出器520を用いて図36に示される。検出器520の各列は、その前方に位置付けられた直線シートの形態の遮断部材522を有する。遮断部材522は、貫通して形成されたスロット524のようなアパーチャを有し、矢印Dで示されるように移動し、ライン又は応答が視野を掃引するようにする。また、本明細書の他の実施形態で検討したコリメータを備えることもできる。更に別の形態では、検出器は、ストリップ又は2次元の何れであっても、図36に示すように配置することができ、円弧又はリング形状の遮断部材を用いることができる。この配列又は図36の配列は、180度と360度との間の円弧を覆うことができる。これらの実施形態では、2次元の検出器を用いる場合には、ガンマカメラに用いるような従来の大きな2次元の検出器を幾つかの(好ましくは4つの)要素に切り分け、これらの実施形態に必要な小さな2つの2次元検出器を得る。これにより構成要素の合計コストが低減される。
【0088】
用途によっては、本発明のシステムは他の付属物を含むことができる。例えば、心臓作業では、患者に運動を行わせることにより心臓にストレスをかけることが望ましい場合がある。この目的で、システムは、永久的又は取り外し可能の自転車エルゴメータを含むことができる。また、本システムは、心電図及び/又は組込み型心臓細動除去器を含むことができる。また、静脈輸液ポンプを含めることもでき、取り付けることも可能である。
【0089】
XVII.構造的考察
図37は、図18に示すものと類似したイメージング円弧体610の支持組立体を示す。しかしながら、図37は、上部支持部材612と下部支持部材614との間の付加的な方向に走る対角スポーク又は引張り部材を有する円弧体を示す。スポークは、垂直方向のセットと第1及び第2の対角方向のセットとを含むと考えることができる。垂直方向のセットのスポークを代表する水平スポークは616で表記される。第1の対角方向のセットのスポークを代表するスポークは618で表記され、第2の対角方向のセットのスポークを代表するスポークは620で表記される。図示するように、各セットは、円弧体に沿って配列され、上部及び下部支持部材612及び614の間に延びる同様に位置決めされた複数のスポークを含む。円弧体610は、3つのスポークのセット全てによって構成することができるが、1つ又は2つのスポークのセットだけで構成することもできる。好ましい1つの実施形態では、620で表される第2のセットの対角スポークだけが設けられる。上記で考察したように、支持組立体610は、本発明のイメージング装置のレスト部に取り付けられたベース部又は固定端部622を有し、円弧体の残部はベース622から自由端部まで延びる。幾つかの実施形態では、円弧体610の残部は、支持されておらず、従って、自立型にする必要がある。円弧体610はかなり重い場合があるので、その長さに沿う撓み及び捩れに耐えるように構成する必要がある。620で示されるスポークを設けることにより、円弧体の撓みを幾分補償することができる。当業者には明らであるように、スポーク620を締めることにより、スポークが緩む場合にとることになる位置に対して円弧体610の片持ち自由端部を持ち上げることができる。場合によっては、616及び618で表されるスポークも付加的な構造を与えるか、他の補償を与えるようにすることができる。
【0090】
円弧体610は、プラスチック及び鉛の複数のシートで構成されるコリメータを含むことが好ましい。実験では、上部支持部材612及び下部支持部材614が互いに堅固に引かれない場合には、円弧体の端部が幾分持ち上がる可能性があり、これにより、コリメータ組立体の個々のシートが互いに対して極めて僅かに滑動するようになることが示された。次に、2つの支持部材612及び614が互いに圧縮されると、コリメータ組立体の個々のシートが互いに固定され、円弧体610全体の剛性が大幅に増大する。従って、円弧体は、固定具を用いるなどにより好ましい位置に移動することができ、次いで、種々のスポークを引き締めて、上部プレート612及び下部プレート614を互いに堅固にクランプすることができる。
【0091】
図38を参照すると、円弧体の断面が示される。この実施形態では、コリメータ組立体630は、下部支持プレート632と上部支持プレート634との間に支持された鉛及びプラスチックの複数の交互層で構成される。ねじ調節部材636は、下部プレート614を通って下部支持部材632まで、及び上部プレート612を通って上部支持部材634まで延びる。種々の部品は縮尺通りではない可能性がある。調節部材636を調節することにより、コリメータ組立体630の位置は、円弧体の残部に対して調節することができる。当業者には明らかであるように、弧の長さに沿う複数の場所に調節部材を設け、円弧体の長さ全体にわたりコリメータ組立体の位置を調節することができるようにする。種々の調節部材636を調節することにより、その長さに沿うコリメータ組立体の撓みを補償することができる。加えて、コリメータ組立体のどのような捩れも調節することができる。好ましくは、コリメータ組立体は、各ベーンが実質的に平面になるように調節される。
【0092】
図38は、コリメータ組立体と円弧体の患者側との間に位置決めされたアパーチャ円弧体638を示す。円弧体の患者側は、640で示されるアルミニウムなどの放射線透過材料の薄いシートを有することができる。この材料640の薄片は、上部支持部材612を下部支持部材614に結合し、構造的に安定した円弧体を形成するようにする。単一のスポーク642が円弧体の患者から遠い側に示されており、これは616〜620に示されるようなスポークの1つを表す。
【0093】
図39は、材料640の薄片が付加的なスポーク644で置き換えられた別の実施形態を示す。図38の材料640のシートでは、フォトンの伝達が僅かに均一に減少するが、スポークを用いるとフォトンの通過が局所的に減少することになるため、材料640のシートが好ましい。しかしながら、当業者には明らかとなるように、この機械は、スポーク644が存在することを補償することができるように較正することができる。
【0094】
図40は、ここでは646で表記される円弧体の患者側のシートが、上部支持部材612の上部及び下部支持部材614の底部の周りに曲げられる別の実施形態を示す。これは、締結具の取り付けが容易になるので好ましい構成である。
【0095】
XVIII.データのリビニング
当業者には明らかなように、本発明によるイメージングシステムは、ほぼ矩形の平坦面を有する現行のイメージングカメラとは異なる形式でデータを提供する。これらの従来のカメラは、複数の角度から画像を撮り、各画像は、その角度から患者の2次元の「ピクチャ」を提供する。本発明では、フォトンは、複数の検出器により複数の角度から受け取られ、アパーチャ円弧体及び検出器が互いに相対移動するときに種々の検出器に対する応答のラインが患者領域にわたって掃引される。イメージングは、異なる様式で行われるため、本発明からのデータを最初に処理して現行の機械で用いられるフォーマットにすることが好ましい。次に、従来の再構成ソフトウェアを用い、結果として得られたデータを処理することができる。データを現在イメージング装置により提供される形式にフォーマットするこの中間段階を本明細書では「リビニング」と呼ぶ。
【0096】
本発明によるデータのリビニングを理解するためには、従来のイメージング装置でデータがどのように処理されるかについて最初に考察することが最良である。図41は、患者650の断面を示す。本発明の幾つかの実施形態の一部を形成する円弧体652の一部が、患者650の断面の一部を囲むように示される。従来の2次元イメージングカメラは、第1の位置の654として、更に第1の位置から90度の位置に656として概略的に示される。複数の平行なイメージングラインが、各カメラ654及び656から投射されるように示される。654及び656で示されるカメラからのデータの処理では、入射フォトンの位置は一般に、r及びθを用いて指定される。これらの変数は、検出器の中心からの入射フォトンの距離r、及びカメラの角度位置θを意味する。入射フォトン経路の1つは、図41の658で表記される。位置654のカメラの中心からのこのフォトンの経路の距離は、図面ではrが付与されている。このデータは、サイノグラムと呼ばれるグラフにプロットすることができる。サイノグラムのサンプルを図42に示す。サイノグラムでは、カメラの角度位置θに対し、中心をゼロとして撮像装置の中心からの位置rをプロットする。イメージング領域の中心にある点660が、フォトンを放出する唯一の点である場合には、サイノグラムは、図42に示すように真直ぐな垂直線となる。これは、単一の点660から放出されるフォトンが、カメラの全ての角度位置(θ=0〜360度)でカメラの中心(r=0)に衝突することになるためである。図43は、中心から外れた単一の点に対するサイノグラムを示す。イメージング領域の周りをイメージングカメラが回転すると、中心から外れた点は、カメラの中心に対して見かけ上左右方向に移動するように見え、従ってサイノグラム上で正弦曲線となる。
【0097】
再び図41を参照すると、650として示される断面スライスは、患者が垂直に位置する場合には、単一の水平方向スライスとみなすことができる。実際の患者のイメージングセッションから得られるサイノグラムは、図42及び図43に示されるよりもかなり複雑になることは明らかである。更に、サイノグラムは、患者の各「スライス」に対して生成することができる。上記で考察したように、患者が位置決めされる視野は、縦方向軸線を有すると定義することができる。患者の「スライス」は、典型的には、この縦方向軸線に対して垂直となる。これは、感知平面と呼ぶこともできる。当業者には明らかなように、複数の感知平面は、患者の異なる「スライス」を得るように定めることができる。再び図41を参照すると、距離rは、カメラの中心点又は中心線とフォトンを受け取る位置との間の感知平面の距離として定義することができることは理解されるであろう。従来のガンマ線カメラの角度位置を定めるために、位置ラインは、感知平面における縦方向軸線とカメラの中心線との間に垂直に延びると定義することができる。従って、角度θは、位置ラインと、やはり感知平面に含まれ縦方向軸線に垂直な任意のベースラインとの間の角度と定義することができる。
【0098】
図9Bに戻ると、アパーチャ円弧体及び検出器が互いに相対的に移動するときに、本装置の種々の検出器の応答ラインが視野にわたってどのように掃引されるかが分かる。
【0099】
図44は、本発明による6つのアパーチャを有するアパーチャ円弧体を備えたイメージングシステムについてのサイノグラムと考えることができるものを示す。単一の点をイメージングし、フォトンを感知する検出器アレイ上の位置に対するアパーチャ円弧体位置の図表上にデータをプロットする場合には、複数の角度付平行線が生成されることになる。これは、アパーチャ円弧体位置の移動に伴い、点線源からのフォトンが検出器に到達することができる検出器アレイ上の位置もほぼ線形の関係で移動することに起因する。図44は縮尺通りではなく、単に一般的な概念を表すことを意図したものである点に留意されたい。図42及び図43の形式で示すデータのために設計されたアルゴリズムを用いて、図44に示すようなデータを処理するためには、データを再分類するかリビニングする必要がある。
【0100】
図45を参照すると、スライス650が、放出点662と共に示される。アパーチャ664を備えたアパーチャ円弧体663が、イメージング領域を取り囲み、検出器666を備えた検出器円弧体又は組立体665がアパーチャ円弧体を取り囲む。点662から放出されるフォトンは、アパーチャ664を通過し、666で検出器又はセンサにより受け取られることになる。アパーチャ664の位置及び検出位置666は既知であるので、2次元カメラでの等価位置データr及びθを計算することができる。この等価のr及びθは、2次元カメラの図45に示される。
【0101】
ここで図46を参照すると、フォトン経路が670で示され、アパーチャ円弧体が672、検出器組立体又は円弧体が674で示される。図示するように、フォトン経路670は、676でアパーチャを通過して、678で検出器に衝突することになる。アパーチャ円弧体の中心はCで示され、2次元イメージングカメラの等価のr及びθが図に示されている。Cはまた、視野の中心を表し、縦方向軸線上に存在することができる。アパーチャ676の角度はφで表され、アパーチャ円弧体の半径はRappで示される。これらの変数間の関係は式
で与えられる。
【0102】
図47は、検出器円弧体678の位置についての同様の関係を示す。この場合、検出器円弧体の半径はRdetで与えられ、検出器円弧体上の位置の角度はΨで与えられる。変数間の関係は、
で与えられる。
【0103】
当業者には明らかなように、サイノグラムは、該サイノグラム上の各位置のθ及びrの値を図46及び図47に示す等式に当てはめることにより、患者の各スライスに対して生成することができる。各場合において、これにより、アパーチャ位置φ及び検出器位置Ψが与えられることになる。次いで、アパーチャ位置及び検出器位置のこの組み合わせで記録された強度をこのθ及びrの組み合わせのサイノグラムに代入することができる。これは、完全なサイノグラムが生成されるまで繰り返すことができる。サイノグラムが生成されると、従来のイメージング装置と同様にデータを処理することができる。また、当業者には明らかなように、リビニングは、コンピュータ・デバイスを用いて行うことができる。
【0104】
XIX.付加的な較正構成
図35に関して考察したように、本発明によるイメージングシステムを較正するために、あるタイプの較正用線源を設けることが望ましい。従来の2次元イメージングカメラでは、平坦シートの放射線源が、典型的にはコリメータの上部に置かれ、上方向に配向される。この較正用線源により、カメラの全表面が同じレベルの放射性照射に暴露され、カメラを較正することができるようになる。即ち、カメラの特定の部分の読み取りがカメラの他の部分に対し高いかもしくは低い場合にはソフトウェア調節を行うことができ、較正後に結果として得られる読み取り値が一様になる。これらの従来の較正法には幾つかの欠点がある。第1に、放射性較正用線源は大きくて重く、技術者が操作するのが困難なことが多い。これらは通常、過剰な放射線被曝を避けるために、大きな鉛のボックスに収納される。しかしながら、ボックスの大きさ及び重量に起因して、技術者は、ボックスを1箇所に置き、次いで放射線源をイメージングが実際に行われる部屋の中に技術者の体に隣接して運ぶことを余儀なくされる場合が多い。これは不便であり、技術者の放射線被曝が付加されることになる。また、較正用線源とカメラの感知表面との間に位置決めされたコリメータにより、10000フォトン毎に約1個しか通過して感知表面に到達することができない。従って、較正手順は時間がかかることが多い。
【0105】
図35は、本発明を較正する1つの方法を示す。別の方法は本明細書の以下で考察する。何れの場合でも、アパーチャ円弧体のアパーチャ内又はアパーチャに隣接して放射線源が備えられ、放射線がアパーチャ円弧体を通り、コリメータを通って、検出器まで投射されるようにする。本発明の設計により、遥かに高い割合の放出フォトンが種々の検出器に到達し、較正時間を短縮することができる。放射性較正用線源が位置付けられた後、アパーチャ円弧体が移動し、ソフトウェアを用いてイメージングシステムを較正して検出器感度のばらつきを調節し、フォトンがアパーチャ円弧体に対する検出器の位置に応じて様々な角度で検出器を妨害するのを調節する。
【0106】
ここで図48を参照して、代替の較正用線源を説明する。アパーチャ円弧体の一部が700で示され、1対のスロット縁部要素702がスロット704を定める。較正用線源には、ほぼ管状の放射線源706が含まれ、これは、鉛遮断物708及びプラスチック製キャリア710を含むキャリアに取り付けられる。図49〜図55は、この較正用線源の組立及び利用を示している。図49は、プラスチック製キャリア710を示す。図示するように、キャリアは、内側面が凹面の弓形である。図50は、プラスチック製キャリア710内に入れ子になった同様の形状の鉛キャリア遮断物708を示す。幾つかの実施形態では、鉛遮断物は、ほぼ2.5〜3mmの厚さである。或いは、遮断物はタングステンで形成することができ、これにより、同じ量の放射性遮断に対しより薄くすることができる。放射線源は、種々の方法でキャリアに連結することができる。図51は、線源を保持することができるクリップ712の利用を示す。或いは、キャリアの前側全体を接着又はプラスチックコーティングして線源を適所に保持することにより取り付けることができる。図52は、キャリアにより保持された線源自体706を示す。線源は、エポキシ又は他の樹脂に埋め込まれたコバルト粒子のような放射性材料が充填された管体とすることができる。図53は、アパーチャ円弧体内に位置決めされた較正用線源を示しており、見えるように側縁要素を取り除いている。図54は、側部要素を取り付けたアパーチャ円弧体を示す。図55は、1対のガイド要素内に滑動して較正のために位置付けられた放射線源を示す。アパーチャ円弧体は、較正プロセス中に左右に移動することができる。較正用線源は、アパーチャ円弧体よりも高さが高いように示されているが、アパーチャ円弧体の高さ以下であってもよい。
【0107】
当業者には明らかなように、アパーチャ円弧体は、イメージング円弧体の内部に収容され、較正用線源の位置決めに対して円弧体に容易にアクセスできないようにされる。図56で始まる一連の図は、組立、位置決め、及び較正用線源並びに線源用のホルダ又はキャリアの利用法を示す。図56は、組み立てられたホルダ732を示す。これは、湾曲した上端部が互いに平行に位置決めされている1対の側部レール720を含む。側部レール720は、相互接続部分722及び724により、その上部及び底部で互いに結合される。また、底部相互接続部分724は、スペーサとしても働き、側部レールの内部に位置決めされると言える。1対の内側レール726は、底部スペーサ724に連結され、ほぼ平行に上方に延び、側部レール720から間隔を置いて配置される。内側レール726と側部レール720との間に1対のスロットが定められる。スロットの開放側部は、閉鎖部材728により閉じられる。支持フランジ730は、組み立てられた装置の底部に隣接して位置決めされる。前部横要素は734で示される。1つの実施形態では、横要素734は、使用中にキャリア又はホルダ732を位置付ける磁気ラッチを含む。図57は、キャリア732を分解図で示す。
【0108】
図58及び図59は、較正用線源746の一部を形成するプラスチックブロック736を示す。図示するように、プラスチックブロック736は、前面に凹部を有する。鉛遮断物738は、プラスチックブロック736のこの凹部に位置決めされる。プラスチックブロック736の側部から延びるガイドピン740が設けられる。放射性ロッド742は、鉛遮断物の内側面に接して位置決めされる。次に、線源を覆ってプラスチック又はアルミニウムリテーナ744が位置決めされ、鉛遮断物及びプラスチックブロックに接して保持される。これにより、組み立てられた較正用線源746が得られる。
【0109】
図60は、ホルダ732内に位置決めされた較正用線源746を示し、該ホルダはヒンジ748で支持されている。図61は、プラスチックブロック736の後部側が見えるように回転したホルダ732及び線源746を示す。図62は、イメージング円弧体の上部支持部材750と下部支持部材752との間に位置決めされたホルダ732を示しており、上側部材750を通るように開口部754が定められている。図63には、上部及び下部ガイドレール758及び760を有するアパーチャ円弧体755が加えられている。図64は、切り取られた上部支持部材750の一部を示す。
【0110】
図65は、線源ホルダ746の底部のヒンジ748の詳細図を示す。別の実施形態では、ヒンジ748などの位置にばねが設けられ、ホルダの上側端部をアパーチャ円弧体755に向けてばね付勢する。
【0111】
本発明の幾つかの実施形態の構造細部に起因して、上部支持部材の開口部は、線源が真直ぐに適所に落ちることができるようにアパーチャ円弧体に十分に近接して設けることができない。代わりに、アパーチャ円弧体を支持する部材の部分から離して位置決めする必要がある。図66は、上側部材750の開口部754を通ってホルダ732内に落下する線源746を示す。見えるようにするために、部材の一部を切り欠いている。図67は、図66の側面図を示しており、キャリア746が開口部754を通って延びるときに、アパーチャ円弧体に直接隣接する位置にキャリア746が移動しないようにするためにどのように開口部754が十分に離れて後部に位置決めされるかを示す。代わりに、ホルダ732の傾斜した後部表面にキャリアが衝突する。これにより線源が幾分傾斜し、その結果、ホルダ732が、線源と位置合わせするようにヒンジ上で枢動して戻る。図68は、ホルダが前方に移動して戻り、ホルダ732に完全に挿入された線源746を示しており、この動きは、作業者又はヒンジのばねの何れかにより引き起こされる。次に、ホルダは、磁気ラッチもしくはばね、或いは他の手段により適所に保持することができる。図69及び図70は、この挿入プロセスの付加的な図を示す。図71は、ホルダ732の1つの実施形態の幾つかのサンプル寸法を示す。
【0112】
図72は、前記図に示されたのと同様のホルダに用いることができる較正用線源の別の実施形態を示す。較正用線源は、図48の線源と同様の形状にされ、鉛又はタングステンの弓形要素798を有する。較正用線源800は、鉛を保護して補強するためにプラスチック802で包まれた鉛の要素798を有する。放射性材料の管体804が鉛及びプラスチック組立体の凹面側に固定される。本発明に用いる較正装置の特定の利点は、これまでの較正装置よりも遥かに小さく、軽量で、取り扱いが容易であることである。図73は、較正用線源が内部に位置決めされた較正装置保持ボックス810を示す。各線源は、ボックス810内に密集して適合するように収納することができる。ボックス及び較正用線源の全重量は、6又は10ポンドほどに小さくすることができ、技術者が不必要に被爆することなく容易に取り扱うことができるようにされる。
【0113】
XX.湾曲した結晶検出器
上記で考察したように、本発明は、CZTなどの固体検出器の何れか、又は光電管が裏付けされたシンチレーション材料で作ることができる。上記の実施形態では、シンチレーション材料の個々の要素を並べて組み立てた。好ましい別の実施形態によれば、図74に820で示すようなシンチレーション材料の単一の大きな湾曲した結晶を備えることができる。この結晶の単一の湾曲要素は、その面に沿って刻み目を付けることができ、この刻み目線は、異なるフォトン受信領域に分割されるように結晶を通って部分的に切断される。図75は、複数の光電管822が裏付けされた結晶820を示す。
【0114】
開示された好ましい実施形態に関する他の変形形態は当業者には明らかであろう。本発明の範囲を定めるのは全てのその均等物を含む請求項である。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1A】システムの全体構成及び患者の位置決めを示す、心臓SPECTに最適な本発明の好ましい実施形態の斜視図である。
【図1B】図1Aの実施形態の付加的な斜視図である。
【図2】SPECTイメージング中にフォトンを検出するための個々の検出器モジュールの1つの実施形態の斜視図である。
【図3】相対的位置関係を実際に示すために円単一の放射線検出器モジュールが弧の後部に示された、心臓SPECT用に最適化された本発明の実施形態のアパーチャ円弧体の斜視図である。
【図4】アパーチャ縁部処理の1つの実施形態を詳細に示す、アパーチャ円弧体の小さい部分の断面詳細図である。
【図5】縁部の詳細の別の実施形態を示す図4と同様の断面詳細図である。
【図6】縁部の詳細の更に別の実施形態を示す図4及び図5と同様の詳細図である。
【図7】調整可能な幅を備えたアパーチャを提供する調整可能端部要素を含むアパーチャ円弧体の一部の断面詳細図である。
【図8】アパーチャ円弧体の一部及び1つの調整可能な端部要素の斜視図である。
【図9A】スロット付きアパーチャ円弧体、検出器の円弧及び患者の視野の相対位置決めを示す概略平面図である。
【図9B】個々の検出器の応答ラインがどのように本体を通って複数の角度投影を行うかを示す概略平面図である。
【図10A】単一の検出器モジュールと、アパーチャ円弧体の第1の回転位置でのアパーチャ円弧体の小部分との概略平面図である。
【図10B】図l0Aと同様であるがアパーチャ円弧体が第2の位置にある図である。
【図10C】図10A及び図10Bと同様であるがアパーチャ円弧体が第3の位置にある図である。
【図11A】本発明の概略平面図である。
【図11B】本発明の概略平面図である。
【図11C】本発明の概略平面図である。
【図11D】本発明の概略平面図である。
【図11E】本発明の概略平面図である。
【図11F】本発明の概略平面図である。
【図12】アパーチャ円弧体及び角度を付けたコリメータベーンを含む本発明のためのイメージングセクションの別の実施形態の部分透視斜視図である。
【図13】検出器モジュールとの関係を示す断面(縦方向)コリメーション組立体の斜視図である。
【図14】図13と同様であるが、アパーチャ円弧体を含み、1つの検出器モジュールからの応答ラインを示す図である。
【図15】従来の「高分解能」平行穴コリメータに対する本発明を用いた様々な深さでの面内空間分解能のプロットである。
【図16】本発明による平行ベーンコリメータの一部の断面図である。
【図17】本発明によるイメージング円弧体の1つの実施形態に対する支持構造体の斜視図である。
【図18】図17と同様で、付加的に引張り部材を備えた支持組立体の斜視図である。
【図19】コリメータベーンの相対深さを示す、本発明による平行ベーンコリメータの一部及びセンサ組立体の断面図である。
【図20A】可動アパーチャ円弧体の延長ベーンの1つの実施形態の断面平面図である。
【図20B】ベーンが異なる位置で示された図20Aと同様の図である。
【図21】本発明の1つの実施形態による下部支持部材の一部及びアパーチャ円弧体の一部の斜視図である。
【図22】本発明に用いるためのセンサ組立体の後面斜視図である。
【図23】図22のセンサ組立体の前面斜視図である。
【図24】図22〜図23のセンサ組立体の側面図である。
【図25】センサモジュールの一部の断面詳細図である。
【図26】センサモジュールの1つの実施形態の正面図である。
【図27】コリメータ組立体を通して見た1対のセンサアレイの図である。
【図28】シンチレータベースの円筒形検出器モジュールの1つの実施形態の一部の斜視図である。
【図29A】シンチレーション材料の矩形バーの形の要素を用いた検出器モジュールの別の実施形態の斜視図である。
【図29B】上面及び下面に光検出器を備えた図29Aのモジュールの側面図である。
【図29C】図29Bと同様であるが、光検出器がシンチレーション材料の背面に位置決めされている図である。
【図30】台形断面のシンチレーション材料のブロックを有する検出器モジュールの斜視図である。
【図31A】シンチレーション材料の矩形要素に基づくマスク検出器構成の斜視図である。
【図31B】シンチレーション材料の円筒形要素に基づくマスク検出器構成の斜視図である。
【図31C】台形断面のシンチレーション材料の要素に基づくマスク検出器構成の斜視図である。
【図32】図31Aと同様であるが、光検出器がその背面に沿って配置されるバー形状のマスク検出器モジュールの構成の詳細を示す斜視図である。
【図33】本発明の1つの実施形態のための同時に起こる検出器及びアパーチャ円弧体運動の方向の概略図である。
【図34】本発明によるマスキングストリップを有する2次元のシンチレーションベースの検出器の斜視図である。
【図35】較正モジュールがアパーチャにより配置されたアパーチャ円弧体の一部の斜視図である。
【図36】2次元の検出器及び直線状遮断部材を利用する本発明の更に別の実施形態の概略平面図である。
【図37】イメージング円弧体の斜視図である。
【図38】本発明によるイメージング円弧体の1つの実施形態の断面図である。
【図39】本発明によるイメージング円弧体の別の実施形態の断面図である。
【図40】本発明によるイメージング円弧体の更に別の実施形態の断面図である。
【図41】2つの異なる位置で示される従来のガンマ線カメラと共に示す患者の視野の概略図である。
【図42】従来のガンマ線カメラが受け取るデータを表すサイノグラムである。
【図43】異なる条件セット下での従来のガンマ線カメラのためのデータを表す別のサイノグラムである。
【図44】本発明によるイメージングシステムからのデータを表すサイノグラムである。
【図45】本発明のための同等のアパーチャ円弧体及び検出器弧位置を示す図41に類似する概略図である。
【図46】従来の2次元データ処理に用いるためのアパーチャ円弧体及び検出器弧の位置を変換するのに必要な幾何学的配置を示す概略図である。
【図47】従来の2次元データ処理に用いるためのアパーチャ円弧体及び検出器弧の位置を変換するのに必要な幾何学的配置を示す概略図である。
【図48】放射性較正用線源及びホルダの1つの実施形態を備えたアパーチャ円弧体の平面図である。
【図49】較正用線源の外側シェル又はホルダ部分の斜視図である。
【図50】フォトン遮断シールドを加えた図49のホルダの斜視図である。
【図51】放射線源リテーナを加えた図49及び図50と同様の斜視図である。
【図52】円筒形放射線源を加えた図49〜図51と同様の斜視図である。
【図53】アパーチャ円弧体の一部に取り付けられた図52の較正用線源の斜視図である。
【図54】較正用線源を受け取るための受信器を示すアパーチャ円弧体の一部の片側の斜視図である。
【図55】ホルダに挿入されている較正用線源を示す図54と同様の斜視図である。
【図56】較正用線源ホルダの別の実施形態の斜視図である。
【図57】図56のホルダの分解斜視図である。
【図58】図56及び図57のホルダに用いるための較正用線源の斜視図である。
【図59】図58の較正用線源の分解図である。
【図60】図58及び図59の較正用線源が受け取られる図56及び図57のホルダの斜視図である。
【図61】図60の線源及びホルダの反対側を示す斜視図である。
【図62】図60及び図61のホルダ及び線源と共に示すイメージング円弧体の一部を形成する上部及び下部支持部材の斜視図である。
【図63】アパーチャ円弧体の一部を加えた図62と同様の斜視図である。
【図64】上部支持部材の一部を切り欠いた図63と同様の斜視図である。
【図65】図64のアパーチャ円弧体及び線源ホルダの底部の一部の詳細な斜視図である。
【図66】較正用線源及び較正用線源が部分的に挿入されたホルダの斜視図である。
【図67】線源が部分的に挿入された図66の線源及びホルダの側面図である。
【図68】線源が完全に挿入された図67と同様の側面図である。
【図69】線源が部分的に挿入された図66とは反対側からの線源及びホルダの付加的な斜視図である。
【図70】線源が完全に挿入されて示される図69と同様の斜視図である。
【図71】例示的な寸法が示される図70の較正用線源ホルダの平面図である。
【図72】較正用線源の平面図である。
【図73】内部に複数の較正用線源が配置された較正用線源コンテナの平面図である。
【図74】本発明の幾つかの実施形態に用いられる湾曲した結晶の斜視図である。
【図75】複数の光電管により裏付けされた図74の結晶の斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にイメージングシステムに関し、更に詳細には単一フォトン放出コンピュータ断層撮影システムに関する。
【0002】
(関連出願の参照)
本出願は、1999年4月14日に出願された米国仮特許出願番号60/129,239号及び1999年8月30日に出願された米国特許第60/151,378号に対する優先権を主張する、2000年4月14日に出願された米国特許出願番号第09/549,435号(現在は米国特許第6,525,320号)の一部継続出願である2003年2月5日に出願された米国特許出願番号第10/358,961号の一部継続出願である。
また本出願は、2003年6月20日に出願された米国仮特許出願番号60/480,381号に対しても優先権を主張する。これらの全内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
医療用放射性核種イメージング(核医学)は、現代医療業務の主要な構成要素である。この技法には、通常はトレーサ量の放射性材料を注入により投与し、続いて、これを調査対象の器官系の生理学的機能に応じた方法で体内に局在化することが含まれている。殆どの場合ガンマフォトンである放射性トレーサの放出物は、体外の検出器で撮像され、体内の放射性トレーサ分布のマップを生成する。適切な訓練を受けた医師が判読すると、これらの画像から臨床診断及び疾病の治療に極めて価値のある情報が得られる。この技術の典型的な応用には、冠動脈疾患の検出(タリウムスキャン)及び骨の癌性関連の検出(骨スキャン)が含まれる。膨大な量の臨床放射性核種イメージングは、γ線放出放射性トレーサ及び「ガンマカメラ」として知られている検出器を用いて行われる。
【0004】
ガンマカメラは、通常、γフォトンが衝突すると発光する性質を有する大きなシンチレーション結晶(例えばヨウ化ナトリウム)からなる。この結晶の後部に固定されているのは複数の光電子増倍管であり、該光電子増倍管は、光フラッシュを検出し、シンチレーション結晶内の位置を特定するための付随する回路を備えている。結晶の前部には、通常複数の穴が貫通する数ミリメートルの鉛からなるコリメータがある。コリメータは、ほぼ適切な方向から結晶に接近するフォトンを除く全ての入射フォトンを吸収する働きをする。結晶、光電子増倍管、及び付随する回路は通常、大きな鉛のケース内に密閉され、該ケースは、望ましくない外部放射から検出器を遮断する働きをする。装置全体は、検出器を患者近傍に位置決めするためのモータ駆動式装置を備えたガントリ上に取り付けられる。
【0005】
ガンマカメラにより、放射性トレーサ分布の2次元画像が得られる。しかしながら、体内の放射性トレーサの分布は、通常は3次元である。単一フォトン放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)技術は、コンピュータ処理を用いて患者の周りで複数の角度から得られる一連の2次元ガンマカメラ画像から3次元トレーサ分布を「再構成」することにより「放射性核種CTスキャン」と同様の3次元断層撮影画像を生成するのに使用される。これは、1つ又はそれ以上のガンマカメラをモータ駆動ガントリに取り付け、これを患者の周りに周回させることによりほぼ例外なく達成される。次に、このようにして収集されたデータを処理して3次元画像を得る。
【0006】
3次元SPECT画像は、高度な画像コントラストをもたらし、身体構造の明らかな重なりを低減することが実証されている。SPECTイメージングは、現在、心臓の放射性核種イメージングの最新技術と考えられ、米国で行われている全ての心臓の放射性イメージングの半分を超える部分を占める。
【0007】
SPECTイメージングは、多くの利点があるにもかかわらず、未だこれから恩恵を受ける可能性がある全ての患者が利用可能という訳ではない。現行のSPECT機器には、その広範な実施を妨げる幾つかの欠点がある。
【0008】
現行のSPECTシステムは、嵩高で、通常はこれを収容するための大きな専用の部屋を必要とする。コリメートシステムは、比較的効率が悪く、放射される放射線のうちの大きな割合を遮断する。従って、殆どの新しい臨床システムでは、単一のガントリ上に装着された2つ又はそれ以上のガンマカメラ検出器を同時に用いる。各検出器は、典型的には数百ポンドの重さであるので、支持ガントリは大きく且つ重くする必要がある。殆どのSPECT機器は、フロア補強を追加した特別構成の部屋を必要とする。正確に画像を再構成するためには検出器を正確に配置することが必要であるので、SPECTシステムには、数百ポンドの機器を約ミリメートルの精度で移動させて位置決めすることができるモータ及び歯車装置からなる重い位置決めシステムを必要とする。これらのシステムは、必然的に大きく、重く、高価である。
【0009】
診療室、救急救命室、及び集中治療室を含む種々の環境で患者を撮像する医学的必要性は大きいが、サイズが非常に大きく嵩張る現行のSPECTシステムでは、固定位置、典型的には病院の放射線医学又は核医学部門に置く必要がある。主治の心臓内科医の直接立ち会いで心臓SPECTイメージングを行うと、医学的及び患者の相当な利便上の利点がある。多くの研究で、外来診療室環境で行われる治療の費用の方が、病院環境での費用よりも少ないことが示されている。これらの抑えがたい因子があるにもかかわらず、現行のシステムの大きさ及び費用の制約により、地域社会への浸透が大幅に制限され、特に、診療所での利用可能性が制限される。加えて、現行システムは大きなスペースを必要とするため、SPECTサービスを提供する病院に相当な費用がかかる。
【0010】
現行のSPECTシステムには別の制限がある。ガンマカメラが患者の周りを周回するときに、各検出器との間で電力及びデータを送受するために大きな多芯ケーブルを必要とする。これらのケーブルは、システムの作動中に繰り返し屈曲するので、装置の故障の原因となることが多い。
【0011】
既存のシステムは大きく重い性質を有するので、必然的に機械的ガントリの設計は安定性に優れ、更に費用効果にも優れたものにされる。このため、患者は、狭いプラットフォーム上で垂直配向のガントリに延びた仰臥位(仰向け)で横たわることが必要なシステムとなる。検出器を胸にできるだけ近接させ、移動する大きな検出器を患者の周りに安全に通過できるようにするために、現行のシステムでは、患者が片腕又は両腕を頭上の不自然な位置に保持する必要がある。これは、多くの患者にとって苦痛であり、これができない患者もいる。加えて、仰臥位は、多くの患者、特に背中に問題を抱えた患者には不快である。装置の内部では閉所恐怖感を感じる患者が多い。カメラが患者の周りを回転できるようにするためにプラットフォームを狭くすることが必要であるため、大柄な人には不快であり、スキャンを受ける人が不安又は危険を感じることが多い。また、患者がイメージング中に部分的に装置に閉じ込められることにより、重症の患者へ医師又は看護者がアクセスすることが制限される可能性がある。
【発明の開示】
【0012】
本発明は、複数のイメージングシステム及びその構成要素を提供する。1つの実施形態によれば、単一フォトン放出コンピュータ断層撮影システムは、患者の一部が視野内に位置するように患者を支持するための患者支持体を備えたベースを含む。視野を通して縦方向軸線が定められる。検出器組立体は、視野に隣接し、フォトンが衝突したかどうかを検出するよう動作可能なフォトン応答性検出器を含む。検出器組立体は、視野内に位置する患者の一部において放出されたフォトンを検出するよう動作可能である。視野と検出器との間にフォトン遮断部材が配置される。フォトン遮断部材は、位置が合ったフォトンを通過させるため貫通して形成されたアパーチャスロットを有する。検出器からアパーチャを通って応答ラインが定められる。コリメーション組立体は、フォトン減衰材料で作られた複数のコリメートベーンを含む。支持組立体は、コリメーション組立体を支持する。支持組立体は、第1の支持部材と第2の支持部材とを含む。第2の支持部材は、第1の支持部材から間隔を置いて配置されている。コリメーション組立体は、第1の距離が前記コリメーション組立体と前記第1の支持部材との間に定められ第2の距離が前記コリメーション組立体と前記第2の支持部材との間に定められるように支持部材の間に配置される。調節組立体は、第1の距離を調節するよう動作可能な第1の調節装置と、第2の距離を調節するよう動作可能な第2の調節装置とを含む。
【0013】
本発明の別の態様は、半径方向イメージングシステムからの断層撮影画像データが、視野の周りの複数の位置に配置されている間に読み取り値を得るタイプの従来のガンマ線カメラから得られるデータに対応するように該データをリビニング(rebinning)する方法を提供する。視野は、貫通して定められる縦方向軸線を有すると考えることができる。従来のガンマカメラは、縦方向軸線に平行な中心線を備えた感知面を有する。縦方向軸線と中心線との間に垂直に位置ラインが定められる。位置ラインを含み且つ前記縦方向軸線に垂直であるように感知平面が定められる。縦方向軸線に垂直であり且つ感知平面内に含まれるようにベースラインが定められる。従来のガンマ線カメラの角度位置がベースラインと位置ラインとの間の角度θとして定められる。従来のガンマ線カメラが、感知位相においてフォトン衝突を検出するよう動作可能であり、感知平面における各衝突が中心線から距離rの位置に位置付けられる。リビニング方法は、半径方向イメージングシステムを準備する段階を含む複数の段階を含む。イメージングシステムは、患者の一部が視野内に位置付けられるように該患者を支持するための患者支持体を備えたベースを含む。ほぼ弓形の検出器組立体は、視野に隣接し、フォトンが検出器に衝突するかどうかを検出するよう動作可能なフォトン応答検出器を含む。検出器組立体は更に、弓形の検出器組立体に沿って検出器への衝突位置を識別するよう動作可能である。フォトン遮断部材が、視野と検出器との間に配置される。フォトン遮断部材は、位置が合ったフォトンを通過させるため貫通して形成されたアパーチャスロットを有する。検出器からアパーチャを通って応答ラインが定められる。
【0014】
コリメーション組立体は、フォトン減衰材料で作られた複数のほぼ平行なコリメートベーンを含む。ベーンは、複数の間隙を定めるように間隔を置いて配置されている。変位アクチュエータは、検出器及びフォトン遮断部材の一方を検出器及び前記フォトン遮断部材の他方に対して相対的に移動させ、アパーチャが検出器に対して変位し且つ応答ラインが視野の少なくとも一部を掃引するように動作可能である。追加の段階は、全体的に感知平面に衝突する複数のフォトンに関連する複数の検出器読み取り値を得る段階を含む。読み取り値の各々は強度を含む。視野の中心線からの半径Rdet及びベースラインに対する角度位置Ψを含む、検出器組立体からの各読み取り値の位置が求められる。視野の中心線からの半径Rapp及びベースラインに対する角度位置θを含む、各読み取り値に対するアパーチャスロットの位置が求められる。従来のガンマ線カメラのr及びθの各組み合わせに対して、次式:
及び、
を用いて、対応する値であるΨ及びφが計算される。
r及びθの各組み合わせに対し、対応する位置φ、Ψ、Rapp及びRdetに関連する強度値が保存される。本発明はまた、単一フォトン放出コンピュータ断層撮影システム及びそのための装置を較正する種々の方法を提供する。
【0015】
本発明の別の態様によれば、医用イメージング装置は、視野をイメージングするための支持ベースとイメージングセクションとを備える。イメージングセクションは、ベースにより支持される固定端部とこれから間隔を置いて配置された自由端部との間に延びる。イメージングセクションは、第1の支持部材と第2の支持部材とを有する支持組立体を含む。支持組立体は、間隔を置いて配置され、各々がベースにより支持される固定端部とこれから間隔を置いて配置された自由端部とを有する。複数の引張り部材が、第1の支持部材と前記第2の支持部材との間に延び、支持部材の固定端部と自由端部との間に間隔を置いて配置される。幾つかの実施形態では、引張り部材には、これら端部の内の一方がイメージングセクションの固定端部により近接しているように角度が付けられた一部があり、残りは、引張り部材が互いに対して角度が付けられるように固定端部により近接した他端部を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本説明全体を通して、好ましい実施形態及び実施例は、本発明を限定するものではなく例証とみなすべきである。
1.総括
本発明の1つの態様は、単一フォトン放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)を実施するためのシステムを含む。本システムは、通常180°〜360°にわたる円弧体の周りに位置付けられるのが好ましい複数の放射線検出器モジュールから構成される放射線検出器組立体を含む。面内(軸方向)コリメーションは、放射線検出器組立体の角度範囲(典型的には180°〜360°)と同様の角度範囲にわたって延びる可動円弧体又はリングにより行われる。面交叉(縦方向)コリメーションは、静止位置に保持され横断面(縦方向軸線に垂直)に平行に配向されたフォトン減衰材料の複数のベーン又はシートによって行われる。任意選択的に、これらのベーンは、Styrofoam(登録商標)又は他のプラスチックのような放射線透過性スペーサ材料のシートにより分離することができる。また、本発明の幾つかの実施形態には、患者用椅子又は支持構造体も含まれる。
【0017】
II.椅子、円弧体構成、及び患者位置決めに関する考察
図1A及び図1Bは、心臓SPECTに最適化された本発明の好ましい実施形態の図であり、システム100の全体構成及び患者102の位置決めを示している。患者の出入り用開口部104が示されている。システムのイメージングセクション106は、患者の胸部の右側にわたって円弧体として延びる。イメージングセクションは、以下で説明するような内部構成要素を有する鉛遮断ハウジングからなる。イメージングセクションは、ベース110に固定されたスタンド108により支持される。同時に、イメージングセクションの後側部分及びスタンドは、患者支持体の「後部」を形成する。患者は、調整可能シート112に座る。このシートの垂直方向高さは、患者の心臓がイメージング装置の適切な部分内に位置付けられるように調整することができる。このような調整は、電動モータ、油圧装置又は他の手段により行うことができる。シートは、任意選択的に、水平方向に旋回するように調整可能であり、従って、患者の着座位置の出入りが容易になる。また、スタンド及びベースは、スキャン処理に必要な電子機器、並びに任意の必要な制御装置及び表示装置を含み、又は支持することができる。
【0018】
図示のように、先行技術のシステムとは異なり、患者は、胴体がほぼ垂直になるようにほぼ直立して着座している。本システムを軽量化し、設計を簡素化して、更に嵩を低減することと相まって、このような位置決めが可能になる。定義付けのために、イメージングセクション106により囲まれた領域を、視野と呼ぶことにする。また、定義付けのために、患者の胴体の縦方向軸線とほぼ一致する縦方向軸線は、視野を通って延びているといえる。縦方向軸線はほぼ垂直であり、患者に水平姿勢を強制する通常のシステムと本発明のシステムの位置決めを区別されるということができる。実際に、ほぼ垂直な縦方向軸線は、図示のように幾分傾いており、患者をより快適にすることもできる。
【0019】
当業者には明らかなように、特定の関心のある患者の一部に関するデータを収集するために患者の適切な部分を撮像することが極めて重要である。例えば、本発明の好ましい実施形態は、患者の心臓を撮像するように設計される。従って、撮像されている部分又はスライスが患者の心臓を含むことが重要である。しかしながら、患者の胸部内の心臓の正確な位置は、外部検査から常時容易に決定されるとは限らない。従来のシステムでは、オペレータが残像オシロスコープ(p−scope)として知られる低分解能の2次元ディスプレイで見ながら、患者を検出器の前に位置決めする。残像オシロスコープ画像は、患者を再位置決めする際に連続的に更新する必要があり、且つその画像の特性が2次元であることから必然的に低品質である。患者の位置決めの際のオペレータ誤差は珍しいことではなく、これが起こると無用なスキャンとなる。本発明の別の態様によれば、心臓スキャンでは、患者の胸部の「クイックスキャン」を先行させて、心臓を適切に位置決めするよう椅子の位置を調整し、心臓がイメージングセクション106で撮像するのに適切に位置決めされるようになる。
【0020】
幾つかの理由により本発明で「クイックスキャン」は可能であるが、これは、本明細書全体を評価すると明らかになるであろう。本発明の技術のシステムは、3次元イメージングを収集するために患者を部分的に周回させる必要がある。迅速な3次元位置決め画像を得ようとする場合には、大きく重い(典型的には450〜500ポンド)検出器の移動を数秒内に作動・停止する必要がある。これは、何れも機械的にも困難であり、大きく重い検出器を迅速に動かすので患者を害する可能性がある。本発明は、イメージングセクション106の視野内で患者の一部を撮像するためにアパーチャ円弧体を動かすことだけを必要とする。アパーチャ円弧体は、ハウジングの内部の患者から隠されていることが好ましく、従来技術のガンマカメラよりも遥かに急速且つ安全に移動することができる。また、長い距離を移動する必要があるガンマカメラとは異なり、完全スキャンは、円弧体が短い距離を移動することだけを必要とする。加えて、本発明は、先行技術の装置よりもより迅速に画像データを収集する。従って、ハウジング内でアパーチャ円弧体を迅速に移動させることによって、高速でカウントの少ない3次元画像を収集することができる。このカウント数の少ない画像は、最新のコンピュータを用いてほぼ瞬時に再構成し、スライスとして、又は好ましくは回転表面レンダリング或いは最大強度投影画像として直ちに表示することができる。このようなボリュームレンダリング画像は、下にいる患者の生体組織を明らかにし、これらを用いて、所定の高カウント数イメージングを開始する前に心臓の位置を確実に求めることができる。
【0021】
シート112が上下方向に調整可能な本発明の実施形態では、撮像しているスライスの位置を調整するように、2つの画像収集間に任意選択的に椅子の位置を調整可能である。幾つかの実施形態において、移動が極めて僅かであり、そのためコリメータの作用を補償することができるようにし、これは以下でより詳細に説明する。また、椅子の位置は、画像収集中に上方向き又は下方向きに調整することができる。
【0022】
当業者には周知のように、イメージング中の患者の移動は、殆どのイメージングシステムにとって重要な問題である。殆どのシステムでは、患者は、かなり不快な仰臥位又は腹臥位で狭い水平面に横たわる必要がある。この体位は、背中に問題を抱える患者又は横になると呼吸が困難になる多くの心臓病患者にとっては不快であることが多い。多くの場合、これによりスキャン中に患者が動くことになる。現行技術でのシステムの移動検出器に対応するために、患者は、イメージング手順中に頭上に腕を保持する必要がある。これは、多くの患者、特に肩関節炎の患者にとって極めて不快である。現行装置の大きな金属製検出器の下に横たわると、多くの患者は不安又は閉所恐怖を経験する。不快又は不安を感じている患者は、通常は快適になろうとして姿勢を調整する。このような移動は、画像収集中に起こると画像アーチファクトを生じさせ、これにより所見及び後続の治療が不正確になる可能性がある。この問題は、スキャン時間が長いと悪化する。図1A及び図1Bに示すように本発明により使用可能な患者の垂直方向の位置決めは、患者の快適さ及び安定性を有意に改善する。これは、背中及び心臓病の患者にはとりわけ快適である。腕は頭上に保持する必要はない。本発明のオープン設計によって閉所恐怖も排除される。この結果、患者の快適さ及び安心感が増大し、運動が低減される。また、本発明の幾つかの実施形態により、スキャン時間を有意に低減することができるため、患者の動きを低減することができる。
【0023】
III.1次元固体検出器モジュール(ストリップ)の全体考察
図2は、個々の検出器モジュール150の1つの実施形態を示す。複数(通常は64)の個々のモジュールは、患者の周りに円弧状で配列される。この円弧は、ほぼ180°〜360°の範囲にわたって延びることができる。心臓のSPECTでは、好ましい実施形態は、約180°である。図示の実施形態は、心臓イメージング用の大きさにされた固体検出器モジュールである。他の検出器モジュールの実施形態を以下で検討する。図示のように、検出器モジュール150は、細長いストリップである。検出器の表面上の矩形領域は、個々の固体検出器素子152のアレイを示し、各々がデータ収集用の1つのピクセルを含む。この実施形態では、検出器素子のアレイは、1次元、即ち1×Nであるが、2次元アレイを用いることもできる。多芯リボンケーブル154は、検出器素子から信号を処理する電子機器まで電気信号を伝送する。或いは、処理回路の一部は、検出器素子と一体化してもよく、又は検出器素子によりパッケージ化してもよい。
【0024】
各検出器素子152は、フォトンが衝突したかどうかを検出するように動作可能である。従って、検出器150全体が、フォトンが衝突したかどうかを検出するよう動作可能であると共に、長さに沿ってフォトンが衝突した位置を求めるようにも動作可能である。各検出器素子は、対向する表面に電極が付加されたテルル化カドミウム亜鉛のような特定の半導体材料を含む。電位は、電極間に印加される。当業者には明らかであるように、フォトンが前部電極を通過し、半導体材料と相互作用すると、電極間に小電流が流れる。この電流を測定して、フォトンの衝突を感知する。
【0025】
本発明は、最初に上述の検出器素子を用いるように説明されたが、本発明の他の実施形態では、本明細書の以下に詳細に説明するような他の検出器設計を利用する。
【0026】
IV.アパーチャ円弧体全体考察
図3は、心臓のSPECT用に最適化された本発明の実施形態のアパーチャ円弧体170を示す。単一の放射線検出器モジュール172が円弧体の後方に示され、相対的位置関係を実際に示している。図示のように、検出器モジュールは、縦方向軸線にほぼ平行である。円弧体170は、フォトン遮断部材として働き、鉛又は同様の高度減弱材料で作ることができる。円弧体170は、その後方に位置する放射線検出器モジュール172を覆うのに十分な高さがある。円弧体は、患者から放射されるフォトンを本質的に完全に吸収する十分な厚さ(通常約3mm)がある。円弧体には、一連の垂直方向のアパーチャスロット174が貫通しており、これによりアパーチャスロットと位置が合ったフォトン176が患者からスロットを通って検出器モジュールに到達することができる。スロットは、患者の縦方向軸線にほぼ平行であることが好ましい。
【0027】
図3では、円弧体170は、ほぼ矩形の形状のスロットが切り抜かれた連続部材として示されている。幾つかの実施形態において、スロットは、直線状に切り抜かれており、互いに平行な側部を有する。或いは、スロットは、図4〜図6に示すように側部に角度を付けて切り抜くこともできる。これらの図の各々は、スロットに対してほぼ垂直に見たスロットの断面を示している。図4は、円弧体170が先細の端部171を有する実施形態を示す。円弧体170は、一対の対向する表面を有するといえる。先細点171は、これらの対向する表面の各々から円弧体のほぼ中心平面にある点まで先細になる。簡単にするために、図4〜図6は、円弧体の一部をほぼ直線として示す。しかしながら、上記で検討したように、円弧体は実際には弓形である。
【0028】
好ましくは、円弧体170は、スロット174を貫通するものを除いて実質的にフォトンの全てを遮断する。これらのフォトンを適切に遮断するために、鉛のような特定の厚さのフォトン遮断材料が必要である。先細点171は、円弧体の残りの部分よりも厚さが薄い。従って、これらは、タングステン又は金のような更に高いフォトン遮断能力を有する材料で作ることが好ましいが、鉛であってもよい。これらの先細点171は、典型的には円弧体170の残りの部分を形成する材料に接合される。或いは、縁部を含む円弧体は、鉛などの全て1つの材料とすることができる。図5及び図6は、先細点173及び175の別の実施形態を示す。これらの実施形態では、スロットの縁部は、前部から後部へ、又は後部から前部への何れかで先細となる。図4の実施形態では、この先細点は、円弧体の残りの部分よりもフォトン遮断能力が高い材料で形成することが好ましい。スロットの縁部は、見る角度に関係なくスロットの縁部がより一貫性のある外観となる理由から先が尖っていることが好ましい。即ち、方形化縁部を有するスロットは、ある角度から見たときに実質的に狭く見える場合がある。スロットの縁を先細にすることにより、スロットは、より浅い角度又は深い角度で見たときに更に一貫して効果的な幅を有する。これは、放射線は大きな角度でアパーチャに入る可能性があるので、本発明の設計では特に重要である。或いは、「点」は、丸くすることもできる。
【0029】
本発明の幾つかの実施形態において、幅が調整可能なスロットを有することが好ましい。これにより、イメージングシステムの感度及び分解能を調整することができる。これはまた、較正を支援することもできる。図7及び図8は、幅が調整可能なスロットを設ける1つの方法を示す。図7は、円弧体に取り付けられた要素179を定める調整可能スロットを備えた円弧体177の一部の断面を示す。図8は、1つの調整可能な要素179を備えた円弧体177の一部の斜視図を示す。要素179の位置を円弧体177の残りの部分に対して調整することにより、スロット178の相対位置及び幅を調整することができる。図4〜図6の実施形態と同様に、端部要素179の薄い部分は、円弧体177の残りの部分よりも高いフォトン遮断能力を有する材料で形成するのが好ましい。端部要素179は、前後方向で先細であるように示されているが、図4〜図6に示す形状の何れであってもよく、或いは、スロットの縁部を更に方形又は円形にすることもできる。また、端部要素179は、対称である必要はない。更に、各スロットに単一の調整可能な要素を設け、スロットの他方の側部を可動でない縁部で形成することができる。当業者には明らかなように、端部要素179と円弧体177との間は、図示した方法以外の種々の方法で相互連結を形成することができる。また、当業者には明らかなように、スロット幅の調整も他の方法で達成することができる。
【0030】
V.視野
図9Aは、(上からの)患者の視野領域180、アパーチャ円弧体182及び検出器モジュール184の相対位置を図示している。検出器モジュールのセット及びアパーチャ円弧体が患者の周りに同心状に位置するのがわかる。心臓イメージングの1つの実施形態は、各々が個々の素子又はピクセルのアレイからなるほぼ64個の放射線検出器モジュール184を含む。この実施形態では、アパーチャ円弧体182は、ほぼ30cmの半径aで位置決めされ、検出器モジュール184は、ほぼ40cmの半径bで位置決めされている。ほぼ50cmの直径cを有する患者の視野領域は、円弧体182の内側に容易に適合する。アパーチャ円弧体182及び/又は検出器モジュール184のセットは、共通の円弧中心が縦方向軸線にある真の幾何学的円弧で配列することができる。或いは、片方又は両方を更に楕円形とするか、円弧中心を共有しない弓形とすることができる。例えば、円弧の中心は、円弧の半径が増大するように縦方向軸線から離れて位置付けることができる。また、円弧182及び/又はモジュールのセット184は、非弓形であってもよい。例えば、どちらかを一連の短い直線セグメントとして配列することもでき、或いは部分的に弓形で部分的に非弓形とすることもできる。別の実施例は、どちらかの弧の半径が異なる半径方向位置で異なり、曲率半径が「円弧」に沿って変化するようなる。
【0031】
アパーチャ円弧体182を検出器184と相対的に移動させる変位手段が設けられる。当業者には明らかなように、多くの異なる方法を用いて、アパーチャ円弧体を移動させることができる。例えば、アパーチャ円弧体182をウォームギア又は他の構成によりモータに連結し、患者の縦方向軸線を中心に限定された角度で回転させることができるようにする。当業者には明らかなように、円弧体を静止させたままで検出器だけが動くようにすることができる。しかしながら、この方法は、一般に更に複雑で費用がかかる。スキャンからの情報を処理するために、円弧体の位置を正確に求めるための手段も備える。当業者には明らかなように、この手段を設けるためには、光学的エンコーダ及び機械的センサを含む多くの方法が利用可能である。また、感知手段を用いて、変位手段のフィードバック制御を行うこともできる。アパーチャ円弧体を移動するための1つの方法のより詳細な検討を以下に記載する。
【0032】
VI.アパーチャ円弧体移動による掃引の考察
図10a〜図10cは、単一の検出器190及びアパーチャ円弧体の小セクション192を上から見た図を示す。この図は、アパーチャ円弧体192の3つの異なる回転位置での円弧体192と検出器190の相対位置を示している。各位置で、アパーチャスロット194の位置により、図示のように、検出器の応答ラインが特定の経路196に制約される。アパーチャスロット194が検出器190の前部で移動すると、検出器の見通し線は、患者にわたって扇形になり、複数の応答又は投影ラインが生成されるのがわかる。
【0033】
図9Aに示すような多数の検出器モジュール184、及び図3に示すような多数のアパーチャスロット174が存在するので、アパーチャ円弧体の各回転位置に多数の検出器応答ラインが形成される。図9Bは、アパーチャ円弧体204が回転するときに幾つかの検出器202から得られる少数のサブセットの応答ライン200を示す。簡単にするために、アパーチャスロット自体はこの図には示されていない。患者の胸部を通る概略的な「スライス」206が示されており、これは、断層撮影の再構成に十分なフルセットの心臓投影図がこのようにして得られることを示している。
【0034】
アパーチャ円弧体は、応答ラインが視野全体にわたって「掃引」するように連続的に移動するのが好ましい。或いは、アパーチャ円弧体は離散的段階で移動し、円弧体が各段階で停止するときイメージングを行うことができる。
【0035】
VII.単一アパーチャスロットだけで照射される各検出器
全ての検出器は、常に1つのスロットのみを「通して見る」ことが好ましい。スロット間隔は、各検出器が一度に1つのスロットだけで照射されるように決められる。フォトン全体の検出効率は、アパーチャ円弧体内のスロット数に比例する。許容可能なスロットの最大数nslotは、アパーチャスロットで利用可能な光線の入射の最大角度を表す角度φarc、検出器円弧の半径、及びアパーチャ円弧体上の円弧θAの所与の長さなどのアパーチャ円弧体上の円弧の最小長さの関数であり、所与の検出器が一度に1つのスロットを通る患者の視野(θA)だけを見るようにする。
【0036】
式中、ROは患者の半径、RAはアパーチャ円弧体の半径及び、RDは検出器弧の半径である。アパーチャ円弧体は、スロット間の間隔φarc/nslotで回転され、フルセットの角度投影を生じることが必要である。
【0037】
本発明の1つの実施形態では、患者の半径ROは、最大22cmと仮定され、アパーチャ円弧体の半径RAは30cm、検出器弧の半径RDは45cmである。検出器弧及びアパーチャ円弧体は、180度の角度φarcにわたり、弧の最小長さθAは36度である。これらの値に対して、この等式により、どの検出器も一度に2つ以上のスロットを通して見ないようにするためには、5つのスロットがスロットの最大数であることがわかる。従って、フルセットの角度投影を得るためには、アパーチャ円弧体は角度36度を通して回転することが必要なだけである。
【0038】
上の等式及び解では、このスロットが弧に沿って等間隔で配置され、角度36度で分離されていると仮定される。当業者には明らかなように、重大な問題は、実際にはスロット間の角度の分離であり、これによりスロット数が決まる。再び図3を参照すると、円弧体は5つのスロットを有するように示されているが、このうち1つは、図で見る角度によって屈曲部に隠れている。
【0039】
上の等式及び考察により、スロット間の分離が36度である5つのスロットが必要であるという結論に達するが、6番目のスロットを加えると有利である。図11Aは、円弧で配置された複数の検出器195、5つのアパーチャ197を有するアパーチャ円弧体196、及び視野198を備える本発明を概略的に示すものである。弧196は、時計回り位置の末端で示される。関心のあるフォトンが視野の何れかの場所から発生することができると仮定して、視野がどのように検出器の弧196上に「投影」されるかを示すように投影光線を引く。図示のように、幾つかのフォトンは、最後の検出器の時計回りの位置に投影され、従って、画像に寄与しない。同様に、反時計回り末端にある幾つかの検出器は、アパーチャ円弧体196の反時計回り末端ではアパーチャの「視界外」にあり、従って、この位置の弧には照射されない。検出器が照射されないことは、最適なシステム効率よりも劣ることを示す。
【0040】
図11Bは、その進行の中点でのアパーチャ円弧体を示す。図示のように、この位置では、全てのアパーチャ197を通る投影は検出器195の位置と一致するため、無駄になるフォトンはなく、照射されない検出器もない。
【0041】
図11Cは、反時計回り位置末端でのアパーチャ円弧体196を示す。この位置では、検出器組立体の時計回り末端での検出器は、照射されず、反時計回り末端でのアパーチャを通過するフォトンの幾つかは検出されない。
【0042】
この問題に対する1つの解決法は、より多数の検出器を設けることである。しかしながら、イメージングセクションの大きさが増大すると、装置コストが劇的に増大する。図11Dに好ましい解決法を示す。アパーチャ円弧体212は、ここでは、視野218から検出器216上にフォトンを投影する6つのスロット214を有する。しかしながら、これらのスロット間の間隔は上式から求めたものと変わらない(この例では36°)。図11Dは、時計回り位置の末端の弧212を示す。図示のように、6番目のスロットを加えたことにより、全ての検出器が示されている。図11Eは、進行範囲の中間においての弧212を示し、図11Fは、反時計回り位置末端での弧を示す。ここでもやはり、全ての検出器216が全ての位置で照射されるため、光収集効率が上がる。「付加的な」スロットを加えることにより、入射するフォトンが検出器の弧の長さに完全に適合するようになる。この構成では、全ての検出器がアパーチャスロットを介して常時照射され、これによりフォトン検出効率が最適化される。
【0043】
VIII.斜めアパーチャ
再び図3を参照すると、スロット174は、ほぼ垂直なスロットとして示される。即ち、該スロットは視野の縦方向軸線に平行である。本発明の別の態様によれば、スロットは、図12に示すように斜めとすることができる。図12は、貫通する斜めアパーチャ208を有するアパーチャ円弧体207を含む組立体を示す。斜めアパーチャは、調整可能な側部要素209により定められるように示されるが、代替的に弧207に切り込んだスロットにより形成することもできる。また、上記のスロットの実施形態と同様に、スロット縁部は、上記で開示された形状の何れかを含む種々の形態で先細とすることができる。当業者には明らかであるように、弧207に沿って間隔を置いて複数のアパーチャを配置することが好ましい。簡単にするために、図12には2つのアパーチャ208のみを示す。しかしながら、付加的なアパーチャがあることが好ましい。図12は、本発明の付加的な態様を示しており、これは、コリメータ設計に関して以下で検討する。角度付のスロット又はアパーチャ208を「垂直」から僅かに傾いた角度からほぼ水平までの範囲の種々の角度で備えることができる。更に別の方法として、スロットは、患者軸線に対して完全に「水平」にすることができる。また、アパーチャは、図12に示す角度に対して反対方向に角度を付けることもできる。
【0044】
アパーチャが「垂直」でありコリメータが水平、又はその逆である本発明の実施形態においては、分解能は、垂直及び水平方向で異なる。本発明の好ましい1つの実施形態によれば、アパーチャは1方向でほぼ45度の角度であり、コリメータは他の方向にほぼ45度の角度である。横断面のイメージング平面に対してアパーチャ及びコリメータに角度を付けることにより、イメージング平面を生じる全分解能は、本質的に等方性、即ち全ての方向で同じになる。これは、用途によっては、特に再構成されたデータを斜めの角度の平面に沿って再フォーマットする必要がある場合に望ましい。
【0045】
IX.コリメータ
再び図3及び図11A−Fを参照すると、アパーチャ円弧体及び検出器のセットにより、横断面平面内でコリメーションされるが、縦方向にはコリメーションされていない投影データが得られる。このため、本発明は、図13に示すように、縦方向又は断面平面コリメータのセットを備えることが好ましい。当業者には明らかなように、図13に示すコリメータ設計は、図3に示すような「垂直」アパーチャ円弧体に用いるように設計される。縦方向コリメータは、図示のように配列された一連のスタック様の円弧状ベーン220からなり、図示の検出器222の円弧配列と同心円状に配置される。アパーチャ円弧体は、この図では省略しているが、縦方向コリメータベーンと同心円状に配置される。ベーンは、相互に平行であり、患者の縦方向軸線にほぼ垂直であることが好ましい。ベーンは、鉛又は同様の減衰材料のシート又はパネルであり、放射線透過性プラスチック発泡体又は同様の材料(図示せず)からなるスペーサで分離することができる。ベーンの数、大きさ、及び厚さは、用途に応じて変えることができる。
【0046】
図14は、アパーチャ円弧体230が付加されていること以外は図13と同様である。各検出器232の各個々の検出器素子(ピクセル)は、アパーチャ円弧体スロット236のコリメート作用と縦方向コリメートベーン238とを組み合わせることにより患者の視野に配向された独自の応答ライン234を有することがわかる。
【0047】
当業者には理解されるように、ベーン220は、アパーチャ円弧体内のアパーチャにほぼ垂直な平面内に設けることが好ましい。図13及び図14の実施形態では、コリメータのベーンは、これらが患者軸線に「垂直」であるので、「水平」とみなすことができる。再び図12を参照すると、コリメータ210が、角度を付けたアパーチャにほぼ垂直になるように角度が付けられているのがわかる。図が煩雑になるのを避けるため、図12には5つのコリメートベーン210のみが示されている。しかしながら、ベーンは、矢印で示されるように組立体全体に沿って設けられることが理解されるであろう。アパーチャが他の角度で角度を付けられる場合には、ベーン210はまた、該アパーチャに対して垂直を保つように角度を付けることができる。もしくは、コリメータベーン210及びアパーチャ208は、互いに垂直以外の角度をなすようにしてもよい。
【0048】
X.分解能及び効率
本発明によるシステムの面内分解能は、検出器及びアパーチャ円弧体の半径RD及びRA、アパーチャ円弧体からの対象物の距離Dist、並びにスロット及び検出器素子の幅、それぞれWslot及びWdetによって決まる。
【0049】
【0050】
図15は、従来の平行穴コリメータに対し、本発明の異なる深さ(コリメータから患者の関心のある点までの距離)での分解能をプロットする。スロットを設けた円弧システムのスロット幅は2.4mm、検出器幅は4mmであり、他のパラメータは図4に関して検討したものと仮定する。データをプロットした平行穴コリメータの穴直径は2.2mm、コリメータ厚さは3cmである。
【0051】
スロット付きアパーチャシステムの検出効率は、視野の中心の点源に対する検出器立体角Ωに比例し、Rogers(IEEE TIMI 第MI−1巻63〜68頁、1982年)に基づいて、次式のように計算することができる。
ここで、robj及びrDは、それぞれ、半値全幅対象物及び検出器分解能、pdetは検出器の比質量偏差、fは縦方向コリメートベーンにより閉じられた前部領域の割合である。本発明の構成では、f=ベーン厚さ/ベーン分離である。
【0052】
アパーチャ円弧体が検出器に対して異なる位置に移動すると、アパーチャスロットの見かけ上の幅は、スロットと検出器との間の角度の正弦関数として変化することになる。また、スロットから見たときの検出器の見かけの幅も、同様の関数に従って変化するので、全体的な検出効率は、検出器−スロットの角度の正弦の二乗の関数として変化することになる。正確な関数は、検出器素子のフォトン断面(検出器厚さの関数)及びスロットアパーチャのフォトン断面に依存することになる。このスロット位置での検出器感度の変化は、所与の検出器に対して容易にマッピングされ、従来のガンマカメラで定常的に行われる検出器均質補正と同様にしてソフトウェアで補正することができる。
【0053】
本開示の方法に従って構成されたイメージングシステムは、検出器感度の不均質性が存在する場合には、回転ガンマカメラSPECTシステムに見られる構造化画像アーチファクトに対して比較的感度がない点に留意されたい。本明細書で説明されたシステムにおいて、特定の比較的感度のない検出器素子により引き起こされる低いカウント感度は、従来のシステムに見られる構成化「リング」又は「円弧」アーチファクトとして見えるのではなく、画像平面全体にわたって広がる。こうしたアーチファクトは、現在のアーチファクトシステムを乱す場合が多い。
【0054】
XI.コリメータ構成
当業者には明らかなように、鉛コリメータの構築は相当困難である。鉛は、極めて高密度であるが、あまり剛性がなく、強靭でもない。従って、鉛のベーンは重くて損傷を受けやすい。従来の平行穴コリメータでは、ベーンは極めて薄く作られ、複数の小さな平行穴が形成されている。コリメータの穴の深さは、鉛材料の強度及び剛性により幾分制限される。即ち、特定の深さより深いコリメータが構築されることになる場合には、時間の経過と共に薄い鉛のベーンは実際に撓み、コリメータの有用性が失われる可能性がある。同様の検討事項は本発明にも当てはまる。図13の220及び図12の210などのコリメートベーンは、大きくて重いため、個々のベーンを適切に支持する方法が課題となる。更に、個々のベーンが正確に位置決めされて位置合わせされることが重要である。
【0055】
本発明の別の発明の態様は、各鉛ベーンの間に放射線透過性材料のシートを配置したスタックで形成されることにより支持された平行な鉛ベーンを備えるコリメータを提供する設計である。図16は、本発明のこの態様に従って構築された平行なベーンコリメータの一部を示す。また、図16は、下部支持部材240及び上部支持部材242を含む支持構造体の一部を示す。
【0056】
図17は、本発明の1つの実施形態による下部支持部材240及び上部支持部材242の全体を示す。しかしながら、図17には、支持組立体内部のコリメーション組立体は示されていない。図17を参照すると、下部支持部材240及び上部支持部材242が、支持組立体244の一部を形成する。この支持組立体244は、図1A及び図1Bに示すようにイメージング円弧体106の一部を形成する。これは、図17に245で示す患者の視野の周りを覆う。組み立てられると、イメージング円弧体は、支持組立体244、その内部に支持された平行なベーンコリメータ組立体、単一又は複数の検出器、及びアパーチャ円弧体を含む。また、これは、内部作業を保護し、審美的に優れた外観にするようにハウジングで覆うことも好ましい。支持組立体244の1つの端部は、イメージング円弧体を支持するために椅子ベース108と相互連結される。これは、種々の方法で達成することができる。或いは、弧の中間に追加の支持体を設けてもよい。
【0057】
再び図16を参照すると、平行なベーンコリメーション組立体の一部が246で示されている。コリメーション組立体は、放射線透過性材料250のシート又はパネルが鉛シート248で分離された鉛248のシート又はパネルを含む。コリメータ組立体は、鉛シート、次に放射線透過性シートを積み重ね、その後図示するように十分に高いスタックが形成されるまでこの工程を繰り返すことにより形成することができる。放射線透過性材料は、鉛シートの相対的位置決めを維持し、鉛シートのどのような撓み又は移動も防ぐ。好ましくは、鉛シート及び放射線透過性材料のスタックの上部で、且つ上部支持部材242の下に圧縮パネル又は上部支持プレート252が設けられる。ねじ切り部材254のようなバイアス装置を次に設け、圧縮パネル252を下向きに押し付ける。これによりスタック246が圧縮されて安定化される。好ましくは、スタックの上面又は下面に厚い鉛シート、又は他のフォトン遮断材料253を設け、フォトンがコリメータ組立体の上面又は下面に入らないように遮断する。
【0058】
当業者には明らかなように、この組立手順の変更形態を用いて、図12に示すようなコリメータ組立体を構築することができる。本発明の別の態様によれば、関連する方法を用いて、平行穴コリメータを形成することができる。即ち、平行穴コリメータは、平行穴コリメータの穴を充填する放射線透過性材料を用いて形成し、これにより、コリメータベーンを支持することができる。平行穴コリメータは、穴間の鉛隔膜(septae)が脆弱であるので、使用時に損傷を受けることが多い。本発明によれば、コリメータの穴は、構築時に放射線透過性材料で充填することができる。これにより、平行穴コリメータが実質的に中実のブロックになり、これは、損傷に対する耐久性がより高くなる。また、これにより、これ以外の方法で実施されることになるものよりも更に深く及び/又は薄いベーンを形成及び支持することが可能になる。
【0059】
再び図17を参照すると、本発明による平行なベーンコリメータ組立体を形成する別の方法は、上部及び下部支持部材240及び242を引張り部材256などにより互いに対して伸長することにより提供することができる。即ち、鉛パネルと放射線透過性パネルとの交互スタックを下部支持部材240上に配置して、上部支持体パネル242で覆い、圧縮又は引張り部材256を用いて加圧することができる。本発明による平行ベーンコリメータは極めて重く、従って、片持ち円弧支持組立体がかなりの荷重を担うことは当業者には理解されるであろう。図18は、支持組立体が、図示のように左に角度を付けられ、又は右に角度を付けられ、或いは両方である複数の角度付引張り部材258を含むことができることを示す。引張り部材は、構造及び支持を提供する際に自転車のスポークのように作動する。また、これらにより、電子機器にアクセスし、且つ冷却するために円弧に対して実質的に後部開放とすることができる。
【0060】
図19は、本発明のイメージングセクションの一部の断面図を提供する。これは、下部支持部材240、上部支持部材242及びその間に位置付けられた鉛シート248を示す。放射線透過性材料は、この図には示していない。しかしながら、入射するフォトンを検出するための電子機器パッケージ又は検出器アレイは、全体的に260で示されている。この検出器アレイは、以下に更に詳細に論じることにする。
【0061】
本発明の設計により、これまでコリメータ設計に関して利用不可能であった利点が提供される。従来、コリメータの設計者は、コリメータ穴の深さ対幅比を制限してきた。即ち、コリメータにより定められる穴は、前後間の深さと側部間又は上下間の幅とを有するとみなすことができる。(平行穴コリメータでは、側部間及び上下間の幅は、通常同じである。本発明では、「側部間の幅」はアパーチャ円弧体のアパーチャの大きさの関数であり、上下間の幅は平行なベーン間の間隔の関数である。)先行技術では、深さ対幅比が10:1より小さいことが最適とみなされてきた。実際、文献では、10:1比は、無限大比とほぼ同等であると述べられている。言い換えると、深さ対幅比が10:1を超えることに対して除外理論が教示されている。更に、コリメータの先行技術設計では、深さ対幅比を極めて大きくすることが特別困難になった。深いコリメータには、構造的一体性の問題がある。先行技術設計において大きな深さ対幅比を得るためには、自己支持するには過度に薄く且つ大きなベーンが必要である。従って、大きな深さ対幅比は実現性が無いと教示されている。
【0062】
本発明は、先行技術の方法とは劇的にかけ離れている。本発明の1つの実施形態では、鉛シートの厚さは、図16にAで示されるようにほぼ2mmである。放射線透過性シートの厚さはほぼ4.5mmである。従って、隣接する鉛シート間の「間隙」は、ほぼ4.5mmである。この同じ実施形態では、図19でCで示される鉛ベーン248の前後間の深さは、ほぼ150mmである。この実施形態では、深さ対幅比は、33:1より大きい。本発明の更に好ましい実施形態では、鉛ベーンの厚さはほぼ1.25mmである。しかしながら、間隙は、ほぼ4.5mmで同じままである。従って、深さ対幅比は同じままである。本発明によれば、深さ対幅比は、先行技術の最大値である10:1より大きいことが好ましい。更に好ましくは、深さ対幅比は20:1より大きい。更に好ましくは、深さ対幅比は、30:1を超える。
【0063】
本発明によれば、鉛ベーンの厚さが0.5mmより大きいことも好ましい。更に好ましくは厚さが0.75mmより大きく、更に好ましくは厚さが1mm又はそれ以上であり、最も好ましくは厚さが少なくとも1.25mmである。これらの厚さもまた、先行技術とは劇的にかけ離れている。先行技術の高分解能の平行穴コリメータは通常、厚さが0.2mm以下の鉛ベーンを有し、鉛ベーンを更に薄くするために相当な労力が費やされている。
【0064】
先行技術よりも実質的に大きな深さ対幅比を用いること、並びに実質的に厚い鉛ベーンを用いることにより、先行技術では認められず評価もされなかった有意な利点が得られる。
【0065】
SPECTイメージングでは、フォトンが進む方向、フォトンのエネルギーレベル、及びその方向から来るフォトンの数を正確に求めることが重要である。これらのフォトンは、鉛が十分に厚くない場合には透過するのに十分なエネルギーを有する。先行技術の平行穴コリメータでは、薄い鉛ベーンは通常、フォトンの多くが貫通するのを止めるには薄すぎる。従って、特定の領域に衝突するフォトンは、その領域に隣接する穴から真っ直ぐ下に進むと仮定することはできない。代わりに、フォトンは、異なる穴で発生し、隣接する穴と検知される穴との間の鉛ベーンを透過する可能性がある。その結果、精度が犠牲になる。これにより、結果として得られる画像にぼけが生じる。また、コリメータの穴の深さ対幅比もイメージング装置の分解能に影響を及ぼす。コリメータ穴が短く幅広である場合には、フォトンは、穴の軸線から十分に離れた角度でこの穴に入ることができる。穴が深く幅狭である場合には、この穴の直ぐ下に進む入射フォトンの角度の範囲は遥かに狭くなる。
【0066】
本発明では、実質的に厚いベーンを用いると共に、極めて大きな深さ対幅比を有するコリメータを用いることにより、精度又は分解能が実質的に増大することになる。ベーンが厚く深さが極めて深いので、コリメータの後部でセンサに到達する任意のフォトンは、アパーチャ円弧体のアパーチャを透過し、且つ隣接する鉛ベーンの間を通過したと仮定することができる。言い換えると、各フォトン「カウント」が良好なカウントになる。
【0067】
また、先行技術では、本発明よりも遥かに小さい間隙を用いる傾向がある。本発明の実験では、4又は4.5mmのオーダーの大きな間隙を厚い鉛ベーンと共に用いると精度及び分解能が高くなることが示された。本発明の別の態様として、2mmより大きな間隙を用いることが好ましく、更に3mmより大きな間隙が好ましく、最も好ましくは4mm又はそれ以上の間隙である。
【0068】
再び図19を参照すると、センサアレイ260は、コリメーション組立体の後部に隣接して位置付けられる。幾つかの実施形態において、個々のセンサは、ベーンの最後部端の直ぐ隣りに位置付けられ、他の実施形態では、センサは、ベーンの後部から短い距離だけ間隔を置いて配置される。ベーン248の後部とセンサとの間の間隙が増大すると、フォトンがベーンで遮断されることにより引き起こされる有効な暗黒領域が幾分減少する。好ましい1つの実施形態では、センサは、ベーンの後部から2〜3mmだけ間隔を置いて配置される。
【0069】
XII.延長フラップ
図1及び図4に示すように、心臓イメージングに最適な実施形態では、円弧形状のイメージング機器を用いて、患者がイメージングシステムに容易に出入りできるようにする。しかしながら、アパーチャ円弧体が回転すると、円弧の開放領域内に僅かに延びることになる。従って、本発明には、図20A及び図20Bに示すように、任意選択的にアパーチャ円弧体の一方又は両方の端部に位置決めされることになる枢動延長フラップを設ける。この図は、その長さを延びる延長ベーン302を含むアパーチャ円弧体300の一方の端部を示している。図20Aは、円弧の移動の一方の末端位置のアパーチャ円弧体300及びベーン302を示しており、図20Bは、別の末端位置でのアパーチャ円弧体300及びベーン302を示している。延長ベーン302は、ヒンジ304によりアパーチャ円弧体に移動可能に取り付けられる。枢動ロッド306は、アパーチャ円弧体が移動することにより延長ベーンが該ロッドに押し付けられると、図20Bに示すように延長ベーンを枢動させて患者から離れるようにベーンの経路に配置される。これは、円弧又はベーンの開口への延長を最小にしながら、検出器を望ましくない外部放射から遮蔽する。
【0070】
ここで図21を参照すると、アパーチャ円弧体の1つの好ましい構造が示されている。アパーチャ円弧体は、310で示されており、イメージング円弧体の支持構造体の底部を形成する支持部材240上に支持されている。この実施形態では、アパーチャ円弧体310は、間にアパーチャ314を設けるように互いに隣接して位置付けられた個々の弓形パネル312で形成される。アパーチャ314の幅は、パネル312の相対位置により定めることができる。アパーチャ円弧体310は、支持部材240の軌道内で支持され、一連のベルト及びプーリーを駆動する駆動モータ316により移動する。
【0071】
XIII.検出器の変形形態
ここで検出器又はセンサ設計に移ると、本発明に種々の方法を用いることができる。図2及び図3は、1次元の直線状アレイとみなすことができるストリップ検出器を示している。また、本発明では2次元アレイも提供される。このようなアレイは、一体型ユニットとして設けることができ、或いは、2つ又はそれ以上の1次元アレイを極めて近い距離で配置することにより近似することもできる。イメージングシステムの全体感度は、利用可能な検出器表面積に直線的に比例する。
【0072】
図22〜図24を参照すると、本発明に用いるセンサ組立体の好ましい実施形態の3つの図が全体的に320で示されている。図23に最もよく示されるように、組立体320は、3つの2次元センサアレイ322、324、及び326を含む。各センサアレイは、図24の328のような一連のセンサモジュールから形成される。センサモジュールは、固体CZT(テルル化カドミウム亜鉛)であり、或いは代替としてテルル化カドミウムを用いてもよい。図25は、センサモジュール328のうちの1つの断面図を示す。モジュールは、前面に複数の小さな薄い正方形電極332を備えたCZTの中心本体330を有する。後部表面には大きな電極が設けられ、符号336の後部には、センサからのデータ信号を処理するためのチップが備えられている。フォトンは、センサモジュール328の前部表面に衝突し、モジュールにより感知される。図26は、チップ338が検知材料340により半分だけ覆われた別の実施形態を示す。また、図26は、モジュールの面上の電極342の構成を示している。
【0073】
図22及び図24は、感知組立体のための冷却マニホルド346を示す。
【0074】
当業者には公知のように、固体フォトンセンサは、内部傷を生じること無く作ることは困難である。図25を参照すると、CZT材料の本体330は、生成又は製造中に傷を生じる可能性がある結晶体である。本体330に傷がない場合には、前面を通過してCZT本体330に入るフォトンにより、このフォトンの存在を電極332及び334により検知することが可能となる。図26に示すように、電極342は2次元のグリッドを定める。その結果、フォトンが衝突する位置は、どの電極がフォトンの存在を検知するかを割り出すことにより求めることができる。CZTに傷がある場合には、フォトンが衝突する箇所が検知されないデッドスポットが存在する可能性がある。典型的には、CZT本体の前部上の電極は、1つの電極が情報の1つの「ピクセル」を感知する役割を負うような大きさ及び間隔にされる。典型的には、ピクセルの大きさは、感知システムの所望の分解能に等しくなるように選択される。心臓の感知では、分解能がほぼ4〜4.5mmであることが好ましい。従って、電極は、通常は中心が4〜5mmに配列され、1つの電極が各「ピクセル」に対処するようになる。CZTに傷がある場合には、この傷によりデッドピクセルが生じる場合があり、これが画像品質に重大な影響を及ぼす可能性がある。
【0075】
本発明の別の態様によれば、所望の分解能(この場合には4〜4.5mm)は、更に小さなセグメントに分割され、更に小さな電極が使用される。図26では、ボックス350は、ほぼ4〜5mm幅及び高さの領域を表す。しかしながら、この領域に単一電極を有するのではなく、この「マクロピクセル」は、各々が自己電極352を備えた4つのピクセルに分割される。マクロピクセル350の下のCZTに傷がある場合には、該傷により通常は電極352の1つに関連する1つのピクセルのみが不良となる。例えば、4つの電極の1つは、感度のない、又は感度が低い、或いは稀には感度の高いCZTの一部と関連付けることができる。次に、センサモジュールを較正し、4つの電極352からのデータを処理してマクロピクセル350から意味のあるデータを得ることができる。例えば、1つの電極が故障しているピクセルに関連する場合には、残りの3つのピクセルからの出力を組み合わせて、3/4を乗算し、マクロピクセル350に対する出力を得ることができる。このように、CZT本体を有するセンサモジュールに幾つかの傷があっても尚使用可能である。図26のモジュールでは、電極352は、側部間及び上下間の寸法はほぼ2.46mmであり、隣接する電極の間隔はほぼ.04mmである。特に心臓用途に最適化された別の好ましい実施形態では、電極間のピッチはほぼ2.25mmである。再び図19を参照すると、センサ組立体260は、鉛ベーン248の後部に隣接して示されている。図27は、ベーン362を通してみたセンサアレイ360の図を示す。幾つかの実施形態において、ベーン362間のピッチは、電極364間のピッチで均等には割り切れない。例えば、1つの実施形態では、ベーン362間のピッチはほぼ6.5mmであるが、電極364間のピッチはほぼ2.5mmである。ベーンとピクセルとの間の位置合わせによるモアレパターンを避けるために、ベーン間の各間隙のピクセルの数はほぼ同じであることが望ましい。この実施形態では、ベーンのピッチがピクセル又は電極の倍数ではないので、センサアレイ360は、中央のベーン366に中心を有するように配列される。図27に示すように、この配列により、電極、従ってピクセルがベーン362の1つの直ぐ後ろに位置することが防止される。
【0076】
本発明はまた、付随する光電子増倍管又は固体光ダイオードなどの他の光検出器を伴う、ヨウ化ナトリウム又はヨウ化セシウムのようなシンチレーション材料から構築される放射線検出器を提供する。図28は、シンチレーションベースの検出器モジュール400の1つの実施形態を示す。この実施形態は、アルミニウムなどの放射線透過性で光反射性の被覆物404で覆われたシンチレーション材料の円筒形結晶体402を含む。被覆物404は、円筒体の両端が開いている。各短端部に光カップリング材料を介して取り付けられているのは、光電子増倍管、光ダイオード、又は他の光検出器(図示せず)などといった光検出器である。シンチレーション材料内で生じるシンチレーション事象の位置は、2つの光検出器の出力比により求められ、従って、検出器内の縦方向位置が感知される。この実施形態は、製造が極めて安価であるが、円形断面にわたってシンチレーション厚さが変化することにより、水平方向寸法にわたりフォトン検出効率の変化が生じるという欠点がある。これにより、検出器の応答関数の偏差が正直角関数から偏移し、従って空間分解能が僅かに低下することになる。
【0077】
図29A−Cは、アルミニウムなどの放射線透過性で光反射性材料422で覆われたシンチレータ材料の矩形バー420からなるシンチレータベースの検出器の更に効率的な実施形態を示す。図29Bでは、被覆物は、光検出器424を配置することができるように上面及び下面が開放されている。図29Cに示す別の実施形態では、被覆物は、モジュールの後部で開放され、2つ又はそれ以上の光検出器426を固定できるようにする。何れの場合でも、光検出器は、シンチレーション材料の端部に隣接するとみなされるため、シンチレーション事象の位置を特定することができる。
【0078】
図30は、上記図と同様に、反射材料432で覆われた台形断面を有するシンチレータ材料430の要素を示す。図29A〜図29Cの実施形態と同様に、光検出器は、モジュールの上面及び下面又は後面の何れかに固定することができる。台形断面を有する実施形態では、入射放射線に対する断面が更に均等になるという利点があるが、製造コストが高くなる。即ち、前面に角度を成して入射する放射線は、依然としてシンチレータ材料の全深さに遭遇する。
【0079】
断層撮影システムの軸方向分解能は、上述のように検出器の幅に直接依存する。詳細には、検出器の幅が狭い程、システムの軸方向分解能が増大する。しかしながら検出器の幅が狭くなるにつれ、幅の狭い検出器の前面に衝突するフォトンは、その全てのエネルギーを蓄積させる前に検出器材料から散乱する可能性があるので、フォトン検出効率が低下する。本発明によれば、高分解能のシンチレーション材料の細長いストリップの効率は、その前面の一部をマスクすることにより改善することができる。図31Aは、シンチレーション材料の矩形要素に基づく検出器構成440を示す。図31Bは、シンチレーション材料の円筒形要素に基づく検出器構成442を示す。図31Cは、台形断面のシンチレーション材料要素に基づく検出器構成44を示す。これらの実施形態の各々においては、反射被覆物446に加えて、シンチレータは、鉛、タングステン又は同様の高減衰材料の付加的なマスク層448で覆われる。この外部マスク又は遮蔽層は、検出器断面に対して望ましい寸法の幅の狭い垂直開口450を有するように構成される。フォトンが開口を通過してシンチレーに衝突すると、シンチレータ材料の外側で散乱するのではなく、マスク448の開口450の後部に位置する大容量のシンチレータ内で更に散乱が生じる可能性が高い。所望であれば、低Z材料(図示せず)の付加的な層を被覆層と遮蔽層との間に介在させ、マスク448によって照射される二次鉛X線を吸収するようにすることができる。当業者には明らかなように、図31Dに示す検出器では、幅の狭い検出器の高分解能を有する幅広の検出器の効率が改善されている。図2に示すような固体検出器に対して同様のマスキングを適用することにより、同様の利点を得ることができる。
【0080】
図34を参照すると、同様のマスキング方法をシンチレーション材料の2次元要素に適用し、上述の利点を有する検出器452を形成することができる。詳細には、シンチレーション材料454の要素は、ストリップ456でその面に施した鉛マスクを有する。幅の狭い垂直方向開口458は、該開口と位置合わせしたフォトンが入ることができるようにされる。図14〜14cの実施形態のように、これにより精度が向上する。光検出器459は、シンチレーション材料454の後部に位置付けられ、「アンガー論理」のような手段により、どこで光のパルスが生じるかを検出することができる。面の一部がマスクされているので、電子機器は、フォトンがマスク領域内に衝突しなかったことを「認識」しており、従って、衝突位置を更に正確に特定することができる。検出器表面の特定の部分をマスクすることにより、実際には、光の所与のパルスの位置の不確実性が減少し、従って、その位置を更に正確で精密に求めることができる。
【0081】
図32は、上記の図で説明したが、光カップリング材料464を用いることにより光検出器462を後面に取り付けたバー形のマスク検出器モジュール460の構造を詳細に示す。固体検出器モジュールにも同様のマスキング構成を用いることができる。
【0082】
当業者には明らかなように、種々の形式の光検出器は幾分高価である。従って、必要な数を減らすことが望ましい。本発明の別の実施形態によれば、シンチレーションベースの検出器の各々には、1つのファイバーを検出器の各端部に連結して1ペア又はそれ以上の光ファイバーを取り付けることができる。ファイバーは、上面及び下面及び/又は上面及び下面に隣接する背面に連結することができる。次に、光ファイバーは、位置感度を有する形式の光電子倍増管まで通すことができる。これらの容易に入手可能な多重チャネル光電子倍増管は、個々の管の面にわたる複数の位置に対して識別可能な出力を生成することができる。このような光電子倍増管は、次いで、種々の検出器から走る多数の光ファイバーからの光パルスを感知することができる。このようにして、光検出器の総数が削減される。同様な方法を2次元のシンチレーションベースの検出器に適用することができる。材料の後部に装着された光検出器を用いるのではなく、複数の光ファイバーを用いて、光を多重チャネル検出器まで通すことができる。
【0083】
上記で検討したように、シンチレーションベースの検出器のコアを形成するシンチレーション材料の要素は、アルミニウムなどの放射線透過性で光反射性の材料で覆われる。これにより、光検出器で感知される光パルスの輝度が増大する。しかしながら状況によっては、この反射性は、フォトンがシンチレーション材料に衝突する縦方向位置を求める光検出器の能力を妨げる可能性がある。従って、シンチレーション材料の1つ又はそれ以上の表面の反射率を低減することが有利である可能性がある。この目的のため、被覆する前に表面を粗くすることができ、又は被覆物の特定の領域を粗くすることもでき、或いはシンチレーション材料又は被覆物の何れかに低反射率コーティングを塗布することもできる。或いは、反射体の長さに沿って反射率を変えることが望ましい場合もある。例えば、シンチレーション材料の片側の表面上の粗いストリップは、検出器の長さに沿って幅を変えることができる。ストリップは、中心の幅を狭くして、反射率を高いまま保持し、端部近傍では幅を広くして反射率が減少するようにすることができる。これにより、中心近傍の事象が端部で検出される可能性が高くなる。
【0084】
XIV.検出器及び円弧を両方移動させることができる
検出器モジュールの間隔が疎である場合には、本システムにより行われる角度サンプリングのパターンに間隙が見られる。このような間隙の重要性は、アパーチャ円弧体が移動するときに得られるデータの角度「ビン」の数に依存する。加えて、不完全な角度サンプリングにより引き起こされるアーチファクトの有意性は、臨床環境によって決まる。このようなアーチファクトが好ましくない場合には、本発明は、任意選択的に限定された角度範囲502を通して検出器モジュー500の円弧を回転させるための手段(図33)を提供し、このような移動は、連続的又は限定された数の不連続な段階の何れかで生じる。検出器の円弧の移動範囲は、検出器間の間隔に等しい。検出器移動の各段階で、アパーチャ円弧体504は移動506の範囲にわたって移動する。このように、検出器母集団が疎であっても角度投影の完全なセットを得ることができる。
【0085】
或いは、本発明による断層撮影システムは、システムのコストを低減するために少数の検出器を備えることができる。本システムは、分解能が低下することになるか、スキャン時間の増大を必要とすることになるかの何れかである。後で、既存の検出器間の位置に付加的な検出器を付加することによりシステムをアップグレードすることができる。
【0086】
XV.較正
当業者には公知のように、核医学イメージング装置には定期的な較正が必要である。典型的な平行穴のガンマカメラでは、較正を行うために片側に放射性材料を有する材料のシートをコリメータの面に接触させて位置付ける。本発明では様々な問題が生じる。管状放射線源は患者軸線に位置決めすることができる。しかしながら、幾つかの位置にわたって各円弧位置で長い照射時間を必要とするため、較正は極めて時間がかかることになる。また、このことにより、較正工程の間に室内が許容できない放射線レベルになる。図35は、好ましい較正方法を示す。アパーチャ円弧体の一部を510で示し、アパーチャを512で示す。較正部材514は、アパーチャ512に隣接して位置付けられる。これは円弧形状であり、図示したものよりも小さな半径及び曲率であってもよい。内側表面516は、その上に放射性材料を有し、該放射性材料によりフォトンがアパーチャ512を通って進むように位置決めされる。これによって、放射性材料が、アパーチャを「見る」ことができるセンサの全視野を覆うことになる。明らかに、複数の較正部材514が用いられ、1つがアパーチャの各々に配置される。これによって装置を迅速に較正することができ、較正装置をコンパクトに収納することができ、放射線への露出を最低限にすることができる。
【0087】
XVI.代替構成
上記で説明した本発明の実施形態は、検出器アレイ、コリメータ、及び遮断部材の各々の形状が弓形であるように仕様が定められている。当業者には明らかであるように、他の形状も可能である。例えば、検出器は、矩形又は正方形配列にレイアウトすることもできる。遮断部材及びコリメータも同様の形状にすることができる。別の実施例として、ストリップ又は2次元の検出器の何れかのセットは、視野の周りの種々の位置で直線状の列に配列することができる。この方法は、2次元の検出器520を用いて図36に示される。検出器520の各列は、その前方に位置付けられた直線シートの形態の遮断部材522を有する。遮断部材522は、貫通して形成されたスロット524のようなアパーチャを有し、矢印Dで示されるように移動し、ライン又は応答が視野を掃引するようにする。また、本明細書の他の実施形態で検討したコリメータを備えることもできる。更に別の形態では、検出器は、ストリップ又は2次元の何れであっても、図36に示すように配置することができ、円弧又はリング形状の遮断部材を用いることができる。この配列又は図36の配列は、180度と360度との間の円弧を覆うことができる。これらの実施形態では、2次元の検出器を用いる場合には、ガンマカメラに用いるような従来の大きな2次元の検出器を幾つかの(好ましくは4つの)要素に切り分け、これらの実施形態に必要な小さな2つの2次元検出器を得る。これにより構成要素の合計コストが低減される。
【0088】
用途によっては、本発明のシステムは他の付属物を含むことができる。例えば、心臓作業では、患者に運動を行わせることにより心臓にストレスをかけることが望ましい場合がある。この目的で、システムは、永久的又は取り外し可能の自転車エルゴメータを含むことができる。また、本システムは、心電図及び/又は組込み型心臓細動除去器を含むことができる。また、静脈輸液ポンプを含めることもでき、取り付けることも可能である。
【0089】
XVII.構造的考察
図37は、図18に示すものと類似したイメージング円弧体610の支持組立体を示す。しかしながら、図37は、上部支持部材612と下部支持部材614との間の付加的な方向に走る対角スポーク又は引張り部材を有する円弧体を示す。スポークは、垂直方向のセットと第1及び第2の対角方向のセットとを含むと考えることができる。垂直方向のセットのスポークを代表する水平スポークは616で表記される。第1の対角方向のセットのスポークを代表するスポークは618で表記され、第2の対角方向のセットのスポークを代表するスポークは620で表記される。図示するように、各セットは、円弧体に沿って配列され、上部及び下部支持部材612及び614の間に延びる同様に位置決めされた複数のスポークを含む。円弧体610は、3つのスポークのセット全てによって構成することができるが、1つ又は2つのスポークのセットだけで構成することもできる。好ましい1つの実施形態では、620で表される第2のセットの対角スポークだけが設けられる。上記で考察したように、支持組立体610は、本発明のイメージング装置のレスト部に取り付けられたベース部又は固定端部622を有し、円弧体の残部はベース622から自由端部まで延びる。幾つかの実施形態では、円弧体610の残部は、支持されておらず、従って、自立型にする必要がある。円弧体610はかなり重い場合があるので、その長さに沿う撓み及び捩れに耐えるように構成する必要がある。620で示されるスポークを設けることにより、円弧体の撓みを幾分補償することができる。当業者には明らであるように、スポーク620を締めることにより、スポークが緩む場合にとることになる位置に対して円弧体610の片持ち自由端部を持ち上げることができる。場合によっては、616及び618で表されるスポークも付加的な構造を与えるか、他の補償を与えるようにすることができる。
【0090】
円弧体610は、プラスチック及び鉛の複数のシートで構成されるコリメータを含むことが好ましい。実験では、上部支持部材612及び下部支持部材614が互いに堅固に引かれない場合には、円弧体の端部が幾分持ち上がる可能性があり、これにより、コリメータ組立体の個々のシートが互いに対して極めて僅かに滑動するようになることが示された。次に、2つの支持部材612及び614が互いに圧縮されると、コリメータ組立体の個々のシートが互いに固定され、円弧体610全体の剛性が大幅に増大する。従って、円弧体は、固定具を用いるなどにより好ましい位置に移動することができ、次いで、種々のスポークを引き締めて、上部プレート612及び下部プレート614を互いに堅固にクランプすることができる。
【0091】
図38を参照すると、円弧体の断面が示される。この実施形態では、コリメータ組立体630は、下部支持プレート632と上部支持プレート634との間に支持された鉛及びプラスチックの複数の交互層で構成される。ねじ調節部材636は、下部プレート614を通って下部支持部材632まで、及び上部プレート612を通って上部支持部材634まで延びる。種々の部品は縮尺通りではない可能性がある。調節部材636を調節することにより、コリメータ組立体630の位置は、円弧体の残部に対して調節することができる。当業者には明らかであるように、弧の長さに沿う複数の場所に調節部材を設け、円弧体の長さ全体にわたりコリメータ組立体の位置を調節することができるようにする。種々の調節部材636を調節することにより、その長さに沿うコリメータ組立体の撓みを補償することができる。加えて、コリメータ組立体のどのような捩れも調節することができる。好ましくは、コリメータ組立体は、各ベーンが実質的に平面になるように調節される。
【0092】
図38は、コリメータ組立体と円弧体の患者側との間に位置決めされたアパーチャ円弧体638を示す。円弧体の患者側は、640で示されるアルミニウムなどの放射線透過材料の薄いシートを有することができる。この材料640の薄片は、上部支持部材612を下部支持部材614に結合し、構造的に安定した円弧体を形成するようにする。単一のスポーク642が円弧体の患者から遠い側に示されており、これは616〜620に示されるようなスポークの1つを表す。
【0093】
図39は、材料640の薄片が付加的なスポーク644で置き換えられた別の実施形態を示す。図38の材料640のシートでは、フォトンの伝達が僅かに均一に減少するが、スポークを用いるとフォトンの通過が局所的に減少することになるため、材料640のシートが好ましい。しかしながら、当業者には明らかとなるように、この機械は、スポーク644が存在することを補償することができるように較正することができる。
【0094】
図40は、ここでは646で表記される円弧体の患者側のシートが、上部支持部材612の上部及び下部支持部材614の底部の周りに曲げられる別の実施形態を示す。これは、締結具の取り付けが容易になるので好ましい構成である。
【0095】
XVIII.データのリビニング
当業者には明らかなように、本発明によるイメージングシステムは、ほぼ矩形の平坦面を有する現行のイメージングカメラとは異なる形式でデータを提供する。これらの従来のカメラは、複数の角度から画像を撮り、各画像は、その角度から患者の2次元の「ピクチャ」を提供する。本発明では、フォトンは、複数の検出器により複数の角度から受け取られ、アパーチャ円弧体及び検出器が互いに相対移動するときに種々の検出器に対する応答のラインが患者領域にわたって掃引される。イメージングは、異なる様式で行われるため、本発明からのデータを最初に処理して現行の機械で用いられるフォーマットにすることが好ましい。次に、従来の再構成ソフトウェアを用い、結果として得られたデータを処理することができる。データを現在イメージング装置により提供される形式にフォーマットするこの中間段階を本明細書では「リビニング」と呼ぶ。
【0096】
本発明によるデータのリビニングを理解するためには、従来のイメージング装置でデータがどのように処理されるかについて最初に考察することが最良である。図41は、患者650の断面を示す。本発明の幾つかの実施形態の一部を形成する円弧体652の一部が、患者650の断面の一部を囲むように示される。従来の2次元イメージングカメラは、第1の位置の654として、更に第1の位置から90度の位置に656として概略的に示される。複数の平行なイメージングラインが、各カメラ654及び656から投射されるように示される。654及び656で示されるカメラからのデータの処理では、入射フォトンの位置は一般に、r及びθを用いて指定される。これらの変数は、検出器の中心からの入射フォトンの距離r、及びカメラの角度位置θを意味する。入射フォトン経路の1つは、図41の658で表記される。位置654のカメラの中心からのこのフォトンの経路の距離は、図面ではrが付与されている。このデータは、サイノグラムと呼ばれるグラフにプロットすることができる。サイノグラムのサンプルを図42に示す。サイノグラムでは、カメラの角度位置θに対し、中心をゼロとして撮像装置の中心からの位置rをプロットする。イメージング領域の中心にある点660が、フォトンを放出する唯一の点である場合には、サイノグラムは、図42に示すように真直ぐな垂直線となる。これは、単一の点660から放出されるフォトンが、カメラの全ての角度位置(θ=0〜360度)でカメラの中心(r=0)に衝突することになるためである。図43は、中心から外れた単一の点に対するサイノグラムを示す。イメージング領域の周りをイメージングカメラが回転すると、中心から外れた点は、カメラの中心に対して見かけ上左右方向に移動するように見え、従ってサイノグラム上で正弦曲線となる。
【0097】
再び図41を参照すると、650として示される断面スライスは、患者が垂直に位置する場合には、単一の水平方向スライスとみなすことができる。実際の患者のイメージングセッションから得られるサイノグラムは、図42及び図43に示されるよりもかなり複雑になることは明らかである。更に、サイノグラムは、患者の各「スライス」に対して生成することができる。上記で考察したように、患者が位置決めされる視野は、縦方向軸線を有すると定義することができる。患者の「スライス」は、典型的には、この縦方向軸線に対して垂直となる。これは、感知平面と呼ぶこともできる。当業者には明らかなように、複数の感知平面は、患者の異なる「スライス」を得るように定めることができる。再び図41を参照すると、距離rは、カメラの中心点又は中心線とフォトンを受け取る位置との間の感知平面の距離として定義することができることは理解されるであろう。従来のガンマ線カメラの角度位置を定めるために、位置ラインは、感知平面における縦方向軸線とカメラの中心線との間に垂直に延びると定義することができる。従って、角度θは、位置ラインと、やはり感知平面に含まれ縦方向軸線に垂直な任意のベースラインとの間の角度と定義することができる。
【0098】
図9Bに戻ると、アパーチャ円弧体及び検出器が互いに相対的に移動するときに、本装置の種々の検出器の応答ラインが視野にわたってどのように掃引されるかが分かる。
【0099】
図44は、本発明による6つのアパーチャを有するアパーチャ円弧体を備えたイメージングシステムについてのサイノグラムと考えることができるものを示す。単一の点をイメージングし、フォトンを感知する検出器アレイ上の位置に対するアパーチャ円弧体位置の図表上にデータをプロットする場合には、複数の角度付平行線が生成されることになる。これは、アパーチャ円弧体位置の移動に伴い、点線源からのフォトンが検出器に到達することができる検出器アレイ上の位置もほぼ線形の関係で移動することに起因する。図44は縮尺通りではなく、単に一般的な概念を表すことを意図したものである点に留意されたい。図42及び図43の形式で示すデータのために設計されたアルゴリズムを用いて、図44に示すようなデータを処理するためには、データを再分類するかリビニングする必要がある。
【0100】
図45を参照すると、スライス650が、放出点662と共に示される。アパーチャ664を備えたアパーチャ円弧体663が、イメージング領域を取り囲み、検出器666を備えた検出器円弧体又は組立体665がアパーチャ円弧体を取り囲む。点662から放出されるフォトンは、アパーチャ664を通過し、666で検出器又はセンサにより受け取られることになる。アパーチャ664の位置及び検出位置666は既知であるので、2次元カメラでの等価位置データr及びθを計算することができる。この等価のr及びθは、2次元カメラの図45に示される。
【0101】
ここで図46を参照すると、フォトン経路が670で示され、アパーチャ円弧体が672、検出器組立体又は円弧体が674で示される。図示するように、フォトン経路670は、676でアパーチャを通過して、678で検出器に衝突することになる。アパーチャ円弧体の中心はCで示され、2次元イメージングカメラの等価のr及びθが図に示されている。Cはまた、視野の中心を表し、縦方向軸線上に存在することができる。アパーチャ676の角度はφで表され、アパーチャ円弧体の半径はRappで示される。これらの変数間の関係は式
で与えられる。
【0102】
図47は、検出器円弧体678の位置についての同様の関係を示す。この場合、検出器円弧体の半径はRdetで与えられ、検出器円弧体上の位置の角度はΨで与えられる。変数間の関係は、
で与えられる。
【0103】
当業者には明らかなように、サイノグラムは、該サイノグラム上の各位置のθ及びrの値を図46及び図47に示す等式に当てはめることにより、患者の各スライスに対して生成することができる。各場合において、これにより、アパーチャ位置φ及び検出器位置Ψが与えられることになる。次いで、アパーチャ位置及び検出器位置のこの組み合わせで記録された強度をこのθ及びrの組み合わせのサイノグラムに代入することができる。これは、完全なサイノグラムが生成されるまで繰り返すことができる。サイノグラムが生成されると、従来のイメージング装置と同様にデータを処理することができる。また、当業者には明らかなように、リビニングは、コンピュータ・デバイスを用いて行うことができる。
【0104】
XIX.付加的な較正構成
図35に関して考察したように、本発明によるイメージングシステムを較正するために、あるタイプの較正用線源を設けることが望ましい。従来の2次元イメージングカメラでは、平坦シートの放射線源が、典型的にはコリメータの上部に置かれ、上方向に配向される。この較正用線源により、カメラの全表面が同じレベルの放射性照射に暴露され、カメラを較正することができるようになる。即ち、カメラの特定の部分の読み取りがカメラの他の部分に対し高いかもしくは低い場合にはソフトウェア調節を行うことができ、較正後に結果として得られる読み取り値が一様になる。これらの従来の較正法には幾つかの欠点がある。第1に、放射性較正用線源は大きくて重く、技術者が操作するのが困難なことが多い。これらは通常、過剰な放射線被曝を避けるために、大きな鉛のボックスに収納される。しかしながら、ボックスの大きさ及び重量に起因して、技術者は、ボックスを1箇所に置き、次いで放射線源をイメージングが実際に行われる部屋の中に技術者の体に隣接して運ぶことを余儀なくされる場合が多い。これは不便であり、技術者の放射線被曝が付加されることになる。また、較正用線源とカメラの感知表面との間に位置決めされたコリメータにより、10000フォトン毎に約1個しか通過して感知表面に到達することができない。従って、較正手順は時間がかかることが多い。
【0105】
図35は、本発明を較正する1つの方法を示す。別の方法は本明細書の以下で考察する。何れの場合でも、アパーチャ円弧体のアパーチャ内又はアパーチャに隣接して放射線源が備えられ、放射線がアパーチャ円弧体を通り、コリメータを通って、検出器まで投射されるようにする。本発明の設計により、遥かに高い割合の放出フォトンが種々の検出器に到達し、較正時間を短縮することができる。放射性較正用線源が位置付けられた後、アパーチャ円弧体が移動し、ソフトウェアを用いてイメージングシステムを較正して検出器感度のばらつきを調節し、フォトンがアパーチャ円弧体に対する検出器の位置に応じて様々な角度で検出器を妨害するのを調節する。
【0106】
ここで図48を参照して、代替の較正用線源を説明する。アパーチャ円弧体の一部が700で示され、1対のスロット縁部要素702がスロット704を定める。較正用線源には、ほぼ管状の放射線源706が含まれ、これは、鉛遮断物708及びプラスチック製キャリア710を含むキャリアに取り付けられる。図49〜図55は、この較正用線源の組立及び利用を示している。図49は、プラスチック製キャリア710を示す。図示するように、キャリアは、内側面が凹面の弓形である。図50は、プラスチック製キャリア710内に入れ子になった同様の形状の鉛キャリア遮断物708を示す。幾つかの実施形態では、鉛遮断物は、ほぼ2.5〜3mmの厚さである。或いは、遮断物はタングステンで形成することができ、これにより、同じ量の放射性遮断に対しより薄くすることができる。放射線源は、種々の方法でキャリアに連結することができる。図51は、線源を保持することができるクリップ712の利用を示す。或いは、キャリアの前側全体を接着又はプラスチックコーティングして線源を適所に保持することにより取り付けることができる。図52は、キャリアにより保持された線源自体706を示す。線源は、エポキシ又は他の樹脂に埋め込まれたコバルト粒子のような放射性材料が充填された管体とすることができる。図53は、アパーチャ円弧体内に位置決めされた較正用線源を示しており、見えるように側縁要素を取り除いている。図54は、側部要素を取り付けたアパーチャ円弧体を示す。図55は、1対のガイド要素内に滑動して較正のために位置付けられた放射線源を示す。アパーチャ円弧体は、較正プロセス中に左右に移動することができる。較正用線源は、アパーチャ円弧体よりも高さが高いように示されているが、アパーチャ円弧体の高さ以下であってもよい。
【0107】
当業者には明らかなように、アパーチャ円弧体は、イメージング円弧体の内部に収容され、較正用線源の位置決めに対して円弧体に容易にアクセスできないようにされる。図56で始まる一連の図は、組立、位置決め、及び較正用線源並びに線源用のホルダ又はキャリアの利用法を示す。図56は、組み立てられたホルダ732を示す。これは、湾曲した上端部が互いに平行に位置決めされている1対の側部レール720を含む。側部レール720は、相互接続部分722及び724により、その上部及び底部で互いに結合される。また、底部相互接続部分724は、スペーサとしても働き、側部レールの内部に位置決めされると言える。1対の内側レール726は、底部スペーサ724に連結され、ほぼ平行に上方に延び、側部レール720から間隔を置いて配置される。内側レール726と側部レール720との間に1対のスロットが定められる。スロットの開放側部は、閉鎖部材728により閉じられる。支持フランジ730は、組み立てられた装置の底部に隣接して位置決めされる。前部横要素は734で示される。1つの実施形態では、横要素734は、使用中にキャリア又はホルダ732を位置付ける磁気ラッチを含む。図57は、キャリア732を分解図で示す。
【0108】
図58及び図59は、較正用線源746の一部を形成するプラスチックブロック736を示す。図示するように、プラスチックブロック736は、前面に凹部を有する。鉛遮断物738は、プラスチックブロック736のこの凹部に位置決めされる。プラスチックブロック736の側部から延びるガイドピン740が設けられる。放射性ロッド742は、鉛遮断物の内側面に接して位置決めされる。次に、線源を覆ってプラスチック又はアルミニウムリテーナ744が位置決めされ、鉛遮断物及びプラスチックブロックに接して保持される。これにより、組み立てられた較正用線源746が得られる。
【0109】
図60は、ホルダ732内に位置決めされた較正用線源746を示し、該ホルダはヒンジ748で支持されている。図61は、プラスチックブロック736の後部側が見えるように回転したホルダ732及び線源746を示す。図62は、イメージング円弧体の上部支持部材750と下部支持部材752との間に位置決めされたホルダ732を示しており、上側部材750を通るように開口部754が定められている。図63には、上部及び下部ガイドレール758及び760を有するアパーチャ円弧体755が加えられている。図64は、切り取られた上部支持部材750の一部を示す。
【0110】
図65は、線源ホルダ746の底部のヒンジ748の詳細図を示す。別の実施形態では、ヒンジ748などの位置にばねが設けられ、ホルダの上側端部をアパーチャ円弧体755に向けてばね付勢する。
【0111】
本発明の幾つかの実施形態の構造細部に起因して、上部支持部材の開口部は、線源が真直ぐに適所に落ちることができるようにアパーチャ円弧体に十分に近接して設けることができない。代わりに、アパーチャ円弧体を支持する部材の部分から離して位置決めする必要がある。図66は、上側部材750の開口部754を通ってホルダ732内に落下する線源746を示す。見えるようにするために、部材の一部を切り欠いている。図67は、図66の側面図を示しており、キャリア746が開口部754を通って延びるときに、アパーチャ円弧体に直接隣接する位置にキャリア746が移動しないようにするためにどのように開口部754が十分に離れて後部に位置決めされるかを示す。代わりに、ホルダ732の傾斜した後部表面にキャリアが衝突する。これにより線源が幾分傾斜し、その結果、ホルダ732が、線源と位置合わせするようにヒンジ上で枢動して戻る。図68は、ホルダが前方に移動して戻り、ホルダ732に完全に挿入された線源746を示しており、この動きは、作業者又はヒンジのばねの何れかにより引き起こされる。次に、ホルダは、磁気ラッチもしくはばね、或いは他の手段により適所に保持することができる。図69及び図70は、この挿入プロセスの付加的な図を示す。図71は、ホルダ732の1つの実施形態の幾つかのサンプル寸法を示す。
【0112】
図72は、前記図に示されたのと同様のホルダに用いることができる較正用線源の別の実施形態を示す。較正用線源は、図48の線源と同様の形状にされ、鉛又はタングステンの弓形要素798を有する。較正用線源800は、鉛を保護して補強するためにプラスチック802で包まれた鉛の要素798を有する。放射性材料の管体804が鉛及びプラスチック組立体の凹面側に固定される。本発明に用いる較正装置の特定の利点は、これまでの較正装置よりも遥かに小さく、軽量で、取り扱いが容易であることである。図73は、較正用線源が内部に位置決めされた較正装置保持ボックス810を示す。各線源は、ボックス810内に密集して適合するように収納することができる。ボックス及び較正用線源の全重量は、6又は10ポンドほどに小さくすることができ、技術者が不必要に被爆することなく容易に取り扱うことができるようにされる。
【0113】
XX.湾曲した結晶検出器
上記で考察したように、本発明は、CZTなどの固体検出器の何れか、又は光電管が裏付けされたシンチレーション材料で作ることができる。上記の実施形態では、シンチレーション材料の個々の要素を並べて組み立てた。好ましい別の実施形態によれば、図74に820で示すようなシンチレーション材料の単一の大きな湾曲した結晶を備えることができる。この結晶の単一の湾曲要素は、その面に沿って刻み目を付けることができ、この刻み目線は、異なるフォトン受信領域に分割されるように結晶を通って部分的に切断される。図75は、複数の光電管822が裏付けされた結晶820を示す。
【0114】
開示された好ましい実施形態に関する他の変形形態は当業者には明らかであろう。本発明の範囲を定めるのは全てのその均等物を含む請求項である。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1A】システムの全体構成及び患者の位置決めを示す、心臓SPECTに最適な本発明の好ましい実施形態の斜視図である。
【図1B】図1Aの実施形態の付加的な斜視図である。
【図2】SPECTイメージング中にフォトンを検出するための個々の検出器モジュールの1つの実施形態の斜視図である。
【図3】相対的位置関係を実際に示すために円単一の放射線検出器モジュールが弧の後部に示された、心臓SPECT用に最適化された本発明の実施形態のアパーチャ円弧体の斜視図である。
【図4】アパーチャ縁部処理の1つの実施形態を詳細に示す、アパーチャ円弧体の小さい部分の断面詳細図である。
【図5】縁部の詳細の別の実施形態を示す図4と同様の断面詳細図である。
【図6】縁部の詳細の更に別の実施形態を示す図4及び図5と同様の詳細図である。
【図7】調整可能な幅を備えたアパーチャを提供する調整可能端部要素を含むアパーチャ円弧体の一部の断面詳細図である。
【図8】アパーチャ円弧体の一部及び1つの調整可能な端部要素の斜視図である。
【図9A】スロット付きアパーチャ円弧体、検出器の円弧及び患者の視野の相対位置決めを示す概略平面図である。
【図9B】個々の検出器の応答ラインがどのように本体を通って複数の角度投影を行うかを示す概略平面図である。
【図10A】単一の検出器モジュールと、アパーチャ円弧体の第1の回転位置でのアパーチャ円弧体の小部分との概略平面図である。
【図10B】図l0Aと同様であるがアパーチャ円弧体が第2の位置にある図である。
【図10C】図10A及び図10Bと同様であるがアパーチャ円弧体が第3の位置にある図である。
【図11A】本発明の概略平面図である。
【図11B】本発明の概略平面図である。
【図11C】本発明の概略平面図である。
【図11D】本発明の概略平面図である。
【図11E】本発明の概略平面図である。
【図11F】本発明の概略平面図である。
【図12】アパーチャ円弧体及び角度を付けたコリメータベーンを含む本発明のためのイメージングセクションの別の実施形態の部分透視斜視図である。
【図13】検出器モジュールとの関係を示す断面(縦方向)コリメーション組立体の斜視図である。
【図14】図13と同様であるが、アパーチャ円弧体を含み、1つの検出器モジュールからの応答ラインを示す図である。
【図15】従来の「高分解能」平行穴コリメータに対する本発明を用いた様々な深さでの面内空間分解能のプロットである。
【図16】本発明による平行ベーンコリメータの一部の断面図である。
【図17】本発明によるイメージング円弧体の1つの実施形態に対する支持構造体の斜視図である。
【図18】図17と同様で、付加的に引張り部材を備えた支持組立体の斜視図である。
【図19】コリメータベーンの相対深さを示す、本発明による平行ベーンコリメータの一部及びセンサ組立体の断面図である。
【図20A】可動アパーチャ円弧体の延長ベーンの1つの実施形態の断面平面図である。
【図20B】ベーンが異なる位置で示された図20Aと同様の図である。
【図21】本発明の1つの実施形態による下部支持部材の一部及びアパーチャ円弧体の一部の斜視図である。
【図22】本発明に用いるためのセンサ組立体の後面斜視図である。
【図23】図22のセンサ組立体の前面斜視図である。
【図24】図22〜図23のセンサ組立体の側面図である。
【図25】センサモジュールの一部の断面詳細図である。
【図26】センサモジュールの1つの実施形態の正面図である。
【図27】コリメータ組立体を通して見た1対のセンサアレイの図である。
【図28】シンチレータベースの円筒形検出器モジュールの1つの実施形態の一部の斜視図である。
【図29A】シンチレーション材料の矩形バーの形の要素を用いた検出器モジュールの別の実施形態の斜視図である。
【図29B】上面及び下面に光検出器を備えた図29Aのモジュールの側面図である。
【図29C】図29Bと同様であるが、光検出器がシンチレーション材料の背面に位置決めされている図である。
【図30】台形断面のシンチレーション材料のブロックを有する検出器モジュールの斜視図である。
【図31A】シンチレーション材料の矩形要素に基づくマスク検出器構成の斜視図である。
【図31B】シンチレーション材料の円筒形要素に基づくマスク検出器構成の斜視図である。
【図31C】台形断面のシンチレーション材料の要素に基づくマスク検出器構成の斜視図である。
【図32】図31Aと同様であるが、光検出器がその背面に沿って配置されるバー形状のマスク検出器モジュールの構成の詳細を示す斜視図である。
【図33】本発明の1つの実施形態のための同時に起こる検出器及びアパーチャ円弧体運動の方向の概略図である。
【図34】本発明によるマスキングストリップを有する2次元のシンチレーションベースの検出器の斜視図である。
【図35】較正モジュールがアパーチャにより配置されたアパーチャ円弧体の一部の斜視図である。
【図36】2次元の検出器及び直線状遮断部材を利用する本発明の更に別の実施形態の概略平面図である。
【図37】イメージング円弧体の斜視図である。
【図38】本発明によるイメージング円弧体の1つの実施形態の断面図である。
【図39】本発明によるイメージング円弧体の別の実施形態の断面図である。
【図40】本発明によるイメージング円弧体の更に別の実施形態の断面図である。
【図41】2つの異なる位置で示される従来のガンマ線カメラと共に示す患者の視野の概略図である。
【図42】従来のガンマ線カメラが受け取るデータを表すサイノグラムである。
【図43】異なる条件セット下での従来のガンマ線カメラのためのデータを表す別のサイノグラムである。
【図44】本発明によるイメージングシステムからのデータを表すサイノグラムである。
【図45】本発明のための同等のアパーチャ円弧体及び検出器弧位置を示す図41に類似する概略図である。
【図46】従来の2次元データ処理に用いるためのアパーチャ円弧体及び検出器弧の位置を変換するのに必要な幾何学的配置を示す概略図である。
【図47】従来の2次元データ処理に用いるためのアパーチャ円弧体及び検出器弧の位置を変換するのに必要な幾何学的配置を示す概略図である。
【図48】放射性較正用線源及びホルダの1つの実施形態を備えたアパーチャ円弧体の平面図である。
【図49】較正用線源の外側シェル又はホルダ部分の斜視図である。
【図50】フォトン遮断シールドを加えた図49のホルダの斜視図である。
【図51】放射線源リテーナを加えた図49及び図50と同様の斜視図である。
【図52】円筒形放射線源を加えた図49〜図51と同様の斜視図である。
【図53】アパーチャ円弧体の一部に取り付けられた図52の較正用線源の斜視図である。
【図54】較正用線源を受け取るための受信器を示すアパーチャ円弧体の一部の片側の斜視図である。
【図55】ホルダに挿入されている較正用線源を示す図54と同様の斜視図である。
【図56】較正用線源ホルダの別の実施形態の斜視図である。
【図57】図56のホルダの分解斜視図である。
【図58】図56及び図57のホルダに用いるための較正用線源の斜視図である。
【図59】図58の較正用線源の分解図である。
【図60】図58及び図59の較正用線源が受け取られる図56及び図57のホルダの斜視図である。
【図61】図60の線源及びホルダの反対側を示す斜視図である。
【図62】図60及び図61のホルダ及び線源と共に示すイメージング円弧体の一部を形成する上部及び下部支持部材の斜視図である。
【図63】アパーチャ円弧体の一部を加えた図62と同様の斜視図である。
【図64】上部支持部材の一部を切り欠いた図63と同様の斜視図である。
【図65】図64のアパーチャ円弧体及び線源ホルダの底部の一部の詳細な斜視図である。
【図66】較正用線源及び較正用線源が部分的に挿入されたホルダの斜視図である。
【図67】線源が部分的に挿入された図66の線源及びホルダの側面図である。
【図68】線源が完全に挿入された図67と同様の側面図である。
【図69】線源が部分的に挿入された図66とは反対側からの線源及びホルダの付加的な斜視図である。
【図70】線源が完全に挿入されて示される図69と同様の斜視図である。
【図71】例示的な寸法が示される図70の較正用線源ホルダの平面図である。
【図72】較正用線源の平面図である。
【図73】内部に複数の較正用線源が配置された較正用線源コンテナの平面図である。
【図74】本発明の幾つかの実施形態に用いられる湾曲した結晶の斜視図である。
【図75】複数の光電管により裏付けされた図74の結晶の斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトン放出放射性同位体の3次元分布を表す形式の複数の断層画像を生成するための単一フォトン放出コンピュータ断層撮影システムであって、
患者の一部が視野内に位置するように患者を支持するための患者支持体を含み、縦方向軸線が視野を通して定められるベースと、
フォトンが衝突したかどうかを検出するよう動作可能なフォトン応答性検出器を含み、前記視野内に位置する患者の一部から放出されるフォトンを検出するように動作可能な前記視野に隣接する検出器組立体と、
前記視野と前記検出器との間に配置され、位置が合ったフォトンを通過させるため貫通して形成されたアパーチャスロットを有する、前記検出器から前記アパーチャを通って応答ラインが定められるフォトン遮断部材と、
フォトン減衰材料で作られた複数のコリメートベーンを含むコリメーション組立体と、
第1の支持部材と、該第1の支持部材から間隔を置いて配置された第2の支持部材とを含み、前記コリメーション組立体が前記両支持部材の間に配置され、第1の距離が前記コリメーション組立体と前記第1の支持部材との間に定められ第2の距離が前記コリメーション組立体と前記第2の支持部材との間に定められるようにされた、前記コリメーション組立体を支持するための支持組立体と、
前記第1の距離を調節するよう動作可能な第1の調節装置と、前記第2の距離を調節するよう動作可能な第2の調節装置とを含む調節組立体と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記コリメーション組立体が、前記視野に向かって配向された前面と前記視野から離れる方向に配向された背面とを有し、前記第1の調節装置が、各々が前記第1の支持部材と前記コリメーション組立体との間に延びる第1のペアの調節部材を含み、前記調節部材の1つが、前記コリメーション組立体の前面に対して他の調節部材よりも近接していることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の調節装置が、各々が前記第1の支持部材と前記コリメーション組立体との間に延びる第2のペアの調節部材を含み、前記調節部材の1つが前記コリメーション組立体の前面に対して他の調節部材よりも近接しており、前記第1及び第2のペアの調節部材が協働して、前記第1の距離及び前記第2の距離並びに前記支持組立体に対する前記コリメーション組立体の角度を調節するよう動作可能であることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記支持部材は、ほぼ同じ広がりを有し、各々が前記ベースに支持された固定端部とこれから間隔を置いて配置された自由端部とを有し、前記コリメーション組立体が、前記ベースに隣接する第1の端部と前記支持部材の自由端部に隣接する第2の端部とを有し、前記第1の調節装置が、前記第1の支持部材と前記コリメーション組立体との間に延びる第1の複数の調節部材を含み、前記第2の調節装置が、前記第2の支持部材と前記コリメーション組立体との間に延びる第2の複数の調節部材を含み、前記両調節部材が協働して、前記支持部材に対して前記コリメーション組立体の位置を調節することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の複数の調節部材が、前記第1の支持部材の前記固定端部と自由端部との間に間隔を置いて配置され、前記第2の複数の調節部材が、前記第2の支持部材の前記固定端部と自由端部との間に間隔を置いて配置されることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コリメーション組立体が、前記視野に向かって配向された前面と、前記視野から離れる方向に配向された背面とを有し、前記第1の複数の調節部材が前部のセットと後部のセットとを含み、前記第1のセットが、前記コリメーション組立体の前面に対して前記後部のセットよりも近接していることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2の複数の調節部材が前部のセットと後部のセットとを含み、前記第1のセットが前記コリメーション組立体の前面に対して前記後部のセットよりも近接していることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記支持部材が、ほぼ弓形であり、前記縦方向軸線に垂直な平面に全体的に配置され、前記支持部材が、前記視野の周りで少なくとも部分的にほぼ弓形に延びることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記支持部材が各々、ほぼ平坦な部材であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記支持部材が、ほぼ同じ広がりを有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記支持組立体が、前記ベースに支持された固定端部と、これから間隔を置いて配置された自由端部とを有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記支持組立体が、前記第1の支持部材と第2の支持部材との間に延びる複数の引張り部材を更に含み、各引張り部材が、前記第1の支持部材と相互に連結された第1の端部と、前記第2の支持部材と相互に連結された第2の端部とを有し、前記引張り部材は、前記第1の端部と第2の端部との間の距離が調節されるように調節可能であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記各支持部材が、前記ベースにより支持された固定端部と、これから間隔を置いて配置された自由端部とを有することを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記引張り部材が、前記支持部材の固定端部と第2の端部との間に間隔を置いて配置されることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記引張り部材の少なくとも一部は、前記第2の端部よりも前記第1の端部の方が前記支持部材の固定端部から遠くにあるように角度が付けられ、前記他の引張り部材は、前記第1の端部よりも前記第2の端部の方が前記支持部材の固定端部から遠くにあるように角度が付けられることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記縦方向軸線がほぼ垂直であり、前記支持組立体が全体的に前記縦方向軸線に垂直な平面に配置され、前記第1の支持部材が上部支持部材であり前記第2の支持部材が下部支持部材であるようにされることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記コリメーション組立体が、フォトン遮断材料のシートと放射線透過材料のシートとの交互のスタックを含み、前記フォトン遮断材料のシートが前記コリメートベーンを定めることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記検出器及び前記フォトン遮断部材の一方を該検出器及び前記フォトン遮断部材の他方に対して相対的に移動させ、前記アパーチャが前記検出器に対して変位し且つ前記応答ラインが前記視野の少なくとも一部にわたり掃引するように動作可能な変位アクチュエータを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記視野内の患者の部分が前記患者の胴体であり、前記縦方向軸線がほぼ垂直であり、前記患者の頭が腰よりも実質的に高い状態で前記患者の胴体がほぼ垂直に延びることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記ベースが、患者の腰を支持するためのほぼ水平な底部と、患者の後部を支持するためのほぼ垂直な後部分とを有する椅子様構造体を含むことを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記支持組立体がほぼ弓形であり且つ少なくとも部分的に前記視野を囲むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記コリメーション組立体が、前記フォトン遮断部材と前記検出器との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
放射線透過性材料が、前記コリメーション組立体の前記ベーン間に配置されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記コリメートベーンが前記縦方向軸線にほぼ垂直であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記コリメートベーンが前記縦方向軸線に対して角度を成すことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
前記アパーチャスロットが、縦方向軸線にほぼ平行であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記アパーチャスロットが、前記ベーンの少なくとも一部に対しほぼ垂直であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
ベースと、
視野をイメージングするための検出器組立体であって、フォトンが衝突するかどうかを検出するよう動作可能なフォトン応答検出器を含み、前記視野から放出されるフォトンを検出するように動作可能な検出器組立体と、
フォトン減衰材料で作られた複数のコリメートベーンを含むコリメーション組立体と、
第1の支持部材と、該第1の支持部材から間隔を置いて配置された第2の支持部材とを含み、前記コリメーション組立体が前記両支持部材の間に配置され、第1の距離が前記コリメーション組立体と前記第1の支持部材との間に定められ第2の距離が前記コリメーション組立体と前記第2の支持部材との間に定められるようにされた、前記コリメーション組立体を支持するための支持組立体と、
前記第1の距離を調節するよう動作可能な第1の調節装置と、前記第2の距離を調節するよう動作可能な第2の調節装置とを含む調節組立体と、
を備えることを特徴とするイメージングシステム。
【請求項29】
半径方向イメージングシステムからの断層撮影画像データが、視野の周りの複数の位置に配置されている間に読み取り値を得るタイプの従来のガンマ線カメラから得られるデータに対応するように前記データをリビニングする方法であって、
前記視野が、貫通して定められる縦方向軸線を有し、前記従来のガンマ線カメラが前記縦方向軸線に平行な中心線を備えた感知面を有し、前記縦方向軸線と前記中心線との間に垂直に位置ラインが定められ、前記位置ラインを含み且つ前記縦方向軸線に垂直であるように感知平面が定められ、前記縦方向軸線に垂直であり且つ前記感知平面内に含まれるようにベースラインが定められ、前記従来のガンマ線カメラの角度位置が前記ベースラインと前記位置ラインとの間の角度θとして定められ、前記従来のガンマ線カメラが、前記感知面上へのフォトン衝突を検出するよう動作可能であり、前記感知平面における各衝突が前記中心線から距離rの位置に位置付けられ、
前記リビニング方法が、
患者の一部が前記視野内に位置付けられるように該患者を支持するための患者支持体を含むベースと、前記視野に隣接するほぼ弓形の検出器組立体であって、フォトンが前記検出器に衝突するかどうかを検出するよう動作可能なフォトン応答検出器を含み、更に前記弓形の検出器組立体に沿って前記検出器への衝突位置を識別するよう動作可能な検出器組立体と、前記視野と前記検出器との間に配置され、位置が合ったフォトンを通過させるため貫通して形成されたアパーチャスロットを有する、前記検出器から前記アパーチャを通って応答ラインが定められるフォトン遮断部材と、フォトン減衰材料で作られ且つ複数の間隙を定めるように間隔を置いて配置された複数のほぼ平行なコリメートベーンを含むコリメーション組立体と、前記検出器及び前記フォトン遮断部材の一方を前記検出器及び前記フォトン遮断部材の他方に対して相対的に移動させ、前記アパーチャが前記検出器に対して変位し且つ前記応答ラインが前記視野の少なくとも一部を掃引するように動作可能な変位アクチュエータとを備える半径方向イメージングシステムを準備する段階と、
全体的に前記感知平面に衝突する複数のフォトンに関連する検出器読み取り値であって、各々が強度を含む複数の検出器読み取り値を得る段階と、
前記視野の中心線からの半径Rdet及び前記ベースラインに対する角度位置Ψを含む、前記検出器組立体からの各読み取り値の位置を求める段階と、
前記視野の中心線からの半径Rapp及び前記ベースラインに対する角度位置θを含む、各読み取り値に対する前記アパーチャスロットの位置を求める段階と、
従来のガンマ線カメラのr及びθの各組み合わせに対して次式:
及び、
を用いて、対応する値であるΨ及びφを計算する段階と、
r及びθの各組み合わせに対し、前記対応する位置φ、Ψ、Rapp及びRdetに関連する強度値を保存する段階と。
を含む方法。
【請求項30】
コンピュータ・デバイスを準備して前記コンピュータ・デバイスを用いて前記計算を行い、保存する段階を更に含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
付加的な感知平面を定めて、前記付加的な感知平面の各々に対して検出器読み取り値を得る段階を更に含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
医用イメージング装置において、
患者の胴体の一部が視野内に位置付けられるように前記患者を支持するための患者支持体を含み、前記視野を通って縦方向軸線が定められるベースと、
前記視野に隣接し、前記縦方向軸線に垂直な平面内に全体的に配置される、前記ベースにより支持された固定端部とこれから間隔を置いて配置された自由端部との間の前記視野の周りに少なくとも部分的にほぼ弓形に延びるほぼ弓形のイメージングセクションと、
を備え、
前記ほぼ弓形のイメージングセクションが、
フォトン減衰材料で形成された複数のほぼ平行なコリメートベーンを含むコリメーション組立体と、
支持組立体と、
を含み、
前記支持組立体が、
前記ベースにより支持される固定端部及びこれから間隔を置いて配置される自由端部を有する、前記縦方向軸線に垂直な平面に全体的に配置される第1の支持部材と、
前記第1の支持部材からある距離だけ間隔を置いて配置され、前記第1の支持部材にほぼ平行であり、前記第1の支持部材とほぼ同じ広がりを有し、且つ前記ベースに支持された固定端部とこれから間隔を置いて配置された自由端部とを有する第2の支持部材と、
前記支持部材の固定端部と自由端部との間に間隔を置いて配置され、各々が前記第1の支持部材と相互連結された第1の端部と前記第2の支持部材と相互連結された第2の端部とを有し、前記第1の端部と第2の端部との間の距離を調節するように調節可能である、前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との間に延びる複数の引張り部材と、
を有し、
前記コリメーション組立体が前記第1の支持部材とび第2の支持部材との間に配置されており、
前記引張り部材の少なくとも一部は、前記第2の端部よりも前記第1の端部の方が前記支持部材の固定端部から遠くにあるように角度が付けられ、前記他の引張り部材は、前記第1の端部よりも前記第2の端部の方が前記支持部材の固定端部から遠くにあるように角度が付けられることを特徴とする医療用イメージング装置。
【請求項33】
視野をイメージングするための単一フォトン放出コンピュータ断層撮影システムと前記システムのための較正用線源との組み合わせであって、
前記単一フォトン放出コンピュータ断層撮影システムが、
フォトンが衝突したかどうかを検出するよう動作可能なフォトン応答検出器を含む、前記視野に隣接する検出器組立体と、
位置が合ったフォトンを通過させるため貫通して形成されたアパーチャスロットを有し、前記検出器から前記アパーチャを通って応答ラインが定められ、前記視野に向かって配向された前面と前記検出器組立体に向かって配向された背面とを有する、前記視野と前記検出器との間に配置されたフォトン遮断部材と、
フォトン減衰材料で形成された複数のほぼ平行なコリメートベーンを含むコリメーション組立体であって、前記ベーンが複数の間隙を定めるように間隔を置いて配置され、前記複数のベーンが前記間隙の1つを通過するフォトンだけが前記視野から前記検出器へ進むことができるように記検出器と前記視野との間に配置されたコリメーション組立体と、
前記支持組立体が、第1の支持部材と前記第1の支持部材から間隔を置いて配置された第2の支持部材とを含む、前記フォトン遮断部材を支持するための支持組立体であって、前記フォトン遮断部材が前記支持部材間に配置され、前記フォトン遮断部材から間隔を置いて配置された前記支持部材の1つに開口部が形成され、前記支持部材間に前記較正用線源を受けるためのホルダが配置され、前記ホルダが前記支持部材の1つに枢動可能に取り付けられて、前記開口部と位置合わせされた線源受け取り位置と前記線源が前記フォトン遮断部材に隣接して前記開口部とほぼ位置合わせされた較正位置から枢動することができるようにした支持組立体と、
前記検出器及び前記フォトン遮断部材の一方を前記検出器及び前記フォトン遮断部材の他方に対して相対的に移動させ、前記アパーチャが前記検出器に対して変位し且つ前記応答ラインが前記視野の少なくとも一部にわたり掃引するように動作可能な変位アクチュエータと、
を含み、
前記較正用線源が、前記システムを較正するための設置位置及び前記較正用線源が前記システムから分離されている非設置位置とを有し、
前記較正用線源が、
前記較正用線源が前記設置位置にあるときに前記遮断部材の前面に隣接すると共に前記アパーチャに隣接して配置されるように構成された支持体と、
内側面と外側面とを有し、前記較正用線源が前記設置位置にあるときに前記内側面が前記アパーチャに向かって配向されるように前記支持部材と相互連結される放射線遮断材料で形成された放射線遮断物部材と、
前記アパーチャ隣接して取り付けられるような大きさにされた放射線源であって、
前記較正用線源が前記設置位置にあるときには前記放射線源が前記アパーチャに隣接して配置され、且つ前記放射線源からの放射線が前記アパーチャを通って放射されるように、前記遮断物部材の内側面に配置される放射線源と、
を含む、
ことを特徴とする組み合わせ。
【請求項34】
前記遮断物部材の内側面が凹面であることを特徴とする請求項33に記載の組み合わせ。
【請求項35】
前記放射線源がほぼ円筒形であることを特徴とする請求項33に記載の組み合わせ。
【請求項36】
視野をイメージングするための単一フォトン放出コンピュータ断層撮影システムと前記システムのための較正用線源との組み合わせであって、
前記単一フォトン放出コンピュータ断層撮影システムが、
フォトンが衝突したかどうかを検出するよう動作可能なフォトン応答検出器を含む、前記視野に隣接する検出器組立体と、
位置が合ったフォトンを通過させるため貫通して形成されたアパーチャスロットを有し、前記検出器から前記アパーチャを通って応答ラインが定められ、前記視野に向かって配向された前面と前記検出器組立体に向かって配向された背面とを有する、前記視野と前記検出器との間に配置されたフォトン遮断部材と、
フォトン減衰材料で形成された複数のほぼ平行なコリメートベーンを含むコリメーション組立体であって、前記ベーンが複数の間隙を定めるように間隔を置いて配置され、前記複数のベーンが前記間隙の1つを通過するフォトンだけが前記視野から前記検出器へ進むことができるように記検出器と前記視野との間に配置されたコリメーション組立体と、
前記検出器及び前記フォトン遮断部材の一方を前記検出器及び前記フォトン遮断部材の他方に対して相対的に移動させ、前記アパーチャが前記検出器に対して変位し且つ前記応答ラインが前記視野の少なくとも一部にわたり掃引するように動作可能な変位アクチュエータと、
を含み、
前記較正用線源が、前記システムを較正するための設置位置及び前記較正用線源が前記システムから分離されている非設置位置とを有し、
前記較正用線源が、
前記較正用線源が前記設置位置にあるときに前記遮断部材の前面に隣接すると共に前記アパーチャに隣接して配置されるように構成された支持体と、
内側面と外側面とを有し、前記較正用線源が前記設置位置にあるときに前記内側面が前記アパーチャに向かって配向されるように前記支持部材と相互連結される放射線遮断材料で形成された放射線遮断物部材と、
前記アパーチャ隣接して取り付けられるような大きさにされたほぼ円筒形の放射線源であって、
前記較正用線源が前記設置位置にあるときには前記放射線源が前記アパーチャに隣接して配置され、且つ前記放射線源からの放射線が前記アパーチャを通って放射されるように、前記遮断物部材の内側面に配置される放射線源と、
を含む、
ことを特徴とする組み合わせ。
【請求項37】
前記遮断物部材の内側面が凹面であることを特徴とする請求項36に記載の組み合わせ。
【請求項1】
フォトン放出放射性同位体の3次元分布を表す形式の複数の断層画像を生成するための単一フォトン放出コンピュータ断層撮影システムであって、
患者の一部が視野内に位置するように患者を支持するための患者支持体を含み、縦方向軸線が視野を通して定められるベースと、
フォトンが衝突したかどうかを検出するよう動作可能なフォトン応答性検出器を含み、前記視野内に位置する患者の一部から放出されるフォトンを検出するように動作可能な前記視野に隣接する検出器組立体と、
前記視野と前記検出器との間に配置され、位置が合ったフォトンを通過させるため貫通して形成されたアパーチャスロットを有する、前記検出器から前記アパーチャを通って応答ラインが定められるフォトン遮断部材と、
フォトン減衰材料で作られた複数のコリメートベーンを含むコリメーション組立体と、
第1の支持部材と、該第1の支持部材から間隔を置いて配置された第2の支持部材とを含み、前記コリメーション組立体が前記両支持部材の間に配置され、第1の距離が前記コリメーション組立体と前記第1の支持部材との間に定められ第2の距離が前記コリメーション組立体と前記第2の支持部材との間に定められるようにされた、前記コリメーション組立体を支持するための支持組立体と、
前記第1の距離を調節するよう動作可能な第1の調節装置と、前記第2の距離を調節するよう動作可能な第2の調節装置とを含む調節組立体と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記コリメーション組立体が、前記視野に向かって配向された前面と前記視野から離れる方向に配向された背面とを有し、前記第1の調節装置が、各々が前記第1の支持部材と前記コリメーション組立体との間に延びる第1のペアの調節部材を含み、前記調節部材の1つが、前記コリメーション組立体の前面に対して他の調節部材よりも近接していることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の調節装置が、各々が前記第1の支持部材と前記コリメーション組立体との間に延びる第2のペアの調節部材を含み、前記調節部材の1つが前記コリメーション組立体の前面に対して他の調節部材よりも近接しており、前記第1及び第2のペアの調節部材が協働して、前記第1の距離及び前記第2の距離並びに前記支持組立体に対する前記コリメーション組立体の角度を調節するよう動作可能であることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記支持部材は、ほぼ同じ広がりを有し、各々が前記ベースに支持された固定端部とこれから間隔を置いて配置された自由端部とを有し、前記コリメーション組立体が、前記ベースに隣接する第1の端部と前記支持部材の自由端部に隣接する第2の端部とを有し、前記第1の調節装置が、前記第1の支持部材と前記コリメーション組立体との間に延びる第1の複数の調節部材を含み、前記第2の調節装置が、前記第2の支持部材と前記コリメーション組立体との間に延びる第2の複数の調節部材を含み、前記両調節部材が協働して、前記支持部材に対して前記コリメーション組立体の位置を調節することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の複数の調節部材が、前記第1の支持部材の前記固定端部と自由端部との間に間隔を置いて配置され、前記第2の複数の調節部材が、前記第2の支持部材の前記固定端部と自由端部との間に間隔を置いて配置されることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コリメーション組立体が、前記視野に向かって配向された前面と、前記視野から離れる方向に配向された背面とを有し、前記第1の複数の調節部材が前部のセットと後部のセットとを含み、前記第1のセットが、前記コリメーション組立体の前面に対して前記後部のセットよりも近接していることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2の複数の調節部材が前部のセットと後部のセットとを含み、前記第1のセットが前記コリメーション組立体の前面に対して前記後部のセットよりも近接していることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記支持部材が、ほぼ弓形であり、前記縦方向軸線に垂直な平面に全体的に配置され、前記支持部材が、前記視野の周りで少なくとも部分的にほぼ弓形に延びることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記支持部材が各々、ほぼ平坦な部材であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記支持部材が、ほぼ同じ広がりを有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記支持組立体が、前記ベースに支持された固定端部と、これから間隔を置いて配置された自由端部とを有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記支持組立体が、前記第1の支持部材と第2の支持部材との間に延びる複数の引張り部材を更に含み、各引張り部材が、前記第1の支持部材と相互に連結された第1の端部と、前記第2の支持部材と相互に連結された第2の端部とを有し、前記引張り部材は、前記第1の端部と第2の端部との間の距離が調節されるように調節可能であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記各支持部材が、前記ベースにより支持された固定端部と、これから間隔を置いて配置された自由端部とを有することを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記引張り部材が、前記支持部材の固定端部と第2の端部との間に間隔を置いて配置されることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記引張り部材の少なくとも一部は、前記第2の端部よりも前記第1の端部の方が前記支持部材の固定端部から遠くにあるように角度が付けられ、前記他の引張り部材は、前記第1の端部よりも前記第2の端部の方が前記支持部材の固定端部から遠くにあるように角度が付けられることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記縦方向軸線がほぼ垂直であり、前記支持組立体が全体的に前記縦方向軸線に垂直な平面に配置され、前記第1の支持部材が上部支持部材であり前記第2の支持部材が下部支持部材であるようにされることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記コリメーション組立体が、フォトン遮断材料のシートと放射線透過材料のシートとの交互のスタックを含み、前記フォトン遮断材料のシートが前記コリメートベーンを定めることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記検出器及び前記フォトン遮断部材の一方を該検出器及び前記フォトン遮断部材の他方に対して相対的に移動させ、前記アパーチャが前記検出器に対して変位し且つ前記応答ラインが前記視野の少なくとも一部にわたり掃引するように動作可能な変位アクチュエータを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記視野内の患者の部分が前記患者の胴体であり、前記縦方向軸線がほぼ垂直であり、前記患者の頭が腰よりも実質的に高い状態で前記患者の胴体がほぼ垂直に延びることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記ベースが、患者の腰を支持するためのほぼ水平な底部と、患者の後部を支持するためのほぼ垂直な後部分とを有する椅子様構造体を含むことを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記支持組立体がほぼ弓形であり且つ少なくとも部分的に前記視野を囲むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記コリメーション組立体が、前記フォトン遮断部材と前記検出器との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
放射線透過性材料が、前記コリメーション組立体の前記ベーン間に配置されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記コリメートベーンが前記縦方向軸線にほぼ垂直であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記コリメートベーンが前記縦方向軸線に対して角度を成すことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
前記アパーチャスロットが、縦方向軸線にほぼ平行であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記アパーチャスロットが、前記ベーンの少なくとも一部に対しほぼ垂直であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
ベースと、
視野をイメージングするための検出器組立体であって、フォトンが衝突するかどうかを検出するよう動作可能なフォトン応答検出器を含み、前記視野から放出されるフォトンを検出するように動作可能な検出器組立体と、
フォトン減衰材料で作られた複数のコリメートベーンを含むコリメーション組立体と、
第1の支持部材と、該第1の支持部材から間隔を置いて配置された第2の支持部材とを含み、前記コリメーション組立体が前記両支持部材の間に配置され、第1の距離が前記コリメーション組立体と前記第1の支持部材との間に定められ第2の距離が前記コリメーション組立体と前記第2の支持部材との間に定められるようにされた、前記コリメーション組立体を支持するための支持組立体と、
前記第1の距離を調節するよう動作可能な第1の調節装置と、前記第2の距離を調節するよう動作可能な第2の調節装置とを含む調節組立体と、
を備えることを特徴とするイメージングシステム。
【請求項29】
半径方向イメージングシステムからの断層撮影画像データが、視野の周りの複数の位置に配置されている間に読み取り値を得るタイプの従来のガンマ線カメラから得られるデータに対応するように前記データをリビニングする方法であって、
前記視野が、貫通して定められる縦方向軸線を有し、前記従来のガンマ線カメラが前記縦方向軸線に平行な中心線を備えた感知面を有し、前記縦方向軸線と前記中心線との間に垂直に位置ラインが定められ、前記位置ラインを含み且つ前記縦方向軸線に垂直であるように感知平面が定められ、前記縦方向軸線に垂直であり且つ前記感知平面内に含まれるようにベースラインが定められ、前記従来のガンマ線カメラの角度位置が前記ベースラインと前記位置ラインとの間の角度θとして定められ、前記従来のガンマ線カメラが、前記感知面上へのフォトン衝突を検出するよう動作可能であり、前記感知平面における各衝突が前記中心線から距離rの位置に位置付けられ、
前記リビニング方法が、
患者の一部が前記視野内に位置付けられるように該患者を支持するための患者支持体を含むベースと、前記視野に隣接するほぼ弓形の検出器組立体であって、フォトンが前記検出器に衝突するかどうかを検出するよう動作可能なフォトン応答検出器を含み、更に前記弓形の検出器組立体に沿って前記検出器への衝突位置を識別するよう動作可能な検出器組立体と、前記視野と前記検出器との間に配置され、位置が合ったフォトンを通過させるため貫通して形成されたアパーチャスロットを有する、前記検出器から前記アパーチャを通って応答ラインが定められるフォトン遮断部材と、フォトン減衰材料で作られ且つ複数の間隙を定めるように間隔を置いて配置された複数のほぼ平行なコリメートベーンを含むコリメーション組立体と、前記検出器及び前記フォトン遮断部材の一方を前記検出器及び前記フォトン遮断部材の他方に対して相対的に移動させ、前記アパーチャが前記検出器に対して変位し且つ前記応答ラインが前記視野の少なくとも一部を掃引するように動作可能な変位アクチュエータとを備える半径方向イメージングシステムを準備する段階と、
全体的に前記感知平面に衝突する複数のフォトンに関連する検出器読み取り値であって、各々が強度を含む複数の検出器読み取り値を得る段階と、
前記視野の中心線からの半径Rdet及び前記ベースラインに対する角度位置Ψを含む、前記検出器組立体からの各読み取り値の位置を求める段階と、
前記視野の中心線からの半径Rapp及び前記ベースラインに対する角度位置θを含む、各読み取り値に対する前記アパーチャスロットの位置を求める段階と、
従来のガンマ線カメラのr及びθの各組み合わせに対して次式:
及び、
を用いて、対応する値であるΨ及びφを計算する段階と、
r及びθの各組み合わせに対し、前記対応する位置φ、Ψ、Rapp及びRdetに関連する強度値を保存する段階と。
を含む方法。
【請求項30】
コンピュータ・デバイスを準備して前記コンピュータ・デバイスを用いて前記計算を行い、保存する段階を更に含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
付加的な感知平面を定めて、前記付加的な感知平面の各々に対して検出器読み取り値を得る段階を更に含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
医用イメージング装置において、
患者の胴体の一部が視野内に位置付けられるように前記患者を支持するための患者支持体を含み、前記視野を通って縦方向軸線が定められるベースと、
前記視野に隣接し、前記縦方向軸線に垂直な平面内に全体的に配置される、前記ベースにより支持された固定端部とこれから間隔を置いて配置された自由端部との間の前記視野の周りに少なくとも部分的にほぼ弓形に延びるほぼ弓形のイメージングセクションと、
を備え、
前記ほぼ弓形のイメージングセクションが、
フォトン減衰材料で形成された複数のほぼ平行なコリメートベーンを含むコリメーション組立体と、
支持組立体と、
を含み、
前記支持組立体が、
前記ベースにより支持される固定端部及びこれから間隔を置いて配置される自由端部を有する、前記縦方向軸線に垂直な平面に全体的に配置される第1の支持部材と、
前記第1の支持部材からある距離だけ間隔を置いて配置され、前記第1の支持部材にほぼ平行であり、前記第1の支持部材とほぼ同じ広がりを有し、且つ前記ベースに支持された固定端部とこれから間隔を置いて配置された自由端部とを有する第2の支持部材と、
前記支持部材の固定端部と自由端部との間に間隔を置いて配置され、各々が前記第1の支持部材と相互連結された第1の端部と前記第2の支持部材と相互連結された第2の端部とを有し、前記第1の端部と第2の端部との間の距離を調節するように調節可能である、前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との間に延びる複数の引張り部材と、
を有し、
前記コリメーション組立体が前記第1の支持部材とび第2の支持部材との間に配置されており、
前記引張り部材の少なくとも一部は、前記第2の端部よりも前記第1の端部の方が前記支持部材の固定端部から遠くにあるように角度が付けられ、前記他の引張り部材は、前記第1の端部よりも前記第2の端部の方が前記支持部材の固定端部から遠くにあるように角度が付けられることを特徴とする医療用イメージング装置。
【請求項33】
視野をイメージングするための単一フォトン放出コンピュータ断層撮影システムと前記システムのための較正用線源との組み合わせであって、
前記単一フォトン放出コンピュータ断層撮影システムが、
フォトンが衝突したかどうかを検出するよう動作可能なフォトン応答検出器を含む、前記視野に隣接する検出器組立体と、
位置が合ったフォトンを通過させるため貫通して形成されたアパーチャスロットを有し、前記検出器から前記アパーチャを通って応答ラインが定められ、前記視野に向かって配向された前面と前記検出器組立体に向かって配向された背面とを有する、前記視野と前記検出器との間に配置されたフォトン遮断部材と、
フォトン減衰材料で形成された複数のほぼ平行なコリメートベーンを含むコリメーション組立体であって、前記ベーンが複数の間隙を定めるように間隔を置いて配置され、前記複数のベーンが前記間隙の1つを通過するフォトンだけが前記視野から前記検出器へ進むことができるように記検出器と前記視野との間に配置されたコリメーション組立体と、
前記支持組立体が、第1の支持部材と前記第1の支持部材から間隔を置いて配置された第2の支持部材とを含む、前記フォトン遮断部材を支持するための支持組立体であって、前記フォトン遮断部材が前記支持部材間に配置され、前記フォトン遮断部材から間隔を置いて配置された前記支持部材の1つに開口部が形成され、前記支持部材間に前記較正用線源を受けるためのホルダが配置され、前記ホルダが前記支持部材の1つに枢動可能に取り付けられて、前記開口部と位置合わせされた線源受け取り位置と前記線源が前記フォトン遮断部材に隣接して前記開口部とほぼ位置合わせされた較正位置から枢動することができるようにした支持組立体と、
前記検出器及び前記フォトン遮断部材の一方を前記検出器及び前記フォトン遮断部材の他方に対して相対的に移動させ、前記アパーチャが前記検出器に対して変位し且つ前記応答ラインが前記視野の少なくとも一部にわたり掃引するように動作可能な変位アクチュエータと、
を含み、
前記較正用線源が、前記システムを較正するための設置位置及び前記較正用線源が前記システムから分離されている非設置位置とを有し、
前記較正用線源が、
前記較正用線源が前記設置位置にあるときに前記遮断部材の前面に隣接すると共に前記アパーチャに隣接して配置されるように構成された支持体と、
内側面と外側面とを有し、前記較正用線源が前記設置位置にあるときに前記内側面が前記アパーチャに向かって配向されるように前記支持部材と相互連結される放射線遮断材料で形成された放射線遮断物部材と、
前記アパーチャ隣接して取り付けられるような大きさにされた放射線源であって、
前記較正用線源が前記設置位置にあるときには前記放射線源が前記アパーチャに隣接して配置され、且つ前記放射線源からの放射線が前記アパーチャを通って放射されるように、前記遮断物部材の内側面に配置される放射線源と、
を含む、
ことを特徴とする組み合わせ。
【請求項34】
前記遮断物部材の内側面が凹面であることを特徴とする請求項33に記載の組み合わせ。
【請求項35】
前記放射線源がほぼ円筒形であることを特徴とする請求項33に記載の組み合わせ。
【請求項36】
視野をイメージングするための単一フォトン放出コンピュータ断層撮影システムと前記システムのための較正用線源との組み合わせであって、
前記単一フォトン放出コンピュータ断層撮影システムが、
フォトンが衝突したかどうかを検出するよう動作可能なフォトン応答検出器を含む、前記視野に隣接する検出器組立体と、
位置が合ったフォトンを通過させるため貫通して形成されたアパーチャスロットを有し、前記検出器から前記アパーチャを通って応答ラインが定められ、前記視野に向かって配向された前面と前記検出器組立体に向かって配向された背面とを有する、前記視野と前記検出器との間に配置されたフォトン遮断部材と、
フォトン減衰材料で形成された複数のほぼ平行なコリメートベーンを含むコリメーション組立体であって、前記ベーンが複数の間隙を定めるように間隔を置いて配置され、前記複数のベーンが前記間隙の1つを通過するフォトンだけが前記視野から前記検出器へ進むことができるように記検出器と前記視野との間に配置されたコリメーション組立体と、
前記検出器及び前記フォトン遮断部材の一方を前記検出器及び前記フォトン遮断部材の他方に対して相対的に移動させ、前記アパーチャが前記検出器に対して変位し且つ前記応答ラインが前記視野の少なくとも一部にわたり掃引するように動作可能な変位アクチュエータと、
を含み、
前記較正用線源が、前記システムを較正するための設置位置及び前記較正用線源が前記システムから分離されている非設置位置とを有し、
前記較正用線源が、
前記較正用線源が前記設置位置にあるときに前記遮断部材の前面に隣接すると共に前記アパーチャに隣接して配置されるように構成された支持体と、
内側面と外側面とを有し、前記較正用線源が前記設置位置にあるときに前記内側面が前記アパーチャに向かって配向されるように前記支持部材と相互連結される放射線遮断材料で形成された放射線遮断物部材と、
前記アパーチャ隣接して取り付けられるような大きさにされたほぼ円筒形の放射線源であって、
前記較正用線源が前記設置位置にあるときには前記放射線源が前記アパーチャに隣接して配置され、且つ前記放射線源からの放射線が前記アパーチャを通って放射されるように、前記遮断物部材の内側面に配置される放射線源と、
を含む、
ことを特徴とする組み合わせ。
【請求項37】
前記遮断物部材の内側面が凹面であることを特徴とする請求項36に記載の組み合わせ。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図30】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図30】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【公表番号】特表2007−524827(P2007−524827A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517477(P2006−517477)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/019752
【国際公開番号】WO2005/006977
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(501400725)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/019752
【国際公開番号】WO2005/006977
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(501400725)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]