説明

単相三相擬似電流生成装置ユニット

【課題】
単相交流電源にて、漏洩電流の検出または測定するクランプ型の機器を使用する場合に用いることができる安全かつ小型化、軽量化が可能で安価な単相三相擬似電流生成装置ユニットを提供すること。
【解決手段】
漏洩電流を検出または測定するクランプ部(31)を有するクランプ型の機器(30)を評価する装置において、外枠(2,3)と、単相交流電源入力部(4)と、電圧変換部(21)、位相調整部(22)、電圧出力調整部(23)、擬似電流生成部(24)からなる単相三相擬似電流生成装置(20)と、前記擬似電流生成部で生成する擬似電流を単相または三相に切換える切換部(5)と、直流電源(14)と、被クランプ部(12)と、前記単相交流電源の電圧を出力する基準電圧出力部(10,11)と、を具備するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単相交流電源にて、漏洩電流の検出または測定するクランプ型の機器を使用する場合に用いることができる安全かつ小型化、軽量化が可能で安価な単相三相擬似電流生成装置ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、単相交流電源しかない場所では、三相用のクランプ型漏洩電流検出器または漏洩電流測定器を使用することができなかった。従って、三相用のクランプ型漏洩電流検出器または漏洩電流測定器の評価をする場合、三相電源の設備が必要であり、評価する場所が限られていた。
また、このような場所は100vから440vの高電圧であるため、評価する際、危険をともなう作業となる可能性もあった。
【0003】
ところで、単相交流電圧を三相交流電圧に変相する変相装置としては、種々のものが提案されている。
【0004】
例えば、特開平5−49260号公報には次のような変相装置が開示されている。
すなわちこの公報には、単相電流電力(単相交流電源)を直流電力に変換するコンバータ1と、そのコンバータ1よりの直流電力を交流電力に変換するインバータ2及びそのインバータ2に対して3相電力を発生させるよう制御する3相発生回路3によりなるそとこの単相電力を3相に変換する変相器の開示がある。
当該公報には記載されていないが、一般的には、このような変相器であると、安価にするためPWM(パルス幅変調)をおこなっており、PWMであると電圧及び電流を正確に測定することはできないという問題があった。
【0005】
また、特開2007−82269号公報には次のような変相装置も開示されている。
すなわちこの公報には、3相交流電圧入力用の端子11C、11D、12Cと、単相交流電圧出力用の端子11E、11Fと、端子11E、11Fに比べて位相の進んだ単相交流電圧出力用の端子12D、12Eとを具備し、端子11E、11F間に単相交流電圧が加えられるスコット結線変圧器1と、端子11E、11F間に加えられる単相交流電圧の電圧ベクトルVの位相を進めて、スコット結線変圧器1の端子12D、12E間に電圧ベクトルV1の単相交流電圧を加えるコンデンサ2と、端子11C、11D、12Cに接続されて、3相交流電圧を発生させる負荷抵抗3A〜3Cとを備えるとの開示がある。
このような装置であると、3相交流電圧を生成することはできるが、弱電化されていないため100V以上の高い電圧のままであり、この電圧に対応するコイル、トランス等は大きく重いものとなってしまい装置の小型化、軽量化が困難であった。また、100V以上の電圧であるため、微調整が難しいという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−49260号公報
【特許文献2】特開2007−82269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、単相交流電源にて、クランプ型漏洩電流検出器または漏洩電流測定器を使用する場合に用いることができる安全かつ小型化、軽量化が可能で安価な単相三相電流生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、漏洩電流を検出または測定するクランプ部を有するクランプ型の機器を評価する装置において、外枠と、前記外枠の表面または内方には、単相交流電源を入力する単相交流電源入力部と、前記単相交流電源から入力された電圧を弱電化する電圧変換部、前記電圧変換部にて弱電化された単相交流電圧の位相を任意の位相角に調整する位相調整部、前記三相に変換された各相のそれぞれの電圧を出力調整する電圧出力調整部、前記調整された電圧から単相または三相の擬似電流を生成する擬似電流生成部からなる単相三相擬似電流生成装置と、前記擬似電流生成部で生成する擬似電流を単相または三相に切換える切換部と、前記単相三相擬似電流生成装置を作動させる直流電源と、前記クランプ型の機器のクランプ部をクランプさせる被クランプ部と、前記単相交流電源の電圧を出力する基準電圧出力部と、を具備した構成としている。
【0009】
また、前記擬似電流生成部は、任意に結線可能な結線部と、前記結線部の一相から出力された電圧に負荷を与える負荷回路部と、で構成としてもよい。
【0010】
さらに、前記結線部をデルタ結線にするとよい。
【0011】
また、前記結線部をスター結線にしてもよい。
【0012】
さらに、前記負荷回路部は、抵抗またはコンデンサの1つもしくは複数で構成してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の単相三相擬似電流生成装置ユニットは、外枠と、前記外枠の表面または内方には、単相交流電源を入力する単相交流電源入力部と、前記単相交流電源から入力された電圧を弱電化する電圧変換部、前記電圧変換部にて弱電化された単相交流電圧の位相を任意の位相角に調整する位相調整部、前記三相に変換された各相のそれぞれの電圧を出力調整する電圧出力調整部、前記調整された電圧から単相または三相の擬似電流を生成する擬似電流生成部からなる単相三相擬似電流生成装置と、前記擬似電流生成部で生成する擬似電流を単相または三相に切換える切換部と、前記単相三相擬似電流生成装置を作動させる直流電源と、前記クランプ型の機器のクランプ部をクランプさせる被クランプ部と、前記単相交流電源の電圧を出力する基準電圧出力部と、を具備したことにより、装置を小型化、軽量化かつ安価にすることができ、単相交流電源にて、クランプ型漏洩電流検出器または漏洩電流測定器を安全に評価することができる。
【0014】
また、前記擬似電流生成部は、任意に結線可能な結線部と、前記結線部の一相から出力された電圧に負荷を与える負荷回路部と、で構成すると、様々な機器の測定や評価を簡単に行うことができ、評価の対象物を拡大することができる。
【0015】
さらに、前記結線部をデルタ結線にするとデルタ結線用の機器を測定や評価をすることができる。
【0016】
また、前記結線部をスター結線にするとスター結線用の機器を測定や評価をすることができる。
【0017】
また、前記負荷回路部は、抵抗またはコンデンサの1つもしくは複数で構成するとIgc(対地静電容量)、Igr(対地絶縁抵抗)を測定することができる。また、抵抗またはコンデンサの変更は容易にできるため、その調整を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の単相三相擬似電流生成装置ユニットの斜視図
【図2】本発明の単相三相擬似電流生成装置ユニットの平面図
【図3】単相交流電源と単相三相擬似電流生成装置のブロック図
【図4】三相デルタ結線の結線図を盛込んだブロック図
【図5】三相デルタ結線の波形を示した説明図
【図6】三相デルタ結線の波形を示した説明図
【図7】三相スター結線の結線図を盛込んだブロック図
【図8】三相スター結線の波形を示した説明図
【図9】単相の結線図を盛込んだブロック図
【図10】単相結線の波形を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。図1は本発明の単相三相擬似電流生成装置ユニット1を示す斜視図であり、図2は本発明の単相三相擬似電流生成装置ユニット1を示す平面図である。図1及び図2の如く、前記単相三相擬似電流測定装置ユニット1は、上板2と下枠3の外枠で覆われている。
【0020】
略矩形状のアクリル樹脂からなる前記上板2には、インレット4、第一スイッチ5、第二スイッチ6、T相用端子7、R相用端子8、S相用端子9、基準電圧R相(A相)端子10、基準電圧T相(N相)端子11及びクランプ用ワイヤ12が取着されている。なお、本実施の形態では上板2にアクリル樹脂を使用しているが、これに限定されるものではない。
【0021】
前記上板2と同様に略矩形状のアクリル材からなる前記下枠3には、回路基板13、直流電源14が取着されている。前記上板2に取り付けられている各部品及び直流電源14は、前記回路基板13と図示しないワイヤで結線されている。なお、上板2と同様に本実施の形態では下枠3にアクリル樹脂を使用しているが、これに限定されるものではない。
【0022】
前記インレット4は、単相交流電源の入力部であり単相交流電源のコンセントにつなぐ電源コード(図示せず)を差し込むものである。前記第一スイッチ5は、前記単相交流電源の通電(オン)、遮断(オフ)を切換えるスイッチである。前記第二スイッチ6は、擬似三相電流または擬似単相電流を切換えるスイッチである。
【0023】
前記T相用端子7、前記R相用端子8及び前記S相用端子9は、単相または三相の擬似電流の波形を出力する端子である。なお、本実施の形態では、三相3線式に対応するようにしているため、3つの端子を設けているが、これに限定されるものではなく、三相4線式に対応するように4つの端子を設けても良い。
【0024】
前記基準電圧R相(A相)端子10及び基準電圧T相(N相)端子11は、単相交流電源の電圧を出力する端子である。これらの端子10,11には、後述する漏洩電流測定器30の電圧入力部32から出されたワイヤに接続される。
【0025】
前記クランプ用ワイヤ12は被クランプ部であり、クランプ用ワイヤ12に後述する漏洩電流測定器30のクランプ部31をクランプする。
【0026】
前記回路基板13は、後述する単相三相擬似電流生成装置20に必要な電子部品が配置される。
【0027】
前記直流電源14は、後述する前記単相三相擬似生成装置20を作動させる電源である。
【0028】
図3は、本発明の単相三相擬似生成装置20を示すブロック図である。図3に示す如く、前記単相三相擬似電流生成装置20は、電圧変換部21、位相調整部22、電圧出力調整部23及び擬似電流生成部24にて構成されている。
【0029】
前記電圧変換部21は、一般的な抵抗又はトランスによって構成され、単相交流電源25の100vの電圧を5v程度に減衰させて弱電化する。なお、本実施の形態では5vに減衰させているが、この電圧に限定されるものではない。
【0030】
前記位相調整部22は、位相を任意の位相角に調整する。例えば、三相デルタ結線であれば位相角を60°づつずらして調整し、スター結線であれば位相角を120°づつずらして調整する。また、単相であれば位相角を0°で調整する。この位相調整部22により、単相から三相へ相変換することができるとともに、位相角を0°で調整することにより単相にすることもできる。
【0031】
前記電圧出力調整部23は、アンプすなわち増幅回路であり、前記位相調整部22にて出力された単相又は三相の電圧値をそれぞれ0vから7v程度に調整して出力する。
【0032】
前記擬似電流生成部24は、結線部26と負荷回路部27とで構成されている。該結線部26は、例えば、デルタ結線やスター結線、あるいは単相にて結線することができ、複数の結線に対応することが可能である。
前記負荷回路部27は、一般的な抵抗又はコンデンサ(図4参照)によって構成され、任意の負荷をかけることができる。
【0033】
クランプ型の漏洩電流(電圧)測定器30は、漏洩電流を測定するクランプ部31と、基準電圧を測定する電圧入力部32と、演算回路部33とを有している。本実施の形態では、クランプ型の漏洩電流(電圧)測定器を対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流(Igr)測定器としているが、これに限定するものではない。
【0034】
前記漏洩電流(電圧)測定器30は、前記クランプ部31を前記擬似電流生成部24の負荷回路部27と結線部26との間をクランプし漏洩電流を測定するとともに、電圧入力部32に前記単相交流電源25から100vの電圧を入力し、前記漏洩電流と前記単相交流電源25の基準電圧とを前記演算回路部33にて演算し、漏洩電流(Igr)を算出する。
【0035】
次に擬似電流生成部の第一の実施形態である三相デルタ結線を、図4を参照して説明する。図4は、擬似電流生成部24を具体的な結線図で示した第一の実施形態である。この第一の実施形態は、一般的な漏洩電流(Igr)測定器であるS相とR相で基準電圧を計測する三相デルタ結線製品用とした構成である。図4の如く、前記擬似電流生成部24をデルタ結線擬似電流生成部24aとし、前記結線部26をデルタ結線部26aとし、前記負荷回路部27をデルタ結線負荷回路部27aとしている。
【0036】
前記デルタ結線擬似電流生成部24aは、デルタ結線部26aとデルタ結線負荷回路部27aとで構成されている。
前記デルタ結線部26aは、S相35、R相36、T相37で形成され、前記デルタ結線負荷回路部27aは複数の抵抗38及びコンデンサ39で形成されている。本実施の形態における抵抗38は100Ω2W品を使用し、コンデンサ39は22μF25v品を使用している。これらは一般的なものであり安価で容易に入手できるものである。また、抵抗38及びコンデンサ39のサイズは、これらに限定されるものではない。
【0037】
結線方法は、前記デルタ結線部26aのS相35をグランドとし、R相36、T相37をそれぞれ前記デルタ結線負荷回路部27aと接続させている。このような結線において、前記電圧変換部21で弱電化された電圧が前記位相調整部22に出力される。前記位相調整部22はS相35をグランドとしてR相36とT相37の波形を観測して位相を調整する。これらS相35、R相36、T相37の出力を前記単相三相擬似電流生成装置ユニット1のS相用端子9、R相用端子8、T相用端子7から抽出し、オシロスコープ等により波形を出しながら図示しないボリュウム等により波形を調整する。図5に示す波形は、位相調整部22にて位相を調節した波形である。デルタ結線波形40は単相交流電源の1/10倍の波形を示している。デルタ結線波形41はS相−R相間の波形を示している。デルタ結線波形42はR相−T相間の波形を示している。デルタ結線波形43はT相−S相間の波形を示している。
【0038】
デルタ結線波形(S相−R相)41はデルタ結線波形(単相交流電源)40と同じ位相で調節され、デルタ結線波形(R相−T相)42はデルタ結線波形(S相−R相)41から120°進んで調節され、デルタ結線波形(T相−S相)43はデルタ結線波形(S相−R相)41から240°進んで調節されている。これらの波形を生成することにより、擬似的に三相電圧を出力することができる。
【0039】
また、同じ結線においても、T相とR相で基準電圧を計測する三相デルタ結線製品用の漏洩電流(Igr)測定器もある。本発明の擬似電流生成部では、このようにT相とR相で基準とする漏洩電流(Igr)測定器にも簡単に対応することができる。図6に示す波形は位相調整部22にて位相を調節した波形である。デルタ結線波形44は単相交流電源の1/10倍の波形を示している。デルタ結線波形45はS相−R相間の波形を示している。デルタ結線波形46はR相−T相間の波形を示している。デルタ結線波形47はT相−S相間の波形を示している。
【0040】
デルタ結線波形(S相−R相)45はデルタ結線波形(単相交流電源)44から60°進んで調節され、デルタ結線波形(R相−T相)46はデルタ結線波形(単相交流電源)44から180°進んで調節され、デルタ結線波形(T相−S相)47はデルタ結線波形(単相交流電源)44から320°進んで調節されている。これらの波形を生成することにより、擬似的に三相電圧を出力することができる。
【0041】
この擬似的に出力された三相電圧を前記電圧出力調整部23にて再度5vに電圧調整し、前記擬似電流生成部24aに入力すると、擬似電流生成部24aにて擬似的に漏洩電流を生成する。そして、前記クランプ用ワイヤ12を前記測定器30のクランプ部31でクランプすると、漏洩電流を計測することができる。
【0042】
次に擬似電流生成部の第二の実施形態である三相4線スター結線を、図7を参照して説明する。図7は、擬似電流生成部24を具体的な結線図で示した第二の実施形態である。この第二の実施形態は、漏洩電流(Igr)測定器のひとつであるN相とR相で基準電圧を計測する三相4線スター結線製品用とした構成である。図7の如く、前記擬似電流生成部24をスター結線擬似電流生成部24bとし、前記結線部26をスター結線部26bとし、前記負荷回路部27をスター結線負荷回路部27bとしている。なお、第一の実施形態と差異がない箇所は同じ符号としている。
【0043】
前記スター結線擬似電流生成部24bは、スター結線部26bとスター結線負荷回路部27bとで構成されている。
前記スター結線部26bは、N相50、R相51、T相52、S相53で形成され、前記スター結線負荷回路部27bは複数の抵抗38及びコンデンサ39で形成されている。本実施の形態における抵抗38及びコンデンサ39は、第一の実施形態と同じとしているが、これに限定されるものではない。
【0044】
結線方法は、前記スター結線部26bのN相50をグランドとし、R相51、T相52、S相53をそれぞれ前記スター結線負荷回路部27bと接続させている。このような結線において、前記電圧変換部21で弱電化された電圧が前記位相調整部22に出力される。前記位相調整部22はN相50をグランドとしてR相51とT相52とS相53の波形を観測して位相を調整する。これらN相50、R相51、T相52、S相53の出力を前記単相三相擬似電流生成装置ユニット1の端子から抽出し、オシロスコープ等により波形を出しながらボリュウム等により波形を調整することになるが、図1及び図2の単相三相擬似電流生成装置ユニット1は、三相3線式用であるため図示されていない。図8に示す波形は、位相調整部22にて位相を調節した波形である。スター結線波形55は単相交流電源の1/10倍の波形を示している。スター結線波形56はN相−R相間の波形を示している。スター結線波形57はN相−T相間の波形を示している。スター結線波形58はN相−S相間の波形を示している。
【0045】
スター結線波形(N相−R相)56はスター結線波形(単相交流電源)55と同じ位相で調節され、スター結線波形(R相−T相)57はスター結線波形(N相−R相)56から120°進んで調節され、スター結線波形(N相−S相)58はスター結線波形(N相−R相)56から240°進んで調節されている。これらの波形を生成することにより、擬似的に三相電圧を出力することができる。
【0046】
この擬似的に出力された三相電圧を前記電圧出力調整部23にて再度5vに電圧調整し、前記擬似電流生成部24bに入力すると、擬似電流生成部24bにて擬似的に漏洩電流を生成する。そして、前記クランプ用ワイヤ12を前記測定器30のクランプ部31でクランプすると、漏洩電流を計測することができる。
【0047】
なお、第二の実施の形態では、N相とR相で基準電圧を計測する形態を示したが、これに限るものではなく、T相とR相、またはR相とS相等、簡単に様々な組合せで基準電圧を計測することができる。
【0048】
次に擬似電流生成部の第三の実施形態である単相結線を、図9を参照して説明する。図9は、擬似電流生成部24を具体的な結線図で示した第三の実施形態である。この第三の実施形態は、一般的な漏洩電流(Igr)測定器であるA相とN相で基準電圧を計測する単相結線製品用とした構成である。図9の如く、前記擬似電流生成部24を単相結線擬似電流生成部24cとし、前記結線部26を単相結線部26cとし、前記負荷回路部27を単相結線負荷回路部27cとしている。
【0049】
前記単相結線擬似電流生成部24cは、単相結線部26cと単相結線負荷回路部27cとで構成されている。
前記単相結線部26cは、A相60、N相61で形成され、前記単相結線負荷回路部27cは複数の抵抗38及びコンデンサ39で形成されている。本実施の形態における抵抗38及びコンデンサ39は、第一の実施形態と同じとしているが、これに限定されるものではない。
【0050】
結線方法は、前記単相結線部26cのN相60をグランドとし、A相61を前記単相結線負荷回路部27cと接続させている。このような結線において、前記電圧変換部21で弱電化された電圧が前記位相調整部22に出力される。前記位相調整部22はN相60をグランドとしてA相61の波形を観測して位相を調整する。これらN相60、A相61の出力を前記単相三相擬似電流生成装置ユニット1のR相用端子8、T相用端子7から抽出し、オシロスコープ等により波形を出しながら図示しないボリュウム等により波形を調整する。図10に示す波形は、位相調整部22にて位相を調節した波形である。単相結線波形63は単相交流電源の1/10倍の波形を示している。単相結線波形64はN相−A相間の波形を示している。
【0051】
単相結線波形(N相−A相)64は単相結線波形(単相交流電源)63から90°進んで調節されている。この波形を生成することにより、擬似的に単相電圧を出力することができる。
【0052】
この擬似的に出力された単相電圧を前記電圧出力調整部23にて再度5vに電圧調整し、前記擬似電流生成部24cに入力すると、擬似電流生成部24cにて擬似的に漏洩電流を生成する。そして、前記クランプ用ワイヤ12を前記測定器30のクランプ部31でクランプすると、漏洩電流を計測することができる。
【0053】
以上の構成によれば、単相三相擬似電流生成装置20によって単相、三相の擬似電流を生成することができるので、単相交流電源を使用して、クランプ部を有するクランプ型の漏洩電流検出器または測定器等の機器を評価できるばかりではなく、装置を小型化、軽量化かつ安価に提供でき、さらに安全に機器を評価することができる。
【0054】
また、前記擬似電流生成部は、三相デルタ、三相スター、単相結線のように任意に結線可能な結線部と、前記結線部の一相から出力された電圧に負荷を与える負荷回路部と、で構成すると、様々な機器の測定や評価を簡単に行うことができ、評価の対象物を拡大することができる。
【0055】
また、前記負荷回路部は、抵抗またはコンデンサの1つもしくは複数で構成するとIgc(対地静電容量)、Igr(対地絶縁抵抗)を測定することができる。さらに、抵抗またはコンデンサの変更は容易にできるため、その調整を簡単にすることができる。
【符号の説明】
【0056】
2 上板
3 下枠
4 インレット
6 第二スイッチ
10 基準電圧R相(A相)端子
11 基準電圧T相(N相)端子
12 クランプ用ワイヤ
14 直流電源
20 単相三相擬似電流生成装置
21 電圧変換部
22 位相変換部
23 電圧出力部
24 擬似電流生成部
26 結線部
27 負荷回路部
38 抵抗
39 コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
漏洩電流を検出または測定するクランプ部を有するクランプ型の機器を評価する装置において、
外枠(2,3)と、前記外枠の表面または内方には、単相交流電源を入力する単相交流電源入力部(4)と、
前記単相交流電源から入力された電圧を弱電化する電圧変換部(21)、前記電圧変換部にて弱電化された単相交流電圧の位相を任意の位相角に調整する位相調整部(22)、前記三相に変換された各相のそれぞれの電圧を出力調整する電圧出力調整部(23)、前記調整された電圧から単相または三相の擬似電流を生成する擬似電流生成部(24)からなる単相三相擬似電流生成装置(20)と、
前記擬似電流生成部で生成する擬似電流を単相または三相に切換える切換部(6)と、
前記単相三相擬似電流生成装置を作動させる直流電源(14)と、
前記クランプ型の機器のクランプ部をクランプさせる被クランプ部(12)と、
前記単相交流電源の電圧を出力する基準電圧出力部(10,11)と、
を具備したことを特徴とする単相三相擬似電流生成装置ユニット。
【請求項2】
前記擬似電流生成部は、任意に結線可能な結線部(26)と、前記結線部の一相から出力された電圧に負荷を与える負荷回路部(27)と、で構成したことを特徴とする請求項1に記載の単相三相擬似電流生成装置ユニット。
【請求項3】
前記結線部をデルタ結線としたことを特徴とする請求項2に記載の単相三相擬似電流生成装置ユニット。
【請求項4】
前記結線部をスター結線としたことを特徴とする請求項2に記載の単相三相擬似電流生成装置ユニット。
【請求項5】
前記負荷回路部は、抵抗(38)またはコンデンサ(39)の1つもしくは複数で構成したことを特徴とする請求項2に記載の単相三相擬似電流生成装置ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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