説明

単純ヘルペス1型ウイルス欠失変異型およびそのワクチン

【課題】 神経毒性を欠くHSU-1の提供が望まれる。
【解決手段】 本発明はHSU-1のBamHIs(0〜0.02および0.81〜0.83mu)内のRの末端部を欠失修飾することで、かかる神経毒性を欠くウイルスが得られていることを見い出したものである。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、神経毒力を欠く単純ヘルペス1型ウイルス(HSV−1)の変異型に関する。このような変異型はヒトにおけるHSV感染の予防のための弱毒化生菌ワクチンの調製において重要である。
【0002】
(従来技術)
単純ヘルペス1型ウイルス(HSV−1)および2型ウイルス(HSV−2)は重大なヒトの病原体であり、全人口の80%以上に感染し、再発性粘膜皮膚障害を起こす。複製後、HSVは末梢神経系にはいり、未知の機構により活性な複製は終わる。その後、神経細胞において潜伏感染が確立され、これは宿主の存命中存続する。HSVは潜伏状態から再活性化することができ、感染症が起こる。HSVは比較的良性の皮膚障害から致命的ウイルス性脳炎まで及ぶ広範囲の病気の原因である。
【0003】
HSV−1およびHSV−2の両方の遺伝子構成を説明するために、既にかなりの研究がなされている。HSV−1ゲノムは2成分LおよびSを含む約152キロ塩基対の直線状二本鎖DNA分子である。各成分は、逆向反復配列を末端とする独自の配列U1およびUs’を含む。HSV−2ゲノムの構成も似ているが、同じではない。HSV−1およびHSV−2の遺伝子構成の詳細な記載については、McGeoch(1987)を参照。
【0004】
ウイルス性病原性に関する遺伝子の同定およびその厳密な機能の説明は、単純ヘルペスウイルス(HSV)の生物学的理解のためには重要である。ウイルスゲノムの長および短領域の両方の元配列および反復配列において特定の欠失を有する両HSV−1型(17株)およびHSV−2型(HG52株)の多くの変異型は既に単離され、形質化されている(Brown ら、1984年、HarlandおよびBrown(1985)、BrownおよびHarland(1987)、MacLeanおよびBrown(1987aおよびb)、HarlandおよびBrown(1989)参照)。しかし、HSVの神経毒力を制御する分子機構については余り知られていない。JH2604と称するHSV−2 HG52株の欠失変異型は、マウスの大脳内接種に関して無毒性である(Tahaら、1989a参照)。JH2604はゲノムの長反復領域の両複製(即ち、末端長反復(TR)および内部逆長反復(IR)領域)中に1488塩基対の欠失を有する。
【0005】
RE6と称するHSV−1 17株/HSV-2 HG52株組み換え体(Institute of Virology, Glasgowで、Marsdenらにより1978年に初めて単離)もマウスにおいて無毒性であると報告されている(Thompsonら、1989年参照)。
【0006】
abおよびb'a'で示されるHSV−1、L成分の逆向反復配列はそれぞれ約9Kbpであり、S成分のc'a'およびcaはそれぞれ約6.5Kbpである。LおよびS成分の逆向反復配列が共有する配列は、「a」配列と表わす。この配列は、ChouおよびRoizman(1986)によりプロモーター調節配列およびL成分の逆向反復配列のb配列にある二倍体遺伝子の転写開始部位を含むと報告されている。HSV F株に関する研究により、転写されたオープンリーディングフレーム(ORF)が「a」配列およびIE1で示される即時型初期遺伝子間に存在すると報告されている。抗ペプチド血清の使用により、ORFがICP 34.5蛋白質を特定することを示すことができる(Ackermannら、1986年参照)。最近、ChouおよびRoizman(1990)は、彼らの新たに予想するORFは分析した他の2種のHSV−1株に保持されるが、Glasgow株HSV−1(17) syn+中には保持されないことを報告している。Chouら(1990年)は、HSV−1の神経毒力部はICP 34.5とコマップし、ICP 34.5の発現を要することを示している。
【0007】
(発明の開示)
驚くべきことに、Rの末端部が修飾されたHSV−1 Glasgow 17株変異型は神経毒性を有さないことが判明した。
【0008】
このような変異型はCNSニューロンにおいて複製できないが、末端組織においては複製できるので、マウスにおいては複製でき、良好な免疫学的細胞性応答を惹起する。この能力はこれらの株のワクチンのポテンシャルを示すものである。
【0009】
本発明によると、ゲノムがBam HI s(0〜0.02および0.81〜0.83mu)内のRの末端部において修飾されたHSV−1株が提供される。
【0010】
Bam HI sは、約3KbのHSV R領域のBam HI sフラグメントの各コピーを意味すると考えられる。
【0011】
本明細書において用いる「修飾された」という語は、1以上のヌクレオチドの欠失、別のヌクレオチドの挿入、または転位などのヌクレオチド配列の他の変更、あるいは置換によるBam HI sフラグメントの分裂を意味する。
【0012】
HSV−1株は自然に単離された欠失変異型であるかまたは望ましい修飾が導入された野生型株であってもよい。
【0013】
HSV株におけるこのような修飾は遺伝子操作により、例えば部位特異的変異処理、またはあらかじめ調製した所望の修飾を含むDNAカセットで置換するかあるいは置換せずにゲノムの一部を切除することによりなされる。あるいは、天然に存在するHSV−1変異型、例えば欠失変異型を単離することができる。
【0014】
好ましくは、本発明のHSV−1株はGlasgow 17株変異型である。
【0015】
好ましい一態様において、HSV−1株は、a配列内の125074npおよび125972npのAlu IサイトおよびそのTRにおける対応する配列間のBam HI s'領域において最低100ヌクレオチドが欠失している株である。
【0016】
より好ましくは、Bam HI s'領域の0.5〜3kbおよびTRにおける対応部が欠失しており、更に好ましくは、約0.7〜2.5kbが欠失している。
【0017】
一例においては、HSV−1変異型は1714と称する株であり、これは1702変異型の自発的欠失変異型であって、以下に記載するように、R領域のBam HI sフラグメントの各コピー内で759bpが欠失し、非神経毒力に関する欠失は、125213および125972のヌクレオチドポジション間に位置する。
【0018】
このような欠失は「a」配列の18bpのDR1エレメントの完全なコピーを除去し、即時型初期遺伝子1の5'末端の1105bp上流で終わる。
【0019】
別の例においては、HSV−1変異型は、1716と称する変異型であり、1714変異型の759bpの欠失が野生型Glasgow17株に導入されているものである。
【0020】
本発明をより明確に理解するために、以下の第1図を参照する。図中:
(a) プロトタイプ配列のHSV−1ゲノム(マップ単位を示す)を示す。
(b) BamHI k(s+q)の展開を示す。1714/1716における欠失に接するBamHI (B)およびAluI (A)サイトに印を付けた。全座標は、McGeochら(1988)のナンバリングに基づいている。IE1の5'末端、「a」配列、「a」配列のDR1/Ub境界、189bpのHSV−1およびHSV−2間の保守的オープンリーディングフレーム(R ORF)ならびに1714/1716における759bpの欠失の終点も示す。欠失はDR1/Ub境界から広がり、R ORFの5' 107 bpが除去される。
【0021】
本発明は、更に本発明のHSV−1株を含む完全ウイルスワクチンを提供し、かかるワクチンは、免疫防御的でかつ非毒性量の本発明の株を含む。かかるワクチンは、該株を単独または他の抗原および/またはアジュバントとともに含んでもよい。
【0022】
その非病原性により、本発明のウイルスは例外的に更に修飾してもよい。例えば、更に修飾して異型抗原を担うようにしてもよい。ウイルスに遺伝子操作して、HSV−2からHSV−2 gD等の抗原を発現するようにできる。このようなウイルスは、1型および2型ウイルスの両方に対する抗体およびCTL応答を惹起し、更に全体の免疫応答を向上させる。同様に、本発明のウイルスにより他の病原体から他の抗原を得ることができる。例えば、HCMV、VZV、EBV、HHV6、HHV7およびHIVならびに他のエンベロープウイルス由来の遺伝子産物を得ることができる。
【0023】
更に本発明のウイルスは、突然変異、代表的には温度感受性突然変異をカプシド蛋白質P40をコードする遺伝子UL26aに導入することにより修飾してもよい(Liu & Roizman 1991 a+b)。
【0024】
非許容温度(典型的には38.5℃)でのこのような突然変異の結果、軽粒子即ちヌクレオカプシドおよび核酸を有さない、従って感染力を有さないウイルス粒子が過剰に産生される。J of Gen Virology (1991) 72 p661 Szilagyi and Cunningham参照。
【0025】
従って、本発明は本明細書に記載のウイルス由来の軽粒子に関する。
【0026】
別の具体例において、本発明は、異型抗原を担うヘルペスウイルス軽粒子を提供する。例えば、本発明の一具体例において、HSV−1 1716はHSV−2 gDを発現するように修飾され、またUL26a遺伝子において38.5℃にて温度感受性突然変異を含むようにも修飾されており、この突然変異体はHSV−2 gDを含有する軽粒子を過剰に産生する。他のHSV−2蛋白質はこのようなウイルス、とくにHSV−2 遺伝子産物 ICPO、ICPおよびVmw 65 kDに含まれてもよい。HCMV、VZV、EBV、HHV6、HHV7などの他のヘルペスウイルスおよびHIV−1およびHIV−2等の外被ウイルス由来の膜蛋白質も得られる。例えば、HCMV由来のgB、HIV−1またはHIV−2由来のgp120もウイルス軽粒子に含まれてもよい。理論的には、本発明の軽粒子は、ウイルスが細胞内にはいるのを妨げないいかなる異型膜蛋白質も担うことができる。
【0027】
従って、本発明は、異型抗原を担うヘルペスウイルス軽粒子を提供する。特に、本発明は、異型抗原を担う単純ヘルペスウイルス、好ましくは1型ウイルス軽粒子を提供する。本発明のこの態様の一具体例はHSV−1 1716、gD1、gD2、UL26a tsおよびこれら由来の軽粒子である。
【0028】
本発明の軽粒子は、Szilagyi & Cunninghamの方法(前出)の変法により調製できる。簡単にいえば、細胞を5pfu/個で非許容温度(npt)38.5℃にて感染させ、上清ウイルスを感染の30時間後に収穫する。この調製物をあらかじめ調製した5〜15%Ficoll (イーグル培地中で調製)勾配で2時間12Kで遠心分離する。軽粒子帯を26Gニードルを用いて除去し、20Kにて一夜通常細胞増殖培地(Eagles)中でペレット化する。
【0029】
本発明の軽粒子はワクチンの目的に関して有用である。従って、本発明の別の態様において、異型抗原を担うヘルペスウイルス由来の軽粒子を含むワクチンが得られる。更に別の態様において、BamH1 s(0〜0.02および0.81〜0.83mu)内のRの末端部に変更のあるウイルス由来のHSV−1ウイルス軽粒子を含むワクチンが得られる。
【0030】
別法として、あるいは前記変法に加えて、本発明のウイルスは突然変異、典型的には欠失を導入することにより修飾してもよく、これにより、LATプロモーターの効力がなくなる。このような突然変異により、更に安全性が高まり、潜伏状態からの再活性化の頻度および割合が減少する。
【0031】
従って、本発明は、BamH1 s(0〜0.02および0.81〜0.83mu)内のRの末端部に変更があり、修飾されてLATプロモーターを無効にするHSV−1ウイルスを提供する。前記の方法でこのような修飾ウイルスを更に修飾して、HSV−2 gDなどの異型抗原を産生するようにしてもよい。更に、異型抗原の発現に加えて、あるいはそのかわりに、遺伝子UL26aに温度感受性突然変異を編入し、軽粒子の過剰産生を可能にし、その結果存在する潜在的感染性ウイルスの量を減らすことができる。このような軽粒子はウイルス粒子のFicoll遠心分離により感染性ウイルスから分離される。通常、軽粒子帯における軽粒子に対する重粒子の割合は、1:103であるが、UL26a中に突然変異を編入した場合、軽粒子に対する重粒子の割合は典型的には1:106のオーダーである。
【0032】
本発明はまた完全ウイルスワクチンの調製法を提供し、該方法は、本発明の株を適当な担体またはアジュバントと混合することからなる。
【0033】
弱毒化生菌ワクチンの調製のために、標準的方法を用いてもよい。
【0034】
更に別の態様において、本発明は、ヒトにおけるHSV感染の治療法を提供し、該方法はこの治療を必要とするヒト患者に免疫学的有効量の本発明のワクチンを投与することからなる。
【0035】
本発明のワクチンの投与法は対象に免疫防御量の本発明の株または軽粒子を送達するいかなる適当な投与経路であってもよい。しかし、ワクチンは好ましくは筋肉内または深皮下経路により非経口投与されるのが好ましい。経口投与または他の非経口経路、たとえば皮内、鼻腔内、または静脈内などの他の投与方法が好ましい場合は用いてもよい。
【0036】
このようなワクチンの適当な免疫防御的非毒性量は当業者には容易に決定できる。即ち、本発明のワクチンに含まれる免疫防御的非毒性量の本発明の株または軽粒子は通常の完全ウイルスワクチン中の抗原の有効量の範囲であってよい。しかし、特定の患者に関する特定の投与レベルは、患者の年令、健康状態、性別および食事;投与時間;投与経路;投与される他の薬剤との相乗効果;および要求される防御の程度を含む種々の要因に左右される。もちろん、必要ならば適当な間隔をおいて投与を繰り返すことが出来る。
【0037】
以下の実施例で本発明を説明する。
【0038】
実施例
方法
細胞
乳児ハムスター腎臓クローン13細胞(BHK21/C13)(MacPhersonおよびStoker、1962年参照)を通常濃度の2倍のビタミンおよびアミノ酸、5%(v/v)トリプトースホスフェートブロスおよび10%(v/v)仔牛血清
(ETC10)を含むイーグル倍地中で増殖させた。
【0039】
ウイルス
ウイルスストックを既に記載したようにして(Brownら、1973年参照)、
BHK21/C13細胞中で成長させ、滴定した。親HSV−1株はGlasgow 17株(Brownら、1973年参照)であった。通常存在する4つのHSV−1 Xbalサイトがない1702変異型はそれから1714が単離される親株である(MacLean and Brown、1987a参照)。
【0040】
ウイルスゲノムの制限酵素分析
Lonsdale(1979)の方法の変法により制限酵素分析を行った。BHK21/C13細胞を32Piの存在下に、1%(v/v)仔牛血清を含む燐酸塩を含まないEagle培地中で感染させ、31℃にて48時間培養した。ウイルスDNAをSDSおよびフェノールで抽出し、エタノールで沈殿させた。DNAを製造者の推奨する条件を用いて種々の制限酵素で処理した。消化物をTBE緩衝液(89mM−Tris、89mM硼酸、2mM EDTAナトリウム)中適当な濃度(0.5〜0.8%)のアガロースゲル上電気泳動により分析する。ゲルを風乾し、Kodak XS1フィルムにさらした。
【0041】
DNA−DNA ハイブリダイゼーション
制限エンドヌクレアーゼ消化物から得たDNAフラグメントをSouthern(1975)の方法によりアガロースゲルからHybondナイロン膜(Amersham)に移し、PAT153中にクローン化したBam HI k(s+q)フラグメントから調製したランダムプライムDNAとハイブリッド形成させた。65℃にて、7%SDSおよび0.5M NaPを含有するハイブリダイゼーション緩衝液(pH7)中で16時間ハイブリッド形成を行った。プレハイブリダイゼーションは行わなかった。フィルターを既に記載したようにして洗浄した(Brownら、1984年参照)。
【0042】
動物接種
3週令のBALB/Cマウス(Bantin and Kingman参照)に各ウイルスストックを頭蓋内接種した。マウスをエーテルで麻酔し、0.025mlの燐酸緩衝食塩水(PBS)5%仔牛血清中適当なウイルス希釈液を大脳左半球の中心部に接種した。4匹のマウスに10から10pfu/動物の量の各ウイルスを接種した。ウイルスストックは接種の日に必ず再滴定し、接種した正確な力価を測定した。マウスを接種後毎日観察し、21日までの死亡を基準としてLD50をReed and Muench(1938)の公式にしたがって計算した。接種後に死亡した動物から脳を取りだし、均質化し、超音波処理し、得られた懸濁液をBHK21/C13細胞に関して滴定した。ウイルスプラークを取りだし、その制限酵素特性を記載したようにして測定した。
【0043】
ウイルスのin vitroの増殖性
BHK21/C13(2×10)細胞を5pfu/細胞の多重度で感染させる。37℃にて45分間吸収を行い、5%CSを含有する燐酸緩衝食塩水で2回洗浄し、10%CSを含有する2mlのEagle培地を添加した後、培養を37℃にて続ける。サンプルを0、2、4、6、8、12、16、および24時間目に収穫し、超音波処理により放出されるウイルスを37℃で滴定した。
【0044】
チミジンキナーゼ検定
用いた方法は、JamiesonおよびSubak−Sharpe(1974)の方法の変法であった。BHK21/C13細胞を多重度5pfu/細胞で野生型または突然変異ウイルスで模擬感染または感染させた。1時間吸収させ、37℃にて6時間培養した後、細胞を冷PBS中に集め、ペレット化した。ペレットを氷上に5分間保持した溶菌緩衝液(20mM Tris−HCl pH 7.5、2mM MgCl、10mM NaCl、0.5%v/vNonidet P40、6.5mM 2−メルカプトエタノール)中に再懸濁させ、手早く混合し、更に5分間氷上に戻した。サンプルを遠心分離し、上清を保持した。5μlの抽出物を合計容積50μlの反応緩衝液(0.5M NaPO pH6、100mM MgCl、2mM dTTP、100mM ATP、5μl Me3Hチミジン水溶液1mCi/ml)と混合した。1時間培養した後、10μlの100mM EDTAおよび1mMチミジンを添加することにより反応を停止した。サンプルを3分間100℃にて加熱し、3分間氷上においた。遠心分離後、上清をDE81ディスク上にスポットし、4mM蟻酸アンモニウム(pH6.0)および10μMチミジンで3回洗浄した(各々37℃にて10分)。更に2回エタノールで洗浄した後、ディスクを乾燥し、3Hチミジンによる放射能を測定した。
【0045】
野生型Glasgow 17株への欠失の導入
1714欠失を野生型17株へ導入するために、1714のクローン化した新規BamHI kフラグメントをBamHIで直線化し、17からの完全なDNAと1、2、5、10、および20モル過剰でコトランスフェクションした。得られた個々のプラークを単離し、Lonsdaleの方法(1979)によりそのDNAを分析した。欠失変異をうけたウイルスを、ウイルスストックを増殖させる前に更に3回プラーク精製した。
【0046】
配列分析
1714の新規BamHI kフラグメントを標準的方法(Maniatis、1982年) を用いてpGEM 3zのBamHIサイト中にクローン化した。制限酵素分析を用いて陽性のクローンを同定し、総HSV−1 DNAのサザンブロッティングにより陽性クローンからのランダムプライムDNAを用いて確認した。更に制限酵素分析により、欠失の大きさが約800bpで、2.8kb AluIフラグメント中にあることがわかった。このフラグメントをゲルから溶出し、SmaIで消化し、数個の小フラグメントをM13mp8中にサブクローン化した。1本鎖鋳型DNAを調製し、35S標識dATPを用いてSangerらの方法(1980)により配列決定した。配列化生成物を6%アクリルアミド、1×TBE、8.3M 尿素ゲル上にかけた。
【0047】
潜伏状態の研究
3週令のBALB/Cマウス(Bantin & Kingman)に既に記載したようにして右後肢に接種した(Clements & Subak−Sharpe、1983、1988年)。接種時にウイルスをBHK21/C13 細胞に関して滴定して投与する正確な用量を確認した。各ウイルスに関して100倍希釈を接種し、マウスを試験し、毎日症状を採点した。6週間いきたマウスを潜伏ウイルスの存在に関して試験した。マウスを殺し、解剖し、接種した側から胸神経節(2個)、腰神経節(6個)、および上部仙骨神経節(2個)を切り取り、培地中におき、2日おきに培地を対照BHK21/C13に移すことにより感染性ウイルスの放出をスクリーンした。接種したBHK21/C13細胞を37℃にて2日間培養し、その後ウイルスプラークまたはcpeの存在に関して染色し、試験した。
【0048】
実施例1
(a)変異型1714の単離およびゲノム分析
HSVにおける組み換えを研究するために、本発明者らは未選択マーカーとして用いられる特定の制限酵素サイトがないウイルスを構築した(Brownら、1984;HarlandおよびBrown、1985;MacLean およびBrown、1987c参照)。HSV−1 17株突然変異体1702(MacLean およびBrown、1987c)(4個のHSV−1 XbalサイトおよびTK−がない)は部位特異的変異処理により種々のHindIIIサイトを除去するのに用いられる親ウイルスである。1702由来であるが、0.91mu HindIIIサイトがないウイルス分離株H1由来のDNAを0.18mu HindIIIサイトがない突然変異誘発プラスミドとコトランスフェクションした。多数の得られた子孫プラークを取り、そのDNAを制限酵素分析に付した。0.18mu HindIIIサイトがない所望の突然変異体の単離に成功したこと加えて、HindIIIサイトがないことと無関係な異常RE性を有するウイルス(1714)を検出した。
【0049】
1714DNAのKpnI消化によりKpnI r (2.4×10 mw)がなくなり、約1.9×106 mwの新規バンドがフラグメントtおよびu間に見られた。KpnI r はRの末端部であり(0〜0.025muおよび0.805〜0.83mu)、結合フラグメントa(r+j)およびe(r+k)を形成した。1714 eフラグメントがそれと等価な野生型フラグメントの直前にあるのがわかるが、ゲルの頂点にあるaにおいて変更は見られなかった。同様に、HpaI m(3.6×10mw)がなくなり、約3.1×10 mol wtの新規バンドがn以降に検出できた。HpaI m(0〜0.036muおよび0.79〜0.83mu)は結合a(m+c)およびd(m+q)を形成し、これは1714中17の直前に見られた。1714 DNAのBamHI消化により、BamHI s(1.95×10mw)がなくなり、約1.45×10 mol wtのu/v以降に新規バンドが見られる。結合k(s+q)を含有するBamHI sも検出可能でないが、欠失した結合と考えられる3.5×10 mol wtの新規バンドが1以下に見られる。
【0050】
したがって、制限酵素特性により、1714は0〜0.095muおよび0.81〜0.83mu間のRの末端部の両コピーにおいて欠失していることがわかった。欠失の大きさは600〜800bp間であると考えられた。
【0051】
の末端部の両コピーにおける配列の欠失を実証するために、1714 DNAのサザンブロット分析を行った。17および1714 DNAをBamHIで消化し、ニトロセルロース膜に移した。17DNAのBamHI kフラグメント(s+q)をランダムにプライム化し、消化したDNAとハイブリッド形成した。17トラックにおいて、プローブはk、qおよびsとハイブリッド形成したことが判明した。1714において、プローブはkとハイブリッド形成しないが、新規k、更に「a」配列を有する新規kおよびqとハイブリダイゼーションした。sとハイブリダイゼーションは起こらないが、それ以降の新規sとハイブリダイゼーションした。
【0052】
size-ladderにより欠失は約800bpであることがわかった。この結果、1714がRの両コピーにおいて欠失しており、欠失がBamHI s内にあったことが明らかである。
【0053】
(b)配列分析
HSV−1 17株のBamHI k結合フラグメント(s+q)は、ヌクレオチド位(n.p.)123459および129403間にある(McGeochら、1988年参照)。1714において、BamHI kフラグメントは約800bp欠失している。この1714の新規BamHI kフラグメントをpGEMのBamHIサイト中にクローン化する。更に制限酵素分析により、欠失が、欠失変異型1714において野生型2.9kbフラグメントと比較して、大きさが約2.1kbであるAluIフラグメント(125074〜127966n.p.)内にあることがわかった。この1714由来のAluIフラグメントをアガロースゲルから溶出し、SmaIで再消化し、得られたサブフラグメントをM13mp8中にクローン化した。SmaIフラグメントのジデオキシ配列決定により欠失の長さが759bpであり、ヌクレオチド位125213および125972間にあることがわかった。配列決定した残りのSmaIフラグメントからは突然変異は検出されなかった。
【0054】
において唯一の厳密に定義された遺伝子はIRの5'末端が124108n.p.、即ち欠失の1105bp下流にあるIE1である。HSV−1 17株中のIR/IRS「a」配列はヌクレオチド位125954から始まる。1714において、「a」配列の1つの完全18bp DRIエレメント(AGCCCGGGCCCCCCGCGG)を厳密に除去する。
【0055】
実施例2
(a)Balb/cマウスに関する1714欠失変異体の神経毒性
本発明者らはすでにHSV−2 HG52株のJH2604欠失変異体が、野生型ウイルスではLD50値が<10pfu/マウスであるのに対して>10pfu/マウスであり、Balb/cマウスに対して非神経毒性であることを示した。JH2604の配列分析により、ゲノム長反復配列の末端部(0〜0.02muおよび0.81〜0.83mu間)中の1488bp配列はHG52株に関する非神経毒性に対応することがわかった。
【0056】
HSV−1ゲノムの等価な部分において1714は欠失を有するので、Balb/cマウスにおけるLD50値の測定によりその親1702および17に比較した1714の神経毒性を決定するための実験を行った。異なる用量の17、1702および1714を25μlづつ3週令のBalb/cマウスの大脳左半球に接種した。脳炎による死を接種後21日まで採点し、結果を第1表に示す。17の elite laboratory stockのLD50値は<101.5pfu/マウスであった。突然変異体1702は、tk陰性であるが(MacLeanおよびBrownら、1987a参照)、高いLD50値、5×10pfu/マウスを示した。1714に関して、マウスは10pfuの接種物では死なないが、10pfuで3/4が死に、LD50値が7×10pfu/マウスであった。従って、欠失変異体1714は親1702ウイルスより最低2×10倍神経毒性が低く、野生型17より最低7×10倍神経毒性が高かった。1個のプラークを死亡した1714感染したマウスの脳から単離し、プラーク単離物のDNAを制限酵素で消化した。RE特性は1714のそれと同じであり、これより野生型汚染物はないことがわかった。粒子:pfu比は、17に関しては72:1、1714に関しては58:1であり、HSV−1の値の正常値内である。
【0057】
(b) 1714のin vivo増殖
HSV−2(HG52)変異体JH2604は無毒性である、即ちマウスの脳において複製できず、壊死性脳炎を起こさないことが示された。(Tahaら、1990年参照)。1714の神経毒性の欠損がマウスの脳における複製が出来ないことによるかどうかを決定するために、17(10pfu)、1702(10pfu)および1714(10pfu)のサンプルを3週令のBalb/cマウスの大脳左半球に接種した。接種後いろいろな時期に、2匹のマウス(各ウイルスにつき)を殺し、その脳を取りだし、−70℃にて凍結した。脳組織を均質化し、得られた懸濁液を超音波処理し、子孫ウイルスをBHK21/C13細胞に関して37℃にてプラーク滴定により検定した。この結果から、親株17に関して、接種の12時間後から6日後の間にウイルスの指数的増加が見られ、最終力価は8×10pfu/脳になる。1702と同様に、接種の24時間後に検出可能なウイルスがあり、指数的増殖は6日までに力価が8×10pfu/脳に達する。10pfuの用量を服用した1714に感染した動物において、接種直後に2×10pfuが検出可能であった。複製は検出されず、接種3日後までに減少した投与ウイルスは検定可能なウイルスではなかった(<10pfu)。
【0058】
(c) 1714のin vitro増殖
変異体1714はBHK21/C13細胞中低多重度で多サイクルで増殖させることにより高力価(>10pfu)に増殖する。ストックを31℃、37℃、および38.5℃にて検定した場合、等しい力価が得られる。増殖パターンを決定するために、1サイクルの増殖実験を37℃にてBHK21/C13細胞中で行った。結果は、17および1702および1714変異体は同じようによく増殖し、最終収率は同じであった。1714の通常の1サイクルの増殖パターンは、BHK21/C13細胞中での複製サイクルのどの段階でも減少しない。
【0059】
ウイルスが宿主に制限されるかどうかを決定するために、24時間収率実験を多重度5pfu/細胞で感染した細胞系で行った。用いた細胞系は、BHK/C13(ハムスター)、BSC1(サル)、Vero(サル)、MDCK(イヌ)、HFL(ヒト)、および3T6(マウス)であった。37℃で滴定したBHK21/C13細胞における24時間収率をBHK21/C13細胞における収率に比較した特定の細胞系中で増殖したウイルスの収率の比として第2表に示す。17、1702および1714は基本的に類似した方法で挙動することがわかる。即ち、BHK21/C13、3T6およびMDCK細胞においては同程度に増殖し、
Vero細胞においてより良く増殖し、HFLおよびBSCI細胞においては余り増殖しない。マウス3T6細胞中では複製欠陥が見られず、このことはin vivoでの増殖がないことは種特異性ではないことを意味する。
【0060】
実施例3
潜伏状態の研究
3週令のBalb/cマウスの右後肢に連続的10倍希釈の17、1702および1714(4マウス/用量)を接種し、病気の徴候または死を2週間毎日モニターした。接種後6週間目に生き残ったマウスを「方法」(前出)に概要を示したようにして解剖し、神経節を培地を含むマイクロタイターウェルに別々に移した。移植後2日毎に培地の一部分を対照BHK21/C13細胞に移すことにより感染性ウイルスの存在のスクリーニングを行った。細胞を次に37℃にて2日間培養し、その後ウイルスプラークまたはcpeの存在に関して染色し、試験した。第3表に示した結果により、10および10pfuの用量の17で、20%の移植した神経節が再活性化されたことがわかる。しかし、接種後すぐに10pfuで感染したマウスの1匹および10pfuで感染したマウスの3匹が後肢マヒを呈し、殺さなければならなかった。全部死ぬと予想されるのでマウスに10pfuの17を接種しなかった。1702感染マウスに関しては、10および10pfuの用量で、5%の神経節が再活性化され、106pfuの用量で、17.5%が再活性化された。これは明らかに17より効力が劣り、恐らくこの変異体のtk陰性表現型のためであった。1714を接種したマウスに関して、10pfu感染マウスの神経節は再活性化されず、10pfuの感染マウスの1/40(2.5%)および10pfuの感染マウスの2/40(5%)だけが再活性化された。ウイルスは、移植後6日目に初めて再活性化され、3種のウイルス間で再活性化の時期に明らかな違いは見られなかった。ウイルス再活性化は3グループのマウスにおいて腰神経節に限られた。
【0061】
tk陰性表現型を考慮すると、1714変異型は潜伏状態の可能性があるが、潜伏状態の確立および/または移植後の再活性化に関して1702よりかなり効力が低かった。
【0062】
実施例4
17野生型ゲノムへの1714欠失の導入
野生型バックグラウンドにおいて1714欠失はない、即ち0.07、0.29、0.45および0.63muで4個のXbalサイトがゲノム中で欠失し、ウイルスはtk陰性であるので、その非毒性表現型は最低一部はこれらの他の突然変異のためと考えられた。親株1702は同じXbal陰性およびtk陰性突然変異を有し、17と基本的に等価な毒性表現型を有することはありえなかった。それでも本発明者らは、1714における欠失をそれ以外は全体として野生型のゲノムに導入した。17DNAを10倍過剰の1714のプラスミドクローン化BamHI kでコトランスフェクションした。得られた1種の子孫プラークを単離し、そのDNA特性をLonsdale(1979)の方法により分析した。1716と称する1714BamHI特性を有するウイルスを単離し、プラークをさらに3回精製し、ウイルスストックを増殖させた。1716がXbalサイトおよびtk活性に関してその野生型バックグラウンドを保持することを確かめるために、1716のDNAをXbalで消化し、tk検定を行った。1716はULに4個のサイトを有する通常の野生型Xbal特性を有するが、1714および1702はXbalで消化できなかった。17、1702および1714と比較した1716のtk検定の結果を第4表に示し、これより、1716はtk合成に関して17と同程度に有効であることがわかる。1716の神経毒性表現型をBalb/cマウスのIC接種により試験した。17および1714と比較したLD50値を第5表に示す。LD50値が7×10pfu/マウスで非神経毒性であり、この実験において17はLD50値が<10pfu/マウスであり、1716中で欠失している配列は17株の神経毒性に対応することがわかる。
【0063】
1サイクルの1716に関する増殖実験の結果から、1716は野生型17ウイルスと同程度に有効に増殖することがわかる。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【0064】
実施例5
HSV−1 1716 gD1 gD2の構築
HSV 2 HG52株のHindIII 1フラグメントを含有する組み換えプラスミド(McGeochら、1987a)を制限エンドヌクレアーゼBst EIIおよび
Dra Iで消化し、np 5893でのDra Iサイトからnp 8893での
BSt EIIサイトまでの3Kbフラグメントを精製した。このフラグメントは3'共通末端遺伝子UL6(gD−2)およびUS7(gI−2)のプロモーター、オープンリーディングフレームおよびポリAシグナルを含む。Bst EIIサイトの5'突出をクレノウポリメラーゼを用いて平滑末端化した。このgD−2含有フラグメントをUL43(McGeochら、1988年参照)、非必須完全膜蛋白質(MacLean Cら、1991年参照)を含有するHSV1のBam HI/ECoR1 91610/96751npフラグメントに挿入した。挿入のサイトは、UL43の5'末端のNsi Iサイト(94911np)であった。Nsi Iサイトの5'突出をクレノウポリメラーゼを用いて平滑末端化した。クローニング法はすべてManiatisら(1982年)により記載された方法のとおりである。
【0065】
組み換え体UL43 gD2 HSV1フラグメントを、完全HSV1 1716変異型DNAと共にコトランスフェクションし、組み換えゲノムを記載したようにして単離した(実施例4およびMacLeanら、1991年参照)。gD2を含有するHSV組み換え体を単離した。このウイルスgD1 gD2、ICP34.5−は1761として公知である。
【0066】
実施例6
(a) HSV−1 1716 UL26 tsの構築
ts 1201のクローンされたECORI f フラグメント(Preston ら、1983年)はts点突然変異を有するUL26遺伝子を含有する。これを1716中に組み換え、実施例4に既に記載したようにしてHSV−1716 UL26 tsを得る。
【0067】
HSV−1 1716 gD1 gD2 UL26 tsの構築
(b) 前記実施例で得たHSV−1 1716 UL26 tsおよびHSV−1 1716 gD1 gD2 を標準的方法(Brownら、1973年参照)を用いて組み換え、HSV−1 1716 gD1 gD2 UL26 tsウイルスを得る。
【0068】
実施例7
1716 gD1、gD2 LAT Pおよび1716 gD1、gD2 UL26 ts LAT Pの構築
HSV−1 1704から単離したフラグメント(Steinerら、1989年、JuneJoら、1991年参照)は、LATプロモーターの両コピー中に942bpの欠失を有する。このフラグメントを1716 gD1 gD2および1716 gD1、gD2、UL26、DNAと共にコトランスフェクションし、1個のプラークを分析して、1716 gD1 gD2 LAT Pおよび1716 gD1 gD2、UL26 ts、LAT Pを得る。
【0069】
HSV−1 1714株およびHSV 1716株は、ヨーロピアン・コレクション・オブ・アニマル・セル・カルチャーズ(the European Collection of Animal Cell Cultures)、ワクチン・リサーチ・アンド・プロダクション・ラボラトリーズ(Vaccine Research and Production Laboratories)、パブリック・ヘルス・ラボラトリー・サービシズ(Public Health Laboratory Services at Porton Down, Salisbury Wiltshire SP4,0J9, UK) に1992年1月28日に寄託されており、それぞれ受け入れ番号V92012802号およびV92012803号で得られる。
【0070】

【0071】

【0072】
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【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】プロトタイプ配列のHSU-1ゲノム(マップ単位)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
そのゲノムがBam H1 s(0〜0.02および0.81〜0.83mu)中のR末端部において修飾されているHSV−1株。
【請求項2】
ゲノムが欠失により修飾されている請求項1に記載のHSV−1株。
【請求項3】
ゲノムがBam H1 s(0〜0.02および0.81〜0.83mu)中のR末端部において修飾されている単離された天然のHSV−1欠失変異型。
【請求項4】
125074npおよび125972np間のAlu IサイトのBam HI s領域およびTR中のその対応部において最低100ヌクレオチドが欠失している請求項1または2に記載のHSV−1株。
【請求項5】
最低0.5から3kbのBam HI s領域およびTR中の対応部が欠失している請求項1、2または4に記載のHSV−1株。
【請求項6】
最低0.7から2.5kbのBam HI s領域およびTR中の対応部が欠失している請求項1、2または4に記載のHSV−1株。
【請求項7】
HSV−1 1714。
【請求項8】
HSV−1 1716。
【請求項9】
更に修飾されて異型遺伝子を担う請求項1から8のいずれかに記載のHSV−1株。
【請求項10】
異型遺伝子がHSV−2 gD、HCMVgB、HSV−2 ICP、ICP、VMW65、HIV−1 gp120およびHIV−2 gp120からなる群より選択される請求項9に記載のHSV−1株。
【請求項11】
更に修飾されてUL26遺伝子中に温度感受性突然変異が編入されている請求項1から9のいずれか1項に記載のHSV−1株。
【請求項12】
ヘルペスウイルス由来の、異型抗原を担う単離された軽粒子調製物。
【請求項13】
異型抗原がHSV gD、 HCMV gB、HSV−2、ICP、ICP、VMW65、HIV−1 gp120およびHIV−2 gp120からなる群より選択される請求項12に記載の軽粒子調製物。
【請求項14】
更に修飾されて突然変異が編入されてLATプロモーターが無効になる請求項1から11のいずれかに記載のHSV−1株。
【請求項15】
請求項14に記載の株由来の軽粒子。
【請求項16】
医薬上許容される賦形剤との混合物中の請求項1から11、または14のいずれか1項に記載のHSV−1株を含むワクチン。
【請求項17】
医薬上許容される賦形剤との混合物中の請求項12、13または15のいずれかに記載の軽粒子を含むワクチン。
【請求項18】
免疫学的に有効な量の請求項16または17に記載のワクチンをそれを必要とするヒト患者に投与することからなるHSV感染症にかかっている患者の治療方法。
【請求項19】
HSV−1株のゲノムを、Bam HI s (0〜0.02および0.81〜0.83mu)中のRの末端部において修飾することからなる請求項1に記載のHSV−1株の調製法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−29102(P2007−29102A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273262(P2006−273262)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【分割の表示】特願平4−503582の分割
【原出願日】平成4年1月30日(1992.1.30)
【出願人】(301008419)ザ ユニバーシティー コート オブ ザ ユニバーシティー オブ グラスゴー (8)
【Fターム(参考)】