説明

印刷エンジン用増産モジュール内反転器

第1印刷エンジン(254)の両面印刷時スループットを高めるための増産モジュール(252)を提案する。本モジュール(252)は、第2印刷エンジン(268)、コントローラ(80)及び反転器(94,218)を備える。コントローラ(80)は、第1印刷エンジン(254)から一種類又は複数種類のタイミング信号を受け取り、少なくともその一部に基づき第2印刷エンジン(268)の動作タイミングを第1印刷エンジン(254)の動作タイミングに同期させる。反転器(218)は、その入口(226)を介し第1印刷エンジン(254)から1枚又は複数枚のシート状媒体を受け入れるシート進入経路(220)と、その出口(232)を介し第2印刷エンジン(268)へと1枚又は複数枚のシート状媒体を引き渡すシート退出経路(222)と、シート進入経路(220)の出口(228)に連結された入口(234)及びシート退出経路(222)の入口(230)に連結された出口(236)を有するシート反転経路(224)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷エンジンを複数備えるイメージングシステム、特に印刷エンジン間で作動する増産モジュール(productivity module)内反転器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な市販向け複製装置、例えば電子写真式複写機、プリンタ等では、誘電特性を有する電荷保持乃至光導電部材(以下「誘電担体」又は「DSM」)を均一に帯電させ、その上に帯電パターンを発生させることで潜像を形成し、その潜像に色素性マーキング粒子を付着させることでDSM上に像を発現させる。更に、この現像で得られたマーキング粒子像を、そのDSMに媒体、例えば紙、透光フィルム等の素材で形成されたシートを接触させて電界を印加することで、そのDSMからその媒体へと転写させる。中間転写部材との接触を介しDSMから媒体へと間接的に転写させる形態がとられることもある。像の転写が済んだら、その像を担持している転写先媒体をそのDSMから別の場所へと移動させる。そして、その媒体上に恒久像が形成されるよう、熱、圧力又はその双方を加えることでその像を媒体に固着(熔着)させる。
【0003】
こうした複製装置で実現可能なppm値は、一般にその複製装置の設計で決まってくる。ppm値とは1分当たり印刷可能枚数のことであり、例えば片面印刷時のppm値が150のプリンタでは、適切な両面印刷手法を使用することで、両面印刷時のppm値を約75にすることができる。しっかりした印刷システムであればシステムスループットを事後的に向上させることもできるが、できるのは小幅な向上であって、その総処理速度を倍化させることはまず以て無理である。倍化させるとしたら、(a)使用中の複製装置とほぼ等しいスループットを実現可能な複製装置を追加購入して二台の複製装置を並列稼働させる、或いは(b)それまで使用してきた複製装置に代えその倍の速度を出せる斬新な印刷エンジンを導入する、といった策を採ることとなろうが、どちらの策もかなり高コストであるし、策(b)は採用不能なこともままある。
【0004】
複製装置のスループットを向上させる策としては、2個の印刷エンジンを縦列稼働させる策もある。例えば特許文献12には、印刷エンジンのうち1個で表側、他の1個で裏側に画像を発生させるタンデム印刷システム、特に表裏間画像位置ずれを抑える工夫がされたものが記載されている。このシステムでは、各印刷エンジンに備わる光導電ベルトの継ぎ目を追跡し、その継ぎ目で発生する継ぎ目信号間の印刷エンジン間位相差に基づき、印刷エンジン間で光導電ベルトの継ぎ目を同期させている。継ぎ目信号をトリガとしているため、この同期化が実行されるのは光導電ベルトの一巡毎に1回である。その際には、一方の印刷エンジン(マスタ)における光導電ベルト速度に揃うよう、他方の印刷エンジン(スレーブ)における光導電ベルト速度やイメージャモータ及び多面体鏡アセンブリの速度を調整する。しかしながら、このシステムには、相連続する画像形成枠間の位置合わせ誤差が、光導電ベルトが一巡する間に嵩んでいく傾向がある。更に、多面体鏡アセンブリは高速回転していてその慣性が大きいため、光導電ベルト一巡という比較的短い時間では、多面体鏡アセンブリの速度に対する十分な調整が難しい。即ち、特許文献12に記載のシステムでは、一巡ベースでの応答性が低くなりやすい。より高頻度での調整は、顕著に困難又は不可能であるといえよう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4591884号明細書
【特許文献2】米国特許第4609279号明細書
【特許文献3】米国特許第5568246号明細書
【特許文献4】米国特許第5963770号明細書
【特許文献5】米国特許第6101364号明細書
【特許文献6】米国特許第6219516号明細書
【特許文献7】米国特許第6381440号明細書
【特許文献8】米国特許第6477950号明細書
【特許文献9】米国特許第6786149号明細書
【特許文献10】米国特許第7024152号明細書
【特許文献11】米国特許第7076200号明細書
【特許文献12】米国特許第7245856号明細書
【特許文献13】米国特許第7310108号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2006/0039015号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2006/0285133号明細書
【特許文献16】国際公開第WO00/28408号パンフレット
【特許文献17】米国特許第6121986号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、複製装置ユーザに両面印刷時スループットの向上及び印刷エンジン間のよりタイトな同期をもたらす、より低コスト且つ高信頼な方法及びシステムが求められている。更に、片面印刷モード・両面印刷モード間を行き来しつつ使用される複製装置に関し、その生産性を向上させる方法及びシステムが期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
こうした点に鑑み、本発明に係り第1印刷エンジンの両面印刷時スループットを高めるのに使用される増産モジュールは、第2印刷エンジンと、第1印刷エンジンから一種類又は複数種類のタイミング信号を受け取り少なくともその一部に基づき第2印刷エンジンの動作タイミングを第1印刷エンジンの動作タイミングに同期させるコントローラと、その入口を介し第1印刷エンジンから1枚又は複数枚のシート状媒体を受け入れるシート進入経路、その出口を介し第2印刷エンジンへと1枚又は複数枚のシート状媒体を引き渡すシート退出経路、並びにその入口がシート進入経路の出口にまた出口がシート退出経路の入口にそれぞれ連結されたシート反転経路を有する反転器と、を備える。
【0008】
更に、本発明に係り、第1印刷エンジンを第2印刷エンジンに連結するため増産モジュール内に設けられる反転器は、その入口を介し第1印刷エンジンから1枚又は複数枚のシート状媒体を受け入れるシート進入経路と、その出口を介し第2印刷エンジンへと1枚又は複数枚のシート状媒体を引き渡すシート退出経路と、その入口がシート進入経路の出口にまた出口がシート退出経路の入口にそれぞれ連結されたシート反転経路と、を備える。
【0009】
そして、本発明に係り、第1印刷エンジン、第2印刷エンジン及びそれらを連結する反転器を有する複製装置における反転モード非反転モード間切換時生産性を向上させる方法は、反転モード時の反転器内経路におけるシート状媒体の移動時間と、非反転モード時の反転器内経路におけるシート状媒体の移動時間と、の差を、シート状媒体到来周期の整数倍に調整するステップを有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】電子写真方式印刷エンジンの一例構成を模式的に示す図である。
【図2】印刷エンジンを1個備える複製装置の一例構成を模式的に示す図である。
【図3A】第1印刷エンジンと第2印刷エンジンを増産モジュールでタンデムに連結する構成をとる複製装置の一例構成を模式的に示す図である。
【図3B】その増産モジュールの一例構成を模式的に示す図である。
【図3C】その増産モジュールの別例構成を模式的に示す図である。
【図4】第1印刷エンジンと第2印刷エンジンをコントローラで相互同期させる構成をとる複製装置の一例構成を模式的に示す図である。
【図5】第1DSM上の画像形成枠と第2DSM上の対応する画像形成枠との間の時間ずれを模式的に示す図である。
【図6】第1第2印刷エンジン間同期手順の一例を示す図である。
【図7】第1第2印刷エンジン間同期手順の別例を示す図である。
【図8】印刷エンジン間同期動作の一例を模式的に示すタイミングチャートである。
【図9】複製装置の別例構成を模式的に示す図である。
【図10】増産モジュール内にあり第1印刷エンジンを第2印刷エンジンに連結している反転器の一例構成を模式的に示す図である。
【図11】第1印刷エンジンの両面印刷時スループットを高める増産モジュールの一例構成を模式的に示す図である。
【図12A】一例に係る増産モジュール内反転器でのシート経路切換動作の一例を模式的に示す図である。
【図12B】その続きを模式的に示す図である。
【図12C】その続きを模式的に示す図である。
【図13】第1印刷エンジンと第2印刷エンジンを反転器で連結した構成をとる複製装置における反転モード非反転モード間切換時生産性向上手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、その目的、構成及び効果がより明瞭になるよう、その好適な実施形態を参照しつつ本発明をより詳細に説明する。ご理解頂けるように、簡明化に役立ち且つ適切と思われる限りで、対応する部材にはどの図でも同じ参照符号を付してある。また、その構成部材をより判りやすく示すため、図示されている部材のうち幾つかは、実際とは異なる寸法比で描いてある。
【0012】
図1に、電子写真方式印刷エンジンの一例構成30を模式的に示す。このエンジン30では、可動記録部材たるDSM32例えば光導電ベルトが支持部材たる複数個のローラ34a〜34gに架けられている。DSM32は、部位選択的に帯電/放電させることが可能な電荷保持性の基材(その種類は問わない)である。その帯電/放電の仕組みとしては、例えば、コロナ帯電/放電、ゲート利用コロナ帯電/放電、帯電ローラ利用帯電/放電、イオンライタ型帯電、光放電、熱放電、経時放電等を採ることができる。
【0013】
ローラ34a〜34gのうち幾つかはモータ36によって駆動されており、DSM32はその駆動によって前方に送られている。モータ36によるDSM32の送りは例えば20インチ毎秒以上の高速であり、その方向は矢印Pに沿い印刷エンジン30内の諸機能ステーションを巡る方向である。なお、この速度値は好適例であり、その構成によってはこの例とは別の送り速度になることもある。DSM32の構成は、このほか、単一ドラムの周囲に固定された構成、ドラムに被覆された形態、ドラムに一体化された構成等にすることもできる。
【0014】
印刷エンジン30は、図示しないがコントローラたる論理制御ユニット(LCU)を備えている。このLCUは、コンピュータ、マイクロプロセッサ、ASIC(特定用途特化型集積回路)、ディジタル回路、アナログ回路、その集合乃至組合せ等といった形態で構成されており、格納されているプログラムに従い動作する。即ち、エンジン30内の諸機能ステーションを作動させるプログラムに従い、印刷エンジン30及びそれを構成している種々のサブシステムに対する統括的な制御や、種々のセンサ及びエンコーダから来る信号に応じたエンジン30内閉ループ制御を実行する。その処理制御の側面については特許文献17を参照されたい。この参照を以てその文献の内容を本願に繰り入れることとする。
【0015】
印刷エンジン30内には更に予備帯電ステーション38が設けられている。これは、高電圧帯電用のワイヤに所定の一次電圧を印加し、そのワイヤからDSM32の表面32aへと均一なコロナ静電荷を供給する、という仕組みでDSM32を感光化させるステーションである。その出力は図示しないプログラマブル電圧コントローラによって調節されており、そのプログラマブル電圧コントローラはLCUによって制御されている。LCUはこの制御、例えばグリッド電位の制御を通じたコロナ静電荷移動の制御によって上掲の一次電圧を調整する。なお、これ以外の方式による帯電器、例えばブラシ型帯電器、ローラ型帯電器等も使用することができる。
【0016】
印刷エンジン30内には露光ステーション40も設けられている。これは、ライタ40aからDSM32へと投光する仕組みの画像ライタである。DSM32は光導電性を有しているので、この投光を受けた部位の静電荷は消散する。その結果、印刷又は複写したい文書(原稿)の静電潜像がそのDSM32上に発生する。また、そのライタ40aとしては、発光ダイオード(LED)のアレイを用いている。別の種類の光源、例えばレーザや空間光変調器を用いることもできる。ライタ40aは、後述の要領に従い、且つ相応の強度及び露光時間でDSM32を露光させることで、そのDSM32上に個別の画像構成要素即ち画素を発現させる。即ち、画像を発現させたい部位で放電が生じるよう光導電体を露光させることで、印刷したい画像に相応する電圧分布パターンをその光導電体上に発生させる。なお、画像とは物理的な意味での光で形成されたパターンのことであり、文字、単語、文章等のほか、描画、写真等の造形も画像に該当する。何枚かの画像の集合、例えば文書を構成している個々のページや、画像を分割してその構成区画、構成部分乃至構成要素を取り出したものも画像であるといえる。画像からは、その画像の大きさを限度として、任意の大きさの区画、部分乃至構成要素を取り出すことができる。
【0017】
現像ステーション42には、DSM32のうち露光が済んでいる潜像担持部分が送られてくる。このステーション42には、DSM32に沿うよう磁気ブラシが設けられている。こうした磁気ブラシ型現像ステーションは本件技術分野で周知であり、また多くの用途で重宝されているが、既知の他種現像ステーション乃至装置をこれに代え用いてもかまわない。複数通りのグレイスケール、色等で、或いはその物理特性が異なる複数種類のトナーで現像を行えるよう、ステーション42を複数個設けることもできる。フルプロセスカラー電子写真印刷を実行するのであれば、ステーション42を四色分設け、例えばブラック、シアン、マゼンタ及びイエローのトナーを一色ずつ担わせればよい。
【0018】
LCUは、DSM32上の潜像担持部分が現像ステーション42に到達するたびに、ステーション42を作動させることでその部分にトナーを付着させる。その際には、磁気ブラシに接触乃至極接近するようバックアップローラ42a及びDSM32を動かしてもよいし、DSM32に部位選択的に接触するよう磁気ブラシをDSM32方向に動かしてもよい。いずれの構成でも、磁気ブラシ上の電荷を帯びたトナー粒子がDSM32上の帯電パターン(潜像)へと部位選択的に吸着され、その結果その帯電パターンが現像されることとなる。即ち、露光の済んだ光導電体を露光ステーションに通すと、その光導電体上の画素相当位置にトナーが吸着されるため、印刷すべき画像に相当するパターンのトナー像がそこに出現する。なお、本件技術分野で既知の通り、ステーション42内にはバイアスを受け電極として機能する導電部材、例えばアプリケータを構成する導電シリンダがあり、そこには可変電圧源の出力が供給されている。LCUは、ここで述べた現像プロセスを制御するため、プログラマブルコントローラを制御し、可変電圧源から電極への出力を調整させる。
【0019】
また、この現像ステーション42内には二成分混合型の現像材、例えば乾式トナー粒子とキャリア粒子を混ぜ合わせたトナーが貯留されている。そのキャリア粒子としては、一般に、保磁力が高い(硬質磁性)フェライト粒子、例えばその体積加重直径が約30μmの粒子を使用するのが望ましいとされている。乾式トナー粒子としてはそれよりかなり小径のもの、例えばその体積加重直径が6〜15μmオーダのものを使用する。ステーション42内のアプリケータは、例えば、回転駆動される磁性コアの周りにシェルを配し、そのシェルを適当な駆動手段例えばモータで回転駆動する構成であり、トナーはそうしたコア・シェル間相対移動と電界の作用で現像ゾーン内を移動していく。その現像の過程でDSM32上に部位選択的に静電吸着され、その上の静電潜像を現像するのはトナー粒子のみであり、キャリア粒子はステーション42内に取り残される。静電潜像の現像に使用した分はステーション42内のトナー粒子が少なくなるので、このステーション42では、図示しないトナーオーガを定期的に稼働させることで新たなトナー粒子を取り込み、その現像材組成が一定に保たれるようトナー粒子をキャリア粒子と混ぜ合わせるようにしている。この現像材組成制御のやり方は、使用する現像処理プロセス毎に様々である。なお、単一成分現像材を使用するタイプの現像ステーションや、旧来の液質トナーを使用するタイプの現像ステーションも使用することが可能である。
【0020】
印刷機10には更に転写ステーション44が設けられている。ここでは、現像で生じたトナー像に対しその位置が揃うよう、シート状媒体46をDSM32に接触させ、それによってそのトナー像をその媒体46に転写させる。印刷エンジン30で扱える媒体46の種類はプレーンな紙、被覆付の紙、プラスチック等多様であり、DSM32上のトナー粒子は、通例の如くステーション44内に設けられている帯電装置の静電付勢作用でその媒体46に向かい移動していく。この例でその付勢に使用されているのはローラ48である。転写時には、そのローラ48を媒体46の背面に接触させると共に、そのローラ48につながるプログラマブル電圧コントローラを定電流モードで動作させる。これに代え、画像をまず中間転写部材に転写し、そこから媒体46へと転写させるようにしてもよい。トナー像の転写を受けた媒体46は、DSM32から剥がされ熔着ステーション50へと送られる。ステーション50では、そのトナー像が媒体46に定着するよう、例えば熱、圧力又はその双方を印加する。これとは違い、画像をその転写時に媒体46に定着させる構成にしてもよい。
【0021】
転写ステーション44の下流には、DSM32上の残留トナーを除去する清掃ステーション52、例えばブラシ、ブレード、ウェブ等も設けられている。ステーション52の上流又は内部には、図示しないが、その清掃を助ける清掃前帯電装置も設けられている。DSM32のうち清掃が済んだ部分は、再び帯電及び露光させることが可能な状態となっている。当然なことに、DSM32の他部位はこのとき印刷エンジン30内の諸機能ステーションに配されているので、上掲の印刷プロセスは実質的に途切れなく行われることとなる。
【0022】
そして、コントローラは装置及びそれを構成する種々のサブシステムを統括的に制御する。その際には、制御処理に役立つデータを収集するため、1個又は複数個のセンサ例えばベルト位置センサ54を使用する。
【0023】
図2に、複製装置の例としてその印刷エンジン個数が1個(58)の例56を模式的に示す。こうした装置56では、そのスループットをppm値で表すことができる。前述の通り、新たな複製装置を買い増すことや、装置56を廃棄し丸ごと新たな装置に置き換えることなしで、装置56のスループットを大きく向上させうるようにすることが求められている。
【0024】
よくある通り、この複製装置56は、モジュール化されたコンポーネント群によって構成されている。具体的には、印刷エンジン58が収容された主キャビネット60に仕上げ装置62が連結されている。簡便化のため仕上げ装置を1個しか描いていないが、お察しの通り、当該1個の仕上げ装置62を複数個の仕上げ装置に置き換えることで、本件技術分野で習熟を積まれた方々(いわゆる当業者)にとり既知の様々な仕上げ機能を提供することができる。仕上げ装置62で実現される機能はその構成に応じた機能、例えばステープル止め、パンチ孔開け、縁カット、裁断、スライス、山重ね、折込、縁揃え、ページ揃え、結束等の機能である。
【0025】
図3Aに、2個の印刷エンジン58,64を縦続的に連結した構成を模式的に示す。この構成では、一方の印刷エンジン(以下「第1印刷エンジン」)58と、それまでそのエンジン58に連結されていた仕上げ装置62との間に、他方の印刷エンジン(以下「第2印刷エンジン」)64が挿入されている。第1印刷エンジン58内シート経路からの出口68と第2印刷エンジン64内シート経路への入口66とが位置的にずれてしまうことや、第1印刷エンジン58から来るシート状媒体を表裏反転させてから第2印刷エンジン64に進ませたいとき(例えば両面印刷時)があるので、この構成では、第1印刷エンジン58と1個又は複数個の仕上げ装置62との間に増産モジュール70を配し、そこに増産用媒体インタフェース72を設けてある。例えば、図3Bに示す形態74にすれば、出口68と入口66の高低差をインタフェース72に吸収させることができ、図3Cに示す形態76にすれば、シート状媒体をインタフェース72内で表裏反転させることができる。
【0026】
既設の第1印刷エンジン58・仕上げ装置(群)62間に増産モジュール70を挿入して既設装置を使用し続ける、というこの選択肢は、ユーザにとっては経済的に魅力的なものであろう。それは、増産モジュール70内の第2印刷エンジン64を改造して進入媒体取込用のドロワを設けなくても、そのエンジン64を第1印刷エンジン58に連結することができるからである。更に、第1印刷エンジン58のそれと同じ技術をもとに第2印刷エンジン64を構築し、後に詳述する制御上の修正を施すことで、両エンジン58,64を相互同期させることができる。
【0027】
図4に、第1印刷エンジン58、第2印刷エンジン64及びそれらを同期させるコントローラ80を備えた複製装置の一例構成78を模式的に示す。そのコントローラ80は、コンピュータ、マイクロプロセッサ、ASIC、ディジタル回路、アナログ回路、その集合乃至組合せ等で構成されている。この例では第1コントローラ82及び第2コントローラ84でコントローラ80が構成されているが、破線で示す単一のコントローラをコントローラ80として使用する構成でも構わない。第1印刷エンジン58は図1に示したDSMと同様の構成を有するDSM(以下「第1DSM」)86を備えており、そのDSM86上には複数個の画像形成枠及びそれに対応する複数個の枠マーカが設定乃至形成されている。枠マーカの形態は、光学センサで検出可能な孔乃至ミシン目、光学センサで検出可能な反射乃至散光領域等、いわゆる当業者にとり自明な様々な形態とすることができる。いずれの構成でも本発明の技術的範囲から逸脱しないものとする。エンジン58は更にそのDSM86に連結されたモータ(以下「第1モータ」)88を備えている。DSM86はそのモータ88がイネーブリングされると回り出す。ここでいう「イネーブリング」とは、単純なオンオフ動作のことではなく、モータ88を一種類又は複数種類の目標速度に移行させることである。無論、モータ88に対するイネーブリングを、随時、オンオフ動作やパルス幅変調動作といった形態で実行するようにしてもよい。
【0028】
その第1モータ88は第1コントローラ82に接続されている。このコントローラ82は、例えば、モータ88の速度を所要速度に移行させる、モータ88をターンオンさせる、モータ88への入力をパルス幅変調する、それらを併用する等の手段で、随時そのモータ88をイネーブリングする。また、コントローラ82には、第1DSM側枠マーカを検出して第1枠信号をもたらすセンサ(以下「第1枠センサ」)90も接続されている。
【0029】
また、この例では、第2印刷エンジン64が反転器94付のシート経路92を介し第1印刷エンジン58に連結されている。第2印刷エンジン64は図1に示したDSMと同様の構成を有するDSM(以下「第2DSM」)96を備えており、そのDSM96上には複数個の画像形成枠及びそれに対応する複数個の枠マーカが設定乃至形成されている。枠マーカの形態は、光学センサで検出可能な孔乃至ミシン目、光学センサで検出可能な反射乃至散光領域等、いわゆる当業者にとり自明な様々な形態にすることができる。いずれの構成でも本発明の技術的範囲から逸脱しないものとする。エンジン64は更にそのDSM96に連結されたモータ(以下「第2モータ」)98を備えている。DSM96はそのモータ98がイネーブリングされると回り出す。ここでいう「イネーブリング」とは、単純なオンオフ動作のことではなく、モータ98を一種類又は複数種類の目標速度に移行させることである。無論、モータ98のイネーブリングを、随時、オンオフ動作やパルス幅変調動作といった形態で実行するようにしてもよい。
【0030】
その第2モータ98は第2コントローラ84に接続されている。このコントローラ84は、例えば、モータ98の速度を所要速度に移行させる、モータ98をターンオンさせる、モータ98への入力をパルス幅変調する、それらを併用する等の手段で、随時そのモータ98をイネーブリングする。また、コントローラ84には、第2DSM側枠マーカを検出して第2枠信号をもたらすセンサ(以下「第2枠センサ」)100も接続されている。コントローラ84には、更に第1枠センサ90も接続されている。図示の通り直接的に接続する形態でもよいし、第1コントローラ82を介し間接的に接続する形態でもよい。後者の場合、第1コントローラ82はセンサ90由来の情報を第2コントローラ84にも供給する。
【0031】
第2コントローラ84は、このように個別的に動作させうる印刷エンジン58,64の動作を画像形成枠単位で相互同期させる。第2コントローラ84は、更に、第1DSMの継ぎ目(スプライスシーム)と第2DSM96のそれとを相互同期させる(省略可)。そのDSM間継ぎ目同期のため、第1印刷エンジン58には第1継ぎ目センサ102、第2印刷エンジン64には第2継ぎ目センサ104がそれぞれ設けられている。枠センサ90,100を継ぎ目センサとして兼用してもよい。以下、第1第2印刷エンジン間の画像形成枠同期及び(付加的な)DSM継ぎ目同期同期の重要性について図5を参照し模式的に説明してから、第2コントローラ84で実行される同期手順の諸例について図6及び図7を参照し説明することとする。
【0032】
図5に、その上にある全ての画像形成枠108−F1〜108−F6が見えるよう、第1DSM86を継ぎ目106で切り開いて横たえたものを模式的に示す。まず、DSM86につながるモータをイネーブリングするとそのDSM86が方向110沿いに回り始める。シート状媒体S1〜S6は、DSM86の動きに対し方向及び速度をほぼ揃え、あるタイミング111にて送られてくる。DSM86上には枠108−F1〜108−F6が設定されており、それに対応する複数個の枠マーカ112−1〜112−6が形成されている。第1コントローラは、その枠108−F1〜108−F6に対し個別に対応・整列するよう媒体S1〜S6を移動させる。継ぎ目マーカ114は継ぎ目の位置を示すためのものである。
【0033】
複数個の印刷エンジンがタンデムに連結されているので、この図に模式的に示す通り、いずれ、シート状媒体S1〜S6が順繰りに第2DSM96と接触するタイミング116がやってくる。この図では、その継ぎ目118でDSM96を切り開いて横たえ、その上にある全ての画像形成枠120−F1〜120−F6が見えるようにしてある。DSM96につながるモータをイネーブリングするとそのDSM96が方向122沿いに回り始める。媒体S1〜S6は、DSM96の動きに対し方向及び速度をほぼ揃え、あるタイミング116にて送られてくる。このDSM96上にも枠120−F1〜120−F6が設定されており、それに対応する複数個の枠マーカ124−1〜124−6が形成されている。
【0034】
原理的には、第1第2印刷エンジン間に横たわるシート状媒体移動距離と、その移動の速度とを考慮して適切な時間ずれを持たせることで、第1DSM86・第2DSM96間で画像形成枠の位置を同期させることができる。しかしながら、従来技術では、継ぎ目位置のみに基づき同期を図るので、第1及び第2DSMの長さばらつきや、モータ回転の非線形性及び変動を受け、経時的なドリフトが発生してしまう。更に、従来技術では、DSMが一回転するたびにDSMの同期を図るだけであるので、画像形成枠間にドリフトが発生してしまう。
【0035】
ずれToffset1〜Toffset6は、第1DSM86側の各画像形成枠と、第2DSM96側の対応する画像形成枠との間のずれとして定義することができる。例えばToffset1は、画像形成枠108−F1の始点と画像形成枠120−F1の始点との間のずれのことである。このずれは、本来、第1第2印刷エンジン間のシート経路長と、そのシート経路におけるシート状媒体の移動速度とに基づき定めた所定値即ち校正値と、ほぼ等しくなるはずである。残念なことに、上述した様々なばらつきがあるため、実際に求めたずれと、その目標値との間には、なにがしかのドリフトが生じるものである。
【0036】
図6に、第1第2印刷エンジン間同期手順の一例を示す。この手順では、まず、第1印刷エンジン内DSM(第1DSM)の継ぎ目を第2印刷エンジン内DSM(第2DSM)の継ぎ目と同期させる(126;省略可)。こうして継ぎ目同士を同期させることは、画像形成枠間隔を一定化する上で有益なことである。使用しているDSMに継ぎ目があるため、継ぎ目のある画像形成枠間領域の長さと、継ぎ目のない画像形成枠間領域の長さとが、異なる長さになりうるからである。DSMの仕上がりには多少ばらつきがあるものであるが、それでもなお、継ぎ目揃えは画像形成枠間隔一定化上有益である。
【0037】
次に、画像形成枠を1個又は複数個担持している第1DSMを始動させる(128)。そのためのイネーブリング動作は様々な形態で行える。例えば、そのDSMに連結されている第1モータに対し、所定値の電流を供給する、供給する電流を変化させる、所定値の電圧を印加する、印加する電圧を変化させる、パルス幅変調された電圧を印加する、等といった形態である。更に、画像形成枠を1個又は複数個担持している第2DSMを始動させる(130)。そのためのイネーブリング動作も様々な形態で行える。例えば、そのDSMに連結されている第2モータに対し、所定値の電流を供給する、供給する電流を変化させる、所定値の電圧を印加する、印加する電圧を変化させる、パルス幅変調された電圧を印加する、等といった形態である。
【0038】
続いて、稼働中の第1DSMで発生する第1枠信号を監視する(132)。第1枠信号として監視されるのは、例えば、画像形成枠に対応するようそのDSM上に1個又は複数個設けられているミシン目、マーク、孔、反射部、散光部等に由来する信号である。また、稼働中の第2DSMで発生する第2枠信号も監視する(134)。第2枠信号として監視されるのは、第1枠信号と同じく、画像形成枠に対応するようそのDSM上に1個又は複数個設けられているミシン目、マーク、孔、反射部、散光部等に由来する信号である。
【0039】
更に、第1DSM上の各画像形成枠と第2DSM上の対応する画像形成枠とのずれをその対毎に検出する(136)。各画像形成枠対におけるずれとしては、例えば、それら枠間の時間ずれを求めてもよいし、その時間ずれに移動速度を乗じた値である位置ずれを求めてもよい。
【0040】
次いで、検出したずれを画像形成枠の対毎にその目標値と比較する。ずれ目標値は、第1第2印刷エンジン間シート経路の定格作動速度に同経路の長さ(既知)を乗じることで事前に設定してもよいし、校正ルーチンを実行して設定してもよい。校正ルーチンは標準的なずれ目標値に対するマニュアル調整として実行することができる。校正ルーチンは、例えば、1)シート状媒体(例えば紙)の上に第1印刷エンジンで目標タイミングマークを印刷する、2)その媒体上に第2印刷エンジンで幾つかの校正タイミングマークを印刷する、3)それら校正タイミングマークのなかで目標タイミングマークに最も近い位置にあるものを選び出す、4)選び出された校正タイミングマークに対応するずれ値を第2印刷エンジン用のコントローラに通知する、といった形態で実現するとよい。また、シート状媒体取込用経路に沿ったタイミング監視で自動実行する形態でもよい。シート状媒体取込用経路沿いにセンサ群が配置されていて、第1印刷エンジンから出て第2印刷エンジンに向かうシート状媒体をそれらのセンサで検出することが可能な複製装置では、それらのセンサで検出されるシート状媒体通過タイミング同士の差を自動導出することで、或いはそれに比例する何らかの数値を求めることで、2個の印刷エンジン間のずれ目標値を実測設定することができる。更に、第1第2印刷エンジン間経路におけるシート状媒体の滞留時間を利用する形態で校正ルーチンを実現してもよい。例えば、その増産用媒体インタフェース72内に反転器が設けられている場合、そのシート状媒体を後段の印刷エンジンに送るよう対応するコントローラから指示があるまで、表裏反転が済んだシート状媒体を反転ドライブ(ローラ)にて暫く遅延乃至滞留させることができる。その滞留時間は時間ずれ目標値に比例するので、所定の滞留時間に基づき時間ずれ目標値を自動校正することができる。
【0041】
更に、第1第2印刷エンジン間の画像形成枠単位同期が維持されるよう、そのずれ検出値目標値間比較結果に基づき第2DSMの速度を調整する(140)。この調整は、例えば、ずれ検出値・ずれ目標値間の差をPI(proportional plus integral)制御ループ、PID(PI plus derivative)制御ループ等の制御ループに供給することで実行する。その制御ループとしてはいわゆる当業者にとり既知のもの、例えばサーボ制御システムで使用されているタイプのものを使用するとよい。特に、第2DSMに連結されるモータをサーボ制御モータとするのが望ましい。
【0042】
また、第2印刷エンジンは、その内部の画像ライタを、DSM速度に対し独立に作動させうる構成にすることもできる。そうした画像ライタの一例はLEDライタアレイである。この種の画像ライタは、ベルト駆動部に連結されているシステムエンコーダでDSMの角度位置を追跡し、その変化に基づき露光を実行する。即ち、この種のLEDライタアレイは、DSMの動きを監視しDSMが1ライン分動いたらそのラインを露光させる、というDSM位置ベースのライタであるため、画像形成枠単位又はそれ以上の頻度でオンザフライ的にDSM速度を変化させても、その悪影響を受けることがない。画像形成枠単位での同期を図るには、慣性が大きすぎてDSM速度から独立な画像形成枠単位調整が行えない回転多面体鏡等の画像ライタではなく、応答速度が高いLEDライタアレイ等の画像ライタを利用するのが有益である。第2DSMの位置変化を踏まえ書き込むよう第2印刷エンジン内画像ライタを稼働させているのはそのためである(142;省略可)。即ち、DSM速度の変化に対し“免疫”を有する画像ライタを使用することで、第2印刷エンジンのロバスト性を高めることができる。
【0043】
図7に、第1第2印刷エンジン間同期手順の別例を示す。この手順では、まず、複数個の画像形成枠を担持している第2DSMを始動させ(144)、第2継ぎ目信号を監視することでその第2DSMにおける継ぎ目の位置を特定し(146)、そして特定された第2DSM継ぎ目の位置を基準に一種類の基準位置を定める(148)。特定された第2DSM継ぎ目位置から定まる基準位置が一通りの場合、その第2DSMはその位置で静止している。複数通りの場合は、第2DSMは移動中であるが、その継ぎ目位置が追跡されているため基準位置が変化している。
【0044】
次に、複数個の画像形成枠を担持している第1DSMを始動させ(150)、第1継ぎ目信号を監視することでその第1DSMにおける継ぎ目の位置を特定し(152)、そしてそのずれが目標値になるよう第1第2DSM間でそれらの継ぎ目を同期させる(154)。第2DSMが停止している場合は、継ぎ目同期を図るべく再始動即ち再イネーブリングを実行する。
【0045】
続いて、稼働中の第1DSMから得られる第1枠信号を監視する(156)。第1枠信号は第1DSM上の枠マーカが第1枠センサを通過する際そのセンサで発生する信号であり、その値は枠マーカの存否を表している。また、稼働中の第2DSMから得られる第2枠信号も監視する(158)。第2枠信号は第2DSM上の枠マーカが第2枠センサを通過する際そのセンサで発生する信号であり、その値は枠マーカの存否を表している。更に、第1DSM側に1個又は複数個ある画像形成枠と第2DSM側にある対応する画像形成枠との間のずれをその対毎に検出し(160)、検出したずれを画像形成枠の対毎にその目標値と比較する(162)。そして、第1第2印刷エンジン間の画像形成枠単位同期が維持されるよう、ずれの検出値目標値間比較結果に基づき第2DSMの速度を調整する(164)。
【0046】
図8に、印刷エンジン間同期動作の一例をそのタイミングにより模式的に示す。この例では、まず第1印刷エンジンに対するイネーブリング166で第1DSMの稼働を開始させる。すると、第1枠センサからもたらされる第1枠信号に正体不明の枠パルス168が現れる。パルス168の正体が不明なのは、第1継ぎ目の位置がまだ特定されていないからであり、いずれは第1継ぎ目の位置を示す第1継ぎ目パルス170が発生する。その後は、個々の第1継ぎ目パルス172、174等々を、図示の如く対応する画像形成枠F1〜F6の位置に繰返し関連付けることができる。
【0047】
他方で、第2印刷エンジンに対するイネーブリング176で第2DSMの稼働を開始させる。すると、第2枠センサからもたらされる第2枠信号に正体不明の枠パルス178が現れる。パルス178の正体が不明なのは、やはり、第2継ぎ目の位置がまだ特定されていないからであり、いずれは第2継ぎ目の位置を示す第2継ぎ目パルス180が発生する。次いで、第2継ぎ目を既知位置で静止させるため、この第2継ぎ目検出から所要時間184が経過した後、第2印刷エンジンに対するディスエーブリング182を実行する。
【0048】
次いで、第2印刷エンジンに対するリイネーブリング186を実行する。そのタイミングは、第1継ぎ目パルス190・第2継ぎ目パルス192間の初期ずれ188がある値になるよう計算で定める。これによって第1第2継ぎ目間の初期同期が確立される。第1継ぎ目パルス190が検出された後は第1枠信号中の枠パルス174を画像形成枠F1〜F6毎に識別することができ、同様に、第2継ぎ目パルス192が検出された後は第2枠信号中の枠パルス194を画像形成枠F1〜F6毎に識別することができる。
【0049】
更に、対をなす画像形成枠間のずれを検出する。例えば、第1枠信号中の第1枠パルス及び第2枠信号中の第1枠パルスに基づき第1画像形成枠F1間のずれ196を検出する。以下同様に、第1枠信号中の第2枠パルス及び第2枠信号中の第2枠パルスに基づき第2画像形成枠F2間のずれ198を検出し、第1枠信号中の第3枠パルス及び第2枠信号中の第3枠パルスに基づき第3画像形成枠F3間のずれ208を検出し、といった具合である。
【0050】
そして、検出したずれをその目標値と比較し、第2印刷エンジン内DSMの速度を調整する。これを模式的に表しているのが、第2印刷エンジンへの入力のうち変動部分202である。画像形成枠単位で同期している状態は任意に終了させることができる。終了させる際には第1印刷エンジンのシャットダウン204及び第2印刷エンジンのシャットダウン206を実行する。
【0051】
以上説明した印刷エンジン同期システム及び方法は有益なものである。本願明細書ではその実施形態に関し詳細に説明したが、いわゆる当業者には自明な通りこれは例示のための説明であり、本発明の要旨を限定するものではない。例えば、以上の説明ではDSM上の画像形成枠個数が6個の例を示したが、画像形成枠個数をこれとは別の個数にすることもできる。そのDSMのサイズ、印刷される画像のサイズ並びにシステムの全体構成次第である。更に、以上の説明では、1個の増産モジュールを既存の印刷エンジンに対し縦続挿入した例を示したが、既存の印刷エンジンに対し縦続挿入される増産モジュールの個数をこれとは別の個数にすることもできる。図9に、その一例たる複製装置208を示す。この例では、第1印刷エンジン210に加え第2印刷エンジン212及び第3印刷エンジン214が使用されている。エンジン212,214はエンジン210と仕上げ装置216の間に挿入されている。第2印刷エンジン212は、本願記載の手法又はそれと均等な手法に従い第1印刷エンジン210と同期化されている。第3印刷エンジン214は、本願記載の手法又はそれと均等な手法に従い第1印刷エンジン210と同期させることも(この場合ずれの目標値はエンジン210・214間の移動時間に基づく値になる)、本願記載の手法又はそれと均等な手法に従い第2印刷エンジン210と同期させることもできる。本願に記載した手法に備わる長所の一つは、印刷エンジン連鎖内の任意の印刷エンジン対にて印刷エンジン同士を同期させうる点にある。同期の基準となる印刷エンジンは、印刷エンジン連鎖内で初段に位置するものとするのが望ましいが、終段に位置するものや中間の段に位置するものを同期の基準にし、他の印刷エンジンをその印刷エンジンに対し直接的又は間接的に同期させるようにしてもよい。
【0052】
図10に、増産モジュール内で図示しない第1第2印刷エンジン間の連結に使用される反転器の一例構成218を模式的に示す。この反転器218はシート進入経路220、シート退出経路222及びシート反転経路224を有している。「シート」の経路なる語を使用しているのは、紙、カードストック、ベラム、透明フィルム、プラスチック、ボール紙等、種々のシート状媒体をこの反転器218で扱うことができるからである。進入経路220には、第1印刷エンジンから来るシート状媒体(群)を受け入れうるかたちの入口226と、出口228とが備わっており、退出経路222には、入口230と、第2印刷エンジンへとシート状媒体(群)を送り出しうるかたちの出口232とが備わっており、反転経路224には、進入経路220の出口228につながる入口234と、退出経路222の入口230につながる出口236とが備わっている。
【0053】
反転器218は、シート進入経路220内を通りその経路220から出て行くようシート状媒体を移動させる受入ドライブ238を1個又は複数個備えている。図示例では数個のドライブ238が使用されているが、お察しの通りドライブ238の個数はこれより多くすることも少なくすることも可能である。ドライブ238の個数は、経路220内を移動するシート状媒体のサイズ、経路220内の個別位置にて求められるシート状媒体制御量、並びに使用されるドライブ238のタイプによって左右される。図示例ではドライブ238としてドライブホイールを使用しているが、これ以外のタイプの駆動手段、例えばベルトドライブや真空ドライブを受入ドライブとして使用することもできる。
【0054】
反転器218は、また、シート反転経路224内を通りその経路224から出て行くようシート状媒体を移動させる反転ドライブ240を1個又は複数個備えている。図示例はニップ(間隙)内で反転させるタイプの反転器であるため、そのドライブ240を反転型のもの、即ちシート状媒体をまず第1方向242に沿い経路224の入口234から引き込み、次いで第2方向244に沿い経路224の出口236を送り出すことができるものにしてある。図示例では2個のドライブ240が使用されているが、お察しの通りドライブ240の個数はこれより多くすることも少なくすることも可能である。ドライブ240の個数は、経路224内を移動するシート状媒体のサイズ、径路224内の個別位置にて求められるシート状媒体制御量、並びに使用されるドライブ240のタイプによって左右される。図示例ではドライブ240としてドライブホイールを使用しているが、これ以外のタイプの駆動手段、例えばベルトドライブや真空ドライブを反転ドライブとして使用することもできる。
【0055】
反転器218は、更に、シート退出経路222内を通りその経路222から出て行くようシート状媒体を移動させる送出ドライブ246を少なくとも1個備えている。図示例では2個のドライブ246が使用されているが、お察しの通りドライブ246の個数はこれより多くすることも少なくすることも可能である。ドライブ246の個数は、経路222を移動するシート状媒体のサイズ、経路222内の個別位置で求められるシート状媒体制御量、並びに使用されるドライブ246のタイプによって左右される。図示例ではドライブ246としてドライブホイールを使用しているが、これ以外のタイプの駆動手段、例えばベルトドライブや真空ドライブを送出ドライブとして使用することもできる。
【0056】
そして、反転器218は、シート進入経路220の出口228の連結先を、随時、シート反転経路224の入口234とシート退出経路222の迂回入口250との間で切り換える転向器248を備えている。図中の転向器248は、迂回入口250をふさぎ、反転経路224の入口234を進入経路220の出口228につなぐポジションになっている。転向器248におけるこうしたポジションを反転ポジションと呼ぶ。転向器248をこれとは別のポジション、即ち反転経路224の入口234をふさぎ、退出径路222の迂回入口250を進入経路220の出口228につなぐポジションにすることもできる。転向器248におけるこうしたポジションを非反転ポジションと呼ぶ。
【0057】
図11に、第1印刷エンジン254の両面印刷時スループットを高めるのに使用される増産モジュールの一例構成252を模式的に示す。増産モジュール252の一部ではないため、第1印刷エンジン254については図示をその一部に留めてある。第1印刷エンジン254は、その印刷エンジン内シート経路の出口256を介しモジュール252へとシート状媒体258を供給している。また、図示例では、各媒体258の面260及び262のうち第1面260上に第1印刷エンジンが画像を発現させている。モジュール252への媒体供給は所定周期で行われており、その周期は媒体258の先端辺264同士又は後端辺266同士の時間差に基づき定められている。
【0058】
増産モジュール252内には第2印刷エンジン268がある(図示したのはその一部分)。その構成は図面を参照して前述した諸実施形態の通りである。簡便化のため、この図では反転器のシート退出経路をエンジン268に直結してあるが、お察しの通り、反転器のシート退出経路出口とエンジン268の間にシート状媒体位置合わせアセンブリを設けることや、その位置合わせアセンブリをエンジン268の一部とすることも可能である。その位置合わせにはいわゆる当業者にとり周知の装置を使用することができるので、本願では詳細な説明を省略することとする。
【0059】
増産モジュール252は更にコントローラ270を備えている。コントローラ270は、第1印刷エンジン254から一種類又は複数種類のタイミング信号を受け取り、少なくともその一部に基づき、第2印刷エンジン268の動作タイミングを第1印刷エンジン254の動作タイミングに同期させる。その同期手順の好適例については先の説明を参照されたい。コントローラ270としては、マイクロプロセッサ、コンピュータ、ASIC、アナログ回路、ディジタル回路、それらの集合乃至組合せ等を使用することができる。
【0060】
そして、増産モジュール252は、図10を参照して説明した構成の反転器218を備えている。図11の如く転向器248が反転ポジションをとっているときには、シート進入経路からシート反転経路へとシート状媒体258が引き渡され、その第1面260及び第2面262の向きが、モジュール252に入ってきたとき(274)の向きとは実質的に逆の向きへとそのシート反転経路内で反転される(272)。その内部の反転ドライブ240は、表裏反転した、即ち裏返ったシート状媒体を、シート反転経路の出口を介しシート退出経路へと送り込む。シート状媒体同士が衝突しないよう、次のシート状媒体はその後でシート反転経路に送り込む。前述した通り、シート反転経路におけるシート状媒体の滞留時間は、第1印刷エンジン254に対し第2印刷エンジン268が同期するよう調整することができる。表裏反転したシート状媒体の第2面262には、第2印刷エンジン268にて画像が記録される。
【0061】
第1第2印刷エンジン間を反転器で連結した構成の複製装置では、印刷エンジン間でその動作タイミングを同期させることに加えて、反転モード非反転モード間切換を実行する際の生産性を向上させることも有益である。その例として、図12A〜図12Cに、一実施形態に係る増産モジュール内の反転器におけるシート経路切換動作、特に反転モードから非反転モード、更に反転モードへと切り換える動作を模式的に示す。
【0062】
まず、反転器218に付随する転向器248が図11に示した反転ポジションにある場合、図12A中のシート状媒体1及び2のように、シート状媒体は反転器218内の径路を通ることで反転される。この状態から転向器248を非反転ポジションに切り換えると、図12A中のシート状媒体3のように、以後のシート状媒体はシート反転経路に進入できなくなる。図12Bはその後の状態を捉えた図である。図示の通り、表裏反転されたシート状媒体1及び2は第2印刷エンジン268に進み、そこでその第2面262上への画像記録を受けている。転向器248が非反転ポジションにあるため、シート状媒体3は迂回入口経由でシート退出経路に入り、第2印刷エンジン268による第1面260上への画像記録を待っている。シート状媒体4はまだ転向器248に到達していない。この非反転ポジションから元の反転ポジションへと転向器248を切り換えると、いずれ図12Cに示す状態となる。この図では、シート状媒体3が(反転されないまま)先に進む一方、シート状媒体4はシート反転経路へと進入している。このような動作を実行すると、シート状媒体間に隙間276が生まれ、DSM上の画像形成枠を1個又は複数個飛ばす必要が生じる。これは複製装置の生産性低下につながりうる。
【0063】
ここで注目したいのは、表裏反転を伴う両面印刷モードと伴わない片面印刷モードとの間を行き来した結果シート状媒体の到来タイミングが変化し、第2印刷エンジン内DSMに設けられた画像形成枠とタイミングが合わなくなるのは、反転モードで動作している反転器でのシート状媒体移動時間と、非反転モードで動作している反転器でのシート状媒体移動時間との差が、シート状媒体到来周期264,266の整数倍でないときである、ということである。例えば、反転モード非反転モード間の移動時間差がDSM上の画像形成枠1.5個分に等しい第2印刷エンジンで、長い経路を辿る反転モードから短い経路を辿る非反転モードへとモードを切り換えるとする。この場合、次のシート状媒体に画像を記録する前に、第2印刷エンジンに画像形成枠を1個飛ばさせる必要がある。それでもなお0.5個分の差が残るため、更に次のシート状媒体に画像を記録する前に、画像形成枠をもう1個飛ばさせる必要がある。この半枠分不足は非反転モード中は解消されないので、継続的な画像形成枠飛ばしが発生する。従って、反転非反転モード間の反転器内移動時間差がシート状媒体到来周期の整数倍でない場合、片面印刷と両面印刷が混在する印刷ジョブ群を実行すると、印刷モード切換後のシート到来タイミングが毎回不適切になるため生産性に持続的な減分が発生する。
【0064】
そこで、図13に、第1第2印刷エンジン間を反転器で連結した構成の複製装置における反転モード非反転モード間切換時生産性向上手順の一例を示す。この例では、シート状媒体到来周期を知るため、第1印刷エンジンに付随する1個又は複数個のセンサでシート状媒体到来周期を計測している(278;省略可)。例えば、複数個のシート経路センサを用い、シート状媒体の先端辺、後端辺又はその双方が第1印刷エンジン内を通過するタイミングを監視し、それらのセンサにおける辺通過タイミング信号の発生時刻を相互比較することで、シート状媒体到来周期を判別する。これに代え、第2印刷エンジンに付随する1個又は複数個のセンサでシート状媒体到来周期を計測する(280;省略可)、反転器に付随する1個又は複数個のセンサでシート状媒体到来周期を計測する(282;省略可)、ルックアップテーブルを用いシート状媒体到来周期を特定する(284;省略可)等の動作で、シート状媒体到来周期を求めるようにしてもよい。ルックアップテーブルには、例えば、シート状媒体のサイズや印刷エンジン内シート経路における移動速度に基づきシート状媒体到来周期を予め求めて登録しておく。
【0065】
シート状媒体が反転器内で辿る経路は、反転モード時の経路(反転時径路)と非反転モード時の径路(非反転時径路)とで異なっている。そこで、反転時経路におけるシート状媒体の移動時間と非反転時経路におけるシート状媒体の移動時間との差を、シート状媒体到来周期の整数倍となるよう調整する(286)。その整数は、両移動時間が互いに等しくなるよう0とするのが理想である。そうすることで、反転モードと非反転モードをシームレスに統合することができ、どちらの印刷エンジンでも画像形成枠を飛ばす必要がなくなる。その整数が1以上である場合、モード切換に伴い第2印刷エンジン側で画像形成枠が飛ばされシート状媒体到来周期の整数倍に等しい時間的損失が発生するけれども、それは一度限りの損失であり、モード切換後のシート状媒体で更なる損失が発生することはない。
【0066】
反転時経路におけるシート状媒体の移動時間と非反転時経路におけるシート状媒体の移動時間との差を調整する手法としては、反転時径路におけるシート状媒体の滞留時間を調整する手法288、非反転時経路におけるシート状媒体の移動時間を調整する手法290等を採ることができる。例えば、両面印刷モード時に同期がとれるよう反転時径路内滞留時間を調整しておき、その非反転時径路内に設けた増速部又は減速部を調整することで、その複製装置の生産性を高めることができる。更に、シート状媒体滞留時間の調整とシート経路内減速部の調整とを同時に行うことでも、反転時経路・非反転時経路間のシート状媒体移動時間差を調整することができる。
【0067】
以上、印刷エンジン用増産モジュール内反転器の長所について説明したが、本願明細書での実施形態説明は例示のためのものである。いわゆる当業者にはご理解頂けるように、詳細に説明した意図は単なる例示であって要旨の限定ではない。また、いわゆる当業者であれば、本願中に明示のない様々な改変、変形及び改良を想起し又は実行することができよう。それらの改変、変形及び改良を受けた構成も、ここでの言及を以て、本発明の技術的範囲に包含されるものとする。そして、処理要素乃至処理ステップの説明順序や、数値、文字その他の符号の用いられ方で、何かの順序が限定されるものではない(特許請求の範囲に明示がある場合を除く)。総じて、本発明の技術的範囲は、別紙特許請求の範囲の記載及びその均等のみによって定まるものである。
【符号の説明】
【0068】
30 印刷エンジン、32 誘電担体(DSM)、34a 駆動ローラ、34b〜34g ローラ、36 モータ、38 予備帯電ステーション、40 露光ステーション(画像ライタ)、40a ライタ、42 現像ステーション、42a バックアップローラ、44 転写ステーション、46,258 シート状媒体、48 バイアスローラ、50 熔着ステーション、52 清掃ステーション、54 ベルト位置センサ、56,78,208 複製装置、58,210,254 第1印刷エンジン(の一部)、60 主キャビネット、62,216 仕上げ装置、64,212,268 第2印刷エンジン(の一部)、66 シート経路入口、68,256 第1印刷エンジン内シート経路の出口、70,252 増産モジュール、72 増産用媒体インタフェース、74 シート出入口高低差を吸収する形態、76 シート状媒体を表裏反転する形態、80,270 コントローラ、82 第1コントローラ、84 第2コントローラ、86 第1DSM、88 第1モータ、90 第1枠センサ、92 シート経路、94,218 反転器、96 第2DSM、98 第2モータ、100 第2枠センサ、102 第1継ぎ目センサ、104 第2継ぎ目センサ、106 第1DSMの継ぎ目、108−F1〜108−F6 第1DSM上の第1〜第6画像形成枠、110 第1DSM循環方向、111 シート状媒体S1〜S6が第1DSM上に来るタイミング、112−1〜112−6 第1DSM上の第1〜第6枠マーカ、114 第1DSM上の継ぎ目マーカ、116 シート状媒体S1〜S6が第2DSM上に来るタイミング、118 第2DSMの継ぎ目、120−F1〜120−F6 第2DSM上の第1〜第6画像形成枠、122 第2DSM循環方向、124−1〜124−6 第2DSM上の第1〜第6枠マーカ、166 第1印刷エンジンイネーブリング、168 第1枠信号中の正体不明枠パルス、170,190 第1継ぎ目パルス、172 第1枠信号中の枠パルス(F1〜F6)、174 第1枠信号における枠パルス(F1〜F6)の繰返し、176 第2印刷エンジンイネーブリング、178 第2枠信号中の正体不明枠パルス、180,192 第2継ぎ目パルス、182 第2印刷エンジンディスエーブリング、184 第2継ぎ目パルス発生後のディスエーブリング期間の目標長、186 第2印刷エンジンリイネーブリング、188 初期ずれ、194 第2枠信号中の枠パルス(F1〜F6)、196〜200 第1枠信号中の枠パルス(F1〜F3)と第2枠信号中のそれとの間のずれ、202 第2印刷エンジン入力の変動部分、204 第1印刷エンジンシャットダウン、206 第2印刷エンジンシャットダウン、214 第3印刷エンジン、220 シート進入経路、222 シート退出経路、224 シート反転経路、226 シート進入経路の入口、228 シート進入経路の出口、230 シート退出経路の入口、232 シート退出経路の出口、234 シート反転経路の入口、236 シート反転経路の出口、238 受入ドライブ、240 反転ドライブ、246 送出ドライブ、248 転向器、250 シート退出経路の迂回入口、260 シート状媒体第1面、262 シート状媒体第2面、264,266 シート状媒体到来周期、276 モード切換時にシート状媒体間に生じる隙間、S1〜S6 第1〜第6シート状媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1印刷エンジンの両面印刷時スループットを高めるための増産モジュールであって、
第2印刷エンジンと、
第1印刷エンジンから一種類又は複数種類のタイミング信号を受け取り、少なくともその一部に基づき第2印刷エンジンの動作タイミングを第1印刷エンジンの動作タイミングに同期させるコントローラと、
反転器と、
を備え、その反転器が、
a)その入口を介し第1印刷エンジンから1枚又は複数枚のシート状媒体を受け入れるシート進入経路と、
b)その出口を介し第2印刷エンジンへと1枚又は複数枚のシート状媒体を引き渡すシート退出経路と、
c)シート反転経路と、
を備え、そのシート反転経路が、
i)シート進入経路の出口に連結された入口と、
ii)シート退出経路の入口に連結された出口と、
を有する増産モジュール。
【請求項2】
請求項1記載の増産モジュールであって、その第2印刷エンジンが電子写真方式の印刷エンジンである増産モジュール。
【請求項3】
請求項1記載の増産モジュールであって、その反転器が、
シート進入経路内を通りシート進入経路から出て行くよう第1印刷エンジンから来た1枚又は複数枚のシート状媒体を移動させる1個又は複数個の受入ドライブと、
シート反転経路内を通りシート反転経路から出て行くよう1枚又は複数枚のシート状媒体を移動させる1個又は複数個の反転ドライブと、
シート退出経路内を通りシート退出経路から出て行くよう1枚又は複数枚のシート状媒体を移動させる1個又は複数個の送出ドライブと、
を有する増産モジュール。
【請求項4】
請求項3記載の増産モジュールであって、その受入ドライブ、反転ドライブ及び送出ドライブが、それぞれ、1個又は複数個のドライブホイールを有する増産モジュール。
【請求項5】
請求項1記載の増産モジュールであって、その反転器が、
d)シート進入経路の出口の連結先を、随時、シート反転経路の入口とシート退出経路の迂回入口との間で切り換える転向器を有する増産モジュール。
【請求項6】
請求項5記載の増産モジュールであって、そのコントローラが、
シート進入経路、シート反転経路及びシート退出経路を含んでおり転向器が反転ポジションであるときにシート状媒体が辿る反転時経路と、
シート進入経路及びシート退出経路を含んでおり転向器が非反転ポジションであるときにシート状媒体が辿る非反転時経路と、
に関し、反転時経路におけるシート状媒体の移動時間と非反転時経路におけるシート状媒体の移動時間との差をシート状媒体到来周期の整数倍に調整する増産モジュール。
【請求項7】
請求項6記載の増産モジュールであって、そのコントローラが、反転時経路におけるシート状媒体の滞留時間を調整することで、反転時経路におけるシート状媒体の移動時間と非反転時経路におけるシート状媒体の移動時間との差をシート状媒体到来周期の整数倍に調整する増産モジュール。
【請求項8】
請求項1記載の増産モジュールであって、その反転器が、ニップ内で反転させるタイプの反転器である増産モジュール。
【請求項9】
第1印刷エンジンを第2印刷エンジンに連結するため増産モジュール内に設けられた反転器であって、
a)その入口を介し第1印刷エンジンから1枚又は複数枚のシート状媒体を受け入れるシート進入経路と、
b)その出口を介し第2印刷エンジンへと1枚又は複数枚のシート状媒体を引き渡すシート退出経路と、
c)シート反転経路と、
を備え、そのシート反転経路が、
i)シート進入経路の出口に連結された入口と、
ii)シート退出経路の入口に連結された出口と、
を有する反転器。
【請求項10】
請求項9記載の反転器であって、
シート進入経路内を通りシート進入経路から出て行くよう1枚又は複数枚のシート状媒体を移動させる1個又は複数個の受入ドライブと、
シート反転経路内を通りシート反転経路から出て行くよう1枚又は複数枚のシート状媒体を移動させる1個又は複数個の反転ドライブと、
シート退出経路内を通りシート退出経路から出て行くよう1枚又は複数枚のシート状媒体を移動させる1個又は複数個の送出ドライブと、
を備える反転器。
【請求項11】
請求項10記載の反転器であって、その受入ドライブ、反転ドライブ及び送出ドライブが、それぞれ、1個又は複数個のドライブホイールを有する反転器。
【請求項12】
請求項9記載の反転器であって、
d)シート進入経路の出口の連結先を、随時、シート反転経路の入口とシート退出経路の迂回入口との間で切り換える転向器を有する反転器。
【請求項13】
請求項12記載の反転器であって、
シート進入経路、シート反転経路及びシート退出経路を含んでおり転向器が反転ポジションであるときにシート状媒体が辿る反転時経路と、
シート進入経路及びシート退出経路を含んでおり転向器が非反転ポジションであるときにシート状媒体が辿る非反転時経路と、
に関し、反転時径路におけるシート状媒体の移動時間と非反転時経路におけるシート状媒体の移動時間との差をシート状媒体到来周期の整数倍に調整する反転器。
【請求項14】
請求項13記載の反転器であって、反転時経路におけるシート状媒体の滞留時間を調整することで、反転時経路におけるシート状媒体の移動時間と非反転時経路におけるシート状媒体の移動時間との差をシート状媒体到来周期の整数倍になるよう調整する反転器。
【請求項15】
請求項9記載の反転器であって、そのシート反転経路が反転用の部分を有する反転器。
【請求項16】
第1印刷エンジン、第2印刷エンジン及びそれらを連結する反転器を有する複製装置における反転モード非反転モード間切換時生産性を向上させる方法であって、
反転モード時の反転器内経路におけるシート状媒体の移動時間と、非反転モード時の反転器内経路におけるシート状媒体の移動時間と、の差を、シート状媒体到来周期の整数倍になるよう調整するステップを有する方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法であって、
第1印刷エンジンに付随する1個又は複数個のセンサでシート状媒体到来周期を計測するステップと、
第2印刷エンジンに付随する1個又は複数個のセンサでシート状媒体到来周期を計測するステップと、
反転器に付随する1個又は複数個のセンサでシート状媒体到来周期を計測するステップと、
ルックアップテーブルを用いシート状媒体到来周期を特定するステップと、
のうちいずれかを有する方法。
【請求項18】
請求項16記載の方法であって、反転モード時の反転器内経路におけるシート状媒体の移動時間と非反転モード時の反転器内経路におけるシート状媒体の移動時間とがほぼ等しくなるよう、シート状媒体到来周期に対する整数倍数を0とする方法。
【請求項19】
請求項16記載の方法であって、反転モード時の反転器内経路におけるシート状媒体の移動時間と、非反転モード時の反転器内経路におけるシート状媒体の移動時間と、の差が、シート状媒体到来周期とほぼ等しくなるよう、シート状媒体到来周期に対する整数倍数を1とする方法。
【請求項20】
請求項16記載の方法であって、反転モード時の反転器内経路におけるシート状媒体の滞留時間を調整することで、反転モード時の反転器内経路におけるシート状媒体の移動時間と、非反転モード時の反転器内経路におけるシート状媒体の移動時間と、の差を、シート状媒体到来周期の整数倍になるよう調整するステップを有する方法。
【請求項21】
請求項16記載の方法であって、非反転モード時の反転器内経路におけるシート状媒体の移動時間を調整することで、反転モード時の反転器内経路におけるシート状媒体の移動時間と、非反転モード時の反転器内経路におけるシート状媒体の移動時間と、の差を、シート状媒体到来周期の整数倍になるよう調整するステップを有する方法。
【請求項22】
請求項16記載の方法であって、
第1印刷エンジン内誘電担体上の画像形成枠の作用で1枚又は複数枚のシート状媒体に形成される画像の位置が、第2印刷エンジン内誘電担体上の対応する画像形成枠の位置と揃うこととなるよう、第1印刷エンジン内誘電担体と第2印刷エンジン内誘電担体との間で、その上にある1個又は複数個の画像形成枠のタイミングを同期させるステップと、
切換元モードでのシート経路内移動時間よりも切換先モードでのシート経路内移動時間の方が長い場合に、第2印刷エンジン内誘電担体上の画像形成枠を、上掲の整数に相当する個数に亘り飛ばさせるステップと、
切換元モードでのシート経路内移動時間よりも切換先モードでのシート経路内移動時間の方が短い場合に、第1印刷エンジン内誘電担体上の画像形成枠を、上掲の整数に相当する個数に亘り飛ばさせるステップと、
を有する方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法であって、切換元モードが反転モード、切換先モードが非反転モードである方法。
【請求項24】
請求項22記載の方法であって、切換元モードが非反転モード、切換先モードが反転モードである方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−523719(P2011−523719A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511596(P2011−511596)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/002922
【国際公開番号】WO2009/148490
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】