説明

印刷システムと印刷装置と印刷装置の制御方法とプログラム

【課題】 ネットワークを介して印刷を依頼した印刷装置で印刷不能になった場合、ユーザが繁雑な作業を行わなくても、印刷依頼先の印刷装置の近傍に存在するネットワーク上の他の印刷装置で容易に代行印刷できるようにする。
【解決手段】 プリンタのCPU11は、PCからの印刷ジョブが印刷不能な状態を検出した場合、探索処理で、自装置の近傍に位置する他のプリンタを探し出し、自装置の近傍に位置するプリンタを発見すると、取得処理で、そのプリンタからネットワークを介して通信をするためのネットワーク情報を取得し、テスト通信処理で、上記取得したネットワーク情報のIPアドレスによってネットワーク通信が正しく行えるか否かの試験をし、通信テスト成功と判断したら、転送処理で、PCから依頼された印刷ジョブをそのプリンタへ転送して印刷要求する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷装置を含む複数の装置がネットワークに接続されている印刷システムと、印刷機能を備えたファクシミリ装置、プリンタ、複写機、及び複合機を含む印刷装置と、印刷装置の制御方法とプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続された印刷装置において、何らかの異常が発生したために印刷ジョブを実行できない場合、他の印刷装置によって印刷を行う代行印刷という機能がある。
従来、ネットワーク上の印刷装置について、代行印刷を行う複数の印刷装置を予め登録すると共に、その登録した各印刷装置に優先順位を設定して、印刷を依頼した印刷装置で印刷不能になった場合には、登録しておいた印刷装置及び優先順位に基づいて選んだ他の印刷装置に代行印刷を依頼する端末装置(例えば、特許文献1参照)があった。
また、印刷装置によって印刷ジョブを完遂できない状態にある場合、無線接続可能な印刷装置を検索し、その検索の結果見つかった印刷装置に対して印刷ジョブを転送してジョブを完遂する印刷装置(例えば、特許文献2参照)があった。
さらに、第1の印刷装置で印刷不能になった場合、代行印刷検索サーバに対して代行印刷を行う第2の印刷装置の検索を依頼し、代行印刷検索サーバによって検索された第2の印刷装置へ代行印刷を要求する代行印刷システム(例えば、特許文献3参照)があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ネットワークに接続された印刷装置を利用するユーザには、「ある印刷装置で印刷不能な状態になった場合、その印刷装置の近傍(物理的な距離が近い所)に存在する印刷装置で代行印刷を行いたい」という要求がある。
このような要求は大規模なオフィスで同一フロア内に複数の印刷装置が設置されているような場合によく発生する。
ところが、ユーザのオフィスネットワーク環境によっては、ネットワーク構成が複雑になっている場合、上記の要求を容易に満たすことができない。
例えば、図2に示すようなネットワーク構成の場合、ネットワーク8〜10を介してPC5が利用可能な複数のプリンタ1〜4があるが、プリンタ1とプリンタ2が物理的の最も近傍に存在し、プリンタ1からはプリンタ3,4は遠い位置に存在するものと仮定する。
【0004】
ここで、例えば、図2に示したネットワーク構成において、PC5からプリンタ1に対してユーザが印刷ジョブを要求した際、プリンタ1が印刷不可能な状態になった場合、ユーザからはプリンタ1の最も近傍に存在するプリンタがプリンタ2の場合でも、ネットワーク構成上、ルータを通過する必要のないプリンタ4や、ルータを通過する数が少ない(ルータ6の通過のみでよい)プリンタ3が存在するため、最も近傍に存在するプリンタ2で代行印刷を実行することは困難であった。
上述した従来の端末装置の技術を、図2に示したネットワーク構成に適用した場合、プリンタ1で印刷が実行できなかったときに、プリンタ2で代行印刷させるためには、予めプリンタ1に対して代行印刷先としてプリンタ2の情報を登録しておく必要がある。
しかしながら、ネットワーク上でプリンタの入れ替えやネットワーク構成が変更された場合、ユーザやオペレータがその都度上記登録内容を変更する必要が生じ、その作業が煩雑になるという問題があった。
【0005】
また、上述した従来の印刷装置の技術を、図2に示したネットワーク構成に適用した場合、プリンタ1で印刷が実行できなかったときには、他のプリンタを自動的に検出して代行印刷させることができるが、代行印刷先となるプリンタが代行印刷の要求元のプリンタと同等の印刷機能を有している必要があるし、ネットワーク上に本来代行印刷を実施してはならないような機器が存在した場合、セキュリティ上の懸念が存在するという問題があった。
さらに、上述した従来の代行印刷システムの技術を、図2に示したネットワーク構成に適用した場合、代行印刷検索サーバ側に予め代行印刷先のプリンタを設定しておく必要があり、ネットワーク上でプリンタの入れ替えやネットワーク構成が変更された場合、ユーザやオペレータがその都度上記登録内容を変更する必要が生じ、その作業が煩雑になり、また代行印刷検索サーバを設置するという煩雑さが発生してしまうという問題もあった。
【0006】
このように、従来の技術では、ネットワークに接続された印刷装置を利用するユーザが、ネットワーク上のある印刷装置で印刷不能な状態になった場合、その印刷装置の近傍に存在する印刷装置で代行印刷を行わせたくても、容易に行えないという問題があった。
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ネットワークを介して印刷を依頼した印刷装置で印刷不能になった場合、ユーザが繁雑な作業を行わなくても、印刷依頼先の印刷装置の近傍に存在するネットワーク上の他の印刷装置で容易に代行印刷できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上記の目的を達成するため、印刷装置を含む複数の装置がネットワークに接続されている印刷システムにおいて、上記印刷装置は、上記ネットワークを介して他の装置と通信する通信手段と、自印刷装置から所定の近距離内で他の印刷装置と無線通信が可能な近距離無線通信手段を有し、上記印刷装置に、上記通信手段によって他の装置から要求された印刷処理が自印刷装置で実行不能な状態であることを検出した場合、上記近距離無線通信手段によって自印刷装置から近距離に存在する他の印刷装置を探索する探索手段と、上記探索手段によって発見された印刷装置に対して上記近距離無線通信手段によって上記ネットワーク上の宛先情報を要求して取得する取得手段と、上記取得手段によって取得した宛先情報に基づいて上記通信手段によって上記発見された印刷装置に上記他の装置から要求された印刷処理を転送する転送手段を設けた印刷システムを提供する。
【0008】
また、上記のような印刷システムにおいて、上記印刷装置に、上記ネットワークを介して上記発見された印刷装置と通信可能か否かを試験し、通信可能な場合に上記印刷処理を転送させる手段や、さらに上記発見された印刷装置に印刷処理に関する印刷情報を送って印刷の可否を問い合せ、印刷可能の返答があった場合に上記印刷処理を転送させる手段を設けるとよい。
【0009】
さらに、印刷装置を含む複数の装置がネットワークに接続されている印刷システムにおいて、上記印刷装置は、上記ネットワークを介して他の装置と通信する通信手段と、自印刷装置から所定の近距離内で他の印刷装置と無線通信が可能な近距離無線通信手段を有し、上記印刷装置に、上記通信手段によって他の装置から要求された印刷処理が自印刷装置で実行不能な状態であることを検出した場合、上記近距離無線通信手段によって自印刷装置から近距離に存在する他の印刷装置を探索し、その探索によって発見された全ての印刷装置から上記近距離無線通信手段によって上記ネットワーク上の宛先情報をそれぞれ取得し、上記各宛先情報に基づいて上記通信手段によって上記ネットワークを介して上記発見された各印刷装置とそれぞれ通信可能か否かを試験し、その試験結果が通信可能な印刷装置について、上記宛先情報に基づいて上記通信手段によって上記他の装置から要求された印刷処理に関する印刷情報をそれぞれ送って印刷の可否を問い合せ、その問い合せに対して印刷可能の返答があった印刷装置の情報を収集し、その収集した各印刷装置の情報を上記通信手段によって上記印刷処理の要求元の装置へ送する手段を設けた印刷システムを提供する。
【0010】
また、上記のような印刷システムにおいて、上記印刷装置に、上記近距離無線通信手段による無線通信によって他の印刷装置から探索の要求に対する応答と、上記ネットワーク上の宛先情報の要求に対する返答と、上記ネットワークを介して他の印刷装置から通信可能か否かの試験があった場合の応答と、印刷処理が転送された場合の印刷処理を実行とをする手段を設けるとよい。
【0011】
さらに、上記のような印刷システムにおける印刷装置の各手段に相当する機能を備えた印刷装置と、その印刷装置の制御方法と、その印刷装置を制御するコンピュータに、上記のような印刷システムにおける印刷装置の各手段に相当する機能を実現させるための手順からなるプログラムも提供する。
【発明の効果】
【0012】
この発明による印刷システムと印刷装置と印刷装置の制御方法は、ネットワークを介して印刷を依頼した印刷装置で印刷不能になった場合、ユーザが繁雑な作業を行わなくても、印刷依頼先の印刷装置の近傍に存在するネットワーク上の他の印刷装置で容易に代行印刷できるようにすることができる。
また、この発明によるプログラムは、コンピュータに、ネットワークを介して印刷を依頼した印刷装置で印刷不能になった場合、ユーザが繁雑な作業を行わなくても、印刷依頼先の印刷装置の近傍に存在するネットワーク上の他の印刷装置で容易に代行印刷できるようにするための機能を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図2に示す各プリンタのハードウェア構成例を示す図である。
【図2】この発明の一実施形態である印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すプリンタにおいてPCからの印刷ジョブの印刷エラーを検出したときの処理を示すフローチャート図である。
【図4】図2に示すPCから印刷要求を受けたプリンタの近傍に位置する他のプリンタにおける処理を示すフローチャート図である。
【0014】
【図5】図2に示すプリンタ間の通信処理を示すシーケンス図である。
【図6】図1に示すプリンタにおいてPCからの印刷ジョブの印刷エラーを検出したときの他の処理を示すフローチャート図である。
【図7】図2に示すプリンタ間の通信処理を示すシーケンス図である。
【図8】代行印刷装置候補リストテーブルのデータ内容の一例を示す図である。
【図9】図2に示すPCで表示されるプリンタエラー時の表示画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図2は、この発明の一実施形態である印刷システムの構成を示すブロック図である。
この印刷システムは、ネットワーク8上にプリンタ1とプリンタ4とパーソナルコンピュータ(PC)5が接続されており、ネットワーク8にルータ6を介して接続されたネットワーク9にはプリンタ3が接続されており、ネットワーク9にルータ7を介して接続されたネットワーク10にはプリンタ2が接続されている。
上記プリンタ1〜4は、それぞれ印刷機能を備えたファクシミリ装置、複写機、及び複合機も含む画像形成装置(「画像処理装置」とも呼ぶ)であり、カラー、モノクロ、レーザ方式などの多様な種類の画像形成装置を用いることができる。
また、上記PC5は、CPU、ROM及びRAMを含むコンピュータによって実現される情報処理装置であり、上記ネットワーク8〜10は、それぞれローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネットを含む有線又は無線のネットワークである。
さらに、ルータ6は、上記ネットワーク8と9の異なるネットワーク間を相互接続する通信機器であり、ルータ7は、上記ネットワーク9と10の異なるネットワーク間を相互接続する通信機器である。
なお、図2には図示を省略したが、上記ネットワーク8〜10には、さらに多くのPCが接続されており、また、他のプリンタを接続してもよく、さらにサーバ装置を含む他の装置が接続されていてもよい。
このように、各プリンタ1〜4は、ネットワークで繋がれているが、同一ネットワークではなく複数のネットワークがお互いに繋がっている構造で設置されている。
この印刷システムにおいて、プリンタ1とのルータを介したネットワーク上の距離という意味では、プリンタ4→プリンタ3→プリンタ2の順に近い位置に存在する装置であり、プリンタ1との物理的な距離では、プリンタ2→プリンタ4→プリンタ3の順に近い装置であると仮定する。
【0016】
図1は、図2に示したプリンタ1〜4のハードウェア構成例を示す図である。
プリンタ1〜4は、それぞれ、CPU11、ROM12、RAM13、ハードディスク装置(HDD)14、操作表示部15、ネットワーク・インタフェース・カード(Network Interface Card:NIC)16、ユニバーサル・シリアル・バス(Universal Serial Bus:USB)ホスト17、近距離無線通信装置18、ファクシミリ通信制御ユニット(FAX制御U)19、スキャナ20、及びプロッタ21を有する。
CPU11は、プリンタ全体の制御を司り、ROM12は、CPU11が実行する各種の制御プログラムを記憶し、RAM13は、CPU11が各種の処理を実行する際に使用する作業用メモリである。
【0017】
HDD14は、制御プログラム、アプリケーションプログラム、印刷対象のデータを含む各種のデータを記憶する記憶装置であり、操作表示部15は、ユーザがプリンタに各種の操作情報を入力すると共に、ユーザに各種の情報を表示するオペレーションパネルである。
NIC16は、発明に係る通信手段に相当し、ネットワーク8と接続し、ネットワーク8〜10上のプリンタ2〜4、PC5との通信の制御を司る。
USBホスト17は、プリンタに周辺機器である近距離無線通信装置18を接続し、近距離無線通信装置18とのデータのやり取りの制御を司る。
近距離無線通信装置18は、発明に係る近距離無線通信手段に相当し、例えば、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)を含み、自装置から数メール程度の範囲に存在する機器間で無線通信が可能な無線通信手段である。
【0018】
FAX制御U19は、通信回線を介して他の装置とファクシミリ通信を行う。
スキャナ20は、原稿上の画像を光学的に読み取ってそのデータを入力する画像読み取り手段である。
プロッタ21は、データを印刷する印刷手段である。
このプリンタ1は、ROM12又はHDD14に記憶された発明に係るプログラムを、CPU11がRAM13を作業領域として実行することにより、発明に係る印刷装置の制御方法の手順を実行し、その手順の実行によって実現する発明に係る印刷装置の探索手段、取得手段、転送手段、及びその他の各手段の機能を果たす。
【0019】
次に、この実施形態の印刷システムにおける代行印刷処理について説明する。
図3は、図1に示したプリンタにおいてPC5からの印刷ジョブの印刷エラーを検出したときの処理を示すフローチャート図である。
図1のCPU11は、例えば、印刷用紙切れや故障等、何らかの要因で印刷不能な状態である印刷エラーを検出すると、ステップ(図中「S」で示す)1で、図1の近距離無線通信装置18による近距離無線通信によって、自装置から数メートル範囲にしか届かない問い合せの信号を無線で送信し、その問い合せに対しての応答を確認することによって周辺のプリンタを探索し、ステップ2で、予め設定した所定時間内に他のプリンタから応答有りか否かを判断して、所定時間内にどこからも応答なし(「N」の場合)ならステップ11へ進んで、印刷ジョブの依頼元のPCへ印刷失敗を通知してこの処理を終了する。印刷失敗の際は、PCから受信した印刷ジョブを削除することにより、セキュリティを保つことができる。
【0020】
一方、CPU11は、ステップ2の判断で問い合せに対して他のプリンタから応答有り(「Y」の場合)なら、ステップ3で、応答によって発見したプリンタの中から1つを選択する。この場合、応答先が1台のみならそれを選択し、複数台の応答があったら、例えば、応答のあった順に1台ずつ選択する。
CPU11は、ステップ4で、近距離無線通信18によって選択したプリンタとの近距離無線通信経路を確立し、ステップ5で、確立が成功したか否かを判断し、確立が失敗(「N」の場合)なら、ステップ3へ戻って応答のあった次のプリンタについて上述の処理を実行する。
近距離無線通信装置18を用いて、近傍に存在するプリンタの探索を実施する際、近距離無線通信装置18が、ブルートゥースの場合はサービスディスカバリによって行う。
また、近距離無線通信経路としてブルートゥースを用いた場合、そのブルートゥースで規定されているSPP(Serial Port Profile)で定められているプロトコルによって通信を行うが、他の通信方式による近距離無線通信でも可能である。
また、CPU11は、ステップ5の判断で確立が成功(「Y」の場合)なら、ステップ6で、近距離無線通信18によって近距離無線通信経路によってプリンタからネットワーク情報を取得し、ステップ7で、近距離無線通信18による上記選択したプリンタとの近距離無線通信経路を切断する。
【0021】
上記ネットワーク情報とは、通信相手のプリンタとネットワークを介してデータ通信を行うために必要な各種の情報(IPアドレスを含む)である。
次に、CPU11は、ステップ8で、上記取得したネットワーク情報を用いて、NIC16によって上記選択したプリンタに対するネットワークの通信テストで試験し、ステップ9で、その試験結果に基づいて上記選択したプリンタとネットワーク上での通信可能か否かを判断する。
【0022】
CPU11は、ステップ9の判断で通信不可能(「N」の場合)なら、ステップ10へ進み、応答のあったプリンタの全てについて近距離無線通信経路の確立又は通信テストを終了したか否かを判断し、終了でない(「N」の場合)なら、ステップ3へ戻って、応答のあった次のプリンタについて上述の処理を実行する。
一方、CPU11は、ステップ10の判断で終了(「Y」の場合)なら、ステップ11へ進み、印刷ジョブの依頼元のPCへ印刷失敗を通知してこの処理を終了する。
また、CPU11は、ステップ9の判断で通信可能(「Y」の場合)なら、ステップ12へ進み、NIC16によって上記通信可能なプリンタにネットワークを介して印刷ジョブを転送して印刷要求し、この処理を終了する。
【0023】
上述の処理において、近傍に位置するプリンタとの通信テストの後に、そのプリンタに対してPCからの印刷ジョブに関する印刷情報(「印刷ジョブ情報」とも呼ぶ)を送ってその印刷ジョブを実行できるか否かを問い合せるようにしてもよい。
この場合、CPU11は、テスト通信先のプリンタと通信可能な場合、PCからの印刷ジョブに関する印刷情報(この印刷情報とは、例えば、印刷用紙サイズや印刷のモノクロ・カラー設定、印刷ユーザ設定、セキュリティや認証を確認するためのユーザ名等が考えられるが、この限りではない。)を送って印刷の可否を問い合せ、その問い合せに対して印刷可能の返答があった場合に印刷ジョブを転送させる。
【0024】
次に、PC5から印刷要求を受けたプリンタの近傍に位置する他のプリンタにおける処理について説明する。
図4は、PC5から印刷要求を受けたプリンタの近傍に位置する他のプリンタにおける処理を示すフローチャート図である。
プリンタのCPU11は、近距離無線通信装置18の近距離無線通信による探索の問い合せ受信時の処理について、ステップ21で、自装置が印刷可能な状態か否かを判断し、印刷可能状態でない(「N」の場合)なら、この処理を終了する。
また、CPU11は、ステップ22で、近距離無線通信装置18によって、問い合せをしてきたプリンタとの近距離無線通信経路を確立し、ステップ24で、確立が成功したか否かを判断する。
【0025】
CPU11は、ステップ22の判断で確立が失敗(「N」の場合)なら、この処理を終了し、確立が成功(「Y」の場合)なら、ステップ25で、他のプリンタからのネットワーク情報の要求に対して、近距離無線通信装置18による近距離無線通信経路によって、その経路を確立したプリンタへ自装置のネットワーク情報を送信し、ステップ26で、問い合せしてきたプリンタとの近距離無線通信経路を切断する。
次に、CPU11は、ステップ27で、NIC16によってネットワークの通信テストを受信したか否かを判断し、受信しなかった(「N」の場合)なら、この処理を終了し、受信した(「Y」の場合)なら、ステップ28で、通信テストに応答する。
【0026】
また、CPU11は、ステップ29で、NIC16によってネットワークを介して印刷要求を受信したか否かを判断し、受信しなかった(「N」の場合)なら、この処理を終了し、受信した(「Y」の場合)なら、ステップ30で、NIC16によってネットワークから受信した印刷要求(プリンタから転送された印刷ジョブ)の印刷を実行し、この処理を終了する。
上述の処理において、CPU11は、通信テストの後に、PCからの印刷ジョブに関する印刷情報が送られてきた場合、その印刷情報に基づいて自装置で印刷の可否を判断し、印刷可能、あるいは印刷不可を返答する。
【0027】
次に、プリンタ1がPC5から要求された印刷ジョブの実行をできなかった場合、プリンタ1が自装置と物理的に距離の近い(近傍に位置する)プリンタ2を探し出し、そのプリンタ2に対して代行印刷を依頼するときの処理を説明する。
この説明では、プリンタ1の近距離無線通信が届く範囲内にはプリンタ2のみが存在する場合で説明する。
図5は、図2に示したプリンタ1と2との通信処理を示すシーケンス図である。
プリンタ1は、PC5から印刷ジョブ(印刷要求の指示と印刷データを含む)が投入されると実行するが、例えば、印刷用紙切れや故障等、何らかの要因で印刷不能な状態(印刷エラー)を検出した場合、図5中にaで示す探索処理で、自装置の近傍に位置する他のプリンタを探し出す。
【0028】
この探索処理は、図1のCPU11が、USBホスト17を介して近距離無線通信装置18によって自装置から近距離に存在する他のプリンタを探索する問い合せをし、自装置から近距離に存在するプリンタ2から応答があると、自装置の近傍に位置するプリンタ2を発見する。
次に、プリンタ1は、図5中にbで示す取得処理で、プリンタ2からネットワーク8〜10を介して通信をするためのネットワーク情報を取得する。
この取得処理は、図1のCPU11が、USBホスト17を介して近距離無線通信装置18によって上記探索処理で発見されたプリンタ2に対して上記ネットワーク8〜10上の宛先情報(例えば、IPアドレス)を含むネットワーク情報を要求し、プリンタ2から返信されるネットワーク情報を受信することによって取得する。
【0029】
次に、プリンタ1は、図5中にcで示すテスト通信処理で、上記取得したネットワーク情報のIPアドレスによってネットワーク通信が正しく行えるか否かの試験を行う。
このテスト通信処理は、図1のCPU11が、NIC16によって上記ネットワーク情報に基づいてプリンタ2と通信可能か否かを通信テストで試験し、その試験結果としてプリンタ2から通信テストに対する応答を受信することによって試験を行う。
このネットワーク上での通信テストに関しては公知技術なので詳細な説明は省略する。
上記通信テストにより、CPU11は、プリンタ2から応答があれば通信テスト成功と判断し、応答がなければ通信テスト失敗と判断する。
プリンタ1は、上記通信テストが成功した場合、図5中にdで示す転送処理で、PC5から依頼された印刷ジョブをプリンタ2へ転送して印刷要求する。
【0030】
この転送処理は、図1のCPU11が、NIC16によって上記ネットワーク情報に基づいてプリンタ2へ印刷ジョブを送って印刷要求をする。
このネットワーク上で印刷ジョブを転送する処理は公知技術なので、上記通信テストと同様に詳細な説明を省略する。
そして、プリンタ2では、プリンタ1から要求された印刷ジョブを代行印刷する。
また、プリンタ1は探索時に応答のあったプリンタ2に対して、通信テストの実施後、印刷データに関する印刷情報を送信する。
この印刷情報とは、例えば、印刷用紙サイズや印刷のモノクロ・カラー設定、あるいは印刷ユーザ設定等が考えられるが、この限りではない。
プリンタ2では、その印刷情報に基づいて自装置での印刷可否の判断を行う。
【0031】
例えば、指定されたサイズの用紙がプリンタ2に搭載されていない場合や、プリンタ2にセキュリティ設定が行われており、印刷情報中のユーザに関する情報からそのユーザの印刷がプリンタ2では許可されていない場合等は、プリンタ2はプリンタ1に印刷不可の応答を返す。
プリンタ1は、プリンタ2から印刷可能の返答を受信すると、プリンタ2に対して印刷ジョブを転送する。
また、プリンタ1が近距離無線通信による探索に関して、プリンタ2とプリンタ4が応答した場合、プリンタ1はプリンタ2及びプリンタ4の両方のネットワーク情報を取得後、まず、プリンタ2に対して通信テストを行い、その後印刷情報を送信してプリンタ2で印刷データを印刷可能か確認する。
【0032】
ここで、例えば、プリンタ2にセキュリティ設定が実施されているために、プリンタ2では印刷できない場合、プリンタ2は“印刷不可”の応答をプリンタ1へ返す。
プリンタ1は、プリンタ2からの応答結果を受けて、次いでプリンタ4に対して同様の問合せを実施する。
プリンタ4は、例えば、セキュリティ設定等実施されておらず、印刷が可能と判断できる場合、プリンタ1へ“印刷可”の応答を返す。
そして、プリンタ1は、プリンタ4からの応答結果を受けて、プリンタ4に対して印刷ジョブを転送し、プリンタ4によって代行印刷が実行される。
このようにして、PC5から印刷ジョブを最初に受け取ったプリンタ1は、自装置の近傍に位置するプリンタ2に代行印刷を依頼する際、プリンタ2とネットワーク通信できる状態であることを確認し、さらにプリンタ2においてPC5からの印刷ジョブを印刷できることを確認した上で印刷ジョブを転送するので、代行印刷を確実に行わせることができる。
【0033】
このように、プリンタ1は自装置に近傍の他のプリンタを探索し、そのプリンタのIPアドレスを取得して通信テストを実施後、印刷不能となっている印刷ジョブの印刷情報を送付する。この印刷情報には、例えば「印刷ユーザ名」や「印刷用紙サイズ」等が含まれ、これにより、印刷情報の送付先のプリンタで用紙設定が異なるために印刷ジョブを実行できない場合や、ユーザ認証等のセキュリティ設定が行われており印刷ジョブを実行できない場合には、そのプリンタに対しては印刷ジョブを転送しないので、ネットワーク上の各プリンタに様々な能力が混在するような環境であっても確実に代行印刷を行うことが可能となる。
【0034】
この印刷システムは、プリンタ1からはネットワーク経路上は最も遠い位置にあるものの、物理的には最も近い位置に存在するプリンタ2によって代行印刷を行うことができ、ユーザが要求する「最も近傍のプリンタでの代行印刷」を実現することが可能になる。
また、プリンタ1が自装置の近傍にある装置を探索するのに近距離無線通信手段を用いるので、自装置から数メートル範囲内のプリンタを複雑な通信手順を用いなくても容易に発見することができる。また、プリンタ2へ印刷ジョブを転送する際にはセキュリティ対策がされているネットワーク通信を用いるので、印刷ジョブを代行印刷する際の情報漏洩を防止することができる。
【0035】
上述のプリンタの処理では、自装置に依頼された印刷ジョブの実行が不可能な場合、自装置の近傍にある他のプリンタを探し出して代行印刷を自動的に行わせる処理を説明したが、自装置の近傍にある印刷可能な他のプリンタを探し出し、その情報を印刷ジョブの依頼元のPCへ通知するようにしてもよい。
次に、自装置に依頼された印刷ジョブの実行が不可能な場合、自装置の近傍にある印刷可能な他のプリンタを探し出し、その情報を印刷ジョブの依頼元のPCへ通知する処理について説明する。
この処理と、上述の自装置の近傍にある他のプリンタを探し出して代行印刷を自動的に行わせる処理とのいずれを行うかを、プリンタに対してユーザがモード切替で選択できるようにするとよい。
【0036】
図6は、図1に示したプリンタにおいてPC5からの印刷ジョブの印刷エラーを検出したときの他の処理を示すフローチャート図である。
図1のCPU11は、例えば、印刷用紙切れや故障等、何らかの要因で印刷不能な状態である印刷エラーを検出すると、ステップ(図中「S」で示す)41で、代行印刷装置候補リストテーブルを空に初期化する。この代行印刷装置候補リストテーブル(「近傍プリンタリスト」とも呼ぶ)は、近傍に位置する印刷可能なプリンタの情報を保持するテーブルである。
次に、CPU11は、ステップ42で、図1の近距離無線通信装置18による近距離無線通信によって、自装置から数メートル範囲にしか届かない問い合せの信号を無線で送信し、その問い合せに対しての応答を確認することによって周辺のプリンタを探索し、ステップ43で、予め設定した所定時間内に他のプリンタから応答有りか否かを判断して、所定時間内にどこからも応答なし(「N」の場合)ならステップ53へ進んで、印刷ジョブの依頼元のPCへ印刷失敗を通知してこの処理を終了する。印刷失敗の際は、PCから受信した印刷ジョブを削除することにより、セキュリティを保つことができる。
【0037】
一方、CPU11は、ステップ43の判断で問い合せに対して他のプリンタから応答有り(「Y」の場合)なら、ステップ44で、応答によって発見したプリンタの中から1つを選択する。この場合、応答先が1台のみならそれを選択し、複数台の応答があったら、例えば、応答のあった順に1台ずつ選択する。
CPU11は、ステップ45で、近距離無線通信18によって選択したプリンタとの近距離無線通信経路を確立し、ステップ46で、確立が成功したか否かを判断し、確立が失敗(「N」の場合)なら、ステップ44へ戻って応答のあった次のプリンタについて上述の処理を実行する。
また、CPU11は、ステップ46の判断で確立が成功(「Y」の場合)なら、ステップ47で、近距離無線通信18によって近距離無線通信経路によってプリンタからネットワーク情報を取得し、ステップ48で、近距離無線通信18による上記選択したプリンタとの近距離無線通信経路を切断する。
【0038】
上記ネットワーク情報とは、通信相手のプリンタとネットワークを介してデータ通信を行うために必要な各種の情報(IPアドレスを含む)である。
次に、CPU11は、ステップ49で、上記取得したネットワーク情報を用いて、NIC16によって上記選択したプリンタに対するネットワークの通信テストで試験し、ステップ50で、その試験結果に基づいて上記選択したプリンタとネットワーク上での通信可能か否かを判断する。
CPU11は、ステップ50の判断で通信不可能(「N」の場合)なら、ステップ51へ進み、応答のあったプリンタの全てについて近距離無線通信経路の確立又は通信テストを終了したか否かを判断し、終了でない(「N」の場合)なら、ステップ44へ戻って、応答のあった次のプリンタについて上述の処理を実行する。
【0039】
一方、CPU11は、ステップ51の判断で終了(「Y」の場合)なら、ステップ52へ進み、代行印刷装置候補リストテーブルが空か否かを判断し、空(「Y」の場合)なら、自装置の近傍に印刷可能な他のプリンタが無かったので、ステップ53へ進み、印刷ジョブの依頼元のPCへ印刷失敗を通知してこの処理を終了する。
また、CPU11は、ステップ50の判断で通信可能(「Y」の場合)なら、ステップ54で代行印刷装置候補リストテーブルにそのプリンタの情報(プリンタ名称とIPアドレスを含む)を登録し、ステップ51へ進む。
さらに、CPU11は、ステップ52の判断で代行印刷装置候補リストテーブルが空でない(「N」の場合)なら、ステップ55へ進んで、代行印刷装置候補リストテーブルをPCへ送信し、この処理を終了する。
【0040】
上述の処理において、他のプリンタと近距離無線通信経路を確立できない場合でも、代行印刷装置候補リストテーブルに、代行印刷候補のプリンタとしてとして追加をするとよい。その場合、IPアドレスは取得できないので、IPアドレスは登録しない。
したがって、印刷元のPCには、代行印刷装置候補リストテーブルに基いて代行印刷候補が表示されるが、近距離無線通信経路を確立できなかったプリンタについては、その名称のみが表示される。
また、上述の処理において、近傍に位置するプリンタとの通信テストの後に、そのプリンタに対してPCからの印刷ジョブに関する印刷情報を送ってその印刷ジョブを実行できるか否かを問い合せるようにしてもよい。
【0041】
この場合、CPU11は、テスト通信先のプリンタと通信可能な場合、PCからの印刷ジョブに関する印刷情報(この印刷情報とは、例えば、印刷用紙サイズや印刷のモノクロ・カラー設定、あるいは印刷ユーザ設定等が考えられるが、この限りではない。)を送って印刷の可否を問い合せ、その問い合せに対して印刷可能の返答があった場合に代行印刷装置候補リストテーブルに追加する。
PC5では、印刷ジョブの依頼先から代行印刷装置候補リストテーブルを受信すると、その中から所望のプリンタを代行印刷先として選択し、その選択したプリンタに改めて印刷ジョブを送って印刷要求する。
【0042】
次に、プリンタ1がPC5から要求された印刷ジョブの実行をできなかった場合、プリンタ1が自装置と物理的に距離の近い(近傍に位置する)プリンタ2と4を探し出し、その内の印刷可能なプリンタ4に対して代行印刷を依頼するときの処理を説明する。
この説明では、プリンタ1の近距離無線通信が届く範囲内にはプリンタ2と4のみが存在する場合で説明する。
図7は、図2に示したプリンタ1とプリンタ2及び4との通信処理を示すシーケンス図である。
プリンタ1は、PC5から印刷ジョブ(印刷要求の指示と印刷データを含む)が投入されると実行するが、例えば、印刷用紙切れや故障等、何らかの要因で印刷不能な状態(印刷エラー)を検出した場合、図7中にaで示す探索処理で、自装置の近傍に位置する他のプリンタを探し出す。
【0043】
この探索処理は、図1のCPU11が、USBホスト17を介して近距離無線通信装置18によって自装置から近距離に存在する他のプリンタを探索する問い合せをし、自装置から近距離に存在するプリンタ2から応答があると、自装置の近傍に位置するプリンタ2を発見する。また、プリンタ4からも応答があると、自装置の近傍に位置するプリンタ4を発見する。
次に、プリンタ1は、図7中にbで示す取得処理で、プリンタ2からネットワーク8〜10を介して通信をするためのネットワーク情報を取得する。
この取得処理は、図1のCPU11が、USBホスト17を介して近距離無線通信装置18によって上記探索処理で発見されたプリンタ2に対して上記ネットワーク8〜10上の宛先情報(例えば、IPアドレス)を含むネットワーク情報を要求し、プリンタ2から返信されるネットワーク情報を受信することによって取得する。
また、上述と同様にしてプリンタ4からもネットワーク情報を取得する。
【0044】
次に、プリンタ1は、図7中にcで示すテスト通信処理で、プリンタ2に対して上記取得したネットワーク情報のIPアドレスによってネットワーク通信が正しく行えるか否かの試験を行う。
このテスト通信処理は、図1のCPU11が、NIC16によって上記ネットワーク情報に基づいてプリンタ2と通信可能か否かを通信テストで試験し、その試験結果としてプリンタ2から通信テストに対する応答を受信することによって試験を行う。
このネットワーク上での通信テストに関しては公知技術なので詳細な説明は省略する。
上記通信テストにより、CPU11は、プリンタ2から応答があれば通信テスト成功と判断し、応答がなければ通信テスト失敗と判断する。
【0045】
プリンタ1は、上記通信テストが成功した場合、図7中にdで示す印刷可否確認処理で、PC5から依頼された印刷ジョブの印刷情報をプリンタ2へ送って印刷可否を問い合せ、例えば、プリンタ2から印刷不可の返答を受け取った場合、プリンタ2を代行印刷先から除外し、代行印刷装置候補リストテーブルには追加しない。
なお、この場合、代行印刷装置候補リストテーブルに、プリンタ名のみを追加して、IPアドレス等は登録しないようにしてもよい。
次に、プリンタ1は、図7中にeで示すテスト通信処理で、プリンタ4に対して上記取得したネットワーク情報のIPアドレスによってネットワーク通信が正しく行えるか否かの試験を行う。
【0046】
このテスト通信処理は、図1のCPU11が、NIC16によって上記ネットワーク情報に基づいてプリンタ4と通信可能か否かを通信テストで試験し、その試験結果としてプリンタ4から通信テストに対する応答を受信することによって試験を行う。
このネットワーク上での通信テストに関しては公知技術なので詳細な説明は省略する。
上記通信テストにより、CPU11は、プリンタ4から応答があれば通信テスト成功と判断し、応答がなければ通信テスト失敗と判断する。
プリンタ1は、上記通信テストが成功した場合、図7中にfで示す印刷可否確認処理で、PC5から依頼された印刷ジョブの印刷情報をプリンタ4へ送って印刷可否を問い合せ、例えば、プリンタ4から印刷可の返答を受け取った場合、代行印刷装置候補リストテーブルにプリンタ名及びIPアドレスを含むネットワーク情報を追加する。
そして、全ての応答先のプリンタの確認を終了すると、図7中にgで示す送信処理で、PC5へ代行印刷装置候補リストテーブルを送信する。
【0047】
この送信処理は、図1のCPU11が、NIC16によって上記ネットワーク情報に基づいてPC5へ送る。
図8は、上述の処理によって作成された代行印刷装置候補リストテーブルのデータ内容の一例を示す図である。
この代行印刷装置候補リストテーブルには、プリンタ1の近傍に位置して印刷可能なプリンタとして、プリンタ2のプリンタ名称「第2プリンタ」とそのIPアドレス「***.***.2.100」と、プリンタ4のプリンタ名称「第4プリンタ」とそのIPアドレス「***.***.0.101」とが登録されている。
【0048】
次に、この印刷システムにおいて、プリンタ1から印刷エラー及び代行印刷装置候補リストテーブルを受け取った後にPC5側で実施する処理内容を説明する。
PC5では、代行印刷装置候補リストテーブルとPC5にインストールされているプリンタドライバリストとの照合を実施し、代行印刷装置候補リストテーブルのうちプリンタドライバがインストールされていないプリンタは代行印刷装置候補リストテーブルからは取り除いて表示部に表示する。
例えば、代行印刷装置候補リストテーブルにプリンタ2とプリンタ4のネットワーク情報が登録されているが、PC5にはプリンタ4のプリンタドライバがインストールされていない場合、プリンタ2のネットワーク情報のみを表示する。
【0049】
図9は、図2に示したPC5で表示されるプリンタエラー時の表示画面例を示す図である。
この表示画面には、印刷要求したプリンタ1では印刷できないこととその理由「トナー切れ」のメッセージと共に、プリンタ1の近傍に位置して印刷可能な状態のプリンタの一覧として、プリンタ2のプリンタ名称「第2プリンタ」とそのIPアドレス「***.***.2.100」と、プリンタ4のプリンタ名称「第4プリンタ」とそのIPアドレス「***.***.0.101」と、プリンタ2で代行印刷させる指示を入力するボタン30と、プリンタ4で代行印刷させる指示を入力するボタン31と、プリンタ1に再印刷させる指示を入力するボタン32と、印刷を取り消す指示を入力するボタン33が表示される。
【0050】
ここで、例えば、ユーザがボタン30を入力すると、PC5は、代行印刷装置候補リストテーブルのネットワーク情報に基づいて、プリンタ2に印刷ジョブを送って印刷要求処理を開始する。
このようにして、ユーザは、プリンタ1では印刷できず、プリンタ1の近傍に位置するプリンタ2で印刷可能なことを知ることができ、希望するならばプリンタ1の近傍に位置する他のプリンタで印刷を依頼し直すことが容易にできる。
【0051】
この実施形態の印刷システムは、ネットワーク上の特定のプリンタによって印刷不能な状態になった場合、そのプリンタが近くに存在するプリンタを探索し、自装置の近傍に見つかったプリンタとネットワーク上で通信可能なことを確認した上で代行印刷を実行させるので、印刷不能な状態になった場合に特別な設定等必要無い状態でも、印刷不能になったプリンタから物理的に近傍に存在する他のプリンタで代行印刷を行うことができる。
したがって、指定したプリンタで印刷不可能な場合であっても、そのプリンタの近傍に存在する他のプリンタで印刷ジョブを印刷させることが可能となる。
また、印刷不能になったプリンタが近傍に存在するプリンタを探索し、その結果を印刷ジョブの発行元のPCに送信するので、ユーザに対して近傍に存在するプリンタを自動的に提示すると共に、ユーザが期待するプリンタによって代行印刷することができ、より柔軟な印刷システムを構築することができる。
さらに、近距離無線通信を汎用規格であるブルートゥース(登録商標)を用いれば、既存のハードウェアを利用して低コストで実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
この発明による印刷システムと印刷装置と印刷装置制御方法とプログラムは、印刷装置を含む複数の装置がネットワークに接続されているネットワークシステムと、印刷機能を備えたファクシミリ装置、プリンタ、複写機、及び複合機を含む印刷装置において適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1〜4:プリンタ 5:PC 6、7:ルータ 8〜10:ネットワーク 11:CPU 12:ROM 13:RAM 14:HDD 15:操作表示部 16:NIC 17:USBホスト 18:近距離無線通信装置 19:FAX制御ユニット 20:スキャナ 21:プロッタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開平11−167472号公報
【特許文献2】特開2004−318431号公報
【特許文献3】特開2004−213437号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置を含む複数の装置がネットワークに接続されている印刷システムにおいて、
前記印刷装置は、前記ネットワークを介して他の装置と通信する通信手段と、自印刷装置から所定の近距離内で他の印刷装置と無線通信が可能な近距離無線通信手段とを有し、
前記印刷装置に、前記通信手段によって他の装置から要求された印刷処理が自印刷装置で実行不能な状態であることを検出した場合、前記近距離無線通信手段によって自印刷装置から近距離に存在する他の印刷装置を探索する探索手段と、
前記探索手段によって発見された印刷装置に対して前記近距離無線通信手段によって前記ネットワーク上の宛先情報を要求して取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得した宛先情報に基づいて前記通信手段によって前記発見された印刷装置に前記他の装置から要求された印刷処理を転送する転送手段とを設けたことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記印刷装置に、前記宛先情報に基づいて前記通信手段によって前記ネットワークを介して前記発見された印刷装置と通信可能か否かを試験し、該試験結果が通信可能な場合に前記転送手段によって前記印刷処理を転送させる手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の印刷システム。
【請求項3】
前記印刷装置に、前記宛先情報に基づいて前記通信手段によって前記ネットワークを介して前記発見された印刷装置と通信可能か否かを試験し、該試験結果が通信可能な場合、前記宛先情報に基づいて前記通信手段によって前記他の装置から要求された印刷処理に関する印刷情報を前記発見された印刷装置に送って印刷の可否を問い合せ、該問い合せに対して印刷可能の返答があった場合に前記転送手段によって前記印刷処理を転送させる手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の印刷システム。
【請求項4】
印刷装置を含む複数の装置がネットワークに接続されている印刷システムにおいて、
前記印刷装置は、前記ネットワークを介して他の装置と通信する通信手段と、自印刷装置から所定の近距離内で他の印刷装置と無線通信が可能な近距離無線通信手段とを有し、
前記印刷装置に、前記通信手段によって他の装置から要求された印刷処理が自印刷装置で実行不能な状態であることを検出した場合、前記近距離無線通信手段によって自印刷装置から近距離に存在する他の印刷装置を探索し、該探索によって発見された全ての印刷装置から前記近距離無線通信手段によって前記ネットワーク上の宛先情報をそれぞれ取得し、前記各宛先情報に基づいて前記通信手段によって前記ネットワークを介して前記発見された各印刷装置とそれぞれ通信可能か否かを試験し、該試験結果が通信可能な印刷装置について、前記宛先情報に基づいて前記通信手段によって前記他の装置から要求された印刷処理に関する印刷情報をそれぞれ送って印刷の可否を問い合せ、該問い合せに対して印刷可能の返答があった印刷装置の情報を収集し、該収集した各印刷装置の情報を前記通信手段によって前記印刷処理の要求元の装置へ送する手段を設けたことを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
前記印刷装置に、前記近距離無線通信手段による無線通信によって他の印刷装置から探索の要求があった場合には応答し、前記近距離無線通信手段による無線通信によって他の印刷装置から前記ネットワーク上の宛先情報の要求があった場合には自印刷装置の前記ネットワーク上の宛先情報を返答し、前記ネットワークを介して他の印刷装置から通信可能か否かの試験があった場合には応答し、前記ネットワークを介して他の印刷装置から印刷処理が転送された場合には前記転送された印刷処理を実行する手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項6】
ネットワークを介して他の装置と通信する通信手段と、自印刷装置から所定の近距離内で他の印刷装置と無線通信が可能な近距離無線通信手段とを有し、
前記通信手段によって他の装置から要求された印刷処理が自印刷装置で実行不能な状態であることを検出した場合、前記近距離無線通信手段によって自印刷装置から近距離に存在する他の印刷装置を探索する探索手段と、
前記探索手段によって発見された印刷装置に対して前記近距離無線通信手段によって前記ネットワーク上の宛先情報を要求して取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得した宛先情報に基づいて前記通信手段によって前記発見された印刷装置に前記他の装置から要求された印刷処理を転送する転送手段とを備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
ネットワークを介して他の装置と通信する通信手段と、自印刷装置から所定の近距離内で他の印刷装置と無線通信が可能な近距離無線通信手段とを有し、
前記通信手段によって他の装置から要求された印刷処理が自印刷装置で実行不能な状態であることを検出した場合、前記近距離無線通信手段によって自印刷装置から近距離に存在する他の印刷装置を探索し、該探索によって発見された全ての印刷装置から前記近距離無線通信手段によって前記ネットワーク上の宛先情報をそれぞれ取得し、前記各宛先情報に基づいて前記通信手段によって前記ネットワークを介して前記発見された各印刷装置とそれぞれ通信可能か否かを試験し、該試験結果が通信可能な印刷装置について、前記宛先情報に基づいて前記通信手段によって前記他の装置から要求された印刷処理に関する印刷情報をそれぞれ送って印刷の可否を問い合せ、該問い合せに対して印刷可能の返答があった印刷装置の情報を収集し、該収集した各印刷装置の情報を前記通信手段によって前記印刷処理の要求元の装置へ送する手段を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
ネットワークを介して他の装置と通信する通信手段と、自印刷装置から所定の近距離内で他の印刷装置と無線通信が可能な近距離無線通信手段と、制御手段とを有する印刷装置の制御方法であって、
前記制御手段が、前記通信手段によって他の装置から要求された印刷処理が自印刷装置で実行不能な状態であることを検出した場合、前記近距離無線通信手段によって自印刷装置から近距離に存在する他の印刷装置を探索する探索手順と、
前記制御手段が、前記探索手順によって発見された印刷装置に対して前記近距離無線通信手段によって前記ネットワーク上の宛先情報を要求して取得する取得手順と、
前記制御手段が、前記取得手順によって取得した宛先情報に基づいて前記通信手段によって前記発見された印刷装置に前記他の装置から要求された印刷処理を転送する転送手順とからなることを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項9】
ネットワークを介して他の装置と通信する通信手段と、自印刷装置から所定の近距離内で他の印刷装置と無線通信が可能な近距離無線通信手段と、前記制御手段とを有する印刷装置の制御方法であって、
前記制御手段が、前記通信手段によって他の装置から要求された印刷処理が自印刷装置で実行不能な状態であることを検出した場合、前記近距離無線通信手段によって自印刷装置から近距離に存在する他の印刷装置を探索し、該探索によって発見された全ての印刷装置から前記近距離無線通信手段によって前記ネットワーク上の宛先情報をそれぞれ取得し、前記各宛先情報に基づいて前記通信手段によって前記ネットワークを介して前記発見された各印刷装置とそれぞれ通信可能か否かを試験し、該試験結果が通信可能な印刷装置について、前記宛先情報に基づいて前記通信手段によって前記他の装置から要求された印刷処理に関する印刷情報をそれぞれ送って印刷の可否を問い合せ、該問い合せに対して印刷可能の返答があった印刷装置の情報を収集し、該収集した各印刷装置の情報を前記通信手段によって前記印刷処理の要求元の装置へ送する手順からなることを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項10】
ネットワークを介して他の装置と通信する通信手段と、自印刷装置から所定の近距離内で他の印刷装置と無線通信が可能な近距離無線通信手段とを有する印刷装置を制御するコンピュータに、
前記通信手段によって他の装置から要求された印刷処理が自印刷装置で実行不能な状態であることを検出した場合、前記近距離無線通信手段によって自印刷装置から近距離に存在する他の印刷装置を探索する探索手順と、
前記探索手順によって発見された印刷装置に対して前記近距離無線通信手段によって前記ネットワーク上の宛先情報を要求して取得する取得手順と、
前記取得手順によって取得した宛先情報に基づいて前記通信手段によって前記発見された印刷装置に前記他の装置から要求された印刷処理を転送する転送手順とを実行させるためのプログラム。
【請求項11】
ネットワークを介して他の装置と通信する通信手段と、自印刷装置から所定の近距離内で他の印刷装置と無線通信が可能な近距離無線通信手段とを有する印刷装置を制御するコンピュータに、
前記通信手段によって他の装置から要求された印刷処理が自印刷装置で実行不能な状態であることを検出した場合、前記近距離無線通信手段によって自印刷装置から近距離に存在する他の印刷装置を探索し、該探索によって発見された全ての印刷装置から前記近距離無線通信手段によって前記ネットワーク上の宛先情報をそれぞれ取得し、前記各宛先情報に基づいて前記通信手段によって前記ネットワークを介して前記発見された各印刷装置とそれぞれ通信可能か否かを試験し、該試験結果が通信可能な印刷装置について、前記宛先情報に基づいて前記通信手段によって前記他の装置から要求された印刷処理に関する印刷情報をそれぞれ送って印刷の可否を問い合せ、該問い合せに対して印刷可能の返答があった印刷装置の情報を収集し、該収集した各印刷装置の情報を前記通信手段によって前記印刷処理の要求元の装置へ送する手順を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−56117(P2012−56117A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199084(P2010−199084)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】