説明

印刷システム及び印刷プログラム

【課題】版を用いた印刷装置の印刷動作とプリンタ装置の印刷動作とを連係することができる印刷システム及び印刷プログラムを提供する。
【解決手段】刷版を用いて記録媒体上に刷版情報の印刷を行う刷版情報印刷部と、前記刷版情報印刷部により刷版情報が印刷される記録媒体と同じ記録媒体上に所定の可変情報の印刷を行う可変情報印刷部と、前記刷版情報印刷部による印刷速度と、前記可変情報印刷部による印刷速度と、を一致させるように制御する制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム及び印刷プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、文字や画像等の印刷情報をより高速で印刷することが求められている。オフセット印刷装置と同等の高速で、可変情報を印刷することができる印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この印刷装置では、複数の印刷ヘッドを用いて、用紙搬送方向に1ラインずつずれたラインを、異なる印刷ヘッドにより順に周期的に印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−138915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、刷版を用いた印刷装置の印刷動作とプリンタ装置の印刷動作とを連係することができる印刷システム及び印刷プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、刷版を用いて記録媒体上に刷版情報の印刷を行う刷版情報印刷部と、前記刷版情報印刷部により刷版情報が印刷される記録媒体と同じ記録媒体上に所定の可変情報の印刷を行う可変情報印刷部と、前記刷版情報印刷部による印刷速度と、前記可変情報印刷部による印刷速度と、を一致させるように制御する制御手段と、を有する。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1の発明において、前記制御手段は、前記可変情報印刷部の印刷速度に、前記刷版情報印刷部の印刷速度を合わせるように制御する。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1の発明において、前記制御手段は、前記刷版情報印刷部の印刷速度に、前記可変情報印刷部の印刷速度を合わせるように制御する。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1の発明乃至請求項3の発明のいずれか1つにおいて、前記制御手段は、前記刷版情報印刷部による印刷速度と前記可変情報印刷部による印刷速度とを一致させるための搬送同期パルスを出力する。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1の発明乃至請求項4の発明のいずれか1つにおいて、前記記録媒体は、連続紙である。
【0011】
請求項6記載の発明は、刷版を用いて記録媒体上に刷版情報の印刷を行う刷版情報印刷部、及び前記刷版情報印刷部を制御する刷版情報印刷制御部を有する刷版情報印刷装置と、前記刷版情報印刷部により刷版情報が印刷される記録媒体と同じ記録媒体上に所定の可変情報の印刷を行う可変情報印刷部、及び前記可変情報印刷部を制御する可変情報印刷制御部と、を有する可変情報印刷装置と、を備え、前記刷版情報印刷制御部、又は前記可変情報印刷制御部が、前記刷版情報印刷部による印刷速度と、前記可変情報印刷部による印刷速度と、を一致させるように制御する。
【0012】
請求項7記載の発明は、刷版情報印刷部により、刷版を用いて記録媒体上に刷版情報を印刷するステップと、可変情報印刷部により、前記刷版情報印刷部により刷版情報が印刷される記録媒体と同じ記録媒体上に所定の可変情報を印刷するステップと、前記刷版情報印刷部による印刷速度と、前記可変情報印刷部による印刷速度と、を一致させるように制御するステップと、を有する処理をコンピュータで実行させる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、請求項1乃至請求項7記載の発明によれば、種類の異なる印刷装置の印刷動作を連係させることができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る印刷システムの概略構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るオフセット輪転機の印刷部の主要構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るプリンタ装置の画像形成部の主要構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る印刷システムの制御系のブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る印刷システムのプリンタ制御部で実行される制御処理のフローである。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る印刷システムのオフセット制御部で実行される制御処理のフローである。
【図7】本発明の実施の形態に係る固定データに基づく固定データ画像と可変データに基づく可変データ画像とを重ね合わせた最終画像の一例を説明する説明図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る固定データに基づく固定データ画像と可変データに基づく可変データ画像とを重ね合わせた最終画像の一例を説明する説明図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る印刷システムのプリンタ制御部で実行される制御処理のフローである。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る印刷システムのオフセット制御部で実行される制御処理のフローである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る印刷システム10の概略構成を示す概略図である。印刷システム10は、用紙Pを矢印A方向に給紙する給紙装置14、刷版26により固定データ(刷版情報、詳細後述)を印刷するオフセット輪転機20、像保持体46上に静電潜像を形成し、可変データ(可変情報、詳細後述)を印刷するプリンタ装置40、及び後処理装置16を備えている。
【0017】
オフセット輪転機20は、オペレータパネル22とオフセット印刷部21とを含んで構成されている。オペレータパネル22は、現在セットされている刷版26の識別コード(識別情報、詳細後述)等の印刷情報を表示する。オフセット印刷部21は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の画像を用紙P上に順次印刷し、カラー画像印刷を行うために、各色の画像が形成された刷版26K、26Y、26M、26Cが各々刷胴24K、24Y、24M、24Cにセットされた印刷部23K、23Y、23M、23Cが用紙Pの搬送方向上流側から並んで配置されている。
【0018】
図2を参照して、印刷部23について説明する。なお、KYMCを区別する必要がある場合は、符号の後に、K、Y、M、Cの何れかを付して説明し、KYMCを区別する必要が無い場合は、K、Y、M、Cを省略する。
【0019】
印刷部23は、各色の画像が形成された刷版26がセットされた刷胴24の周囲にインキングロール30、湿しローラ32、ブランケット36が配設されている。刷版26には、各色の画像が予め形成されている。湿しローラ32は、刷版26の版面の非画線部を湿し水34で湿らせる。インキングロール30は、該刷版26の版面に油性インキ28をつける。これにより、水と油の反発作用によって、画線部にのみ油性インキ28が付着する。刷版26の版面に付着した油性インキ28は、刷胴24の回転方向Bと逆方向(回転方向C)に回転するブランケット36の表面に転写され、転写された油性インク28が用紙P上に印刷される。次の色の印刷部23では、用紙P上に印刷された画像に重ねて次色の画像を印刷する。なお、本実施の形態のオフセット輪転機20のオフセット印刷部21は、いわゆるBBタイプを用いており、用紙Pの両面に印刷を行うために各色毎に印刷部23を用紙Pの両面(用紙Pを挟んだ上下方向)が配置されている。
【0020】
なお、本実施の形態では、オフセット輪転機を用いているが、これに限らずオフセット枚葉印刷機、凸版印刷機、凹版印刷機、及び孔版印刷機等、刷版を用いて固定データ(刷版情報、詳細後述)に基づく画像を印刷することができる印刷機であればよい。
【0021】
プリンタ装置40は、オペレータパネル42と、プリンタ部41とを含んで構成されている。オペレータパネル42は、オフセット輪転機20に現在セットされている刷版26の識別コード(識別情報、詳細後述)等の印刷情報を表示する。プリンタ部41は、検出センサ44、単色の画像(本実施の形態では、K(ブラック))を用紙P上に形成する画像形成部43、及び定着器48が、両面印刷を行うために、用紙Pを挟んで用紙Pの両面に配置されている。
【0022】
検出センサ44は、オフセット輪転機20で印刷された固定データの画像に重ね合わせて可変データ(可変情報、詳細後述)の画像を印刷するために、用紙P上に形成されているマークを読取る事により、例えば、ページ毎の区切り等を検出し、画像を形成する位置を合わせるためのものである。検出センサ44には、例えば光学センサ等があるが、用紙P上に形成されたマークを読取ることができればよく、これに限定されない。
【0023】
図3を参照して画像形成部43を説明する。画像形成部43は、像保持体46の周囲に、用紙Pを像保持体46に接触させるための転写器50、クリーナー52、プレチャージャー54、露光LED56、及び現像機58が配設されている。プレチャージャー54は、像保持体46の表面を一様に帯電させる。像保持体46は、ステッピングモータ(図示省略)等駆動装置の駆動により、矢印D方向に所定速度で回転される。露光LEDは、画像データ(可変情報、詳細後述)に基づいて該回転像保持体46の表面をライン露光する。これにより、像保持体46の表面上に潜像が形成される。
【0024】
現像機58は、ロール60が回転することにより、トナー及び現像剤が含まれる現像液59を像保持体46の表面に付与する。これにより、像保持体46の表面上に形成された潜像にトナーが供給されて現像される。そして、転写器50により像保持体46の表面上に形成されたトナー像が用紙Pに転写される。クリーナー52は、像保持体46の表面に付着するトナーをクリーニングする。
【0025】
定着機48は、用紙Pの表面にフラッシュ光を照射させる。これによって、用紙P上の未定着トナーが加熱されて溶融し、その後、凝固して用紙Pに定着する。
【0026】
なお、本実施の形態のプリンタ装置に限らず、インクジェット方式プリンタ装置等でも良く、可変データに基づく画像を印刷することができるプリンタ装置であればよい。
【0027】
後処理装置16は、オフセット輪転機20及びプリンタ装置40により画像が印刷された用紙Pの後処理を行う。例えば、用紙Pの乾燥、冷却、裁断等を行う。
【0028】
図4は、本実施の形態に係る印刷システム10の制御系ブロック図である。ホスト装置70には受信部72が接続されており、受信部72には記憶部74が接続されており、記憶部74はプリンタ制御部76に接続されている。受信部72では、ホスト装置70から入力された画像データ(可変情報)及び識別コードを含むジョブデータを受信し、記憶部74は、受信されたジョブデータを記憶する。なお、本実施の形態では、ホスト装置70からジョブデータを1つ受信した場合を示しており、例えば図7に示すジョブデータ80及びジョブデータ84の何れか一方のみを受信した場合などである。
【0029】
プリンタ装置40の印刷動作を制御するプリンタ制御部76には、オペレータパネル42が接続され、オペレータの操作によって印刷等に関する指示がなされると共に、印刷時の情報をオペレータに報知するようになっている。
【0030】
プリンタ制御部76は、図示しないCPU、ROM、RAM、及びHDDを含むメモリ等を備えている。CPUでは、詳細を後述するプリンタ制御ルーチンが実行される。プリンタ制御ルーチンのプログラムは記憶媒体としてのROMに記憶されている。
【0031】
また、プリンタ制御部76には、オフセット輪転機20の印刷動作を制御するオフセット制御部86が接続されており、用紙P上に所望の画像を形成するための印刷情報が入出力される。さらに、プリンタ制御部76には、用紙Pに可変データの画像を印刷するプリンタ部41が接続されている。
【0032】
一方、オフセット制御部86には、オペレータパネル22が接続され、オペレータの操作によって印刷等に関する指示がなされると共に、印刷時の情報をオペレータに報知するようになっている。
【0033】
オフセット制御部86は、図示しないCPU、ROM、RAM、及びHDDを含むメモリ等を備えている。CPUでは、詳細を後述するオフセット印刷制御ルーチンが実行される。制御ルーチンのプログラムは記憶媒体としてのROMに記憶されている。
【0034】
また、オフセット制御部86には、用紙Pに固定データの画像を印刷するオフセット印刷部21が接続されている。
【0035】
次に、本実施の形態の印刷紙システム10において実行される制御ルーチンを図を参照して説明する。図5に示す処理は、プリンタ制御部76のCPUで実行される処理であり、例えば、プリンタ装置40の電源投入時やホスト装置70から出力されたジョブデータを受信部72が受信したときに実行される。
【0036】
ここで本実施の形態の画像データについて説明する。本実施の形態の画像データには、固定データ(刷版情報)と可変データ(可変情報)と2種類の画像データがある。固定データとは、1回のジョブ印刷処理(制御ルーチンの実行)において、用紙P上に同一画像を形成するための画像データであり、例えば、全ページ同一の画像を形成するための画像データをいう。具体的には、刷版26により印刷される刷版情報をいう。固定データに基づく画像のより具体的な例としては、固定データ画像78(図7参照)や固定データ画像88(図8参照)等がある。
【0037】
一方、可変データとは、1回のジョブ印刷処理(制御ルーチンの実行)において、用紙P上に形成される画像が異なる場合の画像データであり、例えば、ページ毎に異なった画像を形成するための異なった画像データの集合をいう。可変データに基づく画像のより具体的な例としては、可変データ画像82(a)、82(b)、82(c)を含む可変データ80(図7参照)や可変データ画像86(a)、86(b)、86(c)を含む可変データ84(図7参照)、可変データ画像92(a)、92(b)、92(c)を含む可変データ90(図8参照)や可変データ画像96(a)、96(b)、96(c)を含む可変データ94(図8参照)等がある。
【0038】
まず、プリンタ制御部76に指示が入力されると、ステップ100では、ホスト装置70からジョブデータが入力されたか否かを判断する。否定判断の場合は、待機状態になり、ジョブデータを受信部72で受信し、記憶部74にジョブデータが記憶された状態になると肯定判断とされステップ102へ進む。ステップ102では、印刷準備指示をオフセット制御部86に出力する。
【0039】
次のステップ104では、プリント準備指示情報が入力されたか否かを判断する。本実施の形態のプリント準備指示情報とは例えば、次のような情報であって、プリンタ部41で画像を形成する準備及びオフセット印刷部21の印刷動作とプリンタ装置40の印刷動作とを連係させるための情報である。オペレータパネル42から入力される情報であって、用紙詰まり、用紙切れ等プリンタの状態を把握し印刷準備が整っているか否か(レディかノットレディか)のレディ切り替え情報。オフセット制御部86から入力される情報であって、実行する印刷のモードが試し刷りモードか本印刷モードの何れかを表す印刷モード切り替え情報や、オペレータパネル22の操作をオペレータパネル42でも可能にするためのオペレータパネルキーオペレーション情報等である。否定されるとステップ108へ進む。
【0040】
一方、プリント準備指示情報が入力された場合は、肯定判断となり、ステップ106へ進む。ステップ106では、レディ切り替え情報の場合は、レディならそのままステップ108へ進み、ノットレディならレディ状態になるまで待機する。また、印刷モード切り替え情報の場合は、本印刷モードならステップ108へ進み、試し刷りモードなら本印刷モードになるまで待機する等、それぞれの情報に応じたプリント準備処理を行った後、ステップ108へ進む。
【0041】
ステップ108では、ジョブデータに含まれる識別コードMを記憶部74から読取って、次のステップ110では、読取った識別コードMをオペレータパネル42及びオペレータパネル22に表示する。なお、識別コードMの表示は何れか一方のオペレータパネルのみに表示してもよい。
【0042】
次のステップ112では、オフセット輪転機20に現在セットされている刷版26の識別コードNを取得する。本実施の形態では、予め、刷版26には、識別コードが付与されており、識別コードNの取得は、オフセット制御部86から出力される識別コードNを入力することにより実施している。なお、識別コードNの取得はこれに限らず、図示しないメモリ等に予めオペレータによって記憶させられている識別コードを読取るようにしてもよい。
【0043】
そして、次のステップ114では、識別コードMと識別コードNとが一致するか否かを判断する。否定されるとステップ116へ進みエラー処理を行う。該エラー処理とは、本実施の形態では、例えば、プリンタ装置40の印刷動作を待機状態にし、識別コードが異なっている旨をユーザに報知するためにオフセット輪転機20のオペレータパネル22に、識別コードが異なっている旨を表示させる等の処理である。なお、本実施の形態では、識別コードが異なっている旨をオペレータパネル22に表示させているが、スピーカ等を配設し、音声により報知する等しても良い。また、識別コードが異なっている場合だけでなく、一致する場合にもその旨をユーザに報知するようにしても良い。
【0044】
次のステップ118では、オフセット輪転機20にセットされている刷版26が交換されたか否かを判断する。交換されたか否かの判断は、例えば、刷版26を交換した旨の情報をオフセット制御部86から取得してもよいし、図示しないタイマー等により、所定時間経過した場合に刷版26を交換したものとみなしてもよい。交換された場合は肯定されてステップ108に戻り、再びジョブデータの識別コードMと刷版26の識別コードNとが一致するか否かの判断を行う。一方、否定されると本処理を終了する。
【0045】
一方、ステップ114で肯定されるとステップ120へ進む。ステップ120では、印刷開始要求情報をオフセット制御部86に出力する。本実施の形態では、印刷開始要求情報とは、オフセット輪転機20による用紙P上への固定画像の印刷の開始を要求する情報である。
【0046】
次のステップ122では、オフセット輪転機20による印刷速度とプリンタ装置40による印刷速度を一致させるために搬送同期パルス信号をオフセット制御部86に出力する。搬送同期パルス信号とは、プリンタ装置40の印刷速度にオフセット輪転機20の印刷速度を一致させるための信号であり、単位時間あたりのパルス数を数えることにより速度を一致させている。なお、本実施の形態では、プリンタ装置40の速度に輪転機20の速度を合わせているが、輪転機20の速度にプリンタ装置40の速度を合わせるようにしても良い。各々の印刷速度に基づいて何れの速度に合わせるかを決めることが好ましい。
【0047】
次のステップ124では、プリンタ部41にプリント開始指示をする。これにより、プリンタ部41は、オフセット輪転機20で固定データに基づく固定データ画像が印刷された用紙P上の画像に重ね合わせて、可変データに基づく可変データ画像を形成する。
【0048】
プリント部41で可変データに基づく画像をプリント中の次のステップ126では、プリント動作指示情報が入力されたか否かを判断する。本実施の形態のプリント動作指示情報とは、オフセット印刷部21の印刷動作とプリンタ装置40の印刷動作とを連係させるための情報であって、例えば、オフセット制御部86から入力される情報であって、輪転機20の印刷停止を表す輪転機停止情報等である。否定されるとステップ130へ進む。
【0049】
一方、プリント動作指示情報が入力された場合は、肯定判断となり、ステップ128へ進む。ステップ128では、例えば、上述の輪転機停止情報の場合は、プリンタ部41での画像の形成を抑止し、オフセット輪転機20から排出される用紙Pの搬送のみを行った後、ステップ130へ進む。
【0050】
ステップ130では、可変データに基づく可変データ画像の形成を終了し、プリントを終了するか否かを判断する。プリントを終了するか否かの判断は、例えば、オペレータパネル42から入力されるオペレータの終了指示、所定数の画像形成の終了等に基づいて判断する。否定されるとステップ126に戻り可変データ画像の形成を続行し、肯定されると、ステップ132に進む。ステップ132では、印刷終了指示として、オフセット制御部86にプリンタ停止情報を出力した後、本処理を終了する。
【0051】
一方、オフセット制御部86のCPUで実行される処理を図6に示す。この処理フローは例えば、オフセット輪転機20の電源投入時等に実行される。
【0052】
まず、オフセット制御部86に指示が入力されると、ステップ200では、印刷準備指示(ステップ102に対応)がプリンタ制御部76から入力されたか否かを判断する。否定判断の場合は、待機状態になり、入力されると肯定判断されステップ202へ進む。ステップ202では、印刷準備指示情報が入力されたか否かを判断する。本実施の形態の印刷準備指示情報とは例えば、次のような情報であって、オフセット印刷部21で画像を印刷する準備及びオフセット印刷部21の印刷動作とプリンタ装置40の印刷動作とを連係させるための情報である。オペレータパネル22から入力される情報であって、用紙詰まり、用紙切れ等オフセット輪転機20の状態を把握し印刷準備が整っているか否か(レディかノットレディか)のレディ切り替え情報や、試し刷りか本刷りかを表す印刷モード切替え情報。プリンタ制御部76から入力される、オペレータパネル42の操作をオペレータパネル22でも可能にするためのオペレータパネルキーオペレーション情報や、プリンタ装置40に入力されたジョブデータ内の識別コードMをオペレータパネルに表示する指示情報等である。否定されるとステップ206へ進む。
【0053】
一方、印刷準備情報が入力された場合は、肯定判断となり、ステップ204へ進む。ステップ204では、レディ切り替え情報の場合は、レディならそのままステップ206へ進み、ノットレディならレディ状態になるまで待機する。また、印刷モード切替え情報の場合は、印刷モード切替え情報をプリンタ制御部76に出力した後、本印刷モードならステップ206へ進み、試し刷りモードなら所定の試し刷り動作を実行した後、ステップ206へ進む。さらにまた、ジョブデータ内の識別コードMが入力された場合は、識別コードMをオペレータパネル22に表示した後、ステップ206へ進む。
【0054】
次のステップ206では、オフセット輪転機20に現在セットされている刷版26の識別コードNを要求する指示がプリンタ制御部76から入力されたか否かを判断する。否定されると待機状態になり、肯定される(ステップ112に対応)と、本実施の形態では、刷版26に付与されている識別コードNを図示しないセンサ等により読取って、次のステップ208では、読取った識別コードNを表す実装刷版識別コード情報をプリンタ制御部76に出力する。
【0055】
そして、次のステップ210では、印刷エラー処理指示(ステップ116に対応)が入力されたか否かを判断する。肯定されるとステップ212へ進み、例えば、識別コードが異なっている旨の表示をオペレータパネル22に表示する等の処理を行った後、ステップ206に戻る。否定されるとステップ214へ進み、ステップ214では、印刷開始要求情報(ステップ120に対応)がプリンタ制御部76から入力されたか否かを判断する。否定されると待機状態になり、肯定されるとステップ216へ進む。
【0056】
ステップ216では、搬送同期パルス信号(ステップ122に対応)がプリンタ制御部76から入力されたか否かを判断する。否定されると待機状態になり、肯定されると次のステップ218では、搬送を同期させる処理を行う。即ち、入力されたパルス信号に基づいて、用紙Pの搬送速度及びオフセット印刷部21での固定データに基づく固定データ画像の印刷速度を合わせる。
【0057】
次のステップ220では、オフセット印刷部21に印刷開始指示をする。これにより、オフセット印刷部21は、固定データに基づく固定データ画像を用紙P上に印刷する。
【0058】
オフセット印刷部21で固定データに基づく画像を印刷中の次のステップ222では、印刷動作指示情報が入力されたか否かを判断する。本実施の形態の印刷動作指示情報とは、オフセット印刷部21の印刷動作とプリンタ装置40の印刷動作とを連係させるための情報であって、例えば、プリンタ制御部76から入力される情報であって、プリンタ装置40の画像形成の停止を表すプリンタ停止情報等である。否定されるとステップ226へ進む。
【0059】
一方、印刷動作指示情報が入力された場合は、肯定判断となり、ステップ224へ進む。ステップ224では、例えば、上述のプリンタ停止情報の場合は、所定の停止シーケンス(輪転機を停止させるための所定の処理)を行った後、ステップ226へ進む。
【0060】
ステップ226では、固定データに基づく画像の印刷を終了するか否かを判断する。印刷を終了するか否かの判断は、例えば、オペレータパネル42から入力されるオペレータの終了指示、所定数の画像形成の終了、プリンタ制御部76から入力されるプリンタ停止情報(ステップ132に対応)等に基づいて判断する。否定されるとステップ222に戻り固定データ画像の印刷を続行し、肯定されると、本処理を終了する。
【0061】
このように、図5に示した処理フローをプリンタ装置40のプリンタ制御部76で実施し、図6に示した処理フローをオフセット輪転機20のオフセット制御部86で実施することにより、用紙P上に固定データに基づく固定データ画像と可変データに基づく可変データ画像とが重ね合わされた最終画像が印刷される。
【0062】
なお、本実施の形態では、刷版26の識別コードNと可変データに対応する識別コードMとが一致する場合に印刷を実施するようにオフセット印刷部21とプリンタ部41とを制御しているが、識別コードNに対応する可変データの識別コードが複数有る場合は、予め対応関係を記憶部74等に記憶させておき、該対応関係に基づいて印刷を実施するようにしても良い。
【0063】
また、本実施の形態では、プリンタ制御部76がオフセット輪転機20の印刷動作の指示をオフセット制御部86に対して指示しているが、これに限らず、オフセット制御部86がプリンタ装置40の印刷動作の指示をプリンタ制御部76に対して指示するようにしても良い。
【0064】
さらに、本実施の形態では、オフセット輪転機20を用紙Pの搬送方向上流側、プリンタ装置40を下流側に設けているが、逆の配置でも良い。なお、プリンタ装置40でページ合わせ(オフセット輪転機20で形成された固定データ画像に可変データ画像を重ねる位置を合わせる)を実施するのが好ましいため、オフセット輪転機20を上流側に配置することが好ましい。
【0065】
[第2の実施の形態]
本実施の形態では、記憶部74が複数のジョブデータを記憶可能であり、プリンタ装置40の受信部72で受信した複数のジョブデータが記憶部74に記憶されている場合について説明する。例えば、ジョブデータ80、ジョブデータ84、ジョブデータ90、及びジョブデータ94が記憶されている場合等である。この場合、通常では、プリンタ装置40にジョブデータが入力された順等、プリンタ装置40等により規定された印刷順序で印刷を実施することが出来るが、本実施の形態では、現在セットされている刷版26に応じて印刷順序を変更する場合について説明する。
【0066】
本実施の形態は、第1の実施の形態と略同様の構成であるので、同一部分には、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0067】
本実施の形態の印刷紙システム10において実行される制御ルーチンを図を参照して説明する。図9に示す処理は、プリンタ制御部76のCPUで実行される処理であり、例えば、プリンタ装置40の電源投入時やホスト装置70から出力されたジョブデータを受信部72が受信したときに実行される。
【0068】
プリンタ制御部76に指示が入力されると、ステップ300では、ホスト装置70から少なくとも1つ以上のジョブデータが入力されたか否かを判断する。否定判断の場合は、待機状態になり、ジョブデータを受信部72で受信し、記憶部74に1つ以上のジョブデータが記憶された状態になると肯定判断されてステップ102へ進む。ステップ102では、印刷準備指示をオフセット制御部86に出力して、ステップ104へ進み、第1の実施の形態と同様に、ステップ104、ステップ106、及びステップ112の処理を行う。
【0069】
次のステップ302では、記憶部74に記憶されている少なくとも1つ以上(本実施の形態では4つ)のジョブデータ内の識別コードYn(n=1〜記憶されているジョブデータの数、本実施の形態では4)を取得する。
【0070】
次のステップ304では、識別コードYnの中に、ステップ112で取得したオフセット輪転機20に現在セットされている刷版26の識別コードXと一致するものがあるか否かを判断し、否定されるとステップ310へ進む。一方、一致するものがある場合、肯定され、ステップ306へ進む。本実施の形態の場合、オフセット輪転機20に現在セットされている刷版26の識別コードX=識別コードN(固定データ画像78を印刷するための刷版Aの識別コード)であれば、ジョブデータ80やジョブデータ84に含まれる識別コードMと一致する。また、識別コードX=識別コードN’ (固定データ画像88を印刷するための刷版Bの識別コード)であれば、ジョブデータ90やジョブデータ94に含まれる識別コードM’と一致する。
【0071】
次のステップ306では、識別コードX=識別コードYnである識別コードYnに対応する画像データ(可変データ)をジョブデータから読取る。なお、上述した本実施の形態の場合のように、複数の識別コードYnが識別コードXと一致する場合は、例えば、プリンタ装置40に入力された順等、任意の順を定めておき、該当するジョブデータを読取り、ステップ120、ステップ122の処理を行う。
【0072】
次のステップ308では、ステップ306で読取った画像データの画像形成の開始をプリンタ部41に指示する。
【0073】
さらに、ステップ126、ステップ128、及びステップ130の処理の後、ステップ310へ進む。ステップ310では上述のステップ132の処理に加えて、ステップ304で否定判定となった場合、印刷終了を指示する処理を行い、本処理を終了する。
【0074】
一方、オフセット制御部86のCPUで実行される処理を図10に示す。この処理フローは例えば、オフセット輪転機20の電源投入時等に実行される。
【0075】
まず、オフセット制御部86に指示が入力されると、ステップ200へ進み、ステップ200、ステップ202、ステップ204、ステップ206、及びステップ208の処理を行う。
【0076】
次のステップ400では、印刷終了指示が入力されたか否かを判断する。ステップ304で否定判断の場合、ステップ310により印刷終了指示が入力されるので肯定され、本処理を終了する。一方、否定されると、ステップ214に進み、ステップ214乃至ステップ226の処理を行った後、本処理を終了する。
【0077】
なお、本実施の形態では、プリンタ装置40のプリンタ制御部76で読取ったジョブデータ内の識別コードとオフセット制御部86から取得した識別コードとが一致しない場合は、本印刷システムによる印刷処理を終了するが、これに限らず、オフセット輪転機20のオペレータパネル22にプリンタ制御部76が読取ったジョブデータ内の識別コードを表示させるようにし、例えば、オペレータに刷版26の交換を促すようにしてもよい。
【0078】
このように、図9に示した処理フローをプリンタ装置40のプリンタ制御部76で実施し、図10に示した処理フローをオフセット輪転機20のオフセット制御部86で実施することにより、現在オフセット輪転機20にセットされている刷版26を用いた固定データ画像と可変データに基づく可変データ画像とが重ね合わされた最終画像が印刷される。
【符号の説明】
【0079】
10 印刷システム
20 オフセット輪転機
21 オフセット印刷部
22 オペレータパネル
40 プリンタ装置
41 プリンタ部
42 オペレータパネル
70 ホスト装置
72 受信部
74 記憶部
76 プリンタ制御部
86 オフセット制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刷版を用いて記録媒体上に刷版情報の印刷を行う刷版情報印刷部と、
前記刷版情報印刷部により刷版情報が印刷される記録媒体と同じ記録媒体上に所定の可変情報の印刷を行う可変情報印刷部と、
前記刷版情報印刷部による印刷速度と、前記可変情報印刷部による印刷速度と、を一致させるように制御する制御手段と、
を有する、印刷システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記可変情報印刷部の印刷速度に、前記刷版情報印刷部の印刷速度を合わせるように制御する請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記刷版情報印刷部の印刷速度に、前記可変情報印刷部の印刷速度を合わせるように制御する請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記刷版情報印刷部による印刷速度と前記可変情報印刷部による印刷速度とを一致させるための搬送同期パルスを出力する請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の印刷システム。
【請求項5】
前記記録媒体は、連続紙である、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の印刷システム。
【請求項6】
刷版を用いて記録媒体上に刷版情報の印刷を行う刷版情報印刷部、及び前記刷版情報印刷部を制御する刷版情報印刷制御部を有する刷版情報印刷装置と、
前記刷版情報印刷部により刷版情報が印刷される記録媒体と同じ記録媒体上に所定の可変情報の印刷を行う可変情報印刷部、及び前記可変情報印刷部を制御する可変情報印刷制御部を有する可変情報印刷装置と、
を備え、前記刷版情報印刷制御部、又は前記可変情報印刷制御部が、前記刷版情報印刷部による印刷速度と、前記可変情報印刷部による印刷速度と、を一致させるように制御する、印刷システム。
【請求項7】
刷版情報印刷部により、刷版を用いて記録媒体上に刷版情報を印刷するステップと、
可変情報印刷部により、前記刷版情報印刷部により刷版情報が印刷される記録媒体と同じ記録媒体上に所定の可変情報を印刷するステップと、
前記刷版情報印刷部による印刷速度と、前記可変情報印刷部による印刷速度と、を一致させるように制御するステップと、
を有する処理をコンピュータで実行させる印刷プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−25171(P2012−25171A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243756(P2011−243756)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【分割の表示】特願2006−332383(P2006−332383)の分割
【原出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】