説明

印刷システム

【課題】印刷データの送信中に通信が制限されるのを抑制することができるようにする。
【解決手段】印刷データを生成する上位装置、及び該上位装置と接続され、前記印刷データに基づいて印刷を行う画像形成装置から成る。画像形成装置に配設され、上位装置と画像形成装置との間の通信を制限する通信制限処理手段と、上位装置に配設され、画像形成装置に送信される印刷データの情報量を算出する情報量算出処理手段と、上位装置に配設され、印刷データの情報量が基準値より大きい場合に、上位装置と画像形成装置との間の通信を制限するための制限条件を変更する制限条件変更処理手段とを有する。上位装置から画像形成装置に送信される印刷データの情報量が基準値より大きい場合に、通信を制限する制限条件が変更されるので、印刷データの送信中に通信が制限されるのを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上位装置としてのホストコンピュータ及び画像形成装置としてのプリンタから成る印刷システムにおいては、プリンタにおいて、例えば、ホストコンピュータから印刷データが所定の時間(以下「ジョブタイムアウト時間」という。)内に送信されないことが検出されると、ホストコンピュータとプリンタとの間の通信を制限し、印刷処理を強制的に終了するジョブタイムアウト処理が行われるようになっている。
【0003】
図2は従来の印刷システムを示す図、図3は印刷ジョブのフォーマットの例を示す図である。
【0004】
図2に示されるように、ホストコンピュータ10とプリンタ20とはLAN(Local Area Network)30を介して接続される。
【0005】
前記ホストコンピュータ10において、操作者の操作に基づいて、アプリケーション11がプリンタドライバ12を呼び出すと、該プリンタドライバ12は、プリンタ20において解析可能な印刷データを生成する。そして、生成された印刷データは、図3に示されるようなフォーマットを有する印刷ジョブとしてスプーラ13に出力され、送信インタフェース14によって印刷ジョブごとにプリンタ20に送信される。なお、図3において、m1は印刷ジョブの始端を表すマーカ、すなわち、ジョブ始端マーカ、m2は印刷ジョブの終端を表すマーカ、すなわち、ジョブ終端マーカである。
【0006】
また、ホストコンピュータ10から送信された印刷データは、プリンタ20において、受信インタフェース21によって受信され、ジョブ管理部22によってページ単位に区切られた後、1ページ分ずつページ処理部23に送られ、該ページ処理部23によって画像データとして展開される。そして、該画像データは印刷制御部24に送られ、画像データに基づいて印刷制御部24によって印刷処理が行われる。
【0007】
この場合、ホストコンピュータ10において、印刷データにビットマップ展開処理及び帯域圧縮処理を施してプリンタ20に送信し、プリンタ20において、受信した印刷データを伸長させて印刷処理を行うことができる。
【0008】
ところで、前記プリンタ20において、ホストコンピュータ10から印刷データを受信しているときに、何らかの理由でジョブ終端マーカm2が受信されなくなると、印刷ジョブの終端を認識することができないだけでなく、次の印刷ジョブの始端を認識することができなくなってしまう。
【0009】
そこで、前記受信インタフェース21は印刷データを監視し、印刷データの受信中に、印刷データが受信されない時間(以下「非通信時間」という。)が前記ジョブタイムアウト時間の設定値以上になると、ジョブ管理部22は、ジョブタイムアウト処理を行い、ホストコンピュータ10とプリンタ20との間の通信を制限し、受信している印刷ジョブについての印刷処理を強制的に終了するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
また、前記ホストコンピュータ10とプリンタ20との間の通信処理における転送レート、受信インタフェース21の受信バッファのサイズの最大値等に応じて、ジョブタイムアウト時間の設定値を変更するようにしている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−198208号公報
【特許文献2】特開2000−71570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記従来の印刷システムにおいては、ホストコンピュータ10において、印刷データにビットマップ展開処理及び帯域圧縮処理が施されるので、図形を伴う複雑な印刷を行う場合、印刷データをプリンタ20に送信するまでの処理時間が長くなり、印刷データの送信中に、プリンタ20においてジョブタイムアウト処理が行われてしまい、ホストコンピュータ10とプリンタ20との間の通信が制限されてしまうことがある。
【0013】
本発明は、前記従来の印刷システムの問題点を解決して、印刷データの送信中に、上位装置と画像形成装置との間の通信が制限されるのを抑制することができる印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そのために、本発明の印刷システムにおいては、印刷データを生成する上位装置、及び該上位装置と接続され、前記印刷データに基づいて印刷を行う画像形成装置から成る。
【0015】
そして、前記画像形成装置に配設され、上位装置と画像形成装置との間の通信を制限する通信制限処理手段と、前記上位装置に配設され、前記画像形成装置に送信される印刷データの情報量を算出する情報量算出処理手段と、前記上位装置に配設され、印刷データの情報量が基準値より大きい場合に、上位装置と画像形成装置との間の通信を制限するための制限条件を変更する制限条件変更処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、印刷システムにおいては、印刷データを生成する上位装置、及び該上位装置と接続され、前記印刷データに基づいて印刷を行う画像形成装置から成る。
【0017】
そして、前記画像形成装置に配設され、上位装置と画像形成装置との間の通信を制限する通信制限処理手段と、前記上位装置に配設され、前記画像形成装置に送信される印刷データの情報量を算出する情報量算出処理手段と、前記上位装置に配設され、印刷データの情報量が基準値より大きい場合に、上位装置と画像形成装置との間の通信を制限するための制限条件を変更する制限条件変更処理手段とを有する。
【0018】
この場合、上位装置から画像形成装置に送信される印刷データの情報量が基準値より大きい場合に、上位装置と画像形成装置との間の通信を制限するための制限条件が変更されるので、図形を伴う複雑な印刷を行う際に、印刷データを画像形成装置に送信するまでの処理時間が長くなっても、印刷データの送信中に、上位装置と画像形成装置との間の通信が制限されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態における印刷システムを示す図である。
【図2】従来の印刷システムを示す図である。
【図3】印刷ジョブのフォーマットの例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるホストコンピュータの動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態における印刷システムを示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態におけるホストコンピュータの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の第1の実施の形態における印刷システムを示す図である。
【0022】
図に示されるように、上位装置としてのホストコンピュータ10と画像形成装置としてのプリンタ20とは、ネットワークとしてのLAN30を介して接続され、前記ホストコンピュータ10及びプリンタ20によって印刷システムが構成される。そして、プリンタ20は、ホストコンピュータ10から送信された印刷データに基づいて印刷を行う。
【0023】
そのために、前記ホストコンピュータ10は、アプリケーション11、プリンタドライバ12、スプーラ13、送信インタフェース14、描画規模判定部15、タイムアウト設定コマンド送信部16等を備え、前記プリンタ20は、受信インタフェース21、ジョブ管理部22、ページ処理部23、印刷制御部24、タイムアウト設定コマンド受信部25等を備える。
【0024】
次に、前記構成の印刷システムの動作について説明する。
【0025】
まず、前記ホストコンピュータ10の動作について説明する。
【0026】
図4は本発明の第1の実施の形態におけるホストコンピュータの動作を示すフローチャートである。
【0027】
前記ホストコンピュータ10において、操作者の操作に基づいて、アプリケーション11がプリンタドライバ12を呼び出すと、該プリンタドライバ12の図示されない印刷データ生成処理手段は、印刷データ生成処理を行い、アプリケーション11からの印刷指示に基づいてプリンタ20において解析可能な印刷データを生成する。
【0028】
そのために、前記印刷データ生成処理手段の初期化処理手段は、初期化処理を行い、ページの初期化(描画領域の初期設定、ゼロクリア等)を行う。次に、前記印刷データ生成処理手段の描画情報取得処理手段は、描画情報取得処理を行い、アプリケーション11から描画情報を読み出す。該描画情報は文字情報及びイメージ情報から成り、文字情報は、フォント情報(種別、大きさ、色のほかに、太字、斜体、下線等の属性から成る。)、書出し位置、出力文字列等の組合せから成り、イメージ情報は、図形情報(直線・円・方形等の形状のほかに、輪郭色、塗潰し色等の属性から成る。)、開始位置、終了位置等の組合せから成る。
【0029】
続いて、前記印刷データ生成処理手段の画像描画処理手段は、画像描画処理を行い、取得された前記描画情報に基づいて印刷データにビットマップ展開処理を施すとともに、前記描画情報を描画規模判定部15に送る。
【0030】
そして、該描画規模判定部15は、前記プリンタドライバ12と連動し、前記描画情報の描画規模を判断する。そのために、前記描画規模判定部15の図示されない情報量算出処理手段としての累積情報量算出処理手段は、情報量算出処理としての累積情報量算出処理を行い、印刷データの情報量、すなわち、前記描画情報の累積情報量を算出し、前記描画規模判定部15の図示されない情報量判断処理手段は、情報量判断処理を行い、算出された累積情報量と、描画規模を判断するための基準値としてあらかじめ設定された閾値とを比較する。そして、前記累積情報量が閾値以下である場合、前記描画情報取得処理手段はアプリケーション11から次のページについて描画情報を読み出し、累積情報量が閾値より大きい場合、前記タイムアウト設定コマンド送信部16の図示されない制限条件変更処理手段は、制限条件変更処理を行い、タイムアウト設定コマンドを変更してプリンタ20に送信する。タイムアウト設定コマンドがプリンタ20に送信されると、前記描画情報取得処理手段はアプリケーション11から次のページについて描画情報を読み出す。
【0031】
前記タイムアウト設定コマンドは、前記閾値に対応させて設定されたジョブタイムアウト時間の設定値であり、閾値が大きいほどジョブタイムアウト時間の設定値が大きくされる。なお、該設定値によって、ホストコンピュータ10とプリンタ20との間の通信を制限するための制限条件が構成される。
【0032】
また、前記描画情報の累積情報量は、描画情報の種別(フォント情報、図形情報等の区別)ごとにあらかじめ設定された基準値と、描画情報の種別ごとの属性に対応させて設定された係数とを乗算することによって算出される。
【0033】
なお、タイムアウト設定コマンドをプリンタ20に送信するときに、前記情報量判断処理手段は、前記閾値を変更し、大きくすることができる。この場合、次のページについての情報量判断処理において、累積情報量と変更された閾値とが比較される。
【0034】
このようにして、印刷データのすべてのページについて描画情報取得処理、画像描画処理、累積情報量算出処理、情報量判断処理及び制限条件変更処理の各処理が終了すると、前記プリンタドライバ12の図示されない帯域圧縮処理手段は、帯域圧縮処理を行い、描画領域の印刷データを圧縮し、プリンタドライバ12の図示されない出力処理手段は、出力処理を行い、圧縮された印刷データを印刷ジョブとしてスプーラ13に出力し、前記送信インタフェース14は、スプーラ13に蓄積された印刷データを印刷ジョブごとにプリンタ20に送信する。
【0035】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 ページの初期化を行う。
ステップS2 描画情報を読み出す。
ステップS3 画像を描画する。
ステップS4 累積情報量を算出する。
ステップS5 累積情報量が閾値より大きいかどうかを判断する。累積情報量が閾値より大きい場合はステップS6に、累積情報量が閾値以下である場合はステップS7に進む。
ステップS6 ジョブタイムアウト設定コマンドをプリンタ20に送信する。
ステップS7 すべてのページについて各処理が終了したかどうかを判断する。すべてのページについて各処理が終了した場合はステップS8に進み、すべてのページについて各処理が終了していない場合はステップS2に戻る。
ステップS8 描画領域の印刷データを圧縮する。
ステップS9 印刷データをスプーラ13に出力し、処理を終了する。
【0036】
次に、前記プリンタ20の動作について説明する。
【0037】
ホストコンピュータ10から印刷データがプリンタ20に送信されると、プリンタ20において、印刷データは、受信インタフェース21によって受信され、ジョブ管理部22によってページ単位に区切られた後、1ページ分ずつページ処理部23に送られ、該ページ処理部23によって画像データとして展開される。該画像データは、印刷制御部24に送られ、画像データに基づいて印刷制御部24によって印刷処理が行われる。
【0038】
そして、前記受信インタフェース21の図示されないコマンド検出処理手段は、コマンド検出処理を行い、ホストコンピュータ10から送信されたタイムアウト設定コマンドを検出すると、該タイムアウト設定コマンドをタイムアウト設定コマンド受信部25に送る。続いて、該タイムアウト設定コマンド受信部25の図示されないジョブタイムアウト時間設定処理手段は、ジョブタイムアウト時間設定処理を行い、タイムアウト設定コマンドに基づいてジョブタイムアウト時間を設定(ジョブタイムアウト時間の設定値に上書き)する。
【0039】
次に、前記受信インタフェース21は印刷データを監視し、印刷データの受信中に、非通信時間がジョブタイムアウト時間の設定値以上になると、ジョブ管理部22の図示されない通信制限処理手段としてのジョブタイムアウト処理手段は、通信制限処理としてのジョブタイムアウト処理を行い、ホストコンピュータ10とプリンタ20との間の通信を制限し、受信している印刷ジョブについての印刷処理を強制的に終了するとともに、ホストコンピュータ10に印刷処理を強制的に終了した旨を通知する。
【0040】
このように、本実施の形態においては、描画情報の累積情報量が閾値より大きい場合、タイムアウト設定コマンドがホストコンピュータ10からプリンタ20に送信され、ジョブタイムアウト時間の設定値が大きくされるので、図形を伴う複雑な印刷を行う場合に、印刷データをプリンタ20に送信するまでの処理時間が長くなっても、印刷データの送信中に、プリンタ20においてジョブタイムアウト処理が行われることがなくなる。したがって、ホストコンピュータ10とプリンタ20との間の通信が制限されるのを抑制することができる。
【0041】
また、スプーラ13にすべてのページについての印刷データを出力した後、印刷データをプリンタ20に送信する必要がなくなる。
【0042】
ところで、印刷システムにおいては、LAN30の混雑状況が変化するのに伴って、ネットワーク負荷が変化する。そして、LAN30が混雑し、ネットワーク負荷が高くなると、ホストコンピュータ10において印刷データを送信するのに必要な時間が長くなり、プリンタ20においてジョブタイムアウト処理が行われてしまい、ホストコンピュータ10とプリンタ20との間の通信が制限されてしまうことがある。
【0043】
そこで、ネットワーク負荷が高くても、プリンタ20においてジョブタイムアウト処理が行われるのを抑制することができるようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0044】
図5は本発明の第2の実施の形態における印刷システムを示す図である。
【0045】
この場合、上位装置としてのホストコンピュータ10に、ネットワーク負荷判断部としての通信速度判定部17が配設され、該通信速度判定部17は、送信インタフェース14及びタイムアウト設定コマンド送信部16と接続される。
【0046】
次に、前記構成の印刷システムについて説明する。
【0047】
まず、前記ホストコンピュータ10の動作について説明する。
【0048】
図6は本発明の第2の実施の形態におけるホストコンピュータの動作を示すフローチャートである。
【0049】
前記ホストコンピュータ10において、操作者の操作に基づいて、アプリケーション11がプリンタドライバ12を呼び出すと、該プリンタドライバ12の前記印刷データ生成処理手段は、アプリケーション11からの印刷指示に基づいて画像形成装置としてのプリンタ20において解析可能な印刷データを生成する。
【0050】
そのために、印刷データ生成処理手段の前記初期化処理手段は、ページの初期化を行う。
【0051】
次に、前記通信速度判定部17は、ネットワークとしてのLAN30が混雑しているかどうかによって、ネットワーク負荷が高いかどうかを判断する。そのために、通信速度判定部17の図示されないネットワーク負荷判断処理手段としての通信速度検出処理手段は、ネットワーク負荷判断処理としての通信速度検出処理を行い、LAN30における通信状態を表す値、本実施の形態においては、ホストコンピュータ10とプリンタ20との間の通信速度をネットワーク負荷として検出する。続いて、前記通信速度判定部17の図示されない基準値設定処理手段は、基準値設定処理を行い、描画規模を判断するための基準値としての閾値を前記通信速度に対応させて設定する。この場合、前記通信速度が高いほど閾値が小さく、通信速度が低いほど閾値が大きく設定される。
【0052】
次に、印刷データ生成処理手段の前記描画情報取得処理手段は、アプリケーション11から描画情報を読み出す。
【0053】
続いて、印刷データ生成処理手段の前記画像描画処理手段は、前記描画情報に基づいて印刷データにビットマップ展開処理を施すとともに、前記描画情報を描画規模判定部15に送る。
【0054】
そして、該描画規模判定部15は、前記プリンタドライバ12と連動し、前記描画情報の描画規模を判断する。そのために、前記描画規模判定部15の前記情報量算出処理手段としての累積情報量算出処理手段は、前記描画情報の累積情報量を算出し、描画規模判定部15の前記情報量判断処理手段は、算出された累積情報量と前記閾値とを比較する。そして、累積情報量が閾値以下である場合、前記描画情報取得処理手段はアプリケーション11から次のページについて描画情報を読み出し、累積情報量が閾値より大きい場合、タイムアウト設定コマンド送信部16の前記制限条件変更処理手段は、タイムアウト設定コマンドをプリンタ20に送信する。タイムアウト設定コマンドがプリンタ20に送信されると、前記描画情報取得処理手段はアプリケーション11から次のページについて描画情報を読み出す。
【0055】
このようにして、印刷データのすべてのページについて描画情報取得処理、画像描画処理、累積情報量算出処理、情報量判断処理及び制限条件変更処理の各処理が終了すると、プリンタドライバ12の前記帯域圧縮処理手段は、描画領域の印刷データを圧縮し、プリンタドライバ12の前記出力処理手段は、圧縮された印刷データを印刷ジョブとしてスプーラ13に出力し、送信インタフェース14は、スプーラ13に蓄積された印刷データを印刷ジョブごとにプリンタ20に送信する。
【0056】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 ページの初期化を行う。
ステップS12 通信速度を検出し、基準値を設定する。
ステップS13 描画情報を読み出す。
ステップS14 画像を描画する。
ステップS15 累積情報量を算出する。
ステップS16 累積情報量が閾値より大きいかどうかを判断する。累積情報量が閾値より大きい場合はステップS17に、累積情報量が閾値以下である場合はステップS18に進む。
ステップS17 ジョブタイムアウト設定コマンドをプリンタ20に送信する。
ステップS18 すべてのページについて各処理が終了したかどうかを判断する。すべてのページについて各処理が終了した場合はステップS19に進み、すべてのページについて各処理が終了していない場合はステップS13に戻る。
ステップS19 描画領域の印刷データを圧縮する。
ステップS20 印刷データをスプーラ13に出力し、処理を終了する。
【0057】
次に、前記プリンタ20の動作について説明する。
【0058】
ホストコンピュータ10から印刷データがプリンタ20に送信されると、プリンタ20において、印刷データは、受信インタフェース21によって受信され、ジョブ管理部22によってページ単位に区切られた後、1ページ分ずつページ処理部23に送られ、該ページ処理部23によって画像データとして展開される。該画像データは、印刷制御部24に送られ、画像データに基づいて印刷制御部24によって印刷処理が行われる。
【0059】
そして、前記受信インタフェース21の前記コマンド検出処理手段は、ホストコンピュータ10から送信されたタイムアウト設定コマンドを検出すると、該タイムアウト設定コマンドをタイムアウト設定コマンド受信部25に送る。続いて、該タイムアウト設定コマンド受信部25の前記ジョブタイムアウト時間設定処理手段は、ジョブタイムアウト時間を設定する。
【0060】
次に、前記受信インタフェース21は印刷データを監視し、印刷データの受信中に、非通信速度がジョブタイムアウト時間の設定値以上になると、ジョブ管理部22の前記通信制限処理手段としてのジョブタイムアウト処理手段は、ホストコンピュータ10とプリンタ20との間の通信を制限し、受信している印刷ジョブについての印刷処理を強制的に終了するとともに、ホストコンピュータ10に印刷処理を強制的に終了した旨を通知する。
【0061】
このように、本実施の形態においては、ネットワーク負荷が高いときでも、ジョブタイムアウト処理が行われるのを抑制することができるので、ホストコンピュータ10とプリンタ20との間の通信が制限されることがない。したがって、すべてのページについて印刷処理を行うことができる。
【0062】
なお、前記各実施の形態においては、ホストコンピュータ10とプリンタ20とがLAN30を介して接続されるようになっているが、ホストコンピュータ10とプリンタ20とをUSB等の1−to−1接続部材(直結部材)を介して直接に接続することができる。
【0063】
また、ホストコンピュータ10に代えて画像読取装置としてのスキャナを使用し、スキャナとプリンタ20とを接続したり、プリンタ20に代えて、画像形成装置として、複写機、複合機等を使用し、ホストコンピュータ10と複写機、複合機等とを接続したりすることができる。
【0064】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0065】
10 ホストコンピュータ
15 描画規模判定部
16 タイムアウト設定コマンド送信部
20 プリンタ
22 ジョブ管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを生成する上位装置、及び該上位装置と接続され、前記印刷データに基づいて印刷を行う画像形成装置から成る印刷システムにおいて、
(a)前記画像形成装置に配設され、上位装置と画像形成装置との間の通信を制限する通信制限処理手段と、
(b)前記上位装置に配設され、前記画像形成装置に送信される印刷データの情報量を算出する情報量算出処理手段と、
(c)前記上位装置に配設され、印刷データの情報量が基準値より大きい場合に、上位装置と画像形成装置との間の通信を制限するための制限条件を変更する制限条件変更処理手段とを有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記通信制限処理手段は、非通信時間が設定値以上になると、印刷データの受信を強制的に終了する請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記制限条件変更処理手段は、印刷データの情報量が基準値より大きい場合に前記設定値を変更する請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記制限条件変更処理手段は、基準値に対応させて前記設定値を変更する請求項2に記載の印刷システム。
【請求項5】
ネットワーク負荷に対応させて前記基準値を設定する基準値設定処理手段を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項6】
(a)前記ネットワーク負荷は、前記上位装置と画像形成装置との間の通信速度であり、
(b)前記基準値設定処理手段は、前記通信速度が閾値より低い場合に前記基準値を大きくする請求項5に記載の印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−141892(P2012−141892A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−711(P2011−711)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】