説明

印刷テープおよびテープカートリッジ、並びにテープ印刷装置

【課題】 印刷後に印刷テープ自身により、その印刷表面をラミネート可能な印刷テープおよびテープカートリッジ、並びに当該テープカートリッジを装着するテープ印刷装置を提供することをその課題とする。
【解決手段】 表面に記録面を形成した透光性の記録テープ層80と、記録テープ層の裏面に貼着した透光性の擬似ラミネート層90とを備えた印刷テープTであって、擬似ラミネート層90は、表面側の粘着剤層91と裏面側の透明テープ層92とを有し、記録テープ層80は、記録面のテープ長方向に沿って形成された長辺方向カット線L1により分断された、表面が印刷領域となる印刷記録片81と、粘着剤層91から剥離される切離し片82とを有し、切離し片82を除去した後の記録テープ層80と、擬似ラミネート層90とを共に表裏反転して貼着対象物に貼着することにより、擬似ラミネート層90が記録面のラミネートテープとして機能するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一部がラミネートテープとして機能する印刷テープおよびテープカートリッジ、並びにテープ印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のテープカートリッジには、カートリッジケース内に印刷テープおよびインクリボンを繰出し自在に収容したもの(特許文献1参照)と、カートリッジケース内に印刷テープ、ラミネートテープおよびインクリボンを繰出し自在に収容したもの(特許文献2参照)とが知られている。これら2種類のテープカートリッジは、それぞれ専用のテープ印刷装置に投入されることで、前者のものでは印刷テープへの印刷とテープカットが行われてラベルが作成され、後者のものでは、印刷テープへの印刷とラミネートテープの貼合せとテープカットが行われてラミネート済みラベルが作成される。
【特許文献1】特開平10−217550号公報
【特許文献2】特開平7−61100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、後者のテープ印刷装置では、ラミネートを省略したテープカートリッジを投入することで、ラミネート無しのラベルを作成可能であるが、前者のテープ印刷装置では、ラミネートテープを送り出し、印刷テープとラミネートテープを貼合わせる機構が無いため、例えラミネートテープを追加収容したテープカートリッジを投入しても、ラミネート済みラベルを作成することは不可能であった。
【0004】
本発明は上記の問題に鑑み、テープ印刷装置側に、ラミネートテープを送り出して印刷テープと貼合わせる機構を設けることなく、印刷後に印刷テープ自身により、その印刷表面をラミネート可能な印刷テープおよびテープカートリッジ、並びに当該テープカートリッジを装着するテープ印刷装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の印刷テープは、表面に記録面を形成した透光性の記録テープ層と、記録テープ層の裏面に貼着した透光性の擬似ラミネート層とを備えた印刷テープであって、擬似ラミネート層は、表面側の粘着剤層と裏面側の透明テープ層とを有し、記録テープ層は、記録面のテープ長方向に沿って形成された長辺方向カット線により分断された、表面が印刷領域となる印刷記録片と、粘着剤層から剥離される切離し片とを有し、切離し片を除去した後の記録テープ層と、擬似ラミネート層とを共に表裏反転して貼着対象物に貼着することにより、擬似ラミネート層が記録面のラミネートテープとして機能することを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、印刷記録片表面に印刷が為された後、切離し片を粘着剤層から剥離し、印刷テープを表裏反転することにより、印刷テープ自身で印刷面をラミネート可能なラミネート済み印刷テープを作成することができる。また、印刷テープは粘着剤層を有するので印刷後にそのまま貼着対象物に貼着することができる。なお、透光性の記録テープ層および擬似ラミネート層は、透明な基材はもとより白濁したような半透明状の基材であってもよい。
【0007】
この場合、長辺方向カット線は、平行な2本のカット線で構成されており、長辺方向カット線により、印刷記録片とこれを挟んで一対の切離し片が形成されていることが好ましい。
【0008】
この構成によれば、のりしろとなる切離し片部分が、表面が印刷面となる印刷記録片を挟んで一対に形成されているので、面全体が接着面とならずとも、テープ幅方向における両端部が接着部となり、貼着対象物に貼着された印刷テープを剥がれにくくすることができる。
【0009】
また、この場合、印刷記録片の幅と切離し片の幅とが、略2:1の比率であることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、印刷記録片と切離し片とが略2:1の比率で形成されるので、のりしろが印刷領域に対し過小となり印刷テープが剥がれやすくなることを防止できるとともに、のりしろが印刷領域に対し過大となり、印刷領域が狭くなる虞もない。すなわち印刷領域とのりしろとを適度の比率で形成することができる。
【0011】
さらに、これらの場合、切離し片の表面には、剥離操作に関する操作情報が印刷されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、使用者が剥離操作に関する操作情報を参照して剥離操作を行うことができるので、誤った剥離操作をすることなく、容易にラミネート済み印刷テープを作成することができる。なお、操作情報としては、文字の他にも記号や網掛け、斜線などの模様を用いてもよい。
【0013】
本発明のテープカートリッジは、ロール状に巻回した上記のいずれか1に記載の印刷テープと、印刷テープを繰出し自在に収容したカートリッジケースと、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明のテープカートリッジは、ロール状に巻回した上記に記載の印刷テープと、印刷テープを繰出し自在に収容したカートリッジケースと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
これらの構成によれば、上記のいずれか1に記載の印刷テープを収容するテープカートリッジをテープ印刷装置に装着することにより、印刷後に、印刷テープ自身で印刷面をラミネート可能なラミネート済み印刷テープを作成することができる。また、印刷テープは粘着剤層を有するので印刷後にそのまま貼着することができる。
【0016】
本発明のテープ印刷装置は、上記に記載のテープカートリッジが着脱自在に装着されると共に、テープカートリッジから繰出される印刷テープに対し印刷を行うテープ印刷装置であって、記録面に印刷するための1以上のキャラクタから成るキャラクタ列を入力する入力手段と、入力されたキャラクタ列を左右反転させる(鏡像印刷)データ反転手段と、データ反転手段によって左右反転したキャラクタ列を印刷領域に印刷する印刷手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、印刷後に、印刷テープ自身でキャラクタ列が印刷された印刷面をラミネート可能な印刷テープに対して印刷を行うので、ラミネート済み印刷テープを容易に作成することができる。また、印刷テープは粘着剤層を有するので印刷後にそのまま貼着することができる。また、印刷記録片の幅をテープ幅方向における印刷領域(印刷幅領域)として印刷を行うので、粘着剤層から剥離される切離し片にキャラクタが印刷される虞がない。さらに、入力されたキャラクタ列を左右反転してから印刷するので、表裏反転して対象物に貼着する印刷テープにおいても、印刷されたキャラクタ列は貼着した状態で正方向を向く(正像となる)ことになり、容易に視認可能である。なお、キャラクタ列は、テープ幅方向における印刷領域(印刷幅領域)に対し、センタリングされて印刷されることが好ましい。
【0018】
また、この場合、キャラクタ列が印刷された印刷テープの印刷済み部分を切離すフルカット手段と、印刷済み部分におけるキャラクタ列の列方向外側に位置して、記録テープ層をテープ幅方向に沿って切断して短辺方向カット線を形成するハーフカット手段と、をさらに備えたことが好ましい。
【0019】
この構成によれば、印刷/切断後の印刷テープにおいて、長辺方向カット線によりテープ幅方向両端部に一対の第1のりしろ(切離し片)が形成されるとともに、短辺方向カット線によりテープ長方向両端部に第2のりしろが形成される。すなわち印刷面をのりしろが囲むような構成になるので、貼着されたラミネート済み印刷テープをより剥がしにくくすることができる。なお、第1のりしろのテープ幅方向の幅と、第2のりしろのテープ長方向の幅とは略1:2であることが好ましい。
【0020】
さらに、これらの場合、印刷手段は、キャラクタ列の印刷に併行して短辺方向カット線により形成される捨て代および/または切離し片の表面に剥離操作に関する操作情報を印刷することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、印刷/切断後の印刷テープにおいて、使用者が剥離操作に関する操作情報を参照して剥離操作を行うことができるので、誤った剥離操作をすることなく、容易にラミネート済み印刷テープを作成することができる。
【0022】
また、この場合、操作情報は、文字情報、記号情報、地紋情報のうち少なくとも1の情報であることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、剥離操作に関する操作情報を文字はもちろん、斜線や網掛けなどの模様を用いて構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る印刷テープおよびテープカートリッジ、並びにテープ印刷装置について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
図1は開蓋状態のテープ印刷装置1の外観斜視図である。
テープ印刷装置1は、キャリアハンドル2を有する装置ケース3により外殻が形成され、装置ケース3の前部上面には各種入力キーを備えたキーボード4が配置されると共に、後部上面には、その左半部に開閉蓋5が取り付けられ、右半部にディスプレイ6が配設されている。そして、開閉蓋5の内側には、テープTおよびインクリボンRを収容したテープカートリッジCを装着するためのカートリッジ装着部7が窪入形成されており、テープカートリッジCは開閉蓋5を開放した状態でカートリッジ装着部7に着脱される。
【0026】
また、装置ケース3の左側部には、カートリッジ装着部7と装置外部とを連通するテープ排出口8が形成され、カートリッジ装着部7とテープ排出口8との間には、テープTに対して切断が行われる切断部130(図4参照)が配設されている。切断部130は、フルカッタ41と、フルカッタ41に対してテープ送り方向下流側に設けられたハーフカッタ42(図2、4参照)とを備えている。
【0027】
フルカッタ41は、可動刃および固定刃を有するはさみ形式のカッタであり、クランク機構を介してモータ駆動(フルカッタモータ31、図4参照)により、テープTの記録テープ層80および擬似ラミネート層90(詳細は後述する、図5参照)の両方を切断、すなわちフルカットする。このフルカットにより、テープTは、印刷が為された部分の後端部で切断され、テープ排出口8から排出される。
【0028】
図2に示すように、ハーフカッタ42は、直刃のブレード52を有する切断刃51と、切り込んだブレード52の刃線に対して平行に対峙して切断刃51を受ける刃先受け部54を有する刃受け部材53とを備え、上記と同様にモータ駆動(ハーフカッタモータ32、図4参照)により、刃受け部材53に対して切断刃51を切り込む(押し切り形式)ことで、テープTの擬似ラミネート層90を残しつつ、記録テープ層80を切断、すなわちハーフカットする。このため、本実施形態のように、記録テープ層80および擬似ラミネート層90がそれぞれプラスチックフィルムで構成されており(詳細は後述する)、双方の曲げ剛性(腰の強さ)が同程度である場合であっても、このハーフカット部分を手掛かりとして、剥離片となる切離し片82を容易に剥がすことができる。
【0029】
また、ハーフカッタ42には、切断刃51の切っ先側および刃受け部材53の基部側に位置して、切り込んだブレード52の刃先52aと、刃先受け部54の刃先受け面54aとの間隙を位置規制する一対の突出部55,55がそれぞれ設けられている。これにより、ハーフカッタ42は、記録テープ層80を完全に(裏側まで)切断すると共に、擬似ラミネート層90を切断しない(少なくとも、裏側まで切断することがない)よう、切り込んだブレード52の刃先52aと、刃先受け部54の刃先受け面54aとの間隙が、一定の距離(50μm±20μm)に規制されている。したがって、ハーフカットされた部分では、少なくとも(上記の間隙が30μmである場合であっても)、擬似ラミネート層90の裏側の30μm分が切断されずに残るようになっている。
【0030】
再び図1に示すように、キーボード4は、種々の指定およびデータを後述する制御部200(図4参照)に入力するものであって、入力キーには、アルファベットキー群、記号キー群、数字キー群、仮名キー群を含む文字キー群4aの他、各種の動作を指定するための機能キー群4b等が配列されている。機能キー群4bには、テキスト入力時のデータ確定や改行、選択画面における各種モードの選択指示のための選択キー、各種入力を取りけるための取り消しキー、各キーの役割変更などに用いられるシフトキー、カーソル移動やディスプレイ6の表示範囲を移動させるための4個のカーソルキー、ファイル操作や印刷フォーム選択のためのファイルフォームキー等が設けられている。
【0031】
ディスプレイ6は、横方向(X方向)約6cm×縦方向(Y方向)4cmの長方形の形状の内側に、96ドット×64ドットの表示画像データを表示可能であり、ユーザがキーボード4からキャラクタを入力して、印刷を行うための印刷データを作成・編集する際に用いられる。また、各種エラーやメッセージ(指示内容)を表示し、ユーザに報知する。
【0032】
カートリッジ装着部7には、ヘッドカバー10内にサーマルヘッドから成る印刷ヘッド11が内蔵されたヘッドユニット12と、印刷ヘッド11に対峙するプラテン駆動軸13と、後述のインクリボンRを巻き取る巻き取り駆動軸14と、後述のテープリール21(図3参照)の位置決め突起15と、を備えている。また、カートリッジ装着部7の下側には、プラテン駆動軸13および巻き取り駆動軸14を回転させる印刷送りモータ33(図4参照)が内蔵されている。
【0033】
図3はカートリッジケース20の一部を破断して残したテープカートリッジCの平面図である。同図に示すように、テープカートリッジCは、カートリッジケース20内部の上部中央部に、一定の幅のテープTを巻回したテープリール21と、右下部にインクリボンを巻回したリボン巻出しリール22と、使用後のインクリボンを巻き取るリボン巻取りリール23とを回転自在に収容して構成されており、テープTとインクリボンRは同じ幅で構成されている。
【0034】
テープリール21の左下部には上記ヘッドカバー10に差し込むための貫通孔24が形成されており、テープカートリッジCをカートリッジ装着部7に装着すると、この貫通孔24に装置側から印刷ヘッド11が臨んでプラテンローラ25と対峙する。また、この状態では、装置側からプラテンローラ25およびリボン巻取りリール23にそれぞれプラテン駆動軸13および巻取り駆動軸14が係合する。すなわち、プラテンローラ25およびリボン巻取りリール23は駆動リールとして機能し、テープリール21およびリボン巻出しリール22は従動リールとして機能する。
【0035】
テープリール21から巻き出されたテープTは、テープガイドピン26に案内されてプラテンローラ25に至り、この部分で印刷されてからカートリッジケース20の側面に形成したテープ送出口27から送り出される。一方、リボン巻出しリール22から巻き出されたインクリボンRは、第1リボンピン28および第2リボンピン29に案内され、プラテンローラ25に至る。ここでインクリボンRは、テープTに重なって印刷に供され、さらに上記の貫通孔24を形成する開口壁30に案内されてUターンし、リボン巻取りリール23に巻き取られる。この場合、駆動側のプラテンローラ25およびリボン巻取りリール23は同期して回転するため、テープTおよびインクリボンRは同時に走行し、またテープTには走行しながら印刷が行われる。
【0036】
また、テープカートリッジCの裏面には、相異なる幅等のテープTの種別を識別できるように小さな複数の孔が設けられ、カートリッジ装着部7には、この孔の有無を検出するマイクロスイッチなどのテープ識別センサ61(図4参照)が設けられていて、テープTの有無(正確にはテープカートリッジCが装着されているか否か)およびテープTの種別(正確にはテープカートリッジCの種別)を検出できるようになっている。
【0037】
次に図4を参照し、テープ印刷装置1の制御構成について説明する。同図に示すようにテープ印刷装置1は、ユーザインタフェースを司る操作部110と、入力データに基づき印刷を行う印刷部120と、テープTを所定長さとなるように切断する切断部130と、各種検出を行う検出部140と、各部を駆動する駆動部150と、各部と接続され、テープ印刷装置1全体を制御する制御部200とによって構成されている。
【0038】
操作部110は、キーボード4およびディスプレイ6を有し、ユーザによるキャラクタの入力や各種情報の表示などを行う。また印刷部120は、テープカートリッジC、印刷ヘッド11および印刷送りモータ33を有し、テープTおよびインクリボンRを搬送しながらテープT上に入力されたキャラクタに基づき印刷を行う。さらに、切断部130はフルカッタ41、ハーフカッタ42、およびこれらをそれぞれ駆動するフルカッタモータ31、ハーフカッタモータ32を有し、印刷済みであるテープTをフルカットまたはハーフカットする。
【0039】
検出部140は、テープT(テープカートリッジC)の種別を検出するテープ識別センサ61、印刷送りモータ33の回転速度を検出するエンコーダ62、を有し各種検出を行う。
また、駆動部150は、ディスプレイドライバ71、ヘッドドライバ72、印刷送りモータドライバ73、およびカッタモータドライバ74、を備え各部を駆動する。
【0040】
制御部200は、CPU210、ROM220、RAM230および入出力制御装置(以下、「IOC:Input Output Controller」という)240を備え、互いに内部バス250により接続されている。ROM220は、印刷処理等の各種処理をCPU210で制御するための制御プログラムを記憶する制御プログラムブロック221と、印刷を行うための文字フォントデータや制御データ等を記憶する制御データブロック222とを有している。なお、文字フォントデータは、ROM220内ではなく、CG−ROMを別個に備えても良い。
【0041】
RAM230は、フラグ等として使用される各種ワークエリアブロック231の他、キーボード4を介して入力されたキャラクタを一時的に記憶する入力データブロック232と、入力データブロック232内の入力データを展開して生成した印刷データを記憶する印刷データブロック233と、ディスプレイ6に表示するための表示データを記憶する表示データブロック234と、を有し、制御処理のための作業領域として使用される。また、RAM230は電源が切断されても記憶したデータを保持しておくように常にバックアップされている。
【0042】
IOC240には、CPU210の機能を補うと共に各種周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成されて組み込まれている。これにより、IOC240は、キーボード4からの入力データや制御データをそのまま或いは加工して内部バス250に取り込むと共に、CPU210と連動して、CPU210から内部バス250に出力されたデータや制御信号を、そのまま或いは加工して駆動部150に出力する。
【0043】
そして、CPU210は、上記の構成により、ROM220内の制御プログラムに従って、IOC240を介してテープ印刷装置1内の各部から各種信号・データを入力する。また、入力した各種信号・データに基づいてRAM230内の各種データを処理し、IOC240を介してテープ印刷装置1内の各部に各種信号・データを出力することにより、印刷処理の制御などを行う。
【0044】
具体的に説明すると、CPU210は、ユーザによりキーボード4を介してキャラクタが入力されると、入力されたキャラクタを一時的に入力データブロック232に一時的に記憶する。そして、キーボード4を介して印刷指示を取得すると、入力データブロック232に記憶したデータを展開して印刷データを生成し印刷データブロック233に記憶すると共に、印刷送りモータ33の駆動を開始し、エンコーダ62の検出結果に応じて印刷ヘッド11を駆動することにより、印刷データブロック233内の印刷データに基づいて印刷を行う。その後、印刷データに基づく所定長さのテープ送りを行った後、必要に応じてハーフカッタ42によりハーフカットを行った後フルカッタ41によりテープ後端部を切断しテープ排出口8から印刷済テープTを排出する。
【0045】
ここで、本発明のテープTについて、図5を参照して説明する。
図5(a)〜(c)は、テープTの断面図を示している。テープTは、表面を記録面とする記録テープ層80と、記録テープ層80の裏面に貼着した透明な擬似ラミネート層90を備えている。記録テープ層80および透明な擬似ラミネート層90は、PET(ポリエチレンテレフタレート)材等の薄手のテープ材で構成されている。なお、図示は省略するが、テープTにはテープ幅の異なる複数種の印刷テープが用意されている。
【0046】
記録テープ層80表面は、インクIののりを良好にすべく、コーティング処理されて記録面を構成すると共に、テープ幅方向上下2箇所に、テープ長さ方向に沿って互いに平行な長辺方向カット線L1、L1が入れられている。そして、その長辺方向カット線L1、L1によって記録テープ層80は表面が印刷領域となる印刷記録片81と、後述する粘着剤層91の剥離片となる一対の切離し片82、82とに分離可能に構成されている(同図(b)参照)。
一方、擬似ラミネート層90は、その表面側に粘着剤層91を、裏面側に透明テープ層92を備えており、印刷が為された後のテープTを表裏反転することによって、印刷記録片81表面に構成された記録面に対し透明テープ層92がラミネートテープとして機能する(同図(c)参照)。
【0047】
また、切離し片82、82それぞれの表面には、切離し片82、82を引き剥がす旨の操作情報が印刷されている(図5(d)参照)。これにより、誤った剥離操作を防ぐことができる。なお、切離し片表面に印刷された操作情報は、テープ印刷装置1によって印刷することも可能である。さらに、長辺方向カット線L1は1本のみでもよい。この構成では、印刷/切断後の印刷テープにおいて、テープ幅方向上下どちらかのみを接着させることにより、付箋等に用いることが考えられる。
【0048】
ここで、本発明のテープ印刷装置1による、テープTに対して印刷を行うラミ印刷機能について図6を参照して説明する。
まず、通常の編集画面(画面D1)において、ユーザがキャラクタ(本実施形態では「ラミネート」とする)を入力し、印刷ボタンを押下する。すると、上記したようにテープ印刷装置1は、検出部140のテープ識別センサ61によってテープT(テープカートリッジC)の種別を検出するので、テープ印刷装置1は、テープTが擬似ラミネートテープであることを検出し、テープ幅方向の印刷領域(印刷幅領域)を印刷記録片81の幅Ph1(同図下部参照)に設定する。そして、キャラクタ列(「ラミネート」)を左右反転する反転印刷(鏡像印刷)を実行するか否かを選択する画面を表示する(画面D2)。
【0049】
反転印刷(鏡像印刷)を実行するか否かを選択する画面において、反転印刷(鏡像印刷)がユーザによって指示されると(画面D2:する)、CPU210は入力データブロック232に記憶した入力データ、すなわちキャラクタ列「ラミネート」を左右反転させて印刷データを生成する処理を行う(同図右参照)。なお、透明なガラス越しに視認させるべく、ガラスの内側にテープTを貼着する場合には、反転印刷を実行せずに通常の正像印刷を行えばよい。一方、表示画面では、次にハーフカットを行うか否かを選択する画面を表示する(画面D3)。このハーフカット処理は、キャラクタ列の列方向外側に位置し、記録テープ層80をテープ幅方向に沿って切断して短辺方向カット線L2を形成する処理である。ユーザによってハーフカットを行うことが選択されると(画面D3:する)、さらにハーフカットを行う位置を選択する画面(画面D4)を表示する。
【0050】
ハーフカットを行う位置として、キャラクタ列の「両側」、「左側」、「右側」のうち1つを選択することができる(画面D4では「両側」を選択)。そして、ユーザによってハーフカットの位置が選択されると、印刷装置1は、印刷処理を開始しその後テープTをハーフカット、フルカットの順に切断し排出する。
図6下部に示すテープT1は、キャラクタ列「ラミネート」が、印刷記録片81表面に左右反転して印刷され(鏡像印刷)、ハーフカットによりキャラクタ列方向外側の2箇所に短辺方向カット線L2、L2が入れられた後、フルカットされ排出された印刷テープである。
【0051】
また、テープ印刷装置1は、キャラクタ列の印刷と併行して剥離操作に関する操作情報を捨て代(以下ハーフカットしろ83、83と記載)に印刷する。テープ印刷装置1は、上記したROM220内に操作情報として印刷するデータを備えており、短辺方向カット線L2、L2の位置に基づきハーフカットしろ83、83に操作情報の印刷を行う。操作情報としては、文字はもちろん記号や地紋などの模様を印刷することも可能である(図では網掛けを印刷)。なお、切離し片82、82に印刷する操作情報をテープ印刷装置1が印刷することも可能である。
【0052】
テープ印刷装置1は、印刷幅領域を印刷記録片81の幅Ph1として設定するとともに、入力されたキャラクタ列「ラミネート」を印刷幅領域Ph1においてセンタリングして印刷する。また、キャラクタ列「ラミネート」の前後に幅長がPw1、Pw2となる前余白および後余白を付加して印刷する(実際には余白長分テープ送りが行われる)。前余白の幅長Pw1および後余白の幅長Pw2はユーザが自在に指定可能に構成されており、余白長に関する余白データも上記した印刷データブロック233に記憶している。
【0053】
また、印刷テープTにおいて、印刷記録片81の幅長Ph1と、切離し片82、82の幅長Ph2とは、その比率が略2:1の割合になっている。これにより、印刷領域とのりしろとが適度の比率で形成されている。さらに、ハーフカットによって形成された短辺方向カット線L2、L2により、幅長がPw3となるハーフカットしろ83、83が一対に形成されている。なお、ハーフカットしろ83、83の幅長Pw3は、切離し片82、82の幅長Ph2の略2倍となるようハーフカットが行われる。これは、切離し片82、82と比較して長辺方向の長さが短いハーフカットしろ83、83の接着力を強めるためである。
【0054】
なお、ハーフカットしろ83、83の幅長Pw3も余白長同様ユーザが直接指定する構成でもよい。しかしこの場合、ハーフカットしろ幅長Pw3の最小値を予め装置側で設定しておく必要がある。
さらに、ハーフカットを行う位置をユーザが直接指定する方法でもよい。例えば、前余白または後余白の端から「10mm」といった数値入力により指定してもよい。
【0055】
次に、印刷/切断済みのテープT1の剥離操作および貼着操作に関し図7を参照して説明する。
まず、切離し片82、82を、擬似ラミネート層90表面の粘着剤層91からそれぞれ引剥がし、長辺方向カット線L1、L1に沿って切離す(同図(a)参照)。さらに、ハーフカットしろ83、83を擬似ラミネート層90表面の粘着剤層91からそれぞれ引剥がし、短辺方向カット線L2、L2に沿って切離す(同図(b)参照)。次に、粘着剤層91が露出した状態のテープT1を左右に表裏反転させ(同図(c)参照)、粘着剤層91を接着面として貼着対象物に貼着する(同図(d)参照)。貼着された状態で、キャラクタ列「ラミネート」が印刷された記録面は、擬似ラミネート層90の透明テープ層92によってラミネートされている。
【0056】
なお、短辺方向カット線L2、L2を形成するハーフカット処理を行わない構成でもよい。ハーフカット処理を行わない場合、ハーフカットしろ83、83が形成されないので、ハーフカット処理を行った場合と比べてテープTの接着力は弱まるもののテープTの長さを節約できるという利点がある。
【0057】
なお、ハーフカットしろ83、83を形成する短辺方向カット線L2、L2は、切離し片82、82を除いて形成してもよい。すなわち印刷記録片81のみをハーフカットする構成でもよい。これにより、長辺方向カット線L1、L1と短辺方向カット線L2、L2とが交差することがないので剥離操作が容易となる。この場合、本実施形態のハサミ形式のハーフカッタに代えてスライド形式のハーフカッタを用いると制御が容易となる。
【0058】
また、本発明の印刷テープTに印刷を行う場合、通常印刷、左右反転印刷(鏡像印刷)に加え、キャラクタを1キャラクタずつ上下反転させて印刷する上下反転印刷を行ってもよい。この場合、印刷/切断済みのテープTを上下方向に表裏反転して貼着することにより、貼着した状態で印刷されたキャラクタが正方向(正像)となり容易に視認可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】テープ印刷装置の外観斜視図である。
【図2】ハーフカッタの正面図である。
【図3】テープカートリッジの平面図である。
【図4】テープ印刷装置の制御ブロック図である。
【図5】印刷テープの断面図および平面図である。
【図6】テープ印刷装置のラミネート印刷における画面遷移図である。
【図7】印刷テープの剥離および貼着操作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1 テープ印刷装置 4 キーボード
11 印刷ヘッド 41 フルカッタ
42 ハーフカッタ 80 記録テープ層
81 印刷記録片 82 切離し片
83 ハーフカットしろ 90 擬似ラミネート層
91 粘着剤層 92 透明テープ層
C テープカートリッジ L1 長辺方向カット線
L2 短辺方向カット線 R インクリボン
T 印刷テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に記録面を形成した透光性の記録テープ層と、前記記録テープ層の裏面に貼着した透光性の擬似ラミネート層とを備えた印刷テープであって、
前記擬似ラミネート層は、表面側の粘着剤層と裏面側の透明テープ層とを有し、
前記記録テープ層は、前記記録面のテープ長方向に沿って形成された長辺方向カット線により分断された、表面が印刷領域となる印刷記録片と、前記粘着剤層から剥離される切離し片とを有し、
前記切離し片を除去した後の記録テープ層と、前記擬似ラミネート層とを共に表裏反転して貼着対象物に貼着することにより、当該擬似ラミネート層が前記記録面のラミネートテープとして機能することを特徴とする印刷テープ。
【請求項2】
前記長辺方向カット線は、平行な2本のカット線で構成されており、
当該長辺方向カット線により、前記印刷記録片とこれを挟んで一対の前記切離し片が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷テープ。
【請求項3】
前記印刷記録片の幅と前記切離し片の幅とが、略2:1の比率であることを特徴とする請求項2に記載の印刷テープ。
【請求項4】
前記切離し片の表面には、剥離操作に関する操作情報が印刷されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の印刷テープ。
【請求項5】
ロール状に巻回した請求項1ないし3のいずれか1項に記載の印刷テープと、
前記印刷テープを繰出し自在に収容したカートリッジケースと、を備えたことを特徴とするテープカートリッジ。
【請求項6】
ロール状に巻回した請求項4に記載の印刷テープと、
前記印刷テープを繰出し自在に収容したカートリッジケースと、を備えたことを特徴とするテープカートリッジ。
【請求項7】
請求項5に記載のテープカートリッジが着脱自在に装着されると共に、当該テープカートリッジから繰出される印刷テープに対し印刷を行うテープ印刷装置であって、
前記記録面に印刷するための1以上のキャラクタから成るキャラクタ列を入力する入力手段と、
入力された前記キャラクタ列を左右反転させるデータ反転手段と、
前記データ反転手段によって左右反転した前記キャラクタ列を前記印刷領域に印刷する印刷手段と、を備えたことを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項8】
前記キャラクタ列が印刷された前記印刷テープの印刷済み部分を切離すフルカット手段と、
前記印刷済み部分における前記キャラクタ列の列方向外側に位置して、前記記録テープ層をテープ幅方向に沿って切断して短辺方向カット線を形成するハーフカット手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項7に記載のテープ印刷装置。
【請求項9】
前記印刷手段は、前記キャラクタ列の印刷に併行して、前記短辺方向カット線により形成される捨て代および/または前記切離し片の表面に剥離操作に関する操作情報を印刷することを特徴とする請求項7または8に記載のテープ印刷装置。
【請求項10】
前記操作情報は、文字情報、記号情報、地紋情報のうち少なくとも1の情報であることを特徴とする請求項9に記載のテープ印刷装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−21432(P2006−21432A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−201693(P2004−201693)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】