説明

印刷制御装置および印刷制御方法

【課題】印刷を希望する画像として指定された印刷対象画像を印刷するための画像処理が開始されるまでの時間を短縮し、結果として実際の印刷処理が開始されるまでの待ち時間を短縮する。
【解決手段】印刷の開始を示す印刷実行指示が発生する前に、前処理を先行して実行する先行処理実行部による前処理の先行処理動作を管理するとともに、得られた先行処理結果を管理する先行処理管理部は、印刷対象画像についての画像処理が、印刷対象画像の要求印刷枚数に対応する回数実行されるまで、印刷対象画像に対応する前処理の先行処理結果を保持する。印刷実行指示が発生した際に画像処理を実行する画像処理部は、印刷対象画像の要求印刷枚数に対応する回数の画像処理が終了するまで、印刷対象画像に対応する前処理の先行処理結果を用いて各回の前記画像処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタルカメラ等の撮像装置によって撮像された画像を印刷するための画像処理に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディジタルカメラ等の撮像装置によって撮像されてメモリカード等の記憶媒体に格納されている画像データを、パーソナルコンピュータを介さずに直接プリンタに読み込んで、読み込んだ画像データの表す画像の印刷を行うことができるプリンタや、ディジタルカメラ等の撮像装置から画像データを直接プリンタに読み込んで、読み込んだ画像データの表す画像の印刷を行うことができるプリンタが普及しつつある。なお、以下では、このような撮像装置によって撮像された画像を「フォト画像」とも呼び、このフォト画像を表す画像データを「フォト画像データ」とも呼ぶ。また、上記のようなフォト画像を印刷することができるプリンタを、「フォトプリンタ」とも呼ぶ。さらに、また、記憶媒体に格納されている画像データを、パーソナルコンピュータを介さずに直接プリンタに読み込んで、読み込んだ画像データの表す画像を印刷するモードを「カード印刷」とも呼ぶ。
【0003】
上記のようなフォトプリンタでは、フォト画像を印刷するために実行する画像処理の一つとして、適切な印刷結果が得られるように、あらかじめ、読み込んだフォト画像データに対して種々の補正処理を行っている。このようなフォト画像データに対する補正技術としては、例えば特許文献1に記載の技術が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−165647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなフォトプリンタでは、補正処理を行うための前処理として、まず、フォト画像データを読み込んで、読み込んだフォト画像データから所定の割合で画素データのサンプリングを行ってヒストグラムを作成し、作成したヒストグラムに基づいて統計処理を行って、画像の特徴を示す特徴量を求めることにより、補正パラメータを決定している。そして、フォト画像を印刷するために実行する画像処理において、決定した補正パラメータに基づいてフォト画像データに対する補正処理を行っている。また、顔認識処理を行って、フォト画像中に人物の顔の存在を認識し、これに応じた補正パラメータを決定して補正処理を行う場合もある。さらに、また、フォト画像中の人物の目が赤目になっている場合において、赤目解析処理を行って、これに応じた補正パラメータを決定して補正処理を行う場合もある。
【0006】
従って、1枚のフォト画像を印刷する場合において、上記補正処理を含む画像処理の前に、補正パラメータを求めるための前処理を実行する必要がある。このため、印刷を希望するフォト画像を指定した後、印刷の実行を指示してから、実際に、その指定したフォト画像データに対する画像処理が開始されるまでに、前処理を開始してから前処理が終了するまでの待ち時間が発生し、結果として、実際の印刷処理が開始されるまでの待ち時間が長くなるという問題がある。
【0007】
また、フォト画像データは、通常は、所定の圧縮形式、例えば、JPEG(Joint Photographic Coding Experts Group)形式により圧縮されている。このため、上記画像処理や前処理を実行する前に、JPEG形式で圧縮されているフォト画像データを展開処理する必要があり、これにより、さらに、いっそう待ち時間が長くなる。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、印刷を希望する画像として指定された印刷対象画像を印刷するための画像処理が開始されるまでの時間を短縮し、結果として実際の印刷処理が開始されるまでの待ち時間を短縮することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の態様は、
印刷を希望する画像として指定された印刷対象画像について、前記印刷対象画像の画質を補正するための補正パラメータを決定する前処理と、前記印刷対象画像の印刷のために、前記前処理の結果を用いて実行する画像処理と、を行う印刷制御装置であって、
印刷の開始を示す印刷実行指示が発生する前に、前記前処理を先行して実行する先行処理実行部と、
前記先行処理実行部による前記前処理の先行処理動作を管理するとともに、得られた先行処理結果を管理する先行処理管理部と、
前記印刷実行指示が発生した際に前記画像処理を実行する画像処理部と、
前記画像処理部による前記画像処理動作を管理する画像処理管理部と、
を備え、
前記先行処理管理部は、前記印刷対象画像についての前記画像処理が、前記印刷対象画像の要求印刷枚数に対応する回数実行されるまで、前記印刷対象画像に対応する前記前処理の先行処理結果を保持し、
前記画像処理部は、前記印刷対象画像の要求印刷枚数に対応する回数の前記画像処理が終了するまで、前記印刷対象画像に対応する前記前処理の先行処理結果を用いて各回の前記画像処理を実行する、
ことを特徴とする。
【0010】
上記印刷制御装置によれば、印刷対象画像についての画像処理が印刷対象画像の要求印刷枚数に対応する回数実行されるまで、印刷対象画像に対応する前処理の先行処理結果を保持し、印刷対象画像の要求印刷枚数に対応する回数の画像処理が終了するまで、印刷対象画像に対応する前処理の先行処理結果を用いて各回の画像処理を実行することができる。これにより、印刷対象画像の要求印刷枚数に対応する回数の各画像処理において、先行処理結果を利用することができるため、要求印刷枚数に対応する回数の各画像処理の前に、毎回前処理をする必要がなく、印刷を希望する画像として指定された印刷対象画像を印刷するための画像処理が開始されるまでの時間を短縮し、結果として実際の印刷処理が開始されるまでの待ち時間を短縮することが可能となる。
【0011】
上記印刷制御装置において、前記先行処理管理部は、前記印刷対象画像の要求印刷枚数に相当する印刷回数を設定した後、前記画像処理管理部から前記画像処理部に対しての前記画像処理の終了指示に応じてなされる前記画像処理部からの指示に従って、前記印刷回数を1ずつ減算し、前記印刷回数が0になるまで、前記印刷対象画像に対応する前記前処理の先行処理結果を保持することが好ましい。
【0012】
上記印刷制御装置によれば、印刷対象画像についての画像処理が、印刷対象画像の要求印刷枚数に相当する回数実行されるまで、印刷対象画像に対応する前処理の先行処理結果を保持する構成を、容易に実現することが可能となる。
【0013】
本発明は、上記印刷制御装置としての構成のほか、画像処理装置として構成することもできる。また、これら装置発明の態様に限ることなく、印刷制御方法、画像処理方法といった方法発明の態様で実現することも可能である。なお、方法発明の態様においても、先に示した種々の付加的要素を適用することが可能である。さらには、それら方法や装置を実現するコンピュータプログラム、およびそのプログラムを記録した記録媒体、そのプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号など種々の態様で実現することが可能である。なお、それぞれの態様において、先に示した種々の付加的要素を適用することが可能である。
【0014】
本発明をコンピュータプログラムまたはそのプログラムを記録した記録媒体等として構成する場合には、印刷制御装置や画像処理装置の動作を制御するプログラム全体として構成するものとしてもよいし、本発明の機能を果たす部分のみを構成するものとしてもよい。また、記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置などコンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき以下の順序で説明する。
A.印刷制御装置の構成および動作概要:
B.画像処理実行時における前処理先行処理結果管理動作:
【0016】
A.印刷制御装置の構成および動作概要:
図1は、本発明の一実施例としての印刷制御装置10の構成例を示す機能ブロック図である。この印刷制御装置10は、複数のプロセッサを備えるマルチプロセッサシステムを、1つの半導体基板上に集積化したマイクロプロセッサである。各プロセッサは、それぞれ、CPUや、メモリ、バスコントローラ等の周辺回路を含むユニットを意味している。なお、本実施例では、図1に示すように、1つのメインプロセッサ100と、4つのサブプロセッサ200A〜200D(図中、「サブプロセッサ1」〜「サブプロセッサ4」と表記されている。)と、を備える場合を例に示している。また、印刷制御装置10は、複数のプロセッサの他、印刷機構部20の動作を制御する回路である機構制御部300や、操作部30による入力動作を制御する回路である入力I/F部400、表示装置である液晶パネル(LCD)40による表示動作を制御するLCDコントローラ500、カードスロット50に装着されるメモリカード52からのデータの読み取り動作を制御する回路であるカードI/F部600、専用メモリ60に対するメインプロセッサ100からのアクセスを制御する専用メモリコントローラ700、共有メモリ70に対する各プロセッサ100,200A〜200Dからのアクセスを制御する共有メモリコントローラ800等の種々の周辺回路を備えている。なお、本発明に特に関係のない周辺回路については図示を省略している。
【0017】
印刷制御装置10を構成する各プロセッサは、専用メモリ60に格納されている各プロセッサ用の所定のプログラムを読み出して実行することにより、それぞれ対応する各機能ブロックとして動作する。具体的には、メインプロセッサ100は、専用メモリ60に格納されているメインプロセッサ100のためのプログラムを読み出して実行することにより、以下で説明する機能ブロックとして動作する。また、各サブプロセッサ200A〜200Dは、メインプロセッサ100のためのプログラムが読み出される際に、専用メモリ60から読み出されて共有メモリ70に格納されているプログラムを、共有メモリ70から読み出して実行することにより、それぞれ、以下で説明する機能ブロックとして動作する。
【0018】
メインプロセッサ100は、印刷処理動作を全体として制御する機能ブロック(以下、「印刷制御部」と呼ぶ。)として動作する。なお、以下では、メインプロセッサ100を、「印刷制御部100」とも呼ぶ。
【0019】
印刷制御部100は、具体的には、ファイルアクセス部110、ユーザインタフェース部(「UI部」とも呼ぶ。)120、先行処理管理部130、先行処理実行部140、カード印刷制御部150、画像処理管理部160、画像処理部170、印刷イメージ処理部180、および、印刷処理部190の各機能ブロックに区分される。
【0020】
ファイルアクセス部110は、メモリカード52に格納されているフォト画像データの読み出しを制御する。
【0021】
UI部120は、印刷を希望するフォト画像を印刷対象画像として選択するための選択画面をLCD40に表示する。
【0022】
図2は、LCD40に表示される選択画面の一例を示す説明図である。図2に示すように、LCD40には、印刷対象となるフォト画像(写真)を選択するための選択画面500Mが表示されており、この選択画面500M中のプレビュー表示欄502に、プレビュー処理された印刷候補画像データの表す印刷候補画像がプレビュー表示される。なお、プレビュー表示される印刷候補画像の変更は、図2に示す選択ボタン506P,506N(操作部30の所定のボタンに対応する。また、選択ボタン506Pは前側の選択に対応し、選択ボタン506Nは後側の選択に対応する。)が操作されて、現在表示されている印刷候補画像としてのフォト画像よりも前あるいは後のフォト画像の選択がなされることにより、実行される。このとき、UI部120は、フォト画像データとしてメモリカード52に格納されているフォト画像を印刷候補画像としてLCD40の選択画面中に表示するための画像処理の依頼を画像処理管理部160に指示し、LCD40の選択画面中に表示する。
【0023】
次に、UI部120は、ユーザが操作部30を操作して、選択画面中に表示したフォト画像の印刷枚数を設定することにより、印刷対象画像として指定する。なお、印刷対象画像としての指定は、具体的には、図2に示す枚数指定ボタン508U,508D(操作部30の所定のボタンに対応し、枚数指定ボタン508Uが枚数増加指定ボタンであり、枚数指定ボタン508Dが枚数減少指定ボタンである。)のうち、枚数指定ボタン508Dを操作して、印刷枚数が印刷を希望する要求印刷枚数として0枚から1枚以上に設定されることにより、実行される。
【0024】
そして、UI部120は、ユーザが操作部30を操作することによって印刷の実行を指示すると、具体的には、図2に示す印刷開始ボタン510を操作して印刷開始を指示すると、これに従って、印刷の実行をカード印刷制御部150に指示する。
【0025】
先行処理管理部130は、UI部120からの前処理先行処理依頼を受けて、先行処理実行部140に前処理の実行を指示するとともに、UI部120からの印刷対象画像指定通知を受けて、後述するように、通知を受けた印刷対象画像についての前処理の先行処理結果を管理する。
【0026】
なお、UI部120からの前処理先行処理依頼は、プレビュー表示する印刷候補画像を選択した際に発行され、UI部120からの印刷対象画像指定通知は、プレビュー表示されている印刷候補画像が印刷対象画像として設定された際に、通知される。ただし、印刷対象画像指定通知によって、前処理先行処理依頼がなされることとしてもよい。
【0027】
また、前処理の先行処理結果は、前処理の先行処理結果を保存するための領域として、あらかじめ専用メモリ60に所定数確保されている処理結果保存領域に保存され、専用メモリ60に保存されている先行処理結果管理リストによって、管理される。
【0028】
図3は、先行処理結果管理リストについて示す説明図である。図8(A)に示すように、先行処理結果管理リストは各処理結果保存領域に対応する管理領域を備えており、各管理領域では、処理結果保存領域の識別情報と、その処理結果保存領域に割り当てられた印刷対象画像を示すファイル名と、印刷回数と、が管理される。
【0029】
ここで、印刷回数は、印刷の実行が指示された際に、カード印刷制御部150から画像処理管理部160に対して画像処理の実行が指示される際に、カード印刷制御部150から先行処理管理部130に対しては、画像処理が指示される印刷対象画像についての印刷枚数が要求印刷枚数として通知され、図8(A)に示すように、対応する印刷対象画像の管理領域における印刷回数設定欄に印刷回数として設定される。例えば、図8(A)では、UI部120における画像ファイル名「A」の印刷対象画像についての印刷枚数が「3枚」に設定されることにより、対応する管理領域の印刷回数設定欄に印刷回数が「3回」に設定されている例を示している。
【0030】
なお、図8(A)の例では、説明を容易にするため、4つの管理領域を備える場合を例に示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、8,16,32等の種々の数の管理領域を素亜ネル構成とすることができる。この管理領域の数は、同時に印刷の実行を指定可能とする印刷対象画像の画像数をいくつにするかに依存して決定される。
【0031】
先行処理実行部140は、先行処理管理部130からの前処理の先行処理の実行指示に従って、後述する画像処理における補正処理で利用される補正パラメータを求めるための前処理の先行処理を実行する。なお、前処理には、印刷対象画像の特徴を示す特徴量としての最大輝度、最小輝度、平均輝度、中央輝度等を求めるための統計処理や、顔の存在を調べる顔認識処理、赤目を補正するための赤目解析処理等の少なくとも一つが含まれている。本例では、統計処理、顔認識処理、赤目解析処理の全てを行うこととする。また、通常の前処理では、統計処理や顔認識処理において、印刷対象画像データを所定の割合でサンプリングすることにより作成したヒストグラムに基づいて実行するため、本例の前処理は、このサンプリング処理も含むものとして説明する。
【0032】
カード印刷制御部150は、UI部120からの印刷対象画像についての印刷実行の指示を受けると、実行指示を受けた印刷対象画像の要求印刷枚数を先行処理管理部130に対して通知するとともに、画像処理管理部160に対して、印刷対象画像について1枚ごとに、画像処理の開始を指示する。そして、カード印刷制御部150は、指示していた印刷対象画像についての画像処理が終了すると、その終了通知を画像処理管理部160から受け取る。このとき、その印刷対象画像について設定された要求印刷枚数に等しい回数の画像処理が実行されていない場合には、同じ印刷対象画像についての画像処理の開始を画像処理管理部160に対して指示し、同様の処理を繰り返す。一方、要求印刷枚数に等しい回数の画像処理が実行された後である場合において、他の印刷対象画像についての印刷実行指示を受けているときには、その印刷対象画像についての画像処理の開始を指示し、他の印刷対象画像についての印刷実行指示を受けていないときには、UI部120に対して指示を受けた印刷対象画像についての処理の終了を通知する。
【0033】
また、カード印刷制御部150は、その他、上記のようにして画像処理管理部160によって得られた画像処理結果を用いて印刷イメージ処理部170により実行される印刷イメージデータの生成処理、および、生成された印刷イメージデータを用いて印刷処理部190による印刷処理を制御し、印刷対象画像についての印刷を実行する。
【0034】
画像処理管理部160は、カード印刷制御部150からの画像処理の開始指示を受けて、画像処理部170に対して画像処理の開始を通知し、その応答を待って、実際の画像処理の実行を指示することにより、画像処理部170で実行する画像処理の動作を制御する。
【0035】
画像処理部170は、印刷のための画像処理を実行する。
【0036】
なお、メモリカード52に格納されているフォト画像データは、例えば、JPEG形式の圧縮データである。そこで、画像処理部170は、本処理の一つとして、メモリカード52から読み出した印刷対象画像データを、RGB形式の画像データに展開処理するデコード処理を実行する。
【0037】
また、画像処理部170は、上記デコード処理のほか、印刷対象画像データを展開処理することにより得られた画像データ(「原画像データ」あるいは「展開画像データ」とも呼ぶ)に対して、前処理の先行処理によって得られた先行処理結果に含まれる補正パラメータに基づいて、色補正、明るさ補正、コントラスト補正、彩度補正、ノイズ除去、平滑化、輪郭補正等の種々の補正処理うち、少なくとも一つを施す画像補正処理を実行する。さらに、また、画像処理部170は、印刷対象画像データの解像度を変換する解像度変換処理、印刷対象画像データの表す画像を印刷媒体上の実際の印刷位置に配置した画像データ(「レイアウト画像データ」とも呼ぶ。)を生成するレイアウト処理実行する。
【0038】
なお、画像処理部170は、実際には、上記画像処理を実行せず、後述するように、画像処理制御部として動作する第1のサブプロセッサ200Aに対して、具体的な処理を指示し、指示のあった処理に対応する機能ブロックとして動作する第1のサブプロセッサ200A〜第3のサブプロセッサ200Cが、その処理を実行する。
【0039】
印刷イメージ処理部180は、カード印刷制御部150の制御下で、画像処理部170において画像処理が施された画像データに基づいて、印刷イメージデータを生成する。印刷イメージデータとは、印刷媒体上に実際に画像を印刷するために用いられるデータであり、例えば、インクジェット形式の印刷装置の場合には、印刷媒体上のドットの配置を表す2値データを意味している。ただし、印刷イメージ処理部180は、画像処理部170と同様に、自身が実際に印刷イメージデータの生成を実行するのではなく、印刷イメージ処理実行部として動作する第4のサブプロセッサ200Dに対して、印刷イメージデータの生成処理を指示することにより、第4のサブプロセッサ200Dが印刷イメージデータの生成を実行する。
【0040】
印刷処理部190は、カード印刷制御部150の制御下で、印刷イメージ処理部180で生成された印刷イメージデータに基づいて、機構制御部300を介して印刷機構部20を制御することにより、実際の印刷を実行する。
【0041】
第1のサブプロセッサ200Aは、画像処理部170からの指示に従って画像処理動作を制御する機能ブロック(画像処理制御部)として動作する。なお、以下では、第1のサブプロセッサ200Aを、「画像処理制御部200A」とも呼ぶ。
【0042】
第2のサブプロセッサ200Bは、画像処理制御部200Aからの指示に従って、JPEG形式の画像データのデコード処理(「画像展開処理」とも呼ぶ。)を実行する機能ブロック(以下、「デコード処理実行部」あるいは「画像展開部」と呼ぶ。)として動作する。なお、以下では、第2のサブプロセッサ200Bを、「デコード処理実行部200B」と呼ぶ場合もある。
【0043】
デコード処理実行部200Bは、画像処理部170から画像処理制御部200Aを介してデコード処理が指示された場合に、実際に画像デコード処理を実行する。
【0044】
第3のサブプロセッサ200Cは、先行処理結果としての補正パラメータを用いて、画像処理制御部200Aからの指示に従って、画像補正処理を実行する機能ブロック(以下、「補正処理実行部」と呼ぶ。)として動作する。なお、以下では、第3のサブプロセッサ200Cを、「補正処理実行部200C」とも呼ぶ。
【0045】
第4のサブプロセッサ200Dは、上述したように、画像処理部170において画像処理が施された画像データに基づいて、印刷イメージデータを生成する処理を実行する機能ブロック(印刷イメージ処理実行部)として動作する。なお、以下では、第4のサブプロセッサ200Dを、「印刷イメージ処理実行部200D」とも呼ぶ。
【0046】
なお、カード印刷制御部150から指示された要求枚数の印刷対象画像について、画像処理管理部160が画像処理部170に対して1枚ごとに指示することにより開始された画像処理の終了は、画像処理管理部160が具体的に指示する、デコード処理、画像補正処理、解像度変換処理、レイアウト処理等の各種画像処理の終了通知を受けた後で、画像処理管理部160が画像処理部170に対して画像処理の終了を指示して、画像処理部170から先行処理管理部130に対してその印刷対象画像についての先行処理結果の管理の終了が指示され、先行処理管理部130から画像処理部170に対して応答通知が返され、画像処理部170から画像処理管理部160に対して応答通知が返されることにより、実行される。
【0047】
ところで、本発明の特徴は、印刷の実行が指示されたときに、画像処理管理部130が、印刷実行指示がされた印刷対象画像について実行された前処理の先行処理結果を、要求印刷枚数に等しい回数の画像処理が実行されるまで保持し、各画像処理においてその前処理先行処理結果を用いることができる点にある。そこで、以下では、先行処理管理部130における前処理の先行処理結果管理動作について説明する。
【0048】
B.画像処理時前処理先行処理結果管理動作:
図4は、先行処理管理部130において、画像処理実行時に実施される前処理の先行処理結果についての管理処理について示す説明図である。カード印刷制御部から印刷対象画像についての印刷枚数が通知されると、図3に示す処理が実行される。
【0049】
まず、先行処理結果管理リスト中の印刷対象画像に対応する印刷回数設定欄にカード印刷制御部150から通知された印刷枚数(要求印刷枚数)を印刷回数として設定する(ステップS110)。図3(A)は、画像ファイル名「A」のフォト画像が印刷対象画像として設定され、印刷枚数として「3枚」が設定されて、印刷実行指示がなれた場合を例に示している。
【0050】
次に、画像処理部170から、画像処理が実行されている印刷対象画像に対応する先行処理結果の管理の終了指示が有るまで待機する(ステップS120)。終了指示があった場合には(ステップS120:YES)、先行処理結果管理リストに設定されている印刷対象画像の印刷回数を1減算し(ステップS130)、印刷対象画像の印刷回数が「0回」であるか否か判断する(ステップS140)。
【0051】
印刷対象画像の印刷回数が「0回」でない場合には(ステップS140:NO)、そのまま、画像処理部170に対して、応答通知を返し(ステップS150)、ステップS120に戻って、そのままこの管理処理動作を継続する。
【0052】
一方、例えば、図3(B)に示すように、印刷対象画像の印刷回数が「0回」となった場合には(ステップS140:YES)、印刷対象画像に対応する先行処理結果を破棄し(ステップS160)、例えば、図3(C)に示すように、その管理領域を空き管理領域とする。そして、画像処理部170に対して、応答通知を返し(ステップS170)、この管理処理動作を終了する。
【0053】
以上説明したように、上記実施例の印刷制御装置10では、カード印刷制御部150からの指示に従って画像処理管理部160の管理の下、画像処理部170によって印刷対象画像についての画像処理が実行されている際に、先行処理管理部130において、カード印刷制御部150から通知された印刷対象画像の印刷枚数(要求印刷枚数)に対応する回数の画像処理が終了するまで、その印刷対象画像に用いられる前処理の先行処理結果を保持しておき、1回ごとの画像処理において、その保持している先行処理結果を用いて画像処理を実行することができる。これより、あう1つのフォト画像を印刷対象画像として、複数枚の印刷を実行する場合において、先行処理結果を利用することにより、毎回前処理の実行後に画像処理を実行する場合に比べて、前処理のための待ち時間を短縮することができ、結果として、実際の印刷処理が開始されるまでの待ち時間を短縮することができる。
【0054】
また、画像処理管理部160が画像処理部170に対して指示することにより開始された画像処理の終了は、画像処理管理部160が具体的に指示する、デコード処理、画像補正処理、解像度変換処理、レイアウト処理等の各種画像処理の終了通知を受けた後で、画像処理管理部160が画像処理部170に対して画像処理の終了を指示して、画像処理部170から先行処理管理部130に対してその印刷対象画像についての先行処理結果の管理の終了が指示され、先行処理管理部130から画像処理部170に対して応答通知が返され、画像処理部170から画像処理管理部160に対して応答通知が返されることにより、実行することができるので、複数枚の要求印刷枚数のうち、2枚目以降の画像処理において、例えば、1回目に得られたデコード結果を利用することにより、画像処理管理部160が、デコード処理を省略することができるような場合において、このデコード処理とは独立して、画像処理管理部160が指示した画像処理の終了指示に従って、先行処理管理部130における印刷回数の減算処理を実行することができ、先行処理結果の管理を確実に行うことが可能である。
【0055】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
【0056】
上記実施例では、印刷制御装置10は、画像処理制御部200A、デコード処理実行部200B,補正処理実行部200C、および、印刷イメージ処理実行部200Dを、それぞれ、CPUや、メモリ、バスコントローラ等の周辺回路を含むプロセッサユニットにより構成し、それぞれ、対応するプロセッサ用のプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することにより実現する場合を例に説明したが、それぞれ、あるいは、一部をハードウェアにより構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施例としての印刷制御装置10の構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】LCD40に表示される選択画面の一例を示す説明図である。
【図3】先行処理結果管理リストについて示す説明図である。
【図4】先行処理管理部130において画像処理実行時に実施される前処理の先行処理結果についての管理処理について示す説明図である。
【符号の説明】
【0058】
10…印刷制御装置
20…印刷機構部
30…操作部
40…液晶パネル(LCD)
50…カードスロット
52…メモリカード
60…専用メモリ
70…共有メモリ
100…メインプロセッサ(印刷制御部)
110…ファイルアクセス部
120…ユーザインタフェース部(UI部)
130…先行処理管理部
140…先行処理実行部
150…カード印刷制御部
160…画像処理管理部
170…画像処理部
180…印刷イメージ処理部
190…印刷処理部
200A…第1のサブプロセッサ(画像処理制御部)
200B…第2のサブプロセッサ(デコード処理実行部)
200C…第3のサブプロセッサ(補正処理実行部)
200D…第4のサブプロセッサ(印刷イメージ処理実行部)
300…機構制御部
500M…選択画面
502…プレビュー表示欄
504…印刷枚数表示部
506N…選択ボタン
506P…選択ボタン
508D…枚数指定ボタン
508U…枚数指定ボタン
510…印刷開始ボタン
400…入力I/F部
600…カードI/F部
700…専用メモリコントローラ
800…共有メモリコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷を希望する画像として指定された印刷対象画像について、前記印刷対象画像の画質を補正するための補正パラメータを決定する前処理と、前記印刷対象画像の印刷のために、前記前処理の結果を用いて実行する画像処理と、を行う印刷制御装置であって、
印刷の開始を示す印刷実行指示が発生する前に、前記前処理を先行して実行する先行処理実行部と、
前記先行処理実行部による前記前処理の先行処理動作を管理するとともに、得られた先行処理結果を管理する先行処理管理部と、
前記印刷実行指示が発生した際に前記画像処理を実行する画像処理部と、
前記画像処理部による前記画像処理動作を管理する画像処理管理部と、
を備え、
前記先行処理管理部は、前記印刷対象画像についての前記画像処理が、前記印刷対象画像の要求印刷枚数に対応する回数実行されるまで、前記印刷対象画像に対応する前記前処理の先行処理結果を保持し、
前記画像処理部は、前記印刷対象画像の要求印刷枚数に対応する回数の前記画像処理が終了するまで、前記印刷対象画像に対応する前記前処理の先行処理結果を用いて各回の前記画像処理を実行する、
ことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷制御装置であって、
前記先行処理管理部は、前記印刷対象画像の要求印刷枚数に相当する印刷回数を設定した後、前記画像処理管理部から前記画像処理部に対しての前記画像処理の終了指示に応じてなされる前記画像処理部からの指示に従って、前記印刷回数を1ずつ減算し、前記印刷回数が0になるまで、前記印刷対象画像に対応する前記前処理の先行処理結果を保持する、
ことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項3】
印刷を希望する画像として指定された印刷対象画像について、前記印刷対象画像の画質を補正するための補正パラメータを決定する前処理と、前記印刷対象画像の印刷のために、前記前処理の結果を用いて実行する画像処理と、を行う印刷制御方法であって、
印刷の開始を示す印刷実行指示が発生する前に、前記前処理を先行して実行する先行処理実行工程と、
前記先行処理実行工程による前記前処理の先行処理動作を管理するとともに、得られた先行処理結果を管理する先行処理管理工程と、
前記印刷実行指示が発生した際に前記画像処理を実行する画像処理工程と、
前記画像処理工程による前記画像処理動作を管理する画像処理管理工程と、
を備え、
前記先行処理管理工程は、前記印刷対象画像についての前記画像処理が、前記印刷対象画像の要求印刷枚数に対応する回数実行されるまで、前記印刷対象画像に対応する前記前処理の先行処理結果を保持し、
前記画像処理工程は、前記印刷対象画像の要求印刷枚数に対応する回数の前記画像処理が終了するまで、前記印刷対象画像に対応する前記前処理の先行処理結果を用いて各回の前記画像処理を実行する、
ことを特徴とする印刷制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−93842(P2008−93842A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275058(P2006−275058)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】